(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】蓄電池用仕切りシートおよび蓄電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 50/593 20210101AFI20231011BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20231011BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20231011BHJP
H01M 50/251 20210101ALI20231011BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20231011BHJP
H01M 50/298 20210101ALI20231011BHJP
【FI】
H01M50/593
H01M50/271 Z
H01M50/209
H01M50/251
H01M50/588 101
H01M50/298
(21)【出願番号】P 2023006509
(22)【出願日】2023-01-19
【審査請求日】2023-04-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】森田 秀世
(72)【発明者】
【氏名】上原 雄司
(72)【発明者】
【氏名】劉 長学
(72)【発明者】
【氏名】筧 真一朗
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/221379(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/001858(WO,A1)
【文献】中国実用新案第212676373(CN,U)
【文献】中国実用新案第210325896(CN,U)
【文献】国際公開第2022/154311(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/013029(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/588-50/593
H01M 50/207-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に向かって開いた上部開口を有する筐体と、該筐体の上部開口を塞ぐ蓋部と、前記筐体の内部に収容された電池モジュールとを備える蓄電池において、前記筐体の内部における前記電池モジュールの上側において前記蓋部に沿って延在して、前記電池モジュール側と前記蓋側とを仕切
り、
前記筐体が、前記上部開口の縁から内側に向けて延びるフランジ部を有し、
前記筐体の上方から見て、前記筐体のフランジ部と重なる位置まで外縁が延びている、蓄電池用仕切りシート。
【請求項2】
前記外縁が、前記筐体の内側面に対して傾いた状態で該内側面と接している、請求項
1に記載の蓄電池用仕切りシート。
【請求項3】
折り曲げ成形可能であり、折り曲げたときの寸法が前記フランジ部で画成される開口領域より小さく、かつ、広げたときの寸法が前記筐体の寸法より大きい、請求項
2に記載の蓄電池用仕切りシート。
【請求項4】
折り曲げたときの形状が角部を有する形状であり、該角部が2重になっている、請求項
3に記載の蓄電池用仕切りシート。
【請求項5】
上方に向かって開いた上部開口を有する筐体と、
前記筐体の上部開口を塞ぐ蓋部と、
前記筐体の内部に収容された電池モジュールと、
前記筐体の内部における前記電池モジュールの上側において前記蓋部に沿って延在して、前記電池モジュール側と前記蓋側とを仕切る仕切りシートと
を備え
、
前記筐体の内部における前記電池モジュールの上側に設けられた制御部をさらに備え、
前記仕切りシートは前記制御部の上面に貼付されている、蓄電池システム。
【請求項6】
前記仕切りシートは前記制御部の上面に両面テープで貼付されている、請求項
5に記載の蓄電池システム。
【請求項7】
前記制御部が、前記上面に設けられた端子を有し、
前記仕切りシートが前記端子に対応する領域に該端子が挿通される開口を有し、該開口から前記端子が露出している、請求項
5に記載の蓄電池システム。
【請求項8】
前記筐体の上方から見て、前記筐体の内側面は少なくとも一部が湾曲しており、
