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  • 特許-タービンおよび過給機 図1
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  • 特許-タービンおよび過給機 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】タービンおよび過給機
(51)【国際特許分類】
   F02B 39/00 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
F02B39/00 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022534969
(86)(22)【出願日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 JP2021022151
(87)【国際公開番号】W WO2022009600
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2020118279
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 渉
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-132996(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0219790(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部に収容されるタービン翼車と、
前記タービン翼車に対して径方向外側に巻き回され、前記収容部の外周部における互いに異なる周方向の位置にそれぞれ接続される2つのタービンスクロール流路と、
前記2つのタービンスクロール流路の各々と前記収容部とをそれぞれ連通し、周方向に沿って形成され、軸方向の高さが周方向に一定ではない高さ分布を少なくとも一方が有し、前記高さ分布では、上流側の端部および下流側の端部のうち少なくとも一方の端部において軸方向の高さが周囲よりも低くなっている2つのスクロール出口と、
を備える、
タービン。
【請求項2】
前記高さ分布では、少なくとも下流側の端部において軸方向の高さが周囲よりも低くなっている、
請求項1に記載のタービン。
【請求項3】
前記高さ分布では、上流側の端部および下流側の端部の双方において軸方向の高さが周囲よりも低くなっている、
請求項2に記載のタービン。
【請求項4】
前記高さ分布では、下流側の端部における軸方向の高さが、上流側の端部における軸方向の高さと比べて低くなっている、
請求項3に記載のタービン。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のタービンを備える過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タービンおよび過給機に関する。本出願は2020年7月9日に提出された日本特許出願第2020-118279号に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容は本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
過給機等に設けられるタービンとして、タービン翼車に対して径方向外側に巻き回され、タービン翼車が収容される収容部の外周部における互いに異なる周方向の位置にそれぞれ接続される2つのタービンスクロール流路を備えるダブルスクロール式のタービンがある(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-132996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダブルスクロール式のタービンでは、タービン翼車が収容される収容部を介して、2つのタービンスクロール流路が連通している。ゆえに、一方のタービンスクロール流路から収容部を通過して他方のタービンスクロール流路へ排気ガスが漏れる流れが生じる。2つのタービンスクロール流路間での排気ガスの漏れ流れは、タービンの性能および過給機と接続されるエンジンの性能を低下させる要因となる。
【0005】
