(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
G06T 7/90 20170101AFI20231011BHJP
G06T 11/60 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
G06T7/90 C
G06T11/60 100E
(21)【出願番号】P 2019133786
(22)【出願日】2019-07-19
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】藁科 文和
(72)【発明者】
【氏名】高橋 悠太郎
(72)【発明者】
【氏名】傅 万峰
【審査官】小池 正彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-242877(JP,A)
【文献】特開2016-105574(JP,A)
【文献】特開2019-067365(JP,A)
【文献】特開2012-178866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/90
G06T 11/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー画像に含まれる色の内、特定の色を指定する画像処理装置であって、
第1グラフィック画面および第2グラフィック画面を作成するグラフィック画面作成部と、
表示部に前記第1グラフィック画面を表示させる第1表示モードと、前記表示部に前記第2グラフィック画面を表示させる第2表示モードとを切り替えるモード切替部と、
ユーザの入力操作に基づいて基準色を設定する基準色指定部と、を備え、
前記第1グラフィック画面および前記第2グラフィック画面の各々が、
色相および彩度の2次元色空間を表す円形のグラフィックであり、周方向の位置が色相を表し、中心からの径方向の距離が彩度を表すカラーホイールと、
明度の1次元色空間を表す帯状のグラフィックであり、長手方向の位置が明度を表す明度バーと、を含み、
前記第1グラフィック画面において、前記カラーホイール内の各位置は、その位置が表す色相および彩度で表示され、前記明度バー内の各位置は、その位置が表す明度で表示され、
前記第2グラフィック画面において、前記カラー画像に含まれる色の色相および彩度の前記2次元色空間における分布が前記カラーホイール上に重畳され、前記カラー画像に含まれる色の明度の前記1次元色空間における分布が前記明度バー上に重畳され、
前記グラフィック画面作成部が、前記第1グラフィック画面内の前記カラーホイール内の前記基準色の色相および彩度を表す位置に第1マークを付し、前記第1グラフィック画面内の前記明度バー内の前記基準色の明度を表す位置に第2マークを付す、画像処理装置。
【請求項2】
カラー画像に含まれる色の内、特定の色を指定する画像処理装置であって、
第1グラフィック画面および第2グラフィック画面を作成するグラフィック画面作成部と、
表示部に前記第1グラフィック画面を表示させる第1表示モードと、前記表示部に前記第2グラフィック画面を表示させる第2表示モードとを切り替えるモード切替部と、を備え、
前記第1グラフィック画面および前記第2グラフィック画面の各々が、
色相および彩度の2次元色空間を表す円形のグラフィックであり、周方向の位置が色相を表し、中心からの径方向の距離が彩度を表すカラーホイールと、
明度の1次元色空間を表す帯状のグラフィックであり、長手方向の位置が明度を表す明度バーと、を含み、
前記第1グラフィック画面において、前記カラーホイール内の各位置は、その位置が表す色相および彩度で表示され、前記明度バー内の各位置は、その位置が表す明度で表示され、
前記第2グラフィック画面において、
前記カラー画像に含まれる色の色相および彩度の前記2次元色空間における分布が前記カラーホイール上に重畳され、
該カラーホイール上の前記分布の各データ点は、そのデータ点の位置が表す色相および彩度の組み合わせの前記カラー画像内での出現頻度に応じた濃淡で表示され、
前記カラー画像に含まれる色の明度の前記1次元色空間における分布が前記明度バー上に重畳され
、該明度バー上の前記分布の各データ点は、そのデータ点の位置が表す明度の前記カラー画像内での出現頻度に応じた濃淡で表示される、画像処理装置。
【請求項3】
色相、彩度および明度の各々の範囲を設定する色範囲設定部と、
