(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】直径可変型バイオリアクタ
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20231011BHJP
C12M 1/02 20060101ALI20231011BHJP
C12M 3/00 20060101ALI20231011BHJP
C12M 3/02 20060101ALI20231011BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20231011BHJP
【FI】
C12M1/00 D
C12M1/00 C
C12M1/02 A
C12M3/00 A
C12M3/02
C12N5/071
(21)【出願番号】P 2018567222
(86)(22)【出願日】2017-06-22
(86)【国際出願番号】 US2017038670
(87)【国際公開番号】W WO2017223269
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-06-12
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-25
(32)【優先日】2016-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391003864
【氏名又は名称】ロンザ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LONZA LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミエツナー、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ベリ、ラジェッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ガンダーソン、エドワード
【合議体】
【審判長】長井 啓子
【審判官】福井 悟
【審判官】松本 淳
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-543307(JP,A)
【文献】特表2005-502306(JP,A)
【文献】特表2005-501553(JP,A)
【文献】国際公開第2016/050544(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生きた細胞又は細胞からなる生物由来原料を培養するように構成された直径可変型バイオリアクタ容器であって、
液体培地及び生物由来原料を保持するように構成された容器部と、
少なくとも1つの撹拌器と、
を備え、
前記容器は、前記容器部の基部が前記容器の最上部より狭くなる設計を有し、
前記容器は、前記基部を含む第1の容器部、第2の容器部、前記最上部を含む第3の容器部を備え、
ア 前記第1の容器部は、当該第1の容器部の高さに従って変化する直径を有しており、前記第2の容器部は、当該第2の容器部の高さに従って変化する直径を有しており、前記第3の容器部は、当該第3の容器全体を通じて均一の直径を有している、または、
イ 前記第1の容器部は、当該第1の容器全体を通じて均一の直径を有しており、前記第2の容器部は、当該第2の容器全体を通じて均一の直径を有しており、前記第3の容器部は、当該第3の容器全体を通じて均一の直径を有しており、
前記第3の容器部の
直径は、前記第2の容器部の
直径よりも
大きく、前記第2の容器部の
直径は、前記第1の容器部の
直径よりも
大きく、
前記容器は、前記液体培地及び生物由来原料を前記第2の容器部内で、第1の容量から第2の容量に増大させることを可能にし、
前記容器は、前記液体培地及び生物由来原料を前記第3の容器部内で、前記第2の容量から第3の容量に増大させることを可能にし、
前記第1の容器部、前記第2の容器部、および前記第3の容器部は、容器の高さ:幅で表されるアスペクト比がいずれも0.3:1より大きい、直径可変型バイオリアクタ容器。
【請求項2】
前記第1の容器部は、前記バイオリアクタ容器に接種材を直接添加することができるように構成された、請求項1に記載の直径可変型バイオリアクタ容器。
【請求項3】
前記第3の容器部は、増殖段階のバイオリアクタであるように構成された、請求項1に記載の直径可変型バイオリアクタ容器。
【請求項4】
前記直径可変型バイオリアクタ容器の少なくとも1つが、生産段階のバイオリアクタであるように構成された、請求項1に記載の直径可変型バイオリアクタ容器。
【請求項5】
撹拌器のシャフト、スパージャ、プローブ・ポート、充填ポート、コンデンサ、ベント・フィルタ、気泡ブレーカ・プレート、サンプル・ポート、レベル・プローブ、及びロード・セルのうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項1に記載の直径可変型バイオリアクタ容器。
【請求項6】
前記撹拌器は、3Dプリンタを使用して作られる、請求項1に記載の直径可変型バイオリアクタ容器。
【請求項7】
2つの撹拌器を備える、請求項1に記載の直径可変型バイオリアクタ容器。
【請求項8】
1つの前記撹拌器は、水中翼の羽根車である、請求項7に記載の直径可変型バイオリアクタ容器。
【請求項9】
第1の容器は、円形でない断面形状を有する、請求項1に記載の直径可変型バイオリアクタ容器。
【請求項10】
第1の容器は、正方形の断面形状を有する、請求項1に記載の直径可変型バイオリアクタ容器。
【請求項11】
単一使用のバイオリアクタである、請求項1に記載の直径可変型バイオリアクタ容器。
【請求項12】
マイクロキャリア培養するように構成された、請求項1に記載の直径可変型バイオリアクタ容器。
【請求項13】
接着培養するように構成された、請求項1に記載の直径可変型バイオリアクタ容器。
【請求項14】
直径可変型バイオリアクタ・システムであって、
バイオリアクタ容器であって、液体培地及び生物由来原料を保持するように構成され、前記容器は、前記容器の基部が前記容器の最上部より狭くなる設計を有し、前記容器は、前記基部を含む第1の容器部、第2の容器部、前記最上部を含む第3の容器部を備え、前記第3の容器部の
直径は、前記第2の容器部の
直径よりも
大きく、前記第2の容器部の
直径は、前記第1の容器部の
直径よりも
大きく
、
ア 前記第1の容器部は、当該第1の容器部の高さに従って変化する直径を有しており、前記第2の容器部は、当該第2の容器部の高さに従って変化する直径を有しており、前記第3の容器部は、当該第3の容器全体を通じて均一の直径を有している、または、
イ 前記第1の容器部は、当該第1の容器全体を通じて均一の直径を有しており、前記第2の容器部は、当該第2の容器全体を通じて均一の直径を有しており、前記第3の容器部は、当該第3の容器全体を通じて均一の直径を有しており、
前記バイオリアクタ容器内に配設され、前記バイオリアクタ容器の所与の液体高さで所望の撹拌を与える、少なくとも1つの撹拌器と、
前記直径可変型バイオリアクタ・システムを制御するための制御システムと、
を備え、 前記バイオリアクタ容器は、前記液体培地及び生物由来原料を前記第2の容器部内で、第1の容量から第2の容量に増大させることを可能にし、
前記バイオリアクタ容器は、前記液体培地及び生物由来原料を前記第3の容器部内で、前記第2の容量から第3の容量に増大させることを可能にする
ように、前記バイオリアクタ容器
の容量が拡大
され、
前記第1の容器部、前記第2の容器部、および前記第3の容器部は、容器の高さ:幅で表されるアスペクト比が0.3:1より大きい、直径可変型バイオリアクタ・システム。
【請求項15】
前記第1の容器部は、初期の接種段階の容器部である、請求項14に記載の直径可変型バイオリアクタ・システム。
【請求項16】
前記第3の容器部は、増殖段階の容器部である、請求項14に記載の直径可変型バイオリアクタ・システム。
【請求項17】
スパージャ、プローブ・ポート、充填ポート、コンデンサ、ベント・フィルタ、気泡ブレーカ・プレート、サンプル・ポート、レベル・プローブ、及びロード・セルをさらに備える、請求項14に記載の直径可変型バイオリアクタ・システム。
【請求項18】
前記バイオリアクタ容器は、哺乳動物細胞を産生するように構成された、請求項14に記載の直径可変型バイオリアクタ・システム。
【請求項19】
前記制御システムは、前記バイオリアクタ容器を、バッチ式手法で規模拡大するように構成された、請求項14に記載の直径可変型バイオリアクタ・システム。
【請求項20】
前記第1の容器部と前記第2の容器部と前記第3の容器部を有する前記バイオリアクタ容器内に配設され、前記直径可変型バイオリアクタ・システムが単一使用のバイオリアクタ・システムとなるように構成された、使い捨て可能なバッグをさらに備える、請求項14に記載の直径可変型バイオリアクタ・システム。
【請求項21】
マイクロキャリア培養するように構成された、請求項14に記載の直径可変型バイオリアクタ・システム。
【請求項22】
接着培養するように構成された、請求項14に記載の直径可変型バイオリアクタ・システム。
【請求項23】
接種からシード、生産までに使用するリアクタの数量を減らして発酵生成物を生産する方法において直径可変型バイオリアクタ容器を使用する方法であって、
前記容器は、前記容器の基部が前記容器の最上部より狭くなる設計を有し、
前記容器は、前記基部を含む第1の容器部、第2の容器部、前記最上部を含む第3の容器部を備え、
前記第3の容器部の
直径は、前記第2の容器部の
直径よりも
大きく、前記第2の容器部の
直径は、前記第1の容器部の
直径よりも
大きく、
ア 前記第1の容器部は、当該第1の容器部の高さに従って変化する直径を有しており、前記第2の容器部は、当該第2の容器部の高さに従って変化する直径を有しており、前記第3の容器部は、当該第3の容器全体を通じて均一の直径を有している、または、
イ 前記第1の容器部は、当該第1の容器全体を通じて均一の直径を有しており、前記第2の容器部は、当該第2の容器全体を通じて均一の直径を有しており、前記第3の容器部は、当該第3の容器全体を通じて均一の直径を有しており、
前記方法は、
増殖培地及び接種材を第1の容量で、前記直径可変型バイオリアクタ容器に接種するステップと、
前記第1の容量での接種段階完了後に、前記直径可変型バイオリアクタ容器へ追加の増殖培地を添加し、前記直径可変型バイオリアクタの容量を前記第2の容器部内で、前記第1の容量から第2の容量へ拡大するステップと、
前記第2の容量でのシード段階完了後に、前記直径可変型バイオリアクタ容器へ追加の増殖培地を添加し、前記直径可変型バイオリアクタの容量を前記第3の容器部内で、前記第2の容量から第3の容量へ拡大するステップと
を含み、
前記第1の容器部、前記第2の容器部、および前記第3の容器部は、容器の高さ:幅で表されるアスペクト比が0.3:1より大きい、方法。
【請求項24】
前記接種材は初期のシード・リアクタから得られ、前記直径可変型バイオリアクタ
容器は、前記シード段階でのトレインにおける最後のリアクタで
ある、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記接種材は哺乳動物細胞の培養物である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
