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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】皮膚洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20231011BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20231011BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20231011BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20231011BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20231011BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20231011BHJP
   A61Q 9/02 20060101ALI20231011BHJP
   C11D 1/10 20060101ALI20231011BHJP
   C11D 1/28 20060101ALI20231011BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20231011BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20231011BHJP
   C11D 1/68 20060101ALI20231011BHJP
   C11D 1/74 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/46
A61K8/39
A61K8/86
A61Q19/10
A61Q5/02
A61Q9/02
C11D1/10
C11D1/28
C11D3/20
C11D1/29
C11D1/68
C11D1/74
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020045819
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021147327
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】山科 拓也
【審査官】阪▲崎▼ 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-008880(JP,A)
【文献】特開2013-082802(JP,A)
【文献】特開2005-325188(JP,A)
【文献】特開2015-107929(JP,A)
【文献】特開2010-241904(JP,A)
【文献】特開2014-005230(JP,A)
【文献】特開2004-292359(JP,A)
【文献】特開2008-094724(JP,A)
【文献】特開2004-149436(JP,A)
【文献】特開平05-179287(JP,A)
【文献】国際公開第2018/221420(WO,A1)
【文献】Mintel GNPD,2013年11月,Anti-Aging Treatment Boosting Cleanser, ID 2253975,Mintel GNPD[online],2013年11月,[検索日2023.07.18],URL,https://www.portal.mintel.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/90
A61Q 1/00-90/00
C11D 1/10
C11D 1/28
C11D 3/20
C11D 1/29
C11D 1/68
C11D 1/74
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、下記成分(B-1)、下記成分(B-2)、下記成分(C-1)、および下記成分(C-2)を含有する皮膚洗浄剤組成物であって、
前記成分(A)の含有量が0.03~7.0質量%であり、
前記成分(B-1)の含有量が0.2~7.5質量%であり、
前記成分(B-2)の含有量が0.2~7.5質量%であり、
前記成分(C-1)の含有量が0.4~10.0質量%であり、
前記成分(C-2)の含有量が0.4~10.0質量%であり、
pHが4.0~6.8である皮膚洗浄剤組成物。
成分(A):N-アシルアスパラギン酸塩およびN-アシルグルタミン酸塩からなる群より選択される1以上のアミノ酸系界面活性剤(ただし、N-アシルアスパラギン酸塩およびN-アシルグルタミン酸塩を構成するアシル基は、炭素数8~24の脂肪族アシル基である)
成分(B-1):N-アシル-N-メチルタウリン塩(ただし、N-アシル-N-メチルタウリン塩を構成するアシル基は、炭素数8~24の脂肪族アシル基である)
成分(B-2):ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(ただし、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を構成するアルキル基の炭素数は8~24である)
