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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】積層セラミック電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
H01G4/30 513
H01G4/30 512
H01G4/30 516
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 201M
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018204643
(22)【出願日】2018-10-31
(65)【公開番号】P2019192895
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】10-2018-0046195
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0090639
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ミン ゴン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、スン ウー
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ジェ ヨル
(72)【発明者】
【氏名】ジョー、ジン キョン
(72)【発明者】
【氏名】リー、タク ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ジン マン
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-189423(JP,A)
【文献】特開2016-136561(JP,A)
【文献】国際公開第2014/148133(WO,A1)
【文献】特開2014-130999(JP,A)
【文献】特開2017-118083(JP,A)
【文献】特開2015-023271(JP,A)
【文献】特開2016-181597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される内部電極を含み、互いに向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び第2面と連結され、互いに向かい合う第3面及び第4面、ならびに前記第1面~第4面と連結され、互いに向かい合う第5面及び第6面を有するセラミック本体と、
前記セラミック本体の外側に配置され、前記内部電極と電気的に連結される外部電極と、を含む積層セラミック電子部品であって、
前記セラミック本体は、前記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される内部電極を含み、容量が形成される部分である活性部と、前記活性部の上部及び下部に形成され、セラミックを含むカバー部と、を含み、
前記外部電極は、前記セラミック本体の外側に配置され、第1導電性金属を主成分として含む第1電極層と、前記第1電極層上に配置され、第2導電性金属を主成分として含むめっき層と、を含み、
前記第1導電性金属はニッケル(Ni)であり、前記第2導電性金属は銅(Cu)であり、
前記外部電極の厚さは、前記第1電極層と前記めっき層の厚さの和であり、
前記外部電極の厚さは、10.2μm以下であり、
前記第1導電性金属及び第2導電性金属のヤング率(Young's Modulus)が、前記カバー部に主成分として含まれるセラミックのヤング率(Young's Modulus)の70%以上であり、前記外部電極の厚さは、前記カバー部の厚さの80%以上である、積層セラミック電子部品。
【請求項2】
誘電体層、及び前記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される内部電極を含み、互いに向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び第2面と連結され、互いに向かい合う第3面及び第4面、ならびに前記第1面~第4面と連結され、互いに向かい合う第5面及び第6面を有するセラミック本体と、
前記セラミック本体の外側に配置され、前記内部電極と電気的に連結される外部電極と、を含む積層セラミック電子部品であって、
前記セラミック本体は、前記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される内部電極を含み、容量が形成される部分である活性部と、前記活性部の上部及び下部に形成され、セラミックを含むカバー部と、を含み、
前記外部電極は、前記セラミック本体の外側に配置され、第1導電性金属を主成分として含む第1電極層と、前記第1電極層上に配置され、第2導電性金属を主成分として含むめっき層と、を含み、
前記外部電極の厚さは、前記第1電極層と前記めっき層の厚さの和であり、
前記第1導電性金属及び第2導電性金属のヤング率(Young's Modulus)が、前記カバー部に主成分として含まれるセラミックのヤング率(Young's Modulus)の20%以上50%未満であり、前記外部電極の厚さは、前記カバー部の厚さの130%以上である、積層セラミック電子部品。
【請求項3】
前記第1導電性金属は、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金からなる群から選択される1つ以上である、請求項2に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項4】
前記第2導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、及びこれらの合金からなる群から選択される1つ以上である、請求項2または3に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項5】
前記外部電極の厚さは、前記カバー部の厚さの80%以上である、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項6】
厚さが100μm以下である、請求項1からのいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項7】
