(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】回転円盤型連続自動生物飼育装置
(51)【国際特許分類】
A01K 67/033 20060101AFI20231011BHJP
A01K 67/04 20060101ALI20231011BHJP
B09B 3/60 20220101ALI20231011BHJP
C12M 1/10 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
A01K67/033 502
A01K67/04 304Z
B09B3/60
C12M1/10
(21)【出願番号】P 2022021493
(22)【出願日】2022-02-15
【審査請求日】2022-02-15
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】522060489
【氏名又は名称】蜻▲蛉▼創意有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】石 正人
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112385609(CN,A)
【文献】実開昭54-155997(JP,U)
【文献】特開平08-173945(JP,A)
【文献】特開2009-033997(JP,A)
【文献】特開2001-247388(JP,A)
【文献】特開2002-017338(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0194082(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 67/033- 67/04
B09B 3/00 - 3/80
C05F 3/00 - 9/04
C12M 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飼育槽を形成するために長手方向に互いに積層された複数の回転円盤型飼育箱であって、各前記回転円盤型飼育箱は、前記回転円盤型飼育箱の内部空間を区画することで、
複数の飼育区画を形成する
複数の押え板と、前記回転円盤型飼育箱の底部に配置された下部供給口とを含
み、各前記回転円盤型飼育箱において前記飼育区画が前記長手方向に前記下部供給口と重なる際、前記下部供給口を含む飼育区画となる、
複数の回転円盤型飼育箱と、
前記複数の回転円盤型飼育箱を長手方向に沿って貫通する中央回転軸と、
を備える、回転盤式連続自動生物飼育装置であって、
前記飼育区画は、生物体や他の有機物が不意に他の飼育区画に入らないように収容でき、
前記各回転円盤型飼育箱における
複数の押え板が前記中央回転軸に固定的に接続され、前記中央回転軸は、モータまたはペダルを介して前記
複数の押え板を、前記回転円盤型飼育箱の底部に対して第1の回転方向に回転させるように構成され、
前記長手方向において、互いに隣り合った層の前記回転円盤型飼育箱における前記下部供給口を含む前記飼育区画は重なっておらず、
前記複数の回転円盤型飼育箱のうち最上層の
回転円盤型飼育箱が、培養する生物を受け入れるように構成されており、前記中央回転軸によって前記各回転円盤型飼育箱における前記
複数の押え板が回転すると、
各前記回転円盤型飼育箱における前記下部供給口を含む前記飼育区画が別の飼育区画に引き換えるように、複数の前記押え板が前記第1の回転方向に回転し、それによって、前記別の飼育区画における生物が次の層の前記回転円盤型飼育箱に落ちる、ことを特徴とする、回転盤式連続自動生物飼育装置。
【請求項2】
複数の前記回転円盤型飼育箱の前記下部供給口の位置は、
前記長手方向において、第1の回転方向とは逆となる第2の回転方向に沿って
上から下に互いに
所定の角度だけで重ならないように配置され、所定の角度は360°/nであり、nは複数の前記回転円盤型飼育箱の総数であることを特徴とする、請求項1に記載の回転盤式連続自動生物飼育装置。
【請求項3】
最下層の前記回転円盤型飼育箱の直径が最上層の前記回転円盤型飼育箱の直径よりも大きく、複数の前記回転円盤型飼育箱の直径が最上層の前記回転円盤型飼育箱から最下層の前記回転円盤型飼育箱に向かって徐々に大きくなり、前記飼育槽が円錐形になるように構成されている、請求項1に記載の回転盤式連続自動生物飼育装置。
【請求項4】
前記回転円盤型飼育箱は、第1の外輪、第2の外輪、および少なくとも1つのリブをさらに含み、前記第1の外輪および前記第2の外輪は、前記押え板に取り付けられており、
