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特許7364290外耳道内の人体組織に音響伝達のためのサウンドアンカー及びこれを備えた半植込み型補聴器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】外耳道内の人体組織に音響伝達のためのサウンドアンカー及びこれを備えた半植込み型補聴器
(51)【国際特許分類】
   A61F 11/00 20220101AFI20231011BHJP
   H04R 25/02 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
A61F11/00 310
A61F11/00 320
H04R25/02 C
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022509169
(86)(22)【出願日】2019-10-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(86)【国際出願番号】 KR2019013422
(87)【国際公開番号】W WO2021029482
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】10-2019-0098741
(32)【優先日】2019-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522056585
【氏名又は名称】セイフォード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SAFAUD INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ハン チャンヨン
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0094922(US,A1)
【文献】特開2004-166174(JP,A)
【文献】特表2005-533453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 11/00
H04R 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1リンク;及び
使用者の外耳道内壁に固定され、前記第1リンクからの音響と振動を受信して外耳道骨部、骨部皮膚表面及び鼓膜の耳小骨突出部のうち少なくとも1つに伝達するアンカー;を含み、
前記アンカーは、連結部と前記連結部に設置された外耳道コンタクト部を含み、
前記外耳道コンタクト部は、前記連結部の一側端部に設置されて前記皮膚表面に接触する第1コンタクト部及び前記連結部の他側端部に設置されて前記皮膚表面に接触する第2コンタクト部を含み、
前記第1リンクは、前記アンカーと着脱可能であり、
前記アンカーは、外耳道内壁に対して前記皮膚表面を介して力を加えることにより、外耳道内に設置される
外耳道内の人体組織に音響と振動の伝達のためのサウンドアンカー。
【請求項2】
前記皮膚表面に対向する外耳道内骨部に直接的に音響と振動を伝達するための
請求項1に記載の外耳道内の人体組織に音響と振動の伝達のためのサウンドアンカー。
【請求項3】
前記連結部は、前記第1コンタクト部が設置された第1連結部、前記第2コンタクト部が設置された第2連結部並びに前記第1及び第2連結部を連結する連結部長さ調節装置を含み、
前記連結部長さ調節装置は、前記連結部の長さが収縮するとき、復元力を提供して前記アンカーを前記外耳道内に固定させる
請求項2に記載の外耳道内の人体組織に音響と振動の伝達のためのサウンドアンカー。
【請求項4】
前記連結部長さ調節装置は、前記第1及び第2連結部と着脱可能なばねで構成された
請求項3に記載の外耳道内の人体組織に音響と振動の伝達のためのサウンドアンカー。
【請求項5】
前記第1及び第2コンタクト部のそれぞれは弾性材質で構成され、
前記第1コンタクト部は、前記連結部の上部面を露出した状態で前記連結部の一側端部を囲んで位置し、
前記第2コンタクト部は、前記連結部の下部面を露出した状態で前記連結部の他側端部を囲んで位置し、
前記アンカーが前記外耳道内壁に設置されると、前記第1及び第2コンタクト部は前記外耳道内壁の形状に対応して変形して前記連結部の上部面及び下部面のそれぞれが前記皮膚表面に接触する
請求項2に記載の外耳道内の人体組織に音響と振動の伝達のためのサウンドアンカー。
【請求項6】
前記第1リンクの一端は、磁気的な結合及び結合解除により前記アンカーと着脱可能である
請求項2に記載の外耳道内の人体組織に音響と振動の伝達のためのサウンドアンカー。
【請求項7】
前記第1リンクは、第1-1リンク及び前記第1-1リンクと前記アンカーを連結する第1-2リンクを含み、
前記第1リンクを前記外耳道内に挿入するとき、前記第1-2リンクは前記磁気的な結合による引力により曲げられるようにフレキシブルである
請求項6に記載の外耳道内の人体組織に音響と振動の伝達のためのサウンドアンカー。
【請求項8】
前記連結部には、前記第1リンクの一端を収容して前記第1リンクの一端と前記磁気的に結合される溝部が形成された
請求項6に記載の外耳道内の人体組織に音響と振動の伝達のためのサウンドアンカー。
【請求項9】
前記第1リンクは、前記第1連結部又は前記第2連結部と着脱可能である
請求項3に記載の外耳道内の人体組織に音響と振動の伝達のためのサウンドアンカー。
【請求項10】
前記アンカーからの音響と振動を受信して前記使用者の鼓膜と耳小骨部位に伝達する第2リンクをさらに含み、
前記第2リンクの一端は前記鼓膜に接触し、前記第2リンクの他端は前記アンカーに連結された
請求項1に記載の外耳道内の人体組織に音響と振動の伝達のためのサウンドアンカー。
【請求項11】
前記第2リンクの一端は前記鼓膜の表面の領域のうち耳小骨の槌骨短突起により突出した領域に接触する
請求項10に記載の外耳道内の人体組織に音響と振動の伝達のためのサウンドアンカー。
【請求項12】
前記第2リンクの一端には、前記突出した領域に対応する形状を有し、前記突出した領域をカバーするキャップが設置された
請求項11に記載の外耳道内の人体組織に音響と振動の伝達のためのサウンドアンカー。
【請求項13】
前記第1リンクからの音響と振動は、前記アンカーを介して前記使用者の外耳道骨部内の皮膚表面と骨導に伝達されて骨導聴力を提供し、
前記アンカーから伝達された音響と振動は、前記第2リンクを介して前記鼓膜と耳小骨に伝達されて耳小骨振動による聴力を提供する
請求項10に記載の外耳道内の人体組織に音響と振動の伝達のためのサウンドアンカー。
【請求項14】
第1リンク;及び
使用者の外耳道内壁に固定され、前記第1リンクと連結されたアンカー;を含み、
前記アンカーは連結部と前記連結部の一側及び/又は他側に設置されたマイクロ針を含み、
前記マイクロ針は、前記外耳道内の皮膚層を貫通して貫通した皮膚層と対応する側頭骨に接触し、
前記第1リンクから伝達された音響と振動は、前記連結部及び前記マイクロ針を介して前記側頭骨に伝達され、
前記第1リンクは、前記アンカーと着脱可能であり、
前記アンカーは、外耳道内壁に対して前記皮膚表面を介して力を加えることにより、外耳道内に設置される
外耳道内の人体組織に音響と振動の伝達のためのサウンドアンカー。
【請求項15】
第1リンク;
使用者の外耳道内壁に固定され、前記第1リンクの一端に連結されたアンカー;
前記アンカーに連結された一端が連結された第2リンク;及び
前記第2リンクの他端に連結されて前記使用者の鼓膜に隣接して位置するキャップ;を含み、
前記第1リンク及び第2リンクが相互連結され、
前記第1リンクの他端に連結された外部装置から生成された音は、前記第1及び第2リンクを介して前記キャップを介して前記鼓膜と耳小骨に伝達され、
前記第1リンクは、前記アンカーと着脱可能であり、
前記アンカーは、外耳道内壁に対して前記皮膚表面を介して力を加えることにより、外耳道内に設置される
外耳道内の人体組織に音響と振動の伝達のためのサウンドアンカー。
【請求項16】
前記第1リンク及び第2リンクが相互連結されて1つの管を構成する
請求項15に記載の外耳道内の人体組織に音響と振動の伝達のためのサウンドアンカー。
【請求項17】
請求項1乃至13のいずれかの1項によるサウンドアンカー;及び
前記第1リンクと連結されて前記第1リンクに伝達される音響信号を用いて音響と振動を生成する外部装置;を含む
