(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】身体活性化作用を有する身体装着具
(51)【国際特許分類】
A61N 5/00 20060101AFI20231011BHJP
A61N 5/06 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
A61N5/00
A61N5/06 A
A61N5/06 Z
(21)【出願番号】P 2020039328
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】517087532
【氏名又は名称】株式会社遊心
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】那須 誠
(72)【発明者】
【氏名】那須 久理子
(72)【発明者】
【氏名】久道 周彦
(72)【発明者】
【氏名】宇野澤 信治
(72)【発明者】
【氏名】長岡 利彦
(72)【発明者】
【氏名】安部 治孝
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-123063(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1924771(KR,B1)
【文献】国際公開第2018/164279(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/00-5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体に装着して使用される装身具を含んだ身体装着具であって、
二酸化ケイ素を主成分とする第1成分と、周波数が100GHz以上、100THz以下のテラヘルツ波を放出する第2成分とからなる電磁波放出体を含んでおり、
当該電磁波放出体は、前記第1成分と第2成分とは、共に粒径150μm以下の粒子径に形成されると共に、当該第1成分と第2成分とを粘土に混錬して焼結してなる事を特徴とする、身体装着具。
【請求項2】
前記電磁波放出体は、前記第1成分を第2成分よりも容積比で多く配合している、請求項1に記載の身体装着具。
【請求項3】
前記第1成分と第2成分との混合物は、前記粘土100容積部に対して3~40容積部配合している、請求項1又は2に記載の身体装着具。
【請求項4】
前記電磁波放出体をシリコーン樹脂からなる容器内に充填するか、又はシリコーン樹脂で被覆してなる、請求項1~3の何れか一項に記載の身体装着具。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の身体装着具に使用する電磁波放出体の製造方法であって、
共に粒径150μm以下に形成された第1成分と第2成分とを液体中で混合撹拌する混合工程と、
混合工程で形成した混合物を粘土に混錬する混錬工程と、
前記第1成分と第2成分とを混錬した粘土を焼結させる焼結工程とからなる、電磁波放出体の製造方法。
【請求項6】
身体に装着して使用される装身具を含んだ身体装着具であって、
二酸化ケイ素を主成分とする第1成分と、周波数が100GHz以上、100THz以下のテラヘルツ波を放出する第2成分とからなる電磁波放出体を含んでおり、
当該電磁波放出体は、前記第1成分と第2成分とは、共に粒径150μm以下の粒子径に形成されると共に、前記第1成分を第2成分よりも容積比で多く配合している事を特徴とする、身体装着具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体に装着して使用される装身具を含んだ身体装着具に関し、特に生体活性化作用を有する身体装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
