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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】ガイドワイヤ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/09 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
A61M25/09 514
A61M25/09 516
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019115798
(22)【出願日】2019-06-21
(65)【公開番号】P2021000280
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹本 博賢
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-085854(JP,A)
【文献】特表2007-514458(JP,A)
【文献】特開2003-299739(JP,A)
【文献】特開平10-033687(JP,A)
【文献】特開2018-114239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断面形状が非真円形の先端部と、少なくとも前記先端部に連続する部分の横断面形状が真円形でありかつ基端側に向かって延設された本体部とを有するコアシャフトと、
前記コアシャフトの先端部から本体部に亘って連続的かつ前記コアシャフトに密着するように巻回された第1の内側コイル体と、
前記第1の内側コイル体を覆うように巻回された外側コイル体と、
少なくとも前記コアシャフトの先端と前記外側コイル体の先端とが固着された先端固着部と、を備え
前記第1の内側コイル体の先端は、前記先端固着部の基端、または前記先端固着部の基端よりも基端側であって前記本体部の先端よりも先端側に位置しているガイドワイヤ。
【請求項2】
前記先端部の横断面形状が、矩形状または長円形状である請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項3】
前記第1の内側コイル体が多条のコイルで構成されている請求項1または請求項2に記載のガイドワイヤ。
【請求項4】
前記第1の内側コイル体に密着し、かつ前記第1の内側コイル体の巻回方向と反対方向に巻回された第2の内側コイル体を更に備えている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガイドワイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイドワイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、血管内にカテーテルなどの医療器具を挿入する際、医療器具を処置する部位まで案内するためのガイドワイヤが先行して挿入される。
【0003】
このようなガイドワイヤには、湾曲した血管内を円滑に進行できるように先端部に柔軟性が求められる。先端部の柔軟性を高めたガイドワイヤとしては、例えば、先端部におけるコアの横断面形状を非真円形状としたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記ガイドワイヤによれば、コア先端部の横断面形状が矩形状であるため、矩形の各辺を中心にしてコアを容易に屈曲させることができ、ガイドワイヤの先端部における柔軟性の向上を期待することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2013-544575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような従来のガイドワイヤでは、上記柔軟性の向上は期待できるものの、慢性完全閉塞(CTO:Choronic total occlusion)などのような硬い部位へ貫通孔を形成する際、ガイドワイヤを回転させたときに周方向の抵抗を受けることがある。このとき、ガイドワイヤの先端部にハネ(突発かつ非意図的なガイドワイヤ先端部の回転)が発生することがあり、これによりガイドワイヤが血管の内壁等へダメージを与える虞がある。
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、先端部の柔軟性を維持しつつハネの発生を防止可能なガイドワイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のいくつかの態様は、
(1)横断面形状が非真円形の先端部と、少なくとも前記先端部に連続する部分の横断面形状が真円形でありかつ基端側に向かって延設された本体部とを有するコアシャフトと、
前記コアシャフトの先端部から本体部に亘って連続的かつ前記コアシャフトに密着するように巻回された第1の内側コイル体と、
