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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】プリント配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/18 20060101AFI20231011BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20231011BHJP
   H05K 3/42 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
H05K3/18 A
H05K3/18 G
H05K3/00 N
H05K3/42 630Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019134065
(22)【出願日】2019-07-19
(65)【公開番号】P2021019097
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】597079681
【氏名又は名称】株式会社 大昌電子
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(72)【発明者】
【氏名】三品 要一
(72)【発明者】
【氏名】高野 恭孝
(72)【発明者】
【氏名】川島 修
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/081853(WO,A1)
【文献】特開2011-049341(JP,A)
【文献】特開2015-097251(JP,A)
【文献】特開2014-003054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/18
H05K 3/00
H05K 1/11
H05K 3/40
H05K 3/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配線層上に絶縁層を形成する工程と、
前記第1配線上に絶縁層とプライマー層がこの順に積層された積層構造を形成する工程と、
前記プライマー層における前記第1配線層の接続部に対応する位置に貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔を介して前記絶縁層に、前記貫通孔に連通し、前記貫通孔よりも大径であり、かつ、前記第1配線層を露出させるビアホールを形成する工程と、
記貫通孔の内面および前記ビアホールの内面にシード層を形成する工程と、
前記プライマー層上に、第2配線層が配置される部分に前記第2配線層の形状に相当する第1の開口部を有するめっきレジストを形成する工程と、
前記ビアホール内から前記めっきレジストの第1の開口部に至る金属めっき層を形成する工程と、
前記めっきレジストを除去する工程と、
前記第2配線層よりも側方に突出している前記シード層をエッチングする工程と、を有することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
第1配線層上に絶縁層を形成する工程と、
前記第1配線上に絶縁層とプライマー層と金属層とがこの順に積層された積層構造を形成する工程と、
前記金属層をポイントエッチングした後、前記プライマー層をレーザーで加工することにより、前記第1配線層の接続部に対応する位置に貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔を介して前記絶縁層を等方性エッチングし、前記絶縁層に、前記貫通孔に連通し、前記貫通孔よりも大径であり、かつ、前記第1配線層を露出させるビアホールを形成する工程と、
前記絶縁層を完全硬化させる工程と、
前記金属層の表面、前記貫通孔の内面および前記ビアホールの内面に、無電解めっきにより、シード層を形成する工程と、
前記シード層を介して前記金属層上に、第2配線層が配置される部分に前記第2配線層の形状に相当する第1の開口部を有するめっきレジストを形成する工程と、
前記シード層をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、前記ビアホール内から前記めっきレジストの第1の開口部に至る金属めっき層を形成する工程と、
前記めっきレジストを除去する工程と、
前記第2配線層よりも側方に突出している前記シード層および前記金属層をエッチングする工程と、を有することを特徴とする請求項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項3】
第1配線層上に絶縁層を形成する工程と、
前記第1配線上に絶縁層とプライマー層と金属層とがこの順に積層された積層構造を形成する工程と、
前記絶縁層を完全硬化させる工程と、
前記金属層をポイントエッチングまたはレーザーで加工することにより、前記第1配線層の接続部に対応する位置に貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔を介して前記プライマー層および前記絶縁層をレーザーで加工することにより、前記絶縁層に、前記貫通孔に連通し、前記貫通孔よりも大径であり、かつ、前記第1配線層を露出させるビアホールを形成する工程と、
前記金属層の表面、前記貫通孔の内面および前記ビアホールの内面に、無電解めっきにより、シード層を形成する工程と、
前記シード層を介して前記金属層上に、第2配線層が配置される部分に前記第2配線層の形状に相当する第1の開口部を有するめっきレジストを形成する工程と、
前記シード層をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、前記ビアホール内から前記めっきレジストの第1の開口部に至る金属めっき層を形成する工程と、
前記めっきレジストを除去する工程と、
前記第2配線層よりも側方に突出している前記シード層および前記金属層をエッチングする工程と、を有することを特徴とする請求項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項4】
前記シード層を介して前記金属層上における前記第2配線層の間に第3配線層の形状に相当する第2の開口部を有するめっきレジストを形成する工程と、
前記シード層をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、前記めっきレジストの第2の開口部内に金属めっき層を形成する工程と、
前記めっきレジストを除去する工程と、
前記第3配線層よりも側方に突出している前記シード層および前記金属層をエッチングする工程と、を有することを特徴とする請求項またはに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
第1配線層上に絶縁層を形成する工程と、
前記第1配線上に絶縁層とプライマー層と金属層とがこの順に積層された積層構造を形成する工程と、
前記金属層をポイントエッチングした後、前記プライマー層をレーザーで加工することにより、前記第1配線層の接続部に対応する位置に貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔を介して前記絶縁層を等方性エッチングし、前記絶縁層に、前記貫通孔に連通し、前記貫通孔よりも大径であり、かつ、前記第1配線層を露出させるビアホールを形成する工程と、
前記絶縁層を完全硬化させる工程と、
前記金属層をエッチングする工程と、
前記プライマー層の表面、前記貫通孔の内面および前記ビアホールの内面に、無電解めっきにより、シード層を形成する工程と、