テラヘルツ波は電波と光の中間の波長や周波数を有し、両方の性質を持つことから、この性質を生かした様々な応用が考えられ、研究開発が行われている。本発明者も、テラヘルツの周波数域の電磁波(以下、「テラヘルツ波」とする。)によって得られる効果に着目し、特許文献1(特許第6614563号公報)において、ケイ酸塩鉱物を用いたケイ酸塩混合物を提案している。かかるケイ酸塩混合物は、内燃機関や外燃機関をはじめとする燃焼機関における燃焼改善、電池における寿命延長、電気抵抗の低下、美容の促進、健康の増進、及び食品における食味改善の用途で利用することができる。
【0003】
また、特許文献2(実用新案登録第3112843号公報)では、効き目が長時間持続し、装着作業が容易で、廉価で、かつ仕事や家事の時間を無駄にすることのない健康パッドとして、生活機能病である腰痛、肩こり、関節などを緩和するために、人体に装着して使用するパッドであって、シリコーンゴムに、少なくとも、遠赤外線およびテラヘルツの電磁波を放出する天然鉱石混合パウダーを混入したシート材と、前記シート材を収納する内袋と、両端に取付け用の帯片を設け、前記シート材を収納した前記内袋を出し入れ自在に収納する外袋とからなる健康パッドを開示している。
【0004】
また特許文献3(特開2005-224580号公報)では、ガンやウィルスの細胞破壊、免疫細胞の活性化、酵素・触媒の作用、遺伝子組替え、DNA操作、化学反応の制御、新薬の製造、細胞増殖、物質の分光分析などを有効にする技術分野に関し、テラヘルツ波と他のエネルギー供給手段と組み合わせることによって、処理対象物全体に影響を与えずに、一部分だけを分子レベルで選択的に、効率良く処理できる方式を提案している。即ちこの文献では、生体細胞や化学薬品などの被照射物に、被照射物が有する固有の振動数近くのテラヘルツ波を照射して、測定・処理する方式において、加冷あるいは加熱手段を用いて、被照射物の照射箇所などを所定範囲の温度に制御するテラヘルツ波照射方式を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6614563号公報
【文献】実用新案登録第3112843号公報
【文献】特開2005-224580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の通り、腰痛、肩こり、関節痛などを緩和するために、遠赤外線およびテラヘルツの電磁波を放出する天然鉱石混合パウダーを利用する事、及びガンやウィルスの細胞破壊、免疫細胞の活性化、酵素・触媒の作用、遺伝子組替え、DNA操作、化学反応の制御、新薬の製造、細胞増殖、物質の分光分析などに特定のテラヘルツ波を利用する事が提案されている。
【0007】
しかしながら、特許文献2で使用しているのは、遠赤外線およびテラヘルツの電磁波を放出する天然鉱石混合パウダーであって、その成分が明らかにされていない。そもそも遠赤外線(3THz~30THz)の電磁波は、テラヘルツ(100GHz~100THz)の電磁波に包含されていることから、結局は遠赤外線(3THz~30THz)の電磁波を利用しているに過ぎない。
【0008】
また、特許文献2では、テラヘルツ波と他のエネルギー供給手段と組み合わせており、当該他のエネルギーとして所定の振動数の電磁波を利用している。しかしながら、この技術は被照射物が有する固有の振動数近くのテラヘルツ波を照射することを前提としており、所定の振動数の電磁波も電磁波照射手段を用いて照射されるものであることから、特定の成分の組み合わせによる生体活性化作用を有する身体装着具を予想させるものではない。
【0009】
そして従前において、利用者が身体に装着することによって、生体活性化作用を向上させる身体装着具は提供されていない。
【0010】
そこで本発明では、利用者が身体に装着することによって、生体活性化作用を向上させる身体装着具を提供することを第1の課題とし、またテラヘルツ波による作用を高める事のできる材料を組み合わせることで、生体活性化作用を更に向上させることのできる身体装着具を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題の少なくとも何れかを解決する為に、本発明ではテラヘルツ波による生体活性化作用を向上させるために、二酸化ケイ素を主成分とする第1成分を使用した身体装着具を提供するものである。
【0012】
