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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】包装袋および包装袋の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/16 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
B65D30/16 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019186276
(22)【出願日】2019-10-09
(65)【公開番号】P2021059380
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000143880
【氏名又は名称】株式会社細川洋行
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】長田 兼治
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 浩
(72)【発明者】
【氏名】小川 和真
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/172177(WO,A1)
【文献】特開2018-122930(JP,A)
【文献】特開2006-089104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/16
B65D 81/32
B65D 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋状に形成される袋本体と、
前記袋本体を所定の形状に保持する構造体と、
を備え、
前記構造体は、
基材層と、
前記基材層に積層され、前記袋本体と接着する層を構成する接着層と、
前記袋本体と接着される接着部に設けられ、少なくとも前記接着層を切断する切断部と、
を備えるとともに、前記所定の形状になるための折部の形成を補助する折溝を有し、
前記切断部の深さは、前記折溝の深さよりも浅く、
前記袋本体と前記構造体とを接着する接着部と、当該接着部に設けられて当該袋本体と当該構造体とを分離するのに要する力を軽減する軽減部と、が形成されることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記軽減部は、前記袋本体と前記構造体とが接着されない非接着領域を有することを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記非接着領域は、一方向に延びて形成される前記接着部において当該一方向と交差する方向に設けられることを特徴とする請求項2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記非接着領域は、一方向に延びて形成される前記接着部において当該一方向に沿って設けられることを特徴とする請求項2に記載の包装袋。
【請求項5】
請求項1に記載の包装袋の製造方法であって、
前記袋本体と接着する層を構成する接着層を少なくとも切断する切断部を有する前記構造体を、当該袋本体に対して位置決めする工程と、
前記切断部が設けられる箇所に、前記袋本体と前記構造体とを接着する接着部を形成する工程と、
を有することを特徴とする包装袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋、構造体および包装袋の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、開口部及びヒートシール部を有する包装袋本体と、包装袋本体の開口部に設けられた線状ファスナーとを備えた再閉自在包装袋において、線状ファスナーをインサートインジェクション成形手段により包装袋本体の開口部に沿ってヒートシール部を除いて設けたことを特徴とする再閉自在包装袋において、包装袋本体内に配置され、包装袋本体を所定の形状に保持するためのスリーブを備えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-322187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、包装袋には、袋本体を所定の形状に保持する構造体が接着されるものがある。この種の包装袋においては、例えば包装袋を廃棄する際などに、袋本体と構造体とをユーザが分離したいという要望がある。このような場合において、従来の包装袋は、袋本体と構造体とが強固に接着されており、袋本体と構造体とをユーザが分離し難いものであった。
本発明は、包装袋を構成する袋本体と構造体とを分離し易くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと、本発明は、袋状に形成される袋本体と、前記袋本体を所定の形状に保持する構造体と、を備え、前記構造体は、基材層と、前記基材層に積層され、前記袋本体と接着する層を構成する接着層と、前記袋本体と接着される接着部に設けられ、少なくとも前記接着層を切断する切断部と、を備えるとともに、前記所定の形状になるための折部の形成を補助する折溝を有し、前記切断部の深さは、前記折溝の深さよりも浅く、前記袋本体と前記構造体とを接着する接着部と、当該接着部に設けられて当該袋本体と当該構造体とを分離するのに要する力を軽減する軽減部と、が形成されることを特徴とする包装袋である。
ここで、前記軽減部は、前記袋本体と前記構造体とが接着されない非接着領域を有することを特徴とすることができる。
そして、前記非接着領域は、一方向に延びて形成される前記接着部において当該一方向と交差する方向に設けられることを特徴とすることができる。
また、前記非接着領域は、一方向に延びて形成される前記接着部において当該一方向に沿って設けられることを特徴とすることができる
また、かかる目的のもと、本発明は、請求項1に記載の包装袋の製造方法であって、前記袋本体と接着する層を構成する接着層を少なくとも切断する切断部を有する前記構造体を、当該袋本体に対して位置決めする工程と、前記切断部が設けられる箇所に、前記袋本体と前記構造体とを接着する接着部を形成する工程と、を有することを特徴とする包装袋の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、包装袋を構成する袋本体と構造体とを分離し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態における組立てられた状態の包装袋の全体図である。
図2】(A)および(B)は、第1実施形態における畳まれた状態の包装袋の全体図である。
図3】第1実施形態の袋本体を構成するフィルムの層構成の説明図である。
図4】(A)および(B)は、第1実施形態のスリーブを構成するシートの層構成の説明図である。
図5】(A)および(B)は、第1実施形態の畳まれた状態のスリーブの全体図である。
図6】組立てられた状態のスリーブの全体図である。
図7】第1実施形態の接着部の説明図である。
図8】(A)および(B)は、第1実施形態の包装袋に形成される接着部および軽減部の説明図である。
図9】第1実施形態の包装袋の製造方法のフローチャートである。
