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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】容器集積装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 57/32 20060101AFI20231011BHJP
   B65G 57/09 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
B65G57/32
B65G57/09
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020069297
(22)【出願日】2020-04-07
(65)【公開番号】P2021165191
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】武口 史郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 琢也
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-048023(JP,A)
【文献】特開2007-317030(JP,A)
【文献】実開平01-173871(JP,U)
【文献】特開平02-075515(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02330063(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 57/32
B65G 57/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底の平面形状が略角形であり、前記底から上部に向けて広がるように傾斜しており、前記上部が折り返していない容器を集積する容器集積装置であって、
搬入されてきた前記容器を受け止め、前記受け止めた容器の搬送速度を減速させ、容器間の間隔を等間隔にし、前記略角形の底の向きが同一の向きとなるように整列させる姿勢整列機構と、
前記姿勢整列機構にて整列された容器をセンタリングするセンタリング機構と、
前記センタリング機構にてセンタリングされた容器を集積し、前記集積された容器の数を前記集積された容器の表面の位置変位に基づいて計数し、前記計数された容器の上部を変形させて規定個数ずつの容器束に分離する計数及び分離機構と、
を備えること
を特徴とする容器集積装置。
【請求項2】
前記姿勢整列機構は、第1上コンベアと、第1下コンベアと、を有し、
前記姿勢整列機構は、
前記搬入されてきた容器を、前記第1上コンベアと前記第1下コンベアとの間に受け止め、前記第1上コンベア及び前記第1下コンベアは、前記第1上コンベアと前記第1下コンベアとの間において、前記受け止めた容器の回転を止めつつ、前記受け止めた容器の搬送速度を減速させ、
前記第1下コンベアを用いて前記センタリング機構へ搬送し、
前記センタリング機構は、第2上コンベアと、規制ローラーと、を有し、
前記センタリング機構は、
前記第1下コンベアにて搬送されてきた容器をセンタリングし、
前記センタリングされた容器を、前記第2上コンベア及び前記規制ローラーを用いて前記計数及び分離機構へ搬送すること
を特徴とする請求項1記載の容器集積装置。
【請求項3】
前記第1下コンベアは、少なくとも前記第1上コンベアと対向する部分に吸引機構を有し、
前記吸引機構は、
前記容器を、前記第1下コンベアに向けて吸引すること
を特徴とする請求項2記載の容器集積装置。
【請求項4】
前記規制ローラーは、両端に向けて径が広がるテーパードラムを含み、
前記センタリング機構は、
前記第1下コンベアにて搬送されてきた容器を、前記第2上コンベアと前記テーパードラムとの間に導き、前記第2上コンベアと前記テーパードラムとで、前記導かれた容器をセンタリングし、
前記センタリングされた容器を、前記第2上コンベア及び前記テーパードラムを用いて、容器の底部を浮かせた状態として、前記計数及び分離機構へ搬送すること
を特徴とする請求項2又は3に記載の容器集積装置。
【請求項5】
前記第2上コンベア及び前記規制ローラーは、
前記底部が浮いた状態の容器を、前記計数及び分離機構に集積されている先行の容器の収容部の中へと進出させ、
