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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】部品姿勢判定装置及び部品実装機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20231011BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20231011BHJP
   G01B 11/26 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
H05K13/04 M
H05K13/08 P
G01B11/26 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019221985
(22)【出願日】2019-12-09
(65)【公開番号】P2021093414
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】道添 聡浩
(72)【発明者】
【氏名】榊原 敬介
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-181638(JP,A)
【文献】特開2008-294065(JP,A)
【文献】特開2015-173152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
H05K 13/08
G01B 11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を搭載するヘッドユニットに設けられた吸着ノズルの吸着面に吸着保持された部品の姿勢を判定する部品姿勢判定装置であって、
前記吸着ノズルに吸着保持された部品を側方から撮像して側方画像を取得する側方撮像部と、
前記吸着ノズルに吸着保持された部品を下方から撮像して下方画像を取得する下方撮像部と、
前記側方画像及び前記下方画像に基づき部品の姿勢に関する部品姿勢指標値を算出し、当該部品姿勢指標値に基づき前記吸着ノズルに吸着保持された部品の姿勢が、基板に対する搭載の可否を示す搭載可能姿勢及び搭載不可姿勢と、前記搭載可能姿勢及び前記搭載不可姿勢の何れの姿勢であるかの判別が不能な判別不能姿勢と、の何れの姿勢であるかを判定する判定部と、を備え、
前記判定部は、
前記側方画像中における、前記吸着ノズルの基準部に対応した画素群からなる基準部領域及び部品に対応した画素群からなる側方部品領域に基づいて、前記基準部領域の下端又は前記側方部品領域の上端から、前記側方部品領域の下端までの前記吸着面に直交する方向に沿った長さ、又は、前記吸着面に対する部品下面の傾き角度で表される第1指標値を前記部品姿勢指標値として算出し、前記第1指標値に基づいて部品の姿勢を判定する第1判定処理と、
前記下方画像中の部品に対応した画素群からなる下方部品領域の所定の基準部品領域に対する歪み度を算出し、当該歪み度に基づき前記吸着面に対する部品のアオリ角度及びアオリ方向を含む第2指標値を前記部品姿勢指標値として算出し、前記第2指標値に基づいて部品の姿勢を判定する第2判定処理と、
前記第1判定処理及び前記第2判定処理での判定結果に応じて、前記第1判定処理において用いた前記側方画像の撮像時の部品に対する撮像方向とは異なる方向からの撮像による、第2の側方画像の取得を指令する再撮像指令を、前記側方撮像部に出力し、前記第2の側方画像中の部品に対応した画素群からなる第2の側方部品領域に基づいて、前記吸着面に対する部品下面の傾き角度で表される第3指標値を算出し、前記第3指標値に基づいて部品の姿勢を判定する第3判定処理と、を実行し、
前記第3判定処理では、前記第1判定処理での判定結果が前記搭載可能姿勢又は前記判別不能姿勢であり、且つ前記第2判定処理での判定結果が前記判別不能姿勢である場合、前記第1判定処理において用いた前記側方画像の撮像時の部品に対する撮像方向と同一水平面上であって、且つ前記第2指標値に含まれる前記アオリ方向と直交する方向から部品を撮像する指令を、前記再撮像指令として出力する、部品姿勢判定装置。
【請求項2】
前記判定部は、
前記第1判定処理の後に前記第2判定処理を実行するように構成され、
前記第1判定処理での判定結果が前記搭載可能姿勢、前記搭載不可姿勢及び前記判別不能姿勢の何れの場合においても、当該第1判定処理の後に前記第2判定処理を実行する、請求項に記載の部品姿勢判定装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記第1判定処理での判定結果に応じて、当該第1判定処理の後に前記第2判定処理を実行するように構成され、
前記第1判定処理での判定結果が前記搭載可能姿勢及び前記搭載不可姿勢の何れかの場合には、前記第2判定処理の実行を省略し、
前記第1判定処理での判定結果が前記判別不能姿勢の場合には、当該第1判定処理の後に前記第2判定処理を実行する、請求項に記載の部品姿勢判定装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記第3判定処理では、前記第1判定処理での判定結果が前記判別不能姿勢であり、且つ前記第2判定処理での判定結果が前記搭載可能姿勢である場合、前記第1判定処理において用いた前記側方画像の撮像時の部品に対する撮像方向と同一水平面上で直交する方向から部品を撮像する指令を、前記再撮像指令として出力する、請求項に記載の部品姿勢判定装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記第1判定処理及び前記第2判定処理での判定結果が何れも前記搭載可能姿勢の場合、基板に対する部品の搭載を許可する搭載許可情報を出力するか、若しくは、前記第3判定処理を実行する、請求項1に記載の部品姿勢判定装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記第1判定処理及び前記第2判定処理の少なくとも何れか一方の処理での判定結果が前記搭載不可姿勢の場合、基板に対する部品の搭載を不許可とする搭載不許可情報を出力する、請求項1に記載の部品姿勢判定装置。
【請求項7】
部品を吸着保持する吸着面を有した吸着ノズルを備え、当該吸着面で吸着保持された部品を基板に搭載するヘッドユニットと、
前記吸着ノズルに吸着保持された部品の姿勢を判定する、請求項1~のいずれか1項に記載の部品姿勢判定装置と、
前記部品姿勢判定装置の前記判定部による判定結果に基づいて、前記ヘッドユニットによる基板に対する部品の搭載動作を制御する制御装置と、を備える、部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着ノズルの吸着面に吸着保持された部品の姿勢を判定する部品姿勢判定装置及びそれを備えた部品実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板等の基板上に電子部品(以下、単に「部品」という)を搭載するための部品実装機は、部品を吸着保持する吸着ノズルを有するヘッドユニットを備えている。ヘッドユニットは、吸着ノズルにより部品を吸着保持した状態で所定の部品搭載位置に移動し、その部品搭載位置において部品を基板に搭載する。
【0003】
ヘッドユニットにより部品を基板に搭載する際には、吸着ノズルに吸着保持された部品の姿勢が問題になることがある。つまり、吸着ノズルに吸着保持された部品の姿勢が異常姿勢を取っているときには、基板に対する部品の搭載不良が発生する場合がある。このような問題を解決する技術が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示される技術では、吸着ノズルに吸着保持された部品を下方から撮像し、その下方画像に基づき部品のアオリ角度を算出し、当該アオリ角度を用いて部品姿勢を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-294065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、下方画像のみを用いた部品姿勢の判定は、精度のよい姿勢判定であるとは言い難く、実際には搭載不良にはならない部品姿勢をも異常姿勢であると判定される場合や、実際には搭載不良になる部品姿勢を正常姿勢であると判定される場合がある。この場合、不所望に部品の廃棄が行われ、又は、基板に対する部品の搭載不良の発生が増加してしまう虞がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、吸着ノズルに吸着保持された部品の姿勢を精度よく判定することが可能な部品姿勢判定装置及びそれを備えた部品実装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る部品姿勢判定装置は、基板に部品を搭載するヘッドユニットに設けられた吸着ノズルの吸着面に吸着保持された部品の姿勢を判定する装置である。この部品姿勢判定装置は、前記吸着ノズルに吸着保持された部品を側方から撮像して側方画像を取得する側方撮像部と、前記吸着ノズルに吸着保持された部品を下方から撮像して下方画像を取得する下方撮像部と、前記側方画像及び前記下方画像に基づき部品の姿勢に関する部品姿勢指標値を算出し、当該部品姿勢指標値に基づき前記吸着ノズルに吸着保持された部品の姿勢が、基板に対する搭載の可否を示す搭載可能姿勢及び搭載不可姿勢と、前記搭載可能姿勢及び前記搭載不可姿勢の何れの姿勢であるかの判別が不能な判別不能姿勢と、の何れの姿勢であるかを判定する判定部と、を備える。前記判定部は、前記側方画像中における、前記吸着ノズルの基準部に対応した画素群からなる基準部領域及び部品に対応した画素群からなる側方部品領域に基づいて、前記基準部領域の下端又は前記側方部品領域の上端から、前記側方部品領域の下端までの前記吸着面に直交する方向に沿った長さ、又は、前記吸着面に対する部品下面の傾き角度で表される第1指標値を前記部品姿勢指標値として算出し、前記第1指標値に基づいて部品の姿勢を判定する第1判定処理と、前記下方画像中の部品に対応した画素群からなる下方部品領域の所定の基準部品領域に対する歪み度を算出し、当該歪み度に基づき前記吸着面に対する部品のアオリ角度及びアオリ方向を含む第2指標値を前記部品姿勢指標値として算出し、前記第2指標値に基づいて部品の姿勢を判定する第2判定処理と、前記第1判定処理及び前記第2判定処理での判定結果に応じて、前記第1判定処理において用いた前記側方画像の撮像時の部品に対する撮像方向とは異なる方向からの撮像による、第2の側方画像の取得を指令する再撮像指令を、前記側方撮像部に出力し、前記第2の側方画像中の部品に対応した画素群からなる第2の側方部品領域に基づいて、前記吸着面に対する部品下面の傾き角度で表される第3指標値を算出し、前記第3指標値に基づいて部品の姿勢を判定する第3判定処理と、を実行する。前記判定部は、前記第3判定処理では、前記第1判定処理での判定結果が前記搭載可能姿勢又は前記判別不能姿勢であり、且つ前記第2判定処理での判定結果が前記判別不能姿勢である場合、前記第1判定処理において用いた前記側方画像の撮像時の部品に対する撮像方向と同一水平面上であって、且つ前記第2指標値に含まれる前記アオリ方向と直交する方向から部品を撮像する指令を、前記再撮像指令として出力する。
