(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】スパッタリングターゲット材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/34 20060101AFI20231011BHJP
C04B 35/581 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
C23C14/34 A
C04B35/581
(21)【出願番号】P 2019218102
(22)【出願日】2019-12-02
【審査請求日】2022-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006183
【氏名又は名称】三井金属鉱業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞崎 貴則
【審査官】今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-223012(JP,A)
【文献】特開2010-236060(JP,A)
【文献】特開2019-013342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/34
C04B 35/581
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
M元素(MはAl以外の金属元素を表す)を含むAlNのスパッタリングターゲット材であって、
1モルのAlに対してM元素が0.10モル以上1.00モル以下含まれ
、
表面粗さRa値(JISB0601)が3μm以下であるスパッタリングターゲット材。
【請求項2】
M元素が窒化物の状態で含まれている、請求項1に記載のスパッタリングターゲット材。
【請求項3】
AlN及び前記窒化物がいずれも結晶質である、請求項2に記載のスパッタリングターゲット材。
【請求項4】
前記スパッタリングターゲット材の表面に1.0×10
-3mm
2あたり50個以上の前記窒化物が観察され且つ該表面における前記窒化物の面積率が10%以上である、請求項2又は3に記載のスパッタリングターゲット材。
【請求項5】
相対密度が85%以上100%以下である、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット材。
【請求項6】
バルク抵抗率が1×10
-1Ωcm以下である、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット材。
【請求項7】
AlN粒子とM元素(MはAl以外の金属元素を表す)の粒子とをAlNの量1モルに対しM元素の量が0.10モル以上1.00モル以下となる比率で混合し、含窒素雰囲気又は不活性ガス雰囲気で焼成する、スパッタリングターゲット材の製造方法
であって、
前記AlN粒子の平均アスペクト比が1以上5以下である、スパッタリングターゲット材の製造方法。
【請求項8】
金属Mが溶融し且つAlNが溶融しない条件下で焼成する、請求項7に記載のスパッタリングターゲット材の製造方法。
【請求項9】
焼成温度が1600℃以上2000℃以下である、請求項
7又は
8に記載のスパッタリングターゲット材の製造方法。
【請求項10】
前記AlN粒子は、その平均粒子径が0.05μm以上30μm以下である、請求項
7ないし
9のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット材の製造方法。
【請求項11】
前記M元素の粒子は、その平均粒子径が10μm以上1000μm以下である、請求項
7ないし
10のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット材の製造方法。
【請求項12】
請求項1ないし
6のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット材を備えたスパッタリングターゲットをDCスパッタリングする、AlN含有膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタリングターゲット材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Al系窒素含有材料からなる薄膜はエレクトロニクス分野をはじめとした各分野で幅広く用いられている。例えば窒化アルミニウム(AlN)は、高熱伝導性、高絶縁性、低誘電率を有し、更に曲げ強度等の機械的強度にも優れているという特性を構成する材料として知られ、高い放熱性が要求される半導体実装用の絶縁基板材料のほか、誘電体膜等として用いられている。またScを含むAl系窒素含有薄膜は電子光学素子を用いる表示装置の画素間に配置される反射防止膜等の光学薄膜や、更には通信機器などにおけるバルク弾性波(BAW)、表面波(SAW)などの高周波のフィルタに用いられつつある。
