(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】ハイドレート包装装置
(51)【国際特許分類】
F17C 11/00 20060101AFI20231011BHJP
C01B 13/00 20060101ALI20231011BHJP
C01B 13/10 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
F17C11/00 B
C01B13/00
C01B13/10 D
(21)【出願番号】P 2020077063
(22)【出願日】2020-04-24
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】592009281
【氏名又は名称】株式会社IHIプラント
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 亮
(72)【発明者】
【氏名】西塚 史郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 亮
(72)【発明者】
【氏名】戸村 重男
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-168413(JP,A)
【文献】特開2006-117755(JP,A)
【文献】特開2005-195083(JP,A)
【文献】特開2019-094107(JP,A)
【文献】特開2001-342473(JP,A)
【文献】特開2007-162795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00 - 13/12
C01B 13/00 - 13/10
C01B 32/50
C07B 63/02
C10L 3/00 - 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空形状の収容容器と、
前記収容容器内に設けられ、ハイドレートおよび水を含むスラリーを収容する包装袋と、
前記収容容器内に冷却ガスを供給する冷却ガス供給部と、
を備えるハイドレート包装装置。
【請求項2】
前記収容容器内から前記冷却ガスを排出し、前記収容容器内を脱圧する脱圧部を備える請求項1に記載のハイドレート包装装置。
【請求項3】
前記収容容器内の前記冷却ガスを、前記冷却ガスとは異なるパージガスで置換する置換部を備える請求項1または2に記載のハイドレート包装装置。
【請求項4】
一端が前記スラリーの供給源に接続され、他端が前記収容容器に着脱自在に設けられる供給管を有し、前記包装袋に前記スラリーを供給するスラリー供給部を備える請求項1から3のいずれか1項に記載のハイドレート包装装置。
【請求項5】
前記包装袋を複数備え、
前記スラリー供給部は、複数の前記包装袋のうち、少なくともいずれか1の前記包装袋と、他の前記包装袋とに排他的に前記スラリーを供給する請求項4に記載のハイドレート包装装置。
【請求項6】
前記冷却ガスは、前記ハイドレートに内包されるガスである請求項1から5のいずれか1項に記載のハイドレート包装装置。
【請求項7】
前記ハイドレートは、オゾンハイドレートである請求項1から6のいずれか1項に記載のハイドレート包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイドレートを包装するハイドレート包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、天然ガスハイドレート、メタンハイドレート、二酸化炭素ハイドレート、オゾンハイドレート等のハイドレートからガスを放出させて、燃料、原料、殺菌等に利用する技術が検討されている。このようなハイドレートの取り扱いを容易にするために、ハイドレートをペレット化する技術が開発されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1の技術は、天然ガスハイドレートおよび水を含むスラリーを圧搾して含水率が5%以上10%以下の粉体とし、さらに、粉体をピストンで圧縮して固形物に成型する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1の技術では、ハイドレートを高圧で圧搾したり、圧縮したりするため、ハイドレートが破壊されてしまうおそれがある。また、圧搾や圧縮によって、ハイドレートのゲスト分子が減衰してしまう場合もある。
【0006】
そこで、本発明は、このような課題に鑑み、ハイドレートの破壊およびゲスト分子の減衰を低減することが可能なハイドレート包装装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のハイドレート包装装置は、中空形状の収容容器と、収容容器内に設けられ、ハイドレートおよび水を含むスラリーを収容する包装袋と、収容容器内に冷却ガスを供給する冷却ガス供給部と、を備える。
【0008】
また、上記ハイドレート包装装置は、収容容器内から冷却ガスを排出し、収容容器内を脱圧する脱圧部を備えてもよい。
【0009】
また、上記ハイドレート包装装置は、収容容器内の冷却ガスを、冷却ガスとは異なるパージガスで置換する置換部を備えてもよい。
【0010】
また、上記ハイドレート包装装置は、一端がスラリーの供給源に接続され、他端が収容容器に着脱自在に設けられる供給管を有し、包装袋にスラリーを供給するスラリー供給部を備えてもよい。
【0011】
また、上記ハイドレート包装装置は、包装袋を複数備え、スラリー供給部は、複数の包装袋のうち、少なくともいずれか1の包装袋と、他の包装袋とに排他的にスラリーを供給してもよい。
【0012】
冷却ガスは、ハイドレートに内包されるガスであってもよい。
【0013】
