(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】排気管
(51)【国際特許分類】
F01N 13/08 20100101AFI20231011BHJP
【FI】
F01N13/08 Z
(21)【出願番号】P 2020191868
(22)【出願日】2020-11-18
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】梅本 博
(72)【発明者】
【氏名】田中 謙一
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-092476(JP,A)
【文献】実開昭53-145022(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/00- 1/24
F01N 5/00- 5/04
F01N 13/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関による排気の経路となる排気管であって、
前記経路の内周面において、当該内周面の一部が当該内周面の他の部分よりも内側に位置する段差部と、
前記経路の下流側の端部に設けられた開口部から挿入されるプローブを、前記段差部より上流側であって予め設定された検査位置に導くためのガイド部と、
を備え
、
当該排気管において排気の流路を構成する部材を本体部として、
前記ガイド部は、前記本体部とは別部材で構成されたガイド部材であって、前記本体部の内部に配置され、凹凸を有するガイド部材、
を備える排気管。
【請求項2】
請求項
1に記載の排気管であって、
前記ガイド部材は、前記本体部の
径方向外側に凹ませて形成された凹部、
を備える排気管。
【請求項3】
請求項
1又は請求項
2に記載の排気管であって、
前記ガイド部材及び前記排気管は、前記プローブを内部に挿通可能な挿通部を形成する
ように構成された排気管。
【請求項4】
請求項
3に記載の排気管であって、
前記ガイド部材は、前記挿通部に挿通された前記プローブの外周の半分以上を取り囲む
ように構成された排気管。
【請求項5】
請求項1から請求項
4までのいずれか1項に記載の排気管であって、
当該排気管は、一方向に湾曲した湾曲部を備え、
前記ガイド部は、前記湾曲部よりも下流側における当該排気管の内周面のうちの、少なくとも前記湾曲部における湾曲の外周に沿う側に位置する
ように構成された排気管。
【請求項6】
請求項1から請求項
5までのいずれか1項に記載の排気管であって、
下流側の開口部から前記プローブを挿入可能に構成されたテールパイプと、
該テールパイプの上流側に配置されるマフラと、をさらに備え、
前記マフラは、
下流側に前記テールパイプが接続される外管と、
内部の空間が排気の主流路となる内管であって、前記外管に外周側を覆われ、前記外管との間に前記段差部が形成される内管と、
を備える排気管。
【請求項7】
請求項1から請求項
5までのいずれか1項に記載の排気管であって、
下流側の開口部から前記プローブを挿入可能に構成されたテールパイプ、をさらに備え、
前記ガイド部は、前記テールパイプに設けられている、排気管。
【請求項8】
請求項
6又は請求項
7に記載の排気管であって、
前記ガイド部は、前記テールパイプの下流側の開口部における縁部を凹ませて形成されている、排気管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内燃機関による排気の経路となる排気管に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1には、排気管の一部として、内管及び外管を備える多重管構造に構成されたマフラと、マフラにおける外管の内側に接続されたテールパイプと、を備える構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記排気管では、マフラの内管の内径よりもテールパイプの内径が大きく設定されている。このため、検査用のプローブをテールパイプの下流端側からマフラ内に挿入する際に、内管の端部にプローブが突き当りやすく、プローブをマフラ内に挿入しにくくなるという問題点があった。上記の問題点は、内部に段差部を有する排気管であれば同様に発生しうる。
