IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ファナック株式会社の特許一覧

特許7364452機械学習装置、ノズル状態予測装置、及び制御装置
<>
  • 特許-機械学習装置、ノズル状態予測装置、及び制御装置 図1
  • 特許-機械学習装置、ノズル状態予測装置、及び制御装置 図2
  • 特許-機械学習装置、ノズル状態予測装置、及び制御装置 図3
  • 特許-機械学習装置、ノズル状態予測装置、及び制御装置 図4
  • 特許-機械学習装置、ノズル状態予測装置、及び制御装置 図5
  • 特許-機械学習装置、ノズル状態予測装置、及び制御装置 図6
  • 特許-機械学習装置、ノズル状態予測装置、及び制御装置 図7
  • 特許-機械学習装置、ノズル状態予測装置、及び制御装置 図8
  • 特許-機械学習装置、ノズル状態予測装置、及び制御装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】機械学習装置、ノズル状態予測装置、及び制御装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20231011BHJP
【FI】
B23K26/00 M
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019225250
(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公開番号】P2021094563
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】尾関 真一
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-102085(JP,A)
【文献】特開2019-39874(JP,A)
【文献】特開2018-41208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意のレーザ加工機による任意のワークに対する任意のレーザ加工のレーザ加工条件と、前記レーザ加工条件によるレーザ加工前のノズルの劣化の度合いと、を含む入力データを取得する入力データ取得部と、
前記入力データに含まれる前記レーザ加工条件によるレーザ加工後の前記ノズルの劣化の度合い、を示すラベルデータを取得するラベル取得部と、
前記入力データ取得部により取得された入力データと、前記ラベル取得部により取得されたラベルデータと、を用いて、教師あり学習を実行し、学習済みモデルを生成する学習部と、
を備える機械学習装置。
【請求項2】
前記レーザ加工条件は、少なくともレーザ光の出力、前記レーザ光の周波数、加工の時間又はレーザ照射時間、使用するガスの種類、前記ガスの噴出量、及び前記レーザ光を集光するレンズの焦点距離のうちの一部を含む、請求項1に記載の機械学習装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の機械学習装置により生成された学習済みモデルと、
レーザ加工機によるこれから行うレーザ加工に先立って、前記レーザ加工に係るレーザ加工条件と、前記レーザ加工前のノズルの劣化の度合いと、を入力する入力部と、
前記学習済みモデルを用いて、前記入力部により入力された、前記レーザ加工条件によるレーザ加工後の前記ノズルの劣化の度合いを予測する予測部と、
を備えるノズル状態予測装置。
【請求項4】
前記予測部により予測された前記ノズルの劣化の度合いと、予め設定された閾値との比較に基づいて、前記ノズルが適正か否かを判定する決定部をさらに備える、請求項3に記載のノズル状態予測装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記ノズルが適正でない場合、前記レーザ加工前に前記ノズルに対してメンテナンス又は交換を行う時期か否かを判定する、請求項4に記載のノズル状態予測装置。
【請求項6】
前記決定部は、前記ノズルが適正でない場合、前記予測部により予測された前記ノズルの劣化の度合いと、予め設定された閾値との比較に基づいて、前記ノズルの劣化の度合いが前記閾値を超過しないように、前記レーザ加工条件を変更する、請求項4に記載のノズル状態予測装置。
【請求項7】
前記学習済みモデルを、前記ノズル状態予測装置からネットワークを介してアクセス可能に接続されるサーバに備える、請求項3から請求項6のいずれか1項に記載のノズル状態予測装置。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載の機械学習装置を備える、請求項3から請求項7のいずれか1項に記載のノズル状態予測装置。
【請求項9】
請求項3から請求項8のいずれか1項に記載のノズル状態予測装置を備える、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械学習装置、ノズル状態予測装置、及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工機は、レンズで集光したレーザ光をノズルの開口部からワークに照射してワークの切断や穴あけ等のレーザ加工を行う。その際に、レーザ加工機は、レーザ光とともにガス(以下、「アシストガス」ともいう)をノズルの開口部から高速でワークに吹き付けることで、レーザ光により溶融したワークであるスパッタを吹き飛ばすことができる。
