(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】排気弁ユニット
(51)【国際特許分類】
F16K 24/04 20060101AFI20231011BHJP
F16K 24/00 20060101ALN20231011BHJP
【FI】
F16K24/04 S
F16K24/00 S
(21)【出願番号】P 2020007391
(22)【出願日】2020-01-21
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 亮平
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-35531(JP,U)
【文献】特開昭56-105175(JP,A)
【文献】特開昭54-9019(JP,A)
【文献】特開2002-39415(JP,A)
【文献】実開昭56-32173(JP,U)
【文献】特開平4-88273(JP,A)
【文献】実開昭59-105662(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 24/00-24/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が送られる液配管に設けられる排気弁ユニットであって、
送液時に前記液配管の液体が流入してくると閉弁し前記液配管の気体が流入してくると開弁して気体を排出するように構成された第1排気弁と、
送液初期時に流入してくる前記液配管の気体を排出し、その後、流入してきた前記液配管の液体によって閉弁し閉弁状態を維持するように構成された第2排気弁と、
前記第1排気弁および第2排気弁と前記液配管とに接続され、前記液配管から液体および気体が流入する流入路と、
前記流入路に設けられ、前記送液時に前記液配管から流入した気体の前記第2排気弁へ向かう流れを規制する規制部とを備えている
ことを特徴とする排気弁ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の排気弁ユニットにおいて、
前記第1排気弁および第2排気弁は、前記液配管の上方に設けられ、
前記流入路は、上下に延びて形成され、前記第1排気弁と前記液配管とに接続される第1流路と、一端が前記第1流路の上端よりも下方の側部に接続され、他端が前記第2排気弁に接続される第2流路とを備え、
前記規制部は、前記第1流路における前記第2流路との接続部よりも上方の空間を有している
ことを特徴とする排気弁ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の排気弁ユニットにおいて、
前記第1排気弁および第2排気弁は、前記液配管の上方に設けられ、
前記流入路は、上下に延びて形成され、前記第1排気弁と前記液配管とに接続される第1流路と、一端が前記第1流路の側部に接続され、他端が前記第2排気弁に接続される第2流路とを備え、
前記規制部は、前記第2流路における第1流路との接続部において下方に向かって突出する突起を有している
ことを特徴とする排気弁ユニット。
【請求項4】
液体が送られる液配管に設けられる排気弁ユニットであって、
送液時に前記液配管の液体が流入してくると閉弁し前記液配管の気体が流入してくると開弁して気体を排出するように構成された第1排気弁と、
流入口および流出口と、前記流入口および流出口を繋ぐ流路と、該流路に設けられる弁室とを有するケーシングを備え、前記流入口が前記液配管と接続されており、送液初期時に前記流入口に流入してくる前記液配管の気体を前記流出口から排出し、その後、前記流入口に流入してきた前記液配管の液体によって閉弁し閉弁状態を維持するように構成された第2排気弁と、
前記第2排気弁の前記流路における前記弁室よりも前記流入口側の部分と前記第1排気弁とを連通させる連通路と、
前記第2排気弁の前記流路における前記弁室よりも前記流入口側に設けられ、前記送液時に、前記液配管から流入した気体の前記弁室へ向かう流れを規制する規制部とを備えている
ことを特徴とする排気弁ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の排気弁ユニットにおいて、
前記第1排気弁および第2排気弁は、前記液配管の上方に設けられ、
前記第2排気弁の前記流入口および流出口はそれぞれ、前記ケーシングの下部および上部に設けられ、
