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特許7364563正当入居者と侵入者とを区別する警報装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】正当入居者と侵入者とを区別する警報装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 13/08 20060101AFI20231011BHJP
   G08B 13/19 20060101ALI20231011BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20231011BHJP
   E05F 7/00 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
G08B13/08 Z
G08B13/19
G08B25/04 E
E05F7/00 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020528519
(86)(22)【出願日】2018-08-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-22
(86)【国際出願番号】 FR2018052013
(87)【国際公開番号】W WO2019025743
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】1757533
(32)【優先日】2017-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520042504
【氏名又は名称】テレコム・デザイン
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】フィロール,ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】マルタン,エリク
【審査官】綿引 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-220242(JP,A)
【文献】特開2004-252716(JP,A)
【文献】特開2008-215953(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0127317(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0247370(US,A1)
【文献】特開2006-099501(JP,A)
【文献】特開2017-027362(JP,A)
【文献】特開2005-030176(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0071363(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B13/00-15/02
19/00-31/00
E05B 1/00-85/28
E05F 1/00-13/04
17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放要素の内側に設けられるモジュール(510)を備える、前記開放要素のための開放検知装置において、前記モジュールは、
前記開放要素の動きを検知する動き検出手段と、
前記開放要素の前記内側で前記開放要素を開放する機構(23,24)を操作者が操作する操作距離を包含する確信境界を規定する円錐ビーム(221)内での存在を検出する第1の存在検知手段と、
前記開放要素の周囲で、前記開放検知装置に平行な検知円盤を規定する疑念境界(215)にわたって存在を検知する第2の存在検知手段と、
前記第1、第2の存在検知手段に接続される、前記第1、第2の存在検知手段からのデータの処理、記憶保持および計算のための処理手段(513)とを備える開放検知装置を用いた監視および検知のための方法であって、前記開放検知装置を前記開放要素の第1の側に配置し、前記開放検知装置または警報システムのスイッチをオンにした後に実行される検知手順であって、
前記開放要素が閉鎖された状態で、前記第1の存在検知手段による前記確信境界での存在検知イベント(1111)を待つことを備える第1の待機ループ(1110a)を実行するステップと、
開放要素(1120、1117)の開放の程度の検出を行うステップであって、この開放の程度は「前記警報(1116)の停止をもたら前記開放要素の完全開放(1120)」と「前記開放要素の部分開放(1117)」とがあり、
「前記開放要素の部分開放(1117)」は、以下のイベントa)~c)すなわち
a)前記確信境界の内側の存在の検知(1119)ありで前記開放要素の動きを検知するイベント(1113b)、
b)前記確信境界の内側の存在の事前の検知なしで前記開放要素の開放を検知するイベント(1113a)、
c)前記疑念境界の内側の存在の検知イベント(1115)
のうちの1つを待つ第2の待機ループ(1110b)を開始するものであり、
前記イベント(1113a)または前記検知イベント(1115)の発生の際に前記警報(1116)を開始するステップ、
前記確信境界の内側の存在の検知(1119)ありで前記開放要素の開放の検知イベント(1113b)を検知した場合に、警報停止と待機モードに戻るステップ
を備える検知手順を備える方法。
【請求項2】