即ち本発明では、身体に装着して使用される装身具を含んだ身体装着具であって、二酸化ケイ素を主成分とする第1成分と、周波数が100GHz以上、100THz以下のテラヘルツ波を放出する第2成分とからなる電磁波放出体を含んでおり、当該電磁波放出体は、前記第1成分と第2成分とは、共に粒径150μm以下の粒子径に形成されると共に、当該第1成分と第2成分とを粘土に混錬して焼結してなる身体装着具を提供する。
【0013】
上記二酸化ケイ素を主成分とする第1成分は、珪砂、珪石等の石英の他、水晶を用いることができ、特に純度の高さから水晶を用いることが望ましい。またテラヘルツ波を放出する第2成分は、ケイ素からなるテラヘルツ鉱石を用いることができる他、テラヘルツ波放出体と成り得る各種の鉱石、例えばケイ酸塩鉱物などを用いることができる。
【0014】
また、前記第1成分及び第2成分は、ボールミル等の粉砕機を使用して、粒径150μm以下、望ましくは粒径100μm以下、特に望ましくは粒径50μm以下の粒子径に形成することができる。このような粒子径からなるケイ酸塩混合物を使用することにより、単位質量における表面積を大きくすることができ、前記テラヘルツ波を含む電磁波の放出量を増大させることができる。その結果、生体への影響として美容の促進、健康の増進などの効果を得ることができる。
【0015】
そして上記本発明に係る身体装着具において、前記電磁波放出体は、前記第1成分を第2成分よりも容積比で多く配合することが望ましい。即ち、前記電磁波放出体は、前記第2成分の配合割合が、第1成分と第2成分の合計量100容積部に対して、50容積部以上、特に70容積部以上であることが望ましい。第2成分によるテラヘルツ波に基づいた生体に対する効果を高める為、二酸化ケイ素からなる第1成分の配合量を多くすることが望ましい。
【0016】
また前記第1成分と第2成分との混合物は、前記粘土100容積部に対して3~40容積部、特に3~20容積部を配合することが望ましい。粘土成分を多くすることにより、焼結時の結晶性を高める為である。
【0017】
また本発明では、特に身体装着具とする為に、前記電磁波放出体を、シリコーン樹脂からなる容器内に充填するか、又はシリコーン樹脂で被覆することができる。当該電磁波放出体の表側にシリコーン樹脂を存在させることにより、身体への装着性を向上させることができる。更にシリコーン樹脂であれば、前記テラヘルツ波の放出に際して障害を来すことが無くなる。
【0018】
そして本発明では、前記身体装着具における電磁波放出体の製造方法として、共に粒径150μm以下に形成された第1成分と第2成分とを液体中で混合撹拌する混合工程と、混合工程で形成した混合物を粘土に混錬する混錬工程と、前記第1成分と第2成分とを混錬した粘土を焼結させる焼結工程とからなる電磁波放出体の製造方法を提供する。
【0019】
上記電磁波放出体は、粉体状の第1成分と第2成分とを乾燥状態で混合し、これを粘土に混錬する他、粉体状の第1成分と第2成分とを別々に粘土に混錬することができる。更に、第1成分と第2成分とを水等の無機の液体中で撹拌混合し、この分散媒体を粘土に混錬することもできる。特に無機の液体を使用した場合には、第1成分や第2成分の凝集のおそれを無くし、より微細な粒径で両者を混在させることができ、また粘土との混錬も円滑にできる他、任意の型枠内に充填して焼結することにより、様々な形状の身体装着具を形成することができる。但し、当該電磁波放出体を、チューブを含む容器内に収容する場合には、当該焼結は必須ではなく、液体中に分散混合した状態で充填することもできる。
【0020】
上記の様に形成した本発明に係る身体装着具を着用することにより、末梢血管での血流が改善し、血圧の低下、冷え症の改善、肩こりの改善、運動後の筋肉痛の予防、美容効果(痩身、肌荒れ等)、基礎体温の上昇などの効果が期待できる。また、炎症の抑制により、関節痛(膝、肩等)の改善、腰痛の改善、アトピー性皮膚炎の改善などの効果が期待できる。更に細胞の賦活化により、基礎体温の上昇も期待できる。そして特に電磁波放出体により、体液のクラスター構造を変えることで、血液の粘性低下による循環血量増加に起因する様々な生体への影響を改善することが期待できる。
【0021】
