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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】撮像ユニット及び検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/89 20060101AFI20231011BHJP
   G01N 21/85 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
G01N21/89 Z
G01N21/85 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023550697
(86)(22)【出願日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 JP2023019347
【審査請求日】2023-08-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516095501
【氏名又は名称】株式会社ロビット
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 雅海
(72)【発明者】
【氏名】河北 薫
(72)【発明者】
【氏名】平野 龍一
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-108640(JP,A)
【文献】特開2013-164338(JP,A)
【文献】特開2008-302314(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1384541(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の外観検査を行う検査システムにおける撮像ユニットであって、
撮像部と、
前記撮像部の周辺に配置された照明部と、
前記撮像部と前記照明部を覆う保護部と、
を備え、
前記保護部は、くの字型に折れ曲がった折れ曲がり部分を介して第1の平面部と第2の平面部とが連結されて構成された板状部材を含み、
前記撮像部は、前記第1の平面部の裏側に位置する、撮像ユニット。
【請求項2】
前記第1の平面部は、前記撮像部が有する撮像素子の撮像面に対し第1の角度の傾きを有し、
前記第2の平面部は、前記撮像素子の前記撮像面に対し第2の角度の傾きを有し、
前記第2の角度は前記第1の角度以上である、請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項3】
前記照明部は、
前記第1の平面部の裏側に位置し、前記第1の平面部に沿って配置された第1の照明部
を有する、請求項2に記載の撮像ユニット。
【請求項4】
前記照明部は、
前記第2の平面部の裏側に位置し、前記第2の平面部に沿って配置された第2の照明部
を有する、請求項2記載の撮像ユニット。
【請求項5】
前記照明部は、
前記第1の平面部の裏側に位置し、前記撮像素子の前記撮像面に平行に配置された第3の照明部を更に有する、請求項2から4のいずれか1項に記載の撮像ユニット。
【請求項6】
前記撮像部は、前記撮像素子のためのフードを更に含み、
前記フードは、前記第1の平面部の裏面と接し、かつ、前記第1の平面部の傾きに対応する傾きでカットされた開口部を有する、請求項2からのいずれか1項に記載の撮像ユニット。
【請求項7】
前記フードは、円筒状の第1の部分と、逆テーパ状の第2の部分とが連結されて構成され、
前記第2の部分は前記第1の平面部の前記裏面と接触している、請求項6に記載の撮像ユニット。
【請求項8】
前記撮像部は、二次元エリアセンサを含む、請求項2からのいずれか1項に記載の撮像ユニット。
【請求項9】
複数の撮像部と、複数の照明部とを備え、
前記保護部は、前記複数の撮像部と前記複数の照明部を覆う、請求項2からのいずれか1項に記載の撮像ユニット。
【請求項10】
検査対象物の外観検査を行う検査システムであって、
請求項2からのいずれか1項に記載の第1の撮像ユニットと、
請求項2からのいずれか1項に記載の第2の撮像ユニットと、
