IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カーバー サイエンティフィック インコーポレイテッドの特許一覧

特許7364266メモリデバイス及び容量性エネルギー蓄積デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】メモリデバイス及び容量性エネルギー蓄積デバイス
(51)【国際特許分類】
   H10B 12/00 20230101AFI20231011BHJP
【FI】
H10B12/00 801
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022022018
(22)【出願日】2022-02-16
(62)【分割の表示】P 2019529573の分割
【原出願日】2017-11-30
(65)【公開番号】P2022070979
(43)【公開日】2022-05-13
【審査請求日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】62/458,426
(32)【優先日】2017-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/429,651
(32)【優先日】2016-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515053759
【氏名又は名称】カーバー サイエンティフィック インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CARVER SCIENTIFIC, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド レジナルド カーバー
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドフォード ウェスリー フルファー
(72)【発明者】
【氏名】チェイス アンドレポント
(72)【発明者】
【氏名】ショーン クラウディアス ホール
(72)【発明者】
【氏名】ショーン ウィリアム レイノルズ
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-021553(JP,A)
【文献】特開2010-153905(JP,A)
【文献】特開平09-045577(JP,A)
【文献】特表2001-515256(JP,A)
【文献】米国特許第06819542(US,B2)
【文献】国際公開第2016/100262(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極のアレイと、
複数の電気相互接続体と、
複数のエッジコネクタと、
誘電体材料とを具えた容量性エネルギー蓄積デバイス(CESD)であって、
前記電極のアレイは、前記電極間に空間を有し、前記電極のn個のグループを1つ以上の平面内に具え、ここにnは2以上の整数であり、前記電極の各々は、当該電極が配置された前記平面に直交する中心軸Acを有し、前記電極のグループの各々は複数の前記電極を具え、
前記複数の電気相互接続体は、前記電極のグループ毎に1つの当該電気相互接続体を含み、前記電気相互接続体の各々は、前記グループ内の前記電極どうしを直列に接続し、
前記複数のエッジコネクタは、前記電気相互接続体毎に1つの当該エッジコネクタを含み、前記電気相互接続体の終端が前記エッジコネクタに結合され、
前記誘電体材料は、前記電極間の空間を占めて前記電極に接触し、隣接する前記電極間に位置する前記誘電体材料の領域が容量性素子を規定し、前記誘電体材料は3.9よりも大きい相対誘電率を有し、
前記アレイは、前記電極の行及び列のグリッドパターンを具え、前記行の各々が行グループの前記電極を具え、該行グループの前記電極は複数の列グループの前記電極と交互し、あるいは、
前記アレイは、スタガード様式に並んだ前記電極の行を前記1つ以上の平面における各平面内に具え、1つの前記行内の前記電極の各々の前記中心軸は、隣接する前記行内の前記電極の前記中心軸と整列せず、あるいは、
前記アレイが、オフセットした対角行の形に配列された前記電極を、前記1つ以上の平面における各平面内に具えているCESD。
【請求項2】
隣接する前記電極間の前記中心軸-前記中心軸の間隔が5nm~5mmの範囲内である、請求項1に記載のCESD。
【請求項3】
前記電気相互接続体の各々が、電気絶縁された金属、炭化ポリマー、導電性カーボン、または導電性ポリマーを含む、請求項1に記載のCESD。
【請求項4】
前記電極が、導電性カーボン、導電性有機材料、導電性の金属、または半導体を含む、請求項1に記載のCESD。
【請求項5】
前記電極の各々が、直円柱の形状、楕円柱の形状、角柱の形状、球の形状、または半球の形状を有する、請求項1に記載のCESD。
【請求項6】
(i) 前記電極の各々が、前記中心軸に沿った50nmから1200μmまでの高さを有し、または、
(ii) 前記電極のグループ内の前記電極の各々が、当該電極の前記中心軸に沿ったほぼ同じ高さを有し、または、
(iii) 前記アレイ内の前記電極の各々が、当該電極の前記中心軸に沿ったほぼ同じ高さを有し、または、
(iv) (i)、(ii)、及び(iii)の任意の組合せである、請求項1に記載のCESD。
【請求項7】
前記アレイが、前記電極の行及び列のグリッドパターンを具え、前記行の各々が行グループの前記電極を具え、該行グループの前記電極は複数の列グループの前記電極と交互し、
前記複数の電気相互接続体が、
前記行グループ毎に1つの行電気相互接続体と、
前記列グループ毎に1つの列電気相互接続体とを具え、
前記行電気相互接続体は、前記行グループ内の前記電極どうしを直列に接続し、前記列電気相互接続体は、前記列グループ内の前記電極どうしを直列に接続し、
前記行電気相互接続体が前記列電気相互接続体と交差する各交点に垂直方向の空間的隔離が存在する、請求項1に記載のCESD。
【請求項8】
前記列電気相互接続体が、前記列内の前記電極の前記中心軸からオフセットし、前記列内の前記電極の各々に接続されるための分岐形状を有する、請求項7に記載のCESD。
【請求項9】
前記行電気相互接続体と前記列電気相互接続体との間に配置された絶縁層と、
前記絶縁層によって前記行グループの前記電極毎に規定されるビアとをさらに具え、
前記行電相互接続体が前記絶縁層の上方にあり、前記列電相互接続体が前記絶縁層の下方にあり、
前記ビアは、前記電極を前記行電相互接続体に接続する、請求項7に記載のCESD。
【請求項10】
請求項1に記載のCESDを複数個積層させたCESD積層であって、前記CESDの各々が非導電性基板をさらに具え、該非導電性基板上に前記電極が配置されたCESD積層、または、
請求項1に記載のCESDを複数個積層させたCESD積層であって、絶縁封止層を具え、該絶縁封止層は前記CESD積層内で隣接して対をなす前記CESDの間に配置されているCESD積層。
【請求項11】
請求項1~9のいずれかに記載の容量性エネルギー蓄積デバイス(CESD)を作製する方法であって、
少なくとも部分的に前記誘電体材料内に埋め込まれるか前記誘電体材料に接触する前記電極のアレイを形成するステップであって、前記電極間に空間を有し、前記電極のアレイは、1つ以上の平面内に配列された前記電極のn個のグループを具え、ここにnは2以上の整数であり、前記電極のグループの各々が複数の前記電極を具え、前記電極の各々が前記平面に直交する中心軸を有するステップと、
前記グループ毎に、当該グループ内の前記電極どうしを前記電気相互接続体で直列に接続するステップと、
前記電気相互接続体毎に、当該電気相互接続体の終端をエッジコネクタに接続し、これにより前記CESDを形成するステップと
を含む方法。
【請求項12】
前記アレイが、前記電極の行及び列のグリッドパターンを具え、前記行の各々が行グループの前記電極を具え、該行グループの前記電極は複数の列グループの前記電極と交互し、
前記グループ毎に、当該グループ内の前記電極どうしを前記電気相互接続体で直列に接続するステップが、
各々の前記列グループ内の前記電極どうしを列電気相互接続体で接続するステップと、
各々の前記行グループ内の前記電極どうしを行電気相互接続体で接続するステップであって、前記行電気相互接続体が前記列電気相互接続体と交差する各交点に垂直方向の空間的隔離が存在するステップと
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも部分的に前記誘電体材料内に埋め込まれる前記電極のアレイを形成するステップが、
前記電極のアレイを形成するステップと、
前記誘電体材料を前記電極間の空間内に配置するステップと
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記電極のアレイを形成するステップが、
前記電極を、ナノリソグラフィー、マイクロリソグラフィー、シャドーマスク重合、レーザー加工、インプリント、インクジェット、グラウバー、フレキソ印刷、またはスクリーン印刷プロセスによって形成するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記誘電体材料内に埋め込まれる前記電極のアレイを形成するステップが、
誘電体材料の層を基板上に形成するステップと、
前記電極を少なくとも部分的に前記誘電体材料内に埋め込むか、あるいは前記電極を前記誘電体材料に接触させて、前記電極のアレイを形成するステップと
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記誘電体材料をパターン化して、前記誘電体材料内に複数のキャビティを形成するステップと、
前記キャビティに電極材料を充填し、これにより前記電極を少なくとも部分的に前記誘電体材料内に埋め込むステップと
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
容量性エネルギー蓄積デバイス(CESD)を使用する方法であって、
請求項1~9のいずれかに記載のCESDを用意するステップと、
前記電極の第1グループ内の1つの前記電極と、前記電極の第2グループ内の、前記1つの電極に隣接する1つの前記電極との間に配置された容量性素子の両端間に電圧を印加するステップであって、前記容量性素子は、前記第1グループ内の前記1つの電極と、前記第2グループ内の前記隣接する1つの電極との間に位置する前記誘電体材料の領域であり、これにより、前記容量性素子を電圧V1に充電するステップと
を含む方法。
【請求項18】
前記CESD、及び前記CESDに接続された負荷を含む回路を用意し、前記容量性素子は前記電圧V1に充電され、
逆極性の電位を放電期間だけ前記容量性素子の両端間に印加し、前記逆極性の電位は、前記電圧V1未満であり、かつ前記容量性素子が高インピーダンス状態で発生する電圧未満であり、これにより前記容量性素子から前記負荷へ電力を供給する
ことによって、前記CESDから負荷へエネルギーを供給するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
メモリデバイスを使用する方法であって、
請求項1~9のいずれかに記載の容量性エネルギー蓄積デバイス(CESD)を具えたメモリデバイスを用意するステップと、
前記電極の第1グループ内の1つの前記電極と、前記電極の第2グループ内の、前記1つの電極に隣接する1つの前記電極との間に配置された容量性素子の両端間に電圧を印加するステップであって、前記容量性素子は、前記第1グループ内の前記1つの電極と、前記第2グループ内の前記隣接する1つの電極との間に位置する前記誘電体材料の領域であり、これにより、前記容量性素子を電圧V1に充電するステップと
を含む方法。
【請求項20】
メモリデバイスをリフレッシュする方法であって、
請求項1~9のいずれかに記載の容量性エネルギー蓄積デバイス(CESD)を用意するステップと、
前記CESD内の容量性素子を電圧V1に充電するステップであって、前記電圧V1が漏洩により時間と共に少なくとも部分的に放電するステップと、
その後に、前記容量性素子の静電容量Cを測定するステップと、
前記静電容量Cに基づいて、前記電圧V1を測定するステップと、
前記容量性素子を前記電圧V1に再充電するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本願は、米国特許仮出願第62/429651号、2016年12月2日出願、及び米
国特許仮出願第62/458426号、2017年2月13日出願による優先権を主張し
、これらの米国特許仮出願の各々は、その全文を参照することによって本明細書に含める
【0002】
分野
本発明は、容量性エネルギー蓄積デバイス、及びこのデバイスを使用及び作製する方法
の好適例に関するものである。
【背景技術】
【0003】
コンデンサをエネルギー蓄積デバイス及び/またはメモリ記憶デバイスとして使用する
ことは、導電性電極を用いて電気エネルギーを電荷の形で蓄積することを伴う。エネルギ
ー蓄積の方法として、静電コンデンサは、エネルギーを蓄積して放出することができる速
度において優れている。一般に、誘電体材料における従来の静電エネルギー蓄積のための
充電及び放電メカニズムは、ピコ秒~何百マイクロ秒の時間領域レジメ内である。コンピ
ュータのメモリ記憶デバイス内の容量性素子による電荷の蓄積の利用は、フラッシュメモ
リ(ROM(Read Only Memory:読出し専用メモリ))及びDRAM(Dynamic Random A
ccess Memory:ダイナミック・ランダムアクセスメモリ)の両方におけるメモリ記憶の大
半の基礎となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第8432663号明細書
【文献】米国特許第8940850号明細書
【文献】米国特許第9011627号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0000090号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0000833号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0131198号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0139974号明細書
【文献】米国特許第8633289号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0017342号明細書
【非特許文献】
【0005】
【文献】”IUPAC Compendium of Chemical Terminology”, 2nd ed. (the “Gold Book”), A. D. McNaught and A. Wilkinson編集、Blackwell Scientific Publications, Oxford (1997)
【文献】Kooy他、”Nanoscale research Letters 2014”、9:320
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数の容量性素子を含み、エネルギー蓄積及び/またはメモリ記憶デバイスとして使用
される多用途性を有する容量性エネルギー蓄積デバイスの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
容量性エネルギー蓄積デバイス(CESD:capacitive energy storage device)の
好適例を、CESDを作製及び使用する方法と共に開示する。CESDは電極の平面アレ
イを含み、電極間に空間を有し、このアレイは電極のn個のグループを1つ以上の平面内
に具え、ここにnは2以上の整数である。誘電体材料は、電極間の空間を占めて電極に接
触し、隣接する電極間に位置する誘電体材料の領域が容量性素子を規定する。
【0008】
1つの好適例では、CESDが積層CESDであり、上記アレイは間隔をおいた平行な
電極のn個のグループを具え、これらn個のグループは、平行に積層したn個の、平行な
電極の平面を形成し、各電極は、当該電極が配置された平面に平行な中心軸を有する。各
平面内の平行な電極は、隣接する各平面内の平行な電極に対して0~90°回転させるこ
とができる。以上の好適例のいずれか、あるいは全部では、CESDが4つの側端を規定
する四角形の形状を有することができ、各電極はCESDの側端から突出する端部を有し
、CESDは、当該CESDの2つ以上の側端に付加された導体材料をさらに具え、この
導体材料は、当該導体材料が付加された側端から突出する電極の端部に接触する。以上の
好適例のいずれか、あるいは全部では、電極が、波状の曲線を有するワイヤ(金属線)、
あるいは当該ワイヤの全長に沿った周期的な突起を含むワイヤを具えることができる。
【0009】
独立した好適例では、上記アレイが整列した電極の行を具え、各行は電極のグループを
構成する。他の独立した好適例では、上記アレイがスタガード様式(交互)に並んだ電極
の行を具え、各行は電極のグループを構成する。独立した好適例では、上記アレイがスタ
ガード様式に並んだ電極の行を具え、各行は、当該行内の電極を1つ以上おきにグループ
として直列に接続する行電極相互接続体をさらに具え、スタガード様式に並んだ電極のう
ち、行電極相互接続体によって接続されない電極のグループは、列電極相互接続体によっ
て列の形に接続され、列電極相互接続体は、スタガード様式に並んだ電極の中心軸からオ
フセットし、行電気相互接続体が列電極相互接続体と交差する各交点に、垂直方向の空間
的隔離が存在する。他の独立した好適例では、上記アレイが電極の行及び列のグリッド(
格子)パターンを具え、各行は行グループの電極を具え、これらの電極は複数の列グルー
プの電極と交互し;各行グループは、当該行グループの各電極を直列に接続する行電気相
互接続体をさらに具え;各列グループは、当該列グループの電極を直接に接続する列電極
相互接続体をさらに具え、行電極相互接続体が列電極相互接続体と交差する各交点に、垂
直方向の空間的隔離が存在する。以上の好適例のいずれにおいても、CESDは、(i)行
電気相互接続体と列電気相互接続体との間に配置された絶縁層であって、行電気相互接続
体が当該絶縁層の上方にあり、列電気相互接続体が当該絶縁層の下方にあるように配置さ
れた絶縁層;及び(ii) 上記絶縁層によって、行グループの電極毎に規定されるビア(via
)であって、当該電極を行電気相互接続体に接続するビアをさらに具えることができる。
【0010】
一部の好適例では、CESDが単位セルを具え、この単位セルは、(i)少なくとも多角
形の形状を形成し、当該多角形の各頂点に1つの電極がある複数の電極と;(ii)単位セル
内の電極の数に等しい数の電気相互接続体であって、各々が当該単位セル内の単一の電極
に接続され、2つ以上の当該電気相互接続体の各交点に垂直方向の空間的隔離が存在する
電気相互接続体と;(iii)電極間の空間を占める誘電体材料であって、隣接する電極間に
位置する誘電体材料の領域が容量性素子を規定する誘電体材料とを具えている。この単位
セルは、上記多角形の中心に電極をさらに含むことができる。以上の好適例のいずれか、
あるいは全部では、CESDが、交差する電気相互接続体間に配置された絶縁層、及びこ
の絶縁層によって規定されて、絶縁層の上方にある電気相互接続体を、この電気接続体及
び絶縁層の下方にある電極に接続するビアをさらに含むことができる。一部の好適例では
、CESDが単位セルのアレイを具えている。2つ以上の単位セル内の対応する位置にあ
り同一直線上に並ぶ電極どうしは、電気相互接続体により直列に接続することができる。
【0011】
以上の好適例のいずれか、あるいは全部では、上記電極が、5nm~5mmの、隣接する電
極間の中心軸-中心軸の間隔を有することができる。各電極が上記平面に直交する中心軸
Cを有する上記好適例のいずれか、あるいは全部では、(i)各電極が、この中心軸に沿っ
た5nmから12000μmまでの高さを有することができ;(ii)電極のグループ内の各電
極が、この中心軸に沿ったほぼ同じ高さを有することができ;(iii)上記アレイ内の各電
極が、この中心軸に沿ったほぼ同じ高さを有することができ;または(iv) (i)、(ii)、(i
ii)の任意の組合せである。
【0012】
独立した好適例では、CESDが、電極間に空間を有して多重螺旋配列の形に配置され
た2つ以上の電極を含み、これら2つ以上の電極は互いに交差せず、誘電体材料が電極間
の空間を占める。他の独立した好適例では、CESDが、第1電極と;第1電極の周りに
螺旋形状に巻回された第2電極であって、第1電極との間に空間が存在する第2電極と;
第1電極と第2電極との間の空間を占めて、第1電極及び第2電極に接触する誘電体材料
と;任意で、管状の形状を有して第1及び第2電極を包囲する第3電極とを含み、管状の
第3電極と第2電極との間に空間が存在し、この空間に誘電体材料が充填され、電極間に
位置する誘電体材料の領域が容量性素子を規定する。極性が交互する追加的な層を、任意
で、上述したように構成することができる。
【0013】
他の独立した好適例では、積層CESDが、第1電極と、第1電極と平行な第2電極で
あって、第1電極から間隔をおき、これにより第1電極との間に空間を形成する第2電極
と、第1及び第2電極と平行に配置されて第1電極と第2電極との間の空間を占める、誘
電体材料と導体材料とが交互する積層配列とを含む。この積層配列は、x個の誘電体材料
層、及びy個の導体材料層を含み、ここにy=x-1であり、(i)xは2以上の整数であ
り、(ii)第1の誘電体材料層は第1電極に直接接触し、(iii)誘電体材料の第x層は第2
電極に直接接触し;導体材料層は、隣接する各誘電体材料層の対の間に配置される。独立
した好適例では、上記積層CESDが管状の積層CESDであり、(i)上記第1電極は、
円筒形の形状、内向きの表面、外向きの表面、及び外径を有し;(ii)第2電極は、円筒形
の形状、内向きの表面、外向きの表面、及び第1電極の外径よりも大きい内径を有し;(i
ii)上記積層配列は、第1電極の外向きの表面と第2電極の内向きの表面との間に、誘電
体材料層と導体材料層とが同心で交互する形に配置されている。
【0014】
CESDを作製する方法は、少なくとも部分的に誘電体材料内に埋め込まれるか誘電体
材料に接触する電極のアレイを形成するステップを含み、これらの電極間に空間を有し、
電極のアレイは、1つ以上の平面内に配置された電極のn個のグループを含み、ここにn
は2以上の整数である。1つの好適例では、電極のアレイを形成うぃ、誘電体材料を電極
間の空間内に配置する。独立した好適例では、誘電体材料層を形成し、電極を、少なくと
も部分的に誘電体材料内に埋め込むか誘電体材料に接触させて電極のアレイを形成する。
独立した実施形態では、CESDを作製する方法が、(a)第1電極を用意するステップと
;(b)誘電体材料層と導体材料層とが交互する積層配列を、(i)誘電体材料層を第1電極の
表面に付加し、(ii)導体材料層を誘電体材料層上に付加し、後続する誘電体材料層を導体
材料層上に付加することによって形成するステップと;(c)積層配列の最外層に接触する
第2電極を付加するステップとを含み;この方法は、ステップ(ii)及び(iii)を連続的に
反復して、誘電体材料層と導体材料層とが交互する追加的な交互層を提供するステップを
さらに含むことができ、この追加的な交互層は、誘電体材料層で終端し、これにより上記
積層配列は、y個の導体材料層と交互するx個の誘電体材料層を含み、ここにxは2以上
の整数であり、y=x-1である。
【0015】
開示するCESDの好適例は、エネルギー蓄積デバイス及び/またはメモリ記憶デバイ
スとして有用である。一部の好適例では、CESDを使用する方法が、本明細書中に開示
するCESDを用意するステップと、隣接する2つの電極間に配置された容量性素子の両
端間に電圧を印加するステップであって、この容量性素子は、隣接する電極間に位置する
誘電体材料の領域であり、これにより容量性素子を電圧V1に充電するステップとを含む
。一部の好適例では、上記方法が、CESD、及びこのCESDに接続された負荷を含む
回路を用意するステップであって、上記容量性素子は電圧V1に充電されているステップ
と、放電期間だけ、逆極性の電位を容量性素子の両端間に印加するステップであって、逆
極性の電位は、電圧V1未満であり、かつ容量性素子が高インピーダンス状態で発生する
電圧未満であり、これにより容量性素子から負荷へ電力を供給するステップとによって、
CESDから負荷にエネルギーを供給するステップをさらに含む。
【0016】
一部の好適例では、CESDがメモリデバイスであり、上記容量性素子が、当該容量性
素子の両端間に印加される電圧によって決まる論理状態を有する。1つの好適例では、C
ESDを具えたメモリデバイスを使用する方法が、第1グループの電極のうちの1つの電
極と、この電極に隣接する、第2グループの電極のうちの1つの電極との間に配置された
容量性素子の両端間に電圧を印加することによってメモリデバイスに書き込むステップで
あって、この容量性素子は、第1グループの上記1つの電極と、この電極に隣接する第2
グループの上記1つの電極との間に位置する誘電体材料の領域であり、これにより容量性
素子を電圧V1に充電するステップを含む。この方法は、第1グループの電極に接続され
た第1電気相互接続体及び第2グループの電極に接続された第2相互接続体の一方を高イ
ンピーダンスのセンサに接続し、第1電気相互接続体及び第2電気相互接続体の他方をV
ssに接続し、容量性素子の電圧V1を高インピーダンスのセンサで読み取ることによって
、メモリデバイスを読み出すステップをさらに含むことができる。CESDを具えたメモ
リデバイスは、(i)CESD内の容量性素子を電圧V1に充電し、電圧V1は漏洩により
時間と共に少なくとも部分的に放電し;(ii)その後に、容量性素子の静電容量Cを測定し
;(iii)静電容量Cに基づいて電圧V1を測定し;(iv)容量性素子を電圧V1に再充電す
ることによってリフレッシュすることができる。
【0017】
以上の好適例のいずれか、あるいは全部では、上記誘電体材料を、0.5cP以上の粘度
を有する流体とすることができる。以上の好適例のいずれか、あるいは全部では、上記誘
電体材料を、3.9よりも大きい相対誘電率を有する電子エントロピー誘電体材料とする
ことができる。以上の好適例のいずれか、あるいは全部では、上記導体材料を、炭素質材
料、金属、導電性ポリマー、またはその組合せとすることができる。
【0018】
本発明の以上及び他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明より一層明らかにな
り、この詳細な説明は添付した図面を参照しながら進める。
【0019】
以下の図面中では、特に断りのない限り、要素間の明らかな隙間(例えば、電極と誘電
体材料との間の隙間)は明瞭にする目的で示すに過ぎず、実際のデバイスには存在しない
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】多層コンデンサの側断面図である。
図2A】好適な容量性エネルギー蓄積デバイスの側断面図である。
図2B図2AによるCESDを2つ積層させて配置した側断面図である。
図3】整列したグリッドパターンの形に配列された電極のアレイを具えたCESDの上面図であり、各対角行が電極のグループを構成する。
図4】整列したグリッドパターンの形に配列された電極のアレイを具えたCESDの上面図であり、各行が電極のグループを構成する。
図5】スタガード様式に並んだ行の形に配列された電極のアレイを具えたCESDの上面図であり、各行が電極のグループを構成する。
図6】オフセットした対角行の形に配列された電極のアレイを具えたCESDの上面図であり、各行が電極のグループを構成する。
図7】整列したグリッドパターンの形に配列された電極のアレイを具えたCESDの上面図であり、各行は、複数の列グループの電極が1つおきに行グループを構成する電極を含み、各列は複数の行グループの電極が1つおきに列グループを構成する電極を含み;各内側電極は4つの容量性素子によって包囲される。
図8図7のCESDを直線8-8に沿って切断した側断面図である。
図9】整列したグリッドパターンの形に配列された電極のアレイを具えたCESDの側断面図であり、各行は、複数の列グループの電極が1つおきに行グループを構成する電極を含み、各列は複数の行グループの電極が1つおきに列グループを構成する電極を含み;行グループと列グループとは、基板または電極の下面とは異なる高さに配置された電気的相互接続体によって接続されている。
