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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】詐欺電話警報装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/24 20060101AFI20231011BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20231011BHJP
   H04M 1/21 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
G08B21/24
H04M1/00 U
H04M1/21 L
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022068805
(22)【出願日】2022-04-19
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2022191158
(43)【公開日】2022-12-27
【審査請求日】2022-04-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年3月15日に板橋区役所で卸した。
(73)【特許権者】
【識別番号】503184511
【氏名又は名称】有限会社 有富商会
(73)【特許権者】
【識別番号】519197608
【氏名又は名称】日昇商会株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100158023
【弁理士】
【氏名又は名称】牛田 竜太
(72)【発明者】
【氏名】有富 祥司
(72)【発明者】
【氏名】傅 林志
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3219600(JP,U)
【文献】特開平07-007536(JP,A)
【文献】特開2006-229549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B19/00-21/24
H01H35/02-35/42
H04M1/00-1/82
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話機の受話器に固定される固定面を有する本体部と、
電話を掛けてきた発呼者に対して聞こえる程度の音量の音声を出力する音声出力部と、
前記本体部の動きを検出する動作検出部と、
前記音声出力部の音声出力を停止する停止部と、
前記本体部に収納され、前記音声出力部と、前記動作検出部と、前記停止部と、を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記動作検出部が前記本体部の所定の動きを検出したとき、前記音声出力部から前記発呼者に対して詐欺的電話であることを警告する応答音声を出力し、
前記動作検出部は、1軸の傾きを検知するセンサであって傾斜して配置される第1傾斜センサと、1軸の傾きを検知し前記第1傾斜センサと異なる方向に傾斜して配置される第2傾斜センサと、を有し、
前記第1傾斜センサ及び前記第2傾斜センサは、前記第1傾斜センサと前記第2傾斜センサの中心を通る対称軸に対して略線対称となるように配置され、
前記停止部は前記制御部に対して前記固定面と反対側の面に設けられており、前記動作検出部の検出に基づき前記音声出力部が音声出力しているときに操作されることにより音声出力を停止することを特徴とする詐欺電話警報装置。
【請求項2】
前記第1傾斜センサは、内部の第1導体が第1移動方向に移動することによって1軸の傾きを検知し、
前記第2傾斜センサは、内部の第2導体が第2移動方向に移動することによって1軸の傾きを検知し、
前記第1傾斜センサの前記第1移動方向に延びる第1中心線は、前記固定面又は前記固定面を延長した仮想固定面のいずれか一方と交差し、
前記第2傾斜センサの前記第2移動方向に延びる第2中心線は、前記固定面又は前記固定面を延長した仮想固定面のいずれか一方と交差することを特徴とする請求項1に記載の詐欺電話警報装置。
【請求項3】