前記少なくとも1つのリブは、一方端が前記中央回転軸に、他方端が前記押え板と前記第1の外輪となす交点に固定的に接続されており、或いは、前記少なくとも1つのリブは、一方端が前記押え板と前記第1の外輪となす交点に、他方端が別の前記押え板と前記第2の外輪となす交点に、固定的に接続されている、請求項1に記載の回転盤式連続自動生物飼育装置。
【請求項5】
前記培養する生物が、フェニックスワーム、ハエウジ、パンムシ、コオロギ、オオタバコ、家蚕、ゴキブリ、カメムシ、クサカゲロウ、カブトムシ、ミミズ、微生物、養殖生物、その他の飼料または天敵生物である、請求項1に記載の回転盤式連続自動生物飼育装置。
【請求項6】
前記飼育槽は飼料を受け入れるように構成されており、前記飼料は、台所の廃棄物、果物や野菜の残渣、蒸留器の穀物、豆のかす、茶の残渣、コーヒーの残渣、家畜の糞尿、屠殺場の廃棄物、動物の死骸、食品工場の廃棄物、スラッジ、バイオガスの泥、その他の有機廃棄物のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の回転盤式連続自動生物飼育装置。
【請求項7】
大型生ゴミ処理装置に適用した場合、収穫・培養した生物を後続の自動搬送ベルトを介して振動選別機に搬送し、生物と生物の排泄物を分離し、排泄物を有機肥料として利用した後、水洗手順、滞留手順、煮沸消毒手順、乾燥手順、脂肪吸引手順、製粉手順、包装手順に入って、全ての工程が自動化されている、請求項1記載の回転盤式連続自動生物飼育装置。
【請求項8】
小規模なコミュニティ生ごみ処理機または家庭用生ごみ処理機に適用される場合、複数の回転円盤型飼育箱の直径は互いに同じであり、複数の回転円盤型飼育箱は閉じた円筒状に積み重ねられ、最上層の飼育箱は、生物を接種するための少なくとも1つの接種口をさらに含む、請求項1記載の回転盤式連続自動生物飼育装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生物飼育装置、特に、昆虫、ミミズ、または微生物などの高等多細胞生物または微生物を大量に自動連続飼育するのに適した回転円盤型連続自動生物飼育装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のワイナリーの発酵槽は、各種アルコールを大量に発酵・生産することができるが、酵母などの微生物の培養に限られていた。従来のバイオリアクターは高等動物の細胞を培養するものであり、製薬工場で医薬品を作るために細胞を大量に培養するのに使われている。
【0003】
人口の増加とタンパク質の相対的な不足により、フェニックスワーム(black soldier flies ,Hermetia illucens)やミールワーム(mealworm, Tenebrio molitor)などの昆虫タンパク質が、大豆や魚粉などのタンパク質に代わって徐々に餌改良に使用されるようになってきている。フェニックスワームは、生ゴミや鶏糞などの有機廃棄物を用いて飼育することができるため、環境汚染を軽減するように焼却や埋め立てに代わり有機廃棄物の消化ができると共に、有機廃棄物を昆虫のたんぱく質に変換して飼料として利用したり、昆虫の糞を有機肥料として利用したりすることができる。即ち、2050年の炭素排出量ゼロのネット・ゼロ目標を一刻も早く達成するために、エコロジー・リサイクル、資源回収、省エネルギー、二酸化炭素削減を実現するための重要な発見となる。
【0004】
近年、フェニックスワームなどの昆虫を大量に飼育する装置が数多く開発されているが、そのほとんどが高額な投資や複雑な装置、広い面積、高いエネルギー消費を必要とするため、昆虫を使って有機廃棄物を処理し、昆虫のタンパク質や有機肥料に変換するという利用は、一部の大企業に限られている。
【0005】
有機廃棄物には、畜産場の糞尿、食肉処理場の内臓、食品工場の廃棄物、家庭や地域の生ゴミなど、さまざまな種類がある。これらの有機廃棄物の総量は非常に多岐にわたる。これらの有機廃棄物は、長距離輸送やエネルギー消費を避けると共に、汚染の拡大を抑えるために現場で即座に処理するために、より適切で適応性のある処理方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような技術的不備に対して、本発明は、昆虫(insect)、ミミズ(earthworm)、または微生物(microorganism)などの高等多細胞生物または微生物を大量に自動連続飼育するのに適した、回転円盤型連続自動生物飼育装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決するために、本発明に採用された技術的手段の一つは、一態様では、複数の回転ディスク型飼育箱と、中央回転軸とを含む回転円盤型連続自動生物飼育装置を提供する。