成分(C-1):脂肪酸モノグリセリル(ただし、脂肪酸モノグリセリルを構成する脂肪酸の炭素数は8~24である)
成分(C-2):ポリエチレングリコールの平均付加モル数が20~170の脂肪酸ポリエチレングリコール(ただし、脂肪酸ポリエチレングリコールを構成する脂肪酸の炭素数は8~24である)
【請求項2】
皮膚洗浄剤組成物100質量%中の高級脂肪酸および/またはその塩の含有量が1.0質量%未満である、請求項1記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記成分(A)の含有量が0.1~7.0質量%であり、
前記成分(B-1)と前記成分(B-2)の合計含有量が1.0~10.0質量%であり、
前記成分(C-1)と前記成分(C-2)の合計含有量が2.0~20.0質量%である、請求項1または2記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記成分(B-2)の含有量が0.2~5.5質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の皮膚洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌への低刺激性および泡質に優れた皮膚洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アミノ酸系界面活性剤を用いた洗浄剤は肌への低刺激性および使用感に優れ、さらにしっとりとした質感を与える一方、高級脂肪酸塩を用いた洗浄剤よりも泡質が大きく劣るため、泡質の改善が種々行われてきた(特許文献1および2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-74696号公報
【文献】特開2000-87081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、アミノ酸系界面活性剤に加えて高級脂肪酸塩を配合した洗浄剤組成物が記載されている。しかしながら、高級脂肪酸塩は肌への刺激性が高いことから、アミノ酸系界面活性剤を用いることの効果が損なわれることが懸念される。
【0005】
特許文献2には、アミノ酸系界面活性剤に加えて20重量%以上の多価アルコール配合した洗浄剤組成物が記載されている。しかしながら、ぬるつきやすくなる傾向があり、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、肌への低刺激性および泡質に優れた皮膚洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、所定のアミノ酸系界面活性剤、所定のアニオン性界面活性剤、および所定のノニオン性界面活性剤をそれぞれ所定量配合することにより、肌への低刺激性および泡質に優れた洗浄剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は
〔1〕下記成分(A)、下記成分(B-1)、下記成分(B-2)、下記成分(C-1)、および下記成分(C-2)を含有する皮膚洗浄剤組成物であって、前記成分(A)の含有量が0.03~7.0質量%であり、前記成分(B-1)の含有量が0.2~7.5質量%であり、前記成分(B-2)の含有量が0.2~7.5質量%であり、前記成分(C-1)の含有量が0.4~10.0質量%であり、前記成分(C-2)の含有量が0.4~10.0質量%であり、pHが4.0~6.8である皮膚洗浄剤組成物、
成分(A):N-アシルアスパラギン酸塩およびN-アシルグルタミン酸塩からなる群より選択される1以上のアミノ酸系界面活性剤
成分(B-1):N-アシル-N-メチルタウリン塩
成分(B-2):ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩
成分(C-1):脂肪酸モノグリセリル
成分(C-2):ポリエチレングリコールの平均付加モル数が20~170の脂肪酸ポリエチレングリコール
〔2〕皮膚洗浄剤組成物100質量%中の高級脂肪酸および/またはその塩の含有量が1.0質量%未満である、〔1〕記載の皮膚洗浄剤組成物、
〔3〕前記成分(A)の含有量が0.1~7.0質量%であり、前記成分(B-1)と前記成分(B-2)の合計含有量が1.0~10.0質量%であり、前記成分(C-1)と前記成分(C-2)の合計含有量が2.0~20.0質量%である〔1〕または〔2〕記載の皮膚洗浄剤組成物、に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、肌への低刺激性および泡質に優れた洗浄剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<皮膚洗浄剤組成物>
本実施形態に係る皮膚洗浄剤組成物は、N-アシルアスパラギン酸塩およびN-アシルグルタミン酸塩からなる群より選択される1以上のアミノ酸系界面活性剤、所定のアニオン性界面活性剤、並びに所定のノニオン性界面活性剤を必須の成分として含有する。なお、本明細書においては、N-アシルアスパラギン酸塩およびN-アシルグルタミン酸塩からなる群より選択される1以上のアミノ酸系界面活性剤を「成分(A)」;アニオン性界面活性剤を「成分(B)」;ノニオン性界面活性剤を「成分(C)」と称する場合がある。
【0011】