前記第1傾斜センサは、前記第1導体と接触する複数の電極を有し、
前記第1傾斜センサは、前記第1導体が前記電極のいずれか2つと同時に接触したときに傾斜信号を出力し、
前記第2傾斜センサは、前記第2導体と接触する複数の電極を有し、
前記第2傾斜センサは、前記第2導体が前記電極のいずれか2つと同時に接触したときに傾斜信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の詐欺電話警報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詐欺電話警報装置に関し、特に電話機の受話器に固定する詐欺電話警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、振り込め詐欺と呼ばれる電話によって金銭を所望の口座に振り込ませる詐欺が社会問題となっている。特に、一人暮らしのお年寄りの場合には周囲に相談する人もおらず、被害を受けやすい。また、近年の核家族化により親族での同居が減少していることに伴い、振り込め詐欺は増加の一途をたどっている。
【0003】
このような振り込め詐欺の対策として、振り込め詐欺防止アラーム付き電話機が知られている(例えば、特許文献1)。振り込め詐欺防止アラーム付き電話機では、電話機本体に警報装置が内蔵されていて、受話器を上げると音声で振り込め詐欺である可能性の電話であることを注意喚起し、光及びディスプレイに表示されるメッセージで受話器を取った者に対して警告を促している。
【0004】
他の電話応答メッセージ送信装置では、電話の通話前に発呼者に対して応答メッセージを伝えている(例えば、特許文献2)。電話機の着信を検出すると、予め録音されている応答メッセージが再生された後に通常の電話回線に切り替わるため、電話の発呼者に対して警告を促すことができる。
【0005】
また、他の詐欺電話警報装置では、受話器に本体を取り付け、受話器を取り上げると詐欺電話であることを警告する応答音声が出力されるとともに録音が開始される(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実用新案登録第3178171号
【文献】特開2011-61359号公報
【文献】実用新案登録3219600号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の振り込め詐欺防止アラーム付き電話機では電話機本体にアラームが内蔵されているため、既に電話機を所有している場合には電話機の買い替えが必要となり普及の障害となっていた。また、電話を受ける側に対して音声等で警告を促しているため、受電者が自らの意思で電話を切る必要があり、詐欺的電話の抑止効果が低かった。
【0008】
特許文献2に記載の電話応答メッセージ送信装置では、電話回線と電話機との間に当該装置を挿入することにより発呼者に対してメッセージを送信していたが、モラージュジャックの接続等が必要となるため、振り込め詐欺の被害に遭いやすい一人暮らしの老人が一人で装置を電話機に接続することは難しく、簡易に接続できる装置が求められていた。さらに、詐欺電話警報装置の使用者は年配の方が多く、使用方法が煩雑であると有効に利用されないという問題があった。このような電話応答メッセージ送信装置を使用するためには理解すべき内容が多いため、これらのことが普及の妨げとなっており、簡易的に操作可能な装置が求められていた。
【0009】
特許文献3に記載の詐欺電話警報装置では、動作検知部が本体部の動きを検知して応答音声を出力するが、受話器を上げただけでは応答音声が出力しない場合があり、受話器を耳に当てたときに応答音声を発声するような精度の高いセンサ構造が求められていた。
【0010】
