(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】体腔に活性物質を送達するための泡形成性組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 9/12 20060101AFI20231011BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20231011BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20231011BHJP
A61K 47/16 20060101ALI20231011BHJP
A61K 33/40 20060101ALI20231011BHJP
A61K 31/58 20060101ALI20231011BHJP
A61K 31/216 20060101ALI20231011BHJP
A61K 31/335 20060101ALI20231011BHJP
A61K 31/196 20060101ALI20231011BHJP
A61K 31/137 20060101ALI20231011BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231011BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20231011BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20231011BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20231011BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20231011BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20231011BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
A61K9/12
A61K47/14
A61K47/24
A61K47/16
A61K33/40
A61K31/58
A61K31/216
A61K31/335
A61K31/196
A61K31/137
A61K45/00
A61K8/02
A61P31/04
A61P17/06
A61P17/02
A61P29/00
A61Q19/02
(21)【出願番号】P 2020515284
(86)(22)【出願日】2018-05-22
(86)【国際出願番号】 EP2018063397
(87)【国際公開番号】W WO2018215474
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-04-30
(32)【優先日】2017-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519417573
【氏名又は名称】ファーミバ アーベー
【氏名又は名称原語表記】PHARMIVA AB
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(74)【復代理人】
【識別番号】100143856
【氏名又は名称】中野 廣己
(72)【発明者】
【氏名】リンダル、 アーケ
(72)【発明者】
【氏名】サーナ、 ダヴィド
【審査官】平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/048230(WO,A1)
【文献】Colloids Surf B Biointerfaces,2015年,Vol.133,pp.81-87 (Page 1-17)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性薬剤を身体の表面又は体腔に送達するための泡形成性医薬組成物であって、該組成物は
水、
該水中に懸濁された固形脂質結晶、及び
該組成物を吹き出して泡を形成するための非親油性噴射剤
を含んでなり、
該固形脂質結晶はその結晶状態における融点が25℃を超え37℃未満であり、
製品と接触している噴射剤は親水性であり、
該噴射剤は、空気、又は空気をシミュレートする気体混合物であり、
該固形脂質結晶は、組成物が噴射剤により吹き出されたときに泡を支持するような量で存在し、
該組成物は、吹き出されたときに身体の表面又は体腔に適用され、泡が身体の表面又は体腔により加熱されたときに、その泡が融点において分解し、泡の内容物を身体の表面上の又は体腔内の組織に放出するように適合されており、及び
該固形脂質結晶は、グリセロールモノラウレートとグリセロールモノミリステートの組み合わせであり、グリセロールモノラウレートとグリセロールモノミリステートの組み合わせは、組成物の重量に対して1重量%~35重量%の量で存在し、
該組成物は、
泡形成性組成物を吹き出して泡を形成する前は、噴射剤によって大気圧下であ
り、
前記噴射剤は、組成物の0.0001~0.5重量%である、
ことを特徴とする泡形成性医薬組成物。
【請求項2】
有効量の医学的活性、化粧用又は回復用剤を含む、請求項1に記載の泡形成性組成物。
【請求項3】
組成物が単一又は二重区画容器に詰められており、任意に、製品が、泡の膣送達を提供するように適合された泡案内導管を含む、請求項1に記載の泡形成性組成物。
【請求項4】
前記活
性剤が、体腔内の感染症の治療のための過酸化水素を含む、請求項2に記載の泡形成性組成物。
【請求項5】
前記活
性剤が、尿失禁の治療に適した抗コリン又は膀胱弛緩化合物を含む、請求項2に記載の泡形成性組成物。
【請求項6】
前記活
性剤が、乾癬の治療に適した抗乾癬薬を含む、請求項2に記載の泡形成性組成物。
【請求項7】
前記活
性剤が、にきびの治療に適した化合物を含む、請求項2に記載の泡形成性組成物。
【請求項8】
前記活
性剤が、局所炎症の治療に適した抗炎症薬を含む、請求項2に記載の泡形成性組成物。
【請求項9】
体腔内の感染症又は疾患の治療に使用するための泡形成性組成物であって、該泡形成性組成物は、請求項1に記載の泡形成性組成物である、体腔内の感染症又は疾患の治療に使用するための泡形成性組成物。
【請求項10】
前記泡形成性組成物は、最初は体腔内において泡の状態であり、その後、体温の存在下にpH3~5の液体に変換し、前記活性薬剤が過酸化水素を含む、請求項
9に記載の体腔内の感染症又は疾患の治療に使用するための泡形成性組成物。
【請求項11】
前記体腔が、膣腔、尿道腔、肛門腔、口腔、鼻腔又は耳腔である、請求項
10に記載の体腔内の感染症又は疾患の治療に使用するための泡形成性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶性脂質を含む泡形成性組成物、及び皮膚又は体腔への医学的活性薬剤の局所送達のための方法に関する。本発明は、新規な泡送達システム及び送達方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