本実施形態に係る皮膚洗浄剤組成物に含有される上記各成分の含有量は、それぞれ、化粧料組成物中の合計の含有量が100質量%以下となるように、記載の範囲内から適宜選択することができる。
【0012】
[成分(A):N-アシルアスパラギン酸塩およびN-アシルグルタミン酸塩からなる群より選択される1以上のアミノ酸系界面活性剤]
本実施形態に係る皮膚洗浄剤組成物は、泡質の向上の観点から、N-アシルアスパラギン酸塩(以下「成分(A1)」と称する場合がある)、およびN-アシルグルタミン酸塩(以下「成分(A2)」と称する場合がある)からなる群より選択される1以上のアミノ酸系界面活性剤を含有することを特徴とする。
【0013】
N-アシルアスパラギン酸塩およびN-アシルグルタミン酸塩を構成するアシル基としては、例えば、炭素数8~24(好ましくは12~22)の、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和の脂肪族アシル基等が挙げられる。具体的には、例えば、オクタノイル基、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、イソステアロイル基、オレオイル基、リノレオイル基、ベヘニル基、ヤシ油脂肪酸由来のアシル基(以下、ヤシ油脂肪酸アシルという)、パーム核油脂肪酸由来のアシル基(以下、パーム核油脂肪酸アシルという)等が挙げられる。
【0014】
N-アシルアスパラギン酸塩およびN-アシルグルタミン酸塩を構成する塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0015】
N-アシルアスパラギン酸塩の具体例としては、例えば、N-ヤシ油脂肪酸アシルアスパラギン酸カリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルアスパラギン酸ナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルアスパラギン酸トリエタノールアミン、N-パーム核油脂肪酸アシルアスパラギン酸アンモニウム、N-ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム、N-ラウロイルアスパラギン酸トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0016】
N-アシルグルタミン酸塩の具体例としては、例えば、N-ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸カリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン、N-パーム核油脂肪酸アシルグルタミン酸アンモニウム、N-ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、N-ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0017】
前記で列挙されたN-アシルアスパラギン酸塩(A1)、およびN-アシルグルタミン酸塩(A2)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
皮膚洗浄剤組成物100質量%中の成分(A)の含有量は、弱酸性環境における泡質向上の観点から0.03質量%以上であり、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましい。また、製剤安定性の観点からは7.0質量%以下であり、6.0質量%以下が好ましく、4.5質量%以下がより好ましい。
【0019】
[成分(B):アニオン性界面活性剤]
本実施形態に係る皮膚洗浄剤組成物は、N-アシル-N-メチルタウリン塩(以下「成分(B-1)」と称する場合がある)およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(以下「成分(B-2)」と称する場合がある)をそれぞれ所定量含有することを特徴とする。N-アシル-N-メチルタウリン塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
前記N-アシル-N-メチルタウリン塩を構成するアシル基としては、前記N-アシルアスパラギン酸およびN-アシルグルタミン酸を構成するアシル基と同様の基が挙げられる。
【0021】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を構成するアルキル基としては、例えば、炭素数8~24(好ましくは12~22)の、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和のアルキル基等が挙げられる。具体的には、例えば、オクチル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、イソステアリル基、オレイル基、ベヘニル基等が挙げられる。
【0022】
皮膚洗浄剤組成物100質量%中の成分(B-1)の含有量は、泡質向上の観点から0.2質量%以上であり、0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましい。また、脱脂による刺激性の観点からは7.5質量%以下であり、6.5質量%以下が好ましく、5.5質量%以下がより好ましい。
【0023】
