(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】甘味料組成物、およびそれを含む食品
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20231011BHJP
A23L 2/60 20060101ALN20231011BHJP
【FI】
A23L27/00 101A
A23L27/00 E
A23L2/00 C
A23L2/60
(21)【出願番号】P 2021048885
(22)【出願日】2021-03-23
(62)【分割の表示】P 2017504880の分割
【原出願日】2016-03-11
【審査請求日】2021-04-21
(31)【優先権主張番号】P 2015048868
(32)【優先日】2015-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390000697
【氏名又は名称】守田化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】守田 豊重
(72)【発明者】
【氏名】高田 総
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/197898(WO,A1)
【文献】特表2012-504552(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0335264(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
FSTA/AGRICOLA/BIOSIS/BIOTECHNO/CABA/CAplus/SCISEARCH/TOXCENTER(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバウディオサイドO、
レバウディオサイドMおよびレバウディオサイドNを含むことを特徴とする甘味料組成物であって、
レバウディオサイドOの含有量(重量%)が、レバウディオサイドNの含有量(重量%)の110%~900%であ
り、
レバウディオサイドOの含有量(重量%)が、レバウディオサイドMの含有量(重量%)の110%~900%である、
甘味料組成物。
【請求項2】
レバウディオサイドOとレバウディオサイドNの総含有量が、2%~99重量%である、請求項1に記載の甘味料組成物。
【請求項3】
レバウディオサイドM、レバウディオサイドO、およびレバウディオサイドNのうち少なくとも1種以上が、親水性アルコールによって精製して得られていることを特徴とする、請求項1
または2に記載の甘味料組成物。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載の甘味料組成物および追加の甘味料を含む、組成物。
【請求項5】
前記追加の甘味料の重量と、前記甘味料組成物の重量との比率が、1:0.01~1:200であることを特徴とする請求項
4に記載の組成物。
【請求項6】
前記追加の甘味料が、レバウディオサイドAを含むことを特徴とする、請求項
4または
5に記載の組成物。
【請求項7】
前記レバウディオサイドAの含有量が、74~98重量%であることを特徴とする、請求項
6に記載の組成物。
【請求項8】
(i)レバウディオサイドNの含有量(重量%)が、レバウディオサイドDの含有量(重量%)の110%~900%である
、レバウディオサイドDを
さらに含む
請求項1に記載の甘味料組成物、および
(ii)レバウディオサイドA
を含む、組成物であって、
前記レバウディオサイドAの含有量が、74~98重量%であることを特徴とする、
組成物。
【請求項9】
請求項1~
3のいずれか1項に記載の甘味料組成物または請求項
4~
8のいずれか1項に記載の組成物を含むことを特徴とする食品。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか1項に記載の甘味料組成物の含有量が、0.0001~2.0重量%、0.005~0.3重量%または0.01~0.1重量%であることを特徴とする請求項
9に記載の食品。
【請求項11】
レバウディオサイドAの苦みマスキングフレーバ
ーである、請求項1~
3のいずれか1項に記載の甘味料組成物。
【請求項12】
請求項1~
3のいずれか1項に記載の甘味料組成物または請求項
4~
8のいずれか1項に記載の組成物と、食品とを混合する工程を包含する、食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステビオール配糖体を含む甘味料組成物、およびそれを含む食品に関する。
【背景技術】
【0002】
ステビアは南米パラグアイを原産地とする菊科多年生植物で、学名をステビア・レバウディアナ・ベルトニー(Stevia Rebaudiana Bertoni)という。ステビアは、砂糖の300倍の甘味を有するステビオサイドを主成分とし、レバウディオサイドA、レバウディオサイドC、レバウディオサイドD、レバウディオサイドE、およびズルコサイドA等の甘味成分を含んでいる。これらの甘味成分は、天然甘味料として使用されている。
【0003】
ステビアの主成分であるステビオサイドは古くからその存在が知られており、甘味料として使用されてきたが、ステビオサイドを甘味料として使用すると、苦味等の不快味が後味に残るので、その用途は限られたものであった。これに対して、ステビアに副甘味成分として含まれるレバウディオサイドAは、ステビオサイドよりも苦味が少ない良質の甘味と、ステビオサイドの1.3~1.5倍の甘味度とを有する。よって、ステビオサイドよりもレバウディオサイドAを多く含むステビア甘味料が望まれていた。本発明者らは、従来品種から交配選抜を繰り返して品種改良を行い、レバウディオサイドAを主成分として、ステビオサイドを副成分とするステビア品種(ステビア・レバウディアナ・ベルトニー・モリタ)を開発し、そのステビア品種からレバウディオサイド甘味料を開発した(特許文献1および2)。
【0004】
甘味料の甘味質は砂糖の甘味質が比較対象になり、砂糖の甘味質に近い甘味質を有する甘味料の作出が望まれている。現在までに消費者が十分に満足する甘味料を用いて砂糖の甘味質に近い甘味質を有する甘味料を作出するために様々な試みがなされたが、いずれの試みも優れた砂糖代替え甘味料を提供するには至っていない。たとえば、レバウディオサイドA甘味料と、スクラロースおよびアセスルファムK等の高甘味度人工甘味料との併用は、天然甘味料を要望する消費者の嗜好にそぐわない。また、レバウディオサイドA甘味料と、糖類および糖アルコール等との併用は、高カロリーであり、下痢症状を引き起こす等の問題点がある。さらにレバウディオサイドA甘味料と、香料などのマスキング剤との併用は、レバウディオサイドA甘味料の甘味自体をマスクしてしまうという問題点がある。レバウディオサイドAの純度を高めて味質を改善する試みもなされたが、十分に甘味質を改善した甘味料を得るには至っていない。
【0005】
最近では、ステビア・レバウディアナ・ベルトニー・モリタに含まれる甘味成分として新規ステビオール配糖体が見出され(特許文献3)、いずれの配糖体も砂糖代替え甘味料として使用するために十分な甘味質を有するもので有るが、植物体に僅かしか含まれず実用化はコスト的に困難であった。これらに鑑みて、砂糖の甘味質に近い甘味質を有する優れた天然甘味料が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-120218号公報
【文献】特開2012-090629号公報
【文献】特許第5604426号特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、ステビアは天然甘味料として注目されてきたが、その主成分であるステビオサイドの苦味と後味が問題になり、味質の改善が求められている。本発明者らはレバウディオサイドAを主成分とした甘味料を開発し、さらにレバウディオサイドAの純度を高めることで雑味を少なくした天然甘味料を開発している。しかしながら、食品に使用するために十分に甘味質の改善がなされた天然甘味料を開発するには至っていない。
【0008】
本発明の目的は、食品に使用することができる、砂糖の甘味質に近い甘味質を有する甘味料組成物、およびそれを含む食品を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、レバウディオサイドAの味質を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究の結果、数種のステビオール配糖体の特定の組み合わせがそれ自体で優れた甘味料として食品に使用することができること、さらには、それらの特定の組み合わせが、味質の改善効果および/または苦味のマスキング効果を有していることを見出した。本発明者らは、それらのステビオール配糖体の特定の組み合わせを甘味料(例えば、レバウディオサイドA)に添加することによって、甘味料の甘味質を改善し、苦味が残るとされてきたレバウディオサイドAの苦味をマスキングすることができ、食品に使用することができる優れた甘味質を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明は、レバウディオサイドO、および/またはレバウディオサイドNを含む甘味料組成物である。