【0005】
本開示の一局面は、段差部を有する排気管において、排気管への検査用のプローブの挿入性を向上できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、内燃機関による排気の経路となる排気管であって、段差部と、ガイド部と、を備える。段差部は、経路の内周面において、当該内周面の一部が当該内周面の他の部分よりも内側に位置するように構成される。ガイド部は、経路の下流側の端部に設けられた開口部から挿入されるプローブを段差部より上流側であって予め設定された検査位置に導く機能を有するように構成される。
【0007】
このような構成によれば、ガイド部に沿ってプローブを挿入すれば、プローブを検査位置に導くことができるので、プローブが段差部に突き当たることを抑制でき、排気管への検査用のプローブの挿入性を向上させることができる。
【0008】
本開示の一態様では、当該排気管において排気の流路を構成する部材を本体部として、ガイド部は、本体部に設けられた凹凸によって構成されてもよい。
このような構成によれば、ガイド部を本体部の一部として構成するので、ガイド部の形成が容易である。また、排気管の重量の増加を抑制することができる。
【0009】
本開示の一態様では、本体部は筒状であり、ガイド部は、本体部の一部を外側に凹ませて形成された凹部、を備えてもよい。
このような構成によれば、本体部に凹部を設けるだけの加工を行えばよいので、簡素な構成でガイド部の機能を実現することができる。
【0010】
本開示の一態様では、ガイド部は、本体部とは別部材で構成されたガイド部材であって、本体部の内部に配置され、凹凸を有するガイド部材、を備えてもよい。
このような構成によれば、ガイド部が別部材であるので、排気管そのものを加工する場合よりも、ガイド部材を複雑な形状に加工しやすくすることができる。
【0011】
本開示の一態様では、ガイド部材は、本体部の外側に凹ませて形成された凹部、を備えてもよい。このような構成によれば、ガイド部材の構成を簡素な構成で実現することができる。
【0012】
本開示の一態様では、ガイド部材及び排気管は、プローブを内部に挿通可能な挿通部を形成してもよい。
このような構成によれば、排気管内に挿入されたプローブがガイド部から離れにくいように、挿通部でプローブを保持させた状態でプローブを挿入できるので、検査位置にプローブを導きやすくすることができる。
【0013】
本開示の一態様では、ガイド部材は、挿通部に挿通されたプローブの外周の半分以上を取り囲むように構成されてもよい。
このような構成によれば、挿通部の内周の半分以上を取り囲むので、挿通部に挿通されたプローブをよりガイド部から離れにくいように、保持することができる。
【0014】
本開示の一態様では、当該排気管は、一方向に湾曲した湾曲部を備えてもよい。ガイド部は、湾曲部よりも下流側における当該排気管の内周面のうちの、少なくとも湾曲部における湾曲の外周に沿う側に位置してもよい。
【0015】
このような構成によれば、湾曲部を備える構成であれば、プローブが段差部に突き当たりやすくなるが、本開示の構成ではガイド部を備えるので、湾曲部を備える構成であっても良好にプローブを挿入することができる。
【0016】
本開示の一態様は、テールパイプと、マフラと、をさらに備えてもよい。テールパイプは、下流側の開口部からプローブを挿入可能に構成されてもよい。マフラは、テールパイプの上流側に配置されてもよい。また、マフラは、下流側にテールパイプが接続される外管と、内部の空間が排気の主流路となる内管であって、外管に外周側を覆われ、外管との間に段差部が形成される内管と、を備えてもよい。
【0017】
このような構成によれば、二重管構造のマフラの内部にプローブを挿入する場合であっても、プローブがマフラの内管に突き当たることが抑制でき、良好にプローブを挿入することができる。
【0018】
本開示の一態様は、下流側の開口部からプローブを挿入可能に構成されたテールパイプ、をさらに備えてもよい。ガイド部は、テールパイプに設けられていてもよい。
このような構成によれば、開口部を有するテールパイプにガイド部を備えるので、作業者がガイド部を目視しながらプローブを挿入することができ、作業者による作業性を向上できる。