前記筐体の上方から見て、前記仕切りシートが角部を有する形状であり、該角部が前記筐体の内側形状の湾曲に沿うように湾曲している、請求項
5に記載の蓄電池システム。
【請求項9】
前記仕切りシートに関して前記電池モジュール側に、前記筐体の外部からの配線が入線される入線部を有し、
前記仕切りシートが、前記配線を前記電池モジュール側から前記蓋部側に引き込む配線口を有する、請求項
5に記載の蓄電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池用仕切りシートおよび蓄電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭用を中心に、据え置きタイプの蓄電池の普及が進んでいる。たとえば、下記特許文献1には、縦長の筒状筐体の内部に電池モジュールが収容され、その筒状筐体が上蓋によって封じられた構成を有する蓄電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成を有する蓄電池においては、修理やメンテナンスの作業の際、作業者は、上蓋を開けて筒状筐体の上部開口を介して電池モジュールにアクセスすることが考えられる。このとき、作業者が、修理やメンテナンスに必要のない箇所の配線や端子に触れた場合には電池モジュール等の部品に不具合が生じるため、十分な注意を払って作業する必要があった。
【0005】
本発明の一側面は、蓄電池内部における作業性の向上が図られた蓄電池用仕切りシートおよび蓄電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る蓄電池用仕切りシートは、上方に向かって開いた上部開口を有する筐体と、該筐体の上部開口を塞ぐ蓋部と、筐体の内部に収容された電池モジュールとを備える蓄電池において、筐体の内部における電池モジュールの上側において蓋部に沿って延在して、電池モジュール側と蓋側とを仕切る。
【0007】
上記蓄電池用仕切りシートにおいては、電池モジュール側と蓋側とが仕切られることで、作業者が修理やメンテナンスに必要のない箇所の配線や端子に触れる事態が抑制されており、それにより作業性の向上が図られる。
【0008】
他の側面に係る蓄電池用仕切りシートでは、筐体が、上部開口の縁から内側に向けて延びるフランジ部を有する。
【0009】
他の側面に係る蓄電池用仕切りシートでは、筐体の上方から見て、筐体のフランジ部と重なる位置まで外縁が延びている。
【0010】
他の側面に係る蓄電池用仕切りシートでは、外縁が、筐体の内側面に対して傾いた状態で該内側面と接している。
【0011】
他の側面に係る蓄電池用仕切りシートでは、折り曲げ成形可能であり、折り曲げたときの寸法がフランジ部で画成される開口領域より小さく、かつ、広げたときの寸法が筐体の寸法より大きい。
【0012】
他の側面に係る蓄電池用仕切りシートでは、折り曲げたときの形状が角部を有する形状であり、該角部が2重になっている。
【0013】
本発明の一側面に係る蓄電池システムは、上方に向かって開いた上部開口を有する筐体と、筐体の上部開口を塞ぐ蓋部と、筐体の内部に収容された電池モジュールと、筐体の内部における電池モジュールの上側において蓋部に沿って延在して、電池モジュール側と蓋側とを仕切る仕切りシートとを備える。
【0014】
上記蓄電池システムにおいては、仕切りシートが電池モジュール側と蓋側とを仕切ることで、作業者が修理やメンテナンスに必要のない箇所の配線や端子に触れる事態が抑制されており、それにより作業性の向上が図られる。
【0015】
他の側面に係る蓄電池システムでは、筐体の内部における電池モジュールの上側に設けられた制御部をさらに備え、仕切りシートは制御部の上面に貼付されている。
【0016】
他の側面に係る蓄電池システムでは、仕切りシートは制御部の上面に両面テープで貼付されている。
【0017】
他の側面に係る蓄電池システムでは、制御部が、上面に設けられた端子を有し、仕切りシートが端子に対応する領域に該端子が挿通される開口を有し、該開口から端子が露出している。
【0018】
他の側面に係る蓄電池システムでは、筐体の上方から見て、筐体の内側面は少なくとも一部が湾曲しており、筐体の上方から見て、仕切りシートが角部を有する形状であり、該角部が筐体の内側形状の湾曲に沿うように湾曲している。
