IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社カネカの特許一覧

特許7364579建材一体型太陽電池モジュール及びそれを備えた屋根構造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】建材一体型太陽電池モジュール及びそれを備えた屋根構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20180101AFI20231011BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20231011BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
H02S20/23
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020546801
(86)(22)【出願日】2019-08-21
(86)【国際出願番号】 JP2019032625
(87)【国際公開番号】W WO2020054338
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2018168590
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019073954
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「太陽光発電システム効率向上・維持管理技術開発プロジェクト/太陽光発電システム効率向上技術の開発」共同研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 謙介
(72)【発明者】
【氏名】大江 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 武彦
(72)【発明者】
【氏名】藤 祐毅
(72)【発明者】
【氏名】佐野 泰雅
(72)【発明者】
【氏名】桐村 将史
(72)【発明者】
【氏名】山口 裕之
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-115372(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0259973(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0157694(US,A1)
【文献】特表2005-518486(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0210660(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/18
H02S 20/23、20/25、20/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根下地上に取り付けられる建材一体型太陽電池モジュールであって、
前記建材一体型太陽電池モジュールに含まれる太陽電池パネルと、
前記太陽電池パネルの裏面側に配置された緩衝材と、
前記緩衝材を支持する不燃材で形成されたベースプレートと、
前記太陽電池パネルの裏面側から引き出され、前記ベースプレートの表側に配線されたケーブルとを備え、
前記ベースプレートの表側には、太陽電池パネルの棟側端部を支持する棟側支持部材と、太陽電池パネルの軒側の端部を支持する軒側支持部材とが、設けられ、
前記棟側支持部材の棟側には、前記ケーブルを所定の高さ位置に保持する保持部が設けられ、
前記ケーブルは、該ケーブルの先端に接続されたコネクタが、前記保持部の近傍に配置されるように前記保持部に保持されている
ことを特徴とする建材一体型太陽電池モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の建材一体型太陽電池モジュールにおいて、
前記ベースプレートは、前記棟側支持部材よりも棟側に延伸された棟側延伸部と、表側から見た正面視において、前記太陽電池パネルの桁方向の少なくとも一方の端部よりも外側に延伸された桁側延伸部を備え、桁方向及び軒棟方向のうちの一方向またはその両方向において、該方向に沿う一端が表側に向かって折り曲げられ、他端が裏側に向かって折り曲げられている
ことを特徴とする建材一体型太陽電池モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の建材一体型太陽電池モジュールにおいて、
前記緩衝材は、複数個に分割され、前記ベースプレート上に離散的に配置され、
前記緩衝材の裏面に、軒棟方向に沿って延びる第1溝部が形成され、
前記緩衝材の表面に、桁方向に沿って延びる第2溝部と、軒棟方向に沿って延び、前記第2溝部よりも表裏方向に深い第3溝部とが形成されている
ことを特徴とする建材一体型太陽電池モジュール。
【請求項4】
請求項3に記載の建材一体型太陽電池モジュールにおいて、
前記緩衝材の第2溝部は、軒方向の側壁が、隣接する第3溝部間において水平方向に対して軒方向に傾斜している
