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特許7364064バッテリシステムの制御方法およびバッテリシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】バッテリシステムの制御方法およびバッテリシステム
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/18 20060101AFI20231011BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231011BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20231011BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
H02H7/18
H02J7/00 S
H02J7/34 B
H01M10/48 P
H02J7/00 302C
H02J7/00 302D
H02J7/00 B
H01M10/48 301
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022524447
(86)(22)【出願日】2021-05-14
(86)【国際出願番号】 JP2021018482
(87)【国際公開番号】W WO2021235365
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】P 2020089606
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 達也
(72)【発明者】
【氏名】森 倫也
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-149863(JP,A)
【文献】国際公開第2011/055499(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/00
H02H 7/10 - 7/20
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 - 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷へ電力供給可能な複数のバッテリモジュールについて、電力供給の実行または停止を制御するモジュール制御部を有するバッテリシステムの制御方法であって、
前記モジュール制御部は、前記複数のバッテリモジュールそれぞれが有するバッテリの電圧値、蓄電残量を示すSOC値、温度の少なくとも1つに基づいて、前記複数のバッテリモジュールそれぞれが異常か正常かを監視し、異常を検出した場合、異常のあるバッテリモジュールを停止させずに選択し、その後、前記負荷へ供給される電流の電流値を検出する電流検出部により検出された電流値を取得し、正常であり且つ前記負荷へ電力を供給している全てのバッテリモジュールの定格電流の合計値と、取得した前記電流検出部により検出された前記負荷へ供給される電流の電流値と、を比較し、前記負荷へ供給される電流の電流値が前記負荷へ電力を供給している全てのバッテリモジュールの定格電流の合計値よりも大きい場合、前記複数のバッテリモジュールの全てを停止する制御を行い、前記負荷へ供給される電流の電流値が前記負荷へ電力を供給している全てのバッテリモジュールの定格電流の合計値以下の場合、異常のあるバッテリモジュールを停止させ且つ正常なバッテリモジュールを停止させない制御を行う、
バッテリシステムの制御方法。
【請求項2】
前記モジュール制御部は、前記複数のバッテリモジュールの中に、前記バッテリの電圧値が予め設定された第1電圧閾値を下回るバッテリモジュールが存在すると判定すると、前記バッテリの電圧値が前記第1電圧閾値を下回るバッテリモジュールを異常と判定する、
請求項1に記載のバッテリシステムの制御方法。
【請求項3】
前記モジュール制御部は、前記複数のバッテリモジュールの中に、前記バッテリの電圧値が前記第1電圧閾値よりも大きい予め設定された第2電圧閾値を下回るバッテリモジュールが存在すると判定すると、前記負荷へ供給される電流の電流値が前記バッテリの電圧値が前記第電圧閾値を下回るバッテリモジュールを除く全てのバッテリモジュールの定格電流の合計値以下の場合、異常のあるバッテリモジュールを停止させ且つ正常なバッテリモジュールを停止させない制御を行う、
請求項2に記載のバッテリシステムの制御方法。
【請求項4】
前記モジュール制御部は、前記複数のバッテリモジュールそれぞれが有するバッテリの温度に基づいて、前記複数のバッテリモジュールのうちの少なくとも1つのバッテリモジュールの前記バッテリの温度が予め設定された温度閾値を上回るとき、前記バッテリの温度が前記温度閾値を上回る少なくとも1つのバッテリモジュールを異常と判定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のバッテリシステムの制御方法。
【請求項5】
前記モジュール制御部は、前記複数のバッテリモジュールそれぞれが有するバッテリの前記SOC値に基づいて、前記複数のバッテリモジュールのうちの少なくとも1つのバッテリモジュールの前記SOC値が予め設定されたSOC閾値を下回るとき、前記SOC値が予め設定されたSOC閾値を下回る少なくとも1つのバッテリモジュールを異常と判定する、
請求項1から4のいずれか1項に記載のバッテリシステムの制御方法。
【請求項6】
負荷への電力供給可能な複数のバッテリモジュールと、
前記複数のバッテリモジュールについて、電力供給の実行または停止を制御するモジュール制御部と、を備え、
前記モジュール制御部は、前記複数のバッテリモジュールそれぞれが有するバッテリの電圧値、蓄電残量を示すSOC値、温度の少なくとも1つに基づいて、前記複数のバッテリモジュールそれぞれが異常か正常かを監視し、異常を検出した場合、異常のあるバッテリモジュールを停止させずに選択し、その後、前記負荷へ供給される電流の電流値を検出する電流検出部により検出された電流値を取得し、正常であり且つ前記負荷へ電力を供給している全てのバッテリモジュールの定格電流の合計値と、取得した前記電流検出部により検出された前記負荷へ供給される電流の電流値と、を比較し、前記負荷へ供給される電流の電流値が前記負荷へ電力を供給している全てのバッテリモジュールの定格電流の合計値よりも大きい場合、前記複数のバッテリモジュールの全てを停止する制御を行い、前記負荷へ供給される電流の電流値が前記負荷へ電力を供給している全てのバッテリモジュールの定格電流の合計値以下の場合、異常のあるバッテリモジュールを停止させ且つ正常なバッテリモジュールを停止させない制御を行う、
バッテリシステム。
【請求項7】
前記モジュール制御部は、前記複数のバッテリモジュールのうちの少なくとも1つのバッテリモジュールのバッテリの電圧値が、予め設定された第1電圧閾値を下回るとき、前記バッテリの電圧値が前記第1電圧閾値を下回る少なくとも1つのバッテリモジュールを異常と判定し、前記複数のバッテリモジュールの中に、前記バッテリの電圧値が前記第1電圧閾値よりも大きい予め設定された第2電圧閾値を下回るバッテリモジュールが存在すると判定すると、前記負荷へ供給される電流の電流値が前記バッテリの電圧値が前記第電圧閾値を下回るバッテリモジュールを除く全てのバッテリモジュールの定格電流の合計値以下の場合、異常のあるバッテリモジュールを停止させ且つ正常なバッテリモジュールを停止させない制御を行う、
請求項6に記載のバッテリシステム。
【請求項8】
前記モジュール制御部は、前記複数のバッテリモジュールそれぞれが有するバッテリの温度に基づいて、前記複数のバッテリモジュールのうちの少なくとも1つのバッテリモジュールの前記バッテリの温度が予め設定された温度閾値を上回るとき、前記バッテリの温度が前記温度閾値を上回る少なくとも1つのバッテリモジュールを異常と判定する、
請求項6または7に記載のバッテリシステム。
【請求項9】
前記モジュール制御部は、前記複数のバッテリモジュールそれぞれが有するバッテリの前記SOC値に基づいて、前記複数のバッテリモジュールのうちの少なくとも1つのバッテリモジュールの前記SOC値が予め設定されたSOC閾値を下回るとき、前記SOC値が予め設定されたSOC閾値を下回る少なくとも1つのバッテリモジュールを異常と判定する、
請求項6から8のいずれか1項に記載のバッテリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリシステムの制御方法およびバッテリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ニッケル-水素バッテリを複数個直列に接続して成る組電池が複数個並列に接続された複数の組電池と、複数の組電池の充電を制御する充電制御手段と、複数の組電池の放電を制御する放電制御手段と、複数の組電池の残存容量を演算し、複数の組電池の状態を監視する電池監視手段と、を備える電源装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。この電源装置では、電池監視手段が、複数の組電池のうちの少なくとも1つの組電池の残存容量が第1の残存容量値以下になった場合、充電制御手段にその組電池への充電を開始させる。一方、電池監視手段は、複数の組電池のうちの少なくとも1つの組電池の残存容量が第1の残存容量値よりも低い第2の残存容量値以下になった場合、放電制御手段にその組電池からの放電を停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-120855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された電源装置では、複数の組電池のうちの少なくとも1つの組電池の放電を停止させた場合、負荷へ供給される電力が残りの組電池で賄われることとなり、残りの組電池の放電電力の上昇に伴い、残りの組電池から放電制御手段を構成するパワースイッチ素子に過度の放電電流が流れ、パワースイッチ素子にストレスが加わり故障してしまう虞がある。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、バッテリモジュールの故障を抑制できるバッテリシステムの制御方法およびバッテリシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るバッテリシステムの制御方法は、
負荷へ電力供給可能な複数のバッテリモジュールについて、電力供給の実行または停止を制御するモジュール制御部を有するバッテリシステムの制御方法であって、
前記モジュール制御部は、前記複数のバッテリモジュールそれぞれが有するバッテリの電圧値、蓄電残量を示すSOC値、温度の少なくとも1つに基づいて、前記複数のバッテリモジュールそれぞれが異常か正常かを監視し、異常を検出した場合、異常のあるバッテリモジュールを停止させずに選択し、その後、前記負荷へ供給される電流の電流値を検出する電流検出部により検出された電流値を取得し、正常であり且つ前記負荷へ電力を供給している全てのバッテリモジュールの定格電流の合計値と、取得した前記電流検出部により検出された前記負荷へ供給される電流の電流値と、を比較し、前記負荷へ供給される電流の電流値が前記負荷へ電力を供給している全てのバッテリモジュールの定格電流の合計値よりも大きい場合、前記複数のバッテリモジュールの全てを停止する制御を行い、前記負荷へ供給される電流の電流値が前記負荷へ電力を供給している全てのバッテリモジュールの定格電流の合計値以下の場合、異常のあるバッテリモジュールを停止させ且つ正常なバッテリモジュールを停止させない制御を行う。