前記カバー部の厚さは、前記積層セラミック電子部品の長さの1/40以下を満たす、請求項1からのいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項8】
前記カバー部の厚さは、前記積層セラミック電子部品の厚さの1/5以下を満たす、請求項1からのいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項9】
前記セラミック本体の長さは前記第3面と第4面との間の距離であり、前記セラミック本体の幅は前記第5面と第6面との間の距離であって、前記内部電極は前記第5面及び第6面に交互に露出する、請求項1からのいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項10】
前記外部電極は、前記セラミック本体の第5面及び第6面にそれぞれ配置されるとともに、第1面及び第2面に延びて配置されており、前記セラミック本体の第1面及び第2面に配置された外部電極の面積は、前記セラミック本体の第1面及び第2面のそれぞれの面積の50%以上を占める、請求項1からのいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項11】
前記カバー部は、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項12】
前記めっき層は少なくとも2層以上で配置される、請求項1から11のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミック電子部品に関し、より具体的には、信頼性に優れた積層セラミック電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、基板の実装密度の高密度化に伴い、積層セラミックキャパシターの実装面積の減少に対する必要性が増加している。また、積層セラミックキャパシターの厚さを減少させて基板内に埋め込んだり、APの下端部にLSCタイプで実装する製品の需要が増大している。
【0003】
上記の場合、単なる実装面積の減少にとどまらず、基板内で発生するESLの減少にも効果が大きいため、厚さが薄い積層セラミックキャパシター製品の需要が増加している状況である。
【0004】
厚さが薄い積層セラミックキャパシターには、脆性が大きく、破壊強度が低いという問題がある。
【0005】
このような低い破壊強度は、積層セラミックキャパシターの測定、選別、及びテーピング工程や、実装過程における破損の可能性を増大させる。
【0006】
したがって、厚さが薄い積層セラミックキャパシターの商業的適用のためには、上記厚さの薄い積層セラミックキャパシターの破壊強度を上昇させることが先決課題であると言える。
【0007】
従来は、厚さの薄い積層セラミックキャパシターの破壊強度を向上させるために、本体の内部に、電気的特性の実現とは無関係な金属層を挿入する試みがあったが、本体の内部に電気的特性の実現とは無関係な金属層を挿入するという工程が増加する問題、及び上記金属層によって容量が低下するという問題があった。
【0008】
一方、積層セラミックキャパシターの本体内部には、内部電極が配置されていない保護領域としてのカバー部が存在するが、カバー部は金属層によって保護されないため、所定以上の厚さが確保されないと、破壊強度が急激に低くなる。
【0009】
かかるカバー部の脆性を制御するために、外部電極の厚さを所定以上に確保することに対する必要性が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】韓国公開特許第2014-0085097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、積層セラミック電子部品に関し、より具体的には、信頼性に優れた積層セラミック電子部品に関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態は、誘電体層、及び上記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、互いに向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、互いに向かい合う第3面及び第4面、ならびに上記第1面~第4面と連結され、互いに向かい合う第5面及び第6面を有するセラミック本体と、上記セラミック本体の外側に配置されており、上記第1内部電極と電気的に連結される第1外部電極、及び上記第2内部電極と電気的に連結される第2外部電極と、を含む積層セラミック電子部品であって、上記セラミック本体は、上記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、容量が形成される部分である活性部と、上記活性部の上部及び下部に形成されたカバー部と、を含み、上記カバー部の厚さに対する上記第1及び第2外部電極の厚さの比率は、上記カバー部のヤング率(Young's Modulus)に対する上記第1及び第2外部電極のヤング率(Young's Modulus)の比率の3乗根に比例する、積層セラミック電子部品を提供する。
【0013】
本発明の他の実施形態は、誘電体層、及び上記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される内部電極を含み、互いに向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、互いに向かい合う第3面及び第4面、ならびに上記第1面~第4面と連結され、互いに向かい合う第5面及び第6面を有するセラミック本体と、上記セラミック本体の外側に配置され、上記内部電極と電気的に連結される外部電極と、を含む積層セラミック電子部品であって、上記セラミック本体は、上記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される内部電極を含み、容量が形成される部分である活性部と、上記活性部の上部及び下部に形成され、セラミックを含むカバー部と、を含み、上記外部電極は、上記セラミック本体の外側に配置され、第1導電性金属を含む第1電極層と、上記第1電極層上に配置され、第2導電性金属を含むめっき層と、を含み、上記外部電極の厚さは、上記第1導電性金属のヤング率(Young's Modulus)と第2導電性金属のヤング率(Young's