図10】本実施形態の包装袋の組立て手順の説明図である。
図11】(A)~(D)は、変形例の切断部の説明図である。
図12】他の変形例の切断部の説明図である。
図13】他の変形例の切断部の説明図である。
図14】第2実施形態の包装袋の全体図である。
図15】(A)および(B)は、第2実施形態の包装袋に形成される接着部および軽減部の説明図である。
図16】(A)~(D)は、変形例の接着部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態における組立てられた状態の包装袋1の全体図である。
図2は、第1実施形態における畳まれた状態の包装袋1の全体図である。なお、図2(A)は、畳状態の包装袋1を一方の面から見た図であり、図2(B)は、畳状態の包装袋1を他方の面から見た図である。
【0009】
図1に示すように、包装袋1は、袋状に形成される袋本体10と、袋本体10を所定の形状に保持する構造体の一例であるスリーブ20と、を備えている。そして、包装袋1には、袋本体10とスリーブ20とを接着する接着部30と、接着部30に設けられて、袋本体10とスリーブ20とをユーザが分離するのに要する力を軽減する軽減部40とが形成される。
【0010】
本実施形態のスリーブ20は、折り畳まれた状態と、組立てられた状態とをとることができるようになっている。そして、図1に示すように、包装袋1は、スリーブ20が組立てられた状態(以下、組立状態ということもある)では、箱状に形成される。一方、図2(A)および図2(B)に示すように、包装袋1は、スリーブ20が畳まれた状態(以下、畳状態ということもある)では、扁平状に形成される。
そして、組立状態の包装袋1内には、例えば食品などの内容物が収容される。さらに、組立状態の包装袋1は、自立可能であり、複数個を上下方向において積み重ねることが可能になる。
【0011】
なお、本実施形態の説明において、図1に示す組立状態の包装袋1の上下方向に対応する方向を「上下方向」と称し、図1に示す組立状態の包装袋1の左右方向に対応する方向を「左右方向」と称する。
【0012】
そして、図2(A)に示すように、第1実施形態の包装袋1において、接着部30は、第1接着部31、第2接着部32、第3接着部33、第4接着部34、第5接着部35および第6接着部36を有する。そして、包装袋1において、袋本体10とスリーブ20とは、接着部30によって接着される。さらに、第1実施形態の包装袋1では、接着部30が形成される部分に、スリーブ20の後述する接着層202を切断する切断部29が設けられている。そして、第1実施形態の包装袋1は、袋本体10とスリーブ20とをユーザが分離し易くなっている。
以下、第1実施形態の包装袋1について詳細に説明する。
【0013】
〔袋本体10〕
まず、袋本体10を構成するフィルム10Fの層構成について説明する。
図3は、第1実施形態の袋本体10を構成するフィルム10Fの層構成の説明図である。
【0014】
図3に示すように、袋本体10を構成するフィルム10Fは、基材層101と、基材層101に積層される中間層102と、中間層102に積層される接着層103と、を備える。
袋本体10を構成するフィルム10Fは、基材層101、中間層102、接着層103の各々を構成するフィルム層同士を、接着剤を用いて積層するドライラミネーション法を用いて製造することができる。また、袋本体10を構成するフィルム10Fは、基材層101に、Tダイから溶融樹脂をフィルム状に押出して中間層102や接着層103を積層する押出ラミネーション法を用いて製造することができる。
【0015】
(基材層101)
基材層101は、袋状に形成された袋本体10において最も外側に設けられる層である。そして、基材層101の材料には、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン等の延伸フィルムを用いることができる。また、本実施形態の基材層101の厚みは、約5μm以上であって約50μm以下とすることが好ましい。
さらに、基材層101の外側または内側には、インキ層を設けても良い。インキ層は、内容物に関する文字や図形、装飾、管理のための符号等の印刷が行われる層である。
【0016】
(中間層102)
中間層102は、基材層101と接着層103との間に設けられる層である。そして、中間層102は、袋本体10に突刺し強度や落下強度等の強靱性を付与する場合、ポリエステル、ポリアミドまたはポリプロピレン等からなる延伸フィルムを用いることができる。また、中間層102は、袋本体10に酸素などのガスバリア性を付与する場合、アルミニウム、銅、マグネシウム等の金属からなる金属箔、または、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン等からなる延伸フィルムをベースとして少なくとも片面に、金属や金属酸化物を蒸着させた蒸着フィルムを用いることができる。また、本実施形態の中間層102の厚みは、約5μm以上であって約50μm以下とすることが好ましい。
【0017】
なお、中間層102は、単層であっても、必要に応じて複数層で構成されていても構わない。また、本実施形態において、中間層102は、必須の構成ではない。
【0018】
(接着層103)
接着層103は、袋状に形成された袋本体10において最も内側に設けられる層である。すなわち、本実施形態の接着層103は、袋本体10の内側に設けられるスリーブ20に対向する層である。そして、接着層103は、袋本体10とスリーブ20とを熱融着する際に、加熱されることで溶融する層を構成する。また、接着層103は、袋本体10においてフィルム10F同士を熱融着する際に、加熱されることで溶融する層を構成する。
【0019】
そして、接着層103の材料には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン-メタクリル酸共重合体、または、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレンおよびブロックポリプロピレン等のポリプロピレンなどのポリオレフィンを用いることができる。また、接着層103には、上記の合成樹脂を組み合わせて積層した共押出多層フィルムを用いても良い。また、本実施形態の接着層103の厚みは、約20μm以上であって150μm以下とすることが好ましい。
【0020】
なお、基材層101は、外側に接着層を有していても良い。この場合に、基材層101の外側に設ける接着層には、上述した接着層103と同様な材料を用いることができる。そして、基材層101の外側に接着層を設けた場合には、後述する三角形状部10tや三角形状部10s(図10参照)を熱融着によって袋本体10に接着することが可能になる。
【0021】
続いて、袋本体10の構造について説明する。
図2(A)に示すように、袋本体10は、例えば一枚のフィルム10Fを二つ折りにすることで形成される。そして、袋本体10は、互いに対向する平面状の部分である第1面部11と第2面部12とを有している。また、袋本体10は、フィルム10Fが二つ折りされることで上下方向の下端側に形成される折部13と、左右方向の一端側を封止する第1シール部14と、左右方向の他端側を封止する第2シール部15とを有する。さらに、袋本体10は、上下方向の上端にて開口する開口部16と、開口部16よりも上下方向における下側に設けられ、ユーザが袋本体10の開封を開始する部分を形成する開封開始部17と、開封開始部17よりも上下方向における下側に設けられるチャック部18とを有する。