本開示の目的は、2つのタービンスクロール流路間での排気ガスの漏れ流れを抑制することが可能なタービンおよび過給機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のタービンは、収容部に収容されるタービン翼車と、タービン翼車に対して径方向外側に巻き回され、収容部の外周部における互いに異なる周方向の位置にそれぞれ接続される2つのタービンスクロール流路と、2つのタービンスクロール流路の各々と収容部とをそれぞれ連通し、周方向に沿って形成され、軸方向の高さが周方向に一定ではない高さ分布を少なくとも一方が有し、高さ分布では、上流側の端部および下流側の端部のうち少なくとも一方の端部において軸方向の高さが周囲よりも低くなっている2つのスクロール出口と、を備える。
【0007】
高さ分布では、少なくとも下流側の端部において軸方向の高さが周囲よりも低くなっていてもよい。
【0008】
高さ分布では、上流側の端部および下流側の端部の双方において軸方向の高さが周囲よりも低くなっていてもよい。
【0009】
高さ分布では、下流側の端部における軸方向の高さが、上流側の端部における軸方向の高さと比べて低くなっていてもよい。
【0010】
上記課題を解決するために、本開示の過給機は、上記のタービンを備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、2つのタービンスクロール流路間での排気ガスの漏れ流れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の実施形態の過給機を示す概略断面図である。
図2図2は、図1のA-A断面図である。
図3図3は、本実施形態のスクロール出口の高さ分布の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の一実施形態について説明する。実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1は、本開示の実施形態の過給機TCを示す概略断面図である。以下では、図1に示す矢印L方向を過給機TCの左側として説明する。図1に示す矢印R方向を過給機TCの右側として説明する。図1に示されるように、過給機TCは、過給機本体1を備える。過給機本体1は、ベアリングハウジング3と、タービンハウジング5と、コンプレッサハウジング7とを備える。タービンハウジング5は、ベアリングハウジング3の左側に締結ボルト9によって連結される。コンプレッサハウジング7は、ベアリングハウジング3の右側に締結ボルト11によって連結される。過給機TCは、タービンTおよび遠心圧縮機Cを備える。タービンTは、ベアリングハウジング3およびタービンハウジング5を含む。タービンTは、所謂ダブルスクロール式のタービンである。遠心圧縮機Cは、ベアリングハウジング3およびコンプレッサハウジング7を含む。
【0015】
ベアリングハウジング3には、軸受孔3aが形成される。軸受孔3aは、過給機TCの左右方向に貫通する。軸受孔3aには、セミフローティング軸受13が配される。セミフローティング軸受13は、シャフト15を回転自在に軸支する。シャフト15の左端部には、タービン翼車17が設けられる。タービン翼車17は、タービンハウジング5に回転自在に収容されている。シャフト15の右端部には、コンプレッサインペラ19が設けられる。コンプレッサインペラ19は、コンプレッサハウジング7に回転自在に収容されている。シャフト15の軸方向が、過給機TCの軸方向(つまり、左右方向)である。以下、過給機TCの軸方向、径方向および周方向を、それぞれ単に軸方向、径方向および周方向と呼ぶ。
【0016】
コンプレッサハウジング7には、吸気口21が形成される。吸気口21は、過給機TCの右側に開口する。吸気口21は、不図示のエアクリーナに接続される。ベアリングハウジング3とコンプレッサハウジング7の対向面によって、ディフューザ流路23が形成される。ディフューザ流路23は、空気を昇圧する。ディフューザ流路23は、環状に形成される。ディフューザ流路23は、径方向内側において、コンプレッサインペラ19を介して吸気口21に連通している。
【0017】
また、コンプレッサハウジング7には、コンプレッサスクロール流路25が形成される。コンプレッサスクロール流路25は、環状に形成される。コンプレッサスクロール流路25は、例えば、ディフューザ流路23よりも径方向外側に位置する。コンプレッサスクロール流路25は、不図示のエンジンの吸気口と、ディフューザ流路23とに連通している。コンプレッサインペラ19が回転すると、吸気口21からコンプレッサハウジング7内に空気が吸気される。吸気された空気は、コンプレッサインペラ19の翼間を流通する過程において加圧加速される。加圧加速された空気は、ディフューザ流路23およびコンプレッサスクロール流路25で昇圧される。昇圧された空気は、エンジンの吸気口に導かれる。
【0018】
