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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】ポリウレタン接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/04 20060101AFI20231011BHJP
   C09J 11/00 20060101ALI20231011BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20231011BHJP
   C09J 175/08 20060101ALI20231011BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20231011BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20231011BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20231011BHJP
   C08G 18/18 20060101ALI20231011BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20231011BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J11/00
C09J11/04
C09J175/08
C09J11/06
C08G18/10
C08G18/08 038
C08G18/18
C08G18/76 057
C08G18/48
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020540350
(86)(22)【出願日】2018-12-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 US2018064867
(87)【国際公開番号】W WO2019156737
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】62/629,307
(32)【優先日】2018-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519415100
【氏名又は名称】ディディピー スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ゴロンボウスキィ、ディタメール
(72)【発明者】
【氏名】コッホ、フェリックス
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-021104(JP,A)
【文献】国際公開第2001/053423(WO,A1)
【文献】特開2007-054796(JP,A)
【文献】国際公開第2016/002518(WO,A1)
【文献】特開2016-203553(JP,A)
【文献】国際公開第2017/022666(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
C08G 18/10
C08G 18/08
C08G 18/18
C08G 18/76
C08G 18/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)イソシアネート部位を有する1つ以上のウレタンプレポリマーと、
(b)ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて0.3~3.5重量%の1つ以上の触媒と、
(c)1つ以上の形態のカーボンブラックと、
(d)1つ以上の炭酸カルシウムと、
(e)メルカプトシラン及びアミノシランの混合物を含む、1つ以上のシラン接着促進剤と、
を含み、粘土を含まない、ポリウレタン接着剤組成物。
【請求項2】
前記1つ以上のウレタンプレポリマーは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はこれらの混合物のアルキレンオキシド単位を含むポリオールから誘導される、請求項1に記載のポリウレタン接着剤組成物。
【請求項3】
前記1つ以上のウレタンプレポリマーは、芳香族イソシアネートから誘導される、請求項1に記載のポリウレタン接着剤組成物。
【請求項4】
前記1つ以上のウレタンプレポリマーは、メチレンジフェニルジイソシアネートから誘導される、請求項3に記載のポリウレタン接着剤組成物。
【請求項5】
前記1つ以上の触媒は、1つ以上の3級アミン基を含む1つ以上の化合物を含む、請求項1に記載のポリウレタン接着剤組成物。
【請求項6】
1つ以上の3級アミン基を含む前記1つ以上の化合物は、1つ以上のジモルホリノジアルキルエーテルを含み、前記モルホリノ基は、1つ以上の3級アミン基を含む前記1つ以上の化合物の触媒効果に干渉しない基で置換され得る、請求項5に記載のポリウレタン接着剤組成物。
【請求項7】
前記1つ以上の触媒は、ジモルホリノジエチルエーテルを含む、請求項1に記載のポリウレタン接着剤組成物。
【請求項8】
前記1つ以上のシラン接着促進剤は、1つ以上のアルコキシシラン接着促進剤を含む、請求項1に記載のポリウレタン接着剤組成物。
【請求項9】
前記1つ以上のアルコキシシラン接着促進剤は、1つ以上のメルカプトシラン、アミノシラン、イソシアナトシラン、エポキシシラン、アクリルシラン及びビニルシランを含む、請求項8に記載のポリウレタン接着剤組成物。
【請求項10】
前記炭酸カルシウムは、白色顔料である、請求項1に記載のポリウレタン接着剤組成物。
【請求項11】
前記炭酸カルシウムは、唯一の白色顔料である、請求項10に記載のポリウレタン接着剤組成物。
【請求項12】
(a)前記ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、30~65重量%のイソシアネート部位を有する前記1つ以上のウレタンプレポリマーと、
(b)前記ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、0.3~3.5重量%の前記1つ以上の触媒と、
(c)前記ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、15~23重量%の前記1つ以上の形態のカーボンブラックと、
(d)前記ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、8~20重量%の前記1つ以上の炭酸カルシウムと、
(e)前記ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、0.7~3重量%の前記1つ以上のシラン接着促進剤と、
を含む、請求項1に記載のポリウレタン接着剤組成物。
【請求項13】
(a)第1の基材の少なくとも一部にポリウレタン接着剤組成物を塗布する工程であって、前記ポリウレタン接着剤組成物は、
(i)イソシアネート部位を有する1つ以上のウレタンプレポリマーと、
(ii)ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて0.3~3.5重量%の1つ以上の触媒と、
(iii)1つ以上の形態のカーボンブラックと、
(iv)1つ以上の炭酸カルシウムと、
(v)メルカプトシラン及びアミノシランの混合物を含む、1つ以上のシラン接着促進剤と、
を含み、前記ポリウレタン接着剤組成物は粘土を含まない、工程と、
(b)第2の基材を前記第1の基材と接触させる工程と、
(c)前記ポリウレタン接着剤組成物を硬化させて、前記第1の基材と前記第2の基材との間に接着剤結合を形成する工程と、
を含む方法。
【請求項14】
前記ポリウレタン接着剤組成物は、
(i)前記ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、30~65重量%のイソシアネート部位を有する前記1つ以上のウレタンプレポリマーと、
(ii)前記ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、0.3~3.5重量%の前記1つ以上の触媒と、
(iii)前記ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、15~23重量%の前記1つ以上の形態のカーボンブラックと、