しかしながら、レーザ照射時の熱や、吹き飛ばされたスパッタの付着等により、ノズルが汚れたり、ノズルにキズが付いたり、又はノズルの形状が変形したりする。
図9は、ノズルの開口部の一例を示す図である。図9は、ノズルの真上(レーザ光の入射側)から見た開口部のノズル正常時(左側)とノズル変形時(右側)との形状をそれぞれ示す。図9の右側に示すように、ノズル変形時には、ノズルの開口部がレーザ照射時の熱により変形したことを示す。
この場合、レーザ加工の加工精度が落ちるため、ノズルの交換を行う必要がある。
この点、レーザ光を照射する光学ヘッド内に設けられたアライメントカメラを用いて、レーザ光路の上流側からノズルの開口部を撮影し、正常な状態のノズルの開口部の画像と使用後のノズルの開口部の画像とを比較することでノズル寿命判定を行う技術が知られている。例えば、特許文献1参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6194464号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、正常な状態のノズルの開口部の画像と使用後のノズルの開口部の画像との比較からノズル寿命判定、すなわちノズルの洗浄等のメンテナンス又は交換のタイミングの見極めには、作業員の経験が必要となる。また、画像からわずかなキズや変形を検知することは困難である。さらに、アライメントカメラから撮影できない部分(死角)でキズや変形が発生していた場合も、画像から検知することは困難である。
【0005】
そこで、レーザ加工を行う前に、前記レーザ加工を行った場合のノズルの状態の良否を予測できる学習済みモデルを生成することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の機械学習装置の一態様は、任意のレーザ加工機による任意のワークに対する任意のレーザ加工のレーザ加工条件と、前記レーザ加工条件によるレーザ加工前のノズルの劣化の度合いと、を含む入力データを取得する入力データ取得部と、前記入力データに含まれる前記レーザ加工条件によるレーザ加工後の前記ノズルの劣化の度合い、を示すラベルデータを取得するラベル取得部と、前記入力データ取得部により取得された入力データと、前記ラベル取得部により取得されたラベルデータと、を用いて、教師あり学習を実行し、学習済みモデルを生成する学習部と、を備える。
【0007】
(2)本開示のノズル状態予測装置の一態様は、(1)に記載の機械学習装置により生成された学習済みモデルと、レーザ加工機によるこれから行うレーザ加工に先立って、前記レーザ加工に係るレーザ加工条件と、前記レーザ加工前のノズルの劣化の度合いと、を入力する入力部と、前記学習済みモデルを用いて、前記入力部により入力された、前記レーザ加工条件によるレーザ加工後の前記ノズルの劣化の度合いを予測する予測部と、を備える。
【0008】
(3)本開示の制御装置の一態様は、(2)に記載のノズル状態予測装置を備える。
【発明の効果】
【0009】
一態様によれば、レーザ加工を行う前に、前記レーザ加工を行った場合のノズルの状態の良否を予測できる学習済みモデルを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る数値制御システムの機能的構成例を示す機能ブロック図である。
図2図1のノズル状態予測装置に提供される学習済みモデルの一例を示す図である。
図3】ノズルの劣化の度合いの一例を示す図である。
図4】ノズル管理テーブルの一例を示す図である。
図5】運用フェーズにおけるノズル状態予測装置の予測処理について説明するフローチャートである。
図6図1のノズル状態予測装置に提供される学習済みモデルの一例を示す図である。
図7】数値制御システムの構成の一例を示す図である。
図8】数値制御システムの構成の一例を示す図である。
図9】ノズルの開口部の一例を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態について、図面を用いて説明する。
<一実施形態>
図1は、一実施形態に係る数値制御システムの機能的構成例を示す機能ブロック図である。図1に示すように、数値制御システムは、制御装置10、レーザ加工機20、ノズル状態予測装置30、及び機械学習装置40を有する。
【0012】
制御装置10、レーザ加工機20、ノズル状態予測装置30、及び機械学習装置40は、図示しない接続インタフェースを介して互いに直接接続されてもよい。また、制御装置10、レーザ加工機20、ノズル状態予測装置30、及び機械学習装置40は、LAN(Local Area Network)やインターネット等の図示しないネットワークを介して相互に接続されていてもよい。この場合、制御装置10、レーザ加工機20、ノズル状態予測装置30、及び機械学習装置40は、かかる接続によって相互に通信を行うための図示しない通信部を備えている。なお、後述するように、制御装置10は、ノズル状態予測装置30及び機械学習装置40を含むようにしてもよい。また、レーザ加工機20が制御装置10を含むようにしてもよい。
【0013】
制御装置10は、当業者にとって公知の数値制御装置であり、制御情報に基づいて動作指令を生成し、生成した動作指令をレーザ加工機20に送信する。これにより、制御装置10は、レーザ加工機20の動作を制御する。また、制御装置10は、当該制御情報をノズル状態予測装置30にも出力する。
