(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】駐車装置とその入出庫方法
(51)【国際特許分類】
E04H 6/18 20060101AFI20231011BHJP
E04H 6/00 20060101ALI20231011BHJP
E04H 6/42 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
E04H6/18 601A
E04H6/00 A
E04H6/42 F
(21)【出願番号】P 2019204366
(22)【出願日】2019-11-12
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】岩丸 幸司
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-143395(JP,A)
【文献】実開平01-049537(JP,U)
【文献】特開2002-194914(JP,A)
【文献】特開2006-118216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00-6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車が積載される複数のパレットと、
格納位置と入出庫位置との間で各前記パレットを移動させる制御を行う制御装置と、
駐車装置に対する認証情報を外部から受ける認証情報受付部と、
前記入出庫位置へ移動させる
前記パレットを選択する操作が可能な操作部と、を備え、
待機中の前記制御装置は、契約者モードの状態にあり、
前記制御装置は、前記契約者モードの状態である時に、前記駐車装置の契約者を示す認証情報を前記認証情報受付部が受けると、当該認証情報により特定される前記パレットを前記入出庫位置へ移動させる前記契約者モードの制御を行い、
前記制御装置は、前記契約者モードの状態である時に、管理者を示す認証情報を前記認証情報受付部が受けると、状態が管理者モードに切り替わることにより、前記操作部の操作により選択された前記パレットを、前記格納位置から前記入出庫位置へ移動させる前記管理者モードの制御を行い、その後、自動的に、前記契約者モードの状態に切り替わることにより前記待機中の前記契約者モードの状態に戻る、駐車装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記管理者モードの状態で、前記操作により選択された前記パレットを
前記格納位置から
前記入出庫位置へ移動させ、その後、当該パレットを前記入出庫位置から
前記格納位置へ移動させたら、前記契約者モードの状態に自動的に切り替わる、請求項1に記載の駐車装置。
【請求項3】
各前記パレットの識別情報と、契約者の設定情報と、前記パレットの使用情報とが互いに対応付けられたパレット管理データを表示する表示装置を備え、
契約者の
前記設定情報は、対応する
前記識別情報の
前記パレットに契約者が設定されているかどうかを示し、
前記パレットの
前記使用情報は、対応する
前記識別情報の
前記パレットが使用中であるかどうかを示し、
前記操作部の操作により、複数の前記識別情報のいずれかを選択可能であり、
前記管理者モードの状態である前記制御装置は、当該操作による選択された前記識別情報が示す前記パレットを前記入出庫位置へ移動させる制御を行う、請求項
1又は2に記載の駐車装置。
【請求項4】
前記認証情報受付部は、携帯端末から送信される契約者又は管理者の認証情報を受信する、請求項1~3のいずれか一項に記載の駐車装置。
【請求項5】
前記認証情報受付部は、契約者又は管理者の認証情報を保持している携帯媒体から、認証情報を読み取る、請求項1~3のいずれか一項に記載の駐車装置。
【請求項6】
前記認証情報受付部は、契約者又は管理者の生体部位から、当該生体部位に表わされる生体情報を前記認証情報として読み取る、請求項1~3のいずれか一項に記載の駐車装置。
【請求項7】
前記認証情報受付部は、契約者又は管理者により、認証情報の入力操作可能な入力装置であり、
当該入力操作により認証情報が指定されて前記認証情報受付部に入力される、請求項1~3のいずれか一項に記載の駐車装置。
【請求項8】
自動車が積載される複数のパレットと、
格納位置と入出庫位置との間で各前記パレットを移動させる制御を行う制御装置と、
駐車装置に対する認証情報を外部から受ける認証情報受付部と、
前記入出庫位置へ移動させる
前記パレットを選択する操作が可能な操作部と、を備え、
前記制御装置の状態は、契約者モードと管理者モードとの間で切り替わり、
前記駐車装置の契約者に関して、
前記契約者モードの状態の前記制御装置が前記パレットを
前記格納位置と
前記入出庫位置との間で移動させる制御を行い、
前記制御装置が
前記契約者モードの状態である時に、管理者を示す認証情報を前記認証情報受付部が受けると、前記制御装置は、状態が前記管理者モードに切り替わり、前記操作部の操作により選択された前記パレットを、
前記格納位置から
前記入出庫位置へ移動させ、その後、当該パレットを
前記格納位置へ移動させる制御を行い、当該制御を終えたら、
前記契約者モードの状態に自動的に切り替わる、駐車装置。
【請求項9】
格納位置と入出庫位置との間で移動させられる複数のパレット
と、前記格納位置と前記入出庫位置との間で各前記パレットを移動させる制御を行う制御装置と、駐車装置に対する認証情報を外部から受ける認証情報受付部と、前記入出庫位置へ移動させる前記パレットを選択する操作が可能な操作部と、を備える駐車装置の入出庫方法であって、
待機中の前記制御装置は、契約者モードの状態にあり、
