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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】部品実装機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
H05K13/04 A
H05K13/04 P
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019111043
(22)【出願日】2019-06-14
(65)【公開番号】P2020205301
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2021-11-05
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康弘
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/063950(WO,A1)
【文献】特許第4371313(JP,B2)
【文献】特開2003-218595(JP,A)
【文献】特開2011-103317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を基板に搭載する部品実装機であって、
連続搭載シーケンスにより前記部品を前記基板上に搭載するヘッドユニットと、
前記部品を搭載する搭載位置に前記基板を搬送する搬送装置と、
前記搭載位置にて少なくとも前記基板が振動する変位量又は前記基板が振動する速度のいずれか一方を測定するセンサと、
前記部品の搭載時に、前記センサによって測定された少なくとも前記変位量又は前記速度のいずれか一方から前記基板の異常を検出する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記変位量が変位量閾値以上である場合、メッセージを出す処理を行い、前記変位量が前記変位量閾値を超えない場合、前記連続搭載シーケンスを含む製造条件の一部を変更する処理を行い、
前記製造条件の一部の変更は、前記速度が速度閾値以上であると判定され、かつ即時変更する設定である場合には、前記制御部により搭載作業中の基板から即時実行し、前記速度が前記速度閾値以上であると判定され、かつ即時変更する設定でない場合には、搭載作業中の基板より後に前記部品が搭載される基板から実行する、部品実装機。
【請求項2】
前記制御部は、前記変位量が変位量閾値以上である場合に前記基板の固定不良と判定し、前記速度が速度閾値以上である場合に前記基板に共振が起こったと判定する、請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記制御部は、前記基板に共振が起きたと判定した場合に、前記部品が前記基板に到着する時刻を変更する、請求項2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記制御部は、前記基板に共振が起きたと判定した場合に、前記ヘッドユニットを構成するシャフトの移動スピードを変更する、請求項3に記載の部品実装機。
【請求項5】
前記制御部は、前記基板に共振が起きたと判定した場合に、前記部品の搭載順番を変更する、請求項3に記載の部品実装機。
【請求項6】
前記制御部は、前記基板に共振が起きたと判定した場合に、前記部品を保持するヘッドの割り当てを変更する、請求項3に記載の部品実装機。
【請求項7】
部品を基板に搭載する処理の制御方法であって、
連続搭載シーケンスにより前記部品を前記基板上に搭載するヘッドユニットと、
前記部品を搭載する搭載位置に前記基板を搬送する搬送装置と、
前記搭載位置にて少なくとも前記基板が振動する変位量又は前記基板が振動する速度のいずれか一方を測定するセンサと、
前記部品の搭載時に、前記センサによって測定された少なくとも前記変位量又は前記速度のいずれか一方から前記基板の異常を検出する制御部と、を備えた部品実装機において、
前記制御部は、前記変位量が変位量閾値以上である場合、メッセージを出す処理を行い、前記変位量が前記変位量閾値を超えない場合、前記連続搭載シーケンスを含む製造条件の一部を変更する処理を行い、