初期の接種材増殖リアクタと、
前記接種材増殖リアクタと流体連通した直径可変型バイオリアクタ
容器であって、液体培地及び生物由来原料を保持するように構成され
た直径可変型バイオリアクタ
容器と、
少なくとも1つの撹拌器と、
を備え、
前記容器は、前記容器の基部が前記容器の最上部より狭くなる設計を有し、
前記容器は、前記基部を含む第1の容器部、第2の容器部、前記最上部を含む第3の容器部を備え、
前記第3の容器部の
直径は、前記第2の容器部の
直径よりも
大きく、前記第2の容器部の
直径は、前記第1の容器部の
直径よりも
大きく、
ア 前記第1の容器部は、当該第1の容器部の高さに従って変化する直径を有しており、前記第2の容器部は、当該第2の容器部の高さに従って変化する直径を有しており、前記第3の容器部は、当該第3の容器全体を通じて均一の直径を有している、または、
イ 前記第1の容器部は、当該第1の容器全体を通じて均一の直径を有しており、前記第2の容器部は、当該第2の容器全体を通じて均一の直径を有しており、前記第3の容器部は、当該第3の容器全体を通じて均一の直径を有しており、
前記容器は、前記液体培地及び生物由来原料を前記第2の容器部内で、第1の容量から第2の容量に増大させることを可能にし、
前記容器は、前記液体培地及び生物由来原料を前記第3の容器部内で、前記第2の容量から第3の容量に増大させることを可能にし、
前記第1の容器部、前記第2の容器部、および前記第3の容器部は、容器の高さ:幅で表されるアスペクト比が0.3:1より大き
い、生物学的生産設備。
【請求項27】
複数の直径可変型バイオリアクタ
容器をさらに備える、請求項26に記載の生物学的生産設備。
【請求項28】
前記直径可変型バイオリアクタ
容器は、後段の処理を行う構成要素と流体連通する、請求項26に記載の生物学的生産設備。
【請求項29】
前記直径可変型バイオリアクタ
容器は、コントローラ・システムによって制御される、請求項26に記載の生物学的生産設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年6月24日に出願され、その内容が本明細書に参照して組み込まれている米国仮出願第62/354,216号の、優先権及び利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、バイオリアクタに関し、より詳細には、生物由来原料の生成に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、生物由来原料の生成は、バイオリアクタのトレインを使用して達成される。このバイオリアクタのトレインは、小規模な接種リアクタから完全な生産規模まで拡大する、複数のバイオリアクタからなる。この一般的なバイオリアクタは、液体の高さが槽の直径よりも大きな寸法になるように形成される。つまり、代表的なバイオリアクタは、高さ対幅のアスペクト比が1:1より大きいが、小容量(作業容量の20分の1)の代表的な反応器では、アスペクト比(液体の高さ対容器の幅)が非常に小さい。この小さいアスペクト比のために、気泡注入、混合が困難になることが知られており、最終的には細胞の増殖が困難になり、また好ましからざる細胞死滅となり得る。一般的なバイオリアクタは、漸増的に容量が増加するシード・リアクタ内での接種材から培養する容量を、生産用バイオリアクタ内で所望の生成物の生産のために十分な培養容量に達するまで拡大するよう設計され、寸法決めされる。一般的なバイオリアクタは、固定寸法で、皿形の頭部と底部を備えるよう設計される。バイオリアクタは一般的に、ステンレス鋼のタンクで構成されるが、使い捨て可能なライナ、使い捨て可能なバッグなども有することができる。
【0004】
したがって、生産規模のバイオリアクタのプロセスは、大型バイオリアクタのトレインの設置面積、高い洗浄コスト、トレイン内のリアクタ間の切り替えのときの好ましからざる遅延時間及びシード時間の浪費の影響を被る。それぞれのシード・バイオリアクタでは、1つのバイオリアクタから別のバイオリアクタへの移送を伴い、以前のバイオリアクタの終端とは異なる条件に培養物を導入する。これは一般的に、細胞の増殖が再び指数関数的増殖を達成する前に、ある期間失速する「誘導期」効果を生じる。大規模な場合、この典型的なプロセスは、多数のリアクタを必要とし、その結果設備の設置面積が増大し、また準備作業が増加し、その結果生産時間及び生産コストが増大する。たとえば、20,000リットル(L)の生産規模が望まれるバイオリアクタのトレインは、200Lの接種バイオリアクタ(N-3工程と呼ばれる)、続いて1000Lのシード・バイオリアクタ(N-2工程と呼ばれる)、続いて5000Lのシード・バイオリアクタ(N-1工程と呼ばれる)、そして最後に、20,000L容量のバイオリアクタ(N工程と呼ばれる)で構成することができる。この種々のリアクタのトレインが、より多くの定置洗浄(CIP:clean-in-phase)サイクル及び関連するCIPシステム、より多くの定置滅菌(SIP:steam-in-place)、バイオリアクタ起動工程、公共料金の増大(水、蒸気、廃棄物)、複雑な工場のスケジューリング及び工程上で実行する活動、並びに汚染リスクの増大をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第9,670,446号
【文献】米国出願第15/613,954号
【文献】米国特許第9,670,466号
【文献】米国特許出願第15/455,836号
【文献】公開第WO/2017/072201 A2号
【文献】米国特許出願第15/612,769号
【文献】米国仮特許出願第62/451,470号
【文献】米国公報第2012/0077429号
【文献】米国公報第2009/0305626号
【文献】米国特許第9,388,373号
【文献】米国特許第8,771,635号
【文献】米国特許第8,298,054号
【文献】米国特許第7,629,167号
【文献】米国特許第5,656,491号
【文献】米国公報第2016/0097074号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、生産規模のバイオリアクタ処理装置、システム、及び方法の改善が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、生物由来原料を生成するように構成された、直径可変型バイオリアクタ容器を提供する。
【0008】
本発明はまた、哺乳動物細胞を生成するように構成された、直径可変型バイオリアクタ容器を提供する。
【0009】
直径可変型バイオリアクタ容器は、液体培地及び生物由来原料を保持するように構成された、第1の直径を有する第1の容器部と、第1の直径より大きい第2の直径を有する第2の容器部とを備えることができ、その結果液体培地を、その容器内で、第1の容量から第2の容量に増大することが可能であるものと説明される。ある態様では、第1の容器部は、0.3:1より大きなアスペクト比を有することができる。ある態様では、第2の容器部は、0.3:1より大きなアスペクト比を有することができる。ある態様では、液体培地は、接種材を含む。第1の容器部は、初期の接種段階のバイオリアクタであるように構成可能である。第2の容器部は、増殖段階又はシード・バイオリアクタであるように構成可能である。様々な直径のバイオリアクタ容器はさらに、少なくとも1つの撹拌器を備えることができる。ある態様では、バイオリアクタはさらに、撹拌器のシャフト、羽根車などの撹拌器、スパージャ、プローブ・ポート、充填ポート、コンデンサ、ベント・フィルタ、気泡ブレーカ・プレート、サンプル・ポート、レベル・プローブ、及びロード・セルのうちの少なくとも1つを備えることができる。ある態様では、直径可変型バイオリアクタ容器は、哺乳動物、昆虫、植物、鳥類、又は微生物の細胞を成長させるように構成可能である。
【0010】
他の態様では、直径可変型バイオリアクタ・システムは、第1の直径及び第2の直径を有し、その結果容器の直径は容器の高さに従って変わるバイオリアクタ容器と、バイオリアクタ容器内に配設され、その結果バイオリアクタ容器の所与の液体高さでの所望の撹拌を可能にする撹拌器と、バイオリアクタ容器を第1の容量から第2の容量に拡大させるよう動作可能な制御システムとを備える。ある態様では、第1の容器部は0.3:1を超えるアスペクト比を有し、また第2の容器部も0.3:1を超えるアスペクト比を有する。第1の容器部は、初期の接種段階のバイオリアクタとなることができる。第2の容器部は、増殖段階の容器部となることができる。直径可変型のバイオリアクタ・システムはまた、スパージャ、プローブ・ポート、充填ポート、コンデンサ、ベント・フィルタ、気泡ブレーカ・プレート、サンプル・ポート、レベル・プローブ、及び/又はロード・セルを備えることができる。ある態様では、直径可変型バイオリアクタ・システムは、哺乳動物細胞を産生するように構成される。
【0011】
他の態様では、発酵生成物を生成する方法は、増殖培地及び接種材を第1の容量でバイオリアクタに接種するステップと、接種段階の完了後に、バイオリアクタに追加で増殖培地を添加し、バイオリアクタの容量を第2の容量に拡大するステップとを含む。ある態様では、この方法はさらに、増殖段階の完了後に、追加の増殖培地をバイオリアクタに加えて、バイオリアクタの容量を第3の容量に拡大するステップを含み得る。ある態様では、接種材は哺乳動物細胞である。他の態様では、バイオリアクタは0.3:1の最小アスペクト比を有することができる。
【0012】
本開示の一態様では、哺乳動物細胞を生成するように構成された直径可変型バイオリアクタ容器は、液体培地及び生物由来原料を保持するように構成された容器を備える。この容器は、前記容器部の基部が前記容器の最上部より狭くなるよう設計されており、またこの容器は、液体培地及び生物由来原料を容器内で、第1の容量から第2の容量に増大させることができるようになっている。
【0013】
本開示の別の態様では、哺乳動物細胞を生成するように構成された直径可変型バイオリアクタ容器は、第1の直径を有して液体培地及び生物由来原料を保持するように構成された第1の容器部を備え、この第1の容器部は、前記第1の容器部の基部が前記第1の容器部の最上部より狭くなるよう円錐に設計されており、また直径可変型バイオリアクタ容器は第2の容器部を備え、前記第2の容器部の底部の直径は前記第2の容器部の最上部の直径と同じであり、また第2の容器部は、液体培地及び生物由来原料を容器内で第1の容量から第2の容量に増大させることができるよう配置されている。
【0014】
本開示の別の態様では、直径可変型バイオリアクタ・システムは、第1の直径及び第2の直径を有してその結果容器の直径は容器の高さに従って変わるバイオリアクタ容器と、バイオリアクタ容器内に配設されてその結果バイオリアクタ容器の所与の液体高さでの所望の撹拌を可能にする少なくとも1つの撹拌器と、バイオリアクタ容器を第1の容量から第2の容量に拡大させるよう動作可能な制御システムとを備え、提供される。
【0015】
本開示の別の態様では、シード段階のトレイン及び生産リアクタにおいて使用するリアクタの数量を減らして発酵生成物を生成する方法は、直径可変型バイオリアクタに、増殖培地及び接種材を第1の容量で接種するステップと、第1の容量内での接種段階の完了後に、直径可変型バイオリアクタに追加の増殖培地を添加し、直径可変型バイオリアクタの容量を第1の容量から第2の容量に拡大するステップと、第2の容量内でのシード段階の完了後に、追加の増殖培地を直径可変型バイオリアクタに添加し、直径可変型バイオリアクタの容量を第2の容量から第3の容量に拡大するステップとを含み、提供される。
