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特許7364289信号減衰の計算方法、装置、デバイス及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】信号減衰の計算方法、装置、デバイス及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/11 20060101AFI20231011BHJP
   G01N 29/032 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
G01N29/11
G01N29/032
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022506603
(86)(22)【出願日】2020-07-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-23
(86)【国際出願番号】 CN2020105008
(87)【国際公開番号】W WO2021018102
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-01-31
(31)【優先権主張番号】201910706619.7
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515182532
【氏名又は名称】ウーシー ハイスカイ メディカル テクノロジーズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】WUXI HISKY MEDICAL TECHNOLOGIES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】B401, 530 Plaza, University Science Park, Taihu International Science & Technology Park, Xinwu District Wuxi, Jiangsu 214000 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ハー,チオン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,ジンファー
(72)【発明者】
【氏名】スン,ジン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥアン,ホウリー
【審査官】清水 靖記
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-342180(JP,A)
【文献】特開2006-043457(JP,A)
【文献】特開2018-132409(JP,A)
【文献】特開2010-264231(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0071036(US,A1)
【文献】米国特許第06322505(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00 - G01N 29/52
A61B 8/00 - A61B 8/15
G01B 17/00 - G01B 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織内で伝播する超音波信号を受信することと、
前記超音波信号に対して信号復元操作を行い、計算される超音波信号を取得することと、
前記計算される超音波信号のタイプが時間領域信号であるか周波数領域信号であるかを決定し、前記計算される超音波信号のタイプに基づいて、前記タイプに対応する計算方式により前記計算される超音波信号の減衰情報を計算することと、を含み、
前述の前記超音波信号に対して信号復元操作を行い、計算される超音波信号を取得することは、
前記超音波信号に対応するシステムゲインパラメータ及び/又はプローブフォーカスパラメータを決定することと、
前記システムゲインパラメータ及び/又はプローブフォーカスパラメータに基づいて、前記超音波信号に対して信号復元操作を行い、計算される超音波信号を取得することと、を含み、
前述の前記計算される超音波信号のタイプを決定し、前記計算される超音波信号のタイプに基づいて、前記タイプに対応する計算方式により前記計算される超音波信号の減衰情報を計算することは、
前記計算される超音波信号が時間領域信号である場合、前記計算される超音波信号における関心データを取得することと、
前記関心データにおける1つ又は複数の時間枠内のデータの信号エネルギーを計算することと、