【0012】
本発明は、レバウディオサイドOの含有量が1~98重量%であり、レバウディオサイドNの含有量が1~98重量%であり、レバウディオサイドO、およびレバウディオサイドNの総含有量が2~99重量%である甘味料組成物である。
【0013】
本発明は、レバウディオサイドDおよびレバウディオサイドMのうち少なくとも1種と、レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドNのうち少なくとも1種とを含む甘味料組成物である。
【0014】
本発明は、レバウディオサイドDの含有量が0~98重量%であり、レバウディオサイドMの含有量が0~98重量%であり、レバウディオサイドOの含有量が0~99重量%であり、レバウディオサイドNの含有量が0~99重量%であり、レバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドO、およびレバウディオサイドNの総含有量が1~99重量%である甘味料組成物である。
【0015】
本発明は、レバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドO、およびレバウディオサイドNのうち少なくとも1種以上が、ステビアの抽出物から得られるものである甘味料組成物である。
【0016】
本発明は、レバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドO、およびレバウディオサイドNのうち少なくとも1種以上が、ステビアの抽出物を親水性アルコールによって精製して得られるものである甘味料組成物である。
【0017】
本発明は、さらに甘味料を含む甘味料組成物である。
【0018】
本発明は、甘味料の重量と、当該甘味料を除いた前記甘味料組成物の重量との比率が、1:0.01~1:200である甘味料組成物である。
【0019】
本発明は、前記甘味料がレバウディオサイドAを含む甘味料組成物である。
【0020】
本発明は、ステビオール配糖体に添加される甘味料組成物である。
【0021】
本発明は、前記ステビオール配糖体の重量と、当該ステビオール配糖体を除いた前記甘味料組成物の重量との比率が、1:0.01~1:17である甘味料組成物である。
【0022】
本発明は、ステビオール配糖体がレバウディオサイドAを含むものである甘味料組成物である。
【0023】
本発明は、甘味料、またはステビオール配糖体におけるレバウディオサイドAの含有量が74~98重量%である甘味料組成物である。
【0024】
本発明は、甘味料組成物を含む食品である。
【0025】
本発明は、甘味料組成物の含有量が0.0001~2.0重量%である食品である。
【0026】
本発明は、甘味料の重量と、甘味料組成物の重量との比率が、1:0.01~1:99である苦味マスキングフレーバーである。
【0027】
本発明は、甘味料の重量と、甘味料組成物の重量との比率が、1:0.01~1:99であるフレーバーエンハンサーである。
【0028】
本発明は、甘味料の重量と、甘味料組成物の重量との比率が、1:0.01~1:99である苦味マスキング剤である
【0029】
一実施形態において、本願発明はレバウディオサイドO、およびレバウディオサイドNを含むことを特徴とする甘味料組成物である。
【0030】
一実施形態において、本願発明の甘味料組成物は、レバウディオサイドOの含有量が1~98重量%であり、レバウディオサイドNの含有量が1~98重量%であり、
レバウディオサイドO、およびレバウディオサイドNの総含有量が2~99重量%であることを特徴とする。
【0031】
一実施形態において、本願発明の甘味料組成物は、レバウディオサイドOをレバウディオサイドNよりも多く含むことを特徴とする。
【0032】
一実施形態において、本願発明の甘味料組成物は、レバウディオサイドDおよびレバウディオサイドMのうち少なくとも1種と、レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドNのうち少なくとも1種とを含むことを特徴とする。
【0033】
一実施形態において、本願発明の甘味料組成物は、レバウディオサイドDの含有量が0~98重量%であり、レバウディオサイドMの含有量が0~98重量%であり、レバウディオサイドOの含有量が0~99重量%であり、レバウディオサイドNの含有量が0~99重量%であり、
レバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドO、およびレバウディオサイドNの総含有量が1~99重量%であることを特徴とする。
【0034】
一実施形態において、本願発明の甘味料組成物は、レバウディオサイドDとレバウディオサイドNとを含み、レバウディオサイドNをレバウディオサイドDよりも多く含むことを特徴とする。
【0035】
一実施形態において、本願発明の甘味料組成物は、レバウディオサイドOとレバウディオサイドDとを含み、レバウディオサイドOの量をレバウディオサイドDよりも多く含むことを特徴とする。
【0036】
一実施形態において、本願発明の甘味料組成物は、レバウディオサイドOとレバウディオサイドMとを含み、レバウディオサイドOの量をレバウディオサイドMよりも多く含むことを特徴とする。
【0037】
一実施形態において、本願発明の甘味料組成物は、レバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドO、およびレバウディオサイドNのうち少なくとも1種以上が、ステビアの抽出物である。
【0038】
一実施形態において、本願発明の甘味料組成物は、レバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドO、およびレバウディオサイドNのうち少なくとも1種以上を、親水性アルコールによって精製して得られることを特徴とする。
【0039】
一実施形態において、本願発明は、本願発明の甘味料組成物と、追加の甘味料とを含む、組成物である。
【0040】
一実施形態において、本願発明の組成物は、追加の甘味料の重量と、甘味料組成物の重量との比率が、1:0.01~1:200であることを特徴とする。
【0041】
一実施形態において、本願発明の組成物は、追加の甘味料が、レバウディオサイドAを含むことを特徴とする。
【0042】
一実施形態において、本願発明の組成物は、レバウディオサイドAの含有量が、74~98重量%であることを特徴とする。
【0043】
一実施形態において、本願発明は、本願発明の甘味料組成物または本願発明の組成物を含むことを特徴とする食品である。
【0044】
一実施形態において、本願発明の食品は、本願発明の甘味料組成物の含有量が、0.0001~2.0重量%であることを特徴とする。
【0045】
一実施形態において、本願発明の食品は、本願発明の甘味料組成物の含有量が、0.005~0.3重量%であることを特徴とする。
【0046】
一実施形態において、本願発明の食品は、本願発明の甘味料組成物の含有量が、0.01~0.1重量%であることを特徴とする。
【0047】
一実施形態において、本願発明の甘味料組成物は、レバウディオサイドAの呈味改善剤である。
【0048】
一実施形態において、本願発明の甘味料組成物は、レバウディオサイドAの苦味マスキング剤である。
【0049】
一実施形態において、本願発明は、追加の甘味料と、本願発明の甘味料組成物とを、1:0.01~1:99の重量比で含むことを特徴とする苦みマスキングフレーバーである。
【0050】
一実施形態において、本願発明は、追加の甘味料と、本願発明の甘味料組成物とを、1:0.01~1:99の重量比で含むことを特徴とするフレーバーエンハンサーである。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、天然の甘味成分の特定の組み合わせを含む優れた砂糖代替え可能な甘味料組成物が提供される。この甘味料組成物は、それ自体でも優れた甘味料として食品に使用することができるだけではなく、他の甘味料と併用すると、他の甘味料の甘味質を改善することができ、および/または苦味をマスキングすることができる。本発明の甘味料組成物と、他の甘味料とを併用することによって、食品に使用することができる優れた甘味質を得ることができる。
【0052】
また、本発明の甘味料組成物を、多量に流通しているレバウディオサイドA甘味料に添加すると、レバウディオサイドA甘味料の甘味質を顕著に改善し、さらに/または苦味をマスキングすることができるので、一層優れた砂糖代替え天然甘味料として市場に多量に供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】実施例3において試料1について行った薄層クロマトグラフィーの結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下に本発明を、必要に応じて、添付の図面を参照して例示の実施例により説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0055】
