(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】OLEDにおける使用のためのナノパッチアンテナアウトカップリング構造
(51)【国際特許分類】
H10K 50/85 20230101AFI20231011BHJP
H10K 50/82 20230101ALI20231011BHJP
H10K 50/11 20230101ALI20231011BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20231011BHJP
H10K 50/115 20230101ALI20231011BHJP
H10K 85/30 20230101ALI20231011BHJP
H10K 85/50 20230101ALI20231011BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20231011BHJP
H10K 101/10 20230101ALN20231011BHJP
H10K 101/20 20230101ALN20231011BHJP
H10K 102/20 20230101ALN20231011BHJP
【FI】
H10K50/85
H10K50/82
H10K50/11
H05B33/14 Z
H10K50/115
H10K85/30
H10K85/50
H10K85/60
H10K101:10
H10K101:20
H10K102:20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020042874
(22)【出願日】2020-03-12
【審査請求日】2022-09-12
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503055897
【氏名又は名称】ユニバーサル ディスプレイ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・フゼッラ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・ジェイ・トンプソン
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-526119(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0041780(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0212201(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0299784(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00 - 50/88
H10K 85/00 - 85/60
H05B 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光層と;
第1の電極層と;
複数のナノ粒子と;
前記第1の電極層と前記複数のナノ粒子との間に配置された材料と
;
第2の電極層と;
基板と、
を含むことを特徴とするデバイス
であって、
前記第2の電極層が、前記基板上に配置され、前記発光層が、前記第2の電極層上に配置され、
前記材料が、
前記第1の電極層上に配置された誘電体層と;
前記誘電体層上に配置された電気接触層と、
を含み、
前記電気接触層が、前記複数のナノ粒子の下にあり、
前記複数のナノ粒子が、Ag粒子、Al粒子、Au粒子、誘電性材料、半導体材料、金属の合金、誘電性材料の混合物、1つ以上の材料の積層体、及び異なる種類の材料のシェルでコーティングされた1種類の材料のコアからなる群から選択される少なくとも1つから形成される、デバイス。
【請求項2】
前記第1の電極層は、全非放射減衰速度定数が全放射減衰速度定数に等しくなる距離である所定の閾値距離だけ、前記発光層から離間される請求項
1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記発光層が、蛍光材料、リン光材料、熱活性化遅延蛍光(TADF)材料、量子ドット材料、金
属有機
構造体、共有結合
性有機
構造体、及びペロブスカイトナノ結晶からなる群から選択される少なくとも1つを含む請求項
1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の電極層が、Ag、Al、Au、Ir、Pt、Ni、Cu、W、Ta、Fe、Cr、Mg、Ga、Rh、Ti、Ru、Pd、In、Bi、及びCaからなる群から選択される少なくとも1つからなる請求項
1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記デバイスが、ナノパッチアンテナを含み、
前記ナノパッチアンテナの共鳴が、前記複数のナノ粒子の大きさを変更すること、前記複数のナノ粒子の大きさの比率を変更すること、前記複数のナノ粒子の形状を変更すること、前記複数のナノ粒子の材料を変えること、前記材料の厚みを調節すること、前記材料の屈折率を変えること、前記複数のナノ粒子に配置された追加の層の屈折率を変えること、前記第1の電極層の厚みを変更すること、及び前記第1の電極層の材料を変更することからなる群から選択される少なくとも1つによって、調整可能である請求項
1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、それぞれの開示内容の全体を参照によって援用する、2019年3月12日出願の米国特許出願第62/817,284号、2019年7月3日出願の米国特許出願第62/870,272号、2019年3月12日出願の米国特許出願第62/817,368号、及び2019年3月12日出願の米国特許出願第62/817,424号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、OLEDの電極層における表面プラズモンエネルギーを可視光に変換するナノパッチアンテナを有するアウトカップリングに関する。
【背景技術】
【0003】
有機材料を利用する光電子デバイスは、いくつもの理由から、次第に望ましいものとなりつつある。そのようなデバイスを作製するために使用される材料の多くは比較的安価であるため、有機光電子デバイスは無機デバイスを上回るコスト優位性の可能性を有する。加えて、柔軟性等の有機材料の固有の特性により、該材料は、フレキシブル基板上での製作等の特定用途によく適したものとなり得る。有機光電子デバイスの例は、有機発光ダイオード/デバイス(OLED)、有機光トランジスタ、有機光電池及び有機光検出器を含む。OLEDについて、有機材料は従来の材料を上回る性能の利点を有し得る。例えば、有機発光層が光を放出する波長は、概して、適切なドーパントで容易に調整され得る。
【0004】
OLEDはデバイス全体に電圧が印加されると光を放出する薄い有機膜を利用する。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明及びバックライティング等の用途において使用するためのますます興味深い技術となりつつある。数種のOLED材料及び構成は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、特許文献1、特許文献2及び特許文献3において記述されている。
【0005】
リン光性発光分子の1つの用途は、フルカラーディスプレイである。そのようなディスプレイの業界標準は、「飽和(saturated)」色と称される特定の色を放出するように適合された画素を必要とする。特に、これらの標準は、飽和した赤色、緑色及び青色画素を必要とする。若しくは、OLEDは、白色光を照射するように設計することができる。従来の、白色バックライトからの液晶ディスプレイ発光は、吸収フィルターを用いてフィルタリングされ、赤色、緑色、及び青色発光を生成する。同様の技術は、OLEDでも用いられることができる。白色OLEDは、単一のEMLデバイス又は積層体構造のいずれかであることができる。色は、当技術分野において周知のCIE座標を使用して測定することができる。
【0006】
本明細書において使用される場合、用語「有機」は、有機光電子デバイスを製作するために使用され得るポリマー材料及び低分子有機材料を含む。「低分子」は、ポリマーでない任意の有機材料を指し、且つ「低分子」は実際にはかなり大型であってよい。低分子は、幾つかの状況において繰り返し単位を含み得る。例えば、長鎖アルキル基を置換基として使用することは、「低分子」クラスから分子を排除しない。低分子は、例えばポリマー骨格上のペンダント基として、又は該骨格の一部として、ポリマーに組み込まれてもよい。低分子は、コア部分上に構築された一連の化学的シェルからなるデンドリマーのコア部分として役立つこともできる。デンドリマーのコア部分は、蛍光性又はリン光性低分子発光体であってよい。デンドリマーは「低分子」であってよく、OLEDの分野において現在使用されているデンドリマーはすべて低分子であると考えられている。
【0007】
本明細書において使用される場合、「頂部」は基板から最遠部を意味するのに対し、「底部」は基板の最近部を意味する。第1の層が第2の層「の上に配置されている」と記述される場合、第1の層のほうが基板から遠くに配置されている。第1の層が第2の層「と接触している」ことが指定されているのでない限り、第1の層と第2の層との間に他の層があってもよい。例えば、間に種々の有機層があるとしても、カソードはアノード「の上に配置されている」と記述され得る。
【0008】
本明細書において使用される場合、「溶液プロセス可能な」は、溶液又は懸濁液形態のいずれかの液体媒質に溶解、分散若しくは輸送されることができ、且つ/又は該媒質から堆積されることができるという意味である。
【0009】
配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に直接寄与していると考えられる場合、「光活性」と称され得る。配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に寄与していないと考えられる場合には「補助」と称され得るが、補助配位子は、光活性配位子の特性を変化させることができる。
【0010】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるように、第1の「最高被占分子軌道」(HOMO)又は「最低空分子軌道」(LUMO)エネルギー準位は、第1のエネルギー準位が真空エネルギー準位に近ければ、第2のHOMO又はLUMOエネルギー準位「よりも大きい」又は「よりも高い」。イオン化ポテンシャル(IP)は、真空準位と比べて負のエネルギーとして測定されるため、より高いHOMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有するIP(あまり負でないIP)に相当する。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有する電子親和力(EA)(あまり負でないEA)に相当する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、材料のLUMOエネルギー準位は、同じ材料のHOMOエネルギー準位よりも高い。「より高い」HOMO又はLUMOエネルギー準位は、「より低い」HOMO又はLUMOエネルギー準位よりもそのような図の頂部に近いように思われる。
【0011】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるように、第1の仕事関数がより高い絶対値を有するならば、第1の仕事関数は第2の仕事関数「よりも大きい」又は「よりも高い」。仕事関数は概して真空準位と比べて負数として測定されるため、これは「より高い」仕事関数が更に負であることを意味する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、「より高い」仕事関数は、真空準位から下向きの方向に遠く離れているものとして例証される。故に、HOMO及びLUMOエネルギー準位の定義は、仕事関数とは異なる慣例に準ずる。
【0012】
OLEDについての更なる詳細及び上述した定義は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる特許文献4において見ることができる。
【発明の概要】
【0013】
一実施形態によれば、有機発光ダイオード/デバイス(OLED)も提供される。前記OLEDは、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置された有機層とを含むことができる。一実施形態によれば、有機発光デバイスは、消費者製品、電子部品モジュール、及び/又は照明パネルから選択される1以上のデバイスに組み込まれる。
【0014】
実施形態によれば、デバイスは、発光層と、第1の電極層と、複数のナノ粒子と、前記第1の電極層と前記複数のナノ粒子との間に配置された材料とを含むことができる。
【0015】
前記デバイスは、第2の電極層と基板とを含むことができ、前記第2の電極層は、前記基板上に配置されることができ、前記発光層は、前記第2の電極層上に配置されることができる。前記第1の電極層及び前記第2の電極層の少なくとも1つは、金属、半導体、及び/又は透明導電性酸化物であることができる。全非放射(輻射)減衰速度定数が全放射減衰速度定数に等しくなる距離である所定の閾値距離だけ、前記第1の電極層が前記発光層から離間されることができる。前記デバイスの材料は、有機材料、酸化物、及び/又は誘電体材料の少なくとも1つを含むことができる。前記材料は、1~5の屈折率を有することができる。前記デバイスの前記発光層は、輸送層を含むことができる。前記発光層は、発光体分子を有する有機層であることができる。
【0016】
前記デバイスの前記発光層は、蛍光材料、リン光材料、熱活性化遅延蛍光(TADF)材料、量子ドット材料、金属有機構造体、共有結合性有機構造体、及び/又はペロブスカイトナノ結晶の少なくとも1つを含むことができる。
【0017】
前記デバイスの前記第1の電極層は、5nm~300nmの厚みを有することができる。前記デバイスは、ナノパッチアンテナを含むことができ、前記ナノパッチアンテナの共鳴は、前記複数のナノ粒子の大きさを変更すること、前記複数のナノ粒子の大きさの比率を変更すること、前記複数のナノ粒子の形状を変更すること、前記複数のナノ粒子の材料を変えること、前記材料の厚みを調節すること、前記材料の屈折率を変えること、前記複数のナノ粒子に配置された追加の層の屈折率を変えること、前記第1の電極層の厚みを変更すること、及び/又は前記第1の電極層の材料を変更することの少なくとも1つによって、調整することができる。前記複数のナノ粒子は、Ag粒子、Al粒子、Au粒子、誘電性材料、半導体材料、金属の合金、誘電性材料の混合物、1つ以上の材料の積層体、及び/又は異なる種類の材料のシェルでコーティングされた1種類の材料のコアの少なくとも1つから形成されることができる。前記デバイスの前記複数のナノ粒子の少なくとも1つは、追加の層を含み、前記複数のナノ粒子の間で側方の(lateral)伝導を提供することができる。前記複数のナノ粒子は、酸化物層でコーティングされることができ、前記酸化物層の厚みは、前記複数のナノ粒子又はナノパッチアンテナのプラズモン共鳴波長を調整するために選択されることができる。前記複数のナノ粒子の形状は、立方体、球体、楕円体、円柱状の三次元物体、平行六面体の三次元物体、棒状の三次元物体、星形の三次元物体、ピラミッド形の三次元物体、及び/又は多面的な三次元物体の少なくとも1つであることができる。前記複数のナノ粒子の少なくとも1つの大きさは、5nm~1000nmであることができる。
【0018】
前記デバイスは、前記基板上に配置された波形の層を含むことができ、前記第2の電極層、前記発光層、前記第1の電極層、及び/又は前記材料は、対応して波形である。
【0019】
前記デバイスの前記材料は、前記第1の電極層上に配置された誘電体層と、前記誘電体層上に配置された電気接触層と、を含むことができる。前記材料は、前記電気接触層と前記第1の電極層との間に電圧調整可能な屈折率材料を含むことができる。前記電圧調整可能な屈折率材料は、アルミニウムでドープされた酸化亜鉛であることができる。前記材料は、絶縁層を含むことができる。前記デバイスの前記第1の電極層は、所定の閾値距離だけ、前記発光層から離間されることができる。
【0020】