なお、制御情報は、制御装置10に設定される加工プログラム、及びレーザ加工条件を含む。レーザ加工条件には、これから行うレーザ加工における、少なくともレーザ光の出力(W)、レーザ光の周波数(Hz)、レーザ照射時間(又は加工の時間)、使用するアシストガスの種類、アシストガスの噴出量(L/sec)、及びレーザ光を集光するレンズの焦点距離のうちの一部が含まれてもよい。
また、制御装置10は、レーザ加工機20に選択可能なノズルに関する識別情報(以下、「ノズルID」ともいう)の一覧を、ノズルデータテーブルとして図示しないHDD(Hard Disk Drive)等に記憶してもよい。
なお、ノズルデータテーブルには、ノズルIDのそれぞれと関連付けられた現時点のノズルの劣化の度合い等のデータが含まれてもよい。
【0014】
また、アシストガスには、例えば、酸素、空気、窒素等の活性ガスと、アルゴン/ヘリウムの不活性ガスとがある。例えば、ワークの材質が炭素鋼、低合金鋼、ステンレス鋼の場合、酸素、空気、窒素等の活性ガスがアシストガスとして用いられてもよい。また、ワークの素材がアルミニウム合金の場合、酸素や空気の活性ガス、又はアルゴン/ヘリウムの不活性ガスがアシストガスとして用いられてもよい。また、ワークの素材がチタン合金の場合、アルゴン/ヘリウムの不活性ガス、又は窒素の活性ガスがアシストガスとして用いられてもよい。また、ワークの素材がアクリル、木材、紙、繊維の場合、窒素や空気の活性ガス、又はアルゴン/ヘリウムの不活性ガスがアシストガスとして用いられてもよい。
【0015】
レーザ加工機20は、制御装置10の動作指令に基づいて、レーザ光を加工対象のワークに照射しレーザ加工する機械である。レーザ加工機20は、制御装置10の動作指令に基づく動作状態を示す情報を、制御装置10にフィードバックする。
【0016】
ノズル状態予測装置30は、運用フェーズにおいて、レーザ加工機20によるレーザ加工に先立って、制御装置10からの制御情報に含まれる前記レーザ加工のレーザ加工条件を取得してもよい。また、ノズル状態予測装置30は、例えば、少なくとも現時点のノズルの劣化の度合いを含む、制御装置10のオペレータにより選択されたノズルの情報を取得してもよい。ノズル状態予測装置30は、取得したレーザ加工条件と現時点のノズルの劣化の度合いとを、後述する機械学習装置40から提供された学習済みモデルに入力することにより、選択されたノズルを用いたレーザ加工後のノズルの劣化の度合いを予測することができる。
【0017】
ノズル状態予測装置30を説明する前に、「ノズルの劣化の度合い」及び学習済みモデルを生成するための機械学習について説明する。
【0018】
<ノズルの劣化の度合いについて>
「ノズルの劣化の度合い」は、図9に示すように、レーザ加工機20によるレーザ加工で使用されたノズルの開口部における汚れや変形の度合いを示す。例えば、新品のノズル、又は洗浄等のメンテナンス直後のノズルは、図9の左側に示すように、開口部が円形の形状を有し最も良い状態であることから、メンテナンスや交換の必要がなく、「ノズルの劣化の度合い」は「0%」となる。そして、「ノズルの劣化の度合い」は、ノズルが使用されるに従い開口部にスパッタの付着やレーザ照射時の熱による変形が増加し、例えば、ノズルの交換を行う必要があるとき「100%」となる。
なお、「ノズルの劣化の度合い」は、「0%」から「100%」の範囲のパーセント値としたが、例えば、「ノズルの劣化の度合い」は、「0」から「1」の範囲の値等でもよい。
【0019】
<機械学習装置40>
機械学習装置40は、例えば、予め、任意のレーザ加工機による任意のワークに対する任意のレーザ加工のレーザ加工条件と、当該レーザ加工条件によるレーザ加工前のノズルの劣化の度合いと、を含む入力データを取得する。
また、機械学習装置40は、取得した入力データのレーザ加工条件によるレーザ加工後のノズルの劣化の度合い、を示すデータをラベル(正解)として取得する。
機械学習装置40は、取得した入力データとラベルとの組の訓練データにより教師あり学習を行い、後述する学習済みモデルを構築する。
そうすることで、機械学習装置40は、構築した学習済みモデルをノズル状態予測装置30に提供することができる。
機械学習装置40について、具体的に説明する。
【0020】
機械学習装置40は、図1に示すように、入力データ取得部401、ラベル取得部402、学習部403、及び記憶部404を有する。
入力データ取得部401は、学習フェーズにおいて、図示しない通信部を介して、任意のレーザ加工機による任意のワークに対する任意のレーザ加工のレーザ加工条件と、前記レーザ加工条件によるレーザ加工前のノズルの劣化の度合いと、を入力データとして制御装置10等から取得する。
なお、レーザ加工条件には、上述したように、レーザ光の出力(W)、レーザ光の周波数(Hz)、レーザ照射時間(又は加工の時間)、使用するアシストガスの種類、アシストガスの噴出量(L/sec)、及びレーザ光を集光するレンズの焦点距離等が含まれる。
入力データ取得部401は、取得した入力データを記憶部404に対して出力する。
【0021】
ラベル取得部402は、入力データに含まれるレーザ加工条件によるレーザ加工後のノズルの劣化の度合い、を示すデータをラベルデータ(正解データ)として取得し、取得したラベルデータを記憶部404に対して出力する。
なお、ラベルは、上述したように、「0%」から「100%」の範囲の値である。
【0022】