半植込み型補聴器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外耳道内の人体組織に音響を伝達するためのサウンドアンカー及びサウンドアンカーを備えた半植込み型補聴器に関する。より詳しくは、本発明は使用者の外耳道内の皮膚又は骨部組織や鼓膜と耳小骨に接触したサウンドアンカーの音響や振動の伝達により使用者に聴覚を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者人口の増加と騒音環境により難聴患者は増加し続けている。最近、補聴器(conventional hearing aid)分野では様々な技術的発展があった。特に、フィードバック音(feedback)除去技術などのデジタル技術の発達により、開放型補聴器が広く使われており、騒音除去技術などにより騒音の状況における語音理解力が向上し、また、そのサイズが小さくなるにつれて難聴患者がより容易に着用できるようになった。しかしながら、空気伝導(air conduction)という音伝達方式の場合、音響フィードバック音(acoustic feedback)、 イヤモールド(ear mold)による閉鎖効果、高周波での不十分な利得、非線形的歪み(nonlinear distortion)などの問題は依然として解決しにくい。また、外耳道の刺激や着用による不快感、耳漏がある場合の着用の問題点など、様々な問題が依然として存在する。このような問題点を解決するために、様々な骨伝導、鼓膜伝導、中耳移植などの音伝達方法に関する研究開発が続いている。1935年に鉄の粒子により鼓膜を振動させる実験をきっかけにして、1950年代後半に入って鼓膜に交差型磁場を装置する研究が本格的に行われた。このような初期の試みは今後植込み型骨導補聴器の臨床的可能性を評価する研究の根幹となった。実験室でのみ行われていた研究が徐々に臨床現場に移動して、1977年に「骨伝導直接方式」を成功させ、1981年に側頭葉に補聴器を直接付着して約15dBの聴覚的利得を提供した。このような骨伝導刺激伝達方式は植込み型骨導補聴器が蝸牛に近接するほど効果的に音を伝達するだろうという論理に基づいて1995年に植込み型骨導補聴器を乳様突起の約55mmの深さに挿入した。2001年に米国食品医薬品局では植込み型骨導補聴器が周辺の背景騒音中で音源を認知したり、音源の位置を判断するのに臨床的に大きな効果があることを確認して両側移植術を承認し、翌年の2002年9月に一側性難聴(single sided deafness、SSD)患者のための骨導補聴器移植を承認した。韓国内においても2005年に最初の移植術を皮切りに、着実に手術件数が増えている。しかしながら、移植された骨導補聴器は乳様突起部の持続的な圧迫による付着部の痛み、皮膚刺激、頭痛などの不便さを誘発させ、付着部の不安定などの短所があった。これに対する1つの解決方案として、最近、皮下植込み型骨伝導補聴器と中耳植込み型補聴器への開発努力が続いている。皮下植込み型骨導補聴器は既存の植え込み型骨導補聴器と比較すると、外耳の副次的な炎症なしに着用が楽で使用が簡便であり、美的にも優れている。また、中耳植込み型補聴器は、皮膚や軟部組織を経由せずに直接耳小骨を刺激して音を伝達するため、比較的楽に音を聞くことができるという長所が大きい。すなわち、送話器を介して入ってきた音を患者の聴力閾値に合わせて適切に増幅させた後、中耳内に移植された振動トランスデューサに信号を伝達して振動信号を発生させることにより、使用者が音を認識できるようにする。従って、骨導伝道や中耳植込みによる音刺激は、外耳道と中耳あるいは中耳の一部を経由せずに蝸牛管に直接伝達されるため、聴力回復の結果は患者の蝸牛機能によって大きく左右される。言い換えれば、音の伝達過程で外耳道経路を経由しないため、音響フィードバック現象がなく、過度な増幅を使用しないため音の歪みも少ない。また、音の周波数特性を比較的そのまま内耳に伝達するため、語音明瞭度も空気伝導補聴器よりも優れている。植込み型骨導補聴器は頭蓋骨に直接機器を取り付けることにより聴力の改善を図る聴覚リハビリの手段であって、患者の鼓膜や耳小骨の有無と関係なく聴力改善を期待できるという点と、既存の骨導補聴器の短所として指摘されてきた皮膚及び皮下軟部組織による減衰量を改善できるという点で、慢性中耳炎患者や外耳奇形により空気伝導補聴器の着用が困難な患者に有用な代案となってきた。また、一側性難聴患者に植込み型骨導補聴器は、難聴がある耳の方から音刺激を受けて頭蓋骨の振動による骨伝導方式であり、蝸牛管の機能が完全な反対側の耳に伝達するCROS(contralateral routing of signal)の役割により頭影効果(head shadow effect)を最小化するとよく知られている。しかしながら、このような植込み型補聴器は、臨床実験に多くの時間が要求され、手術費用が高いため患者にとって植込み型補聴器の選択に対する大きな負担となっている。また、手術的な方法により人体に装置を挿入しなければならないので、MRIを実施できないという短所がある。詳しくは、Adhearブランドとして紹介される既存の皮膚付着方式は、絆創膏タイプとして簡単な方法であるが、皮膚層による20dBの減衰が発生するため、高品質のサウンドの伝達に限界があると知られている。そして、植込み型補聴器としてBAHA、Sound Bridgeなどのブランド製品があるが、医療法的制限、材料の安定性の問題があり、手術が必要で、非常に高価であるため、一般消費者のアクセスが容易でない。また、既存の外耳道を介する骨伝導方式は事実上の軟骨刺激に過ぎないため、音伝達の品質が低下する。
【0003】
患者の状態に応じて適用可能な補聴器の種類が異なり、それぞれの長短所を持っているので、特定種類の補聴器が主流をなしていると言えず、様々な種類の補聴器のそれぞれについて多くの研究開発が続いてくるとともに多くの補聴器会社と研究機関は研究に関連した多くの特許活動をしている。
【0004】
例示的に、KR2013-0131057の「ハイブリッド聴覚機器」は外耳道内の皮膚に接触可能な振動部を備えて、これにより外耳道内の骨を介する骨伝導音を提供する技術であり、JP2002-311872の「外耳道内挿入型骨伝導受話器、並びに外耳道内挿入型骨伝導補聴器」の技術は骨伝導聴感の効率を高めるために骨伝導受話器を外耳道内に挿入して外耳道の内壁を介して振動を伝達する技術である。そして、US12-168603の「Hearing device having one or more in-the-canal vibrating extensions」は脈動する拡張子を外耳道内の皮膚表面に付着して振動を伝達する方式である。しかしながら、このような従来技術は、振動部が外耳道内を密閉することによる着用の不便さの問題と閉鎖効果による不便さの問題、そして、補聴器の着脱の時、拡張子と外耳道内の皮膚の間の反復的な摩擦により、外耳道内の皮膚が損傷する問題がある。
【0005】
他の側面において、前述したように音伝達の効率をより高めるために1935年に鉄粒子で鼓膜を振動させる実験をきっかけに1950年代後半に入ってから鼓膜に交差型磁場を装置する研究が本格的に行われてくるなど、鼓膜を直接刺激する技術と関連して多くの技術開発が行われてきた。例えば、 日本特許公開番号 JP2008-039517の「接触型振動子及びこれを用いた聴取装置」は、鼓膜に接触可能なチップを利用して鼓膜に直接振動を伝達し、チップの位置を調節して外耳道内の経路上の長さに対応できる技術である。そして、 欧州特許公開番号 EP2000-990232の「Direct tympanic drive via a floating filament assembly」は鼓膜に付着するパッド、パッドに連結されたシャフト及びシャフトに振動を伝達する装置に関する。このような技術は鼓膜に直接的に振動を伝達する点で音の伝達の効率が高い。しかしながら、補聴器を着用するたびに補聴器からのチップ(tip)を鼓膜に接触させる過程が毎度必要であるので、チップと鼓膜の接触による痛みと、補聴器の着用時にチップが鼓膜に加える過度な力による鼓膜損傷という致命的な限界が指摘されている。
【0006】
また、鼓膜に直接振動を伝達するチップのような装置が鼓膜に正確に接触するように誘導するための追加的な装置に関する技術が紹介された。例示的に、JP2004-187953の補聴器は、鼓膜に直接的な振動伝達及び振動伝達のための導音子が外耳道内に安定的に固定されるようにするための導管保持部材を備える技術であり、 欧州特許公開番号 EP2015-187326の「Positioned hearing system」はアンカーピンを利用して挿入部を固定し、挿入部から引き出されたハンマーを利用して鼓膜に直接振動を伝達する技術である。このような従来技術は、導音子や挿入部を、鼓膜の接触地点に正確に到達するようにガイドする役割をしているが、依然として補聴器を着用するたびに鼓膜に装置が接触されることによる痛みの問題と鼓膜に無理な力の作用による鼓膜と耳小骨の損傷問題を引き起こす。特に、EP2015-187326の「Positioned hearing system」はアンカーピンを外耳道内の皮膚層を貫通して骨にインプラントさせているが、これは外部から水や異物の流入による損傷皮膚層の感染のような問題は深刻なものと指摘されている。
【0007】
これまで鼓膜に装置を設置する技術についても多くの研究開発が行われてきている。過去、 米国特許公開番号 US09-175199の「Implantable and external hearing systems having a floating mass transducer」、 韓国特許公開番号 KR1993-7001355の「聴覚装置のための接触変換機組立体」をはじめ、最近、US15-944595の「Transducer devices and methods for hearing」に至るまで、現在まで振動装置を鼓膜に直接付着する技術に関する研究開発が行われている。このような技術は、鼓膜の外部表面に装置を付着することであるが、鼓膜の一部領域に対する損傷を引き起こす鼓膜貫通型装置に関連した 韓国特許公開番号 韓国特許公開番号 KR2008-0066061の植込み型補聴器用の鼓膜振動装置及びその鼓膜振動装置用の設置装置」、 韓国特許公開番号 KR2008-0002461の「鼓膜貫通型振動素子及びこれを用いた植込み型補聴器」も紹介されている。しかしながら、鼓膜は厚さが0.1mmほどで非常に薄く、横縦9mmでサイズが非常に小さいため、振動装置を鼓膜に設置する施術は非常に難しい施術である。また、振動装置が鼓膜に長時間固定的に維持され難く、鼓膜の大部分の領域を振動装置がカバーするため鼓膜の残存聴力を活用できない問題がある。また、鼓膜と接触する耳小骨に加えられる圧力が持続されることにより、骨溶解現象という深刻な問題も指摘されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の技術の問題点を改善するとともに医療法的制限を最小化できる簡単な施術により人体に設置が可能であり、高品質の音伝達が可能なサウンドアンカーとこれを備えた補聴器を提供する。