後続の容器の底部を前記先行の容器の収容部の中へ進出させながら、前記後続の容器を前記先行の容器の収容部の中へ収容するように、順次集積していくこと
を特徴とする請求項4記載の容器集積装置。
【請求項6】
前記計数及び分離機構は、計数機と、分離機と、第2下コンベアと、を有し、
前記計数機は、
前記集積された容器の表面を連続的にモニターし、前記モニターの結果から、前記集積された容器の表面の位置変位の数を抽出し、前記抽出された位置変位の数に基づいて前記容器の数を計数し、
前記分離機は、
前記計数された容器の数が、前記規定個数に達するごとに、可撓性を有する容器の上部を前記容器の収容部へ向けて変形させて前記集積された容器を前記容器束に分離し、
前記第2下コンベアは、
前記集積された容器を前記計数機の位置及び前記分離機の位置に向けて送るとともに、前記容器束を搬出機構へ搬送すること
を特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の容器集積装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、容器集積装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品等を収容する容器の形状は、例えば、フランジ部を有した角錐台又はカール部を有した円錐台が一般的である。角錐台の場合は、概ね平たい“トレー形状”とされる場合が多く、円錐台の場合は、概ね縦長の“カップ(コップ)形状”とされる場合が多い。
【0003】
食品等を収容する容器は、規定個数ずつスタックさせて、例えば販売単位に梱包したのち、容器生産工場から出荷される。従前は、作業者の手作業で容器の数を数え、容器を規定個数ずつスタックさせていた。現在では、衛生上の観点等から、容器の数を自動的に計数し、容器を規定個数ずつスタックさせる容器集積装置が用いられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平3-111232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
食品等を収容する容器として、容器の底の平面形状が略角形であり、容器の上部にフランジ部やカール部が無く、容器の上部が可撓性を有したままの新規な容器の開発が検討されている。
【0006】
しかしながら、新規な容器では、現状の容器集積装置を用いることが、例えば、以下の事情から難しくなっている。
【0007】
・底の平面形状が略角形であるため、集積中に容器が回転すると、容器の収容部の途中に別の容器が嵌り、容器の集積状態が乱れる。
・カール部やフランジ部が無いため、計数の基準に利用できるような特異箇所がなく、容器の計数が難しい。
・同じくカール部やフランジ部が無いため、分離機の挿入が可能な係止部となるような箇所も無い。このため、集積された容器を規定個数ずつに分離することが難しい。
【0008】
この発明の実施形態は、容器の底の平面形状が略角形であり、容器上部にカール部やフランジ部が無い容器を集積状態の乱れを抑制しつつ、規定個数ずつに分離することが可能な容器集積装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の第1態様に係る容器集積装置は、底の平面形状が略角形であり、前記底から上部に向けて広がるように傾斜しており、前記上部が折り返していない容器を集積する容器集積装置であって、搬入されてきた前記容器を受け止め、前記受け止めた容器の搬送速度を減速させ、容器間の間隔を等間隔にし、前記略角形の底の向きが同一の向きとなるように整列させる姿勢整列機構と、前記姿勢整列機構にて整列された容器をセンタリングするセンタリング機構と、前記センタリング機構にてセンタリングされた容器を集積し、前記集積された容器の数を前記集積された容器の表面の位置変位に基づいて計数し、前記計数された容器の上部を変形させて規定個数ずつの容器束に分離する計数及び分離機構と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この発明の第2態様に係る容器集積装置は、第1態様において、前記姿勢整列機構は、第1上コンベアと、第1下コンベアと、を有し、前記姿勢整列機構は、前記搬入されてきた容器を、前記第1上コンベアと前記第1下コンベアとの間に受け止め、前記第1上コンベア及び前記第1下コンベアは、前記第1上コンベアと前記第1下コンベアとの間において、前記受け止めた容器の回転を止めつつ、前記受け止めた容器の搬送速度を減速させ、前記第1下コンベアを用いて前記センタリング機構へ搬送し、前記センタリング機構は、第2上コンベアと、規制ローラーと、を有し、前記センタリング機構は、前記第1下コンベアにて搬送されてきた容器をセンタリングし、前記センタリングされた容器を、前記第2上コンベア及び前記規制ローラーを用いて前記計数及び分離機構へ搬送することを特徴とする。