【0003】
Scを含む窒化アルミニウム薄膜については、AlとScとの合金からなるスパッタリングターゲットを、窒素を含むガス中でスパッタリングさせる、反応性スパッタリングが知られている(特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-096647号公報
【文献】国際公開第2017/213185号パンフレット
【文献】特開2000-030309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2に記載されている反応性のスパッタリングによれば、スパッタ雰囲気中で雰囲気中の原子とターゲット材料とを反応させるため、そのような反応を不要とする通常の高周波スパッタリングに比して成膜速度が遅く、工程に要する時間が長い上に、反応性スパッタリング用の装置が複雑な機構を必要とするため、成膜コストが高い。
【0006】
したがって本発明の課題は、Al系窒素含有材料からなるスパッタリングターゲット材の改良にあり、更に詳しくは、低抵抗化することで、DCスパッタリングが可能で、これにより、従来に比して成膜コストを抑制し且つ成膜時間を短縮できる、Al系窒素含有材料からなるスパッタリングターゲット材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、M元素(MはAl以外の金属元素を表す)を含むAlNのスパッタリングターゲット材であって、
1モルのAlに対してM元素が0.10モル以上1.00モル以下含まれるスパッタリングターゲット材を提供することによって前記の課題を解決したものである。
【0008】
また本発明は、前記のスパッタリングターゲット材の好適な製造方法として、AlN粒子とM元素の粒子とをAlNの量1モルに対しM元素の量が0.10モル以上1.00モル以下となる比率で混合し、含窒素雰囲気又は不活性ガス雰囲気で焼成する、スパッタリングターゲット材の製造方法を提供するものである。
【0009】
また本発明は、前記スパッタリングターゲット材を備えたスパッタリングターゲットをDCスパッタリングする、AlN含有膜の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、DCスパッタリング可能なAl系窒素含有材料を含むスパッタリングターゲット材を提供することができる。また、本発明によれば、本発明のスパッタリングターゲット材を工業的に有利な方法で製造できるスパッタリングターゲット材の製造方法を提供できる。また本発明によれば、従来に比して成膜コストを抑制し且つ成膜時間を短縮できるAlN含有膜の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明のスパッタリングターゲット材(以下、単に「ターゲット材」ともいう。)は、M元素及び不可避不純物を含むAl系窒素含有材料(主としてAlN)から構成されている。AlNは実質的に非導電性であることから、AlNを母材とするターゲット材をDCスパッタリングに供することは困難である。そこで本発明においては、ターゲット材の母材であるAlNにM元素を添加することで、ターゲット材に導電性を付与している。
【0012】
本発明のターゲット材において、前記のM元素は、Al以外の金属元素を表し、AlNを母材とするターゲット材に導電性を付与し得るものが用いられる。本発明のターゲット材中においてM元素は金属単体の状態で存在し得るか、又は化合物の状態で存在し得る。M元素が化合物の状態で存在する場合には、該化合物が導電性又は少なくとも半導体性を有することが好ましい。後述する方法に従い本発明のターゲット材を製造する場合には、窒素雰囲気下での焼成工程を経ることから、窒化物が導電性又は少なくとも半導体性を有する元素をM元素して用いることが好ましい。尤も、窒化物以外の化合物が導電性又は少なくとも半導体性を有している限り、M元素は窒化物以外の状態でターゲット材中に存在していてもよい。窒化物が導電性又は少なくとも半導体性を示す元素としては例えばSc、Zr、Nb及びTiから選ばれる1種又は2種以上の元素が挙げられる。これらの元素は1種を単独で用いることができ、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0013】
本発明のターゲット材において前記のM元素が窒化物の状態で存在する場合について説明する。
まず、M元素が、Scの場合は、ScN(原子比が1:1)が基本であるが、ScxNyと一般化できる。ここで、xは好ましくは0.8以上1.2以下であり、yは好ましくは0.8以上1.2以下である。ICDDデータでは、例えばScN0.98やScN0.87が報告されているが、これらに限られない。
次に、Zrの場合は、例えばZrNが典型的なものとして挙げられるが、このほかに、ICDDデータでは、例えばZr2N、Zr3N4、ZrN2、ZrN0.28、ZrN0.99が報告されている。
