(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】iPS細胞の生成に使用される新規RNA組成物およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/54 20060101AFI20231011BHJP
C12N 15/40 20060101ALI20231011BHJP
C12N 15/50 20060101ALI20231011BHJP
C12N 15/51 20060101ALI20231011BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20231011BHJP
C12P 19/34 20060101ALI20231011BHJP
C12N 15/88 20060101ALI20231011BHJP
C12N 15/87 20060101ALI20231011BHJP
C12N 5/10 20060101ALN20231011BHJP
C12N 5/074 20100101ALN20231011BHJP
C12Q 1/686 20180101ALN20231011BHJP
【FI】
C12N15/54
C12N15/40 ZNA
C12N15/50
C12N15/51
C12N15/11 Z
C12P19/34 A
C12N15/88 Z
C12N15/87 Z
C12N5/10
C12N5/074
C12Q1/686 Z
(21)【出願番号】P 2022046234
(22)【出願日】2022-03-23
【審査請求日】2022-04-01
(32)【優先日】2021-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522115192
【氏名又は名称】シー‐ラン リン
(73)【特許権者】
【識別番号】522115206
【氏名又は名称】サム‐リン
(73)【特許権者】
【識別番号】522115217
【氏名又は名称】チュン‐ハン リン
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100192603
【氏名又は名称】網盛 俊
(72)【発明者】
【氏名】シー‐ラン リン
(72)【発明者】
【氏名】サム‐リン
(72)【発明者】
【氏名】チュン‐ハン リン
【審査官】大久保 智之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0330591(US,A1)
【文献】特表2010-539934(JP,A)
【文献】特表2018-535684(JP,A)
【文献】特表2006-500028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-90
C12N 5/00-28
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのmiR-302前駆RNA(pre-miR-302)構造物と少なくとも一つのRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)mRNAの混合物を含み、
前記pre-miR-302構造物は、その5’末端
及び3’末
端に、RdRp結合部位を少なくとも含み、
前記5’末端RdRp結合部位は、配列表の配列番号1で表される塩基配列又は配列表の配列番号2で表される塩基配列のいずれか一方の配列を含み、
前記3’末端RdRp結合部位は、配列表の配列番号7で表される塩基配列又は配列表の配列番号8で表される塩基配列のいずれかの一方の配列を含み、
前記RdRpmRNAは、
コロナウイルスであるRNAウイルスから単離及び/又は改変されたものである、
人工多能性幹細胞(iPSC)の生成に用いる新規RNA組成物。
【請求項2】
前記pre-miR-302と前記RdRpmRNAの
重量比率が、20:1~1:20である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記5’末端RdRp結合部位が、配列表の配列番号3で表される塩基配列、配列表の配列番号4で表される塩基配列、配列表の配列番号5で表される塩基配列、配列表の配列番号6で表される塩基配列、又はこれらを組み合わせた塩基配列を含む配列から選択される請求項
1に記載の組成物。
【請求項4】
前記3’末端RdRp結合部位が、配列表の配列番号9で表される塩基配列、配列表の配列番号10で表される塩基配列、配列表の配列番号11で表される塩基配列、配列表の配列番号12で表される塩基配列、又はこれらを組み合わせた塩基配列を含む配列から選択される請求項
1に記載の組成物。
【請求項5】
前記pre-miR-302が、配列表の配列番号13で表される塩基配列、配列表の配列番号14で表される塩基配列、配列表の配列番号15で表される塩基配列、配列表の配列番号16で表される塩基配列、又はこれらを組み合わせた塩基配列を含む少なくとも一つの配列から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記pre-miR-302が、RNAポリメラーゼとヘリカーゼの混合活性を用いる、新規なポリメラーゼ連鎖反応インビトロ転写法(polymerase chain reaction-in-vitro transcription(PCR-IVT) methodology)を使用して製造される請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記RdRpmRNAが、RNAポリメラーゼとヘリカーゼの混合活性を用いる、新規なポリメラーゼ連鎖反応インビトロ転写法(polymerase chain reaction-in-vitro transcription(PCR-IVT) methodology)を使用して製造される請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記ヘリカーゼが、DNAとRNAの両方の二次元構造を巻き戻すことができる酵素である請求項
6又は
7に記載の組成物。
【請求項9】
前記PCR-IVT法のIVT反応が、0.001~10mMのベタイン(トリメチルグリシン、TMG)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、3-(N-モルフォリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、またはそれらの組み合わせが追加された1x転写バッファーを含む改良されたバッファーシステムで行われる、請求項
6又は
7に記載の組成物。
【請求項10】
前記pre-miR-302とRdRpmRNAの混合物が、in vitro、ex vivo及び/又はin vivoにおける細胞内トランスフェクションを促進する少なくとも一つのデリバリー剤でさらに製剤化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記デリバリー剤が、グリシルグリセリン、リポソーム、ナノ粒子、リポソームナノ粒子、コンジュゲート分子、輸液用化学物質、遺伝子銃材料、電気穿孔剤、トランスポゾン及びこれらの組み合わせを含む、請求項
10に記載の組成物。
【請求項12】
前記iPSCが、外胚葉、中胚葉、及び内胚葉の3つすべての胚葉に由来する様々な組織細胞に分化することができる請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記iPSC由来組織細胞が、細胞療法(cell-based therapies)の開発に使用される請求項
12に記載の組成物。
【請求項14】
前記iPSCが、幹細胞療法(stem cell-based therapies)の開発に使用される請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記iPSCが、新規な薬物材料の調査及び/又は製造に使用される請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記pre-miR-302とRdRpmRNAの混合物が、初期化関連治療及び薬物の開発に使用される請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記pre-miR-302とRdRpmRNAの混合物が、薬物又は治療の材料として使用される請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、成体幹細胞(ASC)と同様に、人工多能性幹細胞(iPS細胞;IPSC)の生成及び増殖に有用な新規RNA組成物およびその製造方法に関する。本発明のRNA組成物は、非遺伝子組み換え(non-transgenic)iPS細胞のみならず、腫瘍のない(tumor-free)iPS細胞の製造にも使用することができる。このRNA組成物は、2種類の異なるRNA構造物(RNA constructs)を含んでおり、一つは「miR-302前駆RNA(pre-miR-302)」であり、もう一方は「RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)」mRNAである。pre-miR-302とRdRpmRNAの両方は、ヘアピンやステムループといった高度なRNA立体配座(RNA comformations)を有する。高度に構造化されたRNAを製造するために、新規なPCR-IVT法が開発され、特別に設計されたRNAポリメラーゼ-ヘリカーゼ混合活性(RNA polymerase-helicase mixture activity)とともに使用された。
【背景技術】
【0002】
人工多能性幹細胞(iPS細胞またはiPSC)は、2006年にYamanaka等によって、3~4種類のタンパク質転写因子を用いて初めて報告された(Yamanaka等に対する米国特許第8,048,999号および第8,058,065号;Takahashi K及びYamanaka SのCell 126:663-676,2006)。また、その直後の2007年に、Lin等がマイクロRNA(miRNA)のmiR-302を用いて、ヒト体細胞を初めてiPSCに初期化した(Lin等に対する欧州特許第2198025B1及び米国特許第9,567,591号)。Lin等は、miR-302を用いて、正常組織細胞だけでなく癌細胞からも腫瘍のないiPSCを精製した(Lin等,RNA 14:2115-2124,2008;Lin等、CancerRes.70:9473-9482,2010;Lin等、Nucleic Acids Res.39:1054-1065,2011;Lin SL and Ying SY, MicroRNA Protocols,2nd Ed.23章、295-324頁,Springer Publishers press,New York,2012)。その後、2011年にLin等は、このmiR-302を介した体細胞初期化現象の根底にあるメカニズムをさらに明らかにした(Lin等、Nucleic Acids Res.39:1054-1065,2011;Lin SL,Stem Cells 29:1645-1649、2011)。2011年のLinの発見に加え、Miyoshi等とAnokye-Danso等の2つの独立した研究グループも同時に、iPSC生成におけるmiR-302の必須な役割を確認した(Miyoshi等,Cell Stem Cell 8:633-638,2011;Anokye-Danso等,Cell Stem Cell 8:376-388,2011)。結局、これらすべての主要な先行研究および発明は、以下の多くの他のRNAを介したiPSC技術のさらなる研究および開発のため、新しい道を切り開くものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
引用した先行研究で示されたように、Lin等は、iPSC生成の初期化効率は、細胞内レベルにおけるmiR-302濃度によって決定されることを明らかにした(Lin等、Nucleic Acids Res.39:1054-1065,2011)。iPSCの完全な形成に必要なmiR-302の濃度レベルは、ヒト胚性幹細胞(ESC)株WA01-h1またはWA09-h9で見られるレベルの約1.1~1.3倍以上である。しかし、現在の非ウイルス性ベクターに基づくmiR-302又はmiR-302-mimic siRNAの体細胞への導入効率は制御が難しく、通常は完全な初期化に必要なmiR-302濃度レベルよりも低くなる。従って、初期化効率を高めるために、miR-369やmiR-367のような他の種類のマイクロRNAを加える必要がある(Miyoshi等,Cell Stem Cell 8:633-638,2011;Anokye-Danso等,Cell Stem Cell 8:376-388,2011)。しかし、miR-367及びmiR-369は、p57(kip2)やp63などのヒト腫瘍抑制遺伝子も不活化するため、得られたiPSCは、miR-302のみを用いて初期化したiPSCよりも高い腫瘍形成能を示すことが多い。そのため、このような腫瘍形成能の問題を克服するために、デリバリー効率及び/又は初期化効率を高める方法、あるいは細胞内のmiR-302の発現レベルを高める方法が強く望まれている。
【0004】