前記1つ又は複数の時間枠内の信号エネルギーに対してフィッティング操作を行い、前記計算される超音波信号の減衰情報を取得することと、を含み、
前述の前記計算される超音波信号のタイプを決定し、前記計算される超音波信号のタイプに基づいて、前記タイプに対応する計算方式により前記計算される超音波信号の減衰情報を計算することは、
前記計算される超音波信号が周波数領域信号である場合、前記計算される超音波信号における関心データを取得することと、
短時間フーリエ変換により前記関心データにおける1つ又は複数の時間枠に対応するデータの信号エネルギーを計算することと、
前記信号エネルギーに対してフィッティング操作を行い、前記計算される超音波信号の減衰情報を取得することと、を含む、
ことを特徴とする信号減衰の計算方法。
【請求項2】
前述の前記信号エネルギーに対してフィッティング操作を行い、前記計算される超音波信号の減衰情報を取得することは、
前記信号エネルギーに対して一次元線形フィット及び/又は最小二乗フィット及び/又は3次スプラインフィット操作を行い、前記計算される超音波信号の減衰情報を取得することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前述の前記計算される超音波信号のタイプを決定し、前記計算される超音波信号のタイプに基づいて、前記タイプに対応する計算方式により前記計算される超音波信号の減衰情報を計算した後、さらに、
前記関心データの中心周波数を決定することと、
前記減衰情報を前記関心データの中心周波数で除算することによって、前記超音波信号の信号減衰を取得することと、を含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
組織内で伝播する超音波信号を受信するための受信モジュールと、
前記超音波信号に対して信号復元操作を行い、計算される超音波信号を取得するための復元モジュールと、
前記計算される超音波信号のタイプが時間領域信号であるか周波数領域信号であるかを決定し、前記計算される超音波信号のタイプに基づいて、前記タイプに対応する計算方式により前記計算される超音波信号の減衰情報を計算するための計算モジュールと、を含み、
前記復元モジュールは、
前記超音波信号に対応するシステムゲインパラメータ及び/又はプローブフォーカスパラメータを決定するための決定ユニットと、
前記システムゲインパラメータ及び/又はプローブフォーカスパラメータに基づいて、前記超音波信号に対して信号復元操作を行い、計算される超音波信号を取得するための復元ユニットと、を含み、
前記計算モジュールは、
前記計算される超音波信号が時間領域信号である場合、前記計算される超音波信号における関心データを取得するための第1取得ユニットと、
前記関心データにおける1つ又は複数の時間枠内のデータの信号エネルギーを計算するための第1計算ユニットと、
前記1つ又は複数の時間枠内の信号エネルギーに対してフィッティング操作を行い、前記計算される超音波信号の減衰情報を取得するための第1フィッティングユニットと、
前記計算される超音波信号が周波数領域信号である場合、前記計算される超音波信号内の関心データを取得するための第2取得ユニットと、
短時間フーリエ変換により前記関心データにおける1つ又は複数の時間枠に対応するデータの信号エネルギーを計算するための第2計算ユニットと、
前記信号エネルギーに対してフィッティング操作を行い、前記計算される超音波信号の減衰情報を取得するための第2フィッティングユニットと、を含む
ことを特徴とする信号減衰の計算装置。
【請求項5】
前記第2フィッティングユニットは、具体的には、
前記信号エネルギーに対して一次元線形フィット及び/又は最小二乗フィット及び/又は3次スプラインフィット操作を行い、前記計算される超音波信号の減衰情報を取得することに用いられる、
ことを特徴とする請求項4に記載の計算装置。
【請求項6】
前記装置は、さらに、
前記関心データの中心周波数を決定するための決定モジュールと、
前記減衰情報を前記関心データの中心周波数で除算することによって、前記超音波信号の信号減衰を取得するための信号減衰計算モジュールと、を含む、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の計算装置。
【請求項7】
メモリとプロセッサを含む信号減衰の計算デバイスであって、
ここで、前記メモリは前記プロセッサが実行可能な命令を記憶することに用いられ、前記プロセッサは請求項1~3のいずれか1項に記載の信号減衰の計算方法を実行するように構成されている、
ことを特徴とする信号減衰の計算デバイス。
【請求項8】
コンピュータ実行命令が記憶され、前記コンピュータ実行命令がプロセッサにより実行される時に請求項1~3のいずれか1項に記載の信号減衰の計算方法を実現することに用いられる、