該色範囲設定部によって設定された範囲内の前記色相、彩度および明度を有する領域を前記カラー画像から抽出し、抽出された領域のみが表示された抽出画像を作成する領域抽出部と、を備える、請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1グラフィック画面および前記第2グラフィック画面の各々が、
前記カラーホイールの中心から径方向外方に延びる直線であり、前記色相の範囲を表す一対の第1の境界線と、
前記カラーホイールと同心の同心円であり、前記彩度の範囲を表す一対の第2の境界線と、
前記明度バーの幅方向に延びる直線であり、前記明度の範囲を表す一対の第3の境界線と、を含む、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記色範囲設定部が、ユーザの入力操作に基づいて前記色相、彩度および明度の各々の範囲を変更可能である、請求項3または請求項4に記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カラー画像に含まれる色の内、特定の色を指定するために、カラーホイールおよびバーのような色空間を表すグラフィックが使用されている(例えば、特許文献1から4参照。)。色は、3つの成分によって表現される。3つの成分として、特許文献1,4では色相、彩度および明度が用いられ、特許文献2,3では色相、彩度および輝度が用いられている。グラフィックの各位置は、その位置に対応する色で表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-242877号公報
【文献】特開2009-044683号公報
【文献】特開2012-157080号公報
【文献】特開2012-070298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カラーカメラによって取得されたカラー画像内の物体の色は、照明光の明るさの不均一さや物体自体の色の不均一さ等の影響により、必ずしも均一ではない。物体の色に個体差があることもある。したがって、指定された色に基づいてカラー画像から物体の領域を抽出する場合、物体の領域を正確に抽出するためには、ある程度の幅を有する色の範囲が指定される必要がある。しかし、色空間のグラフィックのみに基づいて抽出すべき色の範囲を適切にかつ容易に指定することは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、カラー画像に含まれる色の内、特定の色を指定する画像処理装置であって、第1グラフィック画面および第2グラフィック画面を作成するグラフィック画面作成部と、表示部に前記第1グラフィック画面を表示させる第1表示モードと、前記表示部に前記第2グラフィック画面を表示させる第2表示モードとを切り替えるモード切替部と、を備え、前記第1グラフィック画面および前記第2グラフィック画面の各々が、色相および彩度の2次元色空間を表す円形のグラフィックであり、周方向の位置が色相を表し、中心からの径方向の距離が彩度を表すカラーホイールと、明度の1次元色空間を表す帯状のグラフィックであり、長手方向の位置が明度を表す明度バーと、を含み、前記第1グラフィック画面において、前記カラーホイール内の各位置は、その位置が表す色相および彩度で表示され、前記明度バー内の各位置は、その位置が表す明度で表示され、前記第2グラフィック画面において、前記カラー画像に含まれる色の色相および彩度の前記2次元色空間における分布が前記カラーホイール上に重畳され、前記カラー画像に含まれる色の明度の前記1次元色空間における分布が前記明度バー上に重畳される、画像処理装置である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】表示部におけるカラー画像、抽出画像、およびグラフィック画面の表示の一例を示す図である。
【
図4】
図3のカラー画像から作成された抽出画像の一例を示す図である。
【
図5】第1表示モードにおいて表示される第1グラフィック画面の一例を示す図である。
【
図6】第2表示モードにおいて表示される第2グラフィック画面の一例を示す図である。
【
図7】第2表示モードにおいて表示される第2グラフィック画面の他の例を示す図である。
【
図8】
図3のカラー画像から作成された抽出画像の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、一実施形態に係る画像処理装置1について図面を参照して説明する。
画像処理装置1は、
図1に示されるように、カラーカメラ10および表示部20と接続され、カラーカメラ10からカラー画像Aを受信する。画像処理装置1は、