本明細書中で、「甘味料組成物」とは、以下の特定のステビオール配糖体の組み合わせを含むものをいう。
・レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドN
・レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドD
・レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドM
・レバウディオサイドNおよびレバウディオサイドD
・レバウディオサイドNおよびレバウディオサイドM
【0056】
本発明において、レバウディオサイドMとOとの組み合わせが特に好ましい。追加の甘味料と組み合わされると、苦味マスキングはもちろんのこと、甘味においてまろやかさ、およびコクが向上し、追加の甘味料の甘味質が総合的に改善されるからである。
【0057】
本明細書中で、甘味料組成物に加えて「追加の甘味料」という場合、この「追加の甘味料」は、当該甘味料組成物に含まれる特定のステビオール配糖体以外の任意の甘味料である。追加の甘味料は、当該分野で公知の任意の甘味料であり得るが、好ましくは天然甘味料であり、より好ましくはステビオール配糖体であり、特に好ましくはレバウディオサイドAである。
【0058】
本明細書中で、「甘味質改善」および「呈味改善」は互換可能に使用され、残甘味の低減、苦味の低減、渋みの低減、メタリックテースト(金属味) の低減、リコリステーストの低減、コクの増加、または甘味発現迅速化のうちの1または複数をいう。本発明の甘味料組成物は、追加の甘味料の甘味質を改善することができ、特に苦味の低減(マスキング)効果を顕著に奏し得る。
【0059】
本明細書中で、「甘味質改善剤」および「呈味改善剤」は互換可能に使用され、食品に添加された場合に、それがない食品と比較して、甘味質改善または呈味改善効果を奏する任意の物質をいう。なお、レバウディオサイドOは、組み合わせのみならず単独でも、優れた甘味質改善剤であることが本発明者らによって発見された。レバウディオサイドOは、特にレバウディオサイドAに対して優れた甘味質改善効果および/または苦味マウスキング効果を奏する。
【0060】
本明細書で使用する場合、「苦みマスキングフレーバー」とは、食品に添加された場合に、それがない食品と比較して、食品において苦みをマスキングし、香味または風味を改善する任意の物質をいう。
【0061】
本明細書で使用する場合、「フレーバーエンハンサー」とは、食品に添加された場合に、それがない食品と比較して、食品の香味または風味を増強する任意の物質をいう。
【0062】
本発明の甘味料組成物は、レバウディオサイドOおよび/またはレバウディオサイドNを含む。
【0063】
本発明の甘味料組成物は、レバウディオサイドOの含有量が1~98重量%であり、レバウディオサイドNの含有量が1~98重量%であり、レバウディオサイドO、およびレバウディオサイドNの総含有量が2~99重量%である。好ましくは、レバウディオサイドOの含有量が10~60重量%であり、レバウディオサイドNの含有量が10~60重量%である。さらに好ましくは、レバウディオサイドOの含有量が30~40重量%であり、レバウディオサイドNの含有量が30~40重量%である。好ましい実施形態において、本発明の甘味料組成物は、重量%でレバウディオサイドOをレバウディオサイドNよりも多く含む。具体的には、本発明の甘味料組成物において、レバウディオサイドOの含有量(重量%)は、レバウディオサイドNの含有量(重量%)の110%以上、120%以上、150%以上、200%以上、300%以上、500%以上、700%または900%以上である。
【0064】
本発明の一実施形態において、本発明の甘味料組成物は、レバウディオサイドDおよびレバウディオサイドMのうち少なくとも1種と、レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドNのうち少なくとも1種とを含む。好ましくは、本発明の甘味料組成物は、レバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドO、およびレバウディオサイドNを含む。
【0065】
本発明の甘味料組成物における、レバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドO、およびレバウディオサイドNの含有量は、特に制限されるものではないが、たとえば、レバウディオサイドDの含有量が0~98重量%であり、レバウディオサイドMの含有量が0~98重量%であり、レバウディオサイドOの含有量が0~99重量%であり、レバウディオサイドNの含有量が0~99重量%である。好ましくは、レバウディオサイドDの含有量が10~60重量%であり、レバウディオサイドMの含有量が20~80重量%であり、レバウディオサイドOの含有量が10~60重量%であり、レバウディオサイドNの含有量が10~60重量%である。さらに好ましくは、レバウディオサイドDの含有量が10~30重量%であり、レバウディオサイドMの含有量が30~40重量%であり、レバウディオサイドOの含有量が30~40重量%であり、レバウディオサイドNの含有量が30~40重量%である。本発明の甘味料組成物における、レバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドO、およびレバウディオサイドNの総含有量は、1~99重量%、好ましくは10~99重量%、さらに好ましくは20~99重量%である。
【0066】
1つの実施形態において、本発明の甘味料組成物は、レバウディオサイドDとレバウディオサイドNとを含み、好ましくは、重量%でレバウディオサイドNをレバウディオサイドDよりも多く含む。具体的には、本発明の甘味料組成物において、レバウディオサイドNの含有量(重量%)は、レバウディオサイドDの含有量(重量%)の110%以上、120%以上、150%以上、200%以上、300%以上、500%以上、700%または900%以上である。
【0067】
別の実施形態において、本発明の甘味料組成物は、レバウディオサイドOとレバウディオサイドDとを含み、好ましくは、重量%でレバウディオサイドOをレバウディオサイドDよりも多く含む。具体的には、本発明の甘味料組成物において、レバウディオサイドOの含有量(重量%)は、レバウディオサイドDの含有量(重量%)の110%以上、120%以上、150%以上、200%以上、300%以上、500%以上、700%または900%以上である。
【0068】
別の実施形態において、本発明の甘味料組成物は、レバウディオサイドOとレバウディオサイドMとを含み、好ましくは、重量%でレバウディオサイドOをレバウディオサイドMよりも多く含む。具体的には、本発明の甘味料組成物において、レバウディオサイドOの含有量(重量%)は、レバウディオサイドMの含有量(重量%)の110%以上、120%以上、150%以上、200%以上、300%以上、500%以上、700%または900%以上である。
【0069】
別の実施形態において、本発明の甘味料組成物は、レバウディオサイドMとレバウディオサイドNとを含み、好ましくは、重量%でレバウディオサイドNをレバウディオサイドMよりも多く含む。具体的には、本発明の甘味料組成物において、レバウディオサイドNの含有量(重量%)は、レバウディオサイドMの含有量(重量%)の110%以上、120%以上、150%以上、200%以上、300%以上、500%以上、700%または900%以上である。
【0070】
レバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドO、およびレバウディオサイドNは、どのような方法で得られるものであってもよいが、たとえば、レバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドO、およびレバウディオサイドNのうち少なくとも1種以上が、ステビアの抽出物として得られるものであってもよい。具体的には、レバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドO、およびレバウディオサイドNは、これらの甘味成分が含まれるステビア品種を選択し、ステビア乾燥葉を、水または親水性溶媒で抽出し、公知の精製方法で脱色した後に濃縮し、乾燥した抽出物から得られる、もしくは抽出物をエタノール、メタノール等で結晶化してレバウディオサイドAおよびステビオサイドを不純物と共に除去し、さらに濃縮し、乾燥して得られたものであってもよい。なお、レバウディオサイドA、ステビオサイド、および不純物を除去する方法は、どのような方法であってもよい。
