(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】排ガス浄化装置
(51)【国際特許分類】
F01N 3/20 20060101AFI20231011BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20231011BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20231011BHJP
F01N 5/02 20060101ALI20231011BHJP
F01N 13/08 20100101ALI20231011BHJP
【FI】
F01N3/20 J
F01N3/20 K
F01N3/24 L
F01N3/24 N
F01N3/28 301H
F01N3/28 301Q
F01N5/02 B
F01N13/08 B
(21)【出願番号】P 2020009236
(22)【出願日】2020-01-23
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】浅井 竜司
(72)【発明者】
【氏名】山口 裕貴
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-162330(JP,U)
【文献】国際公開第2017/126124(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/20
F01N 3/24
F01N 3/28
F01N 5/02
F01N 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンの排ガスを浄化するよう構成された排ガス浄化装置であって、
前記排ガスの流路の外周を囲む外殻部材と、
前記外殻部材の内側に配置され、前記排ガスを浄化する第1触媒と、
前記排ガスを浄化する触媒であって、前記排ガスの浄化作用が前記第1触媒に比べより早期に活性化
される触媒であり、前記排ガスの流路の幅方向に沿って前記第1触媒と並んだ状態で、前記外殻部材の内側に配置される第2触媒と、
前記排ガスの流量が多くなるに従い、前記第1触媒の下流側に配置されたバルブ開口の開度を大きくするよう構成されたバルブと、
前記第2触媒の下流側に配置された触媒開口部と、
前記第1触媒を下流側に配置され、前記バルブ開口と前記触媒開口部とを形成するステーと、
を備え
、
前記ステーは、前記バルブ開口よりも下側に位置し、前記第1触媒及び/又は前記第2触媒に溜まった流体を通過させるための流体開口部をさらに有する
排ガス浄化装置。
【請求項2】
請求項
1に記載された排ガス浄化装置であって、
前記触媒開口部を通過した前記排ガスと流体との熱交換を行う熱交換器をさらに備える
排ガス浄化装置。
【請求項3】
車両のエンジンの排ガスを浄化するよう構成された排ガス浄化装置であって、
前記排ガスの流路の外周を囲む外殻部材と、
前記外殻部材の内側に配置され、前記排ガスを浄化する第1触媒と、
前記排ガスを浄化する触媒であって、前記排ガスの浄化作用が前記第1触媒に比べより早期に活性化
される触媒であり、前記排ガスの流路の幅方向に沿って前記第1触媒と並んだ状態で、前記外殻部材の内側に配置される第2触媒と、
前記排ガスの流量が多くなるに従い、前記第1触媒の下流側に配置されたバルブ開口の開度を大きくするよう構成されたバルブと、
前記第2触媒の下流側に配置された触媒開口部と、
前記触媒開口部を通過した前記排ガスと流体との熱交換を行う熱交換器と、
を備える排ガス浄化装置。
【請求項4】
請求項
2又は請求項3に記載された排ガス浄化装置であって、
前記第2触媒は、前記第1触媒を外周側から囲むように前記外殻部材に沿って配置され、
前記触媒開口部は、前記第2触媒の下流側に前記外殻部材に沿って配置される
排ガス浄化装置。
【請求項5】
請求項
4に記載された排ガス浄化装置であって、
前記第1触媒の下流側から軸方向に延びる前記排ガスの流路を形成する部位であって、下流側の開口が、前記バルブ開口として構成されている部位である回収部をさらに備え、
前記熱交換器は、前記回収部の側方に配置され、
前記触媒開口部は、前記回収部よりも上流側に設けられる
排ガス浄化装置。
【請求項6】
請求項1
から請求項5のうちのいずれか1項に記載された排ガス浄化装置であって、
前記第2触媒は、通電により前記排ガスの浄化作用が活性化するよう構成されている、
排ガス浄化装置。
【請求項7】
請求項
6に記載された排ガス浄化装置であって、
前記第2触媒は、前記第1触媒の上側に位置する
排ガス浄化装置。
【請求項8】
車両のエンジンの排ガスを浄化するよう構成された排ガス浄化装置であって、
前記排ガスの流路の外周を囲む外殻部材と、
前記外殻部材の内側に配置され、前記排ガスを浄化する第1触媒と、
前記排ガスを浄化する触媒であって、前記排ガスの浄化作用が前記第1触媒に比べより早期に活性化
される触媒であり、前記排ガスの流路の幅方向に沿って前記第1触媒と並んだ状態で、前記外殻部材の内側に配置される第2触媒と、
前記排ガスの流量が多くなるに従い、前記第1触媒の下流側に配置されたバルブ開口の開度を大きくするよう構成されたバルブと、
前記第2触媒の下流側に配置された触媒開口部と、
を備え
、
前記第2触媒は、通電により前記排ガスの浄化作用が活性化するよう構成されており、
前記第2触媒は、前記第1触媒の上側に位置する
排ガス浄化装置。
【請求項9】
請求項
6から請求項
8のうちのいずれか1項に記載された排ガス浄化装置であって、
前記第1及び第2触媒が配置される領域を、触媒領域とし、
前記第2触媒は、前記触媒領域における最も外周側に位置する
排ガス浄化装置。
【請求項10】
請求項1
から請求項5のうちのいずれか1項に記載された排ガス浄化装置であって、
前記第2触媒とは、前記第1触媒よりも、排ガスの浄化を促す物質をより多く担持する
排ガス浄化装置。
【請求項11】
請求項1から請求項
10のうちのいずれか1項に記載された排ガス浄化装置であって、
前記第1触媒は、前記排ガスの流路における前記幅方向の略中央を含む領域に配置され、
前記バルブ開口は、前記排ガスの流路における前記幅方向の略中央を含む領域に、前記排ガスの流下方向に沿って前記第1触媒と対面するように配置される
排ガス浄化装置。
【請求項12】
請求項1から請求項
11のうちのいずれか1項に記載された排ガス浄化装置であって、
前記バルブは、
前記バルブ開口を開閉する部位であって、前記バルブ開口へと流下する前記排ガスにより押圧されると、前記バルブ開口を開放する方向に変位するよう構成された部位である弁体と、
前記バルブ開口を閉鎖する方向に前記弁体を変位させる力を発生させるよう構成された閉鎖部材と、
を有する排ガス浄化装置。
【請求項13】
車両のエンジンの排ガスを浄化するよう構成された排ガス浄化装置であって、
前記排ガスの流路の外周を囲む外殻部材と、
前記外殻部材の内側に配置され、前記排ガスを浄化する第1触媒と、
前記排ガスを浄化する触媒であって、前記排ガスの浄化作用が前記第1触媒に比べより早期に活性化
される触媒であり、前記排ガスの流路の幅方向に沿って前記第1触媒と並んだ状態で、前記外殻部材の内側に配置される第2触媒と、