前記製造条件の一部の変更は、前記速度が速度閾値以上であると判定され、かつ即時変更する設定である場合には、前記制御部により搭載作業中の基板から即時実行し、前記速度が前記速度閾値以上であると判定され、かつ即時変更する設定でない場合には、搭載作業中の基板より後に前記部品が搭載される基板から実行する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
吸着ノズルにより部品を吸着して基板上へ搭載する部品実装機として、例えば特開2017-103334号公報(下記特許文献1)に記載の部品実装機が知られている。この部品実装機は、搬送された基板の縁部を基板押さえプレートとクランパとの間に挟んでクランプするクランプ装置と、クランパの振動を検知する振動センサと、を備える。CPUは、吸着ノズルに部品を吸着させた状態で吸着ノズルを下降させ、部品の上下方向位置が目標位置周辺にあるときに、振動センサからの検知信号に基づいて振動が生じたと判定すると、部品が基板に接触したと判断する。これにより、部品が基板に接触したことを確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-103334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の部品実装機は基板の異常を検知するものではなく、基板の振動を検知するものにすぎない。例えば、基板の固有振動数と実装機の搭載時間間隔が一致することで基板の共振が起こった場合に、共振を検知することができない。このため、共振によって基板の振動が徐々に大きくなり、基板上に搭載された部品がずれてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の部品実装機は、部品を基板に搭載する部品実装機であって、連続搭載シーケンスにより前記部品を前記基板上に搭載するヘッドユニットと、前記部品を搭載する搭載位置に前記基板を搬送する搬送装置と、前記搭載位置にて少なくとも前記基板が振動する変位量又は前記基板が振動する速度のいずれか一方を測定するセンサと、前記部品の搭載時に、前記センサによって測定された少なくとも前記変位量又は前記速度のいずれか一方から前記基板の異常を検出する制御部と、を備え、前記制御部は前記基板に異常が発生したと判定した場合に、少なくとも前記連続搭載シーケンスを含む製造条件の一部を変更する処理又はメッセージを出す処理のいずれか一方を行う、部品実装機である。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、製造条件の一部を変更することで基板の異常を抑制して基板上に搭載された部品のずれを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は実装ラインを示した平面図である。
図2図2は部品実装機の平面図である。
図3図3は部品実装機の正面図である。
図4図4はバックアッププレートが下降位置にある状態を示した断面図である。
図5図5はバックアッププレートが上昇位置にある状態を示した断面図である。
図6図6は部品実装機の電気的構成を示したブロック図である。
図7図7は連続搭載シーケンスの一部を変更する処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
(1)本開示の部品実装機は、部品を基板に搭載する部品実装機であって、連続搭載シーケンスにより前記部品を前記基板上に搭載するヘッドユニットと、前記部品を搭載する搭載位置に前記基板を搬送する搬送装置と、前記搭載位置にて少なくとも前記基板が振動する変位量又は前記基板が振動する速度のいずれか一方を測定するセンサと、前記部品の搭載時に、前記センサによって測定された少なくとも前記変位量又は前記速度のいずれか一方から前記基板の異常を検出する制御部と、を備え、前記制御部は前記基板に異常が発生したと判定した場合に、少なくとも前記連続搭載シーケンスを含む製造条件の一部を変更する処理又はメッセージを出す処理のいずれか一方を行う、部品実装機である。
【0009】