前記第2排気弁の前記流路は、上下に延びて形成されており、
前記規制部は、下端が開放された容器状に形成されている
ことを特徴とする排気弁ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、複数種の排気弁を備えた排気弁ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
水等の液体を送る液配管に取り付けられて、配管内の気体を排出する排気弁として、例えば、特許文献1に開示されている急速排気弁と特許文献2に開示されている自動排気弁が知られている。急速排気弁は、送液初期時に配管内に存在する多量の空気を急速に排出して閉弁し、その後、閉弁状態を維持するように構成されている。自動排気弁は、排気容量が急速排気弁よりも少なく、送液時に空気が流入してくるとその都度開弁して空気を排出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-194247号公報
【文献】特開2005-61523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した2種類の排気弁を液配管に設ける場合、その設け方によっては空気が自動排気弁から排出され難くなる場合がある。つまり、送液時において空気の排出効率が悪くなるという場合がある。
【0005】
本願に開示の技術は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、送液時(通常運転時)における空気の排出効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示の技術は、液体が送られる液配管に設けられる排気弁ユニットである。前記排気弁ユニットは、第1排気弁と、第2排気弁と、流入路と、規制部とを備えている。前記第1排気弁は、送液時に前記液配管の液体が流入してくると閉弁し前記液配管の気体が流入してくると開弁して気体を排出するように構成されている。前記第2排気弁は、送液初期時に流入してくる前記液配管の気体を排出し、その後、流入してきた前記液配管の液体によって閉弁し閉弁状態を維持するように構成されている。前記流入路は、前記第1排気弁および第2排気弁と前記液配管とに接続され、前記液配管から液体および気体が流入する。前記規制部は、前記流入路に設けられ、前記送液時に前記液配管から流入した気体の前記第2排気弁へ向かう流れを規制する。
【0007】
本願に開示の別の技術は、液体が送られる液配管に設けられる排気弁ユニットであり、第1排気弁と、第2排気弁と、連通路と、規制部とを備えている。前記第1排気弁は、送液時に前記液配管の液体が流入してくると閉弁し前記液配管の気体が流入してくると開弁して気体を排出するように構成されている。前記第2排気弁は、流入口および流出口と、前記流入口および流出口を繋ぐ流路と、該流路に設けられる弁室とを有するケーシングを備え、前記流入口が前記液配管と接続されている。前記第2排気弁は、送液初期時に前記流入口に流入してくる前記液配管の気体を前記流出口から排出し、その後、前記流入口に流入してきた前記液配管の液体によって閉弁し閉弁状態を維持するように構成されている。前記連通路は、一端が前記第2排気弁の前記流路における前記弁室よりも前記流入口側の部分に連通し、他端が前記第1排気弁に接続されている。前記規制部は、前記第2排気弁の前記流路における前記弁室よりも前記流入口側に設けられ、前記送液時に、前記液配管から流入した気体の前記弁室へ向かう流れを規制する。
【発明の効果】
【0008】
本願に開示の技術によれば、送液時(通常運転時)における空気の排出効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る排気弁ユニットの概略構成を示す一部断面図である。
【
図2】
図2は、第1排気弁の概略構成を示す断面図である。
【
図3】
図3は、第2排気弁の要部を示す断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態2に係る排気弁ユニットの概略構成を示す一部断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態3に係る排気弁ユニットの概略構成を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本願に開示の技術、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0011】
