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特許7364378薬剤製品用のカプセルの重量を検出するための電子装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】薬剤製品用のカプセルの重量を検出するための電子装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 9/00 20060101AFI20231011BHJP
   G01G 17/00 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
G01G9/00
G01G17/00 Z
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019132622
(22)【出願日】2019-07-18
(65)【公開番号】P2020012828
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】102018000007288
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】505353375
【氏名又は名称】エムジードゥエ - ソチエタ レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【氏名又は名称】榎原 正巳
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ タリアビーニ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレーア フェラーリ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ クエルツァニ
(72)【発明者】
【氏名】マウロ ミンゲッティ
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05750938(US,A)
【文献】特開2007-322422(JP,A)
【文献】特開2012-008129(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0204714(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 9/00
G01G 17/00
G01G 17/04
G01F 23/263
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤製品用のカプセル(1)の重量を検出するための電子装置(10)であって、
前記カプセル(1)がその主延伸方向において分割される、複数のセクタのそれぞれの一つに面するように設計されている複数の検出電極(S、S、…、S)であって、該検出電極(S、S、…、S)のそれぞれが、前記カプセル(1)を保持するように設計されているカプセル保持要素(2)によって画定される共通プレート(5b)を有するそれぞれの検出コンデンサ(Ct1、Ct2、…、Ctn)を形成するように設計されている、複数の検出電極(S、S、…、S)と、
複数の検出段(14)を備えている電子回路(12)であって、該検出段のそれぞれが、前記検出電極(S、S、…、S)のそれぞれの一つに動作可能に結合され、独立且つ排他的に、前記それぞれの検出コンデンサ(Ct1、Ct2、…、Ctn)の容量性変動(ΔC、ΔC、…、ΔC)を検出し、前記容量性変動(ΔC、ΔC、…、ΔC)の関数であり、前記カプセル(1)のそれぞれの前記セクタの重量を示しているそれぞれの出力量(Vout1、Vout2、…、Voutn)を生成する、ように構成されている、複数の検出段(14)を備えている電子回路(12)と、
を備える電子装置。
【請求項2】
前記共通プレート(5b)はアース基準(earth)に結合されるように設計されており、
前記検出段(14)は、前記アース基準(earth)に対して別個且つ浮遊している接地基準(gnd)を基準とし、
前記接地基準(gnd)は、前記アース基準(earth)に対して、前記それぞれの検出コンデンサ(Ct1、Ct2、…、Ctn)を駆動するように設計されている検出電圧(Vosc)に設定されている、
請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記検出段(14)の各一つは、電荷増幅器構成における演算増幅器(16)を備え、該電荷増幅器構成は、前記接地基準(gnd)に接続されている非反転端子と、それぞれの前記検出電極(S、S、…、S)とフィードバックコンデンサ(17)により前記演算増幅器(16)の出力とに接続されている反転端子と、を有し、
電源端子および前記演算増幅器(16)の前記出力は、前記接地基準(gnd)を基準とする、
請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記電子回路(12)は、前記検出段(14)に共通に、且つ前記検出段(14)の外側において、前記アース基準(earth)を基準とする発振器電圧Voscを生成するように構成されている生成器(20)と、前記それぞれの検出コンデンサ(Ct1、Ct2、…、Ctn)を駆動する前記検出電圧(Vosc)を提供するために、絶縁された方法で、前記発振器電圧(Vosc)を前記接地基準(gnd)の上に転送するように構成されている絶縁要素(22)と、を備える、請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記絶縁要素は、前記生成器(20)と前記アース基準(earth)との間に結合されている一次側(22a)と、前記接地基準(gnd)に結合されている二次側(22b)と、を有する絶縁変圧器(22)である、請求項4に記載の電子装置。
【請求項6】
前記検出段(14)の各一つには、それぞれの前記演算増幅器(16)の前記出力に対するゼロ設定段(30)が更に設けられ、
前記絶縁変圧器(22)は、前記検出電圧(Vosc)を提供するように、中間タップ(int)と前記接地基準(gnd)との間に接続されている第1二次巻き線(T)と、それぞれの前記演算増幅器(16)の前記出力のゼロ値を設定するための変数値を有しているゼロ設定コンデンサ要素(32)の介在を通して、前記中間タップ(int)と前記演算増幅器(16)の反転入力との間に接続されている第2二次巻き線(T)と、を画定する前記中間タップ(int)を有する二次側(22b)、を有している、