【0019】
本開示の一態様では、ガイド部は、テールパイプの下流側の開口部における縁部を凹ませて形成されていてもよい。
このような構成によれば、テールパイプを備える構成において、ガイド部の構成を簡素な構成で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】第1実施形態のテールパイプのII-II断面図である。
【
図3】プローブを含む第1実施形態の排気管の中央断面図である。
【
図4】プローブを含む第1実施形態のテールパイプの部分断面図である。
【
図5】ガイド部とプローブの挿入方向との関係を示す説明図である。
【
図6】第1実施形態の変形例における排気管の中央断面図である。
【
図7】第2実施形態のテールパイプの中央断面図である。
【
図8】第2実施形態のテールパイプのVIII-VIII断面図である。
【
図9】プローブを含む第2実施形態のテールパイプの斜視図である。
【
図10】第2実施形態の変形例におけるテールパイプの部分断面図である。
【
図11】プローブを含む第2実施形態の変形例におけるテールパイプの斜視図である。
【
図12】第2実施形態のさらなる変形例におけるテールパイプの部分断面図である。
【
図13】プローブを含む第2実施形態のさらなる変形例におけるテールパイプの斜視図である。
【
図15】従来構成の排気管を示す中央断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す排気管1は、内燃機関にて生じる排気の流路を構成する。排気管1は、マフラ10と、テールパイプ40Aと、を備えてもよい。なお、
図1では、排気の流れ方向を白抜き矢印で図示し、以下では、排気の流れ方向とは反対側を上流側、排気の流れ方向に沿う側を下流側とする。
【0022】
排気管1が適用される内燃機関としては、特に限定されないが、自動車、鉄道、船舶、建機等の輸送機器、発電施設などで駆動用又は発電用として用いられるものが挙げられる。マフラ10は、内燃機関の下流側であって、かつテールパイプ40Aの上流側に配置されている。マフラ10は、内管20と、外管30と、保持部15と、を備える。
【0023】
内管20は、内部の空間が内燃機関の排気の大部分が通過する主流路となるように構成された金属製のパイプである。内管20は、例えば円筒状に形成される。内管20は、上流側が内燃機関に繋がる図示しない管に接続され、マフラ10の内部を概ね貫通するようにマフラ10の下流側まで延伸している。
【0024】
なお、内管20の外管30内に位置する部位には、内管20の内部と内管20の外部とを連通する図示しない複数の連通孔が形成されていてもよい。また、内管20がマフラ10の内部を貫通しない構成でもよい。この場合、外管30の下流側の端部付近に内管20の一部があればよい。
【0025】
外管30は、内管20の外周側を覆うように、換言すれば、内管20の外周面を囲うように、内管20の外側に配置された金属製のパイプである。外管30は、例えば円筒状に形成される。外管30の外径は、内管20の外径よりも大きく設定される。なお、内管20がマフラ10の内部を貫通しない構成では、内管20の下流側の端部の外周側を覆う構成となる。
【0026】
外管30は、最も外径が大きく設定された部分から下流側において、この部分よりも外周及び内周が小さく構成された縮管部33を備える。縮管部33は、内管20との間に保持部15を有する。縮管部33の内周側には、テールパイプ40Aが接続される。内管20及び外管30は、例えば溶接により形成される。
【0027】
内管20において下流側の端部21は、熱応力を逃がすために、固定されない。ここで、保持部15は、外管30の下流側にて内管20の外周側に接して位置し、内管20を伸縮可能に保持するように構成される。本実施形態では、保持部15は、外管30と内管20との間に配置される。保持部15は、外管30及び内管20のうちの何れに固定されていてもよい。
【0028】
保持部15は、例えばワイヤメッシュ等の通気性を有する部材から構成される。ただし、保持部15は内管20又は外管30と一体でもよい。例えば、保持部15は、外管30自体を一部変形させることによって設けられ、外管30から内管20に向けて突出する突起部として構成されてもよい。
