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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】低寄生キャパシタンス低雑音増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/26 20060101AFI20231011BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20231011BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20231011BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20231011BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20231011BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20231011BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20231011BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231011BHJP
   H04B 1/40 20150101ALI20231011BHJP
【FI】
H03F1/26
H01L21/88 J
H01L27/04 C
H01L27/04 F
H01L29/78 613Z
H01L29/78 616L
H01L29/78 616T
H04B1/40
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020516404
(86)(22)【出願日】2018-08-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 US2018048128
(87)【国際公開番号】W WO2019067130
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-08-10
(31)【優先権主張番号】62/564,155
(32)【優先日】2017-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/976,710
(32)【優先日】2018-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507364838
【氏名又は名称】クアルコム,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】シナン・ゴクテペリ
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-513417(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0357477(US,A1)
【文献】特開平8-107186(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0296002(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0061766(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/3205-21/3215
H01L21/336
H01L21/822-21/8249
H01L27/04-27/118
H01L29/78-29/792
H03F1/00-3/72
H04B1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低雑音増幅器(LNA)デバイスであって、
セミコンダクタオンインシュレータ(SOI)層上の第1のトランジスタであって、ソース領域、ドレイン領域およびゲートを含む、第1のトランジスタと、
前記ゲートの第1の面のコンタクト層に結合された第1の面のゲートコンタクトであって、前記第1の面のコンタクト層は膜の形態である、第1の面のゲートコンタクトと、
前記ソース領域に結合された第2の面のソースコンタクトと、
前記ドレイン領域に結合された第2の面のドレインコンタクトと
前記第2の面のソースコンタクトを通して前記ソース領域に結合された第1のビアであって、前記SOI層の絶縁層を通って前記絶縁層を支持する第2の面の誘電体層の中に延びる、第1のビアと、
前記第2の面のドレインコンタクトを通して前記ドレイン領域に結合された第2のビアであって、前記SOI層の前記絶縁層を通って前記第2の面の誘電体層の中に延びる、第2のビアとを含む、LNAデバイス。
【請求項2】
第1の面が前記第1のトランジスタの前面を含み、第2の面が前記第1のトランジスタの裏面を含む、請求項1に記載のLNAデバイス。
【請求項3】
第2の面が前記第1のトランジスタの前面を含み、第1の面が前記第1のトランジスタの裏面を含む、請求項1に記載のLNAデバイス。
【請求項4】
前記第2の面のソースコンタクトおよび前記第2の面のドレインコンタクトのうちの少なくとも一方がシリサイドコンタクト層を含む、請求項1に記載のLNAデバイス。
【請求項5】
前記第1の面のゲートコンタクトに結合され、第1の面の誘電体層内に配置された第1の面の配線工程(BEOL)相互接続をさらに含む、請求項1に記載のLNAデバイス。
【請求項6】
前記第1のトランジスタが
1の面の誘電体層または前記第2の面の誘電体層上のハンドル基板をさらに含む、請求項1に記載のLNAデバイス。
【請求項7】
前記第2の面のソースコンタクトおよび前記第2の面のドレインコンタクトのうちの少なくとも一方に結合された少なくとも1つの無線周波数(RF)構成要素をさらに含む、請求項1に記載のLNAデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つのRF構成要素が、抵抗器、インダクタ、キャパシタ、またはアンテナのうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載のLNAデバイス。
【請求項9】
RFフロントエンドモジュールに統合され、前記RFフロントエンドモジュールが、音楽プレーヤ、ビデオプレーヤ、エンターテインメントユニット、ナビゲーションデバイス、通信デバイス、携帯情報端末(PDA)、固定ロケーションデータユニット、モバイル電話、およびポータブルコンピュータのうちの少なくとも1つに組み込まれる、請求項1に記載のLNAデバイス。
【請求項10】
低雑音増幅器(LNA)デバイスを構築する方法であって、
犠牲基板によって支持される絶縁層の第1の表面上に第1のトランジスタを製作するステップであって、前記第1のトランジスタは、第1の面のコンタクト層を介して第1の面のゲートコンタクトに結合されたゲートを含み、前記第1の面のコンタクト層は膜の形態である、ステップと、
第1の面の誘電体層を前記第1のトランジスタ上に堆積させるステップと、
ハンドル基板を前記第1の面の誘電体層に接合するステップと、
前記犠牲基板を除去するステップと、
前記絶縁層の前記第1の表面と反対の第2の表面を通して、前記第1のトランジスタのソース領域の第2の面およびドレイン領域の第2の面を露出させるステップと、
第2の面のソースコンタクトを前記ソース領域の前記第2の面上に堆積させるステップと、
第2の面のドレインコンタクトを前記ドレイン領域の前記第2の面上に堆積させるステップと
前記第2の面のソースコンタクトを通して前記ソース領域に結合される第1のビアを製作するステップであって、前記第1のビアは、前記絶縁層を通って、前記絶縁層を支持する第2の面の誘電体層の中に延びる、ステップと、
前記第2の面のドレインコンタクトを通して前記ドレイン領域に結合される第2のビアを製作するステップであって、前記第2のビアは、前記絶縁層を通って前記第2の面の誘電体層の中に延びる、ステップとを含む、方法。
【請求項11】
