(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】振動装置
(51)【国際特許分類】
H02N 2/04 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
H02N2/04
(21)【出願番号】P 2022514319
(86)(22)【出願日】2021-02-08
(86)【国際出願番号】 JP2021004599
(87)【国際公開番号】W WO2021205741
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】P 2020068109
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北川 知世
(72)【発明者】
【氏名】加賀山 健司
(72)【発明者】
【氏名】岸下 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】大西 克博
(72)【発明者】
【氏名】床井 正護
【審査官】柏崎 翔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/044958(WO,A1)
【文献】特開2010-111401(JP,A)
【文献】国際公開第2012/153593(WO,A1)
【文献】特開2017-209657(JP,A)
【文献】特開平11-313395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 2/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のケース部材と、
前記第1のケース部材に接合されている、第2のケース部材と、
自由端を有する可撓部材と、
前記可撓部材に取り付けられた圧電素子と、
前記可撓部材に接合されている質量部材と、
を備え、
前記第1のケース部材が、平板状であり、
第2のケース部材が、底部と、側壁部とを有し、
前記第1のケース部材と、前記側壁部と、前記底部に接触している保持部材をさらに備え
、
前記保持部材が、前記第1のケース部材に侵入している侵入部を有し、
前記侵入部が、前記第1のケース部材の上面から、前記上面に対し交差する方向に延ばされている、振動装置。
【請求項2】
第1のケース部材と、
前記第1のケース部材に接合されている、第2のケース部材と、
自由端を有する可撓部材と、
前記可撓部材に取り付けられた圧電素子と、
前記可撓部材に接合されている質量部材と、
を備え、
前記第1のケース部材が、平板状であり、
第2のケース部材が、底部と、側壁部とを有し、
前記第1のケース部材と、前記側壁部と、前記底部に接触している保持部材をさらに備え、
前記保持部材の一部が、前記第1のケース部材内に位置しており、前記保持部材の他の部分よりも薄い、振動装置。
【請求項3】
平面視して、前記保持部材の一部が、前記質量部材における前記可撓部材と接合されている接合部と重なっている、請求項1
または2に記載の振動装置。
【請求項4】
第1の端子をさらに備え、
前記保持部材の一部が、前記第1の端子と隣接して配置されている、請求項1~
3のいずれか1項に記載の振動装置。
【請求項5】
前記第1のケース部材または前記第2のケース部材に凹部が設けられており、
前記第2のケース部材または前記第1のケース部材に前記凹部に入り込む凸部が設けられている、請求項1~
4のいずれか1項に記載の振動装置。
【請求項6】
前記凸部がテーパ形状を有する、請求項
5に記載の振動装置。
【請求項7】
前記保持部材が、第1の保持部材と、前記第1の保持部材と隔てられて設けられた第2の保持部材とを有する、請求項1~
6のいずれか1項に記載の振動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、スマートフォンなどの通信機器において着信を報知する目的などに用いられる振動装置が開示されている。この振動装置は、支持部材と、第1の変位板と、第2の変位板と、第1の圧電振動素子と、第2の圧電振動素子と、質量付加部材と、第1のケーシング材と、第2のケーシング材と、を備える。支持部材は、対向し合う第1の辺部分及び第2の辺部分を有する。第1の変位板は、自由端を有するように、支持部材に支持されている。第2の変位板は、自由端を有するように、支持部材に支持されている。第1の圧電振動素子は、第1の変位板上に設けられている。第2の圧電振動素子は、第2の変位板上に設けられている。質量付加部材は、第1の変位板における自由端側の部分及び第2の変位板における自由端側の部分の両方に接続されている。支持部材は、第1のケーシング材と第2のケーシング材との間に配置されている。第1のケーシング材、第2のケーシング材および支持部材により構成されたケース内に、第1の変位板と、第2の変位板と、第1の圧電振動素子と、第2の圧電振動素子と、質量付加部材とが収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の振動装置では、落下時などにおいて振動装置に加わる衝撃により、あるいは変位板を振動させた際に質量付加部材が第2のケーシング材に接触する際の衝撃により、第1のケーシング材と上記支持部材との接合及び上記支持部材と第2のケーシング材との接合が弱くなるおそれがあった。そのため、ケースの機械的強度が不十分であった。
