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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】土壌浄化方法及び土壌浄化システム
(51)【国際特許分類】
   B09C 1/08 20060101AFI20231011BHJP
   B01J 20/04 20060101ALI20231011BHJP
   B03B 5/28 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
B09C1/08 ZAB
B01J20/04 A
B03B5/28 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022073802
(22)【出願日】2022-04-27
【審査請求日】2023-03-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518353038
【氏名又は名称】株式会社プラスラボ
(73)【特許権者】
【識別番号】510132875
【氏名又は名称】株式会社田名部組
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(74)【代理人】
【識別番号】100173680
【弁理士】
【氏名又は名称】納口 慶太
(72)【発明者】
【氏名】沢田 新一
(72)【発明者】
【氏名】田名部 智之
(72)【発明者】
【氏名】石原 雅之
【審査官】中田 光祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-262076(JP,A)
【文献】特開2019-006660(JP,A)
【文献】特開2005-103522(JP,A)
【文献】特開平11-057684(JP,A)
【文献】特開平06-219734(JP,A)
【文献】特開2005-118727(JP,A)
【文献】特開2004-089809(JP,A)
【文献】特開2017-196620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00- 5/00
B09C 1/00- 1/10
B01J 20/00- 20/28;
20/30- 20/34
C02F 11/00- 11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を用いて土壌を湿式洗浄する土壌浄化方法であって、
前記土壌は、焼成酸化カルシウムに吸着される被吸着物質を含み、
少なくとも、
前記洗浄液と前記土壌を混合して混合液を作成する第1工程と、
前記混合液に前記焼成酸化カルシウムを添加する第2工程と、
前記混合液を撹拌する第3工程と、
前記土壌を沈殿させ、前記土壌と、前記焼成酸化カルシウムに吸着された前記被吸着物質と分離する第4工程と、
前記被吸着物質を含む前記混合液を撹拌する第5工程と、
前記被吸着物質を前記混合液から分離する第6工程と、を含み、
前記第2工程における前記焼成酸化カルシウムの添加に先立ち、前記第1工程で作成された前記混合液中の油分を回収し、
前記第6工程の、前記被吸着物質を含む前記混合液に前記焼成酸化カルシウムを添加し、前記混合液に対する撹拌及びエアレーションを行う第7工程を含む土壌浄化方法。
【請求項2】
前記第7工程の前記混合液に界面活性剤を添加し、前記混合液を撹拌し、発生した泡を除去し、エアレーションを行い、前記混合液をろ過する第8工程を含む請求項1に記載の土壌浄化方法。
【請求項3】
前記第7工程における前記撹拌の後、前記被吸着物質を吸着した前記焼成酸化カルシウムを沈殿させる請求項2に記載の土壌浄化方法。
【請求項4】
洗浄液を用いて土壌を湿式洗浄する土壌浄化方法であって、
前記土壌は、焼成酸化カルシウムに吸着される被吸着物質を含み、
少なくとも、
前記洗浄液と前記土壌を混合して混合液を作成する第1工程と、
前記混合液に前記焼成酸化カルシウムを添加する第2工程と、
前記混合液を撹拌する第3工程と、
前記土壌を沈殿させ、前記土壌と、前記焼成酸化カルシウムに吸着された前記被吸着物質と分離する第4工程と、
前記被吸着物質を含む前記混合液に前記焼成酸化カルシウムを添加し、前記混合液に対する撹拌を行う第5工程と、を含む土壌浄化方法。
【請求項5】
前記第5工程において、前記撹拌の後、エアレーションにより前記混合液を中性化する請求項4に記載の土壌浄化方法。
【請求項6】
前記第5工程における前記撹拌の後、前記被吸着物質を吸着した前記焼成酸化カルシウムを沈殿させる請求項5に記載の土壌浄化方法。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の土壌浄化方法に用いられる土壌浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害物質や油分を含む土壌を浄化するための土壌浄化方法及び土壌浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
土壌中の汚染物質を除去するために、様々な方法が提案されている。例えば、後掲の特許文献1(請求項1など)には、汚染物質を吸着した土壌の脱水ケーキを分級する浄化方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-163307号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
汚染土壌に含まれる汚染物質は、体内に直接摂取されたり、地下水等を経由して間接的に体内に摂取されたりすることで、人体に重大な健康被害を及ぼす場合がある。このため、土壌を効率的に浄化する方法が求められている。
【0005】
本発明は、土壌の浄化を効率的に行える土壌浄化方法及び土壌浄化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明による土壌浄化方法の特徴は、洗浄液を用いて土壌を湿式洗浄する土壌浄化方法であって、
前記土壌は、焼成酸化カルシウムに吸着される被吸着物質を含み、
少なくとも、
前記洗浄液と前記土壌を混合して混合液を作成する第1工程と、
前記混合液に前記焼成酸化カルシウムを添加する第2工程と、
前記混合液を撹拌する第3工程と、
前記土壌を沈殿させ、前記土壌と、前記焼成酸化カルシウムに吸着された前記被吸着物質と分離する第4工程と、
前記被吸着物質を含む前記混合液に前記焼成酸化カルシウムを添加し、前記混合液に対する撹拌を行う第5工程と、を含むことである。
(2)本発明による土壌浄化システムの特徴は、上記(1)の土壌浄化方法に用いられることである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、土壌の浄化を効率的に行える土壌浄化方法及び土壌浄化システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る土壌浄化システムを模式的に示す説明図である。