図2に示されるように、カラー画像Aと、カラー画像Aから作成された抽出画像Bと、2種類のグラフィック画面C1,C2の一方と、を表示部20に出力し表示させる。
【0008】
図3に示されるように、カラー画像Aは、例えば、色の異なる複数の物体D1,D2,D3,D4を含む。画像処理装置1は、ユーザの入力操作に基づいて、カラー画像Aに含まれる色の内、特定の色を指定し、
図4に示されるように、カラー画像Aから特定の色を有する領域D2’のみを抽出した抽出画像Bを作成する。
【0009】
図5および
図6に示されるように、第1グラフィック画面C1は、カラーホイールE1、明度バーF1、カラーホイールE1上に配置された境界線G1,G2,H1,H2、および明度バーF1上に配置された境界線I1,I2を含む。第2グラフィック画面C2は、カラーホイールE2、明度バーF2、カラーホイールE2上に配置された境界線G1,G2,H1,H2、および明度バーF2上に配置された境界線I1,I2を含む。グラフィック画面C1,C2は、後述するように、画像処理装置1内のグラフィック画面作成部6によって作成される。
【0010】
カラーホイールE1,E2は、色相および彩度の2次元色空間を表す円形のグラフィックである。色相は、カラーホイールE1,E2の中心回りの周方向に漸次変化する。彩度は、カラーホイールE1,E2の中心から径方向外方に向かって漸次高くなり、カラーホイールE1,E2の中心が白である。カラーホイールE1,E2の周方向の位置は、色相を表し、カラーホイールE1,E2の中心からの径方向の距離は、彩度を表す。
明度バーF1,F2は、明度の1次元色空間を表す帯状のグラフィックである。明度は、明度バーF1,F2の長手方向に漸次変化する。明度バーF1,F2の長手方向の位置は、明度を表す。
【0011】
一対の境界線(第1の境界線)G1,G2は、色相の範囲を表す線であり、カラーホイールE1,E2の中心から径方向外方に延びる直線である。
一対の境界線(第2の境界線)H1,H2は、彩度の範囲を表す線であり、カラーホイールE1,E2と同心の同心円である。
一対の境界線(第3の境界線)I1,I2は、明度の範囲を表す線であり、明度バーF1,F2の幅方向に延びる直線である。
【0012】
画像処理装置1は、
図1に示されるように、受信部2と、基準色指定部3と、色範囲設定部4と、領域抽出部5と、グラフィック画面作成部6と、モード切替部7とを備える。
一例において、画像処理装置1は、コンピュータである。すなわち、画像処理装置1は、中央演算処理装置のようなプロセッサと、RAM、ROMおよびその他の記憶装置を有する記憶部とを備える。また、画像処理装置1は、ユーザが画像処理装置1への入力操作を行うための入力部として、マウス、キーボードおよびタッチパネル等の入力デバイスを備える。記憶部には、画像処理プログラムが格納されている。プロセッサが画像処理プログラムに従って処理を実行することによって、各部3,4,5,6,7の後述する機能が実現される。
【0013】
受信部2は、カラーカメラ10から有線または無線によってカラー画像Aを受信する。カラー画像Aは、受信部2から領域抽出部5およびグラフィック画面作成部6に送信される。また、カラー画像Aは、画像処理装置1内を経由して表示部20に出力される。
【0014】
基準色指定部3は、画像処理装置1へのユーザの入力操作に基づき、カラー画像Aから領域を抽出する際の基準となる基準色を設定する。
例えば、ユーザの入力操作は、
図3に示されるように、マウス等の入力デバイスを使用して、表示部20に表示されたカラー画像Aから矩形の範囲Jを選択する操作である。矩形の範囲Jには、色相、彩度および明度が異なる複数の色が含まれ得る。基準色指定部3は、矩形の範囲J内に含まれる色の平均色を基準色に設定する。あるいは、基準色指定部3は、矩形の範囲J内に含まれる色の内、最も出現頻度の高い色を基準色に設定する等、他の手法に基づいて基準色を設定してもよい。ユーザは、所望の色の領域を囲む矩形の範囲Jをカラー画像Aから選択することによって、所望の色を基準色に指定することができる。
【0015】
基準色の設定のためのユーザの入力操作は、キーボード等の入力デバイスを使用して、基準色の色相、彩度および明度の数値を画像処理装置1に入力する操作であってもよい。例えば、
図5および
図6に示されるように、各グラフィック画面C1,C2が、基準色の色相(色合い)、鮮やかさ(彩度)および明るさ(明度)の数値を表示する領域Kを含む。ユーザは、所望の色の色相、彩度および明度の数値を領域Kに入力することによって、所望の色を基準色に指定することができる。