(実施形態1)
本願の実施形態1について、
図1~
図3を参照しながら説明する。本実施形態の排気弁ユニット100は、液体が利用側へ送られる液配管1に設けられ、液配管1に存在する気体を排出する。本実施形態では、水および空気をそれぞれ液体および気体の一例として説明する。液配管1は、水平方向に延びている。
【0012】
排気弁ユニット100は、第1排気弁10と、第2排気弁20と、流入路と、規制部とを備えている。排気弁ユニット100の全ては、液配管1の上方に設けられている。
【0013】
第1排気弁10は、送液時(通常運転時)に液配管1の水が流入してくると閉弁し液配管1の空気が流入してくると開弁して空気を排出するように構成されている、いわゆる自動排気弁である。具体的には、
図2に示すように、第1排気弁10は、ケーシング11と、弁座16と、フロート18(弁体)とを備えている。
【0014】
ケーシング11には、流入口12、弁室13、排出通路14および流出口15が形成されている。流入口12は、流出口15と同軸に設けられており、弁室13と連通している。排出通路14は、流出口15と連通している。第1排気弁10は、流入口12が下方へ開口し、流出口15が上方へ開口する状態で設けられている。つまり、流入口12および流出口15の軸心は、上下方向に延びている。
【0015】
弁座16は、略円筒状に形成され、内側に弁孔17が形成されている。弁座16は、弁室13の上部に設けられている。弁座16は、弁孔17が上下方向に対して斜めの方向に延びる状態で設けられている。弁室13は、弁孔17を介して排出通路14と連通している。つまり、ケーシング11では、流入口12、弁室13、弁孔17、排出通路14および流出口15が1つの流路を構成している。
【0016】
フロート18は、中空球形に形成され、弁室13に自由状態で配置されている。フロート18は、弁室13の水位に応じて上昇下降して弁座16に離着座することにより、弁孔17を開閉するように構成されている。つまり、フロート18は、弁座16に着座することにより弁孔17を閉鎖(閉弁)し、弁座16から離座することにより弁孔17を開放(開弁)する。このように、第1排気弁10は、弁室13の水位が所定位まで上昇すると閉弁する一方、弁室13に空気が流入して水位が所定位よりも下がると開弁し、空気を排出するように構成されている。
【0017】
第2排気弁20は、送液初期時(運転初期時)に流入してくる液配管1の空気を排出し、その後、流入してきた液配管1の水によって閉弁し閉弁状態を維持するように構成されている、いわゆる急速排気弁である。具体的には、
図3にも示すように、第2排気弁20は、ケーシング21と、弁座28と、フロート31(弁体)とを備え、第1排気弁10よりも排気容量が大きい。
【0018】
ケーシング21は、上下に延びる略円筒状の本体22と、本体22の上部開口を塞ぐ蓋23とを有している。ケーシング21には、流入口24、流出口25、流路27および弁室32が形成されている。流入口24は本体22の下端に設けられ、流出口25は蓋23に設けられている。つまり、流入口24および流出口25はそれぞれ、ケーシング21の上部および下部に設けられている。流入口24は、流出口25と同軸に設けられており、口径が流出口25よりも大きい。
【0019】
流路27は、上下に延びており、流入口24と流出口25とを繋いでいる。弁室32は、流路27の上部に設けられている。弁室32は、後述するフロート31の上昇下降をガイドすると共に、フロート31の下限位置を規制するように構成されている。また、弁室32の下部には、流路27と連通させる貫通孔33が形成されている
【0020】
弁座28は、円環状に形成され、内側に弁孔29が形成されている。弁座28は、弁室32の上部に設けられている。弁座28は、弁孔29が上下方向に開口する状態で設けられている。第2排気弁20の弁孔29は、第1排気弁10の弁孔17よりも孔径が非常に大きい。弁室32は、弁孔29を介して流出口25と連通している。つまり、第2排気弁20では、流入口24、流路27、弁室32、弁孔29および流出口25が1つの流路を構成している。
【0021】
