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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】装置および液体分析システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 25/14 20060101AFI20231011BHJP
   G01K 1/024 20210101ALI20231011BHJP
   G01K 1/14 20210101ALI20231011BHJP
【FI】
G01N25/14 A
G01K1/024
G01K1/14 L
【請求項の数】 24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019092744
(22)【出願日】2019-05-16
(65)【公開番号】P2020012811
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】10 2018 111 790.6
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519175684
【氏名又は名称】アントン パール プルーブテック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フランク ジマーマン
(72)【発明者】
【氏名】カルステン キント
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ペルガンデ
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-181749(JP,A)
【文献】特開平07-301570(JP,A)
【文献】特表2016-517022(JP,A)
【文献】特開2012-073234(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0178185(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00291571(EP,A1)
【文献】特表2017-531454(JP,A)
【文献】特開2001-215155(JP,A)
【文献】中国実用新案第204214564(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 25/00 - 25/72
G01N 33/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの標準化された試験に基づいて液体の蒸発特性を決定するための液体の容器を、特にフラスコを閉止する装置において、
下側端部を含む温度測定プローブを有する、特に液体の蒸気温度を測定するための少なくとも1つの温度測定システムと、
前記容器を閉止するために前記容器の開口部、特に内側の表面と接触するように構成された、特にテーパ状に構成された外側表面を有する、および前記温度測定プローブの下側端部が前記容器の内部に配置されるように前記温度測定プローブの一部が挿通される第1貫通孔を有する閉止部分と、
前記温度測定プローブの長手方向に沿って前記温度測定プローブの前記下側端部の位置を調節するための機構、特にねじ機構とを備えている装置。
【請求項2】
前記下側端部の位置を調節するための機構の、特に前記ねじ機構の操作によって前記温度測定プローブの前記下側端部の位置を前記温度測定プローブの前記長手方向に沿って変更可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記温度測定プローブの前記長手方向に沿って前記温度測定プローブの前記下側端部の位置を調節するための前記機構は前記ねじ機構を含んでいる、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記温度測定プローブと、前記第1貫通孔を区切る前記閉止部分の表面との間に設けられる少なくとも1つのシール材をさらに備えている、請求項1から3のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記ねじ機構はねじ山を含むねじ部材を有しており、前記ねじ部材を、ねじ軸を中心として回すことで前記温度測定プローブの位置を調節可能である、請求項1から4のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
特に前記閉止部分の上方で内部空間を有する中央部分をさらに備えており、前記内部空間の中に前記温度測定プローブの上側端部が配置される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記内部空間を閉止するためのキャップをさらに備えており、前記中央部分は前記閉止部分と前記キャップの間に配置される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記キャップは、前記キャップに設けられた第2貫通孔または止まり穴のうち少なくとも一方を含むものとして構成された雌ねじを有している、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記キャップが前記ねじ部材を構成し、前記キャップの前記雌ねじに前記温度測定プローブの前記上側端部が雄ねじをもってねじ込まれる、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ねじ部材は雄ねじを含むねじとして構成され、
前記キャップの前記雌ねじは貫通ねじ山として構成され、前記貫通ねじ山にねじがねじ込まれて、前記温度測定プローブの前記上側端部の上方に向かって初期応力をかけられた端面と接触する、請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記初期応力は渦巻ばねによって生成され、前記渦巻ばねに前記温度測定プローブが挿通され、前記渦巻ばねは下側端部で前記中央部分に支持されるとともに上側端部で前記温度測定プローブのビード部に支持されて、前記温度測定プローブに上方に向かって初期応力をかける、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記閉止部分はテフロン(登録商標)から製作され、前記中央部分はナイロンまたはテフロン(登録商標)のうち少なくとも一方から製作される、請求項6から11のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記温度測定プローブから出力される測定データを処理し、特にデジタル信号へ変換するように構成された、特に前記中央部分の前記内部空間に配置された電子回路を特に配線板上にさらに有している、請求項6から12のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記電子回路は、
前記温度測定プローブについてのキャリブレーションデータのための電子記憶装置、またはキャリブレーションデータを有する電子記憶装置のうち少なくとも一方、または A-D変換器、または
デジタル信号を無線式または有線式のうち少なくとも一方に伝送するように構成された通信モジュール、
のうち少なくとも一つを備え、
基準抵抗をさらに備えており、前記基準抵抗を基準として前記温度測定プローブの、特にPt100の、さらには特に金属Pt100の温度依存的な抵抗が決定される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記温度測定システムは、前記閉止部分に挿通され、前記下側端部をもって前記容器の底面の温度を測定するように構成された別の温度測定プローブ、特に熱電対を含んでいる、請求項1から14のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記別の温度測定プローブは、
位置に関して調整可能であり、または
別の初期応力ばね、特に渦巻ばねを通じて下方に向かって初期応力をかけられ、前記別の初期応力ばねは特に前記別の温度測定プローブが取り付けられている別の配線板を下方に向かって押圧する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記中央部分は前記閉止部分の少なくとも1つの上側部分を包囲または受容のうち少なくとも一方をし、特に、前記閉止部分が前記容器の開口部へ完全に差し込まれたときに前記容器の開口部の、外側の開口壁部の外方に向かって突き出すビード部の下方で係止をするために弾性的なスナップリングを有する、請求項13または14に記載の装置。