Modulus)によって決定された第1電極層とめっき層の厚さの和であり、上記カバー部の厚さに対する上記外部電極の厚さの比率は、上記カバー部に含まれるセラミックのヤング率(Young's Modulus)に対する上記第1導電性金属と第2導電性金属のヤング率(Young's Modulus)の比率に比例する、積層セラミック電子部品を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施形態によると、上記外部電極に含まれる導電性金属のヤング率(Young's Modulus)と、セラミック本体内のカバー部に含まれるセラミック材料のヤング率(Young's Modulus)との差に応じて、外部電極の厚さとカバー部の厚さの比率を調節することで、厚さの薄い積層セラミックキャパシターの破壊強度を増加させ、工程中に発生し得る破損やクラックによる信頼性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシターを示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態によるセラミック本体を示した模式図である。
図3図2の分解斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態による図1のI-I'の断面図である。
図5】本発明の第2実施形態による図1のI-I'の断面図である。
図6図1のB方向から見た上部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0017】
明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に異なる趣旨の説明がされていない限り、他の構成要素を除外する趣旨ではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0018】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0020】
図1は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシターを示す斜視図である。
【0021】
図2は本発明の一実施形態によるセラミック本体を示した模式図である。
【0022】
図3図2の分解斜視図である。
【0023】
図4は本発明の第1実施形態による図1のI-I'の断面図である。
【0024】
図1から図4を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品は、誘電体層111、及び上記誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122と、を含み、互いに向かい合う第1面及び第2面S1、S2、上記第1面及び第2面S1、S2と連結され、互いに向かい合う第3面及び第4面S3、S4、ならびに上記第1面~第4面と連結され、互いに向かい合う第5面及び第6面S5、S6を有するセラミック本体110と、上記セラミック本体110の外側に配置されており、上記第1内部電極121と電気的に連結される第1外部電極131、及び上記第2内部電極122と電気的に連結される第2外部電極132と、を含む積層セラミック電子部品であって、上記セラミック本体110は、上記誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含み、容量が形成される部分である活性部Aと、上記活性部Aの上部及び下部に形成されたカバー部Cと、を含む。
【0025】
以下では、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品を説明するにあたり、特に、積層セラミックキャパシターを挙げて説明するが、これに制限されるものではない。
【0026】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシターにおいて、「長さ方向」とは図1の「L」方向、「幅方向」とは「W」方向、「厚さ方向」とは「T」方向と定義することができる。ここで、「厚さ方向」は、誘電体層を積み上げる方向、すなわち、「積層方向」と同一の概念で用いることができる。
【0027】
本発明の一実施形態において、セラミック本体110の形状は特に制限されないが、図に示すように六面体形状であることができる。
【0028】
上記セラミック本体110は、互いに向かい合う第1面S1及び第2面S2と、上記第1面と第2面を連結する第3面S3及び第4面S4と、上記第1面~第4面と連結され、互いに向かい合う第5面S5及び第6面S6と、を有することができる。
【0029】
上記第1面S1及び第2面S2は、セラミック本体110の厚さ方向に向かい合う面、上記第3面S3及び第4面S4は長さ方向に向かい合う面、上記第5面S5及び第6面S6は幅方向に向かい合う面と定義することができる。
【0030】
上記セラミック本体110の形状は特に制限されないが、図に示すように、直方体形状であることができる。
【0031】
上記セラミック本体110の内部に形成された複数個の内部電極121、122は、セラミック本体の第5面S5または第6面S6に一端が露出する。
【0032】
上記内部電極121、122は、互いに異なる極性を有する第1内部電極121及び第2内部電極122を一対とすることができる。
【0033】
第1内部電極121の一端は第5面S5に露出し、第2内部電極122の一端は第6面S6に露出することができる。
【0034】
上記第1内部電極121及び第2内部電極122の他端は、第6面S6または第5面S5から所定の間隔を置いて形成される。これについてのより具体的な事項は後述する。
【0035】
上記セラミック本体の第5面S5及び第6面S6には第1及び第2外部電極131、132が形成され、上記内部電極と電気的に連結されることができる。
【0036】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量を得ることができれば特に制限されず、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)粉末であることができる。
【0037】
上記誘電体層111を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などの粉末に、本発明の目的に応じて、様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0038】