フロート31は、中空球形に形成され、弁室32に自由状態で配置されている。フロート31は、弁孔29における上下流の圧力差によって弁座28に離着座し、弁孔29を開閉するように構成されている。つまり、フロート31は、上流側(弁室32側)の圧力上昇によって弁座28に着座し弁孔29を閉鎖(閉弁)すると、その後は、上下流の圧力差が所定値未満(例えば、ゼロ)にならない限り、弁室32の水位が低下しても弁孔29を開放(開弁)しない。このように、第2排気弁20は、送液初期時にのみ開弁して空気を排出し、その後の送液時では閉弁状態が維持され空気は排出されない。
【0022】
流入路は、第1排気弁10および第2排気弁20と液配管1とに接続され、液配管1から水および空気が流入する。具体的には、
図1に示すように、第1排気弁10および第2排気弁20と液配管1との間には管40が接続されている。
【0023】
管40は、鋳物によって一体形成されている。管40には、上述した流入路が形成されている。流入路は、第1流路41および第2流路42を有している。
【0024】
第1流路41は、上下に延びる直線流路であり、第1排気弁10と液配管1とに接続されている。より詳しくは、第1流路41の上端は、管60を介して第1排気弁10の流入口12に接続されている。第1流路41の流路径は、第1排気弁10の流入口12の口径および管60の管径よりも大きい。
【0025】
第2流路42は、一端が第1流路41の上端よりも下方の側部に接続され、他端が第2排気弁20に接続されている。より詳しくは、第2流路42は、第1流路41から水平に延びた後、鉛直上方へ向かって延びる90度の曲がり流路である。第2流路42の他端は、第2排気弁20の流入口24に直接、接続されている。
【0026】
第1排気弁10の流出口15には、管65が接続されている。第2排気弁20の流出口25には、管70が接続されている。管65および管70は、空気の流出管であり、外気に開放されている。
【0027】
規制部は、上述した流入路に設けられ、送液時に液配管1から流入した空気の第2排気弁20へ向かう流れを規制する。言い換えれば、規制部は、送液時に液配管1から流入した空気を第1排気弁10側へ案内する案内部である。
【0028】
図1に示すように、規制部は、空間44と突起43を有している。空間44は、第1流路41における第2流路42との接続部よりも上方に形成されている。突起43は、第2流路42における第1流路41との接続部において下方に向かって突出している。規制部では、液配管1から流入した空気が空間44に溜まることで、空気の第2排気弁20側へ向かう流れが規制される。さらに、空間44に溜まった空気は、突起43によっても第2排気弁20側へ向かう流れが規制される。
【0029】
また、排気弁ユニット100は、液配管1や流入路等の真空状態を解消する真空解消機構を有している。具体的に、第2排気弁20のケーシング21には、非常時流入口26が設けられている。非常時流入口26は、流路27における弁室32よりも下方の部分に連通している。非常時流入口26は、逆止弁35を介して管80に接続されている。管80は、空気の流入管であり、外気に開放されている。逆止弁35は、管80側から非常時流入口26側へ向かう空気の流れのみを許容する。この真空解消機構では、液配管1や流入路等が真空状態になると、空気が非常時流入口26から流路27に流入することで、真空状態が解消される。
【0030】
〈動作〉
液配管1の送液初期時(運転初期時)では、先ず、液配管1内の多量の空気が第1流路41に流入する。第1流路41に流入した空気の大部分は、第1排気弁10よりも排気容量が大きい第2排気弁20側へと流れて排出される。そのため、送液初期時において多量の空気が急速に排出される。こうして多量の空気が排出された後の送液時(通常運転時)では、水が第1流路41を介して第1排気弁10および第2排気弁20に流入し、そのため、第1排気弁10および第2排気弁20は閉弁される。
【0031】
送液時では、少量の空気が第1流路41に流入してくる。第1流路41に流入した空気は、浮上して空間44に到達する。空間44に到達した空気は、第1排気弁10を介して排出される。第1排気弁10から排出される空気の量よりも空間44に到達する空気の量が多い場合、空間44に空気が溜まる。空間44に溜まった空気は、第2排気弁20へ向かう流れが規制されるため、空間44に留まることができる。さらに、空間44に溜まった空気は、突起43によっても第2排気弁20へ向かう流れが規制されるため、より空間44に留まり得る。したがって、第1排気弁10からの空気の排出効率が向上する。