それだけでなく、miR-302を介したiPSC生成のもう一つの問題は、miR-302前駆RNA(pre-miR-302)の高度な構造の立体配座(highly structured conformations)に起因し、従来の酵素合成法や機械的合成法を用いて製造することが非常に困難であることである。先行するmRNA/pre-miRNAの製造方法は、主にポリメラーゼ連鎖反応およびインビトロ転写(polymerase chain reaction and invitrotranscription(PCR-IVT))に依存している(Lin等に対する米国特許第7,662,791号、第8,080,652号、第8,372,969号、第8,609,831号)。しかしながら、これらの先行PCR-IVT法は、高度な構造のRNAの低生産率を克服できるよう設計されていない。
図1に描かれているように、Linの方法はまず、IVTのためのプロモーター駆動型DNAテンプレート(promoter-driven DNA templates)を生成するために、PCRおよび/または逆転写(RT)を使用して、得られたPCR産物に特定のRNAプロモーター-プライマー(RNA promoter-primer)を組み込む。次に、DNAテンプレートから所望のRNA分子を生成し増幅するためにIVT反応を行う(Lin等、Methods Mol Biol.221:93-101、2003)。このPCR-IVT反応を複数回繰り返して、さらに所望のRNA分子を増幅することができる。その後、所望のRNAを標的細胞にトランスフェクトして、特定の遺伝子をサイレンシングするためのpiwi-interacting RNA(piRNA)を生成することができる(Lin等に対する米国特許第8,372,969号および同第8,609,831号)。しかしながら、Linの方法は、少なくとも特定の生物学的効果および/または遺伝子サイレンシング効果を引き出すためのmRNA及びpiRNAの生産に成功したものの、このように生産されたmRNA及びpiRNAは高度な構造を有するRNAではなかった。従って、LinのPCR-IVT法は、in vitroでの高度な構造を有するRNAの生産効率が低いという問題を克服する有効な方法を開示しない。
【0005】
高度な構造を有するRNAの生産効率が低いという問題を解決するため、原核生物(すなわち、バクテリア)におけるプラスミド駆動型RNA発現(plasmid-driven RNA expression)を利用する方法が、Lin等によって開発された(Lin等に対する米国特許第9,637,747号および第9,783,811号)。これらの原核生物産生RNAは、pre-miR-302クラスターRNA(pre-miR-302 cluster RNAs)を含む1つまたは複数のヘアピン様ステムループ構造を含むことができる。このアプローチでは、ヘアピンRNAによって引き起こされる内在性転写終結(intrinsic transcriptiontermination)の問題を克服するために、化学的転写誘導剤(chemical transcription inducer)を原核生物細胞培養の培地に加える必要があり(McDowell等,Science 266:822-825,1994)、結果としてヘアピン様RNA生産が著しく増加することになった。しかしながら、このプラスミド駆動型RNA発現方法論は、原核細胞を用いる必要があり、原核生物ではRNAの生産が制限されることも指摘されている。
【0006】
高い処理能力でiPS細胞生成を実現するため、高度な構造のpre-miR-302構造物の細胞内濃度を高めることが本発明の重要な新規性の一つであるため、ここでは、pre-miR-302産生の低効率問題を克服するだけでなく、標的細胞におけるpre-miR-302のデリバリー/初期化効率を高める方法論を持つことが要求される。残念ながら、これまでのPCR-IVTとiPSC生成法のいずれも、その組み合わせでさえもこの目標を達成することはできていない。したがって、iPS細胞生成を誘導及び促進するための新規な細胞内pre-miR-302産生方法が強く望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1] 少なくとも一つのmiR-302前駆RNA(pre-miR-302)構造物と少なくとも一つのRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)mRNAの混合物を含み、前記pre-miR-302構造物は、その5’末端、3’末端、又はそれらの両方に、RdRp結合部位を少なくとも含み、前記RdRpmRNAは、RNAウイルスから単離及び/又は改変されたものである、人工多能性幹細胞(iPSC)の生成に用いる新規RNA組成物。
[2] 前記pre-miR-302と前記RdRpmRNAの比率が、20:1~1:20である[1]に記載の組成物。
[3] 前記5’末端RdRp結合部位が、配列表の配列番号1で表される塩基配列又は配列表の配列番号2で表される塩基配列のいずれか一方の配列を含む[1]に記載の組成物。
[4] 前記5’末端RdRp結合部位が、配列表の配列番号3で表される塩基配列、配列表の配列番号4で表される塩基配列、配列表の配列番号5で表される塩基配列、配列表の配列番号6で表される塩基配列、又はこれらを組み合わせた塩基配列を含む配列から選択される[3]に記載の組成物。
[5] 前記3’末端RdRp結合部位が、配列表の配列番号7で表される塩基配列又は配列表の配列番号8で表される塩基配列のいずれかの一方の配列を含む[1]に記載の組成物。
[6] 前記3’末端RdRp結合部位が、配列表の配列番号9で表される塩基配列、配列表の配列番号10で表される塩基配列、配列表の配列番号11で表される塩基配列、配列表の配列番号12で表される塩基配列、又はこれらを組み合わせた塩基配列を含む配列から選択される[5]に記載の組成物。
[7] 前記pre-miR-302が、配列表の配列番号13で表される塩基配列、配列表の配列番号14で表される塩基配列、配列表の配列番号15で表される塩基配列、配列表の配列番号16で表される塩基配列、又はこれらを組み合わせた塩基配列を含む少なくとも一つの配列から選択される[1]に記載の組成物。
[8] 前記RdRpmRNAが、RNAウイルスから単離されたものである[1]に記載の組成物。
[9] 前記RdRpmRNAが、コロナウイルス又はC型肝炎ウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼmRNAである[1]に記載の組成物。
[10] 前記pre-miR-302が、RNAポリメラーゼとヘリカーゼの混合活性を用いる、新規なポリメラーゼ連鎖反応インビトロ転写法(polymerase chain reaction-in-vitro transcription(PCR-IVT) methodology)を使用して製造される[1]に記載の組成物。
[11] 前記RdRpmRNAが、RNAポリメラーゼとヘリカーゼの混合活性を用いる、新規なポリメラーゼ連鎖反応インビトロ転写法(polymerase chain reaction-in-vitro transcription(PCR-IVT) methodology)を使用して製造される[1]に記載の組成物。
[12] 前記ヘリカーゼが、DNAとRNAの両方の二次元構造を巻き戻すことができる酵素である[10]又は[11]に記載の組成物。
[13] 前記PCR-IVT法のIVT反応が、0.001~10mMのベタイン(トリメチルグリシン、TMG)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、3-(N-モルフォリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、またはそれらの組み合わせが追加された1x転写バッファーを含む改良されたバッファーシステムで行われる、[10]又は[11]に記載の組成物。
[14] 前記pre-miR-302とRdRpmRNAの混合物が、in vitro、ex vivo及び/又はin vivoにおける細胞内トランスフェクションを促進する少なくとも一つのデリバリー剤でさらに製剤化されている、[1]に記載の組成物。
[15] 前記デリバリー剤が、グリシルグリセリン、リポソーム、ナノ粒子、リポソームナノ粒子、コンジュゲート分子、輸液用化学物質、遺伝子銃材料、電気穿孔剤、トランスポゾン及びこれらの組み合わせを含む、[14]に記載の組成物。
[16] 前記iPSCが、外胚葉、中胚葉、及び内胚葉の3つすべての胚葉に由来する様々な組織細胞に分化することができる[1]に記載の組成物。
[17] 前記iPSC由来組織細胞が、細胞療法(cell-based therapies)の開発に使用される[16]に記載の組成物。
[18] 前記iPSCが、幹細胞療法(stem cell-based therapies)の開発に使用される[1]に記載の組成物。
[19] 前記iPSCが、新規な薬物材料の調査及び/又は製造に使用される[1]に記載の組成物。
[20] 前記pre-miR-302とRdRpmRNAの混合物が、初期化関連治療及び薬物の開発に使用される[1]に記載の組成物。
[21] 前記pre-miR-302とRdRpmRNAの混合物が、薬物又は治療の材料として使用される[1]に記載の組成物。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面は、説明を目的とするものであり、ここに示されるものに限定されない。
【
図1】
図1は、PCR-IVT法の段階的な手順を示したものである。RNAの製造には、このPCR-IVT法の一部または全部の手順を採用し、所望のRNA産物の単一サイクルによる増幅や複数サイクルによる増幅のいずれもが可能である。
【
図2】
図2は、miR-302前駆RNA(pre-miR-302)構造物の好ましい設計の1つを描いたものである。少なくとも一つまたはそれ以上のRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)結合部位は、プレ-miR-302構造物の5’末端または3’末端領域のいずれか、または両方に配置することができる。
【
図3】
図3は、ノーザンブロット解析による、pre-miR-302のみを導入した場合(中央)と比較した、pre-miR-302とRdRpmRNAの両方を共導入した後(右)の初期化細胞におけるmiR-302s(すなわち上からb、c、d、a)及びRdRpmRNAの顕著な発現増加を示すものである。
【
図4】
図4は、ウェスタンブロット解析による、pre-miR-302とRdRpmRNAを共導入した3日後の初期化細胞で認められた、Oct3/4、Sox2、Nanogなどの標準胚性幹細胞(ESC)マーカーの発現上昇を示すものである。
【
図5】
図5は、pre-miR-302とRdRpmRNAを共導入した後のiPSC由来胚様体の形成を示すものである。
【
図6】
図6は、初期化された細胞で観察された、ヒトESCゲノムと同じ状態の広域なゲノムDNAの脱メチル化を示すものである。
【
図7】
図7は、マイクロアレイ解析による、ヒトESC WA01(H1)細胞株及びWA09(H9)細胞株と比較した、ゲノム全体の遺伝子発現パターンの92%超の高い類似性を示すものである。
【
図8】
図8は、3つの胚葉層(外胚葉、中胚葉、胚体内胚葉)すべてに由来する組織を含むiPSC由来のテラトーマ形成を、それぞれの組織細胞マーカーによる免疫組織化学染色を用いて示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、2021年6月12日に出願された米国仮特許出願第63/209,969号(名称「Novel mRNA Composition and Production for Use in Anti-Viral and Anti-Cancer Vaccines」)の優先権を主張するものである。本発明はまた、「Novel mRNA Composition and Production Method for Use in Anti-Viral and Anti-Cancer Vaccines」を名称とする、2021年6月15日に出願された米国仮特許出願第63/210,988号、2021年6月19日に出願された63/212,657号、及び2021年7月15日に出願された63/222,398号の優先権を主張するものである。本発明はさらに、Novel RNA Composition and Production Method for Use in iPS Cell Generation」を名称とする、2021年10月20日に出願された米国仮特許出願第63/270,034号、及び2021年11月17日に出願された63/280,226号の優先権を主張するものである。本発明はさらに、「Novel mRNA Composition and Production Method for Use in Anti-Viral and Anti-Cancer Vaccines」を名称とする、2021年9月29日に出願された米国特許出願第17/489,357号の優先権を主張するものである。また、本出願は、2022年1月19日に出願された米国特許出願第17/648,340号の優先権を主張するものである。
【0010】
