(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】光学検出方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/45 20060101AFI20231011BHJP
C12Q 1/34 20060101ALI20231011BHJP
C09D 11/30 20140101ALI20231011BHJP
【FI】
G01N21/45 A
C12Q1/34
C09D11/30
(21)【出願番号】P 2020516958
(86)(22)【出願日】2018-06-01
(86)【国際出願番号】 EP2018064496
(87)【国際公開番号】W WO2018220189
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-05-20
(32)【優先日】2017-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518202367
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ド リール
(73)【特許権者】
【識別番号】500531141
【氏名又は名称】セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク
(73)【特許権者】
【識別番号】517449453
【氏名又は名称】アンスティテュート ナショナル ド ルシェルシュ プール ラグリキュルテュール,ラリマンタシォン エ ランヴィロンヌマン
(73)【特許権者】
【識別番号】519429406
【氏名又は名称】アンスティテュート ナショナル デ サイエンス アプリーク ド トゥールーズ(アイエヌエスエーティー)
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(72)【発明者】
【氏名】セネ,ヴァンサン
(72)【発明者】
【氏名】ヴランダ,アレクシ
(72)【発明者】
【氏名】ラマン,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】カタラ,ベルナール
(72)【発明者】
【氏名】モロー,セリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェロネーゼ,ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】ボゾネ,ソフィー
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィル,エリザベート
(72)【発明者】
【氏名】クレレ,メガーヌ
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-530940(JP,A)
【文献】特開2002-122601(JP,A)
【文献】特開2002-065274(JP,A)
【文献】特表2002-509274(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0038380(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/45
G01N 33/53
G01N 1/28
C12Q 1/34
C09D 11/30
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のポリマーの及び/又は複数のポリマーの1以上の混合物の、化合物に対する感受性を検出する為の方法であって、
該1以上のポリマー及び/又は該複数のポリマーの1以上の混合物を含む、個別化された複数のマイクロデポジット(21)を、該化合物に曝露すること、そして
該1以上のポリマー及び/又は該複数のポリマーの1以上の混合物と該化合物との間の相互作用と関連する、該化合物に曝露された1組のマイクロデポジットの外観の変化、及び/又は該化合物に曝露された該マイクロデポジットのうちの少なくとも1つの大きさ及び/又は屈折率の変化を、干渉法によって検出すること
で構成される工程を含む、前記方法。
【請求項2】
該マイクロデポジットの厚さ(h)が、適切な光で照射された際に干渉パターンの形成を可能にするように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該マイクロデポジットの最大の寸法(d)が、10μm~100μmである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
各マイクロデポジットの厚さが、1つのみの極大値をとる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
各マイクロデポジット(21)が、凸状外面を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つのマイクロデポジットの体積の変化の、干渉法による検出が行われ、体積のこの変化が、該1以上のポリマー及び/又は該複数のポリマーの1以上の混合物と該化合物との間の相互作用の影響下で起きる、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
該検出が、該干渉パターンの拡大後に行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
干渉縞の局在性から、該マイクロデポジットの体積を再構成することを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
該マイクロデポジット(21)が、ラスタードットの形態で配置される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
該マイクロデポジット(21)が、巨視的パターン(20)で配置される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
該マイクロデポジット(21)が、反射性支持体(10)上に置かれる、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
該マイクロデポジットが、疎水性支持体(10)上に置かれる、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