【0008】
この部品姿勢判定装置によれば、吸着ノズルに吸着保持された部品に対し、側方撮像部が側方から撮像して側方画像を取得し、下方撮像部が下方から撮像して下方画像を取得する。これらの側方画像及び下方画像に基づいて判定部は、吸着ノズルに吸着保持された部品の姿勢を判定する。
【0009】
具体的には、判定部は、側方画像中の基準部領域及び側方部品領域に基づいて、基準部領域の下端又は側方部品領域の上端から、側方部品領域の下端までの吸着面に直交する方向に沿った長さ、又は、吸着面に対する部品下面の傾き角度で表される第1指標値を算出し、当該第1指標値に基づいて部品の姿勢を判定する第1判定処理を実行する。例えば、吸着ノズルの吸着面に対して傾斜した傾斜姿勢で部品が吸着保持されている場合を想定する。この場合、前記吸着面に対して平行な正常姿勢で部品が吸着保持されている場合と比較して、側方画像に基づき算出される第1指標値は大きくなる。判定部は、第1判定処理において、部品の姿勢に応じて変化する側方画像に基づく第1指標値を用いて部品の姿勢を判定することができる。
【0010】
更に、判定部は、下方画像中の下方部品領域の所定の基準部品領域に対する歪み度に基づき吸着面に対する部品のアオリ角度及びアオリ方向を含む第2指標値を算出し、当該第2指標値に基づいて部品の姿勢を判定する第2判定処理を実行する。例えば、吸着ノズルの吸着面に対して傾斜した傾斜姿勢で部品が吸着保持されている場合を想定する。この場合、下方画像において下方部品領域に基準部品領域に対する歪みが生じ、吸着ノズルの吸着面に対する部品のアオリ角度が大きくなる。判定部は、第2判定処理において、部品の姿勢に応じて変化する下方画像に基づくアオリ角度を含む第2指標値を用いて部品の姿勢を判定することができる。
【0011】
上記のように、判定部は、側方画像に基づく第1指標値を用いた第1判定処理と、下方画像に基づく第2指標値を用いた第2判定処理とのコンビネーションの判定処理によって部品の姿勢を判定する。これにより、判定部は、吸着ノズルに吸着保持された部品の姿勢を精度よく判定することができる。
【0013】
吸着ノズルに吸着保持された部品の姿勢によっては、第1判定処理及び第2判定処理の各々において、当該部品姿勢が搭載可能姿勢及び搭載不可姿勢の何れの姿勢に属するかの判別が困難な状況が生じ得る。このような場合、判定部は、部品姿勢が搭載可能姿勢及び搭載不可姿勢の何れの姿勢に属するかの判別を無理矢理行わずに、部品姿勢を判別不能姿勢であると判定する。これにより、判定部は、吸着ノズルに吸着保持された部品の姿勢を精度よく判定することができる。
また、判定部は、第1判定処理及び第2判定処理での判定結果に応じて、第1判定処理で用いた側方画像とは撮像方向が異なる第2の側方画像に基づく第3指標値を用いて部品の姿勢を判定する第3判定処理を実行する。これにより、第1判定処理及び第2判定処理の少なくとも何れか一方の処理において部品姿勢が搭載可能姿勢及び搭載不可姿勢の何れの姿勢に属するかの判別が困難な状況である場合に、第3判定処理において部品の姿勢を判定することができる。すなわち、判定部は、側方画像に基づく第1指標値を用いた第1判定処理と、下方画像に基づく第2指標値を用いた第2判定処理と、第2の側方画像に基づく第3指標値を用いた第3判定処理とのコンビネーションの判定処理によって部品の姿勢を判定する。これにより、判定部は、吸着ノズルに吸着保持された部品の姿勢をより精度よく判定することができる。
判定部は、第1判定処理での判定結果が搭載可能姿勢又は判別不能姿勢であり、且つ第2判定処理での判定結果が判別不能姿勢である場合に、第3判定処理において、第2判定処理で用いた第2指標値に含まれるアオリ方向と直交する方向からの第2の側方画像に基づく第3指標値を用いて、部品の姿勢を判定する。これにより、第2判定処理において部品姿勢が搭載可能姿勢及び搭載不可姿勢の何れの姿勢に属するかの判別が困難な状況である場合に、第3判定処理において部品姿勢をより精度よく判定することができる。
【0014】
上記の部品姿勢判定装置において、前記判定部は、前記第1判定処理の後に前記第2判定処理を実行するように構成される。そして、前記判定部は、前記第1判定処理での判定結果が前記搭載可能姿勢、前記搭載不可姿勢及び前記判別不能姿勢の何れの場合においても、当該第1判定処理の後に前記第2判定処理を実行する。
【0015】
この態様では、判定部は、第1判定処理での判定結果に関わらず第2判定処理を実行し、第1判定処理と第2判定処理とのコンビネーションの判定処理によって部品の姿勢を判定する。これにより、判定部は、吸着ノズルに吸着保持された部品の姿勢をより精度よく判定することができる。
【0016】
上記の部品姿勢判定装置において、前記判定部は、前記第1判定処理での判定結果に応じて、当該第1判定処理の後に前記第2判定処理を実行するように構成される。そして、前記判定部は、前記第1判定処理での判定結果が前記搭載可能姿勢及び前記搭載不可姿勢の何れかの場合には、前記第2判定処理の実行を省略し、前記第1判定処理での判定結果が前記判別不能姿勢の場合には、当該第1判定処理の後に前記第2判定処理を実行する。
【0017】
この態様では、判定部は、第1判定処理での判定結果に応じて第2判定処理を実行する。判定部は、第1判定処理での判定結果が搭載可能姿勢及び搭載不可姿勢の何れかの場合には、部品のアオリ角度及びアオリ方向を含む第2指標値を用いた第2判定処理の実行を省略する。これにより、判定部による判定処理の効率の向上を図ることができる。一方、第1判定処理での判定結果が判別不能姿勢の場合には、判定部は、第1判定処理の後に、部品のアオリ角度及びアオリ方向を含む第2指標値を用いた第2判定処理を実行する。これにより、第1判定処理において部品姿勢が搭載可能姿勢及び搭載不可姿勢の何れの姿勢に属するかの判別が困難な状況である場合に、第2判定処理において部品の姿勢を判定することができる。
【0020】
上記の部品姿勢判定装置において、前記判定部は、前記第3判定処理では、前記第1判定処理での判定結果が前記判別不能姿勢であり、且つ前記第2判定処理での判定結果が前記搭載可能姿勢である場合、前記第1判定処理において用いた前記側方画像の撮像時の部品に対する撮像方向と同一水平面上で直交する方向から部品を撮像する指令を、前記再撮像指令として出力する。
【0021】
この態様では、判定部は、第1判定処理での判定結果が判別不能姿勢であり、且つ第2判定処理での判定結果が搭載可能姿勢である場合に、第3判定処理において、第1判定処理で用いた側方画像の部品に対する撮像方向と直交する方向からの第2の側方画像に基づく第3指標値を用いて、部品の姿勢を判定する。これにより、第2判定処理において部品姿勢が搭載可能姿勢であると判定できるものの、第1判定処理において部品姿勢が搭載可能姿勢及び搭載不可姿勢の何れの姿勢に属するかの判別が困難な状況である場合に、第3判定処理において部品姿勢をより精度よく判定することができる。
【0024】
上記の部品姿勢判定装置において、前記判定部は、前記第1判定処理及び前記第2判定処理での判定結果が何れも前記搭載可能姿勢の場合、基板に対する部品の搭載を許可する搭載許可情報を出力するか、若しくは、前記第3判定処理を実行する。
【0025】
この態様では、判定部は、第1判定処理及び第2判定処理での判定結果が何れも搭載可能姿勢の場合には、搭載許可情報を出力するか、若しくは再撮像指令を出力して第3判定処理を実行する。吸着ノズルに吸着保持された部品の姿勢が第1判定処理及び第2判定処理の両処理において搭載可能姿勢であると判定された場合に、判定部により搭載許可情報が出力される。この搭載許可情報に基づきヘッドユニットによる基板に対する部品の搭載動作が行われることによって、基板に対する部品の搭載不良の発生を低減することができる。一方、第1判定処理及び第2判定処理の両処理において部品姿勢が搭載可能姿勢であると判定された場合において、判定部により第3判定処理が実行されることで、部品姿勢が搭載可能姿勢であるかをより正確に判定することができる。
【0026】
上記の部品姿勢判定装置において、前記判定部は、前記第1判定処理及び前記第2判定処理の少なくとも何れか一方の処理での判定結果が前記搭載不可姿勢の場合、基板に対する部品の搭載を不許可とする搭載不許可情報を出力する。
【0027】
この態様では、吸着ノズルに吸着保持された部品の姿勢が第1判定処理及び第2判定処理の少なくとも何れか一方の処理において搭載不可姿勢であると判定された場合に、判定部により搭載不許可情報が出力される。この搭載不許可情報に基づくヘッドユニットの動作によって、搭載不良の発生が懸念される姿勢を取った部品を廃棄することができる。
【0028】
本発明の他の局面に係る部品実装機は、部品を吸着保持する吸着面を有した吸着ノズルを備え、当該吸着面で吸着保持された部品を基板に搭載するヘッドユニットと、前記吸着ノズルに吸着保持された部品の姿勢を判定する、上記の部品姿勢判定装置と、前記部品姿勢判定装置の前記判定部による判定結果に基づいて、前記ヘッドユニットによる基板に対する部品の搭載動作を制御する制御装置と、を備える。
【0029】
この部品実装機によれば、ヘッドユニットの吸着ノズルに吸着保持された部品の姿勢を精度よく判定することが可能な部品姿勢判定装置を備えている。この部品姿勢判定装置の判定部による判定結果に基づいて、ヘッドユニットによる基板に対する部品の搭載動作が制御される。これにより、不所望な部品の廃棄を低減すると共に、基板に対する部品の搭載不良の発生を低減することができる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、本発明によれば、吸着ノズルに吸着保持された部品の姿勢を精度よく判定することが可能な部品姿勢判定装置及びそれを備えた部品実装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態に係る部品姿勢判定装置が適用された部品実装機の構成を概略的に示す平面図である。