局所及び腔内泡製剤が医学的活性薬剤の送達に適していることを我々は発見した。泡は、大きな表面に広がる性能があり、低密度であることにより、傷、感染もしくは炎症領域又は皮膚の手術後組織のような敏感な領域への投与の際の痛みを軽減するので、医学的治療においていくつかの興味深い特性を有する。泡は体腔内でも良好に広がる。
【0003】
モノグリセリドが脂質噴射剤とともに使用されてきた。しかし、脂質噴射剤を結晶性モノグリセリドと組み合わせて使用すると、得られる製品が不均質であり結晶性でないことを我々は見出した。驚くべきことに、極性又は親水性の噴射剤を使用すると、モノグリセリドの結晶構造を維持でき、得られる製品が安定で均質であることを我々は発見した。
【0004】
薬物の体腔及び皮膚への送達に関していくつかの問題がある。1つの重要な問題は、薬物の分布である。半固形製剤、クリーム、ゲル及び軟膏は、体腔領域へ薬物を均一に送達することができない。さらに、皮膚の敏感な領域への半固形物の投与は、製品を投与するための機械的作業が痛みと不快感を引き起こす場合があるので、適切ではない。脂質結晶製剤に基づく泡製剤は、この問題を解決するかもしれない。性感染症(STI)、細菌性膣炎及び外陰膣炎のような生殖器官の感染症及び炎症の治療は、発明による泡が薬物の分布及び送達に関して利点を有する1つの分野である。また、悪臭、痛み、かゆみ及び膣液排泄増加のような膣の不快感の治療にも問題がある。抗生物質のような活性薬剤を過剰に使用する全身治療は、耐性の発現と疾患の多様性をもたらし、異なる活性物質を用いる複数の治療が必要となり、治療できなくなるリスクが高まる。診断の難しさが、治療を非効率的にするもう一つの問題である。これまでのところ、局所治療は非効率的である。局所治療の非効率性の理由は、有効局所薬剤が部分的に不足していることであるが、局所製品の表面被覆が効果的でないことでもある。ゲル製品又は膣坐剤(vagitorium)は、生殖器官の全領域には薬物を送達しない。
【0005】
膣、尿道、耳、肛門及び鼻腔のような体腔内の疾患の局所治療には、一般に、体腔内の全領域の治療が必要である。領域の一部しか治療されない場合、局所の感染症や炎症が部分的に未治療のままとなることがあり、まもなく元の強度を回復することになる。ゲル、軟膏、膣坐剤/坐剤及び錠剤のような腔内製剤は、表面のわずかな部分しか治療されないという欠点がある。体腔内への投与による活性化合物の全身送達の場合、表面被覆の欠如は、小さいが変化することのある領域が露出されることを意味する。これにより、予測できない薬物摂取、生物学的反応及び医学的効果の変動、及び耐性発現のリスクが生じる。対照的に、本新規送達システムは、機械的に安定した泡を提供するように選択された組成物中のその固形結晶構造により、体腔の表面全体を治療することができる。体腔は、創傷又は手術によって作られる天然又は人工の体腔であってもよい。
【0006】
泡が必要な局所薬物送達のもう一つの局面は、大きくて敏感な領域への投与である。皮膚炎や感染又は慢性創傷のような敏感な領域の治療には、身体接触が最小限であることが有利であり、そこで、発明による泡の使用は、患者及び患者のコンプライアンスに有益である。
【0007】
体腔の治療に泡を使用することの有用性が、Arzhavitina A, Steckel H. 「医薬及び化粧用途のための泡(Foams for pharmaceutical and cosmetic application)」. Int J Pharm. 2010 Jul 15;394(1-2):1-17. doi: 10.1016/j.ijpharm.2010.04.028. Epub 2010 Apr 29に記載されている。モノアシルグリセリドを含む泡は一般的ではない。米国特許第4,684,479号明細書において、泡におけるアシルモノグリセリドの使用、マイクロバブルの形成が記載されている。融点に関する情報はなく、アシルモノグリセリドは結晶形ではない。米国特許第5,554,315号明細書において、界面活性薬剤、ポリオキシアルキレンエーテルに基づく泡の物理的特性を改善するためのアシルモノグリセリドの使用が記載されている。米国特許第5,693,258号明細書において、泡へのアシルモノグリセリドポリオキシエチレン誘導体の使用が記載されている。アシルモノグリセリド単独又はそれらの結晶の使用は言及されていない。米国特許第7,141,237号明細書及び米国特許第7,374,747号明細書において、温度感受性泡の生成のための高級アルコールC14~C22、低級アルコールC1~C6、水及び界面活性薬剤の使用が記載されている。この発明の提示において、アシルモノグリセリドは言及されておらず、製剤はラウリンモノグリセリドのエステルに基づく界面活性薬剤を含む。米国特許第7,749,488号明細書において、エタノール、水、界面活性薬剤、pH調整化合物及び噴射剤からなる泡が最初の請求項に記載されている。この界面活性薬剤は、ブロック共重合体、脂肪酸及び/又は脂肪アルコールエトキシレート、ポリソルベート及びグリセロールエステルエトキシレートの群からの化合物として定義されている。当業者は、物理的性質を改善する目的でこの発明の組成物にこれらの群の界面活性薬剤の1つ又はいくつかを加えてもよいが、本発明は、この特許には開示されていない、結晶性脂質の使用及び37℃未満の温度での融解に基づく。米国特許第8,193,244号明細書では、長鎖二塩基性アミノ酸アルキルエステル塩と組み合わせたC12モノアシルグリセロールの使用が相乗的な抗菌性の組み合わせとして主張されているが、これは泡用途には関係ない。米国特許第8,476,319号明細書において、耳炎の治療のためにC12アシルモノグリシリドを使用することが記載されているが、結晶形態のアシルモノグリセリドの使用及びその融解は教示されていない。
【0008】
米国特許第8,512,723号明細書において、C12アシルモノグリセリドの使用が記載されている。しかし、この特許では、製品は少なくとも50%の疎水性化合物を含まなければならず、結晶形態のアシルモノグリセリドの使用及び/又はその融解は教示されていない。米国特許第8,586,008号明細書において、様々な医療用薬剤を含む局所用の泡が提示されている。この特許は、この泡の融点をエタノールの存在で調整できることを教示している。この発明の製剤では、融解温度が、アシルモノグリセリドの混合割合によって調節される。エタノールの存在は、アシルモノグリセリドの溶解度を高め、それにより、泡の特性に影響がある結晶の形成を抑制する。この特許は、製剤に結晶を使用しないことを教示している。
【0009】
(Tamarkin)WO2011039637では、この特許出願の主要請求項は、「a)約60重量%から約95重量%の疎水性溶媒、又は約1重量%から約80重量%のワセリン、及び約15重量%~約94重量%の疎水性溶媒を含んでなり、組み合わせる場合、疎水性溶媒とワセリンとの合計量は少なくとも約60重量%を超える、実質的に界面活性薬剤を含まない発泡性組成物」である。この特許出願は、泡を形成するために水基材中に結晶性脂質を使用することを教示していない。
【0010】