【0022】
第1シール部14と第2シール部15とは、第1面部11と第2面部12との各々の端部同士を接着することで形成される。本実施形態では、第1シール部14と第2シール部15とは、フィルム10Fの接着層103が対向するように二つ折りにされ、左右方向における両端部における第1面部11の接着層103と第2面部12の接着層103とが加熱および加圧される熱融着によって形成される。
【0023】
開口部16は、スリーブ20を入れたり、内容物を出し入れしたりする箇所を形成する。そして、開口部16は、スリーブ20および内容物が収容された後に閉じられる。本実施形態の開口部16は、第1シール部14および第2シール部15と同様に、熱融着されることで封止される。
【0024】
開封開始部17は、第1シール部14と第2シール部15との各々の端部であって、上述のとおり閉じられた開口部16とチャック部18との間の位置に形成される。そして、開封開始部17は、開口部16が閉じられることで密封された包装袋1をユーザが引き裂きながら開封する際のきっかけとなる。なお、本実施形態の開封開始部17は、亀甲型、I字型、U字型、または、V字型など、各種の形状の切欠きによって形成することができる。
【0025】
図2(A)および図2(B)に示すように、チャック部18は、雄側部材18Aと、雌側部材18Bとを有している。雄側部材18Aは、帯状に形成され、第1面部11に設けられる。そして、雄側部材18Aは、雌側部材18Bと咬み合うことが可能になっている。雌側部材18Bは、帯状に形成され、第2面部12に設けられる。そして、雌側部材18Bは、雄側部材18Aと咬み合うことが可能になっている。そして、チャック部18は、開封された包装袋1をユーザが閉じたり、開けたりすることを可能にする。
なお、雄側部材18Aが第2面部12に設けられ、雌側部材18Bが第1面部11に設けられていても良い。
また、本実施形態のチャック部18は、袋本体10の接着層103と同じ樹脂材料により構成し、熱融着によって袋本体10に接着することができる。
【0026】
〔スリーブ20〕
まず、第1実施形態のスリーブ20を構成するシート20Sの層構成について説明する。
図4は、第1実施形態のスリーブ20を構成するシート20Sの層構成の説明図である。なお、図4(A)は、後述する折溝28を含むシート20Sの断面を示し、図4(B)は、後述する切断部29を含むシート20Sの断面を示している。
【0027】
図4(A)および図4(B)に示すように、シート20Sは、基材層201と、基材層201に積層される接着層202と、を備える。
スリーブ20を構成するシート20Sは、例えば基材層201に、Tダイから溶融樹脂をフィルム状に押出して接着層202を積層する押出ラミネーション法を用いて積層することで製造できる。
【0028】
(基材層201)
基材層201は、筒状に形成されるスリーブ20において最も内側に設けられる層である。そして、基材層201の材料には、板紙を用いることができる。板紙としては、例えば片面または両面に白色コート面が形成されたコートボール紙を用いることができる。また、本実施形態の基材層201に用いられる板紙の坪量は、例えば約200g/m~約500g/mとすることができる。また、本実施形態の基材層201の厚みは、約200μm以上であって約500μm以下とすることが好ましい。
【0029】
(接着層202)
接着層202は、筒状に形成されるスリーブ20において最も外側に設けられる層である。すなわち、接着層202は、スリーブ20の外側に設けられる袋本体10に対向する層である。そして、接着層202は、スリーブ20と袋本体10とを熱融着する際に、加熱することで溶融する層を構成する。
【0030】
接着層202の材料には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン-メタクリル酸共重合体、または、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレンおよびブロックポリプロピレン等のポリプロピレンなどのポリオレフィンを用いることができる。また、接着層202には、上記の合成樹脂を組み合わせて積層した共押出多層フィルムを用いても良い。
そして、接着層202の材料には、例えば包装材としての汎用性が高いという観点からも、低密度ポリエチレンを用いることが最も好ましい。さらに、本実施形態の接着層202の材料には、低密度ポリエチレンの中でも、伸びの少ないものが適しており、例えばメルトマスフローレートで3g/10min以上のものがより好ましい。なお、メルトマスフローレートは、例えばJIS K 7210-1:2014で規定される方法を用いて測定することができる。
そして、本実施形態の包装袋1では、スリーブ20の接着層202の樹脂材料を、袋本体10の接着層103と同じ樹脂材料によって構成している。また、本実施形態の接着層202の厚みは、約20μm以上であって約150μm以下とすることが好ましい。
【0031】
続いて、第1実施形態のスリーブ20について説明する。
図5は、第1実施形態の畳まれた状態のスリーブ20の全体図である。なお、図5(A)は、畳状態のスリーブ20を一方の面から見た図であり、図5(B)は、畳状態のスリーブ20を他方の面から見た図である。また、図5のスリーブ20には、説明のために、袋本体10との間で接着部30が形成される予定の位置を破線で示している。
【0032】
図5(A)および図5(B)に示すように、本実施形態のスリーブ20は、長尺な一枚の板状のシート20Sを折り畳んで筒状にすることで構成される。スリーブ20は、平面状に形成される第1面部21と、平面状に形成され第1面部21に対向する第2面部22とを有している。そして、スリーブ20は、シート20Sが折り畳まれることで形成される第1折部23と、左右方向において第1折部23とは反対側に形成される第2折部24と、シート20Sの端部同士が接続する接続部25とを有している。
さらに、スリーブ20は、上下方向における上側を向いて開口する第1開口部26と、上下方向における下側を向いて開口する第2開口部27とを有する。また、スリーブ20は、組立状態にする際に第1面部21および第2面部22の折り曲げを補助する折溝28を有する。そして、本実施形態のスリーブ20は、接着部30に設けられてスリーブ20の少なくとも接着層202を切断する切断部29を有している。
【0033】
第1面部21および第2面部22は、スリーブ20が袋本体10に挿入された状態で、袋本体10の第1面部11および第2面部12にそれぞれ対向するように設けられる。そして、組立状態の第1面部21および第2面部22は、袋本体10の第1面部11および第2面部12の位置、大きさ、および範囲を含む姿勢を定める。
【0034】
接続部25は、シート20Sの長手方向における一端部と他端部と重ね合わせたうえで接着される部分である。本実施形態の接続部25は、上下方向に長く延びて形成される。接続部25における接着には、接着剤を用いる接着であったり、熱融着したりする方法を用いることができる。
なお、接続部25は、スリーブ20において必須の構成ではない。例えば、スリーブ20は、シート20Sの長手方向の端部同士が接続されずに、袋本体10に接着されても良い。