回転円盤型飼育箱は、長手方向に互いに積層されて飼育槽を形成する。回転円盤型飼育箱のそれぞれは、少なくとも1つの押え板と下部供給口とを含み、少なくとも1つの押え板は、回転円盤型飼育箱を少なくとも1つの飼育区画として区画するように構成されている。中央回転軸は、長手方向に沿って複数の回転円盤型飼育箱を貫通している。回転円盤型飼育箱のそれぞれの少なくとも1つの押え板は、中央回転軸に固定的に接続されており、中央回転軸は、モータまたはペダルを介して、少なくとも1つの押え板を第1の回転方向に回転させるように駆動するように構成されている。複数の回転円盤型飼育箱のうち最上層の飼育箱は、培養する生物を受け入れるように構成されている。中央回転軸が各回転円盤型飼育箱の少なくとも1つの押え板を回転させるように駆動すると、最上層の飼育箱に位置する生物は、少なくとも1つの押え板に押されて、最上層の飼育箱の下部供給口から、最上層の飼育箱の下にある複数の回転円盤型飼育箱の2層目の飼育箱の少なくとも1つの飼育区画に押し込まれる。続いて、2層目の飼育箱の下側にある複数の回転盤型飼育箱の3層目の飼育箱の少なくとも1つの飼育区画に、2層目の飼育箱の下部供給口から生物を押し込み、複数の回転盤型飼育箱の最下層の飼育箱に生物を押し込むとことで、生物の培養工程を完了させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施形態による複数の回転円盤型飼育箱の透視図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態による、押え板に取り付けられた外輪とリブの上面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態による飼育装置の概略図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態による飼育装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照する。しかし、提供される添付図面は参考と説明のために提供するものに過ぎず、本発明の特許請求の範囲を制限するためのものではない。
【0010】
下記より、具体的な実施例で本発明が開示する実施形態を説明する。当業者は本明細書の公開内容により本発明のメリット及び効果を理解し得る。本発明は他の異なる実施形態により実行又は応用できる。本明細書における各細節も様々な観点又は応用に基づいて、本発明の精神逸脱しない限りに、均等の変形と変更を行うことができる。また、本発明の図面は簡単で模式的に説明するためのものであり、実際的な寸法を示すものではない。以下の実施形態において、さらに本発明に係る技術事項を説明するが、公開された内容は本発明を限定するものではない。また、本明細書に用いられる「又は」という用語は、実際の状況に応じて、関連する項目中の何れか一つ又は複数の組合せを含み得る。
[回転円盤型連続自動生物飼育装置]
【0011】
本発明のコンセプトは、主に大規模な発酵槽やバイオリアクターに由来するものである。本発明は、昆虫やミミズなどの多細胞生物を飼育して有機廃棄物を処理するだけでなく、発酵微生物を大量に飼育して堆肥などを生産するのにも適している。
【0012】
本発明は、回転円盤型連続自動生物飼育装置を提供するものであり、その技術的概念は主に4つの部分に分けられる。第1の部分は、回転円盤型飼育槽を提供し、この回転円盤型飼育槽は、複数の回転円盤型飼育箱を含む。複数の回転円盤型飼育箱は、長手方向に沿って互いに積層されており、これにより、回転円盤型飼育槽を成長日の異なる生物に応じて分離することができる。第2の部分は、回転円盤型飼育箱のそれぞれの箱体の内部が、少なくとも1枚の押え板で回転円盤型飼育槽の中央の回転軸に固定されていることである。各押え板は、回転円盤型飼育箱を複数の飼育区画に分割する。第3部分は、大規模生ごみ処理機を提供することである。大規模生ごみ処理機は、長手方向に沿って円錐形に積層された、異なる直径とサイズを有する複数の回転円盤型飼育箱を含む。その中で、複数の回転円盤型飼育箱のうちの最下層の飼育箱は、最大の直径を有し、複数の回転円盤型飼育箱のうちの最上層の飼育箱は、最小の直径を有する。特別なケースとして、回転円盤型飼育箱の直径が3メートルを超える場合には、押え板は、中央回転軸から1メートルずつ離れた位置に連結外輪とリブを備えることになる。このようにして、軸方向のねじれを分散させると共に、押え板の引っ張り力を強化することができる。第4部分では、小規模な生ごみ処理機を提供することである。小規模生ゴミ処理機は、同じ直径を持つ複数の回転ディスク型飼育箱を含む。少なくとも1つの押え板が、各回転円盤型飼育箱の内部に設置されている。