皮膚洗浄剤組成物100質量%中の成分(B-2)の含有量は、弱酸性環境における泡質向上の観点から0.2質量%以上であり、0.4質量%以上が好ましく、0.6質量%以上がより好ましい。また、過度な洗浄成分による刺激性の観点からは7.5質量%以下であり、6.5質量%以下が好ましく、5.5質量%以下がより好ましい。
【0024】
皮膚洗浄剤組成物100質量%中の成分(B-1)と成分(B-2)の合計含有量は、泡質向上の観点から、0.4質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、2.0質量%以上がさらに好ましい。また、過度な洗浄成分による刺激性の観点からは15.0質量%以下が好ましく、12.0質量%以下がより好ましく、10.0質量%以下がさらに好ましい。
【0025】
[成分(C):ノニオン性界面活性剤]
本実施形態に係る皮膚洗浄剤組成物は、脂肪酸モノグリセリル(以下「成分(C-1)」と称する場合がある)およびポリエチレングリコールの平均付加モル数が20~170の脂肪酸ポリエチレングリコール(以下「成分(C-2)」と称する場合がある)をそれぞれ所定量含有することを特徴とする。脂肪酸モノグリセリルおよびポリエチレングリコールの平均付加モル数が20~170の脂肪酸ポリエチレングリコールは、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
前記脂肪酸モノグリセリルおよび前記脂肪酸ポリエチレングリコールを構成する脂肪酸としては、炭素数8~24(好ましくは12~22)の、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和の脂肪酸等が挙げられる。具体的には、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アラキン酸、ベヘン酸、イソカプリル酸、イソペラルゴン酸、イソカプリン酸、イソウンダカン酸、イソラウリン酸、イソトリデシル酸、イソミリスチン酸、イソペンタデシル酸、イソパルミチン酸、イソマルガリン酸、イソステアリン酸、イソノナデカン酸、イソアラキン酸、イソヘンエイコサン酸、およびイソベヘン酸等が挙げられる。なかでも、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、およびイソステアリン酸が好ましい。
【0027】
前記脂肪酸ポリエチレングリコールを構成するポリエチレングリコールの平均付加モル数は、泡質を担保する観点から20~170であり、30~150が好ましい。
【0028】
皮膚洗浄剤組成物100質量%中の成分(C-1)の含有量は、弱酸性環境において液粘度を向上させることにより泡質向上を図る観点から0.4質量%以上であり、1.0質量%以上が好ましく、2.0質量%以上がより好ましい。また、製剤安定性の観点からは10.0質量%以下であり、9.0質量%以下が好ましく、8.0質量%以下がより好ましい。
【0029】
皮膚洗浄剤組成物100質量%中の成分(C-2)の含有量は、弱酸性環境において液粘度を向上させることにより泡質向上を図る観点から0.4質量%以上であり、1.0質量%以上が好ましく、2.0質量%以上がより好ましい。また、製剤安定性の観点からは10.0質量%以下であり、9.0質量%以下が好ましく、8.0質量%以下がより好ましい。
【0030】
皮膚洗浄剤組成物100質量%中の成分(C-1)と成分(C-2)の合計含有量は、弱酸性環境において液粘度を向上させることにより泡質向上を図る観点から、0.8質量%以上が好ましく、2.0質量%以上がより好ましく、4.0質量%以上がさらに好ましい。また、製剤安定性の観点からは、20.0質量%以下が好ましく、18.0質量%以下がより好ましく、16.0質量%以下がさらに好ましい。
【0031】
(その他の成分)
本実施形態に係る皮膚洗浄剤組成物は、上述した成分に加えて、上記以外の界面活性剤、多価アルコール、高級脂肪酸またはその塩、キレート剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、清涼剤、シリコーン類、ビタミン類、動植物エキス、粉体類、パール化剤、着色剤、香料、紫外線吸収剤、美白剤、殺菌剤、抗炎症剤、pH調整剤、および溶剤等を配合してもよい。
【0032】
N-アシル-N-メチルタウリン塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩以外のアニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルアシルグリシン塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸塩酸等が挙げられる。
【0033】
脂肪酸モノグリセリルおよび脂肪酸ポリエチレングリコール以外のノニオン系界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルキロールアミド等が挙げられる。
【0034】
その他の界面活性剤としては、例えば、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム等のカチオン系界面活性剤;アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルアミノ酢酸ベタイン、アルキルイミダゾリウムベタイン、アルキルヒドロキシエチルベタイン等の両性界面活性剤等が挙げられる。