前記シード層を介して前記プライマー層上に、第2配線層が配置される部分に前記第2配線層の形状に相当する第1の開口部を有するめっきレジストを形成する工程と、
前記シード層をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、前記ビアホール内から前記めっきレジストの第1の開口部に至る金属めっき層を形成する工程と、
前記めっきレジストを除去する工程と、
前記第2配線層よりも側方に突出している前記シード層をエッチングする工程と、を有することを特徴とする請求項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
第1配線層上に絶縁層を形成する工程と、
前記第1配線上に絶縁層とプライマー層と金属層とがこの順に積層された積層構造を形成する工程と、
前記絶縁層を完全硬化させる工程と、
前記金属層をポイントエッチングまたはレーザーで加工することにより、前記第1配線層の接続部に対応する位置に貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔を介して前記プライマー層および前記絶縁層をレーザーで加工することにより、前記絶縁層に、前記貫通孔に連通し、前記貫通孔よりも大径であり、かつ、前記第1配線層を露出させるビアホールを形成する工程と、
前記金属層をエッチングする工程と、
前記プライマー層の表面、前記貫通孔の内面および前記ビアホールの内面に、無電解めっきにより、シード層を形成する工程と、
前記シード層を介して前記プライマー層上に、第2配線層が配置される部分に前記第2配線層の形状に相当する第1の開口部を有するめっきレジストを形成する工程と、
前記シード層をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、前記ビアホール内から前記めっきレジストの第1の開口部に至る金属めっき層を形成する工程と、
前記めっきレジストを除去する工程と、
前記第2配線層よりも側方に突出している前記シード層をエッチングする工程と、を有することを特徴とする請求項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
前記シード層を介して前記金属層上における前記第2配線層の間に第3配線層の形状に相当する第2の開口部を有するめっきレジストを形成する工程と、
前記シード層をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、前記めっきレジストの第2の開口部内に金属めっき層を形成する工程と、
前記めっきレジストを除去する工程と、
前記第3配線層よりも側方に突出している前記シード層をエッチングする工程と、を有することを特徴とする請求項またはに記載のプリント配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリント配線板には、高密度化、低背化が求められている。特に高密度化を実現するためには、ビア間の領域により多くの配線を配置する必要がある。従来、配線の本数を増やすために、配線の微細化への取り組みが行なっている。しかしながら、配線の微細化は、設備や部材等に依存することから、コストやプロセス難度が高くなる一方であり、対応が難しくなっている。
【0003】
また、従来のプリント配線板では、ビアやランドの加工時における位置合わせ精度を考慮して、ランドがビア径よりも大きく形成されている。そのため、従来のプリント配線板において、ランド径を小さくするためには、ビア径を小さくする必要がある。ビア径を小さくすることは、配線の微細化と同様に、コストやプロセス難度が高くなる一方であり、対応が難しくなっている。
【0004】
そこで、さらにプリント配線板を高密度化するために、配線の微細化や、ビアの小径化とは異なる解決手段として、ランドレス構造が検討されている。
ランドレス構造としては、例えば、ビア(ビア導体)に接続される上下の配線層の接続部のうち、いずれか一方の接続部をビアより大きなランドとして形成し、他方の接続部をビアと同一径またはそれより小さい径のランドレス配線部として形成する配線構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-103435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の配線構造は、配線形成時のエッチングにおいて、ビアホールとビア導体の界面にエッチング液が浸入し、その界面において、ビアホールとビア導体が劣化することがあった。また、特許文献1の配線構造は、低背化するために絶縁層の厚さが薄くなると、外部応力によりビアホールの内壁面に亀裂が入り易くなることがあった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ビアホールとビア導体の界面における劣化を抑制すると共に、外部応力によりビアホールの内壁面に亀裂が入ることを抑制するプリント配線板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の態様を有する
[1]第1配線層上に絶縁層を形成する工程と、前記第1配線上に絶縁層とプライマー層がこの順に積層された積層構造を形成する工程と、前記プライマー層における前記第1配線層の接続部に対応する位置に貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔を介して前記絶縁層に、前記貫通孔に連通し、前記貫通孔よりも大径であり、かつ、前記第1配線層を露出させるビアホールを形成する工程と、記貫通孔の内面および前記ビアホールの内面にシード層を形成する工程と、前記プライマー層上に、第2配線層が配置される部分に前記第2配線層の形状に相当する第1の開口部を有するめっきレジストを形成する工程と、前記ビアホール内から前記めっきレジストの第1の開口部に至る金属めっき層を形成する工程と、前記めっきレジストを除去する工程と、前記第2配線層よりも側方に突出している前記シード層をエッチングする工程と、を有することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
]第1配線層上に絶縁層を形成する工程と、前記第1配線上に絶縁層とプライマー層と金属層とがこの順に積層された積層構造を形成する工程と、前記金属層をポイントエッチングした後、前記プライマー層をレーザーで加工することにより、前記第1配線層の接続部に対応する位置に貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔を介して前記絶縁層を等方性エッチングし、前記絶縁層に、前記貫通孔に連通し、前記貫通孔よりも大径であり、かつ、前記第1配線層を露出させるビアホールを形成する工程と、前記絶縁層を完全硬化させる工程と、前記金属層の表面、前記貫通孔の内面および前記ビアホールの内面に、無電解めっきにより、シード層を形成する工程と、前記シード層を介して前記金属層上に、第2配線層が配置される部分に前記第2配線層の形状に相当する第1の開口部を有するめっきレジストを形成する工程と、前記シード層をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、前記ビアホール内から前記めっきレジストの第1の開口部に至る金属めっき層を形成する工程と、前記めっきレジストを除去する工程と、前記第2配線層よりも側方に突出している前記シード層および前記金属層をエッチングする工程と、を有する[]に記載のプリント配線板の製造方法。