前記開放検知装置は前記開放要素の前記隙間を測定する手段を備えており、前記方法は、誤った半開放位置を検知して、前記開放要素の正しい半開放位置(1151)の達成まで警告(1152,1153)の開始をし続けるループを備える、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記開放検知装置は前記開放要素の前記隙間を測定する手段を備えており、前記方法は前記開放要素の前記完全開放を脱する際の前記監視の再開、および前記開放要素を前記閉鎖位置に戻す(1122)際に前記第1の待機ループ(1110a)に戻ること、または前記開放要素を完全開放状態と閉鎖状態の間の位置である半開放位置に戻す(1123)際に前記第2の待機ループ(1110b)に戻ることを備える、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記開放検知装置は衝撃センサを備えており、衝撃検知(1124)によって待機ループの最中に前記警報(1116)を開始する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記開放検知装置は磁気ホール効果センサを備えており、前記開放要素の動きの検知または前記確信境界での存在の検知なしで、開放要素が閉鎖されている状態で、磁界変化検知(1130)によって前記警報(1116)を開始する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記開放検知装置はLPWAN通信手段を備えており、前記警報(1116)の前記開始により、LPWANネットワークを用いて1つ以上の警報フレームの送信(1140)を開始する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に開放要素が操作されるときに正当入居者と侵入者との識別を可能する手段が設けられているドアまたは窓などの開放要素の開放検知を行なう警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
警報システムには多くの開放検知器が存在する。これらは、特に、住居、営業所やオフィスを警備するのに用いられる。一般的に、これらはセキュリティシステムに組み込まれ、中央警報ユニットに有線接続または無線接続によって接続される。
【0003】
これらの建物を警備するために、ほとんどの場合、警報システムは2つのタイプのセンサ、すなわち、ドアおよび窓などの開放要素の開放の検知器と、超音波や赤外の動き検知器とを有する。
【0004】
住居については、たとえば、住居が留守であるときには2つのタイプのセンサが運用状態にある。対照的に、住居が在居状態のときは、たとえば夜間に、ドアや窓の開放検知器のみが起動される。この警備は周囲警備と呼ばれている。
【0005】
このような場合には、ドアおよび/または窓を開放する前に警報を停止させることが必要であることは自明である。
【0006】
したがって、このようなシステムには制約があり、建物の内側からドアや窓などの開放要素を開放すると、誤警報が引き起こされる。
【0007】
しかし、警報を引き起こすことなく警備された建物の内側から所定のドアおよび窓を開放することができることが必要である場合がある。
【0008】
同様に、営業所については、たとえば、立ち入りは制限されるが、退出は制限されない建物のドアや窓をどちら側から開放するかをチェックすることが必要である場合がある。
【0009】
本分野では文献米国特許出願公開第2008/0157964号明細書、米国特許出願公開第2016/0247370号明細書および国際公開第2016/109335号パンフレットが知られており、警備される建物に入居者が存在するのか否かに応じて開放要素警報を承認したり承認しなかったりすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許出願公開第2008/0157964号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0247370号明細書
【文献】国際公開第2016/109335号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これに鑑みて、本発明は、侵入者が検知された場合に警報を開始し、正当入居者が検知された場合に警報を開始しないように、開放しようとする試みが存する側に応じて開放要素を開放しようとする試みを識別するのに好適な、開放を検知する装置を提案する。この装置は開放要素が部分開放状態である場合でさえ使用可能状態を継続する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
より正確には、本発明は、前記開放要素の内側に設けられるモジュールを備える、ドアまたは窓のような開放要素のための開放検知装置であって、モジュールは、前記開放要素の動きを検知する手段と、開放要素の第1の側で開放要素を開放する機構を操作者が操作する操作距離を包含するいわゆる確信境界を規定する円錐ビームを形成する第1の存在検知手段と、開放要素の周囲で画定されるいわゆる疑念境界にわたって存在を検知する第2の存在検知手段と、前記検知手段に接続される、前記検知手段からのデータの処理、記憶保持および計算のための手段とを含む、開放検知装置を提案する。
【0013】
前記処理手段は、
a.
第1の存在検知手段による前記確信境界の内側の操作者の検知なしでの動き検知手段による開放要素の動きの検知、
第1の存在検知手段による前記確信境界の内側の操作者の存在の検知なしでか存在の検知の前の、第2の存在検知手段による疑念境界の内側の存在の検知
を含む警報開始イベントシーケンスと、
b.
