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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/00 20070101AFI20231011BHJP
【FI】
H02M1/00 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019199617
(22)【出願日】2019-11-01
(65)【公開番号】P2021072740
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宅間 徹
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/047553(WO,A1)
【文献】特開2014-124090(JP,A)
【文献】特開2018-129908(JP,A)
【文献】国際公開第2017/187785(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108390549(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源端子と出力端子との間に接続されるスイッチ素子と;
前記スイッチ素子のオン期間に流れる出力電流が閾値よりも小さいときに前記スイッチ素子をオフすることなく前記出力端子の出力電圧を第1電圧と一致させるように前記スイッチ素子のオン抵抗を引き上げると共に、前記出力電圧に基づいて前記出力端子の負荷オープンと天絡を判別する出力異常検出回路と;
を有するスイッチ装置。
【請求項2】
前記出力異常検出回路は、前記出力電圧と前記第1電圧よりも高い第2電圧とを比較して前記出力端子の負荷オープンと天絡を判別する、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記出力異常検出回路は、前記出力電圧が前記第2電圧よりも低いときに前記出力端子が負荷オープンしていると判別し、前記出力電圧が前記第2電圧よりも高いときに前記出力端子が天絡していると判別する、請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記出力異常検出回路は、
前記出力電流に応じた出力電流検出信号またはセンス電圧と所定の閾値電圧とを比較して出力異常検出信号を生成する第1コンパレータと、
前記出力電圧と前記第1電圧とを比較してオン抵抗制御信号を生成する第2コンパレータと、
前記出力電圧と前記第2電圧とを比較して判別信号を生成する第3コンパレータと、
を含む、請求項3に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記第2コンパレータ及び前記第3コンパレータは、いずれも前記出力異常検出信号に応じてイネーブル制御される、請求項4に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記出力異常検出回路は、
前記電源端子と前記第1電圧の印加端との間に接続された第1抵抗と、
前記電源端子と前記第2電圧の印加端との間に接続された第2抵抗と、
前記第1電圧の印加端と定電位端との間に接続された第1電流源と、
前記第2電圧の印加端と前記定電位端との間に接続された第2電流源と、
をさらに含む、請求項4又は5に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載のスイッチ装置と、
前記スイッチ装置に接続される負荷と、
を有する電子機器。
【請求項8】
前記負荷は、バルブランプ、リレーコイル、ソレノイド、発光ダイオード、または、モータである、請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の電子機器を有する車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、以前より、車載IPD[intelligent power device]などのスイッチ装置に関して、数多くの新技術を提案している(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/187785号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のスイッチ装置では、出力異常状態の判別(特に、ハイサイドスイッチLSIのスイッチオン期間における負荷オープンと天絡の切り分け)について、更なる改善の余地があった。
【0005】
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者により見出された上記課題に鑑み、出力異常状態を適切に判別することのできるスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書中に開示されているスイッチ装置は、電源端子と出力端子との間に接続されるスイッチ素子と;前記スイッチ素子のオン期間に流れる出力電流が閾値よりも小さいときに出力異常状態であることを検出し、前記スイッチ素子のオン抵抗を引き上げると共に、前記出力端子の出力電圧に基づいて前記出力端子の負荷オープンと天絡を判別する出力異常検出回路と;を有する構成(第1の構成)とされている。