【0035】
前記で列挙されたアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
多価アルコールとしては、化粧品原料として用いられている公知の保湿剤を使用することができる。多価アルコールの具体例としては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グルコース、マルトース、マルチトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、および1,2-オクタンジオール等が挙げられる。前記の多価アルコールは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
高級脂肪酸またはその塩としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、イソベヘン酸、またはそれらの塩等が挙げられる。高級脂肪酸の他の具体例としては、例えば、オリーブ油、ヤシ油、パーム油、綿実油等の植物性油脂;魚油および牛脂等の動物性油脂が挙げられる。
【0038】
皮膚洗浄剤組成物100質量%中の高級脂肪酸(例えば炭素数が10~24の脂肪酸)および/またはその塩の含有量は、1.0質量%未満が好ましく、0.1質量%未満がより好ましく、実質的に含有しないこと(例えば皮膚洗浄剤組成物100質量%中0.01質量%未満)がさらに好ましい。高級脂肪酸を含有することで起泡性や泡質を向上させることができるが、中和させる必要があり、本発明のpHを維持できず、皮膚刺激性が悪化する傾向がある。
【0039】
キレート剤としては、例えば、エデト酸、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、シクロヘキサンジアミン五酢酸、グリシン、セリン、アラニン、リジン、シスチン、チロシン、メチオニン、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、エリソルビン酸、コハク酸、フマル酸、ピルビン酸、サリチル酸、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ピロリン酸塩、トリポリリン酸、ポリリン酸、およびオルトリン酸、並びにこれらの塩等が挙げられ、エデト酸およびその塩が好適に用いられる。
【0040】
防腐剤としては、例えば、安息香酸、フェノキシエタノール、オクトキシグリセリン、メチルパラベン等が挙げられる。弱酸性で優れた防腐作用を発揮する観点から、安息香酸が好ましい。
【0041】
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、天然ビタミンE、エリソルビン酸、オルトトリルビグアナイド、チオジプロピオン酸ジラウリル、パラヒドロキシアニソール、およびフィチン酸等が挙げられる。
【0042】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、トラガントガム、グアガム、ローカストビーンガム、カラヤガム、アイリスモス、クインスシード、ゼラチン、セラック、ロジン、およびカゼイン等の天然高分子化合物;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、エステルガム、ニトロセルロース、結晶セルロース等の半合成高分子化合物;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルメチルセルロース、ポリアミド樹脂等の合成高分子化合物等が挙げられる。
【0043】
清涼剤としては、例えば、l-メントール、カンファー、およびl-メンチルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0044】
溶剤としては、例えば、水や、エタノール等のアルコール類が挙げられる。
【0045】
(皮膚洗浄剤組成物の他の詳細)
本実施形態に係る皮膚洗浄剤のpHは、泡質向上の観点および皮膚刺激性抑制の観点から4.0以上であり、4.5以上が好ましい。一方、製剤の防腐力を担保する観点からは6.8以下であり、6.5以下が好ましい。
【0046】
本実施形態に係る皮膚洗浄剤の剤型は、特に限定されず、クリーム、ジェル、液体等とすることができるが、本発明の効果を発揮する観点から、クリーム状の剤型とすることが好ましい。
【0047】
本実施形態に係る皮膚洗浄剤組成物の用途としては、例えば、洗顔料、シャンプー、ボディーシャンプー、ハンドソープ、シェービング料等が挙げられる。
【0048】
本実施形態に係る皮膚洗浄剤組成物は、泡質に優れることから、好ましくはポンプフォーマー容器に充填されて用いられる。本実施形態において使用可能なポンプフォーマー容器は、特に限定されず、市販のポンプフォーマー容器が挙げられる。本実施形態に係る皮膚洗浄剤組成物をポンプフォーマー容器に充填することにより、皮膚洗浄剤製品が得られる。上記皮膚洗浄剤製品は、ポンプフォーマー容器と、上記ポンプフォーマー容器に充填された本発明の皮膚洗浄剤とを少なくとも備えた皮膚洗浄剤製品である。
【0049】
本実施形態に係る皮膚洗浄剤は、上記各構成成分を混合し、公知の方法、例えばパドルミキサーを用いて攪拌することにより製造することができる。
【実施例