そこで、本発明では、電話がかかってきた際の動作精度を高めた詐欺電話警報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明は、電話機の受話器に固定される固定面を有する本体部と、電話を掛けてきた発呼者に対して聞こえる程度の音量の音声を出力する音声出力部と、前記本体部の動きを検出する動作検出部と、前記音声出力部の音声出力を停止する停止部と、前記録音部と、前記音声出力部と、前記動作検出部と、前記停止部とを制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記動作検出部が前記本体部の動きを検出したとき、前記音声出力部から前記発呼者に対して詐欺的電話であることを警告する応答音声を出力し、前記動作検出部は、1軸の傾きを検知するセンサであって傾斜して配置される第1傾斜センサと、1軸の傾きを検知し前記第1傾斜センサと異なる方向に傾斜して配置される第2傾斜センサと、を有し、前記第1傾斜センサ及び前記第2傾斜センサは、前記第1傾斜センサと前記第2傾斜センサの中心を通る対称軸に対して略線対称となるように配置され、前記停止部は前記制御部に対して前記固定面と反対側の面に設けられており、前記動作検出部の検出に基づき前記音声出力部が音声出力しているときに操作されることにより音声出力を停止することを特徴とする詐欺電話警報装置を提供している。
【0012】
ここでいう略線対称とは、完全に線対称である必要はなく、対称軸に対して略対称となるような方向に傾斜していることをいう。
【0013】
第2の発明では、前記第1傾斜センサは、内部の第1導体が第1移動方向に移動することによって1軸の傾きを検知し、前記第2センサは、内部の第2導体が第2移動方向に移動することによって1軸の傾きを検知し、前記第1傾斜センサの前記第1移動方向に延びる第1中心線は、前記固定面又は前記固定面を延長した仮想固定面のいずれか一方と交差し、前記第2傾斜センサの前記第2移動方向に延びる第2中心線は、前記固定面又は前記固定面を延長した仮想固定面のいずれか一方と交差することを特徴としている。
【0014】
第3の発明では、前記第1傾斜センサは、前記第1導体と接触する複数の電極を有し、前記第1傾斜センサは、前記第1導体が前記電極のいずれか2つと同時に接触したときに傾斜信号を出力し、前記第2傾斜センサは、前記第2導体と接触する複数の電極を有し、前記第2傾斜センサは、前記第2導体が前記電極のいずれか2つと同時に接触したときに傾斜信号を出力することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によると、動作検出部の第1傾斜センサと第2傾斜センサは斜めに傾斜して略線対称に配置されているため、本体部が取り付けられた受話器を耳に当てる動作である受話器を捻る動作を高い精度で検知することができる。第1傾斜センサ及び第2傾斜センサの検知精度が向上することにより、誤作動を防止し消費電力を抑制することができる。また、第1傾斜センサ及び第2傾斜センサは1軸傾斜センサを使用しているため、3軸の傾斜センサを採用する場合と比較して、低コストで詐欺電話警報装置を製造することができる。
【0016】
また、本体部及び録音部を受話器に取り付けることにより詐欺電話警報装置を電話機に取り付けることができるため、一人暮らしのお年寄りや電気機器の取扱が苦手な人であっても簡単に電話機に取り付けることができる。また、受話器に直接固定するため、アナログ回線、デジタル回線、ダイヤル回線、プッシュ回線等、どのような形式の電話機にも取り付けることができる。
【0017】
さらに、音声出力部から発呼者に対して詐欺的電話であることを警告する応答音声を出力するため、詐欺的電話を掛けてきた発呼者に対して警告を促すことで発呼者が自ら電話を切るように促す効果があり、詐欺行為を未然に防止することができる。さらに、動作検出部が本体部の動きを検出したとき音声出力部から応答音声を出力するため、特別な作業を必要とせずに簡易に詐欺電話警報装置を使用することができる。これにより、機械に不慣れなお年寄りであっても操作することができる。
【0018】
第2の発明によると、第1傾斜センサ及び第2傾斜センサは固定面に対して傾斜しているため、ユーザの受話器を捻る動作を高精度で検知することができる。また、捻る動作を検知しないときはスタンバイ状態となるため、待機電力の削減を図り使用電力を低減することができる。
【0019】
第3の発明によると、第1傾斜センサ及び第2傾斜センサでは各導体が電極と接触することにより傾斜信号を出力するため、ユーザの受話器を捻る動作を高精度で検知することができる。
【0020】
本発明によると、電話がかかってきた際の動作精度を高めた詐欺電話警報装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施の形態の詐欺電話警報装置の斜視図。