【0007】
なお、上記第1の構成から成るスイッチ装置において、前記出力異常検出回路は、前記出力電圧を第1電圧と一致させるように前記オン抵抗を引き上げる構成(第2の構成)にするとよい。
【0008】
また、上記第2の構成から成るスイッチ装置において、前記出力異常検出回路は、前記出力電圧と前記第1電圧よりも高い第2電圧とを比較して前記出力端子の負荷オープンと天絡を判別する構成(第3の構成)にするとよい。
【0009】
また、上記第3の構成から成るスイッチ装置において、前記出力異常検出回路は、前記出力電圧が前記第2電圧よりも低いときに前記出力端子が負荷オープンしていると判別して、前記出力電圧が前記第2電圧よりも高いときに前記出力端子が天絡していると判別する構成(第4の構成)にするとよい。
【0010】
また、上記第4の構成から成るスイッチ装置において、前記出力異常検出回路は、前記出力電流に応じた出力電流検出信号またはセンス電圧と所定の閾値電圧とを比較して出力異常検出信号を生成する第1コンパレータと、前記出力電圧と前記第1電圧とを比較してオン抵抗制御信号を生成する第2コンパレータと、前記出力電圧と前記第2電圧とを比較して判別信号を生成する第3コンパレータと、を含む構成(第5の構成)にするとよい。
【0011】
また、上記第5の構成から成るスイッチ装置において、前記第2コンパレータ及び前記第3コンパレータは、いずれも前記出力異常検出信号に応じてイネーブル制御される構成(第6の構成)にするとよい。
【0012】
また、上記第5または第6の構成から成るスイッチ装置において、前記出力異常検出回路は、前記電源端子と前記第1電圧の印加端との間に接続された第1抵抗と、前記電源端子と前記第2電圧の印加端との間に接続された第2抵抗と、前記第1電圧の印加端と定電位端との間に接続された第1電流源と、前記第2電圧の印加端と前記定電位端との間に接続された第2電流源と、をさらに含む構成(第7の構成)にするとよい。
【0013】
また、本明細書中に開示されている電子機器は、上記第1~第7いずれかの構成から成るスイッチ装置と、前記スイッチ装置に接続される負荷と、を有する構成(第8の構成)とされている。
【0014】
なお、上記第8の構成から成る電子機器において、前記負荷は、バルブランプ、リレーコイル、ソレノイド、発光ダイオード、または、モータである構成(第9の構成)にするとよい。
【0015】
また、本明細書中に開示されている車両は、上記第8または第9の構成から成る電子機器を有する構成(第10の構成)とされている。
【発明の効果】
【0016】
本明細書中に開示されている発明によれば、出力異常状態を適切に判別することのできるスイッチ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】半導体集積回路装置の全体構成を示す図
図2】ゲート制御部の一構成例を示す図
図3】出力電流検出部の一構成例を示す図
図4】スイッチオン期間における地絡の様子を示す図
図5】スイッチオン期間における負荷オープンの様子を示す図
図6】スイッチオン期間における天絡の様子を示す図
図7】出力異常検出回路の一構成例を示す図
図8】ゲートドライバの一構成例を示す図
図9】負荷オープン検出動作の一例を示す図
図10】天絡検出動作の一例を示す図
図11】車両の一構成例を示す外観図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<半導体集積回路装置>
図1は、半導体集積回路装置の全体構成を示す図である。本構成例の半導体集積回路装置1は、ECU[electronic control unit]2からの指示に応じて電源電圧VBBの印加端と負荷3との間を導通/遮断する車載用ハイサイドスイッチLSI(=車載IPDの一種)である。
【0019】
なお、半導体集積回路装置1は、装置外部との電気的な接続を確立するための手段として、外部端子T1~T5を備えている。外部端子T1は、不図示のバッテリから電源電圧VBB(例えば12V)の供給を受け付けるための電源端子(VBBピン)である。外部端子T2は、負荷3(バルブランプ、リレーコイル、ソレノイド、発光ダイオード、または、モータなど)を外部接続するための負荷接続端子ないしは出力端子(OUTピン)である。外部端子T3は、ECU2から外部制御信号Siの外部入力を受け付けるための信号入力端子(INピン)である。外部端子T4は、ECU2に出力異常報知信号FAILを外部出力するための信号出力端子(FAILピン)である。外部端子T5は、ECU2に出力電流検出信号SENSEを外部出力するための信号出力端子(SENSEピン)である。なお、外部端子T5と接地端との間には、外部センス抵抗4が外付けされている。
【0020】
また、半導体集積回路装置1は、NMOSFET10と、出力電流監視部20と、ゲート制御部30と、制御ロジック部40と、信号入力部50と、内部電源部60と、異常保護部70と、出力電流検出部80と、を集積化して成る。
【0021】