【0016】
本開示の別の態様では、生物学的生産設備は、初期接種材増殖リアクタと、接種材増殖リアクタと流体連通してシード段階のリアクタのトレインとなるように構成された直径可変型バイオリアクタとを備え、提供される。
【0017】
本発明の直径可変型バイオリアクタは、接種段階の小容量で開始し、20,000Lを含めた生産規模に至るまで任意の規模で使用できるように、作ることが可能である。ただし、本発明の可変直径型バイオリアクタはまた、その全体が参照して組み入れられている米国特許第9,670,446号に記載のように、バイオリアクタのトレインの一部として使用することもまた可能である。
【0018】
本明細書の説明は、以下の図面に鑑みてより完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】直径可変型バイオリアクタ(VDB:variable diameter bioreactor)の側面図である。
【
図2】直径可変型バイオリアクタ(VDB)の側面図である。
【
図3】直径可変型バイオリアクタ(VDB)の側面図である。
【
図4】直径可変型バイオリアクタ(VDB)の概略図である。
【
図5】直径可変型バイオリアクタ(VDB)の概略図である。
【
図6】均一の直径を有する典型的なバイオリアクタの概略図である。
【
図7】直径可変型バイオリアクタ(VDB)の実例の概略図である。
【
図8】直径可変型バイオリアクタ(VDB)の実例の概略図である。
【
図9】直径可変型バイオリアクタ(VDB)の実例の概略図である。
【
図10】直径可変型バイオリアクタ(VDB)の実例の概略図である。
【
図11】直径可変型バイオリアクタ(VDB)の実例の概略図である。
【
図12】直径可変型バイオリアクタ(VDB)の実例の上面図である。
【
図13】直径可変型バイオリアクタ(VDB)の実例の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上記のように、本開示は細胞性の生物由来原料をバイオリアクタ容器の中で培養するシステム、装置、及び方法に関し、添付の図面と共にここで詳細に説明する。同様の参照番号は、相異なる実施例全体にわたって同様の要素を参照することに留意されたい。
【0021】
本明細書で使用されている、要素又は構成部品に先行する冠詞「a」及び「an」は、要素又は構成部品の例(すなわち、存在)の数に関して制限的であることを意図しない。したがって、「a」又は「an」は、1つ又は少なくとも1つを含み、要素又は構成部品の単数形はまた、その数値が単数であることを明確に意味している場合でなければ、複数を含むと読まれるべきである。
【0022】
本明細書で使用されている用語「発明」又は「本発明」は、制限する用語ではなく、また特定の発明のいかなる単一の態様を示すことを意図するものでもなく、明細書及び特許請求の範囲に記載されたすべての可能性のある態様を包含するものである。
【0023】
本明細書で使用されている、成分、構成部品、又は使用された反応物の数量を修飾する用語「約」は、たとえば、濃縮液又は溶液を作るために使用される典型的な測定及び液体取り扱いの手順を通じて起こり得る数量のばらつきを示す。さらに、ばらつきは、測定手順における偶然の誤差、構成部品を作るため又はその手法を実行するため使用される製造、供給元、又は成分の純度の違いなどから起こり得る。一態様において、用語「約」は報告された数値の10%以内を意味する。別の態様において、用語「約」は報告された数値の5%以内を意味する。さらに、別の一態様において、用語「約」は報告された数値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%以内を意味する。
【0024】
生物由来原料(微生物及び哺乳動物の培養物を含むが、それに限定されない)の、本明細書に記載されているものなど、直径可変型バイオリアクタ(VDB)内でのバイオリアクタのプロセスは、最小の接種材から始めて増殖条件を維持し、増殖期間全体にわたり細胞増殖を維持するために継続する及び/又はボーラスの培地添加及び/又は飼料添加を利用し、且つ所望の生成物を生産するのに十分なボリュームの培養物を得るよう設計される。ただ1つのVDBの中で細胞増殖及び生産を達成することにより、多数の、比較的小さい容量のバイオリアクタを不要にすることができる。ただ1つのVDBにより、所望の生成物を生産するために必要であったバイオリアクタ装置の全体的な設置面積が減少し、複数のシード・リアクタ、複数のCIP、SIP、起動作業、動作後の運用が不要になり、現在複数のシード・バイオリアクタを使用することによって見られる対数的でない細胞増殖又は誘導期効果を最小にし、それによって全体的な設備の運転を簡素化し、結果として時間とコストが省かれる。
【0025】
たとえば、単一の20,000LのVDBで、N-3工程の200L、N-2工程の1000L、N-1工程の5000Lシード・バイオリアクタを置き換えることができる。また、3台のシード・バイオリアクタを単一のVDBに置き換えることにより、27.87平方メートル(300平方フィート)超のクリーンな部屋空間を省くことができると推定される。
【0026】
ある態様では、バイオリアクタ下部の円錐形又はより小さい直径をもつ円筒形の幾何形状、及び上部の円筒形の設計を利用することで、混合及び曝気に関する重要な設計上の利点を提供する1台のバイオリアクタ内での、規模拡大を制御することが可能になる。たとえば直径可変で円錐又はより小さい直径の円筒底のタンクを使用して、アスペクト比(液体の高さ対液体レベルでの容器の幅)を1:1より大きく維持することが可能で、バルク中の酸素移動のための十分な液頭をもつ最小の接種量から、より容量の大きい培養まで対応する。次いで、細胞増殖を維持するために、培養物の容量は、培地の添加によって嵩増しすることができる。代替の底部の設計により、一般的な固定直径の円筒形タンクのバイオリアクタの設計と比較して、より高いアスペクト比とより小容量での運用とを可能にし得る。
【0027】
本明細書で使用されている「生物由来原料」は、生存又は死滅している細胞性又はウィルス性材料、並びに/或いは細胞性又はウィルス性の培養によって産生及び発現された生成物の全部又は一部からなる粒子を意味すると理解されたい。これは、たとえば、細菌、哺乳動物、植物、真菌、腫瘍溶解性ウィルス(T-VEC:talimogene laherparepvec)などのウィルス、又は他の任意の所望の治療用若しくは生化学用の生成物などの、真核細胞又は原核細胞を含むことができる。ある態様では、「生物由来原料」は、細胞治療プログラムのために生成された細胞を含む。ある態様では、「生物由来原料」は、ウィルス遺伝子治療、ウィルス免疫療法、又は原生動物ウィルス治療を含むウィルス治療のために生成されたウィルスを含む。ある態様では、「生物由来原料」は、タンパク質、ポリペプチド、ポリマー、DNA、RNA、抗原、モノクローナル抗体、又は他の任意の所望の化合物を含むがこれらに限定されない、所望の化合物の発酵生成のための細胞培養物又はウィルス性培養物を含む。ある態様では、生物由来原料は、基質又は固定化材料などの不活性材料を含むことができる。さらに、本明細書で使用されている「液体培地」は、増殖培地、水、接種材、及び生物由来原料など、バイオリアクタのプロセスで通常使用される任意の液体を意味すると理解されたい。液体培地は、懸濁、乳化、同伴、又は別の様態で液体培地中に存在する固体粒子及び/又は気体を有することができる。
【0028】
図示のように、直径可変型バイオリアクタは、接種からシード及び生産までをただ1つのバイオリアクタ容器内で、又は従来の接種からシード、生産までのトレインからリアクタの数を減らして、効率的に規模拡大できる、複数の構成を有することができる。ある態様では、直径可変型バイオリアクタは、バイオリアクタの培地の容量が従来の垂直円筒で直径が均一のリアクタに比べて小さいとき、より適したアスペクト比を有することができる。また小容量の接種から生産ボリュームまでの培地添加又は飼料添加によって、廃棄物が希釈され、新鮮な栄養素が継続的に導入され、混合されるので、細胞増殖のための安定した環境が提供される。ある態様では、実例の直径可変型バイオリアクタは、発酵プロセス用に構成することができ、またバッチ式、流加式、又は連続式であってもよく、生産方法はバイオリアクタ容器内で、培養の段階及びボリュームの段階に応じて変更することができる。たとえば、最初の接種段階には、バッチ式又は流加式プロセスを使用することができる。次いで、細胞増殖段階が成熟期に達してバイオリアクタの容量がその所望の限度まで拡大されると、流加式、連続式又は灌流式プロセスを使用することができる。本明細書に記載の直径可変型バイオリアクタは、任意の適切な材料で形成することが可能であり、また2017年6月5日に出願された米国出願第15/613,954号に記載のものを含むがこれらに限定されない、単一使用、使い捨て可能なシステム用に構成することが可能である。ある態様では、リアクタは、単一型システム又は多品種生成用スイートで使用されるように構成することができる。
【0029】
さらに、直径可変型バイオリアクタは、どんな所望の総容量をも有するように構成することができる。以下により詳細に説明するように、VDBは約20,000リットル(L)の総容量を有することができるが、VDBを総容量1,000Lで、又はたとえば総容量10Lで設計することさえも可能である。たとえば、総容量10LのVDBもまたプロセス開発又は規模縮小研究のために使用可能であり、一方、容量1000LのVDBがパイロット規模のバイオリアクタとして作用することも可能である。
図1から
図3に、円錐形の下部及び円筒形の上部を有し、それによって様々な所望の容量を達成するために円筒形の上部の高さが変わる、実例の直径可変型バイオリアクタを示す。
【0030】
図1に、直径可変型バイオリアクタ(VDB)100を示す。直径可変型バイオリアクタ100は、第1の直径を有して液体培地又は適切な細胞などの生物由来原料の培養物を保持するように構成された第1の容器部102と、第1の直径より長い第2の直径を有して液体培地を容器100内で第1の容量から第2の容量に増大させることが可能な第2の容器104を備える。直径可変型バイオリアクタ100はまた、人道などの少なくとも1つの入口106及び少なくとも1つの出口108を備える。
【0031】
図2に、
図1に示す直径可変型バイオリアクタの上部円筒部分の高さに比べて、その上部円筒部分の高さが減少した直径可変型バイオリアクタ(VDB)200を示す。直径可変型バイオリアクタ200は、第1の直径を有して液体培地を保持するように構成された第1の容器部202と、第1の直径より長い第2の直径を有する第2の容器204を備える。直径可変型バイオリアクタ200はまた、人道などの少なくとも1つの入口206及び少なくとも1つの出口208を備える。
【0032】
図3に、
図2に示す直径可変型バイオリアクタの上部円筒部分の高さに比べて、その上部円筒部分の高さが減少した直径可変型バイオリアクタ(VDB)300を示す。直径可変型バイオリアクタ300は、第1の直径を有して液体培地を保持するように構成された第1の容器部302と、第1の直径より長い第2の直径を有する第2の容器部304を備える。直径可変型バイオリアクタ300はまた、人道などの少なくとも1つの入口306及び少なくとも1つの出口308を備える。
