IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コネクテッドロボティクス株式会社の特許一覧

特許7364281カバー部材、ハンドユニット、カバー部材の取付方法
<>
  • 特許-カバー部材、ハンドユニット、カバー部材の取付方法 図1
  • 特許-カバー部材、ハンドユニット、カバー部材の取付方法 図2
  • 特許-カバー部材、ハンドユニット、カバー部材の取付方法 図3
  • 特許-カバー部材、ハンドユニット、カバー部材の取付方法 図4
  • 特許-カバー部材、ハンドユニット、カバー部材の取付方法 図5
  • 特許-カバー部材、ハンドユニット、カバー部材の取付方法 図6
  • 特許-カバー部材、ハンドユニット、カバー部材の取付方法 図7
  • 特許-カバー部材、ハンドユニット、カバー部材の取付方法 図8
  • 特許-カバー部材、ハンドユニット、カバー部材の取付方法 図9
  • 特許-カバー部材、ハンドユニット、カバー部材の取付方法 図10
  • 特許-カバー部材、ハンドユニット、カバー部材の取付方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】カバー部材、ハンドユニット、カバー部材の取付方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
B25J19/00 H
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022157190
(22)【出願日】2022-09-29
【審査請求日】2023-03-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)令和4年3月28日に、ベルサール飯田橋ファーストにて公開(2)令和4年2月24日に、マックスバリュ東海 長泉流通センターにて公開(3)令和4年1月19日に、https://connected-robotics.com/2022/01/19/hcj2022/にて公開(4)令和4年1月19日に、https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000039.000031342.htmlにて公開(5)令和4年2月15日に、国際ホテル・レストラン・ショー2022にて公開(6)令和4年2月15日に、テレビ東京 ワールドビジネスサテライトにて公開(7)令和4年2月28日に、https://robotstart.info/2022/02/28/moriyama_mikata-no146.htmlにて公開(8)令和4年3月15日に、ポテカル(POTATO CULTURE),2022年4月号(No.140)にて公開(9)令和4年3月22日に、https://www.youtube.com/watch?v=n2qFYK0DN4Mにて公開(10)令和4年6月7日に、FOOMA JAPAN 2022(国際食品工業展)にて公開(11)令和4年4月25日に、https://www.nb-shinbun.co.jp/challenge/64/にて公開(12)令和4年5月11日に、日本放送協会 おはBizにて公開(13)令和4年5月25日に、日本物流新聞 令和4年5月25日付刊行にて公開(14)令和4年6月8日に、日刊工業新聞 令和4年6月8日付刊行にて公開(15)令和4年6月9日に、https://www.businessinsider.jp/post-255224にて公開(16)令和4年6月11日に、株式会社TBSテレビ 情報7DAYSにて公開(17)令和4年7月4日に、https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00138/070101076/にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (18)令和4年7月8日に、https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/rob/18/00004/00073/にて公開(19)令和4年7月10日に、日経Robotics2022年8月号(第85号),第14~20頁,株式会社日経ビーピーにて公開(20)令和4年9月28日に、惣菜・デリカJAPAN(SDJ)-惣菜製造自動化・設備機器展にて公開(21)令和4年8月29日に、https://connected-robotics.com/2022/08/29/sdi/にて公開(22)令和4年8月29日に、https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000050.000031342.htmlにて公開(23)令和4年9月27日に、日刊工業新聞 令和4年9月27日付刊行にて公開(24)令和4年9月7日に、https://www.youtube.com/watch?v=3OHHEAIvr7Iにて公開(25)令和4年6月1日に、https://www.youtube.com/watch?v=c-EPw_mWAbcにて公開(26)令和4年6月10日に、https://www.youtube.com/watch?v=pAC_wIf0VVMにて公開(27)令和4年6月15日に、https://www.youtube.com/watch?v=lVgexqZqO8wにて公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518106124
【氏名又は名称】コネクテッドロボティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127384