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ処理分野に関し、特に信号減衰の計算方法、装置、デバイス及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
信号が伝送媒体内で伝播する時、エネルギーの一部が熱エネルギーに変換されるか、伝送媒体によって吸収されるため、信号強度が継続的に低下する。この現象は減衰と呼ばれる。超音波信号については、超音波信号の分析を実現するために、超音波信号の減衰を計算する必要がある。
【0003】
超音波信号の減衰を計算するために、従来技術では、一般的に標準プローブを使用して、検出対象の物体の上面と下面の信号減衰を計算する。
【0004】
しかしながら、上記信号減衰方法は、標準プローブのみで実現されるが、一般的に使用されている市販のプローブで実現できず、ハードウェアに対する要件が高く、操作が複雑であり、実験条件が厳しく、使用しにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の超音波信号の減衰方法が、ハードウェアに対する要件が高く、操作が複雑であり、実験条件が厳しく、使用しにくいという技術問題を解決するための信号減衰の計算方法、装置、デバイス及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様は、組織内で伝播する超音波信号を受信することと、前記超音波信号に対して信号復元操作を行い、計算される超音波信号を取得することと、
前記計算される超音波信号のタイプを決定し、前記計算される超音波信号のタイプに基づいて、前記タイプに対応する計算方式により前記計算される超音波信号の減衰情報を計算することと、を含む、信号減衰の計算方法を提供する。
【0007】
本発明の別の態様は、組織内で伝播する超音波信号を受信するための受信モジュールと、前記超音波信号に対して信号復元操作を行い、計算される超音波信号を取得するための復元モジュールと、
前記計算される超音波信号のタイプを決定し、前記計算される超音波信号のタイプに基づいて、前記タイプに対応する計算方式により前記計算される超音波信号の減衰情報を計算するための計算モジュールと、を含む、信号減衰の計算装置を提供する。
【0008】
本発明のさらなる態様は、メモリとプロセッサを含む信号減衰の計算デバイスを提供しており、ここで、前記メモリは前記プロセッサが実行可能な命令を記憶することに用いられ、前記プロセッサは前記信号減衰の計算方法を実行するように構成されている。
本発明のさらなる態様は、コンピュータ実行命令が記憶され、前記コンピュータ実行命令がプロセッサにより実行される時に前記信号減衰の計算方法を実現することに用いられる、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により提供される信号減衰の計算方法、装置、デバイス及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、組織内で伝播する超音波信号を受信し、前記超音波信号に対して信号復元操作を行い、計算される超音波信号を取得し、前記計算される超音波信号のタイプを決定し、前記計算される超音波信号のタイプに基づいて、前記タイプに対応する計算方式により前記計算される超音波信号の減衰情報を計算する。それにより、信号減衰計算の流れが簡素化し、さらに市販のプローブを用いて信号減衰の計算を実現することができ、操作しやすく、適用性が高く、また、取得した超音波信号に対して信号復元を行った後に減衰計算を行うことによって、減衰計算の精度及び効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明らかに説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に紹介するが、明らかに、以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施例であり、当業者にとっては、これらの図面に基づいて他の図面をさらに得ることができる。
図1】本発明の実施例1により提供される信号減衰の計算方法のフローチャートである。
図2】本発明の実施例2により提供される信号減衰の計算方法のフローチャートである。
図3】本発明の実施例3により提供される信号減衰の計算方法のフローチャートである。
図4】本発明の実施例4により提供される信号減衰の計算方法のフローチャートである。
図5】本発明の実施例5により提供される信号減衰の計算方法のフローチャートである。
図6】本発明の実施例6により提供される信号減衰の計算装置の構成図である。