図10図7のCESDの、単一の側端の行グループ及び単一の内側の列グループの活性化を示す図であり、これにより単一の容量性素子にアクセスする。
図11図7のCESDの、単一の内側の行グループ及び単一の内側の列グループの活性化を示す図であり、これにより行電極の互いに反対側にある2つの容量性素子にアクセスする。
図12図7のCESDの、単一の内側の行グループ及び単一の内側の列グループの活性化を示す図であり、これにより列電極の互いに反対側にある2つの容量性素子にアクセスする。
図13】スタガード様式に並んだ行の形に配列された電極のアレイを具えたCESDの上面図であり、各行は、複数の列グループの電極が1つおきに行グループを構成する電極を含み、各内側電極は4つの容量性素子によって包囲される。
図14図13のCESDの、単一の内側の行グループ及び単一の内側の列グループの活性化を示す図であり、これにより4つの容量性素子にアクセスする。
図15】スタガード様式に並んだ行の形に配列された六角形電極のアレイを具えたCESDの上面図であり、各行が電極のグループを構成する。
図16】多角形単位セル構成の形に配列された複数の電極を具えたCESDの上面図である。
図17】複数の、図16の多角形単位セルを具えたCESDの上面図である。
図18】多重螺旋配置の形の2つ以上の電極を具えたCESDの上面図である。
図19】CESD、スイッチングアレイ、及びコントローラを具えたデバイスの簡略化した概略図である。
図20】第1電極、及び第1電極の周りの螺旋形状の形の第2電極を有する好適な管状のCESDの透視図である。
図21】第1電極、及び第1電極の周りの螺旋形状の形の第2電極、及び第1及び第2電極を包囲する管状の第3電極を有する好適な管状のCESDの透視図である。
図22図22A及び22Bは、好適な積層CESDの側断面図(22A)及び透視図(22B)である。
図23】CESDの側面上の封止材料をさらに含む好適な積層CESDの側断面図である。
図24図24A~24Cは、平行な電極の複数の層を含む好適な積層CESDの、それぞれ透視図、下面図、及び側断面図であり、所定層内の電極は共通の極性を有し、隣接する層内の電極は逆の極性を有し、各層内の電極は隣接する層内の電極に対して直角に配向されている。
図25】平行な電極の複数の層を含む好適な積層CESDの透視図であり、所定層内の電極は共通の極性を有し、隣接する層内の電極は逆の極性を有し、各層内の平行な電極は、隣接する層内の平行な電極に対して直角に配向しないように回転している。
図26図26A~26Dは、平行な電極の複数の層を含む好適な積層CESDの、それぞれ透視図、下面図、及び2つの側断面図であり、所定層内の電極は交互する極性を有し、各層内の電極は隣接する層内の電極に対して直角に配向している。図26Cには、電極の平面オフセットが存在し;図26Dでは、電極が垂直方向に整列している。
図27図27A及び27Bは、2本の撚り線電極の平行配置を示し、隣接する電極どうしは同じ極性(27A)または逆の極性(27B)を有する。
図28図28A及び28Bは、2本の撚り線電極の逆平行配置を示し、隣接する電極どうしは同じ極性(28A)または逆の極性(28B)を有する。
図29図29A及び29Bは、2本の撚り線電極の平行配置を示し、各電極は当該電極の全長に沿った周期的な突起を含み、隣接する電極どうしは同じ極性(29A)または逆の極性(29B)を有する。
図30図30A及び30Bは、2本の撚り線電極の逆平行配置を示し、各電極は当該電極の全長に沿った周期的な突起を含み、隣接する電極どうしは同じ極性(30A)または逆の極性(30B)を有する。
図31】円筒形の形状を有する好適な管状の積層CESDの断面図である。
図32図31の管状の積層CESDの断面図であり、この管状の積層CESDは、任意である外側の非導電性コーティングをさらに含む。
図33】CESD内の容量性素子の可能な直列及び並列接続を示す概略図である。
図34】2つの容量性素子の、複数の好適な直列または並列の組合せを示す図である。
図35】本明細書中に開示するCESDを作製する一般的な方法の流れ図である。
図36】交差する電気相互接続を含むCESDを作製する一般的な方法の流れ図である。
図37図22A及び22Bに示す積層CESDを作製する一般的な方法の流れ図である。
図38図24~26に示す積層CESDを作製する一般的な方法の流れ図である。
図39図24~26に示す積層CESDを作製する他の一般的な方法の流れ図である。
図40】本明細書中に開示するCESDを充電する一般的な方法の流れ図である。
図41】本明細書中に開示するCESDから負荷へエネルギーを供給する一般的な方法の流れ図である。
図42】本明細書中に開示する積層CESDを充電する一般的な方法の流れ図である。
図43】本明細書中に開示するCESDから負荷へエネルギーを供給する一般的な方法の流れ図である。
図44】本明細書中に開示するCESDを具えたメモリデバイスに書き込み、このメモリデバイスを読み出す1つの方法を示す流れ図である。
図45】CESDを具えたメモリデバイス内の容量性素子の容量を測定してCESDをリフレッシュする1つの方法を示す流れ図である。
図46】メモリデバイス内の容量性素子をROMモードで読み出す1つの方法を示す流れ図であり、このメモリデバイスはCESDを具えている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
容量性エネルギー蓄積デバイス(CESD)、及びこうしたデバイスを作製する方法、
及びこうしたデバイスを用いた使用方法の実施形態を開示する。開示するデバイスの実施
形態は、複数の電極及び複数の容量性素子を含む。これらのCESDは、エネルギー蓄積
デバイス及び/またはROMメモリ及び/またはRAMメモリとして用いることができる
。本明細書中に開示するCESDは、以前から知られ製造されているデバイスよりも増加
した、電荷を蓄積する能力、及び蓄積した電気エネルギーを放出する能力も有して、より
大きいエネルギー密度(単位体積当たりのエネルギー)及び比エネルギー(単位質量当た
りのエネルギー)を提供する。
【0022】
1.定義
以下の用語及び略語の説明は、本発明をより良く説明し、通常の当業者を本発明の実施
に導くために提供する。本明細書中に用いる「具える」は「含む」を意味し、単数形は、
特に文脈上明らかな断りのない限り、複数の参照を含む。「または/あるいは」は、特に
文脈上明らかな断りのない限り、記載した選択肢の要素または2つ以上の要素の組合せの
うちの単一の要素を参照する。
【0023】
特に断りのない限り、本明細書中に用いるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が
属する分野の通常の当業者が共通して理解する意味と同じ意味を有する。本明細書中に記
載するものと類似または等価の方法及び材料を本発明の実施または試験に当たり用いるこ
とができるが、以下では適切な方法及び材料を説明する。これらの材料、方法、及び例は
例示に過ぎず、限定的であることを意図していない。本発明の他の特徴は、以下の詳細な
説明及び特許請求の範囲より明らかになる。
【0024】
特に断りのない限り、明細書及び特許請求の範囲中に用いる、成分、電圧、温度、時間
、等を表すすべての数値は、「約」によって修飾されるものとして理解するべきである。
従って、暗示的にせよ明示的にせよ特に断りのない限り、記載する数値パラメータは概数
であり、追求する所望の特性及び/または、通常の当業者に知られている標準的な検査条
件/方法の下での検出限界に依存し得る。説明する従来技術から実施形態を直接かつ明示
的に区別する際には、実施形態の数値は、「約」を記載しない限り概数ではない。
【0025】
本発明の種々の実施形態の検討を促進するために、以下の具体的用語の説明を提供する
【0026】
アレイ:例えば、行、列、または規則的な反復パターンの規則正しい配列。
【0027】
静電容量:物体が電荷を蓄積する能力。静電容量は次式:
【数1】
のように定義され、ここにQは電荷(クーロン)であり、Vは電圧(ボルト)である。静
電容量は一般にファラッド単位で表され、ここに1F=1C/Vである。
【0028】
容量性素子:本明細書中に用いる「容量性素子」とは、直列接続されていない隣接した
2つの電極間に位置する誘電体材料の領域を称する。
【0029】
CESD:容量性エネルギー蓄積デバイス。
【0030】
同一平面上の:「同一平面上の」とは、2つ以上の物体を記述する形容詞であり、各物
体は共通の幾何学的平面上に位置する少なくとも1つの表面を有する。従って、単一の平
面基板または担体上に配置された電極は同一平面上にある。同様に、共通の絶縁層上に配
置された、ほぼ同じ高さの同一平面上の電極上に配置された、及び/または空間内の同じ
幾何学的平面を占める電気相互接続体は同一平面上にある。
【0031】
多重螺旋:本明細書中に用いる「多重螺旋」とは、混ざり合った2つ以上の螺旋を称す
る。2つ以上の電極の多重螺旋を参照する際には、これらの電極は電気的に独立している
(即ち、個別の電極は互いに交差しない)。電極の多重螺旋配置は、例えば、2本のワイ
ヤ電極または線状電極を並べて、2つの電極間に空間を有し、次に、例えば図18に示す
ように、これら2つの電極を一緒に、これらの電極が互いに交差しないように螺旋形に配
置することによって形成することができる。これらの電極が平面上に多重螺旋をなして配
置されている際には、この多重螺旋は平面状である。「多重螺旋」とは、ほぼ円形の、楕
円形の、多角形の、あるいは不規則的な螺旋形を有する螺旋を包含する。
【0032】
誘電体材料:印加された電界によって分極することができる電気絶縁体。
【0033】
電気相互接続体:複数の電極を直列に接続するために使用される導電線。
【0034】
電気絶縁材料または絶縁体:絶縁体は、自由に流動しない内部電荷を有する材料であり
、従って、この材料は電流を少ししか、あるいは全く導通させない。完全な絶縁体は存在
しないことを認識すれば、本明細書中に用いる「電気絶縁材料」とは、主として絶縁性で
ある材料、即ち、コンデンサとしての通常の使用中に材料の両端間に印加される電界を超
える閾値の絶縁破壊電界を有し、従って通常の使用中には電気絶縁破壊を回避する材料を
称する。
【0035】
電極:本明細書中に用いる「電極」とは、導電体(例えば、金属)を称し、あるいは、
導電体、及びこの導電体の表面上の非導電性材料を具えた「複合」電極を称する。代表的
な電極は、金属、電気絶縁された金属、炭化ポリマー、導電性カーボン(炭素)、及び導
電性ポリマーを含む。
【0036】
エントロピー材料:材料のエントロピー変化によりエネルギーを蓄積する材料。一部の
例では、エントロピー変化は電気的手段によって推進され、こうした材料は電子エントロ
ピー(登録商標)と称される。他の例では、エントロピー変化は磁界によって推進され、
こうした材料は磁気エントロピー(登録商標)材料と称される。エントロピー変化は、原
子構造変化、分子構造変化、二次及び/または三次構造変化を含み、例えば、材料内のポ
リマーの分子間運動、及び/または、荷電分子種または極性分子種の分子間運動である。
【0037】
グラフェン:六角形格子が反復する形に配列した炭素原子の単一の平面シートで構成さ
れる、元素炭素の極めて高導電性の形態。(https://www.merriarn-webster.com/diction
ary/graphene)。
【0038】
黒鉛炭素:黒鉛炭素(グラファイト・カーボン)は、黒鉛の同素形の炭素を含み、構造
欠陥の存在及び黒鉛構造の割合とは無関係である。黒鉛炭素は、回折法(”IUPAC Compen
dium of Chemical Terminology”, 2nd ed. (the “Gold Book”), A. D. McNaught and
A. Wilkinson編集、Blackwell Scientific Publications, Oxford (1997).XMLのオンライ
ン訂正版:http://goldbook.iupac.org(2006-)、M. Nic他作成;更新はA. Jenkins編集。
ISBN 0-9678550-9-8。doi:10.1351/goldbook、2014年2月24日更新、バージョン2.3.3)(
非特許文献1)によって検出される三次元六方晶の長距離秩序を呈する少なくとも一部の
磁区を有する。
【0039】
黒鉛化炭素:IUPACによって定義されるように、非黒鉛炭素から黒鉛化加熱処理、
即ち、2500~3300Kの範囲内の熱処理によって用意される、ほぼ完全な三次元六
方晶秩序を有する黒鉛炭素である(同書)。本明細書中に用いる、部分的に黒鉛化された
炭素とは、20重量%から99重量%まで、例えば50重量%から99重量%まで、ある
いは80重量%から95重量%までの範囲内の黒鉛型構造の含有量を有する黒鉛炭素を称
する。
【0040】
絶縁層/コーティングまたは非導電性層/コーティング:本明細書中に用いる「絶縁層
」、「絶縁コーティング」、「非導電性層」、及び「非導電性コーティング」とは、オー
ム抵抗的導電率の観点から電気絶縁性である材料の層またはコーティングを称し、即ち、
この材料は1×10-1S/m(ジーメンス/メートル)未満のオーム抵抗的導電率を有する
【0041】
パリレン:重合p-キシリレン、プラレン(Puralene:登録商標)ポリマー(カーバー
・サイエンティフィック社)または重合置換p-キシリレンとしても知られている。ポリ
(p-キシリレン)は次の化学式を満足する:
【化1】
【0042】
誘電率:本明細書中に用いる「誘電率」とは、材料が分極し、これにより、その体積空
間の「誘電定数」を真空よりも高い値に変化させる能力を称する。材料の相対誘電率は、
次式2中に示すように、その静的誘電定数を真空の誘電定数で除算した測定値である。
【数2】
ここに、erは相対誘電率、esは測定した誘電率、及びe0は真空の誘電率(8.85
42×10-12F/m)である。真空は1の相対誘電率を有するのに対し、水は(20℃で)
80.1の相対誘電率を有し、有機コーティングは一般に3~8の相対誘電率を有する。
一般的に言えば、「高誘電率」とは、少なくとも3.3の相対誘電率を有する材料を参照
する。本明細書中に用いる「高誘電率」とは、電界中に浸すことのような誘電率増強技術
を用いて少なくとも10%だけ増強させた誘電率を有する材料も参照する。
【0043】
摂動電荷:電子エントロピー・エネルギー・デバイスに供給される電荷、この電荷は、
デバイスの静電容量を変化させずにデバイスの電圧に変化を生じさせるのに有効な大きさ
を有する。
【0044】
極性:「極性」とは、原子間で電子が均等に共有されていない、即ち、正電荷の領域と
負電荷の領域とが少なくとも部分的に永久に分離されている化合物または化合物内の官能
基を参照する。
【0045】
ポリマー/ポリマー分子:化学反応、即ち重合により形成される、構造単位(例えば、
モノマー)が反復する分子。バイオポリマー(生重合体、生物高分子)は、生体、例えば
タンパク質、セルロース、またはDNA(deoxyribonucleic acid:デオキシリボ核酸)
内に発生するポリマーである。
【0046】
RAM:ランダムアクセスメモリ。
【0047】
ROM:読出し専用メモリ。
【0048】
波状の:周期的曲線を有する、蛇行した。
【0049】
単位セル:本明細書中に用いる「単位セル」とは、CESDを形成するための電極の最
小数を参照する。誘電体材料が電極間の空間を占める。
【0050】
ビア:ビア(または垂直方向の相互接続アクセス)は、層の平面を通過する電気接続体
である。本明細書中に用いるビアは、絶縁層を通って延びて電極と導電線との電気接続を
行う電気接続体を称する。
【0051】
Vss:電圧源。本明細書中に用いるVssは、通常は、CESDを含む回路用の負の方の
電源電圧を称する。一部の例では、Vssは接地である。しかし、Vssは、電圧源とは異な
る電圧を示すために用いられ、電圧源よりも高い電圧にも低い電圧にもすることができる
。CESD内の一方の電極(または電極のグループ)が電圧源に接続されている際には、
他方の電極(または電極のグループ)はVssに接続され、Vssは電圧源とは異なる電圧を
有し、これによりCESD内の容量性素子の両端間に電圧差を与える。
【0052】
II.容量性エネルギー蓄積デバイス(CESD)
一部の実施形態では、容量性エネルギー蓄積デバイス(CESD)が、電極間に空間を
有する少なくとも2つの電極、及び2つの電極間に配置されて2つの電極に接触する誘電
体材料を具えている。CESDは、電極間に空間を有する電極のアレイを具えることがで
き、この電極のアレイは、電極のn個のグループを1つ以上の平面内に具え、ここにnは
2以上の整数である。
【0053】
これらの電極は実質的に任意の断面形状を有することができ、こうした断面形状は、円
柱の形状、楕円柱の形状、多角柱の形状、球の形状、半球の形状を含むが、これらに限定
されず、あるいは、電極は平面形状を有することができ、ここでは電極が二次元の平面で
ある。以下により詳細に説明する特定の実施形態では、電極が、波状曲線を有するワイヤ
、あるいは当該ワイヤの全長に沿った周期的な突起を含むワイヤを具えることができる。
一実施形態では、電極が直円柱の形状を有する。円柱の形状を用いて、電極間の有効表面
積を増加させることができる。独立した実施形態では、電極が球形または半球形の形状を
有する。一部の実施形態では、電極形状が誘電体の誘電率に影響を与え得る。特定の動作
理論に束縛されることを望まずに、曲面状電界は直線状電界よりも大量のエネルギーを蓄
積することができる。上記電極は、規則的な(例えば、滑らかな)表面、あるいは不規則
な(例えば、粗い)表面を有することができる。一部の実施形態では、ランダムに不規則
な、あるいは粗い電極表面が、充電/放電サイクルの少なくとも一部分において高速の充
電及び放電をもたらす。特定の動作理論に束縛されることを望まずに、粗い表面は、規則
的な滑らかな表面を有する電極に比べて増加した表面積に起因して、より高速な充電/放
電をもたらす。
【0054】
上記電極は導体材料で構成されている。適切な導体材料は、導電性カーボン、カーボン
以外の導電性有機材料、導電性の金属、または半導体を含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、電極が陽極酸化されている(即ち、耐久性がある、耐食の、陽極酸
化物の表面膜を有する)。他の実施形態では、上記電極が、例えばポリ(p-キシリレン)
のような絶縁コーティングでコーティングされている。
【0055】
一部の実施形態では、隣接する電極間の中心軸-中心軸の間隔が1nm~5mmの範囲内で
あり、例えば、0.03μmから1mmまで、0.5μmから100μmまで、0.1μmから
50μmまで、1μmから500μmまで、または10μmから2000μmまでの間隔であ
る。従って、CESDは、4電極/cm2から4×1012電極/cm2まで、例えば100電極/c
m2から1×109電極/cm2まで、1×104電極/cm2から1×109電極/cm2まで、または
2×105電極/cm2から5×106電極/cm2までを含むことができる。電極の間隔は、部分
的に、所望される電界(E-フィールド)、使用する誘電体材料、及び/または電極上の
陽極酸化膜または絶縁コーティングの存在に依存する。一部の実施形態では、誘電体材料
の平均の厚さに基づく0.0001V/μm~1000V/μmの範囲内の印加電界を利用する
。特定の実施形態では、印加電界が、CESDの意図する利用法に応じて、0.001V/
μm~1000V/μm、0.001V/μm~100V/μm、100V/μm~1000V/μm、ま
たは1V/μm~5V/μmの範囲内である。電極が絶縁コーティングを含む際には、絶縁層の
遮断(ブロッキング)効果に起因する非常に低い電界を、わずかに導電性の誘電体材料と
共に用いることができる。その代わりに、絶縁誘電体内の透過性の細孔を用いて、電界を
、絶縁コーティングの大部分を通して、より高誘電率の誘電体まで透過させることができ
る。電極が陽極酸化されているか絶縁層でコーティングされている際には、(デバイスの
所望の使用可能な電圧に応じた)より大きい間隔もより小さい間隔も可能である。こうし
た実施形態では、ずっと大きい電圧を実現することができる。一部の例では、電極上に絶
縁コーティングを付加せずに、25V以上の範囲内の電圧を用いてきた。大部分の金属は
、大気中の酸素に曝されると、薄い非導電性の酸化物層を成長させる。電極に絶縁コーテ
ィングが負荷されている際には、100V以上の、例えば≧150Vの、≧200Vの、≧
250Vの、≧400Vの、さらには≧650Vの電圧を印加することができる。
【0056】
図1は、複数の電極11、12を並列配置の形に具えた従来のコンデンサ10の断面図
である。エッジコネクタ13、14は外部への電気接続用である。非導電性の誘電体材料
15が電極11、12間にある。コンデンサの要素間の明らかな隙間は、いずれも明瞭に
する目的で示すに過ぎず、実際のデバイス内には存在しない。この方法で作製された代表
的なコンデンサは多層セラミックコンデンサ(MLCC:multilayer ceramic capacitor
)を含み、多層セラミックコンデンサは電子回路用に用いられている。
【0057】
これとは対照的に、開示するエネルギー蓄積デバイスの一部の実施形態は、電極間に空
間を有する平面配列の形の電極のアレイ、及び電極間の空間を占める誘電体材料を含む。
上記CESDは単一の平面上に形成することができる。このことは製造にとって有利であ
る、というのは、単一の平面が、間隔の近い電極の幾何学的及び機械的整列を促進するか
らである。電極が正確に整列していなければ、これらの電極は互いに接触して短絡を生じ
させ、あるいは蓄積しているエネルギーの不所望な放出を生じさせる。電極の2つの平面
をミクロンまたはナノメートルの尺度で正確に整列または位置合わせすることができるが
、こうしたデバイスの大規模な生産は困難である。開示するCESDの一部の実施形態の
幾何学的性質は、これらの整列の問題を軽減するのに役立つ、というのは、単一の平面基
板を製造中に用いるからである。それにもかかわらず、特に、より少数の電極が存在する
場合、及び/またはより大きい間隔が電極間に存在する場合には、電極が2つ以上の異な
る平面上に形成されて、これらの平面間の誘電体と位置合わせされる他の構成が実現可能
であり、これらの構成も本発明の範囲内である。こうした実施形態では、エッジコネクタ
も2つ以上の異なる平面上に存在することができる。
【0058】
図面中には好適なCESDを例示する。3つ以上の電極を含むCESDでは、図面中に
示す電極の数は代表的なものに過ぎず、CESD内の電極の最小数または最大数を示すも
のではないことは明らかである。いくつかの図面中では、1つ以上の「単位セル」を点線
で示している。単位セルは、そのCESDにとって最小の構成である。
【0059】
図2Aは好適なCESD100の側断面図であり、CESD100は、複数の電極11
0、120をほぼ平面のアレイ(即ち、秩序配列)の形に具え、各電極は平面に直交する
中心軸ACを有する。エッジコネクタ130、140は外部から電極への接続用である。
誘電体材料150が電極110、120間の空間を占めて、これらの電極に接触する。電
極110、120は、少なくとも部分的に、誘電体材料150内に埋め込まれるか誘電体
材料150に接触する。電極110、120は誘電体材料150内に完全に埋め込むこと
ができる。隣接する電極間に位置する誘電体材料の領域が容量性素子を規定する。CES
Dの要素間の明らかな隙間は、いずれも明瞭にする目的で示すに過ぎず、実際のデバイス
内には存在しない。
【0060】
上記複数の電極は、基板上に配置することができ、あるいは任意で、除去可能な担体層
160上に配置することができる(CESDを担体層上に形成することができ、この担体
層はその後に除去される)。CESD100は複数の電気相互接続体(図2には図示せず
)をさらに具え、各電気相互接続体は2つ以上の電極を直列に接続する。単一の電気相互
接続体によって接続される電極が電極のグループを構成する。一部の実施形態では、CE
SDが上部封止層または追加的誘電体170をさらに含む。CESDは電極の少なくとも
2つのグループを含むが、何百個もの、さらには何千個もの個別の電極または電極のグル
ープを含むことができる。CESDは、電極のグループの数に等しい数の電気相互接続体
を含む。従って、CESDは少なくとも2つの電気相互接続体を含むが、何百個もの、さ
らには何千個もの電気相互接続体を含むことができる。
【0061】
図2Bに示すように、2つ以上のCESD100を垂直方向に積層させてCESD積層
を形成することができる。CESD積層は、何十個、何百個、さらには何千個もの層をな
すCESDを含むことができる。開示するCESDの一部の実施形態は、0.005μm
から150μmの範囲の厚さを有する。従って、ちょうど1cmの厚さを有するCESD積
層は、2~2,000,000層、例えば50~1,000,000層、50~100,
000層、500~50,000層、1,000~10,000層、または1,000~
7,000層を含むことができる。一実施形態では、積層内の各CESDが、非導電性基
板のような基板160を含む。独立した実施形態では、封止層170が積層内の隣接する
各CESDの対の間に配置され;この封止層は、ポリ(p-キシリレン)のような絶縁層、
あるいは追加的な誘電体材料であることが有利である。図2Bは特定数の電極を示してい
るが、CESDは図示するよりも多数または少数の電極を有することができることは明ら
かである。点線は内側の単位セル101a、及びエッジ(端)または外側の単位セル10
1bを示し、各々が2つの電極、及びこれらの電極間の誘電体材料を含む。CESDの要
素間の明らかな隙間は、いずれも明瞭にする目的で示すに過ぎず、実際のデバイスには存
在しない。
【0062】
電極110、120は、中心軸に沿った任意の所望の高さを有することができる。一部
の好適例では、電極が1nmから12000μmまでの高さ、例えば5nm~12000μmの
高さ、0.01μm~10mmの高さ、0.01μm~1mmの高さ、0.03μm~1mmの高
さ、0.03μm~100μmの高さ、0.03μm~10μmの高さ、0.5μm~10μm
の高さ、または1μm~10μmの高さを有する。特定の実施形態では、電極のグループ内
の各電極がほぼ同じ高さを有する(即ち、グループ内の各個別の電極の高さは、グループ
内の電極の平均の高さから5%未満しか変動しない)。以上の実施形態のいずれにおいて
も、電極のアレイ内の各電極はほぼ同じ高さを有することができる。電極間の空間を占め
る誘電体材料は、電極の平均の高さの10%から5000%までの範囲の平均の厚さ、例
えば、電極の平均の高さの10~1500%、90~1500%、10~500%、また
は90~500%の範囲内の平均の厚さを有することができる。一部の実施形態では、誘
電体材料の平均の厚さが電極の平均の高さとほぼ同じである(即ち、5%未満しか変動し
ない)。
【0063】
以上に説明したように、電極の間隔は、部分的に、所望される電界(E-フィールド)
、使用する誘電体材料、及び/または電極上の陽極酸化膜または絶縁コーティングの存在
に依存する。一般に、電界は電極の中心軸に直交する。従って、電極が基板上に配置され
てその中心軸が基板に直交する場合、電界は基板にほぼ平行になる。丸い面または曲面を
利用する他の実施形態では、電界は、透視図において基板または電極の表面上の直交する
点に合わせて実質的に湾曲する形状を有することができる。
【0064】
好適な基板は非導電性であり、あるいは、電極に接触する非導電層または絶縁層(例え
ば、ポリ(p-キシリレン))を具えている。一部の実施形態では、基板160が除去可能
な担体であり、CESDが組み立てられた後に除去される。一部の例では、除去可能な担
体が水溶性ポリマーを含む。
【0065】
上記電気相互接続体は、2つ以上の電極を直列に接続する導電線である。上記電気相互
接続体は、導電性カーボン、カーボン以外の導電性有機材料、または導電性の金属のよう
な導体材料で構成することができる。一部の実施形態では、上記電気相互接続体が金属線
である。電極への電気接続は直接的にも間接的にもすることができる。直接的接続は、マ
イクロエレクトロニクス及びリソグラフィーの分野で就業する者にとって周知の方法で行