【弁理士】
【氏名又は名称】坊野 康博
(74)【代理人】
【識別番号】100152054
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 孝雅
(72)【発明者】
【氏名】トーマス キルス
(72)【発明者】
【氏名】塚本 光一
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第1985/001496(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0055595(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0094423(US,A1)
【文献】特開2015-003374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持対象物を把持する把持部材を先端側から覆う袋状のカバー本体部と、
前記カバー本体部における開口部周囲に設置された係合部と、
前記係合部に形成され、前記把持部材側の突出部に係止される係止部と、
を備え、
前記係合部における前記係止部は、前記把持部材の前記先端とは反対側に形成された前記突出部に係止され、
前記把持部材に保持されることを特徴とするカバー部材。
【請求項2】
前記係合部は、前記カバー本体部における開口部周囲において、複数箇所に設置され、
複数の前記係合部における前記係止部は、前記把持部材における同一の前記突出部に係止されることを特徴とする請求項1に記載のカバー部材。
【請求項3】
把持対象物を把持する把持部材と、
前記把持部材を覆うカバー部材と、
を備え、
前記カバー部材は、
前記把持部材を先端側から覆う袋状のカバー本体部と、
前記カバー本体部における開口部周囲に設置された係合部と、
前記係合部に形成され、前記把持部材側の突出部に係止される係止部と、
を備え、
前記係合部における前記係止部は、前記把持部材の前記先端とは反対側に形成された前記突出部に係止され、
前記カバー部材は、前記把持部材に保持されることを特徴とするハンドユニット。
【請求項4】
前記把持部材の前記突出部に取り付けられ、磁力によって前記把持部材に吸着するストッパを備えることを特徴とする請求項3に記載のハンドユニット。
【請求項5】
当該ハンドユニットが設置されるロボットアームに対して着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載のハンドユニット。
【請求項6】
把持対象物を把持する把持部材と、
前記把持部材を覆うカバー部材と、
を備え、
前記カバー部材は、
前記把持部材を先端側から覆う袋状のカバー本体部と、
前記カバー本体部における開口部周囲に設置された帯状部と、
を備え、
前記把持部材は、前記把持部材の前記先端とは反対側における所定位置に前記帯状部を押さえ込む取付部材を備え、
前記カバー部材は、前記把持部材に保持されることを特徴とするハンドユニット。
【請求項7】
当該ハンドユニットが設置されるロボットアームに対して着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項に記載のハンドユニット。
【請求項8】
把持対象物を把持する把持部材に、前記把持部材を覆うカバー部材を取り付けるためのカバー部材の取付方法であって、
前記カバー部材は、
前記把持部材を先端側から覆う袋状のカバー本体部と、
前記カバー本体部における開口部周囲に設置された係合部と、
前記係合部に形成され、前記把持部材側の突出部に係止される係止部と、
を備え、
前記係合部における前記係止部を、前記把持部材の前記先端とは反対側に形成された前記突出部に係止すると共に、前記突出部にストッパを設置することにより、前記突出部から前記係合部が脱落することを妨げ、前記カバー部材は、前記把持部材に保持されることを特徴とするカバー部材の取付方法。
【請求項9】
把持対象物を把持する把持部材に、前記把持部材を覆うカバー部材を取り付けるためのカバー部材の取付方法であって、
前記カバー部材は、
前記把持部材を先端側から覆う袋状のカバー本体部と、
前記カバー本体部における開口部周囲に設置された帯状部と、
を備え、
前記把持部材の前記先端とは反対側における所定位置に取付部材によって前記帯状部を押さえ込むことにより、前記カバー部材が前記把持部材から脱落することを妨げ、前記カバー部材は、前記把持部材に保持されることを特徴とするカバー部材の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバー部材、ハンドユニット、カバー部材の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、弁当の盛り付け作業等、具材を取り分ける作業にロボットが用いられるようになっている。
例えば、弁当を盛り付ける作業をロボットが行う場合、バット等の容器に蓄えられた具材をロボットがハンド(把持部材)で所定量把持し、弁当内の定められた領域に移送して、具材をハンドからリリースする動作が繰り返される。
ここで、具材をロボットハンドで取り分ける作業等を行う場合、ロボットのハンドには衛生の観点等からビニール製等のカバーが装着される。
なお、ロボットハンドにカバーを装着する技術は、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-003374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、具材をロボットが取り分ける場合、具材を把持する動作において、ハンドに装着したカバーがずれることがあり得る。特に、ポテトサラダのように粘性あるいは粘着性を有する具材等においては、カバーのずれが生じ易い。