前記所定の閾値距離は、全非放射減衰速度定数が全放射減衰速度定数に等しくなる距離であることができる。前記デバイスは、前記複数のナノ粒子上に配置された追加の層を含むことができる。前記追加の層は、1つ以上の発光体分子を含むことができる。前記追加の層は、前記第1の電極層の下の屈折率と釣り合わせることができる。前記追加の層は、1000nm以下の厚みを有することができる。
【0021】
前記デバイスの前記材料は、前記発光層を含むことができる。前記複数のナノ粒子及び前記第1の電極層は、前記デバイスに電気的注入通路を提供することができる。
【0022】
前記デバイスは、基板及び第2の電極層を含むことができ、前記第1の電極層は、非平面であることができ、前記第2の電極層は、前記基板上に配置されることができ、前記複数のナノ粒子は、前記第2の電極層上に配置されることができ、前記発光層は、非平面であることができ、前記材料に含まれることができ、前記複数のナノ粒子及び前記第2の電極層上に配置され、適合することができ、前記第1の電極層は、前記非平面発光層上に配置され、適合することができる。前記第1の電極層及び前記第2の電極層の少なくとも1つは、金属、半導体、及び/又は透明導電性酸化物であることができる。
【0023】
前記デバイスは、基板及び第2の電極層を含むことができ、前記第2の電極層は、前記基板上に配置されることができ、前記ナノ粒子は、前記第2の電極層中に配置されることができ、前記発光層は、前記材料に含まれることができ、前記複数のナノ粒子を含む前記第2の電極層上に配置されることができ、前記第1の電極層は、前記発光層上に配置される。前記第1の電極層及び前記第2の電極層の少なくとも1つは、金属、半導体、及び/又は透明導電性酸化物であることができる。
【0024】
前記デバイスは、基板と第2の電極層とを含むことができ、前記材料は、第1の誘電体層であることができ、前記デバイスは、第2の誘電体層を含むことができ、前記第2の電極層は、前記基板上に配置されることができ、前記発光層は、前記第2の電極層上に配置されることができ、前記第1の電極層は、前記発光層上に配置されることができ、前記第1の誘電体層は、前記第1の電極層上に配置されることができ、前記複数のナノ粒子は、前記第1の誘電体層上に配置されることができ、前記第2の誘電体層は、前記複数のナノ粒子及び前記第1の誘電体層上に配置されることができる。前記第1の電極層及び前記第2の電極層の少なくとも1つは、金属、半導体、及び/又は透明導電性酸化物であることができる。全非放射減衰速度定数が全放射減衰速度定数に等しくなる距離である所定の閾値距離だけ、前記第1の電極層が前記発光層から離間されることができる。前記第1の電極層は、Ag、Al、Au、Ir、Pt、Ni、Cu、W、Ta、Fe、Cr、Mg、Ga、Rh、Ti、Ru、Pd、In、Bi、及び/又はCaの少なくとも1つを含むことができる。前記材料は、有機材料、酸化物、及び/又は誘電性材料の少なくとも1つを含むことができる。前記材料は、1~5の屈折率を有することができる。前記発光層は、輸送層を含むことができる。前記発光層は、発光体分子を有する有機層であることができる。前記発光層は、蛍光材料、リン光材料、熱活性化遅延蛍光(TADF)材料、量子ドット材料、金属有機構造体、共有結合性有機構造体、及び/又はペロブスカイトナノ結晶の少なくとも1つを含むことができる。前記第1の電極層は、5nm~100nmの厚みを有することができる。前記デバイスは、ナノパッチアンテナを含むことができ、前記ナノパッチアンテナの共鳴は、前記複数のナノ粒子の大きさを変更すること、前記複数のナノ粒子の大きさの比率を変更すること、前記複数のナノ粒子の形状を変更すること、前記複数のナノ粒子の材料を変えること、前記材料の厚みを調節すること、前記材料の屈折率を変えること、前記複数のナノ粒子に配置された追加の層の屈折率を変えること、前記第1の電極層の厚みを変更すること、及び/又は前記第1の電極層の材料を変更することの少なくとも1つによって、調整することができる。前記複数のナノ粒子は、Ag粒子、Al粒子、Au粒子、誘電性材料、半導体材料、金属の合金、誘電性材料の混合物、1つ以上の材料の積層体、及び/又は異なる種類の材料のシェルでコーティングされた1種類の材料のコアからなる群から選択される少なくとも1つから形成されることができる。前記デバイスの前記複数のナノ粒子の少なくとも1つは、追加の層を含み、前記複数のナノ粒子の間で側方の伝導を提供することができる。前記複数のナノ粒子は、酸化物層でコーティングされることができ、前記酸化物層の厚みは、前記複数のナノ粒子又はナノパッチアンテナのプラズモン共鳴波長を調整するために選択される。前記複数のナノ粒子の形状は、立方体、球体、楕円体、円柱状の三次元物体、平行六面体の三次元物体、棒状の三次元物体、星形の三次元物体、ピラミッド形の三次元物体、及び/又は多面的な三次元物体の少なくとも1つであることができる。前記複数のナノ粒子の少なくとも1つの大きさは、5nm~1000nmであることができる。
【0025】
前記デバイスは、基板と第2の電極層とを含むことができ、前記材料は、第1の誘電体層であることができ、前記第2の電極層は、前記基板上に配置されることができ、前記発光層は、前記第2の電極層上に配置されることができ、前記第1の電極層は、前記発光層上に配置されることができ、前記第1の誘電体層は、前記第1の電極層上に配置されることができ、前記複数のナノ粒子は、前記第1の誘電体層上に配置されることができる。前記第1の電極層及び前記第2の電極層の少なくとも1つは、金属、半導体、及び/又は透明導電性酸化物であることができる。
【0026】
前記デバイスは、基板と第2の電極層とを含むことができ、前記材料は、第1の誘電体層及び第2の誘電体層であり、前記複数のナノ粒子は、前記第2の誘電体層中に配置されることができ、前記第2の誘電体層及び複数のナノ粒子は、前記基板上に配置されることができ、前記第1の誘電体層は、前記第2の誘電体層及び前記複数のナノ粒子上に配置されることができ、前記第1の電極層は、前記第1の誘電体層上に配置されることができ、前記発光層は、前記第1の電極上に配置されることができ、前記第2の電極は、前記発光層上に配置されることができる。前記第1の電極層及び前記第2の電極層の少なくとも1つは、金属、半導体、及び/又は透明導電性酸化物であることができる。
【0027】
前記デバイスは、基板と第2の電極層とを含むことができ、前記材料は、第1の誘電体層であることができ、前記デバイスは、第2の誘電体層を含むことができ、前記第1の電極層は、前記基板上に配置されることができ、前記第1の誘電体層は、前記第1の電極層上に配置されることができ、前記複数のナノ粒子は、前記第1の誘電体層上に配置されることができ、前記第2の誘電体層は、前記複数のナノ粒子及び前記第1の誘電体層上に配置されることができ、前記発光層は、前記第2の誘電体層上に配置されることができ、前記第2の電極層は、前記発光層上に配置されることができる。前記第1の電極層及び前記第2の電極層の少なくとも1つは、金属、半導体、及び/又は透明導電性酸化物であることができる。
【0028】
前記デバイスは、基板と第2の電極層とを含むことができ、前記材料は、第1の誘電体層であり、前記デバイスは、第2の誘電体層を含むことができ、前記第2の電極層は、前記基板上に配置されることができ、前記発光層は、前記第2の電極層上に配置されることができ、前記複数のナノ粒子は、前記発光層上に配置されることができ、前記第2の誘電体層は、前記複数のナノ粒子及び前記発光層上に配置されることができ、前記第1の誘電体層は、前記第2の誘電体層上に配置されることができ、前記第1の電極層は、前記第1の誘電体層上に配置されることができる。前記第1の電極層及び前記第2の電極層の少なくとも1つは、金属、半導体、及び/又は透明導電性酸化物であることができる。
【0029】
前記デバイスの材料は、有機材料、酸化物、及び/又は誘電体材料の少なくとも1つを含むことができる。前記材料は、第1の層と第2の層とを含むことができ、前記第1の層は、前記第2の層よりも厚い。前記第1の層は、誘電性材料であることができ、前記第2の層は、ナノ粒子接着層であることができる。前記第1の層の厚みは、1nm~100nmであることができ、前記第2の層の厚みは、5nm未満であることができる。前記材料は、1000nm以下の厚みを有することができる。前記デバイスの前記材料は、1~5の屈折率を有することができる。前記材料は、少なくとも前記複数のナノ粒子に配置されたコーティングの部分を含むことができる。前記複数のナノ粒子に配置された前記コーティングは、誘電性コーティングであることができる。
【0030】
前記デバイスは、第2の電極層を含むことができ、前記発光層は、有機発光ダイオード(OLED)に含まれ、前記OLEDは、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に配置される。前記第1の電極層及び前記第2の電極層の少なくとも1つは、金属、半導体、及び/又は透明導電性酸化物であることができる。前記発光層は、輸送層を含むことができる。前記発光層は、発光体分子を有する有機層であることができる。前記発光層は、蛍光材料、リン光材料、熱活性化遅延蛍光(TADF)材料、量子ドット材料、金属有機構造体、共有結合性有機構造体、及び/又はペロブスカイトナノ結晶の少なくとも1つを含むことができる。
【0031】
前記デバイスの前記第1の電極層は、所定の閾値距離だけ、前記発光層から離間されることができ、前記閾値距離は、全非放射減衰速度定数が全放射減衰速度定数に等しくなる距離である。前記第1の電極層は、Ag、Al、Au、Ir、Pt、Ni、Cu、W、Ta、Fe、Cr、Mg、Ga、Rh、Ti、Ru、Pd、In、Bi、及び/又はCaの少なくとも1つを含むことができる。前記第1の電極層は、追加の材料でパターン形成されることができる。前記追加の材料は、蛍光発光体、リン光発光体、量子ドット、金属有機構造体、共有結合性有機構造体、及び/又はペロブスカイトナノ結晶の発光素子を含むことができる。前記第1の電極層は、5nm~300nmの厚みを有することができる。前記デバイスの前記第1の電極層は、少なくとも1つの非平面表面を有することができる。
【0032】
前記デバイスは、ナノパッチアンテナを含むことができ、前記ナノパッチアンテナの共鳴は、前記複数のナノ粒子の大きさを変更すること、前記複数のナノ粒子の大きさの比率を変更すること、前記複数のナノ粒子の形状を変更すること、前記複数のナノ粒子の材料を変えること、前記材料の厚みを調節すること、前記材料の屈折率を変えること、前記複数のナノ粒子に配置された追加の層の屈折率を変えること、前記第1の電極層の厚みを変更すること、及び/又は前記第1の電極層の材料を変更することの少なくとも1つによって、調整することができる。
【0033】
前記デバイスの前記複数のナノ粒子は、Ag粒子、Al粒子、Au粒子、誘電性材料、半導体材料、金属の合金、誘電性材料の混合物、1つ以上の材料の積層体、及び/又は異なる種類の材料のシェルでコーティングされた1種類の材料のコアの少なくとも1つから形成されることができる。
【0034】
前記デバイスの前記複数のナノ粒子の少なくとも1つは、追加の層を含み、前記複数のナノ粒子の間で側方の伝導を提供することができる。前記複数のナノ粒子は、酸化物層でコーティングされることができ、前記酸化物層の厚みは、前記複数のナノ粒子又はナノパッチアンテナのプラズモン共鳴波長を調整するために選択される。前記複数のナノ粒子は、溶液から形成されたコロイド合成されたナノ粒子であることができる。前記複数のナノ粒子の形状は、立方体、球体、楕円体、円柱状の三次元物体、平行六面体の三次元物体、棒状の三次元物体、星形の三次元物体、ピラミッド形の三次元物体、及び/又は多面的な三次元物体の少なくとも1つであることができる。前記複数のナノ粒子の少なくとも1つの大きさは、5nm~1000nmであることができる。前記複数のナノ粒子の少なくとも1つの大きさは、5nm~200nmであることができる。前記複数のナノ粒子の少なくとも1つの大きさは、5nm~100nmであることができる。
【0035】
実施形態によれば、基板上に第1の電極層を配置することと、前記第1の電極層上にフォトレジストを配置することと、前記フォトレジスト及び前記第1の電極層の少なくとも一部をエッチングすることと、残っている前記フォトレジストの部分に金属を堆積させ、第1の電極層のエッチングされた部分の深さに合わせることと、前記金属及び前記フォトレジストを除去して、前記第1の電極層の表面と同じ高さである堆積された前記金属からナノ粒子を形成することと、前記第1の電極層及び前記ナノ粒子上に発光層を配置することと、前記発光層上に第2の電極層を配置することと、を含む方法が提供されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【0037】
【
図2】
図2は、別の電子輸送層を有さない、反転された有機発光デバイスを示す。
【0038】
【
図3a】
図3aは、ナノ粒子と金属層との間に、その中に埋め込まれた発光体分子を含む材料層を含む、従来のナノパッチアンテナを示す。
【0039】
【
図3b】
図3bは、開示された主題の実施形態に係る、金属層(即ち、電極層)の下に配置された、発光層中の発光体分子を含むナノパッチアンテナを示す。
【0040】
【
図3c】
図3cは、開示された主題の実施形態に係る、追加の発光体分子を含むことができるナノ粒子に配置された、キャッピング層を含むナノパッチアンテナを示す。
【0041】
【
図4a】
図4aは、開示された主題の実施形態に係る、複数の層を含む誘電体ギャップ材料を示す。
【0042】
【
図4b】
図4bは、開示された主題の実施形態に係る、厚い誘電体層と薄いナノ粒子接着層とを含む、2層のギャップを示す。
【0043】
【
図5a】
図5aは、開示された主題の実施形態に係る、OLED積層体と組み合わせた、金属層(即ち、電極層)の下に配される発光層における発光体分子を示し、発光層は、金属電極までの閾値距離内にあり、電極の上のナノパッチアンテナは、ナノ粒子を有する側から放射する。
【0044】
【
図5b】
図5bは、開示された主題の実施形態に係る、
図5aの実施形態のバリエーションを示し、積層体が、SPR(表面プラズモンエネルギー)モードの追加のアウトカップリングのために、波型をつけることができる。
【0045】
【
図6】
図6は、開示された主題の実施形態に係る、励起された発光体分子のエネルギーが、カソードでSPRモードに消光されることができ、ナノパッチアンテナギャップモードに連結することができ、光としてエネルギーを放射することができる電界をもたらすことを示す。
【0046】
【
図7】
図7は、開示された主題の実施形態に係る、ナノ粒子としてナノキューブを利用したナノパッチアンテナの材料層における、x方向及びy方向、それぞれにおけるEx及びEy電界強度のコンピュータシミュレーションを示し、遠方場(far field)にアウトカップリングされた光は、ナノ粒子の端から発生することを示す。
【0047】
【
図8】
図8は、開示された主題の実施形態に係る、膜厚を通して部分的にエッチングし、平面の底部表面を維持しながら波形の頂部表面を生成した金属薄膜(即ち、電極層)を示す。
【0048】
【
図9】
図9は、開示された主題の実施形態に係る、ナノ粒子コーティングが、ナノ粒子と金属膜との間の適切なギャップ厚みを提供することができることを示す。
【0049】
【
図10】
図10は、開示された主題の実施形態に係る、発光された光の波長を選択するために電圧調整可能な屈折率を有するギャップ材料を利用するナノパッチアンテナと組み合わせたOLEDを示す。
【0050】
【
図11】
図11は、開示された主題の実施形態に係る、ギャップ領域内に堆積され、電極としての金属層及びナノ粒子を用いて電荷を注入するOLED積層体を示す。
【0051】
【
図12a】
図12aは、開示された主題の実施形態に係る、電極及び基板の頂部に堆積された金属ナノ粒子を有し、それによってITO(酸化インジウムスズ)及び金属ナノ粒子からの電荷注入を可能にするナノパッチアンテナOLEDデバイスを示す。
【0052】
【
図12b】
図12bは、開示された主題の実施形態に係る、
図12aに示されるものに対する代替の平面のOLEDデバイスを示す。
【0053】
【
図13】
図13は、開示された主題の実施形態に係る、
図12bに示される平面の電気駆動ナノパッチアンテナOLEDを形成する方法を示す。
【0054】
【
図14a】
図14aは、開示された主題の実施形態に係る、誘電体キャッピング層を有する種々のナノ構造を有するOLEDデバイスの例を示す。
【
図14b】
図14bは、開示された主題の実施形態に係る、誘電体キャッピング層を有さない種々のナノ構造を有するOLEDデバイスの例を示す。
【
図14c】