図2】本発明の第1の実施の形態の詐欺電話警報装置を電話機に取り付けたときの平面図。
図3】本発明の第1の実施の形態の詐欺電話警報装置を電話機の受話器に取り付けたときの受話器の側面図。
図4】本発明の第1の実施の形態の詐欺電話警報装置のブロック図。
図5】本発明の第1の実施の形態の詐欺電話警報装置の制御回路の分解斜視図。
図6】本発明の第1の実施の形態の詐欺電話警報装置の制御回路の底面図。
図7】本発明の第1の実施の形態の詐欺電話警報装置の傾斜センサの部分断面図。
図8】本発明の第1の実施の形態の詐欺電話警報装置のフローチャート。
図9】本発明の第2の実施の形態の詐欺電話警報装置のブロック図。
図10】本発明の第3の実施の形態の詐欺電話警報装置の制御回路の底面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態による詐欺電話警報装置1を図1から図8に基づいて説明する。詐欺電話警報装置1は、本体部2と、録音部3と、接続コード4と、を有している。
【0023】
本体部2は、制御回路5と、電源部6と、音声出力部7と、を内蔵しており、図1に示すように、接続コード4を介して録音部3が接続されている。本体部2は、図5に示すように本体カバー21と、固定面22と、から構成される。本体カバー21の上面には停止ボタン21Aが、側面にはプッシュボタン21Bがそれぞれ設けられていて、上部には音声出力孔2aが左右方向に並んで複数形成されている。停止ボタン21Aを押下することにより、音声出力孔2aから出力される音声が停止する。プッシュボタン21Bを押下することにより、録音部3が録音した録音データ56の再生等を行うことができる。具体的には、プッシュボタン21Bを押下することにより録音データ56が再生され、もう一度押下することにより再生が停止される。再度プッシュボタン21Bを押下すると、録音データ56が最初から再生される。本体部2は、図2に示すように電話機10の受話器11に固定されて使用される。本体カバー21と固定面22とは、図示せぬ複数のネジによって互いに固定されている。固定面22には、繰り返し貼り付け可能な図示せぬ粘着テープが設けられている。
【0024】
録音部3は、受話器11の受話部12からの音声、つまり電話を掛けてきた発呼者の音声を録音するため、図3に示すように、受話部12の近傍に配置される。録音部3の底面には繰り返し貼付可能な粘着テープが設けられ、当該粘着テープによって受話器11に固定される。本実施の形態では、録音部3は受話部12の前部に固定される。接続コード4は、伸縮可能なカールコードであって一端が本体部2に接続され他端が録音部3に接続されることにより、本体部2と録音部3とを電気的に接続している。
【0025】
制御回路5は、図4及び図5に示すように、動作検出部51と、記憶部53と、を有している。動作検出部51は、1軸の傾斜センサである第1傾斜センサ54と、1軸の傾斜センサである第2傾斜センサ55とから構成される。第1傾斜センサ54及び第2傾斜センサ55は略同一の構成であるため、第1傾斜センサ54の構成についてのみ詳細に説明する。制御回路5は、本発明の制御部に相当する。
【0026】
第1傾斜センサ54は、図7に示すように、第1移動方向D1に移動可能な球状の移動導体54Aと、第1電極54Bと、第2電極54Cと、第3電極54Dと、から構成される。移動導体54Aは金属製の球体であって、第1移動方向D1に沿って第1傾斜センサ54内を移動する。このとき、移動導体54Aは常時第1電極54Bと接触している。移動導体54Aが第1傾斜センサ54の一端部に移動すると、第1電極54Bと第2電極54Cとが移動導体54Aを介して電気的に接続される。同様に、図7に示すように移動導体54Aが第1傾斜センサ54の他端部に移動すると、第1電極54Bと第3電極54Dとが移動導体54Aを介して電気的に接続される。図6に点線で示すように、第2傾斜センサ55においても同様に、移動導体55Aが第2移動方向D2に移動することにより、第1電極55Bが第2電極55C又は第3電極55Dと通電する。移動導体54Aは本発明の第1導体に相当し、移動導体55Aは本発明の第2導体に相当する。
【0027】