請求項5に記載の電子装置。
【請求項7】
前記電子回路(12)は、前記検出段(14)に共通に、且つ前記検出段(14)の外側に、前記アース基準(earth)を基準とする前記発振器電圧(Vosc)に基づいて、前記演算増幅器(16)の前記電源端子に対して、正の供給電圧(Val )と、前記接地基準(gnd)を基準とする、負の供給電圧(Val )と、を生成するように構成されている、絶縁電源(24)を更に備え、前記絶縁電源(24)は、前記アース基準(earth)を基準とするとともに前記生成器(20)に結合されている一次側(24a)と、前記接地基準(gnd)を基準とするとともに前記演算増幅器(16)の前記電源端子に結合されている二次側(24b)と、を有するそれぞれの絶縁変圧器、を内部に含んでいる、請求項4~6のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項8】
各検出段(14)は、前記接地基準(gnd)を基準とするとともにそれぞれの前記演算増幅器(16)の前記出力に結合されている一次側(26a)と、前記アース基準(earth)を基準とするとともに前記それぞれの出力量(Vout1、Vout2、…、Voutn)が供給されるそれぞれの出力(out、out、…、out)に結合されている二次側(26b)と、を有する出力変圧器(26)、を内部に更に備えている、請求項4~7のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項9】
前記電子回路(12)は、前記検出段(14)の各一つに対して、前記検出段(14)の前記出力(out、out、…、out)に結合されている集計ノードを有する、加算器構成における増幅器(43)と、前記集計ノードに結合され、それぞれの前記演算増幅器(16)の前記出力のゼロ値を設定するための、前記発振器電圧(Vosc)と同じ振幅を有し、前記発振器電圧(Vosc)と反対の位相のゼロ設定電圧(V)を供給する可変利得増幅器(46)と、を含んでいるそれぞれの前記演算増幅器(16)の前記出力に対するゼロ設定段(40)、を備えている、請求項8に記載の電子装置。
【請求項10】
前記検出段(14)の各一つは、前記接地基準(gnd)に電気的に接続され、演算増幅器(16)を、前記検出段(14)の外側から来る干渉から遮蔽するように設計されている遮蔽伝導体(G)、を更に備えている、請求項2~9のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項11】
前記カプセル(1)に面するように設計され、前記検出電極(S、S、…、S)が配置されている表面を有し、前記電子回路(12)を内部に格納するケーシング(10’)、を備えている、請求項1~10のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項12】
薬剤製品を含んでいるカプセル(1)の重量を検出するためのシステムであって、
前記カプセル(1)を保持するように設計されているカプセル保持要素(2)と、
前記カプセル(1)がその主延伸方向に分割されているセクタの重量を検出するために前記カプセル(1)に面するように配置されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の電子装置(10)と、
を備えているシステム。
【請求項13】
前記セクタは、少なくとも、前記カプセル(1)のキャップセクタ(1b)と底部セクタ(1a)を備え、
前記電子装置(10)は、前記カプセル(1)の前記キャップセクタ(1b)の有無を示す標識を提供するように更に構成されている、
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
薬剤製品用のカプセル(1)の重量を検出するための方法であって、容量性技術により、前記カプセル(1)がその主延伸方向において分割される複数のセクタの重量を検出することを備え、該検出することは、
複数の検出電極(S、S、…、S)を、前記カプセル(1)の前記複数のセクタのそれぞれのセクタに面するように配置することであって、前記検出電極(S、S、…、S)の各一つが、前記カプセル(1)を保持するカプセル保持要素(2)によって画定される共通プレート(5b)を有するそれぞれの検出コンデンサ(Ct1、Ct2、…、Ctn)を形成するように設計されている、配置することと、
独立且つ排他的に、前記それぞれの検出コンデンサ(Ct1、Ct2、…、Ctn)の容量性変動(ΔC、ΔC、…、ΔC)の関数であり、前記カプセル(1)の前記それぞれのセクタの重量を示す、それぞれの出力量(Vout1、Vout2、…、Voutn)を、複数の検出段(14)を含んでいる電子回路(12)によって、生成することであって、該検出段のそれぞれが、前記検出電極(S、S、…、S)のそれぞれ一つに動作可能に結合されている、生成することと、
を備える、方法。
【請求項15】
発振器電圧(Vosc)に基づく検出電圧において、接地基準(gnd)が、アース基準(earth)に対して浮遊して設定されるように、前記共通プレート(5b)が結合されているアース電位(earth)を基準とする前記発振器電圧Voscを生成する生成器(20)に関して、前記接地基準(gnd)を基準とする前記検出段(14)を電気的に絶縁すること、
を備えている、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願へのクロスリファレンス)
本特許出願は、2018年7月18日に出願された、イタリア特許出願第102018000007288号の優先権を主張するものであり、その開示全体は、ここに参考文献として組み込まれる。
【0002】
本ソリューションは、カプセル、特には、薬剤製品により全体または一部が充填されたカプセルの重量を検出するための電子装置に関する。
【背景技術】
【0003】
薬剤分野においては、カプセルに薬剤製品を充填するための機械が知られている。これらの機械は、複数のカプセルの底部を、少なくとも一つの薬剤製品の正確な適用量で充填し、これらの底部を、それぞれの満杯のカプセルを完成製品として得るために、対応するキャップで閉鎖するように設計されている。
【0004】