【0033】
図4に、直径可変型バイオリアクタ(VDB)400を示す。直径可変型バイオリアクタ400は第1の容器部402、第2の容器部404、及び第3の容器部406を備える。第1の容器部は、直径が容器の高さに従って変わる、すなわち第1の容器部402の直径及び第2の容器部404の直径は、バイオリアクタ400の最上部に向かって増加する。ただし図示のように、第3の容器部406の直径は、容器部406全体を通して比較的均一にとどまっている。
【0034】
図5に、直径可変型バイオリアクタ(VDB)500を示す。直径可変型バイオリアクタ500は第1の容器部502、第2の容器部504、及び第3の容器部506を備える。第1の容器部は、直径が容器の高さに従って段階的に、すなわち容器を上に向かうにつれて変わり、第3の容器部506の直径は第2の容器部504の容量よりも大きく、第2の容器部504の容量は第1の容器部502の容量よりも大きい。図示のように、本態様において、各段の直径はその段の間ずっと均一で、第1の段502と第2の段504の間で1段階増加し、また第2の段504と第3の段506の間でまた別の1段階、直径が増加する。
【0035】
図6から
図9は、様々なバイオリアクタの設計の、アスペクト比及び容量の実例を示す。上記のように、アスペクト比は容器の高さ対幅又は直径で定義される。図示のように、
図6から
図9のリアクタは、約0リットルと25,000リットル(L)間の範囲の容量を有することができる。
【0036】
図6は、均一の直径を有する(すなわち、直径可変型バイオリアクタではない)典型的なバイオリアクタ600である。典型的なバイオリアクタ600は、単一の容器部608だけを有し、またバイオリアクタ高さ602、容量604、アスペクト比606を有する。典型的なバイオリアクタ600は、表1に示すバイオリアクタ高さ602、アスペクト比606を有する。図示のように、小容量、たとえば800Lで、典型的な均一直径のリアクタのアスペクト比は0.3よりも大幅に低い。さらに、均一直径のバイオリアクタは、少なくとも0.65以上のアスペクト比で動作しなければならず、それは
図6では約10,000Lの容量を示す。すなわち、均一直径のバイオリアクタでは、最適な運転のため、所望の培養物の容量に達するように、複数のシード・バイオリアクタで漸増的に培養物の容量を増やす必要がある。
【0037】
【0038】
図7、
図8及び
図9は、様々な構成の直径可変型バイオリアクタを示し、これらはすべて、複数のシード・バイオリアクタ200L、1000L、及び4000Lそれぞれを不要にするのに必要となる所望の容量で動作可能である。
【0039】
図7は、バイオリアクタ高さ702、容量704、及びアスペクト比706を有する、実例である直径可変型バイオリアクタ(VDB)700を示す。図示のように、バイオリアクタ700は第1の容器部708、第2の容器部710、及び第3の容器部712を備える。実例のバイオリアクタ700は、表2に示すバイオリアクタ高さ702、アスペクト比706、及び容量704を有する。
【0040】
【0041】
図8は、バイオリアクタ高さ802、容量804、及びアスペクト比806を有する、実例である直径可変型バイオリアクタ(VDB)800を示す。図示のように、バイオリアクタ800は第1の容器部808、第2の容器部810、及び第3の容器部812を備える。
【0042】
図9は、バイオリアクタ高さ902、容量904、及びアスペクト比906を有する、実例である直径可変型バイオリアクタ(VDB)900を示す。図示のように、バイオリアクタ900は第1の容器部908、及び第2の容器部910を備える。実例のリアクタ800、900は、表3に示すバイオリアクタ高さ802、902、及びアスペクト比806、906を有する。
【0043】
【0044】
図10及び
図11は実例の直径可変型バイオリアクタ容器1000及び1100を示す。図示のように、直径可変型バイオリアクタ1000、1200は、撹拌器のシャフト、羽根車などの撹拌器、スパージャ、プローブ・ポート、充填ポート、コンデンサ、ベント・フィルタ、気泡ブレーカ・プレート、サンプル・ポート、レベル・プローブ、及びロード・セルのうちの少なくとも1つなどの、様々なポート、プローブ、スパージャ、及び他の構成部品を備えることができる。
【0045】
図10は、第1の容器部1002及び第2の容器部1004を備える、VDB1000の概略図である。ある態様では、第1の容器部1002は、増加する直径を有し、したがって第1の容器部1002は円錐形である。第2の容器部1004は、一定の直径を有することができ、したがって第1の容器部1002は円筒形である。図示のように、VDB1000は、バイオリアクタ全体の高さAを有することができる。ある態様では、バイオリアクタ全体の高さAは、約1.52メートル(5フィート)から約15.24メートル(50フィート)の範囲にあってもよい。たとえば、バイオリアクタ全体の高さは、約6.10メートル(20フィート)であってもよい。さらに、図示のように、バイオリアクタの上部は高さBを有することができ、下部は高さCを有することができ、またバイオリアクタは液体高さEを有することができる。液体高さEは、生産のどの段階が所望されているかに基づいて変えることができる。ある態様では、下部の直径は高さCに従って変えることができ、またある態様では、上部の直径は高さBに沿って一定のままとすることができる。
【0046】
本明細書に記載するように、VDBバイオリアクタの直径は、バイオリアクタ全体の高さA又は下部の高さCに従って移動するにつれて変えることができる。図示のように、第1の容器部1002は、下部の高さCに応じて増加する直径を有することができる。リアクタ高さAを上に向かうにつれて直径は、たとえば第2の直径D2、第3の直径D3、及び第4の直径D4へと増加する。ある非制限的な態様では、たとえば、D1は約0.30メートル(1フィート)から約0.91メートル(3フィート)であってもよく、D2は約0.30メートル(1フィート)から約1.52メートル(5フィート)であってもよく、D3は約0.61メートル(2フィート)から約3.05メートル(10フィート)であってもよく、D4は約0.91メートル(3フィート)から約6.10メートル(20フィート)であってもよい。1つの非限定的な例として、VDBバイオリアクタの高さAは約6.10メートル(20フィート)で下部高さC(円錐高さ)約4.57メートル(15フィート)、上部直径(D4)約3.05メートル(10フィート)、底部直径(D1)約0.61メートル(2フィート)、D2約0.99メートル(3.25フィート)及びD3約1.46メートル(4.8フィート)であってよく、総容量約24,909リットル(L)、下部(円錐)容量13,789L、上部(円筒)容量11,120Lをもたらす。
図10に示すようなある態様では、上部は均一の直径を有することができ、D4はD5に等しいことに留意されたい。さらに、図示のように、下部は、下部に所望の直径及び容量を与えるのに適切な任意の角度とし得る角度θを備える、円錐の形状を有することができる。収容容量は皿形の底部1016を有することができることを理解されたい。また角度のついた頂点部1018は、単に説明目的のために示されており、リアクタ内にある必要はないことを理解されたい。
【0047】
さらに、VDB1000は、複数の撹拌器1010a、1010b、1010c、及び1010dを備える。撹拌器は、特定の撹拌器1010a、1010b、1010c、及び1010dがその中に配設される特定の容器部1002、1004のために構成された撹拌を可能にするように構成することができる。図示のように、撹拌器1010dをバイオリアクタ内の高さHに配設し、撹拌器1010cをバイオリアクタ内の高さIに配設し、撹拌器1010bをバイオリアクタ内の高さJに配設し、撹拌器1010aを高さKに配設することができる。たとえば、高さH、I、J、Kは約0.30メートル(1フィート)から6.10メートル(20フィート)の範囲内にあってよい。ある態様では、撹拌器は、VDB1000の中点1011に沿って配設される単一の駆動装置(図示せず)を有することができる。ある態様では、VDB1000は、バイオリアクタ1000のいたるところに隔壁1012を備えることができる。図示のように、隔壁1012は、バイオリアクタの高さG又はFに沿って、延在することができる。ある態様では、VDB1000は、複数のポート1014を備えることができる。ポート1014は、入口、出口、pH、温度、酸素などのプローブ、或いは他の任意の所望のプローブ又はセンサであるように構成することができる。VDB1000はまた、ただ1つの羽根車など、ただ1つの撹拌器を備えることができる。
【0048】
図11は、VDBバイオリアクタ1100の実例の概略図である。VDBバイオリアクタ1100は、バイオリアクタの培地を添加及び除去するように構成された、入口ポート1102及び底部出口バルブ1104を備える。VDBバイオリアクタ1100は、第1の容器部1102、第2の容器部1104、及び第3の容器部1106を備えることができる。バイオリアクタは、下部撹拌器1110、中間部撹拌器1112、上部撹拌器1114、並びに撹拌器用モータ及び駆動装置1116を具備する撹拌器1108を備える。さらに、バイオリアクタは、空気又は他の栄養素が、バイオリアクタの液体培地を通って気泡となることを可能にするように構成された、少なくとも1つのスパージャ1118を備えることができる。加えて、バイオリアクタは、少なくとも1つのプローブ又は添加ポート1120を備えることができる。バイオリアクタはまた、少なくとも1つのCIPポート1122を備えることができる。図示のように、バイオリアクタは、スパージャ1118、プローブ及び添加ポート1120、並びにCIPポート1122を、容器部1102、1104、1106のそれぞれの中に備えるように構成することができる。バイオリアクタは、気泡注入の監視及び制御、液体培地の添加及び除去、細胞増殖及び生成、酸素レベル、容量、温度、pH、並びに他の任意の所望の構成要素をも含むバイオリアクタ・システムを制御するための、任意の適切な制御システムを備えることができる。ある態様では、制御システムは、連続式又はバッチ式手法のどちらでも、バイオリアクタの容量を拡大するように構成される。加えて、バイオリアクタは、その中に配置される少なくとも1つの隔壁1124を備えることができ、細胞消滅となり得るバイオリアクタ接種物への過度のストレスを引き起こすことのない、好適な混合状態を提供するように構成される。加えて、バイオリアクタは、外部に断熱材を具備することが可能な、熱伝達シェル1126を備えることができる。VDB1000はまた、ただ1つの羽根車など、ただ1つの撹拌器を備えることができる。
【0049】
本明細書に記載の直径可変型バイオリアクタは、任意の断面形状を有することができる。ある態様では、直径可変型バイオリアクタは、円形でない断面形状を有することができる。円形でない断面の場合は、「直径」は各段の断面積を意味すると理解されたい。ある態様では、つまり、直径可変型バイオリアクタは、円形、正方形、長方形、三角形、五角形、六角形、八角形、七角形、十角形、及び他のどんな形状をも含むがこれらに限定されない任意の幾何形状である断面形状を有することができる。