【0035】
第1開口部26は、畳状態では開口縁26eが閉じており(図5参照)、組立状態では開口縁26eが開いている(後述の図6参照)。同様に、第2開口部27は、畳状態では開口縁27eが閉じており(図5参照)、組立状態では開口縁27eが開いている(後述の図6参照)。
【0036】
(折溝28)
図5(A)および図5(B)に示すように、本実施形態の折溝28は、第1折溝281、第2折溝282、第3折溝283および第4折溝284を有する。なお、本実施形態において、折溝28は、例えば金属刃によってスリーブ20の外側となる接着層202側からスリーブ20の表面に切れ目を入れることで形成することができる。また、例えば金属刃を用いる場合、刃先の形状は、片刃であっても、両刃であっても構わない。
【0037】
図5(A)に示すように、第1折溝281および第2折溝282は、第1面部21に設けられる。そして、第1折溝281および第2折溝282は、それぞれ、上下方向に沿って直線状に形成される。また、図5(B)に示すように、第3折溝283および第4折溝284は、第2面部22に設けられる。そして、第3折溝283および第4折溝284は、それぞれ、上下方向に沿って直線状に形成される。
【0038】
なお、以下の説明において、図5(A)に示すように、第1面部21における第1折溝281と第2折溝282との間を第1領域R1と称し、第1面部21における第2折溝282と第2折部24との間を第2領域R2と称し、第1面部21における第1折溝281と第1折部23との間を第3領域R3と称する。また、図5(B)に示すように、第2面部22における第3折溝283と第4折溝284との間を第4領域R4と称し、第2面部22における第4折溝284と第2折部24との間を第5領域R5と称し、第2面部22における第3折溝283と第1折部23との間を第6領域R6と称する。
【0039】
そして、本実施形態のスリーブ20において、左右方向における第1領域R1の幅L1、および第4領域R4の幅L4は、それぞれ同じ長さになるように形成される(L1=L4)。また、本実施形態のスリーブ20において、左右方向における第2領域R2の幅L2、第3領域R3の幅L3、第5領域R5の幅L5、および第6領域R6の幅L6は、それぞれ同じ長さとなるように形成される(L2=L3=L5=L6)。
また、幅L1は、幅L2および幅L3の和よりも長くなるように形成されている(L1>(L2+L3))。同様に、幅L4は、幅L5および幅L6の和よりも長くなるように形成されている(L4>(L5+L6))。
【0040】
そして、図4(A)に示すように、本実施形態の折溝28の深さD1は、少なくともスリーブ20の厚みの10分の1の深さまで到達していることが好ましく、スリーブ20の厚みの約半分の深さまで到達していることがより好ましい。このように、スリーブ20に折溝28を設けることによって、スリーブ20を所定の形状に組立てることがより容易かつ確実になる。
【0041】
(切断部29)
図5(A)に示すように、切断部29は、第1接着部31に対向する第1切断部291と、第2接着部32に対向する第2切断部292と、を有する。また、切断部29は、第3接着部33に対向する第3切断部293と、第4接着部34に対向する第4切断部294と、を有する。さらに、切断部29は、第5接着部35に対向する第5切断部295と、第6接着部36に対向する第6切断部296と、を有する。
なお、本実施形態において、切断部29は、例えば金属刃によってスリーブ20の外側となる接着層202側からスリーブ20の表面に切れ目を入れることで形成することができる。また、例えば金属刃を用いる場合、刃先の形状は、片刃であっても、両刃であっても構わない。
【0042】
そして、第1切断部291は、第1接着部31に沿って左右方向に延びる切れ目910を有する。切れ目910は、第1接着部31の左右方向における幅よりも長く形成される。そして、本実施形態の切れ目910は、1本設けられ、第1接着部31を上下方向において2つの領域に分断するように形成される。
第2切断部292は、第2接着部32に対して、第1切断部291および第1接着部31の関係と同様に形成される。
【0043】
第3切断部293は、第3接着部33と交差する方向である左右方向に延びる複数の切れ目930を有する。切れ目930は、第3接着部33の左右方向における幅よりも長く形成される。そして、切れ目930は、第3接着部33を上下方向において複数の領域に分断するように形成される。
第4切断部294は、第4接着部34に対して、第3切断部293および第3接着部33の関係と同様に形成される。
【0044】
第5切断部295は、第5接着部35に沿って左右方向に延びる切れ目950を有する。切れ目950は、第5接着部35の左右方向における幅よりも長く形成される。そして、本実施形態の切れ目950は、1本設けられ、第5接着部35を上下方向において2つの領域に分断するように形成される。
第6切断部296は、第6接着部36に対して、第5切断部295および第5接着部35の関係と同様に形成される。
【0045】
なお、図5(B)に示すように、切断部29は、スリーブ20の第2面部22においても、第1面部21と同様の位置であって同様な形状によって形成される。そして、畳状態において、スリーブ20の第2面部22の切断部29は、第1面部21の切断部29と表裏の位置関係で形成される。
【0046】
そして、本実施形態の切断部29は、図5(A)および図5(B)に示すように、スリーブ20の左右方向に沿って形成される。そして、本実施形態のスリーブ20では、切断部29が形成される方向が、折溝28が形成される方向と異なるようにしている。これにより、本実施形態のスリーブ20では、例えばスリーブ20を組立てる際などに、切断部29が折溝として作用することで切断部29にて折れ曲がらないようにしている。
【0047】
また、図4(B)に示すように、本実施形態の切断部29の深さD2は、スリーブ20の少なくとも接着層202を切断するように形成される。そして、本実施形態の切断部29は、スリーブ20の面方向において接着層202が連続しない領域をスリーブ20に形成している。
本実施形態の切断部29の深さD2は、折溝28の深さD1よりも浅く形成している。さらに、切断部29の切れ目の幅H2は、折溝28の切れ目の幅H1よりも狭くしている。このように、本実施形態の切断部29は、折溝28よりも深さを浅くしたり、折溝28よりも切れ目の幅を狭くしたりしている。これによって、本実施形態の切断部29は、例えばスリーブ20を組立てる際に、折溝28よりも折り曲がり易くなって折溝として機能しないようにしている。
なお、本実施形態のスリーブ20は、切断部29の深さD2を折溝28の深さD1よりも浅くする構成と、切断部29の切れ目の幅H2を折溝28の切れ目の幅H1よりも狭くする構成との両方を備えていることに限定されず、いずれか一方だけを備えていても良い。
【0048】
図6は、組立てられた状態のスリーブ20の全体図である。
【0049】
図6に示すように、スリーブ20は、第1折溝281、第2折溝282、第3折溝283および第4折溝284がそれぞれ約90°の山折りに折り曲げられることで、組立状態である箱状に形成される。なお、組立状態のスリーブ20において、第1折部23および第2折部24は平坦になる。
【0050】