前記排ガスの流量が多くなるに従い、前記第1触媒の下流側に配置されたバルブ開口の開度を大きくするよう構成されたバルブと、
前記第2触媒の下流側に配置された触媒開口部と、
前記第1及び第2触媒の下流側に位置し、前記バルブ開口と前記触媒開口部とを形成する下流側部材と、
を備え
、
前記バルブは、
回転軸を中心に回転することで前記バルブ開口を開閉する部位であって、前記バルブ開口へと流下する前記排ガスにより押圧されると、前記バルブ開口を開放する方向に回転するよう構成された部位である弁体と、
前記バルブ開口を閉鎖する方向に前記弁体を回転させる力を発生させるよう構成された閉鎖部材と、
を有する排ガス浄化装置。
【請求項14】
請求項
13に記載された排ガス浄化装置であって、
前記第2触媒は、通電により前記排ガスの浄化作用が活性化するよう構成されている、
排ガス浄化装置。
【請求項15】
請求項
14に記載された排ガス浄化装置であって、
前記第1及び第2触媒が配置される領域を、触媒領域とし、
前記第2触媒は、前記触媒領域における最も外周側に位置する
排ガス浄化装置。
【請求項16】
請求項
13に記載された排ガス浄化装置であって、
前記第2触媒とは、前記第1触媒よりも、排ガスの浄化を促す物質をより多く担持する
排ガス浄化装置。
【請求項17】
請求項
13から請求項
16のうちのいずれか1項に記載された排ガス浄化装置であって、
前記第1触媒は、前記排ガスの流路における前記幅方向の略中央を含む領域に配置され、
前記バルブ開口は、前記排ガスの流路における前記幅方向の略中央を含む領域に、前記排ガスの流下方向に沿って前記第1触媒と対面するように配置される
排ガス浄化装置。
【請求項18】
請求項1から請求項
11のうちのいずれか1項に記載された排ガス浄化装置であって、
前記バルブは、前記車両のエンジンの制御状態に応じて開閉される
排ガス浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の排ガスを浄化する排ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気式加熱触媒(以後、EHCとも記載)により、車両の排ガスを浄化する浄化装置が知られている。このような浄化装置の一例として、特許文献1には、メイン触媒の上流側に第1及び第2流路を設けると共に、第1流路にEHCを、第2流路にバルブをそれぞれ配置した触媒コンバータが記載されている。該触媒コンバータでは、エンジン始動直後のように、排ガスの温度が低く、メイン触媒が活性化される前には、バルブが閉鎖されて全ての排ガスが第1流路のEHCに流入する。一方、メイン触媒の活性化後には、バルブが開放され、第1及び第2流路に排ガスが流入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の触媒コンバータでは、第1流路のEHCとメイン触媒とは、排ガスの流下方向に沿って並んでいる。このため、第1流路に流入した排ガスは、EHCとメイン触媒とを通過するが、第2流路に流入した排ガスは、メイン触媒のみを通過する。その結果、第1流路の通気抵抗は第2流路の通気抵抗よりも大きくなり、特に第2流路のバルブ閉鎖時に、車両の燃費が悪化したり、車両のエンジン出力に悪影響を与えたりする恐れがある。
【0005】
さらに、第2流路のバルブ開放時には、排ガスは、第1流路よりも通気抵抗の小さい第2流路に主に流入し、その後、メイン触媒における第2流路の下流側の部分に流入する。このため、メイン触媒の内部では、排ガスの流れが第2流路の下流側の部分に集中し、メイン触媒の浄化性能が十分に発揮されないと共に、該部分が早期に劣化する恐れがある。
【0006】
一方、第2流路のバルブ閉鎖時には、排ガスは、メイン触媒における第2流路の下流側の部分には流入し難くなる。これにより、エンジン始動から一定時間が経過しても、該部分の温度が十分に上昇せず、該部分が十分に活性化されない恐れがある。その結果、第2流路のバルブ開放の直後には、メイン触媒における第2流路の下流側の部分に流入した排ガスが、十分に浄化されない恐れがある。
【0007】
本開示の一態様においては、エンジン始動直後における排ガスの浄化を促進すると共に、車両の走行中においても良好に排ガスを浄化するのが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、車両のエンジンの排ガスを浄化するよう構成された排ガス浄化装置であって、外殻部材と、第1触媒と、第2触媒と、バルブと、触媒開口部と、を備える。外殻部材は、排ガスの流路の外周を囲む。第1触媒は、外殻部材の内側に配置され、排ガスを浄化する。第2触媒は、排ガスを浄化する触媒であって、排ガスの浄化作用が第1触媒に比べより早期に活性化され得る触媒であり、排ガスの流路の幅方向に沿って第1触媒と並んだ状態で、外殻部材の内側に配置される。バルブは、排ガスの流量が多くなるに従い、第1触媒の下流側に配置されたバルブ開口の開度を大きくするよう構成されている。触媒開口部は、第2触媒の下流側に配置される。
【0009】
上記構成によれば、第1触媒の下流側に、バルブ開口を開閉するバルブが設けられると共に、第1触媒よりも浄化作用が早期に活性化され得る第2触媒の下流側には、触媒開口部が設けられる。そして、エンジンの始動時等のように、排ガスの流量が少なく、第1触媒が十分に活性化されていない可能性のある場合には、バルブが閉鎖されるか、又は、バルブの開度が小さくなる。このため、該場合には、排ガスが触媒開口部に向かって流下し、主に第2触媒により排ガスが浄化される。これにより、第1触媒が十分に活性化されていない場合でも、排ガスを十分に浄化し得る。
【0010】
また、第1及び第2触媒は排ガスの流路の幅方向に並んでいると共に、バルブは第1及び第2触媒の下流側に設けられている。このため、バルブが閉鎖されていたり、開度が小さかったりする場合であっても、排ガスは第1触媒に流入し得る。これにより、第1触媒の温度が上昇し、第1触媒の浄化作用が活性化される。このため、排ガスの流量の増加によりバルブの開度が増加し、より多くの排ガスが第1触媒に流入するようになったときに、第1触媒により十分に排ガスを浄化し得る。
【0011】
したがって、エンジン始動直後における排ガスの浄化を促進できると共に、車両の走行中においても良好に排ガスを浄化できる。
なお、第2触媒は、通電により排ガスの浄化作用が活性化するよう構成されていても良い。
【0012】
上記構成によれば、車両のエンジンの始動時等に、第1触媒よりも早期に第2触媒の浄化作用が活性化され得る。
また、第2触媒は、第1触媒の上側に位置していても良い。
【0013】
上記構成によれば、電極等といった第2触媒の通電のための構成を上側に配置できる。このため、該構成の付近に凝縮水等が溜まるのを抑制でき、該構成が劣化したり、漏電が生じたりするのを抑制できる。
【0014】
また、第1及び第2触媒が配置される領域を、触媒領域とし、第2触媒は、触媒領域における最も外周側に位置していても良い。
上記構成によれば、第2触媒が触媒領域の外周面に沿って配置されるため、第2触媒に通電を行うための配線等の構成を、触媒領域の内部ではなく、触媒領域の外部に設けることが可能となる。このため、第2触媒に通電を行うための構成を簡略化できる。
【0015】
また、第2触媒とは、第1触媒よりも、排ガスの浄化を促す物質をより多く担持していても良い。