図7】本発明の実施例7により提供される信号減衰の計算デバイスの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明らかにするために、以下、本発明の実施例における図面と合わせて、本発明の実施例における技術的解決手段を明らかで完全に説明するが、無論、説明される実施例は本発明の実施例の一部であり、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて得られる全ての他の実施例は、本発明により請求される範囲に属する。
【0012】
信号が伝送媒体内で伝播する時、エネルギーの一部が熱エネルギーに変換されるか、伝送媒体によって吸収されるため、信号強度が継続的に低下し、この現象は減衰と呼ばれる。超音波信号については、超音波信号の分析を実現するために、超音波信号の減衰を計算する必要がある。超音波信号の減衰を計算するために、従来技術では、一般的に標準プローブを使用して、検出対象の物体の上面と下面の信号減衰を計算する。しかしながら、上記信号減衰方法は、標準プローブのみで実現されるが、一般的に使用されている市販のプローブで実現できず、ハードウェアに対する要件が高く、操作が複雑であり、実験条件が厳しく、使用しにくい。上記技術問題を解決するために、本発明は、信号減衰の計算方法、装置、デバイス及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【0013】
なお、本願により提供される信号減衰の計算方法、装置、デバイス及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、任意の信号の減衰計算のアプリケーションに適用できる。
【0014】
図1は本発明の実施例1により提供される信号減衰の計算方法のフローチャートである。図1に示すように、前記方法は以下のステップを含む。
【0015】
ステップ101では、組織内で伝播する超音波信号を受信する。
【0016】
ステップ102では、前記超音波信号に対して信号復元操作を行い、計算される超音波信号を取得する。
【0017】
ステップ103では、前記計算される超音波信号のタイプを決定し、前記計算される超音波信号のタイプに基づいて、前記タイプに対応する計算方式により前記計算される超音波信号の減衰情報を計算する。
【0018】
本実施例の実行本体は信号減衰の計算装置である。超音波信号については、超音波信号の分析を実現するために、超音波信号の減衰を計算する必要があるため、まず、計算される減衰情報の超音波信号を取得する必要がある。具体的には、超音波画像形成システムによって超音波信号を取得することができる。一部の領域に焦点を当てるために、一般的にはプローブフォーカス又はシステムゲイン等の設定が使用されている。従って、プローブフォーカス又はシステムゲインを行った超音波信号によって計算された減衰情報は正確でないことがよくある。信号減衰情報の正確性を向上させるために、超音波信号を取得した後、該超音波信号に対して信号復元操作を行い、計算される超音波信号を取得する必要がある。理解すべきことは、計算される超音波信号には時間領域信号及び周波数領域信号という2種類の異なるタイプがあるということである。減衰情報の計算精度を保証するために、異なるタイプの計算される超音波信号に対して、異なる計算方法を使用しなければならない。従って、計算される超音波信号を取得した後、まず該計算される超音波信号のタイプを決定し、異なるタイプに基づいて該信号タイプに対応する計算方法を使用し、信号タイプに対応する計算方法を使用して計算される超音波信号を計算することによって、超音波信号に対応する減衰情報を取得する。任意選択的に、該超音波信号は一次元超音波信号、二次元超音波信号、三次元超音波信号であってもよいが、本発明ではこれらに限定されない。任意選択的に、該超音波信号は反射信号、透過信号のうちのいずれかであってもよく、本発明ではこれらに限定されない。
【0019】
本実施例により提供される信号減衰の計算方法は、超音波画像形成システムが超音波信号を取得し、前記超音波信号に対して信号復元操作を行い、計算される超音波信号を取得し、前記計算される超音波信号のタイプを決定し、前記計算される超音波信号のタイプに基づいて、前記タイプに対応する計算方式により前記計算される超音波信号の減衰情報を計算する。それにより、信号減衰計算の流れが簡素化し、さらに市販のプローブを用いて信号減衰の計算を実現することができ、操作しやすく、適用性が高く、また、取得した超音波信号に対して信号復元を行った後に減衰計算を行うことによって、減衰計算の精度及び効率を向上させることができる。
【0020】
図2は本発明の実施例2により提供される信号減衰の計算方法のフローチャートである。図2に示すように、前記方法は以下のステップを含む。