図2】部品実装機に備えられる部品供給装置を概略的に示す図である。
図3】部品実装機に備えられるヘッドユニットの側面図である。
図4】ヘッドユニットの平面図である。
図5】部品実装機の制御系と部品姿勢判定装置の構成を示すブロック図である。
図6】ヘッドユニットの吸着ノズルに吸着保持された部品の姿勢を説明するための図である。
図7】部品姿勢判定装置の第1記憶部に記憶される判定条件情報を説明するための図である。
図8】部品姿勢判定装置の判定部が実行する第1判定処理を説明するための図である。
図9】判定部が実行する第2判定処理を説明するための図である。
図10】判定部が実行する第2判定処理を説明するための図である。
図11】判定部による第1判定処理及び第2判定処理での判定結果のパターンを説明するための図である。
図12】判定部が実行する第3判定処理を説明するための図である。
図13】判定部による部品姿勢判定処理の流れの第1例を示すフローチャートである。
図14A】判定部による部品姿勢判定処理の流れの第2例を示すフローチャートである。
図14B】判定部による部品姿勢判定処理の流れの第2例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態に係る部品姿勢判定装置及びそれを備えた部品実装機について、図面に基づいて説明する。なお、以下では、方向関係についてはXYZ直交座標軸を用いて説明する。X軸方向は水平面と平行な方向であり、Y軸方向は水平面上でX軸方向と直交する方向であり、Z軸方向はX、Y両方向に直交する上下方向である。また、X軸方向の一方向側を「+X側」と称し、X軸方向の一方向側とは反対の他方向側を「-X側」と称する。また、Y軸方向の一方向側を「+Y側」と称し、Y軸方向の一方向側とは反対の他方向側を「-Y側」と称する。また、Z軸方向の一方向側(上方側)を「+Z側」と称し、Z軸方向の一方向側とは反対の他方向側(下方側)を「-Z側」と称する。
【0033】
[部品実装機の全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る部品姿勢判定装置9が適用された部品実装機1の構成を概略的に示す平面図である。部品実装機1は、基板Pに部品を搭載(実装)して電子回路基板を生産する装置である。部品実装機1は、装置本体1aと、移動フレーム2と、コンベア3と、部品供給装置5が装着される部品供給ユニット4と、ヘッドユニット6と、第1駆動機構7と、第2駆動機構8と、部品姿勢判定装置9と、を備える。
【0034】
装置本体1aは、部品実装機1を構成する各部が配置される構造体であり、Z軸方向から見た平面視で略矩形状に形成されている。コンベア3は、X軸方向に延び、装置本体1aに配置される。コンベア3は、基板PをX軸方向に搬送する。基板Pは、コンベア3上を搬送されて、所定の部品搭載位置(基板P上に部品が搭載される位置)に位置決めされるようになっている。
【0035】
部品供給ユニット4は、装置本体1aにおけるY軸方向の+Y側及び-Y側の領域部分にそれぞれ、X軸方向に2箇所ずつ合計4箇所に配置される。部品供給ユニット4は、装置本体1aにおいて、部品供給装置5が複数並設された状態で装着される領域であって、後述のヘッドユニット6に備えられる吸着ノズル63による吸着対象の部品毎に、各部品供給装置5のセット位置が区画されている。
【0036】
部品供給装置5は、装置本体1aの部品供給ユニット4に着脱自在に装着されている。部品供給装置5は、電子部品(以下、単に部品と称す)を供給可能に構成されていれば、その部品供給方式は特に限定されるものではない。部品供給装置5としては、例えば、テープを担体(キャリア)として部品を供給する方式のテープフィーダー、部品が載置されたトレイを含むパレットを移動させることにより部品を供給する方式のトレイフィーダー、筒状のスティックに収納された部品を当該スティックから押し出しながら供給する方式のスティックフィーダーなどを採用することができる。本実施形態では、部品供給装置5は、テープフィーダーである。この部品供給装置5について、図2を参照して説明する。図2は、部品実装機1に備えられる部品供給装置5を概略的に示す図である。
【0037】
部品供給装置5は、部品供給ユニット4に設けられた取付部31に取り付けられている。取付部31には、X軸方向に一定間隔で並びかつY軸方向に互いに平行に延びる複数のスロット32と、これらスロット32よりも前側の位置でX軸方向に延びる固定台33とが設けられている。そして、各スロット32に部品供給装置5がセットされ、各部品供給装置5が固定台33に固定されている。これにより、部品供給ユニット4に、複数の部品供給装置5がX軸方向に横並びに整列して配置されている。
【0038】
部品供給装置5は、Y軸方向に細長い形状をなす本体部41を備えている。部品供給装置5は、前記スロット32に本体部41が挿入(セット)された状態で、固定台33に固定されている。
【0039】
部品供給装置5は、更に、本体部41の前端部分に備えられた第1テープ送出部42と、本体部41の後端部分に備えられた第2テープ送出部43と、本体部41に設けられたテープ通路44と、テープガイド45とを備えている。
【0040】
前記テープ通路44は、複数の部品が収納された部品収納テープ100を案内するための通路である。テープ通路44は、本体部41の後端部から前側上部に向かって斜め上方に延びている。部品収納テープ100は、本体部41の後端部からその内部に導入され、テープ通路44を通じて本体部41の上面前部に案内されている。
【0041】
部品供給装置5において、前記テープガイド45は、本体部41の前部上面に設けられている。テープガイド45は、テープ通路44を通過した部品収納テープ100を覆い、当該部品収納テープ100を本体部41の上面に沿って略水平に部品供給位置P1まで案内するものである。部品供給位置P1は、前記ヘッドユニット6に部品の取り出しを行わせる位置であり、本体部41の上面前端に近い位置に設定されている。部品供給装置5において部品供給位置P1に供給された部品は、ヘッドユニット6の吸着ノズル63により吸着保持されて取り出される。
【0042】
第1テープ送出部42は、テープガイド45の下方に配置される第1スプロケット51と、第1モーター52と、第1モーター52の駆動力を第1スプロケット51に伝達する、複数枚の伝動ギヤからなる第1ギヤ群53とを備えている。第1スプロケット51は、テープガイド45に沿って案内される部品収納テープ100に嵌合する歯を有している。つまり、第1テープ送出部42は、第1スプロケット51を第1モーター52により回転駆動することにより、部品収納テープ100を部品供給位置P1に向かって送出する。
【0043】
第2テープ送出部43は、本体部41の後端部に配置される第2スプロケット54と、第2モーター55と、第2モーター55の駆動力を第2スプロケット54に伝達する、複数枚の伝動ギヤからなる第2ギヤ群56とを備えている。第2スプロケット54は、上方から前記テープ通路44内に臨んでおり、当該テープ通路44に沿って案内される部品収納テープ100に嵌合する歯を有している。つまり、第2テープ送出部43は、第2スプロケット54を第2モーター55により回転駆動することにより、部品収納テープ100を部品供給位置P1に向かって送出する。
【0044】
部品収納テープ100は、各送出部42、43により部品供給位置P1に向かって間欠的に送出され、部品供給位置P1でテープガイド45を通じて部品Eの取り出しが行われる。
【0045】
次に、図2を参照して部品実装機1に備えられる移動フレーム2は、X軸方向に延び、装置本体1aに、所定の移動方向(Y軸方向)に移動可能に支持される。この移動フレーム2にヘッドユニット6が搭載されている。ヘッドユニット6は、X軸方向に移動可能となるように、移動フレーム2に搭載される。すなわち、ヘッドユニット6は、移動フレーム2の移動に伴ってY軸方向に移動可能であり、且つ、移動フレーム2に沿ってX軸方向に移動可能である。ヘッドユニット6は、部品供給ユニット4に装着された部品供給装置5の部品供給位置P1と、コンベア3により搬送された基板Pの所定の部品搭載位置とにわたって移動可能とされ、部品供給位置P1において部品供給装置5から部品を取り出すと共に、その取り出した部品を部品搭載位置において基板P上に搭載(実装)する。ヘッドユニット6の詳細については、後述する。
【0046】
第1駆動機構7は、装置本体1aの+X側及び-X側の端部に配設される。第1駆動機構7は、移動フレーム2をY軸方向に移動させる機構である。第1駆動機構7は、例えば、駆動モーターと、Y軸方向に延び、駆動モーターに連結されるボールねじ軸と、移動フレーム2に配設されてボールねじ軸と螺合するボールナットと、を含んで構成される。このような構成の第1駆動機構7は、駆動モーターによるボールねじ軸の回転駆動に伴ってボールナットがボールねじ軸に沿って進退することにより、移動フレーム2をY軸方向に移動させる。
【0047】
第2駆動機構8は、移動フレーム2に配設される。第2駆動機構8は、ヘッドユニット6を移動フレーム2に沿ったX軸方向に移動させる機構である。第2駆動機構8は、第1駆動機構7と同様に、例えば、駆動モーターと、X軸方向に延び、駆動モーターに連結されるボールねじ軸と、ヘッドユニット6に配設されてボールねじ軸と螺合するボールナットと、を含んで構成される。このような構成の第2駆動機構8は、駆動モーターによるボールねじ軸の回転駆動に伴ってボールナットがボールねじ軸に沿って進退することにより、ヘッドユニット6をX軸方向に移動させる。
【0048】
なお、第1駆動機構7及び第2駆動機構8は、当例では、駆動モーターによりボールねじ軸を介して移動フレーム2及びヘッドユニット6を移動させる構成である。しかし、例えばリニアモーターを駆動源として移動フレーム2やヘッドユニット6をダイレクトに駆動する構成であってもよい。
【0049】
ヘッドユニット6について、図1に加えて図3及び図4を参照して説明する。図3はヘッドユニット6の側面図であり、図4はヘッドユニット6を下方から見た平面図である。ヘッドユニット6は、ヘッド本体61と、回転体62と、吸着ノズル63とを含む。ヘッド本体61は、ヘッドユニット6の本体部分を構成する。回転体62は、円柱状に形成され、回転体駆動機構66(後記の図5参照)により鉛直軸(Z軸方向に延びる軸)を回転中心として回転可能に、ヘッド本体61に設けられる。