(iv)前記ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、8~20重量%の前記1つ以上の炭酸カルシウムと、
(v)前記ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、0.7~3重量%の前記1つ以上のシラン接着促進剤と、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の基材は、ガラス又はコーティングされたプラスチックである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の基材は、ガラス又はコーティングされたプラスチックであり、前記第2の基材は、自動車であり、前記ガラス又は前記コーティングされたプラスチックは、窓としての使用に適合される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスを構造体に結合するために使用することができるポリウレタン接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン密閉剤(接着剤)組成物は、多くの産業で使用されている。例えば、自動車産業において、ポリウレタン接着剤組成物は、ガラス物体、例えば、フロントガラス、バックライトウィンドウ及びクォーターガラスなどの基材を車体構造に結合するために使用される。ポリウレタン接着剤組成物は、典型的には、シラン接着促進剤と共にポリウレタンプレポリマーを含む。更に、ポリウレタン接着剤組成物は、多くの場合に充填剤を含む。一般的に、ポリウレタン接着剤組成物の調製に典型的に使用される1つの充填剤は、その非導電特性及びコスト削減のために粘土である。しかしながら、粘土を使用する際の1つの問題は、粘土がシラン接着促進剤と反応し、その結果シランが基材の表面に結合しないことである。従って、ポリウレタン接着剤組成物を基材に結合するために、プライマー又は活性剤を基材に適用することにより前処理工程を実施して、接着剤組成物の耐久性のある長期的な接着を促進しなければならない。プライマー又は活性剤は、溶媒の使用を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ガラスなどの基材にポリウレタン接着剤組成物を塗布する際に前処理工程の使用を必要としないポリウレタン接着剤組成物を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
例示的な一実施形態では、
(a)イソシアネート部位を有する1つ以上のウレタンプレポリマーと、
(b)触媒量の1つ以上の触媒と、
(c)1つ以上の形態のカーボンブラックと、
(d)1つ以上の炭酸カルシウムと、
(e)1つ以上のシラン接着促進剤と、を含むポリウレタン接着剤組成物が提供される。
【0005】
例示的な一実施形態では、2つの基材を結合するための方法が提供され、この方法は、
(a)第1の基材の少なくとも一部にポリウレタン接着剤組成物を塗布する工程であって、ポリウレタン接着剤組成物は、(i)イソシアネート部位を有する1つ以上のウレタンプレポリマーと、(ii)触媒量の1つ以上の触媒と、(iii)1つ以上の形態のカーボンブラックと、(iv)1つ以上の炭酸カルシウムと、(v)1つ以上のシラン接着促進剤と、を含む工程と、
(b)第2の基材を第1の基材と接触させる工程と、
(c)ポリウレタン接着剤組成物を硬化させて、第1の基材と第2の基材との間に接着剤結合を形成する工程と、を含む。
【0006】
本発明のポリウレタン接着剤組成物は、シラン接着促進剤と反応しない炭酸カルシウムを使用することにより、基材に対する前処理工程を使用することなく、基材に有利に接着する。従って、充填剤としての粘土の非存在下での炭酸カルシウムの使用は、ガラスへの接着に対して耐久性のあるプライマーレス(primerless)を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(a)イソシアネート部位を有する1つ以上のウレタンプレポリマー、(b)触媒量の1つ以上の触媒、(c)1つ以上の形態のカーボンブラック、(d)1つ以上の炭酸カルシウム、及び(e)1つ以上のシラン接着促進剤を含むポリウレタン接着剤組成物が、開示される。本明細書で使用される場合、「1つ以上」という用語は、列挙された成分の少なくとも1つ、又は2つ以上が使用され得ることを意味すると理解されるものとする。
【0008】
本発明によるポリウレタン接着剤組成物のイソシアネート部位成分(a)を有する1つ以上のウレタンプレポリマーは、ポリウレタン接着剤組成物で使用される任意の従来のプレポリマーを含む。本発明の組成物の調製に使用するためのウレタンプレポリマーは、少なくとも2.0の平均イソシアネート官能価及び少なくとも2,000の重量平均分子量を有する任意のプレポリマーを含む。一実施形態では、プレポリマーの平均イソシアネート官能価は、少なくとも2.2、又は少なくとも2.4である。一実施形態では、平均イソシアネート官能価は、4.0以下、又は3.5以下、又は3.0以下である。一実施形態では、プレポリマーの重量平均分子量は、少なくとも2,500又は少なくとも3,000であり、40,000以下又は20,000以下、或いは15,000以下又は10,000以下である。
【0009】
一般的に、プレポリマーは、ポリイソシアネートを含む1つ以上のイソシアネート化合物を1つ以上のイソシアネート反応性成分と反応させるなど、任意の適切な方法によって調製することができる。一実施形態では、プレポリマーは、対応するプレポリマーを形成するのに十分な反応条件下で、少なくとも2つのイソシアネート反応性活性水素含有基を含むイソシアネート反応性化合物を化学量論より過剰のポリイソシアネートと反応させることにより得られる。一実施形態では、ポリイソシアネートは、少なくとも2.0の平均イソシアネート官能価及び少なくとも80の当量を有する。一実施形態では、ポリイソシアネートのイソシアネート官能価は、少なくとも2.0、又は少なくとも2.2、又は少なくとも2.4であり、4.0以下、又は3.5以下、又は3.0以下である。当業者が理解するように、より高い官能価を使用することもできるが、過度の架橋を引き起こし、粘着性が高すぎて取り扱い及び塗布が容易でない接着剤をもたらす場合があり、硬化した接着剤があまりにも脆くなる可能性がある。一実施形態では、ポリイソシアネートの当量は、少なくとも80、又は少なくとも110、又は少なくとも120であり、300以下、又は250以下、又は200以下である。
【0010】
適切なポリイソシアネートには、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、複素環式ポリイソシアネート、及びこれらの混合物が含まれる。適切な芳香族ポリイソシアネート化合物には、例えば、m-フェニレンジイソシアネート、トルエン-2,4-ジイソシアネート、トルエン-2,6-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、メトキシフェニル-2,4-ジイソシアネート、ジフェニル-メタン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4-4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(キシレンジイソシアネートXDI)、4,4’,4’’-トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PMDI)、トルエン-2,4,6-トリイソシアネート及び4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’、5,5’-テトライソシアネートが含まれる。
【0011】