【0009】
また、本発明は、耳掛け型、外耳道型などの着用方式に制限がなく、多様な補聴器と連動可能なサウンドアンカーを提供する。
【0010】
また、本発明は、従来の外耳道挿入型骨伝導補聴器が事実上軟骨刺激方法に該当して音伝達の品質が低下する問題を解決するために、外耳道内の骨導に直接又は薄い皮膚層を介して間接的に伝達するか、鼓膜と耳小骨に音響を伝達できるサウンドアンカー及びこれを備えた補聴器を提供する。
【0011】
また、サウンドアンカーは、サウンドアンカーの駆動のための別途のバッテリを備えないので、バッテリの周期的な交換の問題を解決できるサウンドアンカー及びこれを備えた補聴器を提供する。
【0012】
また、皮膚損傷を伴う従来の植え込み型補聴器の感染問題、清潔問題を解決できるサウンドアンカー及びこれを備えた補聴器を提供する。
【0013】
また、外部の音響素子と連結する基本的なサウンドアンカーと超小型の音響素子を内蔵するサウンドアンカーの2種類を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
実施例は、第1リンク;及び使用者の外耳道の内壁に固定され、前記第1リンクからの音響と振動を受信して外耳道骨部、骨部皮膚の表面及び鼓膜の耳小骨突出部の少なくとも1つに伝達するアンカー;を含み、前記アンカーはバー(Bar)形状の連結部と、前記連結部に設置された外耳道コンタクト部とを含み、前記外耳道コンタクト部は、前記連結部の一側端部に設置されて前記皮膚表面または骨部に接触する第1コンタクト部及び前記連結部の他側端部に設置されて前記皮膚表面または骨部に接触する第2コンタクト部を含み、前記第1リンクは前記アンカーと着脱可能である外耳道内の人体組織に音響と振動伝達のためのサウンドアンカーを提供する。
【0015】
他の側面において、前記皮膚表面に対向する外耳道内骨部に直接的に音響と振動を伝達するための外耳道内の人体組織に音響と振動の伝達のためのサウンドアンカーを提供する。
【0016】
他の側面において、前記連結部は、前記第1コンタクト部が設置された第1連結部、前記第2コンタクト部が設置された第2連結部、並びに前記第1及び第2連結部を連結する連結部長さ調節装置を含み、前記連結部長さ調節装置は、前記連結部の長さが収縮する時に復元力を提供して前記アンカーを前記外耳道内に固定させる外耳道内の人体組織に音響と振動伝達のためのサウンドアンカーを提供する。
【0017】
他の側面において、前記連結部長さ調節装置は前記第1及び第2連結部と着脱可能なばねで構成された外耳道内の人体組織に音響と振動伝達のためのサウンドアンカーを提供する。
【0018】
他の側面において、前記第1及び第2コンタクト部のそれぞれは弾性材質で構成され、前記第1コンタクト部は前記連結部の上部面を露出した状態で前記連結部の一側端部を囲んで位置し、前記第2コンタクト部は前記連結部の下部面を露出した状態で前記連結部の他側端部を囲んで位置し、前記アンカーが前記外耳道の内壁に設置されると、前記第1及び第2コンタクト部は前記外耳道の内壁の形状に対応して変形して前記連結部の上部面及び下部面のそれぞれが前記皮膚表面に接触する外耳道内の人体組織に音響と振動伝達のためのサウンドアンカーを提供する。
【0019】
他の側面において、前記第1リンクの一端は磁気的な結合及び結合の解除により前記アンカーと着脱可能である外耳道内の人体組織に音響と振動伝達のためのサウンドアンカーを提供する。
【0020】
他の側面において、前記第1リンクは第1-1リンク及び前記第1-1リンクと前記アンカーを連結する第1-2リンクを含み、前記第1リンクを前記外耳道内に挿入時、前記第1-2リンクは前記磁気的な結合による引力により曲げられるようにフレキシブルである外耳道内の人体組織に音響と振動伝達のためのサウンドアンカーを提供する。
【0021】
他の側面において、前記連結部には前記第1リンクの一端を収容して前記第1リンクの一端と前記磁気的に結合される溝部が形成された外耳道内の人体組織に音響と振動伝達のためのサウンドアンカーを提供する。
【0022】
他の側面において、前記第1リンクは前記第1連結部または前記第2連結部と着脱可能である外耳道内の人体組織に音響と振動伝達のためのサウンドアンカーを提供する。
【0023】
他の側面において、前記アンカーからの音響と振動を受信して前記使用者の鼓膜と耳小骨部位に伝達する第2リンクをさらに含み、前記第2リンクの一端は前記鼓膜に接触し、前記第2リンクの他端は前記アンカーに連結された外耳道内の人体組織に音響と振動伝達のためのサウンドアンカーを提供する。
【0024】
他の側面において、前記第2リンクの一端は前記鼓膜の表面の領域のうち耳小骨の槌骨短突起により突出された領域に接触する外耳道内の人体組織に音響と振動伝達のためのサウンドアンカーを提供する。
【0025】
他の側面において、前記第2リンクの一端には前記突出された領域に対応する形状を有し、前記突出された領域をカバーするキャップが設置された外耳道内の人体組織に音響と振動伝達のためのサウンドアンカーを提供する。
【0026】
他の側面において、前記第1リンクからの伝達された音響と振動は、前記アンカーを介して前記使用者の外耳道骨部内の皮膚表面と骨導に伝達されて骨導聴力を提供し、前記アンカーからの伝達された音響と振動は前記第2リンクを介して前記鼓膜と耳小骨に伝達されて耳小骨振動による聴力を提供する外耳道内の人体組織に音響と振動伝達のためのサウンドアンカーを提供する。
【0027】
また他の側面において、第1リンク;及び使用者の外耳道の内壁に固定され、前記第1リンクと連結されたアンカー;を含み、前記アンカーはバー(Bar)形状の連結部と、前記連結部に設置されて前記外耳道の皮膚表面に接触する外耳道コンタクト部及び前記連結部に設置されて前記第1リンクからの信号に基づいて音響や振動を生成して前記皮膚表面と骨部に出力する出力部とを含む、前記第1リンクは前記アンカーと着脱可能である外耳道内の人体組織に音響と振動伝達のためのサウンドアンカーを提供する。
【0028】
また他の側面において、第1リンク;及び使用者の外耳道の内壁に固定され、前記第1リンクと連結されたアンカー;を含み、前記アンカーはバー(Bar)形状の連結部と、前記連結部の一側及び/又は他側に設置されたマイクロ針とを含み、前記マイクロ針は前記外耳道内の皮膚層を貫通して貫通された皮膚層と対応する側頭骨に接触し、前記第1リンクから伝達された音響と振動は前記連結部及び前記マイクロ針を介して前記側頭骨に伝達され、前記第1リンクは前記アンカーと着脱可能である外耳道内の人体組織に音響と振動伝達のためのサウンドアンカーを提供する。
【0029】
また他の側面において、第1リンク;使用者の外耳道の内壁に固定され、前記第1リンクの一端と連結されたアンカー;前記アンカーに連結された一端が連結された第2リンク;及び前記第2リンクの他端に連結されて前記使用者の鼓膜に隣接して位置するキャップ;を含み、前記第1リンク及び第2リンクが互いに連結され、前記第1リンクの他端と連結された外部装置から生成された声は前記第1及び第2リンクを介して前記キャップを介して前記鼓膜と耳小骨に伝達され、前記第1リンクは前記アンカーと着脱可能である外耳道内の人体組織に音響と振動伝達のためのサウンドアンカーを提供する。
【0030】
他の側面において、前記第1リンク及び第2リンクが互いに連結されて、1つの管を構成する外耳道内の人体組織に音響と振動伝達のためのサウンドアンカーを提供する。
【0031】
また他の側面において、前述のサウンドアンカー;及び前記第1リンクと連結されて前記第1リンクに伝達される音響信号を利用して音響と振動を生成する外部装置;を含む半植込み型補聴器を提供する。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、皮膚組織を切開するなどの施術行為を伴わないので、医療法的な制限を最小化することができ、装置を構成する材料の安定性の問題を避けることができ、皮膚組織の損傷による感染問題や清潔の問題から比較的自由な利点がある。
【0033】
詳しくは、本発明は、アンカーの皮膚切開による設置ではなく、外耳道内壁に固定設置する方式であるため、複雑な手術が必要なく、皮膚損傷による頭蓋部と外耳道内の疾患などの副作用が発生することを遮断する。
【0034】
また、本発明の実施例は、外耳道骨部内の薄い皮膚層を介して骨導に直接的または間接的な音響刺激を伝達するか、外耳道の鼓膜と耳小骨部位を介して音響刺激を伝達する。従って、このような刺激が伝達される地点と蝸牛の間の距離が短いため、音の伝達効率が向上する。
【0035】
また、本発明の実施例によるサウンドアンカーは、構造が単純であるため、外耳道密閉による閉鎖感が減少するという利点がある。
【0036】
また、本発明の実施例は、サウンドアンカーを着用した状態でも外耳道内の余裕空間が十分であるため、外耳道内の耳の治療や診断が可能である。また、耳内の人体に対する複雑な手術又はMRIのような診断のように装置の除去が必要な場合にも、外耳道内からアンカーを簡単に除去することができる。