上記構成によれば、車両のエンジンの始動時等に、第1触媒よりも早期に第2触媒の浄化作用が活性化され得る。
【0016】
また、第1触媒は、排ガスの流路における幅方向の略中央を含む領域に配置されても良い。また、バルブ開口は、排ガスの流路における幅方向の略中央を含む領域に、排ガスの流下方向に沿って第1触媒と対面するように配置されても良い。
【0017】
排ガスの流量が少なくなるに従い、排ガスは流路の外周側の部分を流下し難くなる。これに対し、上記構成によれば、第1触媒とバルブ及びバルブ開口とは、流路の幅方向の略中央に配置される。このため、第1触媒と流路の幅方向に並ぶ第2触媒は、流路の外周側に位置し、第2触媒の下流側に位置する触媒開口部もまた、流路の外周側に位置する。
【0018】
したがって、排ガスの流量が少ないバルブの閉鎖時には、排ガスは、流路の外周側に位置する第2触媒を流下するように促され、バルブの開放時には、排ガスは主に第1触媒を流下する。これにより、第1及び第2触媒の双方を活用して排ガスを浄化することが可能となるため、熱負荷が局所的に第1及び第2触媒に生じるのを抑制でき、その結果、第1及び第2触媒の劣化を抑制することができる。
【0019】
また、バルブは、弁体と閉鎖部材とを有していても良い。弁体とは、バルブ開口を開閉する部位であって、バルブ開口へと流下する排ガスにより押圧されると、バルブ開口を開放する方向に変位するよう構成された部位であっても良い。また、閉鎖部材は、バルブ開口を閉鎖する方向に弁体を変位させる力を発生させるよう構成されていても良い。
【0020】
上記構成によれば、簡易的な構成により、排ガスの流量が多くなるに従いバルブ開口の開度を大きくすることができる。このため、排ガス浄化装置の製造コストを抑制できる。
また、バルブは、車両のエンジンの制御状態に応じて開閉されても良い。
【0021】
上記構成によれば、高い精度でバルブ開口の開度を調整できる。このため、エンジン始動直後における排ガスの浄化を好適に促進できると共に、車両の走行中においても、より良好に排ガスを浄化できる。
【0022】
また、排ガス浄化装置は、第1触媒を下流側に配置され、バルブ開口と触媒開口部とを形成するステーをさらに備えても良い。そして、ステーは、バルブ開口よりも下側に位置し、第1触媒及び/又は第2触媒に溜まった流体を通過させるための流体開口部を有していても良い。
【0023】
上記構成によれば、第1及び第2触媒に溜まった凝縮水等の流体を、流体開口部を介して第1及び第2触媒の外部に放出できる。このため、第1及び第2触媒の劣化や損傷を抑制できる。
【0024】
また、排ガス浄化装置は、触媒開口部を通過した排ガスと流体との熱交換を行う熱交換器をさらに備えていても良い。
上記構成によれば、車両のエンジンの始動時等に第2触媒により浄化され、その際の反応熱により加熱された排ガスの熱が、熱交換器により流体に伝達される。このため、より多くの熱量を流体に伝達できる。
【0025】
また、第2触媒は、第1触媒を外周側から囲むように外殻部材に沿って配置されても良い。そして、触媒開口部は、第2触媒の下流側に外殻部材に沿って配置されても良い。
排ガスの流量が少なくなるに従い、排ガスは流路の外周側の部分を流下し難くなる。これに対し、上記構成によれば、第2触媒により囲まれる第1触媒は、流路の幅方向の略中央に位置すると共に、バルブ及びバルブ開口もまた、流路の幅方向の略中央に位置する。このため、バルブの閉鎖時には、排ガスが、流路の外周側に位置する第2触媒を流下するように促される。このため、エンジン始動時等のような排ガスの流量が少ない場合に、第2触媒を有効に活用して排ガスを浄化できる。
【0026】
また、排ガス浄化装置は、第1触媒の下流側から軸方向に延びる排ガスの流路を形成する部位であって、下流側の開口が、バルブ開口として構成されている部位である回収部をさらに備えても良い。そして、熱交換器は、回収部の側方に配置され、触媒開口部は、前記回収部よりも上流側に設けられても良い。
【0027】
上記構成によれば、第2触媒を通過した排ガスは、回収部よりも上流側に設けられた触媒開口部を通過して熱交換器へと誘導される。このため、排ガスから熱を回収する際の排ガスの流れがスムーズになり、通気抵抗を抑制しながら排ガスの熱を回収できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】ステーが透過的に示された第1実施形態の排ガス浄化装置の斜視図である。
【
図2】第1実施形態の排ガス浄化装置の側面図である。
【
図3】第1実施形態の排ガス浄化装置におけるステー及びバルブを下流側から見た正面図である。
【
図5】バルブ開放時における
図3のIV-IV断面図である。
【
図8】第1実施形態におけるバルブの開度の調整パターンを示すグラフである。
【
図9】第2実施形態の排ガス浄化装置の側面図である。
【
図11】
図9におけるX-X断面に直交する断面図である。
【
図12】
図9におけるXII-XII断面図である。
【
図13】
図9におけるXIII-XIII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0030】
[第1実施形態]
[1.全体の構成]
第1実施形態の排ガス浄化装置1は、車両のエンジンの排ガスを浄化するよう構成されおり、車両における排ガスの流路に設けられる(
図1~4参照)。排ガス浄化装置1は、外殻部材2と、触媒部3と、ステー4と、バルブ5とを備える。
【0031】
[2.外殻部材の構成]
外殻部材2は、排ガスの流路の外周を囲む壁状(一例として、筒状)の部材である。外殻部材2は、排ガスの流下方向(以後、軸方向10)に沿って直線状に延びる。また、外殻部材2の軸方向10に直交する断面は、略円形である。以後、軸方向10に直交する断面を、単に断面と記載する。また、外殻部材2の断面の中心を通過する線を、軸線11と記載する。一例として、排ガス浄化装置1は、軸線11が略水平方向に延びるように車両に搭載される。また、以後、車両に搭載された排ガス浄化装置1における上側、下側を、単に上側、下側と記載する。また、上流側、下流側の開口を、それぞれ、入口、出口と記載する。
【0032】
外殻部材2は、触媒ケース20と、バルブケース25とを備える。また、触媒ケース20は、本体部21と、入口部22と、第1及び第2電極23、24とを備える。
本体部21は、径が略一定である筒状の部位であり、排ガスを浄化するための触媒部3が内部に配置される(
図4、5参照)。また、本体部21の外周面には、EHC(Electrically Heated Catalyst)として構成された第2触媒31(詳細は後述する)への通電に用いられる第1及び第2電極23、24が設けられる。
【0033】
入口部22は、本体部21の入口から上流側に延びる筒状の部位であり、上流側に向かうに従い縮径するテーパ状に形成されている。排ガスは、触媒ケース20の入口部22から本体部21内に流入する。
【0034】
一方、バルブケース25は、本体部21の出口から下流側に延びる筒状の部位である。バルブケース25は、下流に向かうに従い縮径するテーパ状の部分を有しており、排ガスは、該テーパ状の部分に形成された出口から外殻部材2の下流側に流出する。
【0035】
[3.触媒部の構成]