少なくとも1つの押え板は、飼育槽の中央回転軸に連結されている。さらに、小規模生ごみ処理機では、螺旋状の飼育管を用いて、上層の粉砕された生ごみを各層の飼育箱に送っている。本発明の回転円盤型連続自動生物飼育装置は、フェニックスワーム(black soldier flies)、イエバエ(house fly)、ミールワーム(mealworm)等の様々な生物の飼育に用いることができる。それらの生物の餌料として、台所の廃棄物、果物や野菜の残渣、蒸留器の穀物、豆のかす、茶の残渣、コーヒーの残渣、家畜の糞尿、屠殺場の廃棄物、動物の死骸、食品工場の廃棄物、スラッジ、バイオガスの泥、その他の有機廃棄物が挙げられる。また、本発明の回転円盤型連続自動生物飼育装置は、真菌、細菌などの微生物を大量生産する層状連続発酵槽としても使用することができる。本発明の回転円盤型連続自動生物飼育装置は、主に、生ゴミ、鶏糞、野菜や果物の残渣、蒸留器の穀物、豆のかすなどの有機廃棄物の処理に用いられる。
【0013】
全体として、本発明は、生物の習性に応じて複数の回転円盤型飼育箱を設計した、回転円盤型連続自動生物飼育装置を提供する。複数の回転円盤型飼育箱は、水平方向の飼育スペースを縮小するために垂直方向に積み重ねるように構成されてもよい。飼育箱の各層は、少なくとも1つの押え板によって分割されることによって、少なくとも1つの飼育区画が形成される。飼育区画内で生物を成長・育成させることができる。飼育箱の各層には、下部供給口が設けられている。下部供給口は、押え板の回転と相まって、上部の飼育箱内のより小さな生物を下部供給口から次の層の飼育箱に押し込む。このようにして、各層の飼育箱では、異なる成長期の生物を育てることができる。初期の段階では、一番上の飼育箱に小さい生物を入れる。飼育時間が長くなると、成熟するまで、飼育箱の生物は、中間層を介して層ごとに最下層の飼育箱に押し下げられる。また、本発明では、給餌、飼育、換気、収穫後の処理など、関連する補助的な飼育技術と相まって、大量の各種生物を連続的かつ自動的に飼育することができ、装置の簡素化、省エネ、コスト削減、省スペース化を図ることができる。さらに、生ゴミや皮の残渣、鶏糞などの有機廃棄物を処理することで、資源のリサイクル性を高めることができる。培養する生物をさらに挙げられれば、フェニックスワーム、ハエウジ、パンムシ、コオロギ、オオタバコ、家蚕、ゴキブリ、カメムシ、クサカゲロウ、カブトムシ、ミミズ、微生物、養殖生物、その他の飼料または天敵生物が挙げられる。
【0014】
本発明の飼育装置は、簡単な構造を有しており、処理する有機廃棄物の量に応じて飼育装置の大きさを調整することができる。大規模な飼育装置は、大量の有機廃棄物(1日あたり500kg以上)を処理するという目的を達成するために、ゴミ収集場や大規模な畜産場に設置することができる。また、小規模な飼育装置は、少量の家庭用生ごみ(1日あたり5kg未満)の処理のために地域や家庭の生ゴミの中に設置することができる。このようにして、生ごみや有機廃棄物をその場ですぐに処理するという目的を達成することができる。
[大規模な飼育装置]
【0015】
図1から
図3を参照すると、
図1は、本発明の第1の実施形態による複数の回転円盤型飼育箱の透視図であり、
図2は、本発明の第1の実施形態による押え板に取り付けられた外輪とリブの上面図であり、
図3は、本発明の第1の実施形態による飼育装置の概略図である。
【0016】
本発明の第1の実施形態では、ゴミ収集場や大規模な畜産場に適用でき、大量の有機廃棄物を処理するという目的を達成するための大規模な生物飼育装置として使用される、回転円盤型連続自動生物飼育装置A100を提供する。本発明の回転円盤型連続自動生物飼育装置A100は、自動化された方法で毎日安定して有機廃棄物を処理することができ、飼料となるフェニックスワームや有機肥料となる昆虫の糞を効率的に生産することができる。また、飼育装置の大きさは、毎日処理する廃棄物の総量に応じて柔軟に調整することができる。また、第1実施形態の複数の回転円盤型飼育箱A12は、生物の成長期に必要なスペースに応じて、異なるサイズに設計することができる。飼育初期の生物は体格が小さく、蓄積された排泄物も少ないため、より小さな回転円盤型飼育箱A12を使用してもよい。その後、生物は徐々に成長し、蓄積された排泄物も徐々に増えていくので、より大きな回転盤型飼育箱A12を使用することにしてもよい。また、複数の回転円盤型飼育箱A12を長手方向に大サイズから小サイズに向かって上方に積み重ねることで、円錐形の飼育槽A1を形成するように構成されてもよい。
【0017】