うことができる。接続は、例えば標準的なワイヤボンディング機または導電性接着剤を用
いて行うことができる。
【0066】
CESD内では多数の可能な電極配列が存在し、本明細書ではそのうちの少数を説明する。図3~14の全体を通して、個々の構成要素に対する同じ番号を変えない。図3に示す好適な実施形態では、CESD300が、整列したグリッド(格子)パターンの形に配列された電極110、120のアレイを具え、各電極の中心軸AC(*)は、隣接する行及び列の直に隣接する電極の中心軸と整列している。(上から見た)各対角行が電極のグループを構成する。点線で示すように、3つの電極が単位セル、例えばセル301a、301b、301cを構成する。対角行内を見ると、いずれの行内の電極の中心軸も、直に隣接する対角行内の電極の中心軸からスタガード様式(交互)にずれている、あるいはオフセットしていることがわかる。電極の各グループ内のすべての電極が、電気相互接続体115、125によって接続されている。例えば、図3のラベルを付けた電気相互接続体115は、2つの電極110を直列に接続し、ラベルを付けた電気相互接続体125は、3つの電極120を直列に接続する。各電気相互接続体は、エッジコネクタ130、140に結合された終端を有し、このエッジコネクタを用いて電極のグループ毎の外部への電気接続を形成する。各エッジコネクタ130、140は、例えばスイッチ(図示せず)に接続することができる。電気相互接続体の他方の端子は、グループ内で当該電気相互接続体から最も遠い電極に接続されている。誘電体材料150は、電極110、120間の空間を占め、これらの電極は、少なくとも部分的に、この誘電体材料内に埋め込まれるかこの誘電体材料に接触する。異なるグループに属して互いに隣接する電極間の誘電体材料の領域が、容量性素子155を規定する。図3の構成では、各内側電極(即ち、アレイのエッジ上にない電極)は他のグループに属する4つの電極によって包囲される。従って、各内側電極の周りに4つの容量性素子155が存在する。対角線上に配置された電極のグループは、エッジコネクタ130、140を、電極110、120の(中心間の)距離の2倍の間隔を置かせることを可能にすることが有利である。容量性素子は、単一行内で直接に接続された2つの電極間には形成されない。行電極110及び隣接する行電極120を活性化することによって、これらの活性化された2つの行間に位置するすべての容量性素子155がアドレス指定される。「活性化する」とは、(i)エッジコネクタに電圧を印加すること、(ii)エッジコネクタをVss(例えば、接地)に接続すること、または(iii)エッジコネクタを負荷に接続することを意味する。例えば、隣接する行のエッジコネクタ140をVssに接続すると共に電圧をエッジコネクタ130に印加し、ここでVssは印加する電圧と異なり、これにより、隣接する行の電極110と120との間に位置する容量性素子155の両端間に電圧差を生じさせることができる。なお、コンデンサへの接続部は2つ存在する。エネルギー蓄積は電荷の量及びデバイスの静電容量のみに関係し、従ってこれら2つの接続部間の電圧差のみに関係するので、コンデンサへの一方の接続部の電圧は接地電位であるものと仮定することによって説明を簡略化する。従って、容量性デバイスへの他方の接続部への電圧だけ説明すればよい。しかし、デバイスの説明及び実用性は接地電位のみに限定する必要はなく、このことは電気回路に精通した者に共通して知られている。
【0067】
図4の構成では、CESD400が、整列したグリッドパターンの形に配列された電極
110、120のアレイを具え、各電極の中心軸AC(*)は、隣接する行の直に隣接する電
極の中心軸と整列している。各行は電極のグループを構成する。点線で示すように、4つ
の電極が単位セルを形成する。整列した行の配列は、2つの容量性素子155を、各内側
電極(例えば、電極120a)の互いに反対の側に提供する。容量性素子155は各エッ
ジ電極に隣接する。電極110の行及び隣接する電極120の行を活性化することによっ
て、活性化された2つの行間に位置するすべての容量性素子155がアドレス指定される
【0068】
図5にCESD500を示し、CESD500では、電極110、120がスタガード
様式に並んだ行のアレイの形に配列され、このため、行内の各電極の中心軸(*)は隣接す
る行内の電極の中心軸と整列していない。各行は電極のグループを構成する。点線で示す
ように、4つの電極が単位セル501を形成する。各内側電極(例えば、電極120a)
は、隣接する各行内の2つの電極に隣接する。整列した行の配列は、各内側電極の周りに
4つの容量性素子を提供し、電極の互いに反対側の各々に2つの容量性素子がある。電極
110の行及び隣接する電極120の行を活性化することによって、活性化された2つの
行間に位置する容量性素子155がアドレス指定される。
【0069】
図6の実施形態では、CESD600が、オフセットした対角行のアレイの形に配列さ
れた電極110、120を具え、各行は電極のグループを構成する。点線で示すように、
4つの電極が単位セル601を形成する。各内側電極(例えば、電極120a)は、隣接
する各対角行内の2つの電極に隣接する。この構成は、各内側電極の周りに4つの容量性
素子を提供する。電極110の行、及び隣接する電極120の行を活性化することによっ
て、活性化された2つの行間に位置するすべての容量性素子155がアドレス指定される
【0070】
図7にCESD700を示し、CESD700は、行及び列が整列したグリッドパター
ンの形に配列されている。各行は行グループの電極、即ち電極110を具え、電極110
は複数の列グループの電極と交互する。各列は列グループの電極、即ち電極120を構成
し、電極120は複数の行グループの電極と交互する。点線で示すように、4つの電極が
単位セル701を形成する。各行グループの電極は行電気相互接続体115により直列に
接続されている。各列グループの電極120は、列電気相互接続体125により直列に接
続されている。この構成は、各内側電極の周りに4つの容量性素子155を提供する。図
7に示す実施形態では、電気相互接続体125が、電極120の中心軸ACからオフセッ
トして、各電極120に接続されるための分岐形状を有する。電気相互接続体115と1
25とが互いに交差するので、これらの相互接続体は三次元空間内の異なる平面内に配置
されている。これらの電気相互接続体は、行の相互接続体115が列の相互接続体125
と交差する各交点に垂直方向の空間的隔離が存在するように構成されている。図8に示す
CESD800のような一部の実施形態では、絶縁層190が電気相互接続体115と1
25との間に配置され、これにより電気相互接続体115は絶縁層の上方にあり、電気相
互接続体125は絶縁層の下方にある。電極110は、絶縁層を通って延びるビア180
によって電気相互接続体115に接続することができる。その代わりに、絶縁層は電極1
10の上方で選択的に除去することができる。単位セル801は点線で示す。独立した実
施形態では、電極110が、絶縁層(図示せず)を通って延びるのに十分な高さを有する
。他の独立した実施形態、即ち図9に示すCESD900では、行電気相互接続体115
が、各電極110の下面上からの高さh1の所で電極110に接触する。分岐した列の相
互接続体125は、各電極120の下面上の高さh2の所で電極120に接触し、ここに
1≠h2である。以上の実施形態のいずれにおいても、封止層170を最上の電気相互接
続体上に配置することができる。
【0071】
図7~9に示す構成は、単一の電極に隣接する複数の容量性素子のアドレス指定を可能
にすることが有利である。この特徴は、エネルギー蓄積及び/またはデータ記憶のための
多大な多様性及び能力を提供する。図10のCESD1000を参照すれば、電極110
の単一のエッジ行及び電極120の単一の内側列が、例えば、エッジコネクタ140gを
Vss(例えば、接地)に接続すると共にエッジコネクタ130aに電圧を印加することに
よって活性化される。エッジコネクタ130a及び140gに接続された全部の電極が活
性化されるが、活性化されたエッジ電極と活性化された内側電極との間にある単一の容量
性素子155のみがアドレス指定される。誘電体材料150の他のすべての領域は実質的
に影響を受けない。
【0072】
図11にCESD1100を示し、例えば、エッジコネクタ140fをVssに接続する
と共にエッジコネクタ130bに電圧を印加することによって、内側電極110の行及び
内側電極120の列の活性化を行う。活性化された2つの電極120間で、活性化された
内側電極110の互いに反対側に位置する容量性素子155がアドレス指定される。異な
る列のエッジコネクタ、例えば(図12のCESD1200で示す)エッジコネクタ14
0gの選択により、活性化された2つの電極110間で、活性化された内側電極120の
互いに反対側にある2つの容量性素子155がアドレス指定される。従って、任意の単一
電極に隣接した容量性素子を、電極の1行及び1列の活性化によって所望通りにアドレス
指定することができることがわかる。
【0073】
図13の構成では、CESD1300が、スタガード様式に並んだ行のグリッドパター
ンの形に配列された電極110、120のアレイを具え、1つの行内の各電極の中心軸は
隣接する行内の電極の中心軸と整列していない。各行は、1つの行グループの電極、即ち
電極110を具え、電極110は複数の列グループの電極と交互する。点線で示すように
、4つの電極が単位セル1301を形成する。各行グループの電極110は、行電気相互
接続体115により直列に接続されている。1つの列内のスタガード様式に並んだ電極1
20は、列電気相互接続体125により直列に接続されている。行電気相互接続体115
が列電気相互接続体125と交差する各交点に空間的隔離が存在する。一部の実施形態で
は、絶縁層(例えば、図8に示す絶縁層190)が電気相互接続体115と125との間
に配置され、これにより、電気相互接続体115は絶縁層の上方にあり、電気相互接続体
125は絶縁層の下方にある。電極110は、絶縁層を通って延びるビア180によって
電気相互接続体115に接続することができる。この構成は、各内側電極の周りに4つの
容量性素子155を提供する。
【0074】
図14に、図13のCESD1300内の、内側電極110の行及び内側電極120の
列活性化を示し、この活性化は、例えば、エッジコネクタ140dをVssに接続すると共
にエッジコネクタ130bに電圧を印加することによって行う。こうした電極のスタガー
ド様式に並んだ配列は、内側の行及び内側の列の活性化によって4つの容量性素子155
をアドレス指定する。
【0075】
図3~14では、電極110、120を、円形の断面を有するように示しているが、前
述したように、これらの電極は実質的に任意の幾何学的形状を有することができる。図1
5にCESD1500を示し、CESD1500は、六角形の断面を有する電極110、
120のスタガード様式に並んだ行のアレイを具えている。点線で示すように、2つの電
極が単位セル1501を形成する。こうしたスタガード様式に並んだ行及び六角形の形状
は、各内側電極に隣接した4つの容量性素子155を提供する。
【0076】
一部の実施形態では、CESDが1つ以上の多角形の、電極の単位セルを具え、各多角
形の単位セルは5つ以上の辺を有する。図16には好適な多角形の単位セル1600を示
す。図17に、多角形の単位セル1600のアレイを具えたCESD1700を示す。一
部の実施形態では、アレイが多角形の単位セル1600の平面アレイである。各多角形の
単位セル1600は複数の電極を具え、これらの電極は、少なくとも多角形を形成し、当
該多角形の各頂点に1つの電極がある。図16の好適な多角形の単位セルでは、6つの電
極(番号2~7を付けた電極)が六角形の頂点に配置されている。他の幾何学的配列が可
能であることは、通常の当業者が理解する所である。例えば、5つの電極を五角形の頂点
に配置することができ、8つの電極を八角形の頂点に配置することができる、等である。
一部の実施形態では、追加的電極(電極番号1)を多角形の中心またはその付近に配置す
ることができる。多角形の単位セル1600は、単位セル内の電極の数に等しい数の電気
相互接続体(例えば、相互接続体105、115、116、125、126、135、1
36)を具えている。誘電体材料150は電極間の空間を占め、隣接する電極間に位置す
る誘電体材料の領域が容量性素子155を規定する。2つ以上の相互接続体の各交点に、
垂直方向の空間的隔離が存在する。例えば、図16を参照すれば、電気相互接続体115
、125の交点に垂直方向の空間的隔離が存在する。しかし、互いに交差しない電気相互
接続体は同じ平面を占めることができる。従って、電気相互接続体115、116は同じ
平面を占めることができるのに対し、電気相互接続体125、126は、電気相互接続体
115、116から垂直方向に分離された他の平面を占める。上記多角形の単位セルは、
交差する電気相互接続体どうしを分離する絶縁層を含むことができ、絶縁層を通るビアに
より電極を対応する電気相互接続体に接続し、図8に示す実施形態と同様である。任意で
、封止層(図示せず)を、最上の電気相互接続体上に配置することができる。図16の好
適な単位セルでは、電気相互接続体105、115/116、125/126、及び13
5/136が、4つの平面内のそれぞれに配置され、これらの平面間に絶縁層を配置する
ことができる。なお、図16では、電気相互接続体105が番号1、2、及び5を付けた
電極と整列しているが、電気相互接続体105は多角形の中心にある番号1を付けた電極
のみに接続され、番号2及び5を付けた電極からは(例えば、絶縁層によって)分離され
ている。これらの電気相互接続体を、(例えば、エッジコネクタ(図示せず)を通して)
スイッチを有する外部の論理回路に接続して、これらの電気相互接続体を所望通りに選択
して活性化し、これによりアレイ内の1つ以上の容量性素子をアドレス指定することがで
きる。
【0077】
図17をさらに参照すれば、複数の多角形単位セルの同じ位置にある電極が直線をなす
ように、多角形の単位セル1600が構成されている。例えば、多角形単位セルを対角行
内に配列して、2つ以上の多角形単位セルの12時の位置にある電極(例えば、電極11
0)が直線をなすようにすることができる。列方向に見れば、1つの多角形単位セルの中
心が、各隣接する行内の多角形単位セルのエッジと整列している。これらの同一直線上の
電極は、電極のグループを構成し、単一の電気相互接続体、例えば電気相互接続体115
により接続されている。各容量性素子155は、当該容量性素子の互いに反対側にある電
極を活性化することによって独立してアドレス指定される。図17の実施形態における各
多角形単位セルは、7個の電極及び21個の容量性素子(12個は直接、当該単位セル内
にあり、18個は隣接するセルと共有される)を含んで、電極当たり3つの容量性素子を
提供し、その各々を一意的にアドレス指定することができる。図17は、複数の多角形単
位セルを具えたCESDの好適な実施形態を1つだけ示し、他の多角形単位セルの幾何学
的形状及び配列が本発明の包含されることは、通常の当業者が理解する所である。
【0078】
図16及び17に例示する多角形単位セルの構成は、膨大な密度及び容量を有するCE
SDを提供する。1μmの電極の中心-中心間隔を有する電極の場合には、1ミクロン当
たり3つの容量性素子が存在する。1μmの電極の高さを仮定すれば、こうした単位セル
の構成は、109電極/mm3または1012電極/mm3の積層密度、3×1012素子/cm3の容量
性素子密度、及び3000Gb/cm3または375GB/cm3を提供し、各容量性素子は1ビット
(2つの論理状態)である。
【0079】
電子エントロピー誘電体材料を具えたCESDは、動作中に熱を少ししか、あるいは全
く発生せず、これにより、何百個または何千個もの層を有する大型のCESD積層の形成
及び使用を可能にし、各層は何百個または何千個もの電極及び容量性素子を有することが
有利である。一部の実施形態では、積層CESDの使用中に、特に印加する電圧が20V
程度である際に、熱が検出されない。一部の実施形態では、印加する電圧が0Vよりも大
きく、≦100V、≦75V、≦50V、≦20V、≦10V、または≦5Vであり、例えば0
.025~20V、0.1~10V、0.5~5V、または0.7~5Vである。これとは対
照的に、従来の積層コンデンサは一般に、加熱の前に、漏洩電流が過剰になることにより
、SiO2のような誘電体材料の7層程度に限られる。
【0080】
表1は、好適な寸法及び特性をいくつかのセルについて提供し、これらのセルは、1μ
mの線寸法を有する「公称の」セル、より大型の耐電磁パルス(EMP:electromagnetic
pulse)セル、大型の「エネルギー集積器兼メモリセル」、最高のメモリ密度を有するセ
ル、及び、例えばエネルギー蓄積に有用な非常に大型のセルを含む。ロバストネス(頑健
性)については、耐EMPセルはセル当たり2つの論理レベルしか有さないものと仮定す
る。表1中では、「セル」とは、単一の電極がそれに関連する容量性素子を伴う領域を称
し;「層」は容量性デバイスの水平面であり;層は三次元に積層させることができ;「単
位セル」は容量性アレイにおける繰り返しの単位である。表1の好適な構成では、単位セ
ルが(例えば、図16に示すような)電極が中心にある六角形の単位セルである。
【0081】
【表1】
【0082】
1電極間隔はX次元及びY次元の両方において等しいものと仮定する。
2セル面積は6×(1.5×間隔)2×ルート(3)/4/7として計算し、ここに六角形の
面積は6×(l)2×ルート(3)/4/7、即ち、単位セル面積を電極数(7)で除算した
値であり、ここにl(エル)は1.5×(電極間隔)である。
3電極の高さと誘電体の厚さとは同じであるものと仮定する。
4セルのベース層(絶縁層、または電極が実装された基板)は、各平面間の絶縁層と同
じ厚さであるものと仮定する。絶縁材料は、あるいは材料が全くないことは、層の平面間
の分離材料に過ぎないことがある。従って、絶縁層は完全に任意である。例えば、導電ト
レースが陽極酸化されていたならば、層の分離は本質的にゼロになり得る。
5追加的な電気相互接続体は、絶縁層上に追加的な厚さを取る。
6電極に直接接触する電気相互接続体の第1層は数えない。
7偶数個の電極層は((n/2)-1)個の追加的な絶縁層を必要とし;奇数個の電極層は((
(n-1)/2)-1)個の追加的な絶縁層を必要とする。
8セル当たりの論理レベルは、容量性素子内に漏洩がないことにより大幅に増加する。
4つの論理レベルは、2ビットのバイナリ論理レベルのデバイスと等価であり;従って、
セル当たり16の論理レベルは、4ビットのバイナリ論理装置と同数の一意的な論理出力
を与える。
9セル当たりの容量性ユニットの数は、電極の形状及び相互接続体に基づいて変化する
。中心電極を有する六角形の単位セルについては、セル当たり4つの容量性素子が存在す
る。
【0083】
従って、一部の実施形態では、図17によるCESDが1×106から2.7×1018
セル/cm3までのセル(電極及びそれを包囲する領域)密度を有し、これによりCESDに
1.5から1×109MB/cm3までのメモリ密度をもたらす。一部の実施形態では、CES
Dが、4×108から2.7×1018セル/cm3まで、4×108から3×1016まで、また
は4×108から8×1011までのセル密度を有して、1から1,000,000GB/cm3
、1~10,000GB/cm3、または1~1,000GB/cm3のメモリ密度を提供する。
【0084】
他の実施形態では、図18に示すように、CESD1800が2つ以上の電極1810
、1820を具え、これらの電極は、当該電極間に間隔を有する多重螺旋の形に配置され
ている。こうした多重螺旋の構成が平面的な多重螺旋の構成であり、これらの電極が平面
基板上に配置されていることが有利である。これらの電極は互いに交差しない。電極18
10、1820の各々の360°ループを単位セルとして考えることができる。エッジコ
ネクタ1830、1840が各電極1810、1820に接続されている。誘電体材料1
850が電極1810、1820間の空間を占める。一部の実施形態では、電極1810
、1820及び誘電体材料1850が、非導電性の平面基板のような基板(図示せず)上
に配置されている。一部の実施形態では、螺旋配列全体を通して、電極1810、182
0が互いから等距離の間隔をおいている。図18の好適な構成はほぼ円形の螺旋を示して
いるが電極1810、1820は任意の多重螺旋の形状に配置することができ、こうした
多重螺旋の形状は、デバイス、例えば集積回路内の利用可能な空間を占める所望通りの、
楕円形の、多角形の、または不規則な多重螺旋を含むが、これらに限定されない。一部の
実施形態では、電極1810、1820が円形の断面を有して有効表面積を最大にする。
【0085】
CESDを具えたデバイス1900は、CESD1910、スイッチングアレイ192
0、及びコントローラ1930を含むことができ、CESD1910は本明細書中に開示
するCESDのいずれにもすることができ、コントローラ1930は、図19に示すよう
にスイッチングアレイ1920を制御するための論理回路を含む。スイッチングアレイ1
920は、CESD1900内の電極のグループを活性化するように動作可能であり、こ
れにより、例えば図3~17に関して説明するように、CESD内の1つ以上の容量性素
子をアドレス指定する。
【0086】
図20に、管状のCESD2000を示す。図20に示す管状のCESDは、第1電極
2010及び第2電極2020を具えている。任意で、第1電極2010はその外面上に
絶縁コーティングを有することができる。図に示すように、第1電極2010は直円柱の
形状を有する。しかし、第1電極2010は、多角柱、楕円柱、等のような他の形状を有
することができる。第2電極2020は螺旋形状を有し、第1電極2010の周りに巻回
されている。第2電極2020は第1電極2010に隣接するが、直接接触しない。第1
及び第2電極2010、2020は使用中に互いに逆の極性を有する。誘電体材料(明瞭
にするために図示せず)が電極2010、2020間の空間に充填されている。一部の実
施形態では、コーティング付きワイヤを第2電極として利用し、その後に、上記空間に誘
電体材料を充填する前に、任意の適切な手段(例えば、レーザーまたは化学溶解)により
コーティングを除去することによって、上記空間を電極2010、2020間に生成する
【0087】
図21に、管状のCESD2100の他の具体例を示す。図21に示す管状の積層CE
SD2100は、第1電極2010、第2電極2020、及び第3電極2030を具えて
いる。第1電極2010及び第2電極2020は上述した通りである。第3電極2030
は管状の形状を有し、第2電極2020または第1電極2010には直接接触せずに第1
及び第2電極2010、2020を取り囲み、または包囲する。図21では、単に明瞭に
するために、第3電極2030を半透明であるものとして示し、このため、電極2010
及び2020の構成は、第3電極2030によって規定される内部空間全体を通って延び
るように見ることができる。実際のCESD2100では、第3電極2030は半透明で
はない。使用中には、第3電極4030は、第1電極2010と同じ極性を有し、第2電
極2020の極性とは逆の極性を有する。誘電体材料(明瞭にするために図示せず)が電
極2010、2020、2030間の空間に充填されている。第1電極2010、螺旋形
の第2電極2020、及び管状の第3電極2030の各々が中心軸ACを有し、これらの
中心軸は同軸である。任意で、管状の積層CESDは、第3電極2030の外面に付加さ
れた外側の非導電性封止材料を具えている。この外側の非導電性封止材料は、管状の積層
CESDを電気絶縁して、流体の誘電体材料を用いる際に流体の流れに抵抗を与えること
、及び/または管状の積層CESDに追加的な機械的強度を与えることができる。適切な
非導電性封止材料は、重合p-キシリレン(例えば、プラレン(登録商標)ポリマー)、
p-キシリレン及びコモノマーから成るコポリマー(共重合体)、ポリエチレン・テレフ
タレート(テレフタル酸ポリエチレン)、セラック(シェラック、セラニックス)、ポリ
ウレタン、または架橋(交差結合)ポリウレタンを含むが、これらに限定されない。
【0088】
図21に示す電極を互いに撚り合わせることができることは、多心(多導体)ケーブル
の製造に精通した者にとって明らかである。換言すれば、上記中心電極は、外側の螺旋電
極に接触せずに非常に近接するように、螺旋様式に形成することができる。図21と同様
なデバイスを巻回する過程では、こうした幾何学的な屈曲または巻回は一般的である。同
様な方法で、複数の導体(両極性の電極)を一緒に巻回して単一の集合体(図示せず)を
作製することができる。
【0089】
螺旋電極と管状電極とが交互する追加的電極を含めることによって、追加的な層をCE
SD2100に追加することができる。例えば、他のより大型の螺旋電極2020を、第
3電極2030に直接接触させずに第3電極2030の周りに巻回し、他のより大型の管
状電極2030が内側の層を包囲することができる。電極間のすべての空間に誘電体材料
が充填される。層の数は製造及びサイズの制約のみによって制限される。第1電極201
0と第3電極2030とは第1電気相互接続体(図示せず)を用いて並列に接続すること
ができ、第2電極2020どうしは第2電気相互接続体(図示せず)を用いて並列に接続
することができる。使用中には、2つ以上のCESD2100を、電気相互接続体(図示
せず)を用いて並列に接続することができる。
【0090】
一部の実施形態では、図22A及び22Bに示すように、積層CESDが、第1電極2
210、第2電極2220、及び積層配列2230を含み、第2電極2220は、第1電
極と平行であり、第1電極から間隔をおき、これにより第1電極と第2電極との間に空間
を形成し、積層配列2230は、第1及び第2電極と平行に配列された誘電体材料層22
40と導体材料層2250とが交互して、第1電極と第2電極との間の空間を占める。コ
ネクタ2215及び2225は外部への電気接続用である。図22A中の積層CESD2
200の要素間の明らかな隙間は、明瞭にする目的で示し、実際のデバイスには存在しな
い。
【0091】
図22Aを参照すれば、積層配列2230はx個の誘電体材料層を具え、(i)xは2以
上の整数であり、(ii)第1の誘電体材料層2240aは第1電極2210に直接接触し、
(iii)x番目の誘電体材料層2240xは第2電極2220に直接接触する。この積層配
列はy個の導体材料層をさらに具え、ここにy=x-1であり、1つの導体材料層は、隣
接する各誘電体材料層の対の間に配置されている。導体材料層2250と隣接する誘電体
材料層2240との間にも直接の接触が存在する。
【0092】
積層配列2230は、複数の誘電体材料層と導体材料層とが連続的に積層されたCES
Dを提供する。積層CESD2200は、交互に積層された誘電体材料層と導体材料層と
の間に直接の接触以外の内部電気接続を必要としないことが有利である。図22Aは22
40及び2250のような層の間にわずかな隙間を示すが、この隙間は図面中で明瞭にす
るために過ぎない。材料は互いに直接接触している。
【0093】
積層CESD2200の実施形態は、x個の誘電体材料層2240及びy個の導体材料
層2250を含み、ここにxは2以上の整数であり、y=x-1である。理論的観点から
は、層の数は基本的に無制限である。しかし、層の数は、実際には、製造上の制約(例え
ば、再現可能な厚さを有する多数の層を形成するに当たっての困難さ)によって制限され
る。一部の好適例では、xは2~5000、2~1000、2~500、2~100、2
~50、2~25、2~10、または2~5の整数である。例えば、xは2、3、4、5
、6、7、8、9、または10とすることができる。こうした構成では、yはそれぞれ1
、2、3、4、5、6、7、8、または9である。図22Aの非限定的な好適な積層CE
SDでは、xが5でありyが4である。
【0094】
各導体材料層は、(図22Aに示すように)厚さTCを有することができ、厚さTCは、
0.0005μmから10000μmまでの範囲内の厚さ、例えば0.005~10000
μm、0.005~1000μm、0.005~500μm、0.01~500μm、0.0
1~100μm、0.02~100μm、0.05~100μm、0.05~50μm、0.