学習部403は、上述の入力データとラベルとの組を訓練データとして受け付け、受け付けた訓練データを用いて、教師あり学習を行うことにより、加工対象のワークに対してこれから行うレーザ加工条件と、選択されたノズルの現時点のノズルの劣化の度合いとに基づいて、レーザ加工後のノズルの劣化の度合いを予測する学習済みモデル351を構築する。
そして、学習部403は、構築した学習済みモデル351をノズル状態予測装置30に対して提供する。
【0023】
ここで、教師あり学習を行うための訓練データは、多数用意されることが望ましい。例えば、熟練者により、あらゆるレーザ加工条件とあらゆるノズルとの組合せそれぞれにおいて、レーザ加工前後のノズルの劣化の度合いが評価された訓練データを作成するようにしてもよい。あるいは、顧客の工場等で実際に稼動している様々な場所の制御装置10のそれぞれから訓練データを取得するようにしてもよい。
【0024】
図2は、図1のノズル状態予測装置30に提供される学習済みモデル351の一例を示す図である。ここでは、学習済みモデル351は、図2に示すように、これから行うレーザ加工条件と、選択されたノズルの現時点のノズルの劣化の度合いを入力層として、このレーザ加工条件によるレーザ加工後のノズルの劣化の度合い、を示すデータを出力層とする多層ニューラルネットワークを例示する。
ここで、これから行うレーザ加工条件には、レーザ光の出力、レーザ光の周波数、レーザ照射時間、アシストガスの種類、アシストガスの噴出量、及びレンズの焦点距離等が含まれる。
【0025】
また、学習部403は、学習済みモデル351を構築した後に、新たな教師データを取得した場合には、学習済みモデル351に対してさらに教師あり学習を行うことにより、一度構築した学習済みモデル351を更新するようにしてもよい。
また、機械学習装置40は、他の機械学習装置40との間で学習済みモデル351を共有して教師あり学習を行うようにしてもよい。そうすることで、複数の機械学習装置40それぞれにて学習済みモデル351を分散して教師あり学習を行うことが可能となり、教師あり学習の効率を向上させることが可能となる。
【0026】
上述した教師あり学習は、オンライン学習で行ってもよく、バッチ学習で行ってもよく、ミニバッチ学習で行ってもよい。
オンライン学習とは、レーザ加工機20によるレーザ加工が行われ、訓練データが作成される都度、即座に教師あり学習を行うという学習方法である。また、バッチ学習とは、レーザ加工機20によるレーザ加工が行われ、訓練データが作成されることが繰り返される間に、繰り返しに応じた複数の訓練データを収集し、収集した全ての訓練データを用いて、教師あり学習を行うという学習方法である。さらに、ミニバッチ学習とは、オンライン学習と、バッチ学習の中間的な、ある程度訓練データが溜まるたびに教師あり学習を行うという学習方法である。
【0027】
記憶部404は、RAM(Random Access Memory)等であり、入力データ取得部401により取得された入力データ、ラベル取得部402により取得されたラベルデータ、及び学習部403により構築された学習済みモデル351等を記憶する。
以上、ノズル状態予測装置30が備える学習済みモデル351を生成するための機械学習について説明した。
次に、運用フェーズにおけるノズル状態予測装置30について説明する。以下の説明では、学習済みモデルとして図2に記載の学習済みモデル、すなわち、これから行うレーザ加工条件、及び選択されたノズルの劣化の度合いを入力層として、「ノズルの劣化の度合い」を出力層とする多層ニューラルネットワークを用いる場合を例示する。
【0028】
<運用フェーズにおけるノズル状態予測装置30>
図1に示すように、運用フェーズにおけるノズル状態予測装置30は、入力部301、予測部302、決定部303、通知部304、及び記憶部305を含んで構成される。
なお、ノズル状態予測装置30は、図1の機能ブロックの動作を実現するために、CPU(Central Processing Unit)等の図示しない演算処理装置を備える。また、ノズル状態予測装置30は、各種の制御用プログラムを格納したROM(Read Only Memory)やHDD等の図示しない補助記憶装置や、演算処理装置がプログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納するためのRAMといった図示しない主記憶装置を備える。
【0029】
そして、ノズル状態予測装置30において、演算処理装置が補助記憶装置からOSやアプリケーションソフトウェアを読み込み、読み込んだOSやアプリケーションソフトウェアを主記憶装置に展開させながら、これらのOSやアプリケーションソフトウェアに基づいた演算処理を行う。この演算結果に基づいて、ノズル状態予測装置30が各ハードウェアを制御する。これにより、図1の機能ブロックによる処理は実現される。つまり、ノズル状態予測装置30は、ハードウェアとソフトウェアが協働することにより実現することができる。
【0030】
入力部301は、レーザ加工機20によるレーザ加工に先立って、例えば、制御装置10の制御情報から、前記レーザ加工に係るこれから行うレーザ加工条件と、オペレータにより選択されたノズルを示すノズルIDを入力する。入力部301は、後述する記憶部305に記憶されるノズル管理テーブル352と、入力されたノズルIDとに基づいて、現時点のノズルの劣化の度合いを取得する。
