(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】着脱式フットレストおよび乳母車
(51)【国際特許分類】
B62B 9/12 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
B62B9/12 Z
(21)【出願番号】P 2020020394
(22)【出願日】2020-02-10
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】508189474
【氏名又は名称】ニューウェルブランズ・ジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】薮内 仁志
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04729572(US,A)
【文献】米国特許第06273451(US,B1)
【文献】実開昭52-160952(JP,U)
【文献】中国実用新案第208698846(CN,U)
【文献】特開2010-013008(JP,A)
【文献】特開2013-014253(JP,A)
【文献】特開2009-056988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、
前記車体フレームに対して着脱可能に連結される着脱式フットレストと、
前記着脱式フットレストとは離れて位置し、前記着脱式フットレストよりも下方で前記車体フレームに固定される固定式フットレストとを備え、
前記着脱式フットレストは、
前記車体フレームに着脱可能に連結される着脱部と、
前記車体フレームに着座する乳幼児の足を支持する足載せ部とを含む、乳母車。
【請求項2】
前記着脱部は、前記足載せ部の一側および他側にそれぞれ設けられ、
前記一側に設けられる前記着脱部は、前
記車体フレームの車幅方向一側部に着脱可能に連結され、
前記他側に設けられる前記着脱部は、前記車体フレームの車幅方向他側部に着脱可能に連結される、請求項1に記載の
乳母車。
【請求項3】
前記着脱部のうち少なくとも一方は、前記足載せ部の一側および/または他側から前記車幅方向とは異なる方向に延出する腕部と、前記腕部の先端に形成されて前記車体フレームに取り外し可能に取り付けられる第1着脱部分と、前記腕部の中央部分に設けられて、前記車体フレームに取り外し可能に取り付けられる第2着脱部分とを有する、請求項2に記載の
乳母車。
【請求項4】
前記車体フレームは前記車幅方向に延びる軸部を含み、
前記第1着脱部分はフックであって、前記軸部の外周面に係合する、請求項3に記載の
乳母車。
【請求項5】
前記第2着脱部分は前記車体フレームに巻き付くベルトである、請求項3または4に記載の
乳母車。
【請求項6】
前記足載せ部は、多角形の断面形状を有する、請求項1~5のいずれかに記載の
乳母車。
【請求項7】
乳母車とともに使用されるフットレストであって、
前記乳母車に着脱可能に連結される着脱部と、
前記乳母車に着座する乳幼児の足を支持する足載せ部とを備え
、
前記着脱部は、前記足載せ部の一側および他側にそれぞれ設けられ、
前記一側に設けられる前記着脱部は、前記乳母車の車体フレームの車幅方向一側部に着脱可能に連結され、
前記他側に設けられる前記着脱部は、前記車体フレームの車幅方向他側部に着脱可能に連結され、
前記着脱部のうち少なくとも一方は、前記足載せ部の一側および/または他側から前記車幅方向とは異なる方向に延出する腕部と、前記腕部の先端に形成されて前記車体フレームに取り外し可能に取り付けられる第1着脱部分と、前記腕部の中央部分に設けられて、前記車体フレームに取り外し可能に取り付けられる第2着脱部分とを有し、
前記第2着脱部分は、前記第1着脱部分が前記車体フレームに取り付けられた状態で前記車体フレームに取り付けることができる、着脱式フットレスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳母車に着座する乳幼児の足を支持する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な乳母車では、乳母車に着座する乳幼児の足を支持するステップが、車体フレームに固定される。このためステップの高さを調整することができない。かかる不便を解消するための構造として従来、特公平03-021328号公報(特許文献1)および特公平03-035143号公報(特許文献2)に記載のステップが知られている。特許文献1および特許文献2では、上下方向に延びる左右1対の前脚に、ブラケットを摺動可能に取り付け、これら1対のブラケット間にステップが架設される。1対のブラケットを前脚に沿って摺動させ、所望の高さ位置で固定することにより、ステップは所望の高さ位置に調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特公平03-021328号公報