【0050】
本発明の直径可変型バイオリアクタはまた、撹拌器を備えることができる。たとえば、撹拌器は、以下を含むことができる。(i)表面に波紋を形成し、表層を液体のバルクと混合することを可能にする、環状の揺動又は振動、(ii)撹拌器のシャフト上に非中心対称に配置された撹拌器、又は円錐形の容器の底部上に中心を外れて装着され、撹拌器の領域周辺で液体の渦を巻くことにより軸方向の混合を可能にする撹拌器、(iii)径方向に流れる液体のバルクを軸方向に偏向させることを可能にする、複合ベース/ベース・プレート設計を有する隔壁のない容器内の中心に装着された撹拌器(撹拌器群)、及び(iv)隔壁が足りないために生じる軸方向の流れの不足を克服するために容器がかき混ぜられる、円形でない容器(立方体)。
【0051】
ある実施例では、少なくとも1つのブレード要素を備える撹拌器が曝気装置として使用される。ブレード要素は、回転可能シャフトに向かって折り畳むことができる。ある実施例では、回転可能シャフトは、第1の撹拌器及び第2の撹拌器と連結され、両方の撹拌器が少なくとも1つの折り畳み可能なブレード要素を備えることができる。やはり、混合中に縦配置で、又は畳まれ折られた配置で撹拌器をそれぞれ保持するための保持リング位置及び撹拌器係脱位置があってもよい。
【0052】
一実施例では、回転可能シャフトは、軸鞘に囲まれた金属の強化ロッドを備える。金属の強化ロッドは、ステンレス鋼で作られてもよく、一体に結合された複数の片部から作られてもよい。強化ロッドの上部は、モータを磁気によって係合するための磁気部材を備えることができる。軸鞘は、高分子材料からなるものでよい。シャフト上の撹拌器はまた、親水性ポリマーなどの高分子材料で作ることができる。たとえば、軸鞘及び撹拌器は、照射、光又はプラズマ誘導、或いは酸化を受けることによって改質されたポリエチレンポリマーを含むことができる。非中心対称に配置された複数の撹拌器に対して、中心を外れて装着された単一の撹拌器は、流加式プロセス中に、液体中に浸かっていない回転する撹拌器によって液体表面が切られることの影響を考慮する必要なしに、作動容量を連続的に変更することが可能であるというかなりの利点を提供する。
【0053】
本開示によれば、回転可能シャフトは、上部の羽根車及び底部の羽根車に結合することができる。上部の羽根車及び底部の羽根車の両方が、高分子材料で作ることができる。たとえば、ある実施例では、羽根車は3Dプリンタで作られたものであってもよい。上部の羽根車及び底部の羽根車の両方が、親水性の表面を画定することができる。たとえば、羽根車を形成するために使用される高分子材料は、親水性のポリマーを含んでもよく、又は表面が親水性になるように表面を改質されたポリマーを含んでもよい。
【0054】
ある実施例では、たとえば、上部及び底部の羽根車は、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィンポリマーで作られる。一実施例では、低密度ポリエチレンを使用することができる。低密度ポリエチレンは、親水性の表面を形成するために、照射、光又はプラズマ誘導、或いは酸化を受けることによって改質されてもよい。
【0055】
別の実施例では、その全体が参照により組み込まれる米国特許第9,670,466号で論じられているように、本発明の直径可変型バイオリアクタを、その大きさと特徴を維持するように設計することができる。たとえば、本発明の直径可変型バイオリアクタは、2つの撹拌器を備えることができる。上部の羽根車は、水中翼の羽根車を含むことができる。一方、底部の羽根車は、4ピッチ・ブレードの高剛性の羽根車を含むことができる。羽根車対タンクの直径比は約0.35から約0.55、たとえば約0.44から約0.46などであってもよい。上部の羽根車及び底部の羽根車は、約0.1から約0.9の動力数(Np)を有することができ、また約0.4から約0.9の流れ数(Nq)を有することができる。
【0056】
本開示の撹拌システムで使用するのに好適な羽根車の非制限的な実例は、水中翼羽根車、高剛性ピッチ・ブレード羽根車、高剛性水中翼羽根車、ラッシュトン型羽根車、ピッチ・ブレード羽根車、穏やかな船舶用羽根車、セリジェン・セルリフト羽根車、A320羽根車、HE3羽根車などを含む。スピン・フィルタもまた、装置が灌流モードで動作するときなどに、使用することができる。本開示の単一で使用するバイオリアクタの、複数の羽根車の実施例において、羽根車は同一の又は様々な材料、設計、及び製造方法を含むことができる。たとえば、一実施例では、上部の羽根車は、水中翼羽根車又は3Dプリンタを使用して作られたものなどの類似の設計の1つであってもよい。
【0057】
図12は、円形でない様々な断面を有する、実例のバイオリアクタ容器1200の上面図である。すなわち、バイオリアクタ1200は正方形の断面形状を有している。具体的には、容器1200は、底部1208と、第1の直径1228を有して液体培地及び生物由来原料を保持するように構成された第1の容器部1202と、第1の直径1228より長い第2の直径1230を有して液体培地及び生物由来原料を容器1200内で第1の容量から第2の容量へ増加可能で、容器1200は液体培地及び生物由来原料を保持するように構成された、第2の容器部1204とを備える。このような形状の構成が、側面から見たときに、
図1から
図11に示すいずれか又はすべての実施例、並びに本明細書に開示された他の実施例に入り得ることが、当業者には理解されよう。たとえば、容量寸法の増加は4つの側部のうちの1側部、4つの側部のうちの2側部、4つの側部のうちの3側部、又は4つの側部すべての直径を変えることにより達成することができる。この増加は、いずれかの又はすべての側部において連続する必要はない。
【0058】
一実施例では、本明細書での使用に好適な羽根車は、3D印刷によって製造され、羽根車の寸法が異なっても、当技術分野で知られるいずれかの羽根車のように見えるものを含む。
【0059】
図13は、円形でない様々な断面を有する、実例のバイオリアクタ容器1300の上面図である。すなわち、バイオリアクタ1300は、三角形の断面形状を有している。具体的には、容器1300は、第1の直径1328を有して液体培地及び生物由来原料を保持するように構成された第1の容器部1302と、第1の直径1328より長い第2の直径1330を有して液体培地及び生物由来原料を容器1300内で第1の容量から第2の容量へ増加可能で、容器1300は液体培地及び生物由来原料を保持するように構成された、第2の容器部1304とを備える。このような形状の構成が、側面から見たときに、
図1から
図11に示すいずれか又はすべての実施例、並びに本明細書に開示された他の実施例に入り得ることが、当業者には理解されよう。たとえば、容量寸法の増加は3つの側部のうちの1側部、3つの側部のうちの2側部、又は3つの側部すべての直径を変えることにより達成することができる。この増加は、いずれかの又はすべての側部において連続する必要はない。
【0060】
楕円形、六角形、八角形など、他の円形でないバイオリアクタが本明細書に開示されていることが当業者には理解されよう。
【0061】
図12に示す立方体の幾何形状及び
図13に示す三角形の幾何形状など、円形でない容器の幾何形状に関して、撹拌器によって作り出される径方向の流れは、容器の4側部のそれぞれにぶつかる時に偏向することができる。このような設計は、取り付け中に、水平に詰められたバイオプロセス容器のそれぞれの角を、スチール枠の角に容易に整列させることができるという、スチール枠への取り付け上の利点を提供する。
【0062】
使用に当たっては、本明細書に記載の直径可変型バイオリアクタは、生きた細胞を培養し、生物由来原料を生成するために使用することができ、トレイン内の必要なリアクタを単一のバイオリアクタに限定することによってフロア空間の効率的な使用が可能になる。具体的には、発酵生成物の生産など、生物由来原料の生産は、増殖培地及び接種材を第1の容量でバイオリアクタに接種し、接種段階の完了後に、バイオリアクタに追加で増殖培地を添加し、バイオリアクタの容量を第2の容量に拡大することによって、ただ1つのVDBバイオリアクタの中で達成することができる。ある態様では、バイオリアクタを使用することは、増殖段階の完了後に、追加の増殖培地をバイオリアクタに添加し、バイオリアクタの容量を第3の容量に拡大するステップを有することができる。
【0063】
すなわち、接種バイオリアクタ及び必要なすべての後に続く増殖又はシード・リアクタを単一のバイオリアクタ容器に凝縮させることによって、特定の施設の設置面積は最小化される。たとえば、所望の生産規模20,000リットル(L)のために、第1の容器部(すなわち、接種容器部)、第2のシード又は増殖部、及び第3のシード又は増殖容器部からなる、ただ1つの20,000Lバイオリアクタを使用することができる。たとえば、第1の容器部(接種容器部)は、約100Lから約200Lの容量に対応する第1の直径、及び約0.3:1から約2:1の間の所望のアスペクト比を有することができる。次に、第2及び第3のシード容器部は、バイオリアクタの容量を、所望のアスペクト比の範囲を維持しながら、所望の20,000Lの量まで拡大することができる。たとえば、アスペクト比を、約0.3:1と約3:1の間にとどめることができる。20,000Lバイオリアクタ・ユニットは、以下のステップのうちの1つ又は複数、或いはすべてを実行することができる。栄養素及び/若しくは炭素源の供給、適切な気体(たとえば、酸素)の注入、発酵若しくは細胞培養培地の流出入、気相及び液相の分離、増殖温度の維持、pHレベルの維持、撹拌(たとえば、かき混ぜ)、並びに/又は洗浄/殺菌。
【0064】
たとえば、本実例の、20,000Lのバイオリアクタは、ある態様では、増殖培地及び哺乳動物細胞などの接種材を第1の容量で接種することができる。この接種段階では、リアクタは第1の容量で接種することが可能で、リアクタのこの容量は接種材の初期増殖に好適である。所望の細胞増殖を可能にする好適な期間の後に、バイオリアクタは、接種材の第2の増殖段階を達成するための、第2のリアクタ容量に規模拡大することができる。すなわち、接種段階の完了後に、増殖に必要な追加の増殖培地及び他の任意の所望の成分をバイオリアクタに添加して、バイオリアクタの容量を第2の容量に拡大することができる。この第2の容量は、接種材に必要な、所望の継続した増殖条件に適した任意の所望の容量であってよい。この第2の容量でさらに、細胞増殖及び拡散を達成することができる。ある態様では、第3、第4、又は任意の数の容量を増加する増殖段階を、リアクタ容量を所望の容量に拡大し続けて利用することができる。
【0065】
本明細書に記載されているような、直径可変型バイオリアクタは、その両方の全体が参照により組み込まれる、2017年3月10日に出願された米国特許出願第15/455,836号及び公開第WO/2017/072201 A2号に開示されるものを含むがこれらに限定されない、多くの種類の製造設備で使用することができる。こうした設備において、上記の出願で論じられているバイオリアクタ又は他の類似の設備の1つ又は複数を、本発明の直径可変型バイオリアクタで置き換えることが可能である。
【0066】
本発明の直径可変型バイオリアクタはまた、2017年6月5日に出願された米国出願第15/613,954号、2017年6月2日に出願された米国特許出願第15/612,769号、2017年1月27日に出願された米国仮特許出願第62/451,470号、及びその他で開示されたものを含むがこれらに限定されない、当業者に知られた制御システムによって統制することができる。