05~10μm、または0.05~5μmの範囲内の厚さを有することができる。一部の実
施形態では、各導体材料層の厚さが同じである。「同じ」とは、各層の厚さが、これらの
層の平均の厚さに対して±5%未満、例えば、これらの層の平均の厚さに対して±2%未
満だけ変動することを意味する。
【0095】
任意で、図23に示すように、積層CESD2200は、積層配列2230の1つ以上
のエッジに接触して、第1電極2210から第2電極2220まで延びる非導電性の封止
層2260をさらに含む。この非導電性の封止材料は、積層CESDを電気絶縁すること
、流体の誘電体材料を用いる際に流体に抵抗を与えること、及び/または追加的な機械的
強度を積層CESDに与えることができる。適切な非導電性の封止材料は、重合p-キシ
リレン(例えば、プラレン(登録商標)ポリマー)、p-キシリレン及びコモノマーから
成るコポリマー、またはポリエチレン・テレフタレートを含むが、これらに限定されない
。ここでも、層間に示す隙間は存在せず、層どうしを明確に区別するために示すに過ぎな
い。
【0096】
図22Aに示すように、積層CESDは、第1電極の外向きに面する表面から第2電極
の外向きに面する表面までを測った高さHを有する。一部の実施形態では、高さHが0.
025μmから2000μmまでの範囲内であり、例えば0.05~2000μm、0.1
~2000μm、1~2000μm、1~1000μm、5~1000μm、10~1000
μm、10~500μm、10~200μm、または10~100μmの範囲内の高さである
【0097】
一部の実施形態では、積層CESDが間隔をおいた電極のアレイを含み、これらの電極
は複数の平行な平面または層内に配列され、電極間の空間に誘電体材料が充填されている
図24A~24Cに積層CESD2400を示し、積層CESD2400は、n個の平
行な平面または層内に配置された平行な電極のn個のグループを含み、このCESDは、
第1電極2410の平面または層と第2電極2420の平面または層とを交互に具えてい
る。図24AはCESD2400の透視図であり、図24B及び24Cはそれぞれ下面図
及び側面図である。点線は単位セル2401を示す。各電極2410、2420は、当該
電極が配置された平面に平行な中心軸ACを有する。図24の好適なCESDでは、使用
中に電極2410と2420とが互いに逆の極性を有する。所定層内の各電極(例えば、
所定層内のすべての電極2410)は使用中に同じ極性を有する。誘電体材料2430が
、電極2410、2420間の空間を占めて、これらの電極に接触する。互いに異なる極
性の隣接する電極2410、2420間に位置する誘電体材料2430の領域が容量性素
子2435を規定する。任意の所定層内の電極2410は他の層内の電極2410と垂直
方向に整列している。任意の所定層内の電極2420は、他の層内の電極2420と垂直
方向に整列している。一部の実施形態では、CESD2400が、CESDの4つの側端
を規定する四角形の形状を有する。各電極の一方の端部(例えば、電極端部2412、2
422)が、CESDの1つの側端において誘電体材料2430から突出して電気接続を
行うことができることが有利である。特定の実施形態では、CESD2400の隣接する
2つの側端、例えば側端A及びBに導体材料を付加して、突出した端部2412が、CE
SD2400の1つの側端上でこの導体材料に接触して、この導体材料により並列に電気
接続され、突出した端部2422が、CESD2400の隣接する側端上でこの導体材料
に接触して、この導体材料により並列に電気接続されることが有利である。使用中には、
CESDの1つの側端上の上記導体材料が電圧源に接続され、CESDの隣接する側端上
の上記導体材料がVssに接続される。
【0098】
独立した実施形態では、CESD2400の最下層内の電極、例えば最下層内の電極2
410どうしが電気相互接続体2440により直列に接続され;CESD2400の最上
層内の電極、例えば最上層内の電極2420どうしが電気相互接続体2450により直列
に接続される。
【0099】
一実施形態では、2つ以上の層内の所定極性の電極どうしが直列に接続され、例えば、
垂直方向に整列した電極2420どうしが電気相互接続体2440を用いて直列に接続さ
れる。他の実施形態では、所定層内の電極(即ち、水平方向に整列した所定極性の電極)
どうしが電気相互接続体2450を用いて直列に接続される。
【0100】
図24の好適なCESDでは、電極2420が電極2410に対して直角に配向されて
いる。しかし、垂直な配向は要件ではない。図25に積層CESD2400aを示し、積
層CESD2400aは、積層したn個の平面または層内に配置された、平行な電極のn
個のグループを含み、交互する第1電極2410aの層及び第2電極2420aの層を具
えている。各電極2410a、2420aは、当該電極が配置された平面に平行な中心軸
Cを有する。誘電体材料2430aが、電極2410a、2420a間の空間を占めて
、これらの電極に接触する。使用中には、電極2410aと2420aとが互いに逆の極
性を有する。互いに逆の極性の隣接する電極間に位置する誘電体材料2430aが容量性
素子2435aを規定する。電極2410a及び2420aは互いに対して直角に配向さ
れていない。これとは対照的に、電極2420aは電極2410aに対して90°の角度
から回転している。図25では、この回転角が直角から30°である。しかし、この回転
角は30°に限定されない。この回転角は、例えば、0~90°、0~45°、5~45
°、10~45°、15~40°、または20~35°の範囲内、例えば、0°、5°、
10°、15°、20°、25°、30°、35°、40°、または45°の回転角にす
ることができる。さらに、図24の好適なCESD2400aでは、電極2410aの各
層の配向は同じであり、電極2420aの各層の配向は同じであるが、構成はそのように
限定されない。実際には、連続する電極の層の各々を直下の平面(層)に対して回転させ
、これにより、電極のねじり螺旋形状(図示せず)を作製することができる。
【0101】
図26A~26Dに積層CESD2600を示し、積層CESD2600は、積層した
n個の平行な平面または層内に配置された平行な電極のn個のグループを含み、電極26
10、2620の平面または層を具えている。図26AはCESD2600の透視図であ
り、図26Bは下面図であり、図26C及び26Dは、それぞれ、オフセットした電極及
び垂直方向に整列した電極の側面図である。点線は単位セル2601を示す。各電極26
10、2620は、当該電極が配置された平面に平行な中心軸ACを有する。誘電体材料
2630が、電極2610、2620間の空間を占めてこれらの電極に接触する。電極2
610、2620は使用中に互いに逆の極性を有する。互いに逆の極性の隣接する電極間
に位置する誘電体材料2630の領域が容量性素子2635を規定する。各層内では、電
極2610と2620とが交互する。従って、各層は極性が交互する複数の電極を含む。
CESD2600は、4つの側端A、B、C、Dを規定する四角形の形状を有することが
できる。各電極の一方の端部、例えば電極端部2612、2622が誘電体材料2630
の1つの側端から突出して電気接続を行うことができることが有利である。電極は各層内
で極性が交互するので、電極端部2612、2622は、CESD2600の互いに反対
側の側面、即ち側面A、Cから突出する。同様に、電極端部2614、2624は、CE
SD2600の残りの2つの互いに反対側の側面、例えば側面B、Dから突出する。一部
の実施形態では、CESD2600の4つの側端の各々に導体材料が付加されて、各側端
から突出する電極端部が、当該側端上の導体材料に接触して、この導体材料により並列に
電気接続される。隣接する2つの側端上の導体材料は電圧源に接続され、残りの2つの側
端上の導体材料はVss、例えば接地に接続される。例えば電極端部2612、2614に
接触する導体材料は電圧源に接続することができ、電極端部2622、2624に接触す
る導体材料はVssに接続することができる。その代わりに、CESDの側端上の電気相互
接続体を用いて、特定平面内の所定極性の電極どうしを直列に接続することができ、CE
SDの反対側の側端上の電気相互接続体を用いて、その特定平面内の逆の極性を有する電
極どうしを直列に接続することができる。
【0102】
図26A及び26Cに示す積層CESD2600には、平面/平面のオフセットが存在
して、交互する層内の同じ配向を有する電極、例えば第1層内と第3層内の電極どうし、
あるいは第2層内と第4層内の電極どうしは互いに垂直方向に整列しない。しかし、一部
の例では、オフセットをなくして、交互する層内の同じ配向を有する電極が互いに垂直方
向に整列するようにすることができる(図26D)。図26の好適な実施形態では、各層
内の電極が隣接する層内の電極に対して直角に配向することができる。しかし、CESD
2400a(図25)に関して上述したように、任意の層内の電極は隣接する層内の電極
に対して0~90°回転させることができる。回転の角度は、例えば、0~45°、5~
45°、10~45°、15~40°、または20~35°の範囲内、例えば、0°、5
°、10°、15°、20°、25°、30°、35°、40°、または45°の回転角
にすることができる。さらに、連続する電極層の各々を、この直下の平面に対して回転さ
せ、これにより電極のねじり螺旋形状(図示せず)を作製することができる。
【0103】
図24~26中の電極2410、2410a、2420、2420a、2610、及び
2620は直円柱の形状を有するように図示しているが、これらの電極は、その代わりに
複雑な表面の幾何学的形状を有することができることは明らかである。例えば、これらの
電極は、半円形、楕円形、または多角形の断面領域を有することができる。他の例として
、これらの電極は、規則的または滑らかな表面、あるいは不規則または粗い表面を有する
ことができる。
【0104】
さらに他の例では、電極をねじれた、あるいは波状のワイヤまたはトレースとすること
ができる。図27Aに、複数の、平行な、ねじれた、あるいは波状の電極2710を示し
、これらの電極は以上の実施形態において用いることができる。「平行な」とは、隣接す
る電極内の曲線が互いに同相であることを意味する。例えば、x軸が電極2710の全長
に沿って延びて、曲線がx軸に対して正及び負の振幅を有する場合、x軸に沿った任意の
所定距離にある、隣接する任意の2つの電極の曲線の頂点A(即ち、最大偏位の点)は、
x軸から同じ向きを有する。これらの曲線は、x軸からy方向またはz方向に偏位するこ
とができる。一部の実施形態では、x軸に沿った任意の所定距離にある、隣接する任意の
2つの電極が、同じ、あるいはほぼ同じ振幅及びx軸からの向きを有し、これにより、隣
接する電極間の距離Dは、x軸の全長に沿って同一、あるいはほぼ同一である。電極27
10の各々は同じ極性を有する。図27Bは、交互する電極2710、2720が互いに
逆の極性を有する他の平行な配列を示す。
【0105】
図28Aに、複数のねじれた、あるいは波状の電極2710を含む逆平行な配列を示し
、電極2710の各々は同じ極性を有する。「逆平行な」とは、隣接する電極における曲
線が互いに位相がずれている、例えば180°位相がずれていることを意味する。例えば
、x軸が電極2710の全長に沿って延び、曲線がx軸に対して正及び負の振幅を有する
場合、x軸に沿った任意の所定距離にある、隣接する任意の2つの電極の曲線は、x軸か
ら互いに逆の向きを有する。これらの曲線はx軸からy方向またはz方向に偏位すること
ができる。一部の実施形態では、x軸に沿った任意の所定距離にある、隣接する任意の2
つの電極の曲線の頂点は、同じ、あるいはほぼ同じ振幅を有するが、x軸から互いに逆の
向きを有し、このため、隣接する電極間の距離は、x軸の全長に沿って、最大距離D1
ら最小距離D2まで変化する。図28Bに他の逆平行な配列を示し、この配列では、交互
する電極2710、2720が互いに逆の極性を有する。電極どうしが互いにより近接す
る所ほど、増加した電界を生成することができる。これらの領域内のエネルギー蓄積は、
電界の増加及びその形状に起因して、より大きくなる。
【0106】
追加的な例では、波状のワイヤ型電極を、当該電極の表面に沿った周期的な突起または
バンプを含むワイヤで形成することができる。図29Aに複数の平行な電極2910を示
し、各電極2910は当該電極の全長に沿った周期的な突起2912を含む。電極291
0の各々は同じ極性を有する。図29Bに他の平行な配列を示し、この配列では、周期的
な突起2912を有する電極2910と、周期的な突起2922を有する電極2920と
が交互し、これらの電極は互いに逆の極性を有する。図30Aに逆平行な配列を示し、こ
の配列では、電極2910の各々が同じ極性を有する。図30Bに他の逆平行な配列を示
し、この配列では、交互する電極2910、2920が互いに逆の極性を有する。
【0107】
図24~26に例示する積層CESDは、外部から電極への接続用のエッジコネクタ(
図示しないが、図23のエッジコネクタ2215、2225と性質が同様である)、及び
/または、上記積層配列の1つ以上の側端に接触する非導電性の封止材料(図示しないが
図23の非導電性の封止材料2260と性質が同様である)をさらに含むことができる
ことは、通常の当業者が理解する所である。上記積層CESDは、非導電性の封止材料を
当該積層CESD(図示せず)の上面及び下面上にさらに含むことができる。この非導電
性の封止材料は、積層CESDを電気絶縁すること、流体の誘電体材料を用いる際に流体
に抵抗を与えること、及び/または追加的な機械的強度を積層CESDに与えることがで
きる。適切な非導電性の封止材料は、重合p-キシリレン(例えば、プラレン(登録商標
)ポリマー)、p-キシリレン及びコモノマーから成るコポリマー、またはポリエチレン
・テレフタレートを含むが、これらに限定されない。
【0108】
図24~26の積層CESDへの電気接続は、種々の異なる方法で行うことができる。
一部の例では、適切な極性への電気接続は、最上及び最下の電極層のみに行うことができ
、内側の層は「フロート(浮遊)」状態にしておくことができる。しかし、層の数は限ら
れる、というのは、デバイス全体の両端間の電圧が非常に高い値に増加するからである。
その代わりに、個別の電極層を、直交する平面内または複数の直交する平面内の対応する
極性に接続することができる。エッジ接続はいくつかの利点を有し、これらの利点は、個
別の電極が、流動する電荷へのより低い抵抗及びインピーダンスの接続を行うことを含み
、CESDは、より大きな次元数に接続することが比較的容易になる。エッジ接続を促進
するために、所定極性の電極を、逆の極性の電極よりも多数、所定の側面から突出させる
ことができる。このようにして、導体材料をその側面全体に付加して、並列の電気接続を
、個別の電極と電気的バスとの間で行うことができる。積層CESDの他の側面も同様に
処理することができる。積層CESDの各層が、極性が交互する複数の電極を含む際には
、CESDの互いに反対側の側面を用いて接続を行うことができる。残りの2つの側面は
、隣接する平面内の電極への接続用に用いられ、これらの電極は図24~26に示すよう
に異なる配向を有する。
【0109】
図31に、円筒形の形状を有する好適な管状積層CESD3100の断面図を示す。積
層CESD3100の要素間の明らかな隙間は、明瞭にする目的で示すに過ぎず、実際の
デバイス内には存在しない。図31の実施形態では、第1電極3110が、円筒形の形状
、内向きの表面3110a、外向きの表面3110b、及び外径D1を有する。第1電極
3110は、図に示す中空の金属管のような中空管とすることができる。第1電極311
0は、金属の固体管(図示せず)のような固体管とすることができる。第1電極3110
が固体管である際には、この電極が内向きの表面を有さないことは明らかである。第2電
極3120は、円筒形の形状、内向きの表面3120a、外向きの表面3120b、及び
内径D2を有する。第1及び第2電極3110、3120は、第1電極3110が、第2
電極3120の内向きの表面3120aによって規定される空間内に位置するように配置
することができる。
【0110】
誘電体材料と導体材料とを交互に具えた積層配列が、第1電極の外向きの表面と第2電
極の内向きの表面との間に、誘電体材料層と導体材料とが同心で交互する形で配置されて
いる。この積層配列はx個の誘電体材料層を含み、ここに(i)xは2以上の整数であり、(
ii)誘電体材料の第1層3140aは、第1電極3110の外向きの表面3110bに直
接接触し、(iii)誘電体材料の第x層3140xは、第2電極3120の内向きの表面3
120aに直接接触する。この積層配列はy個の導体材料層をさらに具え、ここにy=x
-1であり、導体材料層は、隣接する各誘電体材料層の対の間に配置される。誘電体材料
及び導体材料は前述した通りである。
【0111】
管状の積層CESD3100の実施形態は、x個の誘電体材料層3140及びy個の導
体材料層3150を含み、ここにxは2以上の整数であり、y=x-1である。理論的観
点からは、層の数は基本的に無制限である。しかし、層の数は、実際には、製造上の制約
(例えば、再現可能な厚さを有する多数の層を形成するに当たっての困難さ)によって制
限される。一部の実施形態では、xが2~5000、2~1000、2~500、2~1
00、2~50、2~25、2~10、または2~5である。例えば、xは2、3、4、
5、6、7、8、9.または10とすることができる。こうした構成では、yは、それぞ
れ1、2、3、4、5、6、7、8、または9とすることができる。図31の非限定的な
好適な積層CESDでは、xが3でありyが2である。
【0112】
任意で、上記管状の積層CESD3100は、図32に示すように、第2電極3120
の外向きの表面3120bに接触する外側の非導電性封止材料3160をさらに具えてい
る。所望すれば、外側の非導電性封止材料は、管状の積層CESD3100の外面全体に
付加することができる。外側の非導電性封止材料は、管状の積層CESDを電気絶縁する
こと、流体の誘電体材料を用いる際に流体の流れに抵抗を与えること、及び/または管状
の積層CESDに機械的強度を与えることができる。適切な非導電性封止の例は、重合p
-キシリレン(例えば、プラレン(登録商標)ポリマー)、p-キシリレン及びコモノマ
ーから成るコポリマー、ポリエチレン・テレフタレート、セラック、ポリウレタン、また
は架橋ポリウレタンを含むが、これらに限定されない。
【0113】
図22A、22B、31、及び32に示して開示する積層CESDの実施形態は、直列
に接続された複数のコンデンサと同様に機能し、これにより、さもなければ従来のコンデ
ンサに適した電圧よりも高い電圧の使用を可能にすることが有利である。図22A及び2
2Bを参照すれば、第1電極2210と第2電極2220との間に印加される電圧が積層
全体にわたって分割される。複数の誘電体材料層が同じ厚さを有する際には、電圧が均等
に分割される。従って、5Vの好適な電圧を積層CESD2200の両端間に印加する場
合、5つの誘電体材料層2240の各々の両端間に1Vの電圧降下が観測される。積層は
、各個別の層への電気接続を行わなければならないことなしに、積層内の各導体層に高い
電圧を印加する能力を保ちつつ、CESDの次元数を増加させる。この特徴は、誘電体の
絶縁破壊を生じさせることなしに、単一の誘電体材料層を含むコンデンサに印加すること
ができる電圧に比べて、より高い電圧を積層CESDに印加することを可能にする。さら
に、開示する積層CESDの実施形態は、充電された後に検出される漏洩をごくわずかし
か呈さず、既知の電解コンデンサに比べて大幅に延長された期間にわたって電荷を保持す
ることができる。
【0114】
以上の実施形態のいずれか、あるいは全部における電極は、任意の導体材料とすること
ができる。好適な材料は、導電性カーボン、カーボン(炭素)以外の導電性有機材料、導
電性の金属、または半導体を含むが、これらに限定されない。
【0115】
一般に、開示するCESDのうちの2つ以上を直列または並列に接続することができ、
このことは電気回路の通常の当業者の理解する所である。しかし、図20及び21に示す
管状のCESDは、一般に並列に接続されて、二接続デバイスを提供する。CESDの直
列または並列接続は、製造の時点で、あるいはその後にエンドユーザが行うことができる
【0116】
CESDの容量性素子への電気接続の選択的切り換えは、コンピュータ装置における使
用向けの容量性素子の組合せを可能にする。図33に示すように、個別の容量性素子を直
列配置または並列配置の形に連結して、それぞれ加算/減算電圧、または平均電圧を提供
することができる。例えば、積層CESDでは、第1の電極層内に隣接する2つの電極を
活性化するようにスイッチを設定し、これにより、第1層の隣接する2つの電極間の容量
性素子の両端間に電圧を印加することができる。第1層の他の領域内、あるいは他の電極
層内に隣接する2つの電極を活性化するように追加的スイッチを設定し、これにより、当
該他の領域または層内の1つ以上の容量性素子の両端間に電圧を印加することができる。
これらのスイッチを外部的に、所望の構成に、例えば直列または並列に接続して、電気回
路及び/またはコンピュータ装置の通常の当業者にとって周知の方法において望ましいよ
うに出力を組み合わせることができる。これらの電気接続を用いて数学的演算を実行する
ことができ、そしてこれらのスイッチを装置のメモリ記憶装置として直接利用して、論理
演算及び計算、並びに記憶しているデータの圧縮を実行することができる。
【0117】
図34に、2つの容量性素子の好適な接続を示し-これらの接続は、直列加算(直列接
続による加算)、直列反転加算(直列接続による反転加算)、直列減算(直列接続による
減算)、直列反転減算(直列接続による反転減算)、及び並列平均(並列接続による平均
化)である。図示する概念を複数の容量性素子の集合に拡張し、これによりコマンドをn
×m個の素子に拡張することができることは、通常の当業者が理解する所である。演算子
の連結を用いて、単一の演算サイクル内で構成して使用することができる新たな演算子を
提供することができる。例えば、容量性素子のアレイを同時に他のアレイに分割する能力
を用いて拡張数値分割を実行して、2サイクル演算において本質的に無制限の精度で分割
を行うことができる。基本的な演算は:ADD(n)-n個の素子を加算して合計を与える(2
つの素子を加算することは、論理的ANDまたはNAND(論理積及び否定積)とすることもで
きる);ADDI(n)-n個の素子を加算して負の合計を与える;DIV(n,m)-n個の素子をm
個の素子で除算する;SUB(n,m)-素子nを素子mから減算する(2つの素子を減算するこ
とは、論理的ORまたはNOR(論理和または否定和)とすることができる);SUBI(n,m)-素
子mを素子nから減算する;AVE(n)-n個の素子の平均出力を提供する;SFL(n)-n個の
素子を左シフトする;SFR(n)-n個の素子を右シフトする。表2に、図34に示す容量性
素子のいくつかの好適な組合せから生じる出力電圧を示す。
【0118】
【表2】
【0119】
並列接続を用いて、多素子の論理演算子をアレイ上で実行することができる。発生する
電圧平均化を用いて、出力端子上の全電圧を低減して、共通のデジタル電圧レベルを維持
することができる。一部の実施形態では、センスアンプ及び/または比較器(コンパレー
タ)を用いて、接続された容量性素子が生成する電圧を復号化することができる。開示す
るCESD及びCESD積層の例を用いて、従来のコンピュータよりもずっと高速に、例
えば従来のコンピュータよりも100倍まで、あるいは200倍まで高速に、論理演算及
び計算を実行することができるコンピュータを製造することができることが有利である。
【0120】
一部の実施形態では、CESDがエネルギー蓄積デバイスとして機能すると共にメモリ
デバイスとして機能する。例えば、図10及び11を参照すれば、エッジ行の電極グルー
プ、及びこのエッジ行内の電極を含むすべての列グループを活性化させて、このエッジ行
の電極間のすべての容量性素子を充電してエネルギーを蓄積する。CESD内の他所の個
別の電極をアドレス指定して、1つ以上の容量性素子を読み書きしてメモリ記憶を行う。
図19に概略的に示すように、論理回路を具えたスイッチングアレイ310及びコントロ
ーラ320を用いてCESDを動作させることができる。
【0121】
III.誘電体及び絶縁材料
開示するCESDの実施形態は、シリコン・ダイオードよりも大きい、例えば3.9よ
りも大きい相対誘電率を有する。一部の実施形態では、誘電体材料が液体の特性を有し、
ハチミツと同様またはより大きい粘度を有する。特定の実施形態では、誘電体材料が0.