【0050】
回転体62の外周縁端部には、複数の吸着ノズル63が、周方向に所定の間隔をおいて配設されている。吸着ノズル63は、部品供給装置5により部品供給位置P1に供給された部品を吸着して保持可能な保持具である。吸着ノズル63は、Z軸方向に沿って延び、その先端部631において部品を吸着保持する吸着面631Sを有している。吸着面631Sは、X軸及びY軸により構成される水平面に平行な面である。吸着ノズル63は、電動切替弁を介して負圧発生装置、正圧発生装置及び大気の何れかに連通可能とされている。つまり、吸着ノズル63に負圧が供給されることで当該吸着ノズル63による部品の吸着保持(部品の取り出し)が可能となり、その後、正圧が供給されることで当該部品の吸着保持が解除される。
【0051】
吸着ノズル63は、ノズル駆動機構67(後記の図5参照)によりZ軸方向に昇降可能であると共に、Z軸方向に延びるノズル軸回りの回転が可能に、回転体62に設けられる。吸着ノズル63は、部品供給装置5により部品供給位置P1に供給された部品の吸着保持が可能な吸着保持位置と、吸着保持位置に対して上方側の退避位置との間で、Z軸方向に沿って昇降可能である。つまり、部品供給位置P1に供給された部品を吸着保持するときには、吸着ノズル63は、ノズル駆動機構67によって退避位置から吸着保持位置へ向かって下降し、当該吸着保持位置において部品を吸着保持する。一方、部品の吸着保持後の吸着ノズル63は、ノズル駆動機構67によって吸着保持位置から退避位置へ向かって上昇する。
【0052】
また、図3及び図4に示すように、ヘッドユニット6のヘッド本体61の-Z側の面には、回転体62よりも外側(-X側)に取付部材64を介して基板認識カメラ65が固定されている。基板認識カメラ65は、基板Pの品種の識別や位置決めのために、ヘッドユニット6と共に移動して、基板Pの上面に記された各種マークを上方から撮像するものである。
【0053】
更に、本実施形態に係る部品実装機1は、図5のブロック図に示すように、部品姿勢判定装置9と制御装置10とを備えている。部品姿勢判定装置9は、例えばマイクロコンピュータによって構成される。部品姿勢判定装置9は、吸着ノズル63に吸着保持された部品の姿勢を判定する装置である。この部品姿勢判定装置9の判定結果に基づいて、ヘッドユニット6による基板Pに対する部品の搭載動作が制御される。部品姿勢判定装置9の詳細については後述する。
【0054】
制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。制御装置10は、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、部品実装機1の動作を統括的に制御する。なお、制御装置10と部品姿勢判定装置9とは、相互のデータ通信が可能に接続されている。また、制御装置10に部品姿勢判定装置9が組み込まれていてもよい。
【0055】
制御装置10は、部品供給制御部10Aとヘッド駆動制御部10Bとを含む。部品供給制御部10Aは、部品供給装置5による部品供給位置P1への部品の供給動作を制御する。ヘッド駆動制御部10Bは、第1駆動機構7及び第2駆動機構8によるヘッドユニット6のX軸方向及びY軸方向に関する水平面上の移動を制御する。また、ヘッド駆動制御部10Bは、ノズル駆動機構67による吸着ノズル63の昇降動作とノズル軸回りの回転動作とを制御する。更に、ヘッド駆動制御部10Bは、回転体駆動機構66による回転体62の回転動作を制御する。ヘッド駆動制御部10Bは、部品姿勢判定装置9から出力される各種の情報に基づいて、ヘッドユニット6の移動や吸着ノズル63の回転動作等を制御する。
【0056】
[部品姿勢判定装置の詳細構成]
部品姿勢判定装置9は、吸着ノズル63に吸着保持された部品の姿勢を、基板Pに搭載される前に判定する。図6は、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eの姿勢を説明するための図である。図6に示すように、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eの姿勢は、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸回りの回転角によって表すことができる。吸着ノズル63の吸着面631Sに対する部品EのX軸回りの回転角は、ロール角θXとして表される。同様に、吸着ノズル63の吸着面631Sに対する部品EのY軸回りの回転角はピッチ角θYとして表され、Z軸回りの回転角はヨー角θZとして表される。
【0057】
吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが吸着面631Sに対して平行な正常姿勢を取った状態のロール角θX、ピッチ角θY及びヨー角θZを、基準角(例えば0度)とする。吸着ノズル63に吸着保持された部品EがX軸回りに回転された姿勢を取った場合、ピッチ角θY及びヨー角θZは基準角のままであるが、ロール角θXは基準角に対して変化する。吸着ノズル63に吸着保持された部品EがY軸回りに回転された姿勢を取った場合、ロール角θX及びヨー角θZは基準角のままであるが、ピッチ角θYは基準角に対して変化する。吸着ノズル63に吸着保持された部品EがZ軸回りに回転された姿勢を取った場合、ロール角θX及びピッチ角θYは基準角のままであるが、ヨー角θZは基準角に対して変化する。吸着ノズル63に吸着保持された部品EがX軸及びY軸回りに回転された姿勢を取った場合、ヨー角θZは基準角のままであるが、ロール角θX及びピッチ角θYは基準角に対して変化する。吸着ノズル63に吸着保持された部品EがX軸、Y軸及びZ軸回りに回転された姿勢を取った場合、ロール角θX、ピッチ角θY及びヨー角θZの何れも基準角に対して変化する。
【0058】
部品姿勢判定装置9は、上記のような、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eの姿勢を判定する。部品姿勢判定装置9は、図5に示すように、側方撮像部91と、下方撮像部92と、判定部93と、第1記憶部94と、第2記憶部95とを備える。
【0059】
側方撮像部91は、図3及び図4に示すように、ヘッドユニット6のヘッド本体61の-Z側の面に突設された取付部材64に固定され、例えばCMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)やCCD(Charged-coupled device)等の撮像素子を備えた撮像カメラである。側方撮像部91は、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eを、X軸方向に沿った側方から撮像して側方画像G1(後記の図8等参照)を取得する。
【0060】
下方撮像部92は、図1に示すように、装置本体1a上の各部品供給ユニット4とコンベア3との間の位置にそれぞれ配設され、例えばCMOSやCCD等の撮像素子を備えた撮像カメラである。下方撮像部92は、部品供給装置5の部品供給位置P1から、コンベア3により搬送された基板Pの部品搭載位置へ向かってヘッドユニット6が移動している間において、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eを、Z軸方向に沿った下方から撮像して下方画像G2(後記の図9及び図10等参照)を取得する。
【0061】
第1記憶部94は、後記の判定部93が部品姿勢判定処理を実行する際に参照する、図7に示される判定条件情報J1を記憶する記憶部である。判定条件情報J1は、部品種情報J11と、部品厚設計値情報J12と、第1厚み閾値情報J13と、第2厚み閾値情報J14と、第1傾き閾値情報J15と、第2傾き閾値情報J16と、第1アオリ閾値情報J17と、第2アオリ閾値情報J18と、回転閾値情報J19とが関連付けられた情報である。部品種情報J11は、部品供給装置5により供給されて吸着ノズル63に吸着保持される部品Eの種類を示す情報である。
【0062】
部品厚設計値情報J12は、部品Eの厚みに関する設計値である部品厚設計値を示す情報であり、部品種情報J11で示される部品種毎に登録されている。前記部品厚設計値は、例えば、吸着ノズル63における基準部631Aの下端から吸着面631Sまでの長さに、部品Eの厚みを加算した値に設定される。なお、吸着ノズル63の前記基準部631Aは、例えば、先端部631の上端を規定する段差部などである。第1厚み閾値情報J13及び第2厚み閾値情報J14は、後記の判定部93が第1判定処理において部品Eの姿勢を判定する際に参照する部品Eの厚みに関する閾値を示す情報であり、部品種情報J11で示される部品種毎に登録されている。第1厚み閾値情報J13で示される第1厚み閾値と、第2厚み閾値情報J14で示される第2厚み閾値とを比較すると、第1厚み閾値よりも第2厚み閾値が大きい値に設定されている。例えば、第1厚み閾値は、部品厚設計値情報J12で示される部品厚設計値の10%の値に設定され、第2厚み閾値は、部品厚設計値の50%の値に設定される。
【0063】
第1傾き閾値情報J15及び第2傾き閾値情報J16は、後記の判定部93が第3判定処理において部品Eの姿勢を判定する際に参照する、吸着ノズル63の吸着面631Sに対する部品Eにおける下面の傾き角度に関する閾値を示す情報であり、部品種情報J11で示される部品種毎に登録されている。第1傾き閾値情報J15で示される第1傾き閾値と、第2傾き閾値情報J16で示される第2傾き閾値とを比較すると、第1傾き閾値よりも第2傾き閾値が大きい値に設定されている。
【0064】
第1アオリ閾値情報J17及び第2アオリ閾値情報J18は、後記の判定部93が第2判定処理において部品Eの姿勢を判定する際に参照する、吸着ノズル63の吸着面631Sに対する部品Eのアオリ角度に関する閾値を示す情報であり、部品種情報J11で示される部品種毎に登録されている。第1アオリ閾値情報J17で示される第1アオリ閾値と、第2アオリ閾値情報J18で示される第2アオリ閾値とを比較すると、第1アオリ閾値よりも第2アオリ閾値が大きい値に設定されている。
【0065】
回転閾値情報J19は、後記の判定部93が第2判定処理において部品Eの姿勢を判定する際に参照する、吸着ノズル63の吸着面631Sに対する部品EのZ軸回りの回転角度(ヨー角θZに相当)に関する閾値を示す情報である。