確信境界の内側の操作者の検知後の開放要素の動きの検知、
疑念境界の内側の存在の検知を含む確信境界の内側の操作者の検知
を含む非警報開始イベントシーケンスと
を識別するように構成されており、
モジュールは、いずれかのタイプのイベントの発生に応じて処理手段によって開始することができる警報を伝送する伝送手段も備えることが好ましい。
【0014】
この場合、開放要素は、人の通過に不十分な安定した狭い開放位置と、人の通過が可能な全開位置とをとり、装置は、開放要素の閉鎖位置、狭い開放位置および全開位置を識別することができる、開放要素の位置を検知する手段を備えることが好ましい。
【0015】
処理・記憶保持・計算手段は位置検知手段に接続されており、確信境界の内側の操作者の第1の存在検知手段による事前の検知なしで、狭い開放位置から全開位置への変化の検知の際に警報を開始するように構成されていることが有効である。
【0016】
伝送手段は、中央警報ユニットに対する警戒信号の伝送を可能にする無線コンポネントであることが好ましい。
【0017】
本発明に係る装置は代替するようにしたり互いに補うようにしたりしてLPWAN無線手段も備えてもよく、情報および警報をリモート警報センタに伝送する自律モジュールとして動作することができてもよい。
【0018】
装置のプログラミングロジックとその動作パラメータ設定とを、低出力であってもなくてもよいBluetooth接続によって装置と通信する外部プログラミングツールによって修正することができることが有効である。
【0019】
モジュールは、1つ以上の電池によって供給されるか、太陽電池および電池システムによって供給されるかするケース状態で製作されることが有効である。
【0020】
動き検知手段は、モジュールに配置される磁気手段、加速度計、磁力計またはこれらの要素の任意の組み合せであることが可能である。
【0021】
第1および/または第2の存在検知手段は赤外手段または指向性高周波レーダ手段であることが好ましい。
【0022】
特定の実施形態に係れば、第1の存在検知手段は、開放要素が設けられている建物の内側に向けられる検知に関する第1の円錐を発生させるように構成されている赤外発光フォトダイオードと赤外受光フォトダイオードとの組み合せで形成される。
【0023】
有効な実施形態に係れば、第1の存在検知手段は、第1の円錐を取り囲むか、第1の円錐に重ねられるかする検知に関する第2の円錐を発生させるレンズが設けられるPIRセンサ(パッシブ赤外センサ)も備えており、第1および第2の検知手段が存在を検知するときに存在検知の確証が得られる。
【0024】
第2の存在検知手段は、装置の周囲の円盤の形態であり、好ましくは開放要素に平行な検知境界を発生させる赤外発光器/受光器および円錐集束ミラーで形成されることが有効である。
【0025】
本発明は、ローカル中央警報ユニットまたはリモート中央警報ユニットに接続される、本発明に係る少なくとも1つの装置を備える警報システムにも関する。
【0026】
装置は、装置を開放要素の第1の側に配置し、装置または警報システムのスイッチをオンにした後、
開放要素が閉鎖された状態で、確信区域の存在検知手段での存在検知イベントを待つことを備える第1の待機ループ、
警報の停止をもたらす完全開放と、
a)確信境界の内側の存在の検知ありで開放要素の動きを検知するイベント、
b)確信境界の内側の存在の事前の検知なしで開放要素の開放を検知するイベント、
c)確信境界の内側の存在の検知イベント
のうちの1つを待つ第2の待機ループを開始する部分開放とを識別することを可能にする、開放要素の隙間の程度の検知、
確信境界の内側の存在の事前の検知なしでの開放要素の開放検知イベント(イベントb))または疑念境界の内側の存在の検知(イベントc))の発生の際に警報を開始するステップ、
警報を停止させ、確信境界の内側の存在の検知ありで開放要素の開放の検知イベント(イベントa))の検知の場合に待機モードに戻るステップ
を備える検知手順を備えることが有効である。
【0027】
装置は開放要素の隙間を測定する手段を備えており、方法は、誤った半開放位置を検知して、開放要素の正しい半開放位置の達成まで警告の開始をし続けるループを備えることができることが有効である。
【0028】
装置は開放要素の隙間を測定する手段を備えており、方法は開放要素の完全開放を脱する際の監視の再開、および開放要素を閉鎖位置に戻す際に第1の待機ループに戻ること、または開放要素を半開放位置に戻す際に第2の待機ループに戻ることを備えることが好ましい。
【0029】
装置は衝撃センサを備えており、衝撃検知によって待機ループの最中に警報を開始する。
【0030】
装置は磁気ホール効果センサを備えており、開放要素の動きの検知または確信区域での存在の検知なしで、開放要素が閉鎖されている状態で、磁界変化検知によって警報を開始する。
【0031】
装置がLPWAN通信手段を備える場合、警報の開始により、LPWANネットワークを用いて1つ以上の警報フレームの送信を開始する。
【0032】
以下を示す図面を参照して本発明の限定を課さない典型的な実施形態の以降の説明を読めば、本発明の他の特徴および効果が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】警備される建物内で存在センサが設けられた開放要素の開放を検知する装置の概略図。
図2】ドアに配置された図1の装置の例。