【0007】
また、本発明の一態様に係るバッテリシステムの制御方法は、
前記モジュール制御部が、前記複数のバッテリモジュールの中に、前記バッテリの電圧値が予め設定された第1電圧閾値を下回るバッテリモジュールが存在すると判定すると、前記バッテリの電圧値が前記第1電圧閾値を下回るバッテリモジュールを異常と判定してもよい。
【0008】
また、本発明の一態様に係るバッテリシステムの制御方法は、
前記モジュール制御部が、前記複数のバッテリモジュールの中に、前記バッテリの電圧値が前記第1電圧閾値よりも大きい予め設定された第2電圧閾値を下回るバッテリモジュールが存在すると判定すると、前記負荷へ供給される電流の電流値が前記バッテリの電圧値が前記第電圧閾値を下回るバッテリモジュールを除く全てのバッテリモジュールの定格電流の合計値以下の場合、異常のあるバッテリモジュールを停止させ且つ正常なバッテリモジュールを停止させない制御を行ってもよい。
【0009】
また、本発明の一態様に係るバッテリシステムの制御方法は、
前記モジュール制御部が、前記複数のバッテリモジュールそれぞれが有するバッテリの温度に基づいて、前記複数のバッテリモジュールのうちの少なくとも1つのバッテリモジュールの前記バッテリの温度が予め設定された温度閾値を上回るとき、前記バッテリの温度が前記温度閾値を上回る少なくとも1つのバッテリモジュールを異常と判定してもよい。
【0010】
また、本発明の一態様に係るバッテリシステムの制御方法は、
前記モジュール制御部が、前記複数のバッテリモジュールそれぞれが有するバッテリの前記SOC値に基づいて、前記複数のバッテリモジュールのうちの少なくとも1つのバッテリモジュールの前記SOC値が予め設定されたSOC閾値を下回るとき、前記SOC値が予め設定されたSOC閾値を下回る少なくとも1つのバッテリモジュールを異常と判定してもよい。
【0011】
他の観点から見た本発明の一態様に係るバッテリシステムは、
負荷への電力供給可能な複数のバッテリモジュールと、
前記複数のバッテリモジュールについて、電力供給の実行または停止を制御するモジュール制御部と、を備え、
前記モジュール制御部は、前記複数のバッテリモジュールそれぞれが有するバッテリの電圧値、蓄電残量を示すSOC値、温度の少なくとも1つに基づいて、前記複数のバッテリモジュールそれぞれが異常か正常かを監視し、異常を検出した場合、異常のあるバッテリモジュールを停止させずに選択し、その後、前記負荷へ供給される電流の電流値を検出する電流検出部により検出された電流値を取得し、正常であり且つ前記負荷へ電力を供給している全てのバッテリモジュールの定格電流の合計値と、取得した前記電流検出部により検出された前記負荷へ供給される電流の電流値と、を比較し、前記負荷へ供給される電流の電流値が前記負荷へ電力を供給している全てのバッテリモジュールの定格電流の合計値よりも大きい場合、前記複数のバッテリモジュールの全てを停止する制御を行い、前記負荷へ供給される電流の電流値が前記負荷へ電力を供給している全てのバッテリモジュールの定格電流の合計値以下の場合、異常のあるバッテリモジュールを停止させ且つ正常なバッテリモジュールを停止させない制御を行う。
【0012】
また、本発明の一態様に係るバッテリシステムは、
前記モジュール制御部が、前記複数のバッテリモジュールのうちの少なくとも1つのバッテリモジュールのバッテリの電圧値が、予め設定された第1電圧閾値を下回るとき、前記バッテリの電圧値が前記第1電圧閾値を下回る少なくとも1つのバッテリモジュールを異常と判定し、前記複数のバッテリモジュールの中に、前記バッテリの電圧値が前記第1電圧閾値よりも大きい予め設定された第2電圧閾値を下回るバッテリモジュールが存在すると判定すると、前記負荷へ供給される電流の電流値が前記バッテリの電圧値が前記第電圧閾値を下回るバッテリモジュールを除く全てのバッテリモジュールの定格電流の合計値以下の場合、異常のあるバッテリモジュールを停止させ且つ正常なバッテリモジュールを停止させない制御を行う、ものであってもよい。
【0013】
また、本発明の一態様に係るバッテリシステムは、
前記モジュール制御部が、前記複数のバッテリモジュールそれぞれが有するバッテリの温度に基づいて、前記複数のバッテリモジュールのうちの少なくとも1つのバッテリモジュールの前記バッテリの温度が予め設定された温度閾値を上回るとき、前記バッテリの温度が前記温度閾値を上回る少なくとも1つのバッテリモジュールを異常と判定する、ものであってもよい。
【0014】
また、本発明の一態様に係るバッテリシステムは、
前記モジュール制御部が、前記複数のバッテリモジュールそれぞれが有するバッテリの前記SOC値に基づいて、前記複数のバッテリモジュールのうちの少なくとも1つのバッテリモジュールの前記SOC値が予め設定されたSOC閾値を下回るとき、前記SOC値が予め設定されたSOC閾値を下回る少なくとも1つのバッテリモジュールを異常と判定する、ものであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、モジュール制御部が、複数のバッテリモジュールそれぞれが有するバッテリの電圧値、蓄電残量を示すSOC値、温度の少なくとも1つに基づいて、複数のバッテリモジュールそれぞれが異常か正常かを監視し、異常を検出した場合、異常のあるバッテリモジュールを停止させずに選択し、その後、負荷へ供給される電流の電流値を検出する電流検出部により検出された電流値を取得し、正常であり且つ負荷へ電力を供給している全てのバッテリモジュールの定格電流の合計値と、取得した電流検出部により検出された負荷へ供給される電流の電流値と、を比較し、負荷へ供給される電流の電流値が負荷へ電力を供給している全てのバッテリモジュールの定格電流の合計値よりも大きい場合、複数のバッテリモジュールの全てを停止する制御を行い、負荷へ供給される電流の電流値が負荷へ電力を供給している全てのバッテリモジュールの定格電流の合計値以下の場合、異常のあるバッテリモジュールを停止させ且つ正常なバッテリモジュールを停止させない制御を行う。このような制御により、停止したバッテリモジュール以外の他の駆動中のバッテリモジュールが供給する電力が多くなり、過度のストレスが加わることが生じないので、過度のストレスに起因したバッテリモジュールの故障が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態1に係る電源システムのブロック図である。
図2】実施の形態1に係るモジュール制御部の機能ブロック図である。
図3】実施の形態1に係るモジュール制御部が実行するバッテリシステム制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施の形態2に係る電源システムのブロック図である。
図5】実施の形態2に係るモジュール制御部の機能ブロック図である。
図6】実施の形態2に係るモジュール制御部が実行するバッテリシステム制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施の形態3に係る電源システムのブロック図である。
図8】実施の形態3に係るモジュール制御部の機能ブロック図である。
図9】実施の形態3に係るモジュール制御部が実行するバッテリシステム制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10】変形例に係る電源システムのブロック図である。
図11】変形例に係る電源システムのブロック図である。
図12】変形例に係る電源システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係るバッテリシステムは、負荷への電力供給可能な複数のバッテリモジュールと、複数のバッテリモジュールから負荷への電力供給または電力供給の停止を制御するモジュール制御部と、を備える。そして、モジュール制御部は、複数のバッテリモジュールそれぞれが有するバッテリの電圧値、蓄電残量を示すSOC値、温度の少なくとも1つに基づいて、複数のバッテリモジュールそれぞれが異常か正常かを監視する。ここで、モジュール制御部は、異常を検出した場合、異常のあるバッテリモジュールを停止させずに選択し、その後、正常であり且つ負荷へ電力を供給している全てのバッテリモジュールの定格電流の合計値と、負荷へ供給される電流の電流値と、を比較する。ここで、モジュール制御部は、負荷へ供給される電流の電流値が負荷へ電力を供給している全てのバッテリモジュールの定格電流の合計値よりも大きい場合、複数のバッテリモジュールの全てを停止する制御を行い、負荷へ供給される電流の電流値が負荷へ電力を供給している全てのバッテリモジュールの定格電流の合計値以下の場合、異常のあるバッテリモジュールを停止させ且つ正常なバッテリモジュールを停止させない制御を行う。
【0018】
本実施の形態に係る電源システムは、例えば停電時におけるバックアップ電源が必要なサーバへ電力を供給する用途で使用されるものである。本実施の形態に係る電源システムは、図1に示すように、2つの電源モジュール12A、12Bと、バッテリシステム101と、を備える。2つの電源モジュール12A、12Bおよびバッテリシステム101は、負荷31に接続されており、電源モジュール12A、12Bおよびバッテリシステム101から負荷31へ電力が供給される。負荷31は、例えば1つの筐体内に抜き差し可能に搭載されたブレードサーバである。
【0019】
電源モジュール12A、12Bは、それぞれ、AC-DCコンバータ121A、121Bと、AC-DCコンバータ121A、121Bの動作を制御するコンバータ制御部122A、122Bと、を有し、予め設定された一定の電圧を負荷31へ出力する。ここで、負荷31へ出力される電圧は、負荷31の入力定格電圧に基づいて設定され、例えば12Vに設定されている。AC-DCコンバータ121A、121Bは、系統電源11と負荷31との間に並列接続されている。AC-DCコンバータ121A、121Bは、それぞれ、トランスと、整流平滑回路と、スイッチング素子を含み昇圧動作または降圧動作を行う電力変換回路と、を有する。また、電源モジュール12A、12Bは、それぞれ、AC-DCコンバータ121A、121Bの出力電圧を検出する電圧検出部211A、211Bと、出力電流を検出する電流検出部212A、212Bと、を有する。
【0020】
コンバータ制御部122A、122Bは、例えば内部クロックを有するマイコンであり、2つのAC-DCコンバータ121A、121Bそれぞれに対応している。コンバータ制御部122A、122Bは、AC-DCコンバータ121A、121Bの電力変換回路のスイッチング素子の動作制御を介してAC-DCコンバータ121A、121Bを定電圧制御する。これにより、各AC-DCコンバータ121A、121Bは、それぞれ系統電源11から供給される交流(例えば200V)を、変圧および整流平滑化してから降圧して直流電圧(例えば12V)に変換して負荷31へ供給する。また、コンバータ制御部122A、122Bは、それぞれ、制御対象であるAC-DCコンバータ121A、121Bから負荷31へ出力される電流の電流値を示す出力電流情報をバッテリシステム101へ出力する。また、コンバータ制御部122A、122Bは、例えば系統電源11の停電時のような場合、AC-DCコンバータ121A、121Bを停止させるとき、停止通知情報をバッテリシステム101へ出力する。
【0021】