図2】受槽ユニットと凝集沈殿ユニットの機能を模式的に示す説明図である。
図3】(a)は、焼成酸化カルシウムパウダー水に係る懸濁液の廃油除去効果を示すグラフ、(b)は、焼成酸化カルシウムパウダー水に係る懸濁液の上清の廃油除去効果を示すグラフである。
図4】焼成カルシウム(0.2 wt%)/リン酸類化合物コロイド分散液の廃油除去効果に係る実験結果を示すグラフである。
図5】(a)~(d)は、汚染土壌洗浄(油分離除去)実験を示す画像である。
図6】(a)~(d)は、同実験の図5に続く画像である。
図7】(a)~(c)は、同実験の図6に続く画像である。
図8】同実験の図7に続く画像である。
図9】(a)及び(b)は、同実験の図8に続く画像である。
図10】(a)及び(b)は、同実験の図9に続く画像である。
図11】(a)及び(b)は、同実験の図10に続く画像である。
図12】(a)及び(b)は、同実験の図11に続く画像である。
図13】(a)及び(b)は、同実験の図12に続く画像である。
図14】(a)~(c)は、同実験の図13に続く画像である。
図15】(a)及び(b)は、同実験の図14に続く画像である。
図16】帆立貝殻焼成酸化カルシウムの凝集沈殿作用を模式化して示す説明図である。
図17】ダイオキシン類(PCB)の吸着凝集除去に係る実験結果を示すグラフである。
図18】廃油(使用済潤滑油)の吸着凝集除去に係る実験結果を示すグラフである。
図19】(a)~(c)は、帆立貝殻焼成酸化カルシウムを用いた廃油汚染土壌の除染実験(土壌除染基礎実験)を示す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。本実施形態では、環境負荷低減型土壌除染剤として、帆立貝殻焼成酸化カルシウム(BiSCaO(登録商標))が用いられている。BiSCaOは、“Bioshell Calcium Oxide”から作成された略称でもある。なお、同じ用語等について半角による表記と全角による表記とが混在している場合があるが、特に説明がない場合は何れも同じ意味である。
【0010】
以下では先ず、BiSCaOを除染事業に用いる背景や有用性について説明する(図16図19)。その後に、BiSCaOを用いた土壌浄化システムの基本構成を概略的に説明する(図1及び図2)。さらに、発明者等が行った実験の内容(図3図15)や、実験により得られた処理水(浄化済み水)や土壌について、公的な試験機関に依頼した試験の結果などについても説明する。
【0011】
<環境負荷低減型土壌除染剤(BiSCaO)の背景>
年間21万トン以上のホタテ貝殻が産業廃棄物として排出されているが、そのほとんどが適切な処理をされず、産地海岸沿いでは残存有機物による悪臭や有害物質発生などの環境問題を引き起こしている。
ホタテ貝殻の主成分炭酸カルシウムは1450℃以上で高温焼成するとほとんどすべてが酸化カルシウム(CaO)に変化する。これを微粉砕した粉末の水懸濁液(溶媒が水である懸濁液)は強アルカリとなり、特異的に発生する活性ラジカルと相まって有機有害物質(有機物の有害物質)の凝集や無害化などの活性を示す。
実際、ホタテ貝殻焼成酸化カルシウム(BiSCaO)は、廃油、有機リン系農薬、有機フッ素化合物、ダイオキシン、亜硝酸、亜硫酸、重金属等の有害物質を凝集・分解・無毒化する能力が見出されている。
BiSCaOは食品添加物としての製造認可を得ていて、顆粒、高濃度分散液、コロイド分散液の製造研究も進んでいる。
廃油汚染等土壌の除染需要は非常に高いにもかかわらず、除染方法が確立されていない。
また、BiSCaOを用いた除染事業は、対テロ対策として化学剤に対する有効で安全な除染技術の創製及び発展に繋がると考えられる。
このような実情の下、発明者等は、BiSCaOを用いた除染事業を検討した。
【0012】
<BiSCaOの製造及び使用形態>
BiSCaOの製造には、年間約21万トン排出される帆立貝殻が利用される。帆立貝殻の主成分であるタンパク質複体炭酸カルシウム(タンパク質との複合体である炭酸カルシウム、CaCO)を、1450℃以上で高温焼成し、乾燥させる。さらに、細かく粉砕(微粉砕)し、微粉末(例えば平均粒径6μm)とする。この微粉末は、CaO含有率が99.6 wt%程度である。微粉末は、粉末の態様で容器に収容されて販売されたり、水溶液化されて販売されたりする。水溶液は、濃度が例えば0.2 wt%程度の水懸濁液であり、pHは例えば12.3以上(pH≧12.3)である。BiSCaOはほとんど溶解せず、例えば0.04 wt%といった濃度の水溶液でも懸濁液の状態となっている。
【0013】
<BiSCaO(粉末・水懸濁液)のNBCに対する効果>
BiSCaOは、NBC(核・生物・化学物質)に対して有効である。
対C(対化学物質)に関しては、廃油・農薬・有機溶媒(ホルムアルデヒド)・重金属等有害物質の除去・分解・消臭活性、有機フッ素化合物、有機リン系化学剤の除染に効果がある。
対B(対生物)に関しては、抗菌活性(緑膿菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌、枯草菌)、抗ウイルス活性(新型コロナウイルス、ノロウイルス、鳥インフルエンザウイルス、ニューカッスルウイルス)の除染に効果がある。
対N(対核)に関しては、セシウム・ストロンチウム等放射性重金属の吸着・凝集・濃縮・除去の効果がある。
BiSCaOの安全性に関しては、生体安全性、抗突然変異性、環境安全性が確立され、中和を行うだけで廃棄可能である。
【0014】
<BiSCaOの位置付け>
BiSCaOは帆立貝殻由来焼成カルシウムであり、貝殻由来焼成カルシウムの一種である。市販されている貝殻由来焼成カルシウムは、BiSCaOを除きほぼ全てが水酸化カルシウム製剤であり、酸化カルシウム製剤に特有の酸化・還元・ラジカル活性および発熱特性は示さない。さらに、殺微生物活性や有害物質吸着・分解・除去活性も、BiSCaOと比して弱いことが検証されている。
【0015】
<将来展望>
BiSCaOは食品衛生法第10条に基づき厚生労働大臣の指定を受けた食品添加物であり、その強い殺菌・消臭効果を有する。このため、コロナ禍での除菌・洗浄剤としての商品化、また生鮮食品の洗浄殺菌や鮮度保持に適用するための商品化が行われてきた。さらに、発明者等によって、廃油、有機リン系農薬、有機フッ素化合物、ダイオキシン、亜硝酸、亜硫酸、重金属等の有害物質を凝集・分解・無毒化する能力が見出されている。そして、環境衛生の分野では、汚染土壌の除染の需要が高いが、これまでの除染方法では、十分な除染効果が得られない場合があった。このため、環境衛生の分野で、BiSCaOを適用した除染事業(土壌汚染改良・洗浄無害化プロジェクト)に期待することができる。BiSCaOを適用した除染事業は、安全保障上重要なテロ対策としても、有効で安全な除染技術を提供すると考えられる。
【0016】
<BiSCaOを適用した土壌汚染改良・洗浄無害化プロジェクト>