前記第1の内側コイル体を覆うように巻回された外側コイル体と、
少なくとも前記コアシャフトの先端と前記外側コイル体の先端とが固着された先端固着部と、を備えているガイドワイヤ、
(2)前記先端部の横断面形状が、矩形状または長円形状である前記(1)に記載のガイドワイヤ、
(3)前記第1の内側コイル体が多条のコイルで構成されている前記(1)または(2)に記載のガイドワイヤ、および
(4)前記第1の内側コイル体に密着し、かつ前記第1の内側コイル体の巻回方向と反対方向に巻回された第2の内側コイル体を更に備えている前記(1)から(3)のいずれか1項に記載のガイドワイヤ、である。
【0009】
なお、本明細書において、「先端側」とは、長軸方向に沿う方向であって、コアシャフトに対して先端固着部が位置する方向を意味する。「基端側」とは、長軸方向に沿う方向であって、先端側と反対の方向を意味する。但し、「長軸方向」とはガイドワイヤの長手方向を指す。「先端」とは、任意の部材または部位における先端側の端部、「基端」とは、任意の部材または部位における基端側の端部をそれぞれ示す。「先端部」とは、任意の部材または部位において、その先端を含みこの先端から基端側に向かって長軸方向の中途まで延びる部位を指す。「基端部」とは、任意の部材または部位において、その基端を含みこの基端から先端側に向かって長軸方向の中途まで延びる部位を指す。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、先端部の柔軟性を維持しつつハネの発生を防止可能なガイドワイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態を示す概略図側面図である。
図2A図1のII-II線で切断したガイドワイヤの一例を示す概略図断面図である。
図2B図1のII-II線で切断したガイドワイヤの一例を示す概略図断面図である。
図2C図1のII-II線で切断したガイドワイヤの一例を示す概略図断面図である。
図3】本発明の第2の実施形態を示す概略図側面図である。
図4図3のIV-IV線で切断したガイドワイヤの一例を示す概略図断面図である。
図5A】第1の実施形態の変形例を示す概略図側面図である。
図5B】第1の実施形態の変形例を示す概略図側面図である。
図5C】第1の実施形態の変形例を示す概略図側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
当該ガイドワイヤは、横断面形状が非真円形の先端部と、少なくとも上記先端部に連続する部分の横断面形状が真円形でありかつ基端側に向かって延設された本体部とを有するコアシャフトと、上記コアシャフトの先端部から本体部に亘って連続的かつ上記コアシャフトに密着するように巻回された第1の内側コイル体と、上記第1の内側コイル体を覆うように巻回された外側コイル体と、少なくとも上記コアシャフトの先端と上記外側コイル体の先端とが固着された先端固着部と、を備えている。
【0013】
上記本体部の横断面形状が真円形である部分は、少なくとも上記先端部に連続し上記第1の内側コイル体が巻回される部分であり、それより基端側の部分においては円形または適宜必要な横断面形状であってよい。
【0014】
なお、本明細書において、「コアシャフトの先端部」とは、特に先端固着部の基端と本体部の先端との間の部位を指す。
【0015】
以下、本発明の第1および第2の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、当該図面に記載の実施形態にのみ限定されるものではない。
【0016】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態を示す概略図側面図である。当該ガイドワイヤ1は、図1に示すように、概略的に、コアシャフト11と、先端固着部21と、第1の内側コイル体31と、外側コイル体41とにより構成されている。
【0017】
コアシャフト11は、例えば、先端部11Aと本体部11Bとを有している。先端部11Aは、横断面形状が非真円形の部位である。この先端部11Aの横断面形状としては、具体的には、例えば、長方形状(図2Aの先端部11A1参照)、正方形状(図2Bの先端部11A2参照)、楕円(長円)形状(図2Cの先端部11A3参照)、角部にラウンド形状を付けた長方形状若しくは正方形状(不図示)、これらの形状を長軸方向に沿って組み合わせた形状(不図示)等を例示することができる。
【0018】
これらの中で、コアシャフト先端部11Aの横断面形状としては、長方形状および正方形状などの矩形状(図2A図2B参照)、または長円形状(図2C参照)であることが好ましい。これにより、ガイドワイヤ1が屈曲し易い方向を事前に把握することができ、例えば、ガイドワイヤ1が血管内を前進する際の操作性を向上することができる。
【0019】
コアシャフト先端部11Aの形成方法としては、例えば、型を用いてプレス成形する方法、切削により成形する方法等を採用することができる。