図3】窓に配置された図1の装置の例。
図4図1図3に係る装置の動作のフロー図。
図5】本発明の実施形態に係る赤外検知器の側面図。
図6A】確信区域および疑念区域用の赤外検知器を有する本発明に係る装置の側面図。
図6B】確信区域および疑念区域用の赤外検知器を有する本発明に係る装置の上面図。
図6C】確信区域についての検知装置の概略斜視図。
図7A】本発明に係る装置が設けられた様々な開放要素の1つの斜視図。
図7B】本発明に係る装置が設けられた様々な開放要素の1つの斜視図。
図7C】本発明に係る装置が設けられた様々な開放要素の1つの斜視図。
図7D】本発明に係る装置が設けられた様々な開放要素の1つの斜視図。
図7E】本発明に係る装置が設けられた様々な開放要素の1つの斜視図。
図8】本発明に係る装置の概略図。
図9】確信区域でダブル検知が行なわれる装置の変形例の斜視図。
図10A】本発明に係る装置の動作段階を示すフロー図。
図10B】本発明に係る装置の動作段階を示すフロー図。
図10C】本発明に係る装置の動作段階を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の目的は、たとえば、住居内で普通に生活し続ける状態で周囲モードで警報システムを稼働することを可能にし、外部から開放要素を開放しようとすると警報が起動する一方で、シャッタを閉じたり部屋を換気したりするための窓の開放や、ゴミを出したり犬を外に出すことを可能にしたりするためのドアの開放や、戸締りされた境界の内側からの開放要素に対するその他一切の行為などの日常生活の活動によって誤警報を引き起こすことを懸念しないで済むことである。
【0035】
図1に概略的に示されている装置は、シングル屋内存在検知によって開放要素を警備する装置の典型的な実施形態である。装置は、図2および図3に示されているように開放要素の第1の側に接着、ねじ留めまたはその他方法によって設けることを意図しているケース15の形態で製作されるモジュール10を備える。
【0036】
このモジュールには、たとえば、破壊行為があった場合など、モジュールの当初の位置が変化したことを自動的に検知する、いわゆる「改ざん対策済み」装置を設けることができる。
【0037】
図1のモジュールは、前記開放要素の動きを検知する手段11を備える。
【0038】
当該検知手段は、
磁気手段、この場合、警備される開放要素の固定枠の一部にモジュール10に対向する磁石または金属体などの追加モジュールを配置するもの、
開放要素が運動状態になったときに地磁気の方向の変化を直接検知する磁力計、
開放要素が運動状態になったことを検知する加速度計型手段や、開放要素が運動状態になったことを検知することができるその他一切の手段
などのいくつかのタイプの検知手段であることが可能である。
【0039】
モジュールは、狭く設定された境界内の存在を検知し、かつ開放要素の一方の側のみに配置される手段12も備える。
【0040】
検知境界は操作者によって操作される開放要素の開放機構23,24の操作距離に画定される。
【0041】
存在検知手段も、
開放要素に取り付けられた装置の近くの操作者の熱を検知する指向性赤外手段、
開放要素に取り付けられた装置の近くの操作者によるレーダ波の反射を検知するレーダ手段、
などのいくつかのタイプの存在検知手段であることが可能である。
【0042】
存在検知手段は指向的であったり、検知に関する狭い円錐を用いたりして、たとえば、短距離、たとえば、開放要素の開放機構から50cm以内や1m以内にわたって存在を検知することができることが好ましい。
【0043】
図示されている装置は、処理、記憶保持および計算のための手段13と伝送手段14も備える。
【0044】
処理・記憶保持・計算手段は、たとえば、アナログ・デジタルコンバータとデジタル入出力部とROMおよびRAMメモリとを備えるマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラで構成される。伝送手段14は、AES安全警戒信号の伝送を可能にする無線コンポネントで構成されている。
【0045】
処理・記憶保持・計算手段は、装置の計算・記憶保持手段にプログラムされたプロトコルにしたがって伝送手段14を用いて警報を中央警報ユニットまたはその他監視センタに開始させることを可能にするために、以降で説明されているように、装置に記憶されたプログラムにしたがって、存在検知手段から入力されるデータを処理することができる。
【0046】
装置は数年という長い動作時間を実現するためにリチウム電池すなわち大容量電池電圧源も備える。この動作時間を改善するために、この装置を太陽電池および電池システムで補助したり、これと置き換えたりすることができる。
【0047】
最後に、装置は、選択した検知段階中に視覚表示を与える発光インジケータ16を備えてもよい。
【0048】
本発明の目的は、開放要素の第1の側で行なわれる開放の試みと、開放要素の他方の側で行なわれる開放の試みとを識別することである。
【0049】
これを行なうために、モジュール10は、一方で、存在検知ありで開放要素の動きを検知するイベントを識別し、他方で、存在検知なしで開放要素の動きを検知するイベントを識別するようにプログラムされている。
【0050】