【0011】
この発明の第3態様に係る容器集積装置は、第2態様において、前記第1下コンベアは、少なくとも前記第1上コンベアと対向する部分に吸引機構を有し、前記吸引機構は、前記容器を、前記第1下コンベアに向けて吸引することを特徴とする。
【0012】
この発明の第4態様に係る容器集積装置は、第2態様又は第3態様において、前記規制ローラーは、両端に向けて径が広がるテーパードラムを含み、前記センタリング機構は、前記第1下コンベアにて搬送されてきた容器を、前記第2上コンベアと前記テーパードラムとの間に導き、前記第2上コンベアと前記テーパードラムとで、前記導かれた容器をセンタリングし、前記センタリングされた容器を、前記第2上コンベア及び前記テーパードラムを用いて、容器の底部を浮かせた状態として、前記計数及び分離機構へ搬送することを特徴とする。
【0013】
この発明の第5態様に係る容器集積装置は、第4態様において、前記第2上コンベア及び前記規制ローラーは、前記底部が浮いた状態の容器を、前記計数及び分離機構に集積されている先行の容器の収容部の中へと進出させ、後続の容器の底部を前記先行の容器の収容部の中へ進出させながら、前記後続の容器を前記先行の容器の収容部の中へ収容するように、順次集積していくことを特徴とする。
【0014】
この発明の第6態様に係る容器集積装置は、第1態様~第5態様のいずれか1つにおいて、前記計数及び分離機構は、計数機と、分離機と、第2下コンベアと、を有し、前記計数機は、前記集積された容器の表面を連続的にモニターし、前記モニターの結果から、前記集積された容器の表面の位置変位の数を抽出し、前記抽出された位置変位の数に基づいて前記容器の数を計数し、前記分離機は、前記計数された容器の数が、前記規定個数に達するごとに、可撓性を有する容器の上部を前記容器の収容部へ向けて変形させて前記集積された容器を前記容器束に分離し、前記第2下コンベアは、前記集積された容器を前記計数機の位置及び前記分離機の位置に向けて送るとともに、前記容器束を搬出機構へ搬送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1態様~第6態様に係る紙容器成型機では、底の平面形状が略角形であり、上部にカール部やフランジ部が無い容器を集積するにあたり、
(1)容器を、略角形の底の向きが同一の向きとなるように整列させる。
(2)整列された容器をセンタリングする。
(3)センタリングされた容器を集積し、集積された容器の数を、集積された容器の表面の位置変位に基づいて計数する。
(4)計数された容器を、可撓性を有する容器の上部を変形させて規定個数ずつの容器束に分離する。
このような手順を踏む容器集積装置によれば、容器の底の平面形状が略角形であり、上部にカール部やフランジ部が無い容器であっても、その集積状態の乱れを抑制しつつ、規定個数ずつに分離することが可能な容器集積装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、一実施形態に係る容器集積装置の一例を示す模式側面図である。
図2図2(a)は、紙容器の一例を示す模式平面図である。図2(b)は、紙容器の一例を示す模式正面図である。図2(c)は、紙容器の一例を示す模式側面図である。
図3図3(a)は、紙容器の変形状態を示す模式図である。図3(b)は、紙容器の変形状態を示す模式図である。図3(c)は、紙容器の変形状態を示す模式図である。
図4図4(a)は、新規な紙容器を集積した際の理想的な集積状態を示す模式平面図である。図4(b)は、新規な紙容器を集積した際の理想的な集積状態を示す模式側面図である。
図5図5(a)は、参考例に係る紙容器を集積した際の集積状態を示す模式平面図である。図5(b)は、参考例に係る紙容器を集積した際の集積状態を示す模式正面図である。図5(c)は、参考例に係る紙容器を集積した際の集積状態を示す模式平面図である。図5(d)は、参考例に係る紙容器を集積した際の集積状態を示す模式平面図である。図5(e)は、参考例に係る紙容器を集積した際の集積状態を示す模式平面図である。