一方、ハンドからカバーがずれ難い装着形態とした場合、具材を把持する動作においてずれが生じ難くなるものの、カバーを交換する作業に手間を要することとなる。
食品を取り扱う作業等においては、カバーを一定の頻度で交換する作業を要することから、カバーの交換は容易に行うことが望まれる。
なお、このような課題は、具材を把持する場合に限らず、練ったモルタル、コンクリート等、粘性あるいは粘着性を有する材料からなる対象物を把持する場合に共通するものである。
即ち、把持部材にカバーを装着して対象物を把持する技術において、作業時にはカバーの装着状態を維持し、交換作業は容易に行うという点で改善の余地があった。
【0005】
本発明の課題は、把持部材にカバーを装着して対象物を把持する技術において、作業時にはカバーの装着状態をより確実に維持し、交換作業はより容易に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態に係るカバー部材は、
把持対象物を把持する把持部材を先端側から覆う袋状のカバー本体部と、
前記カバー本体部における開口部周囲に設置された係合部と、
前記係合部に形成され、前記把持部材側の突出部に係止される係止部と、
を備え、
前記係合部における前記係止部は、前記把持部材の前記先端とは反対側に形成された前記突出部に係止されることを特徴とするカバー部材。
【0007】
また、本発明の一態様のハンドユニットは、
把持対象物を把持する把持部材と、
前記把持対象物を覆うカバー部材と、
を備え、
前記カバー部材は、
前記把持部材を先端側から覆う袋状のカバー本体部と、
前記カバー本体部における開口部周囲に設置された係合部と、
前記係合部に形成され、前記把持部材側の突出部に係止される係止部と、
を備え、
前記係合部における前記係止部は、前記把持部材の前記先端とは反対側に形成された前記突出部に係止されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様のカバー部材の取付方法は、
把持対象物を把持する把持部材に、前記把持対象物を覆うカバー部材を取り付けるためのカバー部材の取付方法であって、
前記カバー部材は、
前記把持部材を先端側から覆う袋状のカバー本体部と、
前記カバー本体部における開口部周囲に設置された係合部と、
前記係合部に形成され、前記把持部材側の突出部に係止される係止部と、
を備え、
前記係合部における前記係止部を、前記把持部材の前記先端とは反対側に形成された前記突出部に係止すると共に、前記突出部にストッパを設置することにより、前記突出部から前記係合部が脱落することを妨げることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、把持部材にカバーを装着して対象物を把持する技術において、作業時にはカバーの装着状態をより確実に維持し、交換作業はより容易に行えるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る取り分けシステム1が複数並べられた状態を示す斜視図である。
図2】本発明に係る取り分けシステム1の主要部を拡大した斜視図である。
図3】ハンドユニット31の先端に設置される把持部材31Aの形状例を示す模式図である。
図4】ロボットアーム32の脱着機構32a及びハンドユニット31の脱着機構31aの部分拡大図である。
図5】ハンドユニット31に装着されるカバー100の展開状態を示す模式図である。
図6】展開状態のカバー100から袋状の構造を作成する手順を示す模式図である。
図7】展開状態のカバー100から袋状の構造を作成する手順を示す模式図である。
図8】カバー100を袋状に加工した状態を示す模式図である。
図9】袋状に加工されたカバー100を把持部材31Aに装着する工程を示す模式図である。
図10】カバー100が装着された状態の把持部材31Aを示す模式図である。
図11】帯状部101a~104aを押さえ込むことで把持部材31Aにカバー100が装着される構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
[構成]
図1及び図2は、本発明に係る取り分けシステム1全体の構成を示す模式図であり、図1は、取り分けシステム1が複数並べられた状態を示す斜視図、図2は、取り分けシステム1の主要部を拡大した斜視図である。
本実施形態における取り分けシステム1は、材料を取り分けるシステムに本発明を適用した例を示すものであり、以下の説明においては、取り分けシステム1が、弁当に盛り付けられる総菜(具材)を把持し、弁当の容器に取り分ける場合を例に挙げて説明する。なお、以下の説明において、盛り付けられる具材の量として、重量を例に挙げて説明するが、本発明は、重量以外であっても、体積、かさ、質量等、各種呼称の物理量を対象に適用することが可能である。
【0012】
図1及び図2に示すように、取り分けシステム1は、具材供給部10と、容器供給部20と、多関節ロボット30と、制御装置40と、遮蔽部50と、を備えている。なお、取り分けシステム1に隣接して、弁当の容器を自動的に運搬するベルトコンベア2が設置されている。
【0013】