【0029】
外管30は、下流側の端部が、例えば溶接等によりテールパイプ40Aに固定される。マフラ10は、上流側及び下流側の端部が排気系部品に固定されることで、内燃機関からテールパイプ40Aまでの気密性が維持される。
【0030】
テールパイプ40Aは、本体部45を備える。本体部45は、テールパイプ40Aにおいて排気の流路を構成する筒状の部材である。第1実施形態では、テールパイプ40Aの全体が本体部45となり、テールパイプ40Aと同義であるため、本体部45についてはテールパイプ40Aとして説明する。
【0031】
テールパイプ40Aは、下流側に向かうにつれて水平方向から下向きの方向に曲げられている。つまり、一方向に湾曲した湾曲部46を備える。
なお、テールパイプ40Aは、異なる箇所でそれぞれ異なる方向に湾曲していてもよいが、この場合、最も上流側で湾曲している方向を、上記の「一方向」と捉えるとよい。後述するプローブ60をテールパイプ40Aの下流側から挿入する際に、プローブ60の先端部の位置に最も影響を与えると考えられるからである。また、テールパイプ40Aは、湾曲部46を備えない構成であってもよく、換言すれば直線状に構成されていてもよい。
【0032】
テールパイプ40Aは、
図1、
図2に示すように、ガイド部47Aを備える。ガイド部47Aは、テールパイプ40Aの下流側の端部に設けられた開口部42から挿入されるプローブ60を、より上流側の予め設定された検査位置に導く機能を有する部位である。ガイド部47Aは、湾曲部46よりも下流側におけるテールパイプ40Aの内周面のうちの、少なくとも湾曲部46における湾曲の外周に沿う側に位置する。
【0033】
ガイド部47Aは、テールパイプ40Aの一部の部位に設けられた凹凸によって構成される。また、ガイド部47Aは、テールパイプ40Aの一部を径方向の外側に凹ませて形成された凹部48、を備える。凹部48は、本実施形態では、ガイド部47となる部位の内面及び外面が外側に凹まされて構成されるが、例えばテールパイプ40Aが二重管構造である場合等には、少なくともテールパイプ40Aの内面の一部が外側に凹ませて形成されていればよい。
【0034】
[1-2.検査]
排気管1では、マフラ10とテールパイプ40Aとを組み付けた後で、排気の検査のために、
図3に示すようにプローブ60が挿入されることが想定される。プローブ60は、センサ等を備える検査部61と、検査部61が先端側に繋げられたケーブル62と、を備える。プローブ60は、テールパイプ40Aの開口部42から湾曲部46及び上流側の端部41を通過して、マフラ10の内管20の内部まで挿入される。
【0035】
ここで、排気管1では、
図15に示すように、テールパイプ40Aの内径D2は、内管20の内径D1よりも大きく構成されている。このため、内管20の端部21から延びる内管20の内周面の同一面と、テールパイプ40Aの内周面とは、α9だけの間隔が生じる。α9は、内管20の内周の半径と、テールパイプ40Aの内周の半径との差である。このため、内管20の端部21は、排気管1の内部の下流側から上流側にプローブ60を移動させた場合に、プローブ60が突き当たる可能性がある部位、すなわち本開示での段差部となる。段差部は、排気管1の内周面において、内周面の一部が他の部分よりも内側に位置する部位である。段差部は、換言すれば、排気管1の内部において下流側から上流側を見たときに、排気管1の内周が内側に急激に変化する部位、或いは排気管1の内周が段階的に小さく変化する部位である。
【0036】
検査の作業者がプローブ60をテールパイプ40Aの開口部42から内管20の内部に挿入しようとする場合、作業者はプローブ60の先端をα9だけテールパイプ40Aの内壁から離さなければ、プローブ60をマフラ10の内管20に挿入できない。つまり、作業者がガイド部47Aにプローブ60を沿わせることなくプローブ60を挿入しようとすると、プローブ60が内管20の端部21に突き当りやすく、マフラ10に挿入されにくい。
【0037】
しかしながら、本実施形態の構成では、ガイド部47Aを備えるため、作業者は、プローブ60を、
図3及び
図4に示すように、ガイド部47A、特に凹部48の内面に沿って挿入できる。