2016年7月14日に米国シリアル番号2016-0201186として公開された我々の以前の出願を、参照により本明細書に組み込む。
【0011】
体腔内、創傷内及び皮膚上において、特に古典的な抗生物質が効果的ではない、及び/又は、耐性が発現するリスクがある条件下において、感染症の治療に改善の必要性がある。感染物質に対する抗生物質耐性を生じるリスクがなく、例えば細菌、ウイルス、真菌及び鞭毛中のような感染物質の性質によらず効果的治療の可能性が高い、感染の発見時にすぐに投与することができる製品が必要とされている。
【0012】
もう一つの問題は、保管中の製剤の物理的安定性である。親油性噴射剤が使用される場合、モノグリセリドが噴射剤に溶解して望ましくない。これにより、結晶性モノグリセリドの量が減り、相分離が起こる。実際、製剤は、加圧固化噴射剤中のモノグリセリドの溶液からなる脂質相と、水、親水性表面を有する結晶性モノグリセリド及び他の親水性要素を含む水相とを含む二相系の形態になる。圧縮状態から解放されると、噴射剤は蒸発し、水及び結晶性脂質とアモルファス脂質との混合物からなる半固形フィルムが残る。そのような不適切な脂質噴射剤の非限定的な例は、プロパン、ブタン及びイソプロパンである。そのような不適切な噴射剤が使用されると、泡の安定性が損なわれ、泡形成能力が損なわれる。適切な噴射剤は、貯蔵寿命中及び泡を生成した後の両方で容器内にモノグリセリドの結晶構造を維持できなければならない。適切な噴射剤の例は、主な部分として空気、又は空気、酸素、窒素、二酸化炭素をシミュレートする気体混合物を含む、極性で親水性のものである。この発明では、空気及び類似の噴射剤の使用が脂質噴射剤の使用よりも優れていることを我々は実証した。噴射剤又は泡形成剤として空気を使用するもう一つの局面、低圧又は周囲圧力で泡を形成する可能性である。この特性は、空気を含む製剤を保管したときに発見された。顕微鏡調査により、経時的な安定した気泡が明らかになった。この機能は、非加圧容器に泡製品を分配するために使用でき、それは、産業及び安全性の観点から大きな利点である。
【0013】
適切な医学的活性薬剤は、皮膚感染及び炎症の治療、創傷及び体腔における症状の治療に有効な薬剤である。医学的活性薬剤は、例えば、抗炎症剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗乾癬剤、皮膚の湿度又はpHの制御のための薬剤、ならびにざ瘡の治療のための薬剤であるが、これらに限定されない。
【0014】
皮膚、開いた傷又は体腔の治療におけるもう一つの問題は、異物の使用である。プロパン又はブタンによって例示される脂質噴射剤は生理学的ではなく、そのような化合物はヒト又は動物における体腔内での使用には適していない。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、緻密で安定な泡を提供することにより、上記の問題を解決するものである。製品は、非親油性ガスと混合又は加圧されて、安定した脂質結晶を生成する。この製品は、皮膚、傷又は保護機能が損なわれている他の皮膚領域、及び体腔での使用に適合される。
【0016】
本発明は、泡を形成するための噴射剤(発泡剤)と混合された結晶モノグリセリドを含有する懸濁液又は半固形製剤を含む。混合は、10barまでの圧力下又は周囲条件の1barで行うことができる。泡の形態で製品を投与することにより、体腔の全容積又は領域の全表面を満たすことができる。泡は、皮膚温度で物理的に分解、融解するように構成されており、それにより、体腔の全表面が処理される。
【0017】
本発明はまた、体温で分解(融解)する脂質固形結晶を含む新規泡形成性送達システムに関する。泡は分解(融解)温度未満では強く安定しているため、体腔の内部の最も狭い部分又は皮膚上の治療すべき領域も覆うことができる。内部又は領域が泡で覆われると、泡が分解温度に達し、結晶が融解し、高温により泡が破損するまで、泡が身体又は皮膚によって加熱される。分解された泡の溶けた残骸は、濁った粘性のある液体であり、治療領域の組織を覆っている。そのような泡は、皮膚及び体腔の内部への医学的活性薬剤の送達に有用である。製品は、体腔又は皮膚を介した全身送達にも使用できる。
【0018】
脂質結晶は、身体及び皮膚温度(98.6°F又は37℃及び93.2°F又は34℃)より低い温度で泡構造を維持するのに充分な固形形態を有する。泡は2つのモードで製造できる。1つは、製造工程中に極性ガスを製品に混合することであり、次に、製品は常圧で泡の形態で保管される。もう1つの方法は、発泡ガスを製剤中に導入し、製品を10barまでの高圧で加圧缶内に保管することである。脂質結晶及び少なくとも1つの活性物質を含む泡形成性組成物は貯蔵され、噴射剤を使用して、該泡形成性組成物を吹き出し、体腔又は皮膚への適用中に泡を形成することができる。泡が所定の位置に配置されると、その泡は身体によって加熱される。泡が分解温度に達すると(分解温度は体/皮膚温度以下)、脂質結晶が融解し、泡が分解して、閉じ込められていた発泡ガスと活性薬剤が泡から放出され、体腔又は治療領域内の露出組織上に活性薬剤の層が形成される。
【0019】
本発明は、さらに、皮膚上又は体腔内の組織に局所的又は全身的に活性薬剤を投与する方法に関する。前述のように、皮膚及び腔内薬物投与に関するいくつかの問題がある。これらの問題の解決策は、体温で融解する結晶脂質の泡の形態で医学的活性薬剤を送達することである。泡は、溶融温度未満では泡を体腔の全容積に分配できるように充分な強度を持つと共に、融解すると表面全体に接着できるような構造を有する。泡は、また、すぐに分解することなく皮膚に投与できる程度に充分な強度がある。
【0020】
本発明は、さらに、組成物の泡を発生させることができると共に、体腔又は皮膚領域に泡を送達するように適合された泡導管を含む送達デバイスと組み合わされた、本明細書に開示の泡形成性組成物に関する。導管は、一般に、例えば適切な長さを有することにより体腔内の入口から最も離れた部分へ投与し、その後、例えば制御された所定の方法で導管を引き戻しながら外側部分へ投与できるように適合されている。
【0021】
本発明の目的は、
泡を形成する量のモノグリセリド結晶;
泡形成性組成物を吹き出して泡を形成する量の非親油性発泡剤;
皮膚又は体腔の疾患に対して効果的な少なくとも1つの医薬製剤;及び
水
を含んでなる、皮膚上又は体腔内の疾患を治療するように適合された泡形成性組成物によって達成することができ、この泡形成性組成物は、吹き出され又は混合されて泡を形成するときに体腔に適用されるように構成されており、その泡は体温において分解して医学的活性薬剤を放出する。特に明記しない限り、すべての%は組成物全体の重量基準である。
【0022】
本発明の目的は、また、
水;
該水中に懸濁され、結晶状態での融点が37℃未満で25℃を超える固形脂質結晶;及び
組成物を吹き出して泡を形成するための噴射剤
を含んでなる、体腔に活性薬剤を送達するための泡形成性医薬組成物によっても達成することができ、
該固形脂質結晶は、組成物が噴射剤によって吹き出されたときに泡を支えるような量で存在し、該組成物は、吹き出されたときに体腔に適用されるように適合されており、泡が体腔により加熱されると泡は融点で分解して泡の内容物を体腔内の組織に放出する。