【0071】
レバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドO、およびレバウディオサイドNは、それぞれ単離してもよいし、レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドNが混在した状態で、またはレバウディオサイドDおよびレバウディオサイドMのうち少なくとも1種と、レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドNのうち少なくとも1種とが混在した状態でステビアの抽出物として得てもよい。各成分の単離コスト、単離効率等の経済的な観点から、複数の成分が混在した状態で得ることが好ましくあり得る。
【0072】
本発明の一実施形態において、レバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドO、およびレバウディオサイドNのうち少なくとも1種以上は、ステビアの抽出物を親水性アルコールによって再結晶して得られたものであってもよい。親水性アルコールは、たとえばメタノール、エタノールを用いることができる。
【0073】
本発明の一実施形態において、本発明は、本発明の甘味料組成物にさらに追加の甘味料を含む組成物であってもよい。本発明の甘味料組成物は、それ自体で優れた甘味質を有するだけではなく、他の追加の甘味料の甘味質を改善し、特に/または苦味をマスキングすることができるので、甘味料に対する呈味改善剤としても使用することができる。甘味料組成物と追加の甘味料とを含む本発明の組成物は、一層優れた甘味質を有する。追加の甘味料は、これらに限定されるものではないが、ステビオサイド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドE、レバウディオサイドF、レバウディオサイドG、レバウディオサイドH、レバウディオサイドI、レバウディオサイドJ、レバウディオサイドK、レバウディオサイドL、ズルコサイドA、ズルコサイドB、ステビオールバイオサイド、ステビオールモノサイド、ルブソサイド、グリチルリチン酸およびその塩類、モグロサイドIV、モグロサイドV、羅漢果、シアメノサイド、モナチンおよびその塩類、クルクリン、タウマチン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、ヘルナンズルチン、フィロズルチン、グリシフィリン、フロリジン、トリロバチン、バイユノサイド、オスラジン、ポリポドサイドA、プテロカリオサイドA、プテロカリオサイドB、ムクロジオサイド、フロミソサイドI、ペリアンドリンI、アブルソサイドA、シクロカリオサイドI等から選択される1種以上の天然甘味料であってもよい。本発明の甘味料組成物は、特にレバウデディオサイドAの甘味質を改善し、特に/または苦味をマスキングすることができる。
【0074】
甘味料と併用される甘味料組成物の甘味成分は、レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドNであってもよく、またはレバウディオサイドDおよびレバウディオサイドMのうち少なくとも1種と、レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドNのうち少なくとも1種とを組み合わせたものであってもよい。たとえば、レバウディオサイドDと、レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドNのうちいずれか1種以上とを甘味料と併用すれば、甘味料の甘味質を改善し、優れた甘味質にすることができる。好ましくは、レバウディオサイドDおよびレバウディオサイドMと、レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドNのうちいずれか1種以上とを甘味料と併用することが好ましい。また、レバウディオサイドDおよびレバウディオサイドMのうちいずれか1種以上と、レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドNとを甘味料と併用すれば、甘味料の甘味にまろやかさ、およびコクを持たせることができる。
【0075】
好ましい実施形態において、本発明の甘味料組成物は、レバウディオサイドMとレバウディオサイドOとの組み合わせである。
【0076】
甘味料と併用される甘味料組成物における、レバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドO、およびレバウディオサイドNの含有量は、特に限定されるものではないが、上述した範囲内であれば、追加の甘味料の甘味質改善効果を得ることができる。
【0077】
追加の甘味料の重量と、甘味料組成物の重量との比率は、特に限定されるものではないが、1:0.01~1:99であり、好ましくは1:0.1~1:99であり、さらに好ましくは1:0.2~1:99である。
【0078】
追加の甘味料の1重量部に対して0.01重量部未満の甘味料組成物を添加しても追加の甘味料の甘味質改善効果は顕著には得られないが、追加の甘味料の1重量部に対して0.01重量部以上の甘味料組成物を添加すると顕著に甘味料の甘味質改善効果が得られる。甘味料1重量部に対する甘味料組成物の添加量を0.01重量部から増加させることによって甘味料の甘味質改善効果を高めることができる。
【0079】
本発明の一実施形態において、追加の甘味料は、レバウディオサイドAを含むものであってもよい。本発明の甘味料組成物は、レバウディオサイドAと併用することによって、レバウディオサイドAの苦みをマスキングすることができる。あるいは/加えて、本発明の甘味料組成物は、レバウディオサイドAの甘味にまろやかさ、および/またはコクを持たせるなどの甘味質改善効果を得ることができる。また、レバウディオサイドAの純度が低い場合は顕著な味質改善効果が得られないので、レバウディオサイドAは結晶工程を経たレバウディオサイドAが好ましい。レバウディオサイドAは、高純度レバウディオサイドAであることが好ましい。なお、本発明において、「高純度レバウディオサイドA」とは、純度75%以上のレバウディオサイドAをいう。
【0080】
レバウディオサイドAと併用される甘味料組成物は、レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドNであってもよく、またはレバウディオサイドDおよびレバウディオサイドMのうち少なくとも1種と、レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドNのうち少なくとも1種とを組み合わせたものであってもよい。たとえば、レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドNをレバウディオサイドAと併用すれば、優れた甘味質の甘味料を得ることができる。好ましくは、レバウディオサイドDおよびレバウディオサイドMのうちのいずれか1種と、レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドNのうちいずれか1種以上とをレバウディオサイドAと併用することが好ましい。また、レバウディオサイドDおよびレバウディオサイドMのうちいずれか1種以上と、レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドNとをレバウディオサイドAと併用すれば、レバウディオサイドAの甘味に、さらにまろやかさ、およびコクが協調される。したがって、本発明の甘味料組成物において、レバウディオサイドMとレバウディオサイドOとの組み合わせが特に好ましい。
【0081】
本発明の甘味料組成物と追加の甘味料との組み合わせである、組成物におけるレバウディオサイドAの含有量は、特に限定されるものではないが、74~98重量%、好ましくは94~98重量%、さらに好ましくは96~98重量%である。追加の甘味料におけるレバウディオサイドAの含有量は、特に限定されるものではないが、75重量%以上、好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%であり、特に好ましくは99重量%以上である。
【0082】
本発明の一実施形態において、本発明の甘味料組成物は、ステビオール配糖体に添加されてもよい。ステビオール配糖体に添加される甘味料組成物における、レバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドO、およびレバウディオサイドNの含有量は、特に限定されるものではないが、上述した範囲内であれば、ステビオール配糖体の甘味質改善効果を得ることができる。
【0083】
ステビオール配糖体の重量と、当該ステビオール配糖体を除いた甘味料組成物の重量との比率は、特に限定されるものではないが、1:0.01~1:17、好ましくは1:0.2~1:17、さらに好ましくは1:1~1:17である。
【0084】