【0005】
本発明の目的は、機械的強度に優れたケースを有する、振動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る振動装置は、第1のケース部材と、前記第1のケース部材に接合されている、第2のケース部材と、自由端を有する可撓部材と、前記可撓部材に取り付けられた圧電素子と、前記可撓部材に接合されている質量部材と、を備え、前記第1のケース部材が、平板状であり、第2のケース部材が、底部と、側壁部とを有し、前記第1のケース部材と、前記側壁部と、前記底部に接触している保持部材をさらに備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、機械的強度に優れたケースを有する振動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置における第1の可撓部材、第2の可撓部材及び支持部材を示す平面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置が備える質量部材を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置が備える質量部材を示す正面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の部分断面斜視図である。
【
図7】
図7(a)及び
図7(b)は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の正面図及び平面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の分解斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の部分切り欠き側面断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の製造に用いる、第1の部材を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の製造に用いる、第2の部材を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の製造に用いる、第3の部材を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、本発明の第2の実施形態に係る振動装置の斜視図である。
【
図14】
図14は、本発明の第3の実施形態に係る振動装置の斜視図である。
【
図15】
図15(a)は、本発明の第4の実施形態に係る振動装置の斜視図であり、
図15(b)は、
図15(a)中のA-A´線に沿う部分の部分断面図であり、
図15(c)は、
図15(a)中のB-B´線に沿う部分の部分断面図である。
【
図16】
図16(a)は、本発明の第5の実施形態に係る振動装置の斜視図であり、
図16(b)は、
図16(a)中のC-C´線に沿う部分の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0010】
なお、本明細書に記載の各実施形態は、例示的なものであり、異なる実施形態間において、構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることを指摘しておく。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の斜視図である。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の分解斜視図である。
【0012】
本発明の第1の実施形態に係る振動装置1は、第1のケース部材2と、第2のケース部材3とを有する。第1のケース部材2及び第2のケース部材3は、ケースを構成している。第1のケース部材2は、合成樹脂からなる。第1のケース部材2は、平板状の形状を有する。特に限定されないが、本実施形態では、第1のケース部材2は、矩形板状の形状を有する。