【0066】
第2記憶部95は、後記の判定部93による部品姿勢の判定結果を記憶する記憶部である。第2記憶部95は、判定部93による第1判定処理及び第2判定処理での判定結果を記憶する。
【0067】
判定部93は、側方撮像部91及び下方撮像部92の各々により取得された画像に基づいて、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eの姿勢に関する部品姿勢指標値を算出する。そして、判定部93は、当該部品姿勢指標値に基づいて、部品Eの姿勢が、基板Pに対する搭載の可否を示す搭載可能姿勢及び搭載不可姿勢と、判別不能姿勢との何れの姿勢であるかを判定する。搭載可能姿勢は、搭載不良が生じることなく、基板Pに対する正常な搭載が可能な部品姿勢を示す。搭載不可姿勢は、搭載不良が生じる可能性があり、基板Pに対する搭載を中止すべき部品姿勢を示す。判別不能姿勢は、搭載可能姿勢及び搭載不可姿勢の何れの姿勢であるかの判別が不能な部品姿勢を示す。
【0068】
図8は判定部93が実行する第1判定処理を説明するための図であり、図9及び図10は判定部93が実行する第2判定処理を説明するための図である。判定部93は、側方撮像部91により取得された側方画像G1に基づき部品Eの姿勢を判定する第1判定処理と、下方撮像部92により取得された下方画像G2に基づき部品Eの姿勢を判定する第2判定処理とを実行する。
【0069】
ここで、判定部93が第1判定処理及び第2判定処理において部品Eの姿勢を判定する際に用いる側方画像G1及び下方画像G2について、図8図10を参照して説明する。
【0070】
側方画像G1は、部品供給装置5の部品供給位置P1において吸着ノズル63が部品Eを吸着保持したときに、側方撮像部91の撮像動作によって取得された画像である。側方画像G1は、図8に示すように、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eに対応した画素群からなる側方部品領域G11と、吸着ノズル63の先端部631に対応した画素群からなるノズル先端領域G12と、背景に対応した画素群からなる背景領域G13とを含む。ノズル先端領域G12には、吸着ノズル63の基準部631Aに対応した画素群からなる基準部領域G12Aが含まれる。側方画像G1では、側方部品領域G11及び基準部領域G12Aを含むノズル先端領域G12が、背景領域G13よりも暗い暗領域とされている。
【0071】
一方、下方画像G2は、部品供給装置5の部品供給位置P1から、コンベア3により搬送された基板Pの部品搭載位置へ向かってヘッドユニット6が移動している間において、下方撮像部92の撮像動作によって取得された画像である。下方画像G2は、図9及び図10に示すように、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eに対応した画素群からなる下方部品領域G21と、背景に対応した画素群からなる背景領域G22とを含む。下方画像G2では、下方部品領域G21が背景領域G22よりも明るい明領域とされている。なお、下方画像G2には、所定の基準部品領域G21Sが設定されている。基準部品領域G21Sは、下方画像G2において、吸着ノズル63の吸着面631Sに対して平行な正常姿勢を取った部品Eを想定し、当該正常姿勢の部品Eに対応した仮想領域である。
【0072】
まず、図8を参照して、判定部93が実行する第1判定処理について説明する。図8(A)には、前記ロール角θX、前記ピッチ角θY及び前記ヨー角θZが何れも前記基準角であって、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが、吸着面631Sに対して平行な正常姿勢を取った状態が示されている。図8(B)には、前記ピッチ角θY及び前記ヨー角θZは前記基準角のままであるが、前記ロール角θXが前記基準角に対して変化し、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが、X軸回りに回転されて吸着面631Sに対して傾斜した傾斜姿勢を取った状態が示されている。図8(C)には、前記ロール角θX及び前記ヨー角θZは前記基準角のままであるが、前記ピッチ角θYが前記基準角に対して変化し、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが、Y軸回りに回転されて吸着面631Sに対して傾斜した傾斜姿勢を取った状態が示されている。
【0073】
判定部93は、第1判定処理において、側方画像G1中の基準部領域G12A及び側方部品領域G11に基づいて、基準部領域G12Aの下端から側方部品領域G11の下端までの吸着面631Sに直交する方向に沿った長さで表される第1指標値I1を前記部品姿勢指標値として算出し、当該第1指標値I1に基づいて部品Eの姿勢を判定する。例えば、図8(B)及び図8(C)に示すように、吸着ノズル63の吸着面631Sに対して傾斜した傾斜姿勢で部品Eが吸着保持されている場合を想定する。この場合、吸着ノズル63の吸着面631Sに対して平行な正常姿勢で部品Eが吸着保持されている場合(図8(A)の場合)と比較して、側方画像G1に基づき算出される第1指標値I1は大きくなる。判定部93は、第1判定処理において、部品Eの姿勢に応じて変化する側方画像G1に基づく第1指標値I1を用いて部品Eの姿勢を判定することができる。
【0074】
具体的には、判定部93は、第1記憶部94に記憶された判定条件情報J1に含まれる部品厚設計値情報J12、第1厚み閾値情報J13及び第2厚み閾値情報J14と、算出した第1指標値I1とに基づいて、部品Eの姿勢を判定する。判定部93は、部品厚設計値情報J12で示される部品厚設計値と側方画像G1に基づく第1指標値I1との差分が、第1厚み閾値情報J13で示される第1厚み閾値未満である場合、部品Eの姿勢が前記搭載可能姿勢であると判定する。また、判定部93は、前記部品厚設計値と第1指標値I1との差分が、第2厚み閾値情報J14で示される第2厚み閾値以上である場合、部品Eの姿勢が前記搭載不可姿勢であると判定する。更に、判定部93は、前記部品厚設計値と第1指標値I1との差分が、前記第1厚み閾値以上前記第2厚み閾値未満である場合、部品Eの姿勢が前記判別不能姿勢であると判定する。なお、判定部93は、第1判定処理において、側方画像G1中における側方部品領域G11の上端から下端までの吸着面631Sに直交する方向に沿った長さを第1指標値I1として算出し、当該第1指標値I1に基づいて部品Eの姿勢を判定するように構成されていてもよい。また、判定部93は、第1判定処理において、側方画像G1に基づいて、吸着ノズル63の吸着面631Sに対する部品Eの下面の傾き角度を第1指標値I1として算出し、当該第1指標値I1に基づいて部品Eの姿勢を判定するように構成されていてもよい。
【0075】
次に、図9及び図10を参照して、判定部93が実行する第2判定処理について説明する。図9(A)及び図10(A)には、前記ロール角θX、前記ピッチ角θY及び前記ヨー角θZが何れも前記基準角であって、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが、吸着面631Sに対して平行な正常姿勢を取った状態が示されている。図9(B)には、前記ピッチ角θY及び前記ヨー角θZは前記基準角のままであるが、前記ロール角θXが前記基準角に対して変化し、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが、X軸回りに回転されて吸着面631Sに対して傾斜した傾斜姿勢を取った状態が示されている。図9(C)には、前記ロール角θX及び前記ヨー角θZは前記基準角のままであるが、前記ピッチ角θYが前記基準角に対して変化し、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが、Y軸回りに回転されて吸着面631Sに対して傾斜した傾斜姿勢を取った状態が示されている。図10(B)には、前記ロール角θX及び前記ピッチ角θYは前記基準角のままであるが、前記ヨー角θZが前記基準角に対して変化し、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが、Z軸回りに回転された回転姿勢を取った状態が示されている。
【0076】
判定部93は、第2判定処理において、下方画像G2中の下方部品領域G21の基準部品領域G21Sに対する歪み度及びZ軸回りの回転角度を算出する。そして、判定部93は、前記歪み度に基づき吸着ノズル63の吸着面631Sに対する部品Eのアオリ角度AA及びアオリ方向DAを算出し、当該アオリ角度AA及びアオリ方向DAと前記回転角度とを含む第2指標値I2を前記部品姿勢指標値として設定する。判定部93は、第2判定処理において第2指標値I2に基づいて部品Eの姿勢を判定する。なお、吸着ノズル63の吸着面631Sに対する部品Eのアオリ角度AAは、部品Eの吸着面631Sに接した面と当該吸着面631Sとが成す角度であって、前記ロール角θX及び前記ピッチ角θYに相当する。また、吸着ノズル63の吸着面631Sに対する部品Eのアオリ方向DAは、吸着面631Sに対する部品Eの傾斜方向に相当する。
【0077】
例えば、図9(b)に示すように、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが、X軸回りに回転されて吸着面631Sに対して傾斜した傾斜姿勢を取った状態では、部品Eのアオリ角度AAは前記ロール角θXに相当し、部品Eのアオリ方向DAは吸着面631Sに対してZ軸方向に傾斜した方向となる。また、図9(C)に示すように、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが、Y軸回りに回転されて吸着面631Sに対して傾斜した傾斜姿勢を取った状態では、部品Eのアオリ角度AAは前記ピッチ角θYに相当し、部品Eのアオリ方向DAは吸着面631Sに対してZ軸方向に傾斜した方向となる。
【0078】