前記制御装置が前記契約者モードの状態である時に、前記駐車装置の契約者を示す認証情報を前記認証情報受付部が受けると当該認証情報により特定される前記パレットを前記入出庫位置へ移動させる前記契約者モードの制御が、前記制御装置により行われ、
前記制御装置が前記契約者モードの状態である時に、管理者を示す認証情報を前記認証情報受付部が受けると、前記制御装置の状態が管理者モードに切り替わることにより、前記制御装置は、前記操作部の操作により選択された前記パレットを、前記格納位置から前記入出庫位置へ移動させる前記管理者モードの制御を行い、その後、自動的に、前記契約者モードの状態に切り替わることにより前記待機中の前記契約者モードの状態に戻る、駐車装置の入出庫方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、契約者と一時利用者の両方が利用可能な駐車装置とその入出庫方法に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車装置は、自動車が積載される複数のパレットと、各パレットを格納位置と入出庫位置との間で移動させる搬送装置とを備える。パレットが入出庫位置にある時に、当該パレットに自動車が乗り込み可能であり、又は、当該パレットから自動車が乗り出し可能である。
【0003】
このような駐車装置が、契約者と一時利用者の両方によって利用される場合がある。契約者は、所定の利用期間(例えば、1年、数か月、又は数週間)、自身の自動車を駐車装置へ入出庫させることを、駐車装置の運営者等と契約した者であって、この契約について駐車装置の利用料金を駐車装置の運営者等に支払う者である(以下、同様)。一時利用者は、一時的に、自身の自動車を駐車装置へ入庫させる者である(以下、同様)。一例では、一時利用者は、自動車を入庫させている時間について駐車装置の利用料金を駐車装置の運営者等に支払う者である。別の例では、一時利用者は、駐車装置が設けられたビル等の建物への来客であって、無料で、自動車を駐車装置へ入庫させる者である。
【0004】
なお、契約者と一時利用者の両方が利用できる駐車装置は、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
契約者の自動車が、駐車装置が混雑しているかによらず、駐車装置に入庫できるようにするために、契約者用のパレットを確保しておく。これに対し、一時利用者に対しては、駐車装置において、契約者用のパレット以外に空きのパレットがある場合に、空きのパレットにその自動車を入庫させればよい。
【0007】
そのため、契約者と一時利用者の両方が利用できる駐車装置において、利用者が契約者又は一時利用者であるかに応じて、駐車装置の制御装置の状態を契約者モードと一時利用モードとの間で切り替えることが考えられる。すなわち、契約者モードでは、契約者用に確保されたパレットを、格納位置と入出庫位置との間で移動させるようにする。一時利用モードでは、契約者用のパレット以外のパレットを、格納位置と入出庫位置との間で移動させるようにする。
【0008】
モードの切り替えは、管理者によって行われることが考えられる。すなわち、管理者は、駐車装置の操作盤に設けたモード切替用の鍵孔にキーを差し込んで、キーを回すことにより、制御装置の状態を契約者モードと一時利用モードとの間で切り替える。
【0009】
契約者モードの時には、契約者は、操作盤を有効に操作すること(例えば予め定められた契約者用のパレットを選択する操作)が可能となり、この操作に基づいて、制御装置は、パレット(選択されたパレット)を格納位置から入出庫位置へ移動させる制御を行う。一時利用モードの時には、管理者が、操作盤を操作すること(例えば一時利用者用のパレットを選択する操作)により、制御装置は、パレット(選択されたパレット)を格納位置から入出庫位置へ移動させる制御を行う。
【0010】
しかし、利用者が契約者であるか管理者であるかに応じてモードを切り替えるには、管理者が操作盤の所へ行ってキー操作を行う必要がある。したがって、モードの切り替えに時間を要するので、利用者を待たせてしまう場合がある。
【0011】
また、上記キーを携帯している管理者が、キー操作により制御装置の状態を一時利用モードに切り替えた後、契約者モードに戻さずに、駐車装置の場所から離れてしまうことがあり得る。この場合には、制御装置の状態は一時利用モードのままとなる。したがって、この場合、契約者は、自身の自動車を入出庫させること(例えば、契約者用のパレットを有効に選択する操作)ができなくなり、管理者が駐車装置に戻って来るのを待たなければならない。
【0012】
そこで、本発明の目的は、契約者と一時利用者の両方が利用でき、且つ、一時利用者についてパレットを入出庫位置へ移動させる操作を管理者が行う駐車装置において、より短時間でパレットを入出庫位置へ移動させられるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様による駐車装置は、自動車が積載される複数のパレットと、格納位置と入出庫位置との間で各前記パレットを移動させる制御を行う制御装置と、前記駐車装置に対する認証情報を外部から受ける認証情報受付部と、前記入出庫位置へ移動させるパレットを選択する操作が可能な操作部とを備える。受けた前記認証情報が駐車装置の契約者を示している場合には、前記制御装置は、前記認証情報に基づいて前記パレットを特定し、特定した当該パレットを前記入出庫位置へ移動させる制御を行う。受けた前記認証情報が駐車装置の管理者を示している場合には、前記制御装置は、前記操作部の操作により選択された前記パレットを前記入出庫位置へ移動させる制御を行う。
【0014】