NMOSFET10は、ドレインが外部端子T1に接続されてソースが外部端子T2に接続された高耐圧(例えば42V耐圧)のパワートランジスタである。このように接続されたNMOSFET10は、電源電圧VBBの印加端から負荷3を介して接地端に至る電流経路を導通/遮断するためのスイッチ素子(ハイサイドスイッチ)として機能する。なお、NMOSFET10は、ゲート駆動信号G1がハイレベルであるときにオンし、ゲート駆動信号G1がローレベルであるときにオフする。
【0022】
また、NMOSFET10は、オン抵抗Ronが数十mΩとなるように素子を設計すればよい。ただし、NMOSFET10のオン抵抗Ronが低いほど、外部端子T2の地絡(=接地端ないしはこれに準ずる低電位端への短絡異常)が発生したときに過電流が流れやすくなり、異常発熱を生じやすくなる。従って、NMOSFET10のオン抵抗Ronを下げるほど、後述する過電流保護回路71や温度保護回路73の重要性が高くなる。
【0023】
出力電流監視部20は、NMOSFET21及び22と、センス抵抗23とを含み、NMOSFET10に流れる出力電流Ioに応じたセンス電圧Vs(=センス信号に相当)を生成する。
【0024】
NMOSFET21及び22は、いずれもNMOSFET10に対して並列に接続されたミラートランジスタであり、出力電流Ioに応じたセンス電流Is及びIs2を生成する。NMOSFET10とNMOSFET21及び22とのサイズ比は、m:1(ただしm>1)である。従って、センス電流Is及びIs2は、出力電流Ioを1/mに減じた大きさとなる。なお、NMOSFET21及び22は、NMOSFET10と同様、ゲート駆動信号G1がハイレベルであるときにオンし、ゲート電圧G1がローレベルであるときにオフする。
【0025】
センス抵抗23(抵抗値:Rs)は、NMOSFET21のソースと外部端子T2との間に接続されており、センス電流Isに応じたセンス電圧Vs(=Is×Rs+Vo、ただし、Voは外部端子T2に現れる出力電圧)を生成する電流/電圧変換素子である。
【0026】
ゲート制御部30は、ゲート制御信号S1の電流能力を高めたゲート駆動信号G1を生成してNMOSFET10(並びにNMOSFET21及び22)のゲートに出力することにより、NMOSFET10のオン/オフ制御を行う。なお、ゲート制御部30は、過電流保護信号S71に応じて出力電流Ioを制限するようにNMOSFET10を制御する機能を備えている。また、ゲート制御部30は、出力異常検出信号S72(具体的には後述のオン抵抗制御信号S72b)に応じてNMOSFET10のオン抵抗Ron(延いてはドレイン・ソース間電圧Vds)を制御する機能も備えている。
【0027】
制御ロジック部40は、内部電源電圧Vregの供給を受けてゲート制御信号S1を生成する。例えば、外部制御信号Siがハイレベル(=NMOSFET10をオンさせるときの論理レベル)であるときには、内部電源部60から内部電源電圧Vregが供給されるので、制御ロジック部40が動作状態となり、ゲート制御信号S1がハイレベル(=Vreg)となる。一方、外部制御信号Siがローレベル(=NMOSFET10をオフさせるときの論理レベル)であるときには、内部電源部60から内部電源電圧Vregが供給されないので、制御ロジック部40が非動作状態となり、ゲート制御信号S1がローレベル(=GND)となる。また、制御ロジック部40は、異常保護部70の各種出力信号を監視している。特に、制御ロジック部40は、出力異常検出信号S72(具体的には、後述の出力異常検出信号S72aと判別信号S72c)の監視結果に応じて、出力異常報知信号FAILを生成する機能も備えている。
【0028】
信号入力部50は、外部端子T3から外部制御信号Siの入力を受け付けて制御ロジック部40や内部電源部60に伝達するシュミットトリガである。なお、外部制御信号Siは、例えば、NMOSFET10をオンさせるときにハイレベルとなり、NMOSFET10をオフさせるときにローレベルとなる。
【0029】
内部電源部60は、電源電圧VBBから所定の内部電源電圧Vregを生成して半導体集積回路装置1の各部に供給する。なお、内部電源部60の動作可否は、外部制御信号Siに応じて制御される。より具体的に述べると、内部電源部60は、外部制御信号Siがハイレベルであるときに動作状態となり、外部制御信号Siがローレベルであるときに非動作状態となる。
【0030】
異常保護部70は、半導体集積回路装置1の各種異常を検出する回路ブロックであり、過電流保護回路71と、出力異常検出回路72と、温度保護回路73と、減電圧保護回路74と、を含む。
【0031】
過電流保護回路71は、センス電圧Vsの監視結果(=出力電流Ioの過電流異常が生じているか否か)に応じた過電流保護信号S71を生成する。なお、過電流保護信号S71は、例えば、異常未検出時にローレベルとなり、異常検出時にハイレベルとなる。
【0032】
出力異常検出回路72は、出力電圧Voと出力電流検出信号SENSEを監視して、外部端子T2の負荷オープンないしは天絡(=電源電圧VBBの印加端ないしはこれに準ずる高電位端への短絡異常)が生じているか否かを検出し、その検出結果に応じた出力異常検出信号S72(詳細は後述するが、出力異常検出信号S72a、オン抵抗制御信号S72b及び判別信号S72cを含む)を生成する。なお、出力異常検出信号S72aは、例えば、異常未検出時にローレベルとなり、異常検出時にハイレベルとなる。