図14cは、開示された主題の実施形態に係る、誘電体キャッピング層を有する種々のナノ構造を有するOLEDデバイスの例を示す。
【
図14d】
図14dは、開示された主題の実施形態に係る、誘電体キャッピング層を有さない種々のナノ構造を有するOLEDデバイスの例を示す。
【
図14e】
図14eは、開示された主題の実施形態に係る、誘電体キャッピング層を有する種々のナノ構造を有するOLEDデバイスの例を示す。
【
図14f】
図14fは、開示された主題の実施形態に係る、誘電体キャッピング層を有さない種々のナノ構造を有するOLEDデバイスの例を示す。
【0055】
【
図15】
図15は、開示された主題の実施形態に係る、どのようにナノ構造の材料組成が、金属、誘電体、又は2つの組合せ(即ち、ハイブリッド)になり得るかを示す。
【0056】
【
図16】
図16は、開示された主題の実施形態に係る、粒子の形状が共鳴性プラズモンモード振動数に影響を及ぼすことができることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
概して、OLEDは、アノード及びカソードの間に配置され、それらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が印加されると、アノードが正孔を注入し、カソードが電子を有機層(複数可)に注入する。注入された正孔及び電子は、逆帯電した電極にそれぞれ移動する。電子及び正孔が同じ分子上に局在する場合、励起エネルギー状態を有する局在電子正孔対である「励起子」が形成される。光は、励起子が緩和した際に、光電子放出機構を介して放出される。幾つかの事例において、励起子はエキシマー又はエキサイプレックス上に局在し得る。熱緩和等の無輻射機構が発生する場合もあるが、概して望ましくないとみなされている。
【0058】
初期のOLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第4,769,292号において開示されている通り、その一重項状態から光を放出する発光分子(「蛍光」)を使用していた。蛍光発光は、概して、10ナノ秒未満の時間枠で発生する。
【0059】
ごく最近では、三重項状態から光を放出する発光材料(「リン光」)を有するOLEDが実証されている。参照によりその全体が組み込まれる、Baldoら、「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices」、Nature、395巻、151~154、1998;(「Baldo-I」)及びBaldoら、「Very high-efficiency green organic light emitting devices based on electrophosphorescence」、Appl.Phys.Lett.、75巻、3号、4~6(1999)(「Baldo-II」)。リン光については、参照により組み込まれる米国特許第7,279,704号5~6段において更に詳細に記述されている。
【0060】
図1は、有機発光デバイス100を示す。図は必ずしも一定の縮尺ではない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子ブロッキング層130、発光層135、正孔ブロッキング層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、カソード160、及びバリア層170を含み得る。カソード160は、第1の導電層162及び第2の導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。これらの種々の層の特性及び機能並びに材料例は、参照により組み込まれるUS7,279,704、6~10段において更に詳細に記述されている。
【0061】
これらの層のそれぞれについて、更なる例が利用可能である。例えば、フレキシブル及び透明基板-アノードの組合せは、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5、844、363号において開示されている。p-ドープされた正孔輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、50:1のモル比でm-MTDATAにF4-TCNQをドープしたものである。発光材料及びホスト材料の例は、参照によりその全体が組み込まれるThompsonらの米国特許第6,303,238号において開示されている。n-ドープされた電子輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、1:1のモル比でBPhenにLiをドープしたものである。参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5,703,436号及び同第5,707,745号は、上を覆う透明の、導電性の、スパッタリング蒸着したITO層を有するMg:Ag等の金属の薄層を有する複合カソードを含むカソードの例を開示している。ブロッキング層の理論及び使用は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,097,147号及び米国特許出願公開第2003/0230980号において更に詳細に記述されている。注入層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において提供されている。保護層についての記述は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において見ることができる。
【0062】
図2は、反転させたOLED200を示す。デバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、及びアノード230を含む。デバイス200は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。最も一般的なOLED構成はアノードの上に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下に配置されたカソード215を有するため、デバイス200は「反転させた」OLEDと称されることができる。デバイス100に関して記述されたものと同様の材料を、デバイス200の対応する層において使用してよい。
図2は、幾つかの層が如何にしてデバイス100の構造から省略され得るかの一例を提供するものである。
【0063】
図1及び
図2において例証されている単純な層構造は、非限定的な例として提供されるものであり、本発明の実施形態は多種多様な他の構造に関連して使用され得ることが理解される。記述されている特定の材料及び構造は、事実上例示的なものであり、他の材料及び構造を使用してよい。機能的なOLEDは、記述されている種々の層を様々な手法で組み合わせることによって実現され得るか、又は層は、設計、性能及びコスト要因に基づき、全面的に省略され得る。具体的には記述されていない他の層も含まれ得る。具体的に記述されているもの以外の材料を使用してよい。本明細書において提供されている例の多くは、単一材料を含むものとして種々の層を記述しているが、ホスト及びドーパントの混合物等の材料の組合せ、又はより一般的には混合物を使用してよいことが理解される。また、層は種々の副層を有してもよい。本明細書における種々の層に与えられている名称は、厳しく限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し、正孔を発光層220に注入し、正孔輸送層又は正孔注入層として記述され得る。一実施形態において、OLEDは、カソード及びアノードの間に配置された「有機層」を有するものとして記述され得る。有機層は単層を含んでいてよく、又は、例えば
図1及び
図2に関して記述されている異なる有機材料の多層を更に含んでいてよい。
【0064】
参照によりその全体が組み込まれるFriendらの米国特許第5,247,190号において開示されているもののようなポリマー材料で構成されるOLED(PLED)等、具体的には記述されていない構造及び材料を使用してもよい。更なる例として、単一の有機層を有するOLEDが使用され得る。OLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第5,707,745号において記述されている通り、積み重ねられてよい。OLED構造は、
図1及び
図2において例証されている単純な層構造から逸脱してよい。例えば、基板は、参照によりその全体が組み込まれる、Forrestらの米国特許第6,091,195号において記述されているメサ構造及び/又はBulovicらの米国特許第5,834,893号において記述されているくぼみ構造等、アウトカップリングを改良するための角度のついた反射面を含み得る。
【0065】
本明細書中に開示される幾つかの実施形態においては、それぞれ
図1及び
図2に示される発光層135及び発光層220等の発光層又は材料は、量子ドットを含むことができる。明示的に、又は当業者の理解に応じて文脈によって反対に示されない限り、本明細書中に開示される「発光層」又は「発光材料」は、量子ドット又は相当の構造を含む有機発光材料及び/又は発光材料を含むことができる。このような発光層は、別の発光材料又は他の発光体によって放出された光を変換する量子ドット材料のみを含むことができる、又は前記別の発光材料又は他の発光体も含むことができる、又は電流の印加から直接光そのものを放出することができる。同様に、色変換層、カラーフィルター、アップコンバージョン層又は構造、又はダウンコンバージョン層又は構造は、量子ドットを含む材料を含むことができるが、そのような層は、本明細書中で開示される「発光層」と見なされないことがある。一般に、「発光層」又は材料は、初期光を発するものであり、デバイス内で初期光を放出することはないが、発光層によって放出される初期光(initial light)に基づいて、異なるスペクトル内容の変更された光を再放出することができるカラーフィルターや他の色変換層等の他の層によって変換されることができる。
【0066】
別段の規定がない限り、種々の実施形態の層のいずれも、任意の適切な方法によって堆積され得る。有機層について、好ましい方法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,013,982号及び同第6,087,196号において記述されているもの等の熱蒸着、インクジェット、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第6,337,102号において記述されているもの等の有機気相堆積(OVPD)、並びに参照によりその全体が組み込まれる米国特許第7,431,968号において記述されているもの等の有機気相ジェットプリンティング(OVJP)による堆積を含む。他の適切な堆積法は、スピンコーティング及び他の溶液ベースのプロセスを含む。溶液ベースのプロセスは、好ましくは、窒素又は不活性雰囲気中で行われる。他の層について、好ましい方法は熱蒸着を含む。好ましいパターニング法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,294,398号及び同第6,468,819号において記述されているもの等のマスク、冷間圧接を経由する堆積、並びにインクジェット及びOVJD等の堆積法の幾つかに関連するパターニングを含む。他の方法を使用してもよい。堆積する材料は、特定の堆積法と適合するように修正され得る。例えば、分枝鎖状又は非分枝鎖状であり、好ましくは少なくとも3個の炭素を含有するアルキル及びアリール基等の置換基は、溶液プロセシングを受ける能力を増強するために、低分子において使用され得る。20個以上の炭素を有する置換基を使用してよく、3~20個の炭素が好ましい範囲である。非対称構造を有する材料は、対称構造を有するものよりも良好な溶液プロセス性を有し得、これは、非対称材料のほうが再結晶する傾向が低くなり得るからである。溶液プロセシングを受ける低分子の能力を増強するために、デンドリマー置換基が使用され得る。
【0067】
本発明の実施形態に従って製作されたデバイスは、バリア層を更に含んでいてよい。バリア層の1つの目的は、電極及び有機層を、水分、蒸気及び/又はガス等を含む環境における有害な種への損傷性暴露から保護することである。バリア層は、基板、電極の上、下若しくは隣に、又はエッジを含むデバイスの任意の他の部分の上に堆積し得る。バリア層は、単層又は多層を含んでいてよい。バリア層は、種々の公知の化学気相堆積技術によって形成され得、単相を有する組成物及び多相を有する組成物を含み得る。任意の適切な材料又は材料の組合せをバリア層に使用してよい。バリア層は、無機若しくは有機化合物又は両方を組み込み得る。好ましいバリア層は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,968,146号、PCT特許出願第PCT/US2007/023098号及び同第PCT/US2009/042829号において記述されている、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物を含む。「混合物」とみなされるためには、バリア層を含む前記のポリマー及び非ポリマー材料は、同じ反応条件下で及び/又は同時に堆積されるべきである。非ポリマー材料に対するポリマー材料の重量比は、95:5から5:95の範囲内となり得る。ポリマー材料及び非ポリマー材料は、同じ前駆体材料から作製され得る。一例において、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物は、ポリマーケイ素及び無機ケイ素から本質的になる。
【0068】
本発明の実施形態にしたがって作製されたデバイスは、種々の電気製品又は中間部品に組み込まれることができる多種多様な電子部品モジュール(又はユニット)に組み込まれることができる。このような電気製品又は中間部品としては、エンドユーザーの製品製造者によって利用されることができるディスプレイスクリーン、照明デバイス(離散的光源デバイス又は照明パネル等)が挙げられる。このような電子部品モジュールは、駆動エレクトロニクス及び/又は電源を任意に含むことができる。本発明の実施形態にしたがって作製されたデバイスは、組み込まれた1つ以上の電子部品モジュール(又はユニット)を有する多種多様な消費者製品に組み込まれることができる。OLEDの有機層に本開示の化合物を含むOLEDを含む消費者製品が開示される。このような消費者製品は、1つ以上の光源及び/又は1つ以上のある種の表示装置を含む任意の種類の製品を含む。このような消費者製品の幾つかの例としては、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニター、メディカルモニター、テレビ、掲示板、屋内若しくは屋外照明及び/又は信号送信用のライト、ヘッドアップディスプレイ、完全又は部分透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンター、電話、携帯電話、タブレット、ファブレット、パーソナルデジタルアシスタント(PDAs)、ウェアラブルデバイス、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダー、ビューファインダー、マイクロディスプレイ(対角で2インチ未満のディスプレイ)、3-Dディスプレイ、バーチャルリアリティ又は拡張現実ディスプレイ、車両、共に並べた多重ディスプレイを含むビデオウォール(video walls)、劇場又はスタジアムのスクリーン、及び看板を含む。パッシブマトリックス及びアクティブマトリックスを含む種々の制御機構を使用して、本発明に従って製作されたデバイスを制御することができる。デバイスの多くは、摂氏18度から摂氏30度、より好ましくは室温(摂氏20~25度)等、ヒトに快適な温度範囲内での使用が意図されているが、この温度範囲外、例えば、摂氏-40度~+80度で用いることもできる。
【0069】
本明細書において記述されている材料及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有し得る。例えば、有機太陽電池及び有機光検出器等の他の光電子デバイスが、該材料及び構造を用い得る。より一般的には、有機トランジスタ等の有機デバイスが、該材料及び構造を用い得る。
【0070】
幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、可撓性があること、丸めることができること、折り畳むことができること、伸ばすことができること、曲げることができることからなる群から選択される1つ以上の特性を有する。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、透明又は半透明である。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、カーボンナノチューブを含む層を更に含む。
【0071】
幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、遅延蛍光発光体を含む層を更に含む。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、RGB画素配列又は白色及びカラーフィルター画素配列を含む。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、モバイルデバイス、ハンドヘルドデバイス、又はウェアラブルデバイスである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、10インチ未満の対角線又は50平方インチ未満の面積を有するディスプレイパネルである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、少なくとも10インチの対角線又は少なくとも50平方インチの面積を有するディスプレイパネルである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、照明パネルである。
【0072】
発光領域の幾つかの実施形態では、発光領域はホストを更に含む。
【0073】
幾つかの実施形態においては、前記化合物は、発光ドーパントであることができる。幾つかの実施形態においては、前記化合物は、リン光、蛍光、熱活性化遅延蛍光、即ちTADF(E型遅延蛍光とも言われる)、三重項-三重項消滅、又はこれらの過程の組合せを介して、発光を生成することができる。
【0074】
本明細書中に開示される前記OLEDは、消費者製品、電子部品モジュール、及び照明パネルの1つ以上に組み込まれることができる。前記有機層は、発光層であることができ、幾つかの実施形態においては、前記化合物は、発光ドーパントであることができ、他の実施形態においては、前記化合物は、非発光ドーパントであることができる。
【0075】
前記有機層は、ホストを含むこともできる。幾つかの実施形態においては、2つ以上のホストが好ましい。幾つかの実施形態においては、使用される前記ホストは、a)双極性(bipolar)材料、b)電子輸送材料、c)正孔輸送材料、又はd)電荷輸送の役割がほとんどないワイドバンドギャップ材料であることができる。幾つかの実施形態においては、前記ホストは、金属錯体を含むことができる。前記ホストは、無機化合物とすることができる。
他の材料との組合せ
【0076】
有機発光デバイス中の特定の層に有用として本明細書において記述されている材料は、デバイス中に存在する多種多様な他の材料と組み合わせて使用され得る。例えば、本明細書において開示されている発光性ドーパントは、多種多様なホスト、輸送層、ブロッキング層、注入層、電極、及び存在し得る他の層と併せて使用され得る。以下で記述又は参照される材料は、本明細書において開示されている化合物と組み合わせて有用となり得る材料の非限定的な例であり、当業者であれば、組み合わせて有用となり得る他の材料を特定するための文献を容易に閲覧することができる。
【0077】
本明細書に開示されている様々な発光層及び非発光層、並びに配列には、様々な材料を使用してよい。適切な材料の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2017/0229663号に開示される。
伝導性(導電性)ドーパント:
【0078】
電荷輸送層は、伝導性ドーパントでドープされ、電荷キャリアの密度を大きく変え、それによりその伝導性を変えることとなる。伝導性は、マトリックス材料中の電荷キャリアを生成することで、又はドーパントのタイプに応じて増加され、半導体のフェルミ準位における変化も達成することができる。正孔輸送層は、p型伝導性ドーパントでドープされることができ、n型伝導性ドーパントは、電子輸送層中に用いられる。
HIL/HTL:
【0079】
本発明に使用される正孔注入/輸送材料は、特に限定されず、通常、正孔注入/輸送材料として用いられる化合物であれば、いかなる化合物を使用してもよい。
EBL:
【0080】
電子ブロッキング層(EBL)は、発光層から出る電子及び/又は励起子の数を減らすために使用されることができる。デバイス中のそのようなブロッキング層の存在は、ブロッキング層を欠く同様のデバイスと比較して、大幅に高い効率及び/又はより長い寿命をもたらし得る。また、ブロッキング層を使用して、OLEDの所望の領域に発光を制限することもできる。幾つかの実施形態においては、EBL材料は、EBLインターフェースに最も近接した発光体よりも高いLUMO(真空準位により近い)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。幾つかの実施形態においては、EBL材料は、EBLインターフェースに最も近接したホストの1つ以上よりも高いLUMO(真空準位により近い)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。1つの態様においては、EBL中に用いられる前記化合物は、下記に記載されるホストの1つとして、同じ分子又は同じ官能基を含む。
ホスト:
【0081】
本発明の有機ELデバイスの発光層は、発光材料として少なくとも金属錯体を含むことが好ましく、前記金属錯体をドーパント材料として用いたホスト材料を含むことができる。前記ホスト材料としては特に限定されず、前記ホストの三重項エネルギーがドーパントのものよりも大きければ、任意の金属錯体又は有機化合物が用いられることができる。いずれのホスト材料も、三重項の基準が満たされる限り、任意のドーパントと共に用いられることができる。
HBL:
【0082】
正孔ブロッキング層(HBL)を使用して、発光層から出る正孔及び/又は励起子の数を低減させることができる。デバイス中のそのようなブロッキング層の存在は、ブロッキング層を欠く同様のデバイスと比較して大幅に高い効率及び/又はより長い寿命をもたらし得る。また、ブロッキング層を使用して、OLEDの所望の領域に発光を制限することもできる。幾つかの実施形態においては、HBL材料は、HBLインターフェースに最も近接した発光体よりも低いHOMO(真空準位から更に離れて)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。幾つかの実施形態においては、HBL材料は、HBLインターフェースに最も近接したホストの1つ以上よりも低いHOMO(真空準位から更に離れて)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。
ETL:
【0083】
電子輸送層(ETL)は、電子を輸送することができる材料を含み得る。電子輸送層は、真性である(ドープされていない)か、又はドープされていてよい。ドーピングを使用して、伝導性を増強することができる。ETL材料の例は特に限定されず、電子を輸送するために典型的に使用されるものである限り、任意の金属錯体又は有機化合物を使用してよい。
電荷発生層(CGL)
【0084】
タンデム型、又は積層型のOLED中で、CGLは、性能において重要な役割を果たし、それぞれ、電子及び正孔の注入ためのn-ドープ層及びp-ドープ層からなる。電子及び正孔は、前記CGL及び電極から供給される。前記CGL中の消費された電子及び正孔は、それぞれカソード及びアノードから注入された電子及び正孔によって再び満たされ、その後バイポーラ電流が徐々に安定した状態に達する。典型的なCGL材料は、輸送層で用いられるn型及びp型伝導性ドーパントを含む。
【0085】
発光層が金属カソード及び/又はアノード(例えば、電極層)などのプラズモン活性材料の閾値距離内にある場合、SPR(表面プラズモンエネルギー)モードからの光の形態のアウトカップリングエネルギーを用いて、ディスプレイの輝度でより長く存続するOLEDを提供することができる。前記閾値距離とは、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第9,960,386号明細書に開示されるように、全非放射減衰速度定数が全放射減衰速度定数に等しくなる距離であることができる。
【0086】
開示された主題の実施形態は、ナノパッチアンテナを介してプラズモン活性材料のSPRモードに蓄積されたエネルギーを可視光に変換することができる。
【0087】
図3a~
図3cに示されるように、前記ナノパッチアンテナは、平面状の金属膜(例えば、電極層)と、前記平面状の金属上に配置されたギャップ材料(例えば、誘電性材料など)と、前記ギャップ材料上に配置されたナノ粒子と、を含むことができる。
図3aは、その中に埋め込まれた発光体分子を有するギャップ層を、前記ナノ粒子と前記金属層との間に含む従来のナノパッチアンテナを示す。
図3bは、開示された主題の実施形態に係るナノパッチアンテナを示し、前記発光層における発光体分子は、前記金属層の下(即ち、ギャップ層の中ではない)に配される。
図3cは、ナノ粒子の上に配置されたキャッピング層を含む、開示された主題の別の実施形態を示す。幾つかの実施形態においては、前記キャッピング層は、追加の発光体分子を含むことができる。
【0088】
例えば、
図4aに示されるように、前記ギャップ材料は、有機であることができ(例えば、低分子及び/又はポリマー材料)、酸化物、及び/又は積層体、合金、及び/材料の混合物を含む他の誘電性材料を含むことができる。即ち、
図4aは、複数の層を有する誘電性ギャップ材料を示す。この構成は、ギャップ媒体で生成される高い電界強度により、ギャップに共鳴性プラズモンモードを提供することができる。この大きな電界は、パーセル効果として知られる、ギャップに配された発光体の放出率を高めるために用いられることができる。ナノパッチアンテナは、このプラズモン的アクティブモードから最大50%の効率でエネルギーを放射することができる。
【0089】
開示された主題の実施形態においては、
図4bに示されるように、積層されたギャップ層は、主要な誘電性ギャップ材料となることができる1つの厚い層と、ナノ粒子密度を増加させる、及び/又はナノ粒子の凝集又はクランピング(clumping)を減少させるためのナノ粒子接着層として働くことができる1つの薄い層と、を含む、2つの層を含む。例えば、高分子電解質層(ポリ(スチレンスルホナート)又はポリ(アリルアミン)ハイドロクロライドなど)は、ナノ粒子コーティング(例えば、銀ナノ粒子をコーティングするために用いられ、負の静電荷を運ぶポリ(ビニルピロリジノン))上の静電荷と相互作用することができる静電荷を運ぶことができる。これらの層の厚みの合計は、全体のギャップ厚みを決定することができる一方で、接着層の厚みは5nm未満であることができ、ギャップ層の厚みは1nm~100nmであることができ、より好ましくは1nm~50nmであることができる。
【0090】
1000程度のパーセル係数は、ナノパッチアンテナギャップに発光体を配することで達成されることができるが、10程度のパーセル係数は、リン光OLED発光体の安定性を高めるのに十分であることができる。通常2nm~15nmであって、ましてナノ粒子をOLED電極の1つとして用いないで、典型的なナノパッチアンテナギャップ厚み内で高い内部量子効率を維持するOLED積層体全体を製造することは難しいことがある。開示された主題の実施形態は、
図3bに示されるように、発光体がアンテナギャップ内ではなく平面状の金属の下に配される配列を提供することができる。この配列の変形は、
図3cに示されるように、追加の発光体分子を含むことができるナノ粒子に配置された、追加のキャッピング層を含むことができる。キャッピング層は、屈折率を金属層の反対側と合わせ、それにより金属層を横切ってナノパッチアンテナギャップへのSPRモードのクロスカップリングを改善させることができる。
【0091】
図3b~
図3cの配列に示されるように、発光体は、それが平面状の金属の閾値距離内にあるように配されることができ、次に、OLED接触の1つ(即ち、カソード又はアノードのいずれか)として機能する。1つの例において、発光は、ナノ粒子と同じデバイス側から発生することができ、これにより、この配列が上部及び下部の両方の発光ジオメトリに対応できるようになる。
【0092】
この構成では、発光体を安定させるパーセル増強は、平面状の金属接触(例えば、電極層)への近接から生じることがある。
図5aは、開示された主題の実施形態を示し、金属層の下(即ち、ギャップ層の中ではない)に配された発光層中の発光体分子は、発光層が金属カソードまでの閾値内にある従来のOLED積層体と組み合わせることができ、カソードの上にあるそれに続くナノパッチアンテナジオメトリは、ナノ粒子を有する側から放射する。
【0093】
図5bに示されるように、この構成のバリエーションでは、金属接点又はデバイス積層体全体を波形にし、SPRモードのアウトカップリングを高めることができる。この構成は、最大の達成可能なパーセル増強をギャップ内に発光体を配することによって達成されるもの以下に減少させるが、≧10のパーセル係数を達成することができる。金属(例えば、電極層)の閾値距離内に発光体を配することにより、発光体エネルギーは、金属の表面に沿って誘導されるSPRモードに結合されることができる。
図6に示されるように、不透明でない金属膜(例えば、Ag<200nm厚、Al及びAu<100nm厚)において、このプラズモンモードは、金属の反対側に結合し、エネルギーをギャッププラズモンモードに転送し、ナノパッチアンテナを介して光に変換されることができる。
【0094】
即ち、
図6は、エネルギーがSPRモードを経て光として放射されて注がれていくことを示す。励起された発光体分子のエネルギーは、カソード中でSPRモードに消光され、次に、ナノパッチアンテナギャップモードにつながり、光としてエネルギーを放射することができる電界をもたらす。
【0095】
ナノキューブがナノパッチアンテナ中のナノ粒子として用いられる場合、
図7のシミュレーションに示されるように、電界の強度は、前記ナノキューブの角で最も高くなることができる。即ち、
図7は、ナノ粒子としてナノキューブを利用するナノパッチアンテナのギャップ層における、x方向及びy方向それぞれのEx及びEyの電界強度のシミュレーションを示す。
図7は、遠方場にアウトカップリングされた光がナノ粒子の端から起こることを示している。
【0096】
ナノパッチアンテナの共鳴を調整し、リン光体の発光スペクトルに合わせると、プラズモンエネルギーを効率よく光に変換させることができる。このような調整は、ナノ粒子の大きさを変更すること、ナノ粒子の形状(典型的な形状は、立方体、球体、棒、円盤、板、星、及び追加の面を有するこれらの形状の改変)を変更すること、ナノ粒子の材料(金属又は誘電体)を変えること、ギャップの厚みを調整すること、ギャップの屈折率又は周囲環境(例えば、ナノ粒子上に追加のキャッピング層を堆積させることによって)を変えること、及び平面状の金属の厚み又は金属タイプ(例えば、金属が、5nm~100nmの厚み範囲のAg、Al、及び/又はAuであることができる)を変更させることを含む任意の多数の方法によって達成されることができるが、これらに限定されない。ナノ粒子の規則正しい配列を用いて、アウトカップリング効率を向上させる、及び/又は共鳴波長を調整することができる。
【0097】
平面状の金属膜(例えば、電極層)及び/又は金属ナノ粒子は、純粋又は合金であることができ、Ag、Al、Ag-Al合金、又はAuであることが好ましい。他の幾つかの材料は、Ir、Pt、Ni、Cu、W、Ta、Fe、Crが挙げられるが、これらに限定されない。更に、ナノ粒子は、完全に誘電性材料で構成されることができる、金属の合金及び誘電性材料であることができる、又は異なる種類の材料のシェルでコーティングされた1種類の材料のコアを有することができる。
【0098】
ギャップ厚み(例えば、材料の厚み)は0nm~150nmであり、0nm~50nmでより好ましい。ギャップが0nmの場合(即ち、ギャップがない場合)、ナノ粒子は平面状の金属上(例えば、電極層)に配置されることができ、SPRエネルギーをアウトカップリングするための波形の形態を有することができる。スペクトル範囲の可視部分(例えば、400nm~700nm波長)において光を散乱させるためのナノ粒子の大きさは、ナノ粒子の材料と形状に応じて、5nm~1000nmであることができる。ギャップは、屈折率が1~5である有機又は金属酸化物などの誘電性材料であることができる。
【0099】