本発明の別の態様による駐車装置は、自動車が積載される複数のパレットと、格納位置と入出庫位置との間で各前記パレットを移動させる制御を行う制御装置と、前記駐車装置に対する認証情報を外部から受ける認証情報受付部と、前記入出庫位置へ移動させるパレットを選択する操作が可能な操作部とを備える。前記制御装置の状態は、契約者モードと管理者モードとの間で切り替わる。駐車装置の契約者に関して、契約者モードの状態の前記制御装置が前記パレットを格納位置と入出庫位置との間で移動させる制御を行う。前記制御装置が契約者モードの状態である時に、管理者を示す認証情報を前記認証情報受付部が受けると、前記制御装置は、状態が前記管理者モードに切り替わり、前記操作部の操作により選択された前記パレットを、格納位置から入出庫位置へ移動させ、その後、当該パレットを格納位置へ移動させる制御を行い、当該制御を終えたら、契約者モードの状態に自動的に切り替わる。
【0015】
本発明の一態様による入出庫方法は、格納位置と入出庫位置との間で移動させられる複数のパレットを備える駐車装置の入出庫方法であって、次の(A)~(C)を行う。
(A)契約者又は管理者を示す認証情報を認証情報受付部により受ける。
(B)受けた前記認証情報が契約者を示している場合には、制御装置により、当該認証情報に基づいて前記パレットを特定し、特定した当該パレットを前記格納位置から前記入出庫位置へ移動させる制御を行う。
(C)受けた前記認証情報が管理者を示している場合には、操作部の操作により選択された前記パレットを、前記格納位置から前記入出庫位置へ移動させる制御を行う。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によると、認証情報受付部により受けられた認証情報が契約者を示している場合には、制御装置は、入力された認証情報に基づいてパレットを特定し、特定した当該パレットを入出庫位置へ移動させる制御を行う。したがって、モードの切替操作や、入出庫位置へ移動させるパレットの選択操作が不要になるので、より短時間で、パレットを入出庫位置に移動させることが可能になる。
【0017】
また、このような場合に、一時利用者については、管理者が、管理者を示す認証情報を認証情報受付部に与えて、操作部を用いてパレットを選択することにより、制御装置は、選択されたパレットを一時利用者用のパレットとして入出庫位置へ移動させる制御を行うことができる。したがって、制御装置は、契約者の利用と管理者の利用とを区別して、パレットの移動制御を行うことができる。
【0018】
本発明の別の態様によると、制御装置は、管理者モードの状態に切り替わった後、選択されたパレットを、格納位置から入出庫位置へ移動させ、その後、入出庫位置から格納位置へ移動させたら、自動的に契約者モードの状態に切り替わる。したがって、管理者が制御装置の状態を契約者モードに戻し忘れることによる不都合を回避できる。すなわち、契約者モードへの戻し忘れにより、契約者が駐車装置を利用できなくなる事態を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態による駐車装置の構成例を示す。
【
図4】表示装置に表示されるパレット管理データの一例を示す。
【
図5】制御装置が記憶しているパレット対応データの一例を示す。
【
図6】本発明の実施形態による駐車装置の入出庫方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態による駐車装置10の構成例を示す。
図2は、
図1のII-II矢視図であり、駐車装置10の入出庫位置が設けられた階を示す。
図3は、駐車装置10の各部を示すブロック図である。
図1~
図3に示すように、駐車装置10は、パレット3と搬送装置5と制御装置7と認証情報受付部9と表示装置11と操作部13を備える。
【0022】
複数のパレット3は、それぞれの格納位置に設けられている。各パレット3は、格納位置と入出庫位置との間で移動させられる。本実施形態では、各パレット3は、当該パレット3に対して予め定められた格納位置に設けられている。この場合、各パレット3は、当該パレット3に対して予め定められた格納位置と、入出庫位置との間で移動させられる。
図1の例では、複数の格納位置を、ぞれぞれの番号(1)~(12)で示している。
【0023】
各パレット3について、当該パレット3が入出庫位置にある時に、当該パレット3に自動車1が入庫のために乗り込み可能であり、又は、当該パレット3から自動車1が乗り出して出庫可能である。
図1と
図2において、格納位置(8)のパレット3が入出庫位置に位置しており、このパレット3に自動車1が乗り込もうとしている状態が示されている。
【0024】
搬送装置5は、各パレット3を格納位置と入出庫位置との間で移動させる。すなわち、搬送装置5は、各パレット3を、格納位置から入出庫位置へ移動させ、入出庫位置から格納位置へ移動させる。
【0025】
図1の例では、鉛直方向に延びる昇降路4に沿って複数段に格納棚6が設けられており、各格納棚6上の位置が格納位置である。複数段の格納棚6は、
図1のように、昇降路4の両側にそれぞれ設けられてよい。
【0026】
この場合、
図1に示すように、搬送装置5は、昇降路4において昇降するリフト51と、リフト51を昇降駆動するリフト駆動装置52と、リフト51と格納棚6上の格納位置との間でパレット3を水平方向に横行させる横行駆動装置53とを備える。
【0027】
リフト駆動装置52は、一例では、複数のワイヤ52aと、複数のワイヤ52aが巻かれたドラム52bと、ワイヤ駆動装置52cとを備える。各ワイヤ52aの一端部がリフト51に結合され、各ワイヤ52aの他端側部分がドラム52bに巻かれている。ワイヤ駆動装置52cはドラム52bを回転駆動することにより、各ワイヤ52aをドラム52bからリフト51側へ巻き出し、または、リフト51側へ延びている各ワイヤ52aをドラム52bに巻き取る。これにより、各ワイヤ52aが鉛直方向に駆動される。その結果、リフト51が昇降する。