【実施例】
【0067】
本発明の直径可変型バイオリアクタの、容量と、直径と、細胞増殖特性との間の関係は、多くの因子を考慮する必要がある。以下の等式は、本発明のバイオリアクタを設計するときに有用な案内を提供する。
【0068】
【0069】
たとえば、20,000L以下の容量を備え動作する本発明のバイオリアクタを設計するときに、可変直径バイオリアクタは以下の大きさを有することになる。
総容量:20,000L
円錐部容量:15,000L
最上部の直径(Diametertop):2.13メートル(7フィート)
底部の直径(Diameterbottom):0.91メートル(3フィート)
全体の高さ:9.20メートル(30.2フィート)
円筒部容量:5,000L
円錐部高さ:7.80メートル(25.6フィート)
円筒部高さ:1.40メートル(4.6フィート)
【0070】
別の実例として、高さが6.10メートル(20フィート)に制限される製造設備などの中のある空間に適する、本発明のバイオリアクタを設計するとき、上記等式から以下の大きさが得られる。
総容量:16,458L
円錐部容量:9,341L
最上部の直径(Diametertop):2.44メートル(8フィート)
底部の直径(Diameterbottom):0.61メートル(2フィート)
全体の高さ:6.10メートル(20フィート)
円筒部容量:7,117L
円錐部高さ:4.57メートル(15フィート)
円筒部高さ:1.52メートル(5フィート)
【0071】
上記実例は、
図10に示すなどの、4つの羽根車を備えることができる。
【0072】
別の実例として、本発明の設計により、20,000Lを超える直径可変型バイオリアクタを作ることができ、これは当業界には新しいものである。具体的には、直径可変型バイオリアクタは、以下の大きさをもって作ることができる。
総容量:25,000L
円錐部容量:15,000L
最上部の直径(Diametertop):2.41メートル(7.9フィート)
底部の直径(Diameterbottom):0.76メートル(2.5フィート)
全体の高さ:9.14メートル(30フィート)
円筒部容量:10,000L
円錐部高さ:6.95メートル(22.8フィート)
円筒部高さ:2.19メートル(7.2フィート)
【0073】
上記に特に記載されていない場合は、上記説明はさらに以下の通り理解してよい。本明細書に記載の装置、設備及び方法は、原核細胞系及び/又は真核細胞系を含む任意の所望の細胞系培養に、及び培養を用いての使用に好適である。さらに、実施例では、装置、設備及び方法は、懸濁細胞又はアンカレッジ依存性(接着)細胞を培養するのに好適であり、またポリペプチド生成物、核酸生成物(たとえばDNA又はRNA)、或いは細胞及び/又はウィルス療法において使用されるような細胞及び/又はウィルスなどの、医薬品及び生物製剤を生産するように構成された、生産工程に好適である。
【0074】
実施例では、細胞は、組換え治療用生成物又は診断用生成物などの生成物を、発現又は産生する。以下にさらに詳細に説明するように、細胞により生成される生成物の実例は、抗体分子(たとえば、モノクローナル抗体、二重特異性抗体)、抗体模倣物(抗原に特異的に結合するが、たとえばDARPin、アフィボディ、アドネクチン、又はIgNARなどの抗体に構造的に関連しないポリペプチド分子)、融合タンパク質(たとえば、Fc融合タンパク質、キメラ・サイトカイン)、他の組換えタンパク質(たとえば、グリコシル化タンパク質、酵素、ホルモン)、ウィルス治療剤(たとえば、抗癌性腫瘍溶解性ウィルス、遺伝子治療及びウィルス免疫療法のためのウィルスベクター)、細胞治療剤(たとえば、多能性幹細胞、間葉系幹細胞、及び成体幹細胞)、ワクチン又は脂質封入粒子(たとえば、エキソソーム、ウィルス様粒子)、RNA(たとえば、siRNAなど)又はDNA(たとえば、プラスミドDNAなど)、抗生物質或いはアミノ酸を含むがそれに限定されるものではない。実施例では、装置、設備、及び方法は、バイオ後続品の生成に使用することができる。
【0075】
説明したように、実施例において、装置、設備、及び方法は、真核細胞、たとえば哺乳動物細胞、又はたとえば酵母細胞若しくは糸状菌細胞などの下等真核細胞、又はグラム陽性細胞若しくはグラム陰性細胞などの原核細胞、及び/或いは、たとえば、タンパク質、ペプチド、抗生物質、アミノ酸、核酸(DNA若しくはRNAなど)といった、大規模なやり方で真核細胞によって合成された真核細胞又は原核細胞の生成物の生産を可能にする。本明細書に特に記載しない限り、装置、設備、及び方法は、実験規模、パイロット生産規模、及びフル生産規模の能力を含むがこれらに限定されない、任意の所望のボリューム又は生産能力を含むことができる。
【0076】
さらに、本明細書に特に記載しない限り、装置、設備、及び方法は、撹拌タンク、エアリフト、ファイバ、マイクロファイバ、中空ファイバ、磁気マトリクス、流動層、固定層、及び/又は噴流層バイオリアクタを含むがこれらに限定されない任意の好適なリアクタを含むことができる。本明細書で使用されている「リアクタ」は、発酵槽又は発酵ユニット、或いは任意の他の反応容器を含むことができ、また用語「リアクタ」は「発酵槽」と置き換え可能に使用される。たとえば、ある態様では、実例のバイオリアクタ・ユニットは、以下のうちの1つ又は複数、或いはすべてを実行することができる。栄養素及び/若しくは炭素源の供給、適切な気体(たとえば、酸素)の注入、発酵若しくは細胞培養培地の流入及び流出、気相及び液相の分離、温度の維持、酸素及びCO2レベルの維持、pHレベルの維持、撹拌(たとえば、かき混ぜ)、並びに/又は、洗浄/殺菌。発酵ユニットなどの実例のリアクタ・ユニットは、そのユニット内に複数のリアクタを含むことができ、たとえばユニットは、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、若しくは100、若しくはさらに多数のバイオリアクタを各ユニット内に収容することができ、且つ/又は、設備は、単一若しくは複数のリアクタを有する複数のユニットを、その設備内に含むことができる。様々な実施例において、バイオリアクタはバッチ式、半流加式、流加式、灌流式、及び/又は連続式の発酵プロセスに好適であり得る。任意の好適なリアクタの直径を、使用することができる。実施例では、バイオリアクタは、約100mLから約50,000Lの間の容量を有することができる。非制限的な実例は、100mL、250mL、500mL、750mL、1リットル、2リットル、3リットル、4リットル、5リットル、6リットル、7リットル、8リットル、9リットル、10リットル、15リットル、20リットル、25リットル、30リットル、40リットル、50リットル、60リットル、70リットル、80リットル、90リットル、100リットル、150リットル、200リットル、250リットル、300リットル、350リットル、400リットル、450リットル、500リットル、550リットル、600リットル、650リットル、700リットル、750リットル、800リットル、850リットル、900リットル、950リットル、1000リットル、1500リットル、2000リットル、2500リットル、3000リットル、3500リットル、4000リットル、4500リットル、5000リットル、6000リットル、7000リットル、8000リットル、9000リットル、10,000リットル、15,000リットル、20,000リットル、及び/又は50,000リットルの容量を含む。加えて、好適なリアクタは、多用途、単一用途、使い捨て可能、又は使い捨て不可であってもよく、またステンレス鋼(たとえば、316L又は任意の他の好適なステンレス鋼)及びインコネルなどの合金、プラスチック、並びに/或いは硝子を含む任意の好適な材料で形成することができる。
【0077】
実施例において、本明細書に特に記載しない限り、本明細書に記載の装置、設備、及び方法はまた、このような生成物の分離、精製及び単離のための操作及び/又は機器など、特に言及されていない任意の好適なユニットの操作及び/又は機器を含むことができる。従来の木造設備、組立ユニット、可動型の一時的な設備、又は他の任意の好適な構造、設備、及び/若しくはレイアウトなど、任意の好適な設備及び環境を使用することができる。たとえば、ある実施例では、組立ユニット式のクリーン・ルームを使うことができる。加えて、特に記載しない限り、明細書に記載の装置、システム、及び方法を、単一の場所又は設備内に収容し、且つ/又はそこで実行し、或いは別法として、別個の又は複数の場所及び/又は設備に収容し、且つ/又は実行することができる。
【0078】
非限定的な例として、制限なく、米国公報第2012/0077429号、及び第2009/0305626号、並びに米国特許第9,388,373号、第8,771,635号、第8,298,054号、第7,629,167号、及び第5,656,491号は、本明細書でその全体が参照により組み込まれており、好適な場合がある実例の設備、機器、及び/又はシステムを説明している。
【0079】
実施例では、細胞は、真核細胞、たとえば哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞は、たとえば、ヒト又は齧歯動物又はウシの細胞系又は細胞株であってよい。このような細胞、細胞系、又は細胞株の実例は、たとえば、マウス骨髄腫(NSO)細胞系、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO:Chinese hamster ovary)細胞系、HT1080、H9、HepG2、MCF7、MDBKジャーカット細胞、NIH3T3、PC12、BHK(ベビー・ハムスター腎臓細胞)、VERO、SP2/0、YB2/0、Y0、C127、L細胞、COS、たとえばCOS1及びCOS7、QC1-3、HEK-293、VERO、PER.C6、HeLA、EB1、EB2、EB3、腫瘍崩壊細胞又はハイブリドーマ細胞系である。哺乳動物細胞は、CHO細胞系が好ましい。一実施例では、細胞は、CHO細胞である。一実施例では、細胞はCHO-K1細胞、CHO-K1 SV細胞、DG44 CHO細胞、DUXB11 CHO細胞、CHOS、CHO GSノックアウト細胞、CHO FUT8 GSノックアウト細胞、CHOZN、又はCHO由来細胞である。CHO GSノックアウト細胞(たとえば、GSKO細胞)は、たとえば、CHO-K1 SV GSノックアウト細胞である。CHO FUT8ノックアウト細胞は、たとえば、Potelligent(登録商標)CHOK1 SV(Lonza Biologics, Inc.)である。真核細胞はまた、たとえばEBx(登録商標)細胞、EB14、EB24、EB26、EB66、又はEBvl3などの、鳥類の細胞、細胞系、又は細胞株であってもよい。
【0080】
一実施例では、真核細胞は幹細胞である。幹細胞は、たとえば、胚性幹細胞(ESC:embryonic stem cell)、成体幹細胞、誘導多能性幹細胞(iPSC:induced pluripotent stem cell)、組織固有の幹細胞(たとえば、造血幹細胞)、及び間葉系幹細胞(MSC:mesenchymal stem cell)を含む、多能性幹細胞であってもよい。
【0081】