前記第1の撮像ユニットと前記第2の撮像ユニットとの動作を制御し、前記第1の撮像ユニットと前記第2の撮像ユニットとで撮像された画像から前記検査対象物のうちから選別すべき検査対象物を判定する処理装置と、
を備え、
前記第1の撮像ユニットと前記第2の撮像ユニットとは、前記第1の撮像ユニットの前記第1の平面部と前記第2の撮像ユニットの前記第1の平面部がそれぞれ上側に配置される向きにおいて、互いに前記検査対象物が通過する領域を向くように配置されている、検査システム。
【請求項11】
前記第1の撮像ユニットと、前記第2の撮像ユニットとについて、
前記第1の角度及び第2の角度は、前記撮像部の画角、撮像時に想定される前記検査対象物までの距離、前記照明部の設置角度、配置及び照射角度、及び、対面する撮像ユニットとの角度の少なくともいずれかに基づいて算出され、一方の撮像ユニットの前記板状部材による反射像が他方の撮像ユニットの画角に入らない最低角度よりも大きな角度に設定されている、請求項10に記載の検査システム。
【請求項12】
前記処理装置は、前記第1の撮像ユニットと前記第2の撮像ユニットとによる撮像が時間的に交互に実行されるように、前記第1の撮像ユニットと前記第2の撮像ユニットとを制御する請求項10に記載の検査システム。
【請求項13】
前記処理装置は、前記第1の撮像ユニットの前記照明部による照明と、前記第2の撮像ユニットの前記照明部による照明とが、前記第1の撮像ユニットと前記第2の撮像ユニットにおける撮像タイミングに対応して、時間的に交互に実行されるように、それぞれの前記照明部を制御する請求項12に記載の検査システム。
【請求項14】
前記処理装置は、前記照明部を単位時間当たりに発光させる回数を、前記第1の撮像ユニット及び前記第2の撮像ユニットが単位時間当たりに撮像する回数よりも多くする、請求項10に記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物の外観検査システムにおける撮像ユニット、及び、検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象物を落下させている間に検査対象物の外観を撮像し、撮像画像から不適合の検査対象物を判定し、選別する検査システムがある(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4915129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検査システムにおいては撮像条件が判定精度に影響する。
【0005】
そこで、本発明では、判定精度をより一層向上させることを可能とする構成を有する撮像ユニット及び当該撮像ユニットを用いた検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、検査対象物の外観検査を行う検査システムにおける撮像ユニットであって、
撮像部と、
前記撮像部の周辺に配置された照明部と
前記撮像部と前記照明部を覆う保護部と、
を備え、
前記保護部は、くの字型に折れ曲がった折れ曲がり部分を介して第1の平面部と第2の平面部とが連結されて構成された板状部材を含み、
前記撮像部は、前記第1の平面部の裏側に位置する。
【0007】
本発明はまた、検査対象物の外観検査を行う検査システムであって、
上述の第1の撮像ユニットと、
上述の第2の撮像ユニットと、
前記第1の撮像ユニットと前記第2の撮像ユニットとの動作を制御し、前記第1の撮像ユニットと前記第2の撮像ユニットとで撮像された画像から前記検査対象物のうちから選別すべき検査対象物を判定する処理装置と、
を備え、
前記第1の撮像ユニットと前記第2の撮像ユニットとは、前記第1の撮像ユニットの前記第1の平面部と前記第2の撮像ユニットの前記第1の平面部がそれぞれ上側に配置される向きにおいて、互いに前記検査対象物が通過する領域を向くように配置されている。
【発明の効果】
【0008】
判定精度をより一層向上させることを可能とする構成を有する撮像ユニット及び当該撮像ユニットを用いた検査システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】検査システム10の外観の一例を示す図。
図2A】検査システム10の機能構成の一例を示すブロック図。
図2B】情報処理装置206のハードウェア構成の一例を示す図。
図3A】撮像ユニット101の外観構成の一例を示す図。