第1傾斜センサ54は、図6に示すように、底面から見て左前から右後に向かって斜めに傾斜するように配置されており、第2傾斜センサ55は右前から左後に向かって斜めに傾斜するように配置される。換言すると、第1傾斜センサ54と第2傾斜センサ55とは、両者の中心に位置する対称軸Lに対して略線対称となるように配置される。さらに、第1傾斜センサ54の第1移動方向D1に沿って延びる第1中心線C1と、第2傾斜センサ55の第2移動方向D2に沿って延びる第2中心線C2と、が固定面22を延長した仮想固定面22aと交差している。つまり、底面から見て、第1傾斜センサ54及び第2傾斜センサ55は、固定面22に対して傾斜するように設けられている。
【0028】
記憶部53には、録音部3が録音した録音データ56と、音声出力部7が出力する応答データ57と、を記憶している。録音データ56は、新たな音声が録音されると過去に録音した録音データ56に上書きされるように構成されている。本実施の形態では、録音可能時間は5分に設定されているが、これに限定されない。応答データ57は、電話機10に電話が掛かってきたときに再生される音声データである。応答データ57は、本発明の応答音声に対応する。
【0029】
電源部6は、詐欺電話警報装置1の各部材に電力を供給している。本実施の形態では電源として複数のボタン電池を用いているが、これに限定されず充電可能なリチウムイオン電池等であってもよい。
【0030】
音声出力部7は、音声を出力するスピーカーであって、図5に点線で示すように本体部2に形成された複数の音声出力孔2aの近傍に配置され、制御回路5と電気的に接続されている。
【0031】
次に、詐欺電話警報装置1の動作について、図8を参照して説明する。
【0032】
詐欺電話警報装置1の電源部6は、ボタン電池と電極との間に遮蔽部材が挿入されているため、使用するときは遮蔽部材を取り除く。これにより、電源部6から制御回路5等に電源が供給され、詐欺電話警報装置1はスタンバイ状態となる。ユーザは、図2及び図3に示すように、スタンバイ状態の詐欺電話警報装置1を受話器11に取り付ける。具体的には、本体部2を受話器11の前面の上部に固定するとともに、録音部3を受話器11の前面に固定する。受話器11が電話機10に載置されている状態では、動作検出部51は何らの動作も検出していない(S1:NO)。このとき第1傾斜センサ54及び第2傾斜センサ55は、図6に点線で示すように、移動導体54Aが右後に位置して第1電極54Bが第3電極54Dと通電し、移動導体55Aが左後に位置し移動導体55Aが第3電極55Dと通電してる。電話機10に電話が掛かってくるとユーザが受話器11を持ち上げるため、本体部2に内蔵された動作検出部51がこの動作を検知する(S1:YES)。
【0033】
ユーザが受話器11を持ち上げて耳に当てたときの第1傾斜センサ54と第2傾斜センサ55の動作について、以下詳細に説明する。ユーザが受話器11を上方向に真っ直ぐに持ち上げただけでは、第1傾斜センサ54及び第2傾斜センサ55は図6に示す状態を維持するため、詐欺電話警報装置1の動作を検知していない状態となる。ユーザが受話器11を捻って耳に当てる動作を行ったとき、移動導体54A及び移動導体55Aの少なくとも一方が第2電極54C又は第2電極55Cと接触する。このとき、第1傾斜センサ54または第2傾斜センサ55が傾斜信号を制御回路5に出力し、動作検出部51が詐欺電話警報装置1の動作を検知する。つまり、動作検出部51は、移動導体54Aが第2電極54Cと接触するか、又は移動導体55Aが第2電極55Cと接触したとき、詐欺電話警報装置1が動作したと判断する。ユーザが通話を行う場合は必ず受話器11を捻って耳に当てるという動作を行うため、捻るという動作を検知することで詐欺電話警報装置1の動作検知の精度を高めることができる。
【0034】
動作検出部51が動作を検出したとき、制御回路5は音声出力部7から応答データ57を音声出力する(S2)。応答データ57は発呼者に対して詐欺的電話であることを警告する音声であるため、本実施の形態では「振込詐欺防止のため、通話内容を録音します」とするが、これに限定されず発呼者に対する警告メッセージであればよい。制御回路5は、応答データ57再生中に停止ボタン21Aが押下されたか否かを判断する(S3)。応答データ57出力中に停止ボタン21Aが押下されたとき(S3:YES)、制御回路5は音声出力部7からの音声出力を停止しS1に戻る(S4)。応答データ57出力中に停止ボタン21Aが押下さなかった場合(S3:NO)、制御回路5が所定時間録音部3からの音声を録音データ56として記憶部53に記憶する(S5)。本実施の形態では、録音時間を5分と設定しているが、これに限定されない。