ハイドレートは、オゾンハイドレートであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ハイドレートの破壊およびゲスト分子の減衰を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】ハイドレート製造システムの概略的な構成を説明する図である。
【
図2】ハイドレート包装装置を説明する第1の図である。
【
図3】ハイドレート包装装置を説明する第2の図である。
【
図4】第2供給管、ソケット、および、収容容器の斜視図である。
【
図5】第2供給管、ソケット、および、収容容器の鉛直断面図である。
【
図7】中央制御部によるハイドレート包装処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】ハイドレート包装処理の各工程における、第1入口開閉弁、第2入口開閉弁、冷却ガス供給弁、冷却ガス排出弁、脱圧弁、および、パージガス供給弁の開閉状態を示す図である。
【
図9】冷却ガス置換工程における中央制御部の処理を説明する第1の図である。
【
図10】冷却ガス置換工程における中央制御部の処理を説明する第2の図である。
【
図11】加圧冷却工程における中央制御部の処理を説明する第1の図である。
【
図12】加圧冷却工程における中央制御部の処理を説明する第2の図である。
【
図13】収容工程における中央制御部の処理を説明する第1の図である。
【
図14】収容工程における中央制御部の処理を説明する図である。
【
図15】固化工程における中央制御部の処理を説明する図である。
【
図16】脱圧工程における中央制御部の処理を説明する図である。
【
図17】パージ工程における中央制御部の処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
[ハイドレート製造システム100]
図1は、ハイドレート製造システム100の概略的な構成を説明する図である。
図1に示すように、ハイドレート製造システム100は、ハイドレート生成装置110と、脱水装置120と、ハイドレート包装装置130とを含む。なお、
図1中、実線の矢印は、スラリー(オゾンハイドレート)、および、水の流れを示す。
【0018】
ハイドレート生成装置110は、オゾンガスおよび二酸化炭素を含む原料ガスと、冷却水とを高圧状態(加圧状態)で混合して、オゾンハイドレートを生成する。ハイドレート生成装置110は、既存の様々な技術を利用できるため、ここでは、詳細な説明を省略する。ハイドレート生成装置110によって生成されたオゾンハイドレートおよび水(遊離水)を含むスラリーは、配管112を通じて、脱水装置120に送出される。
【0019】
脱水装置120は、スラリーに含まれる水の一部を脱水する。脱水装置120は、例えば、スクリュープレス式脱水機、または、二重円筒型慣性濾過器である。脱水装置120によって、濃縮(脱水)されたスラリーは、供給ヘッダ管122を通じて、ハイドレート包装装置130に送出される。一方、脱水装置120によってスラリーから分離された水(詳細には、水および少量のオゾンハイドレート)は、ポンプ126によって、配管124、配管128を通じて、ハイドレート生成装置110に返送される。
【0020】
ハイドレート包装装置130は、高圧下でスラリーを包装袋に収容した状態で、凍結して固化し、固形物に成型する。以下、ハイドレート包装装置130の具体的な構成について説明する。
【0021】
[ハイドレート包装装置130]
図2は、ハイドレート包装装置130を説明する第1の図である。
図3は、ハイドレート包装装置130を説明する第2の図である。
図2、
図3中、破線の矢印は、信号の流れを示す。なお、
図2中、理解を容易にするために、中央制御部310から第1入口開閉弁212aへの信号の流れ、および、中央制御部310から第2入口開閉弁216aへの信号の流れを省略する。また、本実施形態の
図2、
図3をはじめとする以下の図では、垂直に交わるX軸(水平方向)、Y軸(水平方向)、Z軸(鉛直方向)を図示の通り定義している。
【0022】
図2、
図3に示すように、ハイドレート包装装置130は、複数の包装ユニット210と、冷却ガス供給部240と、脱圧部280と、置換部290と、温度センサ300と、中央制御部310とを含む。
【0023】
[包装ユニット210]
複数の包装ユニット210は、供給ヘッダ管122に接続される。供給ヘッダ管122は、脱水装置120(スラリーの供給源)によって脱水されたスラリーを複数の包装ユニット210に導く。
【0024】
包装ユニット210は、スラリー供給部として機能する第1供給管212(供給管)、第1入口開閉弁212a、計量容器214、第2供給管216(供給管)、第2入口開閉弁216a、および、ソケット218と、収容容器220と、包装袋230とを含む。
【0025】
第1供給管212は、供給ヘッダ管122と計量容器214とを接続する。第1入口開閉弁212aは、第1供給管212に設けられる。第1入口開閉弁212aは、第1供給管212に形成される流路を開閉する。
【0026】
計量容器214は、供給ヘッダ管122の下方に設けられる。計量容器214は、円筒形状の容器である。計量容器214の容積は、後述する包装袋230の容積未満である。計量容器214は、上端が第1供給管212に接続され、下端が第2供給管216に接続される。
【0027】
第2供給管216は、一方の端部が計量容器214に接続される。第2供給管216の他方の端部216bは、後述するソケット218によって収容容器220に接続される。第2入口開閉弁216aは、第2供給管216に設けられる。第2入口開閉弁216aは、第2供給管216に形成される流路を開閉する。収容容器220は、計量容器214の下方に設けられる。
【0028】
図4は、第2供給管216、ソケット218、および、収容容器220の斜視図である。
図5は、第2供給管216、ソケット218、および、収容容器220の鉛直断面図である。
【0029】