土壌汚染とは、水質汚濁・大気汚染・悪臭・騒音・振動・地盤沈下とともに、典型7公害の一つを構成する。土壌汚染の主な原因としては、製造工場などで使用された揮発性有機化合物・重金属・廃油などが地表から土壌に浸透すること等が挙げられる。土壌汚染に関して、大気汚染・水質汚濁などに比べれば飛散性は少ないが、汚染が地下水まで達した場合は、広範囲にわたって汚染が広がることがある。また、飛散性が少ない分、汚染がその場所に蓄積されやすく、その場所(土地)の資産価値の低下を招く。
【0017】
<BiSCaOを適用した土壌汚染改良・洗浄無害化プロジェクトの目的>
土壌から疎水性有害物質を含む油分除去することは難しく、有害物質を含む油分汚染は、石油基地、米軍基地、飛行場、ガソリンスタンド、化学工場等の跡地の再利用を難しくしている要因である。油分が多く含まれることを要因として、土壌のリサイクル(事業者)に受け入れを断られる現状があり、土壌からの油分を有効に除去する技術が必要である。そこで、BiSCaOを適用した土壌汚染改良・洗浄無害化プロジェクトは、BiSCaOを併用した移動式または簡易設置式洗浄無害化装置を提供することを目的とする。さらに、当該プロジェクトは、汚染された土壌の改良・洗浄無害化など、土壌の還元化を促進させることで、環境の保全、汚染による人への健康被害の防止、汚染により活用されていない土地の有効利用を図り、地域社会に貢献することを目的とする。
【0018】
<BiSCaOを適用した土壌汚染改良・洗浄無害化プロジェクトの概要>
発明者等は、BiSCaOに、廃油、有機リン系農薬、有機フッ素化合物、ダイオキシン、亜硝酸、亜硫酸、重金属等の有害物質を凝集・分解・無毒化する能力があることを見出した。そして、発明者等は、油分を含む土壌と、BiSCaOとに着目し、BiSCaOを利用して、油汚染土壌から油分を除去するための方法を検討した。以下に、BiSCaOによる油分除去のため研究概要について説明する。
BiSCaOの粒子(BiSCaO粒子)には、弱正電荷が帯電している。土壌有機物質には、弱負電荷が帯電している。弱正電荷のBiSCaO粒子と、弱負電荷の土壌有機物質との静電相互作用により、吸着凝集沈殿を発生させる。吸着凝集沈殿は、土壌有機物質を吸着して凝集させ、水中で沈殿させることを意味している。
正電荷と負電荷が相殺している部分は疎水性であり、油分を含む疎水性高分子(ダイオキシン(PCB)、疎水性色素、粗たんぱく質など)を効率的に吸着・凝集沈殿させる。発明者等の実験によれば、BiSCaO粒子は、ダイオキシン(PCB)、廃油(後述する)、疎水性色素、粗たんぱく質(アルブミン)等を、効率的に凝集・沈殿させる。
図16は、BiSCaO(BiSCaO粒子)による凝集・沈殿作用を模式的に示している。図16の左側には、容器内の被処理水において、容器の底の側に、凝集・沈殿体が溜まっている様子の画像が示されている。図16の右側(下段)には、BiSCaO(BiSCaO粒子)が楕円により示され、ポリリン酸あるいは汚染疎水性有機物が、絡み合った自由曲線により示されている(上段)。
図16の中央に示すように、凝集・沈殿体においては、BiSCaO(BiSCaO粒子)が、ポリリン酸あるいは汚染疎水性有機物との間で、疎水性有害物質を凝集しながら、凝集・沈殿体を形成している。
【0019】
<ダイオキシン類(PCB)の吸着凝集除去>
図17は、ダイオキシン類(PCB)の吸着凝集除去に係る実験結果を示している。試料は、100 ppmポリ塩化ビフェニル(PCB)混合液である。処理に際しては、示された濃度の焼成カルシウムおよびポリリン酸の添加後に1000 rpmで遠心分離を行った。焼成カルシウムおよびポリリン酸に係る「示された濃度」は、図17に記載された(0.25、0.25)、(0.5、0.5)、(1.0、1.0)、(2.0、2.0)であり、これらの単位は[wt%]である。解析に際しては、上清(「上澄み」ともいう)中の残存PCB濃度をPCB測定キットを用いて測定した。
図17においては、4本の棒グラフを一組として、4組の測定結果が示されている。各組において、左端から順に、BiSCaO、LiMCaO、BiSCaO-2000、及び、一般に市販されている貝殻焼成カルシウム(市販貝殻焼成カルシウム、Ca(OH))の各焼成カルシウムによる結果を示している。
これらのうち、LiMCaOは、図17にも示されているように、石灰石由来の焼成カルシウム(CaO製剤)である。BiSCaO-2000は、平均粒径が50μm程度、CaO含量が95 wt%程度のBiSCaOであり、BiSCaOの一種である。
図17に示すように、「濃度」が(0.25、0.25)の場合、BiSCaO、LiMCaO、BiSCaO-2000、及び、市販貝殻焼成カルシウムによる除去の割合(除去率)は、順に、46.8、39.3、29.8、27.3[%]となった。BiSCaOの除去率が最も高かった。
また、「濃度」が増えるに従い、BiSCaO、LiMCaO、BiSCaO-2000、及び、市販貝殻焼成カルシウムの何れについても、全体として、除去率が向上した。
以上より、BiSCaOの効果が最も高いものの、各焼成カルシウムはPCBを効率的に吸着凝集除去できる。
【0020】
<廃油(使用済潤滑油)の吸着凝集除去>
図18は、廃油(使用済潤滑油)の吸着凝集除去に係る実験結果を示している。試料は、濁度が約90の廃油(使用済潤滑油)懸濁液である。処理に際しては、示された濃度の焼成カルシウムおよびポリリン酸添加後に1000 rpmで遠心分離を行った。焼成カルシウムおよびポリリン酸に係る「示された濃度」は、図17の例と同様である。解析に際しては、上清中の濁度を、濁度測定器を用いて測定した。
図18においても、図17の例と同様に、4種類の焼成カルシウムによる結果を示している。
図18に示すように、「濃度」が(0.25、0.25)の場合、BiSCaO、LiMCaO、BiSCaO-2000、及び、市販貝殻焼成カルシウムによる除去後の濁度は、順に、25.5、39.3、46.8、53.3となった。BiSCaOの濁度が最も低く、吸着凝集除去の効果が高かった。
また、「濃度」が増えるに従い、BiSCaO、LiMCaO、BiSCaO-2000、及び、市販貝殻焼成カルシウムの何れについても、全体として、濁度が低下した。
以上より、BiSCaOの効果が最も高いものの、各焼成カルシウムは廃油を効率的に吸着凝集除去できる。
【0021】
<BiSCaOを用いた廃油汚染土壌の除染実験(土壌除染基礎実験)例>
発明者等は、廃油汚染土壌について、BiSCaOを用いた除染実験を行った。ここでは、簡易的に行った土壌の除染実験(土壌除染基礎実験)について説明する。より、詳細な実験(土壌除染応用実験)については後述する。
発明者等は、図19(a)に示すように、一般的な畑の黒土1 kgに廃油(エンジンオイルやその他混入)10%(100 mL)を混合させた廃油汚染試験土壌を作成(「作製」ともいう)した。
図19(b)に示すように、試験土壌100gを精製水(1L)に加えよく混合洗浄した(図19(b)の左側のビーカー、コントロール)。BiSCaO群については、試験土壌100gを0.2 wt%BiSCaO懸濁液(1L)に加えて同様に混合洗浄し、混合後3分静置した(図19(b)の右側のビーカー)。図19(b)の左右に示す両者の混合液について、ポリプロピレン不織布(オイルグリッパー)でフィルターをかけ(濾過し)、油分測定器を用いて油分量を測定した。