【文献】特公平03-035143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来のような構造にあっては、さらに改善すべき点があることを本発明者は見いだした。つまり1対の前脚およびステップに対し、摺動する1対のブラケットと、ブラケットの摺動を禁止してステップを固定する機構をさらに設けることから、乳母車の部品増および重量増を招く。
【0005】
乳母車は通常、乳幼児の成長過程の始めから終わりまで使用される。乳幼児の成長過程において、乳児の身体は小さく脚は短いが、月齢・年齢を重ねるにつれて身体は大きく脚は長くなり、乳児と幼児を比較すると身体の寸法差が極めて大きい。
【0006】
脚の短い乳幼児が乳母車の座席に着座する場合、乳幼児の両脚が宙に浮いた状態にされてしまうと、乳幼児の姿勢が悪くなる虞や、足から靴が脱落する、乳幼児が不安になって泣く等の不都合が生じる。また乳幼児がフロントガードの下をくぐり地面に向かって落ちてしまう虞がある。このため月齢および年齢の若い時期に、乳幼児の両足を比較的上側で支持する必要がある。
【0007】
同様の理由により、脚の長い幼児が乳母車の座席に着座する場合、幼児の両脚が宙に浮かないよう比較的下側で両足を支持する必要がある。これらの必要を満たすことができれば従来のステップ高さ調整機構は不要になる。
【0008】
本発明は、上述の実情に鑑み、月齢および年齢にかかわらず、乳幼児の体形に合わせて足を確りと支持することができる構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のため本発明による着脱式フットレストは、乳母車とともに使用されるフットレストであって、乳母車に着脱可能に連結される着脱部と、乳母車に備え付けの子供用座席に着座する乳幼児の足を支持する足載せ部とを備える。
【0010】
かかる本発明によれば乳母車の着座者が乳児である場合には、着脱式フットレストを例えば乳母車の車体フレーム等に連結すればよく、乳母車の使用初期において乳児の両脚を確りと支持することができる。身体の小さな幼児である場合も同様である。本発明は、乳幼児の姿勢を安定させて良好な発育を促し、乳幼児の身体が落下したり靴が脱げたりする不都合を防止する。その後に乳幼児が成長すると、フットレストを車体フレームから取り外し、幼児の足元空間を確保することができる。したがって従来のステップ高さ調整機構が不要になり、乳母車の重量増を回避することができる。また車体フレームからフットレストを取り外すことができるので、乳母車の部品増を回避することができる。また乳母車の足元空間を確保し得て、荷物の積載を可能にする。
【0011】
足載せ部は乳児の両足を支持する。本発明の一つの局面として足載せ部は乳母車の車幅方向に延び、乳母車の車幅方向中央領域に配置される。着脱部は1以上設けられる。例えば着脱部は、足載せ部の一側および他側にそれぞれ設けられる。例えば足載せ部は車幅方向に延び、着脱部は足載せ部の車幅方向一端と他端にそれぞれ設けられる。
【0012】
例えば足載せ部の一側に設けられる着脱部は、乳母車の車体フレームの車幅方向一側部に着脱可能に連結され、足載せ部の他側に設けられる着脱部は、車体フレームの車幅方向他側部に着脱可能に連結される、かかる局面によれば、着脱式フットレストの両端が車体フレームに着脱可能に連結されることから、乳幼児の全体重が着脱式フットレストに作用しても、全体重を安定して支持することができる。なお車体フレームの構造は特に限定されない。車体フレームは例えば折り畳み式であってもよい。
【0013】
本発明の一局面として、一側および他側の着脱部のうち少なくとも一方は、足載せ部の一側および/または他側から車幅方向とは異なる方向に延出する腕部と、腕部の先端に設けられて車体フレームに取り外し可能に取り付けられる第1着脱部分と、腕部の中央部分に設けられて、車体フレームに取り外し可能に取り付けられる第2着脱部分とを有する。車幅方向とは異なる方向とは例えば車幅方向と直角に交差する方向をいい、上下方向であったり、乳母車の前後方向であったりする。
【0014】
着脱部の第1着脱部分は特に限定されず、例えば腕部の先端に形成されるフックである。フックは車体フレームのいずれかの部分に係合するとよい。例えば車体フレームは車幅方向に延びる軸部を含み、第1着脱部分としてのフックは軸部の外周面に係合する。
【0015】
着脱部の第2着脱部分は特に限定されず、例えば車体フレームに巻き付くベルトである。かかる局面によれば、着脱式フットレストをベルトで車体フレームに確実に固定することができる。ベルトが巻き付く相手部材は例えば、車体フレームの前脚等の脚部材である。
【0016】
本発明の好ましい局面として、フック部は乳母車の車幅方向に延びる軸部の外周面に係合する。かかる局面によれば、フック部が軸部の回動を阻害しないので、車体フレームを折り畳んだり展開したりする際に軸部は自由に回動することができ、本発明を折り畳み式乳母車に適用可能になる。