【0019】
他の側面に係る蓄電池システムでは、仕切りシートに関して電池モジュール側に、筐体の外部からの配線が入線される入線部を有し、仕切りシートが、配線を電池モジュール側から蓋部側に引き込む配線口を有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の種々の側面によれば、蓄電池内部における作業性の向上が図られた蓄電池用仕切りシートおよび蓄電池システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に係る蓄電池システムを示す斜視図である。
【
図2】
図1に示したバッテリーケースを示す分解斜視図である。
【
図3】
図1に示したバッテリーケースのIII-III線断面図である。
【
図4】
図1に示したバッテリーケース内の制御部を示した上面図である。
【
図5】実施形態に係る仕切りシートを示した展開図である。
【
図6】
図5の仕切りシートの折り曲げ成形した後の形状を示した図である。
【
図7】
図6の仕切りシートの角部を示した要部拡大図である。
【
図8】バッテリーケースの筒状体と仕切りシートとの寸法を示した概略断面図である。
【
図9】実施形態に係るボックス部60を示した展開図である。
【
図10】
図9のボックス部の折り曲げ成形した後の形状を示した図である。
【
図11】仕切りシートの配線口の縁部の状態を示した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しつつ本発明を実施するための形態を説明する。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0023】
一実施形態に係る蓄電池システム1について、
図1~3を参照しつつ説明する。
【0024】
蓄電池システム1は、バッテリーケース10と、バッテリーケース10の内部に収容された蓄電池ユニット20とを備えて構成されている。蓄電池システム1は、その使用時には、パワーコンディショナー等の外部機器2に取り付けられ、外部機器2との間で電力および信号の送受をおこなう。蓄電池システム1と外部機器2との間の電力および信号の送受には、配線管3の内部を通された配線が用いられる。本実施形態では、配線管3の一方端3aが蓄電池システム1に取り付けられ、他方端3bが外部機器2に取り付けられている。配線管3は、たとえば可撓性を有する樹脂で構成することができ、たとえば難燃性や耐候性を備えたPF管を採用することができる。
【0025】
バッテリーケース10は、蓄電池ユニット20を収容する収容空間S1を画成しており、
図2に示すように、筒状体(筒状の筐体)12と、天板(蓋部)18と、底板19とを備えて構成されている。筒状体12、天板18および底板19はいずれも金属材料で構成することができる。
【0026】
筒状体12は、上下方向に沿って延びる筒状を有し、本実施形態においては角筒状を有する。筒状体12は、上端部開口(上部開口)および下端部開口を有する。筒状体12の上端部開口は上方に向かって開いている。筒状体12は、金属板によって構成されており、本実施形態においては鋼板(より詳しくは先塗装鋼板)により構成されている。本実施形態に係る筒状体12は、一枚の鋼板を角筒状に折り曲げて端部同士を突き合わせるとともに折り巻いて、上下方向に折り目13を付与することにより設けられる。筒状体12は、上下方向から見て長方形環状を呈し、長方形環状の断面形状を有する。本実施形態では、筒状体12の長方形環状断面はその角部が湾曲している。筒状体12は、長方形の長辺に相当する正面板部12aおよび背面板部12bと、長方形の短辺に相当する一対の側面板部12c、12dとを有する。折り目13は、背面板部12bに設けられている。
【0027】
筒状体12の上側端部には、上端部開口のほぼ全縁にわたってフランジ部6が設けられている。フランジ部6は、上端部開口の縁から略直角に内側に向けて延びて、長方形状の開口を画成している。フランジ部6は、天板18と平行に重なるように配置することで、筒状体12と天板18とのネジ留めに利用することができる。
【0028】