また、Nbの場合は、NbNのほかに、ICDDデータでは、Nb2N、Nb2N3、Nb4N3、Nb4N5、Nb5N6、NbN0.95、Nb4.62N2.14、Nb4N3.92、NbN1.64、NbN1.334、NbN1.512、Nb0.77N0.357、NbN0.64、NbN0.9、NbN0.77、NbN0.801、Nb0.9875N0.11、Nb4N2.62、(Nb3N2)11.6、Nb0.84N、NbN0.88、NbN0.58、Nb0.987N、NbN0.85、NbN0.84、Nb4N3.4、NbN0.844、N6.80Nb8、N3.92Nb4、N2.14Nb4.62、N3.38Nb4、N0.9Nb、Nb1.54N0.71が報告されている。
更に、Tiの場合は、例えばTiNが典型的なものとして挙げられるが、このほかに、ICDDデータでは、例えばTi2N、Ti4N3、TiN0.26、TiN0.3、TiN0.9、Ti4N2.333、Ti0.83N0.17、TiN0.61、Ti2N0.8、TiN0.17、TiN0.176、Ti3N1.29、Ti0.76Nが報告されている。
【0014】
前記の窒化物は、いずれも導電性又は少なくとも半導体性を有し、これを絶縁体であるAlNに含有させることで、好ましくは、AlNの粒界に前記M元素の窒化物が微細に存在することにより、ターゲット材全体が導電性を獲得し、低抵抗化したターゲット材が得られる。その結果、本発明のターゲット材はDCスパッタリングが可能となる。M元素は、AlNの粒界に窒化物の状態で存在していることが、ターゲット材への導電性の付与の観点から好ましいが、ターゲット材全体の性能に影響を与えない限りにおいて、窒化物に加えて金属単体として存在していてもよい。同様に、M元素は、AlN又は不可避不純物との複合化合物として存在していてもよい。
【0015】
本発明のターゲット材において、Alの量1モルに対し、M元素の量が0.10モル以上であることでターゲット材の抵抗が低下し、DCスパッタリングが可能となる。またAlの量1モルに対し、M元素の量を1.00モル以下とすることで、Alに由来する高熱伝導性、高絶縁性、低誘電率、又は優れた機械的強度などの諸特性を具備しつつ、更に、ターゲット材の製造時に溶融したM元素の金属が型に固着して脱型が困難になることを抑制できる。これらの観点から、本発明のターゲット材において、1モルのAlに対し、M元素が0.10モル以上1.00モル以下であることが好ましく、0.10モル以上0.60モル以下であることがより好ましく、0.10モル以上0.30モル以下であることが更に好ましい。
【0016】
本発明のターゲット材に含まれるAl及びM元素の濃度は、誘導結合プラズマ発光分光分析装置によって求めることができる。また、窒化物の濃度は、Al及びM元素の量を前記の方法で測定するとともに、窒素の濃度を酸素・窒素分析装置(例えば日立ハイテクサイエンスのPS3520UV-DD)によって測定することによって求めることができる。この測定においては、Nの全量がAlN及びM元素の窒化物を構成するNと見なして、Nのモル数をAlN及びM元素の窒化物のモル数の総数とする。
【0017】
本発明のターゲット材において、M元素が窒化物の状態で存在する場合には、AlN及びM元素の窒化物がいずれも結晶質であることが、高い圧電性を具備する点から好ましい。AlN及びM元素の窒化物が結晶質であることは、X線回折測定において、AlN及びM元素の窒化物に由来するピークを観察することによって確認できる。例えば、線源をCuKαとするX線回折測定において、AlNのピークは、2θ=32°以上34°以下、36°以上38°以下、58°以上60°以下から選ばれる1又は2以上の範囲に観察されることが好ましく、これらの各範囲にいずれも観察されることがより好ましい。また、同じ線源のX線回折測定においてM元素の窒化物のピークは、M元素ごとに固有のピーク範囲で観察され、例えば、ScNのピークは、2θ=34°以上36°以下、38°以上42°以下、57°以上59°以下から選ばれる1又は2以上の範囲に観察されることが好ましく、これらの各範囲にいずれも観察されることがより好ましい。
【0018】
本発明のターゲット材において、M元素が窒化物の状態で存在する場合には、該ターゲット材の表面には、1.0×10-3mm2あたり50個以上のM元素の窒化物が観察され、且つその表面におけるM元素の窒化物の面積率が10%以上であることが好ましい。前記窒化物の個数及び面積率は、走査型電子顕微鏡(SEM)などの電子顕微鏡を使い、任意の3視野を観察することによって求めることができる。観察した3視野においてその個数が1.0×10-3mm2あたり50個以上であれば、М元素を介した導電パスを形成することで電流が流れやすくなる、すなわちターゲット材に導電性を得られる点から好ましく、より好ましくは、60個以上であり、更に好ましくは70個以上である。また、その個数が110個を超えると隣接するМ元素同士が焼成中に凝集する傾向があるので、110個以下が好ましく、より好ましくは100個以下である。また、前記窒化物の面積率が10%以上であれば、М元素を介した導電パスを形成することで電流が流れやすくなる、すなわちターゲット材に導電性を得られる点から好ましく、より好ましくは、20%以上であり、更に好ましくは30%以上である。また、その面積率が50%を超えると隣接するМ元素同士が焼成中に凝集する傾向があるので、50%以下が好ましく、より好ましくは、40%以下である。