]第1配線層上に絶縁層を形成する工程と、前記第1配線上に絶縁層とプライマー層と金属層とがこの順に積層された積層構造を形成する工程と、前記絶縁層を完全硬化させる工程と、前記金属層をポイントエッチングまたはレーザーで加工することにより、前記第1配線層の接続部に対応する位置に貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔を介して前記プライマー層および前記絶縁層をレーザーで加工することにより、前記絶縁層に、前記貫通孔に連通し、前記貫通孔よりも大径であり、かつ、前記第1配線層を露出させるビアホールを形成する工程と、前記金属層の表面、前記貫通孔の内面および前記ビアホールの内面に、無電解めっきにより、シード層を形成する工程と、前記シード層を介して前記金属層上に、第2配線層が配置される部分に前記第2配線層の形状に相当する第1の開口部を有するめっきレジストを形成する工程と、前記シード層をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、前記ビアホール内から前記めっきレジストの第1の開口部に至る金属めっき層を形成する工程と、前記めっきレジストを除去する工程と、前記第2配線層よりも側方に突出している前記シード層および前記金属層をエッチングする工程と、を有する[]に記載のプリント配線板の製造方法。
]前記シード層を介して前記金属層上における前記第2配線層の間に第3配線層の形状に相当する第2の開口部を有するめっきレジストを形成する工程と、前記シード層をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、前記めっきレジストの第2の開口部内に金属めっき層を形成する工程と、前記めっきレジストを除去する工程と、前記第3配線層よりも側方に突出している前記シード層および前記金属層をエッチングする工程と、を有する[]または[]に記載のプリント配線板の製造方法。
]第1配線層上に絶縁層を形成する工程と、前記第1配線上に絶縁層とプライマー層と金属層とがこの順に積層された積層構造を形成する工程と、前記金属層をポイントエッチングした後、前記プライマー層をレーザーで加工することにより、前記第1配線層の接続部に対応する位置に貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔を介して前記絶縁層を等方性エッチングし、前記絶縁層に、前記貫通孔に連通し、前記貫通孔よりも大径であり、かつ、前記第1配線層を露出させるビアホールを形成する工程と、前記絶縁層を完全硬化させる工程と、前記金属層をエッチングする工程と、前記プライマー層の表面、前記貫通孔の内面および前記ビアホールの内面に、無電解めっきにより、シード層を形成する工程と、前記シード層を介して前記プライマー層上に、第2配線層が配置される部分に前記第2配線層の形状に相当する第1の開口部を有するめっきレジストを形成する工程と、前記シード層をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、前記ビアホール内から前記めっきレジストの第1の開口部に至る金属めっき層を形成する工程と、前記めっきレジストを除去する工程と、前記第2配線層よりも側方に突出している前記シード層をエッチングする工程と、を有する[]に記載のプリント配線板の製造方法。
]第1配線層上に絶縁層を形成する工程と、前記第1配線上に絶縁層とプライマー層と金属層とがこの順に積層された積層構造を形成する工程と、前記絶縁層を完全硬化させる工程と、前記金属層をポイントエッチングまたはレーザーで加工することにより、前記第1配線層の接続部に対応する位置に貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔を介して前記プライマー層および前記絶縁層をレーザーで加工することにより、前記絶縁層に、前記貫通孔に連通し、前記貫通孔よりも大径であり、かつ、前記第1配線層を露出させるビアホールを形成する工程と、前記金属層をエッチングする工程と、前記プライマー層の表面、前記貫通孔の内面および前記ビアホールの内面に、無電解めっきにより、シード層を形成する工程と、前記シード層を介して前記プライマー層上に、第2配線層が配置される部分に前記第2配線層の形状に相当する第1の開口部を有するめっきレジストを形成する工程と、前記シード層をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、前記ビアホール内から前記めっきレジストの第1の開口部に至る金属めっき層を形成する工程と、前記めっきレジストを除去する工程と、前記第2配線層よりも側方に突出している前記シード層をエッチングする工程と、を有する[]に記載のプリント配線板の製造方法。
]前記シード層を介して前記金属層上における前記第2配線層の間に第3配線層の形状に相当する第2の開口部を有するめっきレジストを形成する工程と、前記シード層をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、前記めっきレジストの第2の開口部内に金属めっき層を形成する工程と、前記めっきレジストを除去する工程と、前記第3配線層よりも側方に突出している前記シード層をエッチングする工程と、を有する[]または[]に記載のプリント配線板の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ビアホールとビア導体の界面における劣化を抑制すると共に、外部応力によりビアホールの内壁面に亀裂が入ることを抑制するプリント配線板およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明を適用した一実施形態であるプリント配線板の概略構成を示す平面図である。
図2】本発明を適用した第1の実施形態のプリント配線板の概略構成を示し、図1におけるA-A線に沿う断面図である。
図3】本発明を適用した第1の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図4】本発明を適用した第1の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図5】本発明を適用した第1の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図6】本発明を適用した第1の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図7】本発明を適用した第1の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図8】本発明を適用した第1の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図9】本発明を適用した第2の実施形態のプリント配線板の概略構成を示し、図1におけるA-A線に沿う断面図である。
図10】本発明を適用した第2の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図11】本発明を適用した第2の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図12】本発明を適用した第2の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図13】本発明を適用した第2の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図14】本発明を適用した第2の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図15】本発明を適用した第2の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図16】本発明を適用した第3の実施形態のプリント配線板の概略構成を示し、図1におけるA-A線に沿う断面図である。