具材供給部10は、取り分けシステム1において取り分けられる総菜(具材)を収容した具材容器を備えている。具材容器として、例えば、大型のバットやトレー等を用いることができる。具材供給部10には、例えば、ポテトサラダ等の練りサラダ(粘性・粘着性を有する具材を含むサラダ)、おから、切り干し大根、なます、ひじき、煮豆、バターコーン等の総菜が収容される。本実施形態において、具材供給部10には、1種類の具材が複数食分(例えば、数十~数百食分)収容されているものとする。したがって、複数の取り分けシステム1がそれぞれ異なる具材を1つの弁当の容器に盛り付けることで、弁当の盛り付け作業を完了させることができる。具材供給部10の具材容器は、作業員が手作業によって、または、多関節ロボット30が自動的に交換することが可能である。
【0014】
容器供給部20は、取り分けシステム1において、具材が盛り付けられる所定位置(図2中の盛り付け位置P1)に弁当の容器を供給する。容器供給部20には、弁当の容器が複数収容されており、取り分けシステム1が動作を開始すると、容器を1つずつ盛り付け位置P1に供給する。また、盛り付け位置P1には、弁当の容器の重量を計測する重量センサ21が設置されており、盛り付け位置P1において具材が盛り付けられると、盛り付けられた具材の重量(即ち、盛り付けによって増加した重量)を計測する。このとき計測された重量のデータは、制御装置40に出力される。そして、重量の計測が終了すると、容器供給部20に備えられた押し出し機構によって、弁当の容器がベルトコンベア2に搬出される。
【0015】
多関節ロボット30は、例えば、水平多関節ロボットあるいは垂直多関節ロボット等によって構成され、盛り付けられる具材を把持可能なハンドユニット31と、可動範囲において任意の位置にハンドユニット31を移動させるロボットアーム32と、ハンドユニット31付近を撮影する撮像装置33と、を備えている。本実施形態において、複数の多関節ロボット30におけるハンドユニット31は、多関節ロボット30が取り分ける具材の種類に応じて、異なる形状及び大きさのものとすることができる。
また、ハンドユニット31は、ロボットアーム先端に設置された脱着機構32aに脱着自在に取り付けられる。ロボットアーム32の脱着機構32aを保持する関節は、ロボットアーム32に対してハンドユニット31を捻り方向に回転させる軸を備えている。そのため、ハンドユニット31が具材を把持する際に、ハンドユニット31の向きを変化させることにより、ハンドユニット31が開閉する方向を調整することができる。これにより、ハンドユニット31が容器の内壁に達した際に、容器内壁と平行な方向にハンドユニット31が開閉するようにハンドユニット31の向きを変更することが可能となり、容器内壁近傍の具材を把持し易くなる。
【0016】
図3は、ハンドユニット31の先端に設置される把持部材31Aの形状例を示す模式図である。
また、図4は、ロボットアーム32の脱着機構32a及びハンドユニット31の脱着機構31aの部分拡大図である。なお、図3及び図4においては、一対で用いられる把持部材31Aの一方のみが示されている。
【0017】
図3に示すように、本実施形態においては、先端が平坦な板状部材(即ち、先端が直線状の縁部を有する平板)の左右に、側板を備えた形状の把持部材31Aが用いられている。したがって、図3に示す把持部材31Aの形状においては、ハンドユニット31が一対の把持部材31Aを閉じた場合に、把持部材31A同士が当接することにより、少なくとも下部及び側部が閉じた容器形状の構造となる。
把持部材31Aの天面部には、ロボットアーム32の脱着機構32aと連結される脱着機構31aが設置されている。
【0018】
図4に示すように、ロボットアーム32の脱着機構32aは、所定間隔で並べて設置された2本のロッド321a,322aと、ロッド321a,322aが設置され、把持方向及び開放方向に移動可能なベース部材323aと、を備えている。なお、ロッド321a,322aが挿通されてロボットアーム32にベース部材313aを保持されたハンドユニット31は、不図示のアクチュエータによって、把持方向(図4中の+x方向)及び開放方向(図4中の-x方向)に移動される。
【0019】
図3及び図4に示すように、ハンドユニット31の脱着機構31aは、ロッド321a,322aの間隔に合わせて設置された2つの挿通穴311a,312aを有するベース部材313aと、挿通穴311a,312aそれぞれの内部における奥側の端部(ロッド321a,322aが挿入される側とは逆の端部)に固定された磁石314a,315aと、カバー100が係合される突起部316aと、突起部316aが設置される台座部317aと、突起部316aに挿通され、磁力によって台座部317aに吸着するストッパ318aと、を備えている。台座部317aは、成形された樹脂等によって構成され、内部には、金属板または磁石等、ストッパ318aの磁石に吸着する部材が備えられている。本実施形態において、ストッパ318aは、成形された樹脂等によって構成され、内部には、両端の位置に磁石がそれぞれ備えられている。なお、ストッパ318aのいずれかの部位には、金属製の部材が使用されている。そのため、万一、ストッパ318aが食材等の中に落下した場合であっても、出荷前に行われる金属探知機による検査で発見することが可能である。
【0020】
本実施形態においてハンドユニット31がロボットアーム32に連結される場合、ロボットアーム32の脱着機構32aに設置されたロッド321a,322aが、ハンドユニット31の脱着機構31aにおける挿通穴311a,312aにそれぞれ挿通され、ロッド321a,322aの先端が挿通穴311a,312a内で磁石314a,315aに磁力で吸着される。このような連結構造においては、ハンドユニット31に対して、図4中のx方向(把持方向及び開放方向)及びz方向(高さ方向)に力が作用する場合、ロッド321a,322aと挿通穴311a,312aとの嵌め合い構造によって保持力が発揮される。また、ハンドユニット31に対して、図4中のy方向(把持方向及び開放方向と直交する方向)に力が作用する場合、+y方向については、ロッド321a,322aと磁石314a,315aとの当接力によって保持力が発揮されると共に、-y方向については、ロッド321a,322aと磁石314a,315aとの磁力による吸着力によって保持力が発揮される。