本明細書で使用するためのイソシアネートの代表的な例には、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の4,4’-、2,4’及び2,2’-異性体、これらのブレンド並びにポリマー及びモノマーのMDIブレンド、トルエン-2,4-及び2,6-ジイソシアネート(TDI)m-及びp-フェニレンジイソシアネート、クロロフェニレン-2,4-ジイソシアネート、ジフェニレン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジイソシアネート-3,3’-ジメチルジフェニル、3-メチルジフェニル-メタン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4,6-トリイソシアナトトルエン、2,4,4’-トリイソシアナトジフェニルエーテル、エチレンジイソシアネート、並びに1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートが含まれる。 例えば、ビウレット、尿素、カルボジイミド、アロフォネート、及び/又はイソシアヌレート基を含む、前述のポリイソシアネート基のいずれかの誘導体を使用することができる。例示的な実施形態によれば、イソシアネート成分は、例えば40~99重量%のMDIの4,4’-異性体などのMDIを含む。
【0012】
ウレタン、尿素、ビウレット、カルボジイミド、ウレトンイミン、アロフォネート又はイソシアネート基の反応により形成される他の基を含む改質芳香族ポリイソシアネートも有用である。芳香族ポリイソシアネートは、MDI又はPMDI(又は通常「ポリマーMDI」と呼ばれるこれらの混合物)、並びにビウレット、カルボジイミド、ウレトンイミン及び/又はアロフォネート結合を有するMDI及びMDI誘導体の混合物であるいわゆる「液体MDI」生成物であり得る。低当量ポリイソシアネート化合物の全て又は一部は、1つ以上の脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートであり得る。適切な脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートには、例えば、シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-及び/又は1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1-メチル-シクロヘキサン-2,4-ジイソシアネート、1-メチル-シクロヘキサン-2,6-ジイソシアネート、メチレンジシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネートが含まれる。
【0013】
ポリイソシアネート成分中に存在するポリイソシアネート基の少なくともいくつかは、芳香族イソシアネート基であり得る。芳香族と脂肪族のイソシアネート基の混合物が存在する場合、数で50%以上、又は数で75%以上が芳香族イソシアネート基である。一実施形態では、イソシアネート基の数で80~98%が芳香族であり得、数で2~20%が脂肪族であり得る。プレポリマーのイソシアネート基は全て、芳香族であり得、350までのイソシアネート当量を有するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基は、80~95%の芳香族イソシアネート基と5~20%の脂肪族イソシアネート基の混合物であり得る。
【0014】
適切なイソシアネート反応性化合物には、例えば、活性水素部位を含む化合物又はイミノ官能性化合物などの、少なくとも2つのイソシアネート反応性部位を有する任意の有機化合物が含まれる。本明細書で使用される場合、活性水部位とは、分子内でのその位置のため、the Journal of the American Chemical Society,Vol.49,p.3181(1927)におけるWohlerによって記載されているツェレビノフ試験に従って著しい活性を示す水素原子を含む部位を指す。このような活性水素部位の代表的な例には、-COOH、-OH、-NH、-NH-、-CONH、-CONH-、及び-SHが含まれる。適切な活性水素含有化合物には、例えば、ポリオール、ポリアミン、ポリメルカプタン及びポリ酸が含まれる。適切なイミノ官能性化合物としては、例えば、分子当たり少なくとも1つの末端イミノ基を有するもの、例えば、米国特許第4,910,279号明細書に記載されているものなどが挙げられる。
【0015】
一実施形態では、イソシアネート反応性化合物は、ポリオールである。適切なポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリ(アルキレンカーボネート)ポリオール、ヒドロキシル含有ポリチオエーテル、ポリマーポリオール(一般的にコポリマーポリオールと呼ばれる、このようなポリオール中のビニルポリマーの分散物)及びこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、ポリオールは、ポリオールの主鎖中に1つ以上のアルキレンオキシド単位を含むポリエーテルポリオールである。適切なアルキレンオキシド単位としては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及びこれらの混合物が挙げられる。アルキレンオキシドは、直鎖又は分岐鎖アルキレン単位を含み得る。一実施形態では、ポリオールは、プロピレンオキシド単位、エチレンオキシド単位又はこれらの混合物を含む。アルキレンオキシド単位の混合物がポリオール中に含まれる実施形態では、異なる単位がランダムに配置されることができる、又はそれぞれのアルキレンオキシドのブロックで配列されることができる。一実施形態では、ポリオールは、ポリオールをキャップするエチレンオキシド鎖と共にプロピレンオキシド鎖を含む。別の実施形態では、ポリオールは、ジオールとトリオールの混合物である。
【0016】
一実施形態では、イソシアネート反応性化合物は、少なくとも1.5、又は少なくとも1.8、又は少なくとも2.0の官能性を有することができ、4.0以下、又は3.5以下、又は3.0以下である。一実施形態では、イソシアネート反応性化合物の当量は、少なくとも200、又は少なくとも500、又は少なくとも1,000であり、5,000以下、又は3,000以下、又は2,500以下である。
【0017】
プレポリマーは、接着剤配合物におけるプレポリマーの使用を可能にするのに十分な粘度を有する。一実施形態では、プレポリマーは、6,000センチポアズ(600N-S/m)以上、又は8,000センチポアズ(800N-S/m)以上の粘度を有する。一実施形態では、プレポリマーは、30,000センチポアズ(3,000N-S/m)以下、又は20,000センチポアズ(2,000N-S/m)以下の粘度を有する。当業者が理解するように、30,000センチポアズ(3,000N-S/m)を超えると、ポリウレタン組成物は、粘性が高くなりすぎてポンプで送ることができなくなり、従って、従来の技術を使用して塗布することができない。更に、6,000センチポアズ(600N-S/m)未満では、プレポリマーは、プレポリマーを利用する組成物を所望の用途で利用できるようにするのに十分な完全性を提供しない。本明細書で使用される場合、「粘度」は、毎秒5回転の速度及び25℃の温度で、RVスピンドル#5を備えたブルックフィールド粘度計、モデルDV-Eによって測定される。
【0018】
一般的に、プレポリマーを調製するために使用されるイソシアネート含有化合物の量は、所望の特性、即ち、上記の適切な遊離イソシアネート含有量及び粘度を提供する量である。一実施形態では、プレポリマーを調製するために使用されるイソシアネート含有化合物の量は、6.5重量%以上、又は7.0重量%以上又は7.5重量%以上の量である。一実施形態では、プレポリマーを調製するために使用されるポリイソシアネートの量は、12重量%以下、又は10.5重量%以下、又は10重量%以下の量である。
【0019】
イソシアネート反応性化合物の量は、プレポリマーの所望の遊離イソシアネート含有量を与えるのに十分なイソシアネート基を残すイソシアネートのほとんどのイソシアネート基と反応するのに十分な量である。一実施形態では、イソシアネート反応性化合物は、プレポリマーの重量に基づいて、30重量%以上、又は35重量%以上、又は40重量%以上の量で存在する。一実施形態では、イソシアネート反応性化合物は、プレポリマーの重量に基づいて、75重量%以下、又は65重量%以下、又は60重量%以下の量で存在する。
【0020】