【0023】
本発明の目的は、また、泡の組成物が融解時に体腔の表面に接触して活性成分を送達すると共に、その接触状態が、創傷又は膣液の流れにより除去されない抵抗性があるように、泡の組成物を適合させることによっても達成することができる。
【0024】
本発明の目的は、好ましくは、体腔全体への送達を提供するように適合された泡導管を用いて、前記泡形成性組成物から形成された泡を体腔へ導いて送達することによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、実施例16に従って形成された泡の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳細な説明
泡製剤
本発明は、発泡ガスと混合されたときに泡を形成する形態とすることができる。これは、混合しながら常圧(1bar)で製造中に発泡ガスを添加することにより、及び常圧でガス混合製品を包装することにより、又は10barまでの加圧下に発泡ガスを加え、それを加圧容器中に保管することにより実行することができ、泡は、主に、皮膚又は体腔への製品の適用時に生成される。製剤は、脂質結晶の懸濁液であることが有利であり、発泡ガスと混合又は加圧されて泡を形成することができる。本発明の製剤では、C12モノラウリンとC14モノミリスチンとの二つのモノグリセリドの好ましい組み合わせが泡を作り出し、皮膚における温度又は体温に晒されたときに分解することを我々は発見した。この実施形態では、この泡の好ましい使用について説明する。しかしながら、製剤は、人体の温度にさらされると分解する泡を利用することができ、本明細書に記載の新規な泡送達システム及び従来の泡も包含される。したがって、任意の適切な泡形成性組成物を使用することができるが、本発明は、本明細書に開示されている好ましい例に限定されない。
【0027】
医療効果を発揮するためには、製剤は罹患組織と物理的に接触しなくてはならない。液体及び半固形の形態の局所製剤は、粘膜組織の微小部分としか接触しないので、その完全な効果を発揮することはできない。本製剤では、泡は最初に体腔又は皮膚領域全体を満たし、次に体温によるモノグリセリドの融解により泡が分解する。このように、泡が分解して患部領域全体に活性薬剤を放出すると、治療領域の内面全体が製剤で覆われて治療される。
【0028】
泡は、人間の使用に適した噴射剤(発泡剤)、例えば限定はされないが空気や二酸化炭素の添加によって生成することができる。体腔への適用中に泡を提供するのに充分な量で、任意の望ましい適切な発泡剤を使用することができる。噴射剤の例示的な量は、大気圧から10バールまでの圧力を発生させる量である。噴射剤の量は、当業者によって評価されるような泡の所望の構造に依存し得る。
【0029】
さらに、本発明は、モノグリセリドのような結晶性脂質の形態の追加の安定化剤を1~35%の量で含むことができる。モノグリセリドは、1-グリセロールモノラウレートC12及び1-グリセロールモノミリステートC14である。C12とC14との量及び比率は、最終製品に必要な粘度に応じて変えることができる。C12対C14の比率は、クリーム製品の場合は1対3~1対1で、低粘度のローション/スプレー型製品の場合は1対3~1対0である。クリーム中の脂質の量は15~35%の間で変化するが、ローション及びスプレーの脂質含有量は1~15%が好ましい。モノグリセリドは、最終製剤では結晶形態である。モノグリセリド結晶分散液の製造は、すべての成分を例えば70℃に加熱し、30~39℃で結晶化が始まるまで、毎分0.5~5℃の一定速度で冷却することによって行われる。結晶化プロセスの前又は最中に、ホモジナイザーを使用して攪拌することにより、製品にガスを混入することができる。ガスは、残りの生産プロセス中及び包装中に製品中に残る。このような製品は加圧されないが、貯蔵安定性のある泡が形成される。
【0030】
新規泡送達システムの一実施形態において、非親油性ガスのような噴射剤(発泡剤)の存在下で、(固形)脂質結晶を含む泡を形成できる製剤が発明された。そのような結晶は、単一の脂質又は脂質混合物を含み得る。適切な脂質は、リン脂質、モノ及びジアシルグリセリド、N-アセチルエタノールアミド、及び乳酸及び脂肪酸のエステルである。脂質がその結晶状態にあるため、泡は体腔を満たしながらその構造を維持する。脂質は、少なくとも部分的に、より好ましくは50%まで、さらにより好ましくは70%まで、最も好ましくは80%までそれらの結晶状態である必要があり、走査熱量測定によって決定される。
【0031】
結晶脂質は、3次元の連続した繰り返し構造によって定義されるが、繰り返しの性質はすべての方向で同じではない場合がある。結晶は、水と脂質の二重層を含み、一方向に水と脂質の層の繰り返し構造を作り、二つの方向に脂質結晶を作る。結晶化度を検出する簡単な方法は、顕微鏡で複屈折を調べることである。たとえば、脂質ラメラ結晶の定義は、広角X線反射により達成することができる、Small, The lipid handbookからの、二つの次元で同じ繰り返しセルを有し、第三の次元では異なるセルを有する、3次元の連続性を持つ固形結晶である。組成物中のモノグリセリドの結晶化度は、示差走査熱量測定DSCによって決定できる。固形液晶からの転移は発熱性であり、エネルギーの放出を引き起こす。これは、走査熱量計によって決めることができる。
【0032】
(固形)脂質結晶の使用に関していくつかの利点がある。一般に結晶状態は最低エネルギー状態であるため、保存中に構造体はほとんど変化しない。結晶化、沈降又は合体により経時的に変化するエマルジョン及び液晶とは対照的に、固形脂質結晶構造は、製薬的観点では経時的変化を起こさない。安定した成分は、医薬品の開発において大きな利点と見なさる。
【0033】
本発明のもう一つの実施形態は、皮膚温度において又は体腔内において分解(融解)する泡の能力である。脂質の結晶が融解すると、ガスが放出され、泡が分解して、皮膚上又は体腔内の組織を覆うことができる溶液が形成される。泡の内容物である活性薬剤、pH調整剤等が組織に放出され、製品がその効果を発揮することができる。このような泡は、好ましくは25~37℃の温度で、より好ましくは30~37℃で、最も好ましくは32~37℃で溶融する必要がある。
【0034】
本発明のさらにもう一つの実施形態は、体腔の内容積を満たし、いったん融解すると表面を被覆して、医学活性薬剤を製剤中に存在させて、投与部位において粘膜との良好な接触を生み出す性能である。
【0035】
本発明に係る泡送達製剤は、溶媒又は分散媒体、好ましくは水を含むことができる。水は組成物のバランスをとることができる。固形脂質結晶は、泡を形成するのに適した量、例えば0.5~30%で存在する。組成物は、また、pH及び張度調節化合物及び薬学的活性薬剤も含むことができる。製剤は、泡特性を改善するための薬剤も含むことができ、例えば、高HLBの非イオン性界面活性薬剤であるが、これらに限定されない。そのような界面活性薬剤の例は、脂肪酸とアルコールのエステル又は極性の糖類である。
【0036】