【0050】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。なお、配合量は、特記しない限り、有効成分の配合量であり、「質量%」で表す。
【0051】
以下、実施例および比較例において用いた各種材料をまとめて示す。
N-ラウロイル-L-アスパラギン酸ナトリウム:旭化成ファインケム(株)製のアミノフォーマー FLDS-L
N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン:旭化成ファインケム(株)製のアミノサーファクトACMT-L
N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム:味の素ヘルシーサプライ(株)製のアミライトGCK-12K
ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム:川研ファインケミカル(株)製のアラノンALE
ラウロイルメチルタウリンNa:日光ケミカルズ(株)製のNIKKOL LMT
ミリストイルメチルタウリンNa:日光ケミカルズ(株)製のNIKKOL MMT
ステアロイルメチルタウリンNa:日光ケミカルズ(株)製のNIKKOL SMT
ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(25%):花王(株)製のエマール125HP
モノラウリン酸グリセリル:太陽化学(株)製のサンソフト No.750-C
モノラウリン酸ポリグリセリル-10:太陽化学(株)製のサンソフト Q-12Y-C
モノステアリン酸ポリグリセリル-10:日光ケミカルズ(株)製のNIKKOL DECAGLYN 1-SV
モノステアリン酸PEG-40:日光ケミカルズ(株)製のNIKKOL MYS 40-V
モノラウリン酸PEG-12:花王(株)製のエマノーン1112
ジステアリン酸PEG-12:日本エマルジョン(株)製のEMALEX 600di-S
ジステアリン酸PEG-250:花王(株)製のエマノーン3299RV
【0052】
(実施例および比較例)
表1および表2に示した組成(配合量)に従い、実施例1~15および比較例1~18の皮膚洗浄剤組成物を調製後、各試料をポンプフォーマーにそれぞれ充填した。得られた各試料につき、男性官能評価パネル10名により下記評価を行った。
【0053】
<泡質の評価>
各試料0.1gと水0.9gとを混合した各混合液1gをナイロンタオルで泡立て、その泡質を目視で下記評価基準に従って評価した。なお、評価は、最も人数の多く得られた評価結果を各試料の成績とした。
A(優れる):泡立て後の泡形状が維持され、泡表面のキメが細やかである
B(使用可):泡表面のキメがやや粗い
C(不良):泡表面に複数の大きな気泡が認められる
【0054】
<起泡性の評価>
各試料0.1gと水0.9gとを混合した各混合液1gをナイロンタオルで泡立て、泡立つまでに要する回数により、以下の評価基準で起泡性を評価した。なお、評価は、最も人数の多く得られた評価結果を各試料の成績とした。
A(優れる):10回泡立てるまでに泡が立つ
B(使用可):11~20回の泡立てで泡が立つ
C(不良):20回泡立てても泡が立たない
【0055】
<洗浄時の刺激性の評価>
各試料0.1gと水0.9gとを混合した各混合液1gをナイロンタオルで泡立て、30秒間手になじませた。その後、40℃の流水にて洗い流し、洗い上がり後10分後の肌の脱脂感を下記評価基準に従って官能評価した。なお、評価は、最も人数の多く得られた評価結果を各試料の成績とした。
A(優れる):脱脂感をほぼ感じず、ヒリヒリ感はない
B(使用可):脱脂感をわずかに感じるが、ヒリヒリ感はない
C(不良):脱脂感が非常に強く、ヒリヒリする
【0056】
<即時的な濁りの評価>
各試料の調合直後の外観を、目視で下記評価基準に従って評価した。なお、評価は、最も人数の多く得られた評価結果を各試料の成績とした。
A(優れる):濁りが無く澄明である
B(不良):濁りがある
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
表1、表2の結果より、所定のアミノ酸系界面活性剤、所定のアニオン性界面活性剤、および所定のノニオン性界面活性剤をそれぞれ所定量配合した本発明の皮膚洗浄剤組成物は、肌への低刺激性および泡質に優れることがわかる。なお、調合直後に濁りが見られた試料については、その他の評価を行わなかった(比較例3~5、13)。
【0060】
処方例1
N-ラウロイル-L-アスパラギン酸ナトリウム液 3.00質量%
ラウロイルメチルタウリンNa 3.00質量%
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム 3.00質量%
モノラウリン酸グリセリル 3.00質量%
モノステアリン酸ポリエチレングリコール 3.00質量%
ラウリン酸アミドプロピルベタイン液 3.00質量%
ジプロピレングリコール 2.00質量%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.20質量%
フェノキシエタノール 0.50質量%
安息香酸 0.20質量%
水 残部
合計 100質量%
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、肌への低刺激性および泡質に優れた皮膚洗浄剤組成物として利用できる。