少なくとも1つの無線周波数(RF)構成要素を、前記第2の面のソースコンタクトおよび前記第2の面のドレインコンタクトのうちの少なくとも一方に結合するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのRF構成要素が、抵抗器、インダクタ、キャパシタ、またはアンテナのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の面の誘電体層の中に、前記第1のビアおよび前記第2のビアのうちの少なくとも一方を通して前記第1のトランジスタの前記第2の面のソースコンタクトおよび前記第2の面のドレインコンタクトのうちの少なくとも一方に結合された層転写後金属被覆層を製作するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記LNAデバイスをRFフロントエンドモジュールに統合するステップをさらに含み、前記RFフロントエンドモジュールが、音楽プレーヤ、ビデオプレーヤ、エンターテインメントユニット、ナビゲーションデバイス、通信デバイス、携帯情報端末(PDA)、固定ロケーションデータユニット、モバイル電話、およびポータブルコンピュータのうちの少なくとも1つに組み込まれる、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年9月27日に出願された「LOW PARASITIC CAPACITANCE LOW NOISE AMPLIFIER」と題する米国仮特許出願第62/564,155号の利益を主張する、2018年5月10日に出願された「LOW PARASITIC CAPACITANCE LOW NOISE AMPLIFIER」と題する米国特許出願第15/976,710号の利益を主張するものであり、それらの開示の全体が参照により本明細書に明白に組み込まれる、
【0002】
本開示は、一般に、集積回路(IC)に関する。より詳細には、本開示は、低寄生キャパシタンス低雑音増幅器に関する。
【背景技術】
【0003】
ワイヤレス通信システムにおけるワイヤレスデバイス(たとえば、携帯電話またはスマートフォン)は、双方向通信のためにデータを送受信するための無線周波数(RF)トランシーバを含み得る。モバイルRFトランシーバは、通信信号のデータ送信のための送信セクションとデータ受信のための受信セクションとを含み得る。データ送信の場合、送信セクションは、データを有するRFキャリア信号を変調して変調されたRF信号を取得し、変調されたRF信号を増幅して適切な出力電力レベルを有する増幅されたRF信号を取得し、増幅されたRF信号をアンテナを介して基地局に送信し得る。データ受信の場合、受信セクションは、受信RF信号をアンテナを介して取得し得る。受信セクションは、受信RF信号を増幅し処理して、通信信号内の基地局によって送られたデータを復元し得る。
【0004】
モバイルRFトランシーバは、これらの通信信号を増幅するための1つまたは複数の回路を含み得る。増幅器回路は、1つまたは複数のドライバ段および1つまたは複数の増幅器出力段を有し得る1つまたは複数の増幅器段を含み得る。増幅器段の各々は、通信信号を増幅するために様々な方法で構成された1つまたは複数のトランジスタを含む。モバイルRFトランシーバによって送受信された通信信号を増幅するように構成されるトランジスタを製作するために、様々なオプションが存在する。
【0005】
これらのモバイルRFトランシーバの設計は、トランジスタ製作のためにセミコンダクタオンインシュレータ(SOI)技術を使用することが含み得る。SOI技術は、寄生デバイスキャパシタンスを低減して性能を改良するために、従来の半導体基板を、層状の半導体-絶縁体-半導体の基板と置き換える。シリコン接合は電気的絶縁体、典型的には埋込み酸化物(BOX)層の上にあるので、SOIベースのデバイスは、従来のシリコン製デバイスとは異なる。しかしながら、低減された厚さのBOX層は、半導体層上の能動デバイスとBOX層を支持する半導体基板との近接によって生じる寄生キャパシタンスを十分に低減しない場合がある。
【0006】
SOI層上の能動デバイスは、相補型金属酸化物半導体(CMOS)トランジスタを含み得る。残念ながら、SOI技術を使用してトランジスタを思い通りに製作することは、寄生キャパシタンスによって困難になる。たとえば、コンタクト/相互接続-ゲート間キャパシタンスの形態の寄生キャパシタンスが、配線工程(BEOL:back-end-of-line)相互接続および/または中間工程(MOL:middle-of-line)コンタクトとトランジスタのゲートとの近接によって引き起こされる。この付加的キャパシタンスは、回路遅延および回路損失などの悪影響を引き起こす。この付加的キャパシタンスは、低雑音増幅器(LNA)に対して特に問題であり、それは、5Gの適用例に対するサポートを阻む場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
低雑音増幅器(LNA)デバイスは、セミコンダクタオンインシュレータ(SOI)層上の第1のトランジスタを含み得る。第1のトランジスタは、ソース領域、ドレイン領域、およびゲートを含み得る。LNAデバイスは、ゲートに結合された第1の面のゲートコンタクトも含み得る。LNAデバイスは、ソース領域に結合された第2の面のソースコンタクトをさらに含み得る。LNAデバイスは、ドレイン領域に結合された第2の面のドレインコンタクトも含み得る。
【0008】
低雑音増幅器(LNA)デバイスを構築する方法は、犠牲基板によって支持される絶縁層の第1の表面上に第1のトランジスタを製作するステップを含み得る。第1のトランジスタは、第1の面のゲートコンタクトに結合されたゲートを含む。方法は、第1の面の誘電体層を第1のトランジスタ上に堆積させるステップも含み得る。方法は、ハンドル基板を第1の面の誘電体層に接合するステップをさらに含み得る。方法は、犠牲基板を除去するステップも含み得る。方法は、絶縁層の第1の表面と反対の第2の表面を通して、第1のトランジスタのソース領域の第2の面およびドレイン領域の第2の面を露出させるステップをさらに含み得る。方法はまた、第2の面のソースコンタクトをソース領域の第2の面の上に堆積させるステップと、第2の面のドレインコンタクトをドレイン領域の第2の面の上に堆積させるステップとを含み得る。
【0009】
無線周波数(RF)フロントエンドモジュールは、低雑音増幅器を含み得る。低雑音増幅器は、セミコンダクタオンインシュレータ(SOI)層上の第1のトランジスタを含み得る。第1のトランジスタは、ソース領域、ドレイン領域、およびゲートを含み得る。低雑音増幅器はまた、ゲートに結合された第1の面のゲートコンタクト、ソース領域に結合された第2の面のソースコンタクト、およびドレイン領域に結合された第2の面のドレインコンタクトを含み得る。RFフロントエンドモジュールは、低雑音増幅器の出力に結合されたアンテナも含み得る。
【0010】
上記では、後続の詳細な説明をよりよく理解することができるように、本開示の特徴および技術的利点について、かなり大まかに概説してきた。本開示の追加の特徴および利点について、以下で説明する。本開示が、本開示と同じ目的を果たすための他の構造を変更または設計するための基礎として容易に利用できることを、当業者は理解されたい。そのような同等な構成は、添付の特許請求の範囲に記載される本開示の教示から逸脱しないことも当業者は認識されたい。構成と動作方法の両方に関して本開示の特性であると考えられる新規の特徴は、添付の図面と併せて考慮されるとき、さらなる目的および利点とともに、以下の説明からより良く理解されよう。しかしながら、図の各々が、例示および説明のために提供されるにすぎず、本開示の範囲を定めるものではないことは明確に理解されたい。
【0011】
本開示のより完全な理解が得られるように、ここで、添付の図面と併せて以下の説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】チップセットに対するワイヤレスローカルエリアネットワークモジュールおよび無線周波数(RF)フロントエンドモジュールを有するワイヤレスデバイスの概略図である。
図2図1に示すワイヤレスデバイスなどのワイヤレスデバイスの例示的な設計のブロック図である。
図3】本開示の態様による、層転写プロセスを使用して製作された無線周波数(RF)集積回路の断面図である。
図4】層転写プロセスを使用して製作された無線周波数(RF)集積回路の断面図である。
図5図4のRF集積回路のソース、ドレインおよびゲートのコンタクトに対するルーティングを示す図である。
図6A】本開示の態様による、低寄生キャパシタンス低雑音増幅器(LNA)のトランジスタを含むRF集積回路(RFIC)の断面図である。
図6B】本開示の態様による、低寄生キャパシタンス低雑音増幅器(LNA)のトランジスタを含むRF集積回路(RFIC)の断面図である。
図7A】本開示の態様による、低寄生キャパシタンスLNAに対する前面ルーティングを示す図である。
図7B】本開示の態様による、低寄生キャパシタンスLNAに対する前面ルーティングを示す図である。
図8A】本開示の態様による、低寄生キャパシタンスLNAに対する裏面ルーティングを示す図である。