幾つかのタイプの機械においては、一旦充填されると、充填機械から出てくるカプセルは、カプセルと、その中に含まれている薬剤製品と、の重量を測定するように設計されている装置により重量が測定される。一般的にこの測定は、電子機械装置(動的重量計)により、特別な場合を除いては、サンプルに対して行われ、それは、これらの重量計は、機械の製造速度と比較して非常に遅いからである。更に、この技術は、総重量を測定し、その結果として、正味重量は、ケーシングの重量に関連する不確定性により影響を受け、測定値ではなく、公称値が総重量から減算される。
【0005】
重量検出のために使用される既知の技術は、特には、出願者により製造されたこのタイプの機械においては、容量性測定技術であり(例えば、出願者の名前による米国特許第5,750,938号参照)、カプセルについての総重量と風袋重量との続けての測定により、製品全体に対する測定と、含有物の正味重量の検出と、の両者を可能にする。製品全体に対する重量の測定は、適用量の傾向(従って、機械の正確な調整)の検証だけでなく、単一のカプセルの制御および可能な廃棄、更には、総重量ではなく正味重量に対する機能を可能にするので、動的システムと比較しての利点は明白である。
【0006】
図1に模式的に図示されているように、充填されたカプセル(簡潔性のため、図1では一つのみが1で示されている)は、真空システム(ここにおいては図示せず)により、それぞれのカプセル1を受取り且つ保持するようにそれぞれが設計されて複数のシート3または溝が設けられているカプセル保持ホイール2に転送される。
【0007】
カプセル保持ホイール2の前に置かれている重量測定装置4は、容量性技術により、カプセル1とその中に含まれている薬剤製品との重量を検出する。
【0008】
特に、上記の特許に記載されているように、重量測定装置4は、容量Cを有し、カプセル保持ホイール2に面しているその壁において配置されている電極から構成されている第1プレート5aと、同じカプセル保持要素2から構成されている第2プレート5bと、を有している検出コンデンサ(以降、簡単に、検出コンデンサC)から構成されている容量性センサを備えている。カプセル保持ホイール2の回転の間、カプセル1は、容量性センサの第1および第2プレート5a、5bの間に介在され、検出コンデンサCの容量性変動ΔCという結果になる。
【0009】
重量測定装置4は、検出コンデンサCに機能するように結合され、検出コンデンサCの第1および第2プレート5a、5bの間のカプセル1の存在により引き起こされる容量性変動ΔCに依存する、カプセル1の重量を示す出力信号、例えば、電圧(または、ある回路設計においては周波数)を生成するように構成されている検出回路6を備えている。
【0010】
図2は、基準電位(カプセル保持要素2は、機械の一部として、実際はアース電位に本質的に接続されている)に置かれたプレート(カプセル保持要素2から構成される上記の第2プレート5b)を有している検出コンデンサCの容量性変動ΔCを検出するために使用される、「容量性デバイダ」タイプの上記の検出回路6の可能な実現形態を示している。
【0011】
検出回路6は、高入力インピーダンスに単一利得構成で接続され(「バッファ」として)、検出コンデンサCの第1プレート5aに接続されている非反転入力と、出力電圧Voutを提供する出力に接続されている反転入力と、を有する演算増幅器7を備えている。演算増幅器7の上記の反転入力はまた、容量Cを有する結合コンデンサ8により、発振器電圧VOSC(典型的には、数十kHzから数百MHzの周波数と、数ボルトから数十ボルトの振幅と、を有することができる)を提供する発振器9にも接続されている。
【0012】
本出願者は、上記の検出回路6は、ある動作条件においては相当な程度(下記においても強調されるように)であり得る、ある本質的な制限を有することに気づいた。これらの制限は下記の通りである。
【0013】
(a)動作 - まず、第一に、検出回路6においては、検出コンデンサCの百分率変動に関して最大の感度を得るためにC≒Cの条件が通常は要求される。これらの条件においては、演算増幅器7の入力(および出力)において、発振器電圧VOSCの半分に等しい電圧がある。
【0014】
(b)感度低下 - この構成においては、トランスデューサの容量変動ΔCは、容量Cのみではなく、並列C+Cにおける等価容量を基準としている。
【0015】
(c)共通モード - 大きな振幅を有するいわゆる「共通モード」信号で作動しなければならないので、演算増幅器7は非線形性をもたらし得る。更に、同じ演算増幅器7の動作は、発振器電圧VOSCの最大値を制限する(例えば、演算増幅器7に5Vの電力が与えられ、仮定したようにC≒Cとすると、発振器電圧VOSCは10Vpp未満でなければならない)。これは重大な制限であり、特に、この適用のようにトランスデューサのサイズが非常に小さく、従って、感度が削減される場合は、信号対雑音比を増大させるために発振器電圧VOSCを増大しなければならないので非常に重大な制限である。
【0016】
(d)保護 - 図2に模式的に示されているように、Gで示されている保護線(または伝導体)を駆動する可能性が、寄生入力容量を削減且つ電場線の傾向を適切に修正可能な搭載電極を駆動するために要求され得る。保護線Gは、図2に示されているように、演算増幅器7の出力から駆動できるが、これは、演算増幅器7は、容量性負荷を、特には、大きな振幅および高周波数の信号で駆動するときはほとんど容認できないので、不安定の問題を引き起こし得る。
【0017】
(e)ゼロ設定 - 更に、演算増幅器7による出力信号のゼロ設定に関する問題もあり、これは、実際は、印加しなければならない信号振幅のため相対的に複雑である(結果として、検出回路6における歪みおよび位相シフトの可能性がある)。
【0018】
上記の重量測定装置4は、出願者により取得された広範囲の経験によると、カプセルと、その中に含まれている製品の正しい適用量と、の重量を検証するために、いずれの場合においても、充填機械において首尾よく使用可能である。
【0019】
しかし、本出願者は、幾つかの充填機械に起きている更なる問題は、カプセルキャップの存在の検出であることを検証した。種々の理由により、充填機械から出てくるカプセルは、キャップを有していないこともあるので、そのようなカプセルを識別して破棄することが必要である。
【0020】
キャップの存在を検出する既知のソリューションは、光電センサの使用を必要とするが、しかしそれは、破棄すべきカプセルの正確な識別に関する欠点および困難さを示した(色および/またはサイズにおける差、位置決め、ホコリなどのため)。
【発明の概要】
【0021】
本発明の目的は、既知の技術の、前に強調した欠点を克服することを可能にするソリューションを提供することである。
【0022】