【0037】
また、本発明の実施例は、外耳道内の皮膚層の形状に合わせて外耳道コンタクト部の形状の変形が容易であるため、外耳道内壁の形状に関係なくアンカーが安定的に外耳道内に固定でき、また、皮膚の痛みを防止することができる。
【0038】
また、本発明の実施例は、アンカー上のマイクロ針が外耳道内の皮膚層を貫通して側頭骨に接触し、結果的にアンカーは外耳道上に固定される。従って、アンカーが皮膚層に加える圧力が最小化されるため痛みの誘発がなく、厚さが非常に薄いマイクロ針のみが皮膚層を貫通するに過ぎないため、皮膚層の感染問題を防止できる。
【0039】
また、本発明の実施例は、鼓膜にかかる圧力が所定の基準値以下に維持されることによる鼓膜の損傷問題や耳小骨にかかる圧力が維持されることによる耳小骨の骨溶解問題を防止する。
【0040】
また、本発明の実施例は、サウンドアンカーと分離可能な外部装置から生成した振動をサウンドアンカーに伝達する方式であるため、サウンドアンカーは電子装置やバッテリを備える必要がなく、サウンドアンカーの周期的なバッテリ交換を考慮する必要がない。
【0041】
また、本発明の実施例によるサウンドアンカーはシンプルな構造物で構成されるため、人体への影響を最小化することができる。
【0042】
また、本発明の実施例は、耳小骨は維持されているが、聴力が非常に悪い高度難聴患者のために鼓膜を介して耳小骨に刺激を与えて音を伝達することができる。
【0043】
また、本発明の実施例は、槌骨短突起から始まって複数の耳小骨を介する音の増幅機能を利用して音伝達品質を向上させることができる。
【0044】
また、本発明の実施例は、残存聴力を損なわないとともに槌骨短突起に集中的に振動を伝達することができる。また、鼓膜を介して突出した耳小骨の槌骨短突起を解剖生理学的な振動方式と類似に音を伝達できるので、音の伝達が人体工学的にシンプル且つ効率的である。
【0045】
また、本発明の実施例は、骨導を介する音伝達及び鼓膜と耳小骨の振動による音伝達を併用したハイブリッド方式の音伝達が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明の第1実施例による外耳道内の皮膚層に振動伝達のためのサウンドアンカーの構造を概略的に示す図である。
図2a-e】図1に示した第1実施例が外耳道内に設置されることを示す概念図である。
図3】本発明の第1実施例によるサウンドアンカーの第1リンクとアンカーとの連結関係を示す図である。
図4a】本発明の外耳道内に設置された第2の実施例によるサウンドアンカーを概略的に示す図である。
図4b】第2実施例による様々な形態を概略的に示す図である。
図5】鼓膜の表面に関する概略図であり、耳小骨による鼓膜の表面の突出部位を示す図である。
図6】鼓膜の突出領域にキャップが位置することを説明するための図である。
図7】第1及び第2リンクとアンカーで構成されたサウンドアンカーに関する概念図である。
図8】延長部をさらに含む連結部を備えたサウンドアンカーに関する概念図である。
図9】第1実施例による外耳道内に設置されたサウンドアンカーとサウンドアンカーと連結された外部装置に関する概略図である。
図10】第2実施例による外耳道内に設置されたサウンドアンカーとサウンドアンカーと連結された外部装置に関する概略図である。
図11】本発明の第3実施例によるサウンドアンカーを構成するアンカーに関する概略図である。
図12図11によるサウンドアンカーが外耳道内に設置されることを説明するための図である。
図13】外部装置と外耳道内のサウンドアンカーとの連結関係を説明するための図である。
図14】本発明の第4実施例によるサウンドアンカーが外耳道内に設置されることを説明するための図である。
図15】本発明の第5実施例によるサウンドアンカーに関する概略図である。
図16図15(a)に示された実施例によるサウンドアンカーが外耳道内に設置されることを説明するための図である。
図17図15(b)に示された実施例によるサウンドアンカーが外耳道内に設置されることを説明するための図である。
図18図15(c)に示された実施例によるサウンドアンカーが外耳道内に設置されることを説明するための図である。
図19】サウンドアンカーと外部装置の連結関係を示す図である。
図20】外耳道内に設置された第6実施例によるサウンドアンカーに関する概略図である。
図21】本発明の第7実施例によるサウンドアンカーを概略的に示す図である。
図22】連結部上に第1リンクが取り付けられることを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、様々な変換を加えることができ、種々の実施形態を有することができるところ、特定実施形態を図面に例示し、詳細な説明に詳細に説明しようとする。本発明の効果及び特徴、そして、それらを達成する方法は、図面とともに詳細に後述されている実施形態を参照すれば明確になるであろう。しかし、本発明は、以下において開示される実施形態等に限定されるものではなく、様々な形態で実現されることができる。以下の実施形態において、第1、第2などの用語は、限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的として使用された。また、単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。また、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴または構成要素が存在することを意味するものであり、1つ以上の他の特徴または構成要素が付加される可能性を予め排除するものではない。また、図面では、説明の都合のために、構成要素が、その大きさが誇張または縮小され得る。例えば、図面に表れた各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意に示したのであって、本発明が必ず図示された内容に限定されることではない。
【0048】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明し、図面を参照して説明するとき、同一または対応する構成要素には同一の図面符号を付与し、重複する説明は省略する。
【0049】
<外耳道内の皮膚層への振動伝達による骨導への刺激伝達方式>
図1は、本発明の第1実施例による外耳道内の皮膚層への振動伝達のためのサウンドアンカーの構造を概略的に示す図である。また、図2a乃至図2eは、図1に示した第1実施例が外耳道内に設置されることを示す概念図である。
【0050】
図1及び図2a乃至図2eを参照すると、第1実施例によるサウンドアンカー10はアンカー100を含む。
【0051】
アンカー100は外耳道内1に設置される。詳しくは、アンカー100は外耳道内1の周りを横切る形態で外耳道内1に設置される。また、アンカー100は外耳道内1において側頭骨と最も隣接した皮膚領域上に設置される。すなわち、外耳道内1にアンカー100が設置されると、アンカー100と側頭骨の間には非常に薄い皮膚層が位置し、アンカー100と側頭骨の間の間隔は非常に短い。
【0052】
アンカー100は連結部110と外耳道コンタクト部120から構成される。そして、外耳道コンタクト部120は第1コンタクト部121と第2コンタクト部122から構成される。
【0053】
例示的に図1(a)及び図2aに示されているように、連結部110と外耳道コンタクト部120は互いに一体に構成されて外耳道内1に設置される。
【0054】
連結部110と外耳道コンタクト部120は全体的に大文字Iのような形状になってもよい。
【0055】
連結部110は、垂直バー(Bar)の形状を有し、使用者の外耳道内1の直径に対応する長さを有する。すなわち、連結部110は使用者の外耳道内1において連結部110が設置された地点での外耳道の直径に対応する長さを有する。
【0056】
第1コンタクト部121は連結部110の一側端部に形成され、第2コンタクト部122は連結部110の他側端部に形成される。
【0057】
第1及び第2コンタクト部121、122のそれぞれの全体的な形状は、例示的に示されているように連結部110と互いに垂直のバー形状となってもよいが、これに限定されるものではなく、第1及び第2コンタクト部121、122の全体的な形状は多様である。また、第1及び第2コンタクト部121、122のそれぞれと使用者の外耳道内1の皮膚表面1aの相互接触面は、第1及び第2コンタクト部121、122と接触する使用者の外耳道内1の皮膚表面1aに対応する形状を有することができる。詳細には、外耳道内1の皮膚表面1aと接触する第1及び第2コンタクト部121、122の接触面が最大になるように第1及び第2コンタクト部121、122の接触面の形状が決定される。
【0058】
一方、接触面の大きさが大きいほど外耳道の形状を考慮して接触面を設計する必要があること、接触面の大きさが小さいほど外耳道コンタクト部120と外耳道内1の皮膚表面1aの相互接触時に使用者が痛みを感じる可能性が大きいことを考慮して、第1及び第2コンタクト部121、122と外耳道内1の皮膚表面1aの接触面の大きさが決定されることが好ましい。
【0059】
アンカー100はチタン素材で構成されてもよいが、これに限定されものではなく、外部から流入した水分、耳垢などの各種異物により変色、損傷、変形されず適正な強度を持った素材で構成される。ここで、適正な強度とは、使用者の日常生活や運動などの状況においても損傷するか外耳道内1で固定が解除されてアンカー100が離脱しない程度に適切に外耳道内壁に固定できる程度の強度を意味する。