典型的だが非限定的な手順では、固形脂質結晶は、水中で脂質を70~75℃に加熱して脂質を融解し、続いて室温まで冷却してラメラ結晶を固化することによって製造される。医学活性薬剤は、加熱の前、最中又は後に、さらには冷却後に添加することができる。必要であれば、冷却された結晶分散液を希釈し、加圧容器に詰める前に他の薬剤と混合することができる。そのような薬剤は、例えば、pH調整剤、溶媒、増粘剤、化学的及び物理的安定剤、保湿剤、皮膚軟化剤及び防腐剤であるが、これらに限定されない。
【0037】
本発明のさらなる実施形態において、製品を、適切な噴射剤(発泡剤)を含有する加圧容器内に提供することができる。製品と接触する適切な噴射剤の非限定的な例は、空気又は、酸素と窒素との同様の組成物、窒素、酸素及び二酸化炭素である。他の適切な噴射剤は、親水性の同様の成分及びこれらの混合物である。親水性とは、噴射剤が0~30℃の貯蔵温度でモノグリセリドの結晶構造を溶解できないことを意味する。必要な噴射剤の量は、適切な泡を形成するのに充分な量である。これは個々のものであり、泡の組成及び所望の特性に依存し、当業者が評価することができる。
【0038】
さらなる実施形態では、泡送達システムを、加圧包装の形態で提供することができる。これは、
図1及び2に示すように、すべての噴射剤が製品と混合された開放内部、又は、製品が容器内の小さなポリマー/サンドイッチ膜バッグに含まれ、したがって噴射剤の大部分から分離された、バルブ容器上バッグの形であり得る。このバッグの内側と外側で異なる噴射剤を使用して、泡の特性と製品の安定性を最適化することができる。貯蔵中に組成物と接触しない噴射剤は、前述の親水性噴射剤又はブタン、プロパン等のような任意の適切な親油性噴射剤とすることができ、前述の親水性噴射剤との混合物も含まれる。
【0039】
好ましい実施形態では、加圧容器、包装などに提供される泡送達システムは、治療すべき体腔のすべての領域に適切な送達を提供するように適合された泡誘導導管を備える。本開示の教示に基づいて、当業者は導管を選択することができる。
【0040】
本発明のさらにもう一つの好ましい実施形態において、製品が大気圧で発泡ガスと混合される。このような製品は、非加圧容器内に保管することができ、洗剤や石鹸の保管と配送を目的とするポンプが例示されるが限定はされない。
【0041】
一般に、体腔に適用する場合、導管の非存在下で達成可能なものよりも大きな体腔内表面の被覆、有利には完全な被覆をもたらす泡誘導導管が適合される。別の実施形態では、被覆率は50%、60%、70%、80%及び90%を超えるいずれかから選択することができる。
【0042】
体腔内の症状、疾患、感染又はその他を治療及び/又は予防するために利用される任意の所望の活性薬剤を、本発明では、薬学的に有効な量で使用することができる。
【0043】
もう一つの実施形態において、細菌、真菌、ウイルス、寄生虫又は他の微生物による感染症のような局所疾患の治療に泡を使用することができる。そのような感染の例は、細菌又は真菌性膣炎、ならびに淋病、梅毒及びクラミジアのような性感染症であるが、これらに限定されない。他の例は、耳炎及び鼻感染症、ならびに手術後の感染症又は炎症に対する予防的治療である。もう一つの例は、皮膚糸状菌又はマラセチアによる毛包炎を含む髭剃りによって引き起こされる真菌感染(白癬性毛瘡)を避けるための製品の予防的使用である。
【0044】
この発明品による治療に適した他の医学的適応は局所炎症プロセスであり、外陰膣炎が例示されるが限定はされない。適切な化合物は、ステロイド及び非ステロイド性抗炎症薬である。
【0045】
適切な医学的適応の他の例は乾癬であり、泡製剤に組み込むことができる有用な医学薬剤はビタミンD3拮抗薬及びステロイドである。湿疹の治療に有用な化合物も、本発明の泡製剤に導入することにより利益を得ることができる。そのような化合物の例は、ステロイド、NSAID及びCOX2阻害剤である。
【0046】
さらに他の医学的適応は、手術又は他の原因により発生した潰瘍の治療又は潰瘍後の瘢痕形成の軽減のための製剤である。適切な化合物の非限定的な例は、成長因子又は成長因子の放出に影響を及ぼす化合物の群から集められる。
【0047】
皮膚もしくは創傷上又は体腔内における真菌感染症は、皮膚糸状菌又はカンジダ種に対して効果的な抗真菌剤を含む本発明の泡を用いて治療することができる。
【0048】
本発明の製剤を用いて治療することができるもう一つの医学的症状は尿失禁である。好適な物質の例は、オキシブチニン、トルテロジン、ダリフェナシン、ソリフェナシン、トロスピウム、フェソテロジンのような抗コリン性化合物、及び、ミルベトリクのような膀胱弛緩化合物であるが、これらに限定されない。
【0049】
体腔への泡の投与は、全身性疾患の治療に利用することができる。体腔への泡の適用は、大きな適用面積、及び、粘膜の通過又は粘膜内への浸透のための好ましい条件を作り出すことができる。
【0050】
本発明のさらに他の実施形態において、界面活性薬剤が組成物中で有用であり得ることを我々は見出した。これらの薬剤は、泡の特性を改善することができるが、耳の中のようなワックス状の表面と製品との接触を増すこともできる。
【0051】
本発明は、また、過酸化水素HP、泡を形成するような量のモノグリセリド結晶、体腔内で3~5のpHを提供するような量で存在する少なくとも一種の酸及び/又は緩衝剤、及び水を含んでなる泡形成性組成物から泡を形成し、その泡を、泡形成性組成物を吹き出して泡を形成するような量の発泡剤と共に吹き出すことにより、体腔内の症状を治療する方法にも関する。この方法は、体腔に泡を適用して体腔内の組織を発泡剤を含む泡形成性組成物で被覆すること、及び/又は、身体により泡を泡の分解温度まで加熱させて、泡が分解して、3~5のpHで体腔内の組織に過酸化水素を放出させること、及び/又は、泡誘導導管により泡を誘導することを含む。
【0052】
本発明は、また、水、活性薬剤、及び結晶状態での融点が37℃未満で25℃より高い該水中に懸濁された固形脂質結晶を含んでなる、体腔に活性物質を送達するための泡形成性医薬組成物から泡を形成し、発泡剤を含む泡形成性組成物を吹き出すことにより、体腔内の組織に活性薬剤を送達する方法にも関する。その泡を体腔に適用して、発泡剤を含む泡形成性組成物で体腔内の組織を被覆する。身体により泡を泡の分解温度まで加熱させ、そこで泡は分解し、体腔内の組織に活性薬剤を放出し、及び/又は、泡誘導導管により泡を誘導する。
【0053】
過酸化水素の影響
限定はされないが淋病及び細菌性膣症が例示される性感染症及び他の膣感染症の治療における一つの問題は、抗生物質に対する耐性の発現である。抗生物質はその作用が特異的であり細菌の細胞膜に作用するので、細胞壁合成の小さな変化が抗生物質の不活性化につながる可能性がある。過酸化物、塩素やヨウ素のようなハロゲン、フェノール及びアルコール、ならびにフェノール化合物及び窒素化合物のような特異性の低い殺菌剤は、一般的な殺菌効果を有するので、耐性を生じにくい。しかし、一般的に、特異性が低いと、毒性のリスクが大きくなる。列挙されている殺菌剤のうち、それらのほとんどは体腔内への投与には不適切である。適切な一つは、過酸化水素(HP)である。