図4、
図5に示すように、収容容器220は、円筒形状(円管)である。収容容器220は、上端が開放されており、下端が封止されている。つまり、収容容器220は、有底円筒形状である。収容容器220の外周面における上部には、外方に突出した突出部222が設けられる。また、収容容器220の下部には、第1通過管224が接続される。第1通過管224は、後述する冷却ガス供給部240の冷却ガス排出管244に接続される。
【0030】
収容容器220の内部には、支持枠226が設けられる。支持枠226は、収容容器220の内周面と所定の間隔離隔して設けられる。支持枠226は、円筒形状であり、複数の連通孔228を有する。支持枠226は、金属、木材、プラスチック等で構成される。
【0031】
本実施形態において、支持枠226は、上環226aと、下環226bと、複数の棒部材226cと、1または複数の連結環226dとを含む。上環226a、および、下環226bは、円環形状である。上環226aは、収容容器220の上端より下方に設けられる。下環226bは、上環226aの下方に設けられる。本実施形態において、下環226bは、収容容器220の底面に固定(例えば、溶接)される。棒部材226cは、棒形状である。棒部材226cは、上環226aと下環226bとを接続する。連結環226dは、円環形状である。連結環226dは、上環226aと下環226bとの間に設けられる。連結環226dは、複数の棒部材226cを連結する。支持枠226において、複数の棒部材226cの間に連通孔228が形成される。
【0032】
包装袋230は、可撓性を有する袋である。包装袋230は、開口部232が上方に位置するように、支持枠226内に着脱自在に設けられる。包装袋230は、供給ヘッダ管122、第1供給管212、計量容器214、第2供給管216を通じて、脱水装置120から供給されたスラリーを収容する。本実施形態において、包装袋230は、第1の材料で構成される領域と、第2の材料で構成される領域とを有する。
【0033】
第1の材料は、ガスの通過率が液体の通過率より大きい材料である。つまり、第1の材料は、透湿性および防水性を有する材料である。具体的に説明すると、第1の材料は、JIS Z 0208に基づき、40℃および90%RH(Relative Humidity:相対湿度)の条件下で測定された透湿度が50g/m226h以上であり、JIS L 1092:2009における耐水度試験(静水圧法)A法(低水圧法)によって測定された耐水度が200mmH2O以上である。第1の材料は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、または、紙で構成される。本実施形態において、第1の材料は、タイベック(登録商標)である。タイベック(登録商標)は、0.5μm以上1.0μm以下のポリエチレンの極細長繊維をランダムに積層し、熱と圧力だけで結合させた不織布(シート)である。
【0034】
第2の材料は、透明または半透明であり、防ガス性および防水性を有する材料である。つまり、第2の材料は、可視光線透過度が70%以上であり、JIS L 1092:2009における耐水度試験(静水圧法)A法(低水圧法)によって測定された耐水度が200mmH2O以上である。第2の材料は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)、または、ポリ塩化ビニル(PVC)で構成される。
【0035】
第2供給管216における他方の端部216b側には、ソケット218が設けられる。ソケット218(第2供給管216)は、収容容器220に着脱自在に設けられる。ソケット218は、円筒形状である。ソケット218は、上端が封止されており、下端が開放されている。第2供給管216は、ソケット218の上面を貫通する。第2供給管216は、ソケット218に溶接等で固定される。また、ソケット218は、内側に溝部218aを有する。溝部218aは、ソケット218の内周に沿って形成される。溝部218aは、突出部222に嵌合可能に設けられる。換言すれば、ソケット218(溝部218a)および突出部222は、継手(例えば、クイックカプラ(ワンタッチカプラ))として機能する。
【0036】
また、第2供給管216は、ソケット218が突出部222に嵌合された際に、端部216bが、収容容器220内に位置するようにソケット218に固定される。なお、第2供給管216は、ソケット218が突出部222に嵌合された際、第2供給管216の端部216bと、包装袋230の開口部232(包装袋230の上端)とが、所定の間隔L離隔するようにソケット218に固定される。間隔Lは、例えば、1cm程度である。
【0037】
また、第2供給管216は、ソケット218が突出部222に嵌合された際に、端部216bが、開口部232に臨むように、ソケット218に固定される。本実施形態において、第2供給管216の端部216bは、開口部232の略中央に臨む。
【0038】
[冷却ガス供給部240]
図3に戻って説明すると、冷却ガス供給部240は、収容容器220内に冷却ガスを供給して、包装袋230に収容(充填)されたスラリーを冷却する。冷却ガスは、例えば、原料ガス(オゾンガスおよび二酸化炭素の混合気体)である。本実施形態において、冷却ガス供給部240は、冷却ガス供給管242と、冷却ガス供給弁242aと、冷却ガス排出管244と、冷却ガス排出弁244aと、冷却機構250とを含む。
【0039】
冷却ガス供給管242は、冷却機構250と第2通過管212bとを接続する。第2通過管212bは、第1供給管212における第1入口開閉弁212aと計量容器214との間に接続される。冷却ガス供給弁242aは、冷却ガス供給管242に設けられる。冷却ガス供給弁242aは、冷却ガス供給管242に形成される流路を開閉する。
【0040】
