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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】電流遮断構造
(51)【国際特許分類】
   H01H 85/147 20060101AFI20231011BHJP
   H01H 85/153 20060101ALI20231011BHJP
   H01H 85/12 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
H01H85/147
H01H85/153
H01H85/12
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019114353
(22)【出願日】2019-06-20
(65)【公開番号】P2021002441
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中野 祐也
(72)【発明者】
【氏名】中山 慎
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-108787(JP,A)
【文献】特開平10-092292(JP,A)
【文献】特開2013-243019(JP,A)
【文献】特開2001-028230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 37/76
H01H 69/02
H01H 85/00 - 87/00
H01R 4/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過電流が通電されると通電を遮断する遮断素子と、
複数の前記遮断素子を収容可能な遮断素子収容部を有する素子搭載部材と、
前記遮断素子収容部に収容された前記遮断素子に接続し、前記遮断素子が複数の場合には並列に接続する一対の端子とを備え、
前記遮断素子収容部は、上面が全て外部に解放され、
前記遮断素子は、前記遮断素子収容部の上面開口より挿入されて前記遮断素子収容部に収容され
前記遮断素子収容部には上下方向に延びる仕切リブが互いに対向する側面に設けられ、
前記遮断素子収容部の底面を覆う底面壁には2箇所に端子用スリットが形成され、
前記一対の端子は、前記端子用スリットより前記遮断素子収容部に挿入され、前記遮断素子に接続されることを特徴とする電流遮断構造。
【請求項2】
請求項1記載の電流遮断構造であって、
前記遮断素子収容部は、複数の前記遮断素子が並列に配置されるよう形成されていることを特徴とする電流遮断構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過電流が流れたときに回路を遮断する電流遮断構造に関する。
【背景技術】
【0002】
第1従来例が図7図8に示されている(特許文献1参照)。この第1従来例の電流遮断構造は、溶融電流値が小さいカートリッジヒューズ(図示せず)と溶融電流値が大きいブレードヒューズ60と有し、ブレードヒューズ60を使用してカートリッジヒューズ(図示せず)の代替を可能とするものである。
【0003】
つまり、第1従来例では、電気接続箱の接続箱本体50に設けられたカートリッジヒューズ用収容部51と、カートリッジヒューズ(図示せず)と同一形状の筐体52と、この筐体52に収容される一対の中継端子53と、一対の中継端子53に接続されるブレードヒューズ60とを備えている。
【0004】
一対の中継端子53は、2つのブレードヒューズ60を並列に接続する圧接刃端子部53aと、入出力用の一対の端子61に接続するメス端子部53bとを有する。2つのブレードヒューズ60が並列に接続されることによって、溶融電流値の合計を変更できる。変更した溶融電流値をカートリッジヒューズ(図示せず)の溶融電流値と等しい若しくはその近くに値にすることによって、2個のブレードヒューズ60を使用してカートリッジヒューズ(図示せず)の代わりとすることができる。つまり、電流遮断構造の溶融電流値を変更できる。
【0005】
第2従来例が図9に示されている(特許文献2参照)。この第2従来例の電流遮断構造は、3つのタブ端子70,71,72と、このタブ端子70,71,72に接続される2つのヒューズ73と、2つのヒューズ73間を接続するジョイント端子75とを備えている。各ヒューズ73は、2つの端子部74aと2つの端子部74a間を接続する溶断部74bとを有するバスバー74を有する。ジョイント端子75によって2つのヒューズ73を並列に接続することによって電流遮断構造の溶融電流値を変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-108787号公報
【文献】特開2002-190246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記第1従来例では、筐体52と中継端子53が必要であるため、部品点数が多くなり、構成が複雑化する。又、ブレードヒューズ60を収容する筐体52を使用するため、電気接続箱が大型化する。
【0008】
第2従来例では、構成部品としてジョイント端子75が別途必要である。又、溶融電流値の変更に際して、ジョイント端子75を組付けるという作業が増える。
【0009】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、部品点数の増加、構成の複雑化、及び、部品の組付け作業の増加になることなく容量変更ができる電流遮断構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、過電流が通電されると通電を遮断する遮断素子と、複数の前記遮断素子を収容可能な遮断素子収容部を有する素子搭載部材と、前記遮断素子収容部に収容された前記遮断素子に接続し、前記遮断素子が複数の場合には並列に接続する一対の端子とを備えたことを特徴とする電流遮断構造である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、部品点数の増加、構成の複雑化、及び、部品の組付け作業の増加になることなく電流遮断構造の容量変更ができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態を示し、電流遮断構造の分解斜視図である。