ことを特徴とする建材一体型太陽電池モジュール。
【請求項5】
請求項1に記載の建材一体型太陽電池モジュールにおいて、
前記ベースプレートは、棟側の辺が、軒側の辺に対して軒棟方向のいずれか一方に傾斜している
ことを特徴とする建材一体型太陽電池モジュール。
【請求項6】
複数の請求項1から5のいずれかに記載の建材一体型太陽電池モジュールを、前記ベースプレートの裏面が屋根下地の表面に当接するように並べて敷設して形成される屋根構造であって、
前記複数の建材一体型太陽電池モジュールは、隣接して配置された前記建材一体型太陽電池モジュールの軒棟方向及び/または桁方向における前記ベースプレートの端部同士が互いに重なるように敷設されていることを特徴とする屋根構造。
【請求項7】
請求項6に記載の屋根構造において、
前記隣接する建材一体型太陽電池モジュールのベースプレートの端部同士の重なり幅は、50mm以上である
ことを特徴とする屋根構造。
【請求項8】
請求項6に記載の屋根構造において、
前記建材一体型太陽電池モジュールの桁方向に隣接して配置された桁側屋根材を備え、
前記建材一体型太陽電池モジュールと前記桁側屋根材との境界部分において、前記桁側屋根材と前記屋根下地との間から桁方向に前記建材一体型太陽電池モジュールの太陽電池パネルの下側まで延出しかつ軒棟方向に沿って延びる水切部材が敷設されており、
前記水切部材は、建材一体型太陽電池モジュールのベースプレートの棟方向端よりも棟方向に延出する棟側延出部を有する
ことを特徴とする屋根構造。
【請求項9】
請求項8に記載の屋根構造において、
前記水切部材は、長板状の本体部材を備え、前記本体部材の表面の幅方向中央部には、その長手方向一端部を除く全長に亘って延びる突出部材が固定されている
ことを特徴とする屋根構造。
【請求項10】
請求項9に記載の屋根構造において、
前記水切部材の突出部材は、前記太陽電池パネルの表面に沿うように、かつ、前記太陽電池パネルの表面から表側に突出しないように、前記ベースプレートの表面に対して傾斜している
ことを特徴とする屋根構造。
【請求項11】
請求項10に記載の屋根構造において、
前記水切部材の突出部材は、前記太陽電池パネルの端縁に接近している
ことを特徴とする屋根構造。
【請求項12】
請求項8に記載の屋根構造において、
前記水切部材は、棟側に向かって徐々に幅広となる等脚台形板状に形成されている
ことを特徴とする屋根構造。
【請求項13】
請求項8に記載の屋根構造において、
前記水切部材は、長板状の本体部材を備え、前記本体部材の桁方向両端部は、軒棟方向の一方の端部を除く長手方向全体に亘って表面側の幅方向内側に折り返された折返部が形成されている
ことを特徴とする屋根構造。
【請求項14】
請求項6に記載の屋根構造において、
棟側の端に配置された前記建材一体型太陽電池モジュールである第1建材一体型太陽電池モジュールの棟側には、棟カバーが配置され、
前記棟カバーの軒側端部は、前記第1建材一体型太陽電池モジュールを構成する前記太陽電池パネルの棟側支持部材に固定されている
ことを特徴とする屋根構造。
【請求項15】
屋根下地上に取り付けられる建材一体型太陽電池モジュールに含まれる太陽電池パネルと、
前記太陽電池パネルの裏面側に配置された緩衝材と、
前記緩衝材を支持する不燃材で形成されたベースプレートと、
前記太陽電池パネルの裏面側から引き出され、前記ベースプレートの表側に配線されたケーブルとを備える前記建材一体型太陽電池モジュールを、前記ベースプレートの裏面が屋根下地の表面に当接するように並べて敷設して形成される屋根構造であって、
前記複数の建材一体型太陽電池モジュールは、隣接して配置された前記建材一体型太陽電池モジュールの軒棟方向及び/または桁方向における前記ベースプレートの端部同士が互いに重なるように敷設され、
前記建材一体型太陽電池モジュールの桁方向に隣接して配置された桁側屋根材を備え、
前記建材一体型太陽電池モジュールと前記桁側屋根材との境界部分において、前記桁側屋根材と前記屋根下地との間から桁方向に前記建材一体型太陽電池モジュールの太陽電池パネルの下側まで延出しかつ軒棟方向に沿って延びる水切部材が敷設されており、
前記水切部材は、建材一体型太陽電池モジュールのベースプレートの棟方向端よりも棟方向に延出する棟側延出部を有し、
前記水切部材は、長板状の本体部材を備え、前記本体部材の表面の幅方向中央部には、その長手方向一端部を除く全長に亘って延びる突出部材が固定されており、
前記水切部材の突出部材は、前記太陽電池パネルの表面に沿うように、かつ、前記太陽電池パネルの表面から表側に突出しないように、前記ベースプレートの表面に対して傾斜している
ことを特徴とする屋根構造。
【請求項16】
請求項15に記載の屋根構造において、
前記水切部材の突出部材は、前記太陽電池パネルの端縁に接近している
ことを特徴とする屋根構造。
【請求項17】
屋根下地上に取り付けられる建材一体型太陽電池モジュールに含まれる太陽電池パネル
と、
前記太陽電池パネルの裏面側に配置された緩衝材と、
前記緩衝材を支持する不燃材で形成されたベースプレートと、