該化合物が酵素である、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
該1以上のポリマーが、生体ポリマーである、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
該マイクロデポジットが、樹脂を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
疎水性支持体(10)、
該支持体により担持される個別化された複数のマイクロデポジット(21)、ここで該マイクロデポジットの厚さは100nm~1500nmであり、適切な光で照射された際に干渉パターンの形成を可能にするように選択され、各マイクロデポジットは、少なくとも1つのポリマーを含む、
を備えている、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法を行う為の装置(1)。
【請求項17】
該マイクロデポジット(21)の最大の寸法が、10μm~100μmである、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
各マイクロデポジット(21)の厚さが、1つのみの極大値をとる、請求項16又は17記載の装置。
【請求項19】
各マイクロデポジット(21)が、凸状外面を有する、請求項16~18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
該マイクロデポジット(21)が、ラスタードットの形態で配置されている、請求項16~19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
該マイクロデポジット(21)が、巨視的パターン(20)で配置されている、請求項16~20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
該支持体(10)が反射性である、請求項16~21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
該1以上のポリマーが、1つの酵素又は1組の酵素によって分解可能である、請求項16~
22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
該1以上のポリマーが、生体ポリマーである、請求項16~
22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
該マイクロデポジットが、樹脂を含む、請求項16~
24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
請求項16~
25のいずれか1項に記載の装置並びに、上記ポリマーと相互作用して、該マイクロデポジットの寸法及び/又は屈折率の変化をもたらす化合物を含む、組み合わせ。
【請求項27】
該1以上のポリマーを含有するインクのドットをインクジェット印刷によって該支持体(10)上に堆積させて、該マイクロデポジット(21)を形成することを含む、請求項16~
25のいずれか1項に記載の装置を製造する為の方法。
【請求項28】
請求項
27に記載の方法を行う為のインクを充填されるインクジェットプリンタカートリッジであって、該インクが、
ポリマー、
結合剤、並びに
該インクの乾燥中に凸状のマイクロデポジットの形成を許すように選択される有機共溶媒であって、該有機共溶媒はDMSOである、
を含む、前記インクジェットプリンタカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1以上のポリマーの、化合物に対する感受性、特に1以上の生体ポリマーの、酵素に対する感受性、の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
本書類の残りの部分において、本発明に従うと、語「ポリマー」は、その構造が結晶質、非結晶質、又は混成(非結晶質及び結晶質)でありうる、天然若しくは合成のホモ重合性若しくはヘテロ重合性ポリマー、又は上記の通り定義される「ポリマー」の混合物を云う。
【0003】
本発明に従うポリマー(単体又は混合物)は、該ポリマーの(又はポリマー混合物の)鎖間に共有結合を生じさせる化学剤で補充されうる。この化学剤は、結合されるべき鎖に依存して、熱硬化性樹脂でありうる。語「樹脂」は、熱、光学、又は化学型のエネルギー入力を介して、「ポリマー」と共有結合を形成する能力を有する化学物質を云う。
【0004】
語「化合物」は、「ポリマー」デポジット(deposit)の屈折率及び/又は幾何学的形状を、化学的又は物理的に改変する能力を有する化学剤又は生物剤を云う。多くの技術的分野及び工業的分野において、天然ポリマー又は合成ポリマーに対する分解活性を有する酵素の同定及び研究は、主要な課題である。
【0005】
例えば、或る分解酵素、例えば加水分解酵素、は、リグノセルロースに富むバイオマスからバイオ燃料を生産する為の必須のツールである。
【0006】
より正確には、植物細胞壁は、絡み合うポリマー(セルロース、ヘミセルロース、リグニン、ペクチン等)から形成される複雑な構造であり、分解酵素は、他の用途の中でも特に、例えばセルロース及びヘミセルロース鎖を、バイオエタノールを製造する為に発酵されることを意図された糖に切断する為に使用される。
【0007】
この目的の為に、ポリマー又はポリマーの組み合わせに対する、1つの酵素の又は複数の酵素の組み合わせの分解活性の、迅速、簡単且つ信頼性のある検出を可能にする技術的装置を使用することが有利である。
【0008】
酵素活性を明らかにする為に、化学反応を使用する専用の比色装置を使用することは、特に一般的な実務である。これらの比色装置は、この目的の為に、化学検出用の色素又は指示薬を使用する。
【0009】
既存の酵素試験の大部分は、酵素の作用の下で蛍光又は着色物質に転化される基質(例えばポリマー)がウェルに添加されるマルチウェルプレートフォーマット内で、酵素、又は酵素を発現する微生物の型を研究することを可能にする。このフォーマットは、修飾された基質の生成(蛍光分子の又は着色化学化合物の付加)を必要とする。発色性試薬を添加することによって、反応生成物の存在を明らかにすることがまた可能である。これらの2つの事例において、材料の量は、最少で数マイクロリットルである。それは、高度で且つ高価な自動化された手段、及び極めて感度の高い光子センサを必要とする。
【0010】