鋼板で構成された筒状体12は、蓄電池ユニット20をケース外部の紫外線や湿度から守ることができ、十分な耐候性を備える。特に、筒状体12にはつなぎ目となる折り目13が1箇所しか存在しないため、高い防水性が得られる。また、筒状体12の材料として先塗装鋼板を使用することで、大幅なコストダウンが図られている。さらに、本実施形態においては、筒状体12には補強材は設けられていないため、容易に形成することができ、軽量化が図られており、かつ、製造コストや材料コストの低減が図られている。
【0029】
筒状体12の側面板部12cには、上側端部近郊に真円状の入線口14が設けられている。また、筒状体12の側面板部12cには、入線空間S2を画成する入線部15が取り付けられている。入線部15は、側面板部12cの入線口14が設けられた箇所に取り付けられるとともに側部開口16aを有するボックス部16と、ボックス部16の側部開口16aを塞ぐとともに配線管3をガイドするガイド部17とを有する。ボックス部16は、筒状体12の側面板部12cの入線口14と連通する連通口16bと、底部に設けられた入線口16cとを有する。ボックス部16の入線口16cには、ボックス部16の下方から配線管3の一方端3aが取り付けられ、配線管3の内部を通された配線が入線部15の入線空間S2に一旦引き込まれる。入線空間S2は、外部に対して気密および水密の状態に保たれており、入線空間S2に引き込まれた配線は、筒状体12の入線口14と連通する連通口16bを介して、筒状体12の収容空間S1に引き込まれる。ガイド部17は、ボックス部16を介して、筒状体12の側面板部12cを覆っている。ガイド部17は、筒状体12の上下方向に延びており、U字状の断面形状を有する。ガイド部17は、その上端位置は筒状体12の上端位置と同じであり、その下端位置は筒状体12の下端位置とほぼ同じになるように設計されている。ガイド部17の下端部17aは、正面側より背面側が高くなるように斜めになっており、ボックス部16に取り付けられた配線管3を背面側にガイドしやすい設計となっている。
【0030】
天板18は、筒状体12の上側開口を閉蓋する板状部材であり、収容空間S1の上側を画成している。本実施形態では、天板18は、入線部15のガイド部17の上側開口も併せて閉蓋している。天板18は、筒状体12の上側端部12eに嵌め合わせるようにして取り付けることができる。本実施形態においては、天板18の縁には、上側端部12eが入り込む溝が全周に亘って設けられている。天板18は、筒状体12の上側端部12eが溝に入り込むように、筒状体12に被せられる。それにより、天板18と筒状体12との接合箇所における高い防水性が実現されている。天板18はダイキャスト法を用いて作製され得る。天板18は、金属材料以外に、樹脂材料で構成することもできる。
【0031】
底板19は、筒状体12の下側開口を閉蓋する板状部材であり、収容空間S1の下側を画成している。底板19は、ネジ止めにより筒状体12に取り付けることができる。天板18および底板19は、バッテリーケース10に収容される蓄電池ユニット20を雨水、粉塵等から保護する。筒状体12に、天板18および底板19を取り付ける際には、バッテリーケース10の密閉性を高めるためにパッキン等の封止部材を適宜用いることができる。
【0032】
バッテリーケース10によって画成された収容空間S1には、
図3に示すように、蓄電池ユニット20が収容されている。蓄電池ユニット20は、バッテリーモジュール30(電池モジュール)と制御部40とを含んで構成されている。
【0033】
バッテリーモジュール30は、略ボックス状の外形を有し、具体的には長方形板状の外形を有する。すなわち、バッテリーモジュール30は、長辺および短辺を有し、その厚さは短辺長さより短くなっている。バッテリーモジュール30は、その長辺方向がバッテリーケース10の筒状体12の長辺方向と平行となるように設置され得る。蓄電池ユニット20は、複数のバッテリーモジュール30を含むことができ、複数のバッテリーモジュール30は隣り合うように並設したりは複数段に積み重ねたりすることができる。
【0034】
制御部40は、バッテリーモジュール30上に配置されており、本実施形態では収容空間S1の上端に配置されている。制御部40は、略直方体の外形を有する。より詳しくは、制御部40は、上下方向から見て長方形状を有しており、その長辺方向は、バッテリーケース10の筒状体12の長辺方向と平行となるように設置される。制御部40は、バッテリーモジュール30の充電および放電(または、充電および放電のいずれか一方)を制御する部分である。制御部40は、バッテリーモジュール30と図示しない配線を介して電気的に接続されている。制御部40の上面には、