ステビオール配糖体は、特に限定されるものではないが、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドE、レバウディオサイドF、ステビオサイド等を使用することができる。また、酵素処理ステビアも使用することができる。
【0085】
本発明の一実施形態において、ステビオール配糖体は、レバウディオサイドAを含むものであってもよい。本発明の甘味料組成物と、追加の甘味料としてのステビオール配糖体とを含む組成物におけるレバウディオサイドAの含有量は、特に限定されるものではないが、74~98重量%、好ましくは94~98重量%、さらに好ましくは96~98重量%である。追加の甘味料としてのステビオール配糖体におけるレバウディオサイドAの含有量は、特に限定されるものではないが、75重量%以上、好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%であり、特に好ましくは99重量%以上である。
【0086】
本発明の食品は、本発明の甘味料組成物を含むことを特徴とする。本発明の甘味料組成物は優れた甘味質を有し、かつ追加の甘味料の甘味質改善効果を奏するので、当該追加の甘味料が使用される全ての食品に使用することが可能である。具体的には、これらに限定されるものではないが、キャンディー、ゼリー、飲料水、冷菓、粉末飲料、インスタント麺、ジャム、チューインガム、和菓子、健康食品、チョコレート、卓上甘味料、焼き菓子、珍味、水練り食品、ヨーグルト、乳酸菌飲料、乳酸飲料、コーヒー飲料、ココア飲料、茶飲料、リキュール、ワイン、シャーベット、シリアル食品、植物繊維含有食品、乾燥果実、ソース、醤油、味噌、食酢、ドレッシング、マヨネーズ、ケチャップ、カレー、スープ、米菓、アラレ類、パン類、ビスケット、クラッカー、ホットケーキの素、果物缶詰、野菜缶詰、野菜ジュース、食肉製品、魚肉練り製品、海産物、塩性食品、漬物、複合調味料、および嗜好性食品等に使用することが可能である。本発明の食品は、本発明の甘味料組成物を含むので、カロリー低下、糖類削減、融点降下、甘味質改善、および/または苦味マスキング効果等を得ることができる。
【0087】
さらに、経済効果を高めるためには、本発明の甘味料組成物を、サッカリンおよびその塩類、サイクラミン酸およびその塩類、スクラロース、アセスルファム酸およびその塩類、アスパルテーム、ネオテーム、アリテームネオヘスペリジンジヒドロカルコン、サイクラメート、アドバンテーム、グリコシル化ステビオールグリコサイド等から選択される1種以上の高甘味度人工甘味料とともに食品に添加することができ、糖質の味覚に慣れた消費者に対しては、本発明の甘味料組成物を、砂糖、果糖、ブドウ糖、異性化糖、希少糖、エリスリトール、マルチトール、ソルビトール、ラクチトール、マンニトール、キシリトール、タガトース、ラムノース、シクロデキストリン、トレオース、ガラクトース、リブロース、アラビノース、キシロース、アロース、マンノース、アルトロース、イドース、ラクトース、マルトース、トレハロース、イソトレハロース、ネオトレハロース、パラチノース、プシコース、ツラノース、セルビオース、グルコサミン、フコース、グルコン酸、グルクロン酸等の天然糖類とともに食品に添加することができ、またはエリスリトール、ソルビトール等の糖アルコールとともに食品に添加することができる。また、本発明の甘味料組成物は、希釈剤とともに食品に添加することができる。
【0088】
本発明の食品における本発明の甘味料組成物の含有量は、特に限定されるものではないが、0.0001~2.0重量%、好ましくは0.005~0.3重量%、さらに好ましくは0.01~0.1重量%である。
【0089】
1つの実施形態において、本発明の甘味料組成物と追加の甘味料とを含む組成物の、食品における含有量は、特に限定されるものではないが、0.0001~2.0重量%、好ましくは0.005~0.3重量%、さらに好ましくは0.01~0.1重量%である。上記組成物における、甘味料組成物と追加の甘味料との重量比は、0.01:1~200:1であり、好ましくは0.1:~200:1であり、さらに好ましくは0.2:1~200:1、1:1~200:1であり、特に好ましくは5:1~200:1または10:1~200:1である。
【0090】
また、本発明の甘味料組成物は、化粧品、および医薬品等にも使用することができる。
【0091】
本発明の甘味料組成物は、甘味料と併用して苦みマスキングフレーバーとすることもできる。本発明の苦みマスキングフレーバーにおいて、甘味料の重量と、甘味料組成物の重量との比率は、好ましくは、1:0.01~1:99である。
【0092】
本発明の甘味料組成物は、甘味料と併用してフレーバーエンハンサーとすることもできる。本発明のフレーバーエンハンサーにおいて、甘味料の重量と、甘味料組成物の重量との比率は、好ましくは、1:0.01~1:99である。
【0093】
本発明の甘味料組成物は、甘味料と併用して苦みマスキング剤とすることもできる。本発明の苦みマスキング剤において、甘味料の重量と、甘味料組成物の重量との比率は、好ましくは、1:0.01~1:99である。
【実施例】
【0094】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0095】
実施例1
ステビア乾燥葉1000gを15倍量の温水で3回抽出して抽出液を得た。得られた抽出液を、無極性吸着樹脂(ダイヤイオンHP20 三菱化学社製)1000mlを充填したカラムに通液し、水洗後、エタノールを用いて甘味成分を溶離し、続いて、減圧濃縮してアルコールを除去した。濃縮液を固形分が4%程度になるように水で希釈し、陽イオン交換樹脂(ダイヤイオンPA408 三菱化学社製)、および陰イオン交換樹脂(ダイヤイオンWA30 三菱化学社製)をそれぞれ200ml充填した2種のカラムに通して脱色した。脱色した液を減圧化して、固形分が30%程度になるまで濃縮し、さらに減圧乾燥器で乾燥させて粉末105g(粉末a)を得た。
【0096】
実施例2
実施例1で得られた粉末aは、レバウディオサイドA65重量%、ステビオサイド11重量%、およびレバウディオサイドC8重量%含むものであった。この粉末を90%エタノール10倍量に加熱溶解した後、4℃に冷却し、24時間放置した。放置後に得られ結晶(レバウディオサイドA90重量%、ステビオサイド4重量%、レバウディオサイドC1重量%)を分離除去した。
【0097】
実施例3
実施例2で分離された母液を減圧濃縮し、濃縮後の固形分が4%程度になるように水を添加して再度、無極性吸着樹脂を充填したカラム、陽イオン交換樹脂を充填したカラム、および陰イオン交換樹脂を充填したカラムに通し、濃縮、乾燥させた。乾燥後、結晶化させ、結晶を除去する操作を3回繰り返した。さらに活性炭を添加して濾過し、再度、無極性吸着樹脂を充填したカラム、陽イオン交換樹脂を充填したカラム、および陰イオン交換樹脂を充填したカラムに通して、濃縮、乾燥させた。レバウディオサイドA、ステビオサイド等が除去できなくなるまで同様の操作を繰り返して得られた最終分離母液を、濃縮、乾燥させてステビオール配糖体を含む粉末(試料1)を8.5g得た。
【0098】
得られた試料1について高速液体クロマトグラフィーを用いてその成分を分析した。分析結果は、下記の通りである。
レバウディオサイドO 11重量%
レバウディオサイドN 10重量%
レバウディオサイドD 22重量%
レバウディオサイドM 11重量%
【0099】
試料1の精製、分離方法は、上述の方法に限定されるものではなく、レバウディオサイドA、およびステビオサイドを除去することが可能であり、母液側にレバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドO、およびレバウディオサイドNが残る精製方法であれば、いかなる方法でもよい。
【0100】
(確認方法)
試料1において、レバウディオサイドD、レバウディオサイドM、レバウディオサイドO、およびレバウディオサイドNが主成分として存在し、レバウディオサイドA、およびステビオサイドの存在が微量であることを確認するために薄層クロマトグラフィーを行った。その結果を
図1に示す。
図1において、試料1+95%RAは、試料1と95%RAを2:1の割合で混合した試料を表し、RAはレバウディオサイドAを表し、RMはレバウディオサイドMを表し、RDはレバウディオサイドDを表し、RNはレバウディオサイドNを表し、ROはレバウディオサイドOを表す。
展開条件 25℃
TLC Silica gel 60
展開溶媒 クロロホルム:メタノール:水=60:40:8
発色方法 50%硫酸
確認
図1
【0101】
実施例4