【0028】
横行駆動装置53は、一例では、各格納棚6に設けられ回転駆動される複数の横行ローラ53aと、リフト51に設けられ回転駆動される複数の横行ローラ53bとを有する。リフト51の高さを、対象の格納棚6の高さに合わせた状態で、横行ローラ53a、19bを回転駆動することにより、リフト51に、対象の格納棚6上の格納位置からパレット3が移動させられ、リフト51のパレット3を対象の格納棚6に移動して戻すことができる。
【0029】
制御装置7は、格納位置と入出庫位置との間でパレット3を移動させる制御を行う。すなわち、制御装置7は、搬送装置5を制御することにより、格納位置と入出庫位置との間でパレット3を搬送装置5により移動させる。
【0030】
認証情報受付部9は、駐車装置10に対する認証情報を外部から受ける。すなわち、認証情報受付部9は、外部から与えられる認証情報を受ける。本実施形態では、認証情報受付部9に認証情報を与える人として、駐車装置10の契約者と管理人が存在する。契約者の認証情報と管理者の認証情報は、それぞれ予め設定されているものであってよい。
【0031】
契約者は、所定の期間(例えば、1年、数か月、又は数週間)、自身の自動車1を駐車装置10へ入出庫させることを、駐車装置10の運営者等と契約した者である。駐車装置10の管理者は、駐車装置10を管理する者であり、駐車装置10の各パレット3における自動車1の有無に応じて、契約者以外の一時利用者に駐車装置10を一時的に利用させるかを判断して管理する者である。
【0032】
認証情報受付部9の具体例について説明する。一例では、認証情報受付部9は、契約者又は管理者の認証情報を保持している認証媒体から、認証情報を受信する。ここで、認証媒体は、例えば、携帯端末(例えばスマートフォン又はリモコン)であってよい。この場合、契約者又は管理者は、携帯端末を操作することにより、携帯端末は認証情報受付部9へ認証情報を無線通信により送信し、認証情報受付部9は、当該認証情報を受信する。
【0033】
別の例では、認証情報受付部9は、契約者又は管理者の認証情報を保持している認証媒体から、認証情報を読み取る。ここで、認証媒体は、例えば、契約者又は管理者が携帯可能なICカードなどの携帯媒体であってもよいし、契約者又は管理者の生体部位(例えば、指紋、顔、虹彩、又は静脈など)であってよい。
【0034】
認証媒体が携帯媒体である場合、携帯媒体を、読み取り装置である認証情報受付部9に近接させる。これにより、認証情報受付部9は、携帯媒体との近距離無線通信により携帯媒体に記憶された認証情報を無線通信にて読み取り、又は、携帯媒体に表示された認証情報を画像認識により読み取ることにより受ける。
【0035】
認証媒体が、契約者又は管理者の生体部位である場合には、契約者又は管理者は、自身の生体部位を、読取装置である認証情報受付部9が読み取れる位置(例えば読取装置の読取面の正面)に位置させる。これにより、認証情報受付部9は、当該生体部位の生体情報(例えば、指紋、顔、虹彩、又は静脈の特徴を表す情報)を画像認識等により認証情報として読み取ることにより受ける。
【0036】
更に別の例では、認証情報受付部9は、契約者又は管理者が認証情報の入力操作可能な入力装置(例えばキーボード、又はタッチパネル等)であり、当該入力操作により認証情報が指定されて入力されてもよい。このように、認証情報受付部9は、入力操作により指定される認証情報を受けてもよい。
【0037】
認証情報受付部9により受けられた認証情報が契約者を示している場合には、制御装置7は、認証情報に基づいて契約者用のパレット3を特定し、特定した当該パレット3を格納位置から入出庫位置へ移動させる制御を行う。一方、認証情報受付部9により受けられた認証情報が管理者を示している場合には、制御装置7は、管理者が操作部13を操作することにより選択されたパレット3を格納位置から入出庫位置へ移動させる制御を行う。
【0038】
表示装置11は、管理者が操作部13を操作する際に確認するパレット管理データを表示する。パレット管理データは、各パレット3について、パレット3の識別情報と、契約者の設定情報と、パレット3の使用情報とが互いに対応付けられたデータである。
図4は、表示装置11の画面に表示されるパレット管理データの一例を示す。
図4のパレット管理データは、
図1の場合に対応するデータである。パレット管理データは、後述する制御部72の記憶部72aに記憶されており、制御部72により、表示装置11に表示させられるとともに更新させられる。
【0039】
操作部13は、複数のパレット3からいずれかのパレット3を選択する操作が可能な装置である。例えば、操作部13は、キーボードであってもよいし、複数の選択ボタンであってもよいし、タッチパネル(例えば表示装置11の画面上のタッチパネル)であってもよいし、他の装置であってもよい。
【0040】
各パレット3の識別情報は、他のパレット3と区別するための情報であり、
図4の例では、当該パレット3の格納位置の上記番号(1)~(12)である。
【0041】
契約者の設定情報(以下で単に設定情報ともいう)は、対応する識別情報のパレット3に契約者が設定されているかどうかを示す。例えば、
図4のように、識別情報(パレット3)に契約者が設定されている設定情報は、当該契約者を示す情報(契約者A~F)として表示される、契約者が設定されていない識別情報(パレット3)についての設定情報は、空欄として表示されてよい。