本発明は、人工的に添加したRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)増幅活性により刺激される細胞内miR-302前駆RNA(pre-miR-302)生成の新規なメカニズムを利用して、人工多能性幹細胞(iPSC)生成を誘導及び促進する方法である。RdRpは、RNAウイルス、好ましくはコロナウイルスやC型肝炎ウイルスなど、から単離及び/又は改変されたものである。従来のトランスフェクション法は、体細胞を完全に初期化してiPSCを形成するために必要な十分なpre-miR-302をデリバリーすることが困難であるため、本発明は、このトランスフェクション/デリバリーの問題を克服するために、新規な細胞内RdRp仲介増幅機構(intracellular RdRp-mediatedamplification mechanism)を採用する。この新規なRdRp仲介増幅機構によって、デリバリーされたわずかな量のpre-miR-302でさえ、トランスフェクトされた細胞内で少なくとも40~1000倍以上に増幅され、iPS細胞を形成するための体細胞の初期化を完全に誘導し増強するのに十分な細胞内pre-miR-302濃度を提供することが可能である。また、考えられる限り、RdRpを介したRNA増幅機構を利用して、少なくともRdRp結合部位を有する他の種々のpre-miRNAやmRNA、特に、ウイルス性、病原性抗原RNAや既知の機能性RNA/mRNAを製造及び増幅し、抗ウイルスおよび/または抗病/癌ワクチンや医薬の開発に役立てることが可能である。
【0011】
体細胞にはpre-miR-302もRdRpも存在しないため、当業者が体細胞におけるpre-miR-302の増幅を予想することは妥当ではない。miR-302は、ヒトESCやiPSCなどの多能性幹細胞でのみ発現する主要な標準胚性幹細胞(ESC)マーカーの1つである。一方、RdRpは、主にRNAウイルスに存在し、RNAウイルスの増殖に必要である。そのため、自然環境下では、RNAウイルスの感染させた後であっても、体細胞では初期化は起こらない。しかしながら、本発明は、RNAウイルス感染前に、特別に設計したpre-miR-302構造物で体細胞をあらかじめトランスフェクトしておくと、体細胞の初期化が容易に起こることを初めて明らかにした。RNAウイルス感染時、ウイルスRdRpは、全ての細胞内RNAを同じ割合でランダムに増幅するのではなく、ウイルスRNAのような少なくともRdRp結合部位を持つRNAをより好ましく増幅する。この増幅率の差は、数百倍から千倍以上にもなる。同じメカニズムを使用して、我々が設計したpre-miR-302構造物は、少なくとも単離されたRdRp結合部位を持っている。このようにして、RdRpはトランスフェクトされた細胞内で設計されたpre-miR-302構造物を40~1000倍に増幅して、細胞内のmiR-302濃度を著しく上昇し、そのレベルはiPS細胞の生成を完全に誘導及び促進するのに十分なレベルである。
【0012】
私たちが特別に設計したpre-miR-302構造物の一般的な構造は、少なくともヘアピン状のmiR-302前駆(pre-miR-302)配列を含み、その5'末端または3'末端領域のいずれか、あるいは両方に少なくともRdRp結合部位(プロモーターおよび/またはエンハンサーに相当)が隣接されている。
図2に示すように、所望のRdRp活性を効率的に開始させるために、設計されたpre-miR-302構造物は、少なくとも一つの5'末端のフォワードRdRp開始/結合部位(5’-end forward RdRp initiation/bindingsite)、または少なくとも一つの3'末端のリバースRdRp開始/結合部位(3’-end reverse RdRpinitiation/binding site)、またはその両方を含む必要がある。開始/結合部位の前後に、所望のRdRp伸長活性に由来する、アデノシン/ウリジン-リッチ(A/U-rich)モチーフの約1~55ヌクレオチドの短い配列をさらに含んでいてもよい。5'末端RdRp開始/結合部位は、少なくとも5’-AU(G/C)(U/-)G(A/U)-3’(すなわち、5’-AUSUGW-3’:配列番号1)または5’-U(C/-)(U/A)C(U/C)(U/A)A-3’(すなわち、5’-UCWCYWA-3’:配列番号2)のいずれか一方、またはその両方の配列を含む。例えば、5'末端RdRp開始/結合部位は、5’-AUCUGU-3’(配列番号3)、5’-UCUCUAA-3’(配列番号4)、5’-UCUCCUA-3’(配列番号5)、及び/又は5’-UUCAA-3’(配列番号6)又はその組み合わせを含む少なくとも一つの配列から選択することが好ましい。一方、3’末端RdRp開始/結合部位は、少なくとも5’-(U/A)C(A/-)(C/G)AU-3’(すなわち5’-WCASAU-3’;配列番号7)または5’-U(A/U)(A/G)G(A/U)(G/-)A-3’(すなわち、5’-UWRGWR-3’;配列番号8)のいずれか一方、またはその両方の配列を含む。例えば、3’末端RdRp開始/結合部位は、少なくとも5’-ACAGAU-3’(配列番号9),5’-UUAGAGA-3’(配列番号10),5’-UAGGAGA-3’(配列番号11)および/または5’-UUGAA-3’(配列番号12)、あるいはその組み合わせを含む少なくとも一つの配列から選択することが好ましい。注目すべきは、これらの定義されたRdRp開始/結合部位は、本発明の発明者らによって排他的に同定されたことである。この特別な新規な設計により、所望のRdRp活性は、in vitro、ex vivoおよびin vivoにおいて、設計されたpre-miR-302構造物のセンス鎖またはアンチセンス鎖のいずれか、あるいは両方を、細胞内で効率的に転写および増幅させることが可能である。
【0013】
好ましい一実施形態では、特別に設計されたRNA(すなわち、pre-miR-302および/またはRdRp mRNA、または他のRNA/mRNA)構造物は、その5’-および3’末端領域の両方に、少なくともRdRp結合部位を含んでいる。設計されたRNA構造物の両末端は、RdRpによるRNA増幅のために、少なくともRdRp結合部位を有するので、センス鎖RNAはその相補的アンチセンスRNA(cRNAまたはaRNA)を増幅するために用いられ、アンチセンス鎖RNAはセンスRNAも増幅するために用いられ、その結果センスおよびアンチセンス鎖RNAの両方の増幅サイクルを形成し、その設計RNA構造物の増幅率を最大にすることができる。また、得られた増幅RNAのセンス鎖およびアンチセンス鎖は、トランスフェクション後の細胞内でさらに二本鎖RNAを形成し、設計されたRNA構造物のsiRNA、shRNA、miRNA、および/またはpiRNAの形成を促進することができる。
【0014】
あるいは、別の好ましい実施形態では、特別に設計されたRNA構造物は、その5’末端または3’末端の領域のいずれかに少なくとも一つのRdRp結合部位を含む。このようにして、設計されたRNA構造物のセンス鎖またはアンチセンス鎖のいずれかを選択的に増幅することができ、設計されたRNA構造物の所望の鎖をより特異的に増幅させることにつながる。特に、この方法は、トランスフェクション後の細胞において、特定の機能性タンパク質のアンチセンスRNA(aRNA)またはmRNAのいずれかを生成及び増幅し、トランスフェクション後の細胞における機能性タンパク質を生成/増加又は抑制/減少させるために有用な手法である。
【0015】
また、設計されたpre-miR-302構造物は、好ましくは5’-CCUUUGCUUU AACAUGGGGG UACCUGCUGU GUGAAACAAA AGUAAGUGCU UCCAUGUUUC AGUGGAGG-3’(68塩基;配列番号13)、5’-GCUCCCUUCA ACUUUAACAU GGAAGUGCUU UCUGUGACUU UAAAAGUAAG UGCUUCCAUG UUUUAGUAGG AGU-3’(73塩基;配列番号14)、5’-CCACCACUUA AACGUGGAUG UACUUGCUUU GAAACUAAAG AAGUAAGUGC UUCCAUGUUU UGGUGAUGG-3’(69塩基;配列番号15)、及び/又は5’-CCUCUACUUU AACAUGGAGG CACUUGCUGU GACAUGACAA AAAUAAGUGC UUCCAUGUUU GAGUGUGG-3’(68塩基;配列番号16)、またはそれらの組合せから選ばれる1または複数のヘアピン様miR-302前駆配列(hairpin-like miR-302 precursor sequences)が含まれていてもよい。2つの個々のmiR-302前駆配列の間には、ヘアピンのもつれ形成(tangle formation)を防止するための50~500ヌクレオチドのスペーサー配列(spacer sequence)がさらに含まれていてもよい。これらのmiR-302前駆配列は、考えられる限りでは、同じ機能的目的を引き出すために、miR-302-mimic短鎖干渉RNA(short-interfering RNA(siRNA))および/または小ヘアピンRNA(small hairpin RNA(shRNA))配列で置き換えることができる。また、これらの配列のウリジン(U)含有量をシュードウリジンおよび/または他の修飾ヌクレオチドで置換して、設計したプレmiR-302構造物およびRdRpmRNAの安定性を向上させることができる。
【0016】
このような高度な構造のpre-miR-302構造物及びRdRpmRNAを効率よく作製するために、我々は、高度な構造のRNA生成の低効率問題を克服する新規なPCR-IVT法を開発した(Lin等に対する米国特許出願第17/489,357号に示す)。ヘアピン様RNA構造の存在がRNA転写を大きく阻害することが知られているため、従来、当業者はin vitroで高度な構造のRNAを効率的に生成することを予想し得なかった。実際、ヘアピン様ステムループ構造は、原核生物RNAポリメラーゼにとって固有の転写終了のシグナルである(McDowell等,Science 266:822-825,1994)。この問題を解決するために、本発明では、RNAポリメラーゼとヘリカーゼの活性を混合した新規なIVTシステムを採用した。IVTにヘリカーゼ活性を加えることにより、鋳型DNAと得られるRNA生成物の二次構造を顕著に減少させ、より効率的に高度な構造のRNAを生産することができる。従って、IVTにおけるRNAポリメラーゼとヘリカーゼの混合活性の効率を、維持及び向上する改良されたバッファーシステムも必要である。興味深いことに、いくつかの先行研究では、ヘリカーゼが原核生物の転写終結に関与している可能性が報告されていたが、本発明は、IVT中のRNA生産におけるヘリカーゼの全く異なる機能性を実証するものであった。
【0017】
限定されるものではないが、特別に設計されたpre-miR-302構造物及びRdRpmRNAは、in vitro、ex vivoまたはin vivoでの細胞内デリバリー/トランスフェクションを促進するために、グリシルグリセリン由来化学物質、リポソーム、ナノ粒子、リポソームナノ粒子(liposomal nanoparticles(LNP))、コンジュゲート分子(conjugatingmolecules)、輸液・輸血用化学物質(infusion/transfusion chemicals)、遺伝子銃材料(gene gun materials)、電気穿孔剤(electroporation agents)、トランスポゾン/レトランスポゾン、およびこれらの組み合わせから選択される少なくとも少なくとも一つの送達/トランスフェクション剤(delivery/transfection agent)と混合、複合化、カプセル化および/または製剤化することができる。
【0018】
設計したpre-miR-302構造物とRdRpmRNAを目的の標的細胞にコトランスフェクション(共移入)すると、体細胞の初期化と呼ばれる誘導生物学的プロセス(induced biological process)により、初期化する細胞の種類にもよるが、1週間から2週間でiPSCが速やかに形成される。Linの先行する総説論文では、この初期化事象の基礎的なメカニズムは既に開示されている(Lin SL,Stem Cells 29:1645-1649,2011)。実験において、発明者等は、単離正常線維芽細胞、単離正常皮膚細胞(in vitroならびにex vivo)、単離ヒト白血病細胞、ヒト肺上皮細胞株 BEAS-2Bならびに癌性肺NSCLC A549、乳腺癌 MCF7、前立腺癌 PC3、肝細胞癌 HepG2および皮膚メラノーマ Colo-829細胞などの、ヒト正常体細胞と癌性体細胞の両方でこの新規な初期化方法論をすでにテストしている。従って、これらの様々なヒト細胞の高いゲノム類似性に鑑みて、iPSCに初期化可能な細胞タイプとしては、正常ヒト組織細胞(normal human tissue cells)、体細胞、疾患細胞(diseased cells)、腫瘍/癌細胞、皮膚内容物関連細胞(skin-content-associated cells)、および/または血液内容物関連細胞(blood-content-associated cells)、およびこれらの組み合わせを含む細胞基質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
本発明者らは、本発明を用いて、(1)pre-miR-302とRdRpmRNAをコトランスフェクションした後の初期化細胞におけるmiR-302発現の顕著な増加(