実施例1で得られた粉末aに加えて、別途、粉末b(レバウディオサイドA75重量%、ステビオサイド8重量%、レバウディオサイドC2重量%)、粉末c(レバウディオサイドA95重量%、ステビオサイド1重量%)、粉末d(レバウディオサイドA99重量%)を準備し、粉末a~dの1重量部に対して、試料1を0.005重量部~99重量部を添加した0.1重量%水溶液を調製した。ステビアの甘味質に精通したパネラー10名によって、粉末a~dについて、レバウディオサイドAの甘味質改善効果を確認した。なお、甘味質改善効果の中で、苦味マスキング効果が強いため、苦味マスキング効果が奏されたものについてのみ甘味質改善効果を総合的に判断し、苦味マスキング効果のないものについては効果なしとした。結果を以下の表1に示す。表1における0~10の数字は、甘味質改善効果、および苦みマスキング効果があったとするパネラーの人数を示す。
【0102】
【0103】
粉末aに対して試料1を添加することによる甘味質の改善効果、および苦味マスキング効果はほとんど確認できなかった。しかしながら、粉末b~dに試料1を添加した場合は、試料1を0.01重量部以上添加すると甘味質の改善効果、および苦味のマスキング効果が確認できた。
【0104】
実施例5
実施例3で得られた試料1の7.0gをエタノール40mlに加熱溶解し、4℃で24時間放置した。得られた結晶を分離し、真空乾燥機で乾燥し、3.91gの白色結晶(試料2)を得た。
得られた試料2について、実施例1と同様に高速液体クロマトグラフィーを用いてその成分を分析した。分析結果は、下記の通りである。
レバウディオサイドO 21重量%
レバウディオサイドN 19重量%
レバウディオサイドD 33重量%
レバウディオサイドM 9重量%
【0105】
実施例6
試料2について、実施例4と同様に甘味質改善効果、および苦味マスキング効果を確認した。結果を以下の表2に示す。表2における0~10の数字は、甘味質改善効果、および苦みマスキング効果があったとするパネラーの人数を示す。
【0106】
【0107】
粉末aに対して試料2を添加することによる甘味質の改善効果、および苦味マスキング効果はほとんど確認できなかった。しかしながら、粉末b~dに試料2を添加した場合は、試料2を0.01重量部以上添加すると甘味質の改善効果、および苦味のマスキング効果が確認できた。
【0108】
実施例7
実施例5で得られた試料2の2.0gを吸着剤樹脂を充填したカラムを複数回通し、さらに結晶を繰り返し、レバウディオサイドO、レバウディオサイドN、レバウディオサイドD、レバウディオサイドMの各ステビオール配糖体を分離し、真空乾燥機で乾燥し、それぞれ0.42g、0.38g、0.65g、0.18gの白色結晶(試料3、4、5、6)を得た。
得られた試料3、4、5および6について、実施例1と同様に高速液体クロマトグラフィーを用いてその成分を分析した。分析結果は、下記の通りである。
試料3 レバウディオサイドO 99重量%
試料4 レバウディオサイドN 99重量%
試料5 レバウディオサイドD 99重量%
試料6 レバウディオサイドM 99重量%
【0109】
実施例8
実施例7で得られた試料3と試料4とを99:1で混合した試料(試料7)について、実施例4と同様に甘味質改善効果、および苦味マスキング効果を確認した。結果を以下の表3に示す。表3における0~10の数字は、甘味質改善効果、および苦みマスキング効果があったとするパネラーの人数を示す。
【0110】
【0111】
粉末aに対して試料7を添加することによる甘味質の改善効果、および苦味マスキング効果はほとんど確認できなかった。しかしながら、粉末b~dに試料7を添加した場合は、試料7を0.01重量部以上添加すると甘味質の改善効果、および苦味のマスキング効果が確認できた。
【0112】
実施例9
実施例7で得られた試料4と試料6とを99:1で混合した試料(試料8)について、実施例4と同様に甘味質改善効果、および苦味マスキング効果を確認した。結果を以下の表4に示す。表4における0~10の数字は、甘味質改善効果、および苦みマスキング効果があったとするパネラーの人数を示す。
【0113】
【0114】
粉末aに対して試料8を添加することによる甘味質の改善効果、および苦味マスキング効果はほとんど確認できなかった。しかしながら、粉末b~dに試料8を添加した場合は、試料8を0.01重量部以上添加すると甘味質の改善効果、および苦味のマスキング効果が確認できた。
【0115】
実施例10
実施例7で得られた試料3と試料5とを1:99で混合した試料(試料9)について、実施例4と同様に甘味質改善効果、および苦味マスキング効果を確認した。結果を以下の表5に示す。表5における0~10の数字は、甘味質改善効果、および苦みマスキング効果があったとするパネラーの人数を示す。
【0116】
【0117】
粉末aに対して試料9を添加することによる甘味質の改善効果、および苦味マスキング効果はほとんど確認できなかった。しかしながら、粉末b~dに試料9を添加した場合は、試料9を0.01重量部以上添加すると甘味質の改善効果、および苦味のマスキング効果が確認できた。
【0118】
実施例11
羅漢果1部に対し試料2を0.005~99部加え、甘味質改善効果、および苦味マスキング効果を確認した。結果を以下の表6に示す。表6における0~10の数字は、甘味質改善効果、および苦みマスキング効果があったとするパネラーの人数を示す。
【0119】
【0120】
羅漢果1重量部に対して試料2を0.005重量部添加することによる甘味質の改善効果、および苦味マスキング効果はほとんど確認できなかった。しかしながら、試料2を0.01重量部以上添加すると甘味質の改善効果、および苦味のマスキング効果が確認できた。
実施例12
粉末a~dの1重量部に対して、試料3を1重量部添加した0.1重量%水溶液を調製した。ステビアの甘味質に精通したパネラー10名によって、試料3のレバウディオサイドAに対する甘味質改善効果を確認した。結果を以下の表7に示す。表7における0~10の数字は、甘味質改善効果、および苦みマスキング効果があったとするパネラーの人数を示す。
【表7】
試料3(レバウディオサイドO)のレバウディオサイドAに対する甘味質改善効果(特に、苦味マスキング効果)は、レバウディオサイドAの純度が高いほど顕著に観察された。
【0121】
実施例13
実施例4で使用した粉末cの1重量部に対して、試料3(レバウディオサイドO)、試料4(レバウディオサイドN)、試料3および試料4の90:10混合物、または試料3および試料4の10:90混合物を0.01~10重量部添加した0.1重量%水溶液を調製した。ステビアの甘味質に精通したパネラー10名によって、これら4種類の試料について、レバウディオサイドAに対する甘味質改善効果を確認し、点数による評価もまた行った。結果を以下の表8および表9に示す。
【0122】
表8における0~10の数字は、甘味質改善効果があったとするパネラーの人数を示す。
【0123】
表9における数字は、各パネラーの点数の合計である。各パネラーは、効果が無いと感じた場合には0点をつけ、添加した試料の重量部(濃度)が同じである条件下で試料間を比較した場合に、効果が感じられた試料のうち最も効果が弱いものに1点、その後、効果が弱い順に2点、3点、4点と点数を付けた。
【表8】
【表9】
この試験によって、レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドNは、単独で使用する場合と比較して、組み合わせて使用した場合に顕著に優れたレバウディオサイドAの甘味質改善効果(特に、苦味マスキング効果)が得られることが確認された。レバウディオサイドOとレバウディオサイドNとの組み合わせにおいて、レバウディオサイドOの量をレバウディオサイドNよりも多くすることが好ましいようであった。
【0124】
実施例14
実施例4で使用した粉末cの1重量部に対して、試料4(レバウディオサイドN)、試料5(レバウディオサイドD)、試料5および試料4の90:10混合物、または試料5および試料4の10:90混合物を0.01~10重量部添加した0.1重量%水溶液を調製した。実施例13と同様に、これら試料について、レバウディオサイドAに対する甘味質改善効果を、パネラー人数および点数によって評価した。
【表10】
【表11】
この試験によって、レバウディオサイドNおよびレバウディオサイドDは、単独で使用する場合と比較して、組み合わせて使用した場合に顕著に優れたレバウディオサイドAの甘味質改善効果(特に、苦味マスキング効果)が得られることが確認された。レバウディオサイドNとレバウディオサイドDとの組み合わせにおいて、レバウディオサイドNの量をレバウディオサイドDよりも多くすることが好ましいようであった。
【0125】
なお、試料5および試料4の90:10混合物を0.1部添加することは、試料5を0.09部添加し、試料4を0.01部添加することに相当する。しかし、試料5および試料4の90:10混合物を0.1部添加した場合のパネラー人数による評価(8名)は、試料5を0.1部添加した場合のパネラー人数による評価(2名)と、試料4を0.01部添加した場合のパネラー人数による評価(3名)との合計を超えるものであった。同様に、試料5および試料4の10:90混合物を0.1部添加した場合の評価も、試料5および試料4をそれぞれ単独添加した場合の評価の合計を超えるものであった。これらのことから、レバウディオサイドNとレバウディオサイドDとの組み合わせは、相乗的にレバウディオサイドAの甘味質改善効果を奏すると考えられる。