従って、1以上のポリマーに対する加水分解活性を検出する為の比色装置は、しばしば使用が複雑であり、且つ多くの操作及び試薬を必要とすることが多い。発色性の基質又は試薬が用いられない場合、分析手段、例えば質量分析法、クロマトグラフィー、赤外分光法、又は核磁気共鳴法、を使用する必要がある。これらのツールの多くの利点(感度、触媒作用の検出の特異性)にもかかわらず、それらは、それらの使用の為に高価な機材及び特定の専門知識を必要とする。
【0011】
他の装置は、ポリマーの分解活性を検出する為に、干渉法を使用する。
【0012】
これらの装置は、この目的の為に、反射性支持体(慣用的ににシリコン)上に施与されたポリマーの、少なくとも1つの透明薄膜を含む。この透明膜の厚さは、入射光線の一部が空気/膜界面で反射されるのに対して、入射光線の他の部分は屈折され、そして次に膜/支持体界面で反射されるという事実によってもたらされるところの光学的干渉現象に起因する特定の色の外観を可能にする値の範囲内である。反射光線の及び屈折光線の干渉は、干渉パターンを生じさせる。結果として生じる色は、建設的干渉が最大である波長に対応する。
【0013】
この種の装置は仏国特許出願公開第2962545号明細書に記載されており、それは特には、上記反射性支持体上に堆積される透明薄膜の材料を主として構成するポリマー、典型的には多糖、に対する加水分解活性を検出するように意図される。
【0014】
実施された研究は、数十分間のインキュベーション時間について、この方法は、酵素の同定において慣用的に使用される方法よりも125~1000倍低い感度閾値(sensitivity threshold)を有することを示した。
【0015】
しかしながら、この方法は、或る限界を有する。
【0016】
特には、光の干渉が現れることを可能にする為に支持体表面の大部分がポリマーで被覆され且つ連続的に被覆されなければならない故に、薄膜の製造中に材料の実質的な損失を引き起こす。遠心塗布技術を使用することによって、材料の損失はかなりあり(90%超)、それは工業化の観点から、又は試験されるポリマーが非常に少量しか入手できない場合に、主な欠点である。
【0017】
支持体ごとに単一のポリマー又は複数のポリマーの単一混合物を広げることはまた、この方法の限界を表す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、上記欠点の全て又は一部を克服し、且つ特に、多量のポリマーを必要としない、酵素活性を検出する為の新規な方法が必要とされている。
【0019】
本発明はまた、必要に応じて、例えば加水分解速度を監視することによって、酵素によるポリマーの加水分解を精密且つ定量的に測定する為の、関連する方法を提供することに向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
検出方法
第1の主題に従うと、本発明は、1つのポリマー又は複数のポリマーの混合物の、化合物、例えば1以上の酵素、に対する感受性を検出する為の方法であって、
該一つのポリマー又は該複数のポリマーの混合物を含む、個別化された複数のマイクロデポジット(micro-deposits)を、該化合物に曝露すること、そして
該一つのポリマー又は該複数のポリマーの混合物と該化合物との間の相互作用と関連する、該化合物に曝露されたマイクロデポジットの組み合わせの外観の変化、及び/又は該化合物に曝露された該マイクロデポジットのうちの少なくとも1つの大きさ及び/又は屈折率の変化を検出すること
で構成される工程を含む上記方法に関する。
【0021】
本発明はまた、1以上のポリマーの及び/又は複数のポリマーの1以上の混合物の、化合物に対する感受性を検出する為の方法であって、
該1以上のポリマー及び/又は該複数のポリマーの1以上の混合物を含む、個別化された複数のマイクロデポジットを、該化合物に曝露すること、そして
該1以上のポリマー及び/又は該複数のポリマーの1以上の混合物と該化合物との間の相互作用と関連する、該化合物に曝露されたマイクロデポジットの組み合わせの外観の変化、及び/又は該化合物に曝露された該マイクロデポジットのうちの少なくとも1つの大きさ及び/又は屈折率の変化を、干渉法によって検出すること
で構成される工程を含む上記方法に関する。
【0022】
1以上のマイクロデポジットの表面は、適切な光、好ましくは単色光、で照射されることができる。
【0023】
本発明に従うマイクロデポジットは、単層(すなわち、単一の層を含む)であり得、及び/又は多層(すなわち、幾つかの重ねられた層を含む)でありうる。
【0024】
各層は、上記1つのポリマー又は上記複数のポリマーの混合物を含みうる。
【0025】
上記マイクロデポジットが単層である場合、この単層は、上記1つのポリマー又は上記複数のポリマーの混合物を含む単一ブロックの形態でありうる。該単層は、支持体上に置かれ、好ましくは上記支持体と接触して置かれる。好ましくは、この単層は、レンズ状である。
【0026】
上記マイクロデポジットが多層である場合、この多層は、2枚の層、特にコアシェル構造を有する2枚の層、を有しうる。次いで、該マイクロデポジットは、コアに対応する第1の層と、シェルに対応する第2の層とを有しうる。
【0027】
上記第1の層は、支持体上に、好ましくは上記支持体と接触して、置かれ得、且つレンズ状でありうる。
【0028】
上記第2の層は、上記第1の層を少なくとも部分的に、好ましくは全体的に、被覆し得、且つ該第1の層の形状を補完する形状を有しうる。
【0029】
上記第1の層及び上記第2の層は、それぞれ、内面と云われる支持体に面する面、及び支持体に面する面と反対側の面(外面として知られる)を有しうる。
【0030】
好ましくは、上記第1の層の上記内面は、上記支持体と接触している。
【0031】
好ましくは、上記第1の層の上記外面は、凸状であり、且つ上記第2の層の内面と接触している。
【0032】
コアシェル構造を有する2枚の層を含むマイクロデポジットは、例えば第1のポリマーを1つのみ含むコア、及び例えば該第1のポリマーと異なる第2のポリマーを1つのみ含むシェルを有し得、又は幾つかのポリマーを含むコア、及び幾つかのポリマーを含むシェルを有し得、又は1つのみのポリマーを含むコア、及び幾つかのポリマーを含むシェルを有しうる得、又は代替的に、幾つかのポリマーを含むコア、及び1つのみのポリマーを含むシェルを有しうる。
【0033】
選択されるマイクロデポジットの種類は、意図される用途に適合される。
【0034】
好ましくは、上記マイクロデポジットの厚さは、該マイクロデポジットが適切な光で照射される際に干渉パターンの形成を可能にするように選択される。
【0035】