【0021】
ステップ201では、組織内で伝播する超音波信号を受信する。
【0022】
超音波画像形成システムにより超音波信号を送信し、前記超音波信号は組織内で伝播され、さらに超音波画像形成システムにより前述の組織内で伝播する超音波信号を受信する。前記超音波信号は超音波反射信号であってもよく、超音波透過信号であってもよい。
【0023】
ステップ202では、前記超音波信号に対応するシステムゲインパラメータ及び/又はプローブフォーカスパラメータを決定する。
【0024】
ステップ203では、前記システムゲインパラメータ及び/又はプローブフォーカスパラメータに基づいて、前記超音波信号に対して信号復元操作を行い、計算される超音波信号を取得する。
【0025】
ステップ204では、前記計算される超音波信号のタイプを決定し、前記計算される超音波信号のタイプに基づいて、前記タイプに対応する計算方式により前記計算される超音波信号の減衰情報を計算する。
【0026】
本実施例において、一部の領域に焦点を当てるために、一般的にはプローブフォーカス又はシステムゲイン等の設定が使用されている。従って、プローブフォーカス又はシステムゲインを行った超音波信号によって計算された減衰情報は正確でないことがよくある。信号減衰情報の正確性を向上させるために、超音波信号を取得した後、該超音波信号に対して信号復元操作を行い、計算される超音波信号を取得する必要がある。具体的には、まず超音波信号に対応するシステムゲインパラメータ及び/又はプローブフォーカスパラメータを決定し、システムゲインパラメータ及び/又はプローブフォーカスパラメータに基づいて超音波信号に対して信号復元操作を行い、計算される超音波信号を取得する必要がある。理解すべきことは、超音波信号の復元を実現するために、現在適用されているシステムゲインパラメータ及び/又はプローブフォーカスパラメータに従って、超音波信号に対して減算又は乗算操作を行うことができるということである。実際の応用を例にすると、一部の領域に焦点を当てるために、5倍のシステムゲインパラメータを設定して、超音波信号を取得した後、超音波信号を5で除算して超音波信号の回復を実現することができる。理解すべきことは、取得した超音波信号に対して信号復元を行った後に減衰計算を行うことによって、減衰計算の精度及び効率を向上させることができるということである。
【0027】
本実施例により提供される信号減衰の計算方法は、前記超音波信号に対応するシステムゲインパラメータ及び/又はプローブフォーカスパラメータを決定し、前記システムゲインパラメータ及び/又はプローブフォーカスパラメータに基づいて、前記超音波信号に対して信号復元操作を行い、計算される超音波信号を取得する。それにより、信号減衰計算の流れが簡素化し、さらに市販のプローブを用いて信号減衰の計算を実現することができ、操作しやすく、適用性が高く、また、取得した超音波信号に対して信号復元を行った後に減衰計算を行うことによって、減衰計算の精度及び効率を向上させることができる。
【0028】
図3は本発明の実施例3により提供される信号減衰の計算方法のフローチャートである。上記任意の実施例に基づいて、図3に示すように、前記方法は以下のステップを含む。
【0029】
ステップ301では、組織内で伝播する超音波信号を受信する。
【0030】
ステップ302では、前記超音波信号に対して信号復元操作を行い、計算される超音波信号を取得する。
【0031】
ステップ303では、前記計算される超音波信号が時間領域信号である場合、前記計算される超音波信号における関心データを取得する。
【0032】
ステップ304では、前記関心データにおける1つ又は複数の時間枠内のデータの信号エネルギーを計算する。
【0033】
ステップ305では、前記1つ又は複数の時間枠内の信号エネルギーに対してフィッティング操作を行い、前記計算される超音波信号の減衰情報を取得する。
【0034】
本実施例において、計算効率を向上させるために、超音波信号における関心領域の関心データに対して信号減衰計算を行うことができる。計算される超音波信号を取得した後、まず計算される超音波信号のタイプを決定する必要があり、計算される超音波信号が時間領域信号である場合、計算される超音波信号における関心データを取得し、関心データにおける1つ又は複数の時間枠内のデータの信号エネルギーを計算する。なお、信号エネルギーを計算できる任意の方式により関心データの信号エネルギーを計算することができるが、本発明ではこれに限定されない。例を挙げると、振幅二乗の方式により関心領域の信号エネルギーを計算することができる。関心データの信号エネルギーの強度を取得した後、信号エネルギーに対してフィッティング操作を行い、計算される超音波信号の減衰情報を取得することができる。