プレポリマーは、塊状重合及び溶液重合などの、任意の好適な方法によって調製され得る。プレポリマーを調製する反応は、無水条件下で、又は窒素ブランケットなどの不活性雰囲気下で、大気中の水分によるイソシアネート基の架橋を防止するために行うことができる。反応は、試料の滴定によって決定される残留イソシアネート含有量が所望の理論値に非常に近くなるまで、0℃~150℃、又は25℃~90℃の温度で行うことができる。一実施形態では、プレポリマー中のイソシアネート含有量は、0.1重量%以上、又は1.5重量%以上、又は1.8重量%以上であり得る。一実施形態では、プレポリマー中のイソシアネート含有量は、10重量%以下、又は5重量%以下、又は3重量%以下であり得る。本明細書で使用される場合、「イソシアネート含有量」という用語は、プレポリマーの総重量に対するイソシアネート部位の重量パーセントを意味する。
【0021】
プレポリマーを調製するための反応は、ウレタン触媒の存在下で行うことができる。適切なウレタン触媒としては、例えば、第一スズオクトエート、第一スズオレエート、第一スズアセテート、及び第一スズラウレートなどのカルボン酸の第一スズ塩、ジブチルスズジラウレート及びジブチルスズジアセテートなどのジアルキルスズジカルボキシレートが挙げられ、これらは、当技術分野で3級アミン及びスズメルカプチドなどのウレタン触媒として知られている。使用される触媒の量は、一般的に、イソシアネートの性質に応じて、触媒される混合物の0.005~5重量%である。
【0022】
一般的に、プレポリマーは、本発明によるポリウレタン接着剤組成物中に、接着剤が基材を一緒に結合することができるのに十分な量で存在する。一実施形態では、プレポリマーは、ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、20重量%以上、又は30重量%以上、又は40重量%以上、又は50重量%以上の量で存在する。一実施形態では、プレポリマーは、ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、85重量%以下、又は80重量%以下、又は75重量%以下、又は70重量%以下の量で存在する。
【0023】
本発明によるポリウレタン接着剤組成物は、イソシアネート部位と水又は活性水素含有化合物との反応を触媒する1つ以上の触媒を更に含む。触媒は、イソシアネート部位と水又は活性水素含有化合物との反応において当業者に知られている任意の触媒であり得る。一実施形態では、1つ以上の触媒は、1つ以上の3級アミン基を含む1つ以上の触媒、有機スズ触媒、金属アルカノエート触媒、及びこれらの混合物を含む。
【0024】
1つ以上の3級アミン基を含む適切な1つ以上の触媒には、例えば、ジモルホリノジアルキルエーテル、ジ((ジアルキルモルホリノ)アルキル)エーテル、置換モルホリン化合物、N-ジアルキルアミノアルキルエーテル及びアルキル置換ポリアルキレンポリアミンが含まれる。一実施形態では、適切な1つ以上の触媒には、例えば、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルピペラジン、4-メトキシエチルモルホリン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、及びこれらの混合物が含まれる。一実施形態では、触媒の部類は、ジモルホリノジアルキルエーテルであり、モルホリン基は、触媒の触媒作用に干渉しない基で置換されることができる。適切なジモルホリノジアルキルエーテルには、例えば、ジモルホリノジエチルエーテルが含まれる。一実施形態では、1つ以上の3級アミン基を含む1つ以上の触媒は、ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、0.01重量%以上、又は0.03重量%以上の量で存在する。一実施形態では、1つ以上の3級アミン基を含む1つ以上の触媒は、ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、2.0重量%以下、又は1.75重量%以下、又は1.0重量%以下、又は0.5重量%以下の量で存在する。
【0025】
適切な1つ以上の有機スズ触媒としては、例えば、アルキルスズ酸化物、第一スズアルカノエート、ジアルキルスズカルボキシレート及びスズメルカプチドが挙げられる。適切な第一スズアルカノエートには、例えば、第一スズオクトエートが含まれる。適切なアルキルスズ酸化物には、例えば、ジブチルスズ酸化物及びその誘導体などのジアルキルスズ酸化物が含まれる。一実施形態では、有機スズ触媒は、ジアルキルスズジカルボキシレート又はジアルキルスズジメルカプチドである。適切なジアルキルジカルボキシレートには、例えば、1,1-ジメチルスズジラウレート、1,1-ジブチルスズジアセテート及び1,1-ジメチルジマレートが含まれる。適切な金属アルカノエートには、例えば、ビスマスオクトエート及びビスマスネオデカノエートが含まれる。一実施形態では、有機スズ化合物又は金属アルカノエートは、ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、60ppm以上、又は120ppm以上の量で存在する。一実施形態では、有機スズ化合物又は金属アルカノエートは、ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、2.0パーセント以下、又は1.5重量%以下の量で存在する。
【0026】
一実施形態では、1つ以上の触媒の触媒量は、ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、0.3重量%以上、又は0.5重量%以上の量である。一実施形態では、1つ以上の触媒の触媒量は、ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、3.5パーセント以下、又は3重量%以下の量である。
【0027】
本発明によるポリウレタン接着剤組成物は、組成物に所望の黒色を与え、組成物の強度及びレオロジーを改善するために、1つ以上の形態のカーボンブラックを更に含む。強化充填剤としてカーボンブラックを使用する場合、使用するカーボンブラックは、標準的なカーボンブラックであり得る。標準的なカーボンブラックは、非導電性にするために特別に表面処理又は酸化されていないカーボンブラックである。非導電性は、一般的に、少なくとも1010オーム-cmの組成物のインピーダンスを意味すると理解される。1つ以上の非導電性カーボンブラックを標準のカーボンブラックと組み合わせて使用することができる。非導電性カーボンブラックは、表面積が大きいカーボンブラックであり得、110cc/100g以上、又は115cc/100g以上の油吸収、及び/又は130mg/g以上、又は150mg/g以上のヨウ素価を示す。適切な非導電性カーボンブラックには、例えば、ELFTEX(商標)57100、MONARCH RAVEN(商標)1040、及びRAVEN(商標)1060カーボンブラックが含まれる。適切で標準的なカーボンブラックは、当技術分野で周知であり、例えば、Colombianから入手可能なRAVEN(商標)790、RAVEN(商標)450、RAVEN(商標)500、RAVEN(商標)430、RAVEN(商標)420、及びRAVEN(商標)410カーボンブラック、並びにCabotから入手可能なCSX(商標)カーボンブラック、並びにDegussaから入手可能なPRINTEX(商標)カーボンブラックが含まれる。
【0028】
一般的に、1つ以上の形態のカーボンブラックは、本発明によるポリウレタン接着剤組成物中に、組成物を補強し組成物のレオロジーを改善するのに十分な量で存在する。一実施形態では、1つ以上の形態のカーボンブラックは、組成物の一部が非導電性であるような量で存在する。一実施形態では、1つ以上の形態のカーボンブラックは、ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、10重量%以上、又は14重量%以上、又は18重量%以上の量で存在する。一実施形態では、1つ以上の形態のカーボンブラックは、ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、35重量%以下、又は30重量%以下、又は25重量%以下の量で存在する。
【0029】
本発明によるポリウレタン接着剤組成物は、1つ以上の炭酸カルシウムを更に含む。炭酸カルシウムは、組成物中で白色顔料として機能する。適切な炭酸カルシウムには、例えば、任意の標準的な炭酸カルシウムが含まれる。適切な標準的な炭酸カルシウムは、未処理であり、即ち、有機酸又は有機酸のエステルなど、他の化学薬品で処理することによって改質されない。一実施形態では、本発明によるポリウレタン接着剤組成物は、唯一の白色顔料として炭酸カルシウムを含む。
【0030】