図6図6は、姿勢整列機構の一例を拡大して示す第2水平方向Yの模式側面図である。
図7図7(a)~図7(c)は、姿勢整列機構の一例を拡大して示す第1水平方向Xの模式側面図である。
図8図8は、センタリング機構の一例を拡大して示す第2水平方向Yの模式側面図である。
図9図9(a)~図9(c)は、センタリング機構の一例を拡大して示す第1水平方向Xの模式側面図である。
図10図10(a)及び図10(b)は、センタリング機構の一例を拡大して示す高さ方向Zの模式平面図である。
図11図11は、センタリング機構の一例を拡大して示す第2水平方向Yの模式側面図である。
図12図12(a)及び図12(b)は、計数機の一例を拡大して示す第2水平方向Yの模式側面図である。図12(c)は、紙容器の表面を拡大して示す第2水平方向Yの模式側面図である。
図13図13(a)~図13(c)は、分離機の一例を拡大して示す高さ方向Zの模式平面図である。
図14図14は、集積機の一例を拡大して示す第2水平方向Yの模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。各図において、共通する部分については共通する参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
(容器集積装置)
図1は、一実施形態に係る容器集積装置の一例を示す模式側面図である。図中の“X”は第1水平方向、“Y”は第1水平方向Xに対して略直交する第2水平方向、“Z”は第1水平方向X及び第2水平方向Yのそれぞれに略垂直に直交する高さ方向を示す。
【0019】
図1に示すように、一実施形態に係る容器集積装置100は、底の平面形状が略角形であり、底から上部に向けて広がるように傾斜しており、上部が折り返していない容器を集積する。“上部が折り返していない”の一例は、例えば、上部にカール部やフランジ部等が無いことである。そのような容器の一例として、一実施形態では、紙容器200を例示する。紙容器200の場合、紙容器200の上部は、例えば可撓性を有する。なお、容器は、紙容器200に限定されるものではない。容器は、底の平面形状が略角形であり、上部が折り返していない容器であれば良い。
【0020】
容器集積装置100は、姿勢整列機構1と、センタリング機構2と、計数及び分離機構3と、搬出機構4と、を含む。
【0021】
<姿勢整列機構>
姿勢整列機構1は、搬入されてきた紙容器200を受け止める。紙容器200は、例えば、エアーシューター(図示せず)からのエアブローによって、第1水平方向Xに沿って姿勢整列機構1へ搬入される。姿勢整列機構1は、受け止めた紙容器200を、略角形の底の向きが同一の向きとなるように、かつ等間隔に整列させる。
【0022】
姿勢整列機構1は、例えば、第1上コンベア11と、第1下コンベア12と、を有する。姿勢整列機構1は、紙容器200を、第1上コンベア11と第1下コンベア12との間で受け止める。すなわち、第1上コンベア11及び第1下コンベア12は、紙容器200を高さ方向Zに沿って押えることで、紙容器200の底面が第1水平方向Xの軸回りに回転することを抑制し、紙容器200の底の向きを同一の向きにする。また、姿勢整列機構1は、エアーシューターから搬送された紙容器200の搬送速度を減速させ、搬送速度を一定の速度に揃えることで、紙容器200が等間隔に並ぶようにする。向きと速度が揃えられた紙容器200は、第1下コンベア12を用いて、センタリング機構2へ搬送される。搬送方向TDは、例えば、第1水平方向Xに沿った方向である。紙容器200は、容器集積装置100中を、第1水平方向Xに搬送される。第1上コンベア11の移動速度は、第1下コンベア12の移動速度と、例えば同じである。
【0023】
<センタリング機構>
センタリング機構2は、姿勢整列機構1にて姿勢整列された紙容器200をセンタリングする。センタリング機構2は、例えば、姿勢整列機構1における紙容器200の搬入時における位置ずれ及び第1水平方向Xからの向きのずれを、第1水平方向Xに沿って正しい向きに矯正するとともに、正しい位置にセンタリングする。
【0024】