電流検出部212A、212Bは、それぞれ、例えばAC-DCコンバータ121A、121Bと負荷31との間に直列に接続された抵抗(図示せず)の両端間に生じる電圧を検出することによりAC-DCコンバータ121A、121Bの出力電流の電流値を検出する。そして、電圧検出部212A、212Bは、それぞれ、検出した出力電流に比例した電圧をコンバータ制御部122A、122Bへ出力する。電圧検出部211A、211Bは、それぞれ、電源モジュール12A、12Bの出力端に生じる電圧を一定の分圧比で分圧した電圧と負荷31の仕様に基づいて予め設定された基準電圧との差分電圧を検出する。そして、電圧検出部211A、211Bは、検出した差分電圧に応じた電圧をコンバータ制御部122A、122Bへ出力する。コンバータ制御部122A、122Bは、電圧検出部211A、211Bから入力される差分電圧に基づいて、AC-DCコンバータ121A、121Bの出力電圧が前述の基準電圧に対応する一定の電圧で維持するようにAC-DCコンバータ121A、121Bの動作を制御する。
【0022】
バッテリシステム101は、3つのバッテリモジュール13A、13B、13Cと、バッテリモジュール13A、13B、13Cから負荷31への電力供給または電力供給の停止を制御するモジュール制御部51と、を備える。バッテリモジュール13A、13B、13Cは、負荷31および電源モジュール12A、12Bに共通電力線L1を介して接続されている。バッテリモジュール13A、13B、13Cは、それぞれ、バッテリ41A、41B、41Cと、双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cと、双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cの動作を制御するコンバータ制御部132A、132B、132Cと、電流検出部232と、電圧検出部231、241と、を有する。バッテリ41A、41B、41Cは、例えばリチウムイオンバッテリ、レドックスフロー電池等であり、例えば35Vから59Vの直流電圧を出力する。バッテリ41A、41B、41Cは、例えば筒状であり筒軸方向における両端部に電極が設けられた電池を複数個電気的に接続してなるものである。
【0023】
双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cは、スイッチング素子を含み昇圧動作または降圧動作を行う。双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cは、バッテリ41A、41B、41Cから出力される電流を負荷31へ供給する放電モードと、電源モジュール12A、12Bから供給される電力でバッテリ41A、41B、41Cを充電する充電モードと、のいずれかで動作する。コンバータ制御部132A、132B、132Cは、例えば内部クロックを有するマイコンであり、双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cのスイッチング素子の動作を制御する。ここで、コンバータ制御部132A、132B、132Cは、双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131CをPWM制御する。コンバータ制御部132A、132B、132Cは、例えば電源モジュール12A、12Bから負荷31へ電力供給が行われている場合、双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cを充電モードで動作させる。一方、コンバータ制御部132A、132B、132Cは、後述するモジュール制御部51から放電指令情報が入力されると、放電モードで動作させる。このとき、コンバータ制御部132A、132B、132Cは、負荷31へ出力される電圧が一定となるように、双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cを定電圧制御する。更に、コンバータ制御部132A、132B、132Cは、後述するモジュール制御部51から停止指令情報が入力されると、双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cを停止させる。
【0024】
電流検出部232は、例えば双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cと負荷31との間に直列に接続された抵抗(図示せず)の両端間に生じる電圧を検出することにより双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cの出力電流または入力電流の電流値を検出する。そして、電流検出部232は、検出した出力電流に比例した電圧をコンバータ制御部132A、132B、132Cへ出力する。
【0025】
電圧検出部231は、例えばバッテリモジュール13A、13B、13Cの出力端に生じる電圧を一定の分圧比で分圧した電圧と負荷31の仕様に基づいて予め設定された基準電圧との差分電圧を検出する。そして、電圧検出部231は、検出した差分電圧に応じた電圧をコンバータ制御部132A、132B、132Cへ出力する。コンバータ制御部132A、132B、132Cは、双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cを放電モードで動作させる場合、電圧検出部231から入力される差分電圧に基づいて、双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cの出力電圧が前述の基準電圧に対応する一定の電圧で維持するように双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cの動作を制御する。
【0026】
電圧検出部241は、バッテリ41A、41B、41Cの出力端間に生じる電圧、即ち、電池電圧を検出する。電圧検出部241としては、例えばバッテリ41A、41B、41Cを構成する複数の電池のそれぞれの電極に共通接続され正極側のタブと負極側のタブとに接続され、正極側のタブと負極側のタブとの間に生じる電圧を計測する電圧センサを有するものが採用される。そして、電圧検出部241は、検出した電圧を示す検出電圧信号をコンバータ制御部132A、132B、132Cへ出力する。コンバータ制御部132A、132B、132Cは、電圧検出部241から入力される検出電圧信号からバッテリ41A、41B、41Cの電池電圧を示す電池電圧情報を生成し、生成した電池電圧情報をモジュール制御部51へ出力する。
【0027】
モジュール制御部51は、電源モジュール12A、12Bのコンバータ制御部122A、122Bから前述の停止通知情報が入力されると、バッテリモジュール13A、13B、13Cの双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cを放電モードで動作させるよう指令する放電指令情報をコンバータ制御部132A、132B、132Cへ出力する。そして、モジュール制御部51は、コンバータ制御部132A、132B、132Cから入力される電池電圧情報に基づいて、バッテリ41A、41B、41Cの中から、電池電圧が予め設定された第1電圧閾値を下回るバッテリ(例えばバッテリ41A)を有するバッテリモジュール13Aを選択する。ここで、電池電圧が第1電圧閾値を下回ることが、バッテリモジュール13A、13B、13Cの第1停止条件に相当する。なお、第1電圧閾値は、例えばバッテリ41A、41B、41Cそれぞれの最大定格電圧の10%に相当する電圧を下回る電圧に設定することができる。そして、モジュール制御部51は、負荷31への供給が要求される負荷電流の電流値が、バッテリモジュール13A、13B、13Cのうちバッテリモジュール13Aを除く他のすべてのバッテリモジュールのうち、負荷31に電力を供給しているバッテリモジュール群に属するバッテリモジュール13B、13Cの定格電流の合計電流値を上回る場合、バッテリモジュール13A、13B、13Cから負荷31への電力供給を停止させるようにコンバータ制御部132A、132B、132Cを制御する。ここで、負荷31への供給が要求される負荷電流の電流値が、バッテリモジュール13A、13B、13Cのうち電池電圧が第1電圧閾値を下回るもの除く他の全ての定格電流の合計電流値を上回ることが、バッテリモジュール13A、13B、13Cの第2停止条件に相当する。モジュール制御部51は、プロセッサとメモリとを有し、プロセッサがメモリの記憶するプログラムを実行することにより、図2に示すように、負荷電流取得部511、電圧取得部512、モジュール定格電流演算部513、判定部514、選択部515および指令部516として機能する。また、メモリは、第1電圧閾値を示す情報を記憶する閾値記憶部531と、負荷31へ供給することが要求される電流の電流値を示す負荷電流情報を記憶する負荷電流記憶部532と、バッテリモジュール13A、13B、13Cそれぞれの定格電流値を示す定格電流情報を記憶する定格電流記憶部539と、を有する。第1電圧閾値は、例えばバッテリ41A、41B、41Cが満充電時における電池電圧の60%の電圧に設定される。
【0028】
負荷電流取得部511は、バッテリモジュール13A、13B、13Cの双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cが放電モードで動作している間、予め設定された周期で、繰り返しコンバータ制御部132A、132B、132Cから入力される出力電流情報に基づいて負荷電流情報を生成して負荷電流記憶部532に記憶させる。
【0029】
電圧取得部512は、コンバータ制御部132A、132B、132Cから入力される電池電圧情報を取得し、取得した電池電圧情報が示す電圧値を判定部514に通知する。モジュール定格電流演算部513は、定格電流記憶部539が記憶するバッテリモジュール13A、13B、13Cの一部の定格電流情報を参照して、バッテリモジュール13A、13B、13Cの一部の定格電流の合計電流値を算出し、算出した合計電流値を判定部514に通知する。
【0030】
判定部514は、バッテリモジュール13A、13B、13Cそれぞれが有するバッテリ41A、41B、41Cの電池電圧の電圧値に基づいて、バッテリモジュール13A、13B、13Cそれぞれが異常か正常かを監視する。ここで、判定部514は、電圧取得部512から通知される電池電圧の電圧値に基づいて、バッテリモジュール13A、13B、13Cそれぞれが有するバッテリ41A、41B、41Cの中に、電池電圧の電圧値が前述の第1電圧閾値を下回るものが存在するか否かを判定する。また、判定部514は、負荷電流記憶部532が記憶する負荷電流情報を取得し、負荷電流情報が示す電流値が、バッテリ41A、41B、41Cの電池電圧の電圧値が第1電圧閾値を下回るものを除くバッテリモジュール13A、13B、13Cそれぞれの定格電流の合計電流値を上回るか否かを判定する。
【0031】
選択部515は、判定部514によりバッテリモジュール13A、13B、13Cそれぞれが有するバッテリ41A、41B、41Cの中に電池電圧の電圧が第1電圧閾値を下回るものが存在する、即ち、異常なバッテリモジュール13A、13B、13Cが存在すると判定されると、そのバッテリモジュール13A、13B、13Cを第1バッテリモジュールとして選択する。
【0032】