【0060】
他の側面において、連結部110の一部領域は外耳道コンタクト部の一部を構成してもよい。例示的に、図1(b)や図2bを参照すると、連結部110は全体的にバー(Bar)形状を有し、両側端部の末端の上部及び下部面は外耳道内1の皮膚表面1aに接触する。より詳細には、両側端部の上部面と下部面が皮膚表面1aに接触する。また、外耳道コンタクト部120は、連結部110の端部を囲む形態で構成されてもよい。詳細に、第1コンタクト部121は、連結部110の一側端部の上部面を露出するとともに連結部110の一側端部を囲む形態で構成されてもよく、第2コンタクト部122は、連結部110の他側端部の上部面を露出するとともに連結部110の他側端部を囲む形態で構成されてもよい。
【0061】
外耳道コンタクト部120は弾性材質の素材で構成されてもよい。例示的にシリコン材質の素材で構成されてもよく、連結部110はチタン素材で構成されてもよい。ただし、外耳道コンタクト部120と連結部110の素材は、前述に限定されるものではなく、外部から流入された水分、耳垢などの各種異物により変色、損傷、変形されず、自然的な変形に強いとともに、適正な強度を有する素材で構成される。また、外耳道コンタクト部120は外耳道内1の皮膚表面1aとの接触による痛み未誘発及び固定力維持などを考慮した適正な弾性を有する素材で構成される。
【0062】
第1コンタクト部121の上部面は連結部110の一側端部の上部面より突出されるように構成され、第2コンタクト部122の上部面は連結部110の他側端部の上部面より突出されるように構成される。すなわち、アンカー100が外耳道内に設置されるとき、外耳道内1の皮膚表面1aとアンカー100の相互接触による圧力が外耳道コンタクト部120の上部面に加えられて第1及び第2コンタクト部121、122の上部面と連結部110の一側及び他側端部の上部面(連結部の上部面と連結部の下部面)が外耳道内1の皮膚表面1aに同時に接触できるように突出程度を決定する。
【0063】
一方、連結部110は、両側端部にかかる圧力により所定の反りが発生する。例示的に図2cに示されているように、外耳道の内壁の直径が連結部110の長さより短い場合、アンカー100が外耳道内1に設置されると、連結部110は、両側端部にかかる圧力により所定の反りが発生する。そして、所定の反りが発生した連結部110が本来の形状に戻ろうとする力によりアンカー100は外耳道の内壁に固定設置されることができる。
【0064】
また他の側面において、第1実施例によるアンカー100は、連結部長さ調節装置130をさらに含む。例示的に、図1(c)を参照すると、連結部110は第1連結部111と第2連結部112から構成される。また、第1連結部111の一側には第1コンタクト部121が設置され、他側は第2連結部112の一側の内部に挿入される。また、第2連結部112の他側には第2コンタクト部122が設置される。また、第2連結部112の一側内部には、例示的に連結部長さ調節装置130に該当する小型ばねが設置される。また、例示的に図2dに示されているように、アンカー100が外耳道内に設置されると、連結部110の両側端部に圧力が作用する。また、このような圧力により小型ばねが収縮して第2連結部112の一側内部への第1連結部111の他側端部の挿入長が長くなる。従って、連結部110の全体的な長さが外耳道内壁の直径に対応する長さに変換される。また、小型ばねの復元力によりアンカー100は外耳道内壁に安定的に固定設定される。
【0065】
一部の実施例によれば、図1(d)に示されているように、第1及び第2連結部111、112のそれぞれは連結部長さ調節装置130を介して互いに連結される。
【0066】
連結部長さ調節装置130は、圧縮ばね、板ばねであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0067】
詳細に、第1連結部111の一側には第1コンタクト部121が設置され、他側は連結部長さ調節装置130に連結される。また、第2連結部112の一側は連結部長さ調節装置130に連結され、他側には第2コンタクト部122が設置される。
【0068】
図2eを参照すると、連結部110の両側端部に作用する圧力により連結部長さ調節装置130は収縮し、連結部長さ調節装置130の弾性力による復元力によりアンカー100は外耳道内1に固定設置される。
【0069】
一方、連結部長さ調節装置130は連結部110と着脱可能な形態で構成される。従って、時間の経過による連結部長さ調節装置130の弾性力の弱化により外耳道内1のアンカー100の固定力が弱くなった場合、連結部長さ調節装置130を取り替えることができる。また、使用者別の外耳道内壁の直径、使用者が感じる痛みの強度を考慮して、適正な長さと適正な弾性を有する様々な連結部長さ調節装置130をアンカー100に適用することができる。
【0070】
図1(c)及び図1(d)による実施例は、連結部長さ調節装置130を追加でアンカー100に適用することにより、外耳道の周りに応じる連結部110の全長の調節が可能である。そして、連結部長さ調節装置130の例示的な構成として説明したばねを取替え可能にすることにより、使用者カスタマイズのアンカー100の製作が可能である。また、図1(d)による実施例は、連結部110と連結部長さ調節装置130の構造が非常に単純であるため、アンカー100の製造が容易であり、単価が低減する利点がある。
【0071】
図1に示された実施例は、アンカー100の皮膚切開方式を伴うインプラント方式の設置ではなく、外耳道内壁に固定設置する方式であるので、複雑な手術過程が必要なく、皮膚損傷による外耳道内の疾患などの副作用が発生することを遮断できる。
【0072】
また、アンカー100は、第1リンク200からの音響と振動を受信して外耳道骨部又は骨部皮膚表面に設置されることにより、側頭骨と最も隣接する皮膚領域に設置される。従って、アンカー100の音響と振動は皮膚表面を介して側頭骨に伝達される。薄い皮膚層を介して外耳道内の骨部に直接的に音響と振動を伝達するので、骨伝導による音伝達効率が非常に高い。
【0073】
また、図1(b)、(c)、(d)に示された実施例において、外耳道コンタクト部120は弾性材質で形成されているため、外耳道コンタクト部120にかかる圧力により形状の変形が容易である。従って、外耳道内の皮膚層の形状に合わせて外耳道コンタクト部120の形状の変形が容易であるため、外耳道内壁の形状に関係なくアンカー100が安定的に外耳道内に固定でき、同時に皮膚の痛みを防止することができる。
【0074】
また、耳内の人体に対する複雑な手術が必要であるか、MRIのような診断が必要な場合のように、装置の除去が必要な場合は外耳道内からアンカー100を簡単に除去することができる。
【0075】
図3は、本発明の第1実施例によるサウンドアンカーの第1リンクとアンカーとの連結関係を示す図である。
【0076】
図3を参照すると、本発明の第1実施例によるサウンドアンカー10は第1リンク200をさらに含む。
【0077】
ただし、ここで、第1リンク200はサウンドアンカー10ではなく外部装置(図示せず)に含まれる構成となり得ることに留意しなければならず、説明の便宜のために第1リンク200はサウンドアンカー10に含まれる構成とする。
【0078】
第1リンク200は、外部装置から伝達される物理的な振動をアンカー100に伝達するリンクである。例示的に、第1リンク200は細い金属で構成されてもよい。
【0079】
第1リンク200はアンカー100に着脱可能な形態で構成される。
【0080】
例示的に、図3(a)を参照すると、第1リンク200はアンカー100と磁気的な結合により着脱することができる。例えば、第1リンク200の先端がアンカー100に近接すると、これらの間の磁気的な引力により第1リンク200の先端がアンカー100に取り付けられる。また、第1リンク200に第1リンク200を外耳道から引き出すための力を加えると、第1リンク200の先端とアンカー100の磁気的な結合が解除されて第1リンク200がアンカー100から分離されることができる。
【0081】
第1リンク200の先端は図示されているように連結部110の上段領域に着脱が可能である。図示とは違って、第1リンク200の先端は連結部110の下段領域に着脱されてもよい。
【0082】
第1リンク200の先端が連結部110に取り付けられ、第1リンク200からの振動は連結部110の振動を誘発する。また、連結部110の振動は外耳道内の皮膚表面を振動させる。そして、このような振動は皮膚表面と対向する骨である側頭骨に伝達されて骨伝導聴覚を可能にする。また、第1リンク200の先端が連結部110の上段領域又は下段領域に取り付けられて振動が伝達される。従って、第1リンク200と連結部110の接触地点から骨までの振動伝達経路が最小化されて振動の効率的な伝達が可能になる。
【0083】
他の側面において、第1リンク200は第1-1リンクと第1-2リンクに区分される。例示的に、図3(b)を参照すると、第1リンク200は外部装置である音響素子から引き出された第1-1リンク201と第1-1リンク201から延長された第1-2リンク202を含む。第1-1リンク201は第1強度を有し、第1-2リンク202は第2強度を有する。また、第2強度は第1強度より弱くてもよい。例示的に、第1-1リンク201は強い物理的な力が作用しないと曲がらないほどの剛性を有してもよいが、第1-2リンク202は小さい力でも曲がれるほどの剛性を有してもよい。一部の実施例において、第1-2リンク202はフレキシブルな構造となってもよい。