センタリング機構2は、例えば、第2上コンベア21と、規制ローラー22と、を有する。センタリング機構2は、第1下コンベア12にて搬送されてきた紙容器200を、第2上コンベア21及び規制ローラー22で挟み込み、紙容器200をセンタリングする。センタリングされた紙容器200は、第2上コンベア21及び規制ローラー22を用いて、計数及び分離機構3へ搬送される。第2上コンベア21の移動速度は、規制ローラー22の回転速度と、例えば同じである。また、第2上コンベア21の移動速度及び規制ローラー22の回転速度は、第1上コンベア11及び第1下コンベア12それぞれの移動速度と、例えば同じである。
【0025】
<計数及び分離機構>
計数及び分離機構3は、センタリング機構2にてセンタリングされた紙容器200を集積する。さらに、集積された紙容器200の数を計数する。計数及び分離機構3は、例えば、紙容器200の数を、集積された紙容器200の表面の位置変位に基づいて計数する。さらに、計数された紙容器200を、規定個数ずつの容器束300に分離する。計数及び分離機構3は、計数された紙容器200を、可撓性を有する紙容器200の上部を変形させ、規定個数ずつの容器束300に分離する。
【0026】
計数及び分離機構3は、例えば、計数機31と、分離機32と、第2下コンベア33と、集積機34と、を有する。計数機31は、集積された紙容器200の表面を連続的にモニターする。計数機31は、モニターの結果から、集積された紙容器200の表面の位置変位の数を抽出する。そして、計数機31は、抽出された位置変位の数に基づいて紙容器200の数を計数する。分離機32は、計数された紙容器200の数が、規定個数に達するごとに、可撓性を有する紙容器200の上部を、紙容器200の収容部へ向けて変形させて集積された紙容器200を容器束300に分離する。第2下コンベア33は、集積された紙容器200を計数機31の位置及び分離機32の位置に向けて送るとともに、容器束300を搬出機構4へ搬送する。第2下コンベア33の移動速度は、第1下コンベア12の移動速度よりも遅い。これにより、紙容器200を、第1水平方向Xに沿って積み重ねることが可能となる。集積機34は、例えば、集積された紙容器200を、第2下コンベア33に向けて押圧する。押圧された紙容器200は、集積機34との摩擦力で、第2下コンベア33上を移動し難くすることができる。これにより、紙容器200は、後続の紙容器200の底部が、先行の紙容器200の収容部の中へ進入したとき、例えば、先行の紙容器200が後続の紙容器200により押され難くすることができる。したがって、紙容器200は、第1水平方向Xに沿って、より積み重ねやすくなる。
【0027】
<搬出機構>
搬出機構4は、計数及び分離機構3にて分離された容器束300を、容器集積装置100から搬出する。搬出機構4は、例えば、移送機41と、搬出テーブル42と、を有する。移送機41は、容器束300を第2水平方向Yに沿って移送し、容器束300を第2下コンベア33上から離脱させる。離脱した容器束300は、搬出テーブル42に搬送される。搬出テーブル42に搬送された容器束300は、容器集積装置100から搬出される。また、搬出テーブル42は、例えば傾斜しており、複数の容器束300をストックすることもできる。搬出テーブル42は、第2水平方向Yに沿って、第2下コンベア33の両側に設けることも可能である。この場合、移送機41は、第2水平方向Yに沿って、左右に動く。
【0028】
(紙容器)
図2(a)は、紙容器の一例を示す模式平面図である。図2(b)は、紙容器の一例を示す模式正面図である。図2(c)は、紙容器の一例を示す模式側面図である。なお、図2(a)~図2(c)において、第1水平方向X、第2水平方向Y及び高さ方向Zは、図1に示した“左手系座標”に一致させている。以下、この明細書では、全図において、第1水平方向X、第2水平方向Y及び高さ方向Zは、図1に示した“左手系座標”に一致させることとする。
【0029】
図2(a)~図2(c)には、容器集積装置100によって集積可能な紙容器200の一例を示す。紙容器200は、底201の平面形状が“略角形”、例えば“略長方形”であり、上部に向かって広がるテーパー形状を有し、上部202が可撓性を有する。上部202は開口しており、開口部にはカール部、フランジ部及び鍔部等がない。なお、この明細書では“略角形”及び“略長方形”とは、矩形の四隅が丸みを帯びた形のことをいう。
【0030】