5cP以上の粘度、例えば10,000cPから250,000cPまでの粘度を有する。独立
した実施形態では、誘電体材料が固体である。
【0122】
誘電体材料は導電性をほぼなくすことができ;換言すれば、誘電体材料は電極またはそ
の付近で酸化/還元をされず、オーム抵抗的導電性を呈しない。他の実施形態では、誘電
体材料が導電性である。誘電体材料は、導電性ポリマーまたは非導電性ポリマー、無機金
属酸化物、混合金属酸化物、ポリマーと無機材料との混合物、あるいはその組合せを含む
ことができる。一部の例では、ポリマーがバイオポリマーである。
【0123】
一部の実施形態では、誘電体材料が、極性官能基及び/またはイオン性官能基を有する
ポリマー分子を含んで、分子間双極子及び双極子モーメントを生じさせる。これらのポリ
マー分子は1つ以上の二重結合をさらに含むことができる。一部の実施形態では、これら
のポリマー分子が極性ポリマーである。タンパク質は、容易に入手可能で安価な、低い毒
性を有する極性ポリマーである。こうした低毒性は、他のポリマーに対する大きな利点で
あり、CESDをリサイクル(再利用)または焼却処分することを可能にする。タンパク
質分子は、極性及び/またはイオン性官能基を有するアミノ酸を含む。他の適切なポリマ
ーは、置換(例えば、フッ素化)及び非置換パリレン・ポリマー、ポリプロピレン、アク
リル酸ポリマー、メタクリル・ポリマー、ポリエチレン・グリコール、ウレタン・ポリマ
ー、エポキシ・ポリマー、シリコーン・ポリマー、有機テルペノイド・ポリマー、天然有
機ポリマー(例えば、セラックのような樹脂)、ポリイソシアネート、及びその組合せを
含むが、これらに限定されない。アクリレート・コポリマー(例えば、エチレン、ブチル
・アクリレート、エチル・アクリレート、及びメチル・アクリレートを有するコポリマー
)、及びパリレン・コポリマー(例えば、アクリレート(例えば、2-カルボキシルエチ
ル・アクリレート)、メタクリレート(例えば、3-(トリメトキシシリル)プロピル・メ
タクリレート)、α-ピネン、R-(-)カルボン、リナロール、シクロヘキセン、ジペン
テン、α-テルピネン、R-(+)-リモネン、及びその組合せを有するp-キシリレンの
コポリマー)のようなコポリマーも本発明の範囲内である。極性ポリマーの非限定的な例
は、ゼイン、麻タンパク質、小麦グルテン、ポリ(アクリル酸-co-マレイン酸)、ポリ(
アクリル酸)、乳漿タンパク分離株、大豆タンパク分離株、エンドウタンパク抽出物、セ
ラック、及びその組合せを含む。
【0124】
特定の実施形態では、ポリマー分子を誘導体化して、その後の、裸電極表面(即ち、地
金または炭素の表面)、あるいは複合電極表面へのポリマー分子の結合を促進する官能基
のような追加的官能基を付着させる。好適な誘導体化剤は、無水物、カルボジイミド、イ
ミドエステル、及びN-ヒドロキシサクシンイミドとマレイミド基、アリールアジド基、
またはジアジリン基との組合せを含む試薬を含むが、それに限定されない。一部の例では
、上記ポリマーが、無水マレイン酸、無水イタコン酸、シス(cis)-4-シクロヘキセ
ン-1,2-無水ジカルボン酸、またはシス-5-ノルボルネン-エンド-2,3-無水
ジカルボン酸のような無水物で誘導体化されている。誘導体化されたポリマー分子は、架
橋することによって、あるいは表面との他の反応によって電極表面に結合することができ
る。ポリマー分子は、誘電体内の他の1つ以上のポリマー分子で架橋することもできる。
ポリマー分子を、例えば無水マレイン酸で誘導体化すると、誘導体化されたポリマー分子
を二重結合により架橋することができる。架橋は、化学薬品(例えば、ラジカル開始剤)
、紫外光活性化、または熱活性化のような任意の適切な手段によって実行することができ
る。非導電性の光誘電率誘電体の2つの非限定的な例は、セラック基質(マトリクス)内
のゼイン、及び無水マレイン酸で誘導体化したタンパク質である。
【0125】
上述した特性を有するポリマー分子は、立体的に拘束すると、ポリマー分子が逆極性の
電極間を自由に移動することができなくてもエネルギー蓄積用に用いることができること
を、発明者は驚くべきことに発見した。電極、及びポリマー分子を含む誘電体材料を含む
エネルギー蓄積デバイスを充電及び/または放電する前に、当該ポリマー分子を何らかの
手段で裸電極表面に、あるいは複合電極の非導電性コーティングまたは絶縁コーティング
に結合することによって、当該ポリマー分子を立体的に拘束することができ、これらの手
段は、共有結合(単結合または多重結合)、ファン・デル・ワールス(van der Waals)
力、または水素結合を含む。
【0126】
いずれの特定の動作理論にも束縛されることを望まずに、巨大分子内では、当該分子の
他の部分は定位置に束縛しつつ、当該分子の一部分のみに運動を生じさせて、より低いエ
ネルギーレベルへの全体的移動、及びその後の、電極に結合され、熱運動として放出され
ないポテンシャル・エネルギーの放出を十分に防止することができるものと確信する。こ
うした運動の拘束は、誘電体分子内の自由度を低下させ、その結果、分子が吸収したエネ
ルギーを電界から熱として消散させる能力を低下させる。従って、束縛されたポリマー分
子は、当該ポリマー分子が、その低下した自由度に起因して、エネルギーを熱の形態で放
出することができないような方法で電界に結合される。高分子(巨大分子)の特定部分の
運動は、こうした技術を用いて生物高分子を分析する当業者にとって既知である電気泳動
に関係し、電気泳動と同様である。
【0127】
それに加えて、いずれの特定の動作理論にも束縛されることを望まずに、ポリマーの一
部分が電極(または電極上のコーティング)に束縛されると、ポリマーの残り部分は誘電
体膜内で伸張する、ねじれる、あるいは屈曲するものと確信する、というのは、極性及び
/またはイオン性官能基が電界に応答して再配向されるからである。これらの配座及び位
置の変化により、エネルギー蓄積デバイス内のエネルギーが蓄積される。エネルギー蓄積
デバイスが放電する際に、蓄積されたエネルギーとして放出される、というのは、束縛さ
れたポリマー分子がより無秩序の配座に戻るからである。少なくとも一部のポリマー分子
の自由度が低下したポリマー分子を含む誘電体材料は「立体的に拘束された」誘電体材料
と称される。
【0128】
一部の実施形態では、上記誘電体材料が、有機ポリマー及び高誘電率の化合物を含み、
高誘電率の化合物は、例えば無機塩、あるいは金属カチオン及び有機アニオンを含む塩で
ある。上記誘電体材料は溶媒をさらに含むことができる。適切なポリマーは、ゼイン、セ
ラック、及びシリコーン油を含むが、それらに限定されない。一部の実施形態では、上記
塩がIIA族またはIIIA族の金属を含む。一実施形態では、上記無機塩が、水素化ホ
ウ素ナトリウムまたはホウ砂のようなホウ素化合物である。無機塩が水素化ホウ素ナトリ
ウムまたはホウ砂である際には、上記誘電体材料が水酸化アンモニウムをさらに含むこと
ができる。独立した実施形態では、上記無機塩がチタン酸バリウムである。他の独立した
実施形態では、上記無機塩がGd、Sr、またはSn塩である。さらに他の独立した実施形態で
は、上記無機塩が鉄塩のような遷移金属塩である。上記塩は、例えば炭酸塩とすることが
できる。上記無機塩が水素化ホウ素ナトリウムまたはホウ砂をさらに含むことができる。
特定の実施形態では、上記誘電体材料が誘電率増加材料または絶縁破壊電圧アジュバント
(補助薬)をさらに含む。この誘電率増加材料または絶縁破壊電圧アジュバントは、Y、N
i、Sm、Sc、Tb、Yb、La、Te、Ti、Zr、Ge、Mg、Pb、Hf、Cu、Ta、Nb、Bi、またはその組
合せを含むことができ、これらは材料全体にわたって均等に分布する。
【0129】
特定の例では、上記誘電体材料が、マレイン酸で誘導体化して炭酸塩電中和したゼイン
タンパク質を含む。
【0130】
一部の実施形態では、上記誘電体材料が二酸化シリコンよりも高い、即ち3.9よりも
大きい相対誘電率を有する。特定の実施形態では、上記誘電体材料が液体特性を有し、ハ
チミツと同様、またはそれよりも高い粘度を有する。この誘電体材料は、0.5cP以上の
粘度、例えば0.5cPから250,000cPまで、10cP~250,000cP、100cP
~250,000cP、500cP~250,000cP、1,000cP~250,000cP、
5,000cP~250,000cP、または10,000cP~250,000cPの粘度を有
することができる。
【0131】
一部の実施形態では、本明細書中に開示するように、上記誘電体材料が、3.9よりも
大きい相対誘電率を有する電子エントロピー誘電体材料である。この電子エントロピー誘
電体材料は、複数の前述したポリマー分子を含むことができる。一部の例では、これらの
ポリマー分子が、タンパク質、ポリ(p-キシリレン)ポリ(マレイン酸)、アクリル酸ポリ
マー、メタクリル酸ポリマー、ポリエチレン・グリコール、ウレタン・ポリマー、エポキ
シ・ポリマー、シリコーン・ポリマー、テルペノイド・ポリマー、自然発生樹脂ポリマー
、ポリイソシアネート、またはその組合せを含む。特定のCESDでは、上記ポリマー分
子が、ポリ(p-キシリレン)、ゼイン、ポリ(マレイン酸)、セラック、シリコーン油、ま
たはその組合せである。
【0132】
各誘電体材料層は、0.0001μmから10000μmまでの厚さTD図29中に示
す)、例えば0.0005~10000μm、0.0005~1000μm、0.0005
~100μm、0.001~100μm、0.01~100μm、0.05~100μm、0
.1~50μm、0.5~10μm、または1~5μmの範囲内の厚さを有することができ
る。一部の実施形態では、各誘電体材料層の厚さが同じである。「同じ」とは、各層の厚
さが層の平均の厚さに対して±5%未満だけ、例えば層の平均の厚さに対して±2%未満
だけ偏位することを意味する。
【0133】
上記導体材料は、炭素質材料、金属、導電性ポリマー、またはその組合せを含む。炭素
質材料は、導電性カーボンを含むあらゆる導電性材料を含み、導電性カーボンは、炭素粉
末(カーボンパウダー)、グラフェン、黒鉛炭素、黒鉛化カーボン、部分的に黒鉛化した
カーボン(例えば、20重量%から99重量%までの範囲内の黒鉛型構造の含有量)、活
性炭、カーボンブラック、及び炭化ポリマー(一般に熱分解または化学処理によって少な
くとも部分的に炭素または炭素含有残留物に変換されたポリマー)、またはその任意の組
合せを含むが、これらに限定されない。適切な金属は、アルミニウム、銅、金、白金、銀
、チタン、及びその組合せを含むが、これらに限定されない。特定の例では、上記導体材
料が、炭素粉末、グラフェン、グラファイト、アルミニウム、ポリアニリン、またはポリ
(N-メチルピロール)を含むかそれらで構成されるが、これらに限定されない。
【0134】
適切な誘電体材料に関する追加的開示は、例えば、米国特許第8432663号明細書
(特許文献1)、米国特許第8940850号明細書(特許文献2)、米国特許第901
1627号明細書(特許文献3)、米国特許出願公開第2015/0000090号明細
書(特許文献4)、米国特許出願公開第2015/0000833号明細書(特許文献5
)、及び米国特許出願公開第2015/0131198号明細書(特許文献6)中に見出
すことができ、これらの特許文献の各々は、その全文を参照することによって本明細書に
含める。
【0135】
上述したように、CESDは1つ以上の絶縁材料を電気接続体間に含むことができる。
電極及び/またはその下層をなす基板も、絶縁材料または絶縁コーティングを有すること
ができる。CESDは上部封止層をさらに含むことができる。これらの絶縁層及び/また
は封止層は1×10-1S/mのオーム抵抗的導電率を有することができる。一部の実施形態
では、上記絶縁層が、1×10-2S/m、1×10-5S/m、または1×10-10S/mのオーム抵
抗的導電率を有する。特定の実施形態では、このオーム抵抗的導電率が、1×10-25S/m
から1×10-1S/mまで、1×10-10S/mから1×10-1S/mまで、または1×10-5S/m
から1×10-1S/mまでである。上記絶縁層は、厚さを2、3ナノメートルから50ミク
ロン以上までの範囲にすることができる。一部の実施形態では、上記絶縁層が、5nmから
10μmまでの平均の厚さ、例えば0.1~10μm、0.3~10μm、0.3~5μm、
または0.3~2μmの平均の厚さを有する。上記封止層は、50nmから50mmまでの平
均の厚さ、例えば50nmから25mmまで、または100nmから10mmまでの平均の厚さを
有することができる。
【0136】
好適な絶縁層または封止層は、重合p-キシリレン、例えば米国特許出願公開第201
4/0139974号明細書(特許文献7)に開示されたプラレン(登録商標)ポリマー
であり、特許文献7はその全文を参照することによって本明細書に含める。上記絶縁層を
適切なコモノマーで修飾して、増加した誘電率、及び/または誘電体材料のポリマー分子
用の付着部位を提供する。一部の実施形態では、上記コモノマーが1つ以上の不飽和結合
を含む。重合p-キシリレンを含む絶縁層を、例えばコモノマーの含有によって修飾する
ことができ、このコモノマーは、オレフィン、ビニール誘導体、アルキニル誘導体、アク
リル化合物、アリル化合物、カルボニル、環状エーテル、環状アセタール、環状アミド、
オキサゾリン、及びその組合せを含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、
上記コモノマーが、アクリレート(例えば、2-カルボキシルエチル・アクリレート)、
メタクリレート(例えば、3-(トリメトキシシリル)プロピル・メタクリレート)、α-
ピネン、R-(-)カルボン、リナロール、シクロヘキセン、ジペンテン、α-テルピネン
、R-(+)-リモネン、及びその組合せである。上記コポリマーは、交互するモノマーを
含むことができ、あるいはブロック・コポリマーの形態とすることができる。
【0137】
IV.CESDを作製する方法
図35の流れ図に示すように、図2~18に開示するCESDを作製する方法は、電極
間に空間を有し、少なくとも部分的に誘電体材料内に埋め込まれるか誘電体材料に接触す
る電極のアレイを形成するステップであって、この電極のアレイは、単一の平面内に配列
された電極のn個のグループを含み、ここにnは2以上の整数であり、各電極は、この平
面に直交する中心軸を有するステップ(ステップ3501)と;各グループの電極を電気
相互接続体に直列に接続し、これによりCESDを形成するステップ(ステップ3502
)とを含む。
【0138】
一部の実施形態では、少なくとも部分的に誘電体材料内に埋め込まれるか誘電体材料に
接触する電極を形成するステップが、上記電極のアレイを形成するステップ(ステップ3
501a)と、次に、この誘電体材料を電極間の空間内に配置するステップ(ステップ3
501b)とをさらに含む。これらの電極は任意の適切な手段によって形成することがで
き、これらの手段は、ナノリソグラフィー、マイクロリソグラフィー、シャドーマスク重
合、レーザー加工、インプリント、インクジェット、グラウバー(grauver)、フレキソ
印刷、またはスクリーン印刷プロセスによってこれらの電極を基板上に形成することを含
むが、プロセスはこれらに限定されない。一部の実施形態では、上記基板が非導電性の表
面であり;他の実施形態では、上記基板が除去可能な担体である。特定の実施形態では、
上記電極のアレイを、ロール・ツー・ロール(R2R:roll-to-roll)ナノインプリント
・リソグラフィー(NIL:nanoimprint lithography)のようなナノリソグラフィーを
用いて形成し、ここでは、フレキシブル基板上に層をなす電極材料を剛体スタンプ上で圧
力を加えて回転させ、これにより電極材料をパターン化して電極のアレイを形成する(例
えば、Kooy他、”Nanoscale research Letters 2014”、9:320(非特許文献2)参照)。
R2R NILは、真空処理を必要としないデバイス製造の解決策を提供することが有利
である。代案の方法では、マイクロエレクトロニクスの製造業者にとって周知のもののよ
うな真空プロセスを用いて電極のアレイを形成することができる。シャドーマスクを利用
する単純なフォトリソグラフィーのような代案の方法も可能である。真空紫外光よりも長
い波長でのフォトリソグラフィーのような非接触プロセスの利点は、明らかな利点である
。これらの利点は、真空プロセスを必要としないことと合わせると、本発明の経済的な製
造方法によって強い根拠をなす。一実施形態では、上記電極が金属であり、コンデンサ生
産の当業者にとって周知の方法によって陽極酸化されている。独立した実施形態では、上
記電極が、プラレン(登録商標)ポリマー(ポリ-p-キシリレン)コーティングのよう
な絶縁層または絶縁コーティングでコーティングされている。プラレン(登録商標)ポリ
マー(ポリ-p-キシリレン)コーティング及び同様なコーティングを形成する方法は、
米国特許第8633289号明細書(特許文献8)及び米国特許出願公開第2015/0
017342号明細書(特許文献9)にさらに記載され、これらの特許文献はその全文を
参照することによって本明細書に含める。電極上のポリ(p-キシリレン)絶縁コーティン
グは、電界または磁界の存在下で形成することができる。一実施形態では、100V/cmよ
りも高い直流電界の存在下で絶縁コーティングを形成する。上記基板/担体及び電極は、
例えば、絶縁コーティングを当該電極に付加する間に直流電界に浸すことができる。他の
実施形態では、上記絶縁コーティングを1ガウスよりも高い磁界中で形成し、この磁界は
、絶縁コーティングを付加する間に、上記基板/担体及び電極を磁気源の磁北極と磁南極
との間に配置することによって与えることができる。上記電極材料は、電極メッキ法また
は空間的な原子層堆積(ALD:atomic layer deposition)法によって提供することが
できる。
【0139】
上記誘電体材料は、任意の適切な手段によって電極間の空間内に配置することができ、
これらの手段は、ビスコース誘電体のような溶剤型誘電体を基板上に流動させること、誘
電体を基板上へ噴霧すること、気相堆積法、または薄膜形成の当業者にとって既知の他の
方法を含むが、これらに限定されない。一部の例では、上記誘電体を、例えば、蒸発によ
って溶媒を除去することによって、あるいは誘電体材料内のポリマーを架橋することによ
って、誘電体を凝固(固化)させる。除去可能な担体は、その後に、任意の適切な方法に
よって除去することができる。例えば、水溶性ポリマーを含む除去可能な担体は、水に溶
解させて除去することができる。
【0140】
代案の方法では、誘電体材料層を(例えば、気相堆積法、液体噴霧、スクリーニング、
スピンコーティング、加圧成形、または薄膜形成の当業者にとって既知の他の方法によっ
て)基板上に形成し(ステップ3501c)、電極を少なくとも部分的に誘電体材料内に
埋め込むか誘電体材料に接触するように配置して、電極のアレイを形成する(ステップ3
501d)。一部の実施形態では、誘電体材料層を基板または除去可能な担体膜に付加す
る。液体の場合、誘電体膜を処理する前に低温(例えば、25~60℃)で部分的に乾燥
させることができる。他の独立した実施形態では、誘電体材料層を導体表面上に押圧して
マスキング層として機能させる。この誘電体材料は、基板及び絶縁層の両方として機能す
ると共に、エネルギー蓄積用の媒体として機能することができる。特定の実施形態では、
誘電体材料を、例えば、R2R NILのようなナノインプリント・リソグラフィーによ
って、あるいはフォトレジスト・マスクによるようなレーザーまたは化学エッチングによ
ってパターン化する。次に、パターン化した誘電体材料内のキャビティに適切な電極材料
を充填する。独立した実施形態では、例えば、誘電体材料が粘性のある液体または半固体
状態である間に、事前に形成した電極を誘電体材料内に挿入する。他の独立した実施形態
では、表面上での適切な化学反応を用いて、電極(例えば、炭素電極)を誘電体材料内ま
たは誘電体材料上にその場で生成することができる。グラフェン、及び酸化グラフェン・
インクのようなカーボンインク、及び焼結法も、導体電極及び相互接続体を形成するため
の代案の方法になり得る。
【0141】
上記の製造プロセスによる電極の形状は実際には円柱形にすることができ、あるいは、
これらの電極は、加圧、成形、またはエッチング・プロセスにより、扁平な円柱形、また
は他の幾何学的形状にすることができる。特に対をなす電極を基本的に互いに平行または
直角に配向させる際には、曲面の電極面は、複雑な間隔及び幾何学的検討を有する。角度
をつけた配向は、単一層上での高密度の静電容量または単位セルのアドレス指定が望まれ
る際に有利であり得る。
【0142】
一部の実施形態では、上記誘電体材料が、ポリマー分子を含む電子エントロピー材料の
ようなエントロピー材料であり、上記薄膜材料を、溶媒及び複数のポリマー分子を含む液
体または懸濁液(スラリー)から用意する。適切な溶媒は、アルカノール、アルカリ・グ
リコール、ラクトン、炭酸塩、水、及びその組合せを含むが、これらに限定されない。好
適な溶媒は、エタノール、エチレン・グリコール、水、ラクトン、炭酸塩、及びその組合
せを含む。一部の実施形態では、上記ポリマー分子が1つ以上の極性官能基、イオン性官
能基、またはその組合せを含む。上記ポリマー分子は1つ以上の二重結合を含むこともで
きる。適切なポリマー分子は上述した通りである。特定の実施形態では、例えば混合物を
フィルタ処理または遠心分離することによって、不溶解のポリマー分子を混合物から除去
する。
【0143】
上記液体または懸濁液は、架橋剤をさらに含むことができる。適切な架橋剤は、無水物
、カルボジイミド、イミドエステル、ホウ砂塩、ホウ化水素ナトリウム、及びN-ヒドロ
キシサクシンイミドとマレイミド、アリールアジド、またはジアジリン基との組合せを含
む試薬を含むが、それらに限定されない。一般的な架橋剤は、トリアリルトリアジントリ
オン、及びポリマー化学に精通した者にとって既知の他のトリアリルまたはトリビニル試
薬を含む。好適な無水物は、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シス-4-シクロヘ
キセン-1,2-ジカルボン酸、無水シス-5-ノルボルネン-エンド(endo)-2,3
-ジカルボン酸、及びその組合せを含む。
【0144】
一部の実施形態では、上記液体または懸濁液が、ポリマー分子間の架橋を初期化するた
めのラジカル開始剤のような開始剤をさらに含む。好適な開始剤は、1,1’-アゾビス
(炭窒化シクロヘキサン)、過酸化ジクミル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノ
ン、カンファーキノン、フェナントレンキノン、及びその組合せを含む。一例では、無水
イタコン酸及び過酸化ジクミルを用いてゼイン分子どうしを架橋した。
【0145】
ポリマー分子と一緒に有機塩を形成することができる塩、及び/または上記薄膜材料を
中和することができる塩のような1つ以上の塩を、架橋が完了する前に上記液体または懸
濁液に添加することができる。一部の実施形態では、炭酸塩(例えば、炭酸グアニジン、
炭酸セシウム、炭酸ストロンチウム、またはその組合せ)を用いることができる、という
のは、反応が二酸化炭素を放出して、誘電体膜の不所望な対イオン汚染を生成しないから
である。一実施形態では、チタン酸バリウムを上記液体または懸濁液に添加する。独立し
た実施形態では、非導電性ポリマーのような電圧補助薬を添加する。
【0146】
独立した実施形態では、誘電体膜のポリマー分子をその場で形成する。誘電体材料の液
体または懸濁液は、架橋剤、及び複数のポリマー分子前駆体を含み、これらのポリマー分
子前駆体は、1つ以上の極性官能基、イオン性官能基、またはその組合せを含む。一部の
例では、上記前駆体がアミノ酸分子、オリゴペプチド、ポリぺプチド、またはその組合せ
である。特定の実施形態では、上記ポリマー分子前駆体がp-キシリレン・モノマーをさ
らに含む。一部の実施形態では、前述したように、上記液体または懸濁液を上記基板また
は除去可能な担体に塗布する。塗布後に、上記架橋剤を活性化させ、これによりポリマー
分子前駆体どうしを架橋して、複数のポリマー分子を含む誘電体膜を提供する。この架橋
プロセスは、ポリマー分子の一部を、上記基板または除去可能な担体層上に配置された電
極の表面に、及び/または上記基板または除去可能な担体層に結合させることもできる。
独立した実施形態では、上記液体または懸濁液を上記基板または除去可能な担体に塗布す
る前に架橋を開始することができる。
【0147】
電極のグループは、何らかの適切な手段によって電気相互接続体に直列に接続する。電
極への電気接続は直接的にも間接的にもすることができる。直接的接続は、例えば、標準
的なワイヤボンディング機または導電性接着剤を用いて行うことができる。一部の実施形
態では、例えば、図9~12に示すように、1つ以上のグループの電極を、主線から延び
る分岐によって、分岐した電気相互接続体に接続する。
【0148】
一部の実施形態では、誘電体膜、電極、及び電気相互接続体を組み立てた後に、CES
Dに電界を印加する。例えば、(例えば、図3~6または15の実施形態では)電極の行
を1行おきに活性化し、交互する行を接地する(Vssに接続する)ことによって、(例え
ば、図7~14の例では)全部の行電気相互接続体を活性化し、全部の列電気相互接続体
を接地することによって、あるいは(図18の実施形態では)多重螺旋配置の場合に、他
の電極を接地すると共に1つの電極を活性化することによって、直流電界を印加すること
ができ、これにより、一部の電極が正電極として機能し、他の電極は負電極として機能す
る。一部の実施形態では、誘電体材料の平均の厚さに基づいて、0.0001V/μmから
1000V/μm以上までの範囲内の印加電界を利用する。特定の実施形態では、印加電界
が、CESDの意図した使用法に応じて、0.0001V/μm~100V/μm、100V/μ
m~1000V/μm、または1V/μm~5V/μmの範囲内である。電界を有効な期間だけ印加
して、ポリマー分子の少なくとも一部を正に帯電した電極に結合させ、これにより立体的
に拘束された誘電体膜を作製する。この有効な期間は、少なくとも部分的に電界強度に基
づき、1秒から何分かまでの範囲、例えば30秒から60分まで、5分から30分まで、
または5分から15分までの範囲にすることができる。一部の実施形態では、電界が0.