【0035】
制御回路5は、録音開始から所定時間の5分が経過したか否かを判断する(S6)。録音開始から所定時間の5分が経過していない場合には(S6:NO)、所定時間が経過するまで待機する。録音開始から所定時間の5分が経過した場合には(S6:YES)、制御回路5は録音を終了し(S7)、S1に戻って再び動作検知を待つ。つまり、詐欺電話警報装置1は一旦ボタン電池と電極との間に挿入されている遮蔽部材を引き抜いて電源をオンにすると、電池が尽きるまで常にスタンバイ状態となる。これによって電源の入切作業が不要となり、誤って電源を切った状態であったため詐欺電話警報装置1が動作しないという事態を回避することができる。
【0036】
このような構成によると、動作検出部51の第1傾斜センサ54と第2傾斜センサ55は斜めに傾斜して略線対称に配置されているため、本体部2が取り付けられた受話器11を耳に当てる動作である受話器11を捻る動作を高い精度で検知することができる。第1傾斜センサ54及び第2傾斜センサ55の検知精度が向上することにより、誤作動を防止し消費電力を抑制することができる。また、第1傾斜センサ54及び第2傾斜センサ55は1軸傾斜センサを使用しているため、3軸の傾斜センサを採用する場合と比較して、低コストで詐欺電話警報装置1を製造することができる。
【0037】
また、本体部2及び録音部3を受話器11に取り付けることにより詐欺電話警報装置1を電話機10に取り付けることができるため、一人暮らしのお年寄りや電気機器の取扱が苦手な人であっても簡単に電話機10に取り付けることができる。また、受話器11に直接固定するため、アナログ回線、デジタル回線、ダイヤル回線、プッシュ回線等、どのような形式の電話機10にも取り付けることができる。
【0038】
さらに、音声出力部7から発呼者に対して詐欺的電話であることを警告する応答データ57を出力するため、詐欺的電話を掛けてきた発呼者に対して警告を促すことで発呼者が自ら電話を切るように促す効果があり、詐欺行為を未然に防止することができる。さらに、制御回路5は動作検出部51が本体部2の動きを検出したとき音声出力部7から応答データ57を出力するため、特別な作業を必要とせずに簡易に詐欺電話警報装置1を使用することができる。これにより、機械に不慣れなお年寄りであっても操作することができる。
【0039】
このような構成によると、第1傾斜センサ54及び第2傾斜センサ55は固定面22に対して傾斜しているため、ユーザの受話器11を捻る動作を高精度で検知することができる。また、捻る動作を検知しないときはスタンバイ状態となるため、待機電力の削減を図り使用電力を低減することができる。
【0040】
このような構成によると、第1傾斜センサ54及び第2傾斜センサ55では各導体が電極と接触することにより傾斜信号を出力するため、ユーザの受話器11を捻る動作を高精度で検知することができる。
【0041】
次に、本発明の第2の実施の形態について、図9を参照して説明する。第1の実施の形態と同一の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。第2の実施の形態による詐欺電話警報装置101は、第1の実施の形態の詐欺電話警報装置1に搭載されていた録音部3と、録音音声を再生するためのプッシュボタン21Bと、を備えていない。
【0042】
動作検出部51の第1傾斜センサ54及び第2傾斜センサ55が詐欺電話警報装置1の動作を検知すると、記憶部53が応答データを出力するが、相手方の音声は録音されない。つまり、図8のS5からS7のステップが省略される。このときの応答データ57は、「振り込め詐欺の電話に注意しましょう、ピー」というように最後に電子音を挿入することで発呼者に対して警告を促す。
【0043】
このような構成によると、録音音声の再生などの煩雑な操作を必要としないため、詐欺電話警報装置101を電話機に取り付ける際に録音部を取り付ける必要がない。これにより、詐欺電話警報装置101の取付作業及び操作を簡素化することができる。また、録音部及びプッシュボタンが不要となるため、製造コストを削減することができる。