図8B】本開示の態様による、低寄生キャパシタンスLNAに対する裏面ルーティングを示す図である。
図9】本開示の態様による、LNAを含むRF集積回路を構築するために層転写を用いる裏面シリサイド化プロセスの方法を示すプロセスフロー図である。
図10】本開示の一態様が有利に使用され得る例示的なワイヤレス通信システムを示すブロック図である。
図11】上で開示されたRFデバイスのような、半導体構成要素の回路設計、レイアウト設計、および論理設計のために使用される、設計用ワークステーションを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面に関して以下に記載する詳細な説明は、様々な構成の説明として意図され、本明細書で説明する概念が実践され得る唯一の構成を表すものではない。詳細な説明は、様々な概念の完全な理解をもたらすための具体的な詳細を含む。しかしながら、これらの概念がこれらの具体的な詳細なしに実践され得ることが当業者には明らかであろう。場合によっては、そのような概念を不明瞭にすることを避けるために、よく知られている構造および構成要素がブロック図の形態で示される。
【0014】
本明細書で説明するとき、「および/または」という用語の使用は、「包含的論理和」を表すことが意図され、「または」という用語の使用は、「排他的論理和」を表すことが意図される。本明細書で説明するように、本説明全体を通して使用されている「例示的」という用語は、「例、事例、または例証としての役割を果たす」ことを意味しており、必ずしも他の例示的な構成に優る好ましい、または有利なものとして解釈してはならない。本明細書で説明するように、本説明全体を通して使用されている「結合される」という用語は、「電気的、機械的、またはそれ以外の介在する接続(たとえば、スイッチ)を介して直接または間接に接続される」ことを意味し、必ずしも物理的接続に限定されるとは限らない。加えて、接続は、対象物が永続的に接続されてもよく、または解放可能に接続されてもよい。接続は、スイッチを介することができる。本明細書で説明するように、本説明全体を通して使用されている「近接した」という用語は、「隣接した、極めて近い、隣の、または近くの」を意味する。本明細書で説明するように、本説明全体を通して使用されている「上に」という用語は、いくつかの構成においては「直接的に上に」を意味し、他の構成においては「間接的に上に」を意味する。
【0015】
モバイル無線周波(RF)チップ(たとえば、モバイルRFトランシーバ)を製作することは、コストおよび電力消費量の検討事項に起因して、ディープサブミクロンプロセスノードにおいて手間がかかる。ワイヤレス通信システムにおけるワイヤレスデバイス(たとえば、携帯電話またはスマートフォン)は、双方向通信のためにデータを送受信するためのモバイルRFトランシーバを含み得る。モバイルRFトランシーバは、データを送信するための送信セクションとデータを受信するための受信セクションとを含み得る。データを送信する場合、送信セクションは、データを有するRFキャリア信号を変調して、変調されたRF信号を取得し得る。送信セクションは、適切な出力電力レベルを有する増幅されたRF信号を取得するために変調されたRF信号を増幅し、増幅されたRF信号をアンテナを介して基地局に送信する。データを受信する場合、受信セクションは、受信RF信号をアンテナを介して取得し得、受信RF信号を増幅し処理して、通信信号内の基地局によって送られたデータを復元し得る。
【0016】
モバイルRFトランシーバは、これらの通信信号を増幅するために1つまたは複数の回路を含み得る。増幅器回路は、1つまたは複数のドライバ段および1つまたは複数の増幅器出力段を有し得る1つまたは複数の増幅器段を含み得る。増幅器段の各々は、通信信号を増幅するために様々な方法で構成された1つまたは複数のトランジスタを含む。モバイルRFトランシーバによって送受信された通信信号を増幅するように構成されるトランジスタを製作するために、様々なオプションが存在する。
【0017】
これらのモバイルRFトランシーバの設計は、トランジスタを製作するためのセミコンダクタオンインシュレータ(SOI)技術を含み得る。SOI技術は、寄生デバイスキャパシタンスを低減して性能を改良するために、従来の半導体基板を層状の半導体-絶縁体-半導体の基板と置き換える。シリコン接合は電気的絶縁体、典型的には埋込み酸化物(BOX)層の上にあるので、SOIベースのデバイスは、従来のシリコン製デバイスとは異なる。しかしながら、サブミクロンプロセスノードにおける低減された厚さのBOX層は、半導体層上の能動デバイスとBOX層を支持する半導体基板との近接によって生じる寄生キャパシタンスを十分に低減しない場合がある。
【0018】
SOI層上の能動デバイスは、相補型金属酸化物半導体(CMOS)トランジスタを含み得る。残念ながら、SOI技術を使用してトランジスタを思い通りに製作することは、寄生キャパシタンスによって困難になる。たとえば、コンタクト/相互接続-ゲート間キャパシタンスの形態の寄生キャパシタンスが、配線工程(BEOL)相互接続/中間工程(MOL)コンタクトとトランジスタのゲートとの間の近接によって引き起こされる場合がある。この付加的キャパシタンスは、回路遅延および回路損失などの悪影響を引き起こす。この付加的キャパシタンスは、低雑音増幅器(LNA)に対して特に問題である。
【0019】
本開示の様々な態様は、RF集積回路内に低寄生キャパシタンスLNAを製作するための技法を提供する。RF集積回路の半導体製作のためのプロセスフローは、基板工程(FEOL:front-end-of-line)プロセス、中間工程(MOL)プロセス、および配線工程(BEOL)プロセスを含み得る。「層」という用語は、膜を含み、別段述べられていない限り、垂直厚または水平厚を示すものと解釈されるべきではないことが理解されよう。本明細書において説明するように、「基板」という用語は、ダイシングされたウエハの基板を指す場合があるか、または、ダイシングされていないウエハの基板を指す場合がある。同様に、チップおよびダイという用語は、互換的に使用され得る。
【0020】
中間工程すなわちMOLは、MOLコンタクトを使用して、トランジスタを配線工程すなわちBEOL相互接続(たとえば、M1、M2など)に接続することを可能にするプロセスステップのセットである。言及したように、コンタクト/相互接続-ゲート間キャパシタンスの形態の寄生キャパシタンスは、BEOL相互接続/MOLのコンタクトとトランジスタのゲートコンタクトとの近接によって引き起こされる。この付加的キャパシタンスは、回路遅延および回路損失などの悪影響を引き起し、そのことはLNAに対して特に問題である。たとえば、LNA内のドレインコンタクト-ゲートコンタクト間キャパシタンスは、RFモバイルトランシーバにおける5G性能を達成することに対してかなりの障壁となる。層転写プロセスは、RF集積回路の前面から裏面へのルーティングの一部を除去することによって付加的キャパシタンスを低減し得る。しかしながら、ルーティングの一部を除去することでは、寄生キャパシタンスを十分に低減されない場合がある。
【0021】
本開示の態様は、RF集積回路内の低雑音増幅器(LNA)の寄生キャパシタンスを低減するための裏面シリサイド化設計を説明する。本開示の一態様は、LNAトランジスタのソース/ドレイン領域に対する裏面コンタクト層を形成するために、層転写を用いる裏面シリサイド化プロセスを使用する。裏面シリサイド化プロセスは、裏面コンタクト層を通してLNAトランジスタのソースおよびドレインの領域に結合されたコンタクトプラグ(たとえば、ビア)を形成し得る。本配置では、裏面ソースコンタクトプラグおよび裏面ドレインコンタクトプラグは、絶縁層を通って、絶縁層を支持する裏面誘電体層(たとえば、第2の面の誘電体層)の中に延びる。
【0022】
層転写後金属被覆プロセス(post-layer transfer metallization process)は、コンタクトプラグに結合された裏面金属被覆(たとえば、裏面BEOL相互接続M1)を形成する。加えて、裏面金属被覆から遠位の前面金属被覆は、LNAトランジスタのゲートの前面ゲートコンタクトに結合され得る。このようにして、ソースおよびドレインの領域に対する前面相互接続(たとえば、BEOL相互接続/MOLコンタクト)は、LNAトランジスタの裏面に移される。BEOL相互接続/MOLコンタクトの再配置は、BEOL相互接続/MOLコンタクトとトランジスタのゲートコンタクトとの近接によって引き起こされる付加的キャパシタンスを低減し得る。裏面ソース/ドレインコンタクトおよび前面ゲートコンタクトに関して説明しているが、本開示をそのように限定するものではない。たとえば、裏面ゲートコンタクトおよび前面ソース/ドレインコンタクトが検討される。