0005~600V/μmであり、上記有効な期間が0.0001秒から30分までである
【0149】
独立した実施形態では、電極の少なくとも一部を絶縁層でコーティングし、誘電体膜を
付加する前に上記ラジカル開始剤を塗布することができる。例えば、正電極に絶縁層を付
加することができる。次に、ラジカル開始剤を活性化して、ポリマー分子の少なくとも一
部を絶縁層に結合させて、立体的に拘束された通電体膜を作製することができる。好適な
ラジカル開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン
-カルボニトリル)、過酸化ジクミル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、
カンファーキノン、フェナントレンキノン、その組合せ、及び重合の当業者にとって既知
の他のラジカル開始剤を含む。このラジカル開始剤を、酸化-還元、光開始、熱開始、ま
たは重合の当業者にとって既知の他の方法で活性化し、これによりポリマー分子の少なく
とも一部を電極上の絶縁層に結合させる。
【0150】
他の独立した実施形態では、電極の少なくとも一部(例えば、正電極)を絶縁層でコー
ティングし、上記誘電体材料のポリマー分子を誘導体化剤で誘導体化して、電極の絶縁層
へ架橋することができる官能基を提供する。その後に、ラジカル開始剤、紫外光、熱活性
化、またはその組合せを用いることによって、これらの官能基を絶縁層へ架橋させ、これ
により立体的に拘束された誘電体膜を作製する。好適な誘導体化剤は、無水物、カルボジ
イミド、イミドエステル、及びN-ヒドロキシサクシンイミドとマレイミド基、アリール
アジド基、またはジアジリン基との組合せを含む試薬を含む。一部の実施形態では、誘導
体化剤が、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シス-4-シクロヘキセン-1,2-
ジカルボン酸、または無水シス-5-ノルボルネン-エンド-2,3-ジカルボン酸のよ
うな無水物である。
【0151】
図36を参照すれば、例えば、図7~14に示すように、電気相互接続体が互いに交差
する実施形態では、上記方法が、電極間に空間を有し、少なくとも部分的に誘電体材料内
に埋め込まれるか誘電体材料に接触する電極のアレイを形成するステップであって、電極
のアレイは単一の平面内に配置された電極のn個のグループを含み、ここにnは2以上の
整数であり、各電極は、この平面に直交する中心軸を有するステップ(ステップ3601
)と、第1グループの電極を第1電極相互接続体により直列に接続するステップ(ステッ
プ3602)と、第2グループの電極を第2相互接続体により直列に接続するステップで
あって、第2電気相互接続体が第1電気相互接続体と交差する各交点に垂直方向の空間的
隔離が存在するようにするステップ(ステップ3603)とを含む。一部の実施形態では
、上記方法が、第1グループの電極を第1電気相互接続体により直列に接続するステップ
(ステップ3602a)と、電極のアレイ及び第1電気相互接続体上に絶縁層を配置して
、第1電気相互接続体が絶縁層の下方にあるようにするステップ(ステップ3602b)
と、第2電気相互接続体を絶縁層上に配置して、第2電気相互接続体が、絶縁層の上方か
つ第2グループの電極の上方に配置されるようにするステップ(ステップ3602c)と
、第2グループ内の電極のうちの1つの電極に対応する位置の各々に絶縁層を通るビアを
形成し、これにより、第2の行電気相互接続体を第2グループ内の電極に直列に電気接続
するステップ(ステップ3602d)とを含む。絶縁層は、任意の適切な手段によって、
例えば、まず第1電気相互接続体を第1グループの電極に接続した後に、部分的に組み立
てられたCESD上に絶縁材料を流動させるか噴霧することによって付加することができ
る。一部の実施形態では、絶縁層がポリ(p-キシリレン)である。絶縁層を通るビアを第
2グループの電極の上方に形成して、第2電気相互接続体を付加して、これらのビアが第
2電気相互接続体を第2グループの電極に接触するようにする。図7、8、及び10~1
4の好適な実施形態では、行電気相互接続体115が絶縁層190の上方にあり、列電気
相互接続体125は絶縁層190の下方にある。
【0152】
単位セルの構成では、複数の電気相互接続体の平面及び複数の絶縁層が存在し得る。例
えば、図16及び17に示す単位セルは、4つの平面内に配置された電気相互接続体を含
む。従って、一部の実施形態では、図示する単位セル及び/または単位セル・アレイが、
4つの電気相互接続体の平面を分離するための3つの絶縁層を含む。ビアは、必要に応じ
て1つ、2つ、あるいは3つ全部の絶縁層を通って延びて、適切な下層の電極への接続体
を提供する。
【0153】
以上の実施形態のいずれか、あるいは全部では、上部封止層をCESD上に堆積させる
ことができる。上部封止層は、例えばポリ(p-キシリレン)のような絶縁層とすることが
できる。上部封止層は、任意の適切な手段によって、例えば、組み立てたCESD上に封
止材料を流動させるか噴霧することによって堆積させる。
【0154】
図37は、図22A、22B、23、31、及び32に示す積層CESDを作製する方
法の実施形態を示す流れ図である。この方法は、第1電極を用意するステップ(ステップ
3701)と、誘電体材料層と導体材料層とが交互する積層配列を第1電極上に形成する
ステップ(ステップ3702)とを含む。(例えば、図22A、22B、23に示す管状
のCESDに関しては)任意で、第1電極を基板上に形成することによって第1電極を用
意することができる(ステップ3700)。上記積層配列は、誘電体材料層を第1電極の
表面に付加し(ステップ3703)、導体材料層を誘電体材料層上に付加し(ステップ3
704)、誘電体材料の他の層を導体材料層上に付加する(ステップ3705)ことによ
って形成される。より多数の層を所望する場合(ステップ3706)、ステップ3704
及び3705を反復する。所望数の層を形成すると、非導電性の封止材料を外側に付加す
るべきか否かの判定を行う(ステップ3707)。任意である非導電性の封止材料が望ま
しい場合、この封止材料を(図23に示すように)積層配列の1つ以上の側端に接触する
ように付加する(ステップ3708)。第2電極を積層配列の最外層に接触するように付
加し(ステップ3709)、この最外層は誘電体材料層である。任意であるステップ37
08は、図に示すようにステップ3709の前に実行することができ、あるいはその代わ
りに、ステップ3709の後に実行することができることは明らかである。図32に示す
ような管状の積層CESDを作製する際には、任意である外側の非導電性封止材料316
0を、第2電極3120の外向きの表面3120b、あるいはCESD3100のすべて
の外面に付加することができる。
【0155】
誘電体材料層及び導体材料層を付加することは、任意の適切な方法で実行することがで
きる。一部の実施形態では、誘電体材料層及び/または導体材料層を、(例えば、エアブ
ラシでの)噴霧、気相堆積法、または薄膜形成の当業者にとって既知の他の方法によって
付加する。その代わりに、粘性誘電体のような溶剤系の誘電体材料層を、第1電極上また
はその下層をなす導体材料層上に流動させることによって、誘電体材料層を付加すること
ができる。一部の例では、上記誘電体材料を、例えば蒸発によって溶媒を除去することに
よって、あるいは当該誘電体材料内のポリマーを架橋することによって、濃縮または凝固
させる。任意である非導電性封止材料は、同様な方法で付加する。
【0156】
第1電極が形成された除去可能な担体または基板は、その後に任意の適切な方法によっ
て除去することができる。例えば、水溶性ポリマーを含む除去可能な担体は、水で溶解さ
せて除去することができる。
【0157】
図38は、図24~26に示す積層CESDを作製する一般化した方法の一実施形態を
示す流れ図である。この方法は、間隔をおいた平行な電極のn個のグループのアレイを、
n個の平行な平面または層内に形成するステップ(ステップ3801)を含む。任意で、
この電極のアレイを基板上に形成する。この電極のアレイは、例えば図35の方法に関し
て上述したような、任意の適切な方法によって形成することができる。1つの層内の平行
な電極のグループは、隣接する平行な電極のグループに対して直角に配向させることがで
き、あるいは、平行な電極のグループは、隣接する平行な電極のグループに対して0~9
0°回転させることができる。図24~26に関して説明したように、完成した四角形の
CESDの2つ以上の側面から電極端部が突出するように、これらの電極を配列させるこ
とが有利である。上記電極のアレイを形成する際に、電極間の空間に誘電体材料を充填す
る(ステップ3802)。この誘電体材料は、例えば、図35の方法に関して上述したよ
うな任意の適切な方法によって上記空間内に配置することができる。導体材料を付加する
べきであるか否かの判定を行う(ステップ3803)。任意である導体材料が望ましい場
合、この導体材料は、上記積層配列の2つ以上の側端に接触するように付加する(ステッ
プ3804)。この任意である導体材料は、当該導体材料を側端上に流動させるか噴霧す
るような任意の適切な手段によって付加することができる。
【0158】
図39は、図24~26に示す積層CESDを作製する一般化した方法の独立した実施
形態を示す流れ図である。この方法は、誘電体材料層及び電極の層を形成するステップ(
ステップ3901)を含む。任意で、誘電体材料層を基板上に形成する。この誘電体材料
層は、例えば、図35の方法に関して上述したような、任意の適切な方法で形成すること
ができる。一実施形態では、複数の平行な溝を、上記誘電体材料層の上面内に形成する(
ステップ3902a)。これらの溝は、エッチング、レーザー切削、等のような任意の適
切な方法で形成することができる。これらの溝は、電極端部が、上記誘電体材料層の1つ
以上の側端から突出するか、あるいは1つ以上の側端と一致するように形成することが有
利である。各溝内に電極を設けるか形成する(ステップ3903a)。これらの電極は、
例えばワイヤとして設けることができる。その代わりに、これらの電極は、例えば、溝に
導電性カーボンを充填することによって溝内に形成することができる。他の実施形態では
、複数の平行な電極を上記誘電体材料層の上面に付加する(ステップ3902b)。これ
らの電極は任意の適切な方法によって付加することができる。例えば、通常の当業者が理
解するように、液状の電極を誘電体材料の上面上に「印刷する」ことができる。その代わ
りに、電極材料の層を誘電体材料の上面に付加し、次に、過剰な電極材料を除去して、複
数の平行な電極を残すことができる。後続する誘電体材料及び電極の層を、これらの誘電
体材料及び電極の層上に形成する(ステップ3904)。後続する層の電極は、第1層の
電極に対して直角に配向させることができ、あるいは、後続する層の電極は、第1層の電
極に対して0~45°回転させることができる。追加的な層が望ましい場合(ステップ3
905)、ステップ3904を反復する。所望する数の層が形成されると、誘電体材料の
最終層を、誘電体材料及び電極の層上に形成する(ステップ3906)。非導電性の封止
材料を外側に付加するべきか否かの判定を行う。任意である非導電性材料の封止材料が望
ましい場合、この封止材料を、上記積層配列の2つ以上の側端に接触するように付加する
(ステップ3908)。
【0159】
CESDを使用する方法
開示するCESDは、エネルギー蓄積用、メモリ記憶用、またはその組合せ用に用いる
ことができる。本明細書中に開示するCESDを使用する方法の実施形態は、第1電極グ
ループの電極と、それに隣接する第2電極グループの電極との間に配置された容量性素子
の両端間に電圧を印加するステップであって、容量性素子は、第1グループの電極と、そ
れに隣接する第2グループの電極との間に位置する誘電体材料の領域であり、これにより
容量性素子をV1に充電するステップを含む。印加する電界は、誘電体材料の平均の厚さ
に基づいて、0.001V/μmから1000V/μm以上までにすることができる。一実施形
態では、印加する電界が100V/μmから1000V/μmまでである。独立した実施形態で
は、印加する電界が0.001V/μmから100V/μmまでである。他の独立した実施形態
では、印加する電界が1V/μmから5V/μmまでである。
【0160】
図40は、CESDの容量性素子を充電する一般化した方法を示す流れ図である。この
方法は、処理ブロック4001で、少なくとも1つの容量性素子を具えたCESDを用意
するステップを含み、この容量性素子は、第1電極グループの第1電極と第2電極グルー
プの第2電極との間に規定され、第1電極グループは第1電気相互接続体に直列に接続さ
れ、第2電極グループは第2電気相互接続体に直列に接続されている。ある期間だけ、第
1電気相互接続体に電圧を印加し、第2電気相互接続体をVssに接続することによって、
容量性素子の両端間に電圧を印加する(ステップ4002)。
【0161】
CESDが、整列した、あるいはスタガード様式に並んだ電極の行を具え、各行が(例
えば、図3~6及び15に示すように)電極のグループを構成する際には、電圧を印加す
ることによって、隣接する、活性化された電極の行間の複数の容量性素子が充電される。
こうした実施形態は、大量のエネルギーを蓄積するデバイスとして、あるいはより高い電
圧出力が望まれるデバイスとして特に有用である。実際に、一部の例では、全部の行を活
性化して、CESD内の全部の容量性素子を同時に充電または放電する。
【0162】
CESDが(例えば、図7~14に示すように)行及び列のアレイを具え、各行が、他
の1つ以上のグループの電極と交互する第1グループの電極を具えている実施形態では、
第1電気相互接続体が1つの行内の第1グループの電極を直列に接続し、第1電気相互接
続体によって接続されない第2グループの電極は、第2電気相互接続体によって列の形に
直列に接続され、電圧を印加することによって、隣接する活性化された2つの電極間の1
つ以上の容量性素子が充電される。同様に、CESDが(例えば、図16及び17に示す
ように)単位セルのアレイを具えている際には、電圧を印加することによって、隣接する
活性化された2つの電極間の1つ以上の容量性素子が充電される。一部の実施形態では、
CESDがメモリデバイスであり、各容量性素子は、当該容量性素子の両端間に印加した
電圧によって決まる論理状態を有する。
【0163】
以上の実施形態のいずれにおいても、CESD、及びこのCESDに接続された負荷を
含む回路を用意することによって、エネルギーをCESDから負荷へ供給することができ
、上記容量性素子は電圧V1に充電され;逆極性の電位を放電期間だけ容量性素子の両端
間に印加し、逆極性の電位は、電圧V1未満であり、かつ容量性素子が高インピーダンス
状態で発生する電圧未満であり、これにより電力を容量性素子から負荷へ供給する。この
方法は、例えば、エネルギー集積器兼メモリセル、あるいは大型のエネルギー蓄積セルの
ように、CESDが大きな幾何学的形状を有する際に有利であり得る。この方法を用いて
、CESDから負荷への電圧出力を間接的に増加させることもできる。
【0164】
図41は、CESDから負荷へエネルギーを供給する一般化した方法を示す流れ図であ
る。この方法は、処理ブロック4101で、第1電圧レベルに充電された少なくとも1つ
の容量性素子を有するCESDを含む回路を用意するステップを含み、この容量性素子は
、第1電極と第2電極との間の誘電体材料の領域によって規定され;一部の実施形態では
、本明細書中に開示するように、誘電体膜が電子エントロピー誘電体材料を含む。第1電
極は第1電気相互接続体に接続され、第2電極は第2電気相互接続体に接続されている。
第1電極と第2電極との間の容量性素子は、電圧を容量性素子の両端間に印加することに
よって、例えば、電圧を第1電気相互接続体に印加し、第2電気相互接続体をVssに接続
することによって充電される。その代わりに、第2電気相互接続体に電圧を印加すること
ができ、第1電気相互接続体をVssに接続することができることは、通常の当業者の理解
する所である。逆極性の電位を放電期間だけ容量性素子の両端間に印加し、これによりC
ESDから負荷へ電力を供給する(ステップ4102)。逆極性の電位は、第1電気相互
接続体及び第2電気相互接続体の一方を負荷に接続し、第1電気相互接続体及び第2電気
相互接続体の他方をVssに接続することによって印加することができる。例えば、第1電
気相互接続体に電圧を印加し、第2電気相互接続体を接地することによって容量性素子を
充電した場合、逆極性の電位は、第2電気相互接続体を負荷に接続し、第1電気相互接続
体を接地することによって印加することができる。一部の実施形態では、CESDが複数
の充電された容量性素子を具え、上記方法が、逆極性の電位を放電期間だけ、これら複数
の充電された容量性素子の両端間に印加するステップをさらに含む。
【0165】
図42は、(例えば、図24~26に示す)積層CESDの容量性素子を充電する一般
化した方法を示す流れ図である。この方法は、処理ブロック4201で、少なくとも1つ
の容量性素子を具えた積層CESDを用意するステップを含み、この容量性素子は、第1
電極グループの第1電極と第2電極グループの第2電極との間の誘電体材料の領域によっ
て規定され、第1グループの電極は第1導体材料に並列に接続され、第2グループの電極
は第2導体材料に並列に接続されている。ある期間だけ、第1導体材料に電圧を印加し、
第2導体材料をVssに接続することによって、容量性素子の両端間に電圧を印加する(ス
テップ4202)。
【0166】
図43は、積層CESDから負荷へエネルギーを供給する一般化した方法を示す流れ図
である。この方法は、処理ブロック4301で、第1電圧レベルに充電された少なくとも
1つの容量性素子を有する積層CESDを含む回路を用意するステップを含み、この容量
性素子は、第1電極と第2電極との間の誘電体材料の領域によって規定され;一部の実施
形態では、誘電体材料が、本明細書中に開示する電子エントロピー誘電体材料を含む。第
1電極は第1導体材料に接続され、第2電極は第2導体材料に接続されている。第1電極
と第2電極との間の容量性素子は、当該容量性素子の両端間に電圧を印加することによっ
て、例えば、第1導体材料に電圧を印加し、第2導体材料をVssに接続することによって
充電される。その代わりに、第2導体材料に電圧を印加することができ、第1導体材料を
Vssに接続することができることは、通常の当業者の理解する所である。逆極性の電位を
放電期間だけ容量性素子の両端間に印加し、これにより、積層CESDから負荷へ電力を
供給する(ステップ4302)。第1導体材料及び第2導体材料の一方を負荷に接続し、
第1導体材料及び第2導体材料の他方をVss、例えば接地に接続することによって、逆極
性の電位を容量性素子の両端間に印加することができる。例えば、第1導体材料に電圧を
印加し、第2導体材料を接地することによって容量性素子を充電した場合、逆極性の電位
は、第2導体材料を負荷に接続し、第1導体材料を接地することによって印加することが
できる。一部の実施形態では、CESDが複数の充電された容量性素子を具え、上記方法
が、逆極性の電位を放電期間だけ、これら複数の充電された容量性素子の両端間に印加す
るステップをさらに含む。
【0167】
上記誘電体材料は、この誘電体材料を最初に非分極状態または出発状態(例えば、製造
後の誘電体材料の状態)に製造した際に「固有静電容量」を有し、この固有静電容量は印
加電圧によって変化させることができる。従って、以上の実施形態のいずれか、あるいは
全部では、上記容量性素子が固有静電容量を有することができ、容量性素子の両端間に電
圧を印加することによって固有静電容量を変化させる。特定実施形態では、印加電圧を除
去した際に、容量性素子の固有静電容量が不変のままである。
【0168】
一部の実施形態では、図44の流れ図に示すように、メモリデバイスを読み出し、メモ
リデバイスに書き込む方法が、CESDを具えたメモリデバイスを用意するステップ(ス
テップ4401)と、第1電極グループの電極のうちの1つの電極と、この電極に隣接す
る、第2電極グループの電極のうちの1つの電極との間に配置された容量性素子の両端間
に電圧を印加することによって、メモリデバイスに書き込むステップとを含み、この容量
性素子は、第1グループの上記1つの電極と、第2グループの上記隣接する1つの電極と
の間に位置する誘電体材料の領域であり、これにより容量性素子を電圧V1に充電する(
ステップ4402)。第1グループの電極を直列に接続する第1電気相互接続体に電圧を
印加し(ステップ4402a)、第2グループの電極を直列に接続する第2電気相互接続
体を接地する(あるいはVssに接続する)ことによって(ステップ4402b)、容量性
素子の両端間に電圧を印加することができる。この方法は、メモリデバイスを読み出すス
テップ(ステップ4403)をさらに含む。このメモリデバイスは、第1電気相互接続体
及び第2電気相互接続体の一方を高インピーダンスのセンサに接続し(ステップ4403
a)、第1電気相互接続体及び第2電気相互接続体の他方を接地/Vssに接続して(ステ
ップ4403b)、容量性素子の電圧V1を高インピーダンスのセンサで読み取る(ステ
ップ4403c)ことによって読み出すことができる。
【0169】
特定の容量性素子への電圧の書込み中に、この容量性素子を規定する領域内の誘電体上
への電界の印加は、誘電体材料の誘電率の変化を誘発する。こうした誘電率の変化は電圧
の関数である。その結果、CESDは、正確な電圧レベルの必要性なしでもメモリ記憶デ
バイスとして機能する。特定の容量性素子の電圧レベルが消失し得る場合(このことは、
非常に長い時間、例えば、>3秒間に生じ得る)でも、誘電体材料の誘電率は、クーロン
電荷の「パルス」の利用によって定めることができる。容量性素子を所定レベルの電圧に
充電した場合、容量性素子のいずれかの側の電極の電荷が失われても、この容量性素子を
規定する領域内の誘電体材料の誘電率は、電界がまだ存在した場合に誘電体が有したであ
ろう電圧(電界)に見合ったレベルに留まる。例えば、容量性素子が1Vに充電された場
合、誘電体材料は、印加された電圧に見合った特徴的な誘電率を有する。容量性素子のい
ずれかの側の電極がその後に接続を遮断され、容量性素子の電圧が部分的に、あるいは完
全に消失した場合、容量性素子の誘電率はほぼ不変のままである。誘電体素子のこうした
ヒステリシス特性は、所定の容量性素子に至る小アンペア数のパルス時の、容量性素子に
おける電圧変化を測定するために有利である。こうしたクーロンパルスは残留電圧の小変
化を誘発し、この小変化は誘電体の誘電率に比例し、この誘電率は、以下に説明するよう
に容量性素子の静電容量に正比例する。
【0170】
電荷Q、静電容量C、及び電位V間の関係は次式の通りである:
Q=C×V 式1
【0171】
静電容量Cは一般に、大部分の条件下では一定の物理的性質と考えられる。上記アレイ
内の特定の容量性素子の静電容量は、この容量性素子に非常に小さい摂動電荷を与えるこ
とによって測定することができる。容量性素子では、電位(または電界)の印加が、当該
容量性素子を規定する誘電体領域の相対誘電率に影響を与え得る。この影響が、大部分は