図3)、(2)pre-miR-302とRdRpmRNAをコトランスフェクションして2~3日後の初期化細胞に見られるOct3/4、Sox2およびNanogなどの標準ESCマーカーの高い発現(
図4)、(3)iPSC由来の胚様体形成(
図5)、(4)接合体ゲノムと同様の広域のゲノムDNAの脱メチル化の観察(
図6)、(5)ヒトESC WA01(H1)およびWA09(H9)細胞株と比較してゲノム全体の遺伝子発現パターンの類似度が92%以上高いこと(
図7)、及び、(6)3胚葉(外胚葉、中胚葉、胚体内胚葉)由来の組織を含むiPSC由来のテラトーマ形成(
図8)の6つの領域で、iPSCの作製が成功したという証拠を集めた。さらに、本発明者等は、エレクトロポレーションに基づくデリバリー方法を用いて、同様のiPSC生成の結果を得ることにも成功した。miR-302の機能は、70%超の高い成功率で、正常および癌組織細胞を腫瘍のないESC様のiPSCに再プログラムすることが知られていることから、この新規発明の知見は、幹細胞治療および抗癌治療の双方における高度なアプリケーションの設計および開発に大きな利益をもたらすと考えられる。
【0020】
設計されたpre-miR-302及びRdRpmRNA混合組成物を使用してiPSC生成を誘導する利点には、(1)トランスジェニックの懸念がない、(2)倫理的懸念がない、(3)無腫瘍グレードの高い安全性(tumor-free gradehigh safety)、(4)取り扱いと準備が容易、(5)70%を超えるiPSC形成効率、(7)1~2週間以内の安定で速い初期化効率、及び(8)in vitro、ex vivo及び/又はin vivoにおける細胞初期化で使用できる複数の用途、が含まれる。さらに、Lin等に対する先行米国特許出願第15/661,346号および第16/135,723号を考慮すると、本発明はまた、同様に成人幹細胞集団(adult stem cell(ASC) populations)を生成および拡大するために使用することができる。本発明は、考えられる限り、医薬品と同様に、細胞ベースおよび/または初期化関連治療などの新しい医薬および治療用途またはデバイスを設計および開発するのに有用である。
【0021】
ここで、本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語を以下に定義する。
【0022】
核酸:デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)のポリマーで、一本鎖または二本鎖のいずれかをいう。
【0023】
ヌクレオチド:糖成分(ペントース)、リン酸、及び含窒素複素環塩基(nitrogenous heterocyclic base)からなる、DNAまたはRNAの単量体単位である。塩基はグリコシド炭素(ペントースの1’炭素)を介して糖成分に結合しており、塩基と糖の組み合わせがヌクレオシドである。ペントースの3’または5’位に結合した少なくとも1つのリン酸基を含むヌクレオシドがヌクレオチドである。DNAはデオキシリボヌクレオチド、RNAはリボヌクレオチドという異なる種類のヌクレオチド単位から構成されている。
【0024】
オリゴヌクレオチド:DNAおよび/またはRNAの2個以上の単量体単位からなる分子で、好ましくは3個以上、通常は10個以上である。13個以上のヌクレオチド単量体のオリゴヌクレオチドを、ポリヌクレオチドと呼ぶこともある。正確なサイズは、多くの要因に依存し、オリゴヌクレオチドの最終的な機能または用途に依存する。オリゴヌクレオチドは、化学合成、DNA複製、RNA転写、逆転写、またはそれらの組み合わせなど、どのような方法で生成されてもよい。
【0025】
ヌクレオチド類似体(Nucleotide Analog):アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)、またはウラシル(U)とは構造的に異なるが、核酸分子中の通常のヌクレオチドに置き換えるには十分に類似しているプリンまたはピリミジンヌクレオチドである。
【0026】
核酸組成物:核酸組成物とは、一本鎖または二本鎖の分子構造で、DNAまたはRNA配列、若しくはDNA/RNA混合配列などのオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのことをいう。
【0027】
遺伝子:オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列がRNAおよび/またはポリペプチド(タンパク質)をコードしている核酸組成物である。遺伝子は、RNAでもDNAでもよい。遺伝子は、スモールヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、rRNA、tRNA、snoRNA、snRNA、およびそれらのRNA前駆体ならびに誘導体などのノンコーディングRNA(non-coding RNA)をコードしていてもよい。あるいは、遺伝子は、メッセンジャーRNA(mRNA)およびそのRNA前駆体ならびに誘導体など、タンパク質/ペプチド合成に必須のタンパク質コーディングRNA(protein-coding RNA)をコードするものであってもよい。あるケースでは、遺伝子は、マイクロRNAまたはshRNA配列の少なくとも一つを含むタンパク質コードRNAをコードしていてもよい。
【0028】
一次RNA転写産物:RNAのプロセシングや修飾を行わず、遺伝子から直接転写されたRNA配列である。
【0029】
メッセンジャーRNA前駆体(Precursor messenger RNA(pre-mRNA)):タンパク質コーティング遺伝子の一次RNA転写産物で、転写と呼ばれる細胞内機構を介して、真核生物におけるII型RNAポリメラーゼ(Pol-II)機構によって生成される。pre-mRNAの配列には、5’-非翻訳領域(5’-untranslated region(UTR))、3’-UTR、エクソン、及びイントロンが含まれる。
【0030】
イントロン:インフレームイントロン(in-frame intron)、5’-UTR、3’-UTRなどの非タンパク質リーディングフレーム(non-protein-reading frames)をコードする遺伝子転写配列の一部または部分である。
【0031】
エクソン:細胞遺伝子、成長因子、インスリン、抗体およびそれらのアナログ/ホモログ、ならびに誘導体のためのcDNAのようなタンパク質リーディングフレーム(cDNA)をコードする遺伝子転写配列の一部または全部である。
【0032】
メッセンジャーRNA(mRNA):pre-mRNAエクソンの集合体で、細胞内のRNAスプライシング機構(スプライソソームなど)によってイントロンが除去されて形成され、ペプチド/タンパク質合成のためのタンパク質コーディングRNAとして機能する。mRNAがコードするペプチド/タンパク質には、酵素、成長因子、インスリン、抗体およびそれらのアナログ/ホモログ、ならびに誘導体が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
相補的DNA(cDNA):mRNAの配列と相補的な配列を持つ、イントロン配列を含まない一本鎖または二本鎖のDNAである。
【0034】
センス:相同mRNA(homologous mRNA)と同じ配列順序及び組成の核酸分子。センス型は「+」、「s」または「sense」の記号で表示される。
【0035】
アンチセンス:それぞれのmRNA分子に相補的な核酸分子。アンチセンス型は、「-」の記号で表示されるか、または、「aDNA」や「aRNA」のように、DNAやRNAの前に「a」や「antisense」を付けて表示される。
【0036】
塩基対(bp):二本鎖DNA分子中のアデニン(A)とチミン(T)の相互関係、またはシトシン(C)とグアニン(G)の相互関係のこと。RNAでは、チミンの代わりにウラシル(U)が使われている。一般に、相互関係は水素結合によって達成される。例えば、センスヌクレオチド配列「5’-A-T-C-G-U-3’」は、アンチセンス配列「5’-A-C-G-A-T-3’」と完全に塩基対を形成することができる。
【0037】
5’末端:あるヌクレオチドの5’-水酸基が次のヌクレオチドの3’-水酸基とホスホジエステル結合で接合している連続するヌクレオチドにおける5’位のヌクレオチドが欠けた末端である。末端には、1つ以上のリン酸塩などの他の基が存在してもよい。
【0038】
3’末端:あるヌクレオチドの5’-水酸基が次のヌクレオチドの3’-水酸基とホスホジエステル結合で接合している連続するヌクレオチドにおける3’位のヌクレオチドが欠けた末端である。末端には、他の基、多くの場合は水酸基、が存在してもよい。
【0039】
テンプレート:核酸ポリメラーゼによってコピーされる核酸分子である。テンプレートは、ポリメラーゼに応じて、一本鎖、二本鎖、部分二本鎖、RNA、DNAのいずれでもよい。合成されたコピーは、テンプレートに相補的であるか、二本鎖または部分的に二本鎖のテンプレートの少なくとも一本の鎖に相補的である。RNAもDNAも5’から3’の方向で合成される。核酸二重鎖の2本鎖は、常に2本鎖の5’末端が二重鎖の反対側の端になるように(必然的に3’端もそうなるように)整列している。
【0040】
核酸テンプレート:二本鎖DNA分子、二本鎖RNA分子、DNA-RNAあるいはRNA-DNAハイブリッドなどのハイブリッド分子、又は一本鎖DNAあるいは一本鎖RNA分子である。
【0041】
保存される:事前に選択された配列の正確な相補物に非ランダムにハイブリダイズする場合、事前に選択された(参照された)配列に対してヌクレオチド配列が保存されていると言える。
【0042】
相同性(Homologous or Homology):ポリヌクレオチドと遺伝子又はmRNA配列との類似性を示す用語である。核酸配列は、例えば、特定の遺伝子やmRNA配列と部分的または完全に相同であることがある。相同性は、ヌクレオチドの総数に対する類似ヌクレオチドの数によって決定される割合で表すことができる。
【0043】
相補性又は相補的(Complementary or Complementarity or Complementation):前述の「塩基対(bp)」の規則で関連付けられた2つのポリヌクレオチド(すなわち、mRNAとcDNAの配列)間でマッチした塩基対(matched base pairing)を指す用語である。例えば、「5’-A-G-T-3’」という配列は、「5’-A-C-T-3’」だけでなく「5’-A-C-U-3’」にも相補的である。相補性は、2本のDNA鎖間、DNA鎖とRNA鎖間、2本のRNA鎖間であり得る。相補性は「部分的」であっても「完全(complete)」であっても「全体的(total)」であってもよい。部分的な相補性又は相補的(Partial complementarity or complementation)は、核酸塩基の一部のみが塩基対形成規則に従ってマッチする場合に生じる。完全又は全体的な相補性(Complete or total complementarity or complementation)は、塩基が核酸鎖間で完全にまたは完璧にマッチする場合に生じる。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率と強さに大きな影響を与える。これは、増幅反応や、核酸同士の結合に依存する検出方法において特に重要である。相補性の割合は、核酸の1本の鎖の全塩基数に対するミスマッチ塩基(mismatch bases)数の割合を指す。したがって、50%の相補性は、半分の塩基がミスマッチで、半分がマッチしていることを意味する。塩基数が2本の鎖で異なっていても、核酸の2本鎖が相補的になることがある。この場合、長い方の鎖の塩基が短い方の鎖の塩基と対になっている部分の間で相補性が生じる。
【0044】
相補的塩基:DNAまたはRNAが二本鎖構造をとる際に、通常対になるヌクレオチドである。
【0045】
相補的ヌクレオチド配列:他の一本鎖上のヌクレオチドと十分に相補的で、二本鎖間で特異的にハイブリダイズし、結果として水素結合が生じる、DNAまたはRNAの一本鎖分子におけるヌクレオチド配列。
【0046】
ハイブリダイズおよびハイブリダイゼーション:塩基対を介して複合体を形成するのに十分な相補性を持つヌクレオチド配列間の二重鎖の形成を指す。プライマー(またはスプライステンプレート)が標的(テンプレート)と「ハイブリダイズ」する場合、そのような複合体(またはハイブリッド)は、DNA合成を開始するためにDNAポリメラーゼに要求されるプライミング機能を果たすのに十分安定である。2つの相補的なポリヌクレオチドの間には、特異的な、すなわち非ランダムな相互作用が存在し、競合的に阻害されることがある。
【0047】
転写後遺伝子サイレンシング(Posttranscriptional Gene Silencing):mRNAの分解や翻訳抑制のレベルで標的遺伝子をノックアウトまたはノックダウンする効果であり、通常、外来/ウイルスのDNAまたはRNA導入遺伝子、若しくは低分子抑制RNA(small inhibitory RNAs)のいずれかが引き金となる。
【0048】