【0023】
図1は、本開示の態様による、低寄生キャパシタンス低雑音増幅器を有するワイヤレスデバイス100(たとえば、携帯電話またはスマートフォン)の概略図である。ワイヤレスデバイスは、チップセット110に対するワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)(たとえば、WiFi)モジュール150およびRFフロントエンドモジュール170を含み得る。WiFiモジュール150は、アンテナ162をワイヤレスローカルエリアネットワークモジュール(たとえば、WLANモジュール152)に通信可能に結合する第1のダイプレクサ160を含む。RFフロントエンドモジュール170は、アンテナ192をデュプレクサ180(DUP)を介してワイヤレストランシーバ120(WTR)に通信可能に結合する第2のダイプレクサ190を含む。ワイヤレストランシーバ120、およびWiFiモジュール150のWLANモジュール152は、電力管理集積回路(PMIC)140を介して電源102によって電力を供給されるモデム(MSM、たとえばベースバンドモデム)130に結合される。チップセット110は、信号完全性を実現するためにキャパシタ112および114ならびにインダクタ116も含む。PMIC140、モデム130、ワイヤレストランシーバ120、およびWLANモジュール152の各々は、キャパシタ(たとえば、142、132、122、および154)を含み、クロック118に従って動作する。チップセット110における様々なインダクタ構成要素およびキャパシタ構成要素の形状および配置によって、各構成要素間の電磁結合が低減し得る。
【0024】
図2は、本開示の態様による、低寄生キャパシタンス低雑音増幅器を含む、図1に示すワイヤレスデバイス100などのワイヤレスデバイス200の例示的な設計のブロック図を示す。図2は、ワイヤレストランシーバ(WTR)であり得るモバイルRFトランシーバ220の一例を示す。概して、送信機230および受信機250内の信号の条件付けは、増幅器、フィルタ、アップコンバータ、ダウンコンバータなどの1つまたは複数の段によって実行され得る。これらの回路ブロックは、図2に示される構成と異なるように配置され得る。さらに、図2に示されない他の回路ブロックも、送信機230および受信機250における信号を調整するために使用され得る。別段に記載されていない限り、図2内の任意の信号または諸図の中の任意の他の図は、シングルエンドであっても差動であってもよい。図2のいくつかの回路ブロックは省略されてもよい。
【0025】
図2に示す例では、ワイヤレスデバイス200は、一般に、モバイルRFトランシーバ220とデータプロセッサ210とを含む。データプロセッサ210は、データおよびプログラムコードを記憶するためのメモリ(図示せず)を含み、一般に、アナログおよびデジタル処理要素を含み得る。モバイルRFトランシーバ220は、双方向通信をサポートする送信機230および受信機250を含み得る。一般に、ワイヤレスデバイス200は、任意の数の通信システム向けおよび周波数帯域向けに、任意の数の送信機および/または受信機を含んでもよい。モバイルRFトランシーバ220の全部または一部が、1つまたは複数のアナログ集積回路(IC)、無線周波数(RF)集積回路(RFIC)、混合信号ICなどの上に実装されてもよい。
【0026】
送信機または受信機は、スーパーヘテロダインアーキテクチャまたはダイレクトコンバージョンアーキテクチャで実装され得る。スーパーヘテロダインアーキテクチャでは、信号は、たとえば、受信機の場合、ある段では無線周波数から中間周波数(IF)へ、次いで、別の段では中間周波数からベースバンドへと、複数の段において無線周波数とベースバンドとの間で周波数変換される。直接変換アーキテクチャでは、信号は、1つの段において、無線周波数とベースバンドとの間で周波数変換される。スーパーヘテロダインアーキテクチャおよび直接変換アーキテクチャは、異なる回路ブロックを使用すること、および/または異なる要件を有することがある。図2に示す例では、送信機230および受信機250は、ダイレクトコンバージョンアーキテクチャで実装される。
【0027】
送信経路では、データプロセッサ210は、送信されるデータを処理する。データプロセッサ210はまた、同相(I)および直交(Q)アナログ出力信号を送信経路内の送信機230に提供する。例示的な態様では、データプロセッサ210は、データプロセッサ210により生成されるデジタル信号を、さらなる処理のために、同相(I)および直交(Q)アナログ出力信号、たとえばIおよびQの出力電流)に変換するためのデジタルアナログ変換器(DAC)214aおよび214bを含む。
【0028】
送信機230内では、ローパスフィルタ232aおよび232bは、それぞれ同相(I)および直交(Q)アナログ送信信号をフィルタリングして、前のデジタル-アナログ変換によって引き起こされた不要なイメージを除去する。増幅器234aおよび234b(Amp)は、それぞれローパスフィルタ232aおよび232bからの信号を増幅し、同相(I)および直交(Q)ベースバンド信号を提供する。アップコンバータ240は、同相(I)および直交(Q)ベースバンド信号をTX LO信号生成器290からの同相(I)および直交(Q)送信(TX)局部発振器(LO)信号でアップコンバートしてアップコンバートされた信号を提供する同相アップコンバータ241aおよび直交アップコンバータ241bを含む。フィルタ242は、アップコンバートされた信号をフィルタリングして、周波数アップコンバージョンにより引き起こされる不要なイメージならびに受信周波数帯域の中の干渉を除去する。電力増幅器(PA)244は、所望の出力電力レベルを得るためにフィルタ242からの信号を増幅して、送信無線周波数信号を提供する。送信無線周波数信号は、デュプレクサ/スイッチ246を通じてルーティングされ、アンテナ248を介して送信される。
【0029】
受信経路では、アンテナ248は、通信信号を受信して受信無線周波数(RF)信号を提供し、その信号は、デュプレクサ/スイッチ246を通してルーティングされ、低雑音増幅器(LNA)252に提供される。デュプレクサ/スイッチ246は、RX信号をTX信号から切り離すように、特定の受信(RX)から送信(TX)への(RX-TX)デュプレクサ周波数分離で動作するように設計される。受信RF信号は、LNA252によって増幅され、フィルタ254によってフィルタリングされて、所望のRF入力信号が取得される。ダウンコンバージョン混合器261aおよび261bは、フィルタ254の出力を、受信(RX)LO信号生成器280からの同相(I)および直交(Q)RX LO信号(すなわち、LO_IおよびLO_Q)と混合して、同相(I)および直交(Q)ベースバンド信号を生成する。同相(I)および直交(Q)ベースバンド信号は、増幅器262aおよび262bによって増幅され、同相(I)および直交(Q)アナログ入力信号を取得するためにローパスフィルタ264aおよび264bによってさらにフィルタリングされ、取得された信号はデータプロセッサ210に提供される。示された例示的な構成では、データプロセッサ210は、データプロセッサ210によってさらに処理するためにアナログ入力信号をデジタル信号に変換するための、アナログデジタル変換器(ADC)216aおよび216bを含む。
【0030】
図2において、送信局部発振器(TX LO)信号生成器290が、周波数アップコンバージョンに使用される同相(I)および直交(Q)TX LO信号を生成する一方で、受信局部発振器(RX LO)信号生成器280が、周波数ダウンコンバージョンに使用される同相(I)および直交(Q)RX LO信号を生成する。各LO信号は、特定の基本周波数を有する周期信号である。位相ロックループ(PLL)292は、データプロセッサ210からタイミング情報を受け取り、TX LO信号生成器290からのTX LO信号の周波数および/または位相を調整するために使用される制御信号を生成する。同様に、PLL282は、データプロセッサ210からタイミング情報を受け取り、RX LO信号生成器280からのRX LO信号の周波数および/または位相を調整するために使用される制御信号を生成する。
【0031】
ワイヤレスデバイス200はキャリアアグリゲーションをサポートしてもよく、(i)異なる周波数において複数のダウンリンクキャリア上で1つまたは複数のセルによって送信された複数のダウンリンク信号を受信してもよく、および/または(ii)複数のアップリンクキャリア上で複数のアップリンク信号を1つまたは複数のセルに送信してもよい。帯域内キャリアアグリゲーションの場合、送信は、同じ帯域内の異なるキャリア上で送られる。帯域間キャリアアグリゲーションの場合、送信は、異なる帯域内の異なるキャリア上で送られる。しかしながら、本明細書で説明する態様は、キャリアアグリゲーションをサポートしないシステム、デバイスおよび/またはアーキテクチャ内で実装され得ることは、当業者には理解されよう。