組立状態のスリーブ20では、第1領域R1によって第1面20Aが形成される。また、組立状態のスリーブ20では、第2領域R2と第5領域R5とによって第2面20Bが形成される。さらに、組立状態のスリーブ20では、第4領域R4によって第3面20Cが形成される。そして、組立状態のスリーブ20では、第3領域R3と第6領域R6とによって第4面20Dが形成される。
本実施形態のスリーブ20は、第1面20Aと第3面20Cとの面積が略等しく、第2面20Bと第4面20Dとの面積が略等しくなる。また、スリーブ20は、例えば、第1面20Aの面積が、第2面20Bの面積よりも大きく形成される。
【0051】
そして、組立状態のスリーブ20は、袋本体10の内側にて、袋本体10に所定の立体形状を付与する。つまり、袋本体10は、組立状態のスリーブ20によって姿勢が定められる。
なお、本実施形態の包装袋1は、面積が最も大きくなるスリーブ20の第1面20Aが袋本体10に主たる面を形成する。この袋本体10に形成される主たる面には、例えば内容物の商品名や図柄などが大きく表示される。また、内容物が収容された包装袋1が販売される際には、この主たる面が消費者側に向けられて陳列される。
【0052】
〔接着部30〕
続いて、接着部30について詳細に説明する。
図7は、第1実施形態の接着部30の説明図である。
【0053】
第1実施形態の接着部30は、第1接着部31、第2接着部32、第3接着部33、第4接着部34、第5接着部35および第6接着部36にそれぞれ対応する形状の加熱面を有するヒートシールバー(不図示)を、袋本体10内にスリーブ20が挿入された状態で、袋本体10の外側から押し当てることで形成される。
【0054】
第1接着部31は、スリーブ20の第1領域R1の上下方向における上側に設けられ、左右方向に沿って帯状に形成される。また、第1接着部31は、スリーブ20の開口縁26eから距離W1だけ離れて設けられる。さらに、第1接着部31は、左右方向において、第1折溝281と第2折溝282とに対してそれぞれ離れて設けられる。
【0055】
第2接着部32は、スリーブ20の第1領域R1の上下方向における下側に設けられ、左右方向に沿って帯状に形成される。また、第2接着部32は、スリーブ20の開口縁27eから離れて設けられる。さらに、第2接着部32は、左右方向において、第1折溝281と第2折溝282とに対してそれぞれ離れて設けられる。
【0056】
第3接着部33は、スリーブ20の第3領域R3の左右方向における第1折部23側に設けられ、上下方向に沿って帯状に形成される。そして、第3接着部33は、スリーブ20の開口縁26eから距離W2だけ離れて設けられる。さらに、第3接着部33は、第1接着部31および第2接着部32を左右方向に沿って延長した場合に、第1接着部31と第2接着部32とは交差せず、延長した第1接着部31と第2接着部32との間の範囲に収まるように形成される。
【0057】
第4接着部34は、スリーブ20の第2領域R2の左右方向における第2折部24側に設けられ、上下方向に沿って帯状に形成される。なお、第4接着部34は、配置以外の構成は、第3接着部33と同様に形成される。
【0058】
第5接着部35は、スリーブ20の第3領域R3の上下方向における下側であって、左右方向における第1折部23側に設けられる。そして、第5接着部35は、左右方向に沿って帯状に形成される。第5接着部35は、スリーブ20の開口縁27eから離れて設けられる。さらに、第5接着部35は、第2接着部32および第3接着部33の延長線上に形成される。
【0059】
第6接着部36は、スリーブ20の第2領域R2の上下方向における下側であって、左右方向における第2折部24側に設けられる。そして、第6接着部36は、左右方向に沿って帯状に形成される。なお、第6接着部36は、配置以外の構成は、第5接着部35と同様に形成される。
【0060】
なお、接着部30は、スリーブ20の第2面部22においても、第1面部21と同様の位置であって同様な形状により形成される。すなわち、畳状態において、スリーブ20の第2面部22の接着部30は、第1面部21の接着部30と表裏の位置関係で形成される(図2(B)参照)。
【0061】
そして、上述したとおり、例えば第1接着部31は、開口縁26eから予め定められた距離(例えば、距離W1)だけ離れた位置に設けられる。これによって、ユーザが第1接着部31において袋本体10とスリーブ20とを分離しようとする際に、開口縁26eから第1接着部31までの部分に指などを引っ掛けることができる。このように、本実施形態の包装袋1は、袋本体10とスリーブ20とが分離し易い構成となっている。
【0062】
〔軽減部40〕
図8は、第1実施形態の包装袋1に形成される接着部30および軽減部40の説明図である。なお、図8(A)は、接着部30が接着している状態を示し、図8(B)は、接着部30が分離されている状態を示す。
【0063】
第1実施形態の軽減部40は、接着部30の領域内において、袋本体10の接着層103とスリーブ20の接着層202とが接着する面積を小さくするものである。
第1実施形態の包装袋1において、接着部30が形成される位置に、スリーブ20の接着層202を切断する切断部29が設けられている(図7参照)。
図8(A)に示すように、第1実施形態の包装袋1の接着部30では、袋本体10とスリーブ20とが加熱および加圧されることで、袋本体10の接着層103とスリーブ20の接着層202とが分子レベルで樹脂同士が相溶して強固に接着する。つまり、接着部30では、接着層103と接着層202とが相溶することで一体となり、袋本体10とスリーブ20とが接着している。
軽減部40は、接着部30において切断部29によってスリーブ20の接着層202が切断され、袋本体10とスリーブ20とが接着されない非接着領域40Nが設けられることで形成される。
【0064】
図8(B)に示すように、接着部30において袋本体10とスリーブ20とを分離する場合、切断部29が設けられていない部分においては、袋本体10の接着層103が、一体化した接着層202を介してスリーブ20の基材層201の一部を剥がしながら剥離する。そして、剥離する端部が切断部29に到達すると、切断部29にて接着層202に破断が生じる。
【0065】
ここで、従来の包装袋では、袋本体からスリーブを分離しようとする場合、スリーブの表面の接着層が剥がれながら伸びるため、剥離の抵抗が非常に大きく、また、剥離箇所の美麗性が低いものであった。
これに対して、本実施形態の包装袋1では、接着部30において軽減部40の切断部29が設けられていることで、スリーブ20の表面の接着層202が切断部29を起点に分断され、伸び難くなっている。従って、本実施形態の包装袋1では、袋本体10とスリーブ20とを分離しようとする際の剥離の抵抗が小さく、また、剥離箇所の美麗性も高くなる。
このように、軽減部40は、接着部30において袋本体10とスリーブ20とを剥離するのに要する力を低減する。そのため、第1実施形態の包装袋1は、袋本体10とスリーブ20とを容易に分離することができる。
【0066】
ここで、例えば袋本体10とスリーブ20とに対して接着部30を形成した際に、接着層202を構成する樹脂材料が溶融して切断部29における切れ目に入り込む可能性がある。仮に、接着層202を構成する樹脂材料が切断部29の切れ目に入り込んでしまった場合には、切断部29においても接着層202が繋がって、袋本体10とスリーブ20とを剥離する際、切断部29にて接着層202が破断し難くなることが想定される。