指令部516は、例えば電源モジュール12A、12Bが稼働中の場合、バッテリモジュール13A、13B、13Cの双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cを充電モードで動作させるよう指令する充電指令情報をコンバータ制御部132A、132B、132Cへ出力する。ここで、指令部516は、電源モジュール12A、12Bのコンバータ制御部122A、122Bから前述の停止通知情報が入力されると、双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cを放電モードで動作させるよう指令する放電指令情報をコンバータ制御部132A、132B、132Cへ出力する。これにより、コンバータ制御部132A、132B、132Cは、双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cを放電モードで動作させ、バッテリ41A,41B、41Cから負荷31へ電力が供給される。そして、指令部516は、判定部514により負荷電流情報が示す電流値が、バッテリモジュール13A、13B、13Cのうち前述の第1バッテリモジュールを除くそれぞれの定格電流の合計電流値を上回ると判定されると、バッテリモジュール13A、13B、13Cを停止させるよう指令する停止指令情報を出力する。
【0033】
次に、本実施の形態に係るモジュール制御部51が実行するバッテリシステム制御処理について図3を参照しながら説明する。このバッテリシステム制御処理は、予め設定された処理周期で繰り返し実行される。処理周期は、例えば1msecに設定される。まず、電圧取得部512は、バッテリモジュール13A、13B、13Cのコンバータ制御部132A、132B、132Cそれぞれから電池電圧情報を取得する(ステップS101)。このとき、電圧取得部512は、取得した電池電圧情報が示す電圧値を判定部514に通知する。
【0034】
次に、判定部514は、電池電圧の電圧値Vbが第1電圧閾値Vbth1を下回るものが存在するか否かを判定する(ステップS102)。なお、判定部は、実施の形態2、3で後述するように、更に、バッテリモジュール13A、13B、13Cの中に、温度が予め設定された温度閾値を上回るものが存在するか否かを判定するものであってもよいし、バッテリ41A、41B、41Cの中に、SOC値が予め設定されたSOC閾値を下回るものが存在するか否かを判定するものであってもよい。
【0035】
ここで、判定部514が、バッテリ41A、41B、41Cの電池電圧の電圧値Vb全てが第1電圧閾値Vbth1以上であると判定すると(ステップS102:No)、そのままバッテリシステム制御処理が終了する。一方、判定部514が、バッテリ41A、41B、41Cの中に、電池電圧の電圧値Vbが第1電圧閾値Vbth1を下回るものが存在すると判定したとする(ステップS102:Yes)。この場合、選択部515は、判定部514により電池電圧の電圧値が第1電圧閾値を下回ると判定されたバッテリ(例えばバッテリ41A)を有するバッテリモジュール13Aを選択する(ステップS103)。このステップS102およびステップS103の一連の処理において、判定部514がバッテリモジュール13A、13B、13Cの中に、第1停止条件を満たすものがあるか存在するかどうかを判定し、選択部515が、第1停止条件を満たすバッテリモジュールを選択する。なお、ステップS103の終了時点では、バッテリモジュール13Aは停止しない。このように、ステップS102およびステップS103の一連の処理では、停止させるバッテリモジュール(例えばバッテリモジュール13A)を選択する。なお、バッテリモジュール13Bとバッテリモジュール13Cとは、負荷31へ電力を供給しているものとする。
【0036】
その後、判定部514は、負荷電流記憶部532が記憶する負荷電流情報を取得する(ステップS104)。次に、モジュール定格電流演算部513は、ステップS103で選択部515が選択したバッテリモジュール13Aを除く負荷31へ電力を供給している全てのバッテリモジュール(この場合は、バッテリモジュール13Bとバッテリモジュール13C)の定格電流の合計電流値Wbtを算出する(ステップS105)。このとき、モジュール定格電流演算部513は、算出した合計電流値Wbtを判定部514に通知する。続いて、判定部514は、取得した負荷電流情報が示す電流値WLが、バッテリモジュール13B、13Cの定格電流の合計電流値Wbtを上回るか否かを判定する(ステップS106)。ここで、負荷電流情報が示す電流値WLが、バッテリモジュール13B、13Cの定格電流の合計電流値Wbtを上回ることが第2停止条件である。ここで、判定部514が、負荷電流情報が示す電流値WLがバッテリモジュール13B、13Cの定格電流の合計電流値Wbt以下と判定したとする(ステップS106:No)。この場合、選択部515は、バッテリモジュールを選択せず、そのまま後述のステップS108の処理が実行される。
【0037】
一方、判定部514が、負荷電流情報が示す電流値WLがバッテリモジュール13B、13Cの定格電流の合計電流値Wbtを上回ると判定したとする(ステップS106:Yes)。この場合、選択部515は、ステップS103で選択部515が選択したバッテリモジュール13Aを除き、ステップ1で負荷へ電力を供給していた全てのバッテリモジュール(この場合は、バッテリモジュール13Bとバッテリモジュール13C)を選択する(ステップS107)。このステップS104からステップS107までの一連の処理で選択されたバッテリモジュール(この場合は、バッテリモジュール13Bとバッテリモジュール13C)は、この時点では停止しない。
【0038】
その後、指令部516は、前述のステップS103とステップS107とにおいて選択された全てのバッテリモジュールに対し、一括して停止指令情報を送信し(ステップS108)、バッテリシステム制御処理が終了する。なお、ステップS102およびステップS103の一連の処理を実行する時点において、例えばバッテリモジュール13Bが負荷31へ電力供給をしていない場合、ステップS105において、モジュール定格電流演算部513は、バッテリモジュール13Bの定格電流を除外し、バッテリモジュール13Cの定格電流の電流値を合計電流値Wbtとして算出する。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態に係るバッテリシステム101によれば、ステップS102およびステップS103の一連の処理において、バッテリモジュール13A、13B、13Cの中から、バッテリ41A、41B、41Cの電池電圧の電圧値が第1電圧閾値を下回るバッテリモジュール(例えばバッテリモジュール13A)を選択する。そして、負荷電流情報が示す電流値が、バッテリモジュール13A、13B、13Cのうちのバッテリモジュール13Aを除き、負荷31に電力を供給していた全てのバッテリモジュール13B、13Cの定格電流の合計電流値を上回る場合、バッテリモジュール13B、13Cを選択する。そして、指令部516が、選択部515が選択した全てのバッテリモジュールに対して、一括して停止指令情報を送信することにより、負荷31への電力供給が停止される。このように、一括してバッテリモジュールの停止指令情報を送信することにより、バッテリモジュール13A、13B、13Cに過度のストレスが加わることが抑制されるので、過度のストレスに起因したバッテリモジュール13A、13B、13Cの故障が抑制される。
【0040】
ところで、バッテリ41A、41B、41Cから過度の放電電流が流出したことに起因して停止させた場合、バッテリシステムの使用者はバッテリ41A、41B、41Cとその周辺の回路の異常有無等を確認する必要がある。これに対して、本実施の形態に係るバッテリシステム101によれば、バッテリ41A、41B、41Cから過度の放電電流が流出すると予測される場合、即ち、負荷電流情報が示す電流値が、バッテリモジュール13A、13B、13Cのうちのバッテリモジュール13Aを除く他の全てのバッテリモジュール13B、13Cの定格電流の合計電流値を上回る場合、バッテリ41A、41B、41Cの放電を停止させるため、バッテリモジュール13B,13Cに過度の放電電流が生じることはない。これにより、バッテリ41A、41B、41を再起動させる際の異常有無等の確認が不要となるため、バッテリモジュール13A、13B、13CのMTTR(mean time to recovery)を短縮することができる。
【0041】
(実施の形態2)
本実施の形態に係るバッテリシステムは、複数のバッテリモジュールそれぞれが自機の温度を検出する温度検出部を備える点で実施の形態1と相違する。本実施の形態に係るモジュール制御部は、複数のバッテリモジュールの中に、電池電圧が予め設定された第1電圧閾値または温度が予め設定された温度閾値を上回る第1バッテリモジュールが存在するとき、第1バッテリモジュールを選択する。また、モジュール制御部は、複数のバッテリモジュールのうちの第1バッテリモジュールを除き且つ負荷へ電力を供給している全てのバッテリモジュールの集まりであるバッテリモジュール群の中から、電池電圧が第1電圧閾値よりも高い予め設定された第2電圧閾値を下回るバッテリモジュールを第2バッテリモジュールとし、負荷へ供給することが要求される電流の電流値がバッテリモジュール群から第2バッテリモジュールを除くバッテリモジュールそれぞれの定格電流の合計電流値を上回る場合、バッテリモジュール群に属する全てのバッテリモジュールを選択する。そして、モジュール制御部は、選択した全てのバッテリモジュールの負荷への電力供給を停止させる。
【0042】
本実施の形態に係る電源システムは、図4に示すように、2つの電源モジュール12A、12Bと、バッテリシステム2101と、を備える。なお、図4において、実施の形態1と同様の構成については図1と同一の符号を付している。バッテリシステム2101は、3つのバッテリモジュール2013A、2013B、2013Cと、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cから負荷31への電力供給または電力供給の停止を制御するモジュール制御部2051と、を備える。バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cは、それぞれ、バッテリ41A、41B、41Cと、双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cと、双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cの動作を制御するコンバータ制御部132A、132B、132Cと、電流検出部232と、電圧検出部231、241と、温度検出部2251と、を有する。
【0043】
温度検出部2251は、熱電対、サーミスタ等を利用した温度センサと、温度センサにより検出される周囲の温度を示す温度情報をモジュール制御部2051へ出力する温度情報出力部と、を有する。
【0044】