図4では、契約者A~Fが、対応するパレット3の識別情報に設定されている。なお、
図4の契約者A,B,Fのように、1人の契約者に対して複数のパレット3が設定されていてもよい。したがって、当該1人の契約者を示す認証情報に対応付けられた識別情報が複数存在する。1人の契約者は、(
図4では各契約者A~F)は、1台のみの自動車1を駐車装置10に入出庫させる契約者であってよい。なお、本発明において、駐車装置10の契約者の人数は、1人以上であればよい。
【0042】
パレット3の使用情報(以下で単に使用情報ともいう)は、対応する識別情報のパレット3が使用中(すなわち、パレット3に自動車1が積載されている状態)であるかどうかを示す。本実施形態では、パレット3の使用情報は、当該パレット3に契約者の自動車1が積載されている状態(以下で、
図4のように「契約者使用中」という)、当該パレット3に一時利用者の自動車1が積載されている状態(以下で、
図4のように「一時利用者使用中」という)、及び、当該パレット3に自動車1が積載されていない空の状態(以下で、
図4のように「空」という)のいずれかを示す。
【0043】
管理者は、一時利用者の自動車1を入庫させる場合、表示装置11に表示されたパレット管理データを見て、複数のパレット3のうち、入出庫位置へ移動させる「空」のパレット3(例えば
図4のいずれかの識別情報)を選択する操作を操作部13に行う。
【0044】
制御装置7について、より詳しく説明する。制御装置7は、
図3に示すように認証部71と制御部72を備える。
【0045】
認証部71は、認証情報受付部9が受けた認証情報が契約者又は管理者を示しているかを判断する。認証部71は、各契約者の認証情報と管理者の認証情報を記憶する記憶部71aを有する。認証部71は、認証情報受付部9が受けた認証情報と記憶部71aに記憶している各認証情報とを照合することにより、認証情報受付部9が受けた認証情報が、契約者を示すか、あるいは、管理者を示すかを判断する。
【0046】
<認証情報が契約者を示す場合>
認証部71は、受けた認証情報が契約者を示すと判断した場合には、その旨を示す契約者信号を制御部72へ出力する。制御部72は、契約者信号を受けると、自身の状態(制御モード)を切り替えずに契約者モードに維持し、契約者モードでのパレット移動制御を行う。すなわち、制御部72は、認証情報受付部9が受けた認証情報に基づいて契約者用のパレット3を特定し、特定した当該パレット3を格納位置から入出庫位置へ移動させる制御を行う。
【0047】
詳しくは次の通りである。制御部72は、各契約者について、当該契約者の認証情報と、当該契約者用に設定されたパレット3の識別情報とを互いに対応付けたパレット対応データを記憶する記憶部72aを有している。
【0048】
各契約者について、1つのパレット3が設定されていてもよいし、1人の契約者について複数のパレット3が設定されていてもよい。後者の場合、複数のパレット3が設定されている契約者について、パレット対応データは、当該契約者に設定された複数のパレットの各々の使用状態を示す使用情報を含む。
図5は、このような場合におけるパレット対応データの一例を示す。
図5のパレット対応データは、
図1と
図4の場合に対応している。
図5において、破線A~Fで囲んだデータは、それぞれ、契約者A~Fについてのデータである。
図5の例では、パレット3の識別情報は、当該パレット3の格納位置の上記番号を示す。
【0049】
図5では、契約者A,B,Fの各々について、複数のパレット3(識別情報)が設定されている。当該各契約者の認証情報に対応する各使用情報は、対応するパレット3に契約者の自動車1が積載されている状態(以下で、
図5のように「契約者使用中」という)、当該パレット3に一時利用者の自動車1が積載されている状態(以下で、
図5のように「一時利用者使用中」という)、及び、当該パレット3に自動車1が積載されていない空の状態(以下で、
図5のように「空」という)のいずれかを示す。
【0050】
認証情報受付部9が受けた認証情報が、複数のパレット3(識別情報)が設定されている契約者を示しており、かつ、当該認証情報に対応する複数の使用情報のいずれかが「契約者使用中」を示している場合には、制御部72は、「契約者使用中」に対応するパレット3(識別情報)を特定し、当該パレットを入出庫位置へ移動させる制御を行う。また、認証情報受付部9が受けた認証情報が、複数のパレット3(識別情報)が設定されている契約者を示しており、かつ、当該認証情報に対応する使用情報のいずれも「契約者使用中」を示していない場合には、制御部72は、当該認証情報に対応する使用情報のうち「空」に対応するパレット3を特定し、当該パレット3を入出庫位置へ移動させる制御を行う。この場合、「空」に対応するパレット3が複数存在する場合には、これらの「空」のパレット3のうちいずれかを入出庫位置へ移動させる制御を行う。
【0051】
また、駐車装置10には、第1の鉛直寸法を有する格納位置(
図5では、格納位置(1)~(4))と、第1の鉛直寸法よりも小さい第2の鉛直寸法を有する格納位置(
図5では、格納位置(5)~(12))とが存在してよい。第1の鉛直寸法を有する格納位置には、車高の高い自動車1を格納可能であり、第2の鉛直寸法を有する格納位置には、車高の高い自動車1を格納できず車高の低い自動車1のみを格納できる。このような場合、高い車高の自動車1を駐車装置10へ入庫させる1人の契約者のパレット3として、第1の鉛直寸法の格納位置のパレットを1つ又は複数設定してよい。
図5では、契約者Aのパレット3として、第1の鉛直寸法の格納位置(1)と格納位置(2)のパレット3が設定されており、契約者Bのパレット3として、第1の鉛直寸法の格納位置(3)と格納位置(4)のパレット3が設定されている。