このようなセラミック本体110は、キャパシターの容量の形成に寄与する部分としての活性部Aと、活性部Aの上下部にそれぞれ形成された上下マージン部としての上部及び下部カバー部Cと、で構成されることができる。
【0039】
上記活性部Aは、誘電体層111を間に挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返し積層することで形成されることができる。
【0040】
上記上部及び下部カバー部Cは、内部電極を含まないことを除き、誘電体層111と同一の材質及び構成を有することができる。
【0041】
すなわち、上記上部及び下部カバー部Cはセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0042】
上記上部及び下部カバー部Cは、単一の誘電体層または2つ以上の誘電体層を活性部Aの上下面にそれぞれ上下方向に積層することで形成されることができ、基本的に、物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0043】
上記第1及び第2内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、例えば、銀(Ag)、鉛(Pb)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、及び銅(Cu)の何れか1つ以上の物質を含む導電性ペーストを用いて形成されることができる。
【0044】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシターは、上記第1内部電極121と電気的に連結された第1外部電極131と、上記第2内部電極122と電気的に連結された第2外部電極132と、を含むことができる。
【0045】
上記第1及び第2外部電極131、132は、静電容量を形成するために上記第1及び第2内部電極121、122と電気的に連結されることができ、上記第2外部電極132は、上記第1外部電極131と異なる電位に連結されることができる。
【0046】
上記第1内部電極及び第2内部電極121、122は上記誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置されており、上記セラミック本体110の幅方向の第5面S5または第6面S6に交互に露出することができる。
【0047】
上記第1内部電極及び第2内部電極121、122が上記セラミック本体110の幅方向の第5面S5または第6面S6に交互に露出することで、後述のように、RGC(Reverse Geometry Capacitor)またはLICC(Low Inductance Chip Capacitor)を実現することができる。
【0048】
通常の積層セラミック電子部品は、セラミック本体の長さ方向に互いに向かい合う端面に外部電極が配置されている。
【0049】
この場合、外部電極に交流が印加された時に電流の経路が長いため、電流ループがさらに大きく形成され得る。これにより、誘導磁場の大きさが大きくなり、インダクタンスが増加し得る。
【0050】
上記の問題を解決すべく、本発明の一実施形態によると、電流の経路を減少させるために、セラミック本体110の幅方向に互いに向かい合う第5面及び第6面S5、S6に第1及び第2外部電極131、132が配置されることができる。
【0051】
この場合、第1及び第2外部電極131、132の間の間隔が小さいため、電流経路が短くなる。これにより、電流ループが減少し、インダクタンスが減少することができる。
【0052】
上記第1及び第2外部電極131、132は、上記セラミック本体110の幅方向の第5面S5及び第6面S6にそれぞれ配置されるとともに、上記セラミック本体110の厚さ方向の第1面S1及び第2面S2に延びて配置されることができる。
【0053】
本発明の一実施形態によると、上記セラミック本体110の厚さ方向の第1面S1及び第2面S2に配置された第1及び第2外部電極131、132の面積は、上記セラミック本体110の第1面S1及び第2面S2のそれぞれの面積の50%以上を占めることができる。
【0054】
上記第1及び第2外部電極131、132は、上記セラミック本体110の外側に配置され、第1導電性金属を含む第1電極層131a、132aと、上記第1電極層131a、132a上に配置され、第2導電性金属を含むめっき層131b、132bと、を含むことができる。
【0055】
図4は、上記めっき層131b、132bが1つの層で構成された様子を示しているが、これに制限されるものではなく、例えば、上記めっき層は少なくとも2層以上配置されることができる。
【0056】
図5を参照すると、後述のように、上記めっき層は2層構造を有することができる。したがって、上記めっき層はそれぞれ第1めっき層131b、132b及び第2めっき層131c、132cを含むことができる。
【0057】
上記第1電極層131a、132aは第1導電性金属及びガラスを含むことができる。
【0058】
静電容量を形成するために、上記第1及び第2外部電極131、132が上記セラミック本体110の幅方向の第5面S5及び第6面S6にそれぞれ形成されることができ、上記第1及び第2外部電極131、132に含まれる上記第1電極層131a、132aが、上記第1及び第2内部電極121、122と電気的に連結されることができる。
【0059】
上記第1電極層131a、132aは、上記第1及び第2内部電極121、122と同一の材質の導電性物質で形成されることができるが、これに制限されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金からなる群から選択される1つ以上の第1導電性金属を含むことができる。
【0060】
上記第1電極層131a、132aは、上記第1導電性金属粉末にガラスフリットを添加して準備された導電性ペーストを塗布した後、焼成することで形成されることができる。
【0061】
本発明の一実施形態によると、上記第1及び第2外部電極131、132は、上記第1電極層131a、132a上に配置され、第2導電性金属を含むめっき層131b、132bを含むことができる。
【0062】
上記第2導電性金属は、特に制限されるものではないが、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、及びこれらの合金からなる群から選択される1つ以上であることができる。