モジュール制御部2051は、コンバータ制御部132A、132B、132Cから入力される電池電圧情報および温度検出部2251から入力される温度情報に基づいて、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cの中から、電池電圧が予め設定された第1電圧閾値を下回るバッテリを有するバッテリモジュールまたは温度が予め設定された温度閾値を上回るバッテリモジュール2013Aを選択する。ここで、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cが有するバッテリ41A、41B、41Cの電池電圧が予め設定された第1電圧閾値を下回ること、または、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cの温度が温度閾値を上回ることが、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cの第1停止条件に相当する。そして、モジュール制御部2051は、負荷31への供給が要求される負荷電流の電流値が、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cのうち選択したバッテリモジュール2013Aと、バッテリ41A、42B、43Cの電池電圧が第1電圧閾値よりも大きい予め設定された第2電圧閾値を下回るバッテリモジュール2013Bを除く他の全てのバッテリモジュール2013Cの定格電流の合計電流値を上回る場合、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cから負荷31への電力供給を停止させるようにコンバータ制御部132A、132B、132Cを制御する。ここで、負荷31への供給が要求される負荷電流の電流値が、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cのうち、電池電圧が第1閾値を下回るまたは温度が温度閾値を上回るものと、電池電圧が第2電圧閾値を下回るものを除く他の全てのバッテリモジュールの定格電流の合計電流値を上回ることが、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cの第2停止条件に相当する。モジュール制御部2051では、プロセッサがメモリの記憶するプログラムを実行することにより、図5に示すように、負荷電流取得部511、電圧取得部512、温度取得部2517、モジュール定格電流演算部513、判定部2514、選択部515および指令部516として機能する。なお、図5において、実施の形態1と同様の構成は図2と同一の符号を付している。また、メモリは、第1電圧閾値、第2電圧閾値および温度閾値を示す情報を記憶する閾値記憶部2531と、負荷電流情報を記憶する負荷電流記憶部532と、定格電流記憶部539と、を有する。ここで、第2電圧閾値は、第1電圧閾値よりも低い電圧に設定される。第1電圧閾値は、例えばバッテリ41A、41B、41Cが満充電時における電池電圧の60%の電圧に設定され、第2電圧閾値は、例えばバッテリ41A、41B、41Cが満充電時における電池電圧の62%の電圧に設定される。また、温度閾値は、バッテリ41A、41B、41Cの許容温度に基づいて設定され、例えば80℃に設定される。
【0045】
温度取得部2517は、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cそれぞれの温度検出部2251から入力される温度情報を取得し、取得した温度情報が示す温度を判定部2514に通知する。
【0046】
判定部2514は、電圧取得部512から通知される電池電圧の電圧値に基づいて、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cそれぞれが有するバッテリ41A、41B、41Cの中に、電池電圧の電圧値が前述の第1電圧閾値を下回るものが存在するか否かを判定する。また、判定部2514は、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cそれぞれが有するバッテリ41A、41B、41Cの温度に基づいて、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cそれぞれが異常か正常かを監視する。ここで、判定部2514は、温度取得部2517から通知される温度に基づいて、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cの中に、温度が前述の温度閾値を上回るものが存在するか否かを判定する。また、判定部514は、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cのうちのバッテリ41A、41B、41Cの電池電圧の電圧値が第1電圧閾値を下回るものおよび温度が温度閾値を上回るものを除くバッテリモジュール群に属するバッテリモジュール2013A、2013B、2013Cの中から、バッテリ41A、41B、41Cの電池電圧の電圧値が前述の第2電圧閾値を下回るものが存在するか否かを判定する。更に、判定部2514は、負荷電流記憶部532が記憶する負荷電流情報を取得し、負荷電流情報が示す電流値が、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cのうちのバッテリ41A、41B、41Cの電池電圧の電圧値が第1電圧閾値を下回るものおよび温度が温度閾値を上回るものおよびバッテリ41A、41B、41Cの電池電圧の電圧値が第2電圧閾値を下回るものを除くバッテリモジュール2013A、2013B、2013Cの定格電流の合計電流値を上回るか否かを判定する。
【0047】
選択部515は、判定部2514によりバッテリモジュール2013A、2013B、2013Cの中にバッテリ41A、41B、41Cの電池電圧の電圧値が第1電圧閾値を下回るもの、または、温度が温度閾値を上回るものが存在すると判定されると、そのバッテリモジュール2013A、2013B、2013Cを第1バッテリモジュールとして選択する。また、選択部515は、判定部514によりバッテリモジュール2013A、2013B、2013Cのうちの前述の第1バッテリモジュールを除くバッテリモジュール2013A、2013B、2013Cの中から、バッテリ41A、41B、41Cの電池電圧の電圧値が第2電圧閾値を下回るものを第2バッテリモジュールとし、負荷31へ供給することが要求される電流の電流値がバッテリモジュール2013A、2013B、2013Cのうち第1バッテリモジュールと第2バッテリモジュールを除いたバッテリモジュールそれぞれの定格電流値の合計値を上回る場合、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cのうち第1バッテリモジュールを除く全てのバッテリモジュールを選択する。ここで、例えばバッテリモジュール2013Aのバッテリ41Aの電池電圧の電圧値が第1電圧閾値を下回る場合、選択部515は、バッテリモジュール2013Aを第1バッテリモジュールとして選択する。或いは、例えばバッテリモジュール2013Aの温度が温度閾値を上回る場合も、選択部515は、バッテリモジュール2013Aを第1バッテリモジュールとして選択する。そして、残りの負荷31へ電力を供給しているバッテリモジュール2013B、2013Cのバッテリ41B、41Cのうち、バッテリ41Bの電池電圧の電圧値が第2電圧閾値を下回る場合、選択部515は、バッテリモジュール2013Bを第2バッテリモジュールとし、負荷31へ供給することが要求される電流の電流値がバッテリモジュール2013A、2013B、2013Cのうち第1バッテリモジュール2013Aと第2バッテリモジュール2013Bを除いたバッテリモジュール2013Cの定格電流値を上回る場合、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cのうち第1バッテリモジュール2013Aを除く全てのバッテリモジュール2013B、2013Cを選択する。
【0048】
次に、本実施の形態に係るモジュール制御部2051が実行するバッテリシステム制御処理について図6を参照しながら説明する。このバッテリシステム制御処理は、実施の形態1と同様に、予め設定された処理周期で繰り返し実行される。まず、電圧取得部512は、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cのコンバータ制御部132A、132B、132Cそれぞれから電池電圧情報を取得する(ステップS201)。このとき、電圧取得部512は、取得した電池電圧情報が示す電圧値を判定部2514に通知する。
【0049】
次に、判定部2514は、電池電圧の電圧値Vbが第1電圧閾値Vbth1を下回るものが存在するか否かを判定する(ステップS202)。ここで、判定部2514が、バッテリ41A、41B、41Cの中に、電池電圧の電圧値Vbが第1電圧閾値Vbth1を下回るものが存在すると判定したとする(ステップS202:Yes)。この場合、選択部515は、判定部2514により電池電圧の電圧値が第1電圧閾値を下回ると判定されたバッテリ(例えばバッテリ41A)を有するバッテリモジュール2013Aを選択する(ステップS205)。一方、判定部2514が、バッテリ41A、41B、41Cの電池電圧の電圧値Vb全てが第1電圧閾値Vbth1以上であると判定したとする(ステップS202:No)。この場合、温度取得部2517は、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cそれぞれの温度検出部2251から温度情報を取得する(ステップS203)。このとき、温度取得部2517は、取得した温度情報が示す温度を判定部2514に通知する。次に、判定部2514は、温度取得部2517から通知されるバッテリモジュール2013A、2013B、2013Cそれぞれの温度に基づいて、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cの中に、温度Thmが温度閾値Thmth1を上回るものが存在するか否かを判定する(ステップS204)。ここで、判定部2514が、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cの温度Thm全てが温度閾値Thmth1以下であると判定すると(ステップS204:No)、そのままバッテリシステム制御処理が終了する。一方、判定部2514が、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cの中に、温度Thmが温度閾値Thmth1を上回るものが存在すると判定したとする(ステップS204:Yes)。この場合、選択部515は、判定部2514により温度Thmが温度閾値Thmth1を上回ると判定されたバッテリモジュール(例えばバッテリモジュール2013A)を選択する(ステップS205)。ここで、判定部2514がバッテリモジュール2013A、2013B、2013Cの中に、前述の第1停止条件を満たすものがあるか存在するかどうかを判定し、選択部515が、前述の第1停止条件を満たすバッテリモジュールを選択する。なお、ステップS205の終了時点では、バッテリモジュール2013Aは停止しない。このステップS201からステップS205までの一連の処理では、停止させるバッテリモジュール(例えばバッテリモジュール2013A)を選択するステップである。なお、前述のステップS202の処理が実行されずに、ステップS203およびS204の処理のみが実行されてもよい。
【0050】
続いて、判定部2514は、負荷31へ電力を供給しているバッテリモジュール2013A、2013B、2013Cのうちのバッテリ41A、41B、41Cの電池電圧の電圧値Vbが第1電圧閾値Vbth1以上であるまたは温度Thmが温度閾値Thmth1以下であるバッテリモジュール2013B、2013Cの中に、バッテリ41A、41B、41Cの電池電圧の電圧値Vbが第2電圧閾値Vbth2を下回るものが存在するか否かを判定する(ステップS206)。判定部2514が、バッテリ41B、41Cの電池電圧の電圧値Vbが全て第2電圧閾値Vbth2以上であると判定すると(ステップS206:No)、後述するステップS208の処理が実行される。一方、判定部2514が、バッテリ41B、41Cの中に電池電圧の電圧値Vbが全て第2電圧閾値Vbth2を下回るものが存在すると判定したとする(ステップS206:Yes)。この場合、選択部515は、判定部2514により電池電圧の電圧値Vbが第2電圧閾値Vbth2を下回ると判定されたバッテリ(例えばバッテリ41B)を有するバッテリモジュール2013Bを後述するステップS209におけるバッテリモジュールの定格電流値の合計電流値Wbtの計算対象から除外する(ステップS207)。