本発明によれば、付随する請求項で定義されるように、薬剤製品用カプセルの重量を検出するための装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明をより良好に理解するために、その非制限的な好適実施形態がここで付随する図面を参照して例により記述される。
【0024】
図1】薬剤製品用カプセル充填機械の部分を模式的に示している。
図2図1の充填機械の重量測定装置において使用される電子検出回路を示している。
図3】本ソリューションの実施形態に係るカプセル重量測定装置を模式的に示している。
図4図3に示されている重量測定装置の等価電気構成を示している。
図5図3の重量測定装置に適用可能な既知のタイプの検出回路のレイアウトを示している。
図6図3の重量測定装置において使用される電子検出回路の基本図を示している。
図7図3に示されている重量測定装置において使用される検出回路の全体電気レイアウトを示している。
図8】検出回路の第1変形例を示している。
図9】検出回路の第2変形例を示している。
図10図10Aは、一つのカプセルに面している、重量測定装置の例としての適用を示し、図10Bは、図10Aにおける例に関連する、検出回路からの出力における量のプロットを示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
下記に詳細に検討されるように、本ソリューションの一つの態様は、薬剤製品用カプセルの重量を検出するための電子装置を提供することを想定しており、電子装置は「分割された」容量性センサを画定、つまり、複数の検出分割部を有しており、それぞれの検出分割部は、カプセルのそれぞれの部分(またはセクタ)上に「焦点を絞られた」それぞれの検出コンデンサを画定している(高さにおいて、またはその主な延伸方向に沿って分割されると理解される)。
【0026】
この「分割された」容量性センサは、カプセルキャップの有無についての「オン/オフ」情報だけでなく、都合の良いことに、カプセルを分割可能な種々のセクタにおいて存在する物質の量についての情報も提供できる。下記においてより明確になるが、この焦点の絞り込み、従って、各センサから、カプセルの関連部分に関しての情報を有する可能性は、適切な電子機器の提供に依存する。
【0027】
図3は、本ソリューションの実施形態に係る「分割された」容量性センサを画定する電子重量測定装置を模式的に示しており、ここでも1により示されているように、容量性センサはカプセルに面しており、カプセルは底部1aとキャップ1bとが垂直方向において重なっている(例示されていない方法で、カプセル1は、図1に例示されているカプセル保持ホイール2と全く類似する方法でカプセル保持ホイールにより搬送される)。
【0028】
重量測定装置は、ここでは10で示され、適切な物質、例えばアルミニウム合金のケーシング10’において構成され、カプセル1に面しているその表面において、薬剤環境に適切な物質、例えば金でメッキされ、第1容量性検出プレート5aの個々のセクタを画定している複数の検出電極S1、S2、…、Snを備えている(図3は、例示されている電極の数については、単に例を示しているだけである)。
【0029】
上記で検討したことと同じように、第2容量性プレート5bもまたこの場合は、カプセル保持ホイール(ここでは図示せず)により画定され、カプセル保持ホイールは基準電位に置かれ、重量を測定しなければならないカプセル1を、それらが重量測定装置10に面する位置になるように搬送する。特に、各検出電極S、S、…、Sは個々のセクタに面する位置に置かれ、そこにおいてカプセル1は垂直方向に分割されると仮定できる。
【0030】
図4における等価図においても示されているように、種々の検出電極S、S、…、Sは、第2共通プレート5bと共に、複数の検出コンデンサCt1、Ct2、…、Ctnを形成し、それぞれの容量性変動ΔC、ΔC2、…、ΔCは、動作中は、カプセル1の対応するセクタの重量を示している(同じカプセル1を、重量測定装置10とカプセル保持ホイールとの間に介在させたとき)。
【0031】
重量測定装置10はまた、電子回路12が提供され、電子回路12はケーシング10’に格納可能であり、ケーシング10’は、この場合は複数の検出段14を備え、各段14は、この例においては電圧であり、それぞれの容量性変動ΔC、ΔC2、…、ΔCの関数であり、カプセル1の対応するセクタの重量を示している出力量Vout1、Vout2、…、Voutnを提供するために、それぞれの検出コンデンサCt1、Ct2、…、Ctnに動作するように結合されるようにそれぞれの検出電極S、S、…、Sに結合されている。
【0032】
重量測定装置10は、各検出電極S、S、…、Sが、それに面しているカプセルセクタ1のみ(または主に)を参照するように構成されている。特に、電場流線は、ある近似を有して互いに平行であり、検出電極S、S、…、Sと、面している第2プレート5bの表面に直交している(同じ図4に示されているように)。平坦且つ平行プレート(開示される容量性センサを近似できるような)を有するトランスデューサにおいては、上記の図4に示されているように、検出電極S、S、…、Sが同じ電位であり、同じ電位において保護電極Gにより端部において境界が定められている場合は、関連する電場線はすべて互いに平行である。検出段14もまたは互いに独立しており、略排他的および独立した方法で、それぞれの検出コンデンサCt1、Ct2、…、Ctnの容量性変動ΔC、ΔC、…、ΔCを検出するように構成されている。
【0033】
適切な電位に置かれている検出電極S、S、…、Sの上方および下方(垂直方向)に置かれているこれらの保護電極Gは、電場端部の影響をなくすために使用される(ここにおいては詳細には記述しない、それ自体既知の方法で)。
【0034】
本出願者は、重量測定装置10が有効であるためには、適切な電子回路12、特には、関連する検出段14の適切な回路構成が提供されなければならないことを検証した。
【0035】
この点において、本出願者は、図2を参照して記述された「容量性デバイダ」として知られているタイプの検出回路6を使用することは実質的に不可能であることを見出した。実際、上述した本質的な制限に加えて、この回路は、「分割された」容量性センサとの使用には適切でない。
【0036】
実際、図5は、重量測定装置10の複数の検出電極S、S、…、Sに適用された上記の検出回路6を示している。
【0037】
すべての検出電極S、S、…、S(およびそれらの検出コンデンサCt1、Ct2、…、Ctn)は、同じ発振器電圧Voscが供給されるが、ここではCo1、Co2、…、Conとして示される別個の結合コンデンサを通してである。