一般的に、1つ以上の炭酸カルシウムは、ポリウレタン接着剤組成物の所望の接着特性が達成されるのに十分な量で存在する。一実施形態では、1つ以上の炭酸カルシウムは、ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、5重量%以上、又は8重量%以上、又は12重量%以上の量で存在する。一実施形態では、1つ以上の炭酸カルシウムは、ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、25重量%以下、又は20重量%以下、又は18重量%以下の量で存在する。
【0031】
一実施形態では、本発明によるポリウレタン接着剤組成物は、充填剤としていかなる形態の粘土を含まない。
【0032】
本発明によるポリウレタン接着剤組成物は、イソシアネート官能性接着剤と、例えば、ガラス表面との間の耐久性のある結合を促進するために、1つ以上のシラン接着促進剤を更に含む。一実施形態では、1つ以上のシラン接着促進剤は、酸性化合物と塩を形成する官能基を有さないものである。一実施形態では、適切な1つ以上のシラン接着促進剤は、例えば、1つ以上のアルコキシシラン接着促進剤を含む。一実施形態では、適切な1つ以上のアルコキシシラン接着促進剤は、イソシアネート部位と反応するアルコキシシランである。適切なアルコキシシランは、例えば、メルカプトシラン、アミノシラン、イソシアナトシラン、エポキシシラン、アクリルシラン及びビニルシランを含む。一実施形態では、適切なアルコキシシランは、トリメトキシシランなどのトリアルコキシシランを含む。
【0033】
好ましい一実施形態では、アルコキシシランの部類は、メルカプトシランである。本明細書で使用される場合、「メルカプトシラン」は、ガラス表面へのイソシアネート官能性接着剤の接着を高めるメルカプト基とシラン基の両方を有する任意の分子を指す。適切なメルカプトシランとしては、例えば、メルカプトアルキルジ-又はトリ-アルコキシシランが挙げられる。一実施形態では、メルカプトシランは、一般式:
【化1】
(式中、Rは、ヒドロカルビレン基であり、Rは、独立して1~20の炭素原子を有するアルキル基、6~20の炭素原子を有するアリール基、7~20の炭素原子を有するアラルキル基、又は(RSiO-で表されるトリオルガノシロキシ基であり、それぞれのR基は、独立して、1~20の炭素原子を有する一価の炭化水素基を表し、Xは、独立してヒドロキシル基又は加水分解性基であり、aは、独立して0、1又は2であり、bは、独立して0、1、2、又は3であり、aとbの合計は3である)であり得る。
【0034】
Xにより表される加水分解性基は、限定されず、任意の従来の加水分解性基であり得る。適切な加水分解性基には、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプトシラン基、及びアルケニルオキシ基が含まれる。一実施形態では、1つ以上の加水分解性基には、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプトシラン基、及びアルケニルオキシ基が含まれる。一実施形態では、1つ以上の加水分解性基は、その穏やかな加水分解性により取り扱いを容易にするために、例えば、メトキシ又はエトキシ基などのアルコキシ基である。反応性ケイ素基当たり2つ以上のヒドロキシル基又は加水分解性基が存在する場合、それらは同じでも異なっていてもよい。一実施形態では、Rは、例えば、メチル又はエチルなどのアルキル基、例えば、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基、例えば、フェニルなどのアリール基、例えば、ベンジルなどのアラルキル基、或いは、式(RSi-(式中、Rは、メチル又はフェニルである)のトリオガンシロキシ(triogansiloxy)基である。別の実施形態では、R及びRは、メチル基である。別の実施形態では、Rは、C~Cアルキレン基、又はC~Cアルキレン基又はC~Cアルキレン基などのアリーレン、アルカリレン、又はアルキレン基である。
【0035】
適切な1つ以上のシラン接着促進剤の代表的な例には、メルカプトシランプロピルトリメトキシシラン、メルカプトシランプロピルメチルジメトキシシラン、ビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミン、イソシアナトトリメトキシシラン、N,N-ビス[(3-トリエトキシシリル)プロピル]アミン、N,N-ビス[(3-トリプロポキシ-シリル)プロピル]アミン、N-(3-トリメトキシシリル)プロピル-3-[N-(3-トリメトキシシリル)-プロピルアミノ]プロピオン-アミド、N-(3-トリエトキシシリル)プロピル-3-[N-3-トリエトキシシリル)-プロピル-アミノ]プロピオンアミド、N-(3-トリメトキシシリル)プロピル-3-[N-3-トリエトキシシリル)-プロピルアミノ]プロピオンアミド、3-トリメトキシシリルプロピル3-[N-(3-トリメトキシシリル)-プロピルアミノ]-2-メチルプロピオネート、3-トリエトキシシリルプロピル3-[N-(3-トリエトキシシリル)-プロピルアミノ]-2-メチルプロピオネート、及び3-トリメトキシシリルプロピル3-[N-(3-トリエトキシシリル)-プロピルアミノ]-2-メチルプロピオネートが含まれる。
【0036】
一般的に、1つ以上のシラン接着促進剤は、イソシアネート官能性接着剤の、基材、或いはガラス又はコーティングされたプラスチック表面への結合を高めるのに十分な量で存在する。一実施形態では、1つ以上のシラン接着促進剤は、ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、0.1重量%以上、又は0.4重量%以上、又は1.0重量%以上の量で存在する。一実施形態では、1つ以上のシラン接着促進剤は、ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、5重量%以下、又は3重量%以下、又は2重量%以下、又は1.5重量%以下の量で存在する。
【0037】
本発明によるポリウレタン接着剤組成物は、充填剤粒子の表面を湿潤してそれらが分散するのを助ける、1つ以上の同じ又は異なる分散助剤を更に含み得る。1つ以上の分散助剤は、粘度を下げる効果も有し得る。適切な1つ以上の分散助剤には、例えば、低分子量ポリカルボン酸ポリマーのアルキルアンモニウム塩、及び不飽和ポリアミンアミドと低分子酸性ポリエステルの塩などの、BYK、DISPERBYK及びANTI-TERRA-Uの商標名でBYK Chemieなどの供給源により市販され販売されている分散助剤、並びに、3M CorporationのFC-4430、FC-4432、及びFC-4434などのフッ素化界面活性剤が含まれる。このような分散助剤は、例えば、2重量%まで、又は1重量%までのポリウレタン接着剤組成物を構成し得る。
【0038】
本発明によるポリウレタン接着剤組成物は、例えば、ヒュームドシリカ、疎水的に改質されたヒュームドシリカ、シリカゲル、エアロゲル、様々なゼオライト及びモレキュラーシーブなどの1つ以上の乾燥剤を更に含み得る。1つ以上の乾燥剤は、ポリウレタン接着剤組成物の総重量に基づいて、1重量%以上、又は5重量%以下、又は4重量%以下を構成し得る。一実施形態では、ポリウレタン接着剤組成物は、乾燥剤を含まない。
【0039】
本発明によるポリウレタン接着剤組成物は、レオロジー特性を所望の稠度(consistency)に変更するために、1つ以上の可塑剤又は溶媒を更に含み得る。1つ以上の可塑剤又は溶媒は、水を含まず、イソシアネート基に対して不活性であり、プレポリマーと相溶性でなければならない。プレポリマーを調製するための反応混合物、又は最終的な接着剤組成物を調製するための混合物に、1つ以上の可塑剤又は溶媒を添加することができる。一実施形態では、プレポリマー及び付加物を調製するための反応混合物に1つ以上の可塑剤又は溶媒を加えて、このような混合物をより容易に混合及び処理できるようにする。適切な可塑剤及び溶媒は、当技術分野で周知であり、例えば、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジオクチル及びフタル酸ジブチルなどの直鎖及び分岐アルキルフタル酸、「HB-40」として市販されている部分水素化テルペン、リン酸トリオクチル、エポキシ可塑剤、トルエン-スルファミド、クロロパラフィン、アジピン酸エステル、ヒマシ油、キシレン、1-メチル-2-ピロリジノン、及びトルエンが含まれる。使用される可塑剤の量は、所望のレオロジー特性を与え、本発明の組成物中に成分を分散させるのに十分な量である。一実施形態では、1つ以上の可塑剤は、ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、0重量%以上、又は5重量%以上、又は10重量%以上の量で存在する。一実施形態では、1つ以上の可塑剤は、ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、35重量%以下、又は30重量%以下、又は25重量%以下の量で存在する。