触媒部3は、排ガスとの接触により排ガス中の有害物質(例えば、CO、HC、NOx等)を改質又は捕集することで、排ガスを浄化する(
図4~7参照)。触媒部3は、円柱状に形成されており、軸方向10に延び、且つ、断面の中心の位置が軸線11の位置と略一致するように、触媒ケース20の本体部21に配置される。また、触媒部3の上流側、下流側の端面は、それぞれ、本体部21の入口、出口に位置する。
【0036】
触媒部3は、排ガスを浄化する第1及び第2触媒30、31を有し、第2触媒31は、第1触媒30よりも排ガスの浄化作用が早期に活性化され得る。第1及び第2触媒30、31は、触媒部3における上流側の端面から下流側の端面にわたって延びており、軸方向10に直交する方向(換言すれば、排ガス流路の幅方向)に沿って並ぶ。そして、第1及び第2触媒30、31を結合させることで、円柱状の触媒部3が形成される。
【0037】
第1触媒30は、板状の材料を格子状に配置した構造(例えば、ハニカム構造)の触媒担体を有しており、該触媒担体の内部には、軸方向10に延びる多数の排ガス流路が形成される。なお、該触媒担体は、例えば、多孔質の材料により構成されていても良い。また、該触媒担体は、導電性を有していても良いし、有していなくても良い。また、該触媒担体は、排ガス中の有害物質の酸化及び/又は還元を促す物質(例えば、プラチナ、パラジウム、ロジウム、金、銀、イリジウム、ルテニウム等の貴金属)を担持している。また、第1触媒30は、加熱により浄化作用が活性化される。
【0038】
一方、第2触媒31は、上述したようにEHCとして構成されており、車両のエンジン始動後、一定期間にわたって、第1及び第2電極23、24を介して通電される。第2触媒31は、該通電により加熱されて第1触媒30よりも早期に活性化され、エンジンの始動直後の期間には、第1触媒30よりも高い浄化作用を有する。
【0039】
第2触媒31は、第1触媒30と同様、格子状の構造の触媒担体を有すると共に、該触媒担体は、排ガス中の有害物質の酸化、還元を促す貴金属を担持している。しかし、第2触媒31の触媒担体は、例えば、炭化ケイ素系セラミック、又は、メタル触媒担体等といった導電性の材料から構成されており、触媒担体を通電することで第2触媒31が加熱される。なお、エンジン始動後、第1触媒30が十分に加熱された後には、第2触媒31への通電は停止される。
【0040】
第1実施形態では、第2触媒31の体積は、第1触媒30の体積以下である。また、第2触媒31は、第1触媒30よりも上側に配置される。より詳しくは、第2触媒31は、触媒ケース20の本体部21における上側の部分に隣接し、該部分に沿って広がるように配置されている。すなわち、第2触媒31は、触媒部3(換言すれば、第1及び第2触媒30、31の配置領域)における最も外周側且つ上側に位置し、触媒部3の外周面に沿って広がる。
【0041】
具体的には、第1実施形態では、一例として、第2触媒31は、第1触媒30との境界面32が略水平方向に広がり、且つ、境界面32が軸線11よりも上側に位置するように配置されている(
図6参照)。なお、第2触媒31は、触媒部3の断面において、境界面32が水平面に対し傾斜するように配置されても良い。この他にも、例えば、第2触媒31は、触媒部3の断面において、触媒部3の外周面に沿って円弧状に延びるように配置されていても良い(
図7参照)。また、第1実施形態では、一例として、第2触媒31は、基準面12に対し略対称となるように配置されている。なお、基準面12とは、軸線11を通過して鉛直方向(換言すれば、上下方向)に広がる仮想的な面を意味する。
【0042】
一方、第1触媒30は、第2触媒31の下側に配置されている。また、触媒部3において、触媒部3(換言すれば、触媒ケース20)の断面における略中心(換言すれば、軸線11)を含む円柱状の部分を、中央部と記載する。第1触媒30は、該中央部を含む領域に配置される。
【0043】
なお、例えば、触媒部3を、導電性を有する円柱状の触媒担体を有する1つの触媒として構成しても良い。そして、該触媒担体を部分的に通電させることで、該触媒の一部分を第2触媒31として用い、残りの部分を第1触媒30として用いても良い。具体的には、例えば、該触媒の一部を挟むように、該触媒の外周面に複数の電極を配置し、これらの電極に挟まれた部分に向けて電流を流すことで、該部分を第2触媒31として用いるようにしても良い。
【0044】
また、第2触媒31をEHCとして構成せず、第2触媒31の触媒担体に、排ガス中の有害物質の酸化及び/又は還元を促す物質を、第1触媒30よりも多く担持させるようにしても良い。このような構成を有する場合、エンジン始動時、第2触媒31では、第1触媒30よりも活発に排ガスが浄化され、その際の化学反応による発熱により、第2触媒31は第1触媒30よりも早期に活性化される。そして、第2触媒31は、第1触媒30よりも高い排ガスの浄化作用を奏する。また、このような構成を有する場合には、触媒ケース20には、第1及び第2電極23、24は設けられない。
【0045】
また、触媒部3の形状は、円柱状に限らず、例えば、断面が多角形の柱状に形成されても良い。
[4.ステーの構成]
ステー4は、バルブケース25の内側に配置され、触媒部3の下流側に位置する(
図1、3~5参照)。また、ステー4は、バルブケース25の入口26から軸方向10に延びる筒状の部材であり、下流側に向かうに従い縮径する略テーパ状に形成されている。
【0046】
ステー4は、バルブケース25の入口26における第1触媒30に対面する部分を下流側から覆う。そして、ステー4の入口は、第1触媒30の正面に位置する第1開口部40を形成している。つまり、第1開口部40は、第1触媒30を下流側から覆う。なお、第1実施形態では、一例として、第1開口部40は、触媒部3の下流側の端面に隣接する。しかし、第1開口部40は、触媒部3から離間していても良い。
【0047】
一方、バルブケース25の入口26における第2触媒31に対面する部分は、ステー4に覆われていない。該部分は、第2触媒31の正面に位置し、ステー4の外周面とバルブケース25の内周面との間の空間へと連通する開口を有する第2開口部41を形成している。つまり、第2開口部41は、第2触媒31を下流側から覆う。
【0048】
より詳しくは、ステー4の入口(換言すれば、第1開口部40)の縁部の一部は、バルブケース25の入口26の縁部に接合されている。そして、ステー4の入口の縁部の残りの部分は、バルブケース25の入口の縁部から離間して開口を形成しており、この開口が形成された部分が、第2開口部41となる。
【0049】
無論、これに限らず、第1開口部40は、さらに、第2触媒31の一部を下流側から覆っても良いし、第2開口部41もまた、さらに、第1触媒30の一部を下流側から覆っていても良い。また、第1及び第2開口部40、41には、複数の開口が形成されていても良い。
【0050】
また、ステー4の出口は、軸方向10を向いており、後述するバルブ5により開閉されるバルブ開口42を形成する。バルブ開口42は、バルブケース25の断面における略中央に位置する。つまり、バルブ開口42は、第1触媒30の下流側に位置し、第1触媒30とバルブ開口42とは、軸方向10に対面する。
【0051】
なお、ステー4におけるバルブ開口42の下側には、流体開口部43が形成されていても良い(