上記試験により、コントロールについては5.1 g/Lの油分値が検出された。これに対し、0.2 wt% BiSCaOを使用した場合には(図19(b)の右側のビーカーの試料については)、油分値は90 mg/Lに減少した。このように、0.2 wt% BiSCaOの使用により、コントロールと比して98%以上の油分離が達成された。
なお、試験土壌100gに対し0.2 wt%のBiSCaOを含んだ懸濁液(2L)での洗浄を行った場合には、油含有数は45 mg/Lであった(図19(c))。
【0022】
<BiSCaOを利用した土壌浄化システム10>
図1は、本発明の一実施形態に係る土壌浄化システム10と、この土壌浄化システム10により行われる土壌浄化方法とを模式的に示している。土壌浄化システム10は、全体を包括的に一つの装置として捉え、例えば「土壌浄化設備」や「土壌浄化設備」と称することも可能である。
【0023】
図1の例の土壌浄化システム10は、原土保管庫12、土砂供給ユニット14、磁力選別ユニット16、土砂搬出装置18、解泥ユニット20、一次処理ユニット22、薬品槽ユニット24、サイクロンユニット26、ロータリー分級ユニット28、受槽ユニット30、擬集沈殿ユニット32、及び、脱水装置ユニット36を備えている。さらに、土壌浄化システム10は、湿式洗浄のための、給水槽ユニット40、及び、循環水槽ユニット42を備えている。
【0024】
汚染土壌に含まれる有害物質には、粒度の大きい石や砂などには付着せず、0.075 mm程度以下の細かいシル(「シルト」ともいう)と粘土に吸着する性質がある。土壌浄化システム10は、有害物質のこのような性質を利用して、石や砂の表面を洗い流しながら段階的に分級していき、有害物質を最小限に濃縮させ、除去する。
【0025】
土壌浄化システム10においては、先ず、トラック車両等により運ばれてきた汚染土壌が、原土保管庫12に搬入される。汚染土は、土壌浄化のための施設内に搬入され、重量計測された後、原土保管庫12に保管される。原土保管庫12は、例えば1,000 m3の容量を有し、2,000t級の船1隻分の量の土を保管可能である。
【0026】
ここで、図1の丸数字による「1」~「11」は、作業番号を表している。例えば、原土保管庫12において行われる作業には、作業番号1が付されている。これらの作業番号1~11は、土壌浄化システム10において行われる作業や処理の説明のために付されている。
【0027】
磁力選別ユニット16においては、磁石を用いて、汚染土から金属などの異物が除去され、回収される(作業番号2)。土砂搬出装置18においては、異物が回収された土壌(土砂)が、後段の解泥ユニット20へ向けて搬出される。
【0028】
解泥ユニット20(作業番号3)には、解泥装置(図示略)が備えられており、搬入された土壌が解泥装置に運ばれる。解泥装置に運ばれた土壌に、循環水槽ユニット42から供給された水(解泥水)が加えられる。解泥装置に供給される水(解泥水)は、給水槽ユニット40から循環水槽ユニット42へ送出され、循環水槽ユニット42から送出された水である。解泥装置では、土砂に付着する粘土層を洗い流し、粘土を解泥水に溶け込ませる作業が行われる。そして、40 mm程度以上の礫が回収される。
【0029】
解泥ユニット20で解泥された原土は、一次処理ユニット22(作業番号4)に搬入される。一次処理ユニット22においては、原土に洗浄水を噴霧し、二段ふるいにより40~2 mmの砂利(粗砂)と、2~0.5 mmの砂に分級する作業が行われる。2~0.5 mmの砂は、薬品槽ユニット24を経て、サイクロンユニット26へ送られる。
【0030】
サイクロンユニット26(作業番号5)においては、汚染物質を含む0.5 mm未満の土が遠心力によって分級される。そして、後段のロータリー分級ユニット28(作業番号6)によって、0.5~0.075 mmの細砂が回収される。
【0031】
受槽ユニット30(作業番号7)、及び、擬集沈殿ユニット32(作業番号8)は、除染処理部46を構成している。除染処理部46においては、擬集沈殿ユニット32が、図2に示すように、第1擬集沈殿ユニット32-1、第2擬集沈殿ユニット32-2、及び、トルネード沈殿ユニット32-3により構成されている。
【0032】
第1擬集沈殿ユニット32-1では、チルド粘土が含まれる泥水(混合液)にBiSCaO(商品名)の粉体(「粉末」ともいう)が添加され、泥水を撹拌し(図2に四角数字(四角で囲った数字)1により示す)、凝集反応させる作業が行われる。BiSCaOは、汚染物質を吸着し、第1擬集沈殿ユニット32-1の上層から、第2擬集沈殿ユニット32-2に流れ出る(四角数字の6)。
【0033】
BiSCaOは、例えば、特開2021-134091号公報(令和4年 2月25日付特許査定)に開示されているように、殺菌消臭性を有する酸化カルシウム含有焼成物である。BiSCaOは、粉体や水溶液の形態で利用に供することができる。発明者等の研究により、BiSCaOは、汚染物質や油分の吸着作用を有することが判明した。本実施形態では、このような吸着作用に着目し、土壌浄化システム10に各種のBiSCaOを適宜選択して用いることによって土壌浄化が行われている。
【0034】
第1擬集沈殿ユニット32-1では、汚染土壌(脱水ケーキ)を無害化状態にして、土壌のリサイクル利用を図る作業が行われる(四角数字の2等)。第1擬集沈殿ユニット32-1で浄化されて沈殿した土は、脱水装置ユニット36(作業番号9、10)へ送られ、脱水ケーキとなり、土として再利用される。脱水装置ユニット36では、図示は省略するが、凝集沈殿により分離されたスラッチ(土壌)をフィルタープレスで加圧脱水し、無害化された脱水ケーキを作製する作業が行われる。
【0035】
第2擬集沈殿ユニット32-2においては、BiSCaOが吸着した汚染水(泥水含む)が流入する(四角数字の6)。第2擬集沈殿ユニット32-2に流入するのは、第1擬集沈殿ユニット32-1においてBiSCaO粉体に吸着された汚染混合汚泥水である。
【0036】
第2擬集沈殿ユニット32-2では、汚染水(泥水含む)から土を凝集沈殿させ(四角数字の3)、分離し、残渣を濃縮(少量化)する作業が行われる。第2擬集沈殿ユニット32-2では、土を更に無害化し、凝集沈殿(無害化凝集沈殿)させる作業が行われる。ここで、沈殿凝集された土を濾過して回収することも可能である。
【0037】
第2擬集沈殿ユニット32-2では、汚泥物の量は最小限の量となり、濾過された最小限の汚染残渣がトルネード沈殿ユニット32-3に送られる(四角数字の4)。トルネード沈殿ユニット32-3では、送られてきた汚泥物にBiSCaO粉体が添加される。トルネード沈殿ユニット32-3では、送られてきた汚泥物は、渦巻き状の水流により撹拌される。そして、汚泥物が、更にBiSCaO粉体に吸着され、沈殿する(四角数字の5)。
【0038】