図2】本発明の一実施形態を示し、(a)は遮断素子の斜視図、(b)は遮断素子内のバスバーの正面図である。
図3】本発明の一実施形態を示し、(a)は図1のA-A線断面図、(b)は図1のB-B線断面図である。
図4】本発明の一実施形態を示し、(a)は1個の遮断素子を遮断素子収容部に収容した状態を示す断面図、(b)はその等価回路図である。
図5】本発明の一実施形態を示し、(a)は2個の遮断素子を遮断素子収容部に収容した状態を示す断面図、(b)はその等価回路図である。
図6】本発明の一実施形態を示し、(a)は3個の遮断素子を遮断素子収容部に収容した状態を示す断面図、(b)はその等価回路図である。
図7】第1従来例を示し、電流遮断構造の分解斜視図である。
図8】第1従来例を示し、2個のブレードヒューズを筐体に収容した斜視図である。
図9】第2従来例を示し、電流遮断構造の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1図6は本発明の一実施形態を示す。図1に示すように、この第1実施形態では、車両に搭載される電気接続箱の電流遮断構造Aに適用されている。電流遮断構造Aは、遮断素子1と、3個の遮断素子1を収容可能な遮断素子収容部11と、遮断素子収容部11に収容された遮断素子1に接続し、遮断素子1が複数の場合には並列に接続する一対の端子20とを備えている。
【0015】
遮断素子1は、図1及び図2に示すように、ヒュージブルリンクである。遮断素子1は、バスバー2とバスバー2の大部分を覆う絶縁樹脂部5とを有する。バスバー2は、2つの圧接刃端子部(端子部)3とこれらを連結する溶断部4とを有する。絶縁樹脂部5は、直方体であるが、2箇所にスリット5aが形成されている。この2箇所のスリット5aによって2つの圧接刃端子部3の一部が露出している。遮断素子1は、規定以上の過電流が通電されると、溶断部4が溶断して通電を遮断する。
【0016】
遮断素子収容部11は、図1図3に示すように、素子搭載部材である接続箱本体10に設けられている。遮断素子収容部11は、上下方向に延びる2箇所の仕切リブ12が互いに対向する側面に設けられている。遮断素子収容部11は、2箇所の一対の仕切リブ12によって3区画に仕切られ、3個の遮断素子1を並列状態で収容可能に形成されている。一対の仕切リブ12は、遮断素子1を遮断素子収容部11に収容する際に、挿入ガイドとなり、且つ、収容された遮断素子1の位置決めとなる。
【0017】
遮断素子収容部11は、上面が全て外部に解放され、底面が底面壁13で覆われている。遮断素子収容部11には、上面開口より遮断素子1が挿入される。底面壁13には、2箇所に端子用スリット14が形成されている。各端子用スリット14は、遮断素子収容部11の3区間に跨って形成されている。
【0018】
一対の端子20は、図1図4図6に示すように、電流遮断構造Aの入力側の端子と出力側の端子である。各端子20は、電線Wを加締め接続する電線接続部21と、遮断素子1に接続する素子用接点部22とを有する。素子用接点部22は、平板状である。素子用接点部22は、端子用スリット14より遮断素子収容部11に挿入される。素子用接点部22は、遮断素子収容部11に収容された全ての遮断素子1の圧接刃端子部3に接続される幅寸法D1に形成されている。複数個の遮断素子1の場合には、複数個の遮断素子1を並列に接続する。
【0019】
上記構成の電流遮断構造Aでは、遮断素子収容部11に収容する遮断素子1の個数を1個から3個の間で選択できる。具体的には、遮断素子1を1個収容する場合(図4の状態)と、2個収容する場合(図5の状態)と、3個収容する場合(図6に示す)とを選択できる。従って、電流遮断構造Aの全体の溶融電流値が単一の遮断素子1の溶融電流値と同じ場合には、1個の遮断素子1を遮断素子収容部11に収容する(図4の状態)。又、この溶融電流値より変更になった場合には、2個又は3個の遮断素子1を遮断素子収容部11に収容する。これにより、電流遮断構造Aの全体の溶融電流値の設計変更に対応可能である。例えば、量産中の遮断素子1を搭載した電流遮断構造Aにあって、量産中の遮断素子1の設計変更を行うことなく電流遮断構造Aの溶融電流値の設計変更に対応できる。
【0020】
以上説明したように、電流遮断構造Aは、遮断素子1と、複数の遮断素子1を収容可能な遮断素子収容部11を有する接続箱本体10と、遮断素子収容部11に収容された遮断素子1に接続し、遮断素子1が複数の場合には並列に接続する一対の端子20とを備えている。従って、接続箱本体10に遮断素子収容部11を設け、遮断素子収容部11に収容する遮断素子1の個数を変更すれば容量変更できる。そのため、第1従来例のような筐体および中継端子が必要ないため、部品点数が増加せず、構成も複雑化せず、部品の組付け作業も増加しない。又、第2従来例のようなジョイント端子も必要ない。以上より、部品点数の増加、構成の複雑化、及び、部品の組付け作業の増加になることなく電流遮断構造Aの容量変更ができる。
【0021】
遮断素子収容部11は、3個の遮断素子1が並列に配置されるよう形成されている。従って、一対の端子20は、その素子用接点部22を平板状に形成すれば良いため、構造が単純である。又、遮断素子1の収容個数が変更になった場合には、一対の端子20の素子用接点部22の幅寸法D1を変更すれば良く設計変更が容易である。
【0022】
上記実施形態では、遮断素子収容部11は、3個の遮断素子1を収容できるよう形成されているが、2個の遮断素子1を収容したり、4個以上の遮断素子1を収容したりするものであっても良い。
【0023】
上記実施形態では、3個の遮断素子1の幅寸法D2は全て同じであるが、異なる幅寸法の遮断素子1であっても良い。その場合には、収容する遮断素子1の幅寸法及び個数に応じて遮断素子収容部11の構成を変更する。更に仕切リブ12は無くても良い。
【0024】
上記実施形態では、遮断素子1は、溶断部4が溶断することによって通電を阻止するヒュージブルリンクであるが、規定以上の過電流の通電を阻止するものであれば良い。
【0025】
上記実施形態では、本発明を電気接続箱の電流遮断構造Aに適用したが、電気接続箱以外の電流遮断構造Aに適用できる。
【符号の説明】
【0026】
A 電流遮断構造
1 遮断素子
10 接続箱本体(素子搭載部材)
11 遮断素子収容部
20 端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9