図9(B)及び図9(C)に示すように、吸着ノズル63の吸着面631Sに対して傾斜した傾斜姿勢で部品Eが吸着保持されている場合を想定する。この場合、下方画像G2において下方部品領域G21に基準部品領域G21Sに対する歪みが生じ、吸着ノズル63の吸着面631Sに対する部品Eのアオリ角度AAが大きくなる。例えば、部品Eが平面視矩形状のチップ部品の場合、当該チップ部品が傾斜姿勢を取った状態で吸着ノズル63に吸着保持されていると、下方画像G2において下方部品領域G21を構成する各辺で隣接する辺同士は直交しなくなる。このため、下方画像G2の下方部品領域G21における隣接辺同士の直交度合いが基準部品領域G21Sに対する歪みとして現れる。また、部品Eが、部品本体から複数のリードが外方に突出するように設けられたリード部品の場合、当該リード部品が傾斜姿勢を取った状態で吸着ノズル63に吸着保持されていると、下方画像G2において下方部品領域G21を構成する複数のリード部分の配置ピッチが変化する。このため、下方画像G2の下方部品領域G21における複数のリード部分の配置ピッチの変化が基準部品領域G21Sに対する歪みとして現れる。判定部93は、第2判定処理において、部品Eの姿勢に応じて変化する下方画像G2に基づくアオリ角度AAを含む第2指標値I2を用いて部品Eの姿勢を判定することができる。
【0079】
具体的には、判定部93は、第1記憶部94に記憶された判定条件情報J1に含まれる第1アオリ閾値情報J17及び第2アオリ閾値情報J18と、第2指標値I2に含まれるアオリ角度AAとに基づいて、部品Eの姿勢を判定する。判定部93は、下方画像G2に基づく第2指標値I2に含まれるアオリ角度AAが、第1アオリ閾値情報J17で示される第1アオリ閾値未満である場合、部品Eの姿勢が前記搭載可能姿勢であると判定する。また、判定部93は、第2指標値I2に含まれるアオリ角度AAが、第2アオリ閾値情報J18で示される第2アオリ閾値以上である場合、部品Eの姿勢が前記搭載不可姿勢であると判定する。更に、判定部93は、第2指標値I2に含まれるアオリ角度AAが、前記第1アオリ閾値以上前記第2アオリ閾値未満である場合、部品Eの姿勢が前記判別不能姿勢であると判定する。
【0080】
次に、図10(B)に示すように、吸着ノズル63の吸着面631Sに対してZ軸回りに回転した回転姿勢で部品Eが吸着保持されている場合を想定する。この場合、下方画像G2において下方部品領域G21が基準部品領域G21Sに対してZ軸回りに回転した状態となる。判定部93は、第2判定処理において、部品Eの吸着面631Sに対するZ軸回りの回転量に応じて変化する、下方画像G2に基づく第2指標値I2に含まれる回転角度を用いて、部品EのZ軸回りの回転姿勢を判定することができる。
【0081】
具体的には、判定部93は、第1記憶部94に記憶された判定条件情報J1に含まれる回転閾値情報J19と、第2指標値I2に含まれるZ軸回りの回転角度とに基づいて、部品Eの姿勢を判定する。判定部93は、下方画像G2に基づく第2指標値I2に含まれる回転角度が、回転閾値情報J19で示される回転閾値未満である場合、部品Eの姿勢が前記搭載可能姿勢であると判定する。また、判定部93は、下方画像G2に基づく第2指標値I2に含まれる回転角度が、前記回転閾値以上である場合、部品Eの姿勢が前記搭載不可姿勢であると判定する。
【0082】
以上説明したように、判定部93は、側方画像G1に基づく第1指標値I1を用いた第1判定処理と、下方画像G2に基づく第2指標値I2を用いた第2判定処理とのコンビネーションの判定処理によって部品Eの姿勢を判定する。これにより、判定部93は、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eの姿勢を精度よく判定することができる。
【0083】
また、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eの姿勢によっては、第1判定処理及び第2判定処理の各々において、当該部品姿勢が前記搭載可能姿勢及び前記搭載不可姿勢の何れの姿勢に属するかの判別が困難な状況が生じ得る。このような場合、既述の通り、判定部93は、部品姿勢が前記搭載可能姿勢及び前記搭載不可姿勢の何れの姿勢に属するかの判別を無理矢理行わずに、部品姿勢を前記判別不能姿勢であると判定する。これにより、判定部93は、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eの姿勢を精度よく判定することができる。
【0084】
また、判定部93は、第1判定処理の後に第2判定処理を実行するように構成されている。そして、判定部93は、第1判定処理での判定結果が前記搭載可能姿勢、前記搭載不可姿勢及び前記判別不能姿勢の何れの場合においても、当該第1判定処理の後に第2判定処理を実行する。すなわち、判定部93は、第1判定処理での判定結果に関わらず第2判定処理を実行し、第1判定処理と第2判定処理とのコンビネーションの判定処理によって部品Eの姿勢を判定する。これにより、判定部93は、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eの姿勢をより精度よく判定することができる。
【0085】
本実施形態では、判定部93は、上記のように第1判定処理での判定結果に関わらず第2判定処理を実行するように構成されているが、このような構成に限定されるものではない。判定部93は、第1判定処理での判定結果に応じて、当該第1判定処理の後に第2判定処理を実行するように構成されていてもよい。この態様では、判定部93は、第1判定処理での判定結果が前記搭載可能姿勢及び前記搭載不可姿勢の何れかの場合には、第2判定処理の実行を省略する。これにより、判定部93による判定処理の効率の向上を図ることができる。一方、第1判定処理での判定結果が前記判別不能姿勢の場合には、判定部93は、第1判定処理の後に、部品Eのアオリ角度AA及びアオリ方向DAを含む第2指標値I2を用いた第2判定処理を実行する。これにより、第1判定処理において部品姿勢が前記搭載可能姿勢及び前記搭載不可姿勢の何れの姿勢に属するかの判別が困難な状況である場合に、第2判定処理において部品Eの姿勢を判定することができる。
【0086】
判定部93による第1判定処理及び第2判定処理での判定結果のパターンは、図11の判定パターンPJによって表すことができる。図11に示すように、判定部93は、第1判定処理及び第2判定処理での判定結果のパターンを、第1判定パターンPJ1と、第2判定パターンPJ2と、第3判定パターンPJ3との3つのパターンに分類する。判定部93は、吸着ノズル63によって部品Eが吸着保持された状態においてヘッドユニット6が、下方撮像部92を通過してコンベア3により搬送された基板Pの部品搭載位置に到達するまでに、第1判定処理及び第2判定処理での判定結果のパターンを3つのパターンに分類する。第1判定パターンPJ1は、第1判定処理及び第2判定処理での判定結果が何れも前記搭載可能姿勢MPPである場合のパターンである。第2判定パターンPJ2は、第1判定処理及び第2判定処理の少なくとも何れか一方の処理での判定結果が前記搭載不可姿勢MIPである場合のパターンである。第3判定パターンPJ3は、第1判定処理及び第2判定処理の少なくとも何れか一方の処理での判定結果が、前記搭載不可姿勢MIPを除いた前記判別不能姿勢DIPである場合のパターンである。
【0087】
判定部93は、第1判定処理及び第2判定処理での判定結果のパターンが第1判定パターンPJ1の場合、基板Pに対する部品Eの搭載を許可する搭載許可情報を出力するか、若しくは、再撮像指令を出力して第3判定処理を実行する。本実施形態に係る部品姿勢判定装置9は、通常モードと詳細判定モードとの間でモードの切替えが可能に構成されている。通常モードに設定された場合には、判定部93は、第1判定処理及び第2判定処理での判定結果のパターンが第1判定パターンPJ1であるときに、前記搭載許可情報を出力する。一方、詳細判定モードに設定された場合には、判定部93は、第1判定処理及び第2判定処理での判定結果のパターンが第1判定パターンPJ1であるときに、前記再撮像指令を出力して第3判定処理を実行する。
【0088】
判定部93から前記搭載許可情報が出力された場合、当該搭載許可情報は制御装置10に入力される。制御装置10に前記搭載許可情報が入力されると、ヘッド駆動制御部10Bは、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが基板P上に搭載されるように、ヘッドユニット6の部品搭載動作を制御する。これにより、判定部93による第1判定処理及び第2判定処理での判定結果が何れも前記搭載可能姿勢MPPである場合に、部品Eが基板P上に搭載されるので、基板Pに対する部品Eの搭載不良の発生を低減することができる。一方、前記詳細判定モードに設定されて判定部93から前記再撮像指令が出力された場合、判定部93は、既述の第1判定処理及び第2判定処理とは異なる第3判定処理を実行する。この第3判定処理の詳細については後述する。
【0089】
判定部93は、第1判定処理及び第2判定処理での判定結果のパターンが第2判定パターンPJ2の場合、基板Pに対する部品Eの搭載を不許可とする搭載不許可情報を出力する。判定部93から前記搭載不許可情報が出力された場合、当該搭載不許可情報は制御装置10に入力される。制御装置10に前記搭載不許可情報が入力されると、ヘッド駆動制御部10Bは、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが廃棄されるように、ヘッドユニット6の部品廃棄動作を制御する。これにより、判定部93による第1判定処理及び第2判定処理の少なくとも何れか一方の処理での判定結果が前記搭載不可姿勢MIPであって、搭載不良の発生が懸念される姿勢を取った部品Eを廃棄することができる。
【0090】
判定部93は、第1判定処理及び第2判定処理での判定結果のパターンが第3判定パターンPJ3の場合、上記の詳細判定モード設定時の第1判定パターンPJ1の場合と同様に、再撮像指令を出力して第3判定処理を実行する。前記再撮像指令の出力後に判定部93が実行する第3判定処理について、図12を参照して説明する。
【0091】
判定部93から前記再撮像指令が出力された場合、当該再撮像指令は制御装置10及び側方撮像部91に入力される。前記再撮像指令は、第1判定処理において用いた側方画像G1の撮像時の部品Eに対する撮像方向D1とは異なる方向からの撮像による、第2の側方画像G3の取得を側方撮像部91に指令する指令情報である。
【0092】
制御装置10及び側方撮像部91に前記再撮像指令が入力された場合を想定する。この場合、吸着ノズル63によって部品Eが吸着保持された状態においてヘッドユニット6が、下方撮像部92を通過してコンベア3により搬送された基板Pの部品搭載位置に到達したときに、ヘッド駆動制御部10Bは、側方撮像部91による部品Eに対する撮像方向が、第1判定処理時の撮像方向D1とは異なる方向となるように、吸着ノズル63を回転させる。吸着ノズル63の回転が完了すると、側方撮像部91は、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eを撮像して、第2の側方画像G3を取得する。