冷却ガス排出管244は、冷却機構250と第1通過管224とを接続する。冷却ガス排出管244と第1通過管224とは、継手224aによって着脱自在に接続される。継手224aは、例えば、クイックカプラ(ワンタッチカプラ)である。冷却ガス排出弁244aは、冷却ガス排出管244に設けられる。冷却ガス排出弁244aは、冷却ガス排出管244に形成される流路を開閉する。なお、冷却ガス排出管244における継手224aと、冷却ガス排出弁244aとの間は、フレキシブルチューブであってもよい。
【0041】
冷却機構250は、冷却ガスを冷却する。
図6は、冷却機構250を説明する図である。
図6に示すように、冷却機構250は、第1ドラム252と、第1配管254と、ブロワ256と、第2配管258と、冷却器260と、第3配管262と、第2ドラム264と、第4配管266と、圧力制限オリフィス268と、第5配管270と、冷却ガス交換部272とを含む。
【0042】
第1ドラム252は、冷却ガスを一時的に貯留する。第1配管254は、第1ドラム252とブロワ256の吸入側とを接続する。ブロワ256は、第1ドラム252に貯留された冷却ガスを吸引して冷却器260の熱交換器260aに送出する。第2配管258は、ブロワ256の吐出側と熱交換器260aとを接続する。
【0043】
冷却器260は、オゾンハイドレートの分解温度未満の所定の温度(例えば、-50℃以上-5℃以下)に冷却ガスを冷却する。冷却器260は、熱交換器260aと、冷媒供給管260bと、流量調整弁260cと、冷媒返送管260dと、冷却部260eと、温度センサ260fとを含む。
【0044】
熱交換器260aは、冷却ガスと冷媒とを熱交換させて、冷却ガスを冷却する。冷媒供給管260bは、冷却部260eと熱交換器260aとを接続する。冷却部260eによって冷却された冷媒は、冷媒供給管260bを通じて熱交換器260aに供給される。流量調整弁260cは、冷媒供給管260bに設けられる。流量調整弁260cは、冷媒供給管260bに形成される流路の開度を調整する。
【0045】
冷媒返送管260dは、熱交換器260aと冷却部260eとを接続する。熱交換器260aにおいて冷却ガスと熱交換されることで温度が上昇した冷媒は、冷媒返送管260dを通じて、冷却部260eに返送される。冷却部260eは、冷媒を冷却する。温度センサ260fは、第2ドラム264に貯留される冷却ガスの温度を測定する。
【0046】
第3配管262は、熱交換器260aと第2ドラム264とを接続する。第2ドラム264は、冷却ガスを一時的に貯留する。第4配管266は、第2ドラム264と、圧力制限オリフィス268とを接続する。圧力制限オリフィス268は、第4配管266と第5配管270との圧力差を安定化させる。第5配管270は、圧力制限オリフィス268と第1ドラム252とを接続する。
【0047】
したがって、ブロワ256が駆動されると、第1ドラム252、熱交換器260a、第2ドラム264、圧力制限オリフィス268をこの順で冷却ガスが循環することになる。また、第4配管266には、冷却ガス供給管242が接続される。このため、冷却器260(熱交換器260a)によって冷却された冷却ガスは、第3配管262、第2ドラム264、第4配管266を通じて、冷却ガス供給管242に導かれる。また、第5配管270には、冷却ガス排出管244が接続される。このため、収容容器220から排出された冷却ガスは、冷却ガス排出管244、第5配管270を通じて、第1ドラム252に導かれる。
【0048】
冷却ガス交換部272は、第1ドラム252に冷却ガスを補充したり、第1ドラム252から冷却ガスを抜き出したりする。冷却ガス交換部272は、冷却ガス供給源272aと、冷却ガス補給管272bと、冷却ガス補給弁272cと、圧力センサ272dと、冷却ガス放出管272eと、冷却ガス放出弁272fと、圧力センサ272g(
図2、
図3参照)とを含む。
【0049】
冷却ガス補給管272bは、冷却ガス供給源272aと第1ドラム252とを接続する。冷却ガス補給弁272cは、冷却ガス補給管272bに設けられる。冷却ガス補給弁272cは、冷却ガス補給管272bに形成される流路を開閉する。圧力センサ272dは、冷却ガス補給管272b(第1ドラム252)内の圧力を測定する。冷却ガス放出管272eは、第1ドラム252と、冷却ガス供給源272aとを接続する。冷却ガス放出弁272fは、冷却ガス放出管272e内に形成される流路を開閉する。
図3に戻って説明すると、圧力センサ272gは、供給ヘッダ管122内の圧力を測定する。
【0050】
[脱圧部280]
脱圧部280は、収容容器220内から冷却ガスを排出し、収容容器220内を脱圧する。脱圧部280は、ガス処理部282と、脱圧配管284と、脱圧弁284aとを含む。ガス処理部282は、冷却ガスを無害化する。ガス処理部282は、大気圧に維持される。本実施形態において、ガス処理部282は、デオゾナイザである。脱圧配管284は、第2通過管212bと、ガス処理部282とを接続する。脱圧弁284aは、脱圧配管284に設けられる。脱圧弁284aは、脱圧配管284に形成される流路を開閉する。
【0051】
[置換部290]
置換部290は、収容容器220内の冷却ガスをパージガスで置換する。パージガスは、冷却ガスとは異なるガスである。パージガスは、例えば、空気、窒素である。本実施形態において、置換部290は、パージガス供給源292と、パージガス供給管294と、パージガス供給弁294aとを含む。パージガス供給管294は、パージガス供給源292と、冷却ガス排出管244における冷却ガス排出弁244aと継手224aとの間とを接続する。パージガス供給弁294aは、パージガス供給管294に設けられる。パージガス供給弁294aは、パージガス供給管294に形成される流路を開閉する。
【0052】
[温度センサ300]
温度センサ300は、冷却ガス排出管244内の温度を測定する。つまり、温度センサ300は、冷却ガス排出管244を通過する冷却ガスの温度を測定する。
【0053】