図3B】撮像ユニット101の外観構成の他の一例を示す図。
図4A】撮像ユニット101の外観構成の他の一例を示す図。
図4B】撮像ユニット101の断面構造の一例を示す図。
図5】検査システムにおける撮像ユニット101Aと101Bとの配置の一例を説明するための図。
図6】検査システムにおける撮像及び照明の制御タイミングの一例を説明するための図。
図7】風防301の構造の一例を説明するための図。
図8】フード312の構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
まず、図1を参照して、検査対象物の外観検査を行う検査システム10の外観構成を説明する。図1は、実施形態に対応する検査システム10の外観構成の一例を示す図である。図1において、検査システム10は、撮像ユニット101A、101B、ベルトコンベア102、排出ユニット103等を含んで構成することができる。本実施形態における検査対象物は、米麦等の穀粒や、その他の穀粒、種子又は加工原料等の粒状物の他、錠剤、ネジ、ナット、ボタン、ゴム製品等の工業製品、更には、野菜、肉、揚げ物、冷凍食品等の食品類も含まれる。
【0012】
本実施形態においては、外部の情報処理装置(図2Aの情報処理装置206)の制御に従い、ベルトコンベア102で搬送された検査対象物が撮像ユニット101Aと101Bとの間を落下している間に、撮像ユニット101Aと101Bとで検査対象物の外観を撮像する。撮像された画像は情報処理装置206に提供され、形状や色味が一定の水準を満たさない等、不適合と判定された検査対象物が発見された場合には排出ユニット103を動作させて、空気を排出し不適合と判定された検査対象物を選別する。
【0013】
図2Aは、実施形態に対応する検査システム10の機能構成の一例を示すブロック図である。図2Aに示すように検査システム10においては、情報処理装置206が、撮像部201、照明部202、排出部203、搬送部204、対象物供給部205の動作を制御する。
【0014】
撮像部201は、2次元のエリアセンサと、AD変換器等を含むように構成されており、CCDやCMOS等の撮像素子を使用することができる。二次元エリアセンサを使用することで、従来の選別装置において広く用いられていたラインセンサに比べ、画角が広く、また、検査対象物を複数回撮像することで、検査可能面積を実質的に増やすことができる。
【0015】
エリアセンサの画素数は一例として数百万画素とすることができるが、これに限定されるものではない。画素数は検査対象物の大きさや、検査で判別する基準に依存する。例えば、基準を満すかどうかを判定するための検査対象物の外的特徴の大きさが一定以上のものであれば、VGA等の画質が確保できればよく、その一方で、微細な特徴について判断する必要がある場合には4K等の高分解能の撮像素子を用いることができる。撮像部201は、撮像素子に外部からの光が入射しないよう撮像素子の受光面側に配置されたフードを含んでもよい。
【0016】
撮像部201では、情報処理装置206の制御により毎秒20から35フレームのフレームレートで撮像を行うことができる。ここで示すフレームレートはあくまで例示であって、より高いフレームレートとすることもできる。本実施形態では、例示的に毎秒30フレームで撮像を行うものとして説明する。
【0017】
次に、照明部202は、撮像部201を取り囲むように撮像部201の周辺に配置されており、マトリクス状に配置された複数のLEDを含む。照明部202の配置パターンとして、撮像部201の上下左右に配置することが考えられる。また、上下のみに配置してもよいし、左右のみに配置してもよい。或いは、上下のうち光の指向性のよい一方のみに配置してもよいし、左右のうち、光の指向性のよい一方のみに配置してもよい。照明部202は、撮像部201による撮像時に検査対象物に対して光を照射する。
【0018】
撮像ユニット101Aや101Bは、撮像部201と照明部202とを合わせたカメラユニットを含むように構成されており、当該カメラユニットがそれぞれの撮像ユニット101A及び101Bに複数配置されてもよい。
【0019】