これに対して、図5(A)に示すように、例えば第1切断部291の切れ目910は、第1接着部31の左右方向における幅よりも長く形成される。これによって、袋本体10とスリーブ20との分離が行われる際、例えば第1接着部31に跨がっている切れ目910にて接着層202の破断が生じなかったとしても、第1接着部31の範囲から外れた部分の切れ目910によって接着層202を破断させることができる。
【0067】
また、例えば第1切断部291の切れ目910を第1接着部31の幅よりも長く形成することで、例えば袋本体10にスリーブ20を挿入した際にスリーブ20が袋本体10に対して予め定められた位置からずれた場合であっても、その位置ずれに対応することができる。
【0068】
そして、上述した内容は、第1切断部291の切れ目910と第1接着部31との関係に限定されず、他の接着部と他の切断部の切れ目との関係においても同様である。
【0069】
図9は、第1実施形態の包装袋1の製造方法のフローチャートである。
図9に示すように、第1シール部14および第2シール部15が設けられ、袋状に形成された袋本体10を準備する(S101)。また、切断部29が形成されたスリーブ20を準備する(S102)。そして、袋本体10の内側にスリーブ20を挿入し、袋本体10とスリーブ20とを重ねる(S103)。さらに、袋本体10に対するスリーブ20の位置合わせを行う(S104)。
【0070】
その後、熱融着を行う治具であるヒートシールバー(不図示)を用いて、袋本体10とスリーブ20とを加圧しながら加熱する(S105)。このとき、ヒートシールバーは、袋本体10におけるスリーブ20の切断部29との対向箇所に対して当てられる。また、ヒートシールバーの加熱温度は、接着層103および接着層202を構成する樹脂材料の融点よりも高い温度に設定される。
そして、袋本体10とスリーブ20とが熱融着され、切断部29が設けられる箇所に、袋本体10とスリーブ20とを接着する接着部30が形成される(S106)。また、接着部30が形成されるスリーブ20の位置には切断部29が設けられているため、接着部30には軽減部40が形成される(S107)。
【0071】
次に、包装袋1の組立てについて説明する。
図10は、第1実施形態の包装袋1の組立て手順の説明図である。
【0072】
図10(1)に示すように、袋本体10とスリーブ20とが接着部30により接着された包装袋1を準備する。この状態において、包装袋1は、扁平状に形成される。
【0073】
そして、例えば、袋本体10におけるスリーブ20の第1面20Aの対向箇所と、袋本体10におけるスリーブ20の第3面20Cの対向箇所とを、それぞれ吸着治具(不図示)によって吸着することで引っ張る。
さらに、図10(2)に示すように、スリーブ20の各折溝28を山折りにすることで、スリーブ20を箱状にする。なお、本実施形態では、例えば、第1面部21の第1面20Aに第1接着部31および第2接着部32が設けられているため、袋本体10の第1面部11を介してスリーブ20を引っ張ることができる。これは、袋本体10の反対側の第2面部12(図2参照)においても同様である。そして、包装袋1は、スリーブ20が箱状に形成されることで、袋本体10もスリーブ20によって箱状に維持される。
【0074】
その後、箱状のスリーブ20に対応する直方体形状の治具(不図示)を、スリーブ20の内側に挿入する。そして、図10(3)に示すように、スリーブ20の上下方向における下側に張り出した袋本体10の三角形状部10tを、袋本体10の中心側に向けて折り曲げ、袋本体10に接着する。
なお、三角形状部10tの袋本体10に対する接着は、ホットメルト剤などの接着剤を用いた接着、両面粘着テープ等による接着、シール剤を用いて部分的にシールするパートコートなど各種の方法を用いることができる。また、三角形状部10tの袋本体10に対する接着は、基材層101の外側に接着層を設けた場合には、熱融着によって行うことができる。
【0075】
そして、開口部16(図10(1)参照)から内容物を包装袋1内に収容する。さらに、図10(4)に示すように、開口部16を接着することで、包装袋1を密封する。開口部16の接着は、第1シール部14や第2シール部15と同様に、熱融着によって行うことができる。
【0076】
その後、図10(5)に示すように、スリーブ20の上下方向における上側に張り出した袋本体10の上部10jを折り曲げて、スリーブ20の第1開口部26に沿うようにする。さらに、上部10jにおいて三角形状に形成される三角形状部10sを、袋本体10の側面側に向けて折り曲げ、袋本体10に接着する。
なお、三角形状部10sの袋本体10に対する接着は、三角形状部10tと同様な方法を用いることができる。
【0077】
最終的に、図10(6)に示すように、袋本体10は、箱状に形成されるスリーブ20に沿って折り込まれることで、直方体になる。
【0078】
そして、本実施形態の包装袋1は、接着部30を部分的に設けることによって、袋本体10にシワの要因となる歪みが生じた場合であっても、その歪みを逃がすことができる。
また、図10(6)に示すように、本実施形態の包装袋1は、折溝28の近傍に上下方向に沿った接着部30を形成しないようにしている。これによって、スリーブ20を箱状に組立てた際に、山折りとなる折溝28において袋本体10が自由に動けるようになる。さらに、本実施形態の袋本体10に主たる面を形成するスリーブ20の第1面20Aには、上下方向に延びる接着部30を形成せず、第1面20A以外の第2面20Bおよび第4面20D(図5参照)に上下方向に延びる接着部30(例えば、第4接着部34)を形成している。これによって、組立状態の袋本体10において、袋本体10の主たる面が第4接着部34等に引っ張られて緊張し、主たる面においてフィルム10Fが延伸されてシワが形成され難くなっている。
【0079】
さらに、図10(6)に示すように、本実施形態の包装袋1は、第1面20Aにおける上側と下側の端部に、それぞれ第1接着部31および第2接着部32が左右方向に沿って形成されている。これによって、下側にて三角形状部10tを折り込むこと(図10(3)参照)や、上側にて上部10jおよび三角形状部10sを折り込むこと(図10(5)参照)によって生じる袋本体10の歪みが、主たる面に及び難くなっている。
【0080】
続いて、変形例の切断部29について説明する。
図11は、変形例の切断部29の説明図である。
なお、変形例の切断部29の説明では、第1接着部31に対向して設けられる第1切断部291と、第3接着部33に対向して設けられる第3切断部293を代表例として説明する。
【0081】
図11(A)に示すように、変形例の第1切断部291は、第1接着部31に沿って左右方向に延びて設けられる複数の第1切れ目911を有している。複数の第1切れ目911は、それぞれ第1接着部31の左右方向の幅よりも長く形成される。また、変形例の第1切断部291は、第1接着部31と交差する方向である上下方向に延びて設けられる複数の第2切れ目912を有している。複数の第2切れ目912は、それぞれ第1接着部31の上下方向における幅よりも長く形成される。そして、第1切れ目911と第2切れ目912とは、互いに交差して設けられている。つまり、第1切断部291は、格子状に形成された切れ目によって構成される。