【0013】
第2のケース部材3は、側壁部4と、底部5とを有する。底部5は、矩形板状の形状を有している。側壁部4は、環状であり、互いに対向する2つの開口を有する。側壁部4の一方の開口側の端部が、底部5に接合されている。それによって、第2のケース部材3が構成されている。側壁部4の一方の開口は底部5により塞がれている。側壁部4及び底部5は、合成樹脂からなる。第1のケース部材2及び第2のケース部材3の材料は、合成樹脂以外の絶縁性材料であってもよい。
【0014】
側壁部4の他方の開口側の端部が、第1のケース部材2に接合されている。それによって、直方体状のケースが構成されている。側壁部4の他方の開口は第1のケース部材2により塞がれている。また、第1のケース部材2及び第2のケース部材3により、収納空間が構成されている。
【0015】
振動装置1は、第1の可撓部材6と、第2の可撓部材7とを有する。第1の可撓部材6及び第2の可撓部材7は、上記の収納空間内に収納されている。第1の可撓部材6及び第2の可撓部材7は、細長い矩形板状の形状を有している。第1の可撓部材6及び第2の可撓部材7は、金属などの弾性材料からなる。
【0016】
振動装置1は、第1の圧電素子8と、第2の圧電素子9とを有する。第1の圧電素子8は、第1の可撓部材6に取り付けられている。第2の圧電素子9は、第2の可撓部材7に取り付けられている。
【0017】
側壁部4は、第1の側壁4aと、第2の側壁4bと、第3の側壁4cと、第4の側壁4dとを有する。第1の側壁4aと、第2の側壁4bとは、互いに対向して、平行に延びている。第3の側壁4cと、第4の側壁4dとは、互いに対向して、平行に延びている。本実施形態では、第1の側壁4aと第2の側壁4bとを結ぶ方向が長さ方向である。第1の可撓部材6と、第2の可撓部材7とは、それぞれ、上記長さ方向に延びている。
【0018】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置における第1の可撓部材、第2の可撓部材及び支持部材を示す平面図である。振動装置1は、支持部材11を有する。
図3を参照して、第1の可撓部材6、第2の可撓部材7及び支持部材11を説明する。
【0019】
図3に示すように、支持部材11は矩形枠状であり、第1の可撓部材6と、第2の可撓部材7と、支持部材11とは1つの部材として設けられている。このような第1の可撓部材6、第2の可撓部材7及び支持部材11は、例えば、金属板などを加工することにより形成される。
【0020】
支持部材11は、第1の辺部分11aと、第2の辺部分11bとを有する。第1の辺部分11aと第2の辺部分11bとは、互いに対向して、平行に延びている。
【0021】
第1の可撓部材6の一方の端部は、第1の辺部分11aに接続されている。第1の可撓部材6の一方の端部は、支持部材11によって支持されている。第1の可撓部材6の他方の端部である先端6aは、自由端である。このように、第1の可撓部材6は片持ち梁である。第1の可撓部材6の先端6aの近傍には、複数の凹部6bが設けられている。
【0022】
第2の可撓部材7の一方の端部は、第2の辺部分11bに接続されている。第2の可撓部材7の一方の端部は、支持部材11によって支持されている。第2の可撓部材7の他方の端部である先端7aは、自由端である。このように、第2の可撓部材7は片持ち梁である。第2の可撓部材7の先端7aの近傍には、複数の凹部7bが設けられている。なお、複数の凹部6b,6b,7b,7bは必ずしも設けられずともよい。
【0023】
第1の可撓部材6と第2の可撓部材7とは、第1の圧電素子8と第2の圧電素子9とを駆動することにより振動し、第1の可撓部材6の先端6aを含む部分及び第2の可撓部材7の先端7aを含む部分が、上下方向に変位する。
【0024】
振動装置1は、質量部材10を有する。質量部材10は、第1の可撓部材6の先端6a及び第2の可撓部材7の先端7aに接合されている。
【0025】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置が備える質量部材を示す斜視図である。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置が備える質量部材を示す正面図である。質量部材10は、第1の可撓部材6が接合される接合部10aと、第2の可撓部材7が接合される接合部10bとを有する。接合部10aに、第1の可撓部材6の下面が接合されている。また、接合部10bに、第2の可撓部材7の下面が接合されている。第1の可撓部材6の先端6aを含む部分及び第2の可撓部材7の先端7aを含む部分が上下方向に変位することにより、質量部材10も上下方向に変位する。
【0026】
振動装置1は、上記第1のケース部材2と、第2のケース部材3とからなるケースの機械的強度が高い。これを、