排出部203は、排出ユニット103に対応し空気を排出するための機構であり、例えば、電磁バルブによる圧縮空気の開放による送風機構、フラップ駆動機構、或いは、ファンとモータを含む扇風機として構成される。排出部203を作動させることで検査対象物が落下してくる空間内に空気を送出することができる。排出部203の動作は、情報処理装置206により制御され、撮像部201で撮像された画像により検査対象物が不適合との判定を受けた場合に、排出部203が作動し当該検査対象物を選別することができる。
【0020】
搬送部204は、ベルトコンベア102に対応し、検査対象物を搬送して、撮像ユニット101Aと101Bとが撮像を行う検査空間内に検査対象物を供給する。また、検査済みの対象物を搬送するための機構も含むことができる。対象物供給部205は、検査対象物が保持されている保持部から検査対象物を排出し、搬送部204に供給する機構である。搬送部204及び対象物供給部205の動作は情報処理装置206により制御される。なお、搬送部204及び対象物供給部205の動作は、情報処理装置206以外の制御装置により制御されてもよい。その場合に、情報処理装置206は、制御装置と連携することができる。
【0021】
情報処理装置206は、撮像部201、照明部202、排出部203、搬送部204、対象物供給部205の動作を制御する装置であり、例えばパーソナルコンピュータ等で構成される。情報処理装置206では、撮像部201から取得した画像を処理することにより、撮像対象の検査対象物が一定の基準を満たすかどうかを判定し、基準を満たさないと判定した場合には排出部203を制御してファンを動作させることにより空気を送出して、不適合な検査対象物を選別する。
【0022】
次に、図2Bを参照して、情報処理装置206のハードウェア構成の一例を説明する。図2Bにおいて、プロセッサ261は、HD(ハードディスク)263に格納されているOS、撮像部201、照明部202、排出部203、搬送部204、対象物供給部205の動作を制御するための各種アプリケーションプログラム等を実行し、RAM262にプログラムの実行に必要な情報、ファイル等を一時的に格納する制御を行う。プロセッサ261には、CPU、GPU、FPGA、ASIC等が含まれる。RAM02は、プロセッサ261の主メモリ、ワークエリア等として機能する。HD263は、アプリケーションプログラム、ドライバプログラム、OS、制御プログラム、本実施形態に対応する処理を実行するための処理プログラム等を格納している。
【0023】
ディスプレイ264は、操作部269から入力したコマンドや、外部から取得した情報等を表示するための表示手段である。インターフェイス(以下、I/Fという)265は、撮像ユニット101等の外部装置やネットワークと接続するための通信インターフェイスである。ROM266には、基本I/Oプログラム等のプログラムを記憶する。外部記憶ドライブ267は、メディア268に記憶されたプログラム等を本コンピュータシステムにロードすることができる。記録媒体としてのメディア268は、所定のプログラムおよび関連データを格納する。操作部269は、本装置の操作者が、指示入力を行うためのユーザインタフェースであり、キーボードやマウスで構成される。システムバス270は、装置内のデータの流れを司るものである。
【0024】
次に図3A及び図3Bを参照して撮像ユニット101A及び101B(以下、単に撮像ユニット101ともいう。)の外観構成について説明する。図3Aは、撮像ユニット101の風防301の正面側から見た場合の外観構成の一例を示す図である。
【0025】
図3Aにおいて、撮像ユニット101には、カメラレンズに粉塵等が入り込まないように、風防(カバー)301が取り付けられている。風防301は、フレーム302に取り付けられており、参照番号301aで示す折れ曲がり部でくの字型に折れ曲がった構成となっている。風防301とフレーム302とで、撮像ユニット101を覆い、粉塵から保護する保護部を構成している。風防301は、無色透明のアクリル製であり、撮像部201への入射光及び照明部202からの射出光を遮らない構成となっている。なお、風防301は、アクリル以外にも、ガラスやポリカーボネート等の樹脂で製造されたものでもよい。一方のフレーム302は例えば、金属或いはプラスチック製で光を透過しない構造となっている。風防301の裏側には、撮像部201と照明部202とを組み合わせたカメラユニット310、320が配置されている。
【0026】