図2(a)~図2(c)には、底201の平面形状の一例として、第2水平方向Yに沿って底長軸Y201、高さ方向Zに沿って底短軸Z201の略長方形状であり、上部202の平面形状として、第2水平方向Yに沿って上部長軸Y202、高さ方向に沿って上部短軸Z202の楕円形状である例が示されている。
【0031】
図3(a)~図3(c)は、紙容器の変形状態を示す模式図である。
【0032】
図3(a)~図3(c)に示すように、紙容器200は、その上部202が、可撓性である。このため、紙容器200の上部202は、図3(a)に示すように“円形“、図33(b)に示すように“楕円形”及び図3(c)に示すように“直線形”の形態のそれぞれをとることができる。特に、紙容器200は、図3(c)に示すように、“直線形”の形態をとりつつ、上部202を密着封止することができる。収容部203内には、食品等を収容できる。また、上部202の密着を解除すれば、その上部は、図3(b)に示す“楕円形”又は図3(a)に示す“円形”に戻すことができ、収容部203に収容された内容物、例えば食品を、収容部203から取り出すことができる。
【0033】
図4(a)は、紙容器を集積した際の理想的な集積状態を示す模式平面図である。図4(b)は、紙容器を集積した際の理想的な集積状態を示す模式側面図である。
【0034】
図4(a)及び図4(b)に示すように、紙容器200の理想的な集積状態は、底201の向きd201、例えば底長軸Y201の向きが、集積された全ての紙容器200で、第2水平方向Yに一直線に揃うことである。これにより、紙容器200のそれぞれは、例えば、第1水平方向Xに沿って、ピッチPで略均等に集積することができる(図4(b))。この発明の一実施形態は、図4(a)及び図4(b)に示す理想的な集積状態を目指す。
【0035】
(紙容器:参考例)
図5(a)は、参考例に係る紙容器を集積した際の集積状態を示す模式平面図である。図5(b)は、参考例に係る紙容器を集積した際の集積状態を示す模式正面図である。図5(c)は、参考例に係る紙容器を集積した際の集積状態を示す模式平面図である。図5(d)は、参考例に係る紙容器を集積した際の集積状態を示す模式平面図である。図5(e)は、参考例に係る紙容器を集積した際の集積状態を示す模式平面図である。
【0036】
図5(a)及び図5(b)に示すように、紙容器200では、第1水平方向Xの軸回りに、底長軸Y201の向きが第2水平方向Yから、例えば角度+θx回転すると、紙容器200の底201が、別の紙容器200の収容部203の途中に嵌ってしまい、ピッチPとは異なるピッチPで積み重ねられてしまう。このため、紙容器200の集積状態が乱れる。
【0037】
紙容器200の集積状態が乱れを抑制するために、図5(c)に示すように、例えば、エアーシューター搬送管400を利用して、上部202の平面形状を規定することも考えられる。
【0038】
しかしながら、紙容器200では、その上部202が可撓性を有する。このため、図5(d)及び図5(e)に示すように、上部202の変形に関わらず、底201の向き201が第1水平方向Xの軸回りに回転する可能性がある。したがって、底長軸Y201の向きに関係なく、紙容器200は、第1水平方向X廻りに角度+θx~角度-θx微妙に回転してしまう。結果として、図5(b)に示したように、紙容器200の集積状態は乱れてしまう。
【0039】
以下、一実施形態に係る容器集積装置100の、姿勢整列機構1の一例、センタリング機構2の一例並びに計数及び分離機構3の一例を、それらの動作とともに、より詳細に説明する。
【0040】
<姿勢整列機構の一例及びその動作>
図6は、姿勢整列機構の一例を拡大して示す第2水平方向Yの模式側面図である。図7(a)~及び図7(c)は、姿勢整列機構の一例を拡大して示す第1水平方向Xの模式側面図である。
【0041】
図6に示すように、姿勢整列機構1は、搬入されてきた紙容器200を第1上コンベア11と第1下コンベア12との間に受け止める。紙容器200は、例えば、エアーシューター(図示せず)から第1水平方向Xに飛翔して姿勢整列機構1に搬入される。
【0042】
第1上コンベア11の受け口と、第1下コンベア12の受け口との第1コンベア間間隔13は、一実施形態では、紙容器200の底短軸Z201よりも広く、紙容器200の可撓性の上部202が高さ方向Zに取り得る最大限の高さ未満とされる。
【0043】
このように、第1コンベア間間隔13を設定することにより、図7(a)及び図7(b)に示すように、姿勢整列機構1は、紙容器200の第1水平方向X廻りの回転(角度±θx)を止めることができる。