ナノ粒子を使用せずに0nmのギャップが実現されることができる。
図8に示されるように、例示的なデバイスでは、平面状の金属膜は、波形の頂部表面を形成するために膜厚を通して部分的にエッチングされることができるが、膜の底部表面は平面状であることができる。これは、例えば、集束イオンビームミリングを用いることによって達成されることができる。波形処理は、完成したOLEDデバイスに取り付けられた金属上で、又は波形金属が剥離されてOLEDに取り付けられ得る別の基板上で、又はその上でOLEDが成長し得る別の基板上で行われることができる。
【0100】
開示された主題の他の実施形態においては、
図9に示されるように、ナノ粒子は、(例えば、材料によって)ギャップ間隔(gap spacing)の一部又は全部として機能する誘電性材料で個別にコーティングされることができる。例えば、粒子は、所望のギャップ厚み全体でコーティングされ、それにより、ギャップ層をゼロに減少させることができる。別の例では、ギャップ層の厚みとナノ粒子コーティングの組み合わせにより、所望の合計スペーサ厚みを達成することができる。ナノ粒子コーティングは、それらが堆積される層に、ナノ粒子の付着を改善する、又はナノ粒子の密度を増加させるための接着層として機能することができる。
【0101】
図10に示されるように、ギャップ層の屈折率は、ナノパッチアンテナの共鳴に影響を及ぼすことがあるので、電圧調整可能な屈折率を持つギャップ材料の使用は、金属カソードとナノ粒子の下にある電気接触層との間に印加された電圧で発光スペクトルを調整する方法を提供することができる。即ち、
図10は、放出される光の波長を選択するために電圧調整可能な屈折率を有するギャップ材料を利用した、ナノパッチアンテナと組み合わされたOLEDを模式的に示す。1つの例においては、印加電圧がキャリア濃度を変化させると誘電率が変化するので、アルミニウムでドープされた酸化亜鉛は、電圧調整可能な屈折率材料として用いられることができる。この場合、第2の絶縁層をギャップで用いて電荷を形成することができる。幾つかの実施形態においては、電圧調整可能な屈折率層の材料特性に応じて、二次絶縁層が除去されることができる。これは、電圧調整可能なナノパッチ共鳴がカラーフィルターとして機能し、所望の色を選択的に通過させるので、OLED積層体が白色OLED、即ち赤、緑、青の発光を含む場合に役立つ。これにより、OLEDを操作するアノードとカソードとのの間に電圧が印加され、ナノ粒子の下のカソードと電気接触層との間に印加される電圧によって、ナノパッチ共鳴を調整して発光色を選択することにより、OLEDが3端子デバイスに効果的に変換される。
【0102】
即ち、少なくとも
図3a~
図10に示される実施形態によれば、デバイスは、発光層と、第1の電極層と、複数のナノ粒子と、前記第1の電極層と前記複数のナノ粒子との間に配置された材料とを含むことができる。前記デバイスの前記第1の電極層は、5nm~300nmの厚みを有することができる。
【0103】
前記デバイスは、第2の電極層と基板とを含むことができ、前記第2の電極層は、前記基板上に配置されることができ、前記発光層は、前記第2の電極層上に配置されることができる。前記第1の電極層及び前記第2の電極層の少なくとも1つは、金属、半導体、及び/又は透明導電性酸化物であることができる。全非放射減衰速度定数が全放射減衰速度定数に等しくなる距離である所定の閾値距離だけ、前記第1の電極層が前記発光層から離間されることができる。前記デバイスの材料は、有機材料、酸化物、及び/又は誘電体材料の少なくとも1つを含むことができる。前記材料は、1~5の屈折率を有することができる。前記デバイスの前記発光層は、輸送層を含むことができる。前記発光層は、発光体分子を有する有機層であることができる。
【0104】
前記デバイスの前記発光層は、蛍光材料、リン光材料、熱活性化遅延蛍光(TADF)材料、量子ドット材料、金属有機構造体、共有結合性有機構造体、及び/又はペロブスカイトナノ結晶の少なくとも1つを含むことができる。
【0105】
前記デバイスは、ナノパッチアンテナを含むことができ、前記ナノパッチアンテナの共鳴は、前記複数のナノ粒子の大きさを変更すること、前記複数のナノ粒子の大きさの比率を変更すること、前記複数のナノ粒子の形状を変更すること、前記複数のナノ粒子の材料を変えること、前記材料の厚みを調節すること、前記材料の屈折率を変えること、前記複数のナノ粒子に配置された追加の層の屈折率を変えること、前記第1の電極層の厚みを変更すること、及び/又は前記第1の電極層の材料を変更することの少なくとも1つによって、調整することができる。前記複数のナノ粒子は、Ag粒子、Al粒子、Au粒子、誘電性材料、半導体材料、金属の合金、誘電性材料の混合物、1つ以上の材料の積層体、及び異なる種類の材料のシェルでコーティングされた1種類の材料のコアの少なくとも1つから形成されることができる。前記デバイスの前記複数のナノ粒子の少なくとも1つは、追加の層を含み、前記複数のナノ粒子の間で側方の伝導を提供することができる。前記複数のナノ粒子は、酸化物層でコーティングされることができ、前記酸化物層の厚みは、前記複数のナノ粒子又はナノパッチアンテナのプラズモン共鳴波長を調整するために選択される。前記複数のナノ粒子の形状は、立方体、球体、楕円体、円柱状の三次元物体、平行六面体の三次元物体、棒状の三次元物体、星形の三次元物体、ピラミッド形の三次元物体、及び/又は多面的な三次元物体の少なくとも1つであることができる。前記複数のナノ粒子の少なくとも1つの大きさは、5nm~1000nmであることができる。
【0106】
図5bに示されるように、前記デバイスは、前記基板上に配置された波形の層を含むことができ、前記第2の電極層、前記発光層、前記第1の電極層、及び前記材料が、対応して波形である。
【0107】
前記デバイスの前記材料は、前記第1の電極層上に配置された誘電体層と、前記誘電体層上に配置された電気接触層と、を含むことができる。前記材料は、前記電気接触層と前記第1の電極層との間に電圧調整可能な屈折率材料を含むことができる。前記電圧調整可能な屈折率材料は、アルミニウムでドープされた酸化亜鉛であることができる。前記材料は、絶縁層を含むことができる。前記デバイスの前記第1の電極層は、所定の閾値距離だけ、前記発光層から離間されることができる。上記で述べられるように、前記所定の閾値距離は、全非放射減衰速度定数が全放射減衰速度定数に等しくなる距離であることができる。
【0108】
幾つかの実施形態においては、前記デバイスは、前記複数のナノ粒子上に配置された追加の層を含むことができる。前記追加の層は、1つ以上の発光体分子を含むことができる。前記追加の層は、前記第1の電極層の下の屈折率と釣り合わせることができる。前記追加の層は、1000nm以下の厚みを有することができる。
【0109】
ナノパッチアンテナ(NPA)は、平面状の金属膜(例えば、電極層)と、前記平面状の金属の頂部に配置されたギャップ材料(例えば、誘電性材料など)と、前記ギャップ材料の上に配されたナノ粒子(例えば、
図3aに示される)と、を含むことができる。この構成は、ギャップ媒体で生成される高い電界強度により、共鳴性プラズモンモードをもたらす。この大きな電界は、パーセル効果として知られる、ギャップに配された発光体の放出率を高めるために用いられることができ、次に、励起された状態にある前記発光体に依存する有害なプロセスに発光体を安定させる。ナノパッチアンテナは、このプラズモン的アクティブモードから最大50%の効率でエネルギーを放射することができる。以前のNPA設計は、典型的に、(例えば、レーザーによって)光学的に励起されていた。
【0110】
開示された主題の実施形態においては、
図11に示されるように、OLED積層体は、NPAギャップ内に配置されることができ、ナノ粒子及び平面状の金属は、デバイスへの電気的注入通路として提供することができる。伝統的に、非放射モードへの消光により、5nm~20nm厚であるOLEDが機能するとは予想されていなかった。しかしながら、大幅なパーセル増強により、リン光の放射モードへの速いカップリングが可能になり、5nm~20nm厚のOLEDに通常存在する損失プロセスを打ち負かす(out-compete)ことができる。
【0111】
典型的なNPAギャップ厚みは、約2nm~約15nmであるので、ナノパッチアンテナギャップ内で高い内部量子効率を維持するOLED積層体全体を製造することは不可能に思えるかもしれない。この厚みのNPAギャップに存在する大きな電界は、ギャップに配された発光体の放出率を1000倍に高めることができる場合がある。上記のように、約10のパーセル係数は、OLED発光体の安定性(例えば、リン光OLEDの安定性)を高めるのに十分な場合がある。開示された主題の実施形態では、パーセル増強の一部は、厚みが約5nm~約100nmのOLED積層体において、より適した更に厚いNPAギャップと交換されることができる。
【0112】
典型的に、大きさが約5nm~約1000nmの金属ナノ粒子を介して電荷を注入することは実行不可能に思えるかもしれない。開示された主題の実施形態は、これに対処するためのデバイスを提供する。
図12aは、その上に金属ナノ粒子、典型的には、Ag、Al、又はAuが分散されている、酸化インジウムスズ(ITO)をコーティングしたガラス基板を示す。一例のデバイスにおいては、これらのナノ粒子は、溶液からドロップキャスト又はスピンキャストされることができる。別の例においては、ナノ粒子は、フォトリソグラフィーとそれに続く金属リフトオフ(metal liftoff)を介して、基板上で直接処理されることができる。OLED積層体は、金属ナノ粒子の上に堆積され、金属電極、典型的にはAg、Al、又はAuで覆われる。これは、
図12aに示されるように、波形デバイス構造を形成することができる。
【0113】
波形が望ましくない適用においては、
図12bに示されるデバイスを用いることができる。このデバイスを形成するために、ナノ粒子機能はITOにエッチングされるが、ITO層を完全には貫通していない。一例においては、エッチングは、エッチングプロセスの方向特性に基づく、反応性イオンエッチャーによって行われることができる。
【0114】
図13に示されるように、ITOエッチングの深さに釣り合う厚みの金属が堆積され、フォトレジスト(PR)上の金属(Ag)のリフトオフが行われることができる。これにより、ITOの上面と同じ高さである金属ナノ粒子(NP)をもたらすことができる。次に、この平面状の基板上、及び上部接点として堆積させた平面状の金属に、OLED積層体を成長させ、NPA OLED構造を形成することができる。OLEDへの電荷の注入は、ナノ粒子又はITOのいずれかから発生することができる。
【0115】
図12a~
図12bにおいては、2つの個別のNPAが破線のボックスで強調されている。ナノ粒子同士が十分に離れているためにナノ粒子間にカップリングがない場合、各NPAは独立して動作する。この場合、電界(及びそれによるパーセル増強)は、個々のNPA内に位置される発光体分子の方が、その外よりも高くなることができる。これにより、OLEDの発光層を通して空間的に発光速度(emitter rate)に幾つかの変動をもたらすことができるが、金属接触が積層体内の全ての発光体分子に近接しているので、全ての発光体分子は、光量子状態の密度の増加を感知し、それによって、パーセル増強を経験する。ナノ粒子がアレイに形成され、ナノ粒子間のカップリングが発生する場合、パーセル増強の変動を減らすことができるハイブリッドで、空間的非局在化モードをもたらすことができる。幾つかの実施形態においては、ナノ粒子は、それらがハイブリッドモードを形成するのに十分に近いことがある。別の実施形態においては、ナノ粒子は、ハイブリッド形成しないことがある。
【0116】
幾つかの実施形態においては、ナノ粒子は、立方体、球体、楕円体、円柱状、平行六面体、及び/又は棒状であることができる。ナノ粒子は、5nm~1000nm、より好ましくは、5nm~200nmの大きさで変化することができる。ナノ粒子は、誘電体、半導体、又は金属であることができる。
【0117】
ギャップ材料は、誘電体又は半導体であることができ、1~15の屈折率を有するであることができる。ギャップ材料は、蛍光、リン光、熱活性化遅延蛍光(TADF)、又は量子ドットであることができる、少なくとも1つの発光材料を含むことができる。幾つかの実施形態においては、1つ以上のタイプの多くの発光材料がある場合がある。ギャップは、ホスト材料を含むことができる。ギャップは、材料の複数の層を含むことができる、又は1つの層のみであることができる。幾つかの実施形態においては、ギャップ材料は、材料の混合物を含むことができる。ギャップは、0.1nm~100nmの厚みの範囲であることができる。
【0118】
平面状の金属膜は、純粋又は合金であることができ、好ましくはAg、Al、Ag-Al合金、又はAuの合金であることができる。幾つかの他の材料は、Ir、Pt、Ni、Cu、W、Ta、Fe、Crを含むが、これらに限定されない。平面状の膜の上面は、追加の材料でパターン化されることができる。金属膜の上部は、その上に追加の材料を有することができ、この材料は、量子ドットを含む発光素子を含むことができる。
【0119】
即ち、
図11~
図12bに示される実施形態においては、デバイスは、発光層と、第1の電極層と、複数のナノ粒子と、前記第1の電極層と前記複数のナノ粒子との間に配置された材料とを含むことができる。前記デバイスの前記材料は、前記発光層を含むことができる。前記複数のナノ粒子及び前記第1の電極層は、前記デバイスに電気的注入通路を提供することができる。前記デバイスは、基板と第2の電極層とを含むことができ、前記第1の電極層は、非平面であることができ、前記第2の電極層は、前記基板上に配置されることができ、前記複数のナノ粒子は、前記第2の電極層上に配置されることができ、前記発光層は、非平面であることができ、前記材料に含まれることができ、前記複数のナノ粒子及び前記第2の電極層上に配置され、適合することができ、前記第1の電極層は、前記非平面発光層上に配置され、適合することができる。前記第1の電極層及び前記第2の電極層の少なくとも1つは、金属、半導体、及び/又は透明導電性酸化物であることができる。
【0120】
図13に示されるように、前記方法は、基板上に第1の電極層を配置することと、前記第1の電極層上にフォトレジストを配置することと、前記フォトレジスト及び前記第1の電極層の少なくとも一部をエッチングすることと、残っている前記フォトレジストの部分に金属を堆積させ、第1の電極層のエッチングされた部分の深さに釣り合わせることと、前記金属及び前記フォトレジストを除去して、前記第1の電極層の表面と同じ高さである堆積された前記金属からナノ粒子を形成することと、前記第1の電極層及び前記ナノ粒子上に発光層を配置することと、前記発光層上に第2の電極層を配置することと、を含む。
【0121】
開示された主題の実施形態は、1つ以上の種々のジオメトリ、形状、材料、及び/又は格子対称性を有するナノ構造を用いることにより、改善された有機発光ダイオード(OLED)性能を提供する。ナノ構造は、発光率を高め、表面プラズモンポラリトン(SPP)モードアウトカップリングを増加させる、デバイスの安定性を向上させる、及び/又は遠方場放射パターンを提供することができる。
【0122】
励起状態エネルギーをプラズモンモードに効率的に結合させるために、発光体又は発光層は、光量子密度状態(
図14a~
図14fに示される)を増加させる構造及び/又は層の閾値距離内に配され、その後上記に記載されるパーセル効果として知られる、発光率の増強をもたらすことができる。上記に記載されるように、閾値距離は、全非放射減衰速度定数が全放射減衰速度定数に等しくなる距離であることができる。
【0123】
図14a~
図14fの例示的なデバイスは、開示された主題の実施形態に係るナノ構造のカソード(断面図)のバリエーションを示す。これらは、金属膜を通って完全にエッチングされることができるナノホール(ナノ構造とも呼ばれることができる)(
図14a及び
図14bに示される)、金属膜を通って部分的にエッチングされることができるナノホール(
図14c及び
図14dに示される)、及び幾つかのホールは完全に金属膜を通ってエッチングされ、他は部分的にエッチングされるナノホール(
図14e及び
図14f)を含む。
図14a~
図14fは、金属膜の厚みを横切る表面プラズモンモードのクロスカップリングを向上するために、屈折率をカソードの下のものと釣り合わせる目的で、ナノ構造カソードが誘電体層で覆われたバリエーション(
図14a、
図14c、及び
図14eに示される)、又はナノ構造カソードが、誘電体層を有さないバリエーション(
図14b、
図14d、及び