少なくとも基板が振動する変位量又は基板が振動する速度のいずれか一方がセンサによって測定され、少なくとも変位量又は速度のいずれか一方から基板の異常を検出できる。また、連続搭載シーケンスを含む製造条件の一部を変更することで基板に起きている異常を抑制できる。具体的には基板の上下変位を抑えることで、搭載済の部品がずれたり、はねたりする不具合を回避でき、搭載する部品の押し込みすぎや、部品が基板に接触していない状態で部品を離すことなどを防ぐことができる。また、クランプ状態の不良を検知することができ、基板固定不良に起因する搭載ずれや、部品欠品の発生を回避できる。
【0010】
(2)前記制御部は、前記変位量が変位量閾値以上である場合に前記基板の固定不良と判定し、前記速度が速度閾値以上である場合に前記基板に共振が起こったと判定することが好ましい。
基板の変位量を測定することで基板の固定不良を判定できる。また、基板の速度を測定することで基板に共振が起こったか否かを判定できる。
【0011】
(3)前記制御部は、前記基板に共振が起きたと判定した場合に、前記部品が前記基板に到着する時刻を変更することが好ましい。
部品が基板に到着する時刻を変更することで基板の共振を抑制できる。
基板の共振を抑制する具体的方法としては以下のような方法を挙げることができる。
前記制御部は、前記基板に共振が起きたと判定した場合に、前記ヘッドユニットを構成するシャフトの移動スピードを変更することもできる。
前記制御部は、前記基板に共振が起きたと判定した場合に、前記部品の搭載順番を変更することもできる。
前記制御部は、前記基板に共振が起きたと判定した場合に、前記部品を保持するヘッドの割り当てを変更することもできる。
【0012】
(4)前記製造条件の一部の変更は、前記変位量が前記変位量閾値以下であり、かつ前記速度が前記速度閾値以上であると判定された前記基板より後に前記部品が搭載される基板から実行することが好ましい。
即時ではなく、2枚目以降の基板から変更することで、1枚目の基板の部品搭載中に、具体的にどの連続搭載シーケンスを変更すればよいかが明確になり、適切な共振抑制ができる。
【0013】
(5)また、本開示の制御方法は、部品を基板に搭載する処理の制御方法であって、連続搭載シーケンスにより前記部品を前記基板上に搭載するヘッドユニットと、前記部品を搭載する搭載位置に前記基板を搬送する搬送装置と、前記搭載位置にて少なくとも前記基板が振動する変位量又は前記基板が振動する速度のいずれか一方を測定するセンサと、前記部品の搭載時に、前記センサによって測定された少なくとも前記変位量又は前記速度のいずれか一方から前記基板の異常を検出する制御部と、を備えた部品実装機において、前記制御部は前記基板に異常が発生したと判定した場合に、少なくとも前記連続搭載シーケンスを含む製造条件の一部を変更する処理又はメッセージを出す処理のいずれか一方を行う、制御方法としてもよい。
【0014】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の部品実装機10の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。実施形態は、図1に示すように、電子部品等の部品Eをプリント基板等の基板B上に搭載する部品実装機10を上流から下流に向けて左右方向に複数配置した実装ラインLを例示している。
【0015】
<部品実装機の全体構成>
部品実装機10は、図2および図3に示すように、平面視略矩形状の基台11と、基板Bを搬送する搬送装置12と、基板B上に部品Eを搭載する部品搭載ユニット20と、部品搭載ユニット20に部品Eを供給するための部品供給装置13と、基板Bをバックアップするためのバックアップ装置40と、を備えて構成されている。なお、以下の説明において、左右方向とは図2における左右方向(基台11の長辺方向)を基準とする。また、前後方向とは図1における上下方向(基台11の短辺方向)を基準として、図2においては図示下側を前側、図示上側を後側として説明する。
【0016】
<基台>
基台11は、図2に示すように、左右方向に横長な平面視略矩形状をなし、基台11上には、左右方向に延びる搬送装置12、部品搭載ユニット20などが配置されている。
【0017】
<搬送装置>
搬送装置12は、図3に示すように、左右方向に循環駆動する上下一対のコンベアベルト14を有しており、基板Bは、図2に示すように、上流(左右方向の左側)の部品実装機10からコンベアベルト14によってバックアップ装置40上の搭載位置Pに搬入され、搭載位置Pにおいて部品Eの搭載作業が行われた後、コンベアベルト14によって下流(左右方向の右側)の部品実装機10に向かって搬出される。これにより、基板Bが上流から下流に向けて各部品実装機10内を連続して通過するようになっている。