【0038】
これらの検出および結合コンデンサ(Ct1、Ct2、…、CtnおよびCo1、Co2、…、Con)の容量における回避できない差は、各検出電極S、S、…、S上に存在する異なる電圧の原因となる。これは、隣接する電極間の不要の相互作用、そしてその結果として、電場線の不十分な「焦点の絞り込み」の原因となる。実際、各検出電極S、S、…、Sは、それに面しているカプセル1のセクタのみを感知するという条件は十分には満たされない。更に、各検出段は、それぞれの検出コンデンサの容量性変動のみを検出することができなくなる。
【0039】
従って、本ソリューションの一つの態様は、重量測定装置10の電子回路12の検出段14の特別な回路構成を提供する。
【0040】
図6に示されているように、この場合の各検出段14は、電流が入力する、電荷増幅器構成の演算増幅器16に基づいている。
【0041】
特に、演算増幅器16は、それぞれの検出コンデンサCt1、Ct2、…、Ctn(ここにおいては、簡潔性のために、単にCと示される)の第1プレート5aを画定している、それぞれの感知電極S、S、…、Sに接続されている反転入力と、gndと示される電子回路12の接地基準電位に接続されている非反転入力と、を有している。同じ反転入力はまた、演算増幅器16の出力に接続されており、そこにおいては、容量Cを有するフィードバックコンデンサ17により、それぞれの出力量が存在している。
【0042】
上述したように、検出コンデンサCの第2共通プレート5bは、カプセル保持ホイール2(ここでは図示せず)から構成され、アース基準(earth)に接続されている。
【0043】
具体的に二つの電気的に区別される点を示すために、二つの別個の用語が使用されているということに留意すべきである。つまり、電子回路12の共通基準を示すための「接地」と、上記のカプセル保持要素2を含む、充填機械のすべての要素が接続されている、実際のアース基準を示すための「アース」が使用されている。
【0044】
上記の電荷増幅器回路が正しく動作するためには、発振器電圧Voscが、カプセル1の関連するセクタの重量の関数である容量性変動ΔCに比例する電流iが、演算増幅器16の反転入力に存在するように、検出コンデンサC上に存在しなければならない。
【0045】
本ソリューションの特別な態様は、電子回路12の接地基準gndは、特には、反転された符号の発振器電圧Vosc(-Vosc)に等しい電圧、つまり、検出コンデンサCを駆動する電圧だけ、アース基準に対して適切に「浮遊している」、つまり、アース基準に対して「高められている」ことを想定する。
【0046】
非反転入力だけでなく、演算増幅器16の出力と電源端子もまたこの「浮遊している」接地を基準とし、電源端子はそれぞれ、接地基準gndを共に基準としている正の供給電圧Val と負の供給電圧Val とを受け取るということに留意すべきである。
【0047】
本出願者は、上記の電荷増幅器回路は、上記に検討した従来の容量性デバイダソリューションと比較して幾つかの利点があることを明確に理解した(実際、(a)~(d)のような前に列挙された欠点は消去される)。
【0048】
(a)感度低下 - トランスデューサ容量ΔCにおける百分率変化は、並列である他の容量がないので、容量Cのみを基準とする。演算増幅器16の反転端子と、接地基準gndと、の間の寄生容量は、その「仮想接地」に接続されるので、演算増幅器により「中和」される。
【0049】
(b)保護 - この場合、電極または保護伝導体G(図示されている)を駆動するための保護信号を作成することは要求されない。これらは、実際は印刷回路トラックであり、この場合は、接地基準gndに接続されているので、既知のソリューションに影響を与える安定性の問題は回避される。
【0050】
(c)共通モード - 電流入力により、演算増幅器16は非常に好ましい条件で動作する(共通モード電圧はゼロ)。
【0051】
(d)動作 - この場合の発振器電圧Voscは、演算増幅器16の動作により制限されず、集計ノードへ注入される電流iを増大するために、思いのままに理論的に増大可能である。出力電圧を、演算増幅器の動作内に戻すためには、発振器電圧Voscが増大するときに、フィードバックコンデンサ17の容量Cを増大すればよい。同じ発振器電圧Voscを増大することにより、信号対雑音比(S/N)は、同じ演算増幅器16の入力において、演算増幅器16の信号電流と雑音電流との間の比に依存するので、相当に向上可能である。
【0052】
(e)相互影響 - 分割された容量性センサに対しては典型的な、それぞれの演算増幅器16の集計ノードに接続されている各電極、この場合は、仮想接地に接続されているすべての検出電極S、S、…、Sである近接している電極の集合を考えると、同じ検出電極S、S、…、Sと保護電極Gとはすべて同じ電位となる(電子回路12の接地基準gndの電位)。この理由のため、同じ検出電極S、S、…、Sを、相互影響の問題を起こすことなく隣同志に並んで配置できる。特に、すべての検出電極S、S、…、Sは同じ電位なので、平坦且つ平行な電極および端部における保護電極Gを仮定すると、関連する電場線は、少なくとも理論上は、すべて直線で平行である。
【0053】
図7は、本ソリューションの実施形態に係る、重量測定装置10の電子回路12に対する結果としての回路設計を示している(簡潔性のために、第1および第n検出電極S、Sと関連付けられている二つのみの検出段14が示されているが、ここで示されているものは、所望の数の検出電極S、S、…、Sに対して複製されることは明白である)。
【0054】
電子回路12は、生成器、特には、ここでは20で示され、発振器電圧Voscを生成し、アース電位(earth)を基準としている発振器と、同じ発振器20に結合されている一次側22aを有し、発振器電圧Voscを受信する注入変圧器22(特には、発振器20とアース基準との間に接続されている)と、を備えている。
【0055】
注入変圧器22の二次側22bは適切にアース基準を基準とし、接地基準に結合され、それにより、発振器電圧Voscにおいて、同じアース基準の電位に関して、「浮遊」接地gndが置かれる。利点として、この注入変圧器22は、減少された値の発振器電圧Voscを有しながら、高電圧の検出コンデンサCを駆動するように、「上昇させる」巻き線比で製造できる。
【0056】