【請求項18】
前記閉止部分の上方で特に前記中央部分に配置された、前記温度測定プローブの前記長手方向に対して横向きに前記閉止部分または前記中央部分のうち少なくとも一方から突き出す特に円筒対称の担持部分をさらに備えており、前記担持部分は補助装置の対応部材と嵌め合い可能であり、前記担持部分または前記対応部材のうち少なくとも一方は差込部材として施工され、前記担持部分または前記対応部材のうち少なくとも一方はスリーブ状の部材として施工される、請求項13、14および17のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記担持部分は磁化可能な材料または磁性材料のうち少なくとも一方を含んでいる、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
特に電気ケーブルを介して外部への前記電子回路の電気接続を可能にするためにプラグまたはコンセントのうち少なくとも一方をさらに有している、請求項18または19に記載の装置。
【請求項21】
前記プラグまたは前記コンセントのうち少なくとも一方は支持部分と一体的である、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記プラグまたは前記コンセントのうち少なくとも一方は前記担持部分とは別個に、特に磁気プラグまたは磁気ブッシュのうち少なくとも一方を有するように、接続ケーブルの端部に施工される、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
特に少なくとも1つの標準化された試験に基づいて液体を分析するための液体分析システム、特に自動蒸留ユニットにおいて、
特に凝縮器へと通じる分岐部を有する、開口部を有する容器と、
請求項1から22のうちいずれか1項に記載の容器を閉止する装置とを備えている液体分析システム。
【請求項24】
前記装置の前記担持部分を受容するように構成された担持受容部、または
前記容器を下方から加熱するように配置された加熱部、または
前記加熱部のうち少なくとも一つを制御、または測定データを前記温度測定システムから取得、のうち少なくとも一方をし、特に標準化された試験に基づいて評価するように構成された制御システムをさらに備えている、請求項18から22のうちいずれか1項に記載の装置を備えている液体システ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの標準化された試験に基づいて液体の蒸発特性を決定するために液体の容器を閉止する装置に関し、および、特に少なくとも1つの標準化された試験に基づいて液体を分析するための液体分析システム、特に自動蒸留ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、さまざまな規格(たとえばASTMD86)に基づいて液体の、特に石油製品や溶剤などの沸騰挙動を決定することができる自動(または大気)蒸留ユニット(ADU)の分野に属する。その場合、規格化された試料容器が、いわゆるフラスコが下方から加熱され、その際に発生する蒸留物が液化器または凝縮器を介して受容容器に運び出される。液体の蒸留挙動は、特に、温度測定によって特徴づけられる。
【0003】
特に鉱物油から分別蒸留によって得られた鉱物油製品は、品質検査のために、標準化された試験(たとえばディーゼル油について規格ASTMD975およびEN590、ベンジンについてASTMD4814およびEN228)にかけられなければならない。比較可能な試験結果を得るためには、精製プロセスを管理して最終製品を認証するために規格ASTMD86/ISO3405に基づく試験を実施することが必要である。
【0004】
溶剤は精製部と石油化学設備とで製造され、たとえばインキに顔料を分散させるために使用される。ガソリンなどの比較的広い沸騰範囲をもつ溶剤の蒸留特性を決定するために、ASTMD86が適用される。溶剤の純度を決定するために、特に、有機液体についてはASTMD850、芳香族炭化水素についてはASTMD1078が適用される。
【0005】
特許文献1は、液体の鉱物油製品の蒸留特性を決定するためのプロセスを開示している。蒸留容器の中の試料が加熱され、その間に試料の温度が液相のときにも蒸気相のときにも測定される。さらに試料の蒸気相のときの圧力が、蒸留の経過中に連続して測定される。
【0006】
特許文献2は、蒸留容器と、第1のゴム栓と、第1のゴム栓に設置されて蒸留容器の中へと延びる温度計と、第2のゴム栓と、第2のゴム栓に設置された設置容器の中へと延びる毛細ガラス管とを備える真空蒸留ユニットを開示している。温度計の1つの端部が蒸留容器の中に延び、毛細ガラス管の1つの端部が蒸留容器の中に側壁の近傍で延びている。
【0007】
特許文献3は、蒸留容器と、加熱チェーンと、ゴム栓に挿入された温度計とを備える負圧抜取り(ストリッピング)器具を開示している。受容容器の爆発を防止するために、蒸留容器の内部の圧力を低減することができる。
【0008】
特許文献4は、蒸留の制御で利用するため、および鉱物油などの液体混合物の蒸留特性を決定するための器具を開示している。容器が電気加熱部と熱電対とを装備している。熱電対で測定された温度が温度・時間グラフに記録される。
【0009】
特許文献5は、液体試料の沸騰温度の時間依存的な測定と記録をするための自動蒸留装置を開示している。蒸留の最終点のときの温度のピーク値を決定できるようにするために、熱電対が容器の底面に配置される。さらに熱電対は、蒸気温度を記録するための記録計と接続されている。
【0010】
従来技術では、蒸留容器またはフラスコが栓によって閉止され、この栓に1つまたは2つの温度測定部材が挿通される。たとえばPt100温度センサが栓に挿通されていてよく、フラスコの上側領域で、検査されるべき試料の蒸気温度を測定することができる。さらに乾点センサも、その下側の先端部がフラスコの底面に接触するまで、同じく栓に挿通されていてよい。この第2の温度センサは、試料の最後の残留物が容器の底面から蒸発した時点を認識することができる。
【0011】
従来技術では、設備の操作者は温度センサを手作業で栓に挿通し、ケーブルを評価器具に接続しなければならない。さらに、測定の開始前にセンサをキャリブレーションしなければならない。これらの作業ステップはミスが起こりやすく高いコストがかかり、誤測定につながりかねない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】米国特許第6,581,443B2号明細書
【文献】中国実用新案登録第203763880U号明細書
【文献】中国実用新案登録第202315368U号明細書
【文献】英国特許出願公開第904960A号明細書
【文献】ドイツ特許出願公開第1498555A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって本発明の課題は、栓も含めたフラスコの確実な取扱いを可能にし、さらに、温度センサの取扱いを簡易化することにある。さらに本発明の課題は、測定ならびに測定のために使用されるコンポーネントの信頼性と安全性を改善し、特に、容器の確実な機械的な担持を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は、容器を閉止する装置を対象とする独立請求項1の対象物によって解決される。さらにこの課題は、容器を閉止する装置を備える、権利申請に係る液体分析システム、特に自動蒸留ユニットによって解決される。
【0015】
本発明の実施形態では、少なくとも1つの標準化された試験に基づいて液体の気化特性を決定するために液体の容器を、特にフラスコを閉止する装置が提供され、下側端部を含む温度測定プローブを有する、特に液体の蒸気温度を測定するための少なくとも1つの温度測定システムと、容器を(たとえば蒸気密閉式に)閉止するために容器の開口部の特に内側の表面と接触するように構成された、特にテーパ状に構成された外側表面を有し、および温度測定プローブの下側端部が容器の内部に配置されるように温度測定プローブの一部が挿通される貫通孔を有する閉止部分と、温度測定プローブの長手方向に沿って温度測定プローブの下側端部の(たとえば垂直方向の)位置を調節するための機構、特にねじ機構とを備えている。
【0016】