【0093】
側方撮像部91により第2の側方画像G3が取得されると、判定部93は、第2の側方画像G3に基づいて部品Eの姿勢を判定する第3判定処理を実行する。第3判定処理において、判定部93は、第2の側方画像G3中の部品Eに対応した画素群からなる第2の側方部品領域G31に基づいて、吸着ノズル63の吸着面631Sに対する部品Eの下面の傾き角度で表される第3指標値I3を算出し、当該第3指標値I3に基づいて部品Eの姿勢を判定する。具体的には、判定部93は、第1記憶部94に記憶された判定条件情報J1に含まれる第1傾き閾値情報J15及び第2傾き閾値情報J16と、算出した第3指標値I3とに基づいて、部品Eの姿勢を判定する。判定部93は、第3指標値I3が、第1傾き閾値情報J15で示される第1傾き閾値未満である場合、部品Eの姿勢が前記搭載可能姿勢MPPであると判定する。また、判定部93は、第3指標値I3が、第2傾き閾値情報J16で示される第2傾き閾値以上である場合、部品Eの姿勢が前記搭載不可姿勢MIPであると判定する。更に、判定部93は、第3指標値I3が、前記第1傾き閾値以上前記第2傾き閾値未満である場合、部品Eの姿勢が前記判別不能姿勢DIPであると判定する。これにより、第1判定処理及び第2判定処理の少なくとも何れか一方の処理において部品姿勢が前記搭載可能姿勢MPP及び前記搭載不可姿勢MIPの何れの姿勢に属するかの判別が困難な状況である場合に、第3判定処理において部品Eの姿勢を判定することができる。すなわち、判定部93は、側方画像G1に基づく第1指標値I1を用いた第1判定処理と、下方画像G2に基づく第2指標値I2を用いた第2判定処理と、第2の側方画像G3に基づく第3指標値I3を用いた第3判定処理とのコンビネーションの判定処理によって部品Eの姿勢を判定する。これにより、判定部93は、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eの姿勢をより精度よく判定することができる。
【0094】
具体的には、第1判定処理及び第2判定処理での判定結果のパターンが第3判定パターンPJ3の場合であって、第1判定処理での判定結果が前記判別不能姿勢DIPであり、且つ第2判定処理での判定結果が前記搭載可能姿勢MPPである場合を想定する。この場合、判定部93は、図12(A)に示すように、第1判定処理において用いた側方画像G1の撮像時の部品Eに対する撮像方向D1と同一水平面上で直交する方向D11から部品Eを撮像する指令を、前記再撮像指令として出力する。判定部93から前記再撮像指令が出力されると、ヘッド駆動制御部10Bは、側方撮像部91による部品Eに対する撮像方向が、第1判定処理時の撮像方向D1に対して直交する方向D11となるように、吸着ノズル63を90度回転させる。吸着ノズル63の回転が完了すると、側方撮像部91は、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eを撮像して、第2の側方画像G3を取得する。側方撮像部91により第2の側方画像G3が取得されると、判定部93は、第2の側方画像G3に基づいて部品Eの姿勢を判定する第3判定処理を実行する。これにより、第2判定処理において部品姿勢が前記搭載可能姿勢MPPであると判定できるものの、第1判定処理において部品姿勢が前記搭載可能姿勢MPP及び前記搭載不可姿勢MIPの何れの姿勢に属するかの判別が困難な状況である場合に、第3判定処理において部品姿勢をより精度よく判定することができる。
【0095】
また、第1判定処理及び第2判定処理での判定結果のパターンが第3判定パターンPJ3の場合であって、第1判定処理での判定結果が前記搭載可能姿勢MPP又は前記判別不能姿勢DIPであり、且つ第2判定処理での判定結果が前記判別不能姿勢DIPである場合を想定する。この場合、判定部93は、図12(B)に示すように、第1判定処理において用いた側方画像G1の撮像時の部品Eに対する撮像方向D1と同一水平面上であって、且つ第2指標値I2に含まれる前記アオリ方向DAと直交する方向D12から部品Eを撮像する指令を、前記再撮像指令として出力する。判定部93から前記再撮像指令が出力されると、ヘッド駆動制御部10Bは、側方撮像部91による部品Eに対する撮像方向が、第1判定処理時の撮像方向D1と同一水平面上であって、前記アオリ方向DAに対して直交する方向D12となるように、吸着ノズル63を回転させる。吸着ノズル63の回転が完了すると、側方撮像部91は、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eを撮像して、第2の側方画像G3を取得する。側方撮像部91により第2の側方画像G3が取得されると、判定部93は、第2の側方画像G3に基づいて部品Eの姿勢を判定する第3判定処理を実行する。これにより、第2判定処理において部品姿勢が前記搭載可能姿勢MPP及び前記搭載不可姿勢MIPの何れの姿勢に属するかの判別が困難な状況である場合に、第3判定処理において部品姿勢をより精度よく判定することができる。
【0096】
第2の側方画像G3に基づく第3指標値I3を用いた第3判定処理での判定結果が前記搭載可能姿勢MPPの場合、判定部93は、基板Pに対する部品Eの搭載を許可する前記搭載許可情報を出力する。判定部93から前記搭載許可情報が出力されると、ヘッド駆動制御部10Bは、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが基板P上に搭載されるように、ヘッドユニット6の部品搭載動作を制御する。また、第3判定処理での判定結果が前記搭載不可姿勢MIP及び前記判別不能姿勢DIPの何れかの場合、判定部93は、基板Pに対する部品Eの搭載を不許可とする前記搭載不許可情報を出力する。判定部93から前記搭載不許可情報が出力されると、ヘッド駆動制御部10Bは、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが廃棄されるように、ヘッドユニット6の部品廃棄動作を制御する。
【0097】
なお、第1判定処理及び第2判定処理での判定結果のパターンが上記の詳細判定モード設定時の第1判定パターンPJ1の場合においては、判定部93は、第1判定処理において用いた側方画像G1の撮像時の部品Eに対する撮像方向D1と同一水平面上で直交する方向D11から部品Eを撮像する指令を、前記再撮像指令として出力する。判定部93から前記再撮像指令が出力されると、ヘッド駆動制御部10Bは、側方撮像部91による部品Eに対する撮像方向が、第1判定処理時の撮像方向D1に対して直交する方向D11となるように、吸着ノズル63を90度回転させる。吸着ノズル63の回転が完了すると、側方撮像部91は、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eを撮像して、第2の側方画像G3を取得する。側方撮像部91により第2の側方画像G3が取得されると、判定部93は、第2の側方画像G3に基づいて部品Eの姿勢を判定する第3判定処理を実行する。このように、第1判定処理及び第2判定処理の両処理において部品姿勢が前記搭載可能姿勢MPPであると判定された場合において、判定部93により第3判定処理が実行されることで、部品姿勢が前記搭載可能姿勢MPPであるかをより正確に判定することができる。
【0098】
次に、本実施形態に係る部品姿勢判定装置9による部品姿勢判定処理のより詳細な内容について、図13及び図14A,14Bのフローチャートを参照して説明する。
【0099】
<部品姿勢判定処理の流れの第1例>
図13は、判定部93による部品姿勢判定処理の流れの第1例を示すフローチャートである。
【0100】
部品供給装置5の部品供給位置P1において吸着ノズル63が部品Eを吸着保持すると、側方撮像部91は、側方画像G1を取得する(ステップa1)。側方撮像部91により側方画像G1が取得されると、判定部93は、側方画像G1に基づき第1指標値I1を算出し、当該第1指標値I1を用いて部品Eの姿勢を判定する第1判定処理を実行する(ステップa2)。判定部93による第1判定処理での判定結果は第2記憶部95に記憶される(ステップa3)。
【0101】
ヘッド駆動制御部10Bの制御によってヘッドユニット6が部品供給装置5の部品供給位置P1から、コンベア3により搬送された基板Pの部品搭載位置へ向かって移動されると、その移動中において下方撮像部92は、下方画像G2を取得する(ステップa4)。下方撮像部92により下方画像G2が取得されると、判定部93は、下方画像G2に基づき第2指標値I2を算出し、当該第2指標値I2を用いて部品Eの姿勢を判定する第2判定処理を実行する(ステップa5)。判定部93による第2判定処理での判定結果は第2記憶部95に記憶される(ステップa6)。
【0102】
次に、判定部93は、吸着ノズル63によって部品Eが吸着保持された状態においてヘッドユニット6が、下方撮像部92を通過してコンベア3により搬送された基板Pの部品搭載位置に到達するまでに、第2記憶部95に記憶された第1判定処理及び第2判定処理での判定結果のパターンを、第1判定パターンPJ1と、第2判定パターンPJ2と、第3判定パターンPJ3との3つのパターンに分類する(ステップa7)。
【0103】
第1判定処理及び第2判定処理での判定結果のパターンが第1判定パターンPJ1の場合(ステップa8)、判定部93は、吸着ノズル63に部品Eが吸着保持されていることを側方撮像部91による撮像画像に基づき確認する(ステップa81)。そして、判定部93は、基板Pに対する部品Eの搭載を許可する前記搭載許可情報を出力する(ステップa82)。判定部93から前記搭載許可情報が出力されると、ヘッド駆動制御部10Bは、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが基板P上に搭載されるように、ヘッドユニット6の部品搭載動作を制御する。これにより、判定部93による第1判定処理及び第2判定処理での判定結果が何れも前記搭載可能姿勢MPPである場合に、部品Eが基板P上に搭載されるので、基板Pに対する部品Eの搭載不良の発生を低減することができる。
【0104】