【0016】
色範囲設定部4は、基準色指定部3によって設定された基準色に基づき、基準色を含む色範囲を設定する。すなわち、色範囲設定部4は、基準色の色相、彩度および明度をそれぞれ含む色相、彩度および明度の範囲を設定する。
例えば、色相の範囲の幅、彩度の範囲の幅および明度の範囲の幅が、初期設定されている。色範囲設定部4は、基準色の色相を中心とし、初期設定された幅を有する色相の範囲を設定し、基準色の彩度を中心とし、初期設定された幅を有する彩度の範囲を設定し、基準色の明度を中心とし、初期設定された幅を有する明度の範囲を設定する。
【0017】
色範囲設定部4は、画像処理装置1へのユーザの入力操作に基づき、色相、彩度および明度の各々の範囲を変更する。後述すように、色範囲設定部4によって設定された範囲に従って、表示部20に表示されるグラフィック画面C1,C2上に境界線G1,G2,H1,H2,I1,I2が重畳される。例えば、ユーザの入力操作は、マウスを使用して、表示部20に表示されたグラフィック画面C1またはC2上で境界線G1,G2,H1,H2,I1,I2を任意の位置にドラッグする操作である。色範囲設定部4は、色相、彩度および明度の範囲を、境界線G1,G2,H1,H2,I1,I2のドラッグ後の位置に応じて変更する。
【0018】
色相、彩度および明度の範囲の変更のためのユーザの入力操作は、キーボード等の入力デバイスを使用して、色相、彩度および明度の各々の範囲を画像処理装置1に入力する操作であってもよい。例えば、
図5および
図6に示されるように、各グラフィック画面C1,C2が、色相、彩度および明度の各々の範囲の幅を表示する領域Lを含む。ユーザは、所望の幅を領域Lに入力することによって、色相、彩度および明度の範囲を変更することができる。
【0019】
領域抽出部5は、色範囲設定部4によって設定された色範囲に基づきカラー画像Aから抽出画像Bを作成する。具体的には、領域抽出部5は、色範囲設定部4によって設定された色相、彩度および明度の範囲内の色相、彩度および明度を有する領域D2’をカラー画像Aから抽出し、抽出された領域D2’のみが表示された抽出画像Bを作成する。例えば、
図4に示されるように、抽出画像Bは、背景が黒色で表示され、抽出領域D2’のみが白色で表示された白黒画像である。抽出画像Bは、領域抽出部5から表示部20に送信され、表示部20に表示される。
【0020】
ユーザによって色相、彩度および明度の範囲が変更されると、領域抽出部5によってカラー画像Aから抽出される領域も変更される。ユーザは、表示部20に表示される抽出画像Bを観察しながら、色相、彩度および明度の範囲を変更することによって、所望の物体D2の全体が抽出される色相、彩度および明度の各々の範囲を直感的にかつ容易に特定することができる。
【0021】
グラフィック画面作成部6は、基準色をユーザに提示する第1グラフィック画面C1と、カラー画像Aに含まれる色の色空間における分布をユーザに提示する第2グラフィック画面C2とを作成する。グラフィック画面C1,C2は、グラフィック画面作成部6からモード切替部7を経由して表示部20に出力され表示される。後述するように、モード切替部7において、グラフィック画面C1,C2の一方のみが選択され、選択されたグラフィック画面C1またはC2のみが表示部20に出力される。
【0022】
前述したように、第1グラフィック画面C1は、カラーホイールE1および明度バーF1を含む。
カラーホイールE1上の各位置は、その位置が表す色相および彩度で表示される。したがって、カラーホイールE1は、周方向に色相が漸次変化し、径方向に彩度が漸次変化するカラフルなグラフィックである。明度バーF1上の各位置は、その位置が表す明度で表示される。
【0023】
グラフィック画面作成部6は、基準色指定部3によって設定された基準色を表すマークM1,M2をカラーホイールE1および明度バーF1に付す。具体的には、グラフィック画面作成部6は、カラーホイールE1内の基準色の色相および彩度を表す位置に、第1マークM1を付す。マークM1は、例えば、白い十字線である。また、グラフィック画面作成部6は、明度バーF2内の基準色の明度を表す位置に第2マークM2を付す。マークM2は、例えば、矢印である。
【0024】
前述したように、第2グラフィック画面C2は、カラーホイールE2および明度バーF2を含む。カラーホイールE2は、均一な色、例えば黒色で表示される。