代替的な実施形態では、長手方向に沿って温度測定プローブの下側端部の位置を調節するための機構は、歯付きロッドと歯車からなる組み合わせを含むことができる。別の代替的な実施形態では、この機構は、スラストロッドを含むレバーからなる組み合わせを有することもできる。
【0017】
適用可能な標準試験の厳密に事前規定された指針に基づき、本発明の実施形態では、試料の所定の容積が試料容器(たとえばフラスコ)の中に充填され、閉止をする装置によって試料容器が閉止される。そして試料が定義された条件のもとで加熱され、それにより試料の一部が蒸発する。蒸気が凝縮器ラインで冷却され、凝縮物がシリンダに集められる。試験の実施中、温度測定システムによって蒸気の温度と時間が記録される。標準化された自動蒸留試験の結果として、たとえば次のようなパラメータを得ることができる。
-初期沸点、すなわち蒸留物の最初の液滴が受容シリンダに滴下する温度
-最終沸点、すなわち蒸留中の最高温度
-受容シリンダに受容された蒸留物の容積全体
-蒸留容器に残った試料の残留物
-乾点、すなわち蒸留物の最後の液滴が容器の底面から蒸発した温度
-蒸留曲線
【0018】
蒸留曲線は、受容シリンダの中の相対的な回収容積に対して温度がプロットされることによって得ることができる。蒸留曲線から、たとえば最高温度と最低温度の間の差異として、試料の沸騰範囲を導き出すことができる。
【0019】
特に本発明の実施形態は、それぞれ出願日付で有効な版におけるASTMD86(グループ0から4)、ISO3405、IP123、BS2000-123などの石油製品の蒸留についての標準試験の実施に好適である。
【0020】
さらに本発明の実施形態は、ASTMD1078、IP95、BS2000-195、ASTMD850などの溶剤における蒸留についての標準試験を実施するのに好適である。試験の実施の結果として、検査された試料のそれぞれの蒸留曲線、ならびにたとえば乾点を得ることができる。上に挙げた試験は、少なくとも、それぞれ出願日付で有効な版の標準試験のために実施可能である。
たとえば本発明の実施形態は、たとえば20℃から400℃の間の沸騰範囲を有する試料の標準化された試験をサポートすることができる。特にASTMD86、ASTMD850、ASTMD1078などの標準をサポートすることができ、ならびにISO3405、IP123、IP195をすべてそれぞれ出願日付で有効な版においてサポートすることができる。これらの標準試験についての仕様はASTM(たとえばwww.ASTM.org)で入手することができる。本発明の実施形態では、0℃から450℃の蒸気温度範囲と、0℃から80℃の凝縮器温度範囲と、0℃から50℃のチャンバ温度範囲とをサポートすることができる。さらに大気圧センサが、標準圧力に合わせて結果を自動的に修正することを可能にする実施形態で含まれていてよい。
【0021】
特に、本発明の実施形態は石油製品を特徴づけるために設計され、特に、海水の脱塩設備、飲料水前処理のための設備、排水の浄化設備、炭化水素の処理のための化学設備、回転気化器、生体物質を処理するための蒸留設備などとは相違する。特に本発明の実施形態は標準化された蒸留器具、特に大気圧のもとでの自動蒸留器具を液体試料ために、特に鉱物油製品の試料のために提供し、蒸留パラメータの測定は、上にいくつかの例を掲げた複数の可能な標準から選択される、事前定義された試験標準に基づいて実施される。
代替的な実施形態では、低減された圧力のもとで、または真空のもとで、蒸留パラメータを測定するための標準化された蒸留器具が提供されていてよい。
【0022】
フラスコは特にガラスフラスコ、特に基本的に球形フラスコであってよい。特にフラスコまたは容器の開口部の下方で、ガラス管などの出口が凝縮ユニットへと通じている。特に容器は、さらには特にフラスコは、上記の例で挙げたような試料の蒸発特性を特徴づけるための標準化された試験に適合する標準化された容器の群に属するものであってよい。
【0023】
液体は、たとえば鉱物油製品、たとえばベンジン、ディーゼル、灯油などであってよく、または、たとえばインキ産業用の溶剤を含むことができる。蒸発特性の決定はたとえば蒸発曲線、または上に結果として一例を列挙した量を含むことができる。標準化された試験は、上に挙げた試験のうちの1つを含むことができる。
【0024】
温度測定システムは、1つの温度測定プローブに加えて、たとえば容器の内部のさまざまな個所で、たとえば液体の気相の内部または液体の液相の内部で温度測定を実施することができる、1つまたは複数の別の温度測定プローブをさらに含むことができる。
【0025】
特に温度測定プローブはねじ機構を利用したうえで、部分的に蒸発した液体の蒸気温度を凝縮分岐部へ蒸気が入る直前に温度測定プローブが測定するように、(たとえば垂直方向の)位置に関して調整することができる。特にこのような位置を正確に調整できるようにするために、ねじ機構が提供される。温度測定プローブは、たとえば温度に依存する測定抵抗の抵抗値の変化を通じて温度を測定するようにセットアップされていてよい。温度測定プローブはたとえばPt100測定プローブであってよく、またはこれを含むことができる。代替的に、温度測定プローブはこれ以外の温度センサを含むことができる。
【0026】
抵抗をベースとする温度測定プローブは、たとえばガラスあるいは金属の中に埋設されていてよい。金属への埋設は温度測定プローブの反応時間を短縮することができ、そのようにして測定を改善する。
【0027】
閉止部分は、容器の開口部を(たとえば特定の温度範囲と圧力範囲で蒸気密閉式に)閉止するために構成される。そのために、特にテーパ状に構成された閉止部分の外側表面が、容器の開口壁部の(たとえば研磨された)内側の(ガラス)表面に接触する。試験に基づいて実現される温度と圧力のとき、閉止部分は容器を蒸気密閉式に閉止し、それにより、容器の開口部を通って蒸気が容器から外に出ることができなくなる。
【0028】
閉止部分は少なくとも1つの貫通孔を有し、すなわち、閉止部分を完全に貫通する開口部を有し、それにより、この貫通孔は閉止部分の下側の端面に向かって開口部を有し、ならびに閉止部分の上側端面に開口部を有する。
【0029】
温度測定プローブの一部は、任意選択として1つまたは複数のシールリングを利用したうえで、閉止部分の貫通孔を区切る(内側)表面によって完全に包囲され、特に蒸気密閉式に包囲される。閉止部分は、たとえば実質的に円筒対称性を有することができ、たとえば円錐状に構成された外側表面を、容器の開口壁部の円錐状の(内側)表面との接触のために有することができる。円筒対称軸は、たとえば正確に貫通孔を通って延びることができる。別の実施形態では、貫通孔は閉止部分の外側表面の円筒対称軸に対してオフセットされて、ただしこれと平行に延びることができる。閉止部分は、たとえば450℃までの高い蒸気温度に耐える材料から製作されていてよい。
【0030】
温度測定プローブの他の部分は、閉止をする装置が閉止部分も含めて容器の上に載置されたときに、容器の内部に配置されていてよい。
【0031】
従来技術では温度測定プローブは、閉止栓または閉止部分へ手作業で挿通され、引張または押圧を及ぼすことで、手作業で押し込まれることによって、容器の内部で位置決めされていた。本発明では、温度測定プローブに対して押圧を直接的に(ダイレクトに)及ぼさなくてよく、引張も直接的に及ぼさなくてよく、温度測定プローブをねじ機構により(たとえば、ねじ機構の操作により)、その(垂直方向の)位置に関して変更することができる。それにより取扱いが、特に、標準化された試験について定義されている温度測定プローブの下側端部の位置の調整が、利用者にとって簡易化される。特に本発明の実施形態により、利用者が温度プローブを手作業で栓に挿入する必要性が回避される。
【0032】
本発明によると、温度測定プローブはすでに容器の閉止前に貫通孔へ挿通される。標準化された試験に基づくコンフィグレーションを実現するために、ねじ機構の操作による温度測定プローブの下側端部における垂直方向の位置の調整が必要であるにすぎない。ねじ機構は少なくとも1つの雌ねじと雄ねじを含むことができる。雄ねじに対して相対的に雌ねじを回すことで、温度測定プローブの下側端部(垂直方向)の位置を(長手方向に沿って)変更することができる。ねじ運動は利用者によって容易に実行可能である。ねじ機構は、(垂直方向の)位置を2つの方向で、すなわち上方および下方に向かって変更することを可能にすることができる。
【0033】
本発明の実施形態では、機構の、特にねじ機構の操作によって、温度測定プローブの下側端部の位置を温度測定プローブの長手方向に沿って変更可能である。ねじ機構の操作は、雄ねじに対して相対的に雌ねじを相対的に回すことを含むことができる。ねじ機構の操作部材は、閉止をする装置によって容器が閉止されているとき、たとえば容器を閉止する装置の上側から、利用者によって外部からアクセス可能であってよい。