【0044】
さらに、姿勢整列機構1に、吸引機構500を設けることで、図7(c)に示すように、紙容器200の通過中に、紙容器200を、吸引機構500によって第1下コンベア12に向けて吸引している。そのため、搬送中の紙容器200の姿勢の乱れを抑制し、底長軸Y201の向きが第2水平方向Yに略一致するように整列させることができる。したがって、姿勢整列機構1は、受け止めた紙容器200の姿勢を、略角形の底201の向きd201が同一の向きとなるように姿勢整列させることができる。吸引機構500は、例えば、第1下コンベア12の、少なくとも第1上コンベア11と対向する部分に設けられ、例えば、第1下コンベア12に設けられた吸引孔121を介して紙容器200を吸引する。
【0045】
また、紙容器200の底201の平面形状が、底長軸Y201及び底短軸Z201を有した矩形の場合、第1上コンベア11及び第1下コンベア12は、底長軸Y201に沿った部分を受け止めるようにすることが良い。これにより、底短軸Z201に沿った部分を受け止めた場合と比較して、第1下コンベア12上において、紙容器200の姿勢が安定する。
【0046】
<センタリング機構の一例及びその動作>
図8は、センタリング機構の一例を拡大して示す第2水平方向Yの模式側面図である。図9(a)~図9(c)は、センタリング機構の一例を拡大して示す第1水平方向Xの模式側面図である。図10(a)及び図10(b)は、センタリング機構の一例を拡大して示す高さ方向Zの模式平面図である。図11は、センタリング機構の一例を拡大して示す第2水平方向Yの模式側面図である。
【0047】
図8に示すように、センタリング機構2は、姿勢整列機構1にて姿勢整列された紙容器200を、第2上コンベア21と規制ローラー22との間に1つずつ順次導く。
【0048】
図9(a)~図9(c)に示すように、規制ローラー22は、例えばテーパードラム221を含む。テーパードラム221は、その両端に向けて径が広がるテーパー部位221aを有する。紙容器200は、第2上コンベア21の下方において、テーパー部位221aの中に導かれる。テーパー部位221aは、紙容器200の側面S200を両端から押し付けるように規制する。これにより、紙容器200は、テーパードラム221の中心線C221からの、第2水平方向Yの位置のずれ±Syが修正されつつ、第2上コンベア21とテーパー部位221aとの間を通過していく。
【0049】
また、図10(a)及び図10(b)に示すように、紙容器200は、高さ方向Z回りの回転(角度±θz)による向きのずれも、テーパー部位221aによって中心線C221と直交するように修正されつつ、第2上コンベア21とテーパー部位221aとの間を通過していく。
【0050】
したがって、センタリング機構2は、紙容器200を、第2水平方向Yに沿った位置のずれ±Sy及び高さ方向Z回りの回転(角度±θz)による向きのずれをそれぞれ修正しつつ、センタリングことができる。
【0051】
さらに、図11に示すように、センタリング機構2は、センタリングされた紙容器200を、第2上コンベア21及びテーパードラム221を用いて、紙容器200の底部204を、例えば第2下コンベア33の搬送面331から高さHz浮かせる。この状態で、センタリング機構2は、紙容器200を計数及び分離機構3へ搬送する。
【0052】
このように、センタリング機構2が紙容器200の底部204を浮かせることにより、センタリングされた後続の紙容器200が第2下コンベア33の搬送面222上で集積されている先行の紙容器200を押し出してしまうような事情を抑制できる。したがって、センタリング機構2は、計数及び分離機構3において、先行の紙容器200の収容部203の中に、先行の紙容器200を押し出すことなく、後続の紙容器200を収容させることができる。
【0053】
<計数及び分離機構の一例及びその動作>
<<計数機>>
図12(a)及び図12(b)は、計数機の一例を拡大して示す第2水平方向Yの模式側面図である。図12(c)は、紙容器の表面を拡大して示す第2水平方向Yの模式側面図である。
【0054】