【0063】
上記第1導電性金属と第2導電性金属は、互いに同一の金属であってもよく、若しくは互いに異なる金属であってもよい。
【0064】
例えば、上記第1電極層131a、132aに含まれる第1導電性金属がニッケル(Ni)であり、めっき層131b、132bに含まれる第2導電性金属がニッケル(Ni)、銅(Cu)、若しくはスズ(Sn)であることができる。
【0065】
同様に、上記第1電極層131a、132aに含まれる第1導電性金属が銅(Cu)であり、めっき層131b、132bに含まれる第2導電性金属がニッケル(Ni)、銅(Cu)、若しくはスズ(Sn)であることができる。
【0066】
本発明の一実施形態によると、上記積層セラミックキャパシターの厚さは100μm以下であることができる。
【0067】
近年、基板の実装密度が高密度化しており、厚さが100μm以下の薄い積層セラミックキャパシターの需要が増加しているが、厚さが100μm以下の薄い積層セラミックキャパシターは、脆性が大きく、破壊強度が低いという問題がある。
【0068】
このような低い破壊強度は、積層セラミックキャパシターの測定、選別、及びテーピング工程や、実装過程における破損の可能性を増大させる。
【0069】
本発明の一実施形態によると、上記第1及び第2外部電極131、132に含まれる導電性金属のヤング率(Young's Modulus)と、セラミック本体110内のカバー部Cに含まれるセラミック材料のヤング率(Young's Modulus)との差に応じて、第1及び第2外部電極131、132の厚さとカバー部Cの厚さの比率を調節することで、100μm以下の厚さの薄い積層セラミックキャパシターの破壊強度を増加させ、工程中に発生し得る破損やクラックによる信頼性の低下を防止することができる。
【0070】
具体的には、本発明の一実施形態によると、上記カバー部Cの厚さtに対する上記第1及び第2外部電極131、132の厚さ(t、tの和、若しくはt、t及びtの和)の比率は、上記カバー部Cのヤング率(Young's Modulus)に対する上記第1及び第2外部電極131、132のヤング率(Young's Modulus)の比率の3乗根に比例する。
【0071】
本発明の一実施形態では、上記カバー部Cに含まれるセラミック材料のヤング率(Young's Modulus)と、上記第1及び第2外部電極131、132に含まれる導電性金属のヤング率(Young's Modulus)との比率の3乗根の値に基づいて、カバー部Cの厚さtに応じた第1及び第2外部電極131、132の厚さ(t、tの和、若しくはt、t及びtの和)を決定することを特徴とする。
【0072】
上記カバー部Cは、内部に金属層が配置されていないため、所定以上の厚さが確保されないと、破壊強度が急激に低くなり得る。
【0073】
このようなカバー部Cの脆性を制御すべく、クラックの発生を防ぐために外部電極の厚さを所定以上に確保しなければならない。
【0074】
本発明の一実施形態では、薄いカバー部Cの低い破壊強度を補完するための外部電極の適正厚さを見出した。具体的には、基準となるカバー部Cの厚さtに対する、工程中に発生し得る破損やクラックによる信頼性の低下を防止することができる外部電極の厚さの比率は、カバー部Cに含まれるセラミック材料のヤング率(Young's Modulus)と、上記第1及び第2外部電極131、132に含まれる導電性金属のヤング率(Young's Modulus)との比率の3乗根の値に比例する。
【0075】
これにより、厚さが100μm以下の薄い積層セラミックキャパシターにおいて、厚さの薄いカバー部Cを配置する際に、信頼性の低下を防止することができる外部電極の最小の厚さを数値的に決定できるようになった。
【0076】
本発明の一実施形態は、厚さが100μm以下の薄い積層セラミックキャパシターにおいて、カバー部の厚さに対する外部電極の厚さを決定することを特徴とするが、厚さが100μmを超える従来構造の積層セラミックキャパシターでは、カバー部の厚さが厚いため、工程中に破損やクラックが発生する問題がないため、上記のような本発明の数値が適用されなくてもよい。
【0077】
具体的には、上記基準となるカバー部Cの厚さtに対する、工程中に発生し得る破損やクラックによる信頼性の低下を防止することができる外部電極の厚さの比率を得るために、カバー部Cに含まれるセラミック材料のヤング率(Young's Modulus)に対する、外部電極に含まれる導電性金属のヤング率(Young's Modulus)の比率を計算し、その値の3乗根を計算した値を導出した。
【0078】
上記カバー部Cにセラミック材料としてチタン酸バリウム(BaTiO)が含まれるものと仮定し、外部電極の材料に応じた外部電極の厚さを上記方法により導出することができる。
【0079】
例えば、上記外部電極が、カバー部Cのヤング率(Young's Modulus)の70%水準のヤング率を有するニッケル(Ni)を含む場合、上記外部電極の厚さが、上記基準となるカバー部Cの厚さの80%以上を確保すると、工程中に発生し得る破損やクラックによる信頼性の低下を防止することができる。
【0080】
一方、上記外部電極が、カバー部Cのヤング率(Young's Modulus)の50%水準のヤング率を有する銅(Cu)を含む場合、上記外部電極の厚さが、上記基準となるカバー部Cの厚さの96%以上を確保すると、工程中に発生し得る破損やクラックによる信頼性の低下を防止することができる。
【0081】
また、上記外部電極が、カバー部Cのヤング率(Young's Modulus)の20%水準のヤング率を有するスズ(Sn)を含む場合、上記外部電極の厚さが、上記基準となるカバー部Cの厚さの130%以上を確保すると、工程中に発生し得る破損やクラックによる信頼性の低下を防止することができる。
【0082】
一方、上述のように、上記第1及び第2外部電極131、132は、第1導電性金属を含む第1電極層131a、132aと、上記第1電極層131a、132a上に配置され、第2導電性金属を含むめっき層131b、132bと、を含むことができる。
【0083】
上記第1及び第2外部電極131、132の厚さは、上記第1導電性金属のヤング率(Young's Modulus)と第2導電性金属のヤング率(Young's Modulus)に応じて決定された第1電極層131a、132aとめっき層131b、132bの厚さの和(t、tの和)になる。