【0034】
ロッドの長手方向に沿った温度測定プローブの下側端部の位置の調整は、たとえば0mmから5mm、特に0mmから3mmの範囲内で可能になっていてよく、および/またはそのように制限されていてよい。使用される容器は、ネック(または開口壁部)の長さに関して、または開口壁部の上側端部から凝縮分路への分岐部の位置までの、垂直方向の間隔に関して、製造公差を有することがある。製造公差にもかかわらず、標準化された試験に基づく温度測定プローブの定義された位置決めを実現するために(たとえば凝縮分路への分岐部の高さに関して)、特に容器の予想される製造公差を補償するのに十分に広い上に述べた範囲内で、温度測定プローブを調整することができるという利点がある。位置の調節可能性が上に定義した範囲に制限されていれば、本装置を寸法の点で比較的小さく抑えることができるという利点があり、それにより、特に温度測定プローブのどの部分も、容器を閉止する装置の上側の外側表面から突出することがない。それに伴って取扱いが簡易化され、本装置をコンパクトに保つことができる。
【0035】
本発明の実施形態では、温度測定プローブの長手方向に沿って温度測定プローブの下側端部の位置を調節するための機構は、ねじ機構を含んでいる。
【0036】
本発明の実施形態では、ねじ機構はねじ山を含むねじ部材を有しており、ねじ軸を中心としてねじ部材を回すことで、温度測定プローブの下側端部の位置を調節可能である。温度測定プローブの下側端部の位置の調節は、特に垂直方向または近似的に垂直方向に行われる。ねじ軸は、特に、存在する場合における(閉止部分の)既存の円筒対称軸と一致し、またはこれと平行であってよい。ねじ山は雌ねじまたは雄ねじを含むことができる。それに伴い、従来から利用可能な機械要素を使用したうえで調節可能性が具体化されていてよく、取扱いが簡易化されていてよい。
【0037】
本発明の実施形態では、さらに本装置は、特に閉止部分の上方に、内部空間を含む中央部分を有しており、この内部空間に温度測定プローブの上側端部が配置される。中央部分はたとえばハウジングを含むことができ、内部空間の中にさまざまな他のコンポーネントが配置されていてよい。内部空間に温度測定プローブの上側端部が配置されていれば、閉止をする装置の上方に温度測定プローブが突出することが回避され得る。温度測定プローブの上側端部が、閉止をする装置の内部に完全に隠されていてよく、そのようにして外部空間でも支障になることがない。中央部分には、少なくとも1つの温度測定プローブの位置決めおよび/または保持をサポートするために、および/または温度測定プローブへの電気エネルギーまたは制御信号の供給をサポートするために、および/または温度測定プローブからの測定データの出力をサポートするために、たとえば1つまたは複数の電子式および/または機械式のコンポーネントが配置されていてよい。このように、閉止をする装置が容器を閉止する機能を果たすだけでなく、さらに、1つまたは複数の定義された位置での温度測定をサポートすることができるという利点がある。
【0038】
本発明の実施形態では、さらに本装置は、(中央部分に設けられる)内部空間を閉止するためのキャップ(または蓋もしくは上側のハウジング部分)を有する。中央部分は閉止部分とキャップの間に配置されていてよい。キャップはコンポーネントの保護のために内部空間の内部に設けられていてよく、ならびに、別の実施形態では、ねじ機構の一部も追加的または代替的に設けられていてよい。
【0039】
本発明の実施形態では、キャップは貫通穴または止まり穴として構成された雌ねじを有する。それに伴い、ねじ機構の具体化のさまざまな選択肢が与えられる。雌ねじのねじ山軸または、ねじ軸は、たとえば存在する場合における円筒対称軸と一致し、またはこれと平行であってよい。
【0040】
本発明の実施形態ではキャップはねじ部材を形成し、キャップの雌ねじに温度測定プローブの上側端部が雄ねじをもってねじ込まれる。キャップは中央部分に対して相対的に支承されていてよく、それにより、キャップが回されたときに中央部分に対して相対的なキャップの垂直方向の位置は変化しないが、キャップが回されることで温度測定プローブは上方に向かって、または下方に向かって、キャップの雌ねじに温度測定プローブの雄ねじがねじ込まれながら動く。キャップの雌ねじはキャップ全体と一体的に形成されていてよく、または、キャップの他の材料とは相違する金属などの材料からなるインサート部品として形成されていてよい。キャップがねじ部材を形成する場合、たとえば1つまたは複数の指の係合を許容してキャップを回すのを容易にするために、別の湾入部や突出部がキャップに設けられていてよい。
【0041】
本発明の実施形態では、ねじ部材は雄ねじを含む(調節)ねじとして構成され、キャップの雌ねじは貫通ねじ山として構成され、この貫通ねじ山の中に調節ねじがねじ込まれて、上方に向かって初期応力をかけられた、温度測定プローブの上側端部の端面に接触する。調節ねじ(特にその握り領域)は、上方に向かってキャップの上側表面の上方に突き出すことができ、それにより調節ねじを回すことを利用者に可能にする。キャップから突き出す領域に、ねじは、たとえば調節ねじの当該部分の外側表面にねじ軸と平行な溝を含む、「握りやすい」外側表面を有することができる。
【0042】
キャップの貫通ねじ山に調節ねじがねじ込まれることで、調節ねじの下側の端面が、上方に向かって初期応力をかけられている温度測定プローブの上側端部の端面を下方に向かって(すなわち温度測定プローブの方向に沿って下方に向かって)動かす。それに伴い、温度測定プローブの下側端部における垂直方向の位置も下方に向かって変化し、または動く。調節ねじがこれと反対向きのねじ方向へ、上方に向かう方向に貫通ねじ山から出るように回され、ただしその際にねじの雄ねじの他の区域は、キャップの貫通ねじ山の内部に残っていると、温度測定プローブは、温度測定プローブの初期応力に基づいて上方に向かって動き、そのようにして、温度測定プローブの下側端部の垂直方向の位置を上方に向かう方向へ変化させる。キャップの上方に配置されているねじの上側の握り領域は、たとえば、この握り領域を人間の2つの指で、たとえば親指と人差し指で、簡単に回すことができるように構成されていてよい。
【0043】
本発明の実施形態では、(上方へと向かう温度測定プローブの)初期応力は渦巻ばねによって生成され、この渦巻ばねによって温度測定プローブが案内され、この渦巻ばねは下側端部で中央部分(たとえばハウジング部分)に支持されるとともに、上側端部で温度測定プローブのビード部に支持され(またはこれらの間に挟み込まれ)、それによって上方に向かって温度測定プローブに初期応力をかける。渦巻ばねは中央部分の内部空間の内部に全面的に配置されていてよく、それにより、その長軸が温度測定プローブの長軸と一致し、温度測定プローブの長軸は特に閉止部分および/または閉止部分の貫通孔の(存在する場合における)円筒回転対称軸と一致することができ、またはこれと平行であってよい。
【0044】
温度測定プローブの上側端部は、温度測定プローブの下側端部の(垂直方向の)位置の可能な一切の調整において、中央部分の内部空間の内部に配置されていてよい。調節ねじは、調整に応じて程度の差こそあれ内部空間へ(上側から)突入することができる。キャップの雌ねじはキャップと一体的に構成されていてよく、または、キャップのその他の材料とは違う材料を有する部材として形成されていてよい。特に貫通雌ねじは、キャップの中に設けられる金属スリーブによって形成されていてよい。
【0045】
本発明の実施形態では、さらに本装置は、温度測定プローブから出力される測定データを処理し、特にデジタル信号へと変換するように構成される、特に中央部分の内部空間に配置された電子回路を特に配線板の上に有する。温度測定プローブから出力される(特にアナログ形式の)測定データがデジタル信号に変換されれば、容器を閉止する装置の外部にある評価器具への以後の伝送をいっそう確実に行うことができる。従来式の装置では、アナログ測定データが温度測定プローブから外部に位置するユニットへと伝送されるが、これには伝送エラーが付随することがある。デジタル信号の伝送のほうが確実に実行することができる。
【0046】