円錐形の飼育槽A1は、複数の回転円盤型飼育箱A12を長手方向に沿って互いに積み重ねることで形成されており、異なる飼育層を区別して生物の成長・飼育プラットフォームを提供し、異なる成長期間の生物を分離している。異なる成長期間の生物を同一の飼育槽A1内で混合することで、連続的かつ自動化された生産を実現している。回転円盤型飼育箱A12のそれぞれは、その中に配置された少なくとも1つの押え板A121を含む。1つの回転円盤型飼育箱A12を単独に見れば、複数の押え板A121が設けられる場合、隣接する任意の2つの押え板A121は、飼育区画A122と呼ばれる飼育空間を囲む。なお、その間に定義された飼育区画A122にて生物体や他の有機物が不意に他の飼育区画A122に入らないように収容でき、かつ、当該生物体や他の有機物を所定の方向に沿って押し進むことができれば、前記押え板A121の構成、例えば、高さや形状等は実際のニーズに応じて変更し得、本実施形態の構成に制限されない。なお、回転円盤型飼育箱A12に押え板A121が1つしか配置されない場合、回転円盤型飼育箱A12の内部空間そのものでは1つの飼育区画A122とされる。
【0018】
円錐形の飼育槽A1の中央には、中央回転軸A11が配置されている。中央回転軸A11は、複数の回転円盤型飼育箱A12を貫通している。中央回転軸A11は、飼育装置のモータA43に接続されている。円錐形の飼育槽A1の中央回転軸A11には、それぞれの押え板A121が接続されている。中央回転軸A11が第1回転方向R1(すなわち、時計回り方向)に沿って回転すると、中央回転軸A11が各押え板A121を第1回転方向R1(すなわち、時計回り方向)に沿って回転させるように駆動することで、飼育区画A122内の生物を第1回転方向R1に沿って移動させることができる。
【0019】
回転円盤型飼育箱A12のそれぞれには、下部供給口A123と呼ばれる開口溝が設けられている。各回転円盤型飼育箱A12において飼育区画A122が長手方向に下部供給口A123と重なる際、下部供給口A123を含む飼育区画A122となる。長手方向において、複数の回転円盤型飼育箱A12のうち互いに隣り合った層の回転円盤型飼育箱A12における下部供給口A123を含む飼育区画A122は重なっていない。1つの実施形態では、数の回転円盤型飼育箱A12の下部供給口A123の開口位置は、長手方向に上から下に従って、第1回転方向R1とは反対の第2回転方向R2(すなわち、反時計回り方向)に沿って互いに重ならないように配置されている。すなわち、次の層の回転円盤型飼育箱A12の下側投入口A123は、上の層の回転円盤型飼育箱A12の下部供給口が、第2回転方向R2(すなわち反時計回り方向)に沿って1つの飼育区画A122だけ後方に配置された位置に配置されている。そして、最下層の回転円盤型飼育箱A12の排出孔から生物を排出して、完成品を収穫するようになっている。より具体的に、回転円盤型飼育箱A12のそれぞれにおいて、下側投入口A123は回転円盤型飼育箱A12の底部に設けられ、回転円盤型飼育箱A12における複数の押え板A121と前記底部は互いに分離するように構成されるため、複数の前記押え板A121は、前記底部及び下側投入口A123に対して第1回転方向R1に沿って回転することが可能である。このように、各回転円盤型飼育箱A12における下部供給口A123を含む飼育区画A122が別の飼育区画A122に引き換えるように、複数の押え板A121が第1の回転方向に回転し、それによって、別の飼育区画A121における生物が次の層の前記回転円盤型飼育箱A12に落ちることになる。
【0020】
中央回転軸A11が回転すると、上層の回転円盤型飼育箱A12に位置する若い生物は、押え板A121によって、下部供給口A123から次の層の飼育区画A122に押し出される。上層の飼育区画A122から押し流された生物は、下層の飼育区画A122が押し出された位置に落下する。飼育槽A1の上層から生物や排泄物が繁殖される。押え板A121が回転することで、生物や排泄物は最下層まで層ごとに押し下げられ、その時点で生物は収穫できるまでに成長している。回転円盤型飼育箱A12の各層には、N個の飼育区画A122を分割するN個の押え板A121が設けられている。回転円盤型飼育箱A12の各層は、飼育区画A122よりも若干小さい下部供給口A123を1つだけ有している。各飼育区画A122は、扇状のように一定の角度で配置されており、その角度は360°/Nである。Nの値は、各層の押え板の数としてもよい。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態では、複数の回転円盤型飼育箱A12は、異なる生物の成長期間または処理される廃棄物のサイズに応じて、異なる数およびサイズで設計することができる。また、複数の回転円盤型飼育箱A12は、下から上に向かって積み重ねることができる。