沈殿した汚泥物は、トルネード沈殿ユニット32-3のフィルター39で濾過される。このように、汚染浄化され、濾過された汚染残渣(「泥残渣」、「汚泥物」、又は、「最終汚染残渣」などともいう)は、セメント会社で焼却され、リサイクル材料に転化される。
【0039】
第2擬集沈殿ユニット32-2、及び、トルネード沈殿ユニット32-3において除染された上澄み(上澄水、上澄みを「上清」ともいう)については、給水槽ユニット4で再利用、又は、排水が行われる。
【0040】
本実施形態に係る土壌浄化システム10や、土壌浄化システム10により行われる土壌浄化方法により、脱水後の汚染残渣の重量を低減でき、焼却費用を低く抑えることが可能となる。つまり、従来の汚染土壌洗浄処理では、最終汚泥残渣(脱水ケーキ)に全ての汚染物質が混入し脱水後焼却処分を行うことになっている。この脱水後の汚染残渣は、汚染土壌全体の、例えば30%の重量になり、この汚染残渣の焼却処分費用が高額となっている。しかし、本実施形態のように、除染処理部46の第1擬集沈殿ユニット32-1において浄化された土を脱水することにより、脱水後の汚染残渣の重量が少なくなり、焼却費用を削減することができる。
【0041】
また、第2擬集沈殿ユニット32-2では、BiSCaOの粉体により吸着された汚染物質が回収されることから、セメント会社へ搬出される最終汚染残渣の量を大幅に軽減できる。このことによって、焼却処分の費用が大幅に抑えられ、事業化し易くなる。さらに、焼却エネルギーを軽減でき、環境への負荷も減らすことが可能となる。ここで、土壌浄化システム10や土壌浄化方法の説明における「作業」は、無人化された作業であってもよい。
【0042】
<BiSCaOによる潤滑油の吸着>
<<BiSCaOによる潤滑油吸着の実験例>>
図1及び図2の例の土壌浄化システム10は、石や砂の表面を洗い流しながら段階的に分級していき、有害物質を最小限に濃縮させ、除去している。このような土壌浄化システム10において、土壌に含まれる油分を除去できれば、土壌を再利用し易くなる。
【0043】
一般に、土壌から油分を除去することは難しく、油分を含むことは、土壌の再利用を難しくしている要因の1つである。油分が多く含まれることを要因として、土壌のリサイクルに受け入れを断られる場合もある。このため、土壌からの油分を除去することは重要である。
【0044】
発明者等は、油分を含む土壌と、BiSCaOとに着目し、BiSCaOを利用して土壌から油分を除去するための方法を検討した。以下に、BiSCaOによる油分除去のため実験結果ついて説明する。
【0045】
図3(a)、(b)は、各種の焼成酸化カルシウムパウダー(BiSCaOを含む各種の乾燥粉末)の実験結果を比較例と共に示している。図3(a)は、焼成酸化カルシウムパウダー水に係る懸濁液の廃油除去効果を示しており、図3(b)は、焼成酸化カルシウムパウダー水に係る懸濁液の上清の廃油除去効果を示している。
【0046】
図3(a)、(b)に係る実験では、廃油を純水に加え(添加容量1 wt%)、5時間強く撹拌し、排水口用ポリプロピレン不織布で水面に溜まる油の塊を除去して、含油懸濁液(淡黄色)を調製した。これに乾燥粉末のBiSCaO、BiSCaO-2000、LiMCaO、BisCa(OH)2の乾燥粉末を0.08、0.4、2のwt%濃度となるよう純水に添加し攪拌して2倍濃度の懸濁液とした(図3(a))。また、上記懸濁液を3000 rpmで遠心分離し、その上清を2倍濃度懸濁液上清とした(図3(b))。これら懸濁液(図3(a))そして懸濁液上清(図3(b))と、等容量の含油懸濁液とを混合した。
ここで、BisCa(OH)2の名称は、発明者等が他の焼成酸化カルシウムとの区別のために付けた名称である。BiSCa(OH)2は汎用の焼成酸化カルシウム(市販貝殻焼成カルシウム、Ca(OH))に置き換えることも可能である。この焼成酸化カルシウムの一種であるBiSCa(OH)2は、BiSCaO粉末(99.6 wt%がCaO)を平皿に入れて1週間程度湿度の高い空気に触れさせ水和させるだけでも生成できる。BiSCa(OH)2の生成の際、99 wt%以上のCaOが90 wt%以上のCa(OH)2に変化する。BiSCa(OH)2は、既に水和しているため、少量の水を加えても発熱しない。
【0047】
その後、1000 rpmで10分間遠心分離して得た上清に残存する濁度を計測することで、廃油除去効果を評価した(図3(a)および(b))。
【0048】
その残存濁度の計測は、図3(a)および(b)の何れの実験も、濁度計(Turbidimeter、TR-55、笠原理化工業株式会社製)を用いて計測した。
【0049】
図3(a)、(b)において、左端は、何れの種類の粉末も用いていない水のみ(比較例)の場合の計測値を示している。水のみで含油懸濁液を観察した場合、含油懸濁液の濁り度は90%弱であった。
【0050】
これに対して、右側に順に示すBiSCaO、BiSCaO-2000、LiMCaO、BiSCa(OH)2の何れの種類の粉末の場合も、且つ、何れの添加量の場合も、水のみの場合よりも低い値(45~10%程度)に低下した。また、何れの種類の粉末の場合も、添加量が多いほど濁り度は低下した。
【0051】
粉末の種類間における比較では、BiSCaO、BiSCaO-2000、LiMCaO、BiSCa(OH)2の順で、濁り度は低下した。
【0052】
図3(a)、(b)の結果から、潤滑油を吸着除去する能力は、BiSCaO粉末が最も優れていることが分かった。
【0053】
図4は、焼成カルシウム(0.2 wt%)/リン酸類化合物コロイド分散液の廃油除去効果に係る実験結果を示している。「焼成カルシウム(0.2 wt%)/リン酸類化合物」の「/」は混合していることを意味する。
【0054】
図4に係る実験では、廃油を純水に加え(添加容量1 wt%)、5時間に亘り強く撹拌し、排水口用ポリプロピレン不織布で水面に溜まる油の塊を除去して廃油懸濁液(淡淡褐色)を調製した。これに最終濃度が0.2 wt%のBiSCaO、BiSCaO-2000、LiMCaO、BisCa(OH)2、そして、0.15あるいは0.05 wt%のポリリン酸ナトリウムあるいはトリリン酸ナトリウムを加えて攪拌し、コロイド分散液とした後、10分間凝集沈殿させた。
【0055】
その後、1000 rpmで10分間遠心分離して得た上清に残存する濁度を計測することで、廃油除去効果を評価した。
【0056】
その残存濁度の計測は、濁度計(Turbidimeter、TR-55、笠原理化工業株式会社製)を用いて計測した。
【0057】
図4において、左端は、比較例として、焼成カルシウムを用いていない水のみ(「None」として示す)の場合の計測値を示している。各棒グラフに係るリン酸類化合物の種類と含有量は、左端から順に、ポリリン酸ナトリウム0.15 wt%、ポリリン酸ナトリウム0.05 wt%、トリリン酸ナトリウム0.15 wt%、トリリン酸ナトリウム0.05 wt%である。右端の棒グラフは、何れの種類のリン酸類化合物も用いていない(「none」として示す)場合の結果を示している。
【0058】