本発明の実施形態では、電子回路は、温度測定プローブについてのキャリブレーションデータを含む電子記憶装置、および/またはA-Dコンバータ、および/またはデジタル信号を無線式または有線式に伝送するように構成された通信モジュール、および/または基準抵抗を有し、この基準抵抗を基準として温度測定プローブの、特にPt100の、さらには特に金属Pt100の温度依存的な抵抗が規定される。それに伴い、温度測定プローブの、および存在する場合におけるさらに別の温度測定プローブのキャリブレーションを、本装置そのものの内部での測定データの処理によって実施することができ、本装置の外部にある他の機器によるキャリブレーションを必要とすることがない。ADコンバータは、アナログデータをデジタルデータに変換するように構成されていてよい。通信モジュールは、イーサネット(登録商標)、USB、またはその他の従来式の通信プロトコルをサポートすることができる。無線式の伝送は電波を用いて行うことができる。基準抵抗は定義された抵抗値を有することができ、この抵抗値を、温度測定プローブの温度依存的な抵抗について規定されている抵抗値と比較する。キャリブレーションデータは、たとえば温度測定プローブの抵抗値を温度に依存して、たとえば表、グラフ、または数学的な関係の形態で示す1つまたは複数の特性曲線を含むことができる。特に温度測定プローブは、Pt100などの白金・抵抗測定プローブを含むことができる。測定白金線は、温度測定プローブの反応時間を短縮するために、たとえば金属に埋設されていてよい(金属Pt100)。このように固有の温度測定プローブを、これについて規定されて保存されているキャリブレーションデータも含めて有する装置を提供することができる。
【0047】
本発明の実施形態では、温度測定システムは別の1つの温度測定プローブ(またはさらに別の複数の温度測定プローブ)を有し、特に、閉止部分に挿通され、下側の端部をもって容器の底面の温度を測定するように構成された熱電対を有する。これらの別の温度測定プローブは、第1の温度測定プローブよりも長くなっていてよい。これらの別の温度測定プローブは、別の貫通孔を通して閉止部分の内部に挿通されていてよいのが好ましい。熱電対は、一方の端部で結合され、熱電気効果に基づいて温度測定のために好適である、それぞれ異なる材料からなる1組の金属導線を含むことができる。熱起電力が、(容器の底面にある)測定個所と対照個所との間の温度差に基づいて生じることができる。対照個所はたとえば内部空間の内部に配置されていてよく、および/またはたとえば室温であってよい。
【0048】
別の温度測定プローブは位置に関して調整可能であってよく、または別の初期応力ばね、特に渦巻ばねを通じて、下方に向かって初期応力をかけられていてよく、この別の初期応力ばねは、特に、別の温度測定プローブが取り付けられている別の配線板を下方に向かって押圧する。それに伴い、たとえば乾点を有効に決定できるようにするために、別の温度測定プローブの下側端部が容器の底面に確実に接触することが保証され得る。
【0049】
本発明の実施形態では、本装置は、中央部分が閉止部分の少なくとも1つの上側部分を取り囲み、および/または収容し、特に、閉止部分が容器の開口部へ完全に差し込まれたときに容器の開口部における外側の開口壁部の外方に向かって突き出すビード部の下方で係止をするために、弾性的なスナップリングを有するように構成される。
【0050】
スナップリングは、本装置と容器との間の(可逆的な)結合の機械的強度を高めることができる。閉止部分は、容器の開口部を区切る開口壁部の内側表面と接触するのに対して、スナップリングは、容器の開口壁部の外側表面と(内方に向かう方向への初期応力のもとで)接触し、特に、容器の開口壁部の上側端部にある(外側の)ビード部よりも下方に配置されていてよい。スナップリングはその開いた端部における自身の弾性力によって圧縮され得る。このようにスナップリングは開口壁部の外側表面を取り囲むことができ、それにより、上方へと向かうスナップリングのスライドが(外側の開口壁部から外方に向かって突き出すビード部を通じて)防止され、または困難になる。それに伴い、閉止をする装置と容器との間の固定的な(ただし可逆的な)結合を実現することができる。
【0051】
本発明の実施形態では、さらに本装置は、閉止部分の上方で特に中央部分に配置された、温度測定プローブの長手方向に対して横向きに閉止部分および/または中央部分から突き出す、特に円筒対称の担持部分を備えており、この担持部分は補助装置の対応部材と嵌め合い可能(特にたとえば形状接合および/または摩擦接合によって係止可能)であり、担持部分または対応部材は差込部材(たとえば雄型の部材)として施工され、担持部分または対応部材はスリーブ状の(たとえば雌型の)部材として施工される。
【0052】
担持区域は、特に試料を検査するための標準化試験中に、本装置を容器とともに(特に他のサポート部を支持することなく単独で)保持するために利用することができる。担持区域は、たとえば中央部分から、温度測定プローブの長手方向に対して相対的に90°から45°の間でアライメントされた方向に沿って突き出すことができる。このように担持区域は、たとえば(水平方向に対して相対的に)下方に向かって中央部分から若干突き出すことができる。担持区域がたとえば斜め下方に向かって中央部分から突き出していれば、信頼度の高い確実な保持を保証するために、垂直方向でも水平方向でも保持力を実現することができる。担持区域の少なくとも近似的な円筒対称性が、(温度測定システムの)温度測定プローブの長軸に対して横向きに位置する、たとえば温度測定プローブの長手方向に関して90°から45°の範囲内に位置する対称軸に関して成立する。別の実施形態では、担持部分は円筒対称性を有するのでなく、たとえば長方形または正方形の断面を有しており、それにより担持区域は定義された方位の向きでのみ対応部材の中に収容することができ、または対応部材と連結することができる。それに伴い、容器を含めた閉止をする装置の定義された向きで効果的な保持を実現することができる。
【0053】
担持区域はたとえば対応部材の中へ差込可能であってよく、または、担持区域は対応部材を嵌め合い後に少なくとも部分的に包囲し、または取り囲むことができる。担持区域の一部は対応部材の一部に対して幾何学的に相補的に成形されていてよい。担持区域と対応部材との嵌め合い後、担持部分およびこれに伴って容器を閉止する装置全体が、対応部材に形状接合式に保持されていてよい。
【0054】
本発明の実施形態では、担持区域と対応部材の間で磁気結合を可能にするために、担持区域は磁化可能な材料および/または磁性材料を含んでいる。同様に、対応部材は磁化可能な材料および/または磁性材料を含むことができる。さまざまな磁気ロックの構成が対応部材と担持区域の間で意図されていてよい。
【0055】
本発明の実施形態では、さらに本装置は、特に電気ケーブルを介して外部への電子回路の電気接続を可能にするために、プラグおよび/またはコンセントを備えている。
【0056】
プラグまたはコンセントが存在していれば、扱いにくい長いケーブルを回避することができる。プラグまたはコンセントは担持区域と一体化されていてよく、すなわちその一部であってよい。別の実施形態では、および/またはコンセントはプラグ担持区域とは別個に、特に磁気プラグおよび/または磁気ブッシュを有するように、接続ケーブルの端部に施工される。プラグおよび/またはコンセントが担持区域と一体化されていれば、対応部材と担持区域との嵌め合いによって、機械的な、特に形状接合式の結合を実現できるだけでなく、プラグまたはコンセントが、対応部材にある相応の対応部材コンセントまたは対応部材プラグと連結されたときに、電気的な接続も実現することができる。このようにただ1回の操作が、すなわち対応部材への担持区域の嵌め合いが、特に容器も含めた本装置の機械的な保持と電気的な接続の両方を実現するために十分であり得る。それに伴って取扱いが大幅に簡易化される。
【0057】
閉止部分(または栓)はテフロン(登録商標)で製作されていてよく、および/または中央部分はナイロンから製作されていてよい。代替的に、栓はPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)またはPEI(ポリエーテルイミド)から製作されていてもよい。これら以外の材料も可能である。
【0058】
さらに本装置は、温度測定プローブと、閉止部分で貫通孔を区切る表面との間に設けられる、少なくとも1つの(たとえばゴム)シール材を備えることができる。それに伴い、温度測定プローブと、貫通孔を区切る表面との間の(場合により存在する)間隙を通って蒸気が外部へと逃げ、または内部空間へと逃げるのを防止することができる。シール材は、たとえば1つまたは複数のOリングを含むことができる。1つまたは複数のOリングは、たとえば温度測定プローブに張り巡らされていてよい。
【0059】