図3参照)。流体開口部43は、第1及び/又は第2触媒30、31に溜まった凝縮水等の流体を排ガスの流路の下流側に流出させるための少なくとも1つの孔を有する。
図3に示すように、流体開口部43は、一例として、ステー4の最も下側の位置に設けられ、バルブケース25の入口26の縁部に沿って広がる孔を有していてもよい。このような構成によれば、EHCである第2触媒31の漏電等を抑制できる。
【0052】
[5.バルブの構成]
バルブ5は、バルブケース25の内側にて第1触媒30の下流側に配置され、ステー4に形成されたバルブ開口42を下流側から開閉する(
図1、3~5参照)。バルブ5は、弁体50と、第1及び第2軸部51、52と、アーム部54と、バネ55と、緩衝材56とを有する。
【0053】
弁体50は、バルブ開口42を開閉する蓋状の部位である。
緩衝材56は、弁体50がバルブ開口42を閉鎖する際の衝撃を緩和するために設けられる。緩衝材56は、例えば、ワイヤメッシュ等から構成されており、バルブ開口42を囲むようにステー4の外周面に設けられる。
【0054】
第1、第2軸部51、52は、それぞれ、軸方向10に直交する軸であって、ステー4の内側空間を貫通する軸である回転軸53を中心に回転可能な棒状の部位である。第1、第2軸部51、52は、それぞれ、ステー4の外周面から突出し、バルブケース25に形成された開口を通過するように配置される。そして、第1、第2軸部51、52の端部は、バルブケース25の外部に露出する。
【0055】
アーム部54は、第1、第2軸部51、52の各々と、弁体50とを接続する帯状の部位である。
バネ55は、第1及び第2軸部51、52の各々に設けられており、回転軸53に沿って延びるように配置されたねじりコイルばねとして構成されている。
【0056】
第1及び第2軸部51、52が回転軸53を中心に第1方向に回転すると、アーム部54及び弁体50もまた回転軸53を中心に回転し、弁体50は、開位置50bから閉位置50aに変位する。そして、弁体50が閉位置50aに到達すると、弁体50はバルブ開口42を下流側から覆い、バルブ5が閉鎖される。一方、第1及び第2軸部51、52が回転軸53を中心に、第1方向の反対側である第2方向に回転すると、同様にして弁体50もまた回転する。これにより、弁体50は、閉位置50aから開位置50bへと変位し、バルブ5の開度が徐々に大きくなる。そして、開位置50bに到達した弁体50は、ステー4と外殻部材2との隙間に配置され、バルブ5の開度が最大となる。
【0057】
そして、各バネ55は、第1方向に回転するように第1及び第2軸部51、52を付勢する。このため、ステー4に流入した排ガスの流量が少ない場合(換言すれば、該排ガスの圧力が小さい場合)には、バルブ5は閉鎖される。一方、第1及び第2軸部51、52は、ステー4を流下する排ガスによる弁体50の押圧に応じて、第2方向に回転する。このため、該排ガスの流量が多くなり、該排ガスの圧力が各バネ55の付勢力よりも大きくなると、弁体50は開位置50bへと変位し始める。そして、該排ガスの流量が増加するに従いバルブ5の開度が増加し、該排ガスの流量が一定値を超えると、バルブ5は完全に開放される。
【0058】
このため、エンジンの始動時等のように排ガスの流量が少ない場合には、バルブ5は閉鎖される。そして、エンジンの始動後、一定時間が経過し、排ガスの流量が多くなると、バルブ5の開度が徐々に大きくなり、該流量が所定値を超えると、バルブ5の開度は最大値となる。
【0059】
また、排ガスの流量に対するバルブ5の開度の調整パターンは、適宜定められ得る。具体的には、バルブ5の開度は、例えば、
図8における第1パターンのように、直線的に調整されても良いし、第2及び第3パターンのように、曲線的に調整されても良い。また、例えば、第4パターンのように、排ガスの流量が閾値に達するまではバルブ5を閉鎖し、排ガスの流量が閾値を超えると、バルブ5を開放してもよい。無論、これに限らず、バルブ5の開度は、様々な方法で調整され得る。
【0060】
なお、第1実施形態では、ねじりコイルばねとして構成されたバネ55により、弁体50を閉位置50aへと変位させる力が加えられる。これにより、バルブ5の構成を簡略化でき、その結果、排ガス浄化装置1の製造コストを抑制できる。しかし、ねじりコイルばね以外の弾性部材により、同様の力が加えられても良い。また、例えば、錘又はアクチュエータ等といった弾性部材以外の部材により、同様の力が加えられても良い。
【0061】
また、例えば、バルブ5の開閉は、マイクロコントローラ等を有する制御部13により、電子的に制御されても良い(
図3参照)。具体的には、制御部13は、モータ等のアクチュエータにより、エンジンの制御状態に応じてバルブ5の開度を調整しても良い。なお、エンジンの制御状態とは、例えば、車両のアクセルの開度や、エンジンの回転数や、エンジンに吸入される空気の量等であっても良い。
【0062】
より詳しくは、制御部13は、エンジンの制御状態に基づき、触媒部3を通過する排ガスの流量を予測し、該流量が下限値以下である場合にはバルブ5を閉鎖しても良い。そして、制御部13は、該流量が下限値を超えた場合には、該流量が大きくなるに従いバルブ5の開度を大きくし、該流量が上限値を超えると、バルブ5の開度を最大値としても良い。これにより、高い精度でバルブ5の開度を調整できる。
【0063】
この他にも、例えば、バルブ5に加えられる排ガスの圧力が所定値に達した場合に、バルブ5を開放したり、該圧力が大きくなるに従い、バルブ5の開度を大きくしたりしても良い。また、排ガス、第1触媒30、又は第2触媒31の温度や、外気温等を検出し、該温度が所定値に達した場合にバルブ5を開放しても良い。また、後述する第2実施形態のように、排ガス浄化装置に排ガスと冷却液との熱交換器が設けられている場合には、冷却液の温度を検出し、該温度が所定値に達した場合にバルブ5を開放しても良い。また、例えば、エンジンの作動時間を計測し、該作動時間に基づきバルブ5の開度を調整しても良い。また、上述した排ガスの圧力、上記温度、又は作動時間等に対するバルブ5の開度の調整パターンは、例えば、
図8に示すように、直線的又は曲線的であっても良い。また、例えば、排ガスの圧力等が閾値に達するまではバルブ5を閉鎖し、排ガスの圧力が閾値を超えると、バルブ5を開放してもよい。無論、これに限らず、バルブ5の開度は、様々な方法で調整され得る。
【0064】
[6.効果]
(1)第1実施形態によれば、第1触媒30の下流側に、バルブ開口42を開閉するバルブ5が設けられていると共に、第1触媒30よりも浄化作用が早期に活性化し得る第2触媒31の下流側には、第2開口部41が設けられている。そして、例えば、エンジンの始動時やモード走行時等のように、排ガスの流量が少なく、第1触媒30が十分に活性化されていない可能性のある場合には、バルブ5が閉鎖されるか、又は、バルブ5の開度が小さくなる。このため、該場合には、排ガスが第2開口部41に向かって流下し、主に第2触媒31により排ガスが浄化される。これにより、第1触媒30が十分に活性化されていない場合であっても、排ガスを十分に浄化し得る。なお、上述したモード走行とは、エンジンの燃費を一定以下に抑えた状態での走行を意味する。
【0065】