【0032】
送液時において、仮に空気が第2排気弁20へと流れた場合、第2排気弁20は開弁しないため空気は排出されない。そうすると、空気が配管系内に滞留してしまい空気の排出効率が悪くなるが、本実施形態ではそれが解消される。
【0033】
以上のように、上記実施形態の排気弁ユニット100は、第1排気弁10と、第2排気弁20と、流入路と、規制部とを備えている。第1排気弁10は、送液時に液配管1の水が流入してくると閉弁し液配管1の空気が流入してくると開弁して空気を排出するように構成されている。第2排気弁20は、送液初期時に流入してくる液配管1の空気を排出し、その後、流入してきた液配管1の水によって閉弁し閉弁状態を維持するように構成されている。流入路は、第1排気弁10および第2排気弁20と液配管1とに接続され、液配管1から水および空気が流入する。規制部は、流入路に設けられ、送液時に液配管1から流入した空気の第2排気弁20へ向かう流れを規制する。
【0034】
上記の構成によれば、送液初期時では、液配管1内の多量の空気を第2排気弁20から急速に排出することができる。送液時では、流入路に流入した空気の第2排気弁20へ向かう流れが規制されるので、空気を第1排気弁10へ向かって流すことができる。そのため、第1排気弁10からの空気の排出を促進させることができ、空気の排出効率を向上させることができる。
【0035】
また、上記実施形態の排気弁ユニット100において、第1排気弁10および第2排気弁20は、液配管1の上方に設けられている。流入路は、上下に延びて形成され、第1排気弁10と液配管1とに接続される第1流路41と、一端が第1流路41の上端よりも下方の側部に接続され、他端が第2排気弁20に接続される第2流路42とを備えている。規制部は、第1流路41における第2流路42との接続部よりも上方の空間44を有している。
【0036】
上記の構成によれば、簡易な構成により、第1排気弁10からの空気の排出を促進させることができる。
【0037】
さらに、規制部は、第2流路42における第1流路41との接続部において下方に向かって突出する突起43を有している。この構成によれば、上記空間44と相まって、空気の第2排気弁20へ向かう流れを一層規制することができる。したがって、第1排気弁10からの空気の排出をより促進させることができ、空気の排出効率を向上させることができる。
【0038】
(実施形態2)
本願の実施形態2について、
図4を参照しながら説明する。本実施形態の排気弁ユニット100は、上記実施形態1において流入路および規制部の構成を変更するようにしたものである。ここでは、上記実施形態1と異なる点について言及する。
【0039】
本実施形態の流入路も、上記実施形態1と同様、第1排気弁10および第2排気弁20と液配管1とに接続され、液配管1から水および空気が流入する。具体的に、第1排気弁10および第2排気弁20と液配管1との間には管50が接続されている。管50は、製缶溶接によって一体形成されており、上述した流入路が形成されている。流入路は、第1流路51、第2流路52および第3流路53を有している。
【0040】
第1流路51は、上下に延びる直線流路であり、第1排気弁10と液配管1とに接続されている。より詳しくは、第1流路51の上端は、管60を介して第1排気弁10の流入口12に接続されている。第1流路51の流路径は、第1排気弁10の流入口12の口径および管60の管径よりも大きい。
【0041】
第2流路52は、水平に延びる直線流路であり、第1流路51に接続されている。より詳しくは、第2流路52は、一端が第1流路41の上端よりも下方の側部に接続され、他端が閉塞されている。第3流路53は、上下に延びる直線流路であり、第2流路52と第2排気弁20とに接続されている。より詳しくは、第3流路53は、一端が第2流路52の閉塞端よりも第1流路51側へ寄った部分に接続され、他端が第2排気弁20の流入口24に直接、接続されている。
【0042】
本実施形態の規制部は、実質的に、上記実施形態1の規制部において突起43を省略したものである。つまり、排気弁ユニット100は、規制部として空間54を有している。空間54は、第1流路51における第2流路52との接続部よりも上方に形成されている。この規制部では、上記実施形態1と同様、液配管1から流入した空気が空間54に溜まることで空気の第2排気弁20側へ向かう流れが規制される。その他の構成、作用および効果は、上記実施形態1と同様である。