【0038】
凹部48の内面は、挿入されたプローブ60を長手方向に沿う既定の長さ分だけ連続的に支持する。凹部48の内面は、
図4に示すように、プローブ60の外周に概ね一致する形状に加工されている。凹部48は、プローブ60の外周に沿う仮想的な円筒の一部を構成する。凹部48は、該仮想的な円筒の中心軸の延長線上に、
図5の破線の円で示す検査位置が位置するように、内面の形状が設定される。なお、仮想的な円筒の中心軸の延長線は、
図5では左向きの矢印で示される。この場合、凹部48の曲率半径は、プローブ60の半径と概ね一致するように設定される。
【0039】
このように作業者は、プローブ60を凹部48の内面に沿って挿入すれば、プローブ60の先端が内管20の端部21に突き当たることなく、マフラ10の内管20に容易に挿入することができる。
【0040】
なお、凹部48は、テールパイプ40Aの長手方向の複数個所のそれぞれで、プローブ60の径方向、すなわちプローブ60の挿入方向に対して直交する方向の移動を制限するように、径方向の複数個所でプローブ60と接触するように構成されていればよい。このため、凹部48は、プローブ60と面接触する必要はなく、テールパイプ40Aの長手方向に沿って概ね平行な複数の直線となるような線状の領域でプローブ60と線接触してもよい。この場合、凹部48の曲率半径は、プローブ60の半径よりもやや小さく設定されるとよい。
【0041】
なお、凹部48の曲率半径は、挿入されたプローブ60が狙いの検査位置に良好に導かれる程度であれば、プローブ60の半径よりも大きくても小さくてもよい。例えば、凹部48の曲率半径は、プローブ60の半径の0.5倍から2.0倍程度であるとよい。
【0042】
また、ガイド部47Aは、凹部48に限らず、複数の突起部として構成されてもよい。この場合、ガイド部47Aを構成する複数の突起部は、テールパイプ40Aの長手方向の異なる複数箇所のそれぞれで、プローブ60の径方向の複数個所と接触するように構成されてもよい。つまり、ガイド部47Aは、テールパイプ40Aの長手方向の異なる位置の2箇所、かつ、それぞれの位置での径方向の2箇所の、少なくとも4箇所でプローブ60と当接すればよい。
【0043】
[1-3.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1a)本開示の一態様は、内燃機関による排気の経路となる排気管1であって、ガイド部47Aと、段差部とを備える。本実施形態では、内管20の端部21が段差部に相当する。ガイド部47Aは、排気の経路における下流側の端部に設けられた開口部42から挿入されるプローブ60を段差部より上流側の予め設定された検査位置に導く機能を有する部位である。段差部は、経路の内周面において、当該内周面の一部が当該内周面の他の部分よりも内側に位置するように構成される。
【0044】
このような構成によれば、ガイド部47Aに沿ってプローブ60を挿入すれば、プローブ60を検査位置に導くことができる。よって、プローブ60が内管20の端部21に突き当たることを抑制でき、排気管1への検査用のプローブ60の挿入性を向上させることができる。
【0045】
(1b)本開示の一態様では、当該排気管1において排気の流路を構成する部材を本体部45として、ガイド部47Aは、本体部45に設けられた凹凸によって構成される。
このような構成によれば、ガイド部47Aを本体部45の一部として構成するので、ガイド部47Aの形成が容易である。また、排気管1の重量の増加を抑制することができる。
【0046】
(1c)本開示の一態様では、ガイド部47Aは、本体部45の一部を径方向の外側に凹ませて形成された凹部48、を備える。
このような構成によれば、排気管1に凹部48を設けるだけの加工を行えばよいので、簡素な構成でガイド部47Aの機能を実現することができる。なお、本体部45は筒状であれば円筒状でなくてもよい。本体部45が角筒状である場合、ガイド部47Aは、本体部45の一部を、角筒の中心(つまり内周面側)とは反対側である外側(つまり本体部45の内周面側から見て本体部45の外周面側)に凹ませて形成された凹部48、を備えてもよい。
【0047】