【0052】
なお、制御部72には、各パレット3の識別情報と、該識別情報が示すパレット3の格納位置との関係が設定されている。この設定により、制御部72は、受けた認証情報に対応する識別情報が示すパレット3を、その格納位置から入出庫位置へ移動させる制御を行う。なお、制御部72は、パレット3(識別情報)を特定することに用いる認証情報を、認証情報受付部9から直接又は認証部71を経由して受けてよい。
【0053】
<認証情報が管理者を示す場合>
認証部71は、認証情報受付部9が受けた認証情報が管理者を示すと判断した場合には、その旨を示す管理者信号を制御部72へ出力する。制御部72は、管理者信号を受けると、自身の状態(制御モード)を管理者モードに切り替える。状態が管理者モードに切り替わった制御装置7(制御部72)は、操作部13になされる操作によりパレット3が選択されるのを待つ。
【0054】
管理者が、パレット3を選択する操作を操作部13に行うと、操作部13が、当該操作により選択されたパレット3の識別情報を制御装置7の制御部72へ出力する。管理者モードの制御部72は、当該識別情報を操作部13から受けると、当該識別情報が示すパレット3を格納位置から入出庫位置へ移動させる制御を行う。
【0055】
管理者は、
図4のようなパレット管理データを見て、操作部13を操作することにより、例えば次の(1)と(2)のいずれかのパレット3を選択してよい。
(1)契約者が設定されていない「空の」パレット3。
(2)1人の契約者(
図5では、契約者A,B又はF)に複数のパレット3が設定されている場合に、当該複数のパレット3のうち、いずれかの「空」のパレット3。ただし、当該複数のパレット3の数をnとして、当該複数のパレット3のうち、一時利用者用に使用されるパレット3の数が、(n-1)以下となる範囲内で、管理者はパレット3を選択する。
【0056】
(入出庫方法)
図6は、本発明の実施形態による入出庫方法を示すフローチャートである。この入出庫方法は、上述の駐車装置10を用いて行われる。この入出庫方法は、ステップS1~S12を有する。この入出庫方法は、契約者又は一時利用者が、駐車装置10に対して自動車1を入出庫(すなわち出庫又は出庫)させる場合に行われる。
【0057】
ステップS1では、駐車装置10においてパレット3の移動が行われていない状態で、ステップS2が行われるのを待機している。この待機中において、本実施形態では、制御装置7(制御部72)は契約者モードの状態にあり、各パレット3は、その格納位置にあってよい。
【0058】
ステップS2において、契約者又は管理者は、上述のように認証情報受付部9に認証情報を与え、認証情報受付部9は、当該認証情報を受ける。
【0059】
ステップS2において、契約者が駐車装置10に対して自動車1を入出庫させる場合には、例えば入出庫口Eの手前で契約者が自身の認証情報を認証情報受付部9に与える。駐車装置10に対して一時利用者が自動車1を入出庫させる場合には、その旨を一時利用者から受けた管理者が自身の認証情報を認証情報受付部9に与える。
【0060】
ステップS3において、ステップS2で受けた認証情報が、契約者を示しているか、又は、管理者を示しているかを、認証部71により判断する。
【0061】
ステップS3において、認証情報が契約者を示していると判断された場合には、ステップS4へ進み、認証情報が管理者を示していると判断された場合には、ステップS7へ進む。なお、認証情報が契約者と管理者のいずれも示していない場合には、エラーであるとしてステップS1へ戻る。
【0062】
ステップS4において、制御装置7(制御部72)は、契約者モードの状態のままで、パレット3の移動制御を行う。すなわち、契約者モードの制御部72は、ステップS2で認証情報受付部9が受けた認証情報と、パレット対応データとに基づいて、契約者用のパレット3を特定し、特定したパレット3をその格納位置から入出庫位置へ移動させる制御を行う。これにより、搬送装置5は、当該パレット3を格納位置から入出庫位置へ移動させる。
【0063】
ステップS5において、ステップS4で入出庫位置へ移動させられたパレット3に、入出庫口E(
図2)を通して契約者の自動車1が乗り込み、又は、契約者の自動車1が当該パレット3から乗り出して入出庫口Eを通して駐車装置10の外部へ走行する。
図1と
図2において、符号14は、駐車装置10の外部と内部を区切る壁を示し、壁14の一部に入出庫口Eが形成されている。
【0064】
なお、ステップS5において、図示を省略するが、入出庫口Eの開閉扉が、契約者が扉開閉操作装置を操作することにより開けられてよい。その後、入出庫位置のパレット3に自動車1が乗り込み、又は、当該パレット3から自動車1が駐車装置10の外部へ乗り出す。その後、駐車装置10の内部に人がいなくなったことが確認されたら、入出庫口Eの開閉扉が、契約者が扉開閉操作装置を操作することにより閉じられてよい。ステップS5における扉開閉操作装置の操作は、例えば、ステップS2で受け付けられた認証情報に対応する契約者のみが行えるようにしてよい。
【0065】
その後、ステップS6において、制御装置7は、入出庫位置にあるパレット3をその格納位置へ移動させる制御を行う。この制御は、例えば、ステップS5で入出庫口Eの開閉扉が閉じられることにより、開始されてよい。ステップS6の制御により、搬送装置5は、当該パレット3を入出庫位置からその格納位置へ移動させる。ステップS6の後、ステップS1へ戻る。この時、制御部72の状態は契約者モードのままである。
【0066】