本発明の実施形態では、特に少なくとも1つの標準化された試験に基づいて液体を分析するための液体分析システム、特に自動蒸留ユニットが提供され、特に凝縮器へと通じる出力部または分岐部を含む容器と、上に説明した実施形態のうちの1つに基づく容器を閉止する装置とを有している。それに伴い、たとえば標準化された試験に基づいて鉱物油製品または溶剤を検査するためのシステムが提供される。
【0060】
本発明の実施形態では、さらに液体分析システムは、本装置の担持部分を受容するように構成された担持受容部、および/または容器を下方から加熱するように配置された加熱部、および/または加熱部を制御するように、および/または測定データを温度測定システムから取得し、特に標準化された試験に基づいて評価するように構成された制御システムを有する。
【0061】
次に、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。本発明は、図示または記載されている実施形態だけに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】本発明の実施形態に基づく容器を閉止する装置を有する液体分析システムを容器とともに示す模式的な断面図である。
図2】補助装置によって保持された、本発明の実施形態に基づく容器を閉止する装置を断面図として示す部分図である。
図3】本発明の実施形態に基づく容器を閉止する装置を示す模式的な断面図である。
図4】容器を閉止する装置の実施形態で適用することができる磁気結合部材を示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態に基づく液体分析システムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
同一または類似の構造および/または機能を有する部材は、異なる実施形態の図面において、最初の数字だけ相違する符号によって表されている。
【0064】
図1は、本発明の実施形態に基づく容器110を閉止する装置100を含む、本発明の実施形態に基づく液体分析システム150を模式的な断面図で示している。ここでは液体分析システム150は、ガラス丸底フラスコとして施工された容器110と、装置100とをいずれも含んでいる。
【0065】
装置100は、容器110の開口部112に載置されて、これを蒸気密閉式に閉止する。装置100は、容器110のガス室114の内部で液体の蒸気温度を測定するために構成された温度測定システム101を含んでいる。そのために温度測定システム101は、特にPt100、特に金属Pt100として施工されていてよい、(下側の)端部105を含む温度測定プローブ103を有している。温度測定システム101は、以下の図面に関して説明するその他の部材、特に測定エレクトロニクス、キャリブレーションデータを含む電子記憶装置などを有している。
【0066】
さらに装置100は、容器110を蒸気密閉式に閉止するために容器110の開口部112の開口壁部102の内側表面116と接触するために構成された、特にテーパ状に構成された外側表面109を含む閉止部分107を有している。閉止部分107は貫通孔111を有していて、この貫通孔に温度測定プローブ103の一部が挿通され、それにより温度測定プローブ103の下側端部105が容器の内部に、特に蒸気室114の内部に配置されるようになっている。
【0067】
さらに装置100は、温度測定プローブ103の長手方向115に沿って垂直方向の位置hを調節するためのねじ機構113を有している。図示した例では、温度測定プローブ103の下側端部105は位置h0で位置決めされており、ねじ機構113を操作することで、±Δhの、たとえば±5mmの範囲内でこれを調節することができる。ねじ機構については、図2および3を参照しながらさまざまな実施形態で説明する。
【0068】
さらに閉止をする装置100は、閉止部分107の上方の内部空間119を含む中央部分117を有しており、この内部空間119の中に温度測定プローブ103の上側端部121が配置されている。内部空間119はキャップ123で閉止されており、それにより、温度測定プローブ103がキャップ123の上側の端部面125から突き出さないようになっている。
【0069】
装置100または温度測定システム101は、図示した実施形態では、閉止部分107に挿通され、下側端部127をもって容器110の底面118の温度を測定するように構成された、特に熱電対として構成される別の温度測定プローブ129を有している。図1に図示する実施形態では、別の温度測定プローブ129の下側端部127は、(たとえば図2に符号231で表されている)別の初期応力ばねによって下方に向かって初期応力をかけられており、それにより、別の温度測定プローブ129の下側端部127は容器110の底面118に向かって押圧される。
【0070】
さらに装置100は、閉止部分107の上方に、特に中央部分117に配置されてこれと結合された、温度測定プローブ103の長手方向115に対して横向きに閉止部分107および/または中央部分117から側方へ突き出す担持区域133を有しており、この担持区域は補助装置の(図1には図示しない)対応部材と嵌め合い可能である。図1に図示する実施形態では、担持区域133は差込部材(雄型の部材)として構成されているが、スリーブ部材(雌型の部材)として構成することもできる。担持区域133は、容器110を含めた装置100の確実な保持を垂直方向でも水平方向でも可能にするために、(たとえば0°から45の間の)角度αだけ水平線137から下方に向かって傾いている。
【0071】
担持区域は(その中に統合された)電気プラグ135を、内部空間119に収容されている電子回路の外部への電気接続を、電気ケーブルを介して可能にするために有している。別の実施形態ではプラグ135に代えて、補助装置のプラグと結合するためのコンセントが設けられる。
【0072】
プラグ135は多極で設計されていてよく、ケーブルがこれに連結されていてよく、このケーブルはケーブル139として内部空間119へ、特に電子回路を含むことができる配線板141へ通じる。
【0073】
さらに装置150は、容器を下方から加熱するために、容器110の下方かつ穴付きプレート145の下方に配置された加熱部143を有している。さらに装置150は、加熱部143を制御し、および/または温度測定システム101から測定データを取得して評価するように構成される、図示しない制御システムを有することができる。
【0074】
図2は、本発明の実施形態に基づく容器を閉止する装置200の一部を模式的な断面図として図示しており、容器のうち内側表面216を含む開口壁部202だけが図示されている。装置200は、図1に図示する装置100といくつかの類似点を有していて、それらについて再度詳細に説明することはしない。図2では温度測定プローブの下側端部が図示されていないが、図1に図示する実施形態と同じく、温度測定プローブ203の端部に存在しており、それにより、垂直方向215に沿った温度測定プローブ203のスライドによって下側端部の位置も変更される。
【0075】
温度測定プローブ203の位置を変更するためのねじ機構213は、握り区域249と雄ねじ区域251とを有するねじ部材(調節ねじ)247を備えている。キャップ223の中心部に、貫通雌ねじとして施工されたねじ山インサート255によって、連続する雌ねじ253が提供されている。貫通雌ねじ253に、ねじ部材247の雄ねじ区域251がねじ込まれる。ねじ部材247の下側端部は、たとえばねじ山区域251の端面は、温度測定プローブ203の上方に向かって初期応力をかけられた端面(上側端部)257に、または温度測定プローブの上側端部に接触する。上方に向かう温度測定プローブ203の初期応力は渦巻ばね259によって実現され、この渦巻ばねにロッド203が挿通されており、この渦巻ばねは下側端部261で中央部分に、特にモールディング263に支持されるとともに、上側端部265で温度測定プローブ203のビード部267に支持されて、温度測定プローブに上方に向かって初期応力をかける。
【0076】
中央部分217の内部空間219の内部にある配線板241は電子回路を有しており、電気回線269を介して、温度測定プローブ203の下側端部にある感度領域から測定データを受け取り、この測定データを処理し、特にキャリブレーションを行い、および/またはデジタル信号への変換を行うように構成されている。そしてデジタル信号を、ケーブル239を介してコンセント271へ送ることができ、デジタルデータを外部へ伝送するために、このコンセントに評価ユニットのプラグを、たとえばジャックプラグ273を差し込むことができる。