上記相互作用は、化合物に曝露されていない隣接するマイクロデポジットに相対的な、マイクロデポジットの組み合わせの、肉眼で見えるコントラストの出現を伴い得、且つまた、低い倍率、例えば×5以上、例えば×20、で観察可能である、各マイクロデポジットについての干渉パターンの変化を伴いうる。
【0036】
このコントラストの出現は、1以上のポリマーの、好ましくは1つのポリマー、の、化合物に関する感受性を実証する為の、迅速且つ簡便な手段を構成する。
【0037】
干渉パターンの変化は、相互作用を測定する為の、より精度の高い手段を提供する。
【0038】
1以上のマイクロデポジットを化合物に曝露する工程は、室温で、インキュベーションする期間を含み得、それは例えば1~240分間持続しうる。この工程の後に、洗浄工程及び乾燥工程が続きうる。
【0039】
1以上のポリマーと化合物との間の相互作用が化合物による1以上のポリマーの分解を引き起こす場合、1以上のポリマーを含むマイクロデポジットの体積は減少するだろう。該1以上のポリマーが、該1以上のポリマーが接触して置かれるところの化合物に対して感受性を有さない場合、該1以上のポリマーを含むマイクロデポジットは、その体積及びその形状を実質的に維持するだろう。
【0040】
好ましくは、1つのポリマーと化合物と間の相互作用が該化合物による該1つのポリマーの分解を引き起こす場合、該1つのポリマーを含むマイクロデポジットの体積は減少するだろう。該1つのポリマーが、該1つのポリマーが接触して置かれるところの化合物に対して感受性を有さない場合、該1つのポリマーを含むマイクロデポジットは、その体積とその形状を実質的に維持するだろう。
【0041】
少なくとも1つのマイクロデポジットの体積の変化の検出が、なかんずく、観察される干渉パターンの変化の観察によって干渉法によって行われ得、体積のこの変化が、該1以上のポリマー及び/又は該複数のポリマーの1以上の混合物と該化合物との間、好ましくは該1つのポリマー又は該複数のポリマーの1つの混合物との間、の相互作用の影響下で起きる。好ましくは、この検出は、干渉パターンtの拡大後に行われる。
【0042】
干渉法による検出は、干渉縞の局在性からの、マイクロデポジットの体積の再構成を有利には伴う。
【0043】
従って、干渉法による検出は、化合物に関するポリマーの感受性に対して、より定量的なアプローチを可能にする。
【0044】
該マイクロデポジットの厚さは好ましくは、100nm~1500nm、さらに良好には100~1000nmであり、各マイクロデポジットの厚さは有利には、1つのみの極大値をとる。
【0045】
従って、一つの実施態様に従うと、各マイクロデポジットは凸状外面を有する。
【0046】
該マイクロデポジットの最大の寸法は好ましくは、10μm~100μmである。
【0047】
好ましくは、該マイクロデポジットは、実質的に円形の輪郭を有する。
【0048】
マイクロメートル規模のマイクロデポジットは好ましくは、ミリメートル規模の、肉眼によって互いに識別可能である巨視的パターンを形成するように堆積される。これらの巨視的パターンは好ましくは、互いに分離されており、且つ切り離されている。
【0049】
巨視的パターンは、自動堆積用のマルチウェルグリッド、例えば96ウェルグリッド、のウェル様に配置されうる。
【0050】
これは、巨視的パターン上に1以上の試験化合物を堆積させる為の、自動化されたツールの使用、そして次に、各ウェルにおける反応の観察と同様に、各巨視的パターンに関する任意の外観変化の分析を容易にすることができる。
【0051】
好ましい実施態様に従うと、該マイクロデポジットは、ラスタードット(古典的又は確率的)の形態で配置され、該ラスタードット間の間隔は好ましくは、25cm(近点)の距離で、肉眼で連続する、マイクロデポジットによって形成される被膜が巨視的パターンに出現するのに十分小さい。ラスターは、マイクロデポジットの寸法であり得、規則的でありうる。言い換えれば、各マイクロデポジットは肉眼で識別され得ないことがあるが、巨視的パターンは肉眼で識別できる。
【0052】
該マイクロデポジットのそのような配置を生じさせる為の多くの技術が存在する:フォトリソグラフィー(Rao等、2014年)、マイクロコンタクト(Voskuhl等、2014年)、及びインクジェット印刷(小室等、2013年)。周期的でありうる配置は特に、マイクロデポジットのネットワーク(network)又はマトリックス(matrix)の形でありうる。
【0053】
好ましい実施態様に従うと、該マイクロデポジットは、インクジェット印刷によって得られる。
【0054】
インクジェット印刷の利点は、(i)少ない吐出体積の値(ピコリットル規模の体積、液体の特性又は吐出パラメータに従って調節可能、高密度のマイクロデポジットを可能にする)、(ii)固体支持体との接触がないこと(支持体及び/又はプリントヘッドのあらゆる損傷を排除する)、(iii)プリントヘッド外部のインクリザーバ(ink reservoir)の存在、それは、インクが切れる前にマイクロデポジットの、数千の巨視的パターンを生じさせることを可能にし、それはデポジットの再現性を大幅に向上させる、及び(iv)速い印刷速度、例えば最大で1秒間に500液滴までである。
【0055】
該マイクロデポジットが置かれる支持体は、硬くても又は柔らかくてもよく、且つ平坦であっても又は平坦でなくてもよい。
【0056】
該支持体は好ましくは、無孔質であり、且つ平滑である。
【0057】
変形例として、該支持体は、濡れ性を制御するようにナノ構造化される。
【0058】
一つの実施態様に従うと、該支持体は、反射特性を備えた上面を有する、不透明又は透明な材料からなる。これは、反射光において観察可能な干渉の形成を容易にしうる。
【0059】
本明細書において、語「反射」は、正反射型(specular type)の、光の全反射又は部分反射を云う。該反射は好ましくは、可視領域の波長範囲と関連する。
【0060】
該支持体は有利には、シリコンウェハからなる。
【0061】
好ましくは、該マイクロデポジットは、疎水性支持体上に置かれる。該支持体の疎水性は、印刷中に、液滴の合体化のリスクを低下させ、そして親水性表面上での厚さよりも厚いデポジットを生成することを可能にする。
【0062】
該支持体は、当業者に知られている任意の技術を介して疎水性にされうる。
【0063】
ペルフルオロ化合物、例えばペルフルオロカーボン基を有する化合物、での処理が行われうる。例えば、C4F8ガスでの処理が言及されうる。
【0064】
変形例として、ペルフルオロデシルトリクロロシラン(FDTS:perfluorodecyltrichlorosilane)での処理が行われる。