【0021】
食品の取り分け作業等においては、カバー100を交換するためにハンドユニット31を高い頻度で脱着する必要がある。本実施形態におけるハンドユニット31とロボットアーム32との連結機構は、ロッド321a,322aの挿通穴311a,312aに対する挿通と、磁石314a,315a(永久磁石)によるロッド321a,322aの吸着作用で実現される構造となっている。本実施形態における取り分け作業においては、脱着機構31a,32aにおけるロッド321a,322aの挿通方向にハンドユニット31を移動させない。そのため、ロッド321a,322aの挿通穴311a,312aに対する挿通と、磁石314a,315a(永久磁石)によるロッド321a,322aの吸着作用で、作業で必要となる充分な保持力を実現することができる。また、このような連結構造により、ロボットアーム32に対するハンドユニット31の脱着が容易なものとなり、カバー100の交換作業を容易に行うことが可能となる。
【0022】
また、本実施形態における把持部材31Aには、強化ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂からなる柔軟性を有するカバー100が装着される。カバー100は、食品等を取り扱う場合に、衛生の観点からハンドユニット31の把持部材31A全体を覆うように装着され、食品等の把持対象物に把持部材31Aが接触することを防止するものである。
【0023】
図5は、ハンドユニット31に装着されるカバー100の展開状態を示す模式図である。また、図6及び図7は、展開状態のカバー100から袋状の構造を作成する手順を示す模式図である。また、図8は、カバー100を袋状に加工した状態を示す模式図である。また、図9は、袋状に加工されたカバー100を把持部材31Aに装着する工程を示す模式図である。また、図10は、カバー100が装着された状態の把持部材31Aを示す模式図である。
【0024】
図5に示すように、カバー100は、切断刃による切断あるいは金型による打ち抜き等の加工によって、設計された形状をシート状の樹脂材料から切り出して作成される。図5に示す例では、切り出されたカバー100の上辺に4つの係合部101~104と、把持部材31Aの突起部316a(後述)に挿通される係止穴105~108と、ロッド321a,322aに挿通されるロッド挿入用穴109,110とが形成されている。この切り出された形状は、展開状態となっていることから、図6に示すように、展開状態のカバー100を線X-X’で折り返し、点Aと点A’、点Bと点B’、点Cと点C’とを重ね合わせる。そして、重ね合わせられたカバー100の上層と下層において、辺Dの部分を熱圧着により接合する。これにより、シート状であったカバー100が筒状となる。さらに、図8に示すように、接合された辺Dを正面中央に位置させるように筒状のカバー100の折り目位置を切り換えて、上層と下層の底辺Eが一致するように位置を合わせる。次いで、重ね合わせられた筒状のカバー100における上層及び下層の底辺Eを熱圧着により接合する。
【0025】
この結果、図8に示すように、底辺Eが把持部材31Aの先端の形状に対応し、4つの係合部101~104が開口部側に設置された袋状のカバー100が作成される。なお、以下、カバー100の袋状部分を適宜「カバー本体100A」と称する。
また、図9に示すように、袋状とされたカバー100内(即ち、カバー本体100A内)に把持部材31Aを挿入し、係合部101~104を突起部316aに係合することにより、図10に示すように、カバー100がハンドユニット31に装着される。このとき、係合部101~104を1つの突起部316aに係合させることでカバー100を取り付けることができる。そのため、カバー100を取り付ける際の取り付け方にばらつきが生じることが抑制され、カバー100を交換した際に安定した取付状態とすることが容易となる。なお、係合部101~104を突起部316aに係合した後、突起部316aにはストッパ318aが装着され、ストッパ318aの磁力により、係合部101~104が固定される。
【0026】
なお、カバー100は、ハンドユニット31が対向する把持部材31Aを備えることから、それぞれの把持部材31Aに対応する形状とすることができ、例えば、鏡像関係にある2つの把持部材31Aを備える場合には、シート状の樹脂材料から切り出す際に、鏡像関係にある2つの形状を切り出すか、あるいは、同一の形状で切り出した後に表裏を逆に使用することにより、それぞれの把持部材31Aに適合する形状のカバー100を作成することができる。
【0027】
図1及び図2の説明に戻り、多関節ロボット30の撮像装置33は、具材供給部10から具材を取り出す工程及び取り出した具材を弁当の容器に盛り付ける工程において、ハンドユニット31付近の画像を含む撮影対象箇所の画像を逐次撮影する。このとき撮影された画像のデータは、制御装置40に出力される。なお、撮像装置33に代えて、または、撮像装置33に加えて、多関節ロボット30の稼動範囲を撮影可能な撮像装置を取り分けシステム1の所定箇所に備えておき、この撮像装置によって、ハンドユニット31付近を含む撮影対象箇所の画像を撮影することとしてもよい。また、撮像装置33等、取り分けシステム1に設置される撮像装置をステレオカメラ等の立体形状を取得可能なものとしてもよい。ただし、2次元画像を撮影する撮像装置の撮像位置を変化させて取得した2つの2次元画像を基に、被写体の3次元形状を算出することも可能である。