図4に示すように、配線管3を介して引き込まれた配線が接続される端子台41、ブレーカ42および信号線端子43を含む各種部品が設けられている。各種部品には、蓄電状態を示すインジケータ(SOC)やアース端子線、USB端子も含まれ得る。
【0035】
バッテリーケース10によって画成された収容空間S1には、さらに、仕切りシート50(蓄電池用仕切りシート)が収容されている。本実施形態においては、仕切りシート50は、蓄電池ユニット20の制御部40の上側に配置されている。仕切りシート50は、上下方向に対して直交する方向に延びるように配置されており、天板18に沿って延在している。仕切りシート50は、上側から見て筒状体12の略全域に亘って延在しており、仕切りシート50の外縁は全体的に筒状体12の内側面に接している。それにより、仕切りシート50は、収容空間S1を上下に分断し、収容空間S1の蓄電池ユニット20(バッテリーモジュール30)側と天板18側とを仕切っている。
【0036】
仕切りシート50は、1枚のポリカーボネート製シートで構成することができる。本実施形態に係る仕切りシート50は、折り曲げ成形可能であり、折り曲げ成形された3次元的な構成を有する。
図5は、仕切りシート50の展開図を示しており、
図6は、折り曲げ成形後の仕切りシート50の3次元形状を示している。
図5に示すように、仕切りシート50は、略長方形状の展開形状を有しており、長方形状の本体部51と、一対の長辺縁部52A、52Bと、一対の短辺縁部53A、53Bとを有している。仕切りシート50の本体部51は、制御部40の上面上に載置される部分であり、その長辺方向は筒状体12の長辺方向(すなわち、制御部40の長辺方向)と平行となるように設置されている。本実施形態では、仕切りシート50は両面テープを介して制御部40の上面上に貼付されており、両面テープにより仕切りシート50が制御部40に固定されている。上述したとおり、制御部40の上面には、端子台41、ブレーカ42および信号線端子43を含む各種部品が設けられているため、各種部品に対応する本体部51の領域には開口54(または切り込み)が設けられている。それにより、仕切りシート50を設けた場合であっても、仕切りシート50を介して制御部40の各種部品の作業(たとえば結線やスイッチ操作、情報の読み取り)をおこなうことができる。また、各種部品および配線を開口54に挿通させることで、仕切りシート50と制御部40との位置合わせおよび接続を容易におこなうことができる。なお、制御部40の上面に情報(製品識別番号等)が表示されている場合には、その表示に対応する本体部51の領域に開口を設けてもよい。
【0037】
一対の長辺縁部52A、52Bは、本体部51を挟むように位置しており、筒状体12の長辺方向に沿って延びる部分である。一対の長辺縁部52A、52Bは、本体部51から上方に立ち上がるように折り曲げられ、筒状体12の長辺に相当する正面板部12aおよび背面板部12bとそれぞれ接している。一対の短辺縁部53A、53Bは、本体部51を挟むように位置しており、筒状体12の短辺方向に沿って延びる部分である。一対の短辺縁部53A、53Bは、本体部51から上方に立ち上がるように折り曲げられ、筒状体12の短辺に相当する一対の側面板部12c、12dとそれぞれ接している。
【0038】
仕切りシート50は、折り曲げたときの形状が角部を有する形状であり、折り曲げたときに長辺縁部52A、52Bと短辺縁部53A、53Bとにより4箇所の角部56が形成される。各角部56では、仕切りシート50の長辺縁部52A、52Bと短辺縁部53A、53Bとが互いに重なり合って2重になっている。特に、長辺縁部52A、52Bと短辺縁部53Bとが重なる角部56においては、短辺縁部53Bの端部53aが、長辺縁部52A、52Bの端部52aより内側になるように互いに重なり合う。仕切りシート50の各角部56は、筒状体12の角部の内側形状の湾曲に沿うように湾曲させることができる。本実施形態では、
図7に示すように、角部56において重なる短辺縁部53Bの端部53aおよび長辺縁部52A、52Bの端部52aのうち、長辺縁部52A、52Bの端部52aが筒状体12の角部の内側形状に沿うように湾曲しており、短辺縁部53Bの端部53aは、略台形状となっている。短辺縁部53Bの端部53aが長辺縁部52A、52Bと接する辺の傾斜角θと、長辺縁部52A、52Bの折り曲げ角度とを適切に調整することで、仕切りシート50の撓み(特に、短辺縁部53Bの撓み)を抑制することができる。