【0084】
第1リンク200が連結部110に近接すると、第1リンク200の第1-2リンク202は曲がって連結部110と磁気的な結合ができる。そして、第1-2リンク202の曲がる程度は第1リンク200と連結部110の間の近接位置に応じて変わる。第1-2リンク202のフレキシブルな構造により連結部110から分離された第1リンク200を外耳道内に挿入して連結部110に取り付ける状況を仮定する。この時、第1リンク200の先端が正確に連結部110の磁気的な結合地点に接近できない状態であっても第1-2リンク202の先端が曲がって自然に連結部110と磁気的な結合地点に取り付けられることができる。
【0085】
他の側面において、第1リンク200は先端においてサイズが増加した形態で構成されてもよい。例示的に、図3(c)を参照すると、第1リンク200の先端は、他の領域よりサイズが大きい。従って、連結部110との磁気的な結合領域が増加できるので、第1リンク200をより容易に連結部110に結合させることができる。
【0086】
図面に示されてはいないが、前述したように、アンカー100は、連結部長さ調節装置130をさらに含み、第1リンク200の先端は第1及び第2連結部111、112のいずれか1つと着脱することもできる。
【0087】
他の側面において、連結部110には第1リンク200との磁気的な結合を容易にする溝部が形成されてもよい。
【0088】
詳しくは、図3(d)を参照すると、アンカー100は第1連結部111と第1連結部111に設置された第1コンタクト部121、第2連結部112と第2連結部112に設置された第2コンタクト部122、及び第1及び第2連結部111、112の間に設置された連結部長さ調節装置130から構成される。また、第1連結部111には溝部111aが形成される。図面の図示とは異なって、第2連結部112に溝部が形成されることもできる。
【0089】
第1連結部111の溝部111aには第1リンク200の先端を収容することにより、第1リンク200と第1連結部111の着脱を容易にし、第1リンク200と第1連結部111の接触面積を増加させることにより、振動の伝達力を高めることができる。
【0090】
一方、一部の実施例において、第1連結部111には溝である溝部111aではないホールが形成されてもよい。この場合、第1リンク200の先端はホールに挿入され、第1リンク200の周りの領域は第1連結部111と磁気的な引力により互いに取り付けられる。
【0091】
本発明の第1実施例によるサウンドアンカー10は非手術方式により外耳道内にアンカー100を設置するので、装置の設置時間が大幅に短縮される。
【0092】
また、アンカー100の構造が単純になっているので、人体への影響を最小にすることができる。
【0093】
また、アンカー100は固定され、アンカー100に振動を伝達する第1リンク200はアンカー100との着脱利便性が増大し、密閉効果がないため、閉鎖感による使用者の不便を防止することができる。
【0094】
また、簡単な施術によりアンカー100を外耳道内1に固定し、アンカー100と第1リンク200の着脱により簡単に装置間の相互接続が可能であるので、装置の製造及び装置設置が簡単であるという利点があり、外耳道骨部内の皮膚表面と骨に音響と振動の直接的な伝達が可能であるため、音の伝送効率が向上する。すなわち、第1リンク200からの振動は、アンカー100を介して外耳道内1の薄い皮膚層を介して骨に伝達されることにより、事実上効率的な骨導刺激が可能になる。このような骨導刺激地点は蝸牛との距離が短い地点として、音の伝達の品質を向上させることができる。
【0095】
また、第1リンク200をアンカー100から分離すると、外耳道内にはバー形状アンカー100のみが残るので、外耳道の余裕空間を最大化することができる。これは、外耳道内部にアンカー100が存在する状態でも外耳道内部の診断及び治療を可能にする利点がある。
【0096】
<鼓膜に直接的な振動伝達方式>
図4aは、本発明の外耳道内に設置された第2の実施例によるサウンドアンカーを概略的に示す図である。図4bは、第2実施例による様々な形態を概略的に示す図である。また、図5は、鼓膜の表面に関する概略図であり、耳小骨による鼓膜の表面の突出部位を示す図である。また、図6は、鼓膜の突出領域にキャップが位置することを説明するための図である。
【0097】
図4a及び図4bを参照すると、本発明の第2実施例によるサウンドアンカー10はアンカー100と第2リンク300を含む。アンカー100は、第1実施例において前述しているため、アンカー100の具体的な機能と作用効果に関する詳しい説明は省略する。
【0098】
第2リンク300の一端は鼓膜2に接触し、第2リンク300の他端は連結部110に連結される。
【0099】
第2リンク300は連結部110と一体に形成されてもよい。
【0100】
第2リンク300の一端は鼓膜2との接触領域に所定の圧力がかかる状態で鼓膜2に接触する。
【0101】
図5をさらに参照すると、鼓膜2の表面は鼓膜2の背面に位置する耳小骨により一部領域が突出する。鼓膜は厚さが約0.1mmの薄い膜であり、真珠色の灰白色または弱いピンク色の灰白色を帯びる。また、鼓膜2の形態は楕円形であり、中心部が内側に陥没してラッパのような形状を有する。耳小骨は鼓膜2の内側に位置し、ハンマー状の槌骨(malleus)、金床形状の砧骨(incus)、鐙形状のアブミ骨(stapes)の3つから構成される。また、槌骨、砧骨、アブミ骨の順に関節により連結されており、アブミ骨は輪状靭帯により卵円窓に付着される。槌骨(malleus)は、耳小骨のうち最も大きく、長さは7~8mmであり、頭部(head)、頸部(neck)、柄(handle)で構成され、前突起(anterior、long process)、短突起(lateral、short process)がある。槌骨の頭部は鼓室(中耳腔)の上部に位置し、砧骨の体部(body)と砧槌関節(incudomalleolar joint)をなし、槌骨柄は鼓膜の繊維層に埋まっている。
【0102】
鼓膜2の中心から内側に最も多く陥没した部位を鼓膜臍(umbo)といい、これは鼓膜2の内側に付着された耳小骨のうち槌骨柄の末端部分に該当する。
【0103】
また、鼓膜2の上側の一部の領域は槌骨短突起により突出する。
【0104】
第2リンク300の一端は鼓膜2上の領域のうち槌骨短突起と対応する突出領域に接触する。連結部110から伝達された振動は、第2リンク300を介して突出領域を刺激する。このような振動刺激は鼓膜2の表面を刺激することであるが、結果的に、鼓膜2の背面に位置する槌骨短突起に振動を伝達することになる。また、槌骨短突起に伝達された振動は、槌骨、砧骨、アブミ骨を経由して増幅される。
【0105】
一部の実施例によれば、第2リンク300の一端にはキャップが設置されてもよい。例示的に、図6を参照すると、第2リンク300の一端には槌骨短突起3により鼓膜2の一部の領域が突出した突出領域2aを囲むキャップ400 が設置される。第2リンク300とキャップ400は一体に形成されてもよく、突出領域2aを囲む形態でキャップ400を製造して第2リンク300の一端に連結する方式で第2リンク300にキャップ400を設置してもよい。
【0106】
キャップ400は突出領域2aを囲む形態であるので、第2リンク300から伝達された振動を突出領域2aの全体に伝達して音伝達の効率を高めることができる。
【0107】
また、使用者別の鼓膜2の突出領域2aの形状に合わせてキャップ400が製造される。
【0108】
キャップ400は、実質的に鼓膜2に取り付けられるものであるが、永久的又は半永久的に取り付けるものではなく、必要に応じて、キャップ400は鼓膜2から分離することができる。すなわち、キャップ400は、鼓膜2に取り付けて設置される方式ではなく、外耳道内に固定されたアンカー100と連結された第2リンク300の位置が維持されることによりキャップ400と突出領域2aの相互接触が維持される方式であることに留意しなければならない。また、キャップ400に振動が伝達されない状態では、キャップ400と突出領域2aの接触による圧力は基準値以下である。一部の実施例においては、突出領域2aに基準値以下の圧力を提供するために第2リンク300の領域のうちキャップ400との連結地点付近の領域は所定の弾性を有してもよい。ここでの基準値は、鼓膜2に加わる圧力が維持されることによる鼓膜2の損傷問題や耳小骨に加わる圧力が維持されることによる耳小骨の骨溶解問題のような現象を防止できる水準の圧力の程度を意味する。
【0109】
本発明の第2実施例は、鼓膜2の領域のうち槌骨短突起3により突出した領域にキャップ400をかぶせ、キャップ400に振動を伝達することにより耳小骨に振動を伝達することができる。すなわち、鼓膜2を経由して耳小骨に刺激を伝達し、耳小骨を構成する骨の段階的な増幅機能を最大に活用することにより微細な振動だけでも音の伝達が可能になるため、難聴患者にも適用が可能である。
【0110】
また、聴力の一部でも残っている、すなわち、残存聴力を損なわずに槌骨短突起3に集中的に振動を伝達することができる。また、槌骨短突起3を刺激することにより、人間工学的に効率的な音伝達が可能である。
【0111】
図7は、第1及び第2リンクとアンカーから構成されたサウンドアンカーに関する概念図である。
【0112】