【0033】
温度保護回路73は、半導体集積回路装置1(特にNMOSFET10周辺)の異常発熱を検出する温度検出素子(不図示)を含み、その検出結果(=異常発熱が生じているか否か)に応じた温度保護信号S73を生成する。なお、温度保護信号S73は、例えば、異常未検出時にローレベルとなり、異常検出時にハイレベルとなる。
【0034】
減電圧保護回路74は、電源電圧VBBないしは内部電源電圧Vregの監視結果(=減電圧異常が生じているか否か)に応じた減電圧保護信号S74を生成する。なお、減電圧保護信号S74は、例えば、異常未検出時にローレベルとなり、異常検出時にハイレベルとなる。
【0035】
出力電流検出部80は、不図示のバイアス手段を用いて、NMOSFET22のソース電圧と出力電圧Voとを一致させることにより、出力電流Ioに応じたセンス電流Is2(=Io/m)を生成して外部端子T5に出力する。従って、ECU2には、センス電流Is2を外部センス抵抗4(抵抗値:R4)で電流/電圧変換した出力電流検出信号SENSE(=Is2×R4)が伝達される。出力電流検出信号SENSEは、出力電流Ioが大きいほど高くなり、出力電流Ioが小さいほど低くなる。なお、出力電流検出信号SENSEから出力電流Ioの電流値を読み取る場合には、出力電流検出信号SENSEをECU2でA/D[analog-to-digital]変換してやればよい。
【0036】
<ゲート制御部>
図2は、ゲート制御部30の一構成例を示す図である。本図のゲート制御部30は、ゲートドライバ31と、オシレータ32と、チャージポンプ33と、クランパ34と、NMOSFET35と、抵抗36(抵抗値:R36)と、キャパシタ37(容量値:C37)と、ツェナダイオード38と、を含む。
【0037】
ゲートドライバ31は、チャージポンプ33の出力端(=昇圧電圧VGの印加端)と外部端子T2(=出力電圧Voの印加端)との間に接続されており、ゲート制御信号S1の電流能力を高めたゲート駆動信号G1を生成する。なお、ゲート駆動信号G1は、ゲート制御信号S1がハイレベルであるときにハイレベル(=VG)となり、ゲート制御信号S1がローレベルであるときにローレベル(=Vo)となる。
【0038】
また、ゲートドライバ31は、出力異常保護信号S72(特にオン抵抗制御信号S72b)に応じてNMOSFET10のオン抵抗Ron(延いてはドレイン・ソース間電圧Vds)を変化させるようにゲート駆動信号G1を制御する機能も備えている。
【0039】
オシレータ32は、所定周波数のクロック信号CLKを生成してチャージポンプ33に出力する。なお、オシレータ32の動作可否は、制御ロジック部40からのイネーブル信号Saに応じて制御される。
【0040】
チャージポンプ33は、クロック信号CLKを用いてフライングキャパシタを駆動することにより、電源電圧VBBよりも高い昇圧電圧VGを生成してゲートドライバ31に供給する昇圧部の一例である。なお、チャージポンプ33の動作可否は、制御ロジック部40からのイネーブル信号Sbに応じて制御される。
【0041】
クランパ34は、外部端子T1(=電源電圧VBBの印加端)とNMOSFET10のゲートとの間に接続されている。外部端子T2に誘導性の負荷3が接続されるアプリケーションでは、NMOSFET10をオンからオフへ切り替える際、負荷3の逆起電力により、出力電圧Voが負電圧(<GND)となる。そのため、エネルギー吸収用にクランパ34(いわゆるアクティブクランプ回路)が設けられている。
【0042】
NMOSFET35のドレインは、NMOSFET10のゲートに接続されている。NMOSFET35のソースは、外部端子T2に接続されている。NMOSFET35のゲートは、過電流保護信号S71の印加端に接続されている。また、NMOSFET35のドレイン・ゲート間には、抵抗36とキャパシタ37が直列に接続されている。
【0043】
ツェナダイオード38のカソードは、NMOSFET10のゲートに接続されている。ツェナダイオード38のアノードは、NMOSFET10のソースに接続されている。このように接続されたツェナダイオード38は、NMOSFET10のゲート・ソース間電圧(=VG-Vo)を所定値以下に制限するクランプ素子として機能する。
【0044】
本構成例のゲート制御部30において、過電流保護信号S71がハイレベルに立ち上げられると、ゲート駆動信号G1が定常時のハイレベル(=VG)から所定の時定数τ(=R36×C37)で引き下げられていく。その結果、NMOSFET10の導通度が徐々に低下していくので、出力電流Ioに制限が掛けられる。一方、過電流保護信号S71がローレベルに立ち下げられると、ゲート駆動信号G1が所定の時定数τで引き上げられていく。その結果、NMOSFET10の導通度が徐々に上昇していくので、出力電流Ioの制限が解除される。
【0045】
このように、本構成例のゲート制御部30は、過電流保護信号S71に応じて出力電流Ioを制限するようにゲート駆動信号G1を制御する機能を備えている。
【0046】
<出力電流検出部>
図3は、出力電流検出部80の一構成例を示す図である。本構成例の出力電流検出部80は、アンプ81とPMOSFET82を含む。
【0047】