【0019】
本発明のターゲット材は、Al及びM元素を前述のモル比とし、残部が不可避不純物からなる構成とすることにより、DCスパッタリングが可能となる。ここで、不可避不純物としては、原料であるAlN粒子及びM元素(金属M)粒子に含有されている不純物や、製造時の焼結型に由来する不純物、焼結時に雰囲気中から混入する不純物などが挙げられる。例えば、金属元素である不可避不純物としては、Mg、Cr、Zn、Fe、Cu、Mn、Ni、Co、Hf等が挙げられる。半金属元素である不可避不純物としては、Si等が挙げられる。金属又は半金属元素以外の不可避不純物としてはO(酸素)、C(炭素)、S(硫黄)が挙げられる。
【0020】
本発明のターゲット材において、不可避不純物の量は、上述したように原料であるAlN粒子及び金属M粒子に含有されている不純物や、製造時の焼結型に由来する不純物、焼結時に雰囲気中から混入する不純物といったように、意図した添加によらずに、製造工程において不可避的に含まれる範囲の量である。例えば、前記の各金属不純物元素、各半金属不純物元素、酸素、炭素及び硫黄の合計量は、本発明のターゲット材中、50000ppm以下であることが好ましく、30000ppm以下であることがより好ましく、20000ppm以下であることが更に好ましく、10000ppm以下であることが特に好ましい。不純物量が前記上限値以下であることは継続的なDCスパッタリングをより一層確実にするのみならず、AlN及びM元素の窒化物の圧電性を高める点からも好ましい。不純物量の下限値に特に制限はないが、原料の得やすさや工程の管理の点から1000ppm以上が好ましい。
【0021】
不可避的な不純物の量を前記範囲内とするためには、後述する本発明のターゲット材の好適な製造方法を採用し、その製造方法において、原料となるAlN粒子及び金属M粒子として後述する高純度のものを用いればよい。例えば、先に述べた特許文献3には、大電力によるスパッタリングで成膜速度を向上させることを目的とし、CaやY等の金属化合物からなる焼結助剤を添加して焼結体としてのAlNスパッタリングターゲットを緻密化していると記載されている。これに対し本発明のターゲット材は、このようなAlNの特性を損ねる添加物を含有することなく高速成膜が容易なDCスパッタリングを可能とするものである。本発明のターゲット材において前記のCa及びYの元素はターゲット材全体に対する質量基準で、それぞれ10000ppm以下であることが好ましく、5000ppm以下であることがより好ましい。
【0022】
本発明のターゲット材に含まれる不可避不純物としてのMg、Cr、Zn、Fe、Cu、Mn、Ni、Co、Ca、Y、Hf、Siの濃度は、例えば誘導結合プラズマ発光分光分析装置によって測定できる。
【0023】
本発明のターゲット材に含まれる酸素の濃度は、例えば酸素・窒素分析装置(LECOジャパンのONH836)によって測定できる。また、酸素の濃度の単位である「ppm」はターゲット材全体に含まれる酸素の質量基準であり、このことは、炭素及び硫黄の濃度の単位である「ppm」についても同様である。
【0024】
本発明のターゲット材に含まれる炭素及び硫黄の濃度は、例えば炭素・硫黄分析装置(株式会社堀場製作所のEMIA920V)によって測定できる。
【0025】
本発明のターゲット材は、AlNのほかには、M元素及び上述した不可避不純物元素以外の元素を含まないことが好ましい。尤も、本発明の効果を損なわない限りにおいて、前記で挙げた不可避不純物元素以外に意図しない不可避不純物がターゲット材中に含有されることは妨げられない。
【0026】
本発明のターゲット材は、その相対密度が高いことが好ましい。相対密度とは、スパッタリングターゲット材の実測密度を理論密度(計算密度ともいう)で除し、100を乗じた値である。M元素が窒化物である場合には、理論密度ρ(g/cm3)は、上述した誘導結合プラズマ発光分光分析装置及び酸素・窒素分析装置による測定に基づくAlN及びM元素の窒化物の割合並びにそれらの密度から算出する。具体的には、下記の式に基づき算出する。
ρ={(C1/100)/ρ1+(C2/100)/ρ2}-1
式中のC1及びC2及びρ1及びρ2は、それぞれ以下の値を示す。
・C1:ターゲット材中のAlNの質量%
・ρ1:AlNの密度(3.26g/cm3)
・C2:ターゲット材中のM元素の窒化物の質量%
・ρ2:M元素の窒化物の密度