電子回路12は更に電源24を備えており、電源24は、発振器20に結合されている入力を有し、発振器電圧Voscを受信し(このため、同じ発振器電圧Voscに関して同期して動作する)、演算増幅器16に対して、正および負の供給電圧Val 、Val を提供する。このようにして、測定回路上の電源回路の如何なる可能性のある干渉は確定され、容易に検出可能であり、中和可能である。
【0057】
特に、電源24は、内部に(同じ図7において図示されているように)、アース基準を基準とする一次側24aと、浮遊接地gndを基準とする二次側24bと、を隔離する絶縁変圧器を備えている。
【0058】
特に、上記の注入変圧器22と上記の電源24とは、電子回路12のすべての検出段14に対して共通であるということに留意すべきである。
【0059】
同じ電子回路12の各検出段14は更に出力変圧器26を備えており、出力変圧器26は、それぞれの演算増幅器16の出力を、すべての他の電極(ここでは図示されていない)に対する基準であるアース電位を基準とさせる。
【0060】
従って、出力変圧器26は、同じ演算増幅器16の出力と接地基準電位gndとの間に接続されている一次側26aと、アース基準を基準とする二次側26bと、を備え、それぞれの出力端子out、out、…、outにおいてそれぞれの出力電圧Vout1、Vout2、…、Voutnを提供する。
【0061】
従って、図7の破線の四角により図示されているように、電子回路12の検出段14は、同じ電子回路12の浮遊接地gndを基準とし、一方、注入変圧器22と、電源24と、出力端子out、out、…、outとは(検出コンデンサCt1、Ct2、…、Ctnの共通プレート5bも同様に)、アース電位を基準としている。
【0062】
注入変圧器22、電源24における絶縁変圧器、および出力変圧器26は、一次側と二次側との間の低容量変圧器であり、小型化され、非常に拡張された周波数応答を有しているということにも留意すべきである。
【0063】
図8に示されているように(簡潔性のため、単一の検出段14のみを参照する)、電子回路12はまた、各検出段14に対してゼロ設定段30を備えることも可能で、この場合は、同じ検出段14の「浮遊」部分に内部的に提供されている(つまり、基準接地gndを基準としている)。
【0064】
この場合、注入変圧器22は、中間タップintを有する二次側22bを有しており、Tで示され、反転した符号の発振器電圧Vosc(-Vosc)の注入のために中間タップintと接地基準gndとの間に接続されている第1二次巻き線と、Tで示され、容量Cを有するゼロ設定コンデンサ要素32を介在して、同じ中間タップintと演算増幅器16の反転入力との間に接続されている第2二次巻き線と、を画定している。
【0065】
第2二次巻き線T上では、この場合は、発振器電圧Voscに関して反対位相の適切なゼロ設定電圧Vが生成され、ゼロ設定コンデンサ要素32の容量Cに対する適切な変数値の選択(例えば、通常は「バリコン」と呼ばれるバラクタダイオードにより実現される)と相まって、演算増幅器16の出力のゼロ設定を実現することを可能にする。このゼロ設定に対しては、ゼロ設定電圧Vと、ゼロ設定コンデンサ32の上記の容量Cの値と、の両者が、既知の技術で変更可能であるということに留意すべきである。
【0066】
特に、ゼロ設定コンデンサ32は、演算増幅器の集計ノードに、検出コンデンサCが「ゼロ」状況のとき、つまり、そこから開始して容量性変動ΔCが測定される状況のときに、検出コンデンサCにより注入される電流と等しく方向が反対の電流を注入する。従って、適切な出力変圧器26を通して、出力outにおいて伝達される出力電圧Voutは、ゼロ状態ではゼロであり、または削減された振幅を有しており、従って、直接増幅できる(電子回路12の下流に位置する、例示されていない適切な信号処理回路により)。
【0067】
図8はまた、接地基準gndの電位を適切に基準とし、アース基準に対して浮遊している、電子回路12の保護(または遮蔽)線Gも示している。当業者には明白なように、これらの保護線Gは、電子回路12が構成される印刷回路板上のトラックであることが可能であり、または、ある回路要素のアース電位に向かう容量が、トランスデューサ(検出コンデンサC)と平行になり、感度を削減し、測定における不安定さの潜在的な源を構成することを回避する金属のスクリーン(遮蔽壁)であることが可能である。
【0068】
同じ図8においては電源24が示されており、この場合、電源24は同じ発振器20から信号を受信して、それにより、同じ周波数で作動し、それにより、上記の欠点を回避する。
【0069】
回路において作用する寄生容量もまた示されており、特に、アース基準と接地基準との間の容量Cと、注入変圧器、電源、および出力変圧器22、24、26の一次および二次側の間の容量C、C、C、Cと、が示されている。
【0070】
図9に例示されている代替の実施形態においては、接地基準gndを基準とする検出段14の「浮遊」部の内部に設けられるのではなく、ゼロ設定は、それに対して外部的に行われ、従って、アース基準を基準としている。この実施形態は、(例えば、上記のゼロ設定コンデンサ要素32の変動に対して)ゼロ設定を制御するために、回路の「浮遊」部においてデジタル信号を搬送することを必要としないので利点であり得る。
【0071】
この実施形態においては、各検出段14に対して、この場合は40として示されているゼロ設定段は、同じ検出段14の出力outの下流に接続されている加算段42を備えている。
【0072】
この加算段42は、加算構成において、アース基準に接続されている非反転入力と、抵抗値R1を有する第1集計抵抗44により上記の出力outに結合され、また、抵抗値R3を有する第2集計抵抗45により同じ増幅器43の出力に結合されている反転入力と、を有する増幅器43から構成されている。
【0073】
セロ設定段40はまた、例えば、乗算型D/A変換器により実現される(当業者には明白なように)デジタル制御変数利得増幅器46も備えている。
【0074】
この変数利得増幅器46は、入力において、発振器20から適切に得られる入力信号と、また、デジタル制御信号Sと、を受信し、出力において、デジタル制御信号Sによる適切な調整により、ゼロ設定電圧Vを提供する。
【0075】
変数利得増幅器46の出力は、抵抗値R2を有する第3集計抵抗47により、加算段42の上記の演算増幅器43の反転入力に結合されている。R1がR2に等しい場合は、ゼロ設定電圧Vが、検出段14により提供される出力電圧Voutと振幅が等しく位相が反対のときに出力ゼロ設定が得られる。
【0076】
本出願者は、上記の重量測定装置10動作を、幾つかのシミュレーションと実験的試験とにより検証した。
【0077】