アンプ81の反転入力端(+)は、NMOSFET10のソース(=外部端子T2)に接続されている。アンプ81の非反転入力端(+)とPMOSFET82のソースは、NMOSFET22のソースに接続されている。アンプ81の出力端は、PMOSFET82のゲートに接続されている。PMOSFET82のドレインは、外部端子T5を介して外部センス抵抗4に接続されている。
【0048】
このように接続されたアンプ81及びPMOSFET82は、NMOSFET22のソース電圧と出力電圧Voとを一致させるバイアス手段として機能する。従って、出力電流検出部80では、出力電流Ioに応じたセンス電流Is2(=Io/m)を精度良く生成することが可能となる。
【0049】
<出力異常状態に関する考察>
図4図6は、それぞれ、スイッチオン期間(=NMOSFET10のオン期間)における地絡、負荷オープン、及び、天絡の様子を示す図である。
【0050】
NMOSFET10のオン期間において、出力端子T2に地絡が生じると、図4で示したように、出力電圧Voがほぼ接地電位GNDとなり、かつ、NMOSFET10に過大な出力電流Ioが流れる。すなわち、出力電流Ioが過電流状態となる。従って、Vo≒GND、かつ、S71=H(=過電流検出時の論理レベル)であるときには、出力端子T2が地絡していると判別することが可能である。
【0051】
一方、NMOSFET10のオン期間において、出力端子T2に負荷オープンが生じると、図5で示したように、NMOSFET10から負荷3への電流経路が遮断される。従って、NMOSFET10には、そのソースに繋がる内部回路の抵抗成分Rx(>>Ron)で決まる微小な出力電流Io(=VBB/(Ron+Rx))しか流れなくなる。その結果、出力電圧Vo(=VBB-Ron×Io)がほぼ電源電圧VBBとなる。
【0052】
また、NMOSFET10のオン期間において、出力端子T2に天絡が生じると、図6で示したように、電源電圧VBBの印加端と負荷3との間を直結する短絡経路が形成される。この短絡経路の抵抗成分Ryは非常に小さい(Ry=数mΩ~数十mΩ)。従って、電源電圧VBBの印加端から負荷3に流れる電流の大半は、天絡電流Ivbbsとして上記の短絡経路に流れるので、NMOSFET10には出力電流Ioが殆ど流れなくなる。その結果、出力電圧Vo(=VBB-Ry×Ivbbs)がほぼ電源電圧VBBとなる。
【0053】
このように、NMOSFET10のオン期間において、出力端子T2に負荷オープンまたは天絡が生じたときには、いずれもVo≒VBBとなる。そのため、出力電圧Voを単純に監視しても、出力端子T2に生じた異常が負荷オープンであるのか天絡であるのかを判別することはできない。
【0054】
上記の考察に鑑み、以下では、NMOSFET10のオン期間に出力異常状態を検出するとともに、その出力異常状態が負荷オープンであるのか天絡であるのかを判別することのできる出力異常検出回路72を提案する。
【0055】
<出力異常検出回路>
図7は、出力異常検出回路72の一構成例を示す図である。本構成例の出力異常検出回路72は、コンパレータ72a~72cと、抵抗72d及び72eと、電流源72f及び72gと、を含む。なお、既出の構成要素については、これまでと同様の符号を付すことにより、重複した説明を割愛する。
【0056】
コンパレータ72a(=第1コンパレータに相当)は、反転入力端(-)に入力される電流検出信号SENSEと、非反転入力端(+)に入力される閾値電圧VTHとを比較して、出力異常検出信号S72aを生成する。出力異常検出信号S72aは、SENSE>VTHであるときにローレベル(=異常未検出時の論理レベル)となり、SENSE<VTHであるときにハイレベル(=異常検出時の論理レベル)となる。
【0057】
具体的に述べると、外部端子T2に負荷オープンまたは天絡が生じているときには、NMOSFET10に殆ど出力電流Ioが流れなくなる(先出の図5または図6を参照)。従って、SENSE<VTHとなり、S72a=Hとなる。ただし、出力異常検出信号S72aを監視するだけで負荷オープンと天絡を切り分けることはできない。
【0058】
なお、閾値電圧VTHは、固定値であってもよいし可変値であってもよい。閾値電圧VTHを可変値とする場合には、例えば、閾値電圧VTHとして任意のアナログ電圧が外部入力される外部端子を用意しておくとよい。
【0059】
また、本図では、コンパレータ72aに電流検出信号SENSEが入力される例を挙げたが、電流検出信号SENSEに代えてセンス電圧Vsを入力しても構わない。
【0060】
コンパレータ72b(=第2コンパレータに相当)は、電源電圧VBBと基準電圧VBBM5(=VBB-5V)の印加を受けて動作し、反転入力端(-)に入力される出力電圧Voと、非反転入力端(+)に入力される第1電圧VBB-V1とを比較して、オン抵抗制御信号S72bを生成する。オン抵抗制御信号S72bは、Vo>VBB-V1であるときにローレベル(=オン抵抗Ronを引き上げるときの論理レベル)となり、Vo<VBB-V1であるときにハイレベル(=オン抵抗Ronを引き上げないときの論理レベル)となる。
【0061】
また、コンパレータ72bは、出力異常検出信号S72aに応じてイネーブル制御される。より具体的に述べると、コンパレータ72bは、S72a=Lであるときにディセーブル(非動作状態)となり、S72a=Hであるときにイネーブル(動作状態)となる。