グラフィック画面作成部6は、カラー画像Aに含まれる色の色相および彩度の2次元色空間における分布を作成し、分布をカラーホイールE2上に重畳する。分布は、多数のデータ点からなる散布図であり、1個のデータ点が、1組の色相および彩度を表す。
図3のカラー画像Aの場合、カラー画像Aに含まれる色は、背景および4つの物体D1,D2,D3,D4に対応する5つの色に大まかに分類される。したがって、カラーホイールE2内の5つの領域に、データ点のクラスタが形成される。
図6において、クラスタは、カラーホイールE2内の白い領域として表現されている。
また、グラフィック画面作成部6は、カラー画像Aに含まれる色の明度の1次元色空間における分布を作成し、分布を明度バーF2上に重畳する。分布は、多数のデータ点からなる散布図であり、1個のデータ点が、1つの明度を表す。
【0025】
データ点は、カラーホイールE2の色とは異なる色で表示される。例えば、カラーホイールE2が黒色である場合、データ点は白色で表現される。
カラーホイールE2上の各データ点は、そのデータ点の位置が表す色相および彩度の組み合わせのカラー画像A内での出現頻度に応じた濃淡で表示されてもよい。同様に、明度バーF2上の各データ点は、そのデータ点の位置が表す明度のカラー画像A内での出現頻度に応じた濃淡で表示されてもよい。例えば、データ点の色は、グレースケールで表示される。データ点の色が白に近い程、そのデータ点の位置が表す色相および彩度の組み合わせまたは明度の出現頻度が高いことを表し、データ点の色が黒に近い程、そのデータ点の位置が表す色相および彩度の組み合わせまたは明度の出現頻度が低いことを表す。
【0026】
第2グラフィック画面C2は、カラーホイールE2の外周に輪帯状の色相領域E3をさらに有していてもよい。色相領域E3は、カラーホイールE1,E2と同様に、周方向に色相が漸次変化する色相の色空間を表すグラフィックである。色相領域E3内の各位置は、その位置が表す色相で表示される。すなわち、色相領域E3は、カラーホイールE1と同様に、周方向に色が漸次変化するカラフルなグラフィックである。
【0027】
また、グラフィック画面作成部6は、色範囲設定部4によって設定された色範囲に基づき、境界線G1,G2,H1,H2,I1,I2をカラーホイールE1,E2および明度バーF1,F2に重畳する。具体的には、グラフィック画面作成部6は、各カラーホイールE1,E2内の色相の範囲の境界に一対の境界線G1,G2を重畳し、各カラーホイールE1,E2内の彩度の範囲の境界に一対の境界線H1,H2を重畳し、各明度バーF1,F2内の明度の範囲の境界に一対の境界線I1,I2を重畳する。グラフィック画面作成部6は、上述した色相、彩度および明度の範囲を変更するユーザの入力操作に応答し、各境界線G1,G2,H1,H2,I1,I2の位置を変更する。
【0028】
モード切替部7は、画像処理装置1へのユーザの入力操作に基づき、第1表示モードおよび第2表示モードを切り替える。例えば、各グラフィック画面C1,C2は、表示モードをユーザが選択するためのモード選択欄Nを含む。ユーザの入力操作は、モード選択欄Nに表示されるプルダウンメニューの中から、マウス等の入力デバイスを使用して第1表示モードおよび第2表示モードのいずれか一方を選択する操作である。モード切替部7は、第1表示モードが選択されているとき、第1グラフィック画面C1を選択し、第1グラフィック画面C1を表示部20に表示させる。一方、モード切替部7は、第2表示モードが選択されているとき、第2グラフィック画面C2を選択し、第2グラフィック画面C2を表示部20に表示させる。
【0029】
次に、画像処理装置1の作用について説明する。
カラーカメラ10によって取得されたカラー画像Aは、画像処理装置1を経由して表示部20に表示される。初期状態において、モード切替部7によって第1表示モードが選択され、表示部20には、カラー画像Aと共に第1グラフィック画面C1が表示される。
【0030】
ユーザは、表示部20に表示されたカラー画像Aに基づいて、カラー画像Aから所望の物体D2を抽出するための基準色を指定する入力操作を行う。例えば、ユーザは、第1グラフィック画面C1内の「設定ボタン」をマウスを使用してクリックすることによって入力操作を有効にし、入力デバイスを使用して基準色を指定する入力操作を行う。例えば、ユーザは、マウスを使用して、カラー画像A内の抽出対象の物体D2の一部分を囲む矩形の範囲Jをカラー画像A上に設定することによって、カラー画像A内の抽出対象の物体D2から矩形の範囲Jを選択する。
【0031】