図2および図3に係れば、ケース15が開放要素すなわちドア20や窓22の箇所に配置されることで、存在検知手段による開放要素の開放装置、たとえばドアや窓のハンドル23,24を操作している者の信頼性の高い検知を可能にしている。特に、開放要素から所定の操作距離にいる者、特に開放要素と対向する者のみを検知するように動きセンサを構成することができる位置にモジュールを位置決めすることができる。
【0051】
モジュールは、たとえば、動き検知手段11が開放要素の動きによって作動するときの計算手段13のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラでの割り込みによる低消費のイベント待機ウェイクアップシステムのためのプログラムを備える。
【0052】
この低消費態様を保証するために、たとえば、きわめて低電圧の32ビットARM Cortexコアをベースにしたハードウェアアーキテクチャが用いられる。
【0053】
この場合、モジュールは、赤外センサやHFレーダを作動させることによって存在検知手段12によって監視される側の操作者の存在探索を行なう手順を入力する。
【0054】
存在を検知したか否かによるモジュールのプログラミングに応じて、警報を送らないか送るかする。
【0055】
このような単純な装置の監視検知方法の一例が図4に概略的に示されている。この方法は、開放が許可された開放要素の側に装置を配置した後、
開放検知イベントを待つこと111および/または存在イベントを待つことを備える待機モード110、
開放検知の発生の際に、動き検知器を用いて、許可された開放側で存在検知探索を行なって、a)存在の検知なしでの開放の検知と、b)存在の検知ありでの開放の検知との識別を可能にするステップ112、
説明されている場合において、存在の検知なしで開放を検知するとき、警報115を送るステップ
を備える検知手順を備える。
【0056】
ステップ112で存在の検知を行なう際に逆の場合に警報送信ステップ115’(点線で示されている)が実行される一方で、存在が検知されない場合に警報が送られないこともモジュールのプログラミングによっては可能である。
【0057】
本発明に係れば、図1の装置は2つの主検知区域を用いて最適化される。
【0058】
本発明の装置の典型的な実施形態の概略図を示す図8を参照して、第1の主検知区域(確信境界と称する)はビームによって実現される区域221、すなわち円錐空間の監視を可能にする検知区域である。確信区域すなわち確信境界は建物の内側に向けられる。本例に係れば、検知では、警備される建物の内側から開放要素に接近する者を検知する発光ダイオード19a,19bおよび受光器を有するアクティブ赤外センサ装置を用いる。
【0059】
第2の主検知区域(疑念境界と称する)は、開放要素の可能な限り近傍の検知円盤18を形成する光学装置が設けられたアクティブまたはパッシブセンサ17を用いて発生させられる。
【0060】
改良した一例に係れば、2次的な検知区域を発生させる。確信境界での検知をより明確に示すためにこのより広い検知区域522によって第1の検知区域が取り囲まれる。この区域を発生させるために、パッシブ赤外センサ(PIRセンサ)512が用いられることが好ましい。これにより、第1の区域がアクティブ赤外センサでカバーされる場合に2つの異なる波長で稼働することが可能になることで、検知が改善される。この場合、2つの検知器が存在を検知すると、確信区域での検知の確証が得られる。共通の検知区域について言えば、その区域は区域221である。
【0061】
人が接近すると、前記人は区域522でPIRセンサ512によって最初に検知され、装置は区域221をカバーするアクティブ赤外センサを用いて検知確認を待つ。これは図10Aのステップ1111a,1111bおよび1119a,1119bに対応する。
【0062】
たとえば、検知円錐221に対応する確信区域の位置決めが図9で実現され、この区域は、開放要素を操作することが許可されている人600を検知するために建物の内側に向けられている。
【0063】
図8に戻って、装置は、図1の装置と同様に開放要素の内側に接着、ねじ留めまたはその他方法によって設けることを意図しているケースの形態で製作されるモジュール510を備える。
【0064】
モジュールは、加速度計の形態の前記開放要素の動き検知手段511を備え、また、開放要素の開閉を検知するために固定枠上の相補的要素と相互作用する磁気センサ装置520を備え、また、侵入者が開放要素に衝撃を加える場合に警報を開始する衝撃検知装置521を備える。
【0065】
ホール効果磁気センサは、警報を発生させる侵入の試みを表わす磁界変化を検知することができる磁界測定を可能にする。
【0066】
本発明に係れば、モジュールは複数の存在検知手段512,200,220a,220bも備え、これらの手段は、
手段512,220a,220bについては、確信境界の内側の存在を検知し、
手段200については、疑念境界の内側の存在を検知する
ことを意図している。
【0067】
その動作のために、モジュールは、図1のモジュールの場合のように、マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラ、デジタルおよび/またはアナログ入力/出力部、1つ以上のRAMおよびROMまたは再プログラム可能なメモリを備え、モジュールの周辺装置、すなわち、検知手段511,520,521,200,220a,220b,512および無線送信装置514に接続される従来のデータ処理手段513を備える。