入力部301は、取得したこれから行うレーザ加工条件と、オペレータにより選択されたノズルの現時点の劣化の度合いとを、予測部302に対して出力する。
【0031】
予測部302は、これから行うレーザ加工条件と、オペレータにより選択されたノズルの現時点の劣化の度合いとを、図2の学習済みモデル351に入力し、レーザ加工後の選択されたノズルの劣化の度合いを予測する。
これにより、ノズル状態予測装置30は、レーザ加工を行う前に、前記レーザ加工を行った場合のノズルの状態の良否を予測することができる。
【0032】
決定部303は、予測部302により予測されたレーザ加工後のノズルの劣化の度合いに基づいて、選択されたノズルが適正か否かを判定する。
より具体的には、決定部303は、ノズルの劣化の度合いの予測値と予め設定された閾値との比較に基づいて、選択されたノズルが適正か否かを判定し、適正でない場合、ノズルに対するメンテナンス、又はノズルの交換を行う最適な時期を判定する。
【0033】
図3は、ノズルの劣化の度合いの一例を示す図である。図3に示すように、例えば、ノズルは、交換直後又はメンテナンス直後において劣化の度合いが「0%」であったとしても、レーザ加工によるスパッタの付着やレーザ照射時の熱による溶損(変形)により、劣化の度合いは変化する。例えば、ノズルの劣化の度合いが「0%」から「30%」の範囲の適正値の場合、ノズルは適切に機能する。一方、ノズルの劣化の度合いが適正値の範囲外の場合、ノズルは適切に機能しない。この場合、作業員は、ノズルの劣化の度合いが適正値となるように、ノズルの洗浄等のメンテナンスを行うか、ノズルの交換を行う必要がある。
以下の説明では、ノズルの劣化の度合いが「30%」を下限の閾値αとし、ノズルの劣化の度合いが「80%」を上限の閾値αとする。なお、閾値α、αは、加工対象のワークに対する加工精度や、レーザ加工機20が設置された環境等に応じて適宜設定されてもよい。
【0034】
決定部303は、予測部302により予測されたノズルの劣化の度合いが、下限の閾値α以下の適正値か否かを判定する。決定部303は、予測されたノズルの劣化の度合いが適正値の場合、入力部301により入力されたレーザ加工条件によるレーザ加工前に、ノズルのメンテナンス及び交換を行わないことを判定する。
一方、決定部303は、予測されたノズルの劣化の度合いが下限の閾値αより高く、上限の閾値α以下の場合、入力されたレーザ加工条件によるレーザ加工前に、ノズルのメンテナンスを行う時期として判定する。また、決定部303は、予測されたノズルの劣化の度合いが上限の閾値αより高い場合、入力されたレーザ加工条件によるレーザ加工前に、ノズルの交換を行う時期として判定する。
これにより、数値制御システムは、レーザ加工機20によるレーザ加工に先立って、オペレータにより選択されたノズルについて、これから行うレーザ加工条件でレーザ加工した後のノズルの劣化の度合いを予測することにより、ノズルのメンテナンスや交換を行う最適な時期を容易に検知することができる。換言すれば、数値制御システムは、レーザ加工中にノズルのメンテナンス又は交換が必要になるか否かを事前に検知することができる。
【0035】
なお、オペレータが、レーザ加工条件を調整してもよい。例えば、オペレータは、レーザ加工条件に含まれる加工対象のワークが複数個ある場合、レーザ加工後におけるノズルの劣化の度合いが下限の閾値αを超えないように、加工対象のワークの個数の調整として、レーザ照射時間を調整してもよい。これにより、数値制御システムは、レーザ加工開始前に、どの程度レーザ加工するとノズルのメンテナンス又は交換が必要になるタイミングを事前に予測することができる。そして、数値制御システムは、レーザ加工のきりのよい段階で、例えばレーザ加工機20を停止して、ノズルのメンテナンスを行うか、又はノズルの交換を行うようにしてもよい。
さらに、決定部303が、後述するように、自動でレーザ加工条件を調整してもよい。
【0036】
通知部304は、例えば、選択されたノズルが適正か否かの決定部303による判定結果を、制御装置10及び/又はレーザ加工機20に含まれる液晶ディスプレイ等の出力装置(図示しない)に出力してもよい。例えば、選択されたノズルが適正の場合、制御装置10は、入力されたレーザ加工条件でレーザ加工機20に対してレーザ加工を実行させてもよい。一方、通知部304は、選択されたノズルが適正でない場合、判定したノズルのメンテナンス又は交換の指示を、制御装置10及び/又はレーザ加工機20の出力装置(図示しない)に出力してもよい。また、通知部304は、スピーカ(図示せず)を介して音声により通知してもよい。
【0037】
記憶部305は、ROMやHDD等であり、各種の制御用プログラムとともに、学習済みモデル351及びノズル管理テーブル352を記憶してもよい。
【0038】
<ノズル管理テーブル352>
図4は、ノズル管理テーブル352の一例を示す図である。図4に示すように、ノズル管理テーブル352は、レーザ加工に使用可能に管理されるすべてのノズルをそれぞれ識別するための「ノズルID」を含む。また、ノズル管理テーブル352は、ノズルIDに対応する「ノズルの劣化の度合い」を含む。
【0039】
ノズル管理テーブル352内の「ノズルID」は、制御装置10のオペレータにより選択されるノズルを識別するための情報であり、前記オペレータにより予め設定される。図4では、ノズルIDとして、例えば、各ノズルに一意に割り当てられた1からnの数字が設定されているが、アルファベット等で設定されてもよい。なお、nは2以上の整数である。