電圧(誘電体の分極)の関数であるものとすれば、この性質を用いて、電圧を非常に正確
に測定することなしに、容量性素子の状態を測定することができる。上記摂動電荷は、容
量性素子の分極の状態にかかわらず、容量性素子における静電容量変化に影響を与えるの
に十分なほどにするべきでない。この条件を前提として、容量性素子のいずれかの側の電
極上に電荷の変化dQが存在する際に、このことは次式のようになる:
Q+dQ=C×V’ 式2
ここに、V’は容量性素子の両端間の新たな電位である。式1を式2から減算すること
によって、静電容量Cを電荷及び電位の変化の関数として次式のように測定することがで
きる:
Q+dQ-Q=CV’-CV 式3
dQ=C×(V’-V) 式4
【数3】
【0172】
容量性素子の充電状態及び非充電状態について、容量性素子の静電容量Cの値を所定値
と比較し、従って、論理状態は、容量性素子のいずれかの側の電極に現れる電圧ではなく
、静電容量と相関性がある。
【0173】
この関係では、C=K×e0×A/dであり、ここにAは容量性素子を規定する誘電体
材料の領域に接触する電極の一方の面積であり、dは電極間の距離であり、e0は真空の
誘電率(8.8542×10-12F/m
)であり、相対誘電率K以外の全量が定数である。従って、電圧は所定容量性素子の静電
容量の変化に関係する。
【0174】
誘電体の全分極は、少なくとも3つの異なるエネルギー蓄積のメカニズム(充電曲線へ
の曲線適合によって定義される)に依存する。エネルギー蓄積(充電)のための最高速の
メカニズムは、最長期のエネルギー蓄積メカニズムの分極の状態によって影響を与えられ
る。従って、最長期のエネルギーの分極が生じる間には、より高速な分極のメカニズムが
大幅な変化を示す。こうした高速な短期の分極の変化を用いて、その基になるより長期の
分極であり得るものを特定することができる。
【0175】
容量性素子の元の分極レベルは、当該容量性素子の静電容量の測定によって測定される
。容量性素子の静電容量の較正曲線を用いて、元のプログラムされた分極を計算する。こ
の計算を行う方法は、周知のような、ルックアップ・テーブル(早見表)、アナログ電圧
基準レベル、または論理デバイスにおける数学的計算と同じくらい単純にすることができ
る。
【0176】
このようにして、容量性素子へのリフレッシュ電荷間に経過することを許容される時間
長が大幅に延長され、あるいは事実上完全に撤廃される。静電容量を測定するために使用
される電荷の量は、電子スイッチングの所定ノイズレベルのために、実際にはできる限り
小さくするべきであることが有利である。微小な電荷レベルの移動のための方法は、アナ
ログ電子技術に精通した当業者の知る所である。誘電体の元の分極状態の測定は、期間を
延長するための過剰な量の電荷の供給によって大幅に変化し得る;従って、単一回供給さ
れる、あるいは複数回供給される最小量の電荷を一般に用いる。このようにして、メモリ
デバイスの能力をこうした分量だけ増加させて、上記方法の利用を、デジタルデータの非
常に長期の記憶に拡張する。これらのような用途を不揮発性メモリと称し、「永久的な」
メモリ及びデータ記憶装置であるものと考えることができる。
【0177】
CESDを具えたメモリデバイスは、(i)CESD内の容量性素子を電圧V1に充電し
、但し電圧V1は、少なくとも部分的に、時間と共に漏洩することにより放電する;(ii)
その後に、容量性素子の静電容量Cを測定し;(iii)静電容量Cに基づいて、電圧V1を
測定し、そして、容量性素子を電圧V1に再充電することによってリフレッシュすること
ができる。一部の実施形態では、静電容量Cを電圧V1に合わせて補正し、電圧V1が漏
洩により放電する間に静電容量Cはほぼ不変のままである。第1グループの電極を直列に
接続する第1電気相互接続体に電圧を印加し、第2グループの電極を直列に接続する第2
電気相互接続体を接地する(あるいはVssに接続する)ことによって、CESD内の容量
性素子を電圧V1に充電することができる。容量性素子の静電容量Cは、(i)容量性素子
の電圧Vを読み取り;(ii)摂動電荷dQを容量性素子に供給し、摂動電荷dQは、静電容
量Cの変化を誘発せずに電圧Vの変化を誘発するのに十分な大きさを有し;(iii)その後
に、CESDの電圧V’を読み取り;(iv)C=dQ/(V’-V)なる静電容量Cを測定す
ることによって測定することができる。2つの電極を活性化することによって複数の容量
性素子をアドレス指定する際には、アドレス指定されたすべての容量性素子を一緒に読み
取って、それらの値の平均をとる。
【0178】
図45は、本明細書中に開示するCESDを具えたメモリデバイス内の容量性素子の静
電容量を測定し、このメモリデバイスをリフレッシュする好適な方法を示す流れ図である
。ステップ4501では、CESDの容量性素子を最初に電圧V1に充電する。ある期間
が経過した後に、ステップ4502において、容量性素子の静電容量Cを測定する。容量
性素子の静電容量Cを測定することは、容量性素子の電圧Vを読み取ること(ステップ4
502a)、摂動電荷dQを容量性素子に加えること(ステップ4502b)、その後に
容量性素子の電圧V’を読み取ること(ステップ4502c)、及び容量性素子の静電容
量Cを式5により計算することを含むことができる。一部の実施形態では、摂動電荷dQ
が、時間と共に漏洩することによる放電の大きさにおよそ等しい大きさを有する。この放
電の大きさは、容量性素子の電荷容量の0.1~50%、例えば1~50%、1~25%
、1~10%、または1~5%とすることができる。特定実施形態では、摂動電荷dQが
、1×10-15クーロンから1×10-2クーロンまでの範囲内の大きさ、例えば1×10-
15クーロンから1×10-6クーロンまで、1×10-12クーロンから1×10-6クーロン
まで、または1×10-12クーロンから1×10-10クーロンまでの範囲内の大きさを有す
る。ステップ4503では、静電容量Cに基づいて、容量性素子の初期電圧V1を測定す
る。V1を測定することは、静電容量Cを、容量性素子の充電及び放電状態に相当する所
定値と比較することによって行うことができる。ステップ4504では、容量性素子を初
期電圧V1に再充電する。容量性素子を再充電することは、容量性素子を初期電圧V1に
再充電するのに十分な電圧V2を選択して(ステップ4504a)、選択した電圧V2を
容量性素子に書き込む(ステップ4504b)ことによって実行することができる。
【0179】
メモリデバイスは、第1電気相互接続体及び第2電気相互接続体の一方を高インピーダ
ンスのセンサに接続し、第1電気相互接続体及び第2電気相互接続体の他方をVssに接続
し、そして容量性素子の電圧V1を高インピーダンスのセンサで読み取ることによって読
み出すことができる。図46は、本明細書中に開示するCESDを具えたメモリデバイス
を読み出す1つの方法を示す流れ図である。RAM動作に入る際に(ステップ4601)
、メモリデバイスにデータをロードする(ステップ4602)。その後にメモリデバイス
の電源を遮断(パワーダウン)する(ステップ4603)。ステップ4604では、メモ
リデバイスに再供給電して作動状態にする。次に、メモリデバイスは、ブート(立ち上げ
)論理回路のリフレッシュに入る(ステップ4605)。メモリアドレスをメモリ0に設
定し(ステップ4606)、静電容量メモリの読出し/リフレッシュ・ルーチンを開始す
る(ステップ4606)。メモリの読出し/リフレッシュ・ルーチンでは、1つのメモリ
ブロック(即ち、複数の容量性素子)をアドレス指定するように、あるいは個別のメモリ
位置(記憶場所、即ち、活性化された単一電極を包囲する1つ以上の容量性素子)をアド
レス指定するように電気相互接続体を設定して(ステップ4607a)、そのメモリ位置
の電圧Vを読み取る(ステップ4607b)。摂動電荷dQをそのメモリ位置に加えて(
ステップ4607c)、電圧V’を読み取る(ステップ4607d)。容量性素子の静電
容量を式5により計算する(ステップ4606e)。この静電容量をある論理レベルと比
較する(ステップ4607f)。容量性素子の両端間に電圧を印加することによって、誘
電体材料の固有静電容量を変化させる。増分的電圧(例えば、0.25の増分のある電圧
)を用いて、固有静電容量を増分的に変化させることができ、増分的静電容量の各々が容
量性素子の1つの論理レベルに対応する。印加した電圧を取り除いた際に、固有静電容量
は不変のままである。従って、静電容量は元の印加電圧を示す。上記比較は、例えばルッ
クアップ・テーブルを用いて実行することができ、このルックアップ・テーブルは静電容
量を初期電圧に関係付ける。容量性素子の電圧を、上記論理レベルに関連する初期電圧V
に回復させるのに十分な電圧を選択して、容量性素子に書き込む(ステップ4607g)
。次に、上記ルーチンを次のメモリ位置へインクリメントする(アドレスを増加させる)
(ステップ4607h)。ステップ4608では、最終のメモリ位置を満足するか否かの
質問をする。その答えが「いいえ」であれば、メモリの読出し/リフレッシュ・ルーチン
を反復する。その答えが「はい」であれば、ステップ4609でブート論理回路のリフレ
ッシュを出る。一部の実施形態では、容量性素子を増分的電圧で充電して、容量性素子当
たり8つの論理レベル及び2ビットを提供する。
【0180】
特定の代表的実施形態を、以下の番号付けした箇条中に開示する。
1.電極間に空間を有する電極のアレイと;電極のグループ毎の電気相互接続体と;誘
電体材料とを具えた容量性エネルギー蓄積デバイス(CESD)であって、電極のアレイ
は、電極のn個のグループを平面内に具え、ここにnは2以上の整数であり、各電極はこ
の平面に直交する中心軸ACを有し、電気相互接続体は上記グループの電極を直列に接続
し、誘電体材料は電極間の空間を占めて電極に接触し、隣接する電極間に位置する誘電体
材料の領域が容量性素子を規定するCESD。
【0181】
2.箇条1のCESDであって、上記アレイが整列した電極の行を具え、ある行内の各
電極の中心軸は、隣接する行内の電極の中心軸と整列し、各行が電極グループを構成する
CESD。
【0182】
3.箇条1のCESDであって、上記アレイがスタガード様式に並んだ電極の行を具え
、1つの行内の各電極の中心軸は、隣接する行内の電極の中心軸と整列せず、各行が電極
のグループを構成するCESD。
【0183】
4.箇条1のCESDであって、上記アレイがスタガード様式に並んだ電極の行を具え
、1つの行内の各電極の中心軸は隣接する行内の電極の中心軸と整列せず;各行は、当該
行内の電極を1つ以上おきにグループとして直列に接続する行電極相互接続体をさらに具
え;スタガード様式に並んだ電極のうち行電極相互接続体によって接続されていない電極
のグループは、列電極相互接続体によって列の形に接続され、列電極相互接続体は、スタ
ガード様式に並んだ電極の中心軸からオフセットし、行電気相互接続体が列電極相互接続
体と交差する各交点に、垂直方向の空間的隔離が存在するCESD。
【0184】
5.箇条1のCESDであって、上記アレイが電極の行及び列のグリッドパターンを具
え、各行は行グループの電極を具え、これらの電極は複数の列グループの電極と交互し;
各行グループは、当該行グループの各電極を直列に接続する行電気相互接続体をさらに具
え;各列グループは、当該列グループの電極を直接に接続する列電極相互接続体をさらに
具え、行電極相互接続体が列電極相互接続体と交差する各交点に、垂直方向の空間的隔離
が存在するCESD。
【0185】
6.箇条3~5のいずれかのCESDであって、行電極相互接続体と列電極相互接続体
との間に配置された絶縁層であって、行電極相互接続体が当該絶縁層の上方にあり、列電
極相互接続体が当該絶縁層の下方にあるように配置された絶縁層と;行グループの電極毎
に上記絶縁層によって規定されるビアであって、当該電極を行電気相互接続体に接続する
ビアとをさらに具えているCESD。
【0186】
7.箇条6のCESDであって、上記絶縁層が、重合p-キシリレン、またはp-キシ
リレン及びコモノマーから成るコポリマーを含むCESD。
【0187】
8.箇条4または箇条5のCESDであって、上記行電気接続体が、第1グループの各
電極の下面からの高さh1の所で第1グループの電極に接触し;上記列電極相互接続体が
、第2グループの各電極の下面からの高さh2の所で第2グループの電極に接触し、ここ
にh1≠h2であるCESD。
【0188】
9.箇条1~8のいずれかのCESDであって、上記行電極相互接続体の各々及び上記
列電極相互接続体の各々が、長方形、円形、または楕円形の断面形状を有するCESD。
【0189】
10.箇条9のCESDであって、上記行電極相互接続体の各々、及び/または上記列
電極相互接続体の各々が、電気絶縁された金属、炭化ポリマー、導電性カーボン、及び導
電性ポリマーを含むCESD。
【0190】
11.単位セルを具えた容量性エネルギー蓄積デバイス(CESD)であって、この単
位セルが:少なくとも多角形の形状を形成し、当該多角形の各頂点に1つの電極がある複
数の電極と、単位セル内の電極の数に等しい数の電気相互接続体であって、各々が当該単
位セル内の単一の電極に接続され、2つ以上の当該電気相互接続体の各交点に垂直方向の
空間的隔離が存在する電気相互接続体と、電極間の空間を占める誘電体材料であって、隣
接する電極間に位置する誘電体材料の領域が容量性素子を規定する誘電体材料とを具えて
いるCESD。
【0191】
12.箇条11のCESDであって、上記多角形の中心に電極をさらに具えているCE
SD。
【0192】
13.箇条11または箇条12のCESDであって、上記多角形が六角形であるCES
D。
【0193】
14.箇条11~13のいずれかのCESDであって、交差する電気相互接続体間に配
置された絶縁層と;この絶縁層によって規定され、当該絶縁層の上方の電気相互接続体を
、当該電気相互接続体及び当該絶縁層の下方の電極に接続するビアとをさらに具えている
CESD。
【0194】
15.箇条11~14のいずれかのCESDであって、単位セルのアレイをさらに具え
ているCESD。
【0195】
16.箇条15のCESDであって、上記アレイが単位セルの行を具えているCESD
【0196】
17.箇条16のCESDであって、上記多角形が六角形であり;上記単位セルが、こ
の六角形の中心に電極を具え;単位セルがスタガード様式で行の形に並び、これにより、
この六角形の中心が、隣接する各行内の六角形のエッジと整列するCESD。
【0197】
18.箇条15~17のいずれかのCESDであって、2つ以上の単位セルの対応する
位置にあり同一直上に並ぶ電極どうしが、電気相互接続体により直列に接続されているC
ESD。
【0198】
19.箇条1~18のいずれかのCESDであって、平面状の非導電性基板をさらに具
え、上記電極のアレイがこの基板上に配置され、各電極の中心軸がこの基板に概ね垂直に
延び;上記誘電体材料が、この基板上に配置されて電極間の空間を占めるCESD。
【0199】
20.箇条19のCESDであって、上記平面上の非導電性基板が非導電性ポリマーを
含むCESD。
【0200】
21.箇条1~20のいずれかのCESDであって、各容量性素子が固有静電容量を有
し、この固有静電容量を、当該容量性素子に隣接する2つの電極間に印加する電圧によっ
て変化させるCESD。
【0201】
22.箇条1~21のいずれかのCESDであって、各電極が、直円柱の形状、楕円柱
の形状、角柱の形状、球の形状、または半球の形状を有するCESD。
【0202】
23.箇条22のCESDであって、隣接する電極間の中心軸-中心軸の間隔が5nm~
5mmの範囲内であるCESD。
【0203】
24.箇条1~23のいずれかのCESDであって、上記電気相互接続体の各々が、電
気絶縁された金属、炭化ポリマー、導電性カーボン、または導電性ポリマーを含むCES
D。
【0204】
25.箇条24のCESDであって、上記電気絶縁された金属が、自己組織化単分子層
、ポリ(p-キシリレン)、またはその組合せであるCESD。
【0205】
26.箇条1~25のいずれかのCESDであって、(i)各電極がその中心軸に沿った
50nmから1200μmまでの高さを有し;(ii)電極グループ内の各電極がその中心軸に
そったほぼ同じ高さを有し;(iii)上記アレイ内の各電極がその中心軸に沿ったほぼ同じ
高さを有し;または(iv) (i)、(ii)、及び(iii)の任意の組合せであるCESD。
【0206】
27.容量性エネルギー蓄積デバイス(CESD)であって、電極間に空間を有して多
重螺旋配列の形に配置された2つ以上の電極を具え、これら2つ以上の電極は互いに交差
せず;誘電体材料が電極間の空間を占めて電極に接触するCESD。
【0207】
28.箇条27のCESDであって、上記螺旋配列全体を通して、電極が互いから等距
離の間隔をおいているCESD。
【0208】
29.箇条27または箇条28のCESDであって、上記多重螺旋配列が円形、楕円形
、または多角形の形状を有するCESD。
【0209】
30.箇条1~29のいずれかのCESDであって、電極が導電性カーボン、導電性有
機材料、導電性の金属、または半導体を含むCESD。
【0210】
31.箇条1~30のいずれかのCESDであって、各電極が陽極酸化され、またはポ
リ(p-キシリレン)でコーティングされているCESD。
【0211】
32.箇条1~31のいずれかのCESDであって、上部封止層をさらに具えているC
ESD。
【0212】
33.箇条32のCESDであって、上記上部封止層がポリ(p-キシリレン)を含むC
ESD。
【0213】
34.箇条1~33のいずれかのCESDであって、上記誘電体材料が、3.9よりも
大きい相対誘電率を有する電子エントロピー誘電体材料であるCESD。
【0214】
35.箇条35のCESDであって、上記電子エントロピー誘電体材料が複数のポリマ
ー分子を含むCESD。
【0215】
36.箇条35のCESDであって、上記ポリマー分子が、タンパク質、ポリ(p-キ
シリレン) ポリ(マレイン酸)、アクリル酸ポリマー、メタクリル酸ポリマー、ポリエチレ
ン・グリコール、ウレタン・ポリマー、エポキシ・ポリマー、シリコーン・ポリマー、テ
ルペノイド・ポリマー、自然発生樹脂ポリマー、ポリイソシアネート、またはその組合せ
を含むCESD。
【0216】
37.箇条35のCESDであって、上記ポリマー分子が、ポリ(p-キシリレン)、ゼ
イン、ポリ(マレイン酸)、セラック、シリコーン油、またはその組合せであるCESD。
【0217】
38.箇条34~37のいずれかのCESDであって、上記電子エントロピー誘電体材
料が無機塩をさらに含むCESD。
【0218】
39.箇条38のCESDであって、上記無機塩が、IIA族の金属イオン、IIIA
族の金属イオン、またはその組合せを含むCESD。
【0219】
40.箇条38のCESDであって、このCESDが、メモリデバイス、大容量エネル
ギー蓄積デバイス、またはメモリとエネルギー蓄積デバイスの組合せの構成要素であるC
ESD。
【0220】
41.箇条1~26または30~40のいずれかによる容量性エネルギー蓄積デバイス
(CESD)を作製する方法であって、電極間に空間を有し、少なくとも部分的に誘電体
材料内に埋め込まれるか誘電体材料に接触する電極のアレイを形成するステップであって
、この電極のアレイは、単一の平面内に配列された電極のn個のグループを含み、ここに
nは2以上の整数であり、各電極は、この平面に直交する中心軸を有するステップと;各
グループの電極を電気相互接続体により直列に接続し、これによりCESDを形成するス
テップとを含む方法。
【0221】
42.箇条41の方法であって、少なくとも部分的に誘電体材料内に埋め込まれるか誘
電体材料に接触する電極のアレイを形成するステップが:電極のアレイを形成するステッ
プと;電極間の空間内に誘電体材料を配置するステップとをさらに含む方法。
【0222】
43.箇条41または箇条42の方法であって、電極のアレイを形成するステップが、
ナノリソグラフィー、マイクロリソグラフィー、シャドーマスク重合、またはスクリーニ
ング・プロセスによって電極を基板上に形成するステップを含む方法。
【0223】
44.箇条41の方法であって、少なくとも部分的に誘電体材料内に埋め込まれるか誘
電体材料に接触する電極のアレイを形成するステップが:誘電体材料層を基板上に形成す
るステップと;電極を少なくとも部分的に誘電体材料内に埋め込むか、あるいは電極を誘
電体材料に接触するように配置して、電極のアレイを形成するステップとを含む方法。
【0224】
45.箇条43または箇条44の方法であって、上記基板が非導電性基板である方法。
【0225】
46.箇条43~45のいずれかの方法であって、上記基板が除去可能な担体層であり
、この方法が、少なくとも部分的に誘電体材料内に埋め込まれるか誘電体材料に接触する
電極のアレイを形成した後に、上記基板を除去するステップをさらに含む方法。
【0226】
47.箇条41~46のいずれかの方法であって、各グループ内の電極を直列に接続す
るステップが:第1グループの電極を第1電気相互接続体により直列に接続するステップ
と;第2グループの電極を第2電気相互接続体により直列に接続するステップであって、
第2電気相互接続体が第1電気相互接続体と交差する各交点に垂直方向の空間的隔離が存
在するステップとを含む方法。
【0227】
48.箇条47の方法であって:上記電極のアレイ上及び上記第1電気相互接続体上に
絶縁層を配置して、上記第1電気相互接続体が絶縁層の下方にあるようにするステップと
;上記第2電気相互接続体を絶縁層上に配置して、上記第2電気相互接続体が、絶縁層の
上方かつ上記第2グループの電極の上方に配置されるようにするステップと;上記第2グ
ループ内の電極のうちの1つの電極に対応する位置の各々に絶縁層を通るビアを形成し、
これにより、第2の行電気相互接続体を第2グループ内の電極に直列に電気接続するステ
ップとをさらに含む方法。
【0228】
49.箇条41~48のいずれかの方法であって、上部封止層を上記CESD上に堆積
させるステップをさらに含む方法。
【0229】
50.箇条1~26または30~40のいずれかによる容量性エネルギー蓄積デバイス
(CESD)を使用する方法であって:箇条1~26または30~40のいずれかによる
CESDを用意するステップと;第1グループの電極のうちの1つの電極と、この電極に
隣接する、第2グループの電極のうちの1つの電極との間に配置された容量性素子の両端
間に電圧を印加するステップであって、この容量性素子は、第1グループの上記1つの電
極と第2グループの上記隣接する1つの電極との間に位置する誘電体材料の領域であり、
これにより容量性素子を電圧V1に充電するステップとを含む方法。
【0230】
51.箇条50の方法であって、容量性素子の両端間に電圧を印加するステップが:上
記第1グループの電極を直列に接続する第1電気相互接続体に電圧を印加するステップと
;上記第2グループの電極を直列に接続する第2電気相互接続体をVssに接続するステッ
プとを含む方法。
【0231】
52.箇条50または箇条51の方法であって、上記CESDが、整列した電極の行ま
たはスタガード様式に並んだ電極の行のアレイを具え、各行は電極のグループを構成し、