【0020】
本体部11Bは、少なくとも先端部11Aに連続する部分の横断面形状が真円形でありかつ基端側に向かって延設された部位である。本体部11Bは、具体的には、例えば、先端が先端部11Aの基端に連続しかつ基端側に向かって漸次または階段状に拡径する拡径部と、先端が上記拡径部の基端に連続しかつ基端側に向かって延設された外径一定の大径部とにより構成することができる。
【0021】
本実施形態では、先端が先端部11Aの基端に連続しかつ基端側に向かって漸次拡径する拡径部11B1(テーパ部)と、この拡径部11B1の基端に連続しかつ基端側に向かって延設された外径一定の大径部11B2とを有するコアシャフト11が例示されている。
【0022】
コアシャフト11を構成する材料としては、ガイドワイヤ1の柔軟性を向上すると共に、抗血栓性および生体適合性を付与する観点から、例えば、SUS304などのステンレス鋼、Ni-Ti合金などの超弾性合金等を採用することができる。
【0023】
コアシャフト11の長軸方向の寸法は、通常、全長が1,800~3,000mm、先端部11Aが5mm~100mmである。コアシャフト11の外径は、通常、先端部11Aが0.03mm~0.1mm、大径部11B2が0.25mm~0.46mmである。
【0024】
先端固着部21は、少なくともコアシャフト11の先端と外側コイル体41(後述)の先端とが固着された部位である。先端固着部21は、具体的には、例えば、その先端部が先端側に向かって凸状に湾曲した略半球形状となるように形成することができる。
【0025】
先端固着部21の形成方法としては、例えば、コアシャフト先端部11Aおよび/または外側コイル体41の先端部を加熱溶融して形成する方法、ロウ材を用いて蝋付けにより接合する方法等を採用することができる。ロウ材としては、例えば、Sn-Pb合金、Pb-Ag合金、Sn-Ag合金、Au-Sn合金などの金属ロウ等が挙げられる。
【0026】
第1の内側コイル体31は、コアシャフト11の先端部11Aから本体部11Bに亘って連続的かつコアシャフト11に密着するように巻回された螺旋状の部材(コイル)である。
【0027】
なお、上記本体部11Bの横断面形状が真円形である部分は、少なくとも先端部11Aに連続し第1の内側コイル体31が巻回される部分であり、それより基端側の部分においては円形または適宜必要な横断面形状であってよい。
【0028】
第1の内側コイル体31のコアシャフト11への巻回態様としては、第1の内側コイル体31とコアシャフト11とが密着する限り特に限定されないが、第1の内側コイル体31を構成する隣り合う素線31aどうしも密着していることが好ましい。これにより、トルク伝達性(ガイドワイヤの基端部から先端部への回転力の伝え易さ)をより高めることができる。
【0029】
第1の内側コイル体31の形態としては、例えば、素線31aを巻回してコイル状に形成したもの(図1参照)、円筒状の部材にスリット加工等を施してコイル状に形成したもの(不図示)等と採用することができる。第1の内側コイル体31に素線31aを用いる場合、素線31aとしては、1本若しくは複数本の単線それぞれ、または1本若しくは複数本の撚線それぞれを用いることができる。但し、単線とは1本の単一線を意味し、撚線とは複数本の単一線を予め互いに撚り合って形成した一束の線群を意味する。
【0030】
ここで、第1の内側コイル体31としては、多条のコイルで構成されていることが好ましい。このような第1の内側コイル体31としては、具体的には、例えば、複数本の単線を用いたもの、複数本の撚線を用いたもの、単線および撚線それぞれを1本以上用いたもの等を例示することができる。これにより、トルク伝達性をより高めることができ、ハネの発生をより低減することができる。
【0031】
第1の内側コイル体31を構成する素線31a(単線または撚線)の直径は、通常0.01~0.10mmである。
【0032】
第1の内側コイル体31を構成する素線31aの材料としては、ガイドワイヤ1に柔軟性を付与すると共に、抗血栓性および生体適合性を付与する観点から、例えば、SUS316などのステンレス鋼;Ni-Ti合金などの超弾性合金;白金、タングステンなどの放射線不透過性の金属等を採用することができる。
【0033】
第1の内側コイル体31は、例えば、その先端が、先端固着部21の基端、またはコアシャフトの先端部11Aの外周面上(コアシャフトの先端部11Aにおける長軸方向の中途)に位置し、基端が、コアシャフト11の拡径部11B1または大径部11B2の外周面上に位置するように配置することができる。
【0034】
第1の内側コイル体31は、先端固着部21の基端およびコアシャフトの先端部11A外周の少なくともいずれかの部位、並びにコアシャフトの拡径部11B1および/または大径部11B2の外周に固着されている。第1の内側コイル体31とコアシャフト11等との固着部位は、両者が接触する部位の一部であってもよく、全部であってもよい。