【0040】
ノズル管理テーブル352内の「ノズルの劣化の度合い」は、上述したノズルIDの各々が割り当てられたノズルにおける前回のレーザ加工後にオペレータにより判定された現時点のノズルの劣化の度合いが格納される。すなわち、ノズル管理テーブル352内の「ノズルの劣化の度合い」は、レーザ加工に使用される度にオペレータによりノズルの劣化の度合いが判定され、オペレータにより入力・更新される。
【0041】
<運用フェーズにおけるノズル状態予測装置30の予測処理>
次に、本実施形態に係るノズル状態予測装置30の予測処理に係る動作について説明する。
図5は、運用フェーズにおけるノズル状態予測装置30の予測処理について説明するフローチャートである。
【0042】
ステップS11において、入力部301は、レーザ加工機20によるレーザ加工に先立って、制御装置10の制御情報から、これから行うレーザ加工条件を取得するとともに、オペレータにより選択されたノズルのノズルIDに基づいて、ノズル管理テーブル352からノズルの劣化の度合いを取得する。
【0043】
ステップS12において、予測部302は、ステップS11で取得された、これから行うレーザ加工条件とオペレータにより選択されたノズルの劣化の度合いを学習済みモデル351に入力し、選択されたノズルのレーザ加工後の「ノズルの劣化の度合い」を予測する。
【0044】
ステップS13において、決定部303は、ステップS12で予測されたノズルの劣化の度合いと、閾値α、αとの比較に基づいて、選択されたノズルが適正か否かを判定する。
【0045】
ステップS14において、通知部304は、ステップS13でノズルが適正でないと判定された場合、レーザ加工前にノズルのメンテナンス又は交換の指示を、制御装置10及び/又はレーザ加工機20の図示しない出力装置に出力する。
【0046】
以上により、一実施形態に係るノズル状態予測装置30は、レーザ加工機20によるレーザ加工に先立って、制御装置10の制御情報から、前記レーザ加工に係るこれから行うレーザ加工条件、及びオペレータにより選択されたノズルの劣化の度合いを、学習済みモデル351に入力し、選択されたノズルのレーザ加工後の劣化の度合いを予測する。これにより、ノズル状態予測装置30は、レーザ加工を行う前に、前記レーザ加工を行った場合のノズルの状態の良否(劣化の度合い)を予測することができる。そして、ノズル状態予測装置30は、予測されたノズルの劣化の度合いと、予め設定された閾値α、αとの比較により、レーザ加工中にノズルのメンテナンス又は交換が必要になるか否かを事前に検知することができる。
すなわち、ノズル状態予測装置30は、選択されたノズルの劣化の度合いが閾値αや閾値αを超過する場合、レーザ加工前にノズルのメンテナンス又は交換の最適な時期として検知することができ、作業員の負担を減らすことができる。
また、学習済みモデル351が様々なノズルの教師データを用いて生成されるため、ノズル状態予測装置30は、様々なノズルの状態の良否(劣化の度合い)を予測することができる。
【0047】
以上、一実施形態について説明したが、ノズル状態予測装置30、及び機械学習装置40は、上述の実施形態に限定されるものではなく、目的を達成できる範囲での変形、改良等を含む。
<変形例1>
上述の実施形態では、機械学習装置40は、制御装置10、レーザ加工機20及びノズル状態予測装置30と異なる装置として例示したが、機械学習装置40の一部又は全部の機能を、制御装置10、レーザ加工機20又はノズル状態予測装置30が備えるようにしてもよい。
【0048】
<変形例2>
上述の実施形態では、ノズル状態予測装置30は、制御装置10やレーザ加工機20と異なる装置として例示したが、ノズル状態予測装置30の一部又は全部の機能を、制御装置10又はレーザ加工機20が備えるようにしてもよい。
あるいは、ノズル状態予測装置30の入力部301、予測部302、決定部303、通知部304及び記憶部305の一部又は全部を、例えば、サーバが備えるようにしてもよい。また、クラウド上で仮想サーバ機能等を利用して、ノズル状態予測装置30の各機能を実現してもよい。
さらに、ノズル状態予測装置30は、ノズル状態予測装置30の各機能を適宜複数のサーバに分散される、分散処理システムとしてもよい。
【0049】
<変形例3>
また例えば、上述の実施形態では、図3の学習済みモデル351は、これから行うレーザ加工条件、及び1つのノズルの劣化の度合いを入力層として、「ノズルの劣化の度合い」を出力層とする多層ニューラルネットワークとしたがこれに限定されない。学習済みモデル351は、例えば、図6に示すように、これから行うレーザ加工条件、及びオペレータにより選択された複数(M個:M≧2)のノズルそれぞれの劣化の度合いを入力層として、M個のノズルそれぞれの「ノズルの劣化の度合い」を出力層とするニューラルネットワークであってもよい。
これにより、オペレータは、これから行うレーザ加工に使用できるノズルがM個あった場合に、M個のノズルIDを選択することで、ノズル状態予測装置30により、M個のノズルそれぞれの「ノズルの劣化の度合い」の予測を並列に行うことができ、レーザ加工に適切なノズルを迅速に選定することができ、これにより、レーザ加工処理効率を高めることができる。
図6は、図1のノズル状態予測装置30に提供される学習済みモデルの一例を示す図である。