図17】本発明を適用した第3の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図18】本発明を適用した第3の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図19】本発明を適用した第3の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図20】本発明を適用した第3の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図21】本発明を適用した第3の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図22】本発明を適用した第3の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図23】本発明を適用した第3の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図24】本発明を適用した第4の実施形態のプリント配線板の概略構成を示し、図1におけるA-A線に沿う断面図である。
図25】本発明を適用した第4の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図26】本発明を適用した第4の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図27】本発明を適用した第4の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図28】本発明を適用した第4の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図29】本発明を適用した第4の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図30】本発明を適用した第4の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図31】本発明を適用した第4の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のプリント配線板およびその製造方法の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0012】
(1)第1の実施形態
[プリント配線板]
以下、図1および図2を参照して、本実施形態のプリント配線板を説明する。
【0013】
図1は、本実施形態のプリント配線板の概略構成を示す平面図である。図2は、図1におけるA-A線に沿う断面図である。
本実施形態のプリント配線板1は、第1配線層10と、絶縁層20と、ビア導体30と、第2配線層40と、プライマー層50と、を備える。また、本実施形態のプリント配線板1は、第3配線層60を備えていてもよい。
【0014】
第1配線層10は、例えば、絶縁基板200上、すなわち、絶縁基板200の一面(上面)200aに形成されている。なお、絶縁基板200の他面(下面)200bにも第1配線層10が形成されていてもよい。
【0015】
絶縁層20は、第1配線層10上および絶縁基板200上に形成されている。
【0016】
ビア導体30は、絶縁層20の厚さ方向に貫通して充填され、第1配線層10に接続されている。詳細には、ビア導体30は、絶縁層20の厚さ方向に貫通し、第1配線層を露出させるようにして形成されたビアホール70内に、シード層80を介して充填された金属めっき層90で形成されている。また、ビア導体30は、第1配線層10のランド(接続部)L1に接続されている。
【0017】
第2配線層40は、ビア導体30上に形成され、ビア導体30に接続されている。詳細には、第2配線層40は、絶縁層20上に形成されたプライマー層50および金属層100を厚さ方向に貫通する貫通孔110内に、シード層80を介して充填された金属めっき層90で形成された貫通導体120を介して、ビア導体30に接続されている。なお、貫通導体120は第2配線層40の一部であり、第2配線層40におけるビア導体30との接続部である。また、貫通孔110とビアホール70は連通している。
【0018】
第2配線層40におけるビア導体30との接続部(貫通導体120)の径は、ビア導体30の第2配線層40側の径よりも小さくなっている。言い換えれば、図2に示すように、第2配線層40とビア導体30を接続する貫通導体120の径dは、ビア導体30における貫通導体120と接する面の径Dよりも小さくなっている。
【0019】
プライマー層50は、絶縁層20上に形成されている。プライマー層50は、ビア導体30の周辺部を覆い、かつ、第2配線層40の接続部(貫通導体120)まで延在している。言い換えれば、図2に示すように、プライマー層50は、絶縁層20上およびビア導体30における貫通導体120と接する面の周辺部上に形成されている。さらに、本実施形態のプリント配線板1では、図2に示すように、プライマー層50が、ビア導体30と第2配線層40との間に介在している。なお、図2では、ビア導体30と第2配線層40との間には、プライマー層50と金属層100が介在している。
【0020】
第3配線層60は、第2配線層40の間のプライマー層50上に形成されていてもよい。なお、図2では、第3配線層60とプライマー層50との間には、シード層80と金属層100が介在している。
【0021】
第1配線層10の材質は、特に限定されないが、例えば、銅が挙げられる。
【0022】
第1配線層10の厚さ(プリント配線板1の厚さ方向の長さ)は、特に限定されず、プリント配線板1に要求される導電性等に応じて適宜調整される。
【0023】
絶縁層20の材質は、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂とシアネート樹脂およびシリカからなる絶縁樹脂やエポキシ樹脂とシリカまたはガラスクロスからなる絶縁樹脂が挙げられる。
【0024】
絶縁層20の厚さ(プリント配線板1の厚さ方向の長さ)は、特に限定されず、絶縁層20に要求される絶縁性に応じて適宜調整される。
【0025】
ビア導体30の材質は、特に限定されないが、例えば、銅が挙げられる。
【0026】
ビア導体30の厚さ(プリント配線板1の厚さ方向の長さ)は、特に限定されず、プリント配線板1に要求される導電性等に応じて適宜調整される。
【0027】
第2配線層40の材質は、特に限定されないが、例えば、銅が挙げられる。
【0028】
第2配線層40の厚さ(プリント配線板1の厚さ方向の長さ)は、特に限定されず、プリント配線板1に要求される導電性等に応じて適宜調整される。
【0029】
プライマー層50の材質は、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂をベースに形成されためっきプロセスに対応した樹脂が挙げられる。
【0030】
プライマー層50の厚さ(プリント配線板1の厚さ方向の長さ)は、特に限定されず、プライマー層50に要求されるエッチング耐性や外部応力に対する耐性等に応じて適宜調整される。
【0031】
第3配線層60の材質は、特に限定されないが、例えば、銅が挙げられる。
【0032】
第3配線層60の厚さ(プリント配線板1の厚さ方向の長さ)は、特に限定されず、プリント配線板1に要求される導電性等に応じて適宜調整される。
【0033】