【0065】
別の変形例において、湿式処理が、例えば下記の特異性に従って調製される溶液中に、該支持体を2~18時間の期間浸漬させ、引き続き乾燥させることによって行われる。
【0066】
【0067】
該支持体は、100nm以下の厚さの疎水性被膜を有し得、その上にマイクロデポジットが生成される。
【0068】
1以上のポリマー及び/又は複数のポリマーの1以上の混合物と、好ましくは1つのポリマー又は複数のポリマーの1つの混合物との相互作用が研究される化合物は典型的には、1つの酵素又は1組の酵素であり、該化合物と該1以上のポリマーとの間の、好ましくは該化合物と該1つのポリマーとの間の、上記相互作用は好ましくは、化合物による1以上のポリマーの、好ましくは1つのポリマーの、酵素分解、特に酵素加水分解、である。
【0069】
該1以上のポリマーは、1つの酵素又は1組の酵素によって分解可能でありうる。
【0070】
特に好適な酵素として、加水分解型の酵素が言及されうるが、これに限定されない。
【0071】
該マイクロデポジットを化合物に曝露する工程の間、上記化合物は好ましくは、溶液中、特に水性溶液中、にある。
【0072】
それが酵素である場合、上記酵素は典型的に、酵素加水分解に好適である条件の下、水性溶液中にある。
【0073】
語「酵素加水分解」は、生化学加水分解反応を触媒する、加水分解型の酵素によって行われる機構を云う。
【0074】
加水分解型の酵素の中で、生体ポリマーに対して加水分解活性を有する酵素が特に言及されうる。
【0075】
生体ポリマーを加水分解することができるこれらの酵素の中で、ポリマーの還元性又は非還元性の末端の攻撃の機構で作用する際にグリコシダーゼを含む(又は「エキソ」機構を介して作用する)グリコシドヒドロラーゼ、及びまた、ポリマーの内部結合を加水分解することができる(「エンド」機構で作用する)酵素が特に言及されうる。
【0076】
語「グリコシドヒドロラーゼ」は、なかんずく、キシラナーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、ペクチナーゼ、マンナーゼ、及びCellulyve(登録商標)を含む。
【0077】
生体ポリマー加水分解酵素の中で、プロテアーゼ、エステラーゼ、ヌクレアーゼ、及びリグニナーゼが言及されうる例である。
【0078】
本発明の方法において研究される1つのポリマー又は複数のポリマーの1つの混合物は好ましくは、該1つのポリマー又は該複数のポリマーの1つの混合物が存在する上記デポジットの層の総重量に対して99.5重量%~95重量%の含有量でマイクロデポジット中に存在する。
【0079】
好ましくは、本発明の方法において研究される1つのポリマーは好ましくは、上記デポジットの総重量に対して99.5重量%~95重量%の含有量でマイクロデポジット中に存在する。
【0080】
1以上のポリマー、好ましくは1つのポリマー、は、生体ポリマーから選択されうる。
【0081】
そのような生体ポリマーは、分離された形態(すなわち、別個のポリマー鎖)で、凝集された状態(すなわち、絡み合ったポリマー鎖)で、又は結晶化状態(すなわち、規則的な繰り返しパターンで組織されるポリマー鎖)でありうる。
【0082】
1以上のポリマーは、生体ポリマー、特にオリゴ糖及び多糖、例えばセルロース、キシラン、ペクチン、キトサン、キチン、キシログルカン、ベータ-グルカン、及びアラビノキシラン;ペプチド及びタンパク質、例えばウシ又はヒトの血清アルブミン、及びグルテニン;核酸、例えばデオキシリボ核酸及びリボ核酸;クチン、スベリン、並びにリグニンからなる群から選択される生体ポリマー、でありうる。
【0083】
好ましくは、該1つのポリマーは、生体ポリマー、特にオリゴ糖及び多糖、例えばセルロース、キシラン、ペクチン、キトサン、キチン、キシログルカン、及びアラビノキシラン;ペプチド及びタンパク質、例えばウシ又はヒトの血清アルブミン、及びグルテニン;核酸、例えばデオキシリボ核酸及びリボ核酸;クチン、スベリン、並びにリグニンからなる群から選択される生体ポリマー、である。
【0084】
複数のポリマーの1つの混合物は、生体ポリマー、特にオリゴ糖及び多糖、例えばセルロース、キシラン、ペクチン、キトサン、キチン、キシログルカン、β-グルカン、及びアラビノキシラン;ペプチド及びタンパク質、例えばウシ又はヒトの血清アルブミン、及びグルテニン;核酸、例えばデオキシリボ核酸及びリボ核酸;クチン、スベリン、並びにリグニンからなる群から選択される生体ポリマー、を含みうる。
【0085】
1以上のポリマー、好ましくは1つのポリマー、は有利には、支持体上に固定化される。
【0086】
この固定化は、(i)共有結合性又は「化学」型(架橋)の結合、及び/又は(ii)非共有結合性又は「物理」型(静電、水素、ファンデルワールス力)の結合によって生成されうる。
【0087】
上記(i)の場合、マイクロデポジットは、例えば、デポジットの総重量に対して0.5重量%~5重量%の含有量で存在する樹脂を含み、この樹脂は好ましくは、熱硬化性樹脂、例えばメラミンホルムアルデヒド、である。
【0088】
そのような樹脂の選択及び実施について、下記の文献が参照されうる:Ducere等 Sensors and Actuators B:Chemical 2005年,106(1),331-334、Wu等 Separation and Purification Technology 2009年,68(1),97-104、及びSchuler等 Biomacromolecules 2001年,2(3),921-926。
【0089】
例えば、メラミン-尿素-ホルムアルデヒド樹脂又はメラミン-ホルムアルデヒド樹脂(「MUF」(melamine-urea-formaldehyde)又は「MF」(melamine-formaldehyde)とまた云われる)との架橋は、以下の利点を有する:
-該架橋反応は、多数の化学官能基(アルコール、アミン、フェノール)と行われ得、従って多数のクラスの生体ポリマーを架橋することを可能にする、
-水溶性樹脂製剤が存在する、
-架橋が単純である:モノマーは室温で安定であり、且つ該モノマーは、膜が乾燥雰囲気下で1時間、90℃にさらされた際に反応し、この処理は、大部分の生体ポリマーに適合する。
【0090】
化合物が酵素であるところの実施態様において、本発明に従う方法は、試験されるべき酵素の数が多く且つ試験の費用が低減された状況において、天然ポリマーの又は複数のポリマーの複数の混合物の酵素分解活性、典型的には生体ポリマー、例えば多糖又はリグニン、の酵素分解活性、又は合成ポリマーの酵素分解活性を分析することを可能にする。本発明は、何らかの特別な機材無しに、肉眼で実地試験を行うことを可能にする。