なお、機械学習装置40は、Mが2からnの各々の場合の学習済みモデル351を予め構築し、ノズル状態予測装置30は、オペレータにより選択されたノズルの数に応じた学習済みモデル351を選択するようにしてもよい。
【0050】
<変形例4>
また例えば、上述の実施形態では、ノズル状態予測装置30の決定部303は、オペレータにより選択されたノズルのレーザ加工後のノズルの劣化の度合いが閾値αや閾値αを超過する場合、レーザ加工前に選択されたノズルに対してメンテナンス又は交換を行う時期として決定したが、これに限定されない。
前述したように、決定部303は、例えば、レーザ加工条件におけるレーザ照射時間がレーザ加工する複数個(例えば10個等)のワークを含む場合、レーザ加工後のノズルの劣化の度合いが閾値を超えないように、ワークの個数の調整のためにレーザ照射時間を調整してもよい。
より具体的には、決定部303は、例えば、これから行うレーザ加工条件の「レーザ照射時間」で複数個のワークをレーザ加工することで、ノズルの劣化の度合いが閾値を超える場合、さらに、(オペレータの指示により)レーザ加工条件の「レーザ照射時間」を1つのワークに掛かるレーザ加工時間の整数倍(k倍:k≧1)とし、予測部302にノズルの劣化の度合いを予測させることで、閾値を超えないkの値(例えば6個等)を探索してもよい。
そして、決定部303は、例えば、k個のワークに対するレーザ加工後を、選択されたノズルのメンテナンス又は交換を行う時期として決定する。図1の数値制御システムは、決定された時期であるきりのよい段階で、レーザ加工機20を停止させてノズルのメンテナンス又は交換を行うことができる。
これにより、数値制御システムは、レーザ加工開始前に、どの程度レーザ加工するとノズルのメンテナンス又は交換が必要になるかのタイミングを事前に予測することができる。そして、数値制御システムは、レーザ加工中にノズルのメンテナンス又は交換の必要性が発生することを回避することができ、加工品位の低下を回避することができる。
【0051】
<変形例5>
また例えば、上述の実施形態では、ノズル状態予測装置30は、機械学習装置40から提供された学習済みモデル351を用いて、1つの制御装置10から取得したこれから行うレーザ加工条件によるレーザ加工後のオペレータにより選択されたノズルの劣化の度合いを予測したが、これに限定されない。例えば、図7に示すように、サーバ50は、機械学習装置40により生成された学習済みモデル351を記憶し、ネットワーク60に接続されたm個のノズル状態予測装置30A(1)-30A(m)と学習済みモデル351を共有してもよい(mは2以上の整数)。これにより、新たなレーザ加工機、制御装置、及びノズル状態予測装置が配置されても学習済みモデル351を適用することができる。
なお、ノズル状態予測装置30A(1)-30A(m)の各々は、制御装置10A(1)-10A(m)の各々と接続され、制御装置10A(1)-10A(m)の各々は、レーザ加工機20A(1)-20A(m)の各々と接続される。
また、制御装置10A(1)-10A(m)の各々は、図1の制御装置10に対応する。レーザ加工機20A(1)-20A(m)の各々は、図1のレーザ加工機20に対応する。ノズル状態予測装置30A(1)-30A(m)の各々は、図1のノズル状態予測装置30に対応する。
あるいは、図8に示すように、サーバ50は、例えば、ノズル状態予測装置30として動作し、ネットワーク60に接続された制御装置10A(1)-10A(m)の各々に対して、これから行うレーザ加工条件におけるノズルの劣化の度合いを予測してもよい。これにより、新たなレーザ加工機及び制御装置が配置されても学習済みモデル351を適用することができる。
【0052】
なお、一実施形態における、ノズル状態予測装置30、及び機械学習装置40に含まれる各機能は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせによりそれぞれ実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0053】
ノズル状態予測装置30、及び機械学習装置40に含まれる各構成部は、電子回路等を含むハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ソフトウェアによって実現される場合には、このソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。また、これらのプログラムは、リムーバブルメディアに記録されてユーザに配布されてもよいし、ネットワークを介してユーザのコンピュータにダウンロードされることにより配布されてもよい。また、ハードウェアで構成する場合、上記の装置に含まれる各構成部の機能の一部または全部を、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ゲートアレイ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)等の集積回路(IC)で構成することができる。
【0054】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(Non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(Tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAMを含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(Transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は、無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0055】