【0028】
[作用]
次に、本実施形態におけるカバー100を装着して作業を行う際の作用を説明する。
食品等の具材を取り分ける作業においては、主に、
(1)具材へのハンドユニット31の挿入動作
(2)具材の把持動作
(3)具材からのハンドユニット31の抜き出し動作
(4)開放(具材のリリース)動作
(5)具材表面を平坦化する動作
等が行われる。
【0029】
(1)具材へのハンドユニット31の挿入動作においては、ハンドユニット31にカバー100がより深く装着される方向に力が作用するため、ハンドユニット31からカバー100が脱落したり、ずれを生じたりする可能性は低いと考えられる。
なお、カバー100は、具材へのハンドユニット31の挿入時にカバー100に加わる力によっても破損しない程度の強度を有する材質及び厚みを選択されて構成されている。
【0030】
(2)具材の把持動作においては、具材の粘着性により、把持方向とは逆方向に引っ張る力がカバー100に作用する。このとき、主に、把持部材31Aの内面側に位置する係合部104または係合部102が突起部316aに係合されている保持力によって、カバー100の脱落やずれが抑制される。特に、本実施形態におけるカバー100は、係合部101~104の係止穴105~108が突起部316aに挿通されているため、カバー100が引っ張られる方向には係合部101~104の動きが規制されているため、ずれ及び脱落を生じ難い構成となっている。また、係合部101~104の係止穴105~108が挿通された突起部316aに対し、ストッパ318aが挿通され、磁力によって係合部101~104を固定する構成となっているため、より確実に、カバー100のずれ及び脱落の発生を抑制することが可能となっている。
【0031】
(3)具材からのハンドユニット31の抜き出し動作においては、具材供給部10内の具材の粘着性、及び、把持または付着している具材の重量によって、鉛直下方に引っ張る力がカバー100に作用する。このとき、全ての係合部101~104が突起部316aに係合されている保持力によって、カバー100の脱落やずれが抑制される。
【0032】
(4)開放(具材のリリース)動作においては、把持または付着している具材の重量によって、鉛直下方に引っ張る力がカバー100に作用する。このとき、全ての係合部101~104が突起部316aに係合されている保持力によって、カバー100の脱落やずれが抑制される。
(5)具材表面を平坦化する動作においては、ハンドユニット31の把持動作を固定し、ハンドユニット31全体をロボットアーム32が移動させることによって、ハンドユニット31の先端で具材供給部10内の具材表面が平坦化される。このとき、ハンドユニット31を把持方向と同じ方向に移動させる際には、把持動作の場合と同様に、具材の粘着性により、ハンドユニット31の移動方向とは逆方向に引っ張る力がカバー100に作用する。また、ハンドユニット31を把持方向と逆方向に移動させる際には、具材の粘着性により、ハンドユニット31の移動方向とは逆方向に引っ張る力がカバー100に作用する。具材を平坦化する動作においては、主に、把持部材31Aの外面側に位置する係合部104または係合部102が突起部316aに係合されている保持力によって、カバー100の脱落やずれが抑制される。なお、本実施形態において、制御装置40は、ハンドユニット31を具材と接触させた状態の動作において、ロッド321a,322aが延在する方向(y方向)にハンドユニット31を移動させないように制御する。ロッド321a,322aが延在する方向(y方向)は、他の方向に比べてハンドユニット31がロボットアーム32に保持される力が相対的に弱いところ、このように制御することで、ハンドユニット31がロボットアーム32から脱落することが抑制される。
【0033】
以上のように、本実施形態に係る取り分けシステム1は、具材を把持する把持部材31Aにカバー100が装着される。カバー100は、袋状に構成され、開口部周囲に複数の係合部101~104が設置される。把持部材31Aの天面には、突起部316aが形成され、係合部101~104の係止穴105~108が突起部316aに挿通される。そして、係合部101~104を挿通した突起部316aに、ストッパ318aが取り付けられ、ストッパ318aは磁力によって突起部316aの台座部317aに吸着することにより、係合部101~104を固定(押圧)する。
そのため、カバー100に対して複数の方向から脱落させる力が作用しても、いずれかの係合部101~104が突起部316aに係合する作用によって、カバー100を脱落させる力に対抗することができる。
したがって、具材を取り分ける作業等において、より確実にハンドユニット31にカバー100が装着した状態を維持させることができる。
また、ハンドユニット31は、ロボットアーム32の脱着機構32aに設置されたロッド321a,322aが、ハンドユニット31の脱着機構31aにおける挿通穴311a,312aにそれぞれ挿通され、ロッド321a,322aの先端が挿通穴311a,312a内で磁石314a,315aに磁力で吸着されることにより、ロボットアーム32に保持されている。
そのため、ハンドユニット31は、ロッド321a,322aの方向に沿って引き抜く動作でロボットアーム32から取り外すことができると共に、ロッド321a,322aをハンドユニット31の挿通穴311a,312aに挿通する動作でロボットアーム32に取り付けることができる。
したがって、ハンドユニット31に装着されたカバー100を交換する作業をより容易に行うことができる。