【0032】
ワイヤレスデバイス200のモバイルRFトランシーバ220は、一般に、双方向通信のためのデータを送受信するための送信機230および受信機250を含む。受信機250は、LNA252など、通信信号を増幅するための1つまたは複数の回路を含み得る。LNA252は、1つまたは複数のドライバ段および1つまたは複数の増幅器出力段を有し得る1つまたは複数の増幅器段を含み得る。増幅器段の各々は、通信信号を増幅するために様々な方法で構成された1つまたは複数のトランジスタを含む。モバイルRFトランシーバ220によって送受信された通信信号を増幅するように構成されるトランジスタを製作するために、様々なオプションが存在する。
【0033】
モバイルRFトランシーバ220およびRFフロントエンドモジュール170(図1)は、モバイルRFトランシーバ220およびRFフロントエンドモジュール170のトランジスタを製作するためのセミコンダクタオンインシュレータ(SOI)技術を使用して実装され得る。SOI技術を使用することは、RFフロントエンドモジュール170内の高次高調波を低減するのに役立つ。SOI技術は、寄生デバイスキャパシタンスを低減して性能を改良するために、従来の半導体基板を層状の半導体-絶縁体-半導体の基板と置き換える。シリコン接合は電気的絶縁体、典型的には埋込み酸化物(BOX)層の上にあるので、SOIベースのデバイスは、従来のシリコン製デバイスとは異なる。しかしながら、サブミクロンプロセスノードにおける低減された厚さのBOX層は、半導体層上の能動デバイスとBOX層を支持する半導体基板との近接によって生じる寄生キャパシタンスを十分に低減しない場合がある。その結果、層転写プロセスが、図3に示すように、能動デバイスを基板からさらに分離するために導入される。
【0034】
図3は、本開示の態様による、層転写プロセスを使用して製作された無線周波数(RF)集積回路300の断面図を示す。図3に示すように、RF SOIデバイスは、犠牲基板301(たとえば、バルクウエハ)によって最初に支持される埋込み酸化物(BOX)層320上に能動デバイス310を含む。RF SOIデバイスはまた、第1の誘電体層304内部で能動デバイス310に結合される相互接続350を含む。この構成では、ハンドル基板302はRF SOIデバイスの第1の誘電体層304に接合され、犠牲基板301が除去される(矢印参照)。加えて、ハンドル基板302の接合によって、犠牲基板301の除去が可能になる。層転写プロセスを使用して犠牲基板301を除去することで、誘電体の厚さが増加することによって、高性能で低寄生のRFデバイスが可能になる。すなわち、RF SOIデバイスの寄生キャパシタンスは、第1の誘電体層304の厚さに比例し、第1の誘電体層304の厚さは、能動デバイス310とハンドル基板302との間の距離を決定する。
【0035】
BOX層320上の能動デバイス310は、相補型金属酸化物半導体(CMOS)トランジスタであり得る。残念ながら、SOI技術を使用してCMOSトランジスタを思い通りに製作することは、寄生キャパシタンスによって困難になる。たとえば、コンタクト/相互接続-ゲート間キャパシタンスの形態の寄生キャパシタンスが、たとえば、図4に示すように、配線工程(BEOL)相互接続/中間工程(MOL)コンタクトとトランジスタのゲートコンタクトとの間の近接によって引き起こされる場合がある。この付加的キャパシタンスは、回路遅延および回路損失などの悪影響を引き起こす。この付加的キャパシタンスは、図2のモバイルRFトランシーバ220のLNA252などの低雑音増幅器(LNA)に対して特に問題である。
【0036】
図4は、層転写プロセスを使用して製作されたRF集積回路400の断面図である。RF集積回路400は、ゲート、ソース領域、ドレイン領域、およびチャネル領域を有する能動デバイス410を含む。チャネル領域は、絶縁層420上に形成された半導体層(たとえば、セミコンダクタオンインシュレータ(SOI)層)のソース領域とドレイン領域との間にある。SOI実装形態では、絶縁層420は埋込み酸化物(BOX)層であり、チャネル、ソース、およびドレインの領域は、絶縁層420によって支持されるシャロートレンチアイソレーション(STI:shallow trench isolation)領域を含むSOI層(たとえば、シリコン)から形成される。
【0037】
RF集積回路400はまた、能動デバイス410のソース/ドレイン領域に結合された中間工程(MOL)相互接続(たとえば、前面ドレインコンタクト430および前面ソースコンタクト432)と配線工程(BEOL)相互接続(たとえば、M1、M2)とを含む。説明するように、MOL/BEOL層は、前面層と呼ばれる。対照的に、絶縁層420を支持する層は、裏面層と呼ばれることがある。この命名法によれば、前面金属被覆M1は、能動デバイス410のソース領域およびドレイン領域に結合され、ハンドル基板402が結合される前面誘電体層404(たとえば、第1の面の誘電体層)内に配置される。この例では、裏面誘電体440は絶縁層420に隣接し、場合によっては絶縁層420を支持する。裏面金属被覆434は、前面金属被覆M1に結合される。前面金属被覆M1は前面配線工程(BEOL)相互接続(たとえば、第1の面の配線工程(BEOL)相互接続)であり、裏面金属被覆434は裏面BEOL相互接続(たとえば、第2の面のBEOL相互接続)である。
【0038】
能動デバイス410の動作は、ドレイン-ゲート間寄生キャパシタンス406およびソース-ゲート間寄生キャパシタンス408によって悪影響を及ぼされる。この例では、コンタクト/相互接続-ゲート間寄生キャパシタンス(たとえば、406および408)は、前面ドレインコンタクト430および前面ソースコンタクト432の、能動デバイス410のゲートに対するゲートコンタクト412への近接によって引き起こされる。ドレイン-ゲート間寄生キャパシタンス406は、回路遅延および回路損失などの悪影響をもたらす。ドレイン-ゲート間寄生キャパシタンス406は、図2に示すLNA252などの低雑音増幅器に対して特に問題である。
【0039】
図5は、図4のRF集積回路400のソース、ドレインおよびゲートのコンタクトに対するルーティング500を示す。従来、基板工程プロセスの間に形成される能動デバイスへのアクセスは、能動デバイスの前面に限定される。たとえば、中間工程処理は、能動デバイスのゲートおよびソース/ドレイン領域と配線工程相互接続層(たとえば、M1、M2など)との間のコンタクトを提供する。図5は、拡散領域510上のゲートコンタクト412、前面ドレインコンタクト430および前面ソースコンタクト432の、ゲート接続570、ドレイン接続550およびソース接続560に対するそれぞれのルーティングを示す。
【0040】
従来、トランジスタゲートは第2のBEOL相互接続層(M2)における接続を通してルーティングされ、ソース/ドレイン接続は第1のBEOL相互接続層(M1)を使用してルーティングされる。これらのソース/ドレインコンタクトならびにゲートコンタクトがトランジスタの前面上に配置されているとき、M1 BEOL相互接続およびM2 BEOL相互接続は複数回交叉する。特に、ドレイン接続550およびゲート接続570にルーティングするときにゲートコンタクト412と前面ドレインコンタクト430とが重複することは、特に問題である。ゲートコンタクト412および前面ドレインコンタクト430のルーティングが重複することは、著しいドレイン-ゲート間キャパシタンス(CDG)がもたらされると同時にゲート抵抗が著しく増加し、それによってLNA性能は大幅に低下する。
【0041】
本開示の様々な態様は、RF集積回路(RFIC)の能動デバイスの裏面上の層転写後処理のための技法を提供する。対照的に、基板工程プロセスの間に形成された能動デバイスへのアクセスは、従来では、能動デバイスのゲートおよびソース/ドレイン領域と配線工程相互接続層(たとえば、M1、M2など)との間にコンタクトを生成する中間工程処理の間に前面から設けられる。本開示の態様は、LNAトランジスタのソース/ドレイン領域に対する裏面コンタクト層および裏面コンタクトプラグを形成するための層転写後処理を伴う。裏面コンタクト層および裏面コンタクトプラグは、ソース/ドレインコンタクトをLNAトランジスタの裏面に移すことを可能にし、それによって、上述のコンタクト-ゲート間寄生キャパシタンスが除外される。これらのトランジスタ構造は、図2のLNA252などのLNA内で使用され得る。