上記デバイスが複数の容量性素子を具え、各容量性素子は、隣接する電極行内の2つの電
極間に位置する誘電体材料の領域によって規定され、上記電圧を印加することによって、
隣接する電極行間の複数の容量性素子を充電する方法。
【0232】
53.箇条50または箇条51の方法であって、上記CESDが電極の行及び列から成
るアレイを具え、各行は、他の1つ以上のグループの電極と交互する第1グループの電極
を具え;第1電気相互接続体が1つの行内の第1グループの電極を直列に接続し;第1電
気相互接続体によって接続されない第2グループの電極は、第2電気相互接続体によって
列の形に直列に接続され、電圧を印加することによって、第1グループまたは第2グルー
プの1つの電極に隣接する2つ以上の容量性素子が充電される方法。
【0233】
54.箇条50~53のいずれかの方法であって、上記CESD、及び当該CESDに
接続された負荷を含む回路を用意し、上記容量性素子は電圧V1に充電され;逆極性の電
位を放電期間だけ上記容量性素子の両端間に印加し、この逆極性の電位は電圧V1未満で
あり、かつ容量性素子が高インピーダンス状態で発生する電圧未満であり、これにより、
電力を上記容量性素子から負荷へ供給することによって、上記CESDから負荷へエネル
ギーを供給するステップをさらに含む方法。
【0234】
55.箇条54の方法であって、逆極性の電位を上記容量性素子の両端間に印加するこ
とが:上記第1電気相互接続体及び上記第2相互接続体の一方を上記負荷に接続し;上記
第1電気相互接続体及び上記第2相互接続体の他方をVssに接続することを含む方法。
【0235】
56.箇条50~53のいずれかの方法であって、上記CESDがメモリデバイスであ
り、上記容量性素子が、当該容量性素子の両端間に印加された電圧によって決まる論理状
態を有する方法。
【0236】
57.箇条50~56のいずれかの方法であって、上記容量性素子が固有静電容量を有
し、上記容量性素子の両端間に電圧を印加することによって、この固有静電容量を変化さ
せる方法。
【0237】
58.箇条57の方法であって、印加した電圧を取り除いた際に、上記容量性素子の上
記固有静電容量が不変のままである方法。
【0238】
59.メモリデバイスを使用する方法であって:箇条1~26または30~40による
容量性エネルギー蓄積デバイス(CESD)を具えたメモリデバイスを用意するステップ
と;第1グループの電極のうちの1つの電極と、この電極に隣接する、第2グループの電
極のうちの1つの電極との間に配置された容量性素子の両端間に電圧を印加することによ
ってメモリデバイスに書き込むステップであって、この容量性素子は、第1グループの上
記1つの電極と第2グループの上記隣接する1つの電極との間に位置する誘電体材料の領
域であり、これにより上記容量性素子を電圧V1に充電するステップとを含む方法。
【0239】
60.箇条59の方法であって、上記容量性素子の両端間に電圧を印加するステップが
、上記第1グループの電極を直列に接続する第1電気相互接続体に電活を印加するステッ
プと;上記第2グループの電極を直列に接続する第2電気相互接続体をVssに接続するス
テップとを含む方法。
【0240】
61.箇条59または箇条60の方法であって、上記第1電気相互接続体及び上記第2
電気相互接続体の一方を高インピーダンスのセンサに接続し;上記第1電気相互接続体及
び上記第2電気相互接続体の他方をVssに接続し;上記容量性素子の電圧V1を高インピ
ーダンスのセンサで読み取ることによって、上記メモリデバイスを読み出すステップをさ
らに含む方法。
【0241】
62.メモリデバイスをリフレッシュする方法であって:箇条1~26または30~4
0のいずれかによる容量性エネルギー蓄積デバイス(CESD)を用意するステップと;
このCESD内の容量性素子を電圧V1に充電するステップであって、電圧V1は漏洩に
より時間と共に少なくとも部分的に放電するステップと;その後に、容量性素子の静電容
量Cを測定するステップと;静電容量Cに基づいて電圧V1を測定するステップと;容量
性素子を電圧V1に再充電するステップとを含む方法。
【0242】
63.箇条62の方法であって、静電容量Cは電圧V1と相関性があり、電圧V1が漏
洩により放電する間に、静電容量Cはほぼ不変のままである方法。
【0243】
64.箇条62または箇条63の方法であって、上記CESD内の容量性素子を電圧V
1に充電するステップが:上記第1グループの電極を直列に接続する第1電気相互接続体
に電圧を印加するステップと;上記第2グループの電極を直列に接続する第2電気相互接
続体をVssに接続するステップとを含む方法。
【0244】
65.箇条62~64のいずれかの方法であって、容量性素子の静電容量Cを測定する
ステップが:容量性素子の電圧Vを読み取るステップと;摂動電荷dQを容量性素子に供
給するステップであって、摂動電荷dQは、静電容量Cの変化を誘発することなしに電圧
Vの変化を誘発するのに十分な大きさを有するステップと;その後に、上記CESDの電
圧V’を読み取るステップと;静電容量Cを測定するステップであって、ここにC=dQ
(V’-V)であるステップとを含む方法。
【0245】
66.箇条62~65のいずれかの方法であって、漏洩の前に初期電圧V1を測定する
ことが、上記容量性素子の静電容量Cを、充電状態及び非充電状態における当該容量性素
子の所定静電容量値と比較し、これにより静電容量Cを電圧V1に関係付けることを含む
方法。
【0246】
67.箇条62~66のいずれかの方法であって、上記CESDを電圧V1に再充電す
ることが:上記容量性素子を電圧V1に再充電するのに十分な電圧V2を選択するステッ
プと;選択した電圧V2を上記容量性素子に書き込み、これにより当該容量性素子を電圧
V1に再充電するステップとを含む方法。
【0247】
68.容量性エネルギー蓄積デバイス(CESD)から負荷へエネルギーを供給する方
法であって:箇条1~26または30~40のいずれかによるCESD、及びこのCES
Dに接続された負荷を含む回路を用意するステップであって、このCESDは、第1電圧
レベルに充電された少なくとも1つの充電済みの容量性素子を具え、この充電済みの容量
性素子は、第1グループの電極のうちの1つの電極と、この電極に隣接する、第2グルー
プの電極のうちの1つの電極との間に配置されているステップと;逆極性の電位を放電期
間だけこの充電済みの容量性素子の両端間に印加するステップであって、この逆極性の電
位は、第1電圧未満であり、かつ上記充電済みの容量性素子が高インピーダンス状態で発
生する電圧未満であり、これにより電力を容量性素子から負荷へ供給するステップとを含
む方法。
【0248】
69.箇条68の方法であって、逆極性の電位を上記容量性素子の両端間に印加するス
テップが、第1グループの電極を直列に接続する第1電気相互接続体を上記負荷に接続す
るステップと;第2グループの電極を直列に接続する第2電気相互接続体をVssに接続す
るステップとを含む方法。
【0249】
70.箇条68または69の方法であって、上記CESDが複数の充電済みの容量性素
子を具え、この方法が、逆極性の電位を、上記放電期間だけ、これら複数の充電済みの容
量性素子の両端間に印加するステップを含む方法。
【0250】
71.積層容量性エネルギー蓄積デバイス(CESD)であって、第1電極と;第1電
極と平行で第1電極から間隔をおいた第2電極であって、これにより第1電極と第2電極
との間に空間を形成する第2電極と;誘電体材料層と導体材料層とが交互する積層配列で
あって、第1及び第2電極に平行に配置されて、第1電極と第2電極との空間を占める積
層配列とを具え、この積層配列は、誘電体材料のx個の層、及び導体材料のy個の層を含
み、ここにy=x-1であり、(i)xは2以上の整数であり、(ii)第1の誘電体材料層は
第1電極に直接接触し、(iii)x番目の誘電体材料層は第2電極に直接接触し、導体材料
層は、隣接する各誘電体材料層の対の間に配置されている積層CESD。
【0251】
72.箇条71の積層CESDであって、上記誘電体材料が0.5cP以上の粘度を有す
る流体である積層CESD。
【0252】
73.箇条71または箇条72の積層CESDであって、上記誘電体材料が、3.9よ
りも大きい誘電率を有する電子エントロピー誘電体材料である積層CESD。
【0253】
74.箇条73の積層CESDであって、上記電子エントロピー誘電体材料が複数のポ
リマー分子を含む積層CESD。
【0254】
75.箇条74の積層CESDであって、上記ポリマー分子が、タンパク質、ポリ(p
-キシリレン)ポリ(マレイン酸)、アクリル酸ポリマー、メタクリル酸ポリマー、ポリエ
チレン・グリコール、ウレタン・ポリマー、エポキシ・ポリマー、シリコーン・ポリマー
、テルペノイド・ポリマー、自然発生樹脂ポリマー、ポリイソシアネート、またはその組
合せを含む積層CESD。
【0255】
76.箇条75の積層CESDであって、上記ポリマー分子が、ポリ(p-キシリレン)
、ゼイン、ポリ(マレイン酸)、セラック、シリコーン油、またはその組合せを含む積層C
ESD。
【0256】
77.箇条71~76のいずれかの積層CESDであって、上記導体材料が、炭素質材
料、金属、導電性ポリマー、またはその組合せを含む積層CESD。
【0257】
78.箇条77の積層CESDであって、上記導体材料が、炭素粉末、グラフェン、グ
ラファイト、アルミニウム、ポリアニリン、またはポリ(N-メチルピロール) を含む積
層CESD。
【0258】
79.箇条71~78のいずれかの積層CESDであって、上記誘電体材料の各層が、
0.00001μmから100μまでの範囲内の厚さを有する積層CESD。
【0259】
80.箇条79の積層CESDであって、上記誘電体材料の各層の厚さが同じである積
層CESD。
【0260】
81.箇条71~80のいずれかの積層CESDであって、上記導体材料の各層が0.
00005μmから10000μmまでの範囲内の厚さを有する積層CESD。
【0261】
82.箇条81の積層CESDであって、上記導体材料の各層の厚さが同じである積層
CESD。
【0262】
83.箇条71~82のいずれかの積層CESDであって、上記積層配列の1つ以上の
側端に接触して上記第1電極から上記第2電極まで延びる非導電性の封止材料をさらに具
えている積層CESD。
【0263】
84.箇条83の積層CESDであって、上記非導電性の封止層が、重合p-キシリレ
ン、p-キシリレン及びコモノマーから成るコポリマー、またはポリエチレン・テレフタ
レートを含む積層CESD。
【0264】
85.箇条71~84のいずれかの積層CESDであって、上記xが2から10までの
整数であり、この積層CESDが10μmから2000μmまでの高さを有し、この高さは
、上記第1電極の外向きの表面から上記第2電極の外向きの表面までを測った高さである
積層CESD。
【0265】
86.箇条71~84のいずれかの積層CESDであって:上記第1電極が、円筒形の
形状、内向きの表面、外向きの表面、及び外径を有し;上記第2電極が、円筒形の形状、
内向きの表面、外向きの表面、及び内径を有し、この内径は上記第1電極の外径よりも大
きく;上記積層配列は、上記第1電極の外向きの表面と上記第2電極の内向きの表面との
間に、上記誘電体材料層と上記導体材料層とが同心で交互する形で配置されている積層C
ESD。
【0266】
87.箇条86の積層CESDであって、上記第2電極の外向きの表面に接触する外側
の非導電性コーティングをさらに具えている積層CESD。
【0267】
88.積層容量性エネルギー蓄積デバイス(CESD)を作製する方法であって:(a)
第1電極を用意するステップと;(b)誘電体材料層と導体材料層とが交互する積層配列を
作製するステップであって、(i)誘電体材料層を第1電極の表面に付加し、(ii)導体材料
層を誘電体材料層上に付加し、(iii)後続する誘電体材料層を導体材料層上に付加するこ
とによって積層配列を作製するステップと;(c)積層配列の最も外側の層に接触する第2
電極を付加するステップとを含む方法。
【0268】
89.箇条88の方法であって、上記ステップ(ii)と(iii)を連続的に反復して、上記
誘電体材料層と上記導体材料層とが追加的に交互する複数の層を提供するステップをさら
に含み、これらの追加的に交互する層は上記誘電体材料層で終端して、上記積層配列が、
誘電体材料のx個の層を導体材料のy個の層と共に含み、ここにxは2以上の整数であり
、y=x-1である方法。
【0269】
90.箇条88または箇条89の方法であって、上記積層配列の1つ以上の側端に接触
して上記第1電極から上記第2電極まで延びる非導電性の封止材料を付加するステップを
さらに含む方法。
【0270】
91.容量性エネルギー蓄積デバイス(CESD)であって:第1電極と;第2電極と
;誘電体材料とを具え、第2電極は第1電極の周りに螺旋形状に巻回され、第1電極と第
2電極との間に空間が存在し、誘電体材料は、第1電極と第2電極との間の空間を占め、
第1電極及び第2電極に接触し、これらの電極間に位置する誘電体材料の領域が容量性素
子を規定するCESD。
【0271】
92.箇条90のCESDであって、第1及び第2電極を包囲する管状の形状を有する
第3電極をさらに具え、管状の第3電極と第2電極との間に空間が存在し、この空間に上
記誘電体材料が充填されているCESD。
【0272】
93.積層容量性エネルギー蓄積デバイス(CESD)であって:電極間に空間を有す
る電極のアレイと;電極間の空間を占めて電極に接触する誘電体材料とを具え、この電極
のアレイは、間隔をおいた平行な電極のn個のグループを具え、これらn個のグループは
、n個の平行に積層した、平行な電極の層を形成し、ここにnは2以上の整数であり、各
電極は、これらの層に平行な中心軸を有し;隣接する電極間に位置する誘電体材料の領域
が容量性素子を規定する積層CESD。
【0273】
92.箇条91の積層CESDであって、各々の上記層内の上記平行な電極が、隣接す
る各層内の上記平行な電極に対して0~90°回転している積層CESD。
【0274】
93.箇条92の積層CESDであって、各々の上記層内の上記平行な電極が、隣接す
る各層内の上記平行な電極に対して90°回転している積層CESD。
【0275】
94.箇条91~93のいずれかの積層CESDであって、この積層CESDが、4つ
の側端を規定する四角形の形状を有し、各電極が、このCESDの1つの側端から突出す
る端部を有し、この積層CESDは、当該積層CESDの2つ以上の側端に付加された導
体材料をさらに具え、この導体材料は、当該導体材料が付加された側端から突出する電極
の端部に接触する積層CESD。
【0276】
95.箇条91~94のいずれかの積層CESDであって、上記電極が、波状の曲線を
有するワイヤ、または当該ワイヤの全長に沿った周期的な突起を含むワイヤを具えている
積層CESD。
【0277】
96.箇条95の積層CESDであって、1つの層内で隣接する上記電極が、当該隣接
する電極の上記波状の曲線または周期的な突起が互いに同相であるように配向され、ある
いは、1つの層内で隣接する上記電極が、当該隣接する電極の上記波状の曲線または周期
的な突起が互いに180°位相がずれるように配向されている積層CESD。
【0278】
97.箇条91~96のいずれかの積層CESDであって、上記容量性素子の各々が固
有静電容量を有し、この固有静電容量は、当該容量性素子に隣接する2つの電極間に印加
される電圧によって変化する積層CESD。
【0279】
98.箇条91~97のいずれかの積層CESDであって、上記電極の各々が、直円柱
の形状、楕円柱の形状、球の形状、または半球の形状を有する積層CESD。
【0280】
99.箇条98の積層CESDであって、隣接する上記電極間の中心軸-中心軸の間隔
が5nm~5mmの範囲内である積層CESD。
【0281】
100.箇条91~99のいずれかの積層CESDであって、上記電極が導電性カーボ
ン、導電性有機材料、導電性の金属、または半導体を含む積層CESD。
【0282】
101.箇条91~100のいずれかの積層CESDであって、上記電極の各々が陽極
酸化され、またはポリ(p-キシリレン)でコーティングされている積層CESD。
【0283】
102.箇条91~101のいずれかの積層CESDであって、上記誘電体材料が、3
.9よりも大きい相対誘電率を有する電子エントロピー誘電体材料である積層CESD。
【0284】
103.箇条102の積層CESDであって、上記電子エントロピー誘電体が複数のポ
リマー分子を含む積層CESD。
【0285】
104.箇条103の積層CESDであって、上記ポリマー分子が、タンパク質、ポリ
(p-キシリレン)ポリ(マレイン酸)、アクリル酸ポリマー、メタクリル酸ポリマー、ポリ
エチレン・グリコール、ウレタン・ポリマー、エポキシ・ポリマー、シリコーン・ポリマ
ー、テルペノイド・ポリマー、自然発生樹脂ポリマー、ポリイソシアネート、またはその
組合せを含む積層CESD。
【0286】
105.箇条103の積層CESDであって、上記ポリマー分子が、ポリ(p-キシリ
レン)、ゼイン、ポリ(マレイン酸)、セラック、シリコーン油、またはその組合せである
積層CESD。
【0287】
106.箇条102~105のいずれかの積層CESDであって、上記電子エントロピ
ー誘電体材料が無機塩をさらに含む積層CESD。
【0288】
107.箇条106の積層CESDであって、上記無機塩が、IIA族の金属イオン、
IIIA族の金属イオン、またはその組合せを含む積層CESD。
【0289】
108.箇条91~107のいずれかによる積層容量性エネルギー蓄積デバイス(CE
SD)を作製する方法であって:電極間に空間を有し、少なくとも部分的に誘電体材料内
に埋め込まれるか誘電体材料に接触する電極のアレイを形成するステップであって、この
電極のアレイは、平行な電極のn個のグループを具え、これらn個のグループは、n個の
平行に積層した平面内に配列され、ここにnは2以上の整数であり、各電極は、平行に積
層した平面に平行な中心軸を有する積層CESD。
【0290】
109.箇条108の方法であって、上記誘電体材料内に埋め込まれた上記電極のアレ
イを形成するステップが:上記電極のアレイを形成するステップと;上記電極間の空間内
に上記誘電体材料を配置するステップとを含む方法。
【0291】
110.箇条108の方法であって、上記誘電体材料内に埋め込まれた上記電極のアレ
イを形成するステップが:(a)第1の誘電体材料層を基板上に形成するステップと;(b)第
1グループの電極を少なくとも部分的に誘電体材料内に埋め込むステップと;(c)後続す
る誘電体材料層を第1の誘電体材料層上に形成するステップと;(d)後続するグループの
電極を少なくとも部分的に、上記後続する誘電体材料層内に埋め込むステップと;(e)平
行に積層したn個の層が形成されるまで、ステップ(c)及び(d)を反復するステップとを含
む方法。
【0292】
111.箇条108の方法であって、上記誘電体材料内に埋め込まれた上記電極のアレ
イを形成するステップが:(a)第1の誘電体材料層を基板上に形成するステップと;(b)複
数の平行な溝を、上記第1の誘電体材料層の上面内に形成するステップと;(c)第1の誘
電体材料層内の平行な各溝内に電極を配置または形成して、第1グループの電極を形成す
るステップと;(d)後続する誘電体材料層を第1の誘電体材料層上に形成するステップと
;(e)複数の平行な溝を、上記後続する誘電体材料層の上面内に形成するステップと;(f)
この後続する誘電体材料層内の平行な各溝内に電極を配置または形成して、後続グループ
の電極を形成するステップと;(g)平行に積層したn個の層が形成されるまで、ステップ(
d)~(f)を反復するステップと;(h)誘電体材料の上部層を、n番目の上記平行な平面内に
形成するステップとを含む方法。
【0293】
112.箇条107~111のいずれかの方法であって、上記CESDが、4つの側端
を規定する四角形の形状を有し、この方法が、少なくとも2つの隣接する側端に導体材料
を付加するステップをさらに含む方法。
【0294】
113.箇条91~107のいずれかによる積層容量性エネルギー蓄積デバイス(CE
SD)を使用する方法であって、箇条91~107のいずれかによる積層CESDを用意
するステップと;隣接する2つの電極間に配置された容量性素子の両端間に電圧を印加す
るステップであって、この容量性素子は、隣接する電極間に位置する上記誘電体材料の領
域であり、これにより容量性素子を電圧V1に充電するステップとを含む方法。
【0295】
114.上記積層CESDを用意するステップが、箇条94による積層CESDを用意
するステップを含み、この積層CESDは、当該積層CESDの第1側端に付加された第
1導体材料、及び当該積層CESDの隣接する側端に付加された第2導体材料を有し、上
記隣接する2つの電極は当該積層CESDの隣接する層内にあり、この方法は:上記第1
導体材料に電圧を印加するステップと;上記第2導体材料をVssに接続するステップとを
さらに含む方法。
【0296】
115.箇条113の方法であって、上記積層CESDを用意するステップが、箇条9
4による積層CESDを用意するステップを含み、この積層CESDは、当該積層CES
Dの第1側端に付加された第1導体材料、及び当該積層CESDの反対側に付加された第
2導体材料を有し、上記隣接する2つの電極は当該積層CESDの単一の層内にあり、こ
の方法は:上記第1導体材料に電圧を印加するステップと;上記第2導体材料をVssに接
続するステップとをさらに含む方法。
【0297】
116.箇条113~116のいずれかの方法であって、上記積層CESDから負荷へ
エネルギーを供給するステップをさらに含み、この供給は:上記積層CESD、及び当該
積層CESDに接続された負荷を含む回路を用意し、上記容量性素子が電圧V1に充電さ
れており;逆極性の電位を放電期間だけ上記容量性素子の両端間に印加し、この逆極性の
電位は電圧V1未満であり、かつ上記容量性素子が高インピーダンス状態で発生する電圧
未満であり、これにより上記容量性素子から負荷へ電力を供給することによって行う方法
【0298】
117.箇条116の方法であって、上記逆極性の電位を上記容量性素子の両端間に印
加するステップが:上記第1導体材料及び上記第2導体材料の一方を上記負荷に接続し;
上記第1導体材料及び上記第2導体材料の他方をVssに接続するステップを含む方法。
【0299】
開示する発明の原理を適用することができる多数の可能な実施形態を考慮すれば、説明
した実施形態は本発明の好適例に過ぎないこと、及び本発明の範囲を限定するものとして
解釈するべきでないことを認識するべきである。むしろ、本発明の範囲は以下の請求項に
よって規定される。従って、これらの請求項の範囲及び精神に入るすべてのものを本発明
として特許請求する。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図23
図24A
図24B
図24C
図25
図26A
図26B
図26C
図26D
図27A
図27B
図28A
図28B
図29A
図29B
図30A
図30B
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46