また、カバー100は袋状の構造とされていると共に、袋状部分(カバー本体100A)の開口部周囲に備えられた係合部101~104を把持部材31Aの突起部316aに係合し、磁石を備えるストッパ318aによって磁力を用いて突起部316aからの脱落が防止される構成となっている。
そのため、ハンドユニット31にカバー100を取り付けたり、ハンドユニット31からカバー100を取り外したりする作業を容易に行うことができる。
即ち、本実施形態の取り分けシステム1においては、把持部材31Aにカバー100を装着して対象物を把持する技術において、作業時にはカバー100の装着状態をより確実に維持し、交換作業はより容易に行えるようになる。
【0034】
[変形例1]
上述の実施形態において、カバー100は、係合部101~104と、把持部材31Aの突起部316aに挿通される係止穴105~108とを備えるものとして説明したが、これに限られない。例えば、係合部101~104を、係止穴105~108を備えることなく、開口部から突出した帯状部101a~104aとして構成し、帯状部101a~104aを一箇所に重ねて磁石あるいはクリップ機構等によって押さえ込むことで、把持部材31Aに押さえ止めする構成としてもよい。
図11は、帯状部101a~104aを押さえ込むことで把持部材31Aにカバー100が装着される構成例を示す模式図である。
図11に示すように、帯状部101a~104aを押さえ込むことで把持部材31Aにカバー100を装着する場合、例えば、把持部材31Aの天面部における台座部317aの位置等に帯状部101a~104aを集合させて重ね合わせる。図11に示す構成例では、台座部317aに突起部316aは設置されておらず、平坦な台座として構成され、台座部317a内部には金属または磁石が設置されている。そして、台座部317aに帯状部101a~104aが重ね合わせられた状態で、磁石を備えるストッパ319aを台座部317aに吸着させる。
この結果、重ね合わせられた帯状部101a~104aがストッパ319aによって台座部317aに押さえ込まれ、カバー100が把持部材31Aに押さえ止められた状態となる。
このような構成とした場合、カバー100を把持部材31Aに装着する作業及びカバー100を把持部材31Aから取り外す作業をより容易に行うことができる。
なお、帯状部101a~104aを一箇所に重ねて押さえ込むことの他、複数箇所に分けて押さえ込む構成としてもよい。
【0035】
以上のように、本実施形態における取り分けシステム1は、カバー100を備える。
カバー100は、カバー本体100Aと、係合部101~104と、係止穴105~108と、を備える。
カバー本体100Aは、把持対象物を把持する把持部材31Aを先端側から覆う袋状の構成を有する。
係合部101~104は、カバー本体100Aにおける開口部周囲に設置される。
係止穴105~108は、係合部101~104に形成され、把持部材31A側の突起部316aに係止される。
係合部101~104における係止穴105~108は、把持部材31Aの先端とは反対側に形成された突起部316aに係止される。
これにより、ハンドユニット31にカバー100を取り付けたり、ハンドユニット31からカバー100を取り外したりする作業を容易に行うことができる。
したがって、把持部材31Aにカバー100を装着して対象物を把持する技術において、作業時にはカバー100の装着状態をより確実に維持し、交換作業はより容易に行えるようになる。
【0036】
係合部101~104は、カバー本体100Aにおける開口部周囲において、複数箇所に設置される。
複数の係合部101~104における係止穴105~108は、把持部材31Aにおける同一の突起部316aに係止される。
これにより、複数の係合部101~104をまとめて突起部316aに係合すればよいため、カバー100を把持部材31Aに取り付ける作業を容易に行うことができる。また、カバー100を取り付ける際の取り付け方にばらつきが生じることが抑制され、カバー100を交換した際に安定した取付状態とすることが容易となる。
【0037】
また、ハンドユニット31は、把持部材31Aと、カバー100と、を備える。
把持部材31Aは、把持対象物を把持する。
カバー100は、把持対象物を覆う。
カバー100は、カバー本体100Aと、係合部101~104と、係止穴105~108と、を備える。
カバー本体100Aは、把持対象物を把持する把持部材31Aを先端側から覆う袋状の構成を有する。
係合部101~104は、カバー本体100Aにおける開口部周囲に設置される。
係止穴105~108は、係合部101~104に形成され、把持部材31A側の突起部316aに係止される。
係合部101~104における係止穴105~108は、把持部材31Aの先端とは反対側に形成された突起部316aに係止される。
これにより、ハンドユニット31にカバー100を取り付けたり、ハンドユニット31からカバー100を取り外したりする作業を容易に行うことができる。また、把持対象物を把持する作業において、ハンドユニット31からカバー100が脱落することが抑制される。
したがって、把持部材31Aにカバー100を装着して対象物を把持する技術において、作業時にはカバー100の装着状態をより確実に維持し、交換作業はより容易に行えるようになる。
【0038】
ハンドユニット31は、ストッパ318aを備える。
ストッパ318aは、把持部材31Aの突起部316aに取り付けられ、磁力によって把持部材31Aに吸着する。
これにより、取り扱いが簡単で、低コストな部品を用いて、係合部101~104の脱落を抑制することができる。
【0039】
ストッパ318aは、少なくとも一部に金属製の部材を備えている。
これにより、万一、ストッパ318aが脱落したとしても、出荷前等に具材が金属探知機で検査されるタイミングで、ストッパ318aを検出することができる。