【0091】
本発明は、1)1つのポリマー又は複数のポリマーの1つの混合物を最も効率よく分解する1つの化合物又は複数の化合物の1つの混合物を同定すること、及び2)1組の化合物又は複数の化合物の1つの混合物を、1つのポリマー又は複数のポリマーの1つの混合物の分解のそれらの速度論に関連して分類することを可能にする。
【0092】
本発明は、所望される場合、干渉法による検出手段で、酵素反応に起因する分解によって誘発された固体デポジットの体積損失まで戻すことを可能にする。それは、単純顕微鏡を使用する実験室の状況で半定量的に、又は実地で肉眼によって定性的に、のいずれかでそのようにすることを可能にする。
【0093】
本発明の好ましい実施の変形例に従う方法の利点は、下記の通りである:
-単一の酵素又は複数の酵素の混合物を研究する可能性、
-異なる組成の1組のポリマー又は複数のポリマーの複数の混合物を、同一の支持体上に、同一のパターンで、又はある巨視的パターンから別のパターンへ堆積させる為の能力、
-マーカーを使用すること無しに酵素-ポリマー相互作用の検出、
-同等のインキュベーション時間について、蛍光性基質又は発色基質を使用する慣用的な生化学技術の感度と同等以上に良好な感度レベル
-試験される試料の種類(炭水化物のデポジットの物理化学的特性)に応じて検出ダイナミクス(dynamics)を調節する可能性、
-2つの分析レベルの統合:a)加水分解の有無を可視化することを可能にする巨視的分析、b)酵素の活性に関する半定量的データを抽出することを可能にする微視的分析。
【0094】
微生物生態系又は分離株の機能的診断の文脈において、迅速に結果を出す、低コストで、ディスポーザブルな酵素試験を製造する為の能力は、否定しがたい関心事である。特には、環境用途(汚染ポリマーの分解性能)を目的とするか、人間の健康(日和見性の常在菌若しくは病原体による腸粘液の分解)に関するか、又は動物の栄養(消化生態系によるか、若しくはエネルギー効率を高める為に飼料に添加される外因性酵素混合物による食物繊維の分解性能)に関するかにかかわらず、ポリマーの分解活性の半定量アッセイは、(環境レベルでの、又は人間若しくは動物の生態系である場合は宿主の健康の為の)受益を最適化する為に、生態系の特徴付け及びエンジニアリングにとって必要条件である。
【0095】
或る産業部門(繊維、人間及び動物の栄養物)での酵素の現在の使用は、製造中に最終製品の適合性を確認する為の試験が行われることを必要とし、従って、本発明に従う方法は、品質管理にまた適用されることがわかっている。
【0096】
装置
本発明はまた、
支持体、
該支持体により担持される個別化された複数のマイクロデポジット、ここで、該マイクロデポジットの厚さは、適切な光、好ましくは単色光、で照射された際に干渉パターンの形成を可能にするように選択され、各マイクロデポジットが少なくとも1つのポリマーを含む、
を備えている装置、特に上記で定義されている方法を行う為の装置に関する。
【0097】
本発明はまた、
支持体、
該支持体により担持される個別化された複数のマイクロデポジット、ここで、各マイクロデポジットは、適切な光、特に単色光、で照射された際に干渉パターンを形成させ、各マイクロデポジットが少なくとも1つのポリマーを含む、
を含む、上記で定義された本発明に従う方法を行う為に特に好適な装置に関する。
【0098】
1以上のマイクロデポジットの表面は、適切な光、好ましくは単色光、で照射されることができる。
【0099】
上記方法に関して先に記載された本発明の特徴はまた、上記の装置に対しても有効であり、逆もまた同様である。
【0100】
組み合わせ(Assembly)
本発明の主題はまた、本発明に従う装置並びに、上記1つのポリマーと相互作用して、該マイクロデポジットの寸法及び/又は屈折率の変化をもたらす化合物を含む、組み合わせである。この変化は、該ポリマーと化合物との間の酵素分解反応に起因しうる。
【0101】
本発明はまた、本発明に従う装置並びに、上記1以上のポリマーと相互作用して、マイクロデポジットの寸法及び/又は屈折率の変化をもたらす化合物を含む、組み合わせに関する。この変化は、該1以上のポリマーと化合物との間の酵素分解反応に起因しうる。
【0102】
装置を製造する為の方法
本発明は、上記1以上のポリマーを含有するインクのドットを、インクジェット印刷によって上記支持体上へ堆積させて、上記マイクロデポジットを形成することを含む、本発明に従う装置を製造する為の方法に関する。
【0103】
本発明はまた、上記ポリマーを含有するインクのドットを、印刷によって上記支持体上へ堆積させて、上記マイクロデポジットを形成することを含む、本発明に従う装置を製造する為の方法に関する。
【0104】
好ましくは、印刷技術は、インクジェット型である。
【0105】
好ましい実施態様に従うと、この製造方法は、インクのドットを個別化された固体マイクロデポジットに転換するように、インクを架橋することを含む。
【0106】
該方法は、上記マイクロデポジットの厚さを調節してその凸形状を得、且つ厚さの均一性を変更する為に、該マイクロデポジットを印刷する前に支持体の濡れ性を変更することを含みうる。
【0107】
上記装置を製造する為の方法の変形例に従うと、支持体上への印刷による堆積は、多層マイクロデポジットを得る為に、空間的に重畳される連続的な幾つかの通過工程で行われ、各通過工程は、インクの層を堆積することを可能にする。
【0108】
好ましくは、通過工程の数は、2に等しい。これは、特にコア-シェル構造を有する、重畳された2枚の層を含むマイクロデポジットを支持体上に形成することを可能にする。この場合、該マイクロデポジットは、コアに対応する第1の層と、シェルに対応する第2の層とを有する。
【0109】
上記第1の層は、上記支持体上に、好ましくは該支持体と接触して、置かれ得、且つレンズ状でありうる。
【0110】
上記第2の層は、上記第1の層を少なくとも部分的に、好ましくは全体的に、被覆し得、且つ該第1の層の形状を補完する形状を有しうる。
【0111】
第1の工程において、第1の通過工程の間、上記第1の層は、上記支持体上に、好ましくは該支持体と接触して、堆積される。
【0112】
第2の工程において、第2の通過工程の間、上記第2の層は、上記第2の層が少なくとも部分的に、好ましくは全体的に、上記第1の層を被覆するように堆積される。
【0113】