一実施例では、細胞は、本明細書に記載の細胞のいずれかの分化した形である。一実施例では、細胞は、培養物中の任意のプライマリ細胞由来の細胞である。
【0082】
実施例において、細胞は、ヒト肝細胞、動物肝細胞、又は非実質細胞などの肝細胞である。たとえば、細胞は、付着可能な代謝に適合したヒト肝細胞、付着可能な誘導に適合したヒト肝細胞、付着可能なQualyst Transporter Certified(商標)ヒト肝細胞、懸濁に適合したヒト肝細胞(10のドナー及び20のドナーにプールされた肝細胞を含む)、ヒト肝クッパー細胞、ヒト肝星細胞、イヌ肝細胞(単一のプールされたビーグル犬肝細胞を含む)、マウス肝細胞(CD-1肝細胞及びC57BI/6肝細胞を含む)、ラット肝細胞(Sprague-Dawley肝細胞、Wistar Han肝細胞、及びWistar肝細胞を含む)、サル肝細胞(Cynomolgus又はRhesusサル肝細胞を含む)、ネコ肝細胞(Domestic Shorthair肝細胞を含む)、及びウサギ肝細胞(New Zealand White肝細胞を含む)であってもよい。実例の肝細胞は、6 Davis Drive Research Triangle Park, North Carolina, 米国 27709に所在の、Triangle Research Labs, LLCから市販されている。
【0083】
一実施例では、真核細胞は、たとえば酵母細胞(たとえば、Pichia属(たとえば、Pichia pastoris、Pichia methanolica、Pichia kluyveri、及びPichia angusta)、Komagataella属(たとえば、Komagataella pastoris、Komagataella pseudopastoris、又はKomagataella phaffii)、Saccharomyces属(たとえば、Saccharomyces cerevisae、セルビシエ、Saccharomyces kluyveri、Saccharomyces uvarum)、Kluyveromyces属(たとえば、Kluyveromyces lactis、Kluyveromyces marxianus)、Candida属(たとえば、Candida utilis、Candida cacaoi、Candida boidinii)、Geotrichum属(たとえば、Geotrichum fermentans)、Hansenula polymorpha、Yarrowia lipolytica、又はSchizosaccharomyces pombeなど)の下等真核細胞である。Pichia pastoris種であることが望ましい。Pichia pastoris株の例は、X33、GS115、KM71、KM71H、及びCBS7435である。
【0084】
一実施例では、真核細胞は、真菌細胞(たとえば、Aspergillus(A.niger、A.fumigatus、A.orzyae、A.nidulaなど)、Acremonium(A.thermophilumなど)、Chaetomium(C.thermophilumなど)、Chrysosporium(C.thermophileなど)、Cordyceps(C.militarisなど)、Corynascus、Ctenomyces、Fusarium(F.oxysporumなど)、Glomerella(G.graminicolaなど)、Hypocrea(H.jecorinaなど)、Magnaporthe(M.orzyaeなど)、Myceliophthora(M.thermophileなど)、Nectria(N.heamatococcaなど)、Neurospora(N.crassaなど)、Penicillium、Sporotrichum(S.thermophileなど)、Thielavia(T.terrestris、T.heterothallicaなど)、Trichoderma(T.reeseiなど)、又はVerticillium(V.dahliaなど))である。
【0085】
一実施例では、真核細胞は、昆虫細胞(たとえば、Sf9、Mimic(商標)Sf9、Sf21、High Five(商標)(BT1-TN-5B1-4)、又はBT1-Ea88細胞)、藻細胞(たとえば、Amphora属の藻細胞、Bacillariophyceae、Dunaliella、Chlorella、Chlamydomonas、Cyanophyta(藍藻)、Nannochloropsis、Spirulina、又はOchromonas)、或いは植物細胞(たとえば、単子葉植物(たとえば、トウモロコシ、コメ、コムギ、又はエノコログサ属)からの細胞、又は双子葉植物(たとえばキャッサバ、ジャガイモ、ダイズ、トマト、タバコ、アルファルファ、ニセツリガネゴケ、又はシロイヌナズナ属)からの細胞)である。
【0086】
一実施例では、細胞は、細菌細胞又は原核細胞である。
【0087】
実施例では、原核細胞は、Bacillus、Streptomyces、Streptococcus、Staphylococcus、又はLactobacillusなどのグラム陽性細胞である。使用可能なBacillusは、たとえば、B.subtilis、B.amyloliquefaciens、B.licheniformis、B.natto、又はB.megateriumである。実施例では、細胞はB.subtilis 3NA及びB.subtilis 168などのB.subtilisである。Bacillusは、たとえば、Biological Sciences 556, 484 West 12th Avenue, Columbus OH 43210-1214に所在の、Bacillus Genetic Stock Centerから入手可能である。
【0088】
一実施例では、原核細胞は、Salmonella spp.又はEscherichia coli、たとえばTG1、TG2、W3110、DH1、DHB4、DH5a、HMS 174、HMS174(DE3)、NM533、C600、HB101、JM109、MC4100、XL1-Blue、及びOrigami、並びにE.coli B株由来細胞、たとえば、BL-21又はBL21(DE3)などのグラム陰性細胞であり、これらすべてが市販されている。
【0089】
好適な宿主細胞は、たとえば、DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen and Zellkulturen GmbH、Braunschweig,ドイツ所在)、又はAmerican Type Culture Collection(ATCC)などの培養物収集企業から、市販されている。
【0090】
実施例では、培養された細胞は、治療上の使用のため、たとえば、モノクローナル抗体といった抗体などのタンパク質、及び/又は組換えタンパク質を生成するために、使用される。実施例では、培養された細胞は、ペプチド、アミノ酸、脂肪酸、又は他の有用な生化学的な中間物質若しくは代謝物を生成する。たとえば、実施例では、約4000ダルトンから約140,000ダルトンを超えるまでの分子重量を有する分子を生成することができる。実施例では、この分子は、ある範囲の複雑性を有することができ、また、グリコシル化を含む翻訳後修飾を含むことができる。
【0091】
実施例では、タンパク質は、たとえば、BOTOX、Myobloc、Neurobloc、Dysport(又は、他のボツリヌス神経毒の血清型)、アルグルコシダーゼ・アルファ、ダプトマイシン、YH-16、絨毛性ゴナドトロピン・アルファ、フィルグラスチム、セトロレリックス、インターロイキン-2、アルデスロイキン、テセロイキン、デニロイキン・ジフチトクス、インターフェロン・アルファ-n3(注射)、インターフェロン・アルファ-n1、DL-8234、インターフェロン、サントリー(ガンマ-1a)、インターフェロン・ガンマ、チモシン・アルファ1、タソネルミン、DigiFab、ViperaTAb、EchiTAb、CroFab、ネシリチド、アバタセプト、アレファセプト、Rebif、エプトテルミンアルファ、テリパラチド(骨粗鬆症)、注射可能なカルシトニン(骨疾患)、カルシトニン(鼻骨、骨粗鬆症)、エタネルセプト、ヘモグロビン・グルタマー250(ウシ)、ドロトレコギン・アルファ、コラーゲン分解酵素、カルペリチド、組換えヒト上皮成長因子(局所ゲル、創傷治療)、DWP401、ダルベポエチン・アルファ、エポエチン・オメガ、エポエチン・ベータ、エポエチン・アルファ、デシルジン、レピルジン、ビバリルジン、ノナコグ・アルファ、Mononine、エプタコグ・アルファ(活性化)、組換え第VIII因子+VWF因子、Recombinate、組換え第VIII因子、第VIII因子(組換え)、Alphnmate、オクトコグ・アルファ、第VIII因子、パリフェルミン、Indikinase、テネクテプラーゼ、アルテプラーゼ、パミトプラーゼ、レテプラーゼ、ナテプラーゼ、モンテプラーゼ、フォリリトロピン・アルファ、rFSH、hpFSH、ミカファンギン、ペグフィルグラスチム、レノグラスチム、ナルトグラスチム、セルモレリン、グルカゴン、エキセナチド、プラムリンチド、イミグルセラーゼ、ガルスルファーゼ、Leucotropin、モルグラモスチム、酢酸トリプトレリン、ヒストレリン(皮下移植、Hydron)、デスロレリン、ヒストレリン、ナファレリン、リュープロリド持続放出徐放性製剤(ATRIGEL)、リュープロリド移植(DUROS)、ゴセレリン、Eutropin、KP-102プログラム、ソマトロピン、メカセルミン(成長不全)、エンフュービルタイド、Org-33408、インスリン・グラルギン、インスリン・グルリシン、インスリン(吸入)、インスリン・リスプロ、インスリン・デテミール、インスリン(バッカル、RapidMist)、メカセルミン・リンファベート、アナキンラ、セルモロイキン、99mTc-アピシチド注射、ミエロピッド、Betaseron、酢酸グラチラマ、Gepon、サルグラモスチム、オプレルベキン、ヒト白血球由来アルファ・インターフェロン、Bilive、インスリン(組換え)、組換えヒト・インスリン、インスリン・アスパルト、メカセニン、Roferon-A、インターフェロン-アルファ2、アルファフェロン、インターフェロン・アルファコン-1、インターフェロン・アルファ、Avonex’組換えヒト黄体化ホルモン、ドルナーゼ・アルファ、トラフェルミン、ジコノチド、タルチレリン、ジボターミナルファ、アトシバン、ベカプレルミン、エプチフィバチド、Zemaira、CTC-111、Shanvac-B、HPVワクチン(4価)、オクトレオチド、ランレオチド、アンセスチム、アガルシダーゼ・ベータ、アガルシダーゼ・アルファ、ラロニダーゼ、 酢酸プレザチド銅(局所ゲル)、ラスブリカーゼ、ラニビズマブ、Actimmune、PEG-Intron、Tricomin、組換えハウス・ダスト・ダニ・アレルギー脱感作注射、組換えヒト副甲状腺ホルモン(PTH:parathyroid