ユーザの入力操作に基づいて、例えば、選択された矩形の範囲J内に含まれる色に基づいて、基準色指定部3によって基準色が設定される。また、設定された基準色の色相、彩度および明度をそれぞれ含む色相、彩度および明度の範囲が、色範囲設定部4によって自動的に設定される。
【0032】
基準色および範囲の設定後、第1グラフィック画面C1内のカラーホイールE1および明度バーF1に、グラフィック画面作成部6によってマークM1,M2および境界線G1,G2,H1,H2,I1,I2が付される。そして、マークM1,M2および境界線G1,G2,H1,H2,I1,I2付きの第1グラフィック画面C1が表示部20に表示される。また、領域抽出部5によって、物体D2のみが抽出された抽出画像Bがカラー画像Aから作成され、抽出画像Bが表示部20に表示される。また、グラフィック画面作成部6によって、色相および彩度の分布と明度の分布とが作成され、第2グラフィック画面C2内のカラーホイールE2および明度バーF2上に分布が重畳される。
【0033】
ユーザは、入力デバイスを使用して、第1表示モードと第2表示モードとを切り替える入力操作を行う。これにより、モード切替部7によって、表示部20に表示される第1グラフィック画面C1と第2グラフィック画面C2とが切り替えられる。
ユーザは、第1表示モードを選択することによって、自身が指定した基準色をカラーホイールE1上で参照することができ、基準色を直感的に確認することができる。また、ユーザは、第2表示モードを選択することによって、カラー画像A内の抽出対象の物体D2の色が、設定されている色の範囲内に適切に含まれているか否かを直感的に容易に確認することができ、さらに、色の範囲を直感的に調整することができる。
【0034】
具体的には、ユーザは、カラーホイールE1および明度バーF1上のマークM1,M2の位置に基づき、基準色の色相、彩度および明度を確認することができる。
また、ユーザは、カラーホイールE1および明度バーF1上のマークM1,M2の位置に基づき、カラーホイールE2および明度バーF2上の分布の内、基準色が属するクラスタを特定することができる。そして、ユーザは、基準色が属するクラスタのデータ点の分布と境界線G1,G2,H1,H2,I1,I2との位置関係に基づき、現在設定されている色相、彩度および明度の範囲がそれぞれ、抽出対象の物体D2の色相、彩度および明度を全て含む否かを確認することができる。
【0035】
また、ユーザは、表示部20に表示されている抽出画像Bに基づき、抽出対象の物体D2がカラー画像Aから適切に抽出されているか否かを確認することができる。抽出対象の物体D2が適切に抽出されていない場合、ユーザは、第2グラフィック画面C2において、分布に応じて境界線G1、G2、H1、H2、I1またはI2を移動させることによって、色相、彩度または明度の範囲を変更する。色相、彩度または明度の範囲の変更によって、表示部20に表示される抽出画像Bが更新される。ユーザは、適切な抽出画像Bが作成されるまで、色相、彩度または明度の範囲の変更と抽出画像Bの確認とを繰り返す。
データ点が色の出現頻度に応じた濃淡で表示されている場合、出現頻度の高い色が範囲内に含まれるように境界線G1,G2,H1,H2,I1,I2の位置を調整することによって、色の範囲をさらに容易に調整することができる。
【0036】
例えば、カラー画像A内に茶色の物体D1および橙色の物体D2が含まれ、抽出対象の物体が橙色の物体D2である場合、
図7に示されるように境界線G1,G2によって挟まれる色相の範囲が広過ぎると、
図8に示されるように、橙色の物体D2の領域D2’のみならず茶色の物体D1の領域D1’も抽出される。このように、色相、彩度および明度の範囲が適切であるか否かを、第2グラフィック画面C2と抽出画像Bとの比較によって直感的にかつ容易に確認することができる。
また、本実施形態によれば、別のカラー画像についても、第2表示モードで色の分布を確認することによって、色の設定範囲が適切であるか否かを確認することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 画像処理装置
3 基準色指定部
4 色範囲設定部
5 領域抽出部
6 グラフィック画面作成部
7 モード切替部
20 表示部
A カラー画像
B 抽出画像
C1 第1グラフィック画面
C2 第2グラフィック画面
E1,E2 カラーホイール
E3 色相領域
F1,F2 明度バー
G1,G2 第1の境界線
H1,H2 第2の境界線
I1,I2 第3の境界線
M1,M2 マーク