カメラユニット310及び320は基本的には共通の構造であり、以下の説明において参照番号31X、32Xで示す構成要素は、共通の構成要素である。従って、31Xを参照して説明した記載は32Xについても同様に当てはまるものである。また、撮像ユニット101A及び101Bにはそれぞれ同数のカメラユニット310、320が配置されているものであり、撮像ユニットを区別して記載する場合、末尾にAまたはBの大文字符号を付与する。符号Aが付与された構成要素は撮像ユニット101Aの構成要素であり、符号Bが付与された構成要素は撮像ユニット101Bの構成要素である。符号の違いは、どちらの撮像ユニットに属するかだけであり、基本的な構成については31X、32Xで示されている限り共通である。
【0027】
図3Bは、図3Aにおいて風防301を取り外した状態を示し、カメラユニット310、320の構成の一例が示されている。カメラユニット310には、LED照明部311、313、314、315が配置されており、各LED照明部により不図示の撮像素子が配置された領域が囲まれ、当該撮像素子の上にフード312が配置されている。なお、LED照明部の上下左右の配置は一例として示したものであって、このうちの任意の組合せとしてもよい。フード312は風防301と接触可能に斜めにカットされている。フード312の素材は、例えば、シリコン、樹脂、金属、ゴム、木材、ガラス等とすることができる。このようにして風防301に十分近くなるように、フード312を装着することでフレア等の映り込みを低減することができる。また、フード312の内側には内部の撮像素子用のレンズが配置されてもよい。
【0028】
カメラユニット320にも同様に、LED照明部321、323、324、325が配置されており、LED照明部に囲まれてフード322が配置されている。フード322も風防301と接触可能に斜めにカットされている。また、フード322の内側には内部の撮像素子用のレンズが配置されてもよい。
【0029】
カメラユニット310は図3Bの横方向に複数個配列でき、風防301及びフレーム302は、カメラユニット310を配置可能な個数分の幅を有するように構成される。
【0030】
次に、図4A及び図4Bを参照して、撮像ユニット101の外観構成を更に説明する。図4Aは、撮像ユニット101を側面から見た外観構成の一例を示す図である。図4Aにおいても、図3A図3Bで示した構成が示されている。図4Aにおいては、LED照明部311、313、315の背面にヒートシンクが取り付けられていることが示されている。これは、各LED照明部からの熱を冷ますための冷却構成である。なお、冷却機構はファンによる強制冷却や水冷によるものでもよい。また、LED照明部311や不図示の撮像素子と接続された制御ユニット400が配置されている。制御ユニット400には、LEDを制御するための機構400A、400B、400C及び不図示の撮像素子を制御するための機構400Bが含まれ、ケーブル401で情報処理装置206と接続されている。
【0031】
図4Bは、図3AのA-A線で示す位置の断面構造の一例を示す図である。図4Bにおいては、上述の構成の他、風防301の断面構造が示されている。また、フード312の内側に撮像素子316が示されている。
【0032】
次に、図5を参照して、撮像ユニット101Aと101Bとの位置関係について説明する。検査システム10においては、撮像ユニット101Aと撮像ユニット101Bとは、撮像素子316が風防301の折れ曲がり部301aよりも上側に位置する同じ向きにおいて、互いに検査対象物が通過する領域向くように配置されている。
【0033】
図5において斜線領域501は、撮像ユニット101Bの撮像素子316Bの画角を示している。また矢印502、503は、撮像ユニット101AのLED照明部321A、325Aの設置面の法線方向を示し、かつ、例示的な照射方向を示す。矢印504は、検査対象物が通過する方向を示す。ここで、LED照明部321A、325Aからの光は拡散する成分もあるが、直進する成分については、光の進行方向はLED照明部321A、325Aと平行、或いは、照明部321A、325Aに沿って配置された風防301の面と直交或いは交差する。よって、LED照明部321A、325Aからの光は風防301を通過して進行する。そして、LED照明部321A、325Aから照射された光は、矢印502、503で示すように、領域501で示す撮像素子316Bの画角から外れていく。