【0054】
過酸化物、特にHPは効果的な殺菌性化合物であり、ほとんどの微生物はHPに敏感であることが知られている。本発明は、薬学的に有効な量で存在する場合、関連する細菌を根絶することができることを発見した。HPの好ましい量には、0.05から1%、より好ましくは0.05から0.7%、最も好ましくは0.1から0.6%が含まれる。この用途において、成分の含有量は、組成物の総重量に基づいた重量%で示される。
【0055】
HPは100年以上にわたってヒトに投与されており、HPの使用を制限していた1つの問題は、過酸化水素の自動酸化であった。この現象により、HPが反応性物質にさらされるとすぐにHPが急速に分解することになる。速い反応は沸騰を引き起こし、HPの分解産物である酸素が発生し、HPは数分又は数秒で消費される。結晶性アシルモノグリセリド、好ましくはC12~C14の存在により、作用部位でのHPの分解速度を調整し、最大の効果を得るように最適化することができる。この手順は、HPをより高い濃度で皮膚に使用する文献に記載されている。ただし、この手順は体腔内での使用については実証されておらず、0.5%以下のような少量のHPについても実証されていない。
【0056】
HPは、例えばカタラーゼによって酵素的に分解することができ、膣及び尿道感染症には少なくとも2つのカタラーゼ源があり、それは、真核生物細胞からの天然産カタラーゼであり、他は、病原菌、すなわち淋菌及びガードネレラ・バギナリス(G.vaginalis)により産生されるカタラーゼである。カタラーゼは5を超えるpHで有効であり、この効果を避けるために、製品は体腔内のpHを3~5、好ましくは3.5~4.5に保つのに充分な量でアルファヒドロキシル酸を含むことが有利である。体腔への適用に適した任意の酸又は緩衝システムを利用できる。膣の場合、乳酸がすでに膣に存在するため、好ましい酸は乳酸である。他の好ましい酸性化剤は、乳酸、グリコール酸及びアクリル酸又はそれらの組み合わせのポリマー及びオリゴマーである。
【0057】
組成物中のアルファヒドロキシル酸、すなわち存在するモノマー及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーの組み合わせの量は、好ましくは1~10%、より好ましくは2~7%、最も好ましくは3~6%である。より狭いpH範囲内で操作するために、酸の一部を酸の塩又は塩基で置き換えて緩衝液を作ることができる。最終的pHは、1~10部の膣液にさらされたとき、好ましくは3~6、より好ましくは3.5~5、最も好ましくは3.5~4.5とすべきである。
【0058】
アルファヒドロキシル酸の非限定的な例は乳酸である。
【0059】
本発明のもう一つの重要な特性は、適用部位でのpHを調節する能力である。健康な膣のpHは約4であるが、男性の淋病感染症の主な部位である尿道は、カタラーゼ活性に良好な8~5である。本発明は、カタラーゼを阻害するために膣内pHを充分に低く保つ目的でアルファヒドロキシル酸を含む。酸の量は、病原体によって、又は局所又は血漿からの侵入細胞によって生成されるカタラーゼ活性を阻害するために、5未満のpHを提供するのに充分であることが好ましい。3~5のpHを提供するために、アルファヒドロキシル酸に基づく少なくとも1つの緩衝液の使用が好ましい。好ましい緩衝液は乳酸緩衝液である。好ましいpHはpH3~5であり、より好ましくは3.5~4.5のpHである。緩衝液は、膣液又は尿道液で希釈されたときにpHを5未満に保つことができる量で存在することが好ましい。
【0060】
皮膚疾患の治療には、局所刺激を避けるために5~5.5の低pHが必要な場合がある。任意の生理学的に許容される緩衝液システムをこの目的のために使用することができ、当業者は必要な緩衝液の量を評価することができる。
【0061】
過酸化水素用の安定剤
本発明は、自動酸化を避けるために、少なくとも一つ、好ましくは少なくとも二つ、より好ましくはいくつかのHP用安定剤を含有する。HP用の安定剤はよく知られており、任意の適切な安定剤を使用することができる。
【0062】
2~6個の炭素原子の鎖長を有するポリカルボン酸、好ましくはシュウ酸がHPへの安定化効果を示した。酸は、塩又は酸として製剤に加えることができる。このタイプの最も好ましい酸はシュウ酸である。酸は、好ましくは0.05~0.5%、より好ましくは0.1~0.3%の濃度で添加される。
【0063】
ナトリウム塩又はピロリン酸塩としての塩の形態のスズは、スズ相当量で0.005~0.05%、又は好ましくは0.01~0.03%の量で存在し得る。
【0064】
サリチル酸は、0.02~0.5%、好ましくは0.05~0.2%の量で加えることができる。サリチル酸は、サリチル酸の塩として添加することもできる。そのレベルを超えるとサリチル酸の薬理作用が予想されるため、0.5%を超えるサリチル酸の濃度は避けることが好ましい。
【0065】
本発明は、HPの安定性のためにpHを調整することができる。この安定剤の組み合わせにおいて、貯蔵中の好ましいpHは3.5~4.5であることがわかったが、これは、従来技術の教示、例えば、背景技術部分で言及されたSchumbら及び他の著者の教示を考慮すると予想外であった。緩衝されない場合、本発明におけるpHは典型的には製造後に上昇し、例えば、製造直後の製剤の4.5のpHが、典型的には数週間の貯蔵後にpH5に上昇し、残りの貯蔵寿命の間、pH5.3未満に留まる。
【0066】
ピロリン酸塩のような追加の安定剤、及び限定はされないがEDTA及びホスホン酸のような金属イオン封鎖剤ならびにサリチル酸も製剤に組み込むことができる。HLBが20を超える極性界面活性剤のような脂質の沈降に対する物理的安定剤、及びポリアクリル酸誘導体のような増粘剤も、製剤に添加して、その特性を改善することができる。グリセロールやプロピレングリコールのような伝統的な皮膚科用薬剤を加えることができる。
【0067】
他の活性成分には、安定剤に関する他の要件があり得る。ビタミン又はその誘導体、没食子酸塩又は他の既知の安定剤の使用を、本発明の製剤に含めることができる。
【実施例】
【0068】
例として製造された製品の一部を、泡の形成及び泡の安定性を評価するために顕微鏡検査に付した。MoticB3プロフェッショナルの光学顕微鏡で4×10の倍率を用いて検査した。見つけられた気泡はすべて不規則で、球状でなく、その形状は、気泡を形成している構造が固体状態であり液体ではないことを示唆している。
【0069】
実施例1
表1の製剤を製造し、HPに対するアッセイであるUSPの過マンガン酸塩滴定法により、HPの含有量について試験した。製造は以下の手順に従って実施した。EDTA、スズ酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム及びシュウ酸ナトリウムを水に溶解した。該当する場合、この時点で増粘剤を含ませる。乳酸及び水酸化ナトリウムを加え、pHを調整した。モノグリセリドを加え、混合物を70~75℃に加熱し、撹拌しながら15分間保持した。15分後、毎分5℃未満でゆっくりと約35℃まで冷却したときに結晶化が起こり、続いて温度が上昇した。結晶化が完了した後、過酸化水素を加えた。製品を、金属缶とラミネート内部バッグで構成されるスプレー容器に詰めた。製品を空気と予備混合し、バルブ上バッグの内側に充填し、圧力5barまで空気を追加した。製品を30℃、25℃、3~8℃で保存した。HPの含有量の分析は、酢酸への組成物の溶解及び過マンガン酸カリウムにより色変化するまでの滴定を含む滴定法により行った。