(1d)本開示の一態様では、当該排気管1のテールパイプ40Aは、一方向に湾曲した湾曲部46を備える。ガイド部47Aは、湾曲部46よりも下流側におけるテールパイプ40Aの内周面のうちの、少なくとも湾曲部46における湾曲の外周に沿う側に位置する。
【0048】
このような構成によれば、湾曲部46を備える構成であれば、プローブ60が端部21に突き当たりやすくなるところ、本開示の構成ではガイド部47Aを備えるので、湾曲部46を備える構成であっても良好にプローブ60を挿入することができる。
【0049】
(1e)本開示の一態様では、テールパイプ40Aは、下流側の開口部42からプローブ60を挿入可能に構成される。マフラ10は、テールパイプ40Aの上流側に配置される。また、マフラ10は、下流側にテールパイプ40Aが接続される外管30と、内部の空間が排気の主流路となる内管20であって、外管30に外周側を覆われ、外管30との間に段差部が形成される内管20と、を備える。
【0050】
このような構成によれば、二重管構造のマフラ10の内部にプローブ60を挿入する場合であっても、プローブ60がマフラ10の内管20の端部21に突き当たることが抑制でき、良好にプローブ60を挿入することができる。
【0051】
(1f)本開示の一態様では、下流側の開口部42からプローブ60を挿入可能に構成されたテールパイプ40A、を備える。ガイド部47Aは、テールパイプ40Aに設けられている。
このような構成によれば、開口部を有するテールパイプ40Aにガイド部47Aを備えるので、作業者がガイド部47Aを目視しながらプローブ60を挿入することができ、作業者による作業性を向上できる。
【0052】
(1g)本開示の一態様では、ガイド部47Aは、テールパイプ40Aの下流側の開口部42における縁部を凹ませて形成されている。
このような構成によれば、テールパイプ40Aを備える構成において、ガイド部47Aの構成を簡素な構成で実現することができる。
【0053】
[1-4.第1実施形態の変形例]
(1h)第1実施形態の排気管1では、ガイド部47Aをテールパイプ40Aの本体部45に備えたが、この構成に限られない。例えば、
図6に示す排気管2のように構成してもよい。排気管2では、テールパイプ40Bを備える。テールパイプ40Bでは、本体部45とは別部材で構成されたテール部材49を備える。テール部材49は、本体部45の下流側に接続されている。
【0054】
そして、テール部材49には、前述の凹部48を有するガイド部47Aが備えられる。このような構成によれば、ガイド部47Aをより小さな部材に配置するので、ガイド部47Aを形成する加工の際に、材料の取り回しを容易にすることができる。
【0055】
[2.第2実施形態]
[2-1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0056】
前述した第1実施形態では、テールパイプ40A等、排気の流路を構成する部材を直接加工することでガイド部47Aを形成した。これに対し、第2実施形態では、排気の流路を構成する部材とは別部材であるガイド部材50Aを備える点で、第1実施形態と相違する。
【0057】
[2-2.構成]
第2実施形態の排気管3を構成するテールパイプ40Cは、
図7、
図8、
図9に示すように、ガイド部47Cを備える。ガイド部47Cは、本体部45とは別部材で構成されたガイド部材50Aを備える。ガイド部材50Aは、本体部45の内部、換言すれば内周面側に配置され、凹凸を有する部材である。
【0058】
ガイド部材50Aには、前述の凹部48と同様の機能を有する凹部51Aが形成されている。凹部51Aは、例えば、板状の部材を本体部45の径方向外側に凹ませて形成される。
【0059】
ガイド部材50Aは、中央に凹部51Aを備え、端部が本体部45の内面上部に接合される。プローブ60は、
図9に示すように、上面がガイド部材50Aの凹部51Aに押し当てられた状態でマフラ10に向けて挿入されれば、先端部が検査位置に到達するように構成される。
【0060】
[2-3.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0061】
(2a)本開示の一態様では、ガイド部47Aは、本体部45とは別部材で構成されたガイド部材50Aを備える。ガイド部材50Aは、本体部45の内部に配置され、凹凸を有する。