なお、ステップS6が完了したら、ステップS1へ戻る前に、制御部72は、記憶部72aにおけるパレット管理データとパレット対応データにおいて、ステップS4、S5で移動させたパレット3(当該パレット3の識別情報)に対応する使用状態を更新する。すなわち、制御部72は、パレット管理データとパレット対応データにおいて、当該パレット3に対応する使用状態を、「空」から「契約者使用中」に書き換え、又は、「契約者使用中」から「空」に書き換える。なお、この時、当該パレット3又はその格納位置に設けた適宜のセンサにより、パレット3上に自動車1が存在するかを検出し、制御部72は、更にこの検出結果に基づいて、当該パレット3の使用状態を更新してもよい。このような更新により、表示装置11の画面には、更新された最新のパレット管理データが表示される。
【0067】
一方、ステップS7において、制御装置7(制御部72)の状態は、契約者モードから管理者モードに切り替わる。管理者モードに切り替わった制御装置7は、操作部13の操作によりパレット3が選択されるのを待つ。
【0068】
ステップS8において、管理者は、表示装置11に表示されたパレット管理データを見て、入出庫位置へ移動させるパレット3を選択する操作を操作部13に行う。当該操作によるパレット3の選択は、制御装置7のモードが管理者モードである場合に有効になり(すなわち次のステップS9が行われる)、制御装置7のモードが契約者モードの時における当該選択は有効にならない(すなわち次のステップS9が行われない)。
【0069】
ステップS9において、制御部72は、管理者モードの状態で、パレット3の移動制御を行う。すなわち、管理者モードの制御部72は、ステップS8で選択されたパレット3をその格納位置から入出庫位置へ移動させる制御を行う。これにより、搬送装置5は、当該パレット3を格納位置から入出庫位置へ移動させる。
【0070】
ステップS10において、ステップS9で入出庫位置へ移動させられたパレット3に、入出庫口Eを通して一時利用者の自動車1が乗り込み、又は、一時利用者の自動車1が当該パレット3から乗り出して入出庫口Eを通して駐車装置10の外部へ走行する。なお、ステップS10において、入出庫口Eの開閉扉が、管理人が扉開閉操作装置を操作することにより開けられてよい。その後、入出庫位置のパレット3に自動車1が乗り込み、又は、当該パレット3から自動車1が駐車装置10の外部へ乗り出し、駐車装置10の内部に人がいなくなったことが確認されたら、管理人が扉開閉操作装置を操作することにより入出庫口Eの開閉扉が閉じられてよい。
【0071】
ステップS11において、制御部72は、入出庫位置にあるパレット3をその格納位置へ移動させる制御を行う。この制御は、例えば、ステップS10で、入出庫口Eの開閉扉が閉じられることにより、開始されてよい。ステップS10の制御により、搬送装置5は、当該パレット3を入出庫位置からその格納位置へ移動させる。
【0072】
ステップS12において、制御部72は、自身の状態を管理者モードから契約者モードに切り替える。すなわち、ステップS11を終えると、制御部72の制御モードが、自動で、管理者モードから契約者モードに切り替わる。ステップS12の後、ステップS1へ戻る。
【0073】
なお、ステップS11が完了した後、ステップS1へ戻る前に、制御部72は、記憶部72aにおけるパレット管理データにおいて、ステップS9、S11で移動させたパレット3(当該パレット3の識別情報)に対応する使用状態を更新する。ステップS9、S11で移動させたパレット3が、契約者に設定されたパレット3である場合には、制御部72は、記憶部72aにおけるパレット対応データも更新する。すなわち、制御装置7は、パレット管理データ、又は、パレット管理データとパレット対応データの両方において、当該パレット3に対応する使用状態を、「空」から「一時利用者使用中」に書き換え、又は、「一時利用者使用中」から「空」に書き換える。なお、この時、当該パレット3又はその格納位置に設けた適宜のセンサにより、パレット3上に自動車1が存在するかを検出し、制御部72は、更にこの検出結果に基づいて、当該パレット3の使用状態を更新してもよい。このような更新により、表示装置11の画面には、更新された最新のパレット管理データが表示される。
【0074】
なお、図示を省略するが、制御装置7は料金算出部を含んでよい。料金算出部は、管理者モードで入庫した自動車の利用料金を計算する。例えば、制御装置7が管理者モードである時に、入出庫位置のパレット3に乗り込んだ自動車について、入庫時間(例えば当該自動車が格納位置に位置している時間)をタイマーにより計測し、計測した時間に基づいて、駐車装置10の利用料金を算出する。算出された利用料金は、例えば入出庫口Eの付近に設けた利用料金精算機に表示されてよい。また、一時利用者は、駐車装置10が設けられた建物への来客であってもよく、この場合には、一時利用者は、利用料金を支払うことなく、駐車装置10に対して自動車を入庫及び出庫させることができる。例えば、管理者が適宜の操作を行うことにより、ゼロ円の利用料金が利用料金精算機に表示されるようになる。
【0075】
(実施形態の効果)
本実施形態によると、認証情報受付部9により受けられた認証情報が契約者を示している場合には、制御装置7は、入力された認証情報に基づいてパレット3を特定し、特定したパレット3を入出庫位置へ移動させる制御を行う。したがって、モードの切替操作や、入出庫位置へ移動させるパレット3の選択操作が不要になるので、より短時間で、パレット3を入出庫位置に移動させることが可能になる。すなわち、契約者のパレットを入出庫位置に速やかに移動させることが可能になる。
【0076】