金属層100の材質は、特に限定されないが、例えば、銅が挙げられる。
【0034】
金属層100の厚さ(プリント配線板1の厚さ方向の長さ)は、特に限定されず、金属層100に要求されるエッチング耐性や外部応力に対する耐性等に応じて適宜調整される。
【0035】
絶縁基板200の材質は、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂とガラスクロスからなる絶縁樹脂が挙げられる。
【0036】
絶縁基板200の厚さ(プリント配線板1の厚さ方向の長さ)は、特に限定されず、絶縁基板200に要求される絶縁性に応じて適宜調整される。
【0037】
本実施形態のプリント配線板1によれば、絶縁層20上にプライマー層50が形成され、プライマー層50が、ビア導体30の周辺部を覆い、かつ、第2配線層40の接続部(貫通導体120)まで延在し、第2配線層40の接続部(貫通導体120)の径dが、ビア導体30の第2配線層40側の径Dよりも小さいため、ビアホール70とビア導体30の界面にエッチング液が浸入することにより、その界面が劣化することを抑制できる。また、外部応力によりビアホール70の内壁面に亀裂が入ることを抑制できる。
【0038】
本実施形態のプリント配線板1によれば、プライマー層50が、ビア導体30と第2配線層40との間に介在しているため、ビアホール70とビア導体30の界面にエッチング液が浸入することにより、その界面が劣化することをより効果的に抑制できる。
【0039】
本実施形態のプリント配線板1によれば、第2配線層40の間のプライマー層50上に第3配線層60を形成することもできるため、より高密度化することができる。
【0040】
[プリント配線板の製造方法]
以下、図3図8を参照して、本実施形態のプリント配線板の製造方法を説明する。
図3図8は、本実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。図3図8において、図1および図2に示した構成と同一の構成には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0041】
本実施形態のプリント配線板の製造方法では、図3に示すように、まず、絶縁基板200上に第1配線層10が形成されたベース配線基板300を用意する。
【0042】
ベース配線基板300では、絶縁基板200の両面(一面(上面)200a、他面(下面)200b)にそれぞれ第1配線層10が形成されていてもよい。絶縁基板200の両面にそれぞれ第1配線層10が形成されている場合、それらの第1配線層10が絶縁基板200をその厚さ方向に貫通する貫通電極を介して接続されている。
【0043】
図3に示すように、絶縁基板200の一面(上面)200aには、第1配線層10のランド(接続部)L1が形成されている。ランドL1は、第1配線層10上に形成される絶縁層20にエッチングでビアホール70を形成する際のストッパとしても機能する。
【0044】
次いで、図3に示すように、第1配線層10上に絶縁層20を形成する(絶縁層形成工程)。
詳細には、絶縁層形成工程では、ベース配線基板300上、すなわち、ベース配線基板300における第1配線層10が設けられている面側(絶縁基板200の上面200a側)に、絶縁性樹脂をコーティングすることにより、第1配線層10を被覆する絶縁層20を形成する。
【0045】
絶縁性樹脂としては、エポキシ樹脂とシアネート樹脂およびシリカからなる絶縁樹脂やエポキシ樹脂とシリカまたはガラスクロスからなる絶縁樹脂等が挙げられる。
【0046】
ベース配線基板300上に絶縁性樹脂をコーティングする方法は、特に限定されないが、例えば、ベース配線基板300上に絶縁性樹脂を真空中で加温加圧する方法等が挙げられる。
なお、本実施形態では、この時点では、絶縁層20は完全硬化していない。
【0047】
次いで、図3に示すように、絶縁層20上にプライマー層50が積層された金属箔400を、プライマー層50が絶縁層20に接するように積層する(積層工程)。すなわち、第1配線10上に、絶縁層20とプライマー層50と金属層100とがこの順に積層された積層構造を形成する。
金属箔400は、上記の金属層100をなす。
【0048】
次いで、図4に示すように、金属箔400(金属層100)をポイントエッチングした後、プライマー層50をレーザーで加工することにより、第1配線層10のランドL1に対応する位置に貫通孔110を形成する(貫通孔形成工程)。
詳細には、貫通孔形成工程では、まず、ポイントエッチングにより、第1配線層10のランドL1に対応する位置の金属箔400を除去する。続いて、プライマー層50をレーザーで加工することにより、金属箔400から絶縁層20を露出させる貫通孔110を形成する。また、第1配線層10のランドL1に対応する位置とは、絶縁層20を介して第1配線層10と対向する位置である。
【0049】
次いで、図5に示すように、貫通孔110を介して絶縁層20を等方性エッチングし、絶縁層20に、貫通孔110に連通し、貫通孔110よりも大径であり、かつ、第1配線層10のランドL1を露出させるビアホール70を形成する(ビアホール形成工程)。
ビアホール形成工程では、等方性エッチングとしては、ウェットエッチングを行う。これにより、貫通孔110の下部(絶縁層20の厚さ方向の下部)の絶縁層20をサイドエッチングする。また、ビアホール70の径を貫通孔110の径よりも大きくする。
【0050】
次いで、絶縁層20を完全硬化させる(絶縁層硬化工程)。
絶縁層20を完全硬化させる方法としては、例えば、絶縁層20を加熱する方法が挙げられる。
【0051】
次いで、図6に示すように、金属箔400の表面(上面)400a、貫通孔110の内面110aおよびビアホール70の内面70aに、無電解めっきにより、シード層80を形成する(シード層形成工程)。
【0052】
次いで、図7に示すように、シード層80を介して、金属箔400上に、上記の第2配線層40が配置される部分に上記の第2配線層40の形状に相当する第1の開口部500a、および、上記の第3配線層60が配置される部分に上記の第3配線層60の形状に相当する第2の開口部500bを有するめっきレジスト500を形成する(めっきレジスト形成工程)。
詳細には、めっきレジスト形成工程では、金属箔400上におけるビアホール70に対向する位置に第1の開口部500aを有するめっきレジスト500を形成する。なお、図7に示すように、第1の開口部500aの径dを、貫通孔110の径Dよりも大きくする。また、めっきレジスト形成工程では、金属箔400上における第2配線層40の間に第2の開口部500bを有するめっきレジスト500を形成する。
【0053】
次いで、図7に示すように、シード層80をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、ビアホール70内から貫通孔110を通ってめっきレジスト500の第1の開口部500aに至る金属めっき層600を形成する(金属めっき層形成工程)。また、シード層80をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、めっきレジスト500の第2の開口部500b内に金属めっき層600を形成する(金属めっき層形成工程)。
【0054】
次いで、図8に示すように、めっきレジスト500を除去する(めっきレジスト除去工程)。
この工程では、3.0質量%水酸化ナトリウム水溶液または2-アミノエタノールとTMAHの混合水溶液により、めっきレジスト500を除去する。
【0055】