上記第2の層の堆積は好ましくは、上記第1の層が架橋される際に行われる。
【0114】
従って、第1の層と第2の層とにおいて異なるインクを使用することによって、異なる性質の層で構成される、例えば、それぞれが異なるポリマー又は、異なる比の混合ポリマーを含む、マイクロデポジットを得ることが可能である。
【0115】
多層マイクロデポジットの厚さは好ましくは、100nm~1500nm、さらに良好には100~1000nm、であり、各多層マイクロデポジットの厚さは有利には1つの極大値をとる。
【0116】
多層マイクロデポジットの最大の寸法は好ましくは、10μm~100μmである。
【0117】
多層マイクロデポジットの上記第1の層の厚さは好ましくは、30nm~1300nm、さらに良好には70nm~800nm、である。
【0118】
多層マイクロデポジットの上記第1の層の最大の寸法は好ましくは、5μm~95μmである。
【0119】
水性インク
本発明の主題はまた、本発明に従う装置を製造する為の方法を行うのに特に好適なインク、好ましくは水性インク、であって、
-1以上のポリマー、好ましくは1つの「ポリマー」、
-結合剤、好ましくは樹脂、特にはメラミン-ホルムアルデヒド、及び
-該インクの乾燥中に凸状のマイクロデポジットの形成を許すように選択される有機共溶媒、好ましくはジメチルスルホキシド(DMSO)
を含む上記インクである。
【0120】
好ましくは、該インク中のポリマー含有量は、インクの体積に対して1mg/mL~10mg/mLである。
【0121】
複数のポリマーの1つの混合物の場合、該混合物中の各ポリマーの割合は、意図される用途に応じて選択される。
【0122】
好ましくは、該インク中の樹脂含有量は、該インクの体積に対して0.01mg/mL~0.1mg/mLである。
【0123】
1以上のポリマー/樹脂の比は、100~300でありうる。
【0124】
1以上のポリマー/樹脂の比は好ましくは、200に等しい。
【0125】
20℃での該インクの粘度は好ましくは、5mPa.s~20mPa.sであり、優先的には15mPa.s±3mPa.sに等しく、例えば17mPa.s、に等しい。
【0126】
表面張力は例えば、62mN.m-1、好ましくは70mN.m-1未満、である。
【0127】
上記インクは好ましくは、インクジェットプリンタカートリッジ内に充填される。
【0128】
上記インクは、少なくとも1つの膜形成剤を含み得、該剤は、上記マイクロデポジットの容易な形成を可能にする。
【0129】
上記膜形成剤は例えば、ポリアリルアミン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、及びそれらの共重合体から選択される。
【0130】
優先的には、上記膜形成剤は、ポリ(アリルアミン)塩酸塩(PAH:poly(allylamine) hydrochloride)である。
【0131】
上記インク中の膜形成剤の含有量は優先的には、0体積%~10体積%である。
【0132】
上記インクは、少なくとも1つの触媒剤を含み得、この剤は、上記マイクロデポジットの架橋を容易にすることを可能にする。
【0133】
上記触媒は、上記マイクロデポジットの形成に必要とされるアニーリング温度に対するその影響に応じて選択されうる。
【0134】
上記触媒は、例えば、酸から選択される。
【0135】
優先的には、上記触媒は、塩酸である。
【0136】
上記インク中の触媒の含有量は優先的には、0体積%~10体積%である。
【0137】
上記インクは好ましくは、顔料又は色素を含まない。
【0138】
有機共溶媒の存在は、上記インクの乾燥中の「コーヒーの染み」効果を避ける為に有用であり、該支持体上に均一でない厚さのデポジットが形成をもたらす。なかんずく、DMSO以外の溶媒、例えばエチレングリコール又はN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)がありうる。
【0139】
上記インクは、インクジェットプリンタカートリッジ内に充填されうる。
【0140】
本発明は、その実施の非限定的な実施例に関する下記の詳細な説明を読むことで、且つまた添付の図面を検討することによってより明確に理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【
図1】
図1は、本発明に従う装置の例の平面図(top view)を表す。
【
図2】
図2は、拡大された尺度の巨視的パターンを模式的に表す。
【
図3】
図3は、マイクロデポジットの形成の詳細を表す。
【
図4】
図4は、マイクロデポジット上の干渉縞の形成を示す。
【
図5】
図5は、加水分解反応を検出する為の装置の使用を示す。
【
図6】
図6は、マイクロデポジットに対する化合物の効果を示す。
【
図7】
図7は、本発明に従う装置を用いて行われた酵素活性試験を示す。
【
図8】
図8は、本発明に従う装置を用いて行われた酵素活性試験を示す。
【
図9】
図9は、本発明に従う装置を用いて得られた、様々なインキュベーション期間での酵素活性の比較である。
【発明を実施するための形態】
【0142】
図1は、本発明に従う装置1の例を示し、該装置1は支持体10を含み、該支持体10は例えば、疎水性にされたシリコンウェハであり、該支持体10の上に、慣用的なウェルプレートのウェルのX及びY方向に対応するX及びY方向にそれぞれ間隔D
X及びD
Yで置かれる、例えば正方形の、形態で巨視的パターン20が形成される。
【0143】
巨視的パターン20の辺Dは例えば、3~5ミリメートルであり、且つ値DX及びDYはまた例えば、3~5ミリメートルである。
【0144】
ミリメートル規模の大きさを有する各巨視的パターン20は、マイクロデポジット21のラスターから形成され、これらのマイクロデポジットは、各巨視的パターン20に対して肉眼で均一な外観を与えるほど十分に近接する。例えば、X方向における間隔dx及びY方向における間隔dyは、50マイクロメートル~340マイクロメートル、より良好には50マイクロメートル~100マイクロメートル、であり、マイクロデポジット21の直径dは例えば、10マイクロメートル~100マイクロメートルであり、且つその高さh(これは厚さに相当する)は、100nm~1500nmである。
【0145】
考察中の例において、マイクロデポジット21は、インクジェット印刷によって均一な間隔で堆積される。インクは、凸状外面の形成に好適な組成を有する。
【0146】
マイクロデポジット21は、支持体10との屈折率の差異、及びまた支持体10の反射特性に起因して、