【0017】
本発明の好ましい局面として足載せ部は多角形の断面形状を有する。かかる局面によれば、乳幼児の足が着脱式フットレストから滑り落ちないよう安定して支持することができる。
【0018】
本発明の乳母車は、上述した着脱式フットレストと、着脱式フットレストが着脱可能に連結される車体フレームと、着脱式フットレストよりも下方で車体フレームに設けられる固定式フットレストとを具備する。かかる本発明によれば、着脱式フットレストで乳児の足を支持することができ、固定脱式フットレストで幼児の足を支持することができる。しかも着脱式フットレストを車体フレームから取り外し、乳児の足元空間および/または荷物空間を確保することができる。固定式フットレストは、例えば車体フレームに含まれるフレーム部材である。例えば固定式フットレストは、左右一対の前脚間に架設される。あるいは固定式フットレストは、車体フレームに附設される部品であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
このように本発明によれば、体形の小さい乳幼児の両足を確りと支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態になる乳母車を示す斜視図である。
【
図2】同実施形態の着脱式フットレストを示す全体斜視図である。
【
図3】同実施形態の乳母車を折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態になる乳母車を示す斜視図であり、(A)は同実施形態の乳母車に着脱式フットレストを取り付けた状態を示し、(B)は同実施形態の乳母車から着脱式フットレストを取り外して示す。
図2は、着脱式フットレストの全体斜視図である。
【0022】
乳母車10は、主要部品として、車体フレーム11と、前輪キャスタ機構12と、後輪キャスタ機構13と、押棒29と、着脱式フットレスト31と、幌骨41,42を備える。
【0023】
車体フレーム11は、複数のフレーム部材およびフレーム構造体を互いに連結した組立体であり、フレーム部材およびフレーム構造体として前脚14、後脚15、ブラケット16、アームレスト支持部材17、座部フレーム構造体18、アームレスト19、背もたれ部フレーム構造体22、および車幅方向部材25,26を含む。車体フレーム11のうち前脚14、後脚15、ブラケット16、アームレスト支持部材17、およびアームレスト19は、乳母車10の車幅方向左右に離れて配置され対をなし、車幅方向部材25,26、座部フレーム構造体18、背もたれ部フレーム構造体22、および押棒29によって互いに連結される。
【0024】
乳母車10の車幅方向中央領域に配置される座部フレーム構造体18および背もたれ部フレーム構造体22は、図示しない座席シートおよび背もたれシートを装着されて子供用座席を構成する。車体フレーム11は、乳母車10の子供用座席に着座する乳幼児(図略)の体重を支持する骨組状構造体である。
【0025】
前脚14は乳母車10の前側で上下方向に延び、前脚14の上端は、乳母車10の前後方向に延びるアームレスト19の前端と枢軸15sで連結する。後脚15は乳母車10の後側で上下方向に延び、後脚15の上端は、前脚14の上端よりも後方でアームレスト19の前端領域と枢軸15sで回動可能に連結する。アームレスト19の後端部は、上下方向に延びるアームレスト支持部材17の上端部と枢軸19sで連結する。
【0026】
前脚14および後脚15は、乳母車10の車幅方向にみてハの字状に配置され、その上端部同士が前後方向に近接するとともに、その下端部同士が前後方向に離隔する。アームレスト19よりも下方には、座部フレーム構造体18が配置される。座部フレーム構造体18は、上下方向にみて、矩形の枠状に形成される。具体的には座部フレーム構造体18は、車幅方向に延びる棒状の前方部材18bと、車幅方向左右にそれぞれ配置されて前後方向に延びる棒状の側方部材18cと、前方部材18bの左/右端と側方部材18cの前端を結合する左右1対の前方ブラケット18dと、車幅方向に延びる棒状の後方部材18gと、後方部材18gの左/右端と側方部材18cの後端を結合する左右1対の後方ブラケット18jを含む。
【0027】
背もたれ部フレーム構造体22は、複数本のパイプ部材同士を結合してなり、上端側で乳幼児の頭部および背中を支持し、下端で枢軸22sを介して後方ブラケット18jに連結される。枢軸22sは車幅方向に延び、背もたれ部フレーム構造体22は枢軸22s回りにリクライニング可能である。
【0028】
座部フレーム構造体18の上方にはフロントガード24が設けられる。フロントガード24は、車幅方向に延び、両端を後方ブラケット18jにそれぞれ連結され、中央部が子供用座席の前方へ張り出すように架設される。本実施形態のフロントガード24は逆U字形状であり、子供用座席に着座する乳幼児の前方移動を規制する。