次いで、図8に示すように、シード層80および金属箔400をエッチングする(エッチング工程)。詳細には、エッチングにより、プライマー層50上において、第2配線層40(貫通導体120)よりも側方(金属めっき層600の厚さ方向と垂直方向)に突出しているシード層80および金属箔400を除去する。また、エッチングにより、プライマー層50上において、第3配線層60よりも側方(金属めっき層600の厚さ方向と垂直方向)に突出しているシード層80および金属箔400を除去する。
【0056】
以上の工程により、本実施形態のプリント配線板1が得られる。
【0057】
本実施形態のプリント配線板の製造方法によれば、絶縁層20上にプライマー層50を形成した後、絶縁層20内にビアホール70とビア導体30となる金属めっき層600を形成するため、シード層80および金属箔400の余分な部分を除去する際に、ビアホール70とビア導体30の界面にエッチング液が浸入することを抑制できる。したがって、ビアホール70とビア導体30の界面にエッチング液が浸入することにより、その界面が劣化することを抑制できる。また、外部応力によりビアホール70の内壁面に亀裂が入ることを抑制した本実施形態のプリント配線板1を製造することができる。
【0058】
(2)第2の実施形態
[プリント配線板]
以下、図1および図9を参照して、本実施形態のプリント配線板を説明する。
図9は、図1におけるA-A線に沿う断面図である。図9において、図2に示した構成と同一の構成には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0059】
本実施形態のプリント配線板1000では、第2配線層40が、絶縁層20上に形成されたプライマー層50を厚さ方向に貫通する貫通孔110内に、シード層80を介して充填された金属めっき層90で形成された貫通導体120を介して、ビア導体30に接続されている。
【0060】
第2配線層40におけるビア導体30との接続部(貫通導体120)の径は、ビア導体30の第2配線層40側の径よりも小さくなっている。言い換えれば、図9に示すように、第2配線層40とビア導体30を接続する貫通導体120の径dは、ビア導体30における貫通導体120と接する面の径Dよりも小さくなっている。
【0061】
本実施形態のプリント配線板1000では、図9に示すように、第1の実施形態のプリント配線板1と同様に、プライマー層50が、ビア導体30の周辺部を覆い、かつ、第2配線層40の接続部(貫通導体120)まで延在している。また、本実施形態のプリント配線板1000では、図9に示すように、第1の実施形態のプリント配線板1と異なり、プライマー層50が、ビア導体30と第2配線層40との間に介在していない。
【0062】
本実施形態のプリント配線板1000によれば、絶縁層20上にプライマー層50が形成され、プライマー層50が、ビア導体30の周辺部を覆い、かつ、第2配線層40の接続部(貫通導体120)まで延在し、第2配線層40の接続部(貫通導体120)の径dが、ビア導体30の第2配線層40側の径Dよりも小さいため、ビアホール70とビア導体30の界面にエッチング液が浸入することにより、その界面が劣化することを抑制できる。また、外部応力によりビアホール70の内壁面に亀裂が入ることを抑制できる。
【0063】
本実施形態のプリント配線板1000によれば、第2配線層40の間のプライマー層50上に第3配線層60を形成することもできるため、より高密度化することができる。
【0064】
[プリント配線板の製造方法]
以下、図10図15を参照して、本実施形態のプリント配線板の製造方法を説明する。
図10図15は、本実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。図10図15において、図1および図2に示した構成と同一の構成には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0065】
本実施形態のプリント配線板の製造方法では、図10に示すように、まず、絶縁基板200上に第1配線層10が形成されたベース配線基板300を用意する。
【0066】
次いで、図10に示すように、第1配線層10上に絶縁層20を形成する(絶縁層形成工程)。
【0067】
次いで、絶縁層20を完全硬化させる(絶縁層硬化工程)。
【0068】
次いで、図10に示すように、絶縁層20上にプライマー層50が積層された金属箔400を、プライマー層50が絶縁層20に接するように積層する(積層工程)。
【0069】
次いで、図11に示すように、金属箔400(金属層100)をポイントエッチングまたはレーザーで加工することにより、第1配線層10のランドL1に対応する位置に貫通孔110を形成する(貫通孔形成工程)。
詳細には、貫通孔形成工程では、金属箔400をポイントエッチングまたはレーザーで加工することにより、金属箔400からプライマー層50を露出させる貫通孔110を形成する。
【0070】
次いで、図12に示すように、貫通孔110を介してプライマー層50および絶縁層20をレーザーで加工することにより、絶縁層20に、貫通孔110に連通し、貫通孔110よりも大径であり、かつ、第1配線層10のランドL1を露出させるビアホール70を形成する(ビアホール形成工程)。
【0071】
次いで、図13に示すように、金属箔400の表面(上面)400a、貫通孔110の内面110aおよびビアホール70の内面70aに、無電解めっきにより、シード層80を形成する(シード層形成工程)。
【0072】
次いで、図14に示すように、シード層80を介して、金属箔400上に、上記の第2配線層40が配置される部分に上記の第2配線層40の形状に相当する第1の開口部500a、および、上記の第3配線層60が配置される部分に上記の第3配線層60の形状に相当する第2の開口部500bを有するめっきレジスト500を形成する(めっきレジスト形成工程)。
詳細には、めっきレジスト形成工程では、金属箔400上におけるビアホール70に対向する位置に第1の開口部500aを有するめっきレジスト500を形成する。なお、図14に示すように、第1の開口部500aの径dを、貫通孔110の径Dよりも小さくする。
【0073】
次いで、図14に示すように、シード層80をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、ビアホール70内から貫通孔110を通ってめっきレジスト500の第1の開口部500aに至る金属めっき層600を形成する(金属めっき層形成工程)。また、シード層80をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、めっきレジスト500の第2の開口部500b内に金属めっき層600を形成する(金属めっき層形成工程)。
【0074】
次いで、図15に示すように、めっきレジスト500を除去する(めっきレジスト除去工程)。
【0075】
次いで、図15に示すように、シード層80および金属箔400をエッチングする(エッチング工程)。詳細には、エッチングにより、プライマー層50上において、第2配線層40(貫通導体120)よりも側方(金属めっき層600の厚さ方向と垂直方向)に突出しているシード層80および金属箔400を除去する。また、エッチングにより、プライマー層50上において、第3配線層60よりも側方(金属めっき層600の厚さ方向と垂直方向)に突出しているシード層80および金属箔400を除去する。
【0076】
以上の工程により、本実施形態のプリント配線板1000が得られる。
【0077】