図14fに示される)を示す。ホール(ナノ構造)のプロファイル、即ち、ホールの端及び/又は側壁が膜の表面に垂直であり得るか否か、又はホールの側壁が曲率半径を有するか否かを、ナノ構造アレイの特性を調整するために用いることができる。
【0124】
ナノ構造は、金属、誘電体、又はこれらの幾つかの組み合わせからなることができる。
図15は、開示された主題の実施形態に係る種々の可能な組合せの幾つかの例を示す。複合体(例えば、金属及び誘電体)の使用は、使用される複合体によって、局在モードの共鳴周波数が調整される及び/又は選択されることができるので、デバイスの設計に柔軟性を提供することができる。これらの材料のそれぞれについて、局在的な電磁モードは、調整されることができる。用いられる典型的な金属としては、Ag、Al、Au、Ir、Pt、Ni、Cu、W、Ta、Fe、Cr、Mg、Ga、Rh、Ti、Ru、Pd、In、Bi、及び/又はCaが挙げられ、これらの材料の積層体及び/又は合金を含むことができるが、これらに限定されない。使用される誘電体には、有機材料、チタニア、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化ゲルマニウム、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、及び/酸化モリブデンを含むことができるが、これらに限定されない。
【0125】
ナノ構造又はナノ構造の一部に局在化された電磁共鳴は、ナノ構造の形状によって調整されることができる。形状は、
図16に示されるように、単一又は複数の局在化された共鳴を有する、任意の円柱状、球状、及び/又は立方体形状、又は任意の形状を含むことができる。ファセット(切子面のある;faceted)ナノ構造における端及び/又は角の曲率半径を用いて、ナノ構造の共鳴周波数を調整することができる。幾つかの複数の局在化された共鳴形状の例は、ナノ構造の非対称性によって引き起こされる種々の周波数で複数のモードを支持する楕円や長方形を含むことができる。例えば、
図16は、長方形のナノ構造の異なる長さ及び/又は幅が2つの別個の共鳴周波数をどのようにもたらし得るかを示す。これらの複数の周波数ナノ構造は、多波長又は白色発光OLEDのための増強されたアウトカップリングを提供することができる。
【0126】
即ち、
図14a~
図16において示される実施形態においては、デバイスは、発光層と、第1の電極層と、複数のナノ粒子と、前記第1の電極層と前記複数のナノ粒子との間に配置された材料とを含むことができる。前記デバイスは、基板と第2の電極層とを含むことができ、前記材料は、第1の誘電体層及び第2の誘電体層であり、前記第2の電極層は、前記基板上に配置され、前記発光層は、前記第2の電極層上に配置され、前記第1の電極層は、前記発光層上に配置され、前記第1の誘電体層は、前記第1の電極層上に配置され、前記複数のナノ粒子が、前記第1の誘電体層上に配置され、前記第2の誘電体層は、前記複数のナノ粒子及び前記第1の誘電体層上に配置される。前記第1の電極層及び前記第2の電極層の少なくとも1つは、金属、半導体、及び/又は透明導電性酸化物であることができる。前記第2の電極層は、全非放射減衰速度定数が全放射減衰速度定数に等しくなる距離である所定の閾値距離だけ、前記発光層から離間されることができる。前記材料は、有機材料、酸化物、及び誘電性材料からなる群から選択される少なくとも1つを含むことができる。前記材料は、1~5の屈折率を有することができる。前記発光層は、輸送層を含むことができる。前記発光層は、発光体分子を有する有機層であることができる。前記発光層は、蛍光材料、リン光材料、熱活性化遅延蛍光(TADF)材料、量子ドット材料、金属
有機構造体、共有結合
性有機構造体、及びペロブスカイトナノ結晶の少なくとも1つを含むことができる。前記第1の電極層は、5nm~300nmの厚みを有することができる。
【0127】
前記デバイスは、ナノパッチアンテナを含むことができ、前記ナノパッチアンテナの共鳴は、前記複数のナノ粒子の大きさを変更すること、前記複数のナノ粒子の大きさの比率を変更すること、前記複数のナノ粒子の形状を変更すること、前記複数のナノ粒子の材料を変えること、前記材料の厚みを調節すること、前記材料の屈折率を変えること、前記複数のナノ粒子に配置された追加の層の屈折率を変えること、前記第1の電極層の厚みを変更すること、及び/又は前記第1の電極層の材料を変更することの少なくとも1つによって、調整することができる。前記複数のナノ粒子は、Ag粒子、Al粒子、Au粒子、誘電性材料、半導体材料、金属の合金、誘電性材料の混合物、1つ以上の材料の積層体、及び異なる種類の材料のシェルでコーティングされた1種類の材料のコアの少なくとも1つからなることができる。前記デバイスの前記複数のナノ粒子の少なくとも1つは、追加の層を含み、前記複数のナノ粒子の間で側方の伝導を提供することができる。前記複数のナノ粒子は、酸化物層でコーティングされることができ、前記酸化物層の厚みは、前記複数のナノ粒子又はナノパッチアンテナのプラズモン共鳴波長を調整するために選択される。前記複数のナノ粒子の形状は、立方体、球体、楕円体、円柱状の三次元物体、平行六面体の三次元物体、棒状の三次元物体、星形の三次元物体、ピラミッド形の三次元物体、及び/又は多面的な三次元物体の少なくとも1つであることができる。前記複数のナノ粒子の少なくとも1つの大きさは、5nm~1000nmであることができる。
【0128】
前記デバイスは、基板と第2の電極層とを含むことができ、前記材料は、第1の誘電体層であることができ、前記第2の電極層は、前記基板上に配置されることができ、前記発光層は、前記第2の電極層上に配置されることができ、前記第1の電極層は、前記発光層上に配置されることができ、前記第1の誘電体層は、前記第1の電極層上に配置されることができ、前記複数のナノ粒子は、前記第1の誘電体層上に配置されることができる。前記第1の電極層及び前記第2の電極層の少なくとも1つは、金属、半導体、及び/又は透明導電性酸化物であることができる。
【0129】
前記デバイスは、基板と第2の電極層とを含むことができ、前記材料は、第1の誘電体層及び第2の誘電体層であり、前記複数のナノ粒子は、前記第2の誘電体層中に配置されることができ、前記第2の誘電体層及び複数のナノ粒子は、前記基板上に配置されることができ、前記第1の誘電体層は、前記第2の誘電体層及び前記複数のナノ粒子上に配置されることができ、前記第1の電極層は、前記第1の誘電体層上に配置されることができ、前記発光層は、前記第1の電極上に配置されることができ、前記第2の電極は、前記発光層上に配置されることができる。前記第1の電極層及び前記第2の電極層の少なくとも1つは、金属、半導体、及び/又は透明導電性酸化物であることができる。
【0130】
前記デバイスは、基板と第2の電極層とを含むことができ、前記材料は、第1の誘電体層及び第2の誘電体層であることができ、前記第1の電極層は、前記基板上に配置されることができ、前記第1の誘電体層は、前記第1の電極層上に配置されることができ、前記複数のナノ粒子は、前記第1の誘電体層上に配置されることができ、前記第2の誘電体層は、前記複数のナノ粒子及び前記第1の誘電体層上に配置されることができ、前記発光層は、前記第2の誘電体層上に配置されることができ、前記第2の電極層は、前記発光層上に配置されることができる。
【0131】
前記デバイスは、基板と第2の電極層とを含むことができ、前記材料は、第1の誘電体層及び第2の誘電体層であり、前記第2の電極層は、前記基板上に配置されることができ、前記発光層は、前記第2の電極層上に配置されることができ、前記複数のナノ粒子は、前記発光層上に配置されることができ、前記第2の誘電体層は、前記複数のナノ粒子及び前記発光層上に配置されることができ、前記第1の誘電体層は、前記第2の誘電体層上に配置されることができ、前記第1の電極層は、前記第1の誘電体層上に配置されることができる。前記第1の電極層及び前記第2の電極層の少なくとも1つは、金属、半導体、及び/又は透明導電性酸化物であることができる。
【0132】
前記デバイスの材料は、有機材料、酸化物、及び/又は誘電体材料の少なくとも1つを含むことができる。前記材料は、第1の層と第2の層とを含むことができ、前記第1の層は、前記第2の層よりも厚い。前記第1の層は、誘電性材料であることができ、前記第2の層は、ナノ粒子接着層であることができる。前記第1の層の厚みは、1nm~100nmであることができ、前記第2の層の厚みは、5nm未満であることができる。前記材料は、1000nm以下の厚みを有することができる。前記デバイスの前記材料は、1~5の屈折率を有することができる。前記材料は、少なくとも前記複数のナノ粒子に配置されたコーティングの部分を含むことができる。前記複数のナノ粒子に配置された前記コーティングは、誘電性コーティングであることができる。
【0133】
前記デバイスは、第2の電極層を含むことができ、前記発光層は、有機発光ダイオード(OLED)に含まれ、前記OLEDは、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に配置される。前記第1の電極層及び前記第2の電極層の少なくとも1つは、金属、半導体、及び/又は透明導電性酸化物であることができる。前記発光層は、輸送層を含むことができる。前記発光層は、発光体分子を有する有機層であることができる。前記発光層は、蛍光材料、リン光材料、熱活性化遅延蛍光(TADF)材料、量子ドット材料、金属有機構造体、共有結合性有機構造体、及び/又はペロブスカイトナノ結晶の少なくとも1つを含むことができる。
【0134】
前記デバイスの前記第1の電極層は、所定の閾値距離だけ、前記発光層から離間されることができ、前記閾値距離は、全非放射減衰速度定数が全放射減衰速度定数に等しくなる距離である。前記第1の電極層は、Ag、Al、Au、Ir、Pt、Ni、Cu、W、Ta、Fe、Cr、Mg、Ga、Rh、Ti、Ru、Pd、In、Bi、及び/又はCaの少なくとも1つを含むことができる。前記第1の電極層は、追加の材料でパターン形成されることができる。前記追加の材料は、蛍光発光体、リン光発光体、量子ドット、金属有機構造体、共有結合性有機構造体、及び/又はペロブスカイトナノ結晶の発光成分を含むことができる。前記第1の電極層は、5nm~300nmの厚みを有することができる。前記デバイスの前記第1の電極層は、少なくとも1つの非平面表面を有することができる。
【0135】
前記デバイスは、ナノパッチアンテナを含むことができ、前記ナノパッチアンテナの共鳴は、前記複数のナノ粒子の大きさを変更すること、前記複数のナノ粒子の大きさの比率を変更すること、前記複数のナノ粒子の形状を変更すること、前記複数のナノ粒子の材料を変えること、前記材料の厚みを調節すること、前記材料の屈折率を変えること、前記複数のナノ粒子に配置された追加の層の屈折率を変えること、前記第1の電極層の厚みを変更すること、及び/又は前記第1の電極層の材料を変更することの少なくとも1つによって、調整することができる。
【0136】
前記デバイスの前記複数のナノ粒子は、Ag粒子、Al粒子、Au粒子、誘電性材料、半導体材料、金属の合金、誘電性材料の混合物、1つ以上の材料の積層体、及び/又は異なる種類の材料のシェルでコーティングされた1種類の材料のコアの少なくとも1つから形成されることができる。
【0137】
前記デバイスの前記複数のナノ粒子の少なくとも1つは、追加の層を含み、前記複数のナノ粒子の間で側方の伝導を提供することができる。前記複数のナノ粒子は、酸化物層でコーティングされ、前記酸化物層の厚みは、前記複数のナノ粒子又はナノパッチアンテナのプラズモン共鳴波長を調整するために選択される。前記複数のナノ粒子は、溶液から形成されたコロイド合成されたナノ粒子であることができる。前記複数のナノ粒子の形状は、立方体、球体、楕円体、円柱状の三次元物体、平行六面体の三次元物体、棒状の三次元物体、星形の三次元物体、ピラミッド形の三次元物体、及び多面的な三次元物体の少なくとも1つであることができる。前記複数のナノ粒子の少なくとも1つの大きさは、5nm~1000nmであることができる。前記複数のナノ粒子の少なくとも1つの大きさは、5nm~200nmであることができる。前記複数のナノ粒子の少なくとも1つの大きさは、5nm~100nmであることができる。
【0138】
前記デバイスは、基板と、第2の電極層とを含むことができ、前記第2の電極層は、前記基板上に配置されることができ、前記ナノ粒子は、前記第2の電極層中に配置されることができ、前記発光層は、前記材料に含まれることができ、前記複数のナノ粒子を含む前記第2の電極層上に配置されることができ、前記第1の電極層は、前記発光層上に配置される。前記第1の電極層及び前記第2の電極層の少なくとも1つは、金属、半導体、及び/又は透明導電性酸化物であることができる。
【0139】
開示された主題の実施形態にしたがって作製されたデバイスは、種々の電気製品又は中間部品に組み込まれることができる多種多様な電子部品モジュール(又はユニット)に組み込まれることができる。このような電気製品又は中間部品としては、エンドユーザーの製品製造者によって利用されることができるディスプレイスクリーン、照明デバイス(離散的光源デバイス又は照明パネル等)が挙げられる。このような電子部品モジュールは、駆動エレクトロニクス及び/又は電源を任意に含むことができる。本発明の実施形態にしたがって作製されたデバイスは、組み込まれた1つ以上の電子部品モジュール(又はユニット)を有する多種多様な消費者製品に組み込まれることができる。OLEDの有機層に本開示の化合物を含むOLEDを含む消費者製品が開示される。このような消費者製品は、1つ以上の光源及び/又は1つ以上のある種の表示装置を含む任意の種類の製品を含む。このような消費者製品の幾つかの例としては、フラットパネルディスプレイ、曲がったディスプレイ、コンピュータモニター、メディカルモニター、テレビ、掲示板、屋内若しくは屋外照明及び/又は信号送信用のライト、ヘッドアップディスプレイ、完全又は部分透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、丸めることができるディスプレイ、折り畳むことができるディスプレイ、伸ばすことができるディスプレイ、レーザープリンター、電話、携帯電話、タブレット、ファブレット、パーソナルデジタルアシスタント(PDAs)、ウェアラブルデバイス、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダー、ビューファインダー、マイクロディスプレイ(対角で2インチ未満のディスプレイ)、3-Dディスプレイ、バーチャルリアリティ又は拡張現実ディスプレイ、車両、共に並べた多重ディスプレイを含むビデオウォール(video walls)、劇場又はスタジアムのスクリーン、光療法デバイス、及び看板を含む。パッシブマトリックス及びアクティブマトリックスを含む種々の制御機構を使用して、本発明に従って製作されたデバイスを制御することができる。デバイスの多くは、摂氏18度から摂氏30度、より好ましくは室温(摂氏20~25度)等、ヒトに快適な温度範囲内での使用が意図されているが、この温度範囲外、例えば、摂氏-40度~+80度で用いることもできる。
【0140】
本明細書において記述されている材料及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有し得る。例えば、有機太陽電池及び有機光検出器等の他の光電子デバイスが、該材料及び構造を用い得る。より一般的には、有機トランジスタ等の有機デバイスが、該材料及び構造を用い得る。
【0141】
「ハロ」、「ハロゲン」、又は「ハライド」という用語は、相互交換可能に使用され、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を指す。
【0142】
「アシル」という用語は、置換されたカルボニル基(C(O)-Rs)を指す。
【0143】
「エステル」という用語は、置換されたオキシカルボニル(-O-C(O)-Rs又は-C(O)-O-Rs)基を指す。
【0144】
「エーテル」という用語は、-ORs基を指す。
【0145】
「スルファニル」又は「チオエーテル」という用語は、相互交換可能に使用され、-SRs基を指す。
【0146】
「スルフィニル」という用語は、-S(O)-Rs基を指す。
【0147】
「スルホニル」という用語は、-SO2-Rs基を指す。
【0148】
「ホスフィノ」という用語は、-P(Rs)3基を指し、各Rsは、同一であっても異なっていてもよい。
【0149】
「シリル」という用語は、-Si(Rs)3基を指し、各Rsは、同一であっても異なっていてもよい。
【0150】