図4に説明されているように、干渉縞、例えばニュートンリング、の形成を可能にする。これらの干渉パターンは、白色光又は単色光で装置1を照射することによって、顕微鏡で観察されうる。
【0147】
装置1は、
図5に説明されているように、各巨視的パターン20上に試験化合物の液滴Gを堆積させることによって使用されうる。加水分解によるポリマーの分解反応が起こるか否かに応じて、巨視的パターン20の外観の変化が肉眼で観察されうる。
【0148】
図5は、上部中央において、酵素とポリマーとの間の反応がなく、加水分解反応がない状況を示し、左下において、酵素の検出を可能とする加水分解が部分的である場合を示し、又は右下において、上記加水分解が全体に及ぶ場合を示す。この定性的手法は、干渉パターンの観察による定量的アプローチによって完了されうる。
【0149】
特には、部分的加水分解の場合、干渉法によって検出されうる干渉パターンの変更は、加水分解反応によって分解されたマイクロデポジットの体積を算出することを可能にする。完全な加水分解の場合、該マイクロデポジットは、完全に破壊される。
【実施例】
【0150】
実施例1
検出装置の製造
ポリマーに関して様々な酵素又は複数の酵素の混合物を試験する為の本発明に従う装置は、先に説明された製造方法に従って用意された。
【0151】
第1の工程:インクの調製
インクジェット印刷に好適な第1の水性インク組成物は、使用されるポリマーがアラビノキシランである、下記の特定に従って調製された。
【0152】
【0153】
組成物1の変形例1に従って得られたインクの粘度は、(吐出温度20~30℃で)17mPa.sであり、且つ表面張力は、(吐出温度で)約60N/mである。
【0154】
組成物1の変形例1の場合、ポリマー/樹脂の比は、200(5/0.025)である。
【0155】
組成物1の変形例2の場合、ポリマー/樹脂の比はまた、200(3/0.015)である。
【0156】
下記において、使用されるポリマーがベータ-グルカンである第2の組成物、並びに使用されるポリマーがアラビノキシラン及びベータ-グルカン(複数のポリマーの50%/50%混合物を有するインク)である第3の組成物が本発明の例として示されている。
【0157】
【0158】
組成物2の変形例1の場合、ポリマー/樹脂の比は、280(7/0.025)である。
【0159】
組成物2の変形例2の場合、ポリマー/樹脂の比はまた、200(3/0.015)である。
【0160】
【0161】
組成物3の変形例1の場合、ポリマー/樹脂の比は、200((2.5+2.5)/0.025)である。
【0162】
組成物3の変形例2の場合、ポリマー/樹脂の比はまた、200((1.5+1.5)/0.015)である。
【0163】
第2の工程:支持体の変更
シリコンウェハが、支持体として使用される。
【0164】
凸状のデポジットを得、且つ液滴の拡散を避ける為に、ウェハ上面は、疎水性とされるようにC4F8で処理される。
【0165】
第3の工程:インクジェット印刷
組成物1の変形例1に従って予め調製されたインクがインクジェットプリンタ内に搭載され、インクドットがラスタードットとして上記支持体上に印刷される。
【0166】
印刷パラメータは、下記の通りである:
-インク吐出温度:室温(20℃~30℃)、
-液滴の吐出体積(マイクロデポジット当たり):65pL±5pL、
-マイクロデポジットの厚さ:1μm未満
-液滴の吐出速度:5~6m/s、及び
-巨視的パターン:一辺の長さが4cm、巨視的パターンにおける2つのマイクロデポジット間の間隔が70μmに等しい正方行列
。
【0167】
第4の工程:インクデポジットの熱架橋
樹脂の架橋及びマイクロデポジットの固形化が完了するまで、液状インクドットが堆積されたところの支持体は、10~180分間、130℃に置かれる。
【0168】
検出装置の使用
このようにして製造された該装置は、市販のキシラナーゼ(それぞれ異なるレベルの活性を有する)の酵素溶液による、デポジット中に存在するポリマー、すなわちアラビノキシラン(AX)、の分解速度を研究する為に使用された。
【0169】
最初に、ポリマーデポジット間の表面を不動態化して測定感度を向上させる為に、上記装置が、37℃で2時間、水中に浸漬され、そして次いで37℃で1時間、0.25g/LでのBSA(ウシ血清アルブミン)の水性溶液中に浸漬された。
【0170】
この例において、不動態化剤として使用されるタンパク質は、BSAである。しかしながら、本発明はこの特定の事例に限定されない。
【0171】
例えば、BSA以外のタンパク質、例えばオボアルブミン又はリゾチーム、が不動態化剤として使用されうる。
【0172】
上記装置が浸漬される浴中の不動態化剤の濃度範囲は好ましくは、0.1g/L~1g/Lである。
【0173】
種々の濃度のキシラナーゼ溶液が調製され、それは、0.23nkat/mL(102400まで希釈-試験No.2)から最大で14.8nkat/mL(1600まで希釈-試験No.8)の範囲の酵素活性を有する。
【0174】
これらの溶液のそれぞれの7μLの液滴は、対応する巨視的パターン上に堆積される。対照として、酢酸塩緩衝液の液滴が別のパターン上に堆積される。
【0175】
上記装置を室温で60分間インキュベーションし、水で洗浄し、且つ乾燥させた後、各濃度についての異なる結果が肉眼で観察された(下記の表を参照)。
【0176】
【0177】
この試験は、おおよそ0.92nkat/mL(すなわち、6.4×10-3nkat)に位置する感度閾値を推定することを可能にした。
【0178】
実施例2
図7は、本発明に従う巨視的パターンの組み合わせの写真を表し、それは、水中における37℃での2時間の浸漬による水和、引き続き、0.25g/LのBSA溶液中における37℃での1時間の不動態化の後に、60分間、種々の濃度(14.8~0.23nkat/mL)のキシラナーゼと接触して置かれた。
【0179】
この写真は、希釈係数25600についての肉眼での検出限界を示している。
【0180】
実施例3
図8は、AXに対する酵素の活性を定量する為に種々の濃度の酵素に曝露された巨視的パターンから無作為に選択されたマイクロデポジットの行列像を表す。キシラナーゼは、種々の曝露時間について、0.45~14.6nkat/mLの濃度で懸濁させる。
【0181】
分解速度に関する説明が
図8に与えられる。それは、30分間のインキュベーションについての感度閾値が1.83~0.91nkat/mLであることを示す。インキュベーションが2倍(60分間)の長さである場合、この閾値は、0.45~0.91nkat/mLである。