【0040】
ハンドユニット31は、ストッパ318aを備える。
ストッパ318aは、把持部材31Aの突起部316aに嵌め込まれ、突起部316aに係合された係合部101~104の脱落を嵌合力によって妨げる。
これにより、樹脂製のキャップ等、低コストで効果的な部品を用いて、係合部101~104の脱落を抑制することができる。
【0041】
また、ハンドユニット31は、把持部材31Aと、カバー100と、を備える。
カバー100は、カバー本体100Aと、帯状部101a~104aと、を備える。
カバー本体100Aは、把持対象物を把持する把持部材31Aを先端側から覆う袋状の構成を有する。
帯状部101a~104aは、カバー本体100Aにおける開口部周囲に設置される。
把持部材31Aは、把持部材31Aの先端とは反対側における所定位置に帯状部101a~104aを押さえ込む取付部材を備える。
これにより、ハンドユニット31にカバー100を取り付けたり、ハンドユニット31からカバー100を取り外したりする作業を容易に行うことができる。
したがって、把持部材31Aにカバー100を装着して対象物を把持する技術において、作業時にはカバー100の装着状態をより確実に維持し、交換作業はより容易に行えるようになる。
【0042】
なお、上述の実施形態及び変形例は、本発明の実施形態の一例であり、本発明の機能を実現する種々の実施形態が本発明の範囲に含まれる。
例えば、上述の実施形態及び変形例において、総菜を取り分ける取り分けシステムに本発明を適用する場合を例に挙げて説明したが、本発明は、種々の対象物を把持するシステムに適用することができる。例えば、練ったモルタル、コンクリート、漆喰、粘土等、粘性あるいは粘着性が高い材料を把持するシステムに本発明を適用することができる。
また、上述の実施形態において、ストッパ318aは磁石を備え、磁力によって台座部317aに吸着することで、係合部101~104の脱落を抑制するものとしたが、これに限られない。例えば、ストッパ318aは、磁力を用いることなく、機械的な取付具として構成し、機械的な固定力で係合部101~104の脱落を抑制するものとしてもよい。一例として、ストッパ318aは、磁力を用いることなく、突起部316aに嵌合することにより、その嵌合力(嵌合を解除するために要する力)で脱落を抑制する構成とすることも可能である。また、ストッパ318aは、磁力を用いることなく、突起部316aに螺合(ねじ込み)することにより、その緊締力(ねじ止め力)で脱落を抑制する構成とすることも可能である。
この場合、より低コストな部品によって、効果的に係合部101~104の脱落を抑制することが可能となる。
【0043】
また、上述の実施形態において、ハンドユニット31の脱着機構31aにおける挿通穴311a,312a内で、ロボットアーム32の脱着機構32aに設置されたロッド321a,322aが磁石314a,315aに吸着される連結構造を例に挙げて説明したが、これに限られない。即ち、ハンドユニット31に対して、図4中の-y方向における保持力を発揮できれば、磁石を脱着機構31a,32aのいずれの位置に設置することも可能である。例えば、脱着機構31a,32aが連結された際に対向する面にそれぞれ磁石を設置することや、ロボットアーム32にハンドユニット31が連結された際に接触する面(ハンドユニット31の脱着機構31a上面または側面とロボットアーム32のブラケット内面等)にそれぞれ磁石を設置すること等が可能である。
また、上述の実施形態に記載された例を適宜組み合わせて、本発明を実施することが可能である。
【0044】
上記実施形態は、本発明を適用した一例を示しており、本発明の技術的範囲を限定するものではない。即ち、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができ、上記実施形態以外の各種実施形態を取ることが可能である。本発明が取ることのできる各種実施形態及びその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1 取り分けシステム、2 ベルトコンベア、10 具材供給部、20 容器供給部、21 重量センサ、30 多関節ロボット、31 ハンドユニット、31A 把持部材、31a,32a 脱着機構、311a,312a 挿通穴、313a ベース部材、314a,315a 磁石、316a 突起部、317a 台座部、318a,319a ストッパ、32 ロボットアーム、321a,322a ロッド、323a ベース部材、33 撮像装置、40 制御装置、50 遮蔽部、100 カバー、100A カバー本体、101~104 係合部、101a~104a 帯状部、105~108 係止穴、109,110 ロッド挿入用穴
【要約】
【課題】把持部材にカバーを装着して対象物を把持する技術において、作業時にはカバーの装着状態をより確実に維持し、交換作業はより容易に行えるようにする。
【解決手段】取り分けシステム1は、カバー100を備える。カバー100は、カバー本体100Aと、係合部101~104と、係止穴105~108と、を備える。カバー本体100Aは、把持対象物を把持する把持部材31Aを先端側から覆う袋状の構成を有する。係合部101~104は、カバー本体100Aにおける開口部周囲に設置される。係止穴105~108は、係合部101~104に形成され、把持部材31A側の突起部316aに係止される。係合部101~104における係止穴105~108は、把持部材31Aの先端とは反対側に形成された突起部316aに係止される。
【選択図】図9

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11