【0039】
仕切りシート50は、折り畳まれた状態で、筒状体12の上側開口から収容空間S1内に収容することができる。折り畳まれた状態の仕切りシート50の寸法は、本体部51の寸法とほぼ同じであるため、
図8に示すように、本体部51の寸法D3は、筒状体12の上側開口の寸法D1(より具体的にはフランジ部6により画成された開口の寸法)より小さくなるように設計される。収容空間S1内に収容された仕切りシート50は、材料の弾性によりある程度展開し、筒状体12の内側面の寸法D2とほぼ一致する寸法となる。そして、収容空間S1内に収容された仕切りシート50の外縁は、筒状体12の延在方向(上下方向)から見て、筒状体12のフランジ部6と重なる位置まで延びている。このとき、仕切りシート50の外縁は、筒状体12の内側面に対して傾いた状態で該内側面と接している。完全に展開された状態の仕切りシート50の寸法D4は、筒状体12の内側面の寸法D2より大きくなるように設計される。
【0040】
仕切りシート50は、
図3に示すように、筒状体12の側面板部12cに設けられた入線口14よりも上側に位置する。入線口14を介して収容空間S1内に引き込まれた配線を、仕切りシート50の上側に露出する端子台41に接続するために、本体部51には配線が挿通される配線口55が設けられている。配線口55は、
図5、6に示すように、筒状体12の側面板部12cに接する短辺縁部53Bに隣接して設けられている。配線口55は、略長方形状を有し、その長辺が短辺縁部53Bと平行になるように延在している。
【0041】
本実施形態においては、本体部51の配線口55にはボックス部60が取り付けられている。ボックス部60は、仕切りシート50同様、1枚のポリカーボネート製シートで構成することができる。本実施形態に係るボックス部60は、折り曲げ成形された3次元的な構成を有する。
図9は、ボックス部60の展開図を示しており、
図10は、折り曲げ成形後のボックス部60の3次元形状を示している。
図9に示すように、ボックス部60は、長方形状の本体部61と、一対の側面部62、63と、底面部64とを有している。
図10に示すように、ボックス部60の本体部61は、制御部40の側面に沿って上下方向に延びる部分であり、一対の側面部62、63は本体部61に対してほぼ直角に、制御部40から離れる向きに折り曲げられる。底面部64は、本体部61の下端から鋭角に折り曲げられた部分である。底面部64には、入線口14を介して収容空間S1内に引き込まれた配線が挿通される矩形状の切り欠き65が設けられている。
【0042】
ボックス部60は、一対の側面部62、63に設けられたフランジ部66において、仕切りシート50の本体部の配線口55の縁領域に接着することができる。ボックス部60のフランジ部66と仕切りシート50との接着には、両面テープを用いることができる。
【0043】
本実施形態においては、仕切りシート50の本体部51の配線口55には、制御部40側の長辺に沿って折り曲げ部55aが設けられている。折り曲げ部55aは、等幅であり、細長い形状を有する。仕切りシート50の折り曲げ部55aは、
図11に示すように、ボックス部60の内側(すなわち、ボックス部60の縁に被るように)成形されている。製造手順の関係で、仕切りシート50の折り曲げ部55aがボックス部60の外側に位置する状態となった場合には、その後、折り曲げ部55aの弾性を利用して、ボックス部60の内側に位置するように成形することができる。仕切りシート50の折り曲げ部55aが、
図11に示すように、ボックス部60の内側に位置することで、作業者が配線口55周りの作業をする際に、ボックス部60の縁に触れることに起因する事故(シート破損や断線、ケガ等)を未然に防ぐことができる。
【0044】
以上において説明したとおり、仕切りシート50は、筒状体12の収容空間S1の内部における蓄電池ユニット20の制御部40の上側において天板18に沿って延在して、蓄電池ユニット20の制御部40側と天板18側とを仕切っている。このような仕切りシート50によれば、修理やメンテナンスの作業の際、作業者が、天板18を開けて筒状体12の上端部開口を介して蓄電池ユニット20にアクセスするときの作業性が高められる。たとえば、仕切りシート50が設けられることで、作業者が配線や端子に接触したことに伴う事故(断線や感電等)を未然に防ぐことができる。また、仕切りシート50が設けられることで、蓄電池システム1を構成する部品や作業工具、携帯端末等が落下して、筒状体12の収容空間S1の奥まで入り込んでしまう事故も未然に防ぐことができる。