【0070】
【0071】
実施例2 泡形成
泡の形成能力とHPの安定性に対する脂質の量の影響を研究した。製剤を、実施例1に従って製造し、容器内の金属材料から製品を保護するポリマーの内側容器を有するエアロゾル容器内に、空気又は、医薬品グレードのプロパンとブタンとの50/50混合物を加圧下に0.25%添加することによりエアロゾルを製造した。
【0072】
【0073】
空気を含む3つのバッチはすべて、缶から放出されると白色固形泡を生成し、肉眼で観察された。ブタン/プロパンを含むバッチによって生成された泡は、不均質なオフホワイト/黄色の泡を生成した。製品は、示差走査熱量計DSCを使用して、モノグリセリドの結晶化度について試験した。空気を含む製品の結晶化度は70%を超えている。ブタンで加圧された容器の結晶化度は50%未満であった。
【0074】
実施例3
過酸化水素安定性に対する噴射剤の影響
製造:EDTA及びナトリウム塩を、水の75%主要部分に溶解した。乳酸及び水酸化ナトリウムを加え、pHを調整した。モノグリセリドを加え、混合物を70~75℃に加熱し、撹拌しながら15分間保持した。15分後、毎分5℃未満でゆっくりと約35℃まで冷却したとき結晶化が起こり、続いて温度が上昇した。結晶化が完了した後、過酸化水素と残りの水を加えた。製品を、金属缶とアルミニウム/ポリマーラミネート内側バッグからなるスプレー容器に包装した。ラミネートバッグの内側と外側で同じ噴射剤を使用した。ブタンとプロパンの混合物を保管するときは、重りを充填し、空気が噴射剤として使用されるときは、所定の圧力まで充填する。その理由は、プロパン及びブタンは、混合物に応じて3~6気圧の圧力で流体であり、空気は約-190℃で流体に変わるためである。
【0075】
【0076】
過酸化水素含有量の減少は、空気で噴射されるバッチでは非常に低いか、存在しなかった。ブタン/プロパンを噴射剤として使用する場合、過酸化水素の安定性は著しく低い、すなわち、過酸化水素含有量が大幅に減少した。
【0077】
【0078】
製造:EDTAを一部の水に溶解させた。乳酸及び水酸化ナトリウムを加え、pHを調整した。モノグリセリドを加え、混合物を70~75℃に加熱し、撹拌しながら15分間保持した。15分後、毎分5℃未満でゆっくりと約35℃まで冷却したとき結晶化が起こり、続いて温度が上昇した。結晶化が完了した後、水中のBPOの懸濁液を加えた。製品を、金属缶とアルミニウム/ポリマーラミネート内側バッグからなるスプレー容器に包装した。製品を空気と予備混合し、バルブ上バッグの内側に充填し、5.5気圧まで空気を追加した。製品を25℃及び3~8℃で保存した。BPOの含有量の分析はHPLC-UV法により行った。25℃では、1か月の保管後に製品の分解は見られなかった。
【0079】
表4に記載されている噴射剤(発泡剤)の量は、組成物と接触している噴射剤の量を示す。製品は25℃でわずかな分解を示したが、2~8℃で安定している。
【0080】
実施例5
泡の融点を決定した。
表5による製剤を、実施例1に従って製造した。
【0081】
【0082】
方法と結果:製剤の融解は、示差走査熱量測定DSCによって試験した。DSC7を使用し、約5mgの各製剤を計量し、アルミニウム容器に入れた。製剤の融解ピークは、最初に約0℃まで冷却し、次に毎分5℃の速度で50℃まで加熱することにより決定した。
【0083】
結果は、2つのモノグリセリドの組み合わせにより、体温に加熱すると組成物が融解し、体腔内の罹患組織に活性物質を均一に適用できることを示している。
【0084】
【0085】
水を75℃に加熱し、成分表の最初の5つの成分である塩と乳酸をその水に溶解し、モノグリセリドを加えることにより製剤を製造した。75℃で15分後、モノグリセリドが融解し、混合物をゆっくりと約30℃まで冷却して結晶化を得て、冷却を停止する。組成物からの光の反射の増加として見える結晶化の後、周囲温度<25℃まで冷却した。水酸化ナトリウムでpHを調整し、過酸化水素を加えた。製造された組成物をバルク容器に包装した。
【0086】
実施例7
実施例1に従って製造した水中の結晶脂質の懸濁液であり表5による組成を有する製品を、加圧下に、二種類の圧力容器、すなわち、二重区画包装容器であるバルブ上バッグと、単一区画包装容器とに包装した。バルブ上バッグBOV中に包装して、手動充填用具を用いて圧力容器を作った。最初に組成物を充填し、次にバルブ上バッグの外側にガスを充填し、最後にバルブ上バッグの内側にガスを充填した(組成物と接触して)。組成物と接触して使用されたガスは、バッグの外側のガスと同様に圧縮空気であった。
【0087】
【0088】
【0089】
エアロゾル包装の観点から、約35℃で融解する固形泡が発生したので、両方の種類の包装容器を用いることができる。
【0090】
実施例8 泡安定性
一方は市販のもの、他方は本発明によるものである2つの泡製品を製造し、加圧包装し、泡安定性を試験するためのEP方を修飾することにより泡安定性を試験する。
【0091】
【0092】
【0093】
泡の安定性と接着性の試験
直径26mmで容積60mlのガラス管を水浴で37℃に加熱した。ガラス管を取り外し、逆さまにした。最初に開口部から最も離れた空洞容積を充填し、次に、泡送達を最適化するように導管を引き戻すことを含む制御された手順により、泡を、泡誘導導管を通してその管内に満たされるまで投与した(図参照)。次に、管を水浴に戻した。展延性、融解性及び管表面への接着性を検討した。
【0094】
結果
本発明の泡は、ガラス管の容積を完全かつ迅速に満たした。水浴で約30秒後、それは融解し始め、表面に付着した。肉眼で観察されるように、ガラス管の内面全体が溶融した泡で覆われた。先行技術の泡は、表面との接触時に分解し、容積を満たさず、チューブの内表面の一部のみが先行技術の泡で覆われた。
【0095】
実施例9 混合モノグリセリド結晶についての融解温度の試験
モノグリセリド混合物
製造:水を75℃に加熱し、乳酸を加え、次にモノグリセリドを加えた。15分間攪拌した後、融解が完了した後、ゆっくりと冷却した。結晶化が始まったら、30℃で冷却を停止した。結晶化後、製剤を受動冷却により周囲温度まで冷却させた。製造された組成物の融解温度は、DSC-7PerkinElmerによる示差走査熱量測定により決定した。融点は、5mgをアルミニウム容器中に秤量して、密閉し、温度を毎分5℃の速度で0℃から45℃まで上げることにより、DSCで試験した。融点を、エネルギー摂取の開始として推定した。結果を表11に示す。
【0096】
【0097】