この点において、図10Bは、図10Aに示されている例において、それぞれの検出電極S、S、S、およびSを基準とする出力電圧Vout1、out2、Vout3、およびVout4の傾向を示している。特に、図10Aに示されているように、重量測定装置10は、この場合は、カプセル1に面して適切に配置された四つの検出電極S、S、S、およびSから構成されている「分割された」容量性センサを備えており、一つの検出電極Sは、カプセル1のキャップ1bの上方に位置し、第2検出電極Sは、カプセル1のキャップ1bの上部のみに面して位置し、第3電極Sは、カプセル1のキャップ1bの低部に面して位置し、同じカプセル1の底部1aの上部に重なっており、第4電極Sは、カプセル1の底部1aの低部のみに面して位置するようになっている。
【0078】
特に、上記の図10Bは、左側の部分において、キャップ1bを有さないカプセル1に対する上記の出力電圧Vout1、out2、Vout3、およびVout4の傾向を示しており、右側の部分において、キャップ1bが設けられているカプセル1に対する同じ出力電圧Vout1、out2、Vout3、およびVout4の傾向を示している。
【0079】
特に、出力電圧傾向の処理は、キャップ1bが存在しないか、存在するかの二つの場合において明確に相当に異なる、第2および第3出力電圧Vout3およびVout4の特別な場合において、キャップ1bを有さないカプセル1の存在を効果的に検出することを可能にするということに気付くことができる。更に、実際は、キャップ1bの上方に位置している第1検出電極Sを基準とする出力電圧Vout1は、キャップ1bの有無に影響されず、同様に、実際は、同じカプセル1の底部1aの部分のみに面している第4検出電極Sを基準とする出力電圧Vout4は、キャップ1bの有無に影響されないということに留意すべきである。従って、これらの出力電圧Vout1、Vout4の挙動は、重量測定装置10により実現される容量性検出における優れた「空間的選択性」を強調している。
【0080】
本ソリューションの利点は、上記の記述から明白である。
【0081】
いずれにせよ、このソリューションは、充填の間、キャップのないカプセルを破棄するために、カプセルキャップの有無についての情報を得ることを可能にするだけでなく、差別化された選択的方法により、重量測定に提供される寄与分を、同じカプセルの種々の部分から有利なように検出することも可能にし、カプセルが分割され得る種々のセクタにおける物質の量についての情報を得ることも可能にするということに再び留意すべきである。これは、種々の場合に、例えば、カプセルが異なる製品(例えば、散剤とマイクロピル(微錠剤))により充填されるときに、単一の方法と比べて、製品の重量のより良好な評価のために非常に役に立つことが可能である。
【0082】
実際、重量測定装置は、種々の検出分割部分の電場線が互いに影響を及ぼし合わないように、能動的および保護電極がすべて同じ電位にある電子回路の構成のおかげもあり、カプセルのそれぞれのセクタにほとんど排他的に焦点を絞られている複数の検出分割部分を有している、「分割された」容量性検出を実現する。
【0083】
重量測定装置はまた、例えば、充填するカプセルの形式を変更するときに、検出分割部分を置き換える必要なく、検出分割部分の適切な配置により、種々のカプセル形式に適合するためにも適している。
【0084】
最後に、ここで記述且つ例示されたものに対して、修正および変形を、請求項において記述されるような本発明の範囲を逸脱することなく行うことができるということは明確である。
【0085】
特に、電子回路における、アース基準に関して浮遊している接地基準の電位は、絶縁変圧器ではなく、演算増幅器により生成可能であり、同様に、出力電圧は、絶縁変圧器ではなく、再び演算増幅器により浮遊接地を基準とさせることが可能である。しかし、そのようなソリューションは、上記の演算増幅器における高い共通モード電圧のため、ある問題を引き起こす。
【0086】
最終的に、薬剤用使用のためのカプセルの重量測定を特に参照して記述したが、本ソリューションを、異なる製品を含むカプセルまたは類似の容器にも首尾よく適用できる。
本明細書に開示される発明は以下を含む。
[態様1]
薬剤製品用のカプセル(1)の重量を検出するための電子装置(10)であって、
前記カプセル(1)がその主延伸方向において分割される、複数のセクタのそれぞれの一つに面するように設計されている複数の検出電極(S 、S 、…、S )であって、該検出電極(S 、S 、…、S )のそれぞれが、前記カプセル(1)を保持するように設計されているカプセル保持要素(2)によって画定される共通プレート(5b)を有するそれぞれの検出コンデンサ(C t1 、C t2 、…、C tn )を形成するように設計されている、複数の検出電極(S 、S 、…、S )と、
複数の検出段(14)を備えている電子回路(12)であって、該検出段のそれぞれが、前記検出電極(S 、S 、…、S )のそれぞれの一つに動作可能に結合され、独立且つ排他的に、前記それぞれの検出コンデンサ(C t1 、C t2 、…、C tn )の容量性変動(ΔC 、ΔC 、…、ΔC )を検出し、前記容量性変動(ΔC 、ΔC 、…、ΔC )の関数であり、前記カプセル(1)のそれぞれの前記セクタの重量を示しているそれぞれの出力量(V out1 、V out2 、…、V outn )を生成する、ように構成されている、複数の検出段(14)を備えている電子回路(12)と、
を備える電子装置。
[態様2]
前記共通プレート(5b)はアース基準(earth)に結合されるように設計されており、
前記検出段(14)は、前記アース基準(earth)に対して別個且つ浮遊している接地基準(gnd)を基準とし、
前記接地基準(gnd)は、前記アース基準(earth)に対して、前記それぞれの検出コンデンサ(C t1 、C t2 、…、C tn )を駆動するように設計されている検出電圧(V osc )に設定されている、
態様1に記載の電子装置。
[態様3]
前記検出段(14)の各一つは、電荷増幅器構成における演算増幅器(16)を備え、該電荷増幅器構成は、前記接地基準(gnd)に接続されている非反転端子と、それぞれの前記検出電極(S 、S 、…、S )とフィードバックコンデンサ(17)により前記演算増幅器(16)の出力とに接続されている反転端子と、を有し、
電源端子および前記演算増幅器(16)の前記出力は、前記接地基準(gnd)を基準とする、
態様2に記載の電子装置。
[態様4]