図12(a)及び図12(b)に示すように、計数機31は、例えばレーザー変位計311を含む。レーザー変位計311は、紙容器200の表面と非接触で、第2下コンベア33にて搬送中の紙容器200の表面の位置変位を連続的に検出する。そして、図12(c)に示すように、レーザー変位計311は、紙容器200の表面の位置変位箇所PDの数を計数し、紙容器200の数が、規定個数に達したか否かを検出する。計数機31は、レーザー変位計311に限られることはなく、位置変位箇所PDの数を計数可能であれば、接触式の位置変位計を用いることも可能である。
【0055】
<<分離機>>
図13(a)~図13(c)は、分離機の一例を拡大して示す高さ方向Zの模式平面図である。
【0056】
図13(a)~図13(c)に示すように、分離機32は、例えば、容器保持機構321と、分離用爪322と、を含む。容器保持機構321は、紙容器200の数が規定個数に達すると、紙容器200を保持し、可撓性を有する紙容器200の上部202を変形させる。次に、紙容器200の上部202が変形することで生じた隙間に分離用爪322を差し込む(図13(b))。次に、分離用爪322を搬送方向TDに沿って稼働させることで、第2下コンベア33上に集積されている紙容器200は、規定個数ずつの容器束300に分離可能な状態となる(図13(c))。その後、分離された容器束300は、第2下コンベア33により搬送されて、図1に示した搬出機構4へと搬送される。
【0057】
<<集積機>>
図14は、集積機の一例を拡大して示す第2水平方向Yの模式側面図である。
【0058】
図14に示すように、計数及び分離機構3は、例えば、集積機34を有していても良い。集積機34は、例えば、集積された紙容器200の表面を適度な力で押し、集積された紙容器200に適度な摩擦力を与える。摩擦力によって、集積された紙容器200は、嵌り過ぎず、しかも、緩過ぎずに適度な集積圧力で、第2下コンベア33上に集積することができる。
【0059】
このような一実施形態に係る容器集積装置100では、底201の平面形状が略角形であり、上部202にカール部やフランジ部が無い容器を集積するにあたり、
(1)紙容器200を、略角形の底201の向きd201が同一の向きとなるように整列させる。
(2)整列された紙容器200をセンタリングする。
(3)センタリングされた紙容器200を集積し、集積された紙容器200の数を、集積された紙容器200の表面の位置変位に基づいて計数する。
(4)計数された紙容器200を、可撓性を有する紙容器200の上部202を変形させて規定個数ずつの容器束300に分離する。
【0060】
このように一実施形態によれば、紙容器200の底201の平面形状が略角形であり、上部202にカール部やフランジ部が無い紙容器200であっても、その集積状態の乱れを抑制しつつ、規定個数ずつに分離することが可能な容器集積装置100を提供できる。
【0061】
以上、この発明の一実施形態を説明したが、上記一実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、この発明の実施形態は、上記一実施形態が唯一のものでもない。この発明の実施形態は、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記一実施形態は、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
100 :容器集積装置
1 :姿勢整列機構
11 :第1上コンベア
12 :第1下コンベア
121 :吸引孔
13 :第1コンベア間間隔
2 :センタリング機構
21 :第2上コンベア
22 :規制ローラー
221 :テーパードラム
221a:テーパー部位
3 :計数及び分離機構
31 :計数機
311 :レーザー変位計
32 :分離機
321 :容器保持機構
322 :分離用爪
33 :第2下コンベア
331 :搬送面
34 :集積機
4 :搬出機構
41 :移送機
42 :搬出テーブル
200 :紙容器
201 :底
202 :上部
203 :収容部
204 :底部
S200:側面
300 :容器束
400 :エアーシューター搬送管
500 :吸引機構
X :第1水平方向
Y :第2水平方向
Y201:底長軸
Y202:上部長軸
Z :高さ方向
Z201:底短軸
Y202:上部短軸
TD :搬送方向
d201:向き
P :ピッチ
+θx、-θx:角度
+θz、-θz:角度
+Sy、-Sy:ずれ
C221:中心線
Hz :高さ
PD :位置変位箇所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14