【0084】
この場合、第1導電性金属と第2導電性金属が同一の金属である場合には、上記の計算によって第1及び第2外部電極131、132の厚さが決定されることができる。
【0085】
例えば、上記カバー部Cの厚さtが10μmであり、上記第1導電性金属と第2導電性金属がニッケル(Ni)である場合には、第1電極層131a、132aの厚さtが3μmであり、めっき層131b、132bの厚さtが5μmであるなどのように、上記第1及び第2外部電極131、132の厚さ(t、tの和)がカバー部Cの厚さtの80%以上である、8μm以上となるようにする。
【0086】
一方、第1導電性金属と第2導電性金属は異なる金属であることができる。この場合、各金属を含む外部電極のそれぞれの層の厚さが外部電極全体の厚さにおいて占める分率と、上記各金属のヤング率(Young's Modulus)の上記カバー部Cのヤング率(Young's Modulus)に対する比率とを組み合わせて、第1及び第2外部電極131、132の厚さを決定することができる。
【0087】
例えば、上記カバー部Cの厚さが10μmであって、上記第1導電性金属としてニッケル(Ni)を含む第1電極層131a、132aの厚さtが3μmであり、第2導電性金属として銅(Cu)を含むめっき層131b、132bの厚さtが6μmであるなどのように、上記第1及び第2外部電極131、132の厚さ(t、tの和)がカバー部Cの厚さtの90%以上である、9μm以上となるようにする必要がある。
【0088】
上記の計算をまとめると、上記第1及び第2外部電極131、132の厚さは、上記カバー部Cの厚さの80%以上であることができる。
【0089】
一方、上記第1導電性金属及び第2導電性金属のヤング率(Young's Modulus)が、上記カバー部Cに含まれるセラミックのヤング率(Young's Modulus)の70%以上である場合、上記第1及び第2外部電極131、132の厚さ(t、tの和)は、カバー部Cの厚さtの80%以上であることができる。
【0090】
上記第1導電性金属及び第2導電性金属のヤング率(Young's Modulus)が、上記カバー部Cに含まれるセラミックのヤング率(Young's Modulus)の50%以上70%未満である場合、上記第1及び第2外部電極131、132の厚さ(t、tの和)は、カバー部Cの厚さtの96%以上であることができる。
【0091】
上記第1導電性金属及び第2導電性金属のヤング率(Young's Modulus)が、上記カバー部Cに含まれるセラミックのヤング率(Young's Modulus)の20%以上50%未満である場合、上記第1及び第2外部電極131、132の厚さ(t、tの和)は、カバー部Cの厚さtの130%以上であることができる。
【0092】
図4を参照すると、上記カバー部Cの厚さtは、上記積層セラミック電子部品の長さLの1/40以下を満たすことができ、上記積層セラミック電子部品の厚さTの1/5以下を満たすことができる。
【0093】
上記カバー部Cの厚さtが、上記積層セラミック電子部品の長さLの1/40以下または上記積層セラミック電子部品の厚さTの1/5以下を満たす場合、破壊強度が急激に低くなり、工程中に発生し得る破損やクラックによって信頼性が低下し得る。
【0094】
しかし、本発明の第1実施形態によると、上記外部電極に含まれる導電性金属のヤング率(Young's Modulus)と、セラミック本体内のカバー部に含まれるセラミック材料のヤング率(Young's Modulus)との差に応じて、外部電極の厚さとカバー部の厚さの比率を調節することで、上記カバー部Cの厚さtが、上記積層セラミック電子部品の長さLの1/40以下及び、上記積層セラミック電子部品の厚さTの1/5以下を満たす場合にも、破壊強度を増加させ、工程中に発生し得る破損やクラックによる信頼性の低下を防止することができる。
【0095】
図5は本発明の第2実施形態による図1のI-I'の断面図である。
【0096】
上述のように、上記めっき層は2層構造を有することができる。したがって、上記めっき層はそれぞれ、第1めっき層131b、132b及び第2めっき層131c、132cを含むことができる。
【0097】
図5を参照すると、本発明の第2実施形態による積層セラミックキャパシターにおいて、上記第1及び第2外部電極131、132は、上記第1電極層131a、132a上に配置され、第2導電性金属を含むめっき層を含み、上記めっき層は第1めっき層131b、132b及び第2めっき層131c、132cを含むことができる。
【0098】
上記第2導電性金属は、特に制限されるものではないが、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、及びこれらの合金からなる群から選択される1つ以上であることができる。
【0099】
上記第1導電性金属と第2導電性金属は、互いに同一の金属であってもよく、若しくは互いに異なる金属であってもよい。
【0100】
例えば、上記第1電極層131a、132aに含まれる第1導電性金属がニッケル(Ni)であって、めっき層のうち第1めっき層131b、132bに含まれる第2導電性金属がニッケル(Ni)であり、第2めっき層131c、132cはスズ(Sn)を含むことができる。
【0101】
この場合、上記カバー部Cの厚さtに対する上記第1及び第2外部電極131、132の厚さ(t、t及びtの和)の比率は、上記カバー部Cのヤング率(Young's Modulus)に対する上記第1及び第2外部電極131、132のヤング率(Young's Modulus)の比率の3乗根に比例する。
【0102】
上記のように、第1導電性金属と第2導電性金属は異なる金属であることができ、この場合、各金属を含む外部電極のそれぞれの層の厚さが外部電極全体の厚さにおいて占める分率と、上記各金属のヤング率(Young's Modulus)の上記カバー部Cのヤング率(Young's Modulus)に対する比率とを組み合わせて、第1及び第2外部電極131、132の厚さを決定することができる。
【0103】
例えば、上記カバー部Cの厚さが10μmであって、上記第1導電性金属としてニッケル(Ni)を含む第1電極層131a、132aの厚さtが3μmであり、第2導電性金属としてニッケル(Ni)を含む第1めっき層131b、132bの厚さtが4μmであり、第2導電性金属としてスズ(Sn)を含む第2めっき層131c、132cの厚さtが2μmであるなどのように、上記第1及び第2外部電極131、132の厚さ(t、t及びtの和)がカバー部Cの厚さtの100%以上である、10μm以上となるようにする必要がある。