[中央制御部310]
中央制御部310は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成される。中央制御部310は、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出す。中央制御部310は、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働してハイドレート包装装置130全体を管理および制御する。
【0054】
本実施形態において、中央制御部310は、第1入口開閉弁212a、第2入口開閉弁216a、冷却ガス供給弁242a、冷却ガス排出弁244a、脱圧弁284a、パージガス供給弁294aを開閉する。
【0055】
また、中央制御部310は、温度センサ260fの測定結果に基づいて、流量調整弁260cの開度を調整する。中央制御部310は、圧力センサ272d、272gの測定結果に基づいて、冷却ガス補給弁272c、および、冷却ガス放出弁272fを開閉する。本実施形態において、中央制御部310は、圧力センサ272dによって測定される圧力(第1ドラム252(冷却ガス補給管272b)の圧力)が、圧力センサ272gによって測定される圧力(供給ヘッダ管122の圧力)より所定圧力(例えば、0.5MPa程度)低くなるように、冷却ガス補給弁272cおよび冷却ガス放出弁272fを開閉する。なお、中央制御部310は、冷却ガス補給弁272cおよび冷却ガス放出弁272fを排他的に開閉する。
【0056】
[ハイドレート包装方法]
続いて、中央制御部310による制御について詳述する。
図7は、中央制御部310によるハイドレート包装処理の流れを示すフローチャートである。
図7に示すように、ハイドレート包装処理(ハイドレート包装方法)は、取付工程S110、冷却ガス置換工程S120、加圧冷却工程S130、収容工程S140、固化工程S150、脱圧工程S160、パージ工程S170、取出工程S180を含む。
【0057】
図8は、ハイドレート包装処理の上記各工程における、第1入口開閉弁212a、第2入口開閉弁216a、冷却ガス供給弁242a、冷却ガス排出弁244a、脱圧弁284a、および、パージガス供給弁294aの開閉状態を示す図である。
図8中、開弁状態を「〇」で示し、閉弁状態を「×」で示す。
【0058】
なお、初期状態において、第1入口開閉弁212a、第2入口開閉弁216a、冷却ガス供給弁242a、冷却ガス排出弁244a、脱圧弁284a、および、パージガス供給弁294aは、閉弁されている。また、ハイドレート包装装置130は、包装ユニット210を複数備えるため、冷却ガス供給部240(ブロワ256)は、ハイドレート包装処理の開始時に駆動される。また、ハイドレート生成装置110は、オゾンハイドレートを連続して生成し、脱水装置120は、スラリーを連続してハイドレート包装装置130に供給するものとする。
【0059】
[取付工程S110]
取付工程S110は、包装袋230が装着された収容容器220を、第2供給管216および冷却ガス排出管244に接続する工程である。取付工程S110では、まず、開口部232が上方に位置するように、包装袋230が収容容器220内の支持枠226に装着される。そして、収容容器220の突出部222がソケット218に嵌合されることで収容容器220が第2供給管216に接続され、また、継手224aによって第1通過管224が冷却ガス排出管244に接続される。
【0060】
[冷却ガス置換工程S120]
冷却ガス置換工程S120は、中央制御部310が、冷却ガス供給部240を制御して、収容容器220内の空気を冷却ガスで置換する工程である。
図9、
図10は、冷却ガス置換工程S120における中央制御部310の処理を説明する図である。なお、
図9、
図10中、実線の矢印は、空気および冷却ガスの流れを示す。また、
図9、
図10中、閉弁状態を黒い塗りつぶしで示す。
【0061】
中央制御部310は、第2入口開閉弁216aを開弁する(
図8中、「〇」で示す)。そして、中央制御部310は、冷却ガス供給弁242a、および、脱圧弁284aを排他的に開閉する(
図8中、「〇→×」および「×→〇」で示す)。具体的に説明すると、
図9に示すように、中央制御部310は、まず、第2入口開閉弁216aを開弁する。そして、中央制御部310は、脱圧弁284aの閉弁状態を維持したまま、冷却ガス供給弁242aを開弁する。そうすると、収容容器220内に冷却ガスが供給される。
【0062】
続いて、
図10に示すように、中央制御部310は、冷却ガス供給弁242aを閉弁するとともに、脱圧弁284aを開弁する。そうすると、収容容器220内から空気および冷却ガスが排出され、ガス処理部282に導かれる。
【0063】
冷却ガス置換工程S120において、中央制御部310は、冷却ガス供給弁242aの開弁および脱圧弁284aの閉弁と、冷却ガス供給弁242aの閉弁および脱圧弁284aの開弁とを行う冷却ガス置換処理を複数回(例えば、3回)実行する。これにより、収容容器220内が冷却ガスで置換される。
【0064】
そして、中央制御部310は、冷却ガス置換処理を複数回実行した後、脱圧弁284aを閉弁して、加圧冷却工程S130に処理を移す。
【0065】
[加圧冷却工程S130]
加圧冷却工程S130は、中央制御部310が、冷却ガス供給部240を制御して、収容容器220内を冷却し、また、収容容器220内を加圧する工程である。
【0066】
図11、
図12は、加圧冷却工程S130における中央制御部310の処理を説明する図である。なお、
図11、
図12中、実線の矢印は、冷却ガスの流れを示す。また、
図11、
図12中、閉弁状態を黒い塗りつぶしで示す。
【0067】
図11に示すように、まず、中央制御部310は、冷却ガス供給弁242a、および、冷却ガス排出弁244aを開弁する。そうすると、冷却ガスが収容容器220内を循環して、収容容器220内が、オゾンハイドレートの分解温度未満まで冷却される。これにより、後段の収容工程S140において、オゾンハイドレートの熱分解を防止することができる。