【0034】
一方、LED照明部321A、325Aからの光が検査対象物に当たって反射した光は、撮像素子326Aにより受光され、画像として可視化される。よって、LED照明部321A、325Aの設置方向、換言すれば光の照射方向は、検査対象物からの反射光が最も撮像素子326Aに供給される方向として定められることが望ましい。また、矢印502、503の交点については、検査対象物が通過する位置或いは範囲内において交差するように設定されているので、検査対象物に最も光が照射される。以上により、検査対象物の情報量を最大化できるので撮像画像の品質を維持することができる。
【0035】
撮像ユニット101Aと101Bとの位置関係は、例えば、検査対象物の大きさ、LED照明部の照射角、機械的な干渉等に応じて決定することができる。
【0036】
また、LED照明部321A等からの照射光が対面する撮像ユニット101Bの撮像素子326Bに入り込むおそれがある。このため、撮像ユニット101Aと101Bとは同じタイミングで撮像素子326の露光を行わず、タイミングをずらして露光を行うことができる。
【0037】
図6は、撮像ユニット101における各露光のタイミングと、LED照明部の発光タイミングの関係を示した図である。図6において、上側には撮像ユニット101Aと、撮像ユニット101AのLED照明部(311A、313A、314A、315A、321A、323A、324A、325A)の制御タイミングが示されている。撮像ユニット101Aにおいては、フレームレートを毎秒30フレームとして撮像を行っている。パルス601は、撮像ユニット101Aが露光されている時間を示している。パルス601の間隔は約33ミリ秒となる。
【0038】
撮像ユニット101のLED照明部では、撮像ユニット101Aで露光が行われている時間においてLEDを発光させるように動作する。ただし、撮像ユニット101Aと同じ毎秒30フレームの速度で点灯させた場合、人の眼により点滅が知覚されるおそれがある。そこで、単位時間当たりの点灯回数を、単位時間当たりの撮像回数よりも多くすることができる。例えば、撮像回数を単位時間当たり30回とした場合に、点灯回数を単位時間当たり60回、或いは、90回とすることができる。これにより、人の眼では点滅を知覚できないようになる。図6では、90回とした場合を示している。
【0039】
図6において、下側には撮像ユニット101Bと撮像ユニット101BのLED照明部(311B、313B、314B、315B、321B、323B、324B、325B)の制御タイミングが示されている。撮像ユニット101Bにおいても、フレームレートは毎秒30フレームとして撮像を行う。但し、撮像ユニット101Bの露光タイミングを示すパルス603の位置は、パルス601の位置とは時間的にずれており、かつ、撮像ユニット101用のLED照明部のパルス602とも時間的にずれている。
【0040】
これにより、撮像ユニット101Bが撮像を行う期間においては、撮像ユニット101AのLED照明部は消灯状態となるので、撮像ユニット101AのLED照明部からの光により撮像ユニット101Bの撮像画像の品質が低下することは無い。同様に、撮像ユニット101Aが撮像を行う期間においては、撮像ユニット101BのLED照明部は消灯状態となるので、撮像ユニット101BのLED照明部からの光により撮像ユニット101Aの撮像画像の品質が低下することは無い。
【0041】
更に、図7を参照して、風防301と撮像素子316の受光平面との関係を説明する。図7は、撮像素子316の受光平面に対する風防301の設置角度を説明するための例示的な断面構造を示す図である。
【0042】
図7に示すように、本実施形態における風防301は、くの字型に折れ曲がった板状部材として構成されている。より具体的には、裏側に撮像素子316、フード312、LED照明部311が配置された第1の平面部301bと、裏側にLED照明部315が配置された第2の平面部301cとが、折れ曲がり部301aを介して連結されて構成されている。LED照明部311は第1の平面部301bの裏側に、第1の平面部301bに沿って配置され、LED照明部315は第2の平面部301cの裏側に、第2の平面部301cに沿って配置されている。図7には示していないが、LED照明部313、314は第1の平面部301bの裏側に配置されている。