【0018】
<部品供給装置>
部品供給装置13は、図2に示すように、フィーダ型とされ、搬送装置12の前後方向両側において左右方向に2つずつ並べることで、合計4箇所に配されている。これらの部品供給装置13には、複数のフィーダ16が左右方向に整列した状態で取り付けられている。各フィーダ16は、複数の部品Eが収容された部品供給テープをリールから引き出す図示しない電動式の送出装置などを備えており、搬送装置12側の端部から部品Eを一つずつ供給する。
【0019】
<部品搭載ユニット>
部品搭載ユニット20は、部品供給装置13から供給される部品Eを取り出して基板B上に搭載するものであって、図2に示すように、基台11の左右方向の両側に配される一対のY軸フレーム23と、一対のY軸フレーム23に架設されたX軸フレーム26と、X軸フレーム26に移動可能に取り付けられたヘッドユニット30と、を備えて構成されている。
【0020】
一対のY軸フレーム23には、Y軸フレーム23に沿って配されたY軸ガイドレール24と、Y軸サーボモータ25と、が設けられており、Y軸サーボモータ25が通電制御されると、X軸フレーム26と、X軸フレーム26に取り付けられたヘッドユニット30と、がY軸ガイドレール24に沿って前後方向に移動するようになっている。
【0021】
X軸フレーム26は左右方向に延びた形態とされ、X軸フレーム26には、図3に示すように、X軸フレーム26に沿って配されたX軸ガイドレール27と、X軸サーボモータ28と、が設けられており、X軸サーボモータ28が通電制御されると、ヘッドユニット30がX軸ガイドレール27に沿って左右方向に移動するようになっている。
【0022】
<ヘッドユニット>
ヘッドユニット30は、図2および図3に示すように、箱形状をなすヘッドユニット本体31と、部品Eの搭載動作を行う複数のヘッド32と、を有している。
【0023】
複数のヘッド32は、ヘッドユニット本体31から下方に突出した形態で左右方向に並んで配列されており、各ヘッド32は、上下方向に延びるシャフト33と、シャフト33の先端である下端部に着脱可能な吸着ノズル34と、を有している。
【0024】
シャフト33には、ヘッドユニット本体31内に設けられたZ軸サーボモータ35およびR軸サーボモータ36が取り付けられている。シャフト33は、Z軸サーボモータ35によって上下方向に昇降可能とされ、R軸サーボモータ36によって軸回りに回転可能とされている。
【0025】
吸着ノズル34は、図3に示すように、上下方向に延びる略筒状をなしている。吸着ノズル34は、シャフト33の下端部に設けられた図示しない保持部によって上端部が保持されることで、シャフト33の下端部に保持されている。また、各ヘッド32にはエア供給装置51から負圧が供給されるようになっており、吸着ノズル34の先端に吸引力が生じるようになっている。
【0026】
ヘッドユニット本体31の側面には、図3に示すように、基板認識カメラ21が設けられており、基板認識カメラ21が基板Bのフィデューシャルマークを撮像して、基板Bを画像認識するようになっている。一方、基台11上における搭載位置Pの前後方向の両側には、図1に示すように、一対の部品認識カメラ15が設置されており、各部品認識カメラ15は、ヘッドユニット30のヘッド32に吸着保持された部品Eを撮像するようになっている。
【0027】
<バックアップ装置>
バックアップ装置40は、基台11上における搭載位置Pに取り付けられており、図3に示すように、他数個のバックアップピン41を起立状態に保持したバックアッププレート42と、バックアッププレート42を昇降させる昇降軸43を備えた昇降装置44と、から構成されている。
【0028】
バックアッププレート42は、昇降装置44の作動により、図4に示す下降位置と、図5に示す上昇位置と、に変位可能となっている。バックアッププレート42を図4に示す下降位置に位置させると、コンベアベルト14上を搬送される基板Bの下方において、各バックアップピン41が基板Bから所定距離だけ離れた離間状態となる。
【0029】