【0042】
図3に示す層転写プロセスは、ルーティングの一部をRF集積回路400の前面から裏面に移すことによって寄生キャパシタンスを低減し得る。本開示の様々な態様は、図6A図8Bにおいて説明するように、RF集積回路内の低寄生キャパシタンスLNAのための技法を提供する。
【0043】
図6Aは、本開示の態様による、低寄生キャパシタンス低雑音増幅器(LNA)のトランジスタを含むRF集積回路(RFIC)600の断面図である。この構成では、層転写後プロセスは、能動デバイス610(たとえば、LNAトランジスタ)のソース/ドレイン(S/D)領域の裏面上で実行される。典型的には、RFIC600は、絶縁層620上に形成された、ゲートと、ソース/ドレイン(S/D)領域と、ソース/ドレイン領域間のチャネル領域とを有する能動デバイス610を含む。絶縁層620は、シリコンオンインシュレータ(SOI)実装に対する埋込み酸化物(BOX)層であってもよく、チャネルおよびソース/ドレインの領域はSOI層から形成される。この構成では、シャロートレンチアイソレーション(STI)領域も、絶縁層620上にある。
【0044】
RFIC600は、前面誘電体層604内にゲートコンタクト612(たとえば、中間工程層のゼロ相互接続(M0)/ゼロビア(V0))を含む。ゲートコンタクト612(たとえば、第1の面のゲートコンタクト)は、ゲート上の前面コンタクト層614に結合され、ゲートは、シリサイドコンタクト層(たとえば、前面シリサイド層)からなり得る。この構成では、ハンドル基板602は、能動デバイス610の裏面上の層転写後処理を可能にするために前面誘電体層604に結合される。たとえば、層転写後処理によって、能動デバイス610のソース/ドレイン領域の前面616と反対の裏面618へのアクセスが可能になる。その結果、ソース/ドレイン領域の前面616は、前面誘電体層604による直接接触を可能にするために露出される。
【0045】
本開示の態様によれば、ハンドル基板602は、シリコンなどの半導体材料から構成され得る。この構成では、ハンドル基板602は、少なくとも1つの他の能動デバイスを含み得る。代替的に、ハンドル基板602は、寄生キャパシタンスを低減することによって高調波をさらに改善するために受動基板であり得る。この構成では、ハンドル基板602は、少なくとも1つの他の受動デバイスを含み得る。説明したように、「受動基板」という用語は、ダイシングされたウエハまたはパネルの基板を指す場合があるか、または、ダイシングされていないウエハ/パネルの基板を指す場合がある。一構成では、受動基板は、ガラス、石英、サファイア、高抵抗シリコン、または他の同様の受動材料で構成される。受動基板はまた、コアレス基板であってもよい。
【0046】
本開示の態様によれば、たとえば、図3に示す層転写プロセスは、能動デバイス610のソース/ドレイン領域の裏面618上に裏面コンタクト層630を形成することを可能にする。裏面コンタクト層630は、裏面シリサイド層から成り得る。形成されると、裏面コンタクト層630は、前面ソース/ドレインコンタクト(たとえば、図4の前面ドレインコンタクト430および前面ソースコンタクト432)をソース/ドレイン領域の裏面618に移すことを可能にする。前面ソース/ドレインコンタクト(たとえば、図4の前面ドレインコンタクト430および前面ソースコンタクト432)をソース/ドレイン領域の裏面618に移すことは、図4に示すコンタクト/相互接続-ゲート間寄生キャパシタンス(たとえば、406および408)を除外する。
【0047】
代替構成では、ゲートコンタクト612が能動デバイス610の裏面に移され、前面ソース/ドレインコンタクトは変更されない。加えて、裏面誘電体層640は絶縁層620に隣接し、場合によっては絶縁層620を支持する。この構成では、層転写後金属被覆プロセスは、能動デバイス610のソース/ドレイン領域の裏面618上に裏面コンタクト層630を形成する。図6Aに示すように、裏面ドレインコンタクト650(たとえば、第2の面のドレインコンタクト)は、裏面コンタクト層630を通してドレイン領域の裏面618に結合される。加えて、裏面ソースコンタクト660(たとえば、第2の面のソースコンタクト)は、裏面コンタクト層630を通してソース領域の裏面618に結合される。裏面ドレインコンタクト650は、裏面配線工程(BEOL)ドレイン相互接続652に結合されたコンタクトプラグ(たとえば、中間工程(MOL)ゼロビア(V0))であり得る。同様に、裏面ソースコンタクト660は、裏面BEOLソース相互接続662に結合されたコンタクトプラグであり得る。
【0048】
図6Bは、本開示の態様による、層転写後プロセスが能動デバイス610(たとえば、LNAトランジスタ)のソース/ドレイン領域の裏面618上でも実行される、RFIC680の断面図である。理解されるように、RFIC680の構成は、図6AのRFIC600の構成と同様である。しかしながら、図6Bに示す構成では、RFIC680は、前面誘電体層604内に前面金属被覆(たとえば、第1のBEOL相互接続(M1))を含む。前面金属被覆M1は、ビアV0を通して裏面金属被覆642に結合される。裏面金属被覆642は、裏面誘電体層640内にある。
【0049】
図6Aおよび図6Bに示すように、裏面コンタクト層630は絶縁層620内にあり、裏面ドレインコンタクト650および裏面ソースコンタクト660との接触を可能にする。コンタクト/相互接続(たとえば、図4の前面ドレインコンタクト430および前面ソースコンタクト432)を能動デバイス610のソース/ドレイン領域の裏面618に再配置することは、能動デバイス610のゲートコンタクト612と従来の前面ソース/ドレインコンタクト/相互接続との間の寄生キャパシタンスを防止するのに役立つ。この構成では、ゲートコンタクト612のルーティングは、図7Aおよび図7Bに示すように、簡素化される。同様に、裏面ドレインコンタクト650および裏面ソースコンタクト660のルーティングは、図8Aおよび図8Bに示すように、簡素化される。
【0050】
図7Aおよび図7Bは、本開示の態様による、低寄生キャパシタンスLNAに対する前面ルーティングを示す。図7Aに示す構成では、LNAの前面ルーティング700は、単一の拡散アイランド構成(diffusion island configuration)に対して示されている。この例では、LNAは、たとえば、図6Aに示すLNAトランジスタを含むように構成される。典型的には、拡散アイランド710上の各ゲートコンタクト612は、ゲート接続770にルーティングされる。この構成は、図5に示す寄生キャパシタンスを除外するのに役立つ。
【0051】
図7Bは、二重の拡散アイランド構成に対するLNAの前面ルーティング750を示す。この例では、LNAは、同じく、図6Aに示すLNAトランジスタを含むように構成される。典型的には、第1の拡散アイランド710-1および第2の拡散アイランド710-2の上の各ゲートコンタクト612は、ドレイン-ゲート間寄生キャパシタンスを除外するためにゲート接続770にルーティングされる。このLNA構成は、複数の拡散アイランド(たとえば、710-1および710-2)を使用して、増大したゲート抵抗を補償する。
【0052】
ゲート接続とは反対にソース/ドレイン接続をルーティングすることは、能動デバイスのルーティングを簡素化することによって、複数の拡散アイランドを使用して製作されるLNAをサポートする。特に、ソース/ドレインおよびゲートコンタクトのルーティングの重複に起因して、コンタクト-ゲート間のキャパシタンスおよび寄生抵抗が発生する。寄生キャパシタンスならびにゲート抵抗を大幅に低減することは、5G通信強化をサポートするための利得帯域幅積(FT)ならびに最大発振周波数(Fmax)における大幅な改善(たとえば、20%~40%の改善)をもたらす。
【0053】
図8Aはおよび図8Bは、本開示の態様による、低寄生キャパシタンスLNAに対する裏面ルーティングを示す。図8Aに示す構成では、図7Aの単一の拡散アイランド構成におけるLNAの裏面ルーティング800が示されている。この構成も、図6Aに示すLNAトランジスタを内蔵する。典型的には、拡散アイランド710上の各裏面ドレインコンタクト650は、ドレイン接続652にルーティングされる。加えて、拡散アイランド710上の各裏面ソースコンタクト660は、裏面BEOLソース接続662にルーティングされる。前面のソースコンタクトおよびドレインコンタクトを裏面のソースコンタクトおよびドレインコンタクトと置き換えることで、図5に示す寄生キャパシタンス(たとえば、ドレイン-ゲート間キャパシタンス(CDG))が除外される。