【0068】
ケースの電気消費を減らすために、赤外検知装置をパルスモードで用いることが好ましい。
【0069】
図5は疑念区域に割り当てられる赤外検知装置200の詳細を示す。
【0070】
赤外検知装置200は、レンズ装置212の裏にあり、かつ円錐ミラー213と対向する赤外センサ211を備える。
【0071】
この装置200は、側方から見た図6Aと、上から見た図6Bとに示されているように、装置の周囲の円盤形状の区域215を監視することができる。
【0072】
センサは、装置が開放要素に取り付けられたときに検知円盤が開放要素にほぼ平行であり、開放要素に沿って広がるように装置上に位置決めされる。
【0073】
装置200ではアクティブセンサを用い、赤外センサ211では発光器とレセプタとを組み合わせて、互いに直接干渉しないようにミラーの軸に沿ってこれらをオフセットしている。
【0074】
図6Aおよび図6Bは、1つ以上の発光LEDおよび赤外受光器を備えるアクティブ赤外センサ220を用いて発生させられる確信区域の円錐検知境界221も示す。
【0075】
図6Aに係れば、疑念区域の検知円盤が装置に平行であるので、装置が取り付けられる開放要素に平行であることが分かる。確信区域の検知境界について言えば、開放要素に向かって移動している正当ユーザを検知するために、図9でも示されているように、警備される建物の内側に向けられる(下向き方向)。
【0076】
さらにまた、上から見た図6Bに係れば、確信区域221の検知境界はセンサ220の左右に均等に分布している。垂直平面または水平平面内でのセンサの検知角度を変更することによって建物および開放要素に好適な構成を想到することができる。
【0077】
図6Cに概略的に示されているように、確信区域の検知センサは、広い角度の区域をカバーする複数の赤外LED 220a,220b,220cと、赤外LEDによって発せられ、カバー区域にいる人によって反射される赤外光を受光するフォトダイオードなどのセンサ220dとを用いて製作することができる。
【0078】
図7A図7Eは様々なタイプの開放要素のカバー区域を示す。
【0079】
図7Aは横に開放される窓を示す。
【0080】
示されているようにこの窓が半開放状態であるとき、装置は稼働状態であり、開放要素の周囲の疑念区域215と、開放要素と対向する確信区域221とを監視する。
【0081】
対照的に、窓が大きく開放される場合、装置を停止させる。
【0082】
図7Bは、下部の水平軸まわりの回転によって開放する内倒し窓と、窓が半開放状態であるときの監視区域、すなわち、開放要素の周囲の疑念区域215と、開放要素と対向する確信区域221とを示す。
【0083】
侵入者が当該窓を開放するために手を通す場合、疑念区域での検知によって警報が開始される。
【0084】
図7Cの回転窓と、図7Dの上部の水平軸まわりに開放する突出窓とについても同じである。
【0085】
図7Eは引窓を示し、この場合、1枚につき1つの装置が用いられる。
【0086】
この最後の例では、引窓が全開のときでさえ、装置は稼働状態を維持することができる。
【0087】
上記に見られるように、確信区域は、広い接近部522と絞られた接近部221とを検知することを可能にする2つのセンサを備えてもよく、2つのセンサが存在を検知するとき、言い換えれば、確信境界であるとみなされる共通の境界221にいるときに存在が確認される。これにより、装置の検知精度を高めることができる。
【0088】
さらに言えば、2つのセンサを用いることにより、開放要素に接近した後に開放/閉鎖機構の前に位置する入居者や、機構を使用し終わった後、開放要素から立ち去る入居者の優れた認知が可能になることで、開放要素の開閉機構を操作する正当な行為を確認するイベントの論理シーケンスを得ることができる。
【0089】
検知方法では、装置は開放要素および最初に起動されるセンサの位置に応じて複数の状況を識別することになる。
【0090】
以下の3つの主な状況が区別される。
開放要素が閉鎖/開放要素が半開放/開放要素が全開。
【0091】
開放要素の位置センサによって検知される開放要素全開状況では、装置を用いることができないので、装置を停止させる。
【0092】
開放要素が半開放位置にあるか準開放位置にあるときは、装置は、単一センサを有する装置とは対照的に、稼働運用状態を維持する。この状況で、確信区域に入るために内側から接近している操作者と、自身の腕を通していたり、入ろうとしていたり、開放要素を開放しようとして疑念区域に入っていたりする侵入者とを識別することができる。
【0093】
これにより、窓が半開放状態であったり引窓を有したりする建物または住居の警備を継続することができるので、開放要素が開放されたら停止させなければならないシステムと比較して、さらなる快適さが入居者に提供される。
【0094】
前記開放要素の内側に取り付けられたモジュール510により、
開放要素の動き検知手段511,520,521、
開放要素の第1の側で開放要素の開放機構23を操作者が操作する操作距離を包含する確信境界を規定する円錐ビーム221を形成する第1の存在検知手段、
開放要素の周囲で画定される疑念境界215上で存在を検知する第2の手段、
前記存在検知手段に接続される、前記存在検知手段から入力されるデータの処理、記憶保持および計算のための手段513があるので、
a.