【0035】
本実施形態では、先端が先端固着部21の基端に位置し、基端がコアシャフトの拡径部11B1の外周面上に位置する第1の内側コイル体31が例示されている。また、本実施形態では、第1の内側コイル体31は、先端固着部21の基端およびコアシャフトの拡径部11B1外周の2箇所に固着(図1の固着部S31aおよび固着部S31b参照)されている。
【0036】
第1の内側コイル体31と先端固着部21との固着方法としては、例えば、コアシャフト11と先端固着部21との固着方法として説明したものと同様の固着方法等を採用することができる。第1の内側コイル体31とコアシャフト11との固着方法としては、例えば、ロウ材を用いて蝋付けにより接合する方法等を採用することができる。ロウ材としては、先端固着部21の形成で用いたものと同様のものを採用することができる。
【0037】
外側コイル体41は、第1の内側コイル体31を覆うように巻回された螺旋状の部材(コイル)である。外側コイル体41の形態および線材としては、例えば、第1の内側コイル体31として説明したものと同様のもの等を採用することができる。
【0038】
外側コイル体41は、例えば、その先端が先端固着部21の基端に位置し、基端がコアシャフトの拡径部11B1の外周面上(図1参照)または大径部11B2の外周面上(不図示)に位置するように配置することができる。本実施形態では、外側コイル体41は、先端固着部21の基端およびコアシャフトの拡径部11B1外周の2箇所に固着(図1の固着部S41aおよび固着部S41b参照)されている。
【0039】
外側コイル体41と先端固着部21との固着方法、および外側コイル体41とコアシャフト11との固着方法としては、例えば、それぞれ第1の内側コイル体31と先端固着部21との固着方法、および第1の内側コイル体31とコアシャフト11との固着方法として説明したものと同様の固着方法等を採用することができる。
【0040】
次に、当該ガイドワイヤ1の使用態様について説明する。ここでは、当該ガイドワイヤ1を用いてその先端部を慢性完全閉塞(CTO)(以下、「治療部位」ともいう)に穿通する手技について説明する。
【0041】
まず、ガイドワイヤ1をその先端から血管内に挿入し、体外に露出しているガイドワイヤ1の部位を操作しながらその先端を治療部位まで押し進める。次いで、ガイドワイヤ1の先端を治療部位に穿刺する。この際、例えば、先端を治療部位に押し当てながらガイドワイヤ1を回転させることがある。具体的には、術者がガイドワイヤ1の基端部を把持して回転操作を行う。このとき、当該ガイドワイヤ1によれば、基端部(手元)に加えた回転力を先端部まで確実に伝えることができるため、たとえ治療部位からの抵抗を受けたとしてもハネが発生するのを抑制しながら所望の回転により治療部位に容易に穿通することができる。
【0042】
なお、当該ガイドワイヤ1を用いて治療部位に穿通した後、ガイドワイヤ1にバルーンカテーテルやステント(不図示)などの医療デバイスを介装し、この医療デバイスをガイドワイヤ1に沿って治療部位まで搬送することで各種の処置を実行してもよい。上記処置が完了した後、ガイドワイヤ1等を体外に抜去することで一連の手技が完了する。
【0043】
以上のように、当該ガイドワイヤ1は、上記構成であるので、基端部(手元)に加えた回転力を先端部まで確実に伝えることができ、先端部の柔軟性を維持しつつハネの発生を防止することができる。その結果、血管の内壁等へのダメージを抑制し円滑な治療を行うことができる。
【0044】
[第2の実施形態]
図3および図4は、本発明の第2の実施形態を示す概略図である。当該ガイドワイヤ2は、図3および図4に示すように、概略的に、コアシャフト11と、先端固着部21と、第1の内側コイル体31と、第2の内側コイル体32と、外側コイル体41とにより構成されている。当該ガイドワイヤ2は、第2の内側コイル体32を備えている点で第1の実施形態と異なっている。なお、以下に示す第2の内側コイル体32の構成以外の構成は、第1の実施形態のものと同様であるため、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。また、当該ガイドワイヤ2の使用態様は、第1の実施形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0045】
第2の内側コイル体32は、第1の内側コイル体31に密着し、かつ第1の内側コイル体31の巻回方向と反対方向に巻回された螺旋状の部材(コイル)である。すなわち、第1の内側コイル体31と第2の内側コイル体32とは、一方がS撚りであり他方がZ撚りの関係にある。
【0046】
第2の内側コイル体32の形態としては、例えば、素線32aを巻回してコイル状に形成したもの(図3参照)、円筒状の部材にスリット加工等を施してコイル状に形成したもの(不図示)等と採用することができる。第2の内側コイル体32に素線32aを用いる場合、素線32aとしては、例えば、第1の内側コイル体31で説明した素線31aと同様のものを用いることができる。