【0054】
図8Bは、図7Bに示す二重の拡散アイランド構成に対するLNAの裏面ルーティング850を示す。典型的には、第1の拡散アイランド710-1および第2の拡散アイランド710-2の上の各裏面ドレインコンタクト650は、ドレイン接続880にルーティングされる。同様に、第1の拡散アイランド710-1および第2の拡散アイランド710-2の上の各裏面ソースコンタクト660は、寄生キャパシタンスを除外するためにソース接続890にルーティングされる。このLNA構成は、ゲート抵抗を減少させるために複数の拡散アイランド(たとえば、710-1および710-2)を使用して、5G通信強化に対するサポートを可能にする。
【0055】
LNAのこの構成は、ドレイン接続880に、および場合によってはソース接続890に結合された無線周波数(RF)構成要素860をさらに示す。RF構成要素860は、抵抗器(R)、インダクタ(L)、およびキャパシタ(C)(RLC)構成要素を含み得る。RF構成要素860はまた、たとえば、図2に示すように、アンテナと他の同様のRF構成要素とを含み得る。LNAの形成を全うするためのRF構成要素860に関する付加的な詳細は、本発明の特徴を不明瞭にすることを回避するために省略される。本開示の態様は、カスコード構成、抵抗構成、または他の同様の配置において構成されるLNAを含み得ることを認識されたい。先行する記述は平面トランジスタに関するものであったが、本開示は、FinFETなどの他の構成にも適用される。
【0056】
本開示の一態様は、層転写を用いる裏面シリサイド化プロセスを使用して、たとえば、図9に示すLNAトランジスタのソース/ドレイン領域に対する裏面ソース/ドレインコンタクトを形成する。
【0057】
図9は、本開示の一態様による、層転写を用いる裏面シリサイド化プロセスを使用して低雑音増幅器(LNA)デバイスを構築する方法900を示すプロセスフロー図である。方法900は、第1のトランジスタが絶縁層の第1の表面上に製作されるブロック902において開始する。絶縁層は、犠牲基板によって支持される。たとえば、図3に示すように、能動デバイス310は、埋込み酸化物(BOX)層320上に製作される。ブロック904では、前面誘電体層が、第1のトランジスタ上に堆積される。たとえば、図6Aに示すように、前面誘電体層604が、能動デバイス610上に堆積される。
【0058】
再び図9を参照すると、ブロック906において、ハンドル基板が、前面誘電体層に接合される。たとえば、図6Aに示すように、ハンドル基板602が、前面誘電体層604に接合される。図9のブロック908において、犠牲基板が除去される。図3に示すように、層転写プロセスは、犠牲基板301の除去を含む。ブロック910において、第1のトランジスタのソース領域の裏面およびドレイン領域の裏面は、絶縁層の第1の表面と反対の第2の表面を通して露出される。たとえば、図6Aに示すように、ドレイン領域およびソース領域の裏面618は、層転写後プロセスによって露出される。
【0059】
図9のブロック912において、裏面ソースコンタクトは、ソース領域の裏面上に堆積される。ブロック914において、裏面ドレインコンタクトは、ドレイン領域の裏面上に堆積される。たとえば、図6Aに示すように、裏面コンタクト層630は、ソース領域およびドレイン領域の裏面618上に堆積される。加えて、裏面ドレインコンタクト650は、裏面コンタクト層630を通してドレイン領域の裏面618に結合される。同様に、裏面ソースコンタクト660は、裏面コンタクト層630を通してソース領域の裏面618に結合される。図9のブロック916において、抵抗器、インダクタ、キャパシタ、アンテナ、および/またはRF構成要素のうちの少なくとも1つが、たとえば、図8BのRF構成要素860に示すように、第1のトランジスタおよび/または2トランジスタと随意に結合される。
【0060】
本開示の態様は、RF集積回路内の低雑音増幅器の寄生キャパシタンスを低減するための裏面シリサイド化設計を説明する。本開示の一態様は、層転写を用いる裏面シリサイド化プロセスを使用して、トランジスタのソース/ドレイン領域に対する裏面ソース/ドレインコンタクト(たとえば、裏面シリサイドコンタクト)を形成する。裏面シリサイド化プロセスは、裏面ソース/ドレインコンタクトを通してトランジスタの第1のソース/ドレイン領域に結合されるビアを形成し得る。ビアは、絶縁層を通って、絶縁層を支持する裏面誘電体層の中に延び得る。加えて、層転写後金属被覆プロセスは、ビアに結合された裏面金属被覆の形成を可能にする。裏面金属被覆から遠位の前面金属被覆は、トランジスタのゲートのゲートコンタクトに結合され得る。
【0061】
BEOL相互接続/MOLコンタクトの再配置は、BEOL相互接続/MOLコンタクトとトランジスタのゲートコンタクトとの近接によって引き起こされる寄生キャパシタンスを低減し得る。前面および裏面は、それぞれ、第1の面または第2の面と呼ばれることがある。場合によっては、前面が第1の面と呼ばれることになる。他の場合には、裏面が第1の面と呼ばれることになる。記述はLNAに関するものであるが、これらの構造は、電力増幅器(PA)を改良することにもなるように企図される。
【0062】
本開示のさらなる態様によれば、トランジスタのソース/ドレイン領域の上に裏面シリサイドコンタクトを含むRF集積回路が説明される。RF集積回路は、絶縁層の第1の表面上のトランジスタを含み、そのトランジスタ上に前面誘電体層を含む。RF集積回路構造は、前面誘電体層上に、RF集積回路を処理するための手段も含む。この処理手段は、図3に示すハンドル基板であり得る。別の態様では、前述の手段は、前述の手段によって列挙された機能を実行するように構成された任意の層、モジュール、または任意の装置であってもよい。
【0063】
図10は、本開示の態様が有利に利用され得る例示的ワイヤレス通信システム1000を示すブロック図である。説明のために、図10は、3つのリモートユニット1020、1030、および1050、ならびに2つの基地局1040を示す。ワイヤレス通信システムがこれよりも多くのリモートユニットおよび基地局を有してもよいことが認識されよう。リモートユニット1020、1030および1050は、開示された低雑音増幅器(LNA)デバイスを含むICデバイス1025A、1025C、および1025Bを含む。基地局、スイッチングデバイス、およびネットワーク機器などの他のデバイスも、開示されたLNAを含んでもよいことが認識されよう。図10は、基地局1040からリモートユニット1020、1030、および1050への順方向リンク信号1080と、リモートユニット1020、1030、および1050から基地局1040への逆方向リンク信号1090とを示す。
【0064】
図10では、リモートユニット1020はモバイル電話として示され、リモートユニット1030はポータブルコンピュータとして示され、リモートユニット1050はワイヤレスローカルループシステム内の固定ロケーションリモートユニットとして示される。たとえば、リモートユニットは、モバイル電話、ハンドヘルドパーソナル通信システム(PCS)ユニット、携帯情報端末(PDA)などのポータブルデータユニット、GPS対応デバイス、ナビゲーションデバイス、セットトップボックス、音楽プレーヤ、ビデオプレーヤ、エンターテインメントユニット、メーター読取り機器などの固定ロケーションデータユニット、またはデータもしくはコンピュータ命令を記憶するかもしくは取り出す他の通信デバイス、あるいはそれらの組合せであってもよい。図10は、本開示の態様によるリモートユニットを示すが、本開示は、これらの例示的に示されるユニットに限定されない。本開示の態様は、開示されたLNAを含む、多くのデバイスにおいて適切に利用することができる。
【0065】
図11は、上記で開示したRFICなど、半導体構成要素の回路設計、レイアウト設計、および論理設計のために用いられる、設計用ワークステーションを示すブロック図である。設計用ワークステーション1100は、オペレーティングシステムソフトウェアと、サポートファイルと、CadenceまたはOrCADなどの設計ソフトウェアとを収容するハードディスク1101を含む。設計用ワークステーション1100はまた、RFデバイスの回路設計1110またはLNA設計1112を容易にするためにディスプレイ1102を含む。回路設計1110またはLNA設計1112を有形に記憶するために、記憶媒体1104が設けられる。回路設計1110またはLNA設計1112は、GDSIIまたはGERBERなどのファイルフォーマットで記憶媒体1104上に格納されてもよい。記憶媒体1104は、CD-ROM、DVD、ハードディスク、フラッシュメモリ、または他の適切なデバイスであり得る。さらに、設計用ワークステーション1100は、記憶媒体1104から入力を受け取るか、または記憶媒体1104に出力を書き込むためのドライブ装置1103を含む。