基台11におけるバックアップ装置40の前後両側には、一対の側壁体45が設けられている。一対の側壁体45の上部には、互いに対向する側に張り出す形態で一対のガイド片46が設けられている。図2に示すように、ガイド片46はバックアッププレート42よりも左右方向にやや長めとされている。
【0030】
バックアッププレート42を図5に示す上昇位置に移動させると、バックアップピン41が基板Bの下面を下から持ち上げてバックアップしつつ、搭載位置Pにて停止した基板Bを一対のガイド片46との間に挟み付けて保持する構成となっている。
【0031】
図2に示すように、基板Bは左右方向に長い長尺基板とされており、バックアップ装置40に保持されない非保持部B1を有している。非保持部B1は片持ち状をなして、ガイド片46の左端から左方に突出している。
【0032】
<センサ>
図3に示すように、非保持部B1の下方には、センサ50が配置されている。センサ50は基台11上に取り付けられている。本実施形態のセンサ50はレーザー変位計とされているが、超音波センサとしてもよい。センサ50は、基板Bの変位量および速度を検知する。例えば、基板Bの変位量がある閾値より大きければ基板Bの固定状態に問題がある可能性があり、基板Bの速度が増加傾向にあれば基板Bに共振が起こった可能性がある。基板Bの固有振動数(例えば14.7Hz)と搭載時間間隔(例えば0.068sec)が一致した際に基板Bの共振が発生しやすくなる。
【0033】
センサ50の測定は、基板Bがバックアップ装置40によって固定保持されていて振動しにくい場所より、固定または保持箇所から遠く、振動しやすい箇所で行うことが望ましい。本実施形態において基板Bの振動を拾いやすい箇所は非保持部B1である。このために、非保持部B1において基板Bの変位量および速度を測定している。
【0034】
<部品実装機の電気的構成>
次に、部品実装機10の電気的構成を、図6を参照して説明する。
部品実装機10は、制御部110によって全体が制御統括されており、制御部110は、CPUなどにより構成される演算処理部111を備えている。演算処理部111には、モータ制御部112、記憶部113、画像処理部114、外部入出力部115、部品供給装置通信部116、管理装置通信部117、操作部118などが接続されている。
【0035】
モータ制御部112は、演算処理部111の指令により、記憶部113に記憶されている搭載プログラムに基づいて、Y軸サーボモータ25、X軸サーボモータ28、Z軸サーボモータ35、R軸サーボモータ36、搬送装置12などを制御し、部品Eを搭載する。
【0036】
記憶部113には、基板Bに部品Eを連続的に搭載するための連続搭載シーケンスなどの各種搭載プログラム、各種データなどが記憶されている。各種データには、生産が予定されている基板Bの生産枚数や品種に関する基板情報、ヘッドユニット30に装着されているシャフト33や吸着ノズル34の識別情報などが含まれている。
【0037】
画像処理部114は、基板認識カメラ21や部品認識カメラ15から出力される画像信号が取り込まれるようになっており、取り込んだ画像信号に基づいて画像を生成する。
【0038】
外部入出力部115は、いわゆるインターフェースであって、演算処理部111は、外部入出力部115を通じてセンサ50からの検出信号の取り込み、エア供給装置51との制御信号の受け渡しを行う。センサ50は、外部入出力部115に有線で接続されてもよいし、無線で接続されてもよい。
【0039】
部品供給装置通信部116は、部品供給装置13に接続されており、部品供給装置13を統括して制御する。
操作部118は、液晶モニタなどの図示しない表示装置、キーボードやマウスなどの図示しない入力装置などを備えており、作業者からの入力の受付や作業者への出力を行う。
【0040】
管理装置通信部117は、例えば、パーソナルコンピュータなどの管理装置60と通信可能に接続されている。管理装置60は、例えば、最適化プログラムによって生産予定の基板Bにおける部品Eの搭載順序を事前に決定したりする。
【0041】
<連続搭載シーケンスの一部を変更する処理>
次に、連続搭載シーケンスの一部を変更する処理について図7のフローチャートを参照して説明する。
【0042】