図1及び
図2を参照してより詳細に説明する。
【0027】
振動装置1は、第1の端子12,13を有する。第1の端子12,13は、グラウンド側電位に接続される。第1の端子12,13は、支持部材11と側壁部4とともに、インサート成型により一体に構成されている。第1の端子12,13は、第1,第2の圧電素子8,9の一方の電極(図示せず)に電気的に接続される。
【0028】
なお、インサート成型により、上記支持部材11の第1の辺部分11aと第2の辺部分11bとが、側壁部4に組み込まれている。従って、第1の可撓部材6の一方の端部が第2の側壁4bによって支持され、第2の可撓部材7の一方の端部が第1の側壁4aによって支持されている。
【0029】
振動装置1は、第2の端子15,16を有する。第2の端子15,16は、底部5に設けられている。第2の端子15,16は、第1,第2の圧電素子8,9の他方の電極(図示せず)に電気的に接続されている。第2の端子15,16は、金属からなり、第1,第2の圧電素子8,9の他方の電極と機械的に接合されている。第1の端子12,13は、グラウンド側電位に接続される。
【0030】
第2の端子15,16に駆動電圧が印加されることにより第1の圧電素子8と第2の圧電素子9とが駆動し、第1の可撓部材6と第2の可撓部材7が振動する。第2の端子15,16は、インサート成型により底部5と一体に構成されている。
【0031】
振動装置1は、第1の保持部材21と、第2の保持部材22を有する。第1の保持部材21及び第2の保持部材22は、インサート成型により第1のケース部材2と一体に構成されている。
【0032】
本発明に係る振動装置1の特徴は、第1の保持部材21及び第2の保持部材22を有することにより、ケースの機械的強度が高いことにある。
【0033】
第1の保持部材21及び第2の保持部材22は、金属板を折り曲げ加工することにより形成されている。もっとも、折り曲げ加工以外の加工方法で形成されていてもよい。
【0034】
第1の保持部材21は、天板部21aと、2つの側板部21b,21bと、2つの底板部21c,21cとを有する。天板部21aは、第1のケース部材2の上面に接触している。一方の側板部21bは側壁部4の第3の側壁4cに接触している。他方の側板部21bは側壁部4の第4の側壁4dに接触している。2つの底板部21c,21cは、底部5の下面に接触している。なお、
図2では、2つの側板部21b,21bの一方と、2つの底板部21c,21cの一方が図示されている。2つの側板部21b,21bの他方と、2つの底板部21c,21cの他方は、
図2において図示されていないが、同様に構成されている。
【0035】
第2の保持部材22は、天板部22aと、2つの側板部22b,22bと、2つの底板部22c,22cとを有する。天板部22aは、第1のケース部材2の上面に接触している。一方の側板部22bは側壁部4の第3の側壁4cに接触している。他方の側板部22bは側壁部4の第4の側壁4dに接触している。2つの底板部22c,22cは、底部5の下面に接触している。
【0036】
第1の保持部材21と第2の保持部材22とは、第1の側壁4aと第2の側壁4bとを結ぶ方向である前記長さ方向において隔てられて配置されている。また、平面視して、天板部21aは、接合部10aと重なっている。平面視して、天板部22aは、接合部10bと重なっている。
【0037】
第1の保持部材21及び第2の保持部材22は、
図1に示すように、第1のケース部材2の上面から第3の側壁4cを経て、底部5の下面に接触しているとともに、第1のケース部材2の上面から第4の側壁4dを経て、底部5の下面に接触している。従って、天板部21aと底板部21cとが第1のケース部材2及び第2のケース部材3を間に挟んで対向しており、天板部22aと底板部22cとが第1のケース部材2及び第2のケース部材3を間に挟んで対向している。すなわち、第1のケース部材2及び第2のケース部材3は、第1の保持部材21及び第2の保持部材22によって保持されている。よって、振動装置1に衝撃等が加わったとしても、第1のケース部材2が第2のケース部材3から外れ難く、底部5が側壁部4から外れ難い。従って、ケースの機械的強度が十分に高い。
【0038】
なお、振動装置1では、第1の保持部材21及び第2の保持部材22が設けられていたが、いずれか一方のみが設けられていてもよく、また、3以上の保持部材が設けられてもよい。
【0039】
さらに、
図2に示すように、振動装置1では、第1の保持部材21は天板部21aと、2つの側板部21b,21bと、2つの底板部21c,21cとが一体となっている構造を有しており、第2の保持部材22は天板部22aと、2つの側板部22b,22bと、2つの底板部22c,22cとが一体となっている構造を有している。第1の保持部材21及び第2の保持部材22は、天板部と、1つの側板部と、1つの底板部とが一体となっている一対の部材により構成されていてもよい。