RNA干渉(RNAi):真核生物における転写後の遺伝子サイレンシングで、マイクロRNA(miRNA)、スモールヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉RNA(small interfering RNA(siRNA))などの低分子阻害性RNA分子(small inhibitory RNA molecules)が引き金となり得る。これらの低分子RNA分子は通常、遺伝子サイレンサーとして機能し、低分子RNAに完全または部分的に相補な部分を含む細胞内遺伝子の発現を阻害する。
【0049】
遺伝子サイレンシング効果:遺伝子の機能が抑制された後の細胞応答であり、限定されるものではないが、細胞周期の減衰、G0/G1チェックポイントの停止、腫瘍抑制、抗腫瘍性、癌細胞のアポトーシス、およびそれらの組み合わせからなる。
【0050】
ノンコーディングRNA:細胞内の翻訳機構を介してペプチドやタンパク質を合成することができないRNA転写産物。ノンコーディングRNAには、マイクロRNA(miRNA)、スモールヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)など、長い調節RNA分子(regulatory RNA molecules)及び短い調節RNA分子が含まれる。これらの調節RNA分子は通常、遺伝子サイレンサーとして機能し、ノンコーディングRNAと完全または部分的に相補な部分を含む細胞内遺伝子の発現を阻害する。
【0051】
マイクロRNA(miRNA):miRNAと部分的に相補性を持つ標的遺伝子の転写産物に結合することができる一本鎖RNA。miRNAは通常17-27オリゴヌクレオチド程度の長さで、miRNAとその標的mRNAの相補性に応じて、細胞内の標的mRNAを直接分解(degrade)したり、標的mRNAのタンパク質翻訳を抑制したりすることが可能である。天然のmiRNAは、ほぼ全ての真核生物に存在し、ウイルス感染に対する防御や、動植物の発達過程における遺伝子発現の制御を可能にしている。
【0052】
マイクロRNA前駆体(Precursor MicroRNA(Pre-miRNA)):ヘアピン状の一本鎖RNAであり、細胞内のRNaseIIIエンドリボヌクレアーゼと相互作用し、マイクロRNA配列と相補的な遺伝子又は標的遺伝子をサイレンシングできる1つまたは複数のマイクロRNA(miRNA)を生成するためのステムアーム領域とステムループ領域を持つ。Pre-miRNAのステムアームは、完全(100%)または部分的(ミスマッチ)なハイブリッド二重鎖を形成することでき、ステムループはステムアーム二重鎖の一端を連結して円またはヘアピンループ構造を形成する。ただし、本発明では、マイクロRNAの前駆体はpri-miRNAも含むことができる。
【0053】
低分子干渉RNA(small interfering RNA(siRNA)):約18~27個の完全な塩基対リボヌクレオチド二重鎖(perfectly base-paired ribonucleotide duplexes)のサイズであり、ほぼ完全に相補的な標的遺伝子転写物を分解することができる短い二本鎖RNAである。
【0054】
スモール又はショートヘアピンRNA(small or short hairpin RNA(shRNA)):一本鎖RNAで、部分的または完全にマッチしたステムアームヌクレオチド配列のペアが、ミスマッチのループまたはバブルオリゴヌクレオチド(loop or bubble oligonucleotide)で分割され、ヘアピン状の構造を形成したものである。多くの天然miRNAは、スモールヘアピン様RNA前駆体、すなわちマイクロRNA前駆体(pre-miRNA)に由来する。
【0055】
ベクター:異なる遺伝子環境(genetic environments)中を移動及び滞留可能な組換えDNA(rDNA)などの組換え核酸組成物である。一般に、そこに別の核酸が作動可能に連結されている。ベクターは、細胞内で自律的に複製することが可能であり、その場合、ベクターおよび付随するセグメントが複製される。好ましいベクターの1つのタイプは、エピソーム、すなわち、染色体外複製(extrachromosomal replication)が可能な核酸分子である。好ましいベクターは、核酸の自律的な複製および発現が可能なベクターである。1つ以上のポリペプチドおよび/またはノンコーディングRNAをコードする遺伝子の発現を指示することができるベクターは、本明細書において「発現ベクター(expression vectors)」または「発現可能ベクター(expression-competent vectors)」と呼ばれる。特に重要なベクターは、逆転写酵素を用いて産生されたmRNAからcDNAをクローニングすることを可能にする。ベクターは、ウイルスまたはII型RNAポリメラーゼ(Pol-IIまたはpol-2)プロモーター、あるいはその両方、コザックコンセンサス翻訳開始点(Kozak consensus translation initiation site)、ポリアデニル化シグナル、複数の制限/クローニングサイト、pUC複製起点(pUC origin of replication)、複製可能原核細胞(replication-competent prokaryoticcells)において少なくとも抗生物質耐性遺伝子を発現するためのSV40アーリープロモーター(SV40 early promoter)、哺乳動物細胞における複製のためのオプショナルSV40起点(optional SV40 origin)、及び/又はテトラサイクリン応答性要素(tetracycline responsiveelement)からなる構成要素を含むことができる。ベクターの構造は、プラスミド、ウイルスベクター、トランスポゾン、レトロトランスポゾン、DNA導入遺伝子(DNA transgene)、ジャンピング遺伝子(jumping gene)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される一本鎖または二本鎖DNAの線形または環状の形態であり得る。
【0056】
プロモーター:ポリメラーゼ分子が認識し、おそらく結合し、RNAの転写を開始する核酸。本発明の目的によると、プロモーターは、既知のポリメラーゼ結合部位、エンハンサー等であり得、所望のポリメラーゼによるRNA転写産物の合成を開始させることができる任意の配列であり得る。
【0057】
制限部位:制限酵素切断のためのDNAモチーフであり、限定されるものではないが、AatII,AccI,AflII/III,AgeI,ApaI/LI,AseI,Asp718I,BamHI,BbeI,BclI/II,BglII,BsmI,Bsp120I,BspHI/LU11I/120I,BsrI/BI/GI,BssHII/SI,BstBI/U1/XI,ClaI,Csp6I,DpnI,DraI/II,EagI,Ecl136II,EcoRI/RII/47III/RV,EheI,FspI,HaeIII,HhaI,HinPI,HindIII,HinfI,HpaI/II,KasI,KpnI,MaeII/III,MfeI,MluI,MscI,MseI,NaeI,NarI,NcoI,NdeI,NgoMI,NotI,NruI,NsiI,PmlI,Ppu10I,PstI,PvuI/II,RsaI,SacI/II,SalI,Sau3AI,SmaI,SnaBI,SphI,SspI,StuI,TaiI,TaqI,XbaI,XhoI,XmaI切断部位を含む。
【0058】
シストロン:アミノ酸残基配列をコードするDNA分子内のヌクレオチド配列であり、上流および下流のDNA発現制御要素(upstream and downstream DNA expression control elements)を含む。
【0059】
RNAプロセシング:RNAの成熟、修飾、分解を担う細胞機構であり、RNAスプライシング、イントロン切除、エクソソーム消化、ナンセンス依存分解(nonsense-mediated decay (NMD))、RNA編集、RNAプロセシング、5’末端キャッピング、3’末端ポリ(A)テーリング、およびそれらの組合せが含まれる。
【0060】
遺伝子導入:ポリソームトランスフェクション(polysomal transfection)、リポソームトランスフェクション、化学(ナノ粒子)トランスフェクション、エレクトロポレーション、ウイルス感染、DNA組み換え、トランスポゾン挿入、ジャンピング遺伝子挿入(jumping gene insertion)、マイクロインジェクション、遺伝子銃ペネトレーション(gene-gun penetration)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される遺伝子工学的方法である。
【0061】
遺伝子工学:DNAの制限およびライゲーション(DNA restriction and ligation)、相同組換え、導入遺伝子組み込み(transgene incorporation)、トランスポゾン挿入、ジャンピング遺伝子組み込み(jumping gene integration)、レトロウイルス感染、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるDNA組換え方法である。
【0062】
腫瘍抑制:細胞性の抗腫瘍および抗癌機構であり、限定されるものではないが、細胞周期の減衰、G0/G1チェックポイント停止、腫瘍抑制、抗腫瘍性、癌細胞アポトーシス、およびこれらの組み合わせから群から選択される。
【0063】
標的細胞:体細胞、組織細胞、幹細胞、生殖細胞系列細胞、腫瘍細胞、癌細胞、ウイルス感染細胞、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される単一又は複数のヒト細胞である。
【0064】
癌組織:皮膚癌、前立腺癌、乳癌、肝臓癌、肺癌、脳腫瘍/癌、リンパ腫、白血病、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される新生物組織である。
【0065】
抗体:あらかじめ選択されたリガンドと結合できる受容体をコードする、あらかじめ選択された保存ドメイン構造(conserved domainstructure)を有するペプチドまたはタンパク質分子である。
【0066】
医薬品および/または治療用途(Pharmaceutical and/or therapeutic Application):幹細胞生成、幹細胞研究および/または治療開発、癌治療、疾患治療、創傷治癒および組織再生治療、医薬品および/または食料品の高収率生産、およびこれらの組み合わせに有用な生物医学的利用および/または装置(biomedical utilization and/or apparatus)。
【0067】
原核生物または原核細胞:明確な膜で包まれた核を持たず、連続したDNA鎖の形で遺伝物質を持つ、バクテリアなどの単細胞生物である。
【0068】
真核生物または真核細胞:酵母、植物および動物細胞のような、膜に囲まれた核及び他の細胞小器官(organelles)を含む細胞を備える単細胞又は多細胞生物である。
【0069】
転写誘導因子(Transcription Inducer):原核細胞におけるpol-2に相当するプロモーターまたは真核性pol-2から、真核性RNAおよび/または遺伝子の転写を誘導および/または増強できる化学物質である。転写誘導因子は、限定されるものではないが、例えば、3-モルフォリノプロパン-1-スルホン酸(MOPS)、エタノール及び/又はグリセリン、並びにそれらの機能性アナログ(functional analogs)、例えばマンニトール,2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)及び4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、又はそれらの混合物等に類似した化学構造を含む。
【0070】
以下、本発明の組成と用途について説明する。
【0071】
本発明は、少なくとも一つのmiR-302前駆RNA(pre-miR-302)構造物と、少なくとも一つのRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)mRNAと、を含み、前記pre-miR-302構造物は、少なくとも一つの5’末端RdRp結合部位、又は少なくとも一つの3’末端RdRp結合部位、あるいはその両方を含み、前記RdRpmRNAは、RNAウイルス、好ましくはコロナウイルスまたはC型肝炎ウイルス、から単離及び/又は改変されたものである、人工多能性幹細胞(iPSC)の生成に用いる新規RNA組成物及びその製造方法である。
【0072】
構造的には、5’末端RdRp結合部位は、少なくとも5’-AU(G/C)(U/-)G(A/U)-3’(5’-AUSUGW-3’;配列番号1)または5’-U(C/-)(U/A)C(U/C)(U/A)A-3’(5’-UCWCYWA-3’;配列番号2)のいずれか、あるいは両方の配列を含む。例えば、5’末端RdRp結合部位は、5’-AUCUGU-3’(配列番号3)、5’-UCUCUAA-3’(配列番号4)、5’-UCUCCUA-3’(配列番号5)、及び/又は5’-UUCAA-3’(配列番号6)、あるいはそれらの組み合わせを含む少なくとも一つのRNA配列から選ばれることが好ましい。一方、3’末端RdRp結合部位は、少なくとも5’-(U/A)C(A/-)(C/G)AU-3’(5’-WCASAU-3’;配列番号7)、又は5’-U(A/U)(A/G)G(A/U)(G/-)A-3’(5’-UWRGWR-3’;配列番号8)のいずれか、あるいはその両方の配列を含む。3’末端RdRp結合部位は、例えば、5’-ACAGAU-3’(配列番号9)、5’-UUAGAGA-3’(配列番号10)、5’-UAGGAGA-3’(配列番号11)、及び/又は5’-UUGAA-3’(配列番号12)、あるいはそれらの組み合わせを含む少なくとも一つのRNA配列から選ばれることが好ましい。