【0066】
記憶媒体1104上に記録されるデータは、論理回路構成、フォトリソグラフィマスク用のパターンデータ、または電子ビームリソグラフィなどの連続描画ツール用のマスクパターンデータを詳述し得る。データはさらに、論理シミュレーションに関連したタイミング図やネット回路などの論理検証データを含んでもよい。記憶媒体1104上にデータを用意すると、半導体ウエハを設計するためのプロセスの数が減少することによって、回路設計1110またはLNA設計1112の設計が容易になる。
【0067】
ファームウェア実施態様および/またはソフトウェア実装形態の場合、方法は、本明細書で説明した機能を実行するモジュール(たとえば、手順、関数など)を用いて実装され得る。本明細書で説明される手順を実装する際に、命令を有形に具現する機械可読媒体を使用することができる。たとえば、ソフトウェアコードがメモリに記憶され、プロセッサユニットによって実行され得る。メモリは、プロセッサユニット内またはプロセッサユニットの外部に実装されてよい。本明細書で用いられる「メモリ」という用語は、任意の種類の長期メモリ、短期メモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、または他のメモリを指し、特定のタイプのメモリもしくは特定のメモリ数に限定すべきではなく、また、メモリが記憶される特定のタイプの媒体に限定すべきではない。
【0068】
機能は、ファームウェアおよび/またはソフトウェアにおいて実装される場合、コンピュータ可読媒体上の1つまたは複数の命令またはコードとして記憶され得る。例には、データ構造を用いて符号化されたコンピュータ可読媒体、およびコンピュータプログラムを用いて符号化されたコンピュータ可読媒体が含まれる。コンピュータ可読媒体は、物理的なコンピュータ記憶媒体を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされ得る利用可能な媒体であり得る。限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMもしくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気記憶デバイス、または、所望のプログラムコードを命令もしくはデータ構造の形で記憶するために使用することができるとともに、コンピュータによってアクセスすることができる他の媒体を含むことができ、本明細書において使用されるディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(disc)(CD)、レーザーディスク(登録商標)(disc)、光ディスク(disc)、デジタル多用途ディスク(disc)(DVD)、フロッピーディスク(disk)、およびブルーレイディスク(disc)を含み、ディスク(disk)は通常、データを磁気的に再生し、ディスク(disc)はデータをレーザーを用いて光学的に再生する。上記の組合せもコンピュータ可読媒体の範囲に含まれるべきである。
【0069】
コンピュータ可読媒体上のストレージに加えて、命令および/またはデータは、通信装置に含まれる伝送媒体上の信号として備えられてもよい。たとえば、通信装置は、命令およびデータを表す信号を有するトランシーバを含み得る。命令およびデータは、1つまたは複数のプロセッサに、特許請求の範囲において概説する機能を実装させるように構成される。
【0070】
本開示およびその利点が詳細に説明されたが、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の技術から逸脱することなく、明細書で様々な変更、置換、および改変が行われ得ることを理解されたい。たとえば、「上」および「下」などの関係語が、基板または電子デバイスに関して使用される。当然、基板または電子デバイスが反転される場合、上は下に、下は上になる。加えて、横向きの場合、上および下は、基板または電子デバイスの側面を指すことがある。さらに、本出願の範囲は、本明細書で説明したプロセス、機械、製造、ならびに組成物、手段、方法、およびステップの特定の構成に限定されることを意図していない。本開示から当業者が容易に諒解するように、本明細書で説明する対応する構成と実質的に同じ機能を実行するかまたは実質的にそれと同じ結果を達成する、現存するかまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、またはステップが、本開示に従って利用されてもよい。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、またはステップをそれらの範囲内に含むことを意図する。
【符号の説明】
【0071】
100 ワイヤレスデバイス
102 電源
110 チップセット
112 キャパシタ
114 キャパシタ
116 インダクタ
118 クロック
120 ワイヤレストランシーバ
122 キャパシタ
130 モデム
132 キャパシタ
140 電力管理集積回路(PMIC)
142 キャパシタ
150 WiFiモジュール
152 WLANモジュール
154 キャパシタ
160 第1のダイプレクサ
162 アンテナ
170 無線周波数(RF)フロントエンド(FE)モジュール
180 デュプレクサ(DUP)
190 第2のダイプレクサ
192 アンテナ
200 ワイヤレスデバイス
210 データプロセッサ
214a デジタルアナログ変換器(DAC)
214b DAC
216a アナログデジタル変換器(ADC)
216b ADC
220 モバイルRFトランシーバ
230 送信機
232a ローパスフィルタ
232b ローパスフィルタ
234a 増幅器(Amp)
234b Amp
240 アップコンバータ
241a 同相(I)アップコンバータ
241b 直交(Q)アップコンバータ
242 フィルタ
244 電力増幅器(PA)
246 デュプレクサ/スイッチ
248 アンテナ
250 受信機
252 低雑音増幅器(LNA)
254 フィルタ
261a ダウンコンバージョン混合器
261b ダウンコンバージョン混合器
262a Amp
262b Amp
264a ローパスフィルタ
264b ローパスフィルタ
280 受信(RX)局部発振器(LO)信号生成器
282 位相ロックループ(PLL)
290 送信(TX)LO信号生成器
292 PLL
300 RF集積回路
301 犠牲基板
302 ハンドル基板
304 第1の誘電体層
310 能動デバイス
320 埋込み酸化物(BOX)層
350 相互接続
400 RF集積回路(RFIC)
402 ハンドル基板
404 前面誘電体層
406 ドレイン-ゲート間寄生キャパシタンス
408 ソース-ゲート間寄生キャパシタンス
410 能動デバイス
412 ゲートコンタクト
420 絶縁層
430 前面ドレインコンタクト
432 前面ソースコンタクト
434 裏面金属被覆
440 裏面誘電体
500 ルーティング
510 拡散領域
550 ドレイン接続
560 ソース接続
570 ゲート接続
600 RFIC
602 ハンドル基板
604 前面誘電体層
610 能動デバイス
612 ゲートコンタクト
614 前面コンタクト層
616 前面
618 裏面
620 絶縁層
630 裏面コンタクト層
640 裏面誘電体層
642 裏面金属被覆
650 裏面ドレインコンタクト
652 裏面配線工程(BEOL)ドレイン相互接続
660 裏面ソースコンタクト
662 裏面BEOLソース相互接続
680 RFIC
700 前面ルーティング
710 拡散アイランド
710-1 第1の拡散アイランド
710-2 第2の拡散アイランド
750 前面ルーティング
770 ゲート接続
800 裏面ルーティング
850 裏面ルーティング
860 RF構成要素
880 ドレイン接続
890 ソース接続
900 方法
1000 ワイヤレス通信システム
1020 リモートユニット
1025A ICデバイス
1025B ICデバイス
1025C ICデバイス
1030 リモートユニット
1040 基地局
1050 リモートユニット
1080 順方向リンク信号
1090 逆方向リンク信号
1100 設計用ワークステーション
1101 ハードディスク
1102 ディスプレイ
1103 ドライブ装置
1104 記憶媒体
1110 回路設計
1112 LNA設計
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11