なお本発明に係る身体装着具に使用する電磁波放出体は、前記の様に粘土に混錬して焼結させる他、更に溶融状態の金属や樹脂などに混錬して、これを固化して固形状に形成することもできる。これにより当該電磁波放出体をブロック状、シート状等の様々な形状に形成することが可能になり、各種物品に貼付可能となる他、液状物に投入して使用することができる。また、当該電磁波放出体を混錬した金属、樹脂、又はセラミックスによって、ネックレスや貼付剤を製造することもできる。
【0022】
更に本発明に係る身体装着具は、前記第1成分と第2成分とを粘土に混錬して焼成したものを、更に粉状に粉砕して無機または有機の液体に分散させて使用することもできる。かかる電磁波放出体を分散させた分散液においては、チューブ等の容器中に充填して閉塞することにより、簡易にネックレスやブレスレットを製造することができる。
【0023】
そして本発明では、身体装着具の製造に際して、前記第1成分と第2成分とを粘土に混錬することなく、有機又は無機の液体に分散させたものを使用することもできる。即ち、身体に装着して使用される装身具を含んだ身体装着具であって、二酸化ケイ素を主成分とする第1成分と、周波数が100GHz以上、100THz以下のテラヘルツ波を放出する第2成分とからなる電磁波放出体を含んでおり、当該電磁波放出体は、前記第1成分と第2成分とは、共に粒径150μm以下の粒子径に形成されると共に、前記第1成分を第2成分よりも容積比で多く配合している身体装着具とすることができる。
【0024】
上記本発明に係る身体装着具において、前記電磁波放出体には、更にカーボン粉を配合することができる。かかるカーボン粉は、前記第1成分及び第2成分と同様に、ボールミル等の粉砕機を使用して、粒径150μm以下、望ましくは粒径100μm以下、特に望ましくは粒径50μm以下の粒子径に形成することができる。またかかるカーボン粉は特に炭粉であることが望ましい。例えば木炭、竹炭、石炭、活性炭などを粉砕したものを当該カーボン粉として使用することができる。かかるカーボン粉を配合することにより、身体装着具として人体に装着することで、生体への影響として美容の促進、健康の増進などの効果を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1の実施の形態に係る身体装着具の製造工程を示す略図
【
図2】第2の実施の形態に係る身体装着具の製造工程を示す略図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態にかかる電磁波放出体を用いた身体装着具20とその製造方法を具体的に説明する。
図1は、第1の実施の形態にかかる身体装着具20の製造工程を示しており、
図2は他の実施の形態に係る身体装着具20の製造工程を示している。
【0027】
先ず、
図1の工程図を参照しながら第1の実施の形態にかかる身体装着具20と、その製造方法を具体的に説明する。本実施の形態にかかる身体装着具20に使用する電磁波放出体50は、石英、砂、ガラス、珪砂、シリカゲル、コロダイルシリカ等の二酸化ケイ素を主成分とする鉱物や材料からなる第1成分11と、テラヘルツ波を放出する鉱石からなる第2成分12とを混合する。この時、当該第1成分11と、第2成分12とは、いずれも粉状に粉砕されていることが望ましい。
【0028】
上記第1成分11としては、特にマイナス30℃以上において、周波数100GHz未満(波長3mmを超える)の電磁波を放出する材料を使用することが望ましい。当該第1成分11としては特にクオーツを用いることにより、電磁波放出体による前記生体改善効果を高めることができる。
【0029】
この混合工程で使用する第2成分12は、周波数100GHz以上、100THz以下のテラヘルツ波を放出するテラヘルツ鉱石を用いることができる。かかるテラヘルツ鉱石は、人工鉱石として製造できる他、天然に産出され、周波数100GHz以上、100THz以下のテラヘルツ波を放出するケイ酸塩鉱物として入手可能である。即ち、当該テラヘルツ波を放出する第2成分12はテラヘルツ鉱石として市販されているものから選択することができる。また当該第2成分12としては、日本国内の九州高千穂山麓鉱山で採出した鉱石であって、15~1、000μmの波長の電磁波(電波と光波の中間帯)を放出する鉱石を使用することができる。かかる第2成分12の含有成分は、理学電機社のSystem3270E蛍光X線分析機器を使用して測定した結果の元素成分がSi、Al、K、Fe、Ca、Na、Zr、Mg、Ti、Mn、O、Sr、Cl、Y、S、Cr、Rb、Zn、Pbである。