【0062】
なお、ゲートドライバ31は、オン抵抗制御信号S72bに応じてNMOSFET10のオン抵抗Ron(延いてはドレイン・ソース間電圧Vds)を変化させるように、ゲート駆動信号G1を制御する。
【0063】
図8は、ゲートドライバ31の一構成例を示す図である。本構成例のゲートドライバ31は、その出力段を形成するソース電流源311及びシンク電流源312と、これらを制御するコントローラ313と、を含む。
【0064】
ソース電流源311は、昇圧電圧VGの印加端とゲート駆動信号G1の印加端との間に接続されており、ゲート駆動信号G1をハイレベル(=VG)とするときにオンされて、ゲート駆動信号G1の印加端にソース電流IH(=上側ゲート駆動電流)を流し込む。
【0065】
シンク電流源312は、ゲート駆動信号G1の印加端と外部端子T2(=出力電圧Voの印加端)との間に接続されており、ゲート駆動信号G1をローレベル(=Vo)とするときにオンされて、ゲート駆動信号G1の印加端からシンク電流IL(=下側ゲート駆動電流)を引き込む。
【0066】
コントローラ313は、ゲート制御信号S1に応じてソース電流源311及びシンク電流源312を制御することにより、ソース電流IH及びシンク電流ILそれぞれのオン/オフ制御を行う。例えば、コントローラ313は、ゲート制御信号S1がハイレベルであるときに、ソース電流IHをオンしてシンク電流ILをオフすることにより、ゲート駆動信号G1をハイレベル(=VG)とする。一方、コントローラ313は、ゲート制御信号S1がローレベルであるときに、ソース電流IHをオフしてシンク電流ILをオンすることにより、ゲート駆動信号G1をローレベル(=Vo)とする。
【0067】
また、シンク電流ILは、オン抵抗制御信号S72bに応じてオン/オフされる。より具体的に述べると、S72b=Hであるときには、NMOSFET10のオン期間(=本来であればシンク電流ILをオフすべき期間)であってもシンク電流ILがオンされる。その結果、ゲート駆動信号G1がハイレベル(=VG)から低下するので、NMOSFET10のオン抵抗Ronが通常値から引き上げられる。一方、S72b=Lであるときには、シンク電流ILがオフされるので、オン抵抗Ronが通常値に戻される。
【0068】
このように、コンパレータ72bがイネーブル(S72a=H)であるときには、オン抵抗制御信号S72bに応じたシンク電流ILのオン/オフ制御が行われる。その結果、NMOSFET10のオン期間において、出力電圧Voを第1電圧VBB-V1と一致させるように、NMOSFET10のオン抵抗Ronが制御されることになる。
【0069】
図7に戻り、出力異常検出回路72の構成及び動作について、詳細な説明を続ける。
【0070】
コンパレータ72c(=第3コンパレータに相当)は、電源電圧VBBと定電圧VBBM5(=VBB-5V)の印加を受けて動作し、非反転入力端(+)に入力される出力電圧Voと、反転入力端(-)に入力される第2電圧VBB-V2(>VBB-V1)とを比較して、判別信号S72cを生成する。判別信号S72cは、Vo<VBB-V2であるときにローレベル(=負荷オープン時の論理レベル)となり、Vo>VBB-V2であるときにハイレベル(=天絡時の論理レベル)となる。
【0071】
また、コンパレータ72cは、先のコンパレータ72bと同じく、出力異常検出信号S72aに応じてイネーブル制御される。より具体的に述べると、コンパレータ72cは、S72a=Lであるときにディセーブル(非動作状態)となり、S72a=Hであるときにイネーブル(動作状態)となる。
【0072】
抵抗72d(=第1抵抗に相当)は、外部端子T1と第1電圧VBB-V1の印加端との間に接続されている。電流源72f(=第1電流源に相当)は、第1電圧VBB-V1の印加端と定電位端(=VBBM5)との間に接続されている。このように接続された抵抗72d(抵抗値:Rd)及び電流源72f(電流値:If)では、電源電圧VBBよりも所定値V1(=Rd×If)だけ低い第1電圧VBB-V1が生成される。
【0073】
抵抗72e(=第2抵抗に相当)は、外部端子T1と第2電圧VBB-V2の印加端との間に接続されている。電流源72g(=第2電流源に相当)は、第2電圧VBB-V2の印加端と定電位端(=VBBM5)との間に接続されている。このように接続された抵抗72e(抵抗値:Re)及び電流源72g(電流値Ig)では、電源電圧VBBよりも所定値V2(=Re×Ig、V2<V1)だけ低い第2電圧VBB-V2が生成される。
【0074】
なお、本図では、第1電流源72fと第2電流源72gが常に動作する例を挙げたが、コンパレータ72b及び72cと同様、出力異常検出信号S72aに応じてイネーブル制御される構成としても構わない。その場合、第1電流源72f及び第2電流源72gは、それぞれ、S72a=Lであるときにディセーブル(非動作状態)となり、S72a=Hであるときにイネーブル(動作状態)となるようにすればよい。
【0075】