【0068】
そして、温度センサ300によって測定された温度が、オゾンハイドレートの分解温度未満になったら、
図12に示すように、中央制御部310は、冷却ガス供給弁242aを閉弁する(
図8中、「〇→×」で示す)。そうすると、冷却ガスが、冷却機構250(第1ドラム252)から逆流し、収容容器220内の圧力が第1ドラム252(第5配管270)の圧力まで加圧される。
【0069】
上記したように、第1ドラム252の圧力は、供給ヘッダ管122の圧力よりも低圧に制御される。このため、加圧冷却工程S130において、収容容器220内を第1ドラム252の圧力とすることにより、後段の収容工程S140を容易に行うことができる。
【0070】
そして、収容容器220内の圧力が第1ドラム252の圧力まで加圧されたら、中央制御部310は、冷却ガス排出弁244aを閉弁して、収容工程S140に処理を移す。
【0071】
[収容工程S140]
収容工程S140は、中央制御部310(スラリー供給部)が、第1入口開閉弁212aおよび第2入口開閉弁216aを開閉して、収容容器220に装着された包装袋230内にスラリーを収容する工程である。
【0072】
図13、
図14は、収容工程S140における中央制御部310の処理を説明する図である。なお、
図13、
図14中、実線の矢印は、スラリーの流れを示す。また、
図13、
図14中、閉弁状態を黒い塗りつぶしで示す。
【0073】
図13に示すように、まず、中央制御部310は、第2入口開閉弁216aを閉弁するとともに、第1入口開閉弁212aを開弁する。上記したように、計量容器214は、供給ヘッダ管122の下方に設けられる。したがって、第1入口開閉弁212aが開弁されるだけで、供給ヘッダ管122から計量容器214にスラリーを自重で落下させることができる。
【0074】
そして、計量容器214内がスラリーで充填されたら、
図14に示すように、中央制御部310は、第1入口開閉弁212aを閉弁して、第2入口開閉弁216aを開弁する(
図8中、「〇→×」および「×→〇」で示す)。上記したように、収容容器220(包装袋230)は、計量容器214の下方に設けられる。したがって、第2入口開閉弁216aが開弁されるだけで、計量容器214から包装袋230にスラリーSを自重で落下させることができる。なお、本実施形態において、包装袋230の上部にある程度(例えば、5cm程度)空間が形成されるように、スラリーSが包装袋230に充填される。そして、包装袋230にスラリーSが収容されたら、中央制御部310は、固化工程S150に処理を移す。
【0075】
[固化工程S150]
固化工程S150は、中央制御部310が、冷却ガス供給部240を制御して、収容容器220内のスラリーSを包装袋230ごと凍結して固化させ、固形物Kを製造する工程である。
【0076】
図15は、固化工程S150における中央制御部310の処理を説明する図である。なお、
図15中、実線の矢印は、冷却ガスの流れを示す。また、
図15中、閉弁状態を黒い塗りつぶしで示す。
【0077】
図15に示すように、中央制御部310は、冷却ガス供給弁242aおよび冷却ガス排出弁244aを開弁する。そうすると、冷却ガス供給管242、第2通過管212b、および第1供給管212、計量容器214、第2供給管216を通じて、冷却ガスが収容容器220内に導かれる。そして、収容容器220内に導かれた冷却ガスは、第1通過管224、冷却ガス排出管244を通じて冷却機構250に返送される。つまり、冷却ガスは、収容容器220を循環することになる。
【0078】
これにより、冷却ガスによって、スラリーSが包装袋230ごと、高圧状態で凍結(冷却)され、固化される。
【0079】
なお、固化工程S150において、計量容器214を通じて収容容器220に冷却ガスを供給することにより、計量容器214に残存したスラリーSを収容容器220(包装袋230)に押し出すことができる。
【0080】
そして、温度センサ300による検出値に基づき、包装袋230内のスラリーSが固化されたと判定したら、中央制御部310は、冷却ガス供給弁242aおよび冷却ガス排出弁244aを閉弁して、脱圧工程S160に処理を移す。
【0081】
[脱圧工程S160]
脱圧工程S160は、中央制御部310が、脱圧部280を制御して、収容容器220内を脱圧する工程である。
【0082】
図16は、脱圧工程S160における中央制御部310の処理を説明する図である。なお、
図16中、実線の矢印は、冷却ガスの流れを示す。また、
図16中、閉弁状態を黒い塗りつぶしで示す。
【0083】
図16に示すように、中央制御部310は、脱圧弁284aを開弁する。そうすると、収容容器220内から冷却ガスが排出され、収容容器220内が大気圧に脱圧される。
【0084】
そして、中央制御部310は、脱圧弁284aを開弁してから所定時間が経過したら、パージ工程S170に処理を移す。なお、所定時間は、収容容器220内が大気圧まで脱圧される時間である。
【0085】
[パージ工程S170]
パージ工程S170は、中央制御部310が、置換部290を制御して、収容容器220内の冷却ガスをパージガスで置換(パージ)する工程である。
【0086】
図17は、パージ工程S170における中央制御部310の処理を説明する図である。なお、
図17中、実線の矢印は、冷却ガスおよびパージガスの流れを示す。また、
図17中、閉弁状態を黒い塗りつぶしで示す。
【0087】
図17に示すように、中央制御部310は、パージガス供給弁294aを開弁する。そうすると、パージガス供給源292から収容容器220へパージガスが供給される。そして、パージガスは、収容容器220を通過し、第2供給管216、計量容器214、第1供給管212、第2通過管212b、および、脱圧配管284を通じて、ガス処理部282に導かれる。