回転円盤型飼育箱A12は、生物の成長やより多くの飼料や排泄物の蓄積に対応するために、下になるほど直径が大きくなり、広いスペースが必要となるが、本発明はこれに限定されない。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態では、生物の成長速度に応じて、押え板A121の回転の時間間隔を調整することができる。例えば、押え板A121は、1時間に1回回転するように、あるいは、4時間に1回回転するように設定してもよい。このように、各回転円盤型飼育箱A12における生物の滞留時間を柔軟に調整することができる。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態では、回転円盤型飼育箱A12の直径が大きすぎる(すなわち、3メートルより大きい)場合、複数の押え板 A121を固定するために、少なくとも1つの外輪A124が複数の押え板A121に取り付けられ、中央回転軸A11と少なくとも1つの外輪A124との間に少なくとも1つのリブA125が接続され、押え板A121がスムーズに回転できるようになっている。
【0024】
図2に示すように、リブA125の一端は、中央回転軸A11の外周部に接続されている。また、リブA125の他端は、押え板A121と第1の外輪A124aとの交点に延長接続され、さらに次の押え板A121と第2の外輪A124bとの交点に延長接続され、さらに次の押え板A121と第3の外輪A124cとの交点に延長接続されている。中央回転軸A11が回転すると、中央回転軸A11のねじり力が押え板A121に作用して押え板A121を回転させる。また、リブA125は、中央回転軸A11の別の側から第1外輪A124aに向けて、押え板A121に作用する力を発生させる。さらに、リブA125の第1の外輪A124aと第2の外輪A124bとの間に接続された部分にも同様の力が発生し、押え板A121の別の部分に伝達されるなど、様々な効果を発揮する。各押え板A121は、ねじり力と、押え板A121の異なる部分に作用する複数の力とを同時に受けることができるので、押え板A121の回転力を高め、構造体の動作をスムーズに行うことができる。
【0025】
図1および
図3に示すように、本発明の第1の実施形態の具体的な応用例は、粉砕された生ごみを処理するために黒兵衛を使用し、例えば、毎日500kgの生ごみを処理するためにフェニックスワームを使用することである。15層の回転円盤型飼育箱A12が積層されて、円錐形の飼育槽A1が形成されている。隣接する任意の2つの回転円盤型飼育箱A12は、30cmの間隔で互いに離間している。回転円盤型飼育箱A12のそれぞれは、中央の回転軸A11に固定的に接続された10枚の押え板A121を含む。回転円盤型飼育箱A12のそれぞれは、10枚の押え板A121によって10個の飼育区画A122に分けられ、10個の飼育区画A122のうち1つだけが下部供給口A123を有している。
【0026】
飼育槽A1は、円錐形の形状をしている。互いに積層された15個の回転円盤型飼育箱A12のうち、最下層の回転円盤型飼育箱A12の直径D1は3m、最上層の回転円盤型飼育箱A12の直径D2は0.6mであり、複数の回転円盤型飼育箱A12の直径を最下層の飼育箱から最上層の飼育箱に向かって順次小さくしていくことで、円錐形を形成し、生物の成長に適した空間を確保し、飼育槽本体の安定性を高めることができる。
【0027】
孵化後5日目の幼虫は体が小さく、餌の摂取量も少ないので、回転円盤型飼育箱A12の直径は小さくても良いとされている。5日齢の幼虫は、最上層の回転円盤型飼育箱A12から供給され、各飼育区画A122に均等に分配される。中央の回転軸A11は、2時間ごとに回転して押え板A121を駆動し、生物を押して第1の回転方向R1(すなわち時計回りの方向)に沿って1区画分移動させる。生物が下側の投入口A123まで押し込まれるまでは、生物は次の層の飼育区画A122に落ちて飼育を続ける。このようにして、生物は、円錐形の飼育槽A1の各回転円盤型飼育箱A12に18時間(すなわち、2時間×9つの飼育区画で18時間)滞在する。飼育槽A1には、合計で15個の回転円盤型飼育箱がある。生物は、最上層の飼育箱から最下層の飼育箱の排出口に向かって移動する。生物の総成長時間は、2百70時間(すなわち、18時間に15個のボックスを乗じて2百70時間)であり、約11日間の成長時間となる。この時、幼虫は収穫可能な段階まで成長している。そのため、スペースを有効に活用することができる。なお、幼虫などの生物は、まず、生物放出ユニットA2の生物載置槽A21に載置され、送出管A22と送風機A23の作動により、飼育槽A1の最上層回転円盤型飼育箱A12に供給されるようになっている。また、生物放出ユニットA2の複数の通気管A24は、複数の回転円盤型飼育箱A12のガス逃がし弁A13にそれぞれ接続され、生物の成長時に排泄されるガスを逃がすようになっている。