【0040】
本発明によるポリウレタン接着剤組成物は、組成物を水分から保護し、これにより組成物中のイソシアネート又はシラノール基の増進を抑え早期の架橋を防ぐように機能する、1つ以上の安定剤を更に含み得る。適切な1つ以上の安定剤には、例えば、ジエチルマロネート、アルキルフェノールアルキレート、パラトルエンスルホン酸イソシアネート、塩化ベンゾイル、酸化カルシウム及びオルトアルキルホルメートが含まれる。一実施形態では、1つ以上の安定剤は、ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、0.1重量%以上、又は0.5重量%以上、又は0.8重量%以上の量で存在する。一実施形態では、1つ以上の安定剤は、ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、5.0重量%以下、又は2.0重量%以下、又は1.4重量%以下の量で存在する。
【0041】
本発明によるポリウレタン接着剤組成物は、1つ以上の硬化剤を更に含み得る。適切な1つ以上の硬化剤には、例えば、1つ以上の鎖延長剤、架橋剤、ポリオール又はポリアミンが含まれる。本明細書で上記のポリオールを硬化剤として利用することができる。1つ以上の硬化剤は、2つ以上のイソシアネート反応性基及び炭化水素主鎖を有する1つ以上の低分子量化合物を含み得、この場合に、主鎖は1つ以上のヘテロ原子を更に含み得る。適切な低分子量化合物は、平均して、化合物当たり2つを超える活性水素基を有する、連鎖延長剤、二官能性化合物、又は架橋剤として当技術分野で知られている化合物であり得る。主鎖のヘテロ原子は、酸素、硫黄、窒素又はこれらの混合物であり得る。一実施形態では、低分子量化合物の分子量は、250以下、又は120以下、又は100以下である。低分子量化合物には、1つ以上の多官能性アルコール、多官能性アルカノールアミン、1つ以上の多官能性アルコールとアルキレンオキシドの付加物、1つ以上の多官能性アルカノールアミンとアルキレンオキシドの付加物、又はこれらの混合物が含まれる。適切な多官能性アルコール及び多官能性アルカノールアミンには、例えば、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、エタノールアミン(ジエタノールアミン、トリエタノールアミン)、及びプロパノールアミン(ジ-イソプロパノールアミン、トリ-イソプロパノールアミン)が含まれる。
【0042】
一般的に、1つ以上の硬化剤は、所望のG-弾性率(E-弾性率)を得るのに十分な量で使用される。一実施形態では、1つ以上の硬化剤は、ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、2重量%以上、又は2.5重量%以上、又は3.0重量%以上の量で存在する。一実施形態では、1つ以上の硬化剤は、ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、10重量%以下、又は8重量%以下、又は6重量%以下の量で存在する。
【0043】
本発明によるポリウレタン接着剤組成物は、ポリアミン当たり2以上のアミンを有するポリオキシアルキレンポリアミンを更に含み得る。一実施形態では、ポリオキシアルキレンポリアミンは、ポリアミン当たり2~4のアミン、又はポリアミン当たり2~3のアミンを有することができる。一実施形態では、ポリオキシアルキレンポリアミンは、200以上又は400以上の重量平均分子量を有することができる。一実施形態では、ポリオキシアルキレンポリアミンは、5,000以下又は3,000以下の重量平均分子量を有することができる。適切なポリオキシアルキレンポリアミンとしては、例えば、分子量が400のJeffamine(商標)D-T-403ポリプロピレンオキシドトリアミン及び分子量が400のJeffamine(商標)D-400ポリプロピレンオキシドジアミンが挙げられる。一実施形態では、ポリオキシアルキレンポリアミンは、ポリウレタン接着剤組成物の総重量に基づいて、0.2重量%以上、又は0.3重量%以上、又は0.5重量%以上の量で存在する。一実施形態では、ポリオキシアルキレンポリアミンは、ポリウレタン接着剤組成物の総重量に基づいて、6重量%以下、又は4重量%以下、又は2重量%以下の量で存在する。
【0044】
本発明によるポリウレタン接着剤組成物は、アルキル置換フェノール、ホスファイト、セバケート及びシンナメート、好ましくは有機ホスファイトを含む、当技術分野で公知の他の耐久性安定剤を更に含み得る。耐久性安定剤は、ポリウレタン接着剤組成物の基材表面への結合の耐久性を高めるのに十分な量で存在する。適切なホスファイトとしては、例えば、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト(Dover Chemical Corporationから商標及び名称DOVERPHOS 12で入手可能)、テトラキスイソデシル4,4’イソプロピリデンジホスファイト(Dover Chemical Corporationから商標及び名称DOVERPHOS 675で入手可能)、及びフェニルジイソデシルホスファイト(Dover Chemical Corporationから商標及び名称DOVERPHOS 7で入手可能)が挙げられる。一実施形態では、1つ以上の耐久性安定剤は、ポリウレタン接着剤組成物の総重量に基づいて、0.1重量%以上、又は0.2重量%以上の量で存在する。一実施形態では、1つの又は(the one or)耐久性安定剤は、ポリウレタン接着剤組成物の総重量に基づいて、1.0重量%以下、又は0.5重量%以下の量で存在する。
【0045】
本発明によるポリウレタン接着剤組成物は、1つ以上の光安定剤を更に含み得、これは、それが結合される構造体の寿命のかなりの部分の間、システムが基材への耐久性のある結合を維持することを容易にする。適切な1つ以上の光安定剤には、例えば、ヒンダードアミン光安定剤、例えば、チヌビン1,2,3ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6、テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート及びチヌビン765、ビス(1,2,2,6,6,-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケートが含まれる。一実施形態では、1つ以上の光安定剤は、ポリウレタン接着剤組成物の総重量に基づいて、0.1重量%以上、又は0.2重量%以上、又は0.3重量%以上の量で存在する。一実施形態では、1つ以上の光安定剤は、ポリウレタン接着剤組成物の総重量に基づいて、3重量%以下、又は2重量%以下、又は1重量%以下の量で存在する。
【0046】
本発明によるポリウレタン接着剤組成物は、組成物の基材への結合の耐久性を高める1つ以上の紫外線(UV)光吸収剤を更に含み得る。適切な1つ以上の紫外光吸収剤には、例えば、ベンゾフェノン及びベンゾトリアゾール、例えば、サイアソーブUV-531 2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン及びチヌビン571 2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール、分岐及び直鎖が含まれる。一実施形態では、1つ以上のUV光吸収剤は、ポリウレタン接着剤組成物の総重量に基づいて、0.1重量%以上、又は0.2重量%以上、又は0.3重量%以上の量で存在する。一実施形態では、1つ以上のUV光吸収剤は、ポリウレタン接着剤組成物の総重量に基づいて、3重量%以下、又は2重量%以下、又は1重量%以下の量で存在する。
【0047】