hormone)1-84(皮下、骨粗鬆症)、エポエチン・デルタ、トランスジェニック抗トロンビンIII、Granditropin、Vitrase、組換えインスリン、インターフェロン-アルファ(経口咳止めドロップ)、GEM-21S、バプレオチド、イデュルスルファーゼ、オマパトリラート、組換え血清アルブミン、セルトリズマブ・ペゴル、グルカルピダーゼ、ヒト組換えC1エステラーゼ・インヒビタ(血管浮腫)、ラノテプラーゼ、組換えヒト成長ホルモン、エンフビルチド(針なし注射、Biojector2000)、VGV-1、インターフェロン(アルファ)、ルシナクタント、アビプタジル(吸入、肺疾患)、イカチバント、エカランチド、オミガナン、Aurograb、酢酸ペキシガナン、ADI-PEG-20、LDI-200、デガレリクス、シントレデキン・ベスドトックス、Favld、MDX-1379、ISAtx-247、リラグルチド、テリパラチド(骨粗鬆症)、チファコジン、AA4500、T4N5リポソーム・ローション、カツマキソマブ、DWP413、ART-123、Chrysalin、デスモテプラーゼ、アミディプラーゼ、コリフォリトロピン・アルファ、TH-9507、 テデュグルチド、Diamyd、DWP-412、成長ホルモン(持続放出注射)、組換えG-CSF、インスリン(吸入、AIR)、インスリン(吸入、Technosphere)、インスリン(吸入、AERx)、RGN-303、DiaPep277、インターフェロン・ベータ(C型肝炎ウィルス感染(HCV))、インターフェロン・アルファ-n3(経口)、ベラタセプト、経皮インスリン・パッチ、AMG-531、MBP-8298、Xerecept、オペバカン、AIDSVAX、GV-1001、LymphoScan、ランピルナーゼ、Lipoxysan、ルスプルチド、MP52(ベータ-リン酸三カルシウム担体、骨再生)、メラノーマ・ワクチン、シプレウセル-T、CTP-37、Insegia、ビテスペン、ヒト・トロンビン(凍結、外科的出血)、トロンビン、TransMID、アルフィメプラーゼ、Puricase、テルリプレシン(静脈内、肝腎症候群)、EUR-1008M、組換えFGF-I(注射可能、血管疾患)、BDM-E、ロチガプチド、ETC-216、P-113、MBI-594AN、デュラマイシン(吸入、嚢胞性線維症)、SCV-07、OPI-45、Endostatin、Angiostatin、ABT-510、Bowman Birk Inhibitor Concentrate、XMP-629、99mTc-Hynic-Annexin V、カハラリドF、CTCE-9908、トベレリクス(延長放出)、オザレリクス、ロルニデプシン、BAY-504798、インターロイキン4、PRX-321、Pepscan、イブオクタデキン、ルラクトフェリン、TRU-015、IL-21、ATN-161、シレンジタイド、Albuferon、Biphasix、IRX-2、オメガ・インターフェロン、PCK-3145、CAP-232、パシレオチド、huN901-DMI、卵巣癌免疫療法ワクチン、SB-249553、Oncovax-CL、OncoVax-P、BLP-25、CerVax-16、マルチ-エピトープ・ペプチド・メラノーマ・ワクチン(MART-1、gp100、チロシナーゼ)、ネミフィチド、rAAT(吸入)、rAAT(皮膚科学的)、CGRP(吸入、喘息)、ペグスネルセプト、サイモシン・ベータ4、プリチデプシン、GTP-200、ラモプラニン、GRASPA、OBI-1、AC-100、サケ・カルシトニン(経口、エリゲン)、カルシトニン(経口、骨粗鬆症)、エキサモレリン、カプロモレリン、Cardeva、ベラフェルミン、131I-TM-601、KK-220、T-10、ウラリチド、デペルスタット、ヘマタイド、Chrysalin(局所)、rNAPc2、組換えV111因子(ペグ化リポソーム)、bFGF、ペグ化組換えスタフィロキナーゼ変異、V-10153、SonoLysis Prolyse、NeuroVax、CZEN-002、膵島細胞新生療法、rGLP-1、BIM-51077、LY-548806、エキセナチド(放出制御、Medisorb)、AVE-0010、GA-GCB、アボレリン、ACM-9604、リナクロチド・アセテート、CETi-1、Hemospan、VAL(注射可能)、即効性インスリン(注射可能、Viadel)、鼻腔内インスリン、インスリン(吸入)、インスリン(経口、エリゲン)、組換えメチオニル・ヒト・レプチン、ピトラキンラ(皮下注射、湿疹)、ピトラキンラ(吸入乾燥粉末、喘息)、Multikine、RG-1068、MM-093、NBI-6024、AT-001、PI-0824、Org-39141、Cpn10(自己免疫疾患/炎症)、タラクトフェリン(局所)、rEV-131(眼科)、rEV-131(呼吸器疾患)、経口組換えヒト・インスリン(糖尿病)、RPI-78M、オプレルベキン(経口)、CYT-99007 CTLA4-Ig、DTY-001、バラテグラスト、インターフェロン・アルファ-n3(局所)IRX-3、RDP-58、Tauferon、胆汁塩刺激リパーゼ、Merispase、アルカリ・フォスファターゼ、EP-2104R、Melanotan-II、ブレメラノチド、ATL-104、組換えヒト・マイクロプラスミン、AX-200、SEMAX、ACV-1、Xen-2174、CJC-1008、ダイノルフィンA、SI-6603、LAB GHRH、AER-002、BGC-728、マラリア・ワクチン(ビロソーム、PeviPRO)、ALTU-135、パルボウィルスB19ワクチン、インフルエンザ・ワクチン(組換えノイラミニダーゼ)、マラリア/HBVワクチン、脾脱疽ワクチン、Vacc-5q、Vacc-4x、HIVワクチン(経口)、HPVワクチン、Tat Toxoid、YSPSL、CHS-13340、PTH(1-34)、リポソーム・クリーム(Novasome)、Ostabolin-C、PTHアナログ(局所、乾癬)、MBRI-93.02、MTB72Fワクチン(結核)、MVA-Ag85Aワクチン(結核)、FARA04、BA-210、組換え疫病FIVワクチン、AG-702、OxSODrol、rBetV1、Der-p1/Der-p2/Der-p7アレルゲン標的ワクチン(塵性ダニ・アレルギー)、PR1ペプチド抗原(白血病)、変異RASワクチン、HPV-16 E7リポペプチド・ワクチン、ラビリンチン・ワクチン(腺癌)、CMLワクチン、WT1-ペプチド・ワクチン(癌)、IDD-5、CDX-110、Pentrys、Norelin、CytoFab、P-9808、VT-111、イクロカプチド、テルベルミン(皮膚科学、糖尿病性足潰瘍)、ルピントリビル、レチクローゼ、rGRF、HA、アルファ-ガラクトシダーゼA、ACE-011、ALTU-140、CGX-1160、アンギオテンシン治療ワクチン、D-4F、ETC-642、APP-018、rhMBL、SCV-07(経口、結核)、DRF-7295、ABT-828、ErbB2-固有免疫毒素(抗癌)、DT3SSIL-3、TST-10088、PRO-1762、Combotox、コレシストキニン-B/ガストリン受容体結合ペプチド、111In-hEGF、AE-37、トラスニズマブ-DM1、Antagonist G、IL-12(組換え)、PM-02734、IMP-321、rhIGF-BP3、BLX-883、CUV-1647(局所)、L-19ベースの放射免疫療法(癌)、Re-188-P-2045、AMG-386、DC/1540/KLHワクチン(癌)、VX-001、AVE-9633、AC-9301、NY-ESO-1ワクチン(ペプチド)、NA17.A2ペプチド、メラノーマ・ワクチン(パルス抗原治療薬)、前立腺癌ワクチン、CBP-501、組換えヒト・ラクトフェリン(ドライ・アイ)、FX-06、AP-214、WAP-8294A(注射可能)、ACP-HIP、SUN-11031、ペプチドYY[3-36](肥満、鼻腔内)、FGLL、アタシセプト、BR3-Fc、BN-003、BA-05
8、ヒト副甲状腺ホルモン1-34(鼻、骨粗鬆症)、F-18-CCR1、AT-1100(セリアック病/糖尿病)、JPD-003、PTH(7-34)リポソーム・クリーム(Novasome)、デュラマイシン(眼科、ドライ・アイ)、CAB-2、CTCE-0214、GlycoPEGylatedエリスロポエチン、EPO-Fc、CNTO-528、AMG-114、JR-013、第XIII因子、アミノカンジン、PN-951、716155、SUN-E7001、TH-0318、BAY-73-7977、テベレリクス(即時放出)、EP-51216、hGH(放出制御、Biosphere)、OGP-I、シフビルチド、TV4710、ALG-889、Org-41259、rhCC10、F-991、チモペンチン(肺疾患)、r(m)CRP、肝選択性インスリン、スバリン、L19-IL-2融合タンパク質、エラフィン、NMK-150、ALTU-139、EN-122004、rhTPO、トロンボポエチン受容体アゴニスト(血小板減少症)、AL-108、AL-208、神経成長因子アンタゴニスト(痛み)、SLV-317、CGX-1007、INNO-105、経口テリパラチド(エリゲン)、GEM-OS1、AC-162352、PRX-302、LFn-p24融合ワクチン(Therapore)、EP-1043、S肺炎小児ワクチン、マラリア・ワクチン、髄膜炎菌B群ワクチン、新生児B群連鎖球菌ワクチン、炭疽ワクチン、HCVワクチン(gpE1+gpE2+MF-59)、中耳炎治療、HCVワクチン(コア抗原+ISCOMATRIX)、hPTH(1-34)(経皮性、ViaDerm)、768974、SYN-101、PGN-0052、アビスカムニン、BIM-23190、結核ワクチン、マルチ-エピトープ・チロシナーゼ・ペプチド、癌ワクチン、エンカスチム、APC-8204、GI-5005、ACC-001、TTS-CD3、血管標的化TNF(固形腫瘍)、デスモプレシン(バッカル制御放出)、オナセプト、及びTP-9201である。
【0092】
ある実施例では、ポリペプチドはアダリムマブ(HUMIRA)、インフリキシマブ(REMICADE(商標))、リツキシマブ(RITUXAN(商標)/MAB THERA(商標))、エタネルセプト(ENBREL(商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(商標))、トラスツズマブ(HERCEPTIN(商標))、ペグフィルグラスチム (NEULASTA(商標))、又はバイオ後続品及びバイオベターを含む、好適な他の任意のポリペプチドである。
【0093】
他の好適なポリペプチドは、以下及び米国公報第2016/0097074号の表A内に列挙されたものである。
【0094】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【0095】
実施例では、ポリペプチドは、表Bに示すように、ホルモン、血餅形成/血液凝固因子、サイトカイン/増殖因子、抗体分子、融合タンパク質、タンパク質ワクチン、又はペプチドである。
【0096】
【0097】
実施例では、タンパク質は、表Cに示すように、多重特異性タンパク質、たとえば、二重特異性抗体である。
【0098】
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【表6-5】
【0099】
本発明の様々な実施例の説明は、例示する目的で示してきたものであり、網羅的であること、又は開示した実施例に限定されることを意図するものではない。記載の実施例の範囲及び趣旨から逸脱することなく、多くの修正形態及び変形形態が、当業者には明らかであろう。本明細書で使用する用語は、本実施例の原理、実際上の応用例、又は市場で見られる技術全般にわたる技術的改良を最良に説明するために、或いは他の当業者が、本明細書に開示した実施例を理解できるようにするために、選択したものである。