タービンハウジング5には、排出流路27と、収容部29と、排気流路31とが形成される。排出流路27は、過給機TCの左側に開口する。排出流路27は、不図示の排気ガス浄化装置に接続される。排出流路27は、収容部29と連通する。排出流路27は、収容部29に対して、軸方向に連続する。収容部29は、タービン翼車17を収容する。収容部29の径方向外側には、排気流路31が形成される。排気流路31は、不図示のエンジンの排気マニホールドと連通する。不図示のエンジンの排気マニホールドから排出された排気ガスは、排気流路31、および、収容部29を介して排出流路27に導かれる。排出流路27に導かれる排気ガスは、流通過程においてタービン翼車17を回転させる。
【0019】
タービン翼車17の回転力は、シャフト15を介してコンプレッサインペラ19に伝達される。コンプレッサインペラ19が回転すると、上記のとおりに空気が昇圧される。こうして、空気がエンジンの吸気口に導かれる。
【0020】
図2は、図1のA-A断面図である。図2では、タービン翼車17について、外周のみを円で示す。図2に示すように、排気流路31は、排気導入口33と、排気導入路35と、タービンスクロール流路37と、スクロール出口39とを備える。
【0021】
排気導入口33は、タービンハウジング5の外部に開口する。排気導入口33には、不図示のエンジンの排気マニホールドから排出される排気ガスが導入される。
【0022】
排気導入路35は、排気導入口33とタービンスクロール流路37とを接続する。排気導入路35は、例えば、直線状に形成される。排気導入路35は、排気導入口33から導入された排気ガスをタービンスクロール流路37に導く。
【0023】
タービンスクロール流路37は、スクロール出口39を介して収容部29と連通される。タービンスクロール流路37は、排気導入路35から導入された排気ガスを、スクロール出口39を介して収容部29に導く。
【0024】
タービンハウジング5には、仕切板(仕切壁)41が形成される。仕切板41は、排気流路31内(具体的には、排気導入口33、排気導入路35、および、タービンスクロール流路37内)に配される。仕切板41は、排気流路31をタービン翼車17の周方向に仕切る。仕切板41は、排気導入口33、排気導入路35、および、タービンスクロール流路37の内面に対して、軸方向に接続される。仕切板41は、排気流路31に沿って延在する。つまり、仕切板41は、排気ガスの流れ方向に沿って延在する。以下、排気ガスの流れ方向の上流側を単に上流側と呼び、排気ガスの流れ方向の下流側を単に下流側と呼ぶ。
【0025】
排気導入口33は、仕切板41により排気導入口33aと排気導入口33bとに分割される。本実施形態では、排気導入口33aは、排気導入口33bよりも径方向内側に位置する。
【0026】
排気導入路35は、仕切板41により排気導入路35aと、排気導入路35bとに分割される。本実施形態では、排気導入路35aは、排気導入路35bよりも径方向内側に位置する。排気導入路35aは、排気導入口33aと連通する。排気導入路35bは、排気導入口33bと連通する。
【0027】
タービンスクロール流路37は、仕切板41によりタービンスクロール流路37aと、タービンスクロール流路37bとに分割される。本実施形態では、タービンスクロール流路37aは、タービンスクロール流路37bよりも径方向内側に位置する。タービンスクロール流路37aは、排気導入路35aと連通する。タービンスクロール流路37bは、排気導入路35bと連通する。2つのタービンスクロール流路37a,37bは、タービン翼車17に対して径方向外側に巻き回される。2つのタービンスクロール流路37a,37bは、タービン翼車17の回転方向RDに進むにつれてタービン翼車17に近づくように、巻き回される。各タービンスクロール流路37の径方向の幅は、上流側から下流側に向かうにつれて小さくなる。
【0028】
2つのタービンスクロール流路37a,37bは、収容部29の外周部における互いに異なる周方向の位置にそれぞれ接続される。タービンスクロール流路37aは、スクロール出口39aを介して収容部29と連通される。タービンスクロール流路37bは、スクロール出口39bを介して収容部29と連通される。このように、2つのスクロール出口39a,39bは、2つのタービンスクロール流路37a,37bの各々と収容部29とをそれぞれ連通する。
【0029】
2つのスクロール出口39a,39bは、周方向に沿って形成される。具体的には、スクロール出口39aは、収容部29の一側の半周(具体的には、図2中の左側の半周)に亘って収容部29と連通される。スクロール出口39bは、収容部29の他側の半周(具体的には、図2中の右側の半周)に亘って収容部29と連通される。2つのスクロール出口39a,39bは、タービン翼車17を挟んで径方向に対向している。
【0030】
タービンハウジング5には、第1舌部43aと、第2舌部43bとが形成される。なお、以下では、第1舌部43aおよび第2舌部43bを特に区別しない場合、単に舌部43とも呼ぶ。各舌部43は、タービンスクロール流路37aとタービンスクロール流路37bとを区画する。また、各舌部43は、スクロール出口39aとスクロール出口39bとを区画する。
【0031】
第1舌部43aは、仕切板41の下流側の端部に形成される。第1舌部43aは、スクロール出口39aの下流側の端部E2aとスクロール出口39bの上流側の端部E1bとを区画する。第1舌部43aに対して回転方向RD側にスクロール出口39bの上流側の端部E1bが位置する。第1舌部43aに対して回転方向RDと逆側にスクロール出口39aの下流側の端部E2aが位置する。
【0032】
第2舌部43bは、タービンスクロール流路37bの下流側の端部に面する位置に設けられる。第2舌部43bは、スクロール出口39bの下流側の端部E2bとスクロール出口39aの上流側の端部E1aとを区画する。第2舌部43bに対して回転方向RD側にスクロール出口39aの上流側の端部E1aが位置する。第2舌部43bに対して回転方向RDと逆側にスクロール出口39bの下流側の端部E2bが位置する。
【0033】
第1舌部43aの周方向位置は、第2舌部43bの周方向位置に対して、180°ずれている。つまり、第1舌部43aおよび第2舌部43bは、タービン翼車17を挟んで径方向に対向している。ただし、第1舌部43aの周方向位置は、第2舌部43bの周方向位置に対して、180°と異なる角度でずれていてもよい。
【0034】
ここで、不図示のエンジンの排気マニホールドは、2以上の複数の分割路を備える。複数の分割路のうちの一部の分割路は、排気導入口33aに接続される。複数の分割路のうちの他の分割路は、排気導入口33bに接続される。不図示のエンジンから排出される排気ガスは、分割路を流通し、排気導入口33aまたは排気導入口33bに導入される。一方の排気導入口33に排気ガスが導入されるタイミングでは、基本的に、他方の排気導入口33には排気ガスが導入されない。排気導入口33aへの排気ガスの導入と、排気導入口33bへの排気ガスの導入とが、交互に繰り返される。
【0035】
排気導入口33aへ導入された排気ガスは、排気導入路35aおよびタービンスクロール流路37aを通って、スクロール出口39aから収容部29に流れる。排気導入口33bへ導入された排気ガスは、排気導入路35bおよびタービンスクロール流路37bを通って、スクロール出口39bから収容部29に流れる。一方のタービンスクロール流路37に排気ガスが流れるタイミングでは、基本的に、他方のタービンスクロール流路37には排気ガスが流れない。ゆえに、タービンスクロール流路37aとタービンスクロール流路37bとの間で圧力差が生じ、2つのタービンスクロール流路37間での排気ガスの漏れ流れが生じる。上記の漏れ流れでは、排気ガスが、一方のタービンスクロール流路37から他方のタービンスクロール流路37へ、舌部43の近傍を通って漏れ流れる。
【0036】
本実施形態のタービンTでは、スクロール出口39の軸方向の高さH(図1を参照)の周方向における分布を工夫することによって、2つのタービンスクロール流路37間での排気ガスの漏れ流れが抑制される。以下、スクロール出口39の軸方向の高さHを出口高さHとも呼ぶ。
【0037】
上述したように、スクロール出口39は、周方向に沿って形成されている。ここで、スクロール出口39の周方向位置は、スクロール出口39の上流側の端部に対するずれ角θを用いて表される。図2に示されるように、スクロール出口39aの上流側の端部E1aでθ=0°とすると、スクロール出口39aの下流側の端部E2aではθ=180°となる。スクロール出口39bの上流側の端部E1bでθ=0°とすると、スクロール出口39bの下流側の端部E2bではθ=180°となる。
【0038】
図3は、スクロール出口39の高さ分布の例を示す図である。図3では、スクロール出口39の高さ分布の例として、高さ分布HD1,HD2,HD3,HD4の4つの分布が示されている。
【0039】
スクロール出口39aとスクロール出口39bとの間で、高さ分布は共通していてもよい。ただし、これに限定されず、スクロール出口39aとスクロール出口39bとの間で、高さ分布は異なっていてもよい。例えば、各スクロール出口39が高さ分布HD1,HD2,HD3,HD4のうちのいずれか1つの高さ分布をとる場合、スクロール出口39aおよびスクロール出口39bの高さ分布の組み合わせとして、16通りの組み合わせが存在する。なお、高さ分布HD1,HD2,HD3,HD4は、あくまでも、スクロール出口39の高さ分布の例に過ぎない。各スクロール出口39は、高さ分布HD1,HD2,HD3,HD4以外の高さ分布をとってもよい。
【0040】
高さ分布HD1では、出口高さHは、θ=180°の周方向位置(つまり、下流側の端部E2a,E2b)で最大値Hmaxとなる。出口高さHは、θが180°から0°に向かうにつれて低くなる。出口高さHは、θ=0°の周方向位置(つまり、上流側の端部E1a,E1b)で最小の高さH1となる。つまり、高さ分布HD1では、上流側の端部E1a,E1bにおいて出口高さHが周囲よりも低くなっている。
【0041】
高さ分布HD2では、出口高さHは、θ=0°の周方向位置(つまり、上流側の端部E1a,E1b)で最大値Hmaxとなる。出口高さHは、θが0°から180°に向かうにつれて低くなる。出口高さHは、θ=180°の周方向位置(つまり、下流側の端部E2a,E2b)で最小の高さH1となる。つまり、高さ分布HD2では、下流側の端部E2a,E2bにおいて出口高さHが周囲よりも低くなっている。
【0042】
高さ分布HD3では、出口高さHは、θが0°と180°の間の角度となる周方向位置(つまり、周方向の中央側)で最大値Hmaxとなる。出口高さHは、周方向の中央側からθ=0°の周方向位置(つまり、上流側の端部E1a,E1b)に向かうにつれて低くなる。出口高さHは、周方向の中央側からθ=180°の周方向位置(つまり、下流側の端部E2a,E2b)に向かうにつれて低くなる。出口高さHは、θ=0°の周方向位置(つまり、上流側の端部E1a,E1b)およびθ=180°の周方向位置(つまり、下流側の端部E2a,E2b)の双方で最小の高さH1となる。つまり、高さ分布HD3では、上流側の端部E1a,E1bおよび下流側の端部E2a,E2bの双方において出口高さHが周囲よりも低くなっている。
【0043】
高さ分布HD4では、高さ分布HD3と同様に、θ=0°の周方向位置(つまり、上流側の端部E1a,E1b)およびθ=180°の周方向位置(つまり、下流側の端部E2a,E2b)の双方において出口高さHが周囲よりも低くなっている。ここで、θ=0°の周方向位置(つまり、上流側の端部E1a,E1b)における出口高さHは、高さH1となっている。θ=180°の周方向位置(つまり、下流側の端部E2a,E2b)における出口高さHは、高さH1よりも低い高さH2となっている。つまり、高さ分布HD4では、下流側の端部E2a,E2bにおける出口高さHが、上流側の端部E1a,E1bにおける出口高さHと比べて低くなっている。
【0044】
本実施形態のタービンTでは、スクロール出口39は、高さ分布HD1,HD2,HD3,HD4のように、上流側の端部E1a,E1bおよび下流側の端部E2a,E2bのうち少なくとも一方の端部において軸方向の高さH(つまり、出口高さH)が周囲よりも低くなっている高さ分布を有する。出口高さHが低い位置では、出口高さHが高い位置よりも、より高い流速で収容部29に向けて排気ガスが流出する。その結果、上流側の端部E1a,E1bおよび下流側の端部E2a,E2bのうち少なくとも一方の端部から収容部29に流れる排気ガスの流速の径方向内側の成分を大きくすることができる。
【0045】
さらに、排気ガスが流れている側のタービンスクロール流路37において、上流側の端部E1a,E1bおよび下流側の端部E2a,E2bのうち少なくとも一方の端部の排気ガスの流速を高められることから、舌部43の近傍の圧力を低下させることができる。その結果、タービンスクロール流路37aとタービンスクロール流路37bとの間において、舌部43の近傍における圧力差を低下させることができる。
【0046】
ゆえに、上流側の端部E1a,E1bおよび下流側の端部E2a,E2bのうち少なくとも一方の端部において出口高さHを周囲よりも低くすることによって、一方のタービンスクロール流路37から他方のタービンスクロール流路37へ、舌部43の近傍を通って排気ガスが漏れ流れることを抑制することができる。よって、2つのタービンスクロール流路37間での排気ガスの漏れ流れを抑制することができる。したがって、タービンTの性能および過給機TCと接続されるエンジンの性能の低下を抑制することができる。
【0047】
なお、本実施形態のタービンTでは、スクロール出口39aおよびスクロール出口39bの少なくとも一方が上記の高さ分布(つまり、上流側の端部E1a,E1bおよび下流側の端部E2a,E2bのうち少なくとも一方の端部において軸方向の高さHが周囲よりも低くなっている高さ分布)を有していればよい。つまり、スクロール出口39aおよびスクロール出口39bの一方のみが上記の高さ分布を有していてもよい。例えば、スクロール出口39aおよびスクロール出口39bの一方において、周方向位置によらずに出口高さHが一定であってもよい。スクロール出口39aおよびスクロール出口39bの双方が上記の高さ分布を有していてもよい。
【0048】
高さ分布HD2,HD3,HD4のように、スクロール出口39の高さ分布では、少なくとも下流側の端部E2a,E2bにおいて軸方向の高さH(つまり、出口高さH)が周囲よりも低くなっていることが好ましい。ここで、タービンスクロール流路37において、上流側の端部E1a(E1b)の近傍では、排気ガスの流れ方向が、上流側の端部E1a(E1b)から下流側の端部E2b(E2a)に向かう方向(つまり、漏れ流れの方向)と逆向きになる。一方、タービンスクロール流路37において、下流側の端部E2a(E2b)の近傍では、排気ガスの流れ方向が、下流側の端部E2a(E2b)から上流側の端部E1b(E1a)に向かう方向(つまり、漏れ流れの方向)と一致する。ゆえに、下流側の端部E2a,E2bから収容部29に流れる排気ガスでは、上流側の端部E1a,E1bから収容部29に流れる排気ガスと比較して、漏れ流れが生じやすい。
【0049】
そこで、少なくとも下流側の端部E2a,E2bにおいて出口高さHを周囲よりも低くすることによって、下流側の端部E2a,E2bから収容部29に流れる排気ガスによって生じる漏れ流れ(つまり、上流側の端部E1a,E1bと比較して生じやすい漏れ流れ)を抑制することができる。したがって、上流側の端部E1a,E1bと比較して生じやすい下流側の端部E2a,E2bでの漏れ流れを抑制することができるので、2つのタービンスクロール流路37間での排気ガスの漏れ流れを効果的に抑制することができる。
【0050】
高さ分布HD3,HD4のように、スクロール出口39の高さ分布では、上流側の端部E1a,E1bおよび下流側の端部E2a,E2bの双方において軸方向の高さH(つまり、出口高さH)が周囲よりも低くなっていることが好ましい。それにより、下流側の端部E2a,E2bから収容部29に流れる排気ガスによって生じる漏れ流れに加えて、上流側の端部E1a,E1bから収容部29に流れる排気ガスによって生じる漏れ流れを抑制することができる。したがって、2つのタービンスクロール流路37間での排気ガスの漏れ流れをより効果的に抑制することができる。
【0051】
高さ分布HD4のように、上流側の端部E1a,E1bおよび下流側の端部E2a,E2bの双方において軸方向の高さH(つまり、出口高さH)が周囲よりも低くなっている高さ分布では、下流側の端部E2a,E2bにおける軸方向の高さH(つまり、出口高さH)が、上流側の端部E1a,E1bにおける軸方向の高さH(つまり、出口高さH)と比べて低くなっていることが好ましい。上述したように、下流側の端部E2a,E2bから収容部29に流れる排気ガスでは、上流側の端部E1a,E1bから収容部29に流れる排気ガスと比較して、漏れ流れが生じやすい。ゆえに、下流側の端部E2a,E2bにおける出口高さHを上流側の端部E1a,E1bにおける出口高さHと比べて低くすることによって、下流側の端部E2a,E2bから収容部29に流れる排気ガスによって生じる漏れ流れを特に効果的に抑制することができる。したがって、2つのタービンスクロール流路37間での排気ガスの漏れ流れをさらに効果的に抑制することができる。
【0052】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0053】
上記では、タービンTが過給機TCに搭載される例を説明したが、タービンTは、過給機TC以外の装置(例えば、発電機等)に搭載されてもよい。
【0054】
上記では、排気導入口33a、排気導入路35aおよびタービンスクロール流路37aと、排気導入口33b、排気導入路35bおよびタービンスクロール流路37bとが径方向に並んで形成される例を説明したが、排気流路31における各構成要素間の位置関係は、この例に限定されない。例えば、排気導入口33a、排気導入路35aおよびタービンスクロール流路37aと、排気導入口33b、排気導入路35bおよびタービンスクロール流路37bとが、軸方向に並んで形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0055】
17:タービン翼車 29:収容部 37a:タービンスクロール流路 37b:タービンスクロール流路 39a:スクロール出口 39b:スクロール出口 E1a:上流側の端部 E1b:上流側の端部 E2a:下流側の端部 E2b:下流側の端部 HD1:高さ分布 HD2:高さ分布 HD3:高さ分布 HD4:高さ分布 T:タービン TC:過給機
図1
図2
図3