【0047】
第2の内側コイル体32は、例えば、その先端が、先端固着部21の基端、またはコアシャフトの先端部11Aにおける第1の内側コイル体31の外周上に位置し、基端が、コアシャフトの拡径部11B1における第1の内側コイル体31の外周上、またはコアシャフトの拡径部11B1若しくは大径部11B2の外周面上に位置するように配置することができる。
【0048】
第2の内側コイル体32は、先端固着部21の基端および第1の内側コイル体31の外周の少なくともいずれかの部位、並びに第1の内側コイル体31の外周またはコアシャフトの拡径部11B1若しくは大径部11B2の外周に固着されている。第2の内側コイル体32と第1の内側コイル体31等との固着部位は、両者が接触する部位の一部であってもよく、全部であってもよい。
【0049】
本実施形態では、先端が先端固着部21の基端に位置し、基端が拡径部11B1上の第1の内側コイル体31の外周に位置する第2の内側コイル体32が例示されている。また、本実施形態では、第2の内側コイル体32は、先端固着部21の基端および第1の内側コイル体31の外周の2箇所に固着されている(図3の固着部S32aおよび固着部S32b参照)。
【0050】
第2の内側コイル体32と先端固着部21との固着方法、および第2の内側コイル体32とコアシャフト11との固着方法としては、それぞれ第1の内側コイル体31と先端固着部21との固着方法、および第1の内側コイル体31とコアシャフト11との固着方法として例示したものと同様の方法等を採用することができる。
【0051】
以上のように、当該ガイドワイヤ2は、上記構成であるので、ガイドワイヤ2を回転する際、第1の内側コイル体31の素線31aと第2の内側コイル体32の素線32aとに加わる軸方向の力の向きを相対させることができ、いずれの方向にガイドワイヤ2を回転させたとしても隣接する素線31a、31aまたは隣接する素線32a、32aのいずれかがコアシャフトの先端部11Aを緊締するため、トルク伝達性を高めることができる。
【0052】
なお、本発明は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0053】
例えば、上述した第1の実施形態では第1の内側コイル体31の先端が先端固着部21に接合したガイドワイヤ1について説明したが、第1の内側コイル体31m1の先端がコアシャフトの先端部11A外周に固着したガイドワイヤ1m1であってもよい(図5Aの接合部S31am1参照)。このような第1の内側コイル体を備える場合、第2の内側コイル体を設けるときは、第2の内側コイル体の先端は、先端固着部に固着されていてもよく、コアシャフトの先端部外周に固着されていてもよく、第1の内側コイル体の外周に固着されていてもよい。
【0054】
また、上述した実施形態では、コアシャフトの本体部11Bが拡径部11B1と大径部11B2とにより構成されたガイドワイヤ1、2について説明したが、本体部11Bは、少なくとも先端部に連続する部分の横断面形状が真円形でありかつ基端側に向かって延設されていればよく、例えば、本体部11Bm2が基端側に向かって漸次拡径する拡径部11B1m2のみからなるコアシャフト11m2を備えたガイドワイヤ1m2(図5B参照)、本体部11Bm3が基端側に向かって階段状に拡径する拡径部11B1m3を有するコアシャフト11m3を備えたガイドワイヤ1m3(図5C参照)等であってもよい。ガイドワイヤ1m3においては、第1の内側コイル体31m3は、例えば、先端固着部21の基端およびコアシャフトの拡径部11B1m3外周に固着してもよい(固着部S31am3および固着部S31bm3参照)。
【0055】
なお、上述の実施形態において、コアシャフト先端部11Aが角部にラウンド形状を付けた矩形形状等の矩形形状を基礎とする形状とされる場合、第1の内側コイル体31はコアシャフト先端部11Aの角部において、第1の内側コイル体31の剛性によりコアシャフト先端部11Aとの密着が離れることが考えられる。本発明における「密着」とは、第1の内側コイル体がコアシャフト先端部に巻回される全周にわたって密着されることを最良の形態とするが、第1の内側コイル体が1周回において少なくとも1回以上コアシャフト先端部に接触されることであってよい。
【0056】
また、上述した実施形態では、コアシャフトの本体部11Bであって、先端部11Aに連続しかつ第1の内側コイル体31が巻回される部分について「真円形」であることを説明したが、製造上の誤差等により形状に誤差を生じることまでを除外するものではない。
【符号の説明】
【0057】
1、2 ガイドワイヤ
11 コアシャフト
11A コアシャフトの先端部
11B 本体部(コアシャフトの本体部)
21 先端固着部
31 第1の内側コイル体
32 第2の内側コイル体
41 外側コイル体
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図5C