本構成例の出力異常検出回路72によれば、NMOSFET10のオン期間に流れる出力電流Ioが閾値よりも小さいとき(SENSE<VTH)に出力異常状態であることを検出し、NMOSFET10のオン抵抗Ronを引き上げると共に、出力電圧Voに基づいて外部端子T2の負荷オープンと天絡を判別することが可能となる。
【0076】
より具体的に述べると、出力異常検出回路72は、出力電圧Voと第2電圧VBB-V2を比較し、Vo<VBB-V2であるときには負荷オープンと判別し、Vo>VBB-V2であるときには天絡と判別することができる。
【0077】
以下では、図面を参照しながら、出力異常検出動作(負荷オープン/天絡判別動作)について詳述する。
【0078】
<出力異常検出動作(負荷オープン/天絡判別動作)>
図9は、負荷オープン検出動作の一例を示す図であり、上から順に、電流検出信号SENSE、出力電圧Vo、出力異常検出信号S72a、オン抵抗制御信号S72b、及び、判別信号S72cが描写されている。
【0079】
時刻t1以前には、外部端子T2の負荷オープンが発生しておらず、フルオンされたNMOSFET10に出力電流Ioが適切に流れている。従って、電流検出信号SENSEは、閾値電圧VTHよりも高くなっている。また、出力電圧Voは、電源電圧VBBよりもNMOSFET10のドレイン・ソース間電圧V0(=Io×Ron0、ただし、Ron0はフルオン時のオン抵抗)だけ低い電圧VBB-V0となっている。
【0080】
また、時刻t1以前には、SENSE>VTHであることから、S72a=L(異常未検出時の論理レベル)となっている。従って、オン抵抗制御信号S72b及び判別信号S72cは、いずれもディセーブル(例えばハイインピーダンス)とされている。
【0081】
時刻t1において、外部端子T2の負荷オープンが発生すると、NMOSFET10に出力電流Ioが殆ど流れなくなる(先出の図5を参照)。従って、電流検出信号SENSEは、閾値電圧VTHよりも低くなる。
【0082】
このとき、S72a=H(異常検出時の論理レベル)となるので、コンパレータ72bがイネーブルとなる。従って、時刻t1以降、オン抵抗制御信号S72bに応じて、NMOSFET10のオン抵抗Ron(延いてはドレイン・ソース間電圧Vds)が制御されるようになる。
【0083】
なお、外部端子T2が負荷オープンしている場合には、NMOSFET10のオン抵抗Ronを制御することにより、出力電圧Vo(=VBB-Ron×Io)を任意に変化させることが可能である。例えば、本図では、NMOSFET10のオン抵抗Ronをフルオン時のオン抵抗Ron0から引き上げることにより、出力電圧Voが第1電圧VBB-V1(<VBB-V0)に合わせ込まれている。
【0084】
また、S72a=H(異常検出時の論理レベル)になると、コンパレータ72cもイネーブルとなる。従って、時刻t1以降、出力電圧Voと第2電圧VBB-V2との比較結果に応じた判別信号S72cが出力される。本図に即して述べると、Vo(=VBB-V1)<VBB-V2となるので、判別信号S72cがローレベルとなる。
【0085】
このように、S72a=H、かつ、S72c=Lであるときには、外部端子T2が負荷オープンしていると判別することができる。
【0086】
図10は、天絡検出動作の一例を示す図であり、先の図9と同じく、上から順に、電流検出信号SENSE、出力電圧Vo、出力異常検出信号S72a、オン抵抗制御信号S72b、及び、判別信号S72cが描写されている。
【0087】
時刻t2以前には、外部端子T2の天絡が発生しておらず、フルオンされたNMOSFET10に出力電流Ioが適切に流れている。従って、電流検出信号SENSEは、閾値電圧VTHよりも高くなっている。また、出力電圧Voは、電源電圧VBBよりもNMOSFET10のドレイン・ソース間電圧V0だけ低い電圧VBB-V0となっている。
【0088】
また、時刻t2以前には、SENSE>VTHであることから、S72a=L(異常未検出時の論理レベル)となっている。従って、オン抵抗制御信号S72b及び判別信号S72cは、いずれもディセーブル(例えばハイインピーダンス)とされている。このように、時刻t2以前の挙動は、当然のことながら、図9の時刻t1以前と全く同様である。
【0089】
時刻t2において、外部端子T2の天絡が発生すると、NMOSFET10に出力電流Ioが殆ど流れなくなる(先出の図6を参照)。従って、電流検出信号SENSEは、閾値電圧VTHよりも低くなる。
【0090】
このとき、S72a=H(異常検出時の論理レベル)となるので、コンパレータ72bがイネーブルとなる。従って、時刻t2以降、オン抵抗制御信号S72bに応じて、NMOSFET10のオン抵抗Ron(延いてはドレイン・ソース間電圧Vds)が制御されるようになる。
【0091】
ただし、外部端子T2が天絡している場合には、NMOSFET10のオン抵抗Ronに依ることなく、出力電圧Voが外部要因(図6の短絡経路の抵抗成分Ry及び天絡電流Ivbbsを参照)で決まる。具体的には、出力電圧Voがほぼ電源電圧VBBとなる。なお、オン抵抗制御信号S72bは、ローレベル(=オン抵抗Ronを引き下げるときの論理レベル)に張り付いた状態となる。
【0092】
また、S72a=H(異常検出時の論理レベル)になると、コンパレータ72cもイネーブルとなる。従って、時刻t2以降、出力電圧Voと第2電圧VBB-V2との比較結果に応じた判別信号S72cが出力される。本図に即して述べると、Vo(≒VBB)>VBB-V2となるので、判別信号S72cがハイレベルとなる。