【0104】
図5を参照すると、上記カバー部Cの厚さtは、上記積層セラミック電子部品の長さL'の1/40以下を満たすことができ、上記積層セラミック電子部品の厚さT'の1/5以下を満たすことができる。
【0105】
図6図1のB方向から見た上部平面図である。
【0106】
図6を参照すると、上記セラミック本体110の厚さ方向の第1面S1及び第2面S2に配置された第1及び第2外部電極131、132の面積が、上記セラミック本体110の第1面S1及び第2面S2のそれぞれの面積の50%以上を占めることができる。
【0107】
本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品は、誘電体層111、及び上記誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される内部電極121、122を含み、互いに向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、互いに向かい合う第3面及び第4面、ならびに上記第1面~第4面と連結され、互いに向かい合う第5面及び第6面を有するセラミック本体110と、上記セラミック本体110の外側に配置され、上記内部電極121、122と電気的に連結される外部電極131、132と、を含む積層セラミック電子部品であって、上記セラミック本体110は、上記誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される内部電極121、122を含み、容量が形成される部分である活性部Aと、上記活性部Aの上部及び下部に形成され、セラミックを含むカバー部Cと、を含み、上記外部電極131、132は、上記セラミック本体110の外側に配置され、第1導電性金属を含む第1電極層131a、132aと、上記第1電極層131a、132a上に配置され、第2導電性金属を含むめっき層131b、132bと、を含み、上記外部電極131、132の厚さは、上記第1導電性金属のヤング率(Young's Modulus)と第2導電性金属のヤング率(Young's Modulus)に応じて決定された第1電極層131a、132aとめっき層131b、132bの厚さの和であり、上記カバー部Cの厚さtに対する上記外部電極131、132の厚さの比率は、上記カバー部Cに含まれるセラミックのヤング率(Young's Modulus)に対する上記第1導電性金属と第2導電性金属のヤング率(Young's Modulus)の比率に比例する。
【0108】
上記本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品についての説明のうち、上述の本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の説明と同一の部分は、重複説明を避けるためにここでは省略する。
【0109】
本発明の他の実施形態によると、上述のように、上記外部電極に含まれる導電性金属のヤング率(Young's Modulus)と、セラミック本体内のカバー部に含まれるセラミック材料のヤング率(Young's Modulus)との差に応じて、外部電極の厚さとカバー部の厚さの比率を調節することができ、厚さの薄い積層セラミックキャパシターの破壊強度を増加させ、工程中に発生し得る破損やクラックによる信頼性の低下を防止することができる。
【0110】
以下では、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法について説明するが、これに制限されるものではない。
【0111】
本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法は、先ず、チタン酸バリウム(BaTiO)などの粉末を含んで形成されたスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥して、複数個のセラミックグリーンシートを準備する。これにより、誘電体層を形成することができる。
【0112】
上記セラミックグリーンシートは、セラミック粉末、バインダー、溶剤を混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法により数μmの厚さを有するシート(sheet)状に製作することができる。
【0113】
次に、ニッケルの粒子平均サイズが0.1~0.2μmであり、40~50重量部のニッケル粉末を含む内部電極用導電性ペーストを準備することができる。
【0114】
上記グリーンシート上に上記内部電極用導電性ペーストをスクリーン印刷法により塗布して内部電極を形成した後、内部電極パターンが配置されたグリーンシートを積層することで、セラミック本体110を製作した。
【0115】
次に、上記セラミック本体の外側に、第1導電性金属及びガラスを含む第1電極層を形成することができる。
【0116】
上記第1導電性金属は、特に制限されるものではないが、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金からなる群から選択される1つ以上であることができる。
【0117】
上記ガラスは、特に制限されるものではなく、通常の積層セラミックキャパシターの外部電極の製作に用いられるガラスと同一の組成の物質が用いられることができる。
【0118】
上記第1電極層は、上記セラミック本体の上下面及び端部に形成されることで、上記第1及び第2内部電極とそれぞれ電気的に連結されることができる。
【0119】
上記第1電極層は、第1導電性金属に対してガラスを5体積%以上含むことができる。
【0120】
次に、上記第1電極層上に、第2導電性金属を含むめっき層を形成することができる。
【0121】
上記第2導電性金属は、特に制限されるものではないが、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、及びこれらの合金からなる群から選択される1つ以上であることができる。
【0122】
本発明の一実施形態によると、上記外部電極に含まれる導電性金属のヤング率(Young's Modulus)と、セラミック本体内のカバー部に含まれるセラミック材料のヤング率(Young's Modulus)との差に応じて、外部電極の厚さとカバー部の厚さの比率を調節する。