【0029】
座部フレーム構造体18前部の左右端(前方ブラケット18d)はそれぞれ枢軸18sで前脚14の中央部と連結する。座部フレーム構造体18後部の左右端(後方ブラケット18j)はそれぞれ、枢軸29cを介して、アームレスト支持部材17の下端部と、ブラケット16の一方端部と、押棒29の下端部と連結する。ブラケット16の他端部は、枢軸16sを介して後脚15の中央部と回動可能に連結する。
【0030】
アームレスト支持部材17の下端部は、アームレスト19よりも下方で、後脚15に連結される。これにより後脚15の上方領域と、アームレスト支持部材17と、アームレスト19は、三角形のフレームを構成し、車体フレーム11を安定して展開させる。
【0031】
前方ブラケット18dは上下に延び、上端で前方部材18bおよび側方部材18cと結合し、下端を筒状に形成される。かかる下端を軸部18fといい、軸部18fには枢軸18sが通される。枢軸18sは車幅方向に延びる。前方ブラケット18d下端に形成されて車幅方向に延びる筒状の軸部18f(
図1(B))には、着脱式フットレスト31が着脱可能に連結される。軸部18fよりも上方には、前方ブラケット18dおよび前脚14間に隙間gが形成される。
【0032】
押棒29は下端で枢軸29cを介して車体フレーム11のブラケット16と連結する。枢軸29cは、後脚15よりも後方かつ隣り合う位置に配置され。車幅方向に延びる。 押棒29は枢軸29cを中心として前後方向に揺動可能である。これにより押棒29は、
図1(A)に示す背面押し位置および図示しない対面押し位置の間で切り替えられる。
【0033】
前輪キャスタ機構12は、前脚14の下端部に設けられ、前輪12wを含む。前輪12wは、上下方向に延びる転回軸線回りに回動可能に保持されて、前輪12wの方向転回を可能にする。後輪キャスタ機構13は、後脚15の下端部に設けられる。後輪キャスタ機構13も、前輪キャスタ機構12と同様であり、後輪13wの方向転回を可能にする。これらの前輪キャスタ機構12および後輪キャスタ機構13は、押棒29の切り替え位置に連動して、一方が方向転回を許容され、他方が方向転回を禁止されるよう構成されるとよい。
【0034】
車幅方向部材25は、両端で前脚14の下端領域とそれぞれ結合し、上面が平坦な固定式フットレスト25sに形成される。固定式フットレスト25sには、乳児よりも身体が大きく、子供用座席から下方へ延びる幼児の足が乗せられる。これにより固定式フットレスト25sは、幼児の足を確実に支持する。固定式フットレスト25sよりも上方、かつ、前方部材18bよりも下方には、着脱式フットレスト31が配置される。
【0035】
着脱式フットレスト31は、乳母車とともに使用される部材であって、
図2に示すように一端ブラケット32、他端ブラケット33、棒部材34、足載せ部材35、およびベルト36を有する。棒部材34は車幅方向に延びる棒状部材である。棒部材34はパイプであって、両端で一端ブラケット32および他端ブラケット33とそれぞれ結合する。一端ブラケット32および他端ブラケット33は、棒部材34の延在方向から向きを変えて延びる腕部であり、上端37がフック形状にされる。
【0036】
本実施形態の一端ブラケット32および他端ブラケット33は下方から上方へ延びる。一端ブラケット32および他端ブラケット33の上端37は、腕部の延出方向とは反対へ向きを変えるよう湾曲しながら延びて終了するフックである。このため上端37は、着脱式フットレスト31を吊り下げるように支持する。具体的には、車幅方向内側の前方ブラケット18dと車幅方向外側の前脚14の隙間g(
図1(B))に差し込まれ、軸部18fの外周面を抱えるように係合する(
図1(A))。
【0037】
ベルト36は、根元で一端ブラケット32に固定され、先端を自由端にされ、前脚14に巻き付いて一端ブラケット32を前脚14に固定する。またベルト36の巻き付きを解除することにより、一端ブラケット32は前脚14から分離される。ベルト36は面ファスナあるいは他の解除可能な固定手段を有し、前脚14を確実に保持することができる。他端ブラケット33に設けられるベルト36も同様である。
【0038】
足載せ部材35は棒部材34の中央領域に固定され、車幅方向に延びる。足載せ部材35の断面形状は多角形であり、例えば角部が丸みを帯びた三角形である。足載せ部材35の左半分には、子供用座席に着座する乳児の左足が乗せられる。これにより左足は宙に浮くことなく足載せ部材35に支持される。同様に足載せ部材35の右半分は乳児の右足を支持する。足載せ部材35の上面には滑り止めのための凹凸形状が設けられる。例えば本実施形態では滑り止めのための突条35rが設けられる。
【0039】
なお子供用座席に着座する乳児が成長して身体が大きくなると、着脱式フットレスト31を車体フレーム11から取り外すとよい(