焼成カルシウムを用いていない含油懸濁液を観察した場合(図4における左端の結果群)、含油懸濁液の濁り度は、何れ種類及び含有量のリン酸類化合物(以下では「何れのリン酸類化合物」と称する)についても90%弱であった。
【0059】
これに対して、右側に順に示すBiSCaO、BiSCaO-2000、LiMCaO、BiSCa(OH)2の何れの種類の焼成カルシウムの場合も、且つ、何れのリン酸類化合物の場合も、水のみの場合よりも低い値(45~2%程度)に低下した。また、BiSCaO、BiSCaO-2000、LiMCaOの場合は、何れのリン酸類化合物の場合も、濁り度が15%となった。さらに、BiSCaO、BiSCaO-2000、LiMCaOの中では、BiSCaOにおける、ポリリン酸ナトリウム(0.15 wt%)、及び、トリリン酸ナトリウム(0.15 wt%)の濁り度が、2~4%程度となり、最も低かった。
【0060】
図4の結果から、廃油を吸着除去する能力は、BiSCaO粉末(0.2 wt%)+ポリリン酸ナトリウムあるいはトリリン酸ナトリウム(0.15 wt%)が優れていることが分かった。
【0061】
<汚染土壌洗浄(油分離除去)実験(土壌除染応用実験)>
次に、発明者等が行った他の実験について説明する。
【0062】
<<本実験の目的>>
1.本実験の目的
本実験目的は、汚染土壌の中でも主として油分の混入が認められる土壌を想定し、油分の分離除去状態および油土壌に混入されていると想定される汚染物質(重金属等)等が分離除去できるかを確認し、今後検査機関での試験に持ち込めるかの仮実験である。その後、株式会社産業公害・医学研究所で土壌汚染対策法の溶出試験第18号または含有試験第19号の試験を依頼し、良好な結果が得られた。結果の詳細な内容については後述する(表1、表2)。
【0063】
<<使用機器>>
2.使用実験計器
(1)温度計:TANITAデジタル温度計(TT-508N)
(2)計量器:株式会社ドリテックデジタルスケール「ジェリー」2kg(KS-243)
(3)油分測定器:株式会社共立理化学研究所(型式:WA-OIL-S2)「ポリニッパム抽出物質測定法」
(4)攪拌装置:アズワン株式会社マグネチックスターラー(HS-30DN)
(5)かくはん機:パナソニック(MX-SE501)
(6)pH測定器:東亜ディーケーケー株式会社GST-5841C(101F)
【0064】
<<実験対象物>>
3.分離実験対象物
(1)BiSCaO
(2)油吸収ポリマー
(3)オイルグリッパー油吸収材
(4)微生物界面活性剤「BFL」
(5)精製水
【0065】
<<実験手順>>
4.実験使用検体土壌の作成
(1)一般的な畑の黒土2kg(図5(a))に廃油(エンジンオイルやその他混入)10%(200 mL、(図5(b))を混ぜた土を作成した(図5(c)))。
(2)土に廃油を手で混ぜ合わせ、ビニール袋に入れて更に混ぜ合わせた。
(3)混ぜ合わせてビニール袋に入れて7日間室内に放置し、使用する前に再度混ぜ合わせた(揮発または乾燥しないようにビニール袋に保管した(図5(d)))。
【0066】
図5(a)は、黒土2 kg(油投入前)を示しており、図5(b)は、廃油(廃油50 mL×4のうちの2つ)を示している。図5(c)は、廃油50 mL×4を黒土に投入する様子を示しており、図5(d)は、廃油が投入された黒土を、攪拌後にビニール袋へ入れた様子を示している。
【0067】
5.実験用廃油混入土壌を採取
(1)試験土壌を上記「4.」で作成し、ビニール袋に保管していた土壌を再度、袋を振りながら混ぜ合わせた。その後300gを取り出し、ビーカーへ入れた(図6(a)における左側ビーカー)。
(2)ビーカーの土壌300gに対し同等量の精製水(300 mL、図6(a)における右側ビーカー)を入れて攪拌し(図6(c))、その水に溶け込んだ油分を測定した。
【0068】
6.実験内容
a.図6(a)において、左は検査対象土壌300gであり、右は精製水300 mLである。攪拌直前の精製水温度は18.5℃であった(図6(a)、(b))。
続いて、土壌と混合された水を攪拌して上澄水を油分測定容器へ40 mLとり、測定基準手続に従って測定を行った。
測定結果(1回目)は、60 mg/L以上であり、測定限界以上となった。
【0069】
b.その後1回目ポリマー投入
(1)攪拌し、攪拌を止めて油吸収ポリマーを投入し、再度攪拌した。
(2)ポリマー投入後、オイルグリッパーで更に油分吸収し回収した(図7(a)~(c))。
図7(a)は、オイルグリッパー投入時の様子を示す、図7(b)、(c)は、オイルグリッパーに油吸収した後の様子を示している。
(3)オイルグリッパーで油分回収し、更に精製水300 mLとポリマー2gを投入し、攪拌後にポリマーをフィルターで回収した(図8)。フィルターとして、網付すくい取り器(所謂網付のおたま)を利用した。
【0070】
c.油回収後BiSCaO懸濁液を投入攪拌
(1)BiSCaO:全体量900 mLの0.2 wt%、1.8gを300 mLの精製水に入れて3分間攪拌し、油回収後のビーカーへ投入し攪拌した(図9(a))。攪拌時間は2分間である。図9(b)は、攪拌沈殿後の様子を示している。
(2)攪拌沈殿後、BiSCaOにより分離沈殿と共に、不純物および微量な油が浮いていることが見受けられる(図9(b)、図10(a))。
(3)上記(2)の状態の上澄水を取り(図10(b)、図11(a))、油分測定計で測定した。図10(b)は、油分測定対象水を示している。測定結果(2回目)は、16.5 mg/Lであった(図11(b))。
オリジナル土壌の油分(1回目の測定結果)は60 mg/L以上の検出限界以上であったのに対して大幅に油分の削減が出来ている。以下で油分再回収を行い、ろ過(濾過)最終工程後に、再度油分測定を行う。
(4)上記(2)の状態では、油がさらに浮上しているのが見受けられたため、再度オイルグリッパーで油を回収する。
大量の油はオイルグリッパーまたはポリマーで吸収できているが、微量な分散油はBiSCaO による分離が不可欠であることが分かった。
【0071】
d.対象土壌処理工程
対象土壌処理工程は、再度土壌をBiSCaO懸濁液で攪拌しながら水を別ビーカーに移し、BiSCaO処理後ろ過する工程である。
(1)BiSCaO懸濁液0.2 wt%の1000 mLを作成(「作製」や「調整」などともいう。液体の「作成」に関して以下同様。)し、不純物水を別ビーカーへ移送する。
(2)この時点で油分が確認されたため再度ポリマー(2g(全体の0.2 wt%))を投入した。その後は、攪拌とポリマーの回収を行った。この最終工程でのBiSCaO凝集沈殿時でも、沈殿と共に再度油分の浮上が見受けられた。
【0072】
(3)続いて、対象土壌に対する最終処理を行った。最終処理にあたり、上記(2)で処理後、採集した土壌に対し、再度エアレーションを30分追加することにした。エアレーションは、「気曝」や「気泡噴出」などともいう。
(4)再処理最終工程では、上記(2)で回収した土壌を再度ビーカーに移し(図12(a))、BiSCaO懸濁液(0.2 wt%)とBFL1wt%を投入し、かくはん機で攪拌後(図12(b))、エアレーションを30分間行った(図13(a))。