第1判定処理及び第2判定処理での判定結果のパターンが第2判定パターンPJ2の場合(ステップa9)、判定部93は、基板Pに対する部品Eの搭載を不許可とする搭載不許可情報を出力する(ステップa91)。判定部93から前記搭載不許可情報が出力されると、ヘッド駆動制御部10Bは、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが廃棄されるように、ヘッドユニット6の部品廃棄動作を制御する。これにより、判定部93による第1判定処理及び第2判定処理の少なくとも何れか一方の処理での判定結果が前記搭載不可姿勢MIPであって、搭載不良の発生が懸念される姿勢を取った部品Eを廃棄することができる。
【0105】
第1判定処理及び第2判定処理での判定結果のパターンが第3判定パターンPJ3の場合(ステップa10)、判定部93は、前記再撮像指令を出力する(ステップa101)。判定部93から前記再撮像指令が出力されると、ヘッドユニット6が下方撮像部92を通過してコンベア3により搬送された基板Pの部品搭載位置に到達したときに、ヘッド駆動制御部10Bは、側方撮像部91による部品Eに対する撮像方向が、第1判定処理時の撮像方向D1とは異なる方向となるように、吸着ノズル63を回転させる。吸着ノズル63の回転が完了すると、側方撮像部91は、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eを撮像して、第2の側方画像G3を取得する(ステップa102)。側方撮像部91により第2の側方画像G3が取得されると、判定部93は、第2の側方画像G3に基づき第3指標値I3を算出し、当該第3指標値I3を用いて部品Eの姿勢を判定する第3判定処理を実行する(ステップa103)。
【0106】
第3判定処理での判定結果が前記搭載可能姿勢MPPの場合(ステップa20)、判定部93は、基板Pに対する部品Eの搭載を許可する前記搭載許可情報を出力する(ステップa201)。判定部93から前記搭載許可情報が出力されると、ヘッド駆動制御部10Bは、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが基板P上に搭載されるように、ヘッドユニット6の部品搭載動作を制御する。
【0107】
第3判定処理での判定結果が前記判別不能姿勢DIPの場合(ステップa21)、判定部93は、基板Pに対する部品Eの搭載を不許可とする前記搭載不許可情報を出力する(ステップa221)。判定部93から前記搭載不許可情報が出力されると、ヘッド駆動制御部10Bは、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが廃棄されるように、ヘッドユニット6の部品廃棄動作を制御する。
【0108】
第3判定処理での判定結果が前記搭載不可姿勢MIPの場合(ステップa22)、判定部93は、基板Pに対する部品Eの搭載を不許可とする前記搭載不許可情報を出力する(ステップa221)。判定部93から前記搭載不許可情報が出力されると、ヘッド駆動制御部10Bは、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが廃棄されるように、ヘッドユニット6の部品廃棄動作を制御する。
【0109】
<部品姿勢判定処理の流れの第2例>
図14A及び図14Bは、判定部93による部品姿勢判定処理の流れの第2例を示すフローチャートである。
【0110】
部品供給装置5の部品供給位置P1において吸着ノズル63が部品Eを吸着保持すると、側方撮像部91は、側方画像G1を取得する(ステップb1)。側方撮像部91により側方画像G1が取得されると、判定部93は、側方画像G1に基づき第1指標値I1を算出し、当該第1指標値I1を用いて部品Eの姿勢を判定する第1判定処理を実行する(ステップb2)。判定部93による第1判定処理での判定結果は第2記憶部95に記憶される(ステップb3)。
【0111】
ヘッド駆動制御部10Bの制御によってヘッドユニット6が部品供給装置5の部品供給位置P1から、コンベア3により搬送された基板Pの部品搭載位置へ向かって移動されると、その移動中において下方撮像部92は、下方画像G2を取得する(ステップb4)。下方撮像部92により下方画像G2が取得されると、判定部93は、下方画像G2に基づき第2指標値I2を算出し、当該第2指標値I2を用いて部品Eの姿勢を判定する第2判定処理を実行する(ステップb5)。判定部93による第2判定処理での判定結果は第2記憶部95に記憶される(ステップb6)。
【0112】
次に、判定部93は、吸着ノズル63によって部品Eが吸着保持された状態においてヘッドユニット6が、下方撮像部92を通過してコンベア3により搬送された基板Pの部品搭載位置に到達するまでに、第2記憶部95に記憶された第1判定処理及び第2判定処理での判定結果のパターンを、第1判定パターンPJ1と、第2判定パターンPJ2と、第3判定パターンPJ3との3つのパターンに分類する(ステップb7)。
【0113】
第1判定処理及び第2判定処理での判定結果のパターンが第1判定パターンPJ1の場合(ステップb8)、判定部93は、通常モードに設定されているか否かを判断する(ステップb81)。通常モードに設定されている場合(ステップb81でYES)には、判定部93は、吸着ノズル63に部品Eが吸着保持されていることを側方撮像部91による撮像画像に基づき確認する(ステップb82)。そして、判定部93は、基板Pに対する部品Eの搭載を許可する前記搭載許可情報を出力する(ステップb83)。判定部93から前記搭載許可情報が出力されると、ヘッド駆動制御部10Bは、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが基板P上に搭載されるように、ヘッドユニット6の部品搭載動作を制御する。これにより、判定部93による第1判定処理及び第2判定処理での判定結果が何れも前記搭載可能姿勢MPPである場合に、部品Eが基板P上に搭載されるので、基板Pに対する部品Eの搭載不良の発生を低減することができる。
【0114】
通常モードに設定されておらず、詳細判定モードに設定されている場合(ステップb81でNO)には、判定部93は、後記のステップb100に処理を移行する。
【0115】
第1判定処理及び第2判定処理での判定結果のパターンが第2判定パターンPJ2の場合(ステップb9)、判定部93は、基板Pに対する部品Eの搭載を不許可とする搭載不許可情報を出力する(ステップb91)。判定部93から前記搭載不許可情報が出力されると、ヘッド駆動制御部10Bは、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが廃棄されるように、ヘッドユニット6の部品廃棄動作を制御する。これにより、判定部93による第1判定処理及び第2判定処理の少なくとも何れか一方の処理での判定結果が前記搭載不可姿勢MIPであって、搭載不良の発生が懸念される姿勢を取った部品Eを廃棄することができる。
【0116】
第1判定処理及び第2判定処理での判定結果のパターンが第3判定パターンPJ3の場合(ステップb10)、判定部93は、ステップb100に処理を移行する。
【0117】
ステップb100において、判定部93は、前記再撮像指令を出力する。判定部93から前記再撮像指令が出力されると、ヘッドユニット6が下方撮像部92を通過してコンベア3により搬送された基板Pの部品搭載位置に到達したときに、ヘッド駆動制御部10Bは、側方撮像部91による部品Eに対する撮像方向が、第1判定処理時の撮像方向D1とは異なる方向となるように、吸着ノズル63を回転させる。吸着ノズル63の回転が完了すると、側方撮像部91は、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eを撮像して、第2の側方画像G3を取得する(ステップb101)。側方撮像部91により第2の側方画像G3が取得されると、判定部93は、第2の側方画像G3に基づき第3指標値I3を算出し、当該第3指標値I3を用いて部品Eの姿勢を判定する第3判定処理を実行する(ステップb102)。
【0118】
第3判定処理での判定結果が前記搭載可能姿勢MPPの場合(ステップb200)、判定部93は、基板Pに対する部品Eの搭載を許可する前記搭載許可情報を出力する(ステップb2001)。判定部93から前記搭載許可情報が出力されると、ヘッド駆動制御部10Bは、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが基板P上に搭載されるように、ヘッドユニット6の部品搭載動作を制御する。
【0119】
第3判定処理での判定結果が前記判別不能姿勢DIPの場合(ステップb201)、判定部93は、基板Pに対する部品Eの搭載を不許可とする前記搭載不許可情報を出力する(ステップb2021)。判定部93から前記搭載不許可情報が出力されると、ヘッド駆動制御部10Bは、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが廃棄されるように、ヘッドユニット6の部品廃棄動作を制御する。
【0120】
第3判定処理での判定結果が前記搭載不可姿勢MIPの場合(ステップb202)、判定部93は、基板Pに対する部品Eの搭載を不許可とする前記搭載不許可情報を出力する(ステップb2021)。判定部93から前記搭載不許可情報が出力されると、ヘッド駆動制御部10Bは、吸着ノズル63に吸着保持された部品Eが廃棄されるように、ヘッドユニット6の部品廃棄動作を制御する。
【0121】
以上説明したように、本実施形態に係る部品実装機1は、ヘッドユニット6の吸着ノズル63に吸着保持された部品Eの姿勢を精度よく判定することが可能な部品姿勢判定装置9を備えている。この部品姿勢判定装置9の判定部93による判定結果に基づいて、ヘッドユニット6による基板Pに対する部品Eの部品搭載動作が制御される。これにより、不所望な部品Eの廃棄を低減すると共に、基板Pに対する部品Eの搭載不良の発生を低減することができる。
【符号の説明】
【0122】
1 部品実装機
6 ヘッドユニット
63 吸着ノズル
631S 吸着面
9 部品姿勢判定装置
91 側方撮像部
92 下方撮像部
93 判定部
10 制御装置
AA アオリ角度
DA アオリ方向
DIP 判別不能姿勢
E 部品
G1 側方画像
G11 側方部品領域
G12A 基準部領域
G2 下方画像
G21 下方部品領域
G21S 基準部品領域
G3 第2の側方画像
I1 第1指標値
I2 第2指標値
I3 第3指標値
MIP 搭載不可姿勢
MPP 搭載可能姿勢
P 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B