このような構成によれば、ガイド部47Aが別部材である排気管1そのものを加工する場合よりも、ガイド部材50Aを複雑な形状に加工しやすくすることができる。
【0062】
(2b)本開示の一態様では、ガイド部材50Aは、本体部45の径方向外側に凹ませて形成された凹部51A、を備える。このような構成によれば、ガイド部材50Aの構成を簡素な構成にすることができる。
【0063】
[2-4.第2実施形態の変形例]
(2c)第2実施形態では、ガイド部材50Aが、本体部45の径方向外側に凹ませて形成された凹部51Aを備えたが、この構成に限られない。例えば、
図10及び
図11に示す排気管4のように構成してもよい。排気管4のテールパイプ40Dは、ガイド部材50Bを有するガイド部47Dを備える。
【0064】
ガイド部材50Bは、前述のガイド部材50Aと同様に、本体部45の内周側に配置される。ただし、ガイド部材50Bは、本体部45とともに挿通部51Dを形成する。挿通部51Dは、本体部45及びガイド部材50Bにて取り囲まれた空間であって、プローブ60を排気の流れ方向に逆らって内部に挿通可能な孔である。
【0065】
このような構成によれば、排気管1内に挿入されたプローブ60がガイド部材50Bから離れにくいように、挿通部51Dでプローブ60を保持させた状態でプローブ60を挿入できるので、検査位置にプローブ60を導きやすくすることができる。
【0066】
(2d)また、例えば、
図12及び
図13に示す排気管5のように構成してもよい。排気管5のテールパイプ40Eは、ガイド部材50Cを有するガイド部47Eを備える。ガイド部材50Cは、前述のガイド部材50Bと同様に、プローブ60を内部に挿通可能な挿通部51Eを形成する。
【0067】
ただし、ガイド部材50Cは、挿通部51Eに挿通されたプローブ60の外周の半分以上、より好ましくは大部分を取り囲むように構成されてもよい。「大部分を取り囲む」とは、プローブ60が本体部45に当接することなく、ガイド部材50Cがプローブ60を保持できる程度に、ガイド部材50Cがプローブ60を取り囲むことができる状態を示す。つまり、ガイド部材50Cは、プローブ60の全周を取り囲んでもよいし、プローブ60の全周のうちの一部を除く領域を取り囲んでもよい。
【0068】
このような構成によれば、挿通部51Eの内周の大部分を取り囲むので、挿通部51Eに挿通されたプローブ60をよりガイド部47Aから離れにくいように、保持することができる。
【0069】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は前述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0070】
(3a)上記実施形態では、本開示での段差部が、二重管構造とされたマフラ10の内管20と外管30との径差によって構成されたが、これに限定されるものではない。例えば、上流側の第1の管64Aと下流側の第2の管64Bとが、それぞれフランジ部65を備え、それぞれのフランジ部65がリベット66で接続される構成であるとする。この場合、本開示での段差部は、
図14に示す排気管6のように、各管64A,64Bの継ぎ目によって構成されてもよい。また、段差部は、上流側の第1の管64Aとフランジ部65とにより形成される段差でもよい。なお、フランジ部65は、各管64A,64Bの端部を囲う円環状に形成されてもよい。
【0071】
(3b)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0072】
(3c)前述した排気管1の他、当該排気管1を構成要素とするユニット又はシステムなど、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0073】
1~6…排気管、10…マフラ、15…保持部、20…内管、21…端部、30…外管、40A~40E…テールパイプ、42…開口部、45…本体部、46…湾曲部、47A~47E…ガイド部、48…凹部、49…テール部材、50A~50C…ガイド部材、51A…凹部、51D,51E…挿通部、60…プローブ、61…検査部、62…ケーブル、64A…第1の管、64B…第2の管。