【0044】
次に、本発明の第3の実施の形態について、図10を参照して説明する。第1の実施の形態と同一の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。第3の実施の形態による詐欺電話警報装置201は、第1傾斜センサ154及び第2傾斜センサ155の傾斜角度が第1の実施の形態の第1傾斜センサ54及び第2傾斜センサ55と異なっている。
【0045】
動作検出部151の第1傾斜センサ154は、移動導体154Aと、第1電極154Bと、第2電極154Cと、第3電極154Dと、を備えている。第2傾斜センサ155は、移動導体155Aと、第1電極155Bと、第2電極155Cと、第3電極155Dと、を備えている。
【0046】
第1傾斜センサ154は、底面から見て右前から左後に向かう方向に傾斜し、移動導体155Aが第1電極154B及び第2電極154Cと接触している。第2傾斜センサ155は、底面から見て左前から右後に向かう方向に傾斜し、移動導体155Aが第1電極155B及び第2電極155Cと接触している。第1の実施の形態と同様に、第1傾斜センサ154と第2傾斜センサ155とは、両者の中心に位置する対称軸Lに対して略線対称となるように配置される。さらに、第1傾斜センサ154の第1移動方向D1に沿って延びる第1中心線C1と、第2傾斜センサ155の第2移動方向D2に沿って延びる第2中心線C2と、が固定面22と交差している。つまり、底面から見て、第1傾斜センサ154及び第2傾斜センサ155は、固定面22に対して傾斜している。
【0047】
ユーザが受話器11を持ち上げて耳に当てたときの第1傾斜センサ154と第2傾斜センサ155の動作について、説明する。ユーザが受話器11を上方向に真っ直ぐに持ち上げただけでは、第1傾斜センサ154及び第2傾斜センサ155は図10に示す状態を維持するため、詐欺電話警報装置201の動作を検知していない状態となる。ユーザが受話器11を捻って耳に当てる動作を行ったとき、移動導体154A及び移動導体155Aの少なくとも一方が第3電極154D又は第3電極155Dと接触する。このとき、第1傾斜センサ154または第2傾斜センサ155が傾斜信号を制御回路5に出力し、動作検出部151が詐欺電話警報装置201の動作を検知する。これにより、動作検出部151は詐欺電話警報装置201が動作したと検知する。つまり、動作検出部151は、移動導体154Aが第3電極154Dと接触するか、又は移動導体155Aが第3電極155Dと接触したとき、詐欺電話警報装置201が動作したと判断する。
【0048】
本発明の詐欺電話警報装置は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【0049】
上記の実施の形態では、接続コード4はカールコードであったが、これに限定されない。通常の被覆配線であってもよく、また有線であっても無線であってもよい。
【0050】
上述の実施の形態では、記憶部53は1回分の録音データ56を記録していたが、これに限定されない。例えば、記憶部を複数回の録音データを記録可能としてもよい。この場合には、記録した日時が古い順番に上書きされることが好ましい。
【0051】
上述の実施の形態では、録音中であることを音声により報知したが、これに限定されない。例えば、音声に加えて録音中は光源を発光させてもよく、詐欺電話警報装置に振動する振動部を設け、録音開始時及び終了時に詐欺電話警報装置が振動するように構成してもよい。この振動によって、受電者が録音の開始及び終了を感知することができる。
【0052】
上述の実施の形態の詐欺電話警報装置1に、電源ボタンを設けてもよい。これにより、長期間使用しない場合には電源を切って電池を長持ちさせることができる。
【符号の説明】
【0053】
1、101、201 詐欺電話警報装置
2 本体部
3 録音部
4 接続コード
5 制御回路
6 電源部
10 電話機
11 受話器
22 固定面
51 動作検出部
53 記憶部
54 第1傾斜センサ
55 第2傾斜センサ
56 録音データ
57 応答データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10