第1の存在検知手段による前記確信境界221の内側の操作者の検知なしでの動き検知手段による開放要素の動きの検知、
第1の存在検知手段による前記確信境界の内側の操作者の存在の検知なしでか存在の検知の前の、第2の存在検知手段による疑念境界215の内側の存在の検知
を含む警報開始イベントシーケンスと、
b.
確信境界221の内側の操作者の検知後の開放要素の動きの検知、
疑念境界215の内側の存在の検知を含む確信境界221の内側の操作者の検知
を含む非警報開始イベントシーケンスと
を識別することが可能である。
【0095】
建物や開放要素の構成に応じて他のシーケンスをプログラムすることができ、主な開始の要素は、確信区域/境界の内側の存在の検知なしでの疑念区域/境界の内側の存在の検知または開放要素の動きの検知である。
【0096】
侵入者の検知の際に警報を開始するいずれかのタイプのイベントの発生に応じて処理手段によって開始することができる警報を伝送する伝送手段によってモジュールが中央警報ユニットに接続される。
【0097】
上記に見られるように、開放要素300b,300cは、人の通過に不十分な安定した狭い開放位置と、人の通過が可能な全開位置とをとり、装置は、開放要素が閉鎖されているときだけでなく、開放要素が狭い開放状態にあるときにも建物の警備を継続することを目的として、開放要素の閉鎖位置、狭い開放位置および全開位置を識別することができる、開放要素の位置を検知する手段511をさらに備える。
【0098】
この点に関して、開放要素の位置および/または動きを検知する手段に接続される処理・記憶保持・計算手段513が、確信境界221の内側の操作者の第1の存在検知手段による事前の検知なしで、狭い開放位置から全開位置への変化の検知の際に警報を開始するように構成される。これは傾斜検知器や加速度計を用いて実現することができる。
【0099】
図10A図10Cは検知方法のいくつかの動作モードを示す。特に、センサから割り込みを引き起こすなんらかの情報を受ける際に待機モードから脱することが可能である点に留意するべきである。したがって、逐次ブロック図による表現は簡略化された表現である。
【0100】
方法は、装置を開放要素の第1の側に配置し、装置を起動させた後に検知手順が開始されるようなものである。
【0101】
図10Aで示されている例に係れば、検知手順は、
開放要素が閉鎖されるときに開始される第1の待機ループ1110a
を備える。このループは、確信区域の存在の検知手段での存在検知1111を待つことを備える。この存在検知は、赤外センサでの検知1111bの前に行なわれ、かつ赤外センサでの検知1111bによって完了するPIRセンサによる検知1111aに基づく。
【0102】
この検知の後、操作要素が操作されると、開放要素の開放の程度1120,1117に関する検知が開始される。この検知により、警報1116の停止をもたらす完全開放1120と、
a)確信境界の内側の存在の検知1119ありで開放要素の動きを検知するイベント1113b、
b)確信境界の内側の存在の事前の検知なしで開放要素の開放を検知するイベント1113a、
c)疑念境界の内側の存在の検知のイベント1115
のうちの1つを待つ第2の待機ループ1110bを開始する部分開放1117とを識別することができる。
【0103】
b)およびc)の場合、方法は、警報1116を開始するステップを備える。
【0104】
a)の場合、方法は警報の停止と待機モードへの復帰とを備える。
【0105】
装置が開放要素の隙間を測定する手段を備える場合には、方法は、誤った半開放位置を検知して、開放要素の正しい半開放位置の達成まで警告の開始をし続けるループを備える。これにより、ユーザは、たとえば、この位置がハードポイントによって実現されない場合に開放要素を正しい位置に位置決めすることができる。
【0106】
図10Cは、装置が開放要素の隙間を測定する手段を備え、かつ方法が開放要素の完全開放を脱する際の監視の再開を備える場合に対応する。この場合、プロセスは、開放要素を閉鎖位置に戻す1122際に第1の待機ループ1110aに戻り、開放要素を半開放位置1117に戻す1123際に第2の待機ループ1110bに戻る。