【0051】
その後、判定部2514は、負荷電流記憶部532が記憶する負荷電流情報を取得する(ステップS208)。次に、モジュール定格電流演算部513は、ステップS205で選択部515が選択したバッテリモジュール2013Aと、ステップS207で判定部2514が判定したバッテリモジュール2013Bを除く、負荷31へ電力を供給している全てのバッテリモジュール(この場合は、バッテリモジュール2013C)の定格電流の合計電流値Wbtを算出する(ステップS209)。続いて、判定部2514は、取得した負荷電流情報が示す電流値WLが、モジュール定格電流演算部513が算出した定格電流の合計電流値Wbtを上回るか否かを判定する(ステップS210)。ここで、判定部2514が、負荷電流情報が示す電流値WLがバッテリモジュール2013Cの定格電流の合計電流値Wbt以下と判定したとする(ステップS210:No)。この場合、指令部516は、前述のステップS205において選択されたバッテリモジュール2013Aに対し、一括して停止指令情報を送信し(ステップS212)、バッテリシステム制御処理が終了する。
【0052】
一方、判定部514が、負荷電流情報が示す電流値WLがバッテリモジュール2013Cの定格電流の合計電流値Wbtを上回ると判定したとする(ステップS210:Yes)。この場合、選択部515は、ステップS205で選択部515が選択したバッテリモジュール2013Aを除く負荷31へ電力を供給している全てのバッテリモジュール(この場合は、バッテリモジュール2013Bとバッテリモジュール2013C)を選択する(ステップS211)。このステップS206からステップS211までの一連の処理で選択されたバッテリモジュール(この場合は、バッテリモジュール2013Bとバッテリモジュール2013C)は、この時点では停止しない。
【0053】
その後、指令部516は、前述のステップS205とステップS211とにおいて選択された全てのバッテリモジュールに対し、一括して停止指令情報を送信し(ステップS212)、バッテリシステム制御処理が終了する。
【0054】
以上説明したように、本実施の形態に係るバッテリシステム2101によれば、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cの中から、温度が温度閾値を上回るバッテリモジュール(例えばバッテリモジュール2013A)の双方向DC-DCコンバータ131Aを停止させる。これにより、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cの温度の過度の上昇が防止できるので、過度の温度上昇に起因したバッテリモジュール2013A、2013B、2013Cの故障が抑制される。
【0055】
また、本実施の形態に係るモジュール制御部2051は、負荷31へ供給することが要求される電流の電流値が、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cのうち、電池電圧の電圧値が第1電圧閾値を下回るまたは温度が温度閾値を上回るバッテリモジュール2013Aと、電池電圧が第2電圧閾値を下回るバッテリモジュール2013Bを除く他の全てのバッテリモジュール2013Cのそれぞれの定格電流の合計電流値を上回る場合、バッテリモジュール2013A、2013B、2013Cから負荷31への電力供給を停止させる。これにより、電池電圧の電圧値が第1電圧閾値を下回る可能性の高いバッテリ41Bを有するバッテリモジュール2013Bを事前に停止させることができるので、バッテリ41Bの過放電によるバッテリ41Bの損傷を抑制することができる。
【0056】
(実施の形態3)
本実施の形態に係るバッテリシステムは、複数のバッテリモジュールそれぞれがバッテリからの放電電流またはバッテリへの充電電流を検出する電流検出部を備える点で実施の形態1と相違する。ここで、本実施の形態に係るモジュール制御部は、電流検出部により検出される放電電流または充電電流の電流値の履歴に基づいて、バッテリの蓄電残量を示すSOC値を算出する。そして、モジュール制御部は、複数のバッテリモジュールそれぞれのバッテリの中に、電池電圧が予め設定された第1電圧閾値またはSOC値が予め設定されたSOC閾値を下回るバッテリを有する第1バッテリモジュールが存在するとき、その第1バッテリモジュールを選択する。また、モジュール制御部は、複数のバッテリモジュールのうちの第1バッテリモジュールを除き且つ負荷へ電力を供給している全てのバッテリモジュールの集まりであるバッテリモジュール群の中から、第1電圧閾値よりも高い予め設定された第2電圧閾値を上回る第2バッテリモジュールを選択する。そして、モジュール制御部は、負荷へ供給することが要求される電流の電流値が複数のバッテリモジュールのうちの第1バッテリモジュールと第2バッテリモジュールとを除く少なくとも1つのバッテリモジュールそれぞれの定格電流の合計電流値以下である場合、複数のバッテリモジュールのうち第1バッテリモジュールを除く他のバッテリモジュールから負荷へ電力を供給させるように複数のバッテリモジュールを制御する。
【0057】
本実施の形態に係る電源システムは、図7に示すように、2つの電源モジュール12A、12Bと、バッテリシステム3101と、を備える。なお、図7において、実施の形態1と同様の構成については図1と同一の符号を付している。バッテリシステム3101は、3つのバッテリモジュール3013A、3013B、3013Cと、バッテリモジュール3013A、3013B、3013Cから負荷31への電力供給または電力供給の停止を制御するモジュール制御部3051と、を備える。バッテリモジュール3013A、3013B、3013Cは、それぞれ、バッテリ41A、41B、41Cと、双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cと、双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cの動作を制御するコンバータ制御部3132A、3132B、3132Cと、電流検出部232、3242と、電圧検出部231、241と、を有する。
【0058】
電流検出部3242は、バッテリ41A、41B、41Cと双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cとの間に直列に接続された抵抗(図示せず)の両端間に生じる電圧を検出することによりバッテリ41A、41B、41Cの放電電流または双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cからバッテリ41A、41B、41Cへ出力される充電電流の電流値を検出する。そして、電流検出部3242は、検出した電流を示す検出電流信号をコンバータ制御部3132A、3132B、3132Cへ出力する。
【0059】
コンバータ制御部3132A、3132B、3132Cは、それぞれ、電流検出部3242から入力される検出電流信号からバッテリ41A、41B、41Cの放電電流または充電電流の電流値を示す充放電電流情報を生成し、生成した充放電電流情報をモジュール制御部3051へ出力する。ここで、コンバータ制御部3132A、3132B、3132Cは、充放電電流情報とともに双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cの動作モードを示す動作モード情報をモジュール制御部3051へ出力する。また、コンバータ制御部3132A、3132B、3132Cは、電圧検出部241から入力される検出電圧信号からバッテリ41A、41B、41Cの電池電圧を示す電池電圧情報を生成し、生成した電池電圧情報をモジュール制御部3051へ出力する。
【0060】
モジュール制御部3051は、コンバータ制御部3132A、3132B、3132Cから入力される充放電電流情報に基づいて、バッテリ41A、41B、41Cそれぞれの蓄電残量を示すSOC値を算出する。そして、モジュール制御部3051は、コンバータ制御部3132A、3132B、3132Cから入力される電池電圧情報および算出されたSOC値に基づいて、バッテリモジュール3013A、3013B、3013Cそれぞれのバッテリ41A、41B、41Cの中に、電池電圧が予め設定された第1電圧閾値を下回る或いはSOC値が予め設定されたSOC閾値を下回るバッテリ(例えばバッテリ41A)を有するバッテリモジュール3013Aが存在するとき、バッテリモジュール3013Aを選択する。ここで、バッテリモジュール3013A、3013B、3013Cが有するバッテリ41A、41B、41Cの電池電圧が予め設定された第1電圧閾値を下回ること、または、バッテリ41A、41B、41CのSOC値がSOC閾値を下回ることが、バッテリモジュール3013A、3013B、3013Cの第1停止条件に相当する。そして、モジュール制御部3051は、負荷31への供給が要求される負荷電流の電流値が、バッテリモジュール3013A、3013B、3013Cのうち選択したバッテリモジュール3013Aを除く他の全てのバッテリモジュール3013B、3013Cの定格電流の合計電流値を上回る場合、バッテリモジュール3013A、3013B、3013Cから負荷31への電力供給を停止させるようにコンバータ制御部132A、132B、132Cを制御する。モジュール制御部3051では、プロセッサがメモリの記憶するプログラムを実行することにより、図8に示すように、負荷電流取得部511、電圧取得部512、充放電電流取得部3519、SOC算出部3518、モジュール定格電流演算部513、判定部3514、選択部515および指令部516として機能する。なお、図8において、実施の形態1と同様の構成は図2と同一の符号を付している。また、メモリは、予め設定された第1電圧閾値、第2電圧閾値およびSOC閾値を示す情報を記憶する閾値記憶部3531と、負荷電流記憶部532と、バッテリ41A、41B、41Cの充電電流、放電電流の電流値の履歴を記憶する充放電電流履歴記憶部3533と、定格電流記憶部539と、を有する。充放電電流履歴記憶部3533は、バッテリ41A、41B、41Cそれぞれの充電電流または放電電流を示す電流値を示す情報を、バッテリ41A、41B、41Cに対応づけて時系列で記憶する。ここで、充放電電流履歴記憶部3533は、例えば充電電流を示す電流値を正の電流値、放電電流を示す電流値を負の電流値として記憶している。ここで、第2電圧閾値は、第1電圧閾値よりも高い電圧に設定される。また、SOC閾値は、バッテリ41A、41B、41Cの蓄電性能に基づいて設定され、例えば1%に設定される。
【0061】
充放電電流取得部3519は、コンバータ制御部3132A、3132B、3132Cから入力される充放電電流情報を予め設定された処理周期で取得し、取得した充放電電流情報を時系列で充放電電流履歴記憶部3533に記憶させる。ここで、充放電電流取得部3519は、コンバータ制御部3132A、3132B、3132Cから入力される動作モード情報が放電モードを示す場合、充放電電流情報が示す電流値を負の値に変換して充放電電流履歴記憶部3533に記憶させる。一方、充放電電流取得部3519は、コンバータ制御部3132A、3132B、3132Cから入力される動作モード情報が充電モードを示す場合、充放電電流情報が示す電流値をそのまま充放電電流履歴記憶部3533に記憶させる。
【0062】