【0073】
図12(a)は、上記(2)で回収した土壌を再度ビーカーへ移す様子を示している。図12(b)は、上記(2)の回収土壌を、BiSCaO懸濁液とBFL水の混合液に投入して攪拌する様子を示している。
【0074】
図13(a)は、攪拌後のエアレーションの様子を示している。図13(b)は、エアレーション終了直後の状態を示している。図13(b)の状態は、エアレーションによる泡を回収し、回収により減水した水分を補うため、精製水200 mLを追加した状態である。
【0075】
(5)土壌最終処理後の上澄水を油分測定計で測定した。測定結果(3回目)は、5.0 mg/LUNDER(検出限界以下)で、pH測定の結果は、pH 9.98であった。
(6)最終処理水を別ビーカーに移し、そこに残った土を採集した。この採取した土に対しては、外部機関への分析依頼を行った。分析依頼した内容は、土壌汚染対策法含有試験第19号に対応するものである。
【0076】
(7)対象水に対し、排水を前提とした最終処理を行った。ここでは、最終処理水沈殿後、BFL2 wt%相当を投入し、エアレーション(図14(a))を3分間行った。その後、上部に浮上した不純物(図14(b))を取り除き(図14(c))、上澄水を油分測定計で測定した。測定結果(4回目)は、7.0 mg/Lで、pH測定の測定結果は、BFL投入前pH12.59、投入後pH12.40であった。
【0077】
上記測定結果(4回目)より、BFL投入後のエアレーション時間が少なかったと思われるのと、BFL2 wt%の量は多かったように感じたため、エアレーションを再度30分間追加した。実際の土壌洗浄の現場において、BFLが必要になった場合には、常に稼働させることになると思われるため、本来エアレーションの時間は多くなると思われるため、このような条件を設定した。
【0078】
エアレーションにより泡が出て、その泡に不純物が付着し浮き上がる。そして、泡を取る(除去する)ことにより水位が下がるため、精製水を、対象水1000 mLに対し500 mL追加投入した。実際の土壌洗浄の現場においても、排水前処理では、同じ作業を行うことが考えられる。
【0079】
(8)上記のように、処理対象水1000 mLに対し500 mLの精製水を追加投入し、上記のエアレーションの30分間追加後の油分測定計で測定した。測定結果(5回目)は、5.0 mg/LUNDER(検出限界以下)で、pH測定の測定結果は、pH 7.18であった。
【0080】
図15(a)は、エアレーション停止直後の写真であり、図15(b)は、エアレーション後の上澄水の写真である。
【0081】
(9)ろ過した最終処理水約500 mLを採取し、分析依頼を行った。分析依頼内容は土壌汚染対策法含有試験第19号および油含有試験である。
【0082】
<<試験結果>>
後掲の表1、表2は、公的な試験機関による試験結果を示している。表1は、最終処理水に対する試験結果であり、表2は油汚染土壌に対する試験結果である。何れの試験についても、各項目について良好な除染効果が得られた。
【表1】
【表2】
【0083】
<<まとめ>>
1.実験対象土壌に廃油10 wt%を投入し、油汚染土壌を準備した。特に砂鉄の含有が多かった。
2.対象土壌の油含有検査では60 mg/L以上で測定限界以上であったが、委託試験で5,100 mg/Lであったと推定された。
3.油吸収ポリマー・オイルグリッパー油吸収材ともに素晴らしい効果が確認できた。ただしBiSCaO懸濁液による微細分離および沈殿なしにはその効果も半減することも分かった。大量の油分の吸収には両油吸収材が大きな効果を発揮するが、微量な油分になった場合にはBiSCaO無には対応できないことも分かった。
4.本実験で油含有量60 mg/L以上で測定限界以上の土壌が最終的に油分測定計で測定した値:5.0 mg/LUNDER(検出限界以下)という結果であった。
5.本実験では油の除去が確認できているが、同じく重金属等の除去確認が必要。
6.株式会社産業公害・医学研究所による土壌および水質、油含有試験、重金属等、土壌汚染対策法含有試験第19号の検査結果(表1、表2)のような試験結果が得られた。土壌汚染対策法による油汚染対策ガイドラインTPH濃度(TPHの試験法は種々あり各々の方法の特徴がある。鉱油類であるかどうかの確認にはGC-FID法)をクリアー出来る数値であった。
7.汚染土壌から油を分離するのに関して、ビスカオ懸濁液を使用した場合と使用しない場合において、油吸着材であるポリプロピレン不織布(オイルグリッパー)とポリマー(吸収ポリマー)で油を吸着・回収した場合の違いについて、別な実験も行った。この実験の内容や、実験により得られた知見は、以下の通りである。
ビスカオ懸濁液を使用しない場合、油を含有する汚染土壌を水で撹拌した際、油分が上層部に浮上するが、すべての油が浮上するわけではなく、微粒子の汁と0.075 mm~0.05 mm以下のシルトに付着した油分は分離できず水中に浮遊して上層部に浮上しない。
そのため油分回収剤であるポリプロピレン不織布およびポリマーでも完全にまたは容易に回収することはできない。
ビスカオ懸濁液を使用した場合、微粒子である0.075 mm~0.05 mm以下のシルトに付着した油分を分離することができ、分離された油分が上層部に浮遊して、油回収剤であるポリプロピレン不織布およびポリマーで効率の良い吸収と回収ができる。
ビスカオ懸濁液を使用しない場合、撹拌された土壌が分離沈殿されるまで3昼夜かかる。これに対し、ビスカオ懸濁液を使用した場合には1分後から沈殿が始まり30分には完全に分離沈殿できることがわかっている。
さらに、油分を分離回収したあとの土壌と土壌の汚染物質を同じビスカオ懸濁液で再分離しながら凝集沈殿を行う。
汚染土壌をビスカオ懸濁液で撹拌しながらビスカオで汚染物質をビスカオに凝集吸着させ沈殿する前の撹拌水を回収し水と汚染土壌を分離する。
以上のようにして汚染物質を分離沈殿できる。これらの方法を、例えば土壌浄化システム10のような設備や装置に適用することで、油の分離を容易に行うことが可能である。
油分を回収したときに、ビスカオ懸濁液を使用した場合は45 mg/L(第1回目処理で)であり、ビスカオ懸濁液を使用しない場合は5,100 mg/Lであった。BiSCaO添加により99%以上の油回収ができたと考えられる。
このような操作を数回繰り返す。同時に汚染処理を行う。汚染処理を行っていく過程でゼロになる。
この油分を分離したあとに汚染物質の回収を行う。
従来の汚染物質の回収は石・砂利・粗砂を分離機で(ふるい)で回収し、シルト分に含まれる汚染物質をシルト分に凝集させ、脱水ケーキで圧縮し、脱水ケーキから排出された土壌をセメント工場等へ運んで高温で焼却処分をしている。
これには運送代(ダンプ代)焼却処分料、等の費用が多額に発生する。全汚染土壌の約40%が処理対象の土壌となる。
ここで説明したような浄化処理を行うことで、この40%の汚染土壌を1%程度に抑えて凝集し処理を行い、輸送費や焼却費を大幅に軽減できる。
このときの実験では、油分5.1%含有土壌を検出限界以下まで処理ができている。