また、第1及び第2触媒30、31は排ガスの流路の幅方向に並び、バルブ5は第1及び第2触媒30、31の下流側に位置する。このため、バルブ5が閉鎖されていたり、開度が小さかったりする場合であっても、排ガスは第1触媒30に流入し得る。これにより、第1触媒30の温度が上昇し、第1触媒30の浄化作用が活性化される。さらに、バルブ5の閉鎖時には、バルブ5の上流側に隣接する領域に存在する排ガスは高圧となるため、該排ガスの温度が上昇し、これにより、第1触媒30の温度が上昇する。このため、排ガスの流量の増加によりバルブ5の開度が増加し、より多くの排ガスが第1触媒30に流入するようになった時に、第1触媒30により十分に排ガスを浄化し得る。
【0066】
また、排ガスの流量が多くなった場合には、バルブ5が開放されるため、排ガスは、排ガス浄化装置1内をスムーズに流下できる。このため、車両のエンジン出力への悪影響を抑制できる。そして、バルブ5の開放時には、排ガスは、第1及び第2触媒30、31の双方を流下できるため、排ガスが触媒部3を通過する際の通気抵抗の増加や、触媒部3内での排ガスの流れの偏りを抑制できる。これにより、排ガスを効率良く浄化できると共に、触媒部3に局所的な熱負荷が生じるのを抑制でき、触媒部3の劣化が抑制され得る。
【0067】
また、触媒部3の一部をなす第2触媒31がEHCとして構成されているため、少ない消費電力で早期に第2触媒31を活性化できる。
したがって、エンジン始動直後における排ガスの浄化を促進できると共に、車両の走行中においても良好に排ガスを浄化できる。
【0068】
(2)また、第2触媒31は、第1触媒30の上側に位置する。このため、電極等といった第2触媒31の通電のための構成を、上側に配置できる。このため、該構成の付近に凝縮水等が溜まるのを抑制でき、該構成の劣化や漏電を抑制できる。
【0069】
(3)また、第2触媒31は、触媒部3の外周面に沿って配置される。このため、第2触媒31に通電を行うための配線等の構成を、触媒部3の内部ではなく、触媒部3の外部に設けることが可能となる。このため、該構成を簡略化できる。
【0070】
(4)また、排ガスの流量が少なくなるに従い、排ガスは流路の外周側の部分を流下し難くなる。これに対し、第1実施形態によれば、第1触媒30とバルブ5及びバルブ開口42とは、流路の幅方向の略中央に配置される。また、第2触媒31及び第2開口部41は、流路の外周側に位置する。このため、排ガスの流量の少ないバルブ5の閉鎖時には、排ガスが、流路の外周側に位置する第2触媒31を流下するように促され、バルブ5の開放時には、排ガスは主に第1触媒30を流下する。これにより、第1及び第2触媒30、31の双方を活用して排ガスを浄化することが可能となるため、熱負荷が局所的に触媒部3に生じるのを抑制でき、その結果、触媒部3の劣化を抑制できる。
【0071】
[第2実施形態]
[7.全体の構成]
第2実施形態の排ガス浄化装置100は、第1実施形態の排ガス浄化装置1と同様にして、触媒部3により排ガスを浄化するよう構成されている(
図9~14参照)。しかし、第2実施形態の排ガス浄化装置100は、排ガスの浄化と排ガスの熱の回収とを行う一体型排気熱回収装置として構成されている点で、第1実施形態と相違する。つまり、排ガス浄化装置100では、排ガスの浄化に加えて、触媒部3を通過した排ガスとエンジンの冷却液との間で熱交換が行われる。なお、冷却液とは、例えば、冷却水又は油液であっても良い。以下では、第1実施形態との相違点を中心に、第2実施形態の排ガス浄化装置100について説明する。排ガス浄化装置100は、外殻部材6と、触媒部3と、排気熱回収部7と、バルブ8とを備える。
【0072】
[8.外殻部材の構成]
外殻部材6は、第1実施形態の外殻部材2と同様の筒状の部材であり、軸方向101に沿って直線状に延びる(
図9~11参照)。また、第2実施形態の排ガス浄化装置100もまた、軸線102が略水平方向に延びるように車両に搭載される。
【0073】
外殻部材6は、触媒ケース60と、バルブケース65と、出口部69とを備える。
触媒ケース60は、第1実施形態と同様、本体部61と、入口部62と、第1及び第2電極63、64とを備える(
図9~11参照)。
【0074】
バルブケース65は、本体部61の出口から下流側に延びる、径が略一定である筒状の部材である(
図9~13参照)。バルブケース65は、冷却液入口部66と、冷却液出口部67とを有する。
【0075】
冷却液入口部66及び冷却液出口部67は、バルブケース65の外周面から突出する筒状の部位であり、軸線102を挟んで対面すると共に、バルブケース65の側方に向かって開口する。排気熱回収部7での熱交換に用いられる冷却液は、冷却液入口部66を介して流入する。また、排気熱回収部7にて熱交換が行われた冷却液は、冷却液出口部67を介して流出する。
【0076】
出口部69は、バルブケース65の出口から下流側に延びる筒状の部位であり、下流に向かうに従い縮径するテーパ状に形成されている。排ガスは、出口部69の出口から外殻部材6の下流側に流出する。
【0077】
[9.触媒部の構成]
触媒部3は、第1実施形態の触媒部3と同様に構成されていると共に、第1実施形態と同様にして、触媒ケース60の本体部61に配置される(
図10、11参照)。しかし、第2実施形態の触媒部3は、第1及び第2触媒30、31が配置される領域が、第1実施形態と相違する。
【0078】
すなわち、第2実施形態では、第2触媒31は、触媒部3の最も外周面側に位置し、軸線102を囲むように該外周面(換言すれば、バルブケース65)に沿って配置される(
図14参照)。一方、第1触媒30は、触媒部3における断面の略中心(換言すれば、軸線102)を含む部分に配置される。つまり、第1触媒30は、外周側から第2触媒31により囲まれる。
【0079】
より詳しくは、第2実施形態では、一例として、第2触媒31は、軸線102を囲むようにバルブケース65に沿って略一定の厚さで配置される。また、第1触媒30は、触媒部3における軸線102を含む円柱状の部分に配置される。つまり、触媒部3の断面において、第1触媒30の外周縁と、第2触媒31の外周縁とは、略同心円を形成する。しかしながら、第1及び第2触媒30、31の配置領域は、これに限らず、適宜定められ得る。
【0080】
[10.排気熱回収部の構成]
排気熱回収部7は、バルブケース65の内側に配置され、触媒部3の下流側に位置する(
図10~13参照)。排気熱回収部7は、縮小部70と、回収部72と、仕切り部73と、複数のプレート76とを備える。
【0081】
縮小部70は、バルブケース65の入口68付近から軸方向101に延びる筒状の部位であり、下流側に向かうに従い縮径するテーパ状に形成されている。つまり、縮小部70は、軸方向100に直交する基準面103に対し傾斜している。また、縮小部70の入口70aを囲む縁部には、入口70aを挟んで対面する第1及び第2接合部70b、70cが設けられている(
図10、12参照)。第1及び第2接合部70b、70cは、それぞれ、バルブケース65の内周面に接合される。また、縮小部70の入口70aは、第1触媒30と第2触媒31の大部分とを覆うと共に、略円形であり、入口70aの中心は、軸線102の位置と略一致する。
【0082】