【0035】
なお、現在の超音波信号が複数の線の信号である場合、複数の線の信号を複数のブロックに分割し、各ブロックの減衰情報を個別に計算し、各ブロックの減衰情報の平均値を計算し、超音波信号の減衰情報を取得することができる。超音波信号を分割し、さらに平均値を計算することによって、超音波信号の減衰情報を計算する精度を向上させることができる。
【0036】
本実施例により提供される信号減衰の計算方法は、前記計算される超音波信号が時間領域信号である場合、前記計算される超音波信号における関心データを取得し、前記関心データにおける少なくとも一部のデータの信号エネルギーを計算し、前記信号エネルギーに対してフィッティング操作を行い、前記計算される超音波信号の減衰情報を取得する。それにより、時間領域超音波信号の減衰情報を計算することができる。
【0037】
図4は本発明の実施例4により提供される信号減衰の計算方法のフローチャートである。上記任意の実施例に基づいて、図4に示すように、前記方法は以下のステップを含む。
【0038】
ステップ401では、組織内で伝播する超音波信号を受信する。
【0039】
ステップ402では、前記超音波信号に対して信号復元操作を行い、計算される超音波信号を取得する。
【0040】
ステップ403では、前記計算される超音波信号が周波数領域信号である場合、前記計算される超音波信号内の関心データを取得する。
【0041】
ステップ404では、短時間フーリエ変換により前記関心データにおける1つ又は複数の時間枠に対応するデータの信号エネルギーを計算する。
【0042】
ステップ405では、前記信号エネルギーに対してフィッティング操作を行い、前記計算される超音波信号の減衰情報を取得する。
【0043】
本実施例において、計算効率を向上させるために、超音波信号における関心領域の関心データに対して信号減衰計算を行うことができる。計算される超音波信号を取得した後、まず計算される超音波信号のタイプを決定する必要があり、計算される超音波信号が周波数領域信号である場合、計算される超音波信号における関心データを取得し、関心データにおける少なくとも一部のデータの信号エネルギーを計算する。具体的には、短時間フーリエ変換により関心データの信号エネルギーを計算することができる。関心データの信号エネルギーの強度を取得した後、信号エネルギーに対してフィッティング操作を行い、計算される超音波信号の減衰情報を取得することができる。
【0044】
本実施例により提供される信号減衰の計算方法は、前記計算される超音波信号が周波数領域信号である場合、前記計算される超音波信号内の関心データを取得し、短時間フーリエ変換により前記関心データにおける少なくとも一部のデータの信号エネルギーを計算し、前記信号エネルギーに対してフィッティング操作を行い、前記計算される超音波信号の減衰情報を取得する。それにより、周波数領域超音波信号の減衰情報を計算することができる。
【0045】
なお、異なるタイプの超音波信号については、そのタイプを変換し、同じ計算方法を用いて変換後の超音波信号の減衰情報を計算することができる。具体的には、周波数領域信号を時間領域信号に変換するか、又は、時間領域信号を周波数領域信号に変換することができるが、本発明ではこれに限定されない。
【0046】
さらに、上記任意の実施例に基づいて、前述の前記信号エネルギーに対してフィッティング操作を行い、前記計算される超音波信号の減衰情報を取得することは、前記信号エネルギーに対して一次元線形フィット及び/又は最小二乗フィット及び/又は3次スプラインフィット操作を行い、前記計算される超音波信号の減衰情報を取得することを含む。
【0047】
本実施例において、線形フィット方式又は非線形フィット方式により超音波信号の減衰情報を計算することができる。例を挙げると、具体的には、関心データの信号エネルギーに対して一次元線形フィット及び/又は最小二乗フィット及び/又は3次スプラインフィット操作を行うことによって、前記計算される超音波信号の減衰情報を取得することができる。また、他のフィッティングアルゴリズムを用いて超音波信号の減衰情報を計算することができるが、本発明ではこれに限定されない。
【0048】
本実施例により提供される信号減衰の計算方法は、前記信号エネルギーに対して一次元線形フィット及び/又は最小二乗フィット及び/又は3次スプラインフィット操作を行い、前記計算される超音波信号の減衰情報を取得することによって、超音波信号の減衰情報を正確に計算することができる。
【0049】
図5は本発明の実施例5により提供される信号減衰の計算方法のフローチャートである。上記任意の実施例に基づいて、図5に示すように、前記方法はさらに以下を含む。
【0050】
ステップ501では、組織内で伝播する超音波信号を受信する。
【0051】