生産品の切り替え後、生産を開始するには、1枚目のワーク(基板B)をバックアップ装置40によって搭載位置Pに固定する(ステップS10)。センサ50によって、基板Bの変位量と速度の測定を開始する(ステップS20)。次に、搭載プログラムに基づいて搭載動作を開始する(ステップS30)。搭載動作を行っている間、センサ50による測定が継続的に行われる。
【0043】
基板Bの変位量が変位量閾値以上である場合(ステップS40でYES)、基板Bの固定状態に問題がある基板固定不良であると判定し、エラーメッセージを出して作業者に知らせる(ステップS50)。一方、基板Bの変位量が変位量閾値を超えない場合(ステップS40でNO)、基板Bの固定状態に問題がない、すなわち基板固定不良でないと判定する。
【0044】
次に、基板Bの速度が速度閾値を超えないと判定した場合(ステップS60でNO)、共振が発生しておらず、問題なしと判定する(ステップS70)。1枚目のワークの搭載作業が完了した後(ステップS80)、初品のみチェックを行う設定である場合には(ステップS90でYES)、センサ50による測定を終了し(ステップS100)、2枚目のワークの搭載作業を開始する(ステップS110)。全てのワークについて搭載作業が完了し生産が終了したと判定したら(ステップS120でYES)、生産を終了し、生産が終了していないと判定したら(ステップS120でNO)、ステップS110に戻って次のワークの搭載作業を開始する。
【0045】
ステップS90において初品のみチェックを行う設定でない場合には(ステップS90でNO)、全てのワークについて搭載作業が完了し生産が終了したと判定したら(ステップS130でYES)、センサ50による測定を終了し(ステップS140)、生産を終了する。生産が終了していないと判定したら(ステップS130でNO)、ステップS30に戻って次のワークの搭載作業を開始する(ステップS30)。
【0046】
ステップS60において、基板Bの速度が増加傾向にあり、速度が速度閾値以上であると判定した場合(ステップS60でYES)、共振が発生していると判定するとともにタイミングを即時変更する設定である場合には(ステップS150でYES)、制御部110により即時かつ自動的にタイミングをずらして、共振しないタイミングとなっていることを確認してから搭載動作を継続する(ステップS160)。
【0047】
即時に連続搭載シーケンスの一部を変更するタイミングとしては、共振が発生していると判定した場合でもよく、それ以外に、1点目の部品Eの搭載時に基板Bの固有振動数を測定し、その後の搭載タイミングから計算した振動数と基板Bの固有振動数とが一致した場合でもよい。例えば多くのブロックに搭載作業を行う場合には同様の搭載シーケンスを繰り返すため、1枚目のブロックの搭載作業中に変更することで2枚目のブロック以降で共振による部品Eのずれを防ぐことができる。
【0048】
1枚目のワークの搭載作業が完了したら、1枚目のワークの固定を解除して搬送装置12によって機外に搬送し、機内に搬送された2枚目のワークを固定する(ステップS170)。そして、ステップS20に戻って2枚目のワークについてセンサ50による測定を開始する(ステップS20)。
【0049】
ステップS150において、即時変更する設定でない場合には(ステップS150でNO)、次のワークから一部タイミングをずらすように設定する(ステップS180)。
【0050】
ここで、タイミングをずらすとは、共振が起きた連続搭載シーケンスの一部を変更することであり、搭載動作によって基板Bに伝わる振動のピークと基板Bの固有振動のピークとが一致しないようにすることである。例えば、同じ振動数でも2つの振動の位相を半周期分ずらしたり、あるいは2つの振動数が異なるようにシャフト33の移動速度を変更したりすることをいう。次に、連続搭載シーケンスの一部を変更する手段の具体的な方法について列記する。
【0051】
方法1.連続搭載動作中の複数のシャフト33のうち少なくとも1本のシャフト33の移動速度を遅くする。
共振が発生した後に、少なくとも1本のシャフト33の移動速度を遅くすると、搭載動作によって基板Bに伝わる振動のピークと基板Bの固有振動のピークとが一致しなくなるため、共振を抑制できる。
【0052】
方法2.基板Bの固有振動数から半周期の時間を演算し、その時間を待ち時間とする。