【0043】
図7では、撮像素子316の撮像面を点線701で表している。点線702は、点線701で示す撮像面に平行な面を示し、風防301の折れ曲がり部301aと接するように設定している。このとき、第1の平面部301bの点線702に対する角度をθ1、第2の平面部301cの点線702に対する角度をθ2、とするとθ2≧θ1が成立する。θ1、θ2の大きさは、例えば、θ1の下限値を約26度、θ2の下限値を約16度とすることができる。但し、これらの数値はあくまで例示であって、θ1、θ2の値は、撮像ユニット101の撮像部201の画角、撮像時に想定される検査対象物までの距離、照明部202の設置角度、配置、照射角度、対面の撮像ユニットとの角度等のうち少なくともいずれかに基づき、風防301等による反射を計算した上で、対面の撮像ユニット101からの反射像が画角に入ってこない角度θminよりも大きな角度として選択することができる。
【0044】
なお、対面の撮像ユニットとの角度は、例えば、各撮像ユニット101の撮像面の法線の交差角度として求めることができる。図5では、対面する撮像ユニット101A、101Bの撮像素子326A、316Bが正面で対面しているので交差角度は0度であるが、交差角度をつけてもよい。また、撮像ユニット101A、101Bに更に101Cを追加して、三方向から撮像する場合等には交差角度が設定されるので、交差角度に従ってθ1、θ2の値を設定することができる。
【0045】
図8は、フード312の外観構成の一例を示す図である。フード312は、例えばシリコン素材で構成することができ、風防301の裏面と密着させる。フード312は、下側の円筒状の第1の部分312aと、上側の逆テーパ状の第2の部分312bとが連結された形状をしている。このように第1の部分312aの途中から第2の部分312bを設けることにしたのは、撮像素子316の画角と干渉しないようにするためである。より具体的には、根本から逆テーパ状とした場合には、根本の径が小さくなりすぎてレンズと干渉し、また、組み立て効率が低下するため、それらを回避するためである。フード312の高さをもっと短くできる場合には、第1の部分312aを省略してもよい。
【0046】
また、フード312の上側の第2の部分312bは、風防301の傾きに合わせて開口部分がカットされている。開口面の傾き角度は、水平面に対して図7で示したθ1に対応する。このようにフード312を、風防301に合わせて適切な角度を設けて風防301に密着させることで、正反射以外のノイズによるゴーストやフレアを防止することができる。
【0047】
以上の本実施形態によれば、検査対象物の外観検査を行う検査システムにおける撮像ユニットにおいて、撮像部に二次元のエリアセンサを用いることで、画角を広げることができ、かつ、複数回の撮像により検査可能面積を増大させることができる。また、複数回の撮像を行う場合、撮像タイミングで被写体である検査対象物と照明の位置関係が変わることから、影やハイライトの見え方が異なる画像を取得できるので、同一被写体であっても異なる表現で複数回検査することができ、見逃しのリスクを低減することができる。
【0048】
また、撮像ユニットにくの字型に折り曲げた風防を配置することで、撮像ユニットの正面に平面が形成されることを回避できる。当該風防の構成により、正反射をほとんど無くすことができるので、撮像時の照明が対面の撮像ユニットの風防で反射して画像に写り込んできて撮像品質が大きく低下してしまう事態を避けることができる。
【0049】
更に、風防に十分近くなるように、フードを装着することで、正反射以外のノイズによるフレア等の映り込みを低減することができる。また、フードは風防と密着させることができるので、ノイズ低減効果をより確実に確保することができる。
【0050】
<実施形態のまとめ>
上記実施形態は以下の撮像ユニット、検査システムを少なくとも開示する。
(1) 検査対象物の外観検査を行う検査システムにおける撮像ユニットであって、
撮像部と、
前記撮像部の周辺に配置された照明部と
前記撮像部と前記照明部を覆う保護部と、
を備え、
前記保護部は、くの字型に折れ曲がった折れ曲がり部分を介して第1の平面部と第2の平面部とが連結されて構成された板状部材を含み、
前記撮像部は、前記第1の平面部の裏側に位置する、撮像ユニット。