SOC算出部3518は、充放電電流履歴記憶部3533が記憶する充放電電流情報に基づいて、バッテリ41A、41B、41Cの蓄電残量を示すSOC値を算出し、算出したSOC値を判定部3514に通知する。具体的には、SOC算出部3518は、充放電電流情報が示す電流値を積分することにより電流積分値を算出し、算出した電流積分値をバッテリ41A,41B、41Cの満充電時における電気量で除することによりSOC値を算出する。
【0063】
判定部3514は、電圧取得部512から通知される電池電圧の電圧値に基づいて、バッテリモジュール3013A、3013B、3013Cそれぞれが有するバッテリ41A、41B、41Cの中に、電池電圧の電圧値が前述の第1電圧閾値を下回るものが存在するか否かを判定する。そして、判定部3514は、バッテリ41A、41B、41Cの電池電圧の電圧値の全てが第1電圧閾値以上である場合、SOC算出部3518から通知されるSOC値に基づいて、バッテリ41A、41B、41Cの中に、SOC値が前述のSOC閾値を下回るものが存在するか否かを判定する。また、判定部3514は、バッテリモジュール3013A、3013B、3013Cそれぞれが有するバッテリ41A、41B、41CのSOC値に基づいて、バッテリモジュール3013A、3013B、3013Cそれぞれが異常か正常かを監視する。ここで、判定部3514は、負荷31へ電力を供給しているバッテリモジュール3013A、3013B、3013Cのうちのバッテリ41A、41B、41Cの電池電圧の電圧値が第1電圧閾値を下回るものおよびSOC値がSOC閾値を下回るものを除くバッテリモジュール群に属するバッテリモジュール3013A、3013B、3013Cの中から、バッテリ41A、41B、41Cの電池電圧の電圧値が前述の第2電圧閾値を下回るものが存在するか否かを判定する。更に、判定部3514は、負荷電流記憶部532が記憶する負荷電流情報を取得し、負荷電流情報が示す電流値が、バッテリモジュール3013A、3013B、3013Cのうちのバッテリ41A、41B、41Cの電池電圧の電圧値が第1電圧閾値を下回るものおよびSOC値がSOC閾値を下回るものを除くバッテリモジュール3013A、3013B、3013Cの定格電流の合計電流値を上回るか否かを判定する。
【0064】
選択部515は、判定部3514によりバッテリ41A、41B、41Cの中に電池電圧の電圧値が第1電圧閾値を下回るもの、または、SOC値がSOC閾値を下回るものが存在すると判定されると、そのバッテリ41A、41B、41Cを有するバッテリモジュール3013A、3013B、3013Cを第1バッテリモジュールとして選択する。また、選択部515は、判定部3514によりバッテリモジュール3013A、3013B、3013Cのうちの前述の第1バッテリモジュールを除くバッテリモジュール3013A、3013B、3013Cの中から、バッテリ41A、41B、41Cの電池電圧の電圧値が第2電圧閾値を下回るものが存在すると判定されると、そのバッテリモジュール3013A、3013B、3013Cを第2バッテリモジュールとして選択する。ここで、例えばバッテリモジュール3013Aのバッテリ41Aの電池電圧の電圧値が第1電圧閾値を下回る場合、選択部515は、バッテリモジュール3013Aを第1バッテリモジュールとして選択する。或いは、例えばバッテリモジュール3013AのSOC値がSOC閾値を下回る場合も、選択部515は、バッテリモジュール3013Aを第1バッテリモジュールとして選択する。そして、残りの負荷31へ電力を供給しているバッテリモジュール3013B、3013Cのバッテリ41B、41Cうち、バッテリ41Bの電池電圧の電圧値が第2電圧閾値を下回る場合、選択部515は、バッテリモジュール3013Bを第2バッテリモジュールとして選択する。
【0065】
次に、本実施の形態に係るモジュール制御部3051が実行するバッテリシステム制御処理について図9を参照しながら説明する。このバッテリシステム制御処理は、実施の形態1と同様に、予め設定された処理周期で繰り返し実行される。まず、電圧取得部512は、バッテリモジュール3013A、3013B、3013のコンバータ制御部3132A、3132B、3132Cそれぞれから電池電圧情報を取得する(ステップS301)。このとき、電圧取得部512は、取得した電池電圧情報が示す電圧値を判定部3514に通知する。
【0066】
次に、判定部3514は、電池電圧の電圧値Vbが第1電圧閾値Vbth1を下回るものが存在するか否かを判定する(ステップS302)。ここで、判定部3514が、バッテリ41A、41B、41Cの中に、電池電圧の電圧値Vbが第1電圧閾値Vbth1を下回るものが存在すると判定したとする(ステップS302:Yes)。この場合、選択部515は、判定部3514により電池電圧の電圧値が第1電圧閾値を下回ると判定されたバッテリ(例えばバッテリ41A)を有するバッテリモジュール3013Aを選択する(ステップS306)。一方、判定部3514が、バッテリ41A、41B、41Cの電池電圧の電圧値Vb全てが第1電圧閾値Vbth1以上であると判定したとする(ステップS302:No)。この場合、充放電電流取得部3519は、コンバータ制御部3132A、3132B、3132Cから充放電電流情報を取得し、取得した充放電電流情報を充放電電流履歴記憶部3533に記憶させる(ステップS303)。次に、SOC算出部3518は、充放電電流履歴記憶部3533が記憶する充放電電流情報に基づいて、バッテリ41A、41B、41CのSOC値を算出する(ステップS304)。SOC算出部3518は、算出したSOC値を判定部3514に通知する。
【0067】
続いて、判定部3514は、SOC算出部3518から通知されるバッテリ41A、41B、41CそれぞれのSOC値に基づいて、バッテリ41A、41B、41Cの中に、SOC値SbがSOC閾値Sbth1を下回るものが存在するか否かを判定する(ステップS305)。ここで、判定部3514が、バッテリ41A、41B、41CのSOC値Sb全てがSOC閾値Sbth1以上であると判定すると(ステップS305:No)、そのままバッテリシステム制御処理が終了する。一方、判定部3514が、バッテリ41A、41B、41Cの中に、SOC値SbがSOC閾値Sbth1を下回るものが存在すると判定したとする(ステップS305:Yes)。この場合、選択部515は、判定部3514によりSOC値SbがSOC閾値Sbth1を下回ると判定されたバッテリ(例えばバッテリ41A)を有するバッテリモジュール3013Aを選択する(ステップS306)。このステップS301からステップS306までの一連の処理において、判定部3514がバッテリモジュール3013A、3013B、3013Cの中に、前述の第1停止条件を満たすものがあるか存在するかどうかを判定し、選択部515が、前述の第1停止条件を満たすバッテリモジュールを選択する。なお、ステップS306の終了時点では、バッテリモジュール3013Aは停止しない。このように、ステップS301からステップS306までの一連の処理では、停止させるバッテリモジュール(例えばバッテリモジュール3013A)を選択する。また、ステップS301からステップS306までの一連の処理において、前述のステップS302の処理が実行されずに、ステップS303からS305までの処理のみが実行されてもよい。
【0068】
その後、判定部3514は、SOC算出部3518から通知されるバッテリ41A、41B、41CそれぞれのSOC値に基づいて、負荷31へ電力を供給しているバッテリモジュール3013A、3013B、3013Cのうちのバッテリ41A、41B、41Cの電池電圧の電圧値Vbが第1電圧閾値Vbth1以上であり且つSOC値がSOC閾値Sbth1以上のバッテリ41B、41Cの中に、バッテリ41A、41B、41Cの電池電圧の電圧値Vbが第2電圧閾値Vbth2を下回るものが存在するか否かを判定する(ステップS307)。判定部3514が、バッテリ41B、41Cの電池電圧の電圧値Vbが全て第2電圧閾値Vbth2以上であると判定すると(ステップS307:No)、後述するステップS309の処理が実行される。一方、判定部3514が、バッテリ41B、41Cの中に電池電圧の電圧値Vbが全て第2電圧閾値Vbth2を下回るものが存在すると判定したとする(ステップS307:Yes)。この場合、選択部515は、判定部3514により電池電圧の電圧値Vbが第2電圧閾値Vbth2を下回ると判定されたバッテリ(例えばバッテリ41B)を有するバッテリモジュール3013Bを後述するステップS310におけるバッテリモジュールの定格電流値の合計電流値Wbtの計算対象から除外する(ステップS308)。
【0069】
その後、判定部3514は、負荷電流記憶部532が記憶する負荷電流情報を取得する(ステップS309)。次に、モジュール定格電流演算部513は、ステップS306で選択部515が選択し、ステップS308で合計電流値Wbtの計算対象から除外したバッテリモジュール3013Aを除く負荷31へ電力を供給している全てのバッテリモジュール(この場合は、バッテリモジュール3013B、3013C)の定格電流の合計電流値Wbtを算出する(ステップS310)。続いて、判定部3514は、取得した負荷電流情報が示す電流値WLが、モジュール定格電流演算部513が算出した定格電流の合計電流値Wbtを上回るか否かを判定する(ステップS311)。ここで、判定部3514が、負荷電流情報が示す電流値WLがバッテリモジュール3013B、3013Cの定格電流の合計電流値Wbt以下と判定したとする(ステップS311:No)。この場合、指令部516は、前述のステップS306において選択されたバッテリモジュール3013Aに対し、一括して停止指令情報を送信し(ステップS313)、バッテリシステム制御処理が終了する。
【0070】
一方、判定部514が、負荷電流情報が示す電流値WLがバッテリモジュール3013B、3013Cの定格電流の合計電流値Wbtを上回ると判定したとする(ステップS311:Yes)。この場合、選択部515は、ステップS306で選択部515が選択したバッテリモジュール3013Aを除き、負荷31へ電力を供給している全てのバッテリモジュール(この場合は、バッテリモジュール3013Bとバッテリモジュール3013C)を選択する(ステップS312)。このステップS307からステップS312までの一連の処理で選択されたバッテリモジュール(この場合は、バッテリモジュール3013Bとバッテリモジュール3013C)は、この時点では停止しない。
【0071】
その後、指令部516は、前述のステップS306とステップS312とにおいて選択された全てのバッテリモジュールに対し、一括して停止指令情報を送信し(ステップS313)、バッテリシステム制御処理が終了する。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態に係るバッテリシステム3101によれば、バッテリ41A、41B、41Cの中から、SOC値がSOC閾値を下回るバッテリ(例えばバッテリ41A)を有するバッテリモジュール3013Aの双方向DC-DCコンバータ131Aを停止させる。これにより、バッテリ41A、41B、41の過放電が防止できるので、過放電に起因したバッテリ41A、41B、41Cの損傷が抑制される。また、モジュール制御部3051は、負荷31へ供給することが要求される電流の電流値が、バッテリモジュール3013A、3013B、3013Cのうち、バッテリ41A、41B、41Cの電池電圧の電圧値が第1電圧閾値を下回るまたはSOC値がSOC閾値を下回るバッテリモジュール3013Aと、電池電圧が第2電圧閾値を下回るバッテリモジュール2013Bを除く他の全てのバッテリモジュール3013Cのそれぞれの定格電流の合計電流値を上回る場合、バッテリモジュール3013A、3013B、3013Cから負荷31への電力供給を停止させる。これにより、電池電圧の電圧値が第1電圧閾値を下回る可能性の高いバッテリ41Bを有するバッテリモジュール3013Bを事前に停止させることができるので、バッテリ41Bの過放電によるバッテリ41Bの損傷を抑制することができる。