【0028】
下層回転円盤型飼育箱A12は、成長して収穫できる状態になった生物を飼育するためのものである。下層回転円盤型飼育箱A12の仕切り板は、有孔板A42として設計されており、有孔板の下方には、密閉式の送風機A41が接続されている。熱風を多孔板の孔から最下層回転円盤型飼育箱A12内に送風してガス交換を促し、生物を乾燥させることで、次の段階であるフェニックスワーム(BSFL)と昆虫の糞の選別・分離を行う。送風機A41、多孔板A42、およびモータA43は、共に換気乾燥ユニットA4を構成する。本発明では、処理する有機廃棄物の量や飼育する生物の特性に応じて、回転円盤型飼育箱の中央回転軸の回転の大きさ、量、間隔、及び間隔時間を調整することができる。また、円錐形回転盤型飼育槽は、飼育場所のスペースや環境条件を参考にして、密閉型や開放型にすることもできる。
【0029】
再び
図3を参照して、1日あたり500kgの有機廃棄物を処理するためのフェニックスワームの飼育を例に挙げて、本発明の第1の実施形態の具体的な適用例を説明する。円錐形の飼育槽A1は、最下層の飼育箱A12の直径D1が3m、最上層の飼育箱A12の直径D2が0.6mとなっている。また、飼育槽A1の高さは4.5mである。回転円盤型の飼育箱A12のうち、隣接する任意の2つは、互いに30cmの間隔で配置されている。円錐形の飼育槽A1は15層の回転円盤型飼育箱A12で校正される。孵化後5日目のフェニックスワーム50gを取り出し、最上部の飼育区画A122に均等に接種した。水分含有率が約70%の生ゴミは、自動給餌装置A3の貯留筒A34に導入され、自動給餌装置A3の制御弁A31、給餌管路A32、ポンプA33の連携動作により、回転円盤型飼育箱A12に送られる。生ゴミの供給量は、虫食いの摂取量に応じて異なるように設定されている。電子制御装置は、2時間に1回給餌するように設定されている。中央回転軸A11は、2時間に1回回転するように設定されている。通風乾燥装置A4が作動し、10分毎に5分間運転するように設定されている。円錐形飼育槽A1の下層回転円盤型飼育箱A12の下部投入口A123は、2時間毎に完成品を排出する。完成品は、ベルトコンベアによって振動式選別機に搬送され、1回目の選別が行われる(図面には示されていない)。本発明が提供するシステムは、1日あたり500キログラムの食品廃棄物を処理することができる。完成品には、約150キログラムのフェニックスワームと約200キログラムのフェニックスワームの糞が含まれる。システムの操作者は、約1人を必要とする。即ち、大型生ゴミ処理装置に適用した場合、収穫・培養した生物を後続の自動搬送ベルトを介して振動選別機に搬送し、生物と生物の排泄物を分離し、排泄物を有機肥料として利用した後、水洗手順、滞留手順、煮沸消毒手順、乾燥手順、脂肪吸引手順、製粉手順、包装手順に入って、全ての工程が自動化されているシステムと組み合わせるようにしてもよい。
[小規模な飼育装置]
【0030】
図4を参照すると、本発明の第2の実施形態では、別の回転円盤型連続自動生物飼育装置B100を提供しており、この装置は、コミュニティや家庭における生ゴミの小規模な飼育装置として使用することができる。このようにして、生ごみや有機廃棄物を現場で即時に処理するという目的を達成することができる。
【0031】
本実施形態の回転円盤型連続自動生物飼育装置B100は、同一径の回転円盤型飼育箱B130を4つ含む。回転円盤型飼育箱B130のそれぞれは、直径が50cmである。回転円盤型飼育箱B130のそれぞれは、中央の回転軸B123にそれぞれ接続された3つの押え板B132を含む。任意の2つの隣接する回転円盤型飼育箱B130は、互いに15センチメートルの間隔を空けている。また、隣り合った任意の2つ押え板B132の間に1つの飼育区画と称する飼育空間が定義される(図示されない)。なお、その間に定義された飼育区画にて生物体や他の有機物が不意に他の飼育区画に入らないように収容でき、かつ、当該生物体や他の有機物を所定の方向に沿って押し進むことができれば、前記押え板B132の構成、例えば、高さや形状等は実際のニーズに応じて変更し得、本実施形態の構成に制限されない。なお、他の図示されない実施例では、回転円盤型飼育箱B130に押え板B132が1つしか配置されない場合、回転円盤型飼育箱B130の内部空間そのものでは1つの飼育区画とされる。
【0032】
本実施形態の回転円盤型連続自動生物飼育装置B100の上部カバーの下には、切断モジュールB110が配置されている。切断モジュールB110は、チョッピングブロックB111と、チョッピングブロックB111の下側に配置されたブレードB112とを含む。切断モジュールB110は、投入された生ごみを切断し、切断モジュールB110の下方にある発酵槽B124に投入された生ごみを落下させるためのものである。