【0040】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の部分断面斜視図である。
【0041】
図6に示すように、第2の保持部材22には、突出部22dが設けられている。突出部22dは、天板部22aから長さ方向に延びている。突出部22dの先端には、底部5側の方向、すなわち下方に延びる侵入部22eが設けられている。侵入部22eは、厚さ方向において、第1のケース部材2に侵入している。それによって、第1のケース部材2と、第2の保持部材22との結合強度が高められている。そのため、落下や振動時の衝撃が振動装置1に加わったとしても、第1のケース部材2がより一層第2のケース部材3から外れ難い。好ましくは、
図6に示すように、侵入部22eは第1のケース部材2の主面と直交する方向に延ばされる。もっとも、侵入部22eは、第1のケース部材2の上面に対し交差する方向に延ばされていればよい。
【0042】
また、
図6に示すように、第2の保持部材22には、第1の保持部材21側に、薄板部22fが設けられている。薄板部22fは、天板部22aよりも厚さが薄く、その上面が、第1のケース部材2の上面よりも低くなっている。すなわち、薄板部22fの上面に、第1のケース部材2を構成している樹脂が接触している。すなわち、薄板部22fは、第1のケース部材2内に埋設されている。そのため、落下や振動時の衝撃が振動装置1に加わったとしても、第1のケース部材2がより一層第2のケース部材3から外れ難い。
【0043】
なお、侵入部22eは、突出部22dの先端に設けられていたが、突出部22dが省略されていてもよい。すなわち、侵入部22eは、天板部22aに設けられていてもよい。また、薄板部22fは、上面に第1のケース部材2を構成している樹脂が接触する限り、埋設の形態は
図6に示した構造に限定されない。例えば、天板部22aの下面よりも薄板部22fの下面が上方に位置していてもよい。なお、図示されていないが、上記侵入部及び薄板部は、第1の保持部材21にも同様に設けられている。
【0044】
図7(a)及び
図7(b)は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の正面図及び平面図である。振動装置1では、第1の保持部材21の側板部21b及び底板部21cが、第1の端子12と隣接して配置されており、第2の保持部材22の側板部22b及び底板部22cが、第1の端子13と隣接して配置されている。この場合、第1,第2の保持部材21,22が導電性を有する金属板からなるため、振動装置1を外部の基板に搭載する際に、底板部21c,22cが第1の端子12,13とともに、はんだ等によって外部の基板のランドと接合される。すなわち、底板部21c,22cは、実装部としての機能を有する。もっとも、第1,第2の保持部材21,22は金属に限らず、絶縁性材料から構成されていてもよい。
【0045】
図8は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の分解斜視図である。
図9は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の部分切り欠き側面断面図である。
【0046】
振動装置1では、複数の凹部2eが、第1のケース部材2に設けられている。複数の凹部2eは、第1のケース部材2における第1の側壁4aと対向する部分及び第2の側壁4bと対向する部分に設けられている。また、振動装置1では、複数の凸部4eが、側壁部4に設けられている。複数の凸部4eは、第1の側壁4a及び第2の側壁4bの上面に設けられている。
図9に示すように、凸部4eは、テーパ形状を有する。そして、凹部2eと凸部4eとは平面視して重なる位置にあるため、凸部4eが凹部2eに入り込む。そして、第1のケース部材2と側壁部4との接合に際しては、
図9に矢印Aで示すように凸部4eに力を加えて変形させることにより、凸部4eを凹部2eに嵌め込むことができる。それによって、第1のケース部材2が、第2のケース部材3からより一層外れ難くされている。なお、凸部4eと凹部2eとの固定は、振動装置1を組み立てる工程における、第1のケース部材2と側壁部4との仮接合にも用いることができる。
【0047】
なお、複数の凸部が第1のケース部材2に設けられ、複数の凹部が側壁部4に設けられていてもよい。また、凸部及び凹部の数についても特に限定されない。
【0048】
上記振動装置1の製造に際しては、例えば
図10~
図12に示すように、金属フープを含む部材を用いることにより、生産性を上げることができる。