【0043】
(実施形態3)
本願の実施形態3について、
図5を参照しながら説明する。本実施形態の排気弁ユニット100は、上記実施形態1において流入路を省略し規制部の構成を変更するようにしたものである。ここでは、上記実施形態1と異なる点について言及する。
【0044】
本実施形態の排気弁ユニット100は、第1排気弁10と、第2排気弁20と、連通路91と、規制部とを備えている。
【0045】
本実施形態の第2排気弁20は、直接、液配管1に接続されている。つまり、第2排気弁20は、流入口24が液配管1と接続されている。また、第2排気弁20は、上記実施形態1の非常時流入口26に代えて、流出口34が設けられている。ケーシング21における流出口34の位置は、上記実施形態1における非常時流入口26の位置と同様である。つまり、第2排気弁20は、2つの流出口25,34を有している。第1排気弁10の構成は、上記実施形態1と同様である。
【0046】
連通路91は、第2排気弁20の流路27における弁室32よりも下方(即ち、流入口24側)の部分と、第1排気弁10とを連通させる。具体的に、第1排気弁10と第2排気弁20との間には、管90が接続されている。管90は、軸心が水平に延びる状態で設けられている。第1排気弁10は、管90の上部に接続されている。管90には、連通路91が形成されている。連通路91は、第2排気弁20の流出口34と、第1排気弁10の流入口12とに接続されている。
【0047】
規制部は、第2排気弁20の流路27における弁室32よりも下方(即ち、流入口24側)に設けられ、送液時に、液配管1から流入した空気の弁室32へ向かう流れを規制する。具体的に、排気弁ユニット100は、規制部として邪魔板58を有している。邪魔板58は、下端が開放された容器状に形成されている。邪魔板58は、流路27において流出口34に対応する部分に設けられている。邪魔板58の下端の開放面積は、流路27の流路面積と略同じである。
【0048】
本実施形態の送液初期時(運転初期時)では、先ず、液配管1内の多量の空気が第2排気弁20の流路27に流入する。流路27に流入した空気の大部分は、流出口34を通じて邪魔板58の上方へ回り込み、第2排気弁20から排出される。そのため、多量の空気が急速に排出される。こうして多量の空気が排出された後の送液時(通常運転時)では、水が流路27を介して弁室32および第1排気弁10に流入し、そのため、第1排気弁10および第2排気弁20は閉弁される。
【0049】
送液時では、少量の空気が第2排気弁20の流路27に流入してくる。流路27に流入した空気は、浮上して邪魔板58内に到達する。つまり、空気の弁室32までの浮上が邪魔板58によって阻止される。邪魔板58内に到達した空気は、次第に量が増加し、邪魔板58から溢れる。溢れた空気は、流出口34および連通路91を介して第1排気弁10に流入して排出される。
【0050】
こうして、送液時では、邪魔板58によって空気の弁室32へ向かう流れが規制される。そのため、本実施形態においても、第1排気弁10からの空気の排出をより促進させることができ、空気の排出効率を向上させることができる。その他の構成、作用および効果は、上記実施形態1と同様である。
【0051】
なお、本願に開示の技術は、上記実施形態の排気弁ユニット100について、以下のような構成としてもよい。
【0052】
例えば、上記実施形態3の排気弁ユニット100において、邪魔板58(規制部)は、容器状以外に平板状に形成されていてもよく、空気の弁室32へ向かう流れを規制し得る形状であれば如何なるものでもよい。
【0053】
また、上記各実施形態の排気弁ユニット100では、液体として水以外のものを対象としてもよく、気体として空気以外のものを対象としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本願に開示の技術は、排気弁ユニットについて有用である。
【符号の説明】
【0055】
1 液配管1
10 第1排気弁
20 第2排気弁
41 第1流路(流入路)
42 第2流路(流入路)
43 突起(規制部)
44 空間(規制部)
51 第1流路(流入路)
52 第2流路(流入路)
53 第3流路(流入路)
54 空間(規制部)
58 邪魔板(規制部)
100 排気弁ユニット