【0088】
これにより、収容容器220内の冷却ガスがパージガスに置換される。中央制御部310は、パージガス供給弁294aを開弁してから所定時間が経過したら、第2入口開閉弁216a、脱圧弁284a、および、パージガス供給弁294aを閉弁して、取出工程S180に処理を移す。なお、所定時間は、収容容器220内の冷却ガスがパージガスで置換される時間である。
【0089】
[取出工程S180]
取出工程S180は、収容容器220から包装袋230を取り出す工程である。取出工程S180では、まず、ソケット218が収容容器220から取り外されるとともに、第1通過管224が冷却ガス排出管244から取り外される。そして、収容容器220内から包装袋230(固形物K)が取り出される。
【0090】
収容容器220から取り出された包装袋230は、不図示の圧着装置(例えば、シーラー)によって、開口部232が圧着(密封)され、不図示の冷凍庫で保管される。
【0091】
そして、中央制御部310は、取付工程S110からの処理を繰り返す。
【0092】
また、中央制御部310は、複数の包装ユニット210のうち、いずれか1の包装ユニット210に対し、取付工程S110、脱圧工程S160、パージ工程S170、および、取出工程S180のいずれか1または複数の工程を行っている間、他の包装ユニット210に対し、冷却ガス置換工程S120、加圧冷却工程S130、収容工程S140、および、固化工程S150のいずれか1または複数の工程を行う。つまり、中央制御部310は、複数の包装ユニット210のうち、少なくともいずれか1の包装ユニット210と、他の包装ユニット210とに排他的に(異なるタイミングで)スラリーSを供給する。これにより、ハイドレート包装装置130は、脱水装置120から連続して供給されるスラリーSを順次固形物Kに成型することが可能となる。
【0093】
以上説明したように、本実施形態にかかるハイドレート包装装置130は、包装袋230にスラリーSを収容した状態で、スラリーSを凍結して固化させる。これにより、スラリーを高圧で圧搾したり、高圧で圧縮したりしてハイドレートを固化させる従来技術と比較して、ハイドレート包装装置130は、余分な圧力を付与せずにスラリーSを固化させることができる。したがって、ハイドレート包装装置130は、オゾンハイドレートの破壊およびオゾンの減衰を低減して、オゾンハイドレートを固形物Kに成型することが可能となる。
【0094】
また、ハイドレート包装装置130は、包装袋230にスラリーSを収容した状態で、スラリーSを凍結して固化させる。このため、ハイドレート包装装置130は、包装袋230の形状に固形物Kを成型することができる。したがって、ハイドレート包装装置130は、包装袋230を所望する形状に設計することで、所望する形状の固形物Kを容易に製造することが可能となる。
【0095】
また、従来のハイドレート包装装置は、スラリーを圧搾する圧搾装置、圧搾したスラリーを圧縮成型してペレットを製造するペレタイザ、ペレットを凍結して固化させる冷凍機、固化したペレットを脱圧する脱圧装置、脱圧されたペレットを貯蔵庫に運搬するコンベアを備えていた。したがって、従来のハイドレート包装装置は、圧搾装置、ペレタイザ、冷凍機、脱圧装置、コンベア、貯蔵庫がそれぞれ必要となり、設備費およびランニングコストが高額になっていた。
【0096】
これに対し、本実施形態のハイドレート包装装置130は、スラリーSの成型およびスラリーSの凍結を並行して行うことができる。また、ハイドレート包装装置130は、スラリーSの成型、スラリーSの凍結、および、固形物Kの脱圧を同一の包装ユニット210内で行うことができる。したがって、ハイドレート包装装置130は、従来のハイドレート包装装置と比較して、設備費およびランニングコストを低減することが可能となる。
【0097】
また、ハイドレート包装装置130は、包装袋230ごとスラリーSを固化することができる。したがって、ハイドレートを固化した後、包装袋に充填する従来技術と比較して、ハイドレートの粉砕処理およびハイドレートの包装袋への充填処理を省略することが可能となる。これにより、粉砕の際の衝撃によってオゾンハイドレート内のオゾンが分解してしまう事態を回避することができる。また、粉砕によって生じるオゾンハイドレートの粉体の発生を防止することが可能となる。これにより、ハイドレート包装装置130は、オゾンハイドレートの分解(溶解)を抑制することが可能となる。
【0098】
また、上記したように、包装袋230(収容容器220)は、供給ヘッダ管122の下方に設けられる。これにより、ハイドレート包装装置130は、供給ヘッダ管122から包装袋230(収容容器220)にスラリーSを自重で落下させることが可能となる。
【0099】
また、上記したように、ソケット218は、第2供給管216の端部216bが包装袋230の開口部232より上方に位置するように、第2供給管216を保持する。これにより、スラリーSを包装袋230に供給しつつ、冷却ガスを包装袋230の外表面に通過させることが可能となる。つまり、ソケット218は、スラリーSの供給機能と、冷却ガスの供給機能とを第2供給管216に持たせることができる。
【0100】
また、上記したように、収容容器220は、支持枠226を備える。支持枠226は、包装袋230と収容容器220との間に間隙を形成することができる。したがって、包装袋230の外表面に満遍なく冷却ガスを通過させることが可能となる。これにより、ハイドレート包装装置130は、包装袋230内のスラリーSを効率よく冷却(凍結)することができる。
【0101】
また、上記したように、冷却ガス供給部240は、冷却ガスとして、原料ガスを用いる。これにより、包装袋230内の収容物における原料ガスの濃度の低減を防止することが可能となる。
【0102】