このように、格子状に形成される第1切断部291を有する包装袋1は、袋本体10とスリーブ20とを分離する際に、上下方向および左右方向のいずれの方向から引っ張った場合であっても接着層202が破断し易くなり、より分離し易くなっている。
【0082】
また、図11(B)に示すように、変形例の第1切断部291は、第1接着部31に対して斜めに延びて設けられる複数の第3切れ目913を有している。複数の第3切れ目913は、それぞれ上下方向において第1接着部31よりも長く形成される。
このように、斜めに形成される第1切断部291を有する包装袋1は、袋本体10とスリーブ20とを分離する際に、例えば左右方向の一方から他方に向けて剥離することで、第3切れ目913において接着層202が徐々に破断することで、分離し易くなっている。
【0083】
図11(C)に示すように、変形例の第3切断部293は、第3接着部33に沿って上下方向に延びて設けられる複数の第1切れ目931を有している。複数の第1切れ目931は、それぞれ第3接着部33の上下方向における幅よりも長く形成される。また、変形例の第3切断部293は、第3接着部33と交差する方向である左右方向に延びて設けられる複数の第2切れ目932を有している。複数の第2切れ目932は、それぞれ第3接着部33の左右方向における幅よりも長く形成される。そして、第1切れ目931と第2切れ目932とは、互いに交差して設けられている。
【0084】
また、図11(D)に示すように、変形例の第3切断部293は、第3接着部33に対して斜めに延びて設けられる複数の第3切れ目933を有している。複数の第3切れ目933は、それぞれ第3接着部33の左右方向における幅よりも長く形成される。
【0085】
図12および図13は、他の変形例の切断部29の説明図である。
なお、他の変形例の切断部29の説明では、第1接着部31に対向して設けられる第1切断部291を代表例として説明する。
【0086】
図12に示すように、他の変形例の第1切断部291は、左右方向に沿って長く延びる直線状の切れ目914と、左右方向に長い矩形状の切れ目915とを有している。なお、切れ目914および切れ目915は、それぞれ、実線であっても、ミシン目や一点鎖線などの点線であっても構わない。
直線状の切れ目914は、第1接着部31の左右方向における幅よりも長く形成される。そして、切れ目914は、第1接着部31に跨がって設けられ、第1接着部31を横断する。
【0087】
また、矩形状の切れ目915は、第1接着部31よりも大きく形成され、第1接着部31を取り囲むように設けられる。つまり、切れ目915は、第1接着部31よりも外側にて、第1接着部31に対して離れた位置に設けられる。このように、少なくとも、矩形状の切れ目915を第1接着部31よりも大きく形成することによって、例えば袋本体10にスリーブ20を挿入した際にスリーブ20が袋本体10に対して予め定められた位置からずれた場合であっても、その位置ずれに対応することができる。これによって、変形例の包装袋1では、切れ目915と第1接着部31とが重ならないようにしている。なお、切れ目915は、第1接着部31に対して、例えば0.5mm以上であって3mm以下、外側に離れた位置に設けられることが好ましい。
【0088】
そして、他の変形例の包装袋1では、袋本体10とスリーブ20との分離が行われる際、例えば第1接着部31に跨がっている切れ目914にて接着層202の破断が生じなかったとしても、第1接着部31の範囲から外れた位置に設けられる矩形状の切れ目915によって接着層202を破断させることができる。
【0089】
図13に示すように、他の変形例の第1切断部291は、左右方向に沿って長く延びる内側切れ目916および外側切れ目917を有している。なお、内側切れ目916および外側切れ目917は、それぞれ、実線であっても、ミシン目や一点鎖線などの点線であっても構わない。
内側切れ目916は、直線状に形成され、第1接着部31の左右方向における幅よりも長く形成される。そして、内側切れ目916は、第1接着部31に跨がって設けられ、第1接着部31を横断する。
【0090】
外側切れ目917は、直線状に形成され、第1接着部31の左右方向における幅よりも長く形成される。また、外側切れ目917は、複数設けられる。この例において、一方の外側切れ目917は、第1接着部31よりも上側に設けられ、他方の外側切れ目917は、第1接着部31よりも下側に設けられる。このように、外側切れ目917は、第1接着部31よりも外側にて、第1接着部31に対して離れた位置に設けられる。このように、少なくとも、外側切れ目917を第1接着部31から離れた位置に形成することによって、例えば袋本体10にスリーブ20を挿入した際にスリーブ20が袋本体10に対して予め定められた位置からずれた場合であっても、その位置ずれに対応することができる。これによって、変形例の包装袋1では、外側切れ目917と第1接着部31とが重ならないようにしている。なお、外側切れ目917は、例えば第1接着部31に対して、0.5mm以上であって3mm以下、外側に離れた位置に設けられることが好ましい。
【0091】
なお、内側切れ目916および外側切れ目917の数は、図13に示す例に限定されない。
【0092】
そして、図13に示す他の変形例の包装袋1では、袋本体10とスリーブ20との分離が行われた際、例えば第1接着部31に跨がっている内側切れ目916にて接着層202の破断が生じなかったとしても、第1接着部31の範囲から外れた位置に設けられる外側切れ目917によって接着層202を破断させることができる。
【0093】
<第2実施形態>
図14は、第2実施形態の包装袋1の全体図である。
なお、第2実施形態の包装袋1において第1実施形態と同様な構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0094】
第2実施形態のスリーブ20は、第1実施形態のスリーブ20に設けられる切断部29を有していない。そして、第2実施形態の包装袋1は、接着部50の構成が上述した第1実施形態の接着部30とは異なる。
【0095】
〔接着部50〕
図14に示すように、第2実施形態の包装袋1において、接着部50は、第1接着部51、第2接着部52、第3接着部53、第4接着部54、第5接着部55および第6接着部56を有する。そして、第2実施形態の包装袋1において、袋本体10とスリーブ20とは、接着部50によって接着される。さらに、第2実施形態の包装袋1では、接着部50に設けられ、袋本体10の接着層103とスリーブ20の接着層202とが熱融着しない例えば第1非接着領域51Nを有している。そして、第2実施形態の包装袋1は、袋本体10とスリーブ20とをユーザが分離し易くなっている。
【0096】
なお、第2実施形態の第1接着部51、第2接着部52、第3接着部53、第4接着部54、第5接着部55および第6接着部56の包装袋1における配置は、それぞれ、第1実施形態の第1接着部31、第2接着部32、第3接着部33、第4接着部34、第5接着部35および第6接着部56と同様である。
【0097】