【0033】
本実施形態の回転円盤式連続自動生物飼育装置B100の中央回転軸B123は、飼育装置の底部に配置されたフットペダルB150に接続されている。中央回転軸B123の内部には、有機廃棄物を投入するための少なくとも排出口B121と、換気のための少なくとも空気排出口B122とを含むスクリュー投入装置B120が設けられている。本実施形態の回転円盤型連続自動生物飼育装置B100は、発酵槽B124で予備処理した後の生ごみを予備発酵させ、スクリュー供給装置B120によって異なる層の回転円盤型飼育箱B130に生ごみを搬送して、フェニックスワームやミールワームに餌を与えて成長させることができる。
【0034】
回転円盤式連続自動生物飼育装置B100の使用時には、まず使用者が回転円盤式連続自動生物飼育装置B100の上部カバーを開けて家庭の生ゴミを排出してブレードB112に流し、次に使用者が上部カバーを被せてフットペダルB150を数回踏むことで、押え板B132を回転駆動させることができる。
【0035】
さらに、使用者は、1週間ごとに下底層回転円盤型飼育箱B130の下部供給口B131を開き、押え板B132を回転させて成熟幼虫を収穫することができる。下部供給口B131の給餌口シャッターB133を順に開き、フットペダルB150を踏んで中央回転軸B123を回転させ、各飼育層のフェニックスワームが回転円盤型飼育箱B130の上層から下層に落下するようにすることができる。使用者は、例えば、毎週、接種口B140から生後5日目のフェニックスワームの幼虫を注入するようにしてもよい。
【0036】
本実施形態の回転円盤型連続自動生物飼育装置B100は、キッチンカウンターの下や屋外のベランダに設置することができ、回転円盤式連続自動生物飼育装置B100は、家族が出す生ゴミをフェニックスワームの餌として連続的に安定して利用することができるものである。また、本実施形態の回転円盤型連続自動生物飼育装置B100は、支援手段を備えている。サービスセンターでは、成熟した幼虫と昆虫の糞を回収すると同時に、5日齢の幼虫(初期体の生物)を供給することができる。本実施形態の回転円盤型連続自動生物飼育装置B100の商業的運用形態は、サービスセンターが昆虫の飼育を担当し、回収した成熟幼虫(生体の性別)を飼料に加工し、昆虫の糞を有機肥料にし、商品販売の収益を装置利用者に還元することで、シェアリングエコノミーの目的を達成することができる。
【0037】
再び
図4を参照して、フェニックスワームの繁殖と1日5kg以下の生ごみの処理を例に挙げて、第2の実施形態の具体的な適用例を説明する。飼育槽には、直径0.5m、高さ0.8mに設計されており、飼育槽内には15cmごとに1層の回転円盤型飼育箱B130が設計されており、合計5層で飼育槽を形成している。生ごみが開口部を通過し、切断モジュールB110によって破砕された後、生ごみは発酵槽に入り、スクリュー供給装置B120を介して各飼育層に分配される。
【0038】
以上に開示された内容は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、これにより本発明の特許請求の範囲を制限するものではない。そのため、本発明の明細書及び添付図面の内容に基づき為された等価の技術変形は、全て本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0039】
[大規模な飼育装置]
A100:大規模な生物飼育装置
A1:飼育槽
A11:中央回転軸
A12:回転円盤型飼育箱
A121:押え板
A122:飼育区画
A123:下部供給口
A124:外輪
A124a:第1の外輪
A124b:第2の外輪
A124c:第3の外輪
A125:リブ
D1,D2:直径
A13:ガス逃がし弁
A2:生物放出ユニット
A21:生物載置槽
A22:送出管
A23:送風機
A24:通気管
A3:自動給餌装置
A31:制御弁
A32:給餌管路
A33:ポンプ
A34:貯留筒
A4:通風乾燥装置
A41:送風機
A42:有孔板
A43:モータ
R1:第1の回転方向
R2:第2の回転方向
[小規模な飼育装置]
B100:小規模な生物飼育装置
B110:切断モジュール
B111:チョッピングブロック
B112:ブレード
B120:スクリュー投入装置
B121:排出口
B122:空気排出口
B123:中央回転軸
B124:発酵槽
B130:回転円盤型飼育箱
B131:下部供給口
B132:押え板
B133:給餌口シャッター
B140:接種口
B150:フットペダル