【0045】
上述した仕切りシートは、上述した形態に限らず、様々な形態を採用することができる。たとえば、バッテリーケースの筐体は、両端が開口した筒状に限らず、たとえば有底筒状や箱状等であってもよい。また、仕切りシートの縁部(たとえば長辺縁部や短辺縁部)の形状は、筒状体の内側形状に合致するように、その端部を角状にしたり湾曲状にしたりすることができる。
【0046】
上述の記載から把握されるとおり、本明細書は下記を開示している。
[付記1]
上方に向かって開いた上部開口を有する筐体と、該筐体の上部開口を塞ぐ蓋部と、前記筐体の内部に収容された電池モジュールとを備える蓄電池において、前記筐体の内部における前記電池モジュールの上側において前記蓋部に沿って延在して、前記電池モジュール側と前記蓋側とを仕切る、蓄電池用仕切りシート。
[付記2]
前記筐体が、前記上部開口の縁から内側に向けて延びるフランジ部を有する、付記1に記載の蓄電池用仕切りシート。
[付記3]
前記筐体の上方から見て、前記筐体のフランジ部と重なる位置まで外縁が延びている、付記2に記載の蓄電池用仕切りシート。
[付記4]
前記外縁が、前記筐体の内側面に対して傾いた状態で該内側面と接している、付記3に記載の蓄電池用仕切りシート。
[付記5]
折り曲げ成形可能であり、折り曲げたときの寸法が前記フランジ部で画成される開口領域より小さく、かつ、広げたときの寸法が前記筐体の寸法より大きい、付記4に記載の蓄電池用仕切りシート。
[付記6]
折り曲げたときの形状が角部を有する形状であり、該角部が2重になっている、付記5に記載の蓄電池用仕切りシート。
[付記7]
上方に向かって開いた上部開口を有する筐体と、
前記筐体の上部開口を塞ぐ蓋部と、
前記筐体の内部に収容された電池モジュールと、
前記筐体の内部における前記電池モジュールの上側において前記蓋部に沿って延在して、前記電池モジュール側と前記蓋側とを仕切る仕切りシートと
を備える、蓄電池システム。
[付記8]
前記筐体の内部における前記電池モジュールの上側に設けられた制御部をさらに備え、
前記仕切りシートは前記制御部の上面に貼付されている、付記7に記載の蓄電池システム。
[付記9]
前記仕切りシートは前記制御部の上面に両面テープで貼付されている、付記8に記載の蓄電池システム。
[付記10]
前記制御部が、前記上面に設けられた端子を有し、
前記仕切りシートが前記端子に対応する領域に該端子が挿通される開口を有し、該開口から前記端子が露出している、付記8または9に記載の蓄電池システム。
[付記11]
前記筐体の上方から見て、前記筐体の内側面は少なくとも一部が湾曲しており、
前記筐体の上方から見て、前記仕切りシートが角部を有する形状であり、該角部が前記筐体の内側形状の湾曲に沿うように湾曲している、付記7~10のいずれか一つに記載の蓄電池システム。
[付記12]
前記仕切りシートに関して前記電池モジュール側に、前記筐体の外部からの配線が入線される入線部を有し、
前記仕切りシートが、前記配線を前記電池モジュール側から前記蓋部側に引き込む配線口を有する、付記7~11のいずれか一つに記載の蓄電池システム。
【符号の説明】
【0047】
1…蓄電池システム、10…バッテリーケース、12…筒状体、18…天板、19…底板、20…蓄電池ユニット、30…バッテリーモジュール、40…制御部、50…仕切りシート、60…ボックス部、S1…収容空間。
【要約】
【課題】蓄電池内部における作業性の向上が図られた蓄電池用仕切りシートおよび蓄電池システムを提供する。
【解決手段】 仕切りシート50は、筒状体12の収容空間S1の内部における蓄電池ユニット20の制御部40の上側において天板18に沿って延在して、蓄電池ユニット20の制御部40側と天板18側とを仕切っている。このような仕切りシート50によれば、修理やメンテナンスの作業の際、作業者が、天板18を開けて筒状体12の上端部開口を介して蓄電池ユニット20にアクセスするときの作業性が高められる。
【選択図】
図3