【0073】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は前述の各実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、図10に示すバッテリシステム4101のように、4つのバッテリモジュール3013A、3013B、3013C、3013Dを備えるものであってもよい。なお、図10において実施の形態3と同様の構成については図7と同一の符号を付している。バッテリモジュール3013Dは、バッテリ41Dと、双方向DC-DCコンバータ131Dと、双方向DC-DCコンバータ131Dの動作を制御するコンバータ制御部3132Dと、電流検出部232、3242と、電圧検出部231、241と、を有する。バッテリ41Dは、バッテリ41A、41B、41Cと同様である。また、コンバータ制御部3132Dは、コンバータ制御部3132A、3132B、3132Cと同様の機能を有する。
【0074】
モジュール制御部4051は、実施の形態3で説明したモジュール制御部3051と同様の機能を有し、実施の形態3で説明したバッテリシステム制御処理を実行する。例えば4つのバッテリ41A、41B、41C、41DのSOC値がそれぞれ1%、2%、2%、50%であるとする。そして、SOC閾値が1.5%であり、バッテリ41B、41Cの電池電圧が第2電圧閾値を下回っているとする。この場合、モジュール制御部4051は、バッテリ41Aを有するバッテリモジュール3013Aへ停止指令情報を出力することにより、バッテリモジュール3013Aを停止させる。また、4つのバッテリ41A、41B、41C、41DのSOC値がそれぞれ1%、2%、50%、50%であるとする。そして、SOC閾値が3%であり、バッテリ41Cの電池電圧が第2電圧閾値を下回っているとする。この場合、モジュール制御部4051は、バッテリ41A、41Bを有するバッテリモジュール3013A、3013Bへ停止指令情報を出力することによりバッテリモジュール3013A、3013Bを停止させる。
【0075】
各実施の形態では、モジュール制御部51、2051、3051が、各種停止条件に応じて、停止指令情報をコンバータ制御部132A、132B、132C、2132A、2132B、2132C、3132A、3132B、3132Cへ出力することにより、双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cを停止させる例について説明した。但し、これに限らず、例えば図11に示すバッテリシステム5101のように、モジュール制御部51が、各種停止条件に応じて、バッテリモジュール5013A、5013B、5013Cそれぞれに設けられたスイッチSWA、SWB、SWCを開閉させるものであってもよい。ここで、スイッチSWA、SWB、SWCは、半導体リレー、機械式リレー等であり、バッテリ41A、41B、41Cと双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cとの間に介挿されている。また、バッテリモジュール5013A、5013B、5013Cは、モジュール制御部51から入力される指令情報に応じてスイッチSWA、SWB、SWCを駆動するスイッチ駆動部5261を有する。スイッチ駆動部5261は、モジュール制御部51から停止指令情報が入力されると、スイッチSWA、SWB、SWCを開状態にする。
【0076】
本構成によれば、バッテリ41A、41B、41Cから負荷31への電力供給を迅速に遮断することができるので、その分、バッテリモジュール5013A、5013B、5013Cに加わるストレスを低減することができる。
【0077】
各実施の形態では、バッテリモジュール13A、13B、13C、2013A、2013B、2013C、3013A、3013B、3013Cが、それぞれ、双方向DC-DCコンバータ131A、131B、131Cを有する例について説明した。但し、これに限らず、例えば図12に示すバッテリシステム6101のように、双方向DC-DCコンバータが無いバッテリモジュール6013A、6013B、6013Cを備えるものであってもよい。なお、図12において、実施の形態1、3と同様の構成については図1および図7と同一の符号を付している。バッテリモジュール6013A、6013B、6013Cは、それぞれ、バッテリ41A、41B、41Cと、スイッチSWA、SWB、SWCと、電圧検出部6231と、電流検出部6232と、スイッチ駆動部5261と、を有する。
【0078】
ここで、電流検出部6232は、例えばスイッチSWA、SWB、SWCと負荷31との間に直列に接続された抵抗(図示せず)の両端間に生じる電圧を検出することによりバッテリ41A、41B、41Cの出力電流を検出する。そして、電流検出部6232は、検出した出力電流の電流値を示す出力電流情報を生成し、生成した出力電流情報をモジュール制御部3051へ出力する。電圧検出部6231は、例えばバッテリモジュール6013A、6013B、6013Cの出力端に生じる電圧を一定の分圧比で分圧した電圧を検出する。そして、電圧検出部6231は、検出した電圧を示す電池電圧情報を生成し、生成した電池電圧情報をモジュール制御部3051へ出力する。
【0079】
モジュール制御部3051は、電圧検出部6231から入力される電池電圧情報に基づいて、バッテリモジュール6013A、6013B、6013Cの中から、電池電圧が前述の第1電圧閾値を下回るバッテリが存在するか否かを判定する。ここで、モジュール制御部3051は、電池電圧が前述の第1電圧閾値を下回るバッテリが存在しないと判定すると、電流検出部6232から入力される出力電流情報に基づいて、バッテリ41A、41B、41Cそれぞれの蓄電残量を示すSOC値を算出する。そして、モジュール制御部3051は、SOC値が前述のSOC閾値を下回るバッテリ(例えばバッテリ41A)を有するバッテリモジュール6013Aを選択する。そして、モジュール制御部3051は、負荷31への供給が要求される負荷電流の電流値が、バッテリモジュール6013A、6013B、6013Cのうちバッテリモジュール6013Aを除く他の全てのバッテリモジュール6013B、6013Cの定格電流の合計電流値を上回ると判定すると、バッテリモジュール6013A、6013B、6013Cから負荷31への電力供給を停止させるようにスイッチ駆動部5261を制御する。
【0080】
本構成によれば、バッテリ41A、41B、41Cから負荷31への電力供給を迅速に遮断することができるので、その分、バッテリモジュール6013A、6013B、6013Cに加わるストレスを低減することができる。
【0081】
実施の形態1において、モジュール制御部51が、バッテリ41A、41B、41Cの電池電圧からSOC値を特定するSOC特定部と、バッテリ41A、41B、41Cの電池電圧とSOC値との相関関係を示す相関情報を記憶する相関記憶部と、を有するものであってもよい。ここにおいて、SOC特定部は、相関記憶部が記憶する相関情報を参照して、バッテリ41A、41B、41Cの電池電圧に対応するSOC値を特定する。この場合、判定部は、SOC特定部により特定されたバッテリ41A、41B、41CのSOC値に基づいて、バッテリ41A、41B、41Cの中に、SOC値が実施の形態3で説明したSOC閾値を下回るものが存在するか否かを判定するようにすればよい。そして、選択部が、SOC閾値を下回るバッテリ41A、41B、41Cを有するバッテリモジュールを選択するようにすればよい。
【0082】
実施の形態2では、判定部2514が、電池電圧の電圧値Vbが第1電圧閾値Vbth1を下回るものが存在するか否かを判定する例について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば判定部2514が、電池電圧の電圧値Vbと第1電圧閾値Vbth1との比較を実行しないものであってもよい。具体的には、実施の形態2で図6を用いて説明したバッテリシステム制御処理において、ステップS201、S202、S206、S207の処理が省略され、ステップS203の処理から始まり、ステップS205の処理が実行された後、ステップS208以降の処理が実行されるものであってもよい。この場合、選択部515は、ステップS205において、判定部2514により温度Thmが温度閾値Thmth1を上回ると判定されたバッテリを有するバッテリモジュールのみを選択するようにすればよい。
【0083】
また、実施の形態3においても、例えば判定部3514が、電池電圧の電圧値Vbと第1電圧閾値Vbth1との比較を実行しないものであってもよい。具体的には、実施の形態3で図9を用いて説明したバッテリシステム制御処理において、ステップS301、S302、S307、S308の処理が省略され、ステップS303の処理から始まり、ステップS306の処理が実行された後、ステップS309以降の処理が実行されるものであってもよい。この場合、選択部515は、判定部3514によりSOC値SbがSOC閾値Sbth1を下回ると判定されたバッテリを有するバッテリモジュールのみを選択するようにすればよい。
【0084】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【0085】
本出願は、2020年5月22日に出願された日本国特許出願特願2020-089606号に基づく。本明細書中に日本国特許出願特願2020-089606号の明細書、特許請求の範囲および図面全体を参照として取り込むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、サーバ用途の電源モジュールとともに使用されるバッテリシステムとして好適である。
【符号の説明】
【0087】
11:系統電源、12A,12B:電源モジュール、13A,13B,13C, 2013A,2013B,2013C, 3013A,3013B,3013C,3013D,5013A,5013B,5013C,6013A,6013B,6013C:バッテリモジュール、31:負荷、41A、41B,41C,41D:バッテリ、51,2051,3051,4051,5051:モジュール制御部、101,2101,3101,4101,5101,6101:バッテリシステム、121A,121B:AC-DCコンバータ、122A,122B,132A,132B,132C,3132A,3132B,3132C,3132D:コンバータ制御部、131A,131B,131C:双方向DC-DCコンバータ、211A,211B,231,241,6231:電圧検出部、212A,212B,232,3242,6232:電流検出部、511:負荷電流取得部、512:電圧取得部、513:モジュール定格電流演算部、514:判定部、515:選択部、516:指令部、531:閾値記憶部、532:負荷電流記憶部、539:定格電流記憶部、2251:温度検出部、2517:温度取得部、3518:SOC算出部、3519:充放電情報取得部、3533:充放電電流履歴記憶部、5261:スイッチ駆動部、L1:共通電力線、SWA,SWB,SWC:スイッチ、Sbth1:SOC閾値、Thmth1:温度閾値、Vbth1:第1電圧閾値、Vbth2:第2電圧閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12