【0084】
<<土壌洗浄に関するその他の事項>>
図3及び図4に示す<BiSCaOによる潤滑油の吸着>に係る実験の結果(図17図18の結果も同様)や、図5図15に示す<汚染土壌洗浄(油分離除去)実験(土壌除染応用実験)>の結果(図19の結果も同様)を踏まえれば、図1及び図2に示す土壌浄化システム10や土壌浄化方法に、各種の焼成酸化カルシウムを用い、油分が混ざった土壌を含む混合液の撹拌や、土壌の回収、上澄み水の撹拌、油分の回収を繰り返すことで、土壌から効率的に油分を除去できると考えられる。そして図1及び図2に示す土壌浄化システム10や土壌浄化方法において、図3及び図4に示す<BiSCaOによる潤滑油の吸着>に係る実験の結果や、図5図15に示す<汚染土壌洗浄(油分離除去)実験(土壌除染応用実験)>における処理を、土壌浄化システム10や土壌浄化方法の規模に合わせて組み込むことにより、大規模なシステムにおいて大量の土壌から効率的に油分を除去できると考えられる。
【0085】
<化学剤の防護・除染・洗浄活動>
昨今の世界情勢を鑑みたとき、化学剤テロの驚異は現実のものである。化学剤に対して、被災者のみならず救護活動従事者に対する有毒物質の二次被害の脅威から護るため、発明者等は、BiSCaOを適用した化学剤の防護・除染・洗浄技術の研究取り組みも行っている。実験の方法や実験結果についての公表は順次予定されているが、BiSCaOは、化学剤の防護・除染・洗浄にも効果を発揮する。
【0086】
<可溶性有機リン農薬の無毒化>
BiSCaOは、可溶性有機リン農薬の無毒化にも有効と考えられる。BiSCaOと、従来の代表的な除染剤(さらし粉)とについて、「成分」、「除染効果」、「環境等への影響」の比較することが可能である。
【0087】
<<成分>>
BiSCaOの「成分」は、ホタテ貝由来焼成酸化カルシウム(CaO:分子量56)である。これに対し、従来の代表的な除染剤の「成分」は、さらし粉(Ca(ClO)2:分子量143)である。
【0088】
<<除染効果>>
BiSCaOの「除染効果」は、以下の化学式で表される。
CaO+H2O → Ca(OH)2
BiSCaOは、強アルカリ性による加水分解を行い、還元剤として機能する。
これに対し、従来の代表的な除染剤の「除染効果」は、以下の化学式で表される。
Ca(ClO)2+2H2O → Ca(OH)2+2HClO
従来の代表的な除染剤は、強アルカリ性による加水分解を行い、酸化剤として機能する。
【0089】
<<環境等への影響>>
BiSCaOの「環境等への影響」としては、以下の点を挙げることができる。
・生体および環境に優しい。
・水溶解時の発熱が制御できる-発火はしない。
・除染能力及び安全性に優れている。
・有害物質の生成はない。
・排水処理は簡便な中和処理で十分である。
これに対し、従来の代表的な除染剤の「環境等への影響」としては、以下の点を挙げることができる。
・刺激性、腐食性等あり。
・水への溶解時に発熱及び発火の可能性あり。
・除染能力は高いが、安全性には難(がある)。
・有毒・発がん性物質(クロラミン、トリハロメタン等)の生成あり。
・排水処理には還元中和処理が必要で、排水処理が困難。
【0090】
<<まとめ>>
以上のことから、可溶性有機リン農薬の無毒化に関し、BiSCaOは、環境負荷を低減し、安全で効果の高い新規除染剤として利用できる。そして、現有除染剤の代替品として活用することが可能である。
【0091】
<実施形態や実験例から抽出可能な発明>
実施形態から以下の発明を抽出することが可能である。
(1)洗浄液(水槽の水など)を用いて土壌を湿式洗浄する土壌浄化方法であって、
前記土壌は、焼成酸化カルシウム(BiSCaOなど)に吸着される被吸着物質(汚染物質、油分など)を含み、
少なくとも、
前記洗浄液と前記土壌を混合して混合液(泥水など)を作成する第1工程と、
前記混合液に前記焼成酸化カルシウムを添加する第2工程と、
前記混合液を撹拌する第3工程と、
前記土壌を沈殿させ、前記土壌と、前記焼成酸化カルシウムに吸着された前記被吸着物質と分離する第4工程と、
前記被吸着物質を含む前記混合液(土壌が回収された後の混合液(上澄水)など)を攪拌する第5工程と、
前記被吸着物質を前記混合液から分離する第6工程と、を含む土壌浄化方法。
(2)前記焼成酸化カルシウムは、少なくとも、BiSCaO、BiSCaO-2000、LiMCaO、BisCa(OH)2、
又は、Ca(OH)の何れか一つを含む上記(1)に記載の土壌浄化方法。
(3)前記第2工程における前記焼成酸化カルシウムの添加に先立ち、前記第1工程で作成された前記混合液中の油分を回収する上記(1)に記載の土壌浄化方法。
(4)前記第2工程における前記焼成酸化カルシウムの添加に先立ち、前記第1工程で作成された前記混合液中の油分を回収する上記(2)に記載の土壌浄化方法。
(5)前記第6工程の前記混合液に前記焼成酸化カルシウムを添加し、前記混合液に対する撹拌及びエアレーションを行う第7工程を含む上記(3)又は(4)に記載の土壌浄化方法。
(6)前記第7工程の前記混合液に界面活性剤を添加し、前記混合液を撹拌し、発生した泡を除去し、エアレーションを行い、前記混合液を濾過する第8工程を含む上記(5)に記載の土壌浄化方法。
(7)上記(1)~(6)の何れか一つに記載の土壌浄化方法に用いられる土壌浄化システム。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の土壌浄化方法及び土壌浄化システム(土壌浄化システム10など)は、建築・土木工事で発生する掘削ずり等の掘り起こし残土や汚泥、工場跡地等の汚染土壌、焼却灰等のような種々の土壌の浄化に適用することが可能である。また、本発明の土壌浄化システムは、移動式または簡易設置式のものであってもよい。
【符号の説明】
【0093】
10 :土壌浄化システム
12 :原土保管庫
14 :土砂供給ユニット
16 :磁力選別ユニット
18 :土砂搬出装置
20 :解泥ユニット
22 :一次処理ユニット
24 :薬品槽ユニット
26 :サイクロンユニット
28 :ロータリー分級ユニット
30 :受槽ユニット
32 :擬集沈殿ユニット
32-1 :第1擬集沈殿ユニット
32-2 :第2擬集沈殿ユニット
32-3 :トルネード沈殿ユニット
36 :脱水装置ユニット
39 :フィルター
40 :給水槽ユニット
42 :循環水槽ユニット
46 :除染処理部

【要約】
【課題】土壌の浄化を効率的に行える土壌浄化方法を提供する。
【解決手段】浄水を用いて土壌を湿式洗浄する土壌浄化方法であって、土壌は、BiSCaO(登録商標)に吸着される油分を含み、少なくとも、浄水と土壌を混合して混合液を作成する第1工程と、混合液にBiSCaOを添加する第2工程と、混合液を撹拌する第3工程と、土壌を沈殿させ、土壌と、BiSCaOに吸着された油分と分離する第4工程と、油分を含む混合液を攪拌する第5工程と、油分を混合液から分離する第6工程と、を含む。
【選択図】図2

図1
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