本実施形態のプリント配線板の製造方法によれば、絶縁層20上にプライマー層50を形成した後、絶縁層20内にビアホール70とビア導体30となる金属めっき層600を形成するため、シード層80および金属箔400の余分な部分を除去する際に、ビアホール70とビア導体30の界面にエッチング液が浸入することを抑制できる。したがって、ビアホール70とビア導体30の界面にエッチング液が浸入することにより、その界面が劣化することを抑制できる。また、外部応力によりビアホール70の内壁面に亀裂が入ることを抑制した本実施形態のプリント配線板1000を製造することができる。
【0078】
(3)第3の実施形態
[プリント配線板]
以下、図1および図16を参照して、本実施形態のプリント配線板を説明する。
図16は、図1におけるA-A線に沿う断面図である。図16において、図2に示した構成と同一の構成には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0079】
本実施形態のプリント配線板1100では、第2配線層40が、絶縁層20上に形成されたプライマー層50を厚さ方向に貫通する貫通孔110内に、シード層80を介して充填された金属めっき層90で形成された貫通導体120を介して、ビア導体30に接続されている。
【0080】
第2配線層40におけるビア導体30との接続部(貫通導体120)の径は、ビア導体30の第2配線層40側の径よりも小さくなっている。言い換えれば、図16に示すように、第2配線層40とビア導体30を接続する貫通導体120の径dは、ビア導体30における貫通導体120と接する面の径Dよりも小さくなっている。
【0081】
本実施形態のプリント配線板1100では、図16に示すように、第1の実施形態のプリント配線板1と同様に、プライマー層50が、ビア導体30の周辺部を覆い、かつ、第2配線層40の接続部(貫通導体120)まで延在している。また、本実施形態のプリント配線板1100では、プライマー層50が、ビア導体30と第2配線層40との間に介在している。また、本実施形態のプリント配線板1100では、第1の実施形態のプリント配線板1と異なり、金属層100が、第3配線層60とプライマー層50との間に介在していない。
【0082】
本実施形態のプリント配線板1100によれば、絶縁層20上にプライマー層50が形成され、プライマー層50が、ビア導体30の周辺部を覆い、かつ、第2配線層40の接続部(貫通導体120)まで延在し、第2配線層40の接続部(貫通導体120)の径dが、ビア導体30の第2配線層40側の径Dよりも小さいため、ビアホール70とビア導体30の界面にエッチング液が浸入することにより、その界面が劣化することを抑制できる。また、外部応力によりビアホール70の内壁面に亀裂が入ることを抑制できる。
【0083】
本実施形態のプリント配線板1100によれば、第2配線層40の間のプライマー層50上に第3配線層60を形成することもできるため、より高密度化することができる。
【0084】
[プリント配線板の製造方法]
以下、図17図23を参照して、本実施形態のプリント配線板の製造方法を説明する。
図17図23は、本実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。図17図23において、図1および図2に示した構成と同一の構成には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0085】
本実施形態のプリント配線板の製造方法では、図17に示すように、まず、絶縁基板200上に第1配線層10が形成されたベース配線基板300を用意する。
【0086】
次いで、図17に示すように、第1配線層10上に絶縁層20を形成する(絶縁層形成工程)。
【0087】
次いで、図17に示すように、絶縁層20上にプライマー層50が積層された金属箔400を、プライマー層50が絶縁層20に接するように積層する(積層工程)。
【0088】
次いで、図18に示すように、金属箔400(金属層100)をポイントエッチングした後、プライマー層50をレーザーで加工することにより、第1配線層10のランドL1に対応する位置に貫通孔110を形成する(貫通孔形成工程)。
詳細には、貫通孔形成工程では、まず、ポイントエッチングにより、第1配線層10のランドL1に対応する位置の金属箔400を除去する。続いて、プライマー層50をレーザーで加工することにより、金属箔400から絶縁層20を露出させる貫通孔110を形成する。
【0089】
次いで、図19に示すように、貫通孔110を介して絶縁層20を等方性エッチングし、絶縁層20に、貫通孔110に連通し、貫通孔110よりも大径であり、かつ、第1配線層10のランドL1を露出させるビアホール70を形成する(ビアホール形成工程)。
【0090】
次いで、絶縁層20を完全硬化させる(絶縁層硬化工程)。
【0091】
次いで、図20に示すように、金属箔400をエッチングする。すなわち、エッチングにより金属箔400を除去する(金属除去工程)。
【0092】
次いで、図21に示すように、プライマー層50の表面(上面)50a、貫通孔110の内面110aおよびビアホール70の内面70aに、無電解めっきにより、シード層80を形成する(シード層形成工程)。
【0093】
次いで、図22に示すように、シード層80を介して、プライマー層50上に、上記の第2配線層40が配置される部分に上記の第2配線層40の形状に相当する第1の開口部500a、および、上記の第3配線層60が配置される部分に上記の第3配線層60の形状に相当する第2の開口部500bを有するめっきレジスト500を形成する(めっきレジスト形成工程)。
詳細には、めっきレジスト形成工程では、金属箔400上におけるビアホール70に対向する位置に第1の開口部500aを有するめっきレジスト500を形成する。なお、図22に示すように、第1の開口部500aの径dを、貫通孔110の径Dよりも大きくする。
【0094】
次いで、図22に示すように、シード層80をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、ビアホール70内から貫通孔110を通ってめっきレジスト500の第1の開口部500aに至る金属めっき層600を形成する(金属めっき層形成工程)。また、シード層80をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、めっきレジスト500の第2の開口部500b内に金属めっき層600を形成する(金属めっき層形成工程)。
【0095】
次いで、図23に示すように、めっきレジスト500を除去する(めっきレジスト除去工程)。
【0096】
次いで、図23に示すように、シード層80をエッチングする。詳細には、エッチングにより、プライマー層50上において、第2配線層40(貫通導体120)よりも側方(金属めっき層600の厚さ方向と垂直方向)に突出しているシード層80を除去する。また、エッチングにより、プライマー層50上において、第3配線層60よりも側方(金属めっき層600の厚さ方向と垂直方向)に突出しているシード層80を除去する。
【0097】
以上の工程により、本実施形態のプリント配線板1100が得られる。
【0098】
本実施形態のプリント配線板の製造方法によれば、絶縁層20上にプライマー層50を形成した後、絶縁層20内にビアホール70とビア導体30となる金属めっき層600を形成するため、シード層80の余分な部分を除去する際に、ビアホール70とビア導体30の界面にエッチング液が浸入することを抑制できる。したがって、ビアホール70とビア導体30の界面にエッチング液が浸入することにより、その界面が劣化することを抑制できる。また、外部応力によりビアホール70の内壁面に亀裂が入ることを抑制した本実施形態のプリント配線板1100を製造することができる。
【0099】
(4)第4の実施形態
[プリント配線板]
以下、図1および図24を参照して、本実施形態のプリント配線板を説明する。