【0093】
このように、S72a=H、かつ、S72c=Hであるときには、外部端子T2が天絡していると判別することができる。
【0094】
なお、NMOSFET10のオフ期間であれば、出力電圧Voに基づいて負荷オープンと天絡を容易に判別することが可能である。しかしながら、出力異常検出信号S72aがハイレベル(=異常検出時の論理レベル)に立ち上がったことを受けて、NMOSFET10をフルオフし、その後改めて負荷オープンと天絡を判別するようなシーケンスでは、判別結果が得られるまでに長時間(例えば数百μs)を要する。
【0095】
一方、上記で説明した出力異常検出回路72であれば、出力異常状態(S72a=H)の検出後、NMOSFET10のフルオフを待たずに、遅滞なく負荷オープンと天絡を判別することができる。従って、半導体集積回路装置1が実装される電子機器(車載機器)の安全性を高めることが可能となる。
【0096】
なお、制御ロジック部40では、例えば、2ビットの出力異常報知信号FAILを用意しておくことにより、正常(00)、地絡(01)、負荷オープン(10)、及び、天絡(11)をそれぞれ判別して、ECU2に報知することが可能となる。
【0097】
<車両への適用>
図11は、車両の一構成例を示す外観図である。本構成例の車両Xは、バッテリ(本図では不図示)と、バッテリから電力供給を受けて動作する種々の電子機器X11~X18とを搭載している。なお、本図における電子機器X11~X18の搭載位置については、図示の便宜上、実際とは異なる場合がある。
【0098】
電子機器X11は、エンジンに関連する制御(インジェクション制御、電子スロットル制御、アイドリング制御、酸素センサヒータ制御、及び、オートクルーズ制御など)を行うエンジンコントロールユニットである。
【0099】
電子機器X12は、HID[high intensity discharged lamp]やDRL[daytime running lamp]などの点消灯制御を行うランプコントロールユニットである。
【0100】
電子機器X13は、トランスミッションに関連する制御を行うトランスミッションコントロールユニットである。
【0101】
電子機器X14は、車両Xの運動に関連する制御(ABS[anti-lock brake system]制御、EPS[electric power steering]制御、電子サスペンション制御など)を行うボディコントロールユニットである。
【0102】
電子機器X15は、ドアロックや防犯アラームなどの駆動制御を行うセキュリティコントロールユニットである。
【0103】
電子機器X16は、ワイパー、電動ドアミラー、パワーウィンドウ、ダンパー(ショックアブソーバー)、電動サンルーフ、及び、電動シートなど、標準装備品やメーカーオプション品として、工場出荷段階で車両Xに組み込まれている電子機器である。
【0104】
電子機器X17は、車載A/V[audio/visual]機器、カーナビゲーションシステム、及び、ETC[electronic toll collection system]など、ユーザオプション品として任意で車両Xに装着される電子機器である。
【0105】
電子機器X18は、車載ブロア、オイルポンプ、ウォーターポンプ、バッテリ冷却ファンなど、高耐圧系モータを備えた電子機器である。
【0106】
なお、先に説明した半導体集積回路装置1、ECU2、及び、負荷3は、電子機器X11~X18のいずれにも組み込むことが可能である。
【0107】
<その他の変形例>
また、上記の実施形態では、車載用ハイサイドスイッチLSIを例に挙げたが、本明細書中に開示されている発明の適用対象は、これに限定されるものではなく、車載用途以外のハイサイドスイッチLSIにも広く適用することができる。
【0108】
また、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本明細書中に開示されている発明は、車載用IPDなどに利用することが可能である。
【符号の説明】
【0110】
1 半導体集積回路装置(スイッチ装置)
2 ECU
3 負荷
4 外部センス抵抗
10 NMOSFET(スイッチ素子)
20 出力電流監視部
21、22 NMOSFET
23 センス抵抗
30 ゲート制御部
31 ゲートドライバ
311 ソース電流源
312 シンク電流源
313 コントローラ
32 オシレータ
33 チャージポンプ(昇圧部)
34 クランパ
35 NMOSFET
36 抵抗
37 キャパシタ
38 ツェナダイオード(クランプ素子)
40 制御ロジック部
50 信号入力部
60 内部電源部
70 異常保護部
71 過電流保護回路
72 出力異常検出回路
72a、72b、72c コンパレータ
72d、72e 抵抗
72f、72g 電流源
73 温度保護回路
74 減電圧保護回路
80 出力電流検出部
81 アンプ
82 PMOSFET
Rx、Ry 抵抗成分
T1~T5 外部端子
X 車両
X11~X18 電子機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11