【0123】
すなわち、外部電極に含まれる導電性金属のヤング率(Young's Modulus)と、セラミック本体内のカバー部に含まれるセラミック材料のヤング率(Young's Modulus)との差に応じて、上記カバー部のヤング率(Young's Modulus)に対する上記外部電極のヤング率(Young's Modulus)の比率の3乗根に比例するように、上記外部電極の厚さを決定することができる。
【0124】
以下、表1に、外部電極に含まれる導電性金属の種類に応じて多様な厚さの外部電極をセラミック本体の外側に配置し、カバー部の厚さによるクラックの発生頻度を測定して示した。
【0125】
【表1】
*:比較例
【0126】
上記表1のデータは、図4のように積層セラミックキャパシター100のセラミック本体110の幅方向(W)の中心部において、長さ方向(L)及び厚さ方向(T)に切開した断面を走査型電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)で撮影した写真を基準として、それぞれの寸法を測定したものである。ここで、外部電極の厚さは、第1電極層とめっき層の厚さの和(t、tの和)で測定した。クラックの発生頻度数を測定するために、サンプル当たり200個の試料をそれぞれ確認した。
【0127】
上記表1において、サンプル1及び2は、カバー部Cの厚さが10μmであり、ニッケル(Ni)を含む第1または第2外部電極131、132の厚さがカバー部の厚さの80%未満である比較例であって、クラックの発生頻度が高いことが分かる。
【0128】
これに対し、サンプル3及び4は、カバー部Cの厚さが10μmであり、ニッケル(Ni)を含む第1または第2外部電極131、132の厚さがカバー部の厚さの80%以上である本発明の実施例であって、クラックが発生せず、信頼性に優れていることが分かる。
【0129】
そして、サンプル5~7は、カバー部Cの厚さが10μmであり、銅(Cu)を含む第1または第2外部電極131、132の厚さがカバー部の厚さの90%未満である比較例であって、クラックの発生頻度が高いことが分かる。
【0130】
これに対し、サンプル8及び9は、カバー部Cの厚さが10μmであり、銅(Cu)を含む第1または第2外部電極131、132の厚さがカバー部の厚さの90%以上である本発明の実施例であって、クラックが発生せず、信頼性に優れていることが分かる。
【0131】
一方、サンプル10及び11は、カバー部Cの厚さが10μmであり、スズ(Sn)を含む第1または第2外部電極131、132の厚さがカバー部の厚さの130%未満である比較例であって、クラックの発生頻度が高いことが分かる。
【0132】
これに対し、サンプル12及び13は、カバー部Cの厚さが10μmであり、スズ(Sn)を含む第1または第2外部電極131、132の厚さがカバー部の厚さの130%以上である本発明の実施例であって、クラックが発生せず、信頼性に優れていることが分かる。
【0133】
また、サンプル14及び15は、カバー部Cの厚さが8μmであり、ニッケル(Ni)を含む第1または第2外部電極131、132の厚さがカバー部の厚さの80%未満である比較例であって、クラックの発生頻度が高いことが分かる。
【0134】
これに対し、サンプル16及び17は、カバー部Cの厚さが8μmであり、ニッケル(Ni)を含む第1または第2外部電極131、132の厚さがカバー部の厚さの80%以上である本発明の実施例であって、クラックが発生せず、信頼性に優れていることが分かる。
【0135】
そして、サンプル18及び19は、カバー部Cの厚さが8μmであり、銅(Cu)を含む第1または第2外部電極131、132の厚さがカバー部の厚さの90%未満である比較例であって、クラックの発生頻度が高いことが分かる。
【0136】
これに対し、サンプル20及び21は、カバー部Cの厚さが8μmであり、銅(Cu)を含む第1または第2外部電極131、132の厚さがカバー部の厚さの90%以上である本発明の実施例であって、クラックが発生せず、信頼性に優れていることが分かる。
【0137】
また、サンプル22及び23は、カバー部Cの厚さが8μmであり、スズ(Sn)を含む第1または第2外部電極131、132の厚さがカバー部の厚さの130%未満である比較例であって、クラックの発生頻度が高いことが分かる。
【0138】
これに対し、サンプル24及び25は、カバー部Cの厚さが8μmであり、スズ(Sn)を含む第1または第2外部電極131、132の厚さがカバー部の厚さの130%以上である本発明の実施例であって、クラックが発生せず、信頼性に優れていることが分かる。
【0139】
一方、サンプル26~30は、第1導電性金属がニッケル(Ni)であり、第2導電性金属がスズ(Sn)であって、第1導電性金属と第2導電性金属が異なる金属である場合である。この場合には、各金属を含む外部電極のそれぞれの層の厚さが外部電極全体の厚さにおいて占める分率と、上記各金属のヤング率(Young's Modulus)の上記カバー部Cのヤング率(Young's Modulus)に対するの比率とを組み合わせて、第1及び第2外部電極131、132の厚さを決定することができる。
【0140】
サンプル26~28は、カバー部Cの厚さが8μmであり、ニッケル(Ni)とスズ(Sn)を含む第1または第2外部電極131、132の厚さに対するカバー部の厚さの比率が本発明の数値範囲を外れた比較例であって、クラックの発生頻度が高いことが分かる。
【0141】
これに対し、サンプル29及び30は、カバー部Cの厚さが8μmであり、ニッケル(Ni)とスズ(Sn)を含む第1または第2外部電極131、132の厚さに対するカバー部の厚さの比率が本発明の数値範囲内である本発明の実施例であって、クラックが発生せず、信頼性に優れていることが分かる。
【0142】
本発明は、上述の実施形態及び添付図面によって限定されず、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野の通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0143】
110 セラミック本体
111 誘電体層
121、122 第1及び第2内部電極
131、132 第1及び第2外部電極
131a、132a 第1電極層
131b、132b、131c、132c めっき層
図1
図2
図3
図4
図5
図6