【0030】
そして、テラヘルツ波を放出する第2成分12と第1成分11とを粘土13に混錬する。かかる第2成分12と第1成分11とを混合する際、本実施の形態では、両成分を均等に分散させるため、及び各成分の表面積を増大させるために、前記第1成分11及び第2成分12は、ボールミル等の粉砕機21を使用して、粒径150μm以下、望ましくは粒径100μm以下、特に望ましくは粒径50μm以下の粒子径に形成する。これらの粒子径は、試験用ふるい目開きによる「ふるい分け法」によって特定することができる。特に本実施の形態では、JISZ8801-1:2006に基づく400メッシュのふるい、望ましくは700メッシュのふるいを通過する粒子径(粒径38μm以下)に形成している。かかる粉砕は、ボールミルなどの各種粉砕機などを使用することができる。このような粒径に粉砕することで、生体への影響(美容の促進、健康の増進)を増大させることができる。
【0031】
上記第1成分11と第2成分12の配合割合は任意で良いが、両者を用いて形成した前記電磁波放出体は、前記第1成分を第2成分よりも容積比で多く配合することが望ましい。即ち、第2成分に基づくテラヘルツ波により生体の改善効果を得ることを目的とするのであるが、これは第1成分が放出する電磁波との相乗効果によって高められるものであり、よって前記第1成分を第2成分よりも容積比で多く配合することが望ましい。
【0032】
以上の様に微細な粒径に粉砕した第1成分11と第2成分12は、そのままでは生体への装着が困難であることから、本実施の形態にかかる電磁波放出体50は、これを使用しやすいように加工する。即ち本実施の形態では、第1成分11と第2成分12を粘土13に混錬して焼結することで、長期的に形状を維持できると共に、生体に対するテラヘルツ波の放出効果を高めた電磁波放出体50(即ち身体装着具20)を形成している。
【0033】
上記第1成分と第2成分とを混錬する粘土13は、特に制限されるものではないが、ケイ素を中心として酸素が四面体になるように並んだケイ酸四面体層2つと、アルミニウムを中心として酸素と水素原子あるいは酸素原子単独が六面体を形成する水酸化アルミニウム六面体1つからなる2:1型の粘土13、例えばモンモリロナイト(モンモリロン石)等であることが望ましい。第1成分と第2成分とは何れもケイ素原子を有していることから、これらを混錬する粘土13の振動周波数を共通にするためである。
【0034】
上記の通り粉砕した第1成分11と第2成分12は、前記粘土13に混錬し、そしてこれを任意の型枠23内に充填するか又は造形した上で、加熱炉22等で焼結して固化(固形化)する。その結果、電磁波放出体50は、板状である他、ブロック状などの固形状に形成することができ、更に表面積を増大させるために筒状に形成することもできる。
【0035】
また固形状に形成した電磁波放出体は、これを粉砕して、溶融状態の樹脂や金属などの溶融物に混錬するか、或いは前記第1成分11及び第2成分12を溶融状態の樹脂や金属などの溶融物に混錬して形成しても良い。即ち、前記第1成分と第2成分は、粘土13に限定することなく、溶融状態の樹脂や金属など溶融物に配合して混ぜ込み、これを固化して電磁波放出体50を形成することもできる。その際、粉砕した電磁波放出体、又は前記第1成分11及び第2成分12は、混錬して成形した固形物の表面側に多く存在するように構成することもできる。
【0036】