【0073】
また、pre-miR-302構造物は、好ましくは、5’-CCUUUGCUUU AACAUGGGGG UACCUGCUGU GUGAAACAAA AGUAAGUGCU UCCAUGUUUC AGUGGAGG-3’(配列番号13)、5’-GCUCCCUUCA ACUUUAACAU GGAAGUGCUU UCUGUGACUU UAAAAGUAAG UGCUUCCAUG UUUUAGUAGG AGU-3’(配列番号14)、5’-CCACCACUUA AACGUGGAUG UACUUGCUUU GAAACUAAAG AAGUAAGUGC UUCCAUGUUU UGGUGAUGG-3’(配列番号15)、及び/又は5’-CCUCUACUUU AACAUGGAGG CACUUGCUGU GACAUGACAA AAAUAAGUGC UUCCAUGUUU GAGUGUGG-3’(配列番号16)、またはそれらの組み合わせから選択されるヘアピン様miR-302前駆配列を少なくとも一つ含む。2つの個々のmiR-302前駆配列の間には、ヘアピンのもつれ形成(hairpin tangle formation)を防止するための50~500ヌクレオチドのスペーサー配列(spacer sequence)がさらに含まれていてもよい。これらのmiR-302前駆配列は、考えられる限りでは、同じ細胞初期化機能を引き出すために、miR-302-mimic siRNAおよび/またはshRNA配列を用いることによって置き換えることができる。また、これらのRNA配列のウリジン(U)含有量を、シュードウリジンおよび/または他の修飾ヌクレオチドで置換して、pre-miR-302構造物およびRdRpmRNAの安定性を向上させることができる。
【0074】
ヘアピン様RNAの低生産効率の問題を克服するために、pre-miR-302およびRdRpmRNAは、RNAポリメラーゼ-ヘリカーゼ混合活性および改良されたバッファーシステムを有する新規なPCR-IVT方法を用いて製造されることが好ましい。また、細胞内デリバリーの効率を高めるために、設計されたpre-miR-302およびRdRpmRNA混合組成物は、グリシルグリセリン、リポソーム、ナノ粒子、リポソームナノ粒子(LNP)、コンジュゲート分子(conjugating molecules)、輸液化学物質(infusion chemicals)、遺伝子銃材料、トランスポゾン、電気穿孔剤およびこれらの組み合わせから選択される少なくとも一つのデリバリー剤(delivery agent)とさらに混合、複合化、カプセル化および/または製剤化することができる。
【実施例】
【0075】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0076】
[1.ヒト細胞の分離と培養]
出発組織細胞は、Aasenのプロトコル(Nat.Protocols 5,371-382,2010)を用いて酵素的に解離させた皮膚細胞、または単にヘパリン処理した末梢血細胞のバフィーコートフラクションから得ることができる。単離した組織サンプルは、新鮮に保ち、4mg/mLのコラゲナーゼIと0.25%のTrypLEを用いて細胞密度に応じて15~45分間混合し、トリプシン阻害剤を含むHBSSで2回すすいだ後、0.3mLのフィーダーフリーのSFM培地(IrvineScientific,CA)を含む新しい滅菌マイクロチューブに移してすぐに使用する必要がある。その後、マイクロチューブインキュベーターで37℃、1分間振盪して細胞をさらに解離させ、0.3mLの細胞懸濁液全体を、製剤化したpre-miR-302+RdRpmRNA混合物、LIF、bFGF/FGF2、または他の特定因子(defined factors)が添加された1mLのフィーダーフリーSFM培養液を含む35mmマトリゲルコート培養シャーレに移した。pre-miR-302+RdRpmRNA混合物、LIF、bFGF/FGF2、および他の特定因子の使用濃度は、細胞培養液中、それぞれ0.1~500マイクログラム(μg)/mLの範囲である。細胞培養液およびすべての添加物は2~3日ごとに新しい物にする必要があり、細胞をトリプシン/EDTAに1分間さらし、トリプシン阻害剤を含むHBSSで2回すすぐことにより約50~60%の細胞密度(confluence)で継代される。ASCの拡大のために、細胞を、製剤化したpre-miR-302+RdRpmRNA混合物、LIF、bFGF/FGF2、および/または他の特定因子を添加した新鮮なフィーダーフリーMSC Expansion SFM培養培地において1:5~1:500希釈で再播種した。ケラチノサイトを培養するために、細胞は、皮膚組織から単離され、適切な抗生物質の存在下、ヒトケラチノサイト成長サプリメント(HKGS、Invitrogen、Carlsbad、CA)を添加したEpiLife無血清細胞培養培地で、5%CO2、37℃の条件で培養する。培養細胞は、細胞をトリプシン/EDTA溶液に1分間さらし、フェノールレッドを含まないDMEM培地(Invitrogen)で一度すすぐことにより50-60%の細胞密度になった時点で剥離し、剥離した細胞を、HKGSサプリメントを含む新鮮なEpiLife培地で1:10希釈で再播種する。ヒト癌および正常細胞株A549、MCF7、PC3、HepG2、Colo-829およびBEAS-2Bは、American Type Culture Collection(ATCC,Rockville,MD)または我々の共同研究者から入手し、その後、メーカーや提供者の提案に従って維持した。初期化後、得られたiPS細胞(iPSC)は、LinのフィーダーフリーまたはTakahashiのフィーダーベースのiPSC培養プロトコル(Lin等、RNA 14:2115-2124,2008;Lin等、Nucleic Acids Res. 39:1054-1065,2011;Takahashi K and Yamanaka S,Cell 126:663-676,2006)のいずれかに従って培養及び維持された。
【0077】
[2.In-Vitro RNAトランスフェクション]
RNAトランスフェクションの場合、0.5~500μgの単離したpre-miR-302とRdRpmRNAの混合物(比率は約20:1~1:20)は、0.5mlの新鮮な細胞培養液に溶解され、In-VivoJetPEIまたは他の同様のトランスフェクション試薬を1~50μl加えて混合された。10~30分インキュベートの後、この混合物を、培養細胞の50~60%の細胞密度を含む細胞培養液に添加する。培地は、細胞の種類に応じて、12~48時間ごとに新しいものにする。このトランスフェクションの手順は、トランスフェクションの効率を上げるために繰り返し行うことができる。トランスフェクションの結果は、さらに種々の検出方法によって解析され、それぞれ
図3~
図8に示される。
【0078】
[3.DNA脱メチル化アッセイ]
約200万個の細胞からRoche DNA isolation kit(Sigma-Aldrich,MO,USA)を用いてゲノムDNAを単離した。単離したゲノムDNAの約2マイクログラム(μg)をCCGG切断制限酵素であるHpaIIで消化し、1%アガロースゲル電気泳動で評価して、ゲノム全体の脱メチル化を決定した(
図4)。
【0079】
[4.ゲノム全体マイクロアレイ(Genome-Wide Microarray)による全体的な細胞内遺伝子発現パターンの解析]
ヒトゲノムGeneChipアレイ(Affymetrix社、CA)を用いて、
図7に示すように、iPS細胞におけるゲノム全体での47,000のヒト遺伝子転写産物の発現パターンを検出した。各サンプルは3連で試験し、同じ実験を4回繰り返した。各試験サンプルからのトータルRNAは、RNeasyスピンカラム(Qiagen、MD)を用いて単離した。マイクロアレイハイブリダイゼーション用の標識プローブを調製するために、T7プロモーター含有オリゴ(dT)
24プライマー(T7 promoter-containing oligo(dT)
24primer)とSuperScript二本鎖cDNA合成キット(SuperScript double-strandedcDNA synthesis kit)(サーモフィッシャーサイエンティフィック、MA)をメーカーのプロトコルに従って用いて、抽出したトータルRNA(2μg)をcDNAに変換した。得られたcDNAはフェノール-クロロホルム抽出により精製し、エタノールで沈殿させ、ジエチルピロカーボネート(DEPC)で処理したddH
2Oに0.5μg/μlの濃度で再懸濁させた。次に、1μgのdsDNA、7.5mMの非標識ATPおよびGTP、5mMの非標識UTPおよびCTP、2mMのビオチン標識CTPおよびUTP(biotin-11-CTP,biotin-16-UTP,Enzo Diagnostics)、および20UのT7RNAポリメラーゼを含む、in-vitro転写を行った。反応は37℃で4時間行い、得られたcRNAをRNeasyスピンカラム(Qiagen)により精製した。cRNAサンプルの一部を1%アガロースゲルで分離してサイズレンジを確認した後、10μgのcRNAを、40mMのTris-acetate、pH8.0、100mM KOAc/30mM MgOAcの中で、94℃で35分間加熱し、ランダムに断片化して平均サイズ50塩基とした。ハイブリダイゼーションは、200μlのAFFYバッファー(Affymetrix,CA)中で、40℃で16時間、混合を繰り返しながら完了させた。ハイブリダイゼーション後、アレイを200μlの6xSSPE-Tバッファー(1x0.25M 塩化ナトリウム/15mM リン酸ナトリウム、pH7.6/1mM EDTA/0.005% Triton)で3回すすぎ、200μlの6xSSPE-Tを用いて50℃で1時間洗浄した。さらに、アレイを0.5xSSPE-Tで2回すすぎ、0.5xSSPE-Tを用いて50℃で15分間洗浄した。次に、6xSSPE-T(pH7.6)中の2μg/mlのストレプトアビジン-フィコエリスリン(Invitrogen)と1mg/mlのアセチル化BSA(Sigma-Aldrich)を用いて、染色アッセイを行った。アレイは共焦点スキャナー(confocal scanner)(Molecular Dynamics)を用いて7.5μmで読み取った。
【0080】
バックグラウンドの変動を確認するため、同じサンプルを用いてマイクロアレイテストを重複して行い、さらなる比較のため、片方のテストでわずかに存在した200の遺伝子を選択した。サンプルのシグナルは、完全にマッチしたプローブとミスマッチのプローブの差の合計平均値を用いて正規化した。その後、Affymetrix Microarray Suite version 5.0,Expression ConsoleTM (Affymetrix)およびGenesprings(Silicon Genetics)ソフトウェアを使用して、ゲノム全体の遺伝子発現パターンの変化を解析した。1倍以上の遺伝子発現率の変化を正の識別遺伝子(positive differential genes)とみなした。遺伝子クラスタリングアッセイ(gene clusteringassays)では、AffymetrixのソフトウェアにプラグインプログラムGenetrix(Epicenter Software)を併用した。サンプルのシグナルは、各マイクロアレイの内部ハウスキーピングコントロール(internal house-keeping control average)の平均値を用いて正規化した。正規化後、シグナル強度がレベル1からレベル65,535まで増加すると、対応する色は緑から黒、そして赤へと変化した。23,000以上のレベルは、ノーザンブロッティングアッセイでポジティブに検出できる点で、ポジティブコール(positive call)とみなした。
【0081】
[5.テラトーマ形成とiPS細胞の分化誘導]
iPS由来の胚様体を、6週齢の雌の免疫不全偽妊娠SCIDベージュマウスにおける子宮または腹腔に異種移植すると、3つの胚葉(外胚葉、中胚葉、胚体内胚葉)由来の組織を含むテラトーマ様嚢胞が形成された(
図8)。免疫不全ヌードマウスの使用は、移植療法を模倣したin vivo環境を提供するためであった。擬妊娠マウスは、1IUのヒト閉経期ゴナドトロフィン(HMG)を2日間腹腔内注射し、その後、1日間ヒト絨毛性ゴナドトロフィン(hCG)を注射することにより作製された。生殖細胞系列への幹細胞分化をIn vitroで誘導するために、iPS細胞は、チャコール処理済み10%のFBS(charcoal-stripped 10%FBS)、4mMのL-グルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、5ng/mlのアクチビン、及び50ng/mlのジヒドロテストステロン(DHT)を添加したDMEM/F12(1:1;高グルコース)培地を含むポリオルニチン/ラミニンコートシャーレ上で、12時間、37℃、5%二酸化炭素の条件で維持された。その後、細胞をトリプシン処理し、1xPBSで洗浄し、冷やしたマトリゲル(各100μl)の4アリコートと100μlの1xPBSの1アリコートに回収した。その直後、細胞を、6週齢の免疫不全SCIDベージュヌードマウスの後肢筋、腹膜、子宮、頚部皮下(マトリゲル使用)、及び尾静脈(PBS使用)に移植した。実験処理中、マウスはジエチルエーテルで麻酔された。