前記電子回路(12)は、前記検出段(14)に共通に、且つ前記検出段(14)の外側において、前記アース基準(earth)を基準とする発振器電圧V osc を生成するように構成されている生成器(20)と、前記それぞれの検出コンデンサ(C t1 、C t2 、…、C tn )を駆動する前記検出電圧(V osc )を提供するために、絶縁された方法で、前記発振器電圧(V osc )を前記接地基準(gnd)の上に転送するように構成されている絶縁要素(22)と、を備える、態様3に記載の電子装置。
[態様5]
前記絶縁要素は、前記生成器(20)と前記アース基準(earth)との間に結合されている一次側(22a)と、前記接地基準(gnd)に結合されている二次側(22b)と、を有する絶縁変圧器(22)である、態様4に記載の電子装置。
[態様6]
前記検出段(14)の各一つには、それぞれの前記演算増幅器(16)の前記出力に対するゼロ設定段(30)が更に設けられ、
前記絶縁変圧器(22)は、前記検出電圧(V osc )を提供するように、中間タップ(int)と前記接地基準(gnd)との間に接続されている第1二次巻き線(T )と、それぞれの前記演算増幅器(16)の前記出力のゼロ値を設定するための変数値を有しているゼロ設定コンデンサ要素(32)の介在を通して、前記中間タップ(int)と前記演算増幅器(16)の反転入力との間に接続されている第2二次巻き線(T )と、を画定する前記中間タップ(int)を有する二次側(22b)、を有している、
態様5に記載の電子装置。
[態様7]
前記電子回路(12)は、前記検出段(14)に共通に、且つ前記検出段(14)の外側に、前記アース基準(earth)を基準とする前記発振器電圧(V osc )に基づいて、前記演算増幅器(16)の前記電源端子に対して、正の供給電圧(V al )と、前記接地基準(gnd)を基準とする、負の供給電圧(V al )と、を生成するように構成されている、絶縁電源(24)を更に備え、前記絶縁電源(24)は、前記アース基準(earth)を基準とするとともに前記生成器(20)に結合されている一次側(24a)と、前記接地基準(gnd)を基準とするとともに前記演算増幅器(16)の前記電源端子に結合されている二次側(24b)と、を有するそれぞれの絶縁変圧器、を内部に含んでいる、態様4~6のいずれか一つに記載の電子装置。
[態様8]
各検出段(14)は、前記接地基準(gnd)を基準とするとともにそれぞれの前記演算増幅器(16)の前記出力に結合されている一次側(26a)と、前記アース基準(earth)を基準とするとともに前記それぞれの出力量(V out1 、V out2 、…、V outn )が供給されるそれぞれの出力(out 、out 、…、out )に結合されている二次側(26b)と、を有する出力変圧器(26)、を内部に更に備えている、態様4~7のいずれか一つに記載の電子装置。
[態様9]
前記電子回路(12)は、前記検出段(14)の各一つに対して、前記検出段(14)の前記出力(out 、out 、…、out )に結合されている集計ノードを有する、加算器構成における増幅器(43)と、前記集計ノードに結合され、それぞれの前記演算増幅器(16)の前記出力のゼロ値を設定するための、前記発振器電圧(V osc )と同じ振幅を有し、前記発振器電圧(V osc )と反対の位相のゼロ設定電圧(V )を供給する可変利得増幅器(46)と、を含んでいるそれぞれの前記演算増幅器(16)の前記出力に対するゼロ設定段(40)、を備えている、態様8に記載の電子装置。
[態様10]
前記検出段(14)の各一つは、前記接地基準(gnd)に電気的に接続され、演算増幅器(16)を、前記検出段(14)の外側から来る干渉から遮蔽するように設計されている遮蔽伝導体(G)、を更に備えている、態様2~9のいずれか一つに記載の電子装置。
[態様11]
前記カプセル(1)に面するように設計され、前記検出電極(S 、S 、…、S )が配置されている表面を有し、前記電子回路(12)を内部に格納するケーシング(10’)、を備えている、態様1~10のいずれか一つに記載の電子装置。
[態様12]
薬剤製品を含んでいるカプセル(1)の重量を検出するためのシステムであって、
前記カプセル(1)を保持するように設計されているカプセル保持要素(2)と、
前記カプセル(1)がその主延伸方向に分割されているセクタの重量を検出するために前記カプセル(1)に面するように配置されている、態様1~11のいずれか一つに記載の電子装置(10)と、
を備えているシステム。
[態様13]
前記セクタは、少なくとも、前記カプセル(1)のキャップセクタ(1b)と底部セクタ(1a)を備え、
前記電子装置(10)は、前記カプセル(1)の前記キャップセクタ(1b)の有無を示す標識を提供するように更に構成されている、
態様12に記載のシステム。
[態様14]
薬剤製品用のカプセル(1)の重量を検出するための方法であって、容量性技術により、前記カプセル(1)がその主延伸方向において分割される複数のセクタの重量を検出することを備え、該検出することは、
複数の検出電極(S 、S 、…、S )を、前記カプセル(1)の前記複数のセクタのそれぞれのセクタに面するように配置することであって、前記検出電極(S 、S 、…、S )の各一つが、前記カプセル(1)を保持するカプセル保持要素(2)によって画定される共通プレート(5b)を有するそれぞれの検出コンデンサ(C t1 、C t2 、…、C tn )を形成するように設計されている、配置することと、
独立且つ排他的に、前記それぞれの検出コンデンサ(C t1 、C t2 、…、C tn )の容量性変動(ΔC 、ΔC 、…、ΔC )の関数であり、前記カプセル(1)の前記それぞれのセクタの重量を示す、それぞれの出力量(V out1 、V out2 、…、V outn )を、複数の検出段(14)を含んでいる電子回路(12)によって、生成することであって、該検出段のそれぞれが、前記検出電極(S 、S 、…、S )のそれぞれ一つに動作可能に結合されている、生成することと、
を備える、方法。
[態様15]
発振器電圧(V osc )に基づく検出電圧において、接地基準(gnd)が、アース基準(earth)に対して浮遊して設定されるように、前記共通プレート(5b)が結合されているアース電位(earth)を基準とする前記発振器電圧V osc を生成する生成器(20)に関して、前記接地基準(gnd)を基準とする前記検出段(14)を電気的に絶縁すること、
を備えている、態様14に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10