上記のそれぞれにおいて、Rsは、水素である、又は重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基であることができる。好ましいRsは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0151】
「アルキル」という用語は、直鎖及び分岐鎖アルキル基の両方を指し、含む。好ましいアルキル基としては、1個から15個までの炭素原子を含むものであり、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、及び2,2-ジメチルプロピル等が挙げられる。更に、前記アルキル基は、任意に置換される。
【0152】
「シクロアルキル」という用語は、単環式、多環式、及びスピロアルキル基を指し、含む。好ましいシクロアルキル基は、3~12個の環炭素原子を含むものであり、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[3.1.1]ヘプチル、スピロ[4.5]デシル、スピロ[5.5]ウンデシル、アダマンチルなどが挙げられる。更に、前記シクロアルキル基は、任意に置換される。
【0153】
「ヘテロアルキル」又は「ヘテロシクロアルキル」という用語は、それぞれ、ヘテロ原子によって置換された少なくとも1つの炭素原子を有するアルキル基又はシクロアルキル基を指す。任意に、少なくとも1つのヘテロ原子は、O、S、N、P、B、Si、及びSe、好ましくはO、S、又はNから選択される。更に、前記ヘテロアルキル基又は前記ヘテロシクロアルキル基は、任意に置換される。
【0154】
「アルケニル」という用語は、直鎖及び分枝鎖のアルケン基の両方を指し、含む。アルケニル基は、本質的に、アルキル鎖中に少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含むアルキル基である。シクロアルケニル基は、本質的に、シクロアルキル環中に少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含むシクロアルキル基である。本明細書で使用される「ヘテロアルケニル」という用語は、ヘテロ原子によって置換された少なくとも1つの炭素原子を有するアルケニル基を指す。任意に、少なくとも1つのヘテロ原子は、O、S、N、P、B、Si、及びSe、好ましくはO、S、又はNから選択される。好ましいアルケニル、シクロアルケニル、又はヘテロアルケニル基は、2~15個の炭素原子を含むものである。更に、前記アルケニル、前記シクロアルケニル、又は前記ヘテロアルケニル基は、任意に置換される。
【0155】
「アルキニル」という用語は、直鎖及び分枝鎖アルキン基の両方を指し、含む。好ましいアルキニル基は、2~15個の炭素原子を含むものである。更に、前記アルキニル基は、任意に置換される。
【0156】
「アラルキル」又は「アリールアルキル」という用語は、相互交換可能に使用され、アリール基で置換されたアルキル基を指す。更に、前記アラルキル基は、任意に置換される。
【0157】
「複素環式基(ヘテロ環基;heterocyclic group)」という用語は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む芳香族及び非芳香族の環式基を指し、含む。任意に、前記少なくとも1つのヘテロ原子は、O、S、N、P、B、Si、及びSe、好ましくはO、S、又はNから選択される。ヘテロ芳香族環式基は、ヘテロアリールと相互交換可能に使用され得る。好ましいヘテロ非芳香族環式基は、3~7個の環原子を含むものであって、少なくとも1つのヘテロ原子を含み、モルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノなどの環式アミン、及び例えばテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオフェンなどの環式エーテル/チオエーテルを含む。更に、前記複素環式基は、任意に置換されることができる。
【0158】
「アリール」という用語は、単環式芳香族ヒドロカルビル基及び多環式芳香族環系の両方を指し、含む。多環とは、2つの隣接する環(前記環は、「縮合」している)に2つの炭素が共有されている2つ以上の環を有することができ、前記環の少なくとも1つは、芳香族ヒドロカルビル基であり、例えば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロ環、及び/又はヘテロアリールであることができる。好ましいアリール基は、6~30個の炭素原子を含むものであり、6~20個の炭素原子を含むものが好ましく、6~12個の炭素原子を含むものが更に好ましい。6個の炭素を有するアリール基、10個の炭素を有するアリール基、又は12個の炭素を有するアリール基が特に好ましい。好適なアリール基としては、フェニル、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、テトラフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナンスレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、及びアズレン等が挙げられ、フェニル、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、フルオレン、及びナフタレンが好ましい。更に、前記アリール基は、任意に置換される。
【0159】
「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む単環式芳香族基及び多環式芳香族環系の両方を指し、含む。ヘテロ原子としては、O、S、N、P、B、Si、及びSeが挙げられるが、これらに限定されない。多くの例においては、O、S、又はNが好ましいヘテロ原子である。ヘテロ単環式芳香族系は、好ましくは5個又は6個の環原子を有する単環であり、前記環は1~6個のヘテロ原子を有することができる。ヘテロ多環式環系は、2つの原子が2つの隣接する環(前記環は「縮合している」)に共通している2つ以上の環を有することができ、前記環の少なくとも1つはヘテロアリールであり、例えば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロ環、及び/又はヘテロアリールであることができる。複素多環式芳香族環系は、多環式芳香族環系の環当たり1~6個のヘテロ原子を有することができる。好ましいヘテロアリール基は、3~30個の炭素原子を含むものであり、3~20個の炭素原子を含むものが好ましく、3~12個の炭素原子を含むものがより好ましい。好適なヘテロアリール基としては、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン、及びセレノフェノジピリジンが挙げられ、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、イミダゾール、ピリジン、トリアジン、ベンズイミダゾール、1,2-アザボリン、1,3-アザボリン、1,4-アザボリン、ボラジン、及びこれらのアザ類似体が好ましい。更に、前記ヘテロアリール基は、任意に置換される。
【0160】
上記にリストされる前記アリール及び前記ヘテロアリール基のうち、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、イミダゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、及びベンズイミダゾールの基、並びにそのそれぞれのアザ類似体が、特に興味深い。
【0161】
本明細書において使用される用語であるアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アラルキル、複素環基、アリール、及びヘテロアリールは、独立して非置換である、又は独立して1つ以上の一般的な置換基で置換される。
【0162】
多くの例において、前記一般的な置換基は、重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0163】
幾つかの例において、好ましい一般的な置換基は、重水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0164】
幾つかの例においては、好ましい一般的な置換基は、重水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アリール、ヘテロアリール、スルファニル、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0165】
更に他の例においては、より好ましい一般的な置換基は、重水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0166】
「置換された」及び「置換」という用語は、関連する位置(例えば炭素又は窒素)に結合されているH以外の置換基を指す。例えば、R1がモノ置換を表す場合、1つのR1はH以外でなければならない(即ち、置換)。同様に、R1がジ置換を表す場合、R1の2つはH以外でなければならない。同様に、R1が無置換を表す場合、R1は、例えば、ベンゼンにおける炭素原子及びピロール中の窒素原子の場合のように、環原子の利用可能な原子価における水素であることができる、又は完全に満たされた原子価を有する環原子(例えば、ピリジン中の窒素)の場合には単に何も表さない。環構造において可能な置換の最大数は、環原子における利用可能な原子価の総数に依存する。
【0167】
本明細書中で使用される場合、「これらの組合せ」は、適用されるリストから当業者が想到することができる知られた又は化学的に安定な配置を形成するために、適用されるリストの1つ以上のメンバーが組み合わされることを示す。例えば、アルキル及び重水素は、組み合わされて、部分的又は完全に重水素化されたアルキル基を形成することができる;ハロゲン及びアルキルは、組み合わされて、ハロゲン化アルキル置換基を形成することができる;ハロゲン、アルキル、及びアリールは、組み合わされて、ハロゲン化アリールアルキルを形成することができる。1つの例においては、置換という用語は、リストされた基の2~4個の組合せを含む。別の例においては、置換という用語は、2~3個の基の組合せを含む。更に別の例では、置換という用語は、2個の基の組合せを含む。置換基の好ましい組合せは、水素又は重水素でない50個までの原子を含むもの、又は水素又は重水素ではない40個までの原子を含むもの、又は水素若しくは重水素ではない30個までの原子を含むものである。多くの例においては、置換基の好ましい組合せは、水素又は重水素ではない20個までの原子を含む。
【0168】
本明細書において記述されるフラグメント、例えば、アザ-ジベンゾフラン、アザ-ジベンゾチオフェン等の中の「アザ」という名称は、各フラグメント中のC-H基の1つ以上が窒素原子に置き換わることができることを意味し、例えば、何ら限定するものではないが、アザトリフェニレンは、ジベンゾ[f,h]キノキサリンとジベンゾ[f,h]キノリンのいずれをも包含する。当業者であれば、上述のアザ誘導体の他の窒素類似体を容易に想像することができ、このような類似体全てが本明細書に記載の前記用語によって包含されることが意図される。
【0169】
本明細書で使用される場合、「重水素」は、水素の同位体を指す。重水素化化合物は、当該分野で公知の方法を用いて容易に調製されることができる。例えば、それらの内容の全体を参照によって援用する、米国特許第8,557,400号明細書、国際公開第WO2006/095951号、及び米国特許出願公開第2011/0037057号には、重水素で置換された有機金属錯体の作製が記載されている。更なる参照は、それらの内容の全体を参照によって組み込まれる、Tetrahedron 2015,71,1425~30(Ming Yanら)及びAngew.Chem.Int.Ed.(Reviews)2007,46,7744~65(Atzrodtら)によって為され、ベンジルアミン中のメチレン水素の重水素化及び芳香族環水素を重水素で置換する効率的な経路が、それぞれ記載されている。
【0170】
分子フラグメントが置換基であるとして記述される、又は他の部分に結合されているものとして記述される場合、その名称は、フラグメント(例えば、フェニル、フェニレン、ナフチル、ジベンゾフリル)又は分子全体(例えば、ベンゼン、ナフタレン、ジベンゾフラン)であるように記載されることがあることを理解されたい。本明細書においては、置換基又は結合フラグメントの表示の仕方が異なっていても、これらは、等価であると考える。
【0171】
ある例においては、対の隣接する置換基は、任意に結合又は縮合し、環を形成することができる。好ましい環は、5員環、6員環、又は7員環の炭素環又は複素環であり、対の置換基によって形成される環の部分が飽和されている例及び対の置換基によって形成される環の部分が不飽和である例の両方を含む。本明細書中で使用される「隣接する」は、安定した縮合環系を形成することができる限り、関連する2つの置換基が、互いに隣り合って同じ環上にあることができる、又はビフェニルにおける2位と2’位、及びナフタレンにおける1位と8位など、2つの最も近い利用可能な置換可能位置を有する2つの隣どうしの環上にあることができることを意味する。
【0172】
幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、可撓性があること、丸めることができること、折り畳むことができること、伸ばすことができること、曲げることができることからなる群から選択される1つ以上の特性を有する。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、透明又は半透明である。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、カーボンナノチューブを含む層を更に含む。
【0173】
幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、遅延蛍光発光体を含む層を更に含む。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、RGB画素配列又は白色及びカラーフィルター画素配列を含む。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、モバイルデバイス、ハンドヘルドデバイス、又はウェアラブルデバイスである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、10インチ未満の対角線又は50平方インチ未満の面積を有するディスプレイパネルである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、少なくとも10インチの対角線又は少なくとも50平方インチの面積を有するディスプレイパネルである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、照明パネルである。
【0174】
幾つかの実施形態においては、前記発光ドーパントは、リン光、蛍光、熱活性化遅延蛍光、即ちTADF(E型遅延蛍光とも呼ばれる;例えば、参照によりその全体が組み込まれる、米国特許出願公開第15/700,352号参照)、三重項-三重項消滅、又はこれらの過程の組合せを介して、発光を生成することができる。幾つかの実施形態においては、前記発光ドーパントは、ラセミ混合物であることができる、又は1つのエナンチオマーに富む(enriched)ことができる。
【0175】
幾つかの実施形態においては、前記有機層は、OLEDにおけるリン光増感剤を含むことができ、前記OLEDにおける1つ又は複数の層は、1つ以上の蛍光及び/又は遅延蛍光発光体の形態で、アクセプターを含む。幾つかの実施形態においては、前記増感剤は、エキシプレックス(exciplex)の1つの成分であることができる。リン光増感剤として、前記化合物は、前記アクセプターへのエネルギー移動が可能でなくてはならず、前記アクセプターは、エネルギーを放つ又はエネルギーを最終発光体に更に移動する。前記アクセプター濃度は、0.001%~100%の範囲であり得る。前記アクセプターは、リン光増感剤と同じ層にあることも、又は1つ以上の異なる層にあることもできる。幾つかの実施形態においては、前記アクセプターは、TADF発光体である。幾つかの実施形態においては、前記アクセプターは、蛍光発光体である。幾つかの実施形態においては、前記発光は、前記増感剤、前記アクセプター、及び前記最終発光体のいずれか又は全てから生じることができる。
【0176】