【0049】
図10は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の製造に用いる、第1の部材を示す斜視図である。
図11は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の製造に用いる、第2の部材を示す斜視図である。
図12は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の製造に用いる、第3の部材を示す斜視図である。
【0050】
図10に示す第1の部材は、金属フープ31に、第1のケース部材2及び第1,第2の保持部材21,22が一体化された構造体が多数設けられている。
図11に示す第2の部材では、金属フープ32に、側壁部4、第1,第2の可撓部材6,7、第1,第2の圧電素子8,9、質量部材、第1の端子が一体化された構造体が多数設けられている。また、
図12に示す第3の部材では、金属フープ33に、底部5と第2の端子が一体化された構造体が多数設けられている。
【0051】
このような第1~第3の部材を搬送して、積み重ねた後、金属フープ31~33を切断により除去する。それによって、振動装置1を効率的に製造することができる。もっとも、振動装置1の製造方法はこれに限定されるものではない。
【0052】
図13は、本発明の第2の実施形態の振動装置の斜視図である。
【0053】
本発明の第2の実施形態に係る振動装置40では、第1の実施形態と同様に、第1のケース部材2と、第2のケース部材3とにより、直方体状のケースが構成されている。振動装置40は、第1の保持部材41と、第2の保持部材42を有する。第1の保持部材41と第2の保持部材42とは、この直方体状のケースの長さ方向において隔てられて配置されている。第1の保持部材41と第2の保持部材42とは、第1のケース部材2の上面の全幅に至るように設けられている。そして、第1の保持部材41と第2の保持部材42とは、それぞれ第1のケース部材2の上面から側壁部4の第3の側壁4c及び第4の側壁4dに沿って延び、底部5の下面に至っている。
図13では、図示されていないが、第1の保持部材41と第2の保持部材42とは、底部5の下面の全幅に至るように設けられている。このように、第1の保持部材41と第2の保持部材42とは、環状であってもよい。
【0054】
また、
図13には破線で示すように、第1の保持部材41と第2の保持部材42との間に、第3の保持部材43が設けられてもよい。保持部材の数は特に限定されず、1つの保持部材のみが設けられてもよい。
【0055】
図14は、本発明の第3の実施形態に係る振動装置の斜視図である。
【0056】
本発明の第3の実施形態に係る振動装置50では、第1の保持部材51と第2の保持部材52の形状が、第2の実施形態の振動装置40と異なっている。第1の保持部材51には、切欠き51aが設けられている。切欠き51aは、第1の保持部材51における、第1のケース部材2の上面と接触しており、第2の保持部材52と対向している部分に設けられている。第2の保持部材52には、切欠き52aが設けられている。切欠き52aは、第2の保持部材52における、第1のケース部材2の上面と接触しており、第1の保持部材51と対向している部分に設けられている。このように、切欠きが、保持部材に設けられていてもよい。
【0057】
図15(a)は、本発明の第4の実施形態に係る振動装置の斜視図であり、
図15(b)は、
図15(a)中のA-A´線に沿う部分の部分断面図であり、
図15(c)は、
図15(a)中のB-B´線に沿う部分の部分断面図である。
【0058】
本発明の第4の実施形態に係る振動装置60では、第1の保持部材61と第2の保持部材62の形状が、第2の実施形態の振動装置40と異なっている。第1の保持部材61には、凹部61aと凸部61bが設けられている。凹部61aは、第1の保持部材61における、第1のケース部材2の上面と接触している部分に設けられている。凸部61bは、第1の保持部材61における、側壁部4の第3の側壁4cと接触している部分に設けられている。第2の保持部材62には、凹部62aと凸部62bが設けられている。凹部62aは、第2の保持部材62における、第1のケース部材2の上面と接触している部分に設けられている。凸部62bは、第2の保持部材62における、側壁部4の第3の側壁4cと接触している部分に設けられている。
【0059】
図15(b)に示すように、第1のケース部材2の上面に凹部2fが設けられており、第2の保持部材62が凹部2fに沿って設けられていることにより、凹部62aが設けられている。凹部61aは、凹部62aと同様に設けられている。
【0060】