本発明によるポリウレタン接着剤組成物は、当技術分野で周知の方法により成分を一緒にブレンドすることにより形成することができる。例えば、成分は、適切なミキサーでブレンドすることができる。このようなブレンドは、例えば、不活性雰囲気中にて大気中の水分が存在しない状態で実施して、早期の反応を防止することができる。成分の混合は、特定の用途及び利用可能な装置に応じて、任意の都合のよい方法で行うことができる。成分の混合は、バッチ式で行うことができ、手で、又は様々な種類のバッチ混合装置を使用して混合し、続いて、ブラッシング、注ぎ、ビードの適用及び/又は他の適切な方法で適用することができる。一実施形態では、組成物が配合されると、大気中の水分から保護されるように、適切な容器に包装することができる。大気中の水分との接触は、本発明の組成物に利用されるプレポリマーの早期の架橋をもたらし得る。
【0048】
本発明によるポリウレタン接着剤組成物は、多孔性及び非多孔性基材を一緒に結合するために使用される。例えば、ポリウレタン接着剤組成物を第1の基材に塗布し、次いで第1の基材におけるポリウレタン接着剤組成物を第2の基材と接触させる。その後、ポリウレタン接着剤組成物は、硬化条件に曝される。一実施形態では、一方の基材は、耐摩耗性コーティングでコーティングされたガラス又は透明プラスチックであり、他方の基材は、任意に塗装又はコーティングされ得るプラスチック、金属、ガラス繊維又は複合基材である。耐摩耗性コーティングでコーティングされたプラスチックは、ポリカーボネート、アクリル、水素化ポリスチレン、又はスチレン含有量が50パーセントを超える水素化スチレン共役ジエンブロックコポリマーなどの透明な任意のプラスチックであり得る。コーティングは、ポリシロキサンコーティングなどの耐摩耗性である任意のコーティングを含み得る。一実施形態では、コーティングは、紫外線着色光遮断添加剤を有する。一実施形態では、ガラス又はコーティングされたプラスチックの窓は、接着剤と接触する領域に配置された不透明なコーティングを有し、UV光が接着剤に到達するのを阻止する。これは一般的にフリットと呼ばれる。一実施形態では、不透明なコーティングは、無機エナメル又は有機コーティングである。
【0049】
一実施形態では、本発明によるポリウレタン接着剤組成物は、構造体に結合されるガラス又はコーティングされたプラスチックの部分に沿って、ガラス又はコーティングされたプラスチックの表面に塗布することができる。その後、ポリウレタン接着剤組成物は、ポリウレタン接着剤組成物がガラス又はコーティングされたプラスチックと第2の基材との間に配置されるように、第2の基材と接触される。ポリウレタン接着剤組成物を硬化させて、ガラス又はコーティングされたプラスチックと基材との間に耐久性のある結合を形成する。一般的に、本発明によるポリウレタン接着剤組成物は、大気中の水分の存在下、周囲温度で塗布することができる。大気中の水分への曝露は、ポリウレタン接着剤組成物の硬化をもたらすのに十分である。対流熱又はマイクロ波加熱により硬化組成物に熱を加えることにより、硬化を更に加速することができる。別の実施形態では、組成物は、他の基材の表面に塗布されることができ、次いで記載されるようにガラス又はコーティングされたプラスチックと接触されることができる。一実施形態では、本発明によるポリウレタン接着剤組成物は、前処理工程なしで表面に塗布することができる。
【0050】
一実施形態では、本発明によるポリウレタン接着剤組成物は、構造体の隙間を埋めるために塗布されることができ、建物などの構造体又は車両の隙間の周りを封止するために硬化させることができる。ポリウレタン接着剤組成物は、本明細書で上記のように塗布することができる。建物では、ポリウレタン接着剤組成物を使用して、構造体の隙間を封止することができる。車両では、ポリウレタン接着剤組成物は、例えば、ボディパネル間、及びドアパーツ間の窓、ドアフレーム、トリムに関するなどの、このような隙間又はシールを有する、自動車、バス、トラック、トレーラー、鉄道車両、並びに特殊車両に水が入り込む可能性があるパンの間の隙間又は継ぎ目を封止するために利用できる。
【0051】
更なる取り扱いには、例えば、下流作業ステーションへのアセンブリの輸送と、1つ以上の他の成分へのアセンブリの接合、様々な造形及び/又は機械加工工程、コーティングの適用などを含み得る更なる製造工程とが含まれ得る。硬化の完了は、このような更なる取り扱い工程中に及び/又は工程後に行うことができる。
【0052】
本明細書に記載される分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPCとも呼ばれる)によって決定され得る数平均分子量である。
【実施例
【0053】
以下の実施例は、開示された組成物を例示するために提供されるが、その範囲を限定することを意図しない。特に明記しない限り、全ての部及びパーセントは重量によるものである。
【0054】
以下の例では、下記の名称、記号、用語、及び略語が使用される。
【0055】
プレポリマー1は、MDI/PPOベースのプレポリマーである。プレポリマーは、商標名Voranol2000Lとして市販されている平均分子量が2000g/モルであるポリオキシプロピレンジオール22.571gを、商標名Arcol CP4655として市販されている平均分子量が4650g/モルであるポリオキシプロピレントリオール33.132gと混合することによって調製されるポリエーテルポリウレタンプレポリマーである。33.779gの可塑剤及び9.501gのジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネートを加えた。その後、0.009gのメチルエチルケトン中の0.001gのオルトリン酸及び1gのジエチルマロネートを加えた。次いで、混合物全体を反応器中で50℃まで加熱し、0.007gの第一スズオクトエートを加えた。反応は50℃で1時間行った。得られたプレポリマーは、本明細書ではNCO-プレポリマー2と呼ばれる。
【0056】
プレポリマー2は、イソシアネート官能性ポリエステルプレポリマーである。
【0057】
プレポリマーは、46.7gの可塑剤(分岐可塑剤)、商標名Isonate M125Uで市販されている30.15gのイソシアネート(ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート)を、商標名DYNACOL 7381で市販されている190.0gのポリエステルポリオールと混合して調製した。次いで、混合物全体を8時間撹拌した。
【0058】
Vestinol 9は、Evonikから入手可能な、分子量:418.6g/モルのジイソノニルフタレートである。
【0059】
Aerosil R 208は、Evonikから入手可能な、BET表面:約80~140m2/gを有する発熱性シリカである。
【0060】
Printex 30は、Orion Carbonsから入手可能なカーボンブラックである。
【0061】
Polestar 200Rは、Imerysから入手可能な、表面積BET:8.5m2/gを有する焼成カオリン(粘土)である。
【0062】
Carbital 120は、Imerysから入手可能な、表面積BET:2m2/gを有するコーティングされていないカオリン(炭酸カルシウム)である。
【0063】
DEMはジエチルマロネートである。
【0064】
Desmodure N3300は、Covestroから入手可能な、NCO含有量:21.8±0.3%及び23℃での粘度:3,000±750mPa*sを有するHDIトリメリサット、ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーである。
【0065】
VORANATE M600は、DOWから入手可能な、137~139のイソシアネート等量、30.2~31.1のイソシアネート含有量、及び520~680mPa*sの25℃での粘度を有するポリマーMDI(ポリマーメチレンジフェニルジイソシアネート)である。
【0066】
SILQUEST A189は、Momentiveから入手可能なγ-メルカプトプロピルトリメトキシシランである。
【0067】
SILQUEST A1170は、Momentiveから入手可能なビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミンである。
【0068】
SILQUEST A-Link 35は、Momentiveから入手可能なγ-イソシアナトトリメトキシシランである。
【0069】
DMDEEは、BASFから入手可能な2,2’-ジモルホリノジエチルエーテルである。
【0070】