本明細書中に開示される前記OLEDは、消費者製品、電子部品モジュール、及び照明パネルの1つ以上に組み込まれることができる。前記有機層は、発光層であることができ、幾つかの実施形態においては、前記化合物は、発光ドーパントであることができ、他の実施形態においては、前記化合物は、非発光ドーパントであることができる。
【0177】
前記有機層は、ホストを含むこともできる。幾つかの実施形態においては、2つ以上のホストが好ましい。幾つかの実施形態においては、使用される前記ホストは、a)双極性(bipolar)材料、b)電子輸送材料、c)正孔輸送材料、又はd)電荷輸送の役割がほとんどないワイドバンドギャップ材料であることができる。幾つかの実施形態においては、前記ホストは、金属錯体を含むことができる。前記ホストは、ベンゾ縮合チオフェン又はベンゾ縮合フランを含むトリフェニレンであることができる。前記ホスト中のいずれの置換基は、独立して、CnH2n+1、OCnH2n+1、OAr1、N(CnH2n+1)2、N(Ar1)(Ar2)、CH=CH-CnH2n+1、C≡C-CnH2n+1、Ar1、Ar1-Ar2、及びCnH2n-Ar1からなる群から選択される非縮合置換基であることができる、又は前記ホストは無置換である。前述の置換基において、nは1から10の範囲に亘ることができ、Ar1及びAr2は、独立して、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、トリフェニレン、カルバゾール、及びこれらの複素芳香族類似体からなる群から選択されることができる。前記ホストは、無機化合物であることができる。例えば、ZnS等、Zn含有無機材料が挙げられる。
【0178】
前記ホストは、トリフェニレン、カルバゾール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、アザトリフェニレン、アザカルバゾール、アザ-ジベンゾチオフェン、アザ-ジベンゾフラン、及びアザ-ジベンゾセレノフェンからなる群から選択される少なくとも1つの化学基を含む化合物であることができる。前記ホストは、金属錯体を含むことができる。前記ホストは、下記からなる群から選択される具体的な化合物であることができるが、これらに限定されない。
【化1】
【化2】
【0179】
可能なホストに関する追加の情報は、下記に提供される。
他の材料との組合せ
【0180】
本明細書において開示されるOLEDは、組み込まれることができる。有機発光デバイス中の特定の層に有用として本明細書において記述されている材料は、デバイス中に存在する多種多様な他の材料と組み合わせて使用され得る。例えば、本明細書において開示されている発光性ドーパントは、多種多様なホスト、輸送層、ブロッキング層、注入層、電極、及び存在し得る他の層と併せて使用され得る。以下で記述又は参照される材料は、本明細書において開示されている化合物と組み合わせて有用となり得る材料の非限定的な例であり、当業者であれば、組み合わせて有用となり得る他の材料を特定するための文献を容易に閲覧することができる。
伝導性(導電性)ドーパント:
【0181】
電荷輸送層は、伝導性ドーパントでドープされ、電荷キャリアの密度を大きく変え、それによりその伝導性を変えることとなる。伝導性は、マトリックス材料中の電荷キャリアを生成することで、又はドーパントのタイプに応じて増加され、半導体のフェルミ準位における変化も達成することができる。正孔輸送層は、p型伝導性ドーパントでドープされることができ、n型伝導性ドーパントは、電子輸送層中に用いられる。
HIL/HTL:
【0182】
本発明において使用される正孔注入/輸送材料は特に限定されず、その化合物が正孔注入/輸送材料として典型的に使用されるものである限り、任意の化合物を使用してよい。材料の例は、フタロシアニン又はポルフィリン誘導体;芳香族アミン誘導体;インドロカルバゾール誘導体;フッ化炭化水素を含有するポリマー;伝導性ドーパントを有するポリマー;PEDOT/PSS等の導電性ポリマー;ホスホン酸及びシラン誘導体等の化合物に由来する自己集合モノマー;MoOx等の金属酸化物誘導体;1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル等のp型半導体有機化合物;金属錯体、並びに架橋性化合物を含むがこれらに限定されない。
【0183】
HIL又はHTL中に使用される芳香族アミン誘導体の例は、下記の一般構造を含むがこれらに限定されない。
【化3】
Ar
1からAr
9のそれぞれは、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン等の芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン及びセレノフェノジピリジン等の芳香族複素環式化合物からなる群;並びに芳香族炭化水素環式基及び芳香族複素環式基から選択される同じ種類又は異なる種類の基であり、且つ、直接的に、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位及び脂肪族環式基の少なくとも1つを介して、互いに結合している2から10個の環式構造単位からなる群から選択される。各Arは、無置換であることができる、又は重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基によって置換されることができる。
【0184】
一態様において、Ar
1からAr
9は、
【化4】
からなる群から独立に選択される。
式中、kは1から20までの整数であり;X
101からX
108はC(CHを含む)又はNであり;Z
101はNAr
1、O、又はSであり;Ar
1は、上記で定義したものと同じ基を有する。
【0185】
HIL又はHTL中に使用される金属錯体の例は、下記の一般式を含むがこれに限定されない。
【化5】
式中、Metは、40より大きい原子量を有し得る金属であり;(Y
101-Y
102)は二座配位子であり、Y
101及びY
102は、C、N、O、P及びSから独立に選択され;L
101は補助配位子であり;k’は、1から金属に結合し得る配位子の最大数までの整数値であり;且つ、k’+k’’は、金属に結合し得る配位子の最大数である。
【0186】
一態様において、(Y101-Y102)は2-フェニルピリジン誘導体である。別の態様において、(Y101-Y102)はカルベン配位子である。別の態様において、Metは、Ir、Pt、Os及びZnから選択される。更なる態様において、金属錯体は、Fc+/Fcカップルに対して、溶液中で約0.6V未満の最小酸化電位を有する。
EBL:
【0187】
電子ブロッキング層(EBL)は、発光層から出る電子及び/又は励起子の数を減らすために使用されることができる。デバイス中のそのようなブロッキング層の存在は、ブロッキング層を欠く同様のデバイスと比較して、大幅に高い効率及び/又はより長い寿命をもたらし得る。また、ブロッキング層を使用して、OLEDの所望の領域に発光を制限することもできる。幾つかの実施形態においては、EBL材料は、EBLインターフェースに最も近接した発光体よりも高いLUMO(真空準位により近い)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。幾つかの実施形態においては、EBL材料は、EBLインターフェースに最も近接したホストの1つ以上よりも高いLUMO(真空準位により近い)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。1つの態様においては、EBL中に用いられる前記化合物は、下記に記載されるホストの1つとして用いられる、同じ分子又は同じ官能基を含む。
ホスト:
【0188】
本発明の有機ELデバイスの発光層は、発光材料として少なくとも金属錯体を含むことが好ましく、前記金属錯体をドーパント材料として用いたホスト材料を含むことができる。前記ホスト材料としては特に限定されず、前記ホストの三重項エネルギーがドーパントのものよりも大きければ、任意の金属錯体又は有機化合物が用いられることができる。いずれのホスト材料も、三重項の基準が満たされる限り、任意のドーパントと共に用いられることができる。
【0189】
ホスト材料として使用される金属錯体の例は、下記の一般式を有することが好ましい。
【化6】
式中、Metは金属であり;(Y
103-Y
104)は二座配位子であり、Y
103及びY
104は、C、N、O、P及びSから独立に選択され;L
101は他の配位子であり;k’は、1から金属に結合し得る配位子の最大数までの整数値であり;且つ、k’+k’’は、金属に結合し得る配位子の最大数である。
【0190】
一態様において、金属錯体は、下記の錯体である。
【化7】
式中、(O-N)は、原子O及びNに配位された金属を有する二座配位子である。
【0191】
別の態様において、Metは、Ir及びPtから選択される。更なる態様において、(Y103-Y104)はカルベン配位子である。
【0192】
他の有機化合物は、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、テトラフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、及びアズレン等の芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン及びセレノフェノジピリジン等の芳香族複素環式化合物からなる群;並びに芳香族炭化水素環式基及び芳香族複素環式基から選択される同じ種類又は異なる種類の基であり、且つ、直接的に、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位及び脂肪族環式基の少なくとも1つを介して互いに結合している2から10個の環式構造単位からなる群から選択される群の少なくとも1つを含む。各基内の各オプションは、非置換であることができる、又は重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基によって置換されることができる。
【0193】
一つの態様においては、前記ホスト化合物は、分子中に、下記基の少なくとも1つを含む。
【化8】
【化9】
式中、R
101は、水素、重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。kは0から20又は1から20までの整数である。X
101~X
108は、独立して、C(CHを含む)又はNから選択される。Z
101及びZ
102は、独立して、NR
101、O、又はSから選択される。
発光体:
【0194】
1つ以上の発光体ドーパントを本開示の化合物と共に使用することができる。前記発光体ドーパントの例としては、特に限定されず、前記化合物が典型的に発光体材料として用いられるものであれば、いずれの化合物も用いられることができる。好適な発光体材料の例としては、リン光、蛍光、熱活性化遅延蛍光、即ちTADF(E型遅延蛍光とも言われる)、三重項-三重項消滅、又はこれらの過程の組合せを介して、発光を生成することができる化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
HBL:
【0195】
正孔ブロッキング層(HBL)を使用して、発光層から出る正孔及び/又は励起子の数を低減させることができる。デバイス中のそのようなブロッキング層の存在は、ブロッキング層を欠く同様のデバイスと比較して大幅に高い効率及び/又はより長い寿命をもたらし得る。また、ブロッキング層を使用して、OLEDの所望の領域に発光を制限することもできる。幾つかの実施形態においては、HBL材料は、HBLインターフェースに最も近接した発光体よりも低いHOMO(真空準位から更に離れて)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。幾つかの実施形態においては、HBL材料は、HBLインターフェースに最も近接したホストの1つ以上よりも低いHOMO(真空準位から更に離れて)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。
【0196】
一態様において、前記HBL中に使用される前記化合物は、上述したホストに用いられる場合と同じ分子又は同じ官能基を含む。
【0197】
別の態様において、前記HBL中に使用される前記化合物は、分子中に下記の群の少なくとも1つを含む。
【化10】
式中、kは1から20までの整数であり;L
101は他の配位子であり、k’は1から3までの整数である。
ETL:
【0198】
電子輸送層(ETL)は、電子を輸送することができる材料を含み得る。電子輸送層は、真性である(ドープされていない)か、又はドープされていてよい。ドーピングを使用して、伝導性を増強することができる。ETL材料の例は特に限定されず、電子を輸送するために典型的に使用されるものである限り、任意の金属錯体又は有機化合物を使用してよい。
【0199】
一態様において、前記ETL中に使用される前記化合物は、分子中に下記の群の少なくとも1つを含有する。
【化11】
【化12】
式中、R
101は、水素、重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ及びこれらの組合せからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。Ar
1からAr
3は、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。kは1から20までの整数である。X
101からX
108はC(CHを含む)又はNから選択される。
【0200】
別の態様において、前記ETL中に使用される金属錯体は、下記の一般式を含有するがこれらに限定されない。
【化13】
式中、(O-N)又は(N-N)は、原子O、N又はN、Nに配位された金属を有する二座配位子であり;L
101は他の配位子であり;k’は、1から金属に結合し得る配位子の最大数までの整数値である。
電荷発生層(CGL)
【0201】
タンデム型、又は積層型のOLED中で、CGLは、性能において重要な役割を果たし、それぞれ、電子及び正孔の注入ためのn-ドープ層及びp-ドープ層からなる。電子及び正孔は、前記CGL及び電極から供給される。前記CGL中の消費された電子及び正孔は、それぞれカソード及びアノードから注入された電子及び正孔によって再び満たされ、その後バイポーラ電流が徐々に安定した状態に達する。典型的なCGL材料は、輸送層で用いられるn型及びp型伝導性ドーパントを含む。
【0202】
OLEDデバイスの各層中に使用される任意の上記で言及した化合物において、水素原子は、部分的に又は完全に重水素化されていてよい。故に、メチル、フェニル、ピリジル等であるがこれらに限定されない任意の具体的に挙げられている置換基は、これらの重水素化されていない、部分的に重水素化された、及び完全に重水素化されたバージョンであることができる。同様に、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール等であるがこれらに限定されない置換基のクラスも、これらの重水素化されていない、部分的に重水素化された、及び完全に重水素化されたバージョンであることができる。
【0203】
本明細書において記述されている種々の実施形態は、単なる一例としてのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。例えば、本明細書において記述されている材料及び構造の多くは、本発明の趣旨から逸脱することなく他の材料及び構造に置き換えることができる。したがって、特許請求されている通りの本発明は、当業者には明らかとなるように、本明細書において記述されている特定の例及び好ましい実施形態からの変形形態を含み得る。なぜ本発明が作用するのかについての種々の理論は限定を意図するものではないことが理解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0204】
【文献】米国特許第5,844,363号明細書
【文献】米国特許第6,303,238号明細書
【文献】米国特許第5,707,745号明細書
【文献】米国特許第7,279,704号明細書
【符号の説明】
【0205】
100 有機発光デバイス
110 基板
115 アノード
120 正孔注入層
125 正孔輸送層
130 電子ブロッキング層
135 発光層
140 正孔ブロッキング層
145 電子輸送層
150 電子注入層
155 保護層
160 カソード
162 第1の導電層
164 第2の導電層
170 バリア層
200 反転させたOLED、デバイス
210 基板
215 カソード
220 発光層
225 正孔輸送層
230 アノード