特に前記粉状の電磁波放出体50、又は前記第1成分11及び第2成分12を樹脂に混錬した場合には、当該電磁波放出体50や前記第1成分11及び第2成分12から発せられるテラヘルツ波は、当該樹脂を貫通して放出されることから、前述の効果を高めることができる。また前記電磁波放出体50、又は前記第1成分11及び第2成分12を金属に混錬した場合には、当該電磁波放出体50や前記第1成分11及び第2成分12から発せられるテラヘルツ波によって、金属自体もテラヘルツ波放射体となるか、或いは金属表面に存在する電磁波放出体50や前記第1成分11及び第2成分12からテラヘルツ波を放出させることができ、これにより前述の効果を高めることができる。
【0037】
前記固形状の電磁波放出体50の製造に際しては、第1成分11及び第2成分12に対して、更にカーボン粉を配合することもできる。そして当該第1成分と第2成分は所定の粒径に粉砕して混合していることから、テラヘルツ波における出力波長を最適化するものと推察できる。その結果として、生体への影響(美容の促進、健康の増進)を改善及び増大させることができる。
【0038】
以上のように形成した固形状の電磁波放出体50からなる身体装着具20は、そのまま生体に装着して使用するか、液状物に投入して使用するか、或いはこれを粉砕して液状物に分散させて使用することもできる。また、当該固形状の電磁波放出体50からなる身体装着具20は、塗布剤や貼付剤として形成することができ、これにより当該電磁波放出体50を混入した製品を製造することもできる。
【0039】
そして上記の電磁波放出体を使用者に直接貼付するか、或いはネックレス、イヤリング、ピアス、指輪、ブレスレット、腕時計のベルト、ベルト等に設け、これを着用することで、身体装着具20として使用することができる。かかる電磁波放出体は、使用者の表皮に直接接することが望ましいが、表皮に直接接しなくとも少なくとも着用できれば良い。
【0040】
次に
図2を参照しながら、第2の実施の形態に係る身体装着具と、その製造方法を説明する。特に本実施の形態では、前記電磁波放出体を液体中に分散させた分散液として製造するものである。即ち前記電磁波放出体を、有機または無機の液体31に混合・分散させ、当該電磁波放出体50が分散されている分散液51を、生体に塗布又は貼付して使用する身体装着具20である。
【0041】
当該粉状の電磁波放出体50を分散させる液体は、無機の液体でも有機の液体でも良いが、保存安定性等を考慮すれば水などの無機の液体であることが望ましい。また、アクリル系の液体を用いた場合には、ケイ酸塩混合物がフロック状、団子状になり、これを分散させるのが困難になることから、シリコン系の液体が望ましい。当該混合粉の分散割合は任意であってよいが、生体に塗布又は貼付できる粘度に調整することが望ましい。かかる電磁波放出体50を分散させた分散液51は、塗布することにより、生体への影響(美容の促進、健康の増進)などを高めることができる。
【0042】
また液体に分散させる粉状の電磁波放出体は、前記第1成分と第2成分を粘土に混錬して焼結させた固形状の電磁波放出体50を、ボールミル等の粉砕機21を使用して、粒径150μm以下、望ましくは粒径100μm以下、特に望ましくは粒径50μm以下の粒子径に形成し、これを液体中に分散させる他、前記粉状に粉砕した第1成分と第2成分とを、液体中に分散させることができる。
【0043】
そして以上のように粉状の電磁波放出体、及び/又は第1成分と第2成分を混入させた分散溶媒は、チューブを含む容器40中に充填し、その注入口を閉塞することによって、ネックレスなどの身体装着具20とすることができる。なお、この分散液51を収容する容器は、望ましくはシリコーン樹脂からなる容器を使用する。かかる身体装着具によれば、内部に充填した電磁波放出体、及び/又は第1成分と第2成分からテラヘルツ波の電磁波を効率的に放出することができ、これにより生体機能の改善効果を期待することができる。
【0044】