そして、第1接着部51は、矩形状の接着領域510が左右方向に沿って複数並べられて形成される。ここで、例えば、各々の接着領域510は、第1接着部51が形成される範囲において、袋本体10の接着層103とスリーブ20の接着層202とが熱融着した部分であり、接着層103を構成する樹脂と接着層202を構成する樹脂とが分子レベルで相溶している部分である。そして、第1接着部51は、離散的に並べられた複数の接着領域510によって、全体として一本の帯状に形成される。そして、隣り合う接着領域510同士の間には、接着層103と接着層202とが熱融着しない第1非接着領域51Nが形成される。第1非接着領域51Nは、上下方向に延びて形成される。
また、第2接着部52は、配置以外の構成は、第1接着部51と同様に形成される。
【0098】
第3接着部53は、矩形状の接着領域530が上下方向に沿って複数並べられて形成される。そして、第3接着部53は、離散的に並べられた複数の接着領域530によって、全体として一本の帯状に形成される。そして、隣り合う接着領域530同士の間には、接着層103と接着層202とが熱融着しない第3非接着領域53Nが形成される。第3非接着領域53Nは、左右方向に延びて形成される。
また、第4接着部54は、配置以外の構成は、第3接着部53と同様に形成される。
【0099】
第5接着部55および第6接着部56は、配置以外の構成は、第1接着部51と同様に形成される。
【0100】
第2実施形態の接着部50は、第1接着部51、第2接着部52、第3接着部53、第4接着部54、第5接着部55および第6接着部56にそれぞれ対応する形状の加熱面を有するヒートシールバー(不図示)を、袋本体10内にスリーブ20が挿入された状態で、袋本体10の外側から押し当てることで形成される。そして、例えば第1接着部51を形成するヒートシールバーの加熱面は、接着領域510の形状に対応する加熱部が離散的に複数並べられるとともに、隣り合う加熱部との間には第1非接着領域51Nに対応して加熱を行わない非加熱部が設けられる。このヒートシールバーの加熱面の構成は、他の接着部50においても同様である。
【0101】
〔軽減部60〕
図15は、第2実施形態の包装袋1に形成される接着部50および軽減部60の説明図である。なお、以下では、第1接着部51を例に用いて説明する。
【0102】
第2実施形態の軽減部60は、接着部50の領域内において、袋本体10の接着層103とスリーブ20の接着層202とが接着する面積を小さくするものである。
図15(A)に示すように、包装袋1において第1接着部51の接着領域510が形成される部分では、袋本体10とスリーブ20とが加熱および加圧されることで、袋本体10の接着層103とスリーブ20の接着層202とが分子レベルで樹脂同士が相溶して強固に接着する。
そして、軽減部60は、第1接着部51において袋本体10とスリーブ20とが接着されない第1非接着領域51Nが設けられることで形成される。
【0103】
図15(B)に示すように、第1接着部51において袋本体10とスリーブ20とを分離すると、接着領域510が形成される部分は、袋本体10の接着層103が、一体化した接着層202を介してスリーブ20の基材層201の一部を剥がしながら剥離する。そして、剥離する端部が第1非接着領域51Nに到達すると、接着領域510と第1非接着領域51Nとの境界にて接着層202に破断が生じる。その結果、第1実施形態の軽減部40と同様に、袋本体10とスリーブ20とを分離するためにユーザが要する力は、軽減部60が設けられる接着部50の方が、例えば軽減部60が設けられない接着部50よりも小さくなる。
以上のとおり、軽減部60は、接着部50において袋本体10とスリーブ20とを剥離するのに要する力を低減している。従って、第2実施形態の包装袋1は、袋本体10とスリーブ20とを容易に分離することができる。
【0104】
次に、変形例の接着部50について説明する。
図16は、変形例の接着部50の説明図である。
なお、変形例の接着部50の説明では、第1接着部51と第3接着部53とを代表例として説明する。
【0105】
図16(A)に示すように、変形例の第1接着部51は、左右方向に長く延びる矩形状の接着領域511が、上下方向において複数並べられて形成される。そして、変形例の第1接着部51は、複数の接着領域511によって、全体として一本の帯状に形成される。そして、隣り合う接着領域511同士の間には、接着層103と接着層202とが接着しない第1非接着領域51Nが形成される。変形例の第1非接着領域51Nは、左右方向に長く延びて形成される。
【0106】
図16(B)に示すように、変形例の第1接着部51は、平行四辺形状の接着領域512が左右方向において複数並べて形成される。そして、変形例の第1接着部51は、複数の接着領域512によって、全体として一本の帯状に形成される。そして、隣り合う接着領域512同士の間には、接着層103と接着層202とが接着しない第1非接着領域51Nが形成される。変形例の第1非接着領域51Nは、斜めに延びて形成される。
【0107】
図16(C)に示すように、変形例の第3接着部53は、上下方向に長く延びる矩形状の接着領域531が、左右方向において複数並べられて形成される。そして、変形例の第3接着部53は、複数の接着領域531によって、全体として一本の帯状に形成される。そして、隣り合う接着領域531同士の間には、接着層103と接着層202とが接着しない第3非接着領域53Nが形成される。変形例の第3非接着領域53Nは、上下方向に長く延びて形成される。
【0108】
図16(D)に示すように、変形例の第3接着部53は、平行四辺形状の接着領域532が上下方向において複数並べて形成される。そして、変形例の第3接着部53は、複数の接着領域532によって、全体として一本の帯状に形成される。そして、隣り合う接着領域532同士の間には、袋本体10の接着層103とスリーブ20の接着層202とが接着しない第3非接着領域53Nが形成される。変形例の第3非接着領域53Nは、斜めに延びて形成される。
なお、第2実施形態および変形例において、各々の接着領域は、接着層103と接着層202とが熱融着されていれば良く、上述した形状に限定されない。
【0109】
なお、第1実施形態の接着部30および第2実施形態の接着部50において、それぞれ袋本体10とスリーブ20とを熱融着によって接着しているが、この態様に限定されない。例えば、第1実施形態の接着部30は、スリーブ20の接着層を粘着面によって構成するとともに、粘着面を切断する切断部を設ける。これによって、接着部30において袋本体10とスリーブ20とを分離し易くしても良い。また、例えば、第2実施形態の接着部50は、接着剤を島状に離散的に塗布して構成することで、袋本体10とスリーブ20とが接着しない非接着領域を設ける。これによって、接着部50において袋本体10とスリーブ20とを分離し易くしても良い。
【0110】
また、上述した実施形態においては、袋本体10の内側にスリーブ20が内包される態様について説明したが、この態様に限定されない。例えば、袋本体10の外側にスリーブ20が設けられ、袋本体10を所定の形状に維持するように構成しても構わない。
【符号の説明】
【0111】
1…包装袋、10…袋本体、20…スリーブ、29…切断部、30…接着部、40…軽減部、40N…非接着領域、50…接着部、51N…第1非接着領域、60…軽減部、101…基材層、102…中間層、103…接着層、201…基材層、202…接着層
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