【0126】
実施例15
実施例4で使用した粉末cの1重量部に対して、試料3(レバウディオサイドO)、試料5(レバウディオサイドD)、試料5および試料3の90:10混合物、または試料5および試料3の10:90混合物を0.01~10重量部添加した0.1重量%水溶液を調製した。実施例13と同様に、これら試料について、レバウディオサイドAに対する甘味質改善効果を、パネラー人数および点数によって評価した。
【表12】
【表13】
この試験によって、レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドDは、単独で使用する場合と比較して、組み合わせて使用した場合に顕著に優れたレバウディオサイドAの甘味質改善効果(特に、苦味マスキング効果)が得られることが確認された。レバウディオサイドOとレバウディオサイドDとの組み合わせにおいて、レバウディオサイドOの量をレバウディオサイドDよりも多くすることが好ましいようであった。
【0127】
実施例16
実施例4で使用した粉末cの1重量部に対して、試料3(レバウディオサイドO)、試料6(レバウディオサイドM)、試料6および試料3の90:10混合物、または試料6および試料3の10:90混合物を0.01~10重量部添加した0.1重量%水溶液を調製した。実施例13と同様に、これら試料について、レバウディオサイドAに対する甘味質改善効果を、パネラー人数および点数によって評価した。
【表14】
【表15】
この試験によって、レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドMは、単独で使用する場合と比較して、組み合わせて使用した場合に顕著に優れたレバウディオサイドAの甘味質改善効果(特に、苦味マスキング効果)が得られることが確認された。また、レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドMの組み合わせは、レバウディオサイドAの甘味においてまろやかさ、およびコクを増加させ、特に好ましい。なお、レバウディオサイドOとレバウディオサイドMとの組み合わせにおいて、レバウディオサイドOの量をレバウディオサイドMよりも多くすることが好ましいようであった。
【0128】
実施例17
実施例4で使用した粉末cの1重量部に対して、試料6(レバウディオサイドM)、試料4(レバウディオサイドN)、試料6および試料4の90:10混合物、または試料6および試料4の10:90混合物を0.01~10重量部添加した0.1重量%水溶液を調製した。実施例13と同様に、これら試料について、レバウディオサイドAに対する甘味質改善効果を、パネラー人数および点数によって評価した。
【表16】
【表17】
この試験によって、レバウディオサイドMおよびレバウディオサイドNは、単独で使用する場合と比較して、組み合わせて使用した場合に顕著に優れたレバウディオサイドAの甘味質改善効果(特に、苦味マスキング効果)が得られることが確認された。レバウディオサイドMとレバウディオサイドNとの組み合わせにおいて、レバウディオサイドNの量をレバウディオサイドMよりも多くすることが好ましいようであった。
【0129】
試料6および試料4の90:10混合物を0.1部添加することは、試料6を0.09部添加し、試料4を0.01部添加することに相当する。しかし、試料6および試料4の90:10混合物を0.1部添加した場合のパネラー人数による評価(9名)は、試料6を0.1部添加した場合のパネラー人数による評価(4名)と、試料4を0.01部添加した場合のパネラー人数による評価(3名)との合計を超えるものであった。同様に、試料6および試料4の10:90混合物を0.1部添加した場合の評価も、試料6および試料4をそれぞれ単独添加した場合の評価の合計を超えるものであった。これらのことから、レバウディオサイドNとレバウディオサイドMとの組み合わせは、相乗的にレバウディオサイドAの甘味質改善効果を奏すると考えられる。
【0130】
実施例18
実施例4で使用した粉末cの1重量部に対して、試料5(レバウディオサイドD)、試料5と試料6(レバウディオサイドM)と試料3(レバウディオサイドO)の30:30:40混合物、試料5と試料6と試料4(レバウディオサイドN)の40:40:20混合物または試料5と試料6と試料3と試料4の20:20:30:30混合物を0.01~10重量部添加した0.1重量%水溶液を調製した。実施例13と同様に、これら試料について、レバウディオサイドAに対する甘味質改善効果を、パネラー人数および点数によって評価した。
【表18】
【表19】
この試験によって、レバウディオサイドD単独で使用する場合と比較して、レバウディオサイドN、M、Oなどと組み合わせて使用した場合に顕著に優れたレバウディオサイドAの甘味質改善効果(特に、苦味マスキング効果)が得られることが確認された。
【0131】
実施例19
実施例4で使用した粉末cの1重量部に対して、試料5(レバウディオサイドD)および試料6(レバウディオサイドM)の50:50混合物、試料5および試料3(レバウディオサイドO)の50:50混合物、または試料5および試料4(レバウディオサイドN)の50:50混合物を0.01~10重量部添加した0.1重量%水溶液を調製した。実施例13と同様に、これら試料について、レバウディオサイドAに対する甘味質改善効果を、パネラー人数および点数によって評価した。
【表20】
【表21】
表20および21の結果から明らかなように、レバウディオサイドDをレバウディオサイドMと組み合わせても、レバウディオサイドAに対する甘味質改善効果および苦みマスキング効果は見られなかったが、レバウディオサイドDをレバウディオサイドOまたはNと組み合わせると、レバウディオサイドAに対する顕著な甘味質改善効果(特に、苦みマスキング効果)が確認された。
【0132】
実施例20
実施例19の試験を、それぞれの試料の混合比を50:50から90:10に変更した以外は同様の条件で実施した。
【表22】
【表23】
実施例19において確認された効果は、各レバウディオサイドの混合比に依らずに奏されるものであることが確認された。
【0133】
実施例21
実施例4で使用した粉末cの1重量部に対して、試料5(レバウディオサイドD)および試料6(レバウディオサイドM)の50:50混合物、試料3(レバウディオサイドO)および試料6の50:50混合物、または試料4(レバウディオサイドN)および試料6の50:50混合物を0.01~10重量部添加した0.1重量%水溶液を調製した。実施例13と同様に、これら試料について、レバウディオサイドAに対する甘味質改善効果を、パネラー人数および点数によって評価した。
【表24】
【表25】
表24および25の結果から明らかなように、レバウディオサイドMをレバウディオサイドDと組み合わせても、レバウディオサイドAに対する甘味質改善効果(特に、苦みマスキング効果)は見られなかったが、レバウディオサイドMをレバウディオサイドOまたはNと組み合わせると、レバウディオサイドAに対する顕著な甘味質改善効果(特に、苦みマスキング効果)が確認された。
【0134】
実施例22
実施例21の試験を、それぞれの試料の混合比を50:50から10:90に変更した以外は同様の条件で実施した。
【表26】
【表27】
実施例21において確認された効果は、各レバウディオサイドの混合比に依らずに奏されるものであることが確認された。
【0135】
実施例23
実施例4で使用した粉末cの1重量部に対して、RB(レバウディオサイドB)、試料3(レバウディオサイドO)およびRBの90:10混合物、または試料3および試料4(レバウディオサイドN)の90:10混合物を0.01~10重量部添加した0.1重量%水溶液を調製した。実施例13と同様に、これら試料について、レバウディオサイドAに対する甘味質改善効果を、パネラー人数によって評価した。
【表28】
さらに、各レバウディオサイドの混合比率を変えて同様の評価を行った。
【表29】
表28および29の結果から、これまでの実施例で確認されたレバウディオサイドOとレバウディオサイドNとの組み合わせによる効果が、単にレバウディオサイドOを任意のレバウディオサイド(本実施例においてはレバウディオサイドB)と組み合わせることによって得られるものではなく、レバウディオサイドNと組み合わせることによって得られるものであることが確認された。レバウディオサイドDとの組み合わせ(実施例15)またはレバウディオサイドMとの組み合わせ(実施例16)による効果についても同様であると考えられる。
【0136】
実施例24
実施例4で使用した粉末cの1重量部に対して、RC(レバウディオサイドC)、試料4(レバウディオサイドN)およびRCの90:10混合物、または試料3(レバウディオサイドO)および試料4の90:10混合物を0.01~10重量部添加した0.1重量%水溶液を調製した。実施例13と同様に、これら試料について、レバウディオサイドAに対する甘味質改善効果を、パネラー人数によって評価した。