前記太陽電池パネルの裏面側から引き出され、前記ベースプレートの表側に配線されたケーブルとを備える前記建材一体型太陽電池モジュールを、前記ベースプレートの裏面が屋根下地の表面に当接するように並べて敷設して形成される屋根構造であって、
前記複数の建材一体型太陽電池モジュールは、隣接して配置された前記建材一体型太陽電池モジュールの軒棟方向及び/または桁方向における前記ベースプレートの端部同士が互いに重なるように敷設され、
前記建材一体型太陽電池モジュールの桁方向に隣接して配置された桁側屋根材を備え、
前記建材一体型太陽電池モジュールと前記桁側屋根材との境界部分において、前記桁側屋根材と前記屋根下地との間から桁方向に前記建材一体型太陽電池モジュールの太陽電池パネルの下側まで延出しかつ軒棟方向に沿って延びる水切部材が敷設されており、
前記水切部材は、建材一体型太陽電池モジュールのベースプレートの棟方向端よりも棟方向に延出する棟側延出部を有し、
前記水切部材は、長板状の本体部材を備え、前記本体部材の桁方向両端部は、軒棟方向の一方の端部を除く長手方向全体に亘って表面側の幅方向内側に折り返された折返部が形成されている
ことを特徴とする屋根構造。
【請求項18】
屋根下地上に取り付けられる建材一体型太陽電池モジュールに含まれる太陽電池パネルと、
前記太陽電池パネルの裏面側に配置された緩衝材と、
前記緩衝材を支持する不燃材で形成されたベースプレートと、
前記太陽電池パネルの裏面側から引き出され、前記ベースプレートの表側に配線されたケーブルとを備える前記建材一体型太陽電池モジュールを、前記ベースプレートの裏面が屋根下地の表面に当接するように並べて敷設して形成される屋根構造であって、
前記複数の建材一体型太陽電池モジュールは、隣接して配置された前記建材一体型太陽電池モジュールの軒棟方向及び/または桁方向における前記ベースプレートの端部同士が互いに重なるように敷設され、
棟側の端に配置された前記建材一体型太陽電池モジュールである第1建材一体型太陽電池モジュールの棟側には、棟カバーが配置され、
前記棟カバーの軒側端部は、前記第1建材一体型太陽電池モジュールを構成する前記太陽電池パネルの棟側支持部材に固定されている
ことを特徴とする屋根構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材一体型の太陽電池モジュールと、その太陽電池モジュールを並べて敷設して形成される屋根構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、太陽電池の裏面側に屋根本体表面に当接する断熱支持材(緩衝材に相当)を設けた太陽電池モジュール及びこれを屋根本体上に配列設置してなる発電機能付き屋根が開示されている。特許文献1では、太陽電池の裏面側に固定された断熱支持材が屋根本体の表面に当接するように構成され、断熱支持材に設けたケーブル保持溝により、施工後の出力ケーブルを下地シートから浮いた状態で保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4759904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、太陽電池モジュールの出力能力の向上等に伴い、ケーブルに流れる電流や出力電圧が上昇する傾向にある。そこで、防火性能等の安全性をより高めた建材一体型の太陽電池モジュールが望まれている。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、建材一体型の太陽電池モジュールにおいて防火性能を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、屋根下地上に取り付けられる建材一体型太陽電池モジュールにおいて、前記建材一体型太陽電池モジュールに含まれる太陽電池パネルと、前記太陽電池パネルの裏面側に配置された緩衝材と、前記緩衝材を支持する不燃材で形成されたベースプレートと、前記太陽電池パネルの裏面側から引き出され、前記ベースプレートの表側に配線されたケーブルとを備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ベースプレートの表側にケーブルを配線しているので、防火性能が高い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】実施形態1に係る太陽電池パネルの設置構造が適用された屋根面を示す平面図である。
図1B】太陽電池パネルを外した状態における屋根面を示す斜視図である。
図2】太陽電池パネルを外した状態で建材一体型太陽電池モジュールを屋根面の表側から見た図である。
図3】建材一体型太陽電池モジュールを屋根面の裏側から見た図である。
図4A】ベースプレートのIVa-IVa線に対応する断面図である。
図4B】ベースプレートのIVb-IVb線に対応する断面図である。
図5】太陽電池パネルを外した状態における桁方向に隣り合う3つの建材一体型太陽電池モジュールの正面図である。
図6】ケーブル、棟側フレーム部材、ガスケット、及び棟側フレーム部材周りのベースプレートの斜視図である。
図7】棟側フレーム部材、ガスケット、及び棟側フレーム部材周りのベースプレートの斜視図である。
図8】軒側フレーム部材、ガスケット、カバー部材、及び軒側フレーム部材周りