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特許7364098アクリル(メタ)アクリレート樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物及び物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】アクリル(メタ)アクリレート樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物及び物品
(51)【国際特許分類】
   C08F 8/00 20060101AFI20231011BHJP
   C08F 290/04 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
C08F8/00
C08F290/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022575713
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(86)【国際出願番号】 JP2022023220
(87)【国際公開番号】W WO2023276600
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2021107472
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100215935
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 茂輝
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(72)【発明者】
【氏名】矢島 哲志
(72)【発明者】
【氏名】西田 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】井上 直人
【審査官】尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-065304(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103193960(CN,A)
【文献】特開平06-258830(JP,A)
【文献】特開2001-059005(JP,A)
【文献】特開2004-010772(JP,A)
【文献】特開2009-286068(JP,A)
【文献】特開2010-250128(JP,A)
【文献】特開2021-161393(JP,A)
【文献】特開2008-087322(JP,A)
【文献】国際公開第2012/176570(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 6/00-246/00
C08F 290/00-290/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル重合体(A)、及びカルボキシル基を有する(メタ)アクリルモノマー(B)を原料とするアクリル(メタ)アクリレート樹脂であり、
前記アクリル重合体(A)が、グリシジル(メタ)アクリレート(a1)と、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が66℃以上の2種以上の(メタ)アクリレート化合物(a2)と、を含む重合性化合物の共重合体であり、
前記(メタ)アクリレート化合物(a2)は、メチルメタクリレートを含み、
前記メチルメタクリレートの含有量は、前記(メタ)アクリレート化合物(a2)中に25~65質量%の範囲であり、
前記グリシジル(メタ)アクリレート(a1)の含有量は、前記重合性化合物中に5質量%以上20質量%以下の範囲である、アクリル(メタ)アクリレート樹脂。
【請求項2】
前記(メタ)アクリレート化合物(a2)は、メチルメタクリレートと、tert-ブチルメタクリレート、シクロへキシルメタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート及びアダマンチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上と、を含む、請求項1記載のアクリル(メタ)アクリレート樹脂。
【請求項3】
(メタ)アクリロイル基当量が、400~3000g/当量である請求項1又は2に記載のアクリル(メタ)アクリレート樹脂。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のアクリル(メタ)アクリレート樹脂と、光重合開始剤とを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項4記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物。
【請求項6】
120~200℃の温度範囲における、動的粘弾性スペクトルで測定されるtanδが0.1~1の範囲である請求項5記載の硬化物。
【請求項7】
請求項5又は6記載の硬化物からなる塗膜を有することを特徴とする物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリル(メタ)アクリレート樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物及び物品に関する。
【背景技術】
【0002】
(メタ)アクリロイル基を有する樹脂材料は、紫外線照射等により容易かつ瞬時に硬化させることができ、かつ、硬化物の透明性や硬度等に優れることから、塗料やコーティング剤等の分野で広く用いられている。その塗工対象物は光学フィルムやプラスチック成型品、木工品等多岐に渡っており、塗工対象物の種類や用途等に応じて要求性能も様々であることから、目的に応じて設計された樹脂が数多く提案されている。
【0003】
(メタ)アクリロイル基を有する樹脂材料としては、(メタ)アクリロイル基を有するアクリル樹脂、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及びペンタエリスリトールトリアクリレートを含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。前記特許文献1に記載された活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は硬化物における表面硬度と低硬化収縮性とのバランスに優れることから、比較的薄いプラスチックフィルムを塗工対象とするコート剤として有用である。しかしながら、フィルム基材への密着性、特に高温湿潤条件下での長期保存後の密着性が低く、剥がれが生じやすい課題があった。
【0004】
そこで、優れた密着性を有し、かつ、コーティング剤として使用可能な耐擦傷性に優れた材料が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-207947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、優れた密着性を有し、かつ、硬化物における優れた伸度、耐擦傷性及び耐薬品性を有するアクリル(メタ)アクリレート樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物及び物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定の重合性化合物の共重合体であるアクリル重合体と、カルボキシル基を有する(メタ)アクリルモノマー(B)を原料とするアクリル(メタ)アクリレート樹脂を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、アクリル重合体(A)、及びカルボキシル基を有する(メタ)アクリルモノマー(B)を原料とするアクリル(メタ)アクリレート樹脂であり、前記アクリル重合体(A)が、グリシジル(メタ)アクリレート(a1)と、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が50℃以上の(メタ)アクリレート化合物(a2)と、を含む重合性化合物の共重合体であることを特徴とするアクリル(メタ)アクリレート樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物及び物品に関するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のアクリル(メタ)アクリレート樹脂は、優れた基材密着性を有し、また、優れた伸度、耐擦傷性及び耐薬品性を有する硬化物を形成可能なことから、コーティング剤や接着剤として用いることができ、特にコーティング剤として好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のアクリル(メタ)アクリレート樹脂は、アクリル重合体(A)、及びカルボキシル基を有する(メタ)アクリルモノマー(B)を原料とするものであることを特徴とする。
【0011】
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/またはメタクリレートを意味する。また、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/またはメタクリロイルを意味する。さらに、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/またはメタクリルを意味する。
【0012】
前記アクリル重合体(A)としては、グリシジル(メタ)アクリレート(a1)と、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が50℃以上の(メタ)アクリレート化合物(a2)と、を含む重合性化合物の共重合体を用いる。
【0013】
前記グリシジル(メタ)アクリレート(a1)の含有量は、優れた基材密着性を有し、伸度、耐擦傷性及び耐薬品性に優れた硬化物を形成可能なアクリル(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、前記重合性化合物中に5~50質量%の範囲が好ましく、5~20質量%の範囲がより好ましい。
【0014】
前記(メタ)アクリレート化合物(a2)としては、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が50℃以上のものであれば何れでもよく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、優れた基材密着性を有し、伸度、耐擦傷性及び耐薬品性に優れた硬化物を形成可能なアクリル(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、少なくとも2種併用することが好ましく、少なくとも1種がメチル(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0015】
前記(メタ)アクリレート化合物(a2)として、メチル(メタ)アクリレートを用いる場合、前記メチル(メタ)アクリレートの含有量は、優れた基材密着性を有し、伸度、耐擦傷性及び耐薬品性に優れた硬化物を形成可能なアクリル(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、前記(メタ)アクリレート化合物(a2)中に25~65質量%の範囲が好ましく、35~55の範囲がより好ましい。
【0016】
前記グリシジル(メタ)アクリレート(a1)と前記(メタ)アクリレート化合物(a2)との質量割合[(a1)/(a2)]は、優れた基材密着性を有し、伸度、耐擦傷性及び耐薬品性に優れた硬化物を形成可能なアクリル(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、0.05~20の範囲が好ましく、0.1~8の範囲がより好ましい。
【0017】
前記重合性化合物としては、必要に応じて、前記グリシジル(メタ)アクリレート(a1)及び前記(メタ)アクリレート化合物(a2)以外の(メタ)アクリレート化合物(以下「その他の(メタ)アクリレート化合物」と略記する。)を含んでいてもよい。
【0018】
前記その他の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式構造含有(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート;3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシリル基を有する(メタ)アクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン誘導体等が挙げられる。これらは単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0019】
前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリルモノマー(B)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸等が挙げられる。これらのカルボキシル基を有する(メタ)アクリルモノマーは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、優れた基材密着性を有し、伸度、耐擦傷性及び耐薬品性に優れた硬化物を形成可能なアクリル(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、アクリル酸が好ましい。
【0020】
前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリルモノマー(B)の使用量は、優れた基材密着性を有し、伸度、耐擦傷性及び耐薬品性に優れた硬化物を形成可能なアクリル(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、グリシジル(メタ)アクリレート(a1)1モルに対して、0.98~1.02モル%の範囲が好ましい。
【0021】
本発明のアクリル(メタ)アクリレート樹脂の製造方法としては、特に制限されず、適宜公知の方法により製造することができる。例えば、前記アクリル重合体(A)と前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリルモノマー(B)とを滴下法により窒素雰囲気下で4~10時間滴下して製造する方法等が挙げられる。
【0022】
本発明のアクリル(メタ)アクリレート樹脂の(メタ)アクリロイル基当量は、優れた基材密着性を有し、伸度、耐擦傷性及び耐薬品性に優れた硬化物を形成可能なアクリル(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、400~3000g/当量の範囲が好ましく、500~2000g/当量の範囲がより好ましい。
【0023】
本発明のアクリル(メタ)アクリレート樹脂は、分子構造中に(メタ)アクリロイル基を有することから、例えば、光重合開始剤を添加することにより活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として利用することができる。
【0024】
前記光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,2’-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ジフェニル(2,4,6-トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン等の光ラジカル重合開始剤などが挙げられる。
【0025】
前記その他の光重合開始剤の市販品としては、例えば、「Omnirad 1173」、「Omnirad 184」、「Omnirad 127」、「Omnirad 2959」、「Omnirad 369」、「Omnirad 379」、「Omnirad 907」、「Omnirad 4265」、「Omnirad 1000」、「Omnirad 651」、「Omnirad TPO」、「Omnirad 819」、「Omnirad 2022」、「Omnirad 2100」、「Omnirad 754」、「Omnirad 784」、「Omnirad 500」、「Omnirad 81」(IGM Resins社製);「KAYACURE DETX」、「KAYACURE MBP」、「KAYACURE DMBI」、「KAYACURE EPA」、「KAYACURE OA」(日本化薬株式会社製);「Vicure 10」、「Vicure 55」(Stoffa Chemical社製);「Trigonal P1」(Akzo Nobel社製)、「SANDORAY 1000」(SANDOZ社製);「DEAP」(Upjohn Chemical社製)、「Quantacure PDO」、「Quantacure ITX」、「Quantacure EPD」(Ward Blenkinsop社製);「Runtecure 1104」(Runtec社製)等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0026】
前記光重合開始剤の添加量は、例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の溶剤以外の成分の合計中に0.05~15質量%の範囲であることが好ましく、0.1~10質量%の範囲であることがより好ましい。
【0027】
また、前記光重合開始剤は、必要に応じて、アミン化合物、尿素化合物、含硫黄化合物、含燐化合物、含塩素化合物、ニトリル化合物等の光増感剤を併用することもできる。
【0028】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、前述したアクリル(メタ)アクリレート樹脂以外のその他の樹脂成分を含有しても良い。前記その他の樹脂成分としては、例えば、デンドリマー型(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、アクリル(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらのその他の(メタ)アクリレート樹脂は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0029】
前記デンドリマー型(メタ)アクリレート樹脂とは、規則性のある多分岐構造を有し、各分岐鎖の末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂のことをいい、デンドリマー型の他、ハイパーブランチ型或いはスターポリマーなどと呼ばれている。このような化合物は、例えば、下記構造式(1-1)~(1-8)で表されるものなどが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、規則性のある多分岐構造を有し、各分岐鎖の末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂であればいずれのものも用いることができる。
【0030】
【化1】
【0031】
【化2】
[式(1-1)~(1-8)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素原子数1~4の炭化水素基である。]
【0032】
前記デンドリマー型(メタ)アクリレート樹脂の市販品としては、例えば、大阪有機化学株式会社製「ビスコート#1000」[重量平均分子量(Mw)1,500~2,000、一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数14]、「ビスコート1020」[重量平均分子量(Mw)1,000~3,000]、「SIRIUS501」[重量平均分子量(Mw)15,000~23,000]、MIWON社製「SP-1106」[重量平均分子量(Mw)1,630、一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数18]、SARTOMER社製「CN2301」、「CN2302」[一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数16]、「CN2303」[一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数6]、「CN2304」[一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数18]、新日鉄住金化学株式会社製「エスドリマーHU-22」、新中村化学株式会社製「A-HBR-5」、第一工業製薬株式会社製「ニューフロンティアR-1150」、日産化学株式会社製「ハイパーテックUR-101」等が挙げられる。
【0033】
前記デンドリマー型(メタ)アクリレート樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000~30,000の範囲であることが好ましい。また、一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数は、5~30の範囲が好ましい。
【0034】
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(B2)は、例えば、各種のポリイソシアネート化合物、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物、及び必要に応じて各種のポリオール化合物を反応させて得られるものが挙げられる。前記ポリイソシアネート化合物は、例えば、ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;下記構造式(2)で表される繰り返し構造を有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0035】
【化3】
[式(2)中、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~6の炭化水素基の何れかである。Rはそれぞれ独立に炭素原子数1~4のアルキル基、又は構造式(2)で表される構造部位と*印が付されたメチレン基を介して連結する結合点の何れかである。lは0又は1~3の整数であり、mは1以上の整数である。]
【0036】
前記水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物は、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物;前記各種の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
【0037】
前記ポリオール化合物は、例えば、エチレングリコール、プロプレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール化合物;ビフェノール、ビスフェノール等の芳香族ポリオール化合物;前記各種のポリオール化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種のポリオール化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
【0038】
前記アクリル(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、水酸基やカルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基等の反応性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(α)を必須の成分として重合させて得られるアクリル樹脂中間体に、これらの官能基と反応し得る反応性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(β)を更に反応させることにより(メタ)アクリロイル基を導入して得られるものが挙げられる。
【0039】
前記反応性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(α)は、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートモノマー;2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1-ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等のイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等のグリシジル基を有する(メタ)アクリレートモノマー等が挙げられる。これらは単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0040】
前記アクリル樹脂中間体は、前記(メタ)アクリレート化合物(α)の他、必要に応じてその他の重合性不飽和基を有する化合物を共重合させたものであってもよい。前記その他の重合性不飽和基を有する化合物は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式構造含有(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート;3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシリル基を有する(メタ)アクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン誘導体等が挙げられる。これらは単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0041】
前記アクリル樹脂中間体は、一般的なアクリル樹脂と同様の方法にて製造することができる。製造条件の一例としては、例えば、重合開始剤の存在下、60℃~150℃の温度領域で各種モノマーを重合させることにより製造することができる。重合の方法は、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が挙げられる。また、重合様式は、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等が挙げられる。溶液重合法で行う場合には、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒や、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル溶媒を好ましく用いることができる。
【0042】
前記(メタ)アクリレート化合物(β)は、前記(メタ)アクリレート化合物(α)が有する反応性官能基と反応し得るものであれば特に限定されないが、反応性の観点から以下の組み合わせであることが好ましい。即ち、前記(メタ)アクリレート化合物(α)として水酸基を有する(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてグリシジル基を有する(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)として水酸基を有する(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてグリシジル基を有する(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(β)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0043】
前記アクリル樹脂中間体と(メタ)アクリレート化合物(β)との反応は、例えば、該反応がエステル化反応である場合には、60~150℃の温度範囲で、トリフェニルホスフィン等のエステル化触媒を適宜用いるなどの方法が挙げられる。また、該反応がウレタン化反応である場合には、50~120℃の温度範囲で、アクリル樹脂中間体に化合物(β)を滴下しながら反応させる等の方法が挙げられる。両者の反応割合は、前記アクリル樹脂中間体中の官能基数1モルに対し、前記(メタ)アクリレート化合物(β)を1.0~1.1モルの範囲で用いることが好ましい。
【0044】
前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸又はその無水物を反応させて得られるものが挙げられる。前記エポキシ樹脂は、例えば、ヒドロキノン、カテコール等の2価フェノールのジグリシジルエーテル;3,3’-ビフェニルジオール、4,4’-ビフェニルジオール等のビフェノール化合物のジグリシジルエーテル;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;1,4-ナフタレンジオール、1,5-ナフタレンジオール、1,6-ナフタレンジオール、2,6-ナフタレンジオール、2,7-ナフタレンジオール、ビナフトール、ビス(2,7-ジヒドロキシナフチル)メタン等のナフトール化合物のポリグリジシルエーテル;4,4’,4”-メチリジントリスフェノール等のトリグリシジルエーテル;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;前記各種のエポキシ樹脂の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種のエポキシ樹脂の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
【0045】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、更にその他の成分を含有していてもよい。前記その他の成分としては、例えば、無機微粒子、シランカップリング剤、リン酸エステル化合物、溶剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シリコン系添加剤、フッ素系添加剤、帯電防止剤、有機ビーズ、量子ドット(QD)、レオロジーコントロール剤、脱泡剤、防曇剤、着色剤等が挙げられる。
【0046】
前記無機微粒子は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化塗膜における硬度や屈折率等を調整する等の目的で添加されるものであり、公知慣用の種々の無機微粒子を用いることができる。一例としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、チタン酸バリウム、三酸化アンチモン等の微粒子が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。
【0047】
これら無機微粒子の中でも、入手が容易で扱いが簡便なことからシリカ粒子が好ましい。シリカ粒子は、例えば、フュームドシリカや、沈殿法シリカ、ゲルシリカ、ゾルゲルシリカ等と呼ばれる湿式シリカなど各種のシリカ粒子が挙げられ、いずれを用いても良い。
【0048】
前記無機微粒子は、各種シランカップリング剤にて微粒子表面に官能基を導入したものでも良い。該無機微粒子の表面に官能基を導入することにより、前記アクリル(メタ)アクリレート樹脂(A)等の有機成分との混和性が高まり、保存安定性が向上する。
【0049】
前記無機微粒子を修飾するシランカップリング剤は、例えば、[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]トリアルキルシラン、[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]ジアルキルアルコキシシラン、[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]アルキルジアルコキシシラン、[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]トリアルコキシシラン、当の(メタ)アクリロイルオキシ系シランカップリング剤;トリアルキルビニルシラン、ジアルキルアルコキシビニルシラン、アルキルジアルコキシビニルシラン、トリアルコキシビニルシラン、トリアルキルアリルシラン、ジアルキルアルコキシアリルシラン、アルキルジアルコキシアリルシラン、トリアルコキシアリルシラン等のビニル系シランカップリング剤;スチリルトリアルキル、スチリルジアルキルアルコキシシラン、スチリルアルキルジアルコキシシラン、スチリルトリアルコキシシラン等のスチレン系シランカップリング剤;(グリシジルオキシアルキル)トリアルキルシラン、(グリシジルオキシアルキル)ジアルキルアルコキシシラン、(グリシジルオキシアルキル)アルキルジアルコキシシラン、(グリシジルオキシアルキル)トリアルコキシシラン、[(3,4-エポキシシクロヘキシル)アルキル]トリメトキシシラン、[(3,4-エポキシシクロヘキシル)アルキル]トリアルキルシラン、[(3,4-エポキシシクロヘキシル)アルキル]ジアルキルアルコキシシラン、[(3,4-エポキシシクロヘキシル)アルキル]アルキルジアルコキシシラン、[(3,4-エポキシシクロヘキシル)アルキル]トリアルコキシシラン等のエポキシ系シランカップリング剤;(イソシアネートアルキル)トリアルキルシラン、(イソシアネートアルキル)ジアルキルアルコキシシラン、(イソシアネートアルキル)アルキルジアルコキシシラン、(イソシアネートアルキル)トリアルコキシシラン等のイソシアネート系シランカップリング剤等が挙げられる。これらそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0050】
前記シランカップリング剤の中でも、前記アクリル(メタ)アクリレート樹脂等の有機成分との混和性に優れる無機微粒子となることから、(メタ)アクリロイルオキシ系シランカップリング剤が好ましく、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]トリアルコキシシランが特に好ましい。
【0051】
前記無機微粒子の平均粒子径は特に限定されず、所望の硬化物性能等に応じて適宜調整してよい。特に、耐擦傷性とクラック防止性の他、耐ブロッキング性や透明性等にも優れる硬化塗膜が得られることから、前記無機微粒子の平均粒子径は80~250nmの範囲であることが好ましく、90~180nmの範囲であることがより好ましく、100~150nmの範囲であることが特に好ましい。
【0052】
なお、前記無機微粒子の平均粒子径は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中の粒子径を以下の条件で測定した値である。
粒子径測定装置:大塚電子株式会社製「ELSZ-2」
粒子径測定サンプル:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を不揮発分1質量%のメチルイソブチルケトン溶液としたもの。
【0053】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中、前記無機微粒子の含有量は特に限定されず、所望の硬化物性能等に応じて適宜調整してよい。特に、耐擦傷性に優れる硬化塗膜が得られることから、前記無機微粒子の含有率は、前記アクリル(メタ)アクリレート樹脂100質量部に対して10~100質量部の範囲であることが好ましい。
【0054】
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中に添加するシランカップリング剤は例えば、[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]トリアルキルシラン、[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]ジアルキルアルコキシシラン、[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]アルキルジアルコキシシラン、[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]トリアルコキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシ系シランカップリング剤;トリアルキルビニルシラン、ジアルキルアルコキシビニルシラン、アルキルジアルコキシビニルシラン、トリアルコキシビニルシラン、トリアルキルアリルシラン、ジアルキルアルコキシアリルシラン、アルキルジアルコキシアリルシラン、トリアルコキシアリルシラン等のビニル系シランカップリング剤;スチリルトリアルキル、スチリルジアルキルアルコキシシラン、スチリルアルキルジアルコキシシラン、スチリルトリアルコキシシラン等のスチレン系シランカップリング剤;(グリシジルオキシアルキル)トリアルキルシラン、(グリシジルオキシアルキル)ジアルキルアルコキシシラン、(グリシジルオキシアルキル)アルキルジアルコキシシラン、(グリシジルオキシアルキル)トリアルコキシシラン、[(3,4-エポキシシクロヘキシル)アルキル]トリメトキシシラン、[(3,4-エポキシシクロヘキシル)アルキル]トリアルキルシラン、[(3,4-エポキシシクロヘキシル)アルキル]ジアルキルアルコキシシラン、[(3,4-エポキシシクロヘキシル)アルキル]アルキルジアルコキシシラン、[(3,4-エポキシシクロヘキシル)アルキル]トリアルコキシシラン等のエポキシ系シランカップリング剤;(イソシアネートアルキル)トリアルキルシラン、(イソシアネートアルキル)ジアルキルアルコキシシラン、(イソシアネートアルキル)アルキルジアルコキシシラン、(イソシアネートアルキル)トリアルコキシシラン等のイソシアネート系シランカップリング剤等が挙げられる。これらそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0055】
前記リン酸エステル化合物の市販品としては、例えば、分子構造中に(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステル化合物である日本化薬株式会社製「カヤマーPM-2」、「カヤマーPM-21」、共栄社化学株式会社製「ライトエステルP-1M」「ライトエステルP-2M」、「ライトアクリレートP-1A(N)」、SOLVAY社製「SIPOMER PAM 100」、「SIPOMER PAM 200」、「SIPOMER PAM 300」、「SIPOMER PAM 4000」、大阪有機化学工業社製「ビスコート#3PA」、「ビスコート#3PMA」、第一工業製薬社製「ニューフロンティア S-23A」;分子構造中にアリルエーテル基を有するリン酸エステル化合物であるSOLVAY社製「SIPOMER PAM 5000」等が挙げられる。
【0056】
前記溶剤は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の塗工粘度調節等の目的で添加されるものであり、その種類や添加量は、所望の性能に応じて適宜調整される。一般には、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の不揮発分が10~90質量%の範囲となるように用いられる。前記溶剤の具体例としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;トルエン、キシレン等の芳香族溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0057】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン誘導体、2-(2’-キサンテンカルボキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-o-ニトロベンジロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-キサンテンカルボキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン、2-o-ニトロベンジロキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0058】
前記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機硫黄系酸化防止剤、リン酸エステル系酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0059】
前記シリコン系添加剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロゲンポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、フッ素変性ジメチルポリシロキサン共重合体、アミノ変性ジメチルポリシロキサン共重合体など如きアルキル基やフェニル基を有するポリオルガノシロキサン、ポリエーテル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサン等が挙げられる。これらのシリコン系添加剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0060】
前記フッ素系添加剤の市販品としては、例えば、DIC株式会社製「メガフェース」シリーズ等が挙げられる。これらのフッ素系添加剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0061】
前記帯電防止剤としては、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド又はビス(フルオロスルホニル)イミドのピリジニウム、イミダゾリウム、ホスホニウム、アンモニウム、又はリチウム塩が挙げられる。これらの帯電防止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0062】
前記有機ビーズとしては、例えば、ポリメタクリル酸メチルビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリスチレンビーズ、ポリアクリルスチレンビーズ、シリコーンビ-ズ、ガラスビーズ、アクリルビーズ、ベンゾグアナミン系樹脂ビーズ、メラミン系樹脂ビーズ、ポリオレフィン系樹脂ビーズ、ポリエステル系樹脂ビーズ、ポリアミド樹脂ビーズ、ポリイミド系樹脂ビーズ、ポリフッ化エチレン樹脂ビーズ、ポリエチレン樹脂ビーズ等が挙げられる。これらの有機ビーズは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの有機ビーズの平均粒径は1~10μmの範囲であることが好ましい。
【0063】
前記量子ドット(QD)としては、II-V族半導体化合物、II-VI族半導体化合物、III-IV族半導体化合物、III-V族半導体化合物、III-VI族半導体化合物、IV-VI族半導体化合物、I-III-VI族半導体化合物、II-IV-VI族半導体化合物、II-IV-V族半導体化合物、I-II-IV-VI族半導体化合物、IV族元素又はこれを含む化合物等が挙げられる。前記II-VI族半導体化合物は、例えば、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe等の二元化合物;ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe等の三元化合物;CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、CdHgZnTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe等の四元化合物等が挙げられる。前記III-IV族半導体化合物は、例えば、B、Al、Ga等が挙げられる。前記III-V族半導体化合物は、例えば、BP、BN、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb等の二元化合物;GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP等の三元化合物;GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb等の四元化合物等が挙げられる。前記III-VI族半導体化合物は、例えば、Al、AlSe、AlTe、Ga、GaSe、GaTe、GaTe、In、InSe、InTe、InTe等が挙げられる。前記IV-VI族半導体化合物は、例えば、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe等の二元化合物;SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe等の三元化合物;SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe等の四元化合物等が挙げられる。前記I-III-VI族半導体化合物は、例えば、CuInS、CuInSe、CuInTe、CuGaS、CuGaSe、CuGaSe、AgInS、AgInSe、AgInTe、AgGaSe、AgGaS、AgGaTe等が挙げられる。前記IV族元素又はこれを含む化合物は、例えば、C、Si、Ge、SiC、SiGe等が挙げられる。量子ドットは単一の半導体化合物からなっていてもよいし、複数の半導体化合物からなるコアシェル構造を有していてもよい。また、その表面を有機化合物にて修飾したものであってもよい。
【0064】
これら各種の添加剤は、所望の性能等に応じて任意の量添加することができるが、通常、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中の溶剤を除いた成分の合計100質量%中、0.01~40質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0065】
本発明で用いる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は前記各配合成分を混合して製造される。混合方法は特に限定されず、ペイントシェイカー、ディスパー、ロールミル、ビーズミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等を用いてもよい。
【0066】
本発明の硬化物は、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射することで得ることができる。前記活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。また、前記活性エネルギー線として、紫外線を用いる場合、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。
【0067】
紫外線発生源としては、実用性、経済性の面から紫外線ランプが一般的に用いられている。具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、太陽光、LED等が挙げられる。
【0068】
前記活性エネルギー線の積算光量は、特に制限されないが、0.1~50kJ/mであることが好ましく、0.5~10kJ/mであることがより好ましい。積算光量が上記範囲であると、未硬化部分の発生の防止または抑制ができることから好ましい。
【0069】
なお、前記活性エネルギー線の照射は、一段階で行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。
【0070】
また、120~200℃の温度範囲における前記硬化物の動的粘弾性スペクトルで測定されるtanδは、優れた基材密着性を有し、伸度、耐擦傷性及び耐薬品性に優れることから、0.1~1の範囲が好ましい。
【0071】
本発明の物品としては、前記積層体を表面に有するものである。前記物品としては、例えば、携帯電話、家電製品、自動車内外装材、OA機器等のプラスチック成形品などが挙げられる。
【実施例
【0072】
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、以下に挙げた実施例に限定されるものではない。
【0073】
なお、本実施例において、重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用い、下記の条件により測定した値である。
【0074】
測定装置 ; 東ソー株式会社製「HLC-8220」
カラム ; 東ソー株式会社製「ガードカラムHXL-H」
+東ソー株式会社製「TSKgel G5000HXL」
+東ソー株式会社製「TSKgel G4000HXL」
+東ソー株式会社製「TSKgel G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSKgel G2000HXL」
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「SC-8010」
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
【0075】
(実施例1:アクリルアクリレート樹脂(1)の調製)
撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた反応装置に、メチルイソブチルケトン67.9質量部を仕込み、撹拌しながら系内温度が110℃になるまで昇温した。次いで、グリシジルメタクリレート8.4質量部、メチルメタクリレート37.8質量部、ターシャルブチルメタクリレート53.8質量部、エチルアクリレート0.2質量部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日本乳化剤株式会社製「パーブチルO」)1.8質量部からなる混合液を4時間かけて滴下ロートより滴下し、110℃で15時間保持した。次いで、90℃まで降温した後、メトキノン0.05質量部およびアクリル酸4.3質量部を仕込み、トリフェニルホスフィン0.5質量部を添加して、100℃で8時間以上反応させた後、メチルイソブチルケトンで希釈を行い、アクリルアクリレート樹脂のメチルイソブチルケトン溶液238質量部(不揮発分45.0質量%)を得た。このアクリルアクリレート樹脂(1)の重量平均分子量(Mw)は26,000であり、固形分換算の理論アクリロイル基当量は、1790g/当量であった。
【0076】
(実施例2~5:アクリルアクリレート樹脂(2)~(6)の製造)
表1に示す配合比率で実施例1と同様の方法にて、アクリルアクリレート(2)~(6)を得た。
【0077】
(比較例1及び2:アクリルアクリレート樹脂(R1)及び(R2)の製造)
表1に示す配合比率で実施例1と同様の方法にて、アクリルアクリレート(2)~(5)を得た。
【0078】
実施例1~6、並びに比較例1及び2で調製したアクリルアクリレート樹脂(1)~(6)、(R1)及び(R2)の組成を表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
表1中の「GMA」は、グリシジルメタクリレート(ホモポリマーのTg:46℃)を示す。
【0081】
表1中の「MMA」は、メチルメタクリレート(ホモポリマーのTg:105℃)を示す。
【0082】
表1中の「tBMA」は、ターシャルブチルメタクリレート(ホモポリマーのTg:107℃)を示す。
【0083】
表1中の「CHMA」は、シクロへキシルメタクリレート(ホモポリマーのTg:66℃)を示す。
【0084】
表1中の「IBXMA」は、イソボルニルメタクリレート(ホモポリマーのTg:180℃)を示す。
【0085】
表1中の「BZMA」は、ベンジルメタクリレート(ホモポリマーのTg:54℃)を示す。
【0086】
表1中の「EA」は、エチルアクリレート(ホモポリマーのTg:-20℃)を示す。
【0087】
表1中の「AA」は、アクリル酸を示す。
【0088】
表1中の「MIBK」は、メチルイソブチルケトンを示す。
【0089】
表1中の「p-O」は、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日本乳化剤株式会社製「パーブチルO」)を示す。
【0090】
表1中の「TPP」は、トリフェニルホスフィンを示す。
【0091】
(実施例7:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)の調製)
実施例1で得た不揮発分45質量%のアクリルアクリレート樹脂15.5質量部(固形分として7質量部)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(東亞合成株式会社製「アロニックス M-403」)3質量部、光重合開始剤(IGM Resins社製「Omnirad-184」0.3質量部を混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)を得た。
【0092】
(実施例8~12:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2)~(6)の調製)
表1に示す配合比率で実施例6と同様の方法にて、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2)~(6)を得た。
【0093】
上記の実施例及び比較例で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)~(6)、(R1)及び(R2)を用いて、下記の評価を行った。
【0094】
[tanδの測定方法]
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を鏡面アルミ板にアプリケータで塗布し、100℃30分の予備過熱後に、窒素雰囲気下、高圧水銀ランプで紫外線を照射することで(150mJ/cm)で硬化膜を作成した。得られた硬化膜を鏡面アルミ板から単離し、厚さ50μm、幅6mm、長さ54mmの試験片を作成した。TAインスツルメント社製「固体粘弾性測定装置RSA-G2」を用い、DMA(動的粘弾性)測定により、昇温速度を5℃/分、周波数が1Hz、負荷歪を0.1%にて試験片の弾性率を測定した。tanδは伸度測定温度と同温である130℃における数値を採用した。
【0095】
[基材密着性の評価方法]
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を厚さ250μmのポリカーボネート-アクリル積層フィルム(株式会社シャインテクノ製「ShineTech AW-10U」)上にバーコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥させた。次いで、空気雰囲気下、80W高圧水銀ランプで紫外線を400mJ/cm照射し、アクリルフィルム上に膜厚5μmの硬化塗膜を有する積層体(2)を得た。この積層体(2)の硬化塗膜表面にカッターナイフで切れ目を入れて、1mm×1mmの碁盤目を100個作成し、その上からセロハン粘着テープを貼着した後、急速に剥がす操作を行い、剥離せずに残存した碁盤目の数を数え、以下の基準に従って評価した。
【0096】
A:碁盤目の残存数が80個以上であった。
B:碁盤目の残存数が80個未満であった。
【0097】
[伸度の評価方法]
伸度の測定は、引張試験に基づいて行った。
<積層フィルム1の作製>
実施例及び比較例で得た活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を厚さ188μmのポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム(東レ ルミラーSF-20)にバーコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥した。次いで、窒素雰囲気下、高圧水銀ランプで紫外線を照射することで(150mJ/cm)、PETフィルム上に膜厚5μmの硬化物が積層された積層フィルム1を得た。
【0098】
<引張試験>
得られた積層フィルムを幅10mm×長さ100mmの試験片となるように切り出し、得られた試験片に対して、以下の条件で引張試験を行い、試験片表面にクラックが発生又は試験片が破断するまでの伸張伸度を測定し、以下の基準に従って万能試験機(メーカー:島津製作所、オートグラフAG-IS)を使用して評価を行った。
【0099】
測定条件:引張速度:100mm/分、チャック間距離:40mm、温度:130℃
ロードセル:1kN
【0100】
[耐擦傷性の評価方法]
スチ-ルウ-ル(日本スチ-ルウ-ル株式会社製「ボンスタ-#0000」)0.5gで直径2.4センチメ-トルの円盤状の圧子を包み、該圧子に500g重の荷重をかけて、前記<積層フィルム1の作製>で得た積層フィルムの塗装表面を10往復させる磨耗試験を行った。磨耗試験前後の積層フィルムのヘ-ズ値をスガ試験機株式会社製「ヘ-ズコンピュ-タHZ-2」を用いて測定し、それらの差の値(dH)を用いて、以下の基準に従い評価した。なお、差の値(dH)が小さいほど、擦傷に対する耐性が高い。
【0101】
A:dHが、1.0%以下であった
B:dHが、1.0%超~3.0%以下であった。
C:dHが、3.0%超であった。
【0102】
[耐薬品性の評価方法]
<積層フィルム2の作製>
実施例及び比較例で得た活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を厚さ250μmのポリカーボネート(PC)フィルム(株式会社シャインテクノ製「ShineTech PC-10U」)にバーコーターで塗布し、90℃で2分間乾燥した。次いで、空気雰囲気下、高圧水銀ランプで紫外線を照射することで(500mJ/cm)、PCフィルム上に膜厚5μmの硬化物が積層された積層フィルム2を得た。
<耐薬品性試験>
前記積層フィルム2の硬化塗膜表面上に日焼け止めクリーム(Johnson&Johnson Consumer Inc.社製「ニュートロジーナ ウルトラシアーサンスクリーン」)を0.1g/cmとなるように塗布し、80℃のオーブン内で4時間静置した。オーブンから取り出し常温に戻した後、布で日焼け止めクリームを拭き取り、拭き取り後の塗膜表面の状態を下記の基準に従って評価した。
【0103】
A:試験前の積層体と比較して変化がない。
B:塗膜に薄い透明な跡が残る。
C:塗布部の一部に白化やクラックが生じる。
D:塗布部の全面に白化やクラックが生じる。
【0104】
実施例7~12で調製した活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)~(6)、並びに比較例3及び4で調製した(R1)及び(R2)の組成及び評価結果を表1に示す。
【0105】
【表2】
【0106】
表2中の「アロニックス M-403」は、東亞合成株式会社製「アロニックス M-403」;ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物を示す。
【0107】
表2中の「Omnirad 184」はIGM Resins社製「「Omnirad 184」;光重合開始剤を示す。
【0108】
表2に示した実施例7~12は、本発明のアクリルアクリレート樹脂を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の例である。これらの活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物は、優れた基材密着性、伸度、耐擦傷性及び耐薬品性を有することが確認できた。
【0109】
一方、表2に示した比較例3は、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が50℃未満の(メタ)アクリレート化合物を原料に用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の例である。この活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物は、基材密着性には優れるものの、伸度、耐擦傷性及び耐薬品性に関しては、著しく不十分であることが確認できた。
【0110】
比較例4は、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が50℃以上の(メタ)アクリレート化合物(a2)を原料に用いない活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の例である。この活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物は、伸度、耐擦傷性及び耐薬品性に関して、著しく不十分であることが確認できた。