また、このような場合に、一時利用者については、管理者が、管理者を示す認証情報を認証情報受付部9に与えて、操作部13を用いてパレット3を選択することにより、制御装置7は、選択されたパレット3を一時利用者用のパレット3として入出庫位置へ移動させる制御を行うことができる。したがって、上述のように契約者のパレットを入出庫位置へ速やかに移動させることを可能にしつつ、制御装置7は、契約者の利用と管理者の利用とを区別して、パレット3の移動制御を行うことができる。
【0077】
制御装置7は、管理者モードの状態に切り替わった後、選択されたパレット3を、格納位置から入出庫位置へ移動させ、その後、入出庫位置から格納位置へ移動させたら、契約者モードの状態に自動的に切り替わる。したがって、管理者が、制御装置7の状態を契約者モードに戻し忘れることによる不都合を回避できる。すなわち、契約者モードへの戻し忘れにより、契約者が駐車装置10を利用できなくなる事態を回避できる。
【0078】
更に、このような場合に、制御装置7の状態が管理者モードの時に、認証情報受付部9が契約者を示す認証情報を受けても、制御装置7の状態が契約者モードには切り替わらないように制御装置7が構成されており、あるいは、制御装置7の状態が管理者モードの時には、認証情報受付部9が認証情報を受けないように構成されていてよい。この場合、例えば、管理者モードの時に、管理者がパレット3の選択を行っている時に、契約者が来て認証情報を認証情報受付部9に与えても、パレット3の搬送は開始されない。よって、管理者がパレット3を選択している時に、契約者を示す認証情報が認証情報受付部9に受けられることにより、契約者用のパレット3が移動させられるという不都合を回避できる。
【0079】
また、各パレット3の識別情報と、契約者の設定情報と、パレット3の使用情報とが互いに対応付けられたパレット管理データが、表示装置11により表示される。したがって、管理者は、パレット管理データを見て、一時利用者用のパレット3を選択する操作を操作部13に行うことができる。
【0080】
また、契約者は、認証媒体(例えばスマートフォンなどの携帯端末)から認証情報を認証情報受付部9へ送信するだけで、又は、認証媒体の認証情報を認証情報受付部9に読み取らせるだけで、上述のステップS3、S4により、自動的に入出庫位置にパレット3が移動して来る。したがって、契約者の待ち時間を少なくすることができる。
【0081】
また、管理者は、認証媒体(例えば携帯端末)から認証情報を認証情報受付部9へ送信するだけで、又は、認証媒体の認証情報を認証情報受付部9に読み取らせるだけで、制御装置7の状態を管理者モードに切り替えることができる。したがって、キー操作でモードを切り替える場合と比較して、管理者モードへの切替に要する時間を短縮することができる。
【0082】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、本発明の実施形態による駐車装置10又は入出庫方法は、上述した複数の事項の全て有していなくてもよく、上述した複数の事項のうち一部のみを有していてもよい。
【0083】
また、以下の変更例1~4のいずれかを採用してもよいし、変更例1~4のうち2つ以上を任意に組み合わせて採用してもよい。この場合、以下で述べない点は、上述と同じであってよい。
【0084】
(変更例1)
入出庫位置は、上述のように入庫位置と出庫位置の両方を意味してもよいし、あるいは、入庫位置または出庫位置を意味してもよい。すなわち、入庫位置と出庫位置は、
図1のように同じ位置であってもよいし、互いに異なる位置であってもよい。パレット3が入庫位置に位置する状態で、当該パレット3に自動車が乗り込み可能であり、パレット3が出庫位置に位置する状態で、当該パレット3から自動車が乗り出し可能である。
【0085】
(変更例2)
図1に例示した駐車装置10は、エレベータ式駐車装置であったが、本発明によると、駐車装置は、自動車が積載される複数のパレットを備え、各パレットがその格納位置と入出庫位置との間で移動させられるものであればよい。例えば、本発明による駐車装置は、フォーク式駐車装置、垂直循環式駐車装置、二多段式駐車装置、平面往復式駐車装置、または他の形式の駐車装置であってもよい。
【0086】
(変更例3)
本発明では、駐車装置10の契約者の自動車に対して、契約者モードの状態の制御装置7がパレット3を格納位置と入出庫位置との間で移動させる制御を行えばよい。例えば、当該制御は、上述のステップS2~S6により行われてもよいし、あるいは、当該制御は、次のように行われてもよい。
【0087】
すなわち、上述のステップS2、S3の代わりに、契約者が、駐車装置10の入出庫口E付近に設けた操作盤(図示せず)を操作することにより、当該契約者用のパレットを選択してもよい(この操作は、操作盤に認証情報の入力操作を行うことで可能になってよい)。これにより、契約者モードの制御装置7は、選択された当該パレットを、入出庫位置へ移動させる制御を行う。その後は、上述のステップS5,S6が行われてよい。
【0088】
(変更例4)
駐車装置10の運用形態によっては、制御装置7の状態が管理者モードである時に(例えば、上述したステップS8の最中に)、契約者を示す認証情報が認証情報受付部9に与えられた場合には、制御装置7の状態が自動的に契約者モードに切り替わってよい。この場合、当該認証情報に基づいて上述のステップS4が行われ、次いで、上述のステップS5、S6が行われてよい。
【符号の説明】
【0089】
1 自動車
3 パレット
4 昇降路
5 搬送装置
6 格納棚
7 制御装置
9 認証情報受付部
10 駐車装置
11 表示装置
13 操作部
14 壁
51 リフト
52 リフト駆動装置
52a ワイヤ
52b ドラム
52c ワイヤ駆動装置
53 横行駆動装置
53a,53b 横行ローラ
71 認証部
71a 記憶部
72 制御部
72a 記憶部
E 入出庫口