【0082】
[6.免疫染色アッセイ]
細胞/組織サンプルは100%メタノールで4℃、30分間固定した後、4%パラホルムアルデヒド(1xPBS,pH7.4中)で20℃、10分間固定する。その後、0.1%~0.25%のTriton X-100を含む1xPBSで10分間インキュベートし、1xPBSで3回、5分間洗浄する。免疫染色のために、一次抗体は、Invitrogen(CA,USA)とSigma-Aldrich(MO,USA)からそれぞれ購入した。二次抗体には色素標識ヤギ抗ウサギ(goat anti-rabbit)抗体またはウマ抗マウス(horse anti-mouse)抗体を使用した(Invitrogen,CA,USA)。結果は、Metamorphイメージングプログラム(Nikon)を搭載した蛍光80i顕微鏡定量システム(fluorescent 80i microscopic quantitation system)の下で、100倍または200倍の倍率で検査及び解析された。
【0083】
[7.新規PCR-IVTプロトコル]
所望のmRNAの逆転写(RT)は、約0.01ng~10マイクログラム(μg)の分離mRNAを20~50μlのRT反応液(SuperScript III cDNA RT kit,ThermoFisher Scientific,MA,USA)に加え、メーカーの提案に従って実施される。mRNAの量に応じて、RT反応液には、mRNA、約0.01~20nモルのRTプライマー、適量のdNTPs、および逆転写酵素が1xRTバッファーに含まれる。その後、目的のmRNAの構造や長さに応じて、46~65oCで1~3時間インキュベートし、次のステップのPCRのための相補的DNA(cDNA)テンプレートを少なくとも作製する。ウイルス性RdRpcDNAのクローニングを行うために、RT-リバースプイライマー5’-GACAACAGGT GCGCTCAGGT CCT-3’(配列番号17)を設計及び使用し、コロナウイルスCOVID-19のmRNAをRTしてcDNAにする。
【0084】
次に、RT由来のcDNA約0.01pg~10μgを20~50μLのPCR調製用混合液(High-Fidelity PCR kit,ThermoFisher Scientific,MA,USA)に加え、メーカーの提案に従い、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施する。その後、PCR混合物を、所望のDNA及びプライマーの構造と長さに応じてまずインキュベートし、94oCで1分間の変性を5~20サイクルを行い、30~55℃で30秒~1分間のアニーリングを行い、そして72℃で1~3分の伸長を行う。その後、得られたPCR産物の構造や長さに応じて、94℃で1分間の変性、50~55℃で30秒のアニーリング、72℃で1~3分間の伸長を順次行う一連の工程で、さらに10~20サイクルのPCRが行われる。最後に、得られたPCR産物をIVTのテンプレートとして使用する。IVTのテンプレートを調製するために、コロナウイルスmRNAからRNAプロモーターを含むRdRpcDNAテンプレートを増幅するための、配列番号17及び5’-GATATCTAAT ACGACTCACTATAGGGAGAG GTATGGTACTTGGTAGTT-3’(配列番号18)を含む特定のPCRプライマー対を設計して使用する。その後、IVT中またはIVT後に、得られたmRNA産物にさらに5’キャップヌクレオチドを組み込んでもよい。一方、単離されたヒト細胞ゲノムDNAから、RNAプロモーター含有miR-302ファミリアルクラスターcDNAテンプレート(RNA promoter-containing miR-302familial cluster cDNAtemplates)を増幅するための、5’-GATATCTAAT ACGACTCACT ATAGGGAGAT CTGTGGGAAC TAGTTCAGGA AGGTAA-3’(配列番号19)及び5’-GTTCTCCTAA GCCTGTAGCC AAGAACTGCA CA-3’(配列番号20)を含む別のPCRプライマー対も設計して使用する。設計したプライマーには、T7、T3及び/又はSP6プロモーター等の各種RNAプロモーター配列を用いることができ、5’-フォワード及び3’-リバースプライマー配列には、それぞれ少なくともRdRp開始/結合部位が組み込まれた。また、得られたmiR-302ファミリアルクラスターテンプレート(miR-302 familial cluster template)には、pre-miR-302a(配列番号13)、pre-miR-302b(配列番号14)、pre-miR-302c(配列番号15)、及び/又はpre-miR-302d(配列番号16)の少なくとも1つのcDNA配列が含まれている。複数の同一または異なるpre-miR-302配列は、最大9つのヘアピン構造配列まで、miR-302ファミリアルクラスターに繰り返し配置することができる。
【0085】
得られたPCR産物にプロモーター-プライマーが組み込まれていることから、mRNAを生産するために、PCR産物をテンプレートとして使用し、所望のmRNA配列を増幅する改良型IVT反応を行うことができる。IVT反応混合物は、0.01ng~10μgのPCR産物、0.1~10Uの単離コロナウイルスヘリカーゼ(すなわちCOVID-19由来)、適量のNTP及びRNAポリメラーゼ(すなわちT7、T3またはSP6)を1x転写バッファー(1x transcription buffer)中に含んでいる。1x転写バッファーの内容は、使用するRNAポリメラーゼに応じ、メーカーの提案にしたがって調整することができる。さらに、1x転写バッファーは、ヘアピンやステムループ構造などの高度な構造のRNA/DNA配列の変性を促進する、0.001~10mMのベタイン(トリメチルグリシン、TMG)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、および/または3-(N-モルフォリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、および/またはこれらの組み合わせをさらに含有してもよい。その後、使用するRNAポリメラーゼの安定性や活性に応じて、IVT反応を37℃で1~6時間でインキュベートする。この改良された新規IVT反応では、ヘアピン様RNAのin vitroでの低産生効率の問題を克服するよう、ヘアピン様ステムループ構造などのRNA/DNA二次構造の巻き戻しを促進するために、少なくともヘリカーゼ酵素が追加される。特に、ヘリカーゼ酵素は、DNAとRNAの両方の鎖の二次構造を巻き戻すことができる。
【0086】
[8.RNA精製とノーザンブロット解析]
目的のmRNA(10μg)は、mirVanaTM RNA isolation kit(Ambion,Austin,TX)を用いて、製造元のプロトコールに従って、単離され、さらに15%TBE-尿素ポリアクリルアミドゲル又は3.5%低融点アガロースゲル電気泳動で精製された。ノーザンブロット解析では、ゲル分画されたmRNAが、ナイロンメンブレンにエレクトロブロッティングされた。mRNAとそのIVTテンプレート(PCR産物)の検出は、mRNAの所望の標的配列に相補的な標識[LNA]-DNAプローブを用いて行われる。このプローブはさらに高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で精製され、色素標識ヌクレオチドアナログ(dye-labeled nucleotide analog)または[32P]-dATP(>3000 Ci/mM、Amersham International、Arlington Heights、IL)のいずれかの存在下で、20分間ターミナルトランスフェラーゼ(20ユニット)でテール標識(tail-labeled)された。
【0087】
[9.タンパク質の抽出とウェスタンブロット分析]
細胞(106個)を、プロテアーゼ阻害剤、ロイペプチン、TLCK、TAME、及びPMSFを添加したCelLytic-M lysis/extraction reagent(Sigma)で、メーカーの提案に従って溶解させる。溶解産物は、12,000rpm、4℃で20分間遠心分離され、上清が回収される。タンパク質濃度は、E-maxマイクロプレートリーダー(Molecular Devices,CA)で改良型SOFTmaxプロテインアッセイパッケージを使用して測定される。各30μgの細胞溶解産物は、還元(+50mM DTT)および非還元(DTTなし)条件下で、SDS-PAGEサンプルバッファに加えられ、6~8%ポリアシルアミドゲルにロードする前に3分間ボイルされる。タンパク質は、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)で分離され、ニトロセルロースメンブレンにエレクトロブロッティングされ、Odyssey blocking試薬(Li-Cor Biosciences,Lincoln,NB)で室温で2時間インキュベートした。その後、一次抗体を試薬に適用し、その混合物を4℃でインキュベートした。一晩インキュベートした後、メンブレンをTBS-Tで3回すすぎ、Alexa Fluor 680反応色素(1:2,000;Invitrogen-MolecularProbes)と結合したヤギ抗マウスIgG二次抗体を室温で1時間曝露する。さらに3回のTBS-Tによるすすぎの後、Li-Cor Odyssey Infrared ImagerとOdyssey Software v.10(Li-Cor)を用いてイムノブロットの蛍光スキャンと画像解析が行われる。
【0088】
[10.In Vivoトランスフェクションアッセイ]
分離したpre-miR-302とRdRpmRNAの混合物は、メーカーのプロトコルに従って、In-VivoJetPEI transfection試薬等の適切な量のデリバリー剤(delivery agent)とよく混合され、用途に応じて動物の血液静脈または筋肉に注入される。デリバリー剤は、分離したpre-miR-302とRdRpmRNA混合物を混合、複合化、カプセル化または製剤化するために用いられ、RNA内容物を分解から保護するだけでなく、in vitro、ex vivoおよび/またはin vivoで特定の標的細胞への分離pre-miR-302とRdRpmRNA混合物のデリバリーを促進する。
【0089】
[11.統計解析]
すべてのデータは平均値および標準偏差(SD)で示した。各試験群の平均はMicrosoft ExcelのAVERAGEで算出した。SDはSTDEVにより行った。データの統計解析は、One-Way ANOVAにより行った。各群のデータ差の有意性を確認するために、TukeyおよびDunnettのt post hoc testを用いた。p<0.05を有意とした(SPSS v12.0,Claritas Inc)。
【0090】
[参照文献]
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10.Yamanaka等に対するU.S.Patent No.8,058,065。
11.Shi-Lung Lin等に対するU.S.Patent Application No.15/661,346。
12.Shi-Lung Lin等に対するU.S.Patent Application No.16/135,723。
13.Shi-Lung Lin等に対するU.S.Patent Application No.17/489,357。
14.Shi-Lung Lin等;Mir-302 reprograms human skin cancer cells into a pluripotent ES-cell-like state.RNA 14:2115-2124,2008。
15.Shi-Lung Lin等;MicroRNA miR-302 inhibits the tumorigenecity of human pluripotent stem cells by coordinate suppression of CDK2 and CDK4/6 cell cycle pathways.Cancer Res. 70:9473-9482,2010。
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20.Miyoshi等;Reprogramming of mouse and human cells to pluripotency using mature microRNAs. Cell Stem Cell 8:633-638,2011。
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【0091】
[配列表]
(1)全般情報:
(iii)配列の数:20