ステップ502では、前記超音波信号に対して信号復元操作を行い、計算される超音波信号を取得する。
【0052】
ステップ503では、前記計算される超音波信号のタイプを決定し、前記計算される超音波信号のタイプに基づいて、前記タイプに対応する計算方式により前記計算される超音波信号の減衰情報を計算する。
【0053】
ステップ504では、前記関心データの中心周波数を決定する。
【0054】
ステップ505では、前記減衰情報を前記関心データの中心周波数で除算することによって、前記超音波信号の信号減衰を取得する。
【0055】
本実施例において、計算して超音波信号の減衰情報を取得した後、該減衰情報に対して正規化処理を行い、超音波信号の信号減衰を取得することができる。具体的には、関心データの中心周波数を決定し、減衰情報及び該関心データの中心周波数により超音波信号の信号減衰を計算することができる。具体的には、減衰情報を該関心データの中心周波数で除算することによって、超音波信号の減衰情報を正規化することができる。実際の応用を例にすると、計算によりA領域信号の減衰情報が100dB/m、A領域信号の中心周波数が2MHzであり、B領域信号の減衰情報が500dB/m、B領域信号の中心周波数が5MHzである場合、減衰情報を該関心データの中心周波数で除算することによって、超音波信号の減衰情報を正規化し、それによりA領域信号の減衰信号の減衰が50dB/m/MHz、B領域信号の信号減衰が100dB/m/MHzであると決定することができる。また、減衰情報を正規化することによって、超音波信号における各領域の単位が一致することを保つことができ、後続の計算や処理を容易にする。
【0056】
本実施例により提供される信号減衰の計算方法は、前記関心データの中心周波数を決定し、前記減衰情報を前記関心データの中心周波数で除算することによって、前記超音波信号の信号減衰を取得する。それにより、超音波信号における各領域の単位が一致することを保つことができ、後続の計算や処理を容易にする。
【0057】
図6は本発明の実施例6により提供される信号減衰の計算装置の構成図である。図6に示すように、前記装置は以下を含む。
【0058】
取得モジュール61は、組織内で伝播する超音波信号を受信することに用いられる。
【0059】
復元モジュール62は、前記超音波信号に対して信号復元操作を行い、計算される超音波信号を取得することに用いられる。
【0060】
計算モジュール63は、前記計算される超音波信号のタイプを決定し、前記計算される超音波信号のタイプに基づいて、前記タイプに対応する計算方式により前記計算される超音波信号の減衰情報を計算することに用いられる。
【0061】
超音波信号については、超音波信号の分析を実現するために、超音波信号の減衰を計算する必要があるため、まず計算される減衰情報の超音波信号を取得する必要がある。具体的には、超音波画像形成システムによって超音波信号を取得することができる。一部の領域に焦点を当てるために、一般的にはプローブフォーカス又はシステムゲイン等の設定が使用されている。従って、プローブフォーカス又はシステムゲインを行った超音波信号によって計算された減衰情報は正確でないことがよくある。信号減衰情報の正確性を向上させるために、超音波信号を取得した後、該超音波信号に対して信号復元操作を行い、計算される超音波信号を取得する必要がある。理解すべきであることは、計算される超音波信号は時間領域信号及び周波数領域信号という2種類の異なるタイプがある。減衰情報の計算精度を保証するために、異なるタイプの計算される超音波信号に対して、異なる計算方法を使用しなければならない。従って、計算される超音波信号を取得した後、まず該計算される超音波信号のタイプを決定し、異なるタイプに基づいて該信号タイプに対応する計算方法を使用し、信号タイプに対応する計算方法を使用して計算される超音波信号を計算することによって、超音波信号に対応する減衰情報を取得する。任意選択的に、該超音波信号は一次元超音波信号、二次元超音波信号、三次元超音波信号であってもよいが、本発明ではこれらに限定されない。
【0062】
本実施例により提供される信号減衰の計算装置は、超音波画像形成システムが超音波信号を取得し、前記超音波信号に対して信号復元操作を行い、計算される超音波信号を取得し、前記計算される超音波信号のタイプを決定し、前記計算される超音波信号のタイプに基づいて、前記タイプに対応する計算方式により前記計算される超音波信号の減衰情報を計算する。それにより、信号減衰計算の流れが簡素化し、さらに市販のプローブを用いて信号減衰の計算を実現することができ、操作しやすく、適用性が高く、また、取得した超音波信号に対して信号復元を行った後に減衰計算を行うことによって、減衰計算の精度及び効率を向上させることができる。
【0063】