モノグリセリドの融解の開始である融点は、モノラウリンとモノミリスチン、すなわちDとEとの組み合わせについての皮膚温度における融解を示している。データは、2を超える炭素鎖長の相違を有するモノグリセリドの混合物がジョイント結晶を形成しないことも示している。主成分としてのモノカプリレートとの混合物は4~5℃で融解し、これは低すぎるが、モノミリスチンとモノステアレートGとの組み合わせは、高すぎる温度で融解する。
【0098】
実施例10 膣感染症の局所治療を目的とした製剤
【表12】
【0099】
組織及び皮膚と接触したときの特性を向上させるための、ここに開示の組成物及び泡の特性を維持するような量の、組織及び皮膚と接触したときの特性を向上させるための、ここに開示の組成物及び泡の特性を維持するような量の、3mg/g過酸化水素の膣用泡の組成物の例。
【0100】
活性物質であるHPは、ほとんどの微生物に対して活性である。微生物が、例えばカタラーゼ又は同様の酵素によってHPを低下させる場合にのみ、抗菌能力が低下する。本製剤はこのカタラーゼ効果を回避するため、製剤を広く使用できる。淋病やカンジダのような性感染症STIならびに細菌性膣症及びトリコモナスは、本発明を用いて治療に成功することができる。過酸化水素に敏感な細菌によって引き起こされる、膣、尿道、肛門、口腔及び鼻の領域ならびに耳の中の他の感染症は、本発明で治療することができるはずである。
【0101】
体腔には、膣、口と喉、鼻部、耳、尿道及び直腸のような周囲と接触する自然の腔だけでなく、外科的介入、透析、プロテーゼ導入や創傷などの際に形成される腔のような人口的体腔も含まれる。
【0102】
製剤の膣又は他の体腔への使用
本製剤は、嫌気性細菌によって引き起こされる感染症の治療のための体腔内での使用に適合させることができる。適切な体腔の例は、膣、尿管、肛門及び口腔である。また、鼻及び耳の中の感染症もこの製剤で治療することができる。
【0103】
HPで治療できる感染症の例
体腔は、外傷を引き起こすことなく外部からアクセスできるべきであるが、脳、心臓及び脊髄の腔、ならびに上部胃腸管は排除される。
【0104】
膣感染症の治療に有用な製剤を表8に示す。この製剤は、過酸化水素に敏感な微生物によって引き起こされる感染症の治療に有用である。そのような細菌の非限定的な例は、細菌性膣症、真菌感染、淋病、梅毒及びクラミジアに関する。また、ウイルスに対して局所的に効果的でもある。
【0105】
実施例11 泡中ステロイド製剤
このタイプの泡は、乾癬、皮膚炎及びその他のタイプの湿疹のような炎症性疾患の治療に有用である。
【表13】
【0106】
モノグリセリドを水で75℃に加熱し、15分間撹拌し、続いてグリセロールとモメタゾンフラノエートを添加し、次いでゆっくりと冷却して約35℃で結晶化させることにより製造を行った。次いで、製品を周囲温度に冷却した。発泡能力と泡品質の試験は、大気圧でバルククリームに空気を吹き付けることによって行った。このための方法を実行し、30秒後に泡が形成された。泡は25℃の通常の大気中で30日以上安定であることが顕微鏡で評価された。閉じ込められている気泡は、構造が液体二層膜ではなく平面結晶によって構成されていることを示唆した。
【0107】
【0108】
モノグリセリドを水で75℃に加熱し、15分間撹拌し、続いてグリセロールと塩化オキシブチニンを添加し、次いでゆっくりと冷却して約35℃で結晶化させることにより製造を行った。次いで、製品を周囲温度まで冷却した。発泡能力と泡品質のテストは、大気圧でバルククリームに空気を吹き付けることによって行った。このための方法を実行し、30秒後に泡が形成された。泡は25℃の通常の雰囲気で30日間以上安定であることが顕微鏡で評価された。閉じ込められている気泡は、構造が液体二層膜ではなく平面結晶によって構成されていることを示唆した。
【0109】
【0110】
モノグリセリドを水で75℃に加熱し、15分間撹拌し、次いでゆっくりと冷却して約35℃で結晶化させることにより製造を行った。次いで、製品を周囲温度まで冷却した。結晶化後にカルシポトリオールとグリセロールを加えた。発泡能力と泡品質の試験を、大気圧でバルククリームに空気を吹き付けることによって行った。このための方法を実行し、30秒後に泡が形成された。泡は25℃の通常の雰囲気で30日以上安定であることが顕微鏡で評価された。閉じ込められている気泡は、構造が液体二層膜ではなく平面結晶によって構成されていることを示唆した。
【0111】
【0112】
モノグリセリドを水で75℃に加熱し、15分間撹拌し、続いてグリセロールとドキセピンを添加し、次いでゆっくり冷却して約35℃で結晶化させることにより製造を行った。次いで、製品を周囲温度に冷却した。発泡能力と泡品質のテストは、大気圧でバルククリームに空気を吹き付けることによって行った。このための方法を実行し、30秒後に泡が形成された。泡は25℃の通常の大気中で30日以上安定であることが顕微鏡で評価された。閉じ込められている気泡は、構造が液体二層膜ではなく平面結晶によって構成されていることを示唆した。
図1は泡の写真、
図2は1か月後の泡の写真である。
【0113】
【0114】
モノグリセリドを水で75℃に加熱し、15分間撹拌し、続いてグリセロールとジクロフェナクジエチルアミンを添加し、次いでゆっくり冷却して約35℃で結晶化させることにより製造を行った。次いで、製品を周囲温度まで冷却した。発泡能力と泡品質のテストは、大気圧でバルククリームに空気を吹き付けることによって行った。このための方法を実行し、30秒後に泡が形成された。泡は25℃の通常の大気中で30日以上安定であることが顕微鏡で評価された。閉じ込められている気泡は、構造が液体二層膜ではなく平面結晶によって構成されていることを示唆した。
【0115】
【0116】
モノグリセリドを水で75℃に加熱し、15分間撹拌し、続いてグリセロールとテルビナフィンHClを加えてさらに5分間撹拌し、次いでゆっくり冷却して約35℃で結晶化させることにより製造を行った。次いで、製品を周囲温度まで冷却した。発泡能力と泡品質の試験を、大気圧でバルククリームに空気を吹き付けることによって行った。このための方法を実行し、30秒後に泡が形成された。泡は25℃の通常の大気中で30日以上安定であることが顕微鏡で評価された。閉じ込められている気泡は、構造が液体二層膜ではなく平面結晶によって構成されていることを示唆した。
【0117】
実施例17 乾燥刺激皮膚及び体腔用の泡
【表19】
【0118】
モノグリセリドを水で75℃に加熱し、15分間撹拌し、続いて乳酸、グリセロール及びMyrj59を添加し、次いでゆっくり冷却して約35℃で結晶化させることにより製造を行った。次いで、製品を周囲温度まで冷却した。発泡能力と泡品質の試験を、大気圧でバルククリームに空気を吹き付けることによって行った。このための方法を実行し、30秒後に泡が形成された。泡は25℃の通常の大気中で30日以上安定であることが顕微鏡で評価された。閉じ込められている気泡は、構造が液体二層膜ではなく平面結晶によって構成されていることを示唆した。
【0119】
発泡剤(空気など)を懸濁液に吹き込むことにより形成された泡が長期安定性を示したことは予想外であり、驚くべきことであった。発泡剤を膨張させて泡を形成させることにより形成された泡も長期安定性を示したことも予想外であり、驚くべきことであった。