ワークの振動数が14.7Hzの場合、1周期の時間は0.068secとなるから、半周期の時間は、0.068sec÷2=0.034secとなり、0.034secを待ち時間とする。共振が発生した後に、次の搭載開始時間を待ち時間の分だけずらすと、搭載動作によって基板Bに伝わる振動のピークと基板Bの固有振動のピークとが一致しなくなるため、共振を抑制できる。
【0053】
方法3.部品Eの搭載順番を変更する。
例えば、図2の部品E1、部品E2、部品E3の順に搭載して共振が発生した際には、部品E1、部品E3、部品E2の順に変更すると、搭載動作によって基板Bに伝わる振動のピークと基板Bの固有振動のピークとが一致しなくなるため、共振を抑制できる。詳細に説明すると、以下の2つの理由が考えられる。
理由1.部品Eの搭載順番を変更することでヘッドユニット本体31の移動時間も変更され、結果的に部品Eが基板Bへ到着する時刻が変わる。
理由2.部品Eの搭載順番を変更することで部品Eが基板Bへ到着する時刻が変わらなかったとしても、基板Bへの接触場所が変わることで共振が抑制される場合がある。
【0054】
方法4.部品Eを保持するシャフト33の割り当てを変更する。
記憶部113に記憶されたシャフト33の識別情報を参照することにより部品Eを保持するシャフト33を別のシャフト33に変更すると、部品Eを搭載する際のヘッドユニット30の移動距離が変動するため、部品Eを搭載するタイミングが変動し、共振を抑制できる。
【0055】
方法5.バックアップピン41の配置を変更する。
例えばバックアップピン41の位置をずらすと、基板Bの振動する箇所が変化し基板Bの固有振動数が変化する。このため、搭載動作によって基板Bに伝わる振動のピークと基板Bの固有振動のピークとが一致しなくなり、共振を抑制できる。例えば、図4におけるバックアップピン41Aを図示左側にずらし、バックアップピン41Bを図示右側にずらしてもよい。なお、「配置を変更する」とは、バックアップピン41の位置をずらすことだけでなく、バックアップピン41の数を増やすことも含む。
【0056】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態ではセンサ50が基台11上に取り付けられているものの、センサ50がバックアッププレート42上に取り付けられているものとしてもよい。その場合、基台11上にバックアッププレート42を2つ配置し、一方のバックアッププレート42上にセンサ50を取り付けるようにしてもよい。
【0057】
(2)上記実施形態ではセンサ50によって基板Bの変位量と速度の双方を測定しているものの、センサ50によって基板Bの変位量のみを測定し、この変位量から速度を算出してもよい。
【0058】
(3)上記実施形態では連続搭載シーケンスを制御部110によって自動的に変更しているものの、エラーメッセージを表示して搭載動作を停止させた後、連続搭載シーケンスを作業者が手動で変更してもよい。
【0059】
(4)上記実施形態ではバックアップピン41の配置をずらしているものの、バックアップピン41の配置をずらすことなく基板Bの配置をずらしてもよい。また、ガイド片46に対する基板Bの保持配置をずらしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10…部品実装機
11…基台
12…搬送装置
13…部品供給装置
14…コンベアベルト
15…部品認識カメラ
16…フィーダ
20…部品搭載ユニット
21…基板認識カメラ
23…Y軸フレーム
24…Y軸ガイドレール
25…Y軸サーボモータ
26…X軸フレーム
27…X軸ガイドレール
28…X軸サーボモータ
30…ヘッドユニット
31…ヘッドユニット本体
32…ヘッド
33…シャフト
34…吸着ノズル
35…Z軸サーボモータ
36…R軸サーボモータ
40…バックアップ装置
41、41A、41B…バックアップピン
42…バックアッププレート
43…昇降軸
44…昇降装置
45…側壁体
46…ガイド片
50…センサ
51…エア供給装置
60…管理装置
110…制御部
111…演算処理部
112…モータ制御部
113…記憶部
114…画像処理部
115…外部入出力部
116…部品供給装置通信部
117…管理装置通信部
118…操作部
B…基板
B1…非保持部
E、E1、E2、E3…部品
L…実装ライン
P…搭載位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7