図7を参照すると、第1リンク200と第2リンク300のそれぞれはアンカー100に連結される。第1リンク200と第2リンク300は直接的に相互結合しなくても第1リンク200の振動が連結部110を介して第2リンク300に伝達できる。第1リンク200はアンカー100と着脱可能な形態で構成され、第2リンク300はアンカー100と固定設置されることができる。従って、第1リンク200を分離した場合にも、使用者の外耳道内にはアンカー100と第2リンク300が維持されることができる。
【0113】
また、第1リンク200とアンカー100の接触地点と第2リンク300とアンカー100の接触地点は隣接するように構成されて振動の伝達経路を最小にすることができる。
【0114】
一部の実施例においては、第1リンク200から伝達された振動は連結部110を介して外耳道内の皮膚表面に伝達され、同時に、第2リンク300を介して鼓膜に伝達される。従って、骨導を介する音伝達及び鼓膜の振動による音伝達というハイブリッド方式の音伝達が可能である。
【0115】
図8は、延長部をさらに含む連結部を備えたサウンドアンカーに関する概念図である。
【0116】
図8を参照すると、本発明の他の実施例によれば、連結部110にはさらに延長部113が形成されてもよい。
【0117】
図8(a)のように第1実施例において説明したアンカー100、及び図8(b)のように第2実施例において説明したアンカー100のそれぞれの連結部110には連結部110の上側又は下側の領域において耳の外部方向に延長された延長部113がさらに形成される。延長部113は連結部110と一体に形成されてもよい。
【0118】
延長部113の一側は連結部110に連結され、他側には接続部113aが形成される。接続部は第1リンク200と着脱可能に構成される。
【0119】
延長部113が外耳道外部に向かってアンカー100から引き出されるので、使用者は第1リンク200を延長部113の先端に連結させることによりアンカー100に振動伝達が可能である。結果的に、延長部113は第1リンク200とアンカー100の間の振動伝達のための相互接続を容易にする。
【0120】
図9は、第1実施例による外耳道内に設置されたサウンドアンカーとサウンドアンカーと連結された外部装置に関する概略図であり、図10は、第2実施例による外耳道内に設置されたサウンドアンカーとサウンドアンカーと連結された外部装置に関する概略図である。
【0121】
図9及び図10を参照すると、サウンドアンカー10と外部装置20は1つの補聴器を構成することができる。ここでの補聴器は、第1実施例による骨伝導補聴器として機能してもよく、第2実施例による耳小骨に振動を伝達する補聴器として機能してもよく、外耳道内壁に介する骨伝導及び耳小骨刺激により振動を伝達するハイブリッド補聴器として機能してもよい。
【0122】
外部装置20は第1リンク200と連結できる。
【0123】
使用者の外耳道内にはサウンドアンカー10が設置される。使用者の外耳道内のサウンドアンカー10の設置行為は、外耳道内の人体の組織に関する専門知識及び施術経験を伴う行為となり得る。従って、医師のような手術行為が可能な専門資格を有する者によりサウンドアンカー10の設置行為が可能となり得るが、これに制限されるものではない。
【0124】
外部装置20は、耳掛け型、外耳道内挿入型、耳付近の一時的付着型などの多様な形態になり得る。
【0125】
外部装置20は、音を電気信号に変換する装置、変換された電気信号を増幅する装置、増幅された電気信号を音に変更する装置、バッテリ、各種回路装置などから構成されるが、これに限定されるものではない。
【0126】
また、使用者は、外部装置20を着用することにより、外部装置20とサウンドアンカー10を相互連結できるだけでなく、外部装置20を耳から分離することができる。外部装置20の着用及び分離動作は、簡単に外部装置20に連結された第1リンク200の一端をアンカー100に着脱する動作となり得る。すなわち、使用者は、外部装置20から引き出された第1リンク200を外道内に挿入すると同時に外部装置20を着用することができ、外部装置20の着用が完了すると同時に第1リンク200の一端がアンカー100に取り付けられることもできる。また、使用者は、外部装置20を分離すると同時に第1リンク200の一端はアンカー100と分離しながら外部装置20は耳から分離することができる。
【0127】
一方、サウンドアンカー10は電子装置を備えない単純な構造物からなり、物理的な音響と振動により音を伝達する機能を果たす。また、このような物理的な音響と振動は外部装置20により提供される。これは、バッテリの問題から自由な利点がある。詳細に、サウンドアンカー10自体は別途の電力を要求しないので、独自のバッテリを用意する必要がない。従って、バッテリ充電や交換のためにサウンドアンカー10を外耳道内から引き出す手間がかからない。
【0128】
また、サウンドアンカー10は半永久的な形態で外耳道内に設置され、使用者の必要に応じて外部装置20をサウンドアンカー10と着脱できるので、使用者の補聴器使用の利便性が高まる。
【0129】
また、外部装置20を取り外した状態ではサウンドアンカー10が外観上目立たないため、使用者の利便性が高まる。
【0130】
<出力部を備えたサウンドアンカー>
図11は、本発明の第3実施例によるサウンドアンカーを構成するアンカーに対する概略図である。また、図12は、図11によるサウンドアンカーが外耳道内に設置されることを説明するための図であり、図13は、外部装置と外耳道内のサウンドアンカーとの連結関係を説明するための図であり、図14は、本発明の第4実施例によるサウンドアンカーが外耳道内に設置されることを説明するための図である。
【0131】
図11を参照すると、本発明の第3実施例によるサウンドアンカー10は、アンカー100とアンカーに設置された出力部150を含む。
【0132】
出力部150は、外部から受信された信号に基づいて作動する音響素子となってもよい。一部の実施例によれば、出力部150は、外部から受信された信号に基づいて音を出力するスピーカ又は振動バイブレータとなってもよい。また、このような信号は、図13に示されているように外部装置20で生成され、このような信号は外部装置20から第1リンク200を介してアンカー100に伝達される。また、出力部150の駆動のための電力信号は第1リンク200を介して外部装置20から受信されることもできる。
【0133】
アンカー100は連結部110と外耳道コンタクト部120から構成される。また、出力部150は、図11(a)に示されているように連結部110上に設置される。一部の実施例においては、出力部150は図11(b)に示されるように連結部110の末端に設置される。そして、図12に示されているようにアンカー100が外耳道内1に設置されると、出力部150は外耳道内1の皮膚表面1aに接触する。そして、出力部150から出力される振動又は音は皮膚表面1aを介して皮膚表面1aと対向する側頭骨に伝達される。また、出力部150から出力される振動又は音は、図7に示されているように鼓膜と耳小骨突出部に連結された第2リンク300を介して伝達される。
【0134】
図11及び図12によれば、アンカー100は、連結部110と第1及び第2コンタクト部121、122を備え、このような連結部110に出力部150を設置されるものと示されている。そして、このようなアンカー100が外耳道内1に設置されるものと図示されているが、これに限定されるものではなく、図1において説明した様々なアンカーに出力部150が適用されてもよい。
【0135】
第3実施例によれば、アンカー100に出力部150を設置することによりアンカー自体の音響と振動の発生を可能にするか、出力部150が直接皮膚表面1aに接触して皮膚表面1aに音響と振動を伝達することができる。従って、精密かつ効率的な音の伝達が可能である。また、外部装置20に信号処理を担当させることにより外部装置20からの信号に基づいて出力部150が駆動されるようにする。そして、出力部150の駆動のための電力も外部装置20から提供される。これはサウンドアンカー10の構造を非常に単純化する。
【0136】
図14を参照すると、本発明の第4実施例によるサウンドアンカー10は第2リンク300をさらに含む。第2リンク300はアンカー100に固定連結され、第2リンク300の末端のキャップは槌骨短突起による鼓膜の突出領域に接触できる。そして、出力部150による振動はアンカー100の振動を誘発し、このような振動は第2リンク300を介して槌骨短突起を刺激することができる。従って、アンカー100の振動及びキャップの振動が発生するので、骨導刺激及び鼓膜を介する耳小骨の刺激が可能であるため、ハイブリッド音の伝達が可能である。
【0137】
<マイクロ針を備えたサウンドアンカー>
図15は、本発明の第5実施例によるサウンドアンカーに関する概略図であり、図16乃至図18図15(a、b、c)において示された実施例によるサウンドアンカーが外耳道内に設置されることを説明するための図である。また、図19は、サウンドアンカーと外部装置の連結関係を示す図であり、図20は、外耳道内に設置された第6実施例によるサウンドアンカーに関する概略図である。
【0138】
図15乃至図18を参照すると、本発明の第5実施例によるサウンドアンカー10のアンカー100はマイクロ針160を備える。
【0139】
詳しくは、図15(a)に示されているように、アンカー100は連結部110とマイクロ針160から構成される。
【0140】