なお、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0056】
以上を換言すると、本開示の機械学習装置、ノズル状態予測装置、及び制御装置は、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
【0057】
(1)本開示の機械学習装置40は、任意のレーザ加工機20による任意のワークに対する任意のレーザ加工のレーザ加工条件と、レーザ加工条件によるレーザ加工前のノズルの劣化の度合いと、を含む入力データを取得する入力データ取得部401と、入力データに含まれるレーザ加工条件によるレーザ加工後のノズルの劣化の度合い、を示すラベルデータを取得するラベル取得部402と、入力データ取得部401により取得された入力データと、ラベル取得部402により取得されたラベルデータと、を用いて、教師あり学習を実行し、学習済みモデル351を生成する学習部403と、を備える。
この機械学習装置40によれば、レーザ加工を行う前に、前記レーザ加工を行った場合のノズルの状態の良否(劣化の度合い)を予測できる学習済みモデルを生成することができる。
【0058】
(2) (1)に記載の機械学習装置40において、レーザ加工条件は、少なくともレーザ光の出力、レーザ光の周波数、加工の時間又はレーザ照射時間、使用するガスの種類、ガスの噴出量、及びレーザ光を集光するレンズの焦点距離のうちの一部を含んでもよい。
そうすることで、機械学習装置40は、ノズルの状態の良否(劣化の度合い)を精度良く予測することができる学習済みモデル351を生成することができる。
【0059】
(3)本開示のノズル状態予測装置30は、(1)又は(2)に記載の機械学習装置により生成された学習済みモデル351と、レーザ加工機20によるこれから行うレーザ加工に先立って、レーザ加工に係るレーザ加工条件と、レーザ加工前のノズルの劣化の度合いと、を入力する入力部と、学習済みモデル351を用いて、入力部301により入力された、レーザ加工条件によるレーザ加工後のノズルの劣化の度合いを予測する予測部302と、を備える。
このノズル状態予測装置30によれば、レーザ加工を行う前に、前記レーザ加工を行った場合のノズルの状態の良否(劣化の度合い)を予測することができる。
【0060】
(4) (3)に記載のノズル状態予測装置30において、予測部302により予測されたノズルの劣化の度合いと、予め設定された閾値との比較に基づいて、ノズルが適正か否かを判定する決定部303をさらに備えてもよい。
そうすることで、ノズル状態予測装置30は、レーザ加工を行う前に、前記レーザ加工を行った場合のノズルの状態の良否(劣化の度合い)を精度良く判定することができる。
【0061】
(5) (4)に記載のノズル状態予測装置30において、決定部303は、ノズルが適正でない場合、レーザ加工前にノズルに対してメンテナンス又は交換を行う時期か否かを判定してもよい。
そうすることで、ノズル状態予測装置30は、レーザ加工中にノズルのメンテナンス又は交換を行うことを回避することができ、加工品位の低下を回避することができる。
【0062】
(6) (4)に記載のノズル状態予測装置30において、決定部303は、ノズルが適正でない場合、予測部302により予測されたノズルの劣化の度合いと、予め設定された閾値との比較に基づいて、ノズルの劣化の度合いが閾値を超過しないように、レーザ加工条件を変更してもよい。
そうすることで、ノズル状態予測装置30は、レーザ加工開始前に、どの程度レーザ加工するとノズルのメンテナンス又は交換が必要になるかのタイミングを事前に予測することができる。
【0063】
(7) (3)から(6)のいずれかに記載のノズル状態予測装置30において、学習済みモデル351を、ノズル状態予測装置30からネットワーク60を介してアクセス可能に接続されるサーバ50に備えてもよい。
そうすることで、新たな制御装置10、レーザ加工機20、及びノズル状態予測装置30が配置されても学習済みモデル351を適用することができる。
【0064】
(8) (3)から(7)のいずれかに記載のノズル状態予測装置30において、(1)又は(2)に記載の機械学習装置40を備えてもよい。
そうすることで、ノズル状態予測装置30は、上述の(1)から(7)のいずれかと同様の効果を奏することができる。
【0065】
(9)本開示の制御装置10は、ノズル状態予測装置30を備えてもよい。
この制御装置10によれば、上述の(1)から(8)のいずれかと同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0066】
10 制御装置
20 レーザ加工機
30 ノズル状態予測装置
40 機械学習装置
301 入力部
302 予測部
303 決定部
304 通知部
305 記憶部
351 学習済みモデル
352 ノズル管理テーブル
401 入力データ取得部
402 ラベル取得部
403 学習部
404 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9