【0077】
図2に図示する実施形態200も、容器の底面まで達する(図2には示さない)下側端部を含む別の温度測定プローブ229を有している。この測定プローブは、渦巻ばね231を通じて下方に向かって初期応力をかけられており、別の初期応力ばね231が、別の測定プローブ229が取り付けられた別の配線板275を下方に向かって押圧する。別の温度測定プローブの測定データもケーブル276を介して、配線板241の上に実装された電子回路へと伝送される。
【0078】
図2においても、担持区域233は差込部材として構成されており、形状接合式の結合を行うために、スリーブ状の対応部材277の中に挿入される。担持区域233が対応部材277へ機械的に挿入されると、同時に、電気接続コンセント271が電気接続プラグ273と電気接続される。
【0079】
図3には、開口壁部302によって区切られる容器の開口部への閉止部材307挿入によって、部分的にのみ図示する容器が閉止されている状態で、容器を閉止する装置300の一部が模式的な断面図で図示されている。図3に図示する装置300は、ただ1つの温度測定プローブ303を含んでいる。別の温度測定プローブは示されていないが、図1および2に図示するような別の実施形態では構成、意図されていてよい。
【0080】
測定プローブ303の外側表面と、貫通孔311を区切る閉止部分307の内側表面との間で生じる場合がある間隙を封止するために、シール材379(Oリング)が設けられている。図3に示すとおり、中央部分317は閉止部分307の少なくとも上側部分を包囲する。さらに、閉止部分307が容器の開口部へ完全に差し込まれたときに、容器の外側の開口壁部302の外方に向かって突き出すビード部382の下方で係止する弾性的なスナップリング381が設けられている。スナップリング381が設けられることで、容器からの装置300の引き外し、特に不慮の引き外しが起こりにくくなる。
【0081】
担持部分333は、補助装置の対応部材377へ差し込まれ、そこで係止をして機械的な保持を実現する担持ロッド334を含んでいる。図3に図示する担持部分333も、水平線から一定の角度だけ下方に向かって傾いている。下方に向かう傾きの角度αは、たとえば0°から45°の間であり得る。このとき水平線337は、温度測定プローブ303の垂直方向または長手方向315に対して垂直である。ただしこの担持部分333は、図2に図示する実施形態のように、電気プラグまたは電気コンセントを一体的に含んでいない。その代わりに、電気プラグ335が電気ケーブル336の端部に担持部分333とは別個に設けられている。対応磁石(図示せず)との結合を実現するために、磁気区域338に磁化可能な材料または磁石が設けられている。
【0082】
図3に図示する実施形態300のねじ機構313も、図1,2に図示しているねじ機構113または213とは異なっている。図3に図示する装置300では、キャップ323に雌ねじ328(止まり穴)が設けられていて、この雌ねじに、雄ねじを含む温度測定プローブ303の上側端部330がねじ込まれる。(中央部分317で支承されている)キャプ323を回すことで、温度測定プローブ303が垂直方向315に沿ってスライドし、それにより、その端部に設けられている温度測定部材もその垂直位置に関して変更される。
【0083】
図4は、たとえば図3に図示する電気プラグ335の1つの構成として利用することができるプラグ435の実施形態を一例として図示している。(磁気)プラグ435は、電気接触部438、たとえば弾性作用のある金ボールや金メッキされた接触部438、ならびに磁石440を含んでいる。対応部材442にはこれに対応する電気接触面444と、磁石または磁化可能な材料446が設けられており、磁石440が磁化された結合部材446と磁力によって接触するとただちに、接続部438および444の間で電気接触が形成される。
【0084】
図5は、本発明の実施形態に基づく液体分析システム550を模式的に図示しており、容器510を閉止する装置500は、図1,2または3に図示するものに類似して構成されていてよく、したがってこれを詳細に説明または図示することはしない。容器を閉止する装置500の担持部分533は、容器を保持するために、部分的にのみ示す補助装置に取り付けられた対応部材577と結合される。さらに容器510は、蒸気を凝縮させることができる凝縮器562へと通じるガラス管区域の分岐部560を含んでいる。凝縮物はその後にシリンダ564によって受容することができる。検査されるべき試料の蒸発特性の特徴を決定するために、シリンダ564により受容された液体容積も測定することができる。
【0085】
図1,5に図示する装置150,550は、たとえば鉱物油製品や溶剤を検査するために、たとえば自動(または大気)蒸留ユニット(ADU)として構成されていてよい。容器110,510は、たとえばASTMD60、ASTMD850、ASTMD1078、またはISO1078に基づく標準化された試験を実施することができる、たとえば規格化された試料容器であってよい。本発明の実施形態は、温度測定部材を含めたフラスコの確実な取扱いを可能にする。さらにはフラスコの担持が可能となり、それにより、特に穴付きプレートまたは加熱部が圧着されるときに、フラスコの蒸気管560が損傷することがない。さらに、少なくとも1つの温度センサのキャリブレーションデータを、閉止をする装置の内部で、特に中央部分の内部空間の内部にある配線板の上の電子記憶装置で、保存しておくことができる。閉止をする装置は、フラスコの中に突入する少なくとも1つの温度センサの高さを調整することを可能にする。さらに本装置は、少なくとも1つの温度センサからの測定データをデジタルデータに変換するように構成される。さらに、温度センサのうちの少なくとも1つの、および/または装置そのものの全体のシリアル番号が固定的に保存されていてよく、および/または器具とデジタル式に通信することができる。少なくとも1つの温度測定プローブの温度測定は、0.1Kの精度を有することができる。別の温度測定プローブによる乾点の検出は熱電対を用いて行うことができる。熱電対は比較的低い慣性を有しており、100℃を超える比較的高い温度が予想されるからである。熱電対は弾性作用により支承されていてよい。そのために、接続配線板が弾性作用により組み付けられ、その上に熱電対が取り付けられる。本発明の実施形態では、閉止をする装置は温度測定システムを含めた閉止部分からなるユニットとして構成され、それにより利用者が少ない組立コストを有し、それに伴って損傷のリスクが低減される。キャリブレーションデータやその他のコンフィグレーションデータまたは処理データが、電子記憶装置(たとえばEEPROMやマイクロコントローラでのエミュレーション)で保存されていてよい。それにより、測定部材のキャリブレーションを省くことができる。キャリブレーションデータは必ずしも最初から電子記憶装置に保存されていなくてよく、事後的に利用者自身によって実行することもできる。いずれの場合にも電子記憶装置は、キャリブレーションデータを記録および保存して、これを測定結果の評価のために援用することができるようにセットアップされていてよい。配線板に実装されていてよいエレクトロニクスまたは電子回路は、1つまたは複数の温度測定プローブからの測定データを検出して、データを前処理し、特に外部への伝送前にデジタルデータへと変換することができる。それにより、低い故障発生率またはいっそう高いデータ安全性を可能にすることができる。別の実施形態では、システム全体または温度測定システムの機能有用性と機能性の監視を可能にするために、別の温度測定プローブが温度の決定のために中央部分の内部空間の内部に設けられていてよい。容器を閉止する装置の外部への電気接続は、たとえばジャックプラグなどの差込接点を通じて行うことができ、たとえば電圧供給と通信のために4つの接触部を含むことができる。
【0086】
容器を閉止する装置の補助器具での保持は、補助装置の磁石によって固定される磁気式の保持ピンを通じて行うことができる。電圧供給と通信のための少なくとも3つの接触部を含む磁気プラグを通じて、補助装置との効率的な接続を行うことができる。このとき磁気プラグは短いケーブルに懸架することができ、それにより、栓を差し込んだときにプラグが対応するブッシュの中へ自動的に「飛び込む」。
【0087】