UL28+Vestinolは、ジメチルスズジラウレート/Vestinol混合物である。この混合物は、0.24gの触媒UL28を9.76gのVestinol 9可塑剤に添加することによって調製される。撹拌した後、溶液を乾燥窒素下でフラスコに充填して水分を排除した。
【0071】
接着剤組成物の調製
以下の表2に示されるポリウレタン接着剤組成物を、以下の通り調製した。遊星混合物(planetary mixture)に、記載された量のPPOベースのプレポリマー1と全ての液体添加剤(DEM、シラン、Vestinol 9、Voranate M600、及びDesmodur N3300)を入れた。混合物を真空下室温で35分間撹拌した。次いで、適切な量のカーボンブラック、炭酸カルシウム、必要に応じて焼成粘土、及びAerosil R 208を添加した。次いで、混合物を撹拌し、窒素雰囲気下で60~70℃まで加熱し、その後真空下で35分間加熱した。温度が60℃を超えたら、適量のポリエステルプレポリマー2を遊星ミキサーに加え、更に10分間撹拌した。次いで、適切な量のジイソノニルフタレートをVestinol 9として加え、UL28+Vestinol触媒とDMDEE触媒を加え、真空下で、又は均一なペースト状の黒い混合物が観察されるまで、混合物を15分間撹拌した。
【0072】
試験及び分析手順
基材:以下のセラミックフリットタイプを使用した。SGS Ferro 14305、SGS Ferro 14502、及びPLK Johnson Mattey FERRO C 24-8708 IR-9872-L。
【0073】
基材の調製。ノズルとアプリケーターによる接着剤塗布。ポリウレタン接着剤組成物を、アプリケーターを使用して、上で述べられた下塗りされていないセラミックフリットタイプに塗布した。接着ビードをスパチュラで長方形に平らにした。次いで、試験片を、表1に列挙されている望ましい硬化時間と環境条件で保存した。
【0074】
次いで、ガラス基材における硬化されたビードの剥離試験を、下記の表1に列挙されている以下の気候条件に従って実行した。
【0075】
【表1】
【0076】
試験した接着剤に使用した成分と量を、試験結果とともに以下の表2に列挙する。列挙されている全ての量は、重量パーセントによる。
【0077】
【表2】
【0078】
表2のデータは、本発明の範囲内のポリウレタン接着剤組成物が、シラン接着促進剤
と共に炭酸カルシウムを使用した場合に14日間のパップ試験を受けた後、著しく改善されたガラス接着期間をもたらしたことを示す。しかしながら、本発明の範囲外のポリウレタン接着剤組成物は、炭酸カルシウムの代わりに粘土が使用された場合、接着堅牢性をもたらさなかった。より高い処理条件では、シラン接着促進剤は粘土と反応し、その結果、14日間のパップ試験と完全な気候サイクル調整を受けた後に接着耐久性が損なわれた。

本発明は、以下の態様にも関する。
(1)(a)イソシアネート部位を有する1つ以上のウレタンプレポリマーと、
(b)触媒量の1つ以上の触媒と、
(c)1つ以上の形態のカーボンブラックと、
(d)1つ以上の炭酸カルシウムと、
(e)1つ以上のシラン接着促進剤と、
を含むポリウレタン接着剤組成物。
(2)前記1つ以上のウレタンプレポリマーは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はこれらの混合物のアルキレンオキシド単位を含むポリオールから誘導される、上記(1)に記載のポリウレタン接着剤組成物。
(3)前記1つ以上のウレタンプレポリマーは、芳香族イソシアネートから誘導される、上記(1)に記載のポリウレタン接着剤組成物。
(4)前記1つ以上のウレタンプレポリマーは、メチレンジフェニルジイソシアネートから誘導される、上記(3)に記載のポリウレタン接着剤組成物。
(5)前記1つ以上の触媒は、1つ以上の3級アミン基を含む1つ以上の化合物を含む、上記(1)に記載のポリウレタン接着剤組成物。
(6)1つ以上の3級アミン基を含む前記1つ以上の化合物は、1つ以上のジモルホリノジアルキルエーテルを含み、前記モルホリノ基は、1つ以上の3級アミン基を含む前記1つ以上の化合物の触媒効果に干渉しない基で置換され得る、上記(5)に記載のポリウレタン接着剤組成物。
(7)前記1つ以上の触媒は、ジモルホリノジエチルエーテルを含む、上記(1)に記載のポリウレタン接着剤組成物。
(8)前記ポリウレタン接着剤組成物は、粘土を含まない、上記(1)に記載のポリウレタン接着剤組成物。
(9)前記1つ以上のシラン接着促進剤は、1つ以上のアルコキシシラン接着促進剤を含む、上記(1)に記載のポリウレタン接着剤組成物。
(10)前記1つ以上のアルコキシシラン接着促進剤は、1つ以上のメルカプトシラン、アミノシラン、イソシアナトシラン、エポキシシラン、アクリルシラン及びビニルシランを含む、上記(9)に記載のポリウレタン接着剤組成物。
(11)前記1つ以上のシラン接着促進剤は、1つ以上のメルカプトアルコキシシランを含む、上記(1)に記載のポリウレタン接着剤組成物。
(12)前記炭酸カルシウムは、白色顔料である、上記(1)に記載のポリウレタン接着剤組成物。
(13)前記炭酸カルシウムは、唯一の白色顔料である、上記(12)に記載のポリウレタン接着剤組成物。
(14)(a)前記ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、30~65重量%のイソシアネート部位を有する前記1つ以上のウレタンプレポリマーと、
(b)前記ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、0.3~3.5重量%の前記1つ以上の触媒と、
(c)前記ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、15~23重量%の前記1つ以上の形態のカーボンブラックと、
(d)前記ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、8~20重量%の前記1つ以上の炭酸カルシウムと、
(e)前記ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、0.7~3重量%の前記1つ以上のシラン接着促進剤と、
を含む、上記(1)に記載のポリウレタン接着剤組成物。
(15)(a)第1の基材の少なくとも一部にポリウレタン接着剤組成物を塗布する工程であって、前記ポリウレタン接着剤組成物は、
(i)イソシアネート部位を有する1つ以上のウレタンプレポリマーと、
(ii)触媒量の1つ以上の触媒と、
(iii)1つ以上の形態のカーボンブラックと、
(iv)1つ以上の炭酸カルシウムと、
(v)1つ以上のシラン接着促進剤と、
を含む工程と、
(b)第2の基材を前記第1の基材と接触させる工程と、
(c)前記2成分ポリウレタン接着剤組成物を硬化させて、前記第1の基材と前記第2の基材との間に接着剤結合を形成する工程と、
を含む方法。
(16)前記ポリウレタン接着剤組成物は、
(i)前記ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、30~65重量%のイソシアネート部位を有する前記1つ以上のウレタンプレポリマーと、
(ii)前記ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、0.3~3.5重量%の前記1つ以上の触媒と、
(iii)前記ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、15~23重量%の前記1つ以上の形態のカーボンブラックと、
(iv)前記ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、8~20重量%の前記1つ以上の炭酸カルシウムと、
(v)前記ポリウレタン接着剤組成物の重量に基づいて、0.7~3重量%の前記1つ以上のシラン接着促進剤と、
を含む、上記(15)に記載の方法。
(17)前記ポリウレタン接着剤組成物は、粘土を含まない、上記(15)に記載の方法。
(18)前記1つ以上のシラン接着促進剤は、1つ以上のメルカプトアルコキシシランを含む、上記(15)に記載の方法。
(19)前記第1の基材は、ガラス又はコーティングされたプラスチックである、上記(15)に記載の方法。
(20)前記第1の基材は、ガラス又はコーティングされたプラスチックであり、前記第2の基材は、自動車であり、前記ガラス又は前記コーティングされたプラスチックは、窓としての使用に適合される、上記(15)に記載の方法。