連結部110は、バー(bar)形状に構成され、連結部110の上部面には第1マイクロ針161が構成され、連結部110の下部面には第2マイクロ針162が構成される。ただし、これに限定されるものではなく、連結部110の上部面又は下部面にのみマイクロ針が設置されることもある。このようなマイクロ針160は3本乃至4本で構成されてもよいが、これに限定されるものではない。また、マイクロ針160は厚さが約500microで構成されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0141】
マイクロ針160の長さは外耳道内1においてアンカー100が設置される地点と対応する皮膚表面1aの皮膚層の厚さに対応する長さを有することができる。
【0142】
アンカー100が外耳道内1に設置されると、連結部110の上部面及び下部面のそれぞれから突出したマイクロ針160は皮膚層を貫通し、マイクロ針160の末端は側頭骨に接触する。側頭骨は硬い材質であるので、アンカー100は外耳道内1に安定的に支持されて固定される。
【0143】
他の側面において、図15(b)を参照すると、アンカー100は全体的に大文字Iのような形状を有する。すなわち、連結部110の両端には第1及び第2コンタクト部121、122がそれぞれ設置される。連結部110と外耳道コンタクト部120は互いに一体に構成されてもよいが、これに限定されるものではない。第1及び第2コンタクト部121、122のそれぞれにはマイクロ針160が設置されてもよい。
【0144】
また他の側面において、図15(c)を参照すると、アンカー100は図1(b)において説明したように、連結部110とアンカー100の連結部110の両端をそれぞれ囲む第1及び第2コンタクト部121、122から構成される。そして、マイクロ針160は連結部110の上部面及び下部面のそれぞれに取り付けられる。
【0145】
一方、アンカー100は、図1(c、d、e)において説明した連結部長さ調整装置130をさらに備えることもできる。
【0146】
第5実施例によるサウンドアンカー10を構成するアンカー100は、皮膚層を貫通して側頭骨に接触するマイクロ針160の厚さが非常に薄いため、皮膚層の損傷を最小にすることができる。そして、皮膚層の損傷を最小にすることにより、皮膚感染問題のような副作用を防止することができる。
【0147】
また、図19に示されているように、外部装置20から生成された振動は第1リンク200を介して連結部110に伝達され、このような振動はマイクロ針160を振動させる。そして、マイクロ針160の振動はマイクロ針160に接触した側頭骨に伝達される。従って、側頭骨の直接的な刺激が可能であるため、骨導聴覚の効率を高めることができる。
【0148】
また、マイクロ針160の長さはアンカー100が設置される地点上の皮膚層の厚さと同じか、皮膚層の厚さより長くてもよい。従って、アンカー100が外耳道内1に設置されるとき、アンカー100が外耳道皮膚表面1aに加える圧力を除去することができる。また、マイクロ針160の長さが皮膚層の厚さより小さい場合であっても、アンカー100が互いに対向する側頭骨の間で固定されるので、皮膚層に加える圧力はアンカー100が互いに対向する皮膚表面の間で固定される形態よりは減少する。このように、皮膚表面1aに加える圧力を除去又は減少できるため、アンカー100を外耳道内1に設置する時に皮膚に加える圧力による痛みの誘発を防止することができる。そして、皮膚表面1aの局所領域に持続的な圧力がかかることによる皮膚損傷の問題も防止することができる。
【0149】
図20を参照すると、本発明の第6実施例によるサウンドアンカー10は第2リンク300をさらに含んでもよい。第2リンク300はアンカー100に固定連結され、第2リンク300の末端のキャップは槌骨短突起による鼓膜の突出領域に接触できる。そして、第1リンク200からの振動はアンカー100の振動を誘発し、このような振動は第2リンク300を介して槌骨短突起を刺激する。従って、アンカー100の振動及びキャップの振動が発生することにより、骨導刺激及び鼓膜による耳小骨の刺激が可能になるため、ハイブリッド音の伝達が可能である。
【0150】
<1つの管を構成する第1及び第2リンクによる音伝達が可能なサウンドアンカー>
図21は、本発明の第7実施例によるサウンドアンカーを概略的に示す図である。また、図22は、連結部上に第1リンクが取り付けられることを説明するための図である。
【0151】
図21を参照すると、第7実施例によるサウンドアンカー10はアンカー100、第1リンク200、第2リンク300を含む。
【0152】
第1及び第2リンク200、300のそれぞれは内部にホールが形成された管状となり得る。
【0153】
第2リンク300はアンカー100に固定的に設置される。そして、第1リンク200の一端がアンカー100と着脱可能な形態で構成される。また、第1リンク200の一端がアンカー100に取り付けられると、第1リンク200と第2リンク300は相互連結されるように構成される。第1リンク200と第2リンク300が相互連結されると、1つの管を構成することができる。
【0154】
第1リンク200は、連結部110との磁気的な結合により第1リンク200とアンカー100が相互付着されるが、これに限定されるものではない。
【0155】
外部装置から生成された音は、1つの管を構成する第1及び第2リンク200、300を介してキャップ400に伝達される。キャップ400は、漏斗形状になってもよいが、これに限定されるものではなく、第2リンク300を介して伝達された音が鼓膜の領域のうち槌骨短突起による突出領域全体に伝達できる形状であれば、いかなる形状でも可能である。
【0156】
また、キャップ400は、突出領域から所定距離離隔された状態を維持することができるが、これに限定されものではなく、キャップ400が突出領域に接触して突出領域をカバーしてもよい。
【0157】
図22を参照すると、連結部110にはホール111bが形成される。ホール111bの一側には第1リンク200の一端が挿入され、ホール111bの他側には第2リンク300の一端が挿入される。第2リンク300の一端はホール111bに挿入された状態で連結部110に固定的に設置される。そして、第1リンク200と連結部110の付着は第1リンク200の一端がホール111bに挿入されるものとして説明される。ホール111bの外周面中にも第1リンク200の一端が挿入される領域には、磁性体及び/又は磁性物質111cが形成される。従って、第1リンク200の一端が連結部110に近づくと、第1リンク200の一端と磁性体及び/又は磁性物質111cの相互間の引力により第1リンク200の一端がホール111bに挿入される。また、第1リンク200の一端がホール111bに挿入されると、第1及び第2リンク200、300は互いに1つの管を構成することができる。
【0158】
一部の実施例によれば、第1リンク200が挿入されるホール111bの一側はホール111bの内部に入るほどホールの周りが狭くなる。そして、ホール111bの周りは第2リンク300の内部管の周りまで狭くなる。従って、第1リンク200が挿入されるホール111bの一側の外周面は所定の傾斜面となり得る。従って、第1リンク200の一端がホール111bに近づくと、連結部110上の磁性体及び/又は磁性物質111cにより第1リンク200の一端がホール111b側に誘引され、ホール111bの傾斜面により容易に第1リンク200の一端がホール111bに挿入されることができる。そして、ホール111bに挿入された第1リンク200の一端は第2リンク300と連結されて互いに1つの管を形成する。
【0159】
外部装置から生成された音は第1及び第2リンク200、300、及びキャップ400を介して鼓膜と耳小骨に伝達される。そして、音は鼓膜の領域のうち槌骨短突起による突出領域を刺激するので、音伝達の効率が高い。また、外部装置に連結された第1リンク200はアンカー100から着脱可能であり、アンカー100と第2リンク300は外耳道内において維持される。従って、第1リンク200をアンカー100に連結するだけでも外部装置から生成された音を鼓膜に直接又は鼓膜付近に伝達することができる。
【0160】
本発明で説明する特定の実行は一実施例であって、どんな方法でも本発明の範囲を限定するわけではない。明細書の簡潔さのために、従来の電子的な構成、制御システム、ソフトウェア、前記システムの他の機能的な側面の記載は省略され得る。また、図に示された構成要素間の線の接続、又は接続部材は、機能的な接続及び/又は物理的又は回路的接続を例示的に示したものであって、実際の装置では代替可能であるか、更なる様々な機能的な接続、物理的な接続、又は回路接続として示され得る。また、「必須の」、「重要に」などのように具体的な言及がなければ、本発明の適用のために必ずしも必要な構成要素ではないことがある。
【0161】
また、説明した本発明の詳細な説明では、本発明の好ましい実施例を参照として説明したが、該当技術分野の熟練した当業者又は該当技術分野において通常の知識を有する者であれば、後述する特許請求の範囲に記載されている本発明の思想及び技術領域から外れない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更させ得ることを理解すべきである。従って、本発明の技術的範囲は、明細書の詳細な説明に記載された内容に限定されるわけではなく、特許請求の範囲により定められなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明は、医療用補助器具であり、産業上の利用可能性がある。

図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22