(2) 前記第1の平面部は、前記撮像部が有する撮像素子の撮像面に対し第1の角度の傾きを有し、
前記第2の平面部は、前記撮像素子の前記撮像面に対し第2の角度の傾きを有し、
前記第2の角度は前記第1の角度以上である、(1)に記載の撮像ユニット。
(3) 前記照明部は、
前記第1の平面部の裏側に位置し、前記第1の平面部に沿って配置された第1の照明部を有する、(2)に記載の撮像ユニット。
(4) 前記照明部は、
前記第2の平面部の裏側に位置し、前記第2の平面部に沿って配置された第2の照明部を有する、(2)又は(3)に記載の撮像ユニット。
(5) 前記照明部は、
前記第1の平面部の裏側に位置し、前記撮像素子の前記撮像面に平行に配置された第3の照明部を更に有する、(2)から(4)に記載の撮像ユニット。
(6) 前記撮像部は、前記撮像素子のためのフードを更に含み、
前記フードは、前記第1の平面部の裏面と接し、かつ、前記第1の平面部の傾きに対応する傾きでカットされた開口部を有する、(2)から(5)のいずれか1つに記載の撮像ユニット。
(7) 前記フードは、円筒状の第1の部分と、逆テーパ状の第2の部分とが連結されて構成され、
前記第2の部分は前記第1の平面部の前記裏面と接触している、(6)に記載の撮像ユニット。
(8) 前記撮像部は、二次元エリアセンサを含む、(2)から(7)のいずれか1つに記載の撮像ユニット。
(9) 複数の撮像部と、複数の照明部とを備え、
前記保護部は、前記複数の撮像部と前記複数の照明部を覆う、(2)から(8)のいずれか1つに記載の撮像ユニット。
(10) 検査対象物の外観検査を行う検査システムであって、
(2)から(9)のいずれか1つに記載の第1の撮像ユニットと、
(2)から(9)のいずれか1つに記載の第2の撮像ユニットと、
前記第1の撮像ユニットと前記第2の撮像ユニットとの動作を制御し、前記第1の撮像ユニットと前記第2の撮像ユニットとで撮像された画像から前記検査対象物のうちから選別すべき検査対象物を判定する処理装置と、
を備え、
前記第1の撮像ユニットと前記第2の撮像ユニットとは、前記第1の撮像ユニットの前記第1の平面部と前記第2の撮像ユニットの前記第1の平面部がそれぞれ上側に配置される向きにおいて、互いに前記検査対象物が通過する領域を向くように配置されている、検査システム。
(11) 前記第1の撮像ユニットと、前記第2の撮像ユニットとについて、
前記第1の角度及び第2の角度は、前記撮像部の画角、撮像時に想定される前記検査対象物までの距離、前記照明部の設置角度、配置及び照射角度、及び、対面する撮像ユニットとの角度の少なくともいずれかに基づいて算出され、一方の撮像ユニットの前記板状部材による反射像が他方の撮像ユニットの画角に入らない最低角度よりも大きな角度に設定されている、(10)に記載の検査システム。
(12) 前記処理装置は、前記第1の撮像ユニットと前記第2の撮像ユニットとによる撮像が時間的に交互に実行されるように、前記第1の撮像ユニットと前記第2の撮像ユニットとを制御する(10)又は(11)に記載の検査システム。
(13) 前記処理装置は、前記第1の撮像ユニットの前記照明部による照明と、前記第2の撮像ユニットの前記照明部による照明とが、前記第1の撮像ユニットと前記第2の撮像ユニットにおける撮像タイミングに対応して、時間的に交互に実行されるように、それぞれの前記照明部を制御する(12)に記載の検査システム。
(14) 前記処理装置は、前記照明部を単位時間当たりに発光させる回数を、前記第1の撮像ユニット及び前記第2の撮像ユニットが単位時間当たりに撮像する回数よりも多くする、(10)から(13)のいずれか1つに記載の検査システム。
【0051】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【要約】
判定精度をより一層向上させることを可能とする構成を有する技術を提供する。検査対象物の外観検査を行う検査システムにおける撮像ユニットであって、撮像部と、前記撮像部の周辺に配置された照明部と、前記撮像部と前記照明部を覆う保護部と、を備え、前記保護部は、くの字型に折れ曲がった折れ曲がり部分を介して第1の平面部と第2の平面部とが連結されて構成された板状部材を含み、前記撮像部は、前記第1の平面部の裏側に位置する。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8