ターゲット材の実測密度はアルキメデス法で測定される。
前記窒化物がScNである場合の密度は4.4g/cm3であり、ZrNである場合の密度は7.1g/cm3であり、NbNである場合の密度は8.5g/cm3であり、TiNである場合の密度は5.4g/cm3である。
【0027】
上述の方法で測定される本発明のターゲット材の相対密度は85%以上であることが好ましく、90%以上であることが更に好ましく、95%以上であることが一層好ましい。相対密度の上限値は100%に近ければ近いほど好ましく、最も高い場合では100%である。本発明のターゲット材がこのような相対密度を有することによって、AlN中の粒界に存在するM元素の窒化物の粒子同士が結合しやすく、導電パスが密に形成されて抵抗が一層低いものとなり、より確実に継続的なDCスパッタリングが可能となる。またスパッタリング時にアーキングが発生しにくい。更に、空隙が減ることにより圧電性が向上しやすい。
【0028】
前記の相対密度を得るためには、後述する本発明のターゲット材の好ましい製造方法において、後述する好ましい粒径のAlN粒子及び金属M粒子を用いるとともに、焼結工程において後述する好ましい焼成温度条件を採用すればよい。
【0029】
本発明のターゲット材は、抵抗が一定以下であることが、より一層確実に継続的なDCスパッタリングが可能である点で好ましい。具体的には、本発明のターゲット材は、バルク抵抗率が1×10-1Ωcm以下であることが好ましく、5.0×10-2Ωcm以下であることがより好ましく、1.0×10-2Ωcm以下であることが特に好ましい。ターゲット材のバルク抵抗率は、後述する実施例に記載の方法にて測定することができる。バルク抵抗率は、低い方がDCスパッタリングしやすいという点で好ましいが1.0×10-8Ωcm以上であることが、工業的に効率良く生産可能とする観点から好ましい。
【0030】
ターゲット材のバルク抵抗率を前記の上限値以下とするためには、後述する本発明のターゲット材の好ましい製造方法において、後述する好ましい粒径及び平均アスペクト比のAlN粒子及び金属M粒子を用いるとともに、焼結工程において、後述する好ましい焼成温度条件を採用すればよい。
【0031】
本発明のターゲット材は、表面粗さRa値(JISB0601)が3μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、0.5μm以下であることが特に好ましい。表面粗さRa値が前記の上限値以下であることで、スパッタリング時のパーティクルの発生を効果的に防止することができる。表面粗さRa値の下限値としては、0.1μm以上であることが、ターゲット材の製造しやすさの点で好ましい。ターゲット材の表面粗さ値を前記上限値以下とするには、ターゲット材表面を公知の平面研削機で研削すればよい。平面研削機は旋盤式及びマシニング式のいずれであってもよい。
【0032】
本発明において、ターゲット材は、AlN粒子及び金属M粒子を原料として焼結法で作製している。焼結法は金属を溶かして作製する溶融法などに比べ、得られる成形体の組成、密度むらが生じにくいため、大型のターゲットが作製しやすいというメリットがある。
本発明のターゲット材の面積は、100cm2以上であることが、組成、密度の均一なスパッタリング膜を得られる点で好ましく、200cm2以上であることがより好ましい。ここでいうターゲット材の面積とは、ターゲット材が平板状の場合はその平板の板面の表面積の合計であり、ターゲット材が円筒状の場合は、その筒状の外表面の面積である。ターゲット材の厚みは、ターゲット材の利用効率及びターゲット材の製造しやすさ等の点から、5mm以上20mm以下が好ましく、5mm以上10mm以下がより好ましい。
【0033】
本発明においてスパッタリングターゲット材及びターゲット材とは、平面研削やボンディング等のターゲット材仕上工程前の状態も包含する。ターゲット材の形状は、平板に限定されず、円筒形状のものも含まれる。また本発明においてスパッタリングターゲットとは、こうした単数又は複数のターゲット材をバッキングプレート等にボンディングしたものであって、一体としてスパッタリングに供されるものをいう。
【0034】
次に、本発明のターゲット材の好適な製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、AlN粒子と金属M粒子とを、AlNの量1モルに対しM元素を0.10モル以上1.00モル以下の比率となるように混合し、含窒素雰囲気又は不活性ガス雰囲気で焼成する。AlN粒子と金属M粒子とのより好ましい混合比率は、0.10モル以上0.60モル以下であり、更に好ましい混合比率は0.10モル以上0.30モル以下である。
【0035】