本発明の別の実施形態は、温度測定データの無接触式の、すなわち無線式の伝送を可能にする。すなわち、容器を閉止する装置を識別するために、特に1つ、2つ、またはそれ以上の温度測定プローブを含む装置であるかどうかを表示するために、識別データを同じく無線式に伝送することができる。無線式の伝送のために、器具を閉止する装置の内部だけでなく補助装置にもそれぞれアンテナが設けられていてよい。本装置はたとえば受動的な装置として構成されていてもよく、この場合、エネルギー供給を無線式のエネルギー伝送を通じて行うことができる。さらに、アンテナを通じての通信を可能にするための駆動回路が存在していてよい。通信は、たとえばRFIDプロトコルによって、あるいはブルートゥース(登録商標)・プロトコルによって行うことができる。
[項目1]
少なくとも1つの標準化された試験に基づいて液体の蒸発特性を決定するための液体の容器を、特にフラスコを閉止する装置において、
下側端部を含む温度測定プローブを有する、特に液体の蒸気温度を測定するための少なくとも1つの温度測定システムと、
前記容器を閉止するために前記容器の開口部、特に内側の表面と接触するように構成された、特にテーパ状に構成された外側表面を有する、および前記温度測定プローブの下側端部が前記容器の内部に配置されるように前記温度測定プローブの一部が挿通される貫通孔を有する閉止部分と、
前記温度測定プローブの長手方向に沿って前記温度測定プローブの前記下側端部の位置を調節するための機構、特にねじ機構とを備えている装置。
[項目2]
前記下側端部の位置を調節するための機構の、特に前記ねじ機構の操作によって前記温度測定プローブの前記下側端部の位置を前記温度測定プローブの前記長手方向に沿って変更可能である、項目1に記載の装置。
[項目3]
前記温度測定プローブの前記長手方向に沿って前記温度測定プローブの前記下側端部の位置を調節するための前記機構は前記ねじ機構を含んでいる、項目1または2に記載の装置。
[項目4]
前記ねじ機構はねじ山を含むねじ部材を有しており、前記ねじ部材を、ねじ軸を中心として回すことで前記温度測定プローブの位置を調節可能である、項目1から3のうちいずれか1項に記載の装置。
[項目5]
特に前記閉止部分の上方で内部空間を有する中央部分をさらに備えており、前記内部空間の中に前記温度測定プローブの上側端部が配置される、項目1から4のうちいずれか1項に記載の装置。
[項目6]
前記内部空間を閉止するためのキャップをさらに備えており、前記中央部分は前記閉止部分と前記キャップの間に配置される、項目5に記載の装置。
[項目7]
前記キャップは前記貫通孔または止まり穴のうち少なくとも一方を含むものとして構成された雌ねじを有している、項目6に記載の装置。
[項目8]
前記キャップが前記ねじ部材を構成し、前記キャップの雌ねじに前記温度測定プローブの前記上側端部が雄ねじをもってねじ込まれる、項目6または7に記載の装置。
[項目9]
前記ねじ部材は雄ねじを含むねじとして構成され、
前記キャップの雌ねじは貫通ねじ山として構成され、前記貫通ねじ山にねじがねじ込まれて、前記温度測定プローブの前記上側端部の上方に向かって初期応力をかけられた端面と接触する、項目7または8に記載の装置。
[項目10]
前記初期応力は渦巻ばねによって生成され、前記渦巻ばねに前記温度測定プローブが挿通され、前記渦巻ばねは下側端部で前記中央部分に支持されるとともに上側端部で前記温度測定プローブのビード部に支持されて、前記温度測定プローブに上方に向かって初期応力をかける、項目9に記載の装置。
[項目11]
前記温度測定プローブから出力される測定データを処理し、特にデジタル信号へ変換するように構成された、特に前記中央部分の前記内部空間に配置された電子回路を特に配線板上にさらに有している、項目5から10のうちいずれか1項に記載の装置。
[項目12]
前記電子回路は、
前記温度測定プローブについてのキャリブレーションデータのための電子記憶装置、またはキャリブレーションデータを有する電子記憶装置のうち少なくとも一方、または A-D変換器、または
デジタル信号を無線式または有線式のうち少なくとも一方に伝送するように構成された通信モジュール、
のうち少なくとも一つを備え、
基準抵抗をさらに備えており、前記基準抵抗を基準として前記温度測定プローブの、特にPt100の、さらには特に金属Pt100の温度依存的な抵抗が決定される、項目11に記載の装置。
[項目13]
前記温度測定システムは、前記閉止部分に挿通され、前記下側端部をもって前記容器の底面の温度を測定するように構成された別の温度測定プローブ、特に熱電対を含んでいる、項目1から12のうちいずれか1項に記載の装置。
[項目14]
前記別の温度測定プローブは、
位置に関して調整可能であり、または
別の初期応力ばね、特に渦巻ばねを通じて下方に向かって初期応力をかけられ、前記別の初期応力ばねは特に前記別の温度測定プローブが取り付けられている別の配線板を下方に向かって押圧する、項目13に記載の装置。
[項目15]
前記中央部分は前記閉止部分の少なくとも1つの上側部分を包囲または受容のうち少なくとも一方をし、特に、前記閉止部分が前記容器の開口部へ完全に差し込まれたときに前記容器の開口部の、外側の開口壁部の外方に向かって突き出すビード部の下方で係止をするために弾性的なスナップリングを有する、項目5から12のうちいずれか1項に記載の装置。
[項目16]
前記閉止部分の上方で特に前記中央部分に配置された、前記温度測定プローブの前記長手方向に対して横向きに前記閉止部分または前記中央部分のうち少なくとも一方から突き出す特に円筒対称の担持部分をさらに備えており、前記担持部分は補助装置の対応部材と嵌め合い可能であり、前記担持部分または前記対応部材のうち少なくとも一方は差込部材として施工され、前記担持部分または前記対応部材のうち少なくとも一方はスリーブ状の部材として施工される、項目5から12または、項目15のうちいずれか1項に記載の装置。
[項目17]
前記担持部分は磁化可能な材料または磁性材料のうち少なくとも一方を含んでいる、項目16に記載の装置。
[項目18]
特に電気ケーブルを介して外部への前記電子回路の電気接続を可能にするためにプラグまたはコンセントのうち少なくとも一方をさらに有している、項目11または12に記載の装置。
[項目19]
前記プラグまたは前記コンセントのうち少なくとも一方は支持部分と一体的である、項目18に記載の装置。
[項目20]
前記プラグまたは前記コンセントのうち少なくとも一方は担持部分とは別個に、特に磁気プラグまたは磁気ブッシュのうち少なくとも一方を有するように、接続ケーブルの端部に施工される、項目18に記載の装置。
[項目21]
前記閉止部分はテフロン(登録商標)から製作され、前記中央部分はナイロンまたはテフロン(登録商標)のうち少なくとも一方から製作される、項目5から12または、項目15から20のうちいずれか1項に記載の装置。
[項目22]
前記温度測定プローブと、前記貫通孔を区切る前記閉止部分の表面との間に設けられる少なくとも1つのシール材をさらに備えている、項目1から21のうちいずれか1項に記載の装置。
[項目23]
特に少なくとも1つの標準化された試験に基づいて液体を分析するための液体分析システム、特に自動蒸留ユニットにおいて、
特に凝縮器へと通じる分岐部を有する、開口部を有する容器と、
項目1から22のうちいずれか1項に記載の容器を閉止する装置とを備えている液体分析システム。
[項目24]
前記装置の担持部分を受容するように構成された担持受容部、または
前記容器を下方から加熱するように配置された加熱部、または
前記加熱部のうち少なくとも一つを制御、または測定データを前記温度測定システムから取得、のうち少なくとも一方をし、特に標準化された試験に基づいて評価するように構成された制御システムをさらに備えている、項目1から22のうちいずれか1項に記載の装置を備えている液体システムまたは項目23に記載の液体分析システム。
【符号の説明】
【0088】
100,200,300,500 容器を閉止する装置
101 温度測定システム
103,203,303 温度測定プローブ
105 下側端部
107 閉止部分
109 外側表面
110 容器
111 貫通孔
113 ねじ機構
114 蒸気室
115 長手方向
118 底面
119 内部空間
123,223,323 キャップ
129,229 別の温度測定プローブ
133,233 担持区域
333 担持部分
135,335 プラグ
143 加熱部
150,550 液体分析システム
231 初期応力ばね
241 配線板
247 ねじ部材
249 ねじ
251 雄ねじ
253 雌ねじ
257 上側端部
259 渦巻ばね
261 下側端部
265 上側端部
267 ビード部
271 コンセント
275 配線板
277 対応部材
307 閉止部分
311 貫通孔
328 雌ねじ
330 上側端部
379 シール材
381 スナップリング
382 ビード部
図1
図2
図3
図4
図5