(2)配列番号1の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:6塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線
(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”
(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO
(iv)アンチセンス:NO
(xi)配列記述:配列番号1:
AUSUGW 6
(2)配列番号2の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:7塩基
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線
(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”
(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO
(iv)アンチセンス:NO
(xi)配列記述:配列番号2:
UCWCYWA 7
(2)配列番号3の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:6塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線
(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”
(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO
(iv)アンチセンス:NO
(xi)配列記述:配列番号3:
AUCUGU 6
(2)配列番号4の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:7塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線
(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”
(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO
(iv)アンチセンス:NO
(xi)配列記述:配列番号4:
UCUCUAA 7
(2)配列番号5の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:7塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線
(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”
(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO
(iv)アンチセンス:NO
(xi)配列記述:配列番号5:
UCUCCUA 7
(2)配列番号6の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:5塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線
(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”
(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO
(iv)アンチセンス:NO
(xi)配列記述:配列番号6:
UUCAA 5
(2)配列番号7の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:6塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線
(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”
(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO
(iv)アンチセンス:NO
(xi)配列記述:配列番号7:
WCASAU 6
(2)配列番号8の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:6塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線
(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”
(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO
(iv)アンチセンス:NO
(xi)配列記述:配列番号8:
UWRGWR 6
(2)配列番号9の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:6塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線
(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”
(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO
(iv)アンチセンス:NO
(xi)配列記述:配列番号9:
ACAGAU 6
(2)配列番号10の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:7塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線
(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”
(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO
(iv)アンチセンス:NO
(xi)配列記述:配列番号10:
UUAGAGA 7
(2)配列番号11の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:7塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線
(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”
(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO
(iv)アンチセンス:NO
(xi)配列記述:配列番号11:
UAGGAGA 7
(2)配列番号12の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:5塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線
(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”
(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO
(iv)アンチセンス:NO
(xi)配列記述:配列番号12:
UUGAA 5
(2)配列番号13の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:68塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:ヘアピン
(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”
(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO
(iv)アンチセンス:NO
(xi)配列記述:配列番号13:
CCUUUGCUUU AACAUGGGGG UACCUGCUGU GUGAAACAAA AGUAAGUGCU UCCAUGUUUC AGUGGAGG 68
(2)配列番号14の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:73塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:ヘアピン
(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”
(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO
(iv)アンチセンス:NO
(xi)配列記述:配列番号14:
GCUCCCUUCA ACUUUAACAU GGAAGUGCUU UCUGUGACUU UAAAAGUAAG UGCUUCCAUG UUUUAGUAGG AGU 73
(2)配列番号15の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:69塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:ヘアピン
(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”
(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO
(iv)アンチセンス:NO
(xi)配列記述:配列番号15:
CCACCACUUA AACGUGGAUG UACUUGCUUU GAAACUAAAG AAGUAAGUGC UUCCAUGUUU UGGUGAUGG 69
(2)配列番号16の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:68塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:ヘアピン
(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”
(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO
(iv)アンチセンス:NO
(xi)配列記述:配列番号16:
CCUCUACUUU AACAUGGAGG CACUUGCUGU GACAUGACAA AAAUAAGUGC UUCCAUGUUU GAGUGUGG 68
(2)配列番号17の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:23塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線
(ii)分子タイプ:DNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”
(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO
(iv)アンチセンス:YES
(xi)配列記述:配列番号17:
GACAACAGGT GCGCTCAGGT CCT 23
(2)配列番号18の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:48塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線
(ii)分子タイプ:DNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”
(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO
(iv)アンチセンス:NO
(xi)配列記述:配列番号18:
GATATCTAAT ACGACTCACT ATAGGGAGAG GTATGGTACT TGGTAGTT 48
(2)配列番号19の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:56塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線
(ii)分子タイプ:DNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”
(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO
(iv)アンチセンス:NO
(xi)配列記述:配列番号19:
GATATCTAAT ACGACTCACT ATAGGGAGAT CTGTGGGAAC TAGTTCAGGA AGGTAA 56
(2)配列番号20の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:32塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線
(ii)分子タイプ:DNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”
(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO
(iv)アンチセンス:YES
(xi)配列記述:配列番号20:
GTTCTCCTAA GCCTGTAGCC AAGAACTGCA CA 32
【配列表】