AlN粒子及び金属M粒子としては、いずれも純度が99質量%以上であるものを用いることが、得られるターゲット材において、不可避不純物量を前記範囲内とする点で好ましく、99.9質量%以上であるものを用いることが特に好ましい。原料粉末に有機化合物が多い場合はターゲット材のコンタミネーションを低減するため脱脂処理を行う。AlN粒子及び金属M粒子の不純物としては、前述のとおり、Mg、Cr、Zn、Fe、Cu、Mn、Ni、Co、Si、Hfが挙げられる。
【0036】
AlN粒子及び金属M粒子は球状又は粒状であることが、針状などの特定の方向に長い粒子に比して、焼成後の収縮がスムーズでターゲット材を緻密にしやすい点で好ましい。この観点から、AlN粒子及び金属M粒子の平均アスペクト比がそれぞれ独立に1以上5以下であることが好ましく、1以上3以下であることがより好ましく、1以上2以下であることが特に好ましい。
【0037】
アスペクト比の測定は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた拡大観察を行い、視野内で100個の粒子を任意に選択する。選択された各粒子の長径及び短径を測定して、個々の粒子のアスペクト比を計算する。より具体的には、対象とする粒子を、その外形をすべて含み、且つ該粒子の外形の線の少なくとも2点が重複する楕円形に近似し、得られた楕円形の長軸の長さを測定し、これを長径とするとともに、長軸と直交する方向を短軸とし、一つの粒子の長径/短径の比を求める。同様にして求めた100個の粒子の、長径/短径の値の平均値を求め、測定対象である種類の粒子についての平均アスペクト比とする。
【0038】
AlN粒子は、平均粒子径が30μm以下であることがパッキング性を低くしない点で好ましく、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることが特に好ましい。AlN粒子の平均粒子径は、0.05μm以上であることが、焼結駆動力を高くする点で好ましく、0.1μm以上であることが特に好ましい。
【0039】
金属M粒子は、平均粒子径が1000μm以下であることが得られるターゲット材においてAlN粒子の周囲を取り囲むM元素の窒化物の粒子による導電ネットワークを形成しやすい点で好ましく、500μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることが更に好ましく、60μm以下であることが特に好ましい。金属M粒子の平均粒子径は、10μm以上であることが、ターゲット材製造時の成形密度を向上させやすい点で好ましく、20μm以上であることが特に好ましい。
【0040】
なお、本明細書において、AlN粒子及び金属M粒子の平均粒子径の値は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積50容量%における体積累積粒径D50をいう。
【0041】
AlN粒子及び金属M粒子は互いに混合されて混合粉となる。混合粉における各原料粉の割合は、目的とするターゲット材に含まれる各元素の割合となるように調整される。混合には公知の混合装置、例えばビーズミル、サンドミル、アトライタ(登録商標)及びボールミルなどの媒体攪拌型ミルなどを用いることができる。媒体攪拌型ミルを用いるときのメディアの直径は0.1mm以上50mm以下であることが好ましい。メディアの材質は、例えばジルコニアやアルミナなどが好ましい。各原料粉の混合は大気雰囲気中で行うことができる。大気中での混合時間は、10分以上1440分以下であることが好ましく、30分以上720分以下であることが更に好ましく、60分以上180分以下であることが一層好ましい。
【0042】
混合粉の焼結は、該混合粉を加圧しながら又は常圧にて加熱することにて行う。詳細には、混合粉を所定の形状の成形凹部を有する焼結ダイ内に充填する。焼結ダイとしては例えばグラファイト製のものを用いることができるが、この材質に限られない。焼結ダイに混合粉を充填したら、該混合粉を例えばホットプレス焼結法(以下「HP法」と略称する。)に付すことができる。あるいは放電プラズマ焼結法(以下「SPS法」と略称する。)に付すことができる。あるいは、混合粉は、金型プレス法、ラバープレス(静水圧プレス)法、シート成形法、押し出し成形法、鋳込み成形法等で成形した後に常圧焼結してもよい。
【0043】
焼結雰囲気は、窒素ガスを含む含窒素雰囲気又は不活性ガス雰囲気とする。窒素ガスを使用する理由は、M元素と反応させ、AlNの粒界にM元素の窒化物が分布した状態とするためである。酸化雰囲気を用いないことで、AlN及びM元素の窒化物の酸化を防止できる。含窒素雰囲気としては、窒素ガスそのもの及び窒素ガスと不活性ガスとの混合ガスなどが挙げられる。一方、不活性ガスとしてはアルゴン等の周期表の第18族に属する希ガスが挙げられる。窒素を含まない不活性ガス雰囲気で焼成してもM元素が窒化物となるのは、焼成中に溶融したM元素がAlNの解離により生成した窒素と反応したことによるものと推察される。
【0044】