さらに、上記任意の実施例に基づいて、前記復元モジュールは以下を含む。
【0064】
決定ユニットは、前記超音波信号に対応するシステムゲインパラメータ及び/又はプローブフォーカスパラメータを決定することに用いられる。
【0065】
復元ユニットは、前記システムゲインパラメータ及び/又はプローブフォーカスパラメータに基づいて、前記超音波信号に対して信号復元操作を行い、計算される超音波信号を取得することに用いられる。
【0066】
さらに、上記任意の実施例に基づいて、前記計算モジュールは以下を含む。
【0067】
第1取得ユニットは、前記計算される超音波信号が時間領域信号である場合、前記計算される超音波信号における関心データを取得することに用いられる。
【0068】
第1計算ユニットは、前記関心データにおける1つ又は複数の時間枠内のデータの信号エネルギーを計算することに用いられる。
【0069】
第1フィッティングユニットは、前記1つ又は複数の時間枠内の信号エネルギーに対してフィッティング操作を行い、前記計算される超音波信号の減衰情報を取得することに用いられる。
【0070】
さらに、上記任意の実施例に基づいて、前記計算モジュールは以下を含む。
【0071】
第2取得ユニットは、前記計算される超音波信号が周波数領域信号である場合、前記計算される超音波信号内の関心データを取得することに用いられる。
【0072】
第2計算ユニットは、短時間フーリエ変換により前記関心データにおける1つ又は複数の時間枠に対応するデータの信号エネルギーを計算することに用いられる。
【0073】
第2フィッティングユニットは、前記信号エネルギーに対してフィッティング操作を行い、前記計算される超音波信号の減衰情報を取得することに用いられる。
【0074】
さらに、上記任意の実施例に基づいて、前記第2フィッティングユニットは、具体的には、前記信号エネルギーに対して一次元線形フィット及び/又は最小二乗フィット及び/又は3次スプラインフィット操作を行い、前記計算される超音波信号の減衰情報を取得することに用いられる。
【0075】
さらに、上記任意の実施例に基づいて、前記装置はさらに以下を含む。
【0076】
決定モジュールは、前記関心データの中心周波数を決定することに用いられる。
【0077】
信号減衰計算モジュールは、前記減衰情報を前記関心データの中心周波数で除算することによって、前記超音波信号の信号減衰を取得することに用いられる。
【0078】
図7は本発明の実施例7により提供される信号減衰の計算デバイスの構成図である。図7に示すように、前記信号減衰の計算デバイスは、メモリ71及びプロセッサ72を含む。
【0079】
ここで、メモリ71は前記プロセッサ72が実行可能な命令を記憶することに用いられる。
【0080】
前記プロセッサ72は上記任意の実施例に記載の信号減衰の計算方法を実行するように構成されている。
【0081】
本発明のさらなる実施例は、コンピュータ実行命令が記憶され、前記コンピュータ実行命令がプロセッサにより実行される時に前記信号減衰の計算方法を実現することに用いられる、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供する。
【0082】
当業者であれば、説明の便宜及び簡潔さのために、上記装置の具体的な動作プロセスは前述の方法の実施例に対応するプロセスを参照できることを明確に理解すべきであり、ここではその説明を省略する。
【0083】
当業者であれば、上記各方法の実施例の全て又は一部のステップを実現するために、プログラム命令に関連するハードウェアによって実施され得ることを理解することができる。前述のプログラムはコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶することができる。該プログラムが実行される時、上記各方法の実施例を含むステップが実行される。前述の記憶媒体は、ROM、RAM、磁気ディスク又は光ディスク等のプログラムコードを記憶する様々な媒体を含む。
【0084】
最後に説明すべきこととして、上記各実施例は、本発明の技術的解決手段を説明するものに過ぎず、それらを限定するものではない。上述した各実施例を参照して本発明を詳しく説明したが、当業者であれば、依然として上述した各実施例に記載の技術的解決手段を修正し、又はその一部若しくは全ての技術的特徴に対して等価置換を行うことができると理解すべきである。これらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の主旨を本発明の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱させるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7