そして、縮小部70の入口70aの縁部における第1及び第2接合部70b、70cが形成されていない部分は、バルブケース65の内周面から離間している。つまり、これらの部分とバルブケース65の内周面との間には、軸線102を挟んで対面し、バルブケース65に沿って円弧状に延びる細長い2つの隙間が形成される。これらの隙間は、第2触媒31の下流側に位置し、排ガス入口部71(詳細は後述する)を形成する。
【0083】
回収部72は、第1触媒30の下流側の位置から軸方向101に延びる排ガスの流路を形成する。具体的には、回収部72は、縮小部70の下流側の出口の縁部から軸方向101に略直線状に延びる筒状の部位である。回収部72の入口及び出口は、第1触媒30に対し軸方向101に沿って対面する。また、回収部72の出口は、後述するバルブ8により開閉されるバルブ開口72aを形成する。
【0084】
仕切り部73は、回収部72の外周面からバルブケース65の内周面にかけて広がる壁状の部位であり、回収部72の外周面を囲むように広がる。仕切り部73は、縮小部70に対面しており、縮小部70と同様に基準面103に対し傾斜したテーパ状に形成されている。つまり、仕切り部73及び縮小部70における傾斜の向き及び度合いは、略同一となっている。
【0085】
また、仕切り部73の外周縁は、全てバルブケース65の内周面に接合されている。一方、仕切り部73の内周縁は、回収部72の外周面との間に2つの隙間を形成しながら、該外周面に接合される。これらの隙間は、回収部72の外周面に沿って円弧状に延びており、排ガス出口部74(詳細は後述する)を形成する。
【0086】
また、縮小部70と、回収部72と、仕切り部73と、バルブケース65の内周面とに囲まれた空間は、熱交換室75を構成する。熱交換室75は、回収部72の側方を囲むように広がる。そして、熱交換室75には、複数のプレート76が配置される。
【0087】
また、上述した排ガス入口部71、排ガス出口部74は、それぞれ、熱交換室75への排ガスの入口、出口を形成する。
具体的には、排ガス入口部71における縮小部70の外周縁とバルブケース65の内周面との間の2つの隙間は、それぞれ、触媒部3を通過した排ガスを熱交換室75へと誘導する入口に相当する。これらの2つの入口は、軸線102を囲むように配置され、第1触媒30よりも第2触媒31に近接している。
【0088】
また、排ガス出口部74における仕切り部73の内周縁と回収部72の外周面との間の2つの隙間は、それぞれ、熱交換室75の排ガスを下流側へと流出させる出口に相当する。これらの2つの出口は、回収部72を挟んで対面する。
【0089】
なお、第2実施形態では、一例として、排ガス入口部71における2つの入口の総面積は、排ガス出口部74における2つの出口の総面積よりも大きい。また、排ガス入口部71は、1つの入口、又は、3つ以上の入口を有していても良い。また、排ガス出口部74もまた、1つの出口、又は、3つ以上の出口を有していても良い。
【0090】
また、縮小部70は、冷却液入口部66及び冷却液出口部67の上流側に配置され、仕切り部73は、冷却液入口部66及び冷却液出口部67の下流側に配置される。このため、熱交換室75は、冷却液入口部66及び冷却液出口部67の開口に連通する。
【0091】
[11.複数のプレートの構成]
複数のプレート76は、排ガスと冷却液との熱交換を行う熱交換器を構成する(
図10、11参照)。各プレート76は、円環状に形成された、幅が略一定の扁平な帯状の部材である。各プレート76には、冷却液を流下させる熱交換流路が形成されており、熱交換流路は、プレート76の内部を周回するように延びる。なお、各プレート76は、同様の構成を有する。
【0092】
複数のプレート76は、隣り合うプレート76との間に隙間を有しながら、軸方向101に沿って並んで配置される。また、最上流側のプレート76と縮小部70との間と、最下流側のプレート76と仕切り部73との間とには、それぞれ、隙間が形成されている。また、各プレート76は、回収部72を囲むように回収部72の側方に配置される。また、各プレート76は、縮小部70及び仕切り部73と同様に基準面103に対し傾斜するテーパ状に形成されており、縮小部70及び仕切り部73に沿うように配置される。
【0093】
また、各プレート76の外周縁には、熱交換流路への冷却液の入口76aと、熱交換流路からの冷却液の出口76bとが設けられている。入口76a及び出口76bは、プレート76の中心(換言すれば、軸線102)を挟んで対面するように配置される。そして、複数のプレート76は、各入口76a及び各出口76bが、それぞれ、軸方向101に沿って並んだ状態で配置される。
【0094】
また、複数のプレート76における各入口76a、各出口76bは、それぞれ、冷却液入口部66、冷却液出口部67の正面に位置する(
図10参照)。そして、冷却液は、冷却液入口部66を介して各プレート76の入口76aに流入し、各熱交換流路を流下する。その後、冷却液は、各熱交換流路の出口76bに到達すると、冷却液出口部67を通過して外部に流出する。
【0095】
なお、第2実施形態では、各プレート76は円環状に形成されているが、各プレート76は、例えば、楕円形状、又は、多角形状の閉路に沿って延びる形状に形成されていても良い。また、第2実施形態では、縮小部70、仕切り部73、及び、各プレート76は、基準面103に対し傾斜している。しかしながら、これらの部位は、例えば、基準面103に沿って設けられていても良い。
【0096】
[12.バルブの構成]
バルブ8は、第1実施形態のバルブ5と同様に構成されており、バルブケース65の内側にて第1触媒30の下流側に配置され、回収部72に形成されたバルブ開口72aを下流側から開閉する(
図9~11、13参照)。バルブ8は、第1実施形態と同様に構成された弁体80と、第1及び第2軸部81、82と、アーム部84と、バネ85と、緩衝材86とを有する。
【0097】
弁体80は、バルブ開口72aを開閉する蓋状の部位である。
緩衝材86は、バルブ開口72aを囲むように回収部72の外周面に設けられる。
第1、第2軸部81、82は、それぞれ、軸方向101に直交し、且つ、回収部72の内側空間を貫通する回転軸83を中心に回転可能な棒状の部位として構成されている。第1、第2軸部81、82は、それぞれ、回収部72の外周面から突出し、また、第1、第2軸部81、82の端部は、バルブケース65の外部に露出する。
【0098】
なお、アーム部84及びバネ85については、第1実施形態と同様の構成であるため、説明を省略する。
第1実施形態と同様、弁体80は、第1及び第2軸部81、82の回転に応じて、閉位置80aから開位置80b、又は、開位置80bから閉位置80aへと変位し、これにより、バルブ8が開閉される。
【0099】
また、第1実施形態と同様、ねじりコイルばねとして構成されたバネ85が第1及び第2軸部81、82を付勢することで、弁体80を閉位置80aへと変位させる力が加えられる。このため、回収部72内の排ガスの流量が多くなるに従い、弁体80は開位置80bへと変位する。
【0100】
無論、これに限らず、ねじりコイルばね以外の弾性部材により、同様の力が加えられても良い。また、例えば、弾性部材以外の部材により、同様の力が加えられても良い。具体的には、例えば、錘により同様の力が加えられても良いし、アクチュエータにより、同様の力が加えられても良い。また、第1実施形態と同様、バルブ8の開閉は、例えば、マイクロコントローラ等を有する制御部104により、電子的に制御されても良い。なお、バルブ8の開度は、第1実施形態と同様に調整されても良い。