【表30】
さらに、各レバウディオサイドの混合比率を変えて同様の評価を行った。
【表31】
表30および31の結果から、これまでの実施例で確認されたレバウディオサイドNとレバウディオサイドOとの組み合わせによる効果が、単にレバウディオサイドNを任意のレバウディオサイド(本実施例においてはレバウディオサイドC)と組み合わせることによって得られるものではなく、レバウディオサイドOと組み合わせることによって得られるものであることが確認された。レバウディオサイドDとの組み合わせ(実施例14)またはレバウディオサイドMとの組み合わせ(実施例17)による効果についても同様であると考えられる。
【0137】
実施例25 飴
粉末c0.3g、パラチニット100g、0.1mLレモン香料で調製した飴と、粉末cの1重量部に対して試料1を0.1重量部添加した甘味料0.3g、パラチニット100g、0.1mLレモン香料で調製した飴を作製し、比較した。粉末cに試料1を添加した甘味料を使用した方が、コクが増し、苦味が少なくなった。さらに、レモンの香りが強くなり、持続した。
【0138】
さらに、粉末c0.05g、パラチニット100g、クエン酸1.4g、0.1mLレモン香料で調製した飴と、粉末c0.05g、試料1を、0.0025g、パラチニット100g、クエン酸1.4g、0.1mLレモン香料で調製した飴と、粉末c0.05g、試料1を0.005g、パラチニット100g、クエン酸1.4g、0.1mLレモン香料で調製した飴と、粉末c0.05g、試料3を0.0025g、試料5を0.0025g、パラチニット100g、クエン酸1.4g、0.1mLレモン香料で調製した飴と、粉末c0.05g、試料3を0.0025g、試料6を0.0025g、パラチニット100g、クエン酸1.4g、0.1mLレモン香料で調製した飴を作製し、比較した。以下に結果を表で示す。
【表32】
【表33】
試料1よりも、試料3と試料5との組み合わせ(レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドD)がより粉末cに対する甘味質改善効果があり、試料3と試料6(レバウディオサイドOおよびレバウディオサイドM)との組み合わせはさらに甘味質改善効果が高かった。また、レモンの香りの増強および持続効果についても、甘味質改善効果と同様の傾向が観察された。
【0139】
実施例26 ミルクゼリー
粉末d0.03g、砂糖15g、牛乳250g、ゼラチン5g、3mLミルクフレーバーで調製したミルクゼリーと、粉末dの1重量部に対して試料2を0.2重量部添加した甘味料0.03g、砂糖15g、牛乳250g、ゼラチン5g、3mLミルクフレーバーで調製したミルクゼリーを作製し、比較した。
粉末dに試料2を添加した甘味料を使用した方が、コクが増し、苦味が少なくなった。さらに、ミルクフレーバーの香りが強くなり、持続した。
【0140】
さらに、粉末c0.03g、砂糖15g、牛乳250g、ゼラチン5g、3mLミルクフレーバーで調製したミルクゼリーと、粉末c0.03g、試料1を0.003g、砂糖15g、牛乳250g、ゼラチン5g、3mLミルクフレーバーで調製したミルクゼリーと、粉末c0.03g、試料4を0.0015g、試料5を0.0015g、砂糖15g、牛乳250g、ゼラチン5g、3mLミルクフレーバーで調製したミルクゼリーと、粉末c0.03g、試料4を0.0015g、試料6を0.0015g、砂糖15g、牛乳250g、ゼラチン5g、3mLミルクフレーバーで調製したミルクゼリーを作製し、比較した。以下に結果を表で示す。
【表34】
【表35】
試料1よりも、試料4と試料5との組み合わせ(レバウディオサイドNおよびレバウディオサイドD)がより粉末cに対する甘味質改善効果があり、試料4と試料6(レバウディオサイドNおよびレバウディオサイドM)との組み合わせはさらに甘味質改善効果が高かった。また、ミルクフレーバーの香りの増強および持続効果についても、甘味質改善効果と同様の傾向が観察された。
【0141】
実施例27 スポーツ飲料
粉末dの1重量部に対して試料1を1重量部添加した甘味料0.07重量%、乳酸カルシウム0.11重量%、クエン酸0.045重量%、クエン酸三ナトリウム0.03重量%、塩化マグネシウム0.015重量%、グルタミン酸0.005重量%、および水99.725重量%のスポーツ飲料を調製した。
【0142】
さらに、乳酸カルシウム0.11重量%、クエン酸0.045重量%、クエン酸三ナトリウム0.03重量%、塩化マグネシウム0.015重量%、グルタミン酸0.005重量%、および水99.755重量%を混合したものをべースに、粉末c0.04gで調製したスポーツ飲料と、粉末c0.04g、試料1を0.004gで調製したスポーツ飲料と、粉末c0.04g、試料5を0.002g、試料3を0.002gで調製したスポーツ飲料と、粉末c0.04g、試料5を0.002g、試料4を0.002gで調製したスポーツ飲料を作製し、比較した。以下に結果を表で示す。
【表36】
【表37】
試料1よりも、試料5と試料4との組み合わせ(レバウディオサイドDおよびレバウディオサイドN)がより粉末cに対する甘味質改善効果があり、試料5と試料3(レバウディオサイドDおよびレバウディオサイドO)との組み合わせはさらに甘味質改善効果が高かった。
【0143】
実施例28 炭酸飲料
粉末dの1重量部に対して試料1を0.3重量部添加した甘味料0.013重量%、果糖5.4重量%、クエン酸0.6重量%、アルギン酸0.1重量%、イノシトール0.1重量%、カフェイン0.0025重量%、パントテン酸カルシウム0.003重量%、ナイアシンアミド0.003重量%、ビタミンB6 0.002重量%、ビタミンB2 0.00009重量%、ビタミンB12 0.000002重量%、適量の香料、および適量の水で100重量%とし、炭酸ガスを注入して炭酸飲料を調製した。
【0144】
さらに、果糖5.4重量%、クエン酸0.6重量%、アルギン酸0.1重量%、イノシトール0.1重量%、カフェイン0.0025重量%、パントテン酸カルシウム0.003重量%、ナイアシンアミド0.003重量%、ビタミンB6 0.002重量%、ビタミンB2 0.00009重量%、ビタミンB12 0.000002重量%、適量の香料、および適量の水で100重量%としたものをべースに、粉末c0.01gを添加し、炭酸ガスを注入して炭酸飲料を調製した。同様に、粉末c0.01gの代わりに、粉末c0.01g、試料1を0.001g添加し、炭酸ガスを注入して炭酸飲料を調製した。粉末c0.01g、試料6を0.0005g、試料3を0.0005g添加し、炭酸ガスを注入して炭酸飲料を調製した。粉末c0.01g、試料6を0.0005g、試料4を0.0005g添加し、炭酸ガスを注入して炭酸飲料を調製し、比較した。以下に結果を表で示す。
【表38】
【表39】
試料1よりも、試料6と試料4との組み合わせ(レバウディオサイドMおよびレバウディオサイドN)がより粉末cに対する甘味質改善効果があり、試料6と試料3(レバウディオサイドMおよびレバウディオサイドO)との組み合わせはさらに甘味質改善効果が高かった。
【0145】
実施例29 テーブルシュガー1) 0.15gの試料1と、エリスリトール99.85gとを混合してテーブルシュガーを調製した。
2) 粉末bの1重量部に対して試料1を0.1重量部添加した甘味料0.1gと、粉糖99.9gとを混合してテーブルシュガーを調製した。
3) 粉末cの1重量部に対して試料1を0.2重量部添加した甘味料0.1gと、ブドウ糖果糖液糖99.9gとを混合してテーブルシュガーを調製した。
4) 粉末dの1重量部に対して試料1を10重量部添加した甘味料0.15gと、エリスリトール99.85gとを混合してテーブルシュガーを調製した。
【0146】
さらに、エリスリトール2gと粉末c0.046gとを混合してテーブルシュガーを調製した。同様に、エリスリトール2gと粉末c0.046gの代わりに、粉末c0.046g、試料1を0.0046g混合してテーブルシュガーを調製した。粉末c0.046g、試料4を0.0023g、試料5を0.0023g混合してテーブルシュガーを調製した。粉末c0.046g、試料3を0.0023g、試料6を0.0023g混合してテーブルシュガーを調製し、比較した。以下に結果を表で示す。
【表40】
【表41】
試料1よりも、試料4と試料5との組み合わせ(レバウディオサイドNおよびレバウディオサイドD)がより粉末cに対する甘味質改善効果があり、試料3と試料6(レバウディオサイドMおよびレバウディオサイドO)との組み合わせはさらに甘味質改善効果が高かった。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明の甘味料組成物は、それ自体で優れた砂糖代替え甘味料として食品、医薬品、および化粧品に使用することができる。また、本発明の甘味料組成物は、追加の甘味料と併用することによって、追加の甘味料の甘味質を改善し、特に/または苦味をマスキングすることができ、優れた砂糖代替え甘味料として、食品、医薬品、および化粧品に使用することができる。