また、上記したように、ハイドレート包装装置130は、置換部290を備える。これにより、ハイドレート包装装置130は、取出工程S180において、収容容器220内から冷却ガスが漏出する事態を回避することができる。
【0103】
また、上記したように、ハイドレート包装装置130は、ソケット218および突出部222と、継手224aとを備える。これにより、収容容器220と第2供給管216との着脱、および、収容容器220と冷却ガス排出管244との着脱を容易に行うことが可能となる。
【0104】
また、上記したように、置換部290は、収容容器220の下部からパージガスを供給する。つまり、置換部290は、冷却ガス供給部240による冷却ガスの供給方向とは逆側からパージガスを供給する。これにより、置換部290は、収容容器220内のパージガスへの置換を効率よく行うことができる。
【0105】
また、オゾンハイドレート等のハイドレートは、常温未満の所定温度(例えば、-25℃)を上回ると、分解され、ガスを放出するとともに、水(液体)が生じる。このため、ハイドレートからガスを放出させて利用する場合、ハイドレート(またはハイドレートの残渣(氷))の周囲が水で濡れてしまうという問題がある。
【0106】
そこで、上記したように、ハイドレート包装装置130は、少なくとも一部が第1の材料(本実施形態では、タイベック(登録商標))で構成される包装袋230に固形物K(オゾンハイドレート)を収容する。第1の材料は、オゾンハイドレートが分解することによって生成されるオゾンガスを包装袋230の外部に放出させることができる。また、第1の材料は、液体(水)を殆ど通過させない。このため、第1の材料は、オゾンハイドレートが分解することによって生じる水の、包装袋230の外部への漏出を抑制することが可能となる。つまり、包装袋230は、外部への水の排出を抑制しつつ、オゾンハイドレートからオゾンガスを放出させることができる。これにより、オゾンハイドレートを収容した包装袋230は、対象物または対象物が配される空間を濡らすことなく、オゾンガスで対象物を処理することが可能となる。
【0107】
また、上記したように、包装袋230は、第1の材料に加えて、第2の材料で構成される。第2の材料は、透明または半透明であるため、固形物K(オゾンハイドレート)を外部から視認することできる。したがって、使用者は、包装袋230内の固形物Kの量を容易に把握することが可能となる。
【0108】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0109】
例えば、上記実施形態において、ハイドレートがオゾンハイドレートである場合を例に挙げた。しかし、ハイドレート包装装置130が成型するスラリーSに含まれるハイドレートに限定はない。ハイドレートは、例えば、天然ガスハイドレート、メタンハイドレート、二酸化炭素ハイドレートであってもよい。
【0110】
また、上記実施形態において、収容容器220が円筒形状である場合を例に挙げた。しかし、収容容器220は、筒形状であれば形状に限定はない。収容容器220は、例えば、矩形の筒形状であってもよい。また、収容容器220は、筒形状でなくてもよい。収容容器220は、少なくとも中空形状であれば形状に限定はない。
【0111】
また、上記実施形態において、ハイドレート包装装置130が置換部290を備える場合を例に挙げた。しかし、置換部290は、必須の構成ではない。例えば、冷却ガスが、二酸化炭素、窒素、または、空気である場合、置換部290を省略してもよい。
【0112】
また、上記実施形態において、ハイドレート包装装置130が、ソケット218および突出部222を備える場合を例に挙げた。しかし、第2供給管216と収容容器220とを着脱自在とすることができれば、ソケット218および突出部222以外の構成であってもよい。同様に、ハイドレート包装装置130が、継手224aを備える場合を例に挙げた。しかし、収容容器220(第1通過管224)と冷却ガス排出管244とを着脱自在とすることができれば、継手224a以外の構成であってもよい。
【0113】
また、上記実施形態において、冷却ガスが原料ガス(ハイドレートに内包されるガス(ゲスト分子))である場合を例に挙げた。しかし、冷却ガスの種類に限定はない。
【0114】
また、上記実施形態において、ハイドレート包装装置130が複数の包装ユニット210を備える構成を例に挙げた。しかし、ハイドレート包装装置130は、少なくとも1つの包装ユニット210を備えていればよい。
【0115】
また、上記実施形態において、包装袋230が第1の材料および第2の材料で構成される場合を例に挙げた。しかし、包装袋230の材質に限定はない。例えば、包装袋230は、第1の材料のみで構成されてもよいし、第2の材料のみで構成されてもよい。また、包装袋230は、第1の材料および第2の材料以外の材料で構成されてもよい。
【0116】
また、上記実施形態の固化工程S150において、中央制御部310が、温度センサ300による検出値に基づき、包装袋230内のスラリーSが固化されたか否かを判定する場合を例に挙げた。しかし、中央制御部310は、冷却ガスの供給時間に基づき、包装袋230内のスラリーSが固化されたか否かを判定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、ハイドレート包装装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0118】
130 ハイドレート包装装置
212 第1供給管(スラリー供給部)
212a 第1入口開閉弁(スラリー供給部)
214 計量容器(スラリー供給部)
216 第2供給管(スラリー供給部)
216a 第2入口開閉弁(スラリー供給部)
216b 端部(スラリー供給部)
218 ソケット(スラリー供給部)
220 収容容器
230 包装袋
240 冷却ガス供給部
280 脱圧部
290 置換部
310 中央制御部(スラリー供給部)