図1(B))。これにより身体の大きな幼児の足元空間を確保することができる。また座部フレーム構造体18よりも下方で、1対の前脚14および1対の後脚15に図示しないハンモックを張設し、あるいは図示しない籠を架設する等して、乳母車10に荷物を積載することができる。
【0040】
図3は、同実施形態の乳母車を折り畳んだ状態を示す斜視図である。車体フレーム11は
図1に示す展開状態から
図3に示す状態に折り畳み、あるいは逆に
図3に示す折り畳み状態から展開することができる。
【0041】
展開状態から折り畳み状態に移行する際、後脚15とアームレスト支持部材17の連結を切り離され、ブラケット16は枢軸16s周りに回動することにより反転姿勢にされる。そうすると後脚15とアームレスト支持部材17とアームレスト19で構成される三角形のフレームが崩れ、前脚14と後脚15とアームレスト19が枢軸15sを中心に回動して互いに沿うように近づき、ブラケット16および背面押し位置にされる押棒29が後脚15に沿うまで移動し、座部フレーム構造体18は前脚14に対し枢軸18s回りに回動して後脚15に沿うまで移動し、背もたれ部フレーム構造体22は枢軸22s回りに回動して背面押し位置にされる押棒29に沿うまで移動し、車体フレーム11は折り畳み状態にされる。このとき着脱式フットレスト31は、軸部18fに係合したままであり、折り畳み動作に伴う枢軸18s回りの座部フレーム構造体18の回動を阻害しない。
【0042】
ところで本実施形態の着脱式フットレスト31は、乳母車10とともに使用されるフットレストであって、棒部材34の一端に設けられる一端ブラケット32、棒部材34の他端に設けられる他端ブラケット33、および棒部材34の中央領域に設けられる足載せ部材35を有する。一端ブラケット32は着脱部として、上端37のフックおよびベルト36の少なくともいずれか一方により、乳母車10の車体フレーム11の車幅方向一側に設けられる前方ブラケット18dに着脱可能に連結される。他端ブラケット33も同様に、車体フレーム11の車幅方向他側に設けられる前方ブラケット18dに着脱可能に連結される。つまり着脱式フットレストの着脱部は足載せ部材35の一側および他側にそれぞれ設けられる。着脱式フットレスト31の中央領域に設けられる足載せ部材35は車幅方向に延び、乳母車10に乗せられる図示しない乳幼児の足を支持する。
【0043】
着脱式フットレスト31の一端ブラケット32および他端ブラケット33の少なくとも一方は、足載せ部材35の延在方向(車幅方向)とは異なる方向に延出する腕部と、腕部の先の上端37に形成されて車体フレーム11に係合するフック部と、腕部の中央部分に設けられて、車体フレーム11に含まれる前脚14に巻き付くベルト36とを有する。これにより、着脱式フットレスト31をベルト36で車体フレーム11に確実に固定することができる。
【0044】
フック形状の上端37は、乳母車10の車幅方向に延びる筒状の軸部18fの外周面に係合する。これにより上端37は軸部18fの回動を阻害せず、着脱式フットレスト31を車体フレーム11に連結したまま、車体フレーム11を展開ないし折り畳むことができる。
【0045】
着脱式フットレスト31の中央領域には、足載せ部材35が設けられる。足載せ部材35は、多角形の断面形状を有する。乳幼児の両足は足載せ部材35に乗せられる。これにより乳幼児の足を安定して支持することができる。
【0046】
車体フレーム11は、左右一対の前脚14,14と、着脱式フットレスト31よりも下方で前脚14,14の間に架設される車幅方向部材25を含む。車幅方向部材25には、固定式フットレスト25sが設けられる。これにより乳幼児が成長して身体が大きくなると、着脱式フットレスト31を取り外し、固定式フットレスト25sで幼児の足を支持することができる。また固定式フットレスト25sが取り外されることによって、子供用座席の下に荷室スペースが確保される。
【0047】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。発明の内容を容易に理解できるよう、本実施形態では各枢軸の端部が車体フレーム11の表面に露出しているが、図示しない変形例として各枢軸の端部は露出しないよう車体フレームに覆われていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、育児器具において有利に利用される。
【符号の説明】
【0049】
10 乳母車、 11 車体フレーム、 12 前輪キャスタ機構、
14 前脚、 18 座部フレーム構造体、 18b 前方部材、
18f 軸部、 18s 枢軸、 25 車幅方向部材、
25s 固定式フットレスト、 31 着脱式フットレスト、
32 一端ブラケット(着脱部)、 33 他端ブラケット(着脱部)、
34 棒部材、 35 足載せ部材(足載せ部)、
36 ベルト(第2着脱部分)、 37 上端(第1着脱部分)。