【0101】
[13.排気熱回収部の動作]
第2実施形態では、第1実施形態と同様、エンジン始動時等のように排ガスの流量が少ない場合には、バルブ8は閉鎖される(
図10~13参照)。そして、排ガスの流量が増えるに従いバルブ8の開度が徐々に大きくなり、該流量が所定値を超えると、バルブ8の開度は最大値となる。
【0102】
このため、排ガスの流量が少ない場合には、外殻部材6内の排ガスの流路内において、回収部72の内側の空間や回収部72の上流側の空間では、排ガスは相対的に高圧になる。このため、排ガスは、流路の外周側(換言すれば、バルブケース65側)へと誘導され、第2触媒31を通過してバルブケース65と縮小部70との間に形成された排ガス入口部71に向かうように促される。
【0103】
そして、排ガス入口部71を通過した排ガスは、熱交換室75に流入し、複数のプレート76に形成された隙間を通過して熱交換室75の内周側へと流下する。このとき、排ガスが複数のプレート76と接触することで、排ガスの熱が各プレート76を流下する冷却液に伝達し、排ガスの熱が回収される。その後、排ガスは、回収部72の外周面に沿って設けられた排ガス出口部74から熱交換室75の下流側に流出し、出口部69へと向かう。そして、排ガスは、出口部69を通過して外殻部材6の下流側に流出する。
【0104】
一方、排ガスの流量が増加すると、バルブ5の開度が徐々に大きくなり、これに伴い、回収部72の内側の空間における排ガスの相対的な圧力は低くなる。このため、バルブ5の開度が大きくなるに従い、回収部72に流入する排ガスの量が多くなると共に、熱交換室75に流入する排ガスの量は少なくなる。回収部72に流入した排ガスは、バルブ開口72aを通過すると出口部69へと流下し、出口部69を通過して外殻部材6の下流側に流出する。このため、排ガスは、バルブ8の開度が大きくなるに従い、よりスムーズに排気熱回収部7を流下する。
【0105】
[14.効果]
(1)第2実施形態によれば、複数のプレート76が配置された熱交換室75に排ガスを流入させる排ガス入口部71は、第2触媒31の下流側に配置されている。このため、車両のエンジンの始動時等のように、バルブ8が閉鎖されるか、又は、バルブ8の開度が小さい場合には、第2触媒31により浄化され、その際の反応熱により加熱された排ガスが、熱交換室75へと流入する。そして、該排ガスの熱が複数のプレート76により冷却液に伝達されるため、冷却液に伝達させる熱量を増加させ得る。したがって、排ガスを浄化しつつエンジンの暖気を促進し、燃費を改善できる。
【0106】
(2)また、特に触媒ケース60の幅がバルブケース65の幅よりも大きい場合等には、排ガスの流量が少なくなるに従い、排ガスは流路の外周側の部分を流下し難くなる。これに対し、第2実施形態では、バルブ8及びバルブ開口72aは、流路の幅方向の略中央に位置する。一方、第2触媒31は、流路の外周側にて触媒ケース60に沿って配置され、熱交換室75への排ガス入口部71は、流路の外周側にてバルブケース65に沿って設けられる。このため、バルブ8の閉鎖時には、排ガスが、流路の外周側に位置する第2触媒31を流下するように促されると共に、第2触媒31を通過した排ガスを、良好に熱交換室75に誘導できる。このため、エンジン始動時等のような排ガスの流量が少ない場合に、第2触媒31を有効に活用して排ガスを浄化できると共に、良好に排ガスから熱を回収できる。
【0107】
(3)また、第2触媒31を通過した排ガスは、回収部72よりも上流側に設けられた排ガス入口部71を通過して、熱交換室75に配置された複数のプレート76へと誘導される。そして、複数のプレート76により熱が回収された排ガスは、複数のプレート76の下流側に設けられた排ガス出口部74から熱交換室75の外部に流出する。このため、排ガスの流れがスムーズになり、通気抵抗を抑制しながら排ガスの熱を回収できる。
【0108】
しかも、排ガス入口部71は、熱交換室75の外周側に位置し、排ガス出口部74は、熱交換室75の内周側に位置する。そして、縮小部70、複数のプレート76、及び仕切り部73は、テーパ状に形成されており、複数のプレート76における隙間を流下する排ガスは、熱交換室75の内周側に向かいながら下流側へと流下する。このため、排ガスの流下方向を大きく変化させること無く排ガスから熱を回収することができ、通気抵抗を抑制できる。
【0109】
さらに、排ガス入口部71に形成された熱交換室75への2つの入口の総面積は、排ガス出口部74に形成された熱交換室75の2つの出口の総面積よりも大きい。このため、第2触媒31を通過した高温の排ガスを、面積の広い排ガス入口部71を介して熱交換室75に流入させることができる。そして、複数のプレート76により熱が回収され、温度が低下した排ガスを、面積の小さい排ガス出口部74を介して熱交換室75から流出させることができる。このため、熱交換室75を通過する際の排ガスの流れを、よりスムーズにすることができる。
【0110】
[15.他の実施形態]
(1)第1、第2実施形態では、第2触媒31は、触媒部3の上流側の端面から下流側の端面にわたって配置されている。しかしながら、これに限らず、触媒部3の上流側の端面及び/又は下流側の端面から離間した領域に、第2触媒31を配置しても良い。そして、触媒部3の上流側の端面と第2触媒31との間の領域、及び/又は、触媒部3の下流側の端面と第2触媒31との間の領域には、第1触媒30を配置しても良い。このような構成を有する場合であっても、同様の効果が得られる。
【0111】
(2)第1実施形態において、ステー4は、第1触媒30を通過した排ガスを、ステー4とバルブケース25の内周面との間の空間に誘導する少なくとも1つの開口を形成していても良い。また、該開口は、ステー4の入口(換言すれば、第1開口部40)の縁部と、バルブケース25の入口26の縁部との間に形成されていても良いし、ステー4を貫通する孔として構成されていても良い。このような開口を設けることで、ステー4を流下する排ガスの量を低減することができ、バルブ5の開度を好適に調整することが可能となる。
【0112】
(3)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0113】
[16.文言の対応関係]
第1及び第2実施形態において、触媒ケース20、60における触媒部3が配置された領域が触媒領域の一例に、第2開口部41及び排ガス入口部71が触媒開口部の一例に、バネ55、85が閉鎖部材の一例に相当する。
【符号の説明】
【0114】
1…排ガス浄化装置、10…軸方向、12…基準面、13…制御部、2…外殻部材、20…触媒ケース、25…バルブケース、3…触媒部、30…第1触媒、31…第2触媒、4…ステー、40…第1開口部、41…第2開口部、42…バルブ開口、43…流体開口部、5…バルブ、50…弁体、55…バネ、6…外殻部材、60…触媒ケース、65…バルブケース、7…排気熱回収部、70…縮小部、71…排ガス入口部、72…回収部、72a…バルブ開口、73…仕切り部、74…排ガス出口部、75…熱交換室、76…プレート、8…バルブ、80…弁体、85…バネ、100…排ガス浄化装置、101…軸方向、103…基準面、104…制御部。