【0107】
装置が衝撃センサを備える場合、待機ループの最中、すなわち、図10Aの第1のループ1110aの最中に衝撃検知1124によって警報1116を開始し、必要であれば第2のループ1110bの最中にも衝撃検知1124によって警報1116を開始する。
【0108】
図10Bは、装置が磁気ホール効果センサを備え、開放が閉鎖されている状態で磁界変化検知1130によって警報1116を開始する場合を示す。開放要素の動きの検知または確信区域での存在の検知なし。
【0109】
この検知は第1のループ1110aに関連して行なわれる。
【0110】
同様に、図10Bは、装置がLPWAN通信手段を備える状態で、警報1116の開始により、装置によって用いられるLPWANネットワークを用いて1つ以上の警報フレームの送信1140を開始する場合を示す。
【0111】
特に装置が妨害検知手段を備える場合に適用することができる装置の別の機能は、無線妨害のイベントで警報を開始することができるものである。
【0112】
基本的な構成では、装置はローカル中央警報ユニットの周辺モジュールから形成され、ISMバンドでこれと通信する。改良した一例では、装置はLPWAN無線手段(低電力ワイドエリアネットワーク)、言い換えれば、低出力拡張ネットワーク、たとえば、Sigfoxによって開発されたもののようなネットワークやLoRaという名称で知られているネットワークを備える。この場合、装置は、中央ユニットとの通信障害の場合、たとえば無線妨害の場合にリモート警報センタにLPWANネットワークを介して情報および警報を伝送する自律モジュールとして動作することができる。完全自律の例では、装置は、ローカル警報ユニットには接続されずにリモートセンタのみに接続され、その情報および警報をLPWANネットワークを介して直接リモート警報センタに伝送する。
【0113】
装置の無線手段514は、ISMバンドで通信する無線手段の様々な形式に応じて、選択されたLPWANネットワークに適するバンド(ISMまたは他のバンド)で通信する無線手段を備える。
【0114】
妨害検知を備える例では、妨害装置を持つ侵入者が建物の周囲および内側で無線通信のすべてを妨害しようとするので、無線手段はISMバンドおよびGSM(登録商標)バンドを含む複数のバンドで妨害を検知する能力を持つ。
【0115】
リモートセンタとの通信手段が設けられているこれらの例では、妨害を検知した場合、装置は、ナローバンドまたはスペクトラム拡散バンドなどの妨害の影響を受けにくいフォーマットでフレームを送信し、そのような伝送モードを用いることができる。
【0116】
たとえば、IR信号のレベル、感知されたPIRの感度、動きの速度、疑念区域または確信区域の角度、妨害周波数および検知シーケンスを修正するために装置のパラメータを設定したりその動作ロジックを適合させたりする目的で、装置のモジュールは、外部プログラミングツールに対する接続を可能にするBluetooth(登録商標) 514a無線接続部(低出力であってもなくてもよい)を備えることもできる。
【0117】
開放要素のフレームの一部に水平または垂直に配置される矩形のモジュール状態で装置を製作することができる。
【0118】
開放要素のモジュールの位置に関わらず、ビームすなわち円錐を下方に向けるために確信区域の検知手段の1つ以上のセンサをモジュール上で回転させることができる。
【0119】
本発明は示されている例に限定されず、たとえば、ドアの場合、確信区域から内側よりドアを開放した後に停止させ、その後にドアを閉鎖した後に再起動させるように装置をプログラムすることができることで、入居者は外出後に、周囲警報を停止させることを要さずに再び入ることができる。さらに、存在検知手段の検知距離を調節することができ、向きを変更することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9
図10A
図10B
図10C