焼成温度は、高い程、焼結体が高密度化しやすくなるが、あまり高いとAlNやM元素の窒化物が分解したり、ターゲット材中の焼結組織が肥大化して割れやすくなったりする。したがって、焼成温度の上限は、AlNが溶融しない条件が好ましい。AlNの融点は、常圧では2200℃であるが、前述のHP法などの加圧条件下では、融点は下がるので、2000℃以下がより好ましく、1900℃以下が更に好ましい。焼成温度の下限は、高密度化した焼結体を生成するために、金属Mが溶解する温度以上の条件が好ましい。M元素がScの場合、その融点は常圧では、1541℃であるので、1600℃以上がより好ましく、1700℃以上が更に好ましい。
【0045】
焼成時間は、得られるターゲット材の一層の高密度化、及び前記の焼結組織の肥大化による割れの防止の観点から、焼成温度が前記範囲であることを要件として、1時間以上30時間以下が好ましく、1時間以上20時間以下がより好ましく、1時間以上10時間以下が特に好ましい。
【0046】
混合粉を焼結させるときの昇温速度は、1時間あたりの温度変化が100℃/時間以上800℃/時間以下であることが、熱効率の点やターゲット材を高密度化させる点で好ましく、100℃/時間以上500℃/時間以下であることが更に好ましい。
【0047】
焼成後の降温速度は100℃/時間以下であることがAlN及びM元素の窒化物の熱応力差による割れが起こりにくい点で好ましく、50℃/時間以下であることがより好ましく、30℃/時間以下であることが特に好ましい。降温速度は10℃/時間より小さくしても前記の熱応力差は変わらないため、生産効率の点から10℃/時間以上であることが好ましい。
【0048】
焼成温度は、放射温度計(チノー社製、IR-AHS0)を使用して、焼結ダイの表面温度を計測することで得ることができる。
【0049】
加圧焼結を行う場合にはターゲット材をより一層緻密化する観点及び焼結体の破損を防止する観点等から、焼結時の加圧力は10MPa以上100MPa以下であることが好ましく、30MPa以上80MPa以下であることが更に好ましい。圧力保持時間は、焼結温度及び圧力が上述の範囲であることを条件として、前記焼結温度において、30分以上600分以下であることが好ましく、60分以上180分以下であることが更に好ましい。
【0050】
以上の条件によりターゲット材が得られたら、その表面を研削加工により平滑にした後に、バッキングプレート又はバッキングチューブ等の基材に貼り付ける。研削加工は、アーキングの発生を抑制する観点から、表面粗さRa(JIS B0601)が好ましくは3μm以下、更に好ましくは1μm以下、一層好ましくは0.5μm以下となるように行う。一方、ターゲット材の角のR面取りはRの半径を大きくするほど、研削加工時に割れがしやすくなり、また加工に要する時間は長くなるため、生産性の観点からは、半径を3mm以下とすることが好ましい。これらの観点から、ターゲット材の角のR面取り(曲面取り)は、加工部を断面視したときに曲率半径1mm以上3mm以下の円弧を描くようにR面取りすることが好ましく、曲率半径2mm以上3mm以下の円弧を描くようにR面取りすることがより好ましく、曲率半径3mmの円弧を描くようにR面取りすることが最も好ましい。
【0051】
バッキングプレートへの貼り付けにはインジウムなどのボンディング材を用いることができる。バッキングプレートとしては例えば無酸素銅を用いることができる。バッキングプレートに複数のターゲット材を貼り付けする場合、ターゲット材の間隔は、アーキングの発生しにくさやターゲット材の熱膨張に起因する変形防止の点から0.05mm以上0.2mm以下であることが好ましく、0.05mm以上0.1mm以下であることがより好ましい。
【0052】
このようにして得られたターゲットは、例えばDCスパッタリングのターゲットとして好適に用いられる。DCスパッタリングの条件は特に限定されないが、放電ガスとしては、例えば、アルゴン、アルゴン及び窒素の混合ガスが挙げられる。ガス全圧としては0.1Pa~1.0Paとすることが一般的である。投入電力は例えば0.5W/cm2~5.0W/cm2とすることができる。DCスパッタリングによる得られる薄膜の組成としては、ターゲット材と同様の組成が挙げられ、AlN及びM元素を含有するものである。
本発明のターゲット材を有するターゲットを用いてスパッタリングを行うことで、例えば通信機器のSAW、BAW等の高周波フィルタを構成する薄膜を首尾よく形成できる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
【0054】
〔実施例1〕
<第1工程>
AlN粒子(平均アスペクト比=1.3、D50=1μm、純度99.9質量%)及び金属M粒子として金属Scの粒子(平均アスペクト比=1.1、D50=50μm、純度99.9質量%)を用い、各粒子をそれぞれ秤量した後に、大気中にてジルコニアボール(半径10mm)入りのボールミルを用いて120分にわたり混合し混合粉を得た。各粉の混合は、混合粉における1モルのAlNに対するScのモル数が0.17モルとなるように行った。