図15(c)に示すように、凸部62bは、側壁部4の第3の側壁4cと接触していない部分を含む。凸部61bは、凸部62bと同様に設けられている。
【0061】
凹部61a,62a及び凸部61b,62bが設けられていることにより、第1の保持部材61と第2の保持部材62とは高い機械的強度を有する。
【0062】
なお、凹部61a,62a及び凸部61b,62bは、
図15(a)に示した位置に限らず、第1の保持部材61と第2の保持部材62において、機械的強度を高めたい任意の場所に設けることができる。
【0063】
また、凹部61a,62a及び凸部61b,62bのいずれか一方のみが設けられていてもよい。
【0064】
図16(a)は、本発明の第5の実施形態に係る振動装置の斜視図であり、
図16(b)は、
図16(a)中のC-C´線に沿う部分の部分断面図である。
【0065】
本発明の第5の実施形態に係る振動装置70では、第1のケース部材2の形状及び第1の保持部材71と第2の保持部材72の形状が、第2の実施形態の振動装置40と異なっている。
【0066】
図16(b)に示すように、第1のケース部材2は、第1の部分2xと、第2の部分2yとを有する。第1の部分2xは、第1のケース部材2の幅方向の端部の近傍に設けられている。第2の部分2yは、第1のケース部材2の幅方向の端部に設けられている。第2の部分2yは、第1のケース部材2の他の部分よりも薄い。第1の部分2xは、第2の部分2yより厚いが、第1のケース部材2の残余の部分よりも薄い。
【0067】
また、第1の保持部材71は、第1の部分71aと、第2の部分71bと、第3の部分71cと、第4の部分71dとを有する。第1の部分71aは、第1のケース部材2の上面と接触している。第2の部分71bは、第1の部分2xの上面と接触している。第3の部分71cは、第2の部分2yの上面と接触している。第4の部分71dは、第3の側壁4cと接触している。
【0068】
ここで、第2の部分71bの厚さt3は、第1の部分71aの厚さt1及び第4の部分71dの厚さt2より大きい。また、第3の部分71cの厚さt4は、厚さt1,t2,t3より大きい。このように、第1の保持部材71における振動装置70の外縁となる部分が厚いため、振動装置70は高い機械的強度を有する。
【0069】
図17(a)~
図17(d)は、本発明の変形例に係る振動装置の部分断面図である。
【0070】
図17(a)に示すように、第1の変形例に係る振動装置では、凸部4eは
図9に示す凸部4eよりも勾配が大きいテーパ形状を有する。このように、テーパ形状の勾配が大きくてもよい。
【0071】
図17(b)に示すように、第2の変形例に係る振動装置では、凸部4eは直方体形状を有しており、凹部2eは逆テーパ形状を有する。このように、凸部4eがテーパ形状を有する代わりに、凹部2eが逆テーパ形状を有していてもよい。
【0072】
図17(c)に示すように、第3の変形例に係る振動装置では、凸部4eは直方体形状を有しており、凹部2e1と、凹部2e1より大きな開口面積を有する凹部2e2とが厚さ方向に連なって第1のケース部材2に設けられている。凹部2e1,2e2と凸部4eとは平面視して重なる位置にあるため、凸部4eは凹部2e1に嵌め込まれ、凸部4eの先端部が凹部2e2に入り込む。このように、第1のケース部材2は段差構造の凹部を有していてもよい。
【0073】
図17(d)に示すように、凸部4eはテーパ形状を有しており、凹部2eの内壁は曲面状の凹部を有する。もっとも、曲面状の内壁の形状はこれに限定されるものではない。
【0074】
上記のように、本発明においては、凹部2e及び凸部4eの形状は様々な形態とすることができる。
【符号の説明】
【0075】
1…振動装置
2…第1のケース部材
2e,2e1,2e2,2f…凹部
2x…第1の部分
2y…第2の部分
3…第2のケース部材
4…側壁部
4a…第1の側壁
4b…第2の側壁
4c…第3の側壁
4d…第4の側壁
4e…凸部
5…底部
6…第1の可撓部材
7…第2の可撓部材
6a,7a…先端
6b,7b…凹部
8…第1の圧電素子
9…第2の圧電素子
10…質量部材
10a,10b…接合部
11…支持部材
11a…第1の辺部分
11b…第2の辺部分
12,13…第1の端子
15,16…第2の端子
21…第1の保持部材
21a,22a…天板部
21b,22b…側板部
21c,22c…底板部
22…第2の保持部材
22d…突出部
22e…侵入部
22f…薄板部
31~33…金属フープ
40,50,60,70…振動装置
41,51,61,71…第1の保持部材
42,52,62,72…第2の保持部材
43…第3の保持部材
51a,52a…切欠き
61a,62a…凹部
61b,62b…凸部
71a…第1の部分
71b…第2の部分
71c…第3の部分
71d…第4の部分