上記本実施の形態の効果に関し、現状においては電磁波の測定自体が困難なことから、上記本実施の形態におけるメカニズム(原理)を明確することは困難であるが、前記効果については、当該電磁波放出体50から発せられるテラヘルツ波等の電磁波が関与しているものと考えられる。即ち、光波と電波の中間領域にあたるテラヘルツ波を放出することにより、生体内の組織や血液、或いは呼気などの分子をクラスター化する等、分子間に影響を与えることに拠るものと考えられる。またテラヘルツ放射はイオン化しないサブミリ波放射で導電体には侵入せず、布、紙、木材、プラスチック、陶磁器を透過する特性が知られている。そして本実施の形態では、当該テラヘルツ波を放出する第2成分12の他に、第1成分11を配合し、これを粘土13に混錬して焼結したことにより、当該テラヘルツ領域の電磁波における出力波長を強化乃至は最適化し、生体への影響(美容の促進、健康の増進)を高めているものと推察できる。そして前記第1成分11と第2成分12を所定の粒径に粉砕して使用したことにより、その効果を高めているものと予想できる。
【実験例】
【0045】
本実験例では、二酸化ケイ素を主成分とする第1成分と、周波数が100GHz以上、100THz以下のテラヘルツ波を放出する第2成分とを、粒径38μm以下に粉砕し、これを土粘土に混錬して焼結し電磁波放出体を形成した。第1成分70容積部と第2成分30容積部の混合物を、粘土80容積部に対して20容積部の割合で混錬し、これを焼結させた。
そして上記の方法で製造した電磁波放出体を、以下の各実証例に示した形態に加工して装着し、当該身体装着具の装着したことによる効果を実証した。
【0046】
〔実証例1〕
対象:60歳代男性(生活習慣病の既往症あり)
使用した身体装着具:ネックレスタイプ、手首にリングタイプ装着
効果:翌日から肩こり解消する。
:排尿回数の増加により浮腫の改善。
:体温が35.7℃から36.4℃に0.7℃上昇、以後計測時(朝、起床時)は36.1~36.2℃(0.4~0.5℃)が継続。
:血清クレアチニン値が0.92(前回0.98)に改善。
:血圧:装着前1か月収縮時血圧116~84 mmHg、拡張期血圧67~86 mmHg、装着後1か月収縮時血圧92~122 mmHg、拡張期血圧69~89 mmHg。降圧薬2種(Ca拮抗薬、ARB薬服用中)。
:安静時心拍数:装着前69~92回/分、装着後1か月68~93回/分。
:体重:装着前1か月75.91 kg、装着後1か月75.34 kg。
:趣味のモトクロス走行(30分×3ヒート)後、翌日の筋肉痛(上腕、背筋、大腿筋)が解消。
この実証例1において、上記効果を確認後、身体装着具を外した後においては、体温、血清クレアチニン値、血圧、安静時心拍数、体重は、装着前の状態に戻った。
【0047】
〔実証例2〕
対象:50歳台女性、
使用した身体装着具:ネックレスタイプを首に装着、ボールタイプを腹部に貼付、プレートタイプを土踏まずに装着
効果:翌日から肩こりが改善する。
:ボールタイプ貼付部位を中心に温感を感じる。
:足の冷え及び冷性が改善
この実証例2において、上記身体装着具を1週間装着後に取り外し後においては、肩こり、足の冷え性などが装着前の状態に戻った。
【0048】
〔実証例3〕
対象:10歳台女性(アトピー性皮膚炎の既往症あり)
使用した身体装着具:ネックレスタイプを首に装着
効果:アトピー性皮膚炎の痒みが装着後2~3日で軽減、その後、皮膚症状が改善。
この実証例3において、上記身体装着具を1週間装着後に取り外し後においては、アトピー性皮膚炎の痒みが生じた。
【0049】
〔実証例4〕
対象:70歳台男性(高血圧の既往症あり)
使用した身体装着具:プレートタイプを膝に貼付
効果:1階の店舗から、2階の住居へ階段を上る際、左膝に痛みがあり、膝をかばって階段を登っていたが、貼付後直ちに痛みが消失し階段を登れる。
:60歳台男性、プレートタイプを膝に貼付
:膝の痛みから、膝を屈折に支障をきたしていたが、装着後すぐに違和感及び痛みが消失し、20km以上の自転車走行が可能になった。
この実証例4において、上記効果を確認後、翌日に身体装着具を取り外し後においては、膝の痛みが再発した。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明にかかる身体装着具は、アクセサリー等の装身具を始めとして利用者が身に着ける為に使用することができ、特に生体機能の改善を期待して装着する事のできる身体装着具である。
【符号の説明】
【0051】
11 第1成分
12 第2成分
13 粘土
20 身体装着具
21 粉砕機
22 加熱炉
40 容器
50 電磁波放出体
51 分散液