【0055】
<第2工程>
混合粉をグラファイト製の焼結ダイ内に充填した。焼結ダイの直径は210mmであった。次いでホットプレス法によって混合粉の焼結を行った。ホットプレス法の実施条件は以下のとおりとした。このようにして、円盤状のターゲット材(直径210mm、厚さ10mm)を得た。上述の方法で元素分析を行ったところ、このターゲット材に含まれる不純物は、質量基準で酸素が7500ppm、炭素が4900ppmであった。更に、ターゲット材の表面におけるScNの1.0×10-3mm2あたりの個数を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、任意の3視野を観察し、且つScNの面積率を求めた。その後、このターゲット材の表面を研削して表面粗さRa(JISB0601)を0.5μmにし、角のエッジを曲率半径3mmの曲面となるように面取りした。無酸素銅からなるバッキングプレート(面積324cm2)のボンディング面にインジウムはんだを下塗りした、ボンディング面にターゲット材を密着させてボンディングし、スパッタリングターゲットを得た。
・焼結雰囲気:アルゴン雰囲気
・昇温速度:300℃/時間
・焼成温度:1800℃
・圧力:30MPa
・前記焼成温度、前記圧力での保持時間:2時間
・降温速度:50℃/時間
・昇温開始と同時に加圧開始
【0056】
〔実施例2~7及び比較例1~3〕
第1工程において、各原料粉の混合比率若しくは粒径又は焼結温度を以下の表1に示す値となるように変更した。これ以外は実施例1と同様にしてターゲット材及びスパッタリングターゲットを得た。実施例2~7及び比較例1~3のターゲット材中の不純物は、実施例1と同様の種類の不可避不純物のみであった。
【0057】
〔測定〕
実施例及び比較例で得られたターゲット材について、上述の方法で元素分析を行い、下記表1と同じAlN:ScNのモル比を有することを確認した。また、実施例及び比較例で得られたターゲット材について下記条件にてX線回折測定を行いAlN及びScNの結晶性を確認した。それらの結果を表1に示す。表1において各実施例のターゲット材について、下記条件のX線回折測定にて、AlNのピークが、2θ=32°以上34°以下、36°以上38°以下、58°以上60°以下の各範囲に観察されること、及び、ScNのピークが、2θ=34°以上36°以下、38°以上42°以下、57°以上59°以下の各範囲に観察されることを確認した。金属Scのピークは観察されなかった。
【0058】
<X線回折測定>
・装置:Smartlab(株式会社リガク製)
・線源:CuKα線
・管電圧:40kV
・管電流:30mA
・スキャン速度:5°/min
・ステップ:0.1°
・スキャン範囲:2θ=20°~80°
【0059】
〔評価〕
実施例1ないし7及び比較例1ないし3で得られたターゲット材について、下記の方法で割れの有無を評価した。その結果、割れが観察されなかった実施例1ないし7及び比較例1及び2のターゲット材について、前述の方法で相対密度の測定を行ったほか、下記の方法でバルク抵抗率の測定を行った。また、以下の条件でDCスパッタリングを行い、DCスパッタリングが可能か否かを評価した。それらの結果を表1に示す。
【0060】
<ターゲット材の割れの有無>
目視により、ターゲット材の割れが観察されたものを「あり」、観察されないものを「なし」として評価した。
【0061】
<バルク抵抗率の測定>
三菱ケミカルアナリテック社の抵抗率計(4端子法)を用い測定した。測定に際し、まず試料の表面に金属製の探針4本を一直線上に立て、外側の二探針間に一定電流を流し、内側の二探針間に生じる電位差を測定し抵抗を求めた。求めた抵抗に試料厚さ、補正係数RCF(Resistivity Correction Factor)をかけて、体積抵抗率(バルク抵抗率)を算出した。バルク抵抗率は、ターゲット材のスパッタ面を等間隔に3点以上を測定し、その平均値を算出した。各測定点の距離は20mm以上とした。
【0062】
<DCスパッタリングの可否>
DCマグネトロンスパッタ装置を用いてスパッタ試験を行った。スパッタ条件はそれぞれ、到達真空度:1×10-5Pa、投入電力:DC1.9W/cm2、ガス全圧:0.4Pa、放電ガス:Ar+N2、Arの体積比:50/(50+50)×100=50%、スパッタ時間:160分、膜厚20000Å、基板温度200℃とした。DCスパッタリングを継続して可能な場合について、「可」を、放電が起こらない場合を「不可」とした。その結果を、表1に示す。
【0063】
【0064】
表1に示す結果から明らかなとおり、実施例1~7で得られたスパッタリングターゲット材は、バルク抵抗率が低く、DCスパッタリングが可能であることがわかる。これに対し、比較例1~2で得られたスパッタリングターゲット材は、バルク抵抗率が高く、DCスパッタリングができなかった。また比較例3では溶融したAlが金型に固着し、脱型時に割れて所望のサンプルが得られなかった。