図24は、図1におけるA-A線に沿う断面図である。図24において、図2に示した構成と同一の構成には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0100】
本実施形態のプリント配線板1200では、第2配線層40が、絶縁層20上に形成されたプライマー層50を厚さ方向に貫通する貫通孔110内に、シード層80を介して充填された金属めっき層90で形成された貫通導体120を介して、ビア導体30に接続されている。
【0101】
第2配線層40におけるビア導体30との接続部(貫通導体120)の径は、ビア導体30の第2配線層40側の径よりも小さくなっている。言い換えれば、図24に示すように、第2配線層40とビア導体30を接続する貫通導体120の径dは、ビア導体30における貫通導体120と接する面の径Dよりも小さくなっている。
【0102】
本実施形態のプリント配線板1200では、図24に示すように、第1の実施形態のプリント配線板1と同様に、プライマー層50が、ビア導体30の周辺部を覆い、かつ、第2配線層40の接続部(貫通導体120)まで延在している。また、本実施形態のプリント配線板1200では、第1の実施形態のプリント配線板1と異なり、プライマー層50が、ビア導体30と第2配線層40との間に介在していない。また、本実施形態のプリント配線板1200では、第1の実施形態のプリント配線板1と異なり、金属層100が、第3配線層60とプライマー層50との間に介在していない。
【0103】
本実施形態のプリント配線板1200によれば、絶縁層20上にプライマー層50が形成され、プライマー層50が、ビア導体30の周辺部を覆い、かつ、第2配線層40の接続部(貫通導体120)まで延在し、第2配線層40の接続部(貫通導体120)の径dが、ビア導体30の第2配線層40側の径Dよりも小さいため、ビアホール70とビア導体30の界面にエッチング液が浸入することにより、その界面が劣化することを抑制できる。また、外部応力によりビアホール70の内壁面に亀裂が入ることを抑制できる。
【0104】
本実施形態のプリント配線板1200によれば、第2配線層40の間のプライマー層50上に第3配線層60を形成することもできるため、より高密度化することができる。
【0105】
[プリント配線板の製造方法]
以下、図25図31を参照して、本実施形態のプリント配線板の製造方法を説明する。
図25図31は、本実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。図25図31において、図1および図2に示した構成と同一の構成には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0106】
本実施形態のプリント配線板の製造方法では、図25に示すように、まず、絶縁基板200上に第1配線層10が形成されたベース配線基板300を用意する。
【0107】
次いで、図26に示すように、第1配線層10上に絶縁層20を形成する(絶縁層形成工程)。
【0108】
次いで、絶縁層20を完全硬化させる(絶縁層硬化工程)。
【0109】
次いで、図26に示すように、絶縁層20上にプライマー層50が積層された金属箔400を、プライマー層50が絶縁層20に接するように積層する(積層工程)。
【0110】
次いで、図26に示すように、金属箔400(金属層100)をポイントエッチングまたはレーザーで加工することにより、第1配線層10のランドL1に対応する位置に貫通孔110を形成する(貫通孔形成工程)。
詳細には、貫通孔形成工程では、金属箔400をポイントエッチングまたはレーザーで加工することにより、金属箔400からプライマー層50を露出させる貫通孔110を形成する。
【0111】
次いで、図27に示すように、貫通孔110を介してプライマー層50および絶縁層20をレーザーで加工することにより、絶縁層20に、貫通孔110に連通し、貫通孔110よりも大径であり、かつ、第1配線層10のランドL1を露出させるビアホール70を形成する(ビアホール形成工程)。
【0112】
次いで、図28に示すように、金属箔400をエッチングする。すなわち、エッチングにより金属箔400を除去する(金属除去工程)。
【0113】
次いで、図29に示すように、プライマー層50の表面(上面)50a、貫通孔110の内面110aおよびビアホール70の内面70aに、無電解めっきにより、シード層80を形成する(シード層形成工程)。
【0114】
次いで、図30に示すように、シード層80を介して、プライマー層50上に、上記の第2配線層40が配置される部分に上記の第2配線層40の形状に相当する第1の開口部500a、および、上記の第3配線層60が配置される部分に上記の第3配線層60の形状に相当する第2の開口部500bを有するめっきレジスト500を形成する(めっきレジスト形成工程)。
詳細には、めっきレジスト形成工程では、金属箔400上におけるビアホール70に対向する位置に第1の開口部500aを有するめっきレジスト500を形成する。なお、図30に示すように、第1の開口部500aの径dを、貫通孔110の径Dよりも小さくする。
【0115】
次いで、図30に示すように、シード層80をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、ビアホール70内から貫通孔110を通ってめっきレジスト500の第1の開口部500aに至る金属めっき層600を形成する(金属めっき層形成工程)。また、シード層80をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、めっきレジスト500の第2の開口部500b内に金属めっき層600を形成する(金属めっき層形成工程)。
【0116】
次いで、図31に示すように、めっきレジスト500を除去する(めっきレジスト除去工程)。
【0117】
次いで、図31に示すように、シード層80をエッチングする。詳細には、エッチングにより、プライマー層50上において、第2配線層40(貫通導体120)よりも側方(金属めっき層600の厚さ方向と垂直方向)に突出しているシード層80を除去する。また、エッチングにより、プライマー層50上において、第3配線層60よりも側方(金属めっき層600の厚さ方向と垂直方向)に突出しているシード層80を除去する。
【0118】
以上の工程により、本実施形態のプリント配線板1200が得られる。
【0119】
本実施形態のプリント配線板の製造方法によれば、絶縁層20上にプライマー層50を形成した後、絶縁層20内にビアホール70とビア導体30となる金属めっき層600を形成するため、シード層80の余分な部分を除去する際に、ビアホール70とビア導体30の界面にエッチング液が浸入することを抑制できる。したがって、ビアホール70とビア導体30の界面にエッチング液が浸入することにより、その界面が劣化することを抑制できる。また、外部応力によりビアホール70の内壁面に亀裂が入ることを抑制した本実施形態のプリント配線板1200を製造することができる。
【符号の説明】
【0120】
1,1000,1100,1200 プリント配線板
10 第1配線層
20 絶縁層
30 ビア導体
40 第2配線層
50 プライマー層
60 第3配線層
70 ビアホール
80 シード層
90 金属めっき層
100 金属層
110 貫通孔
120 貫通導体(接続部)
200 絶縁基板
300 ベース配線基板
400 金属箔
500 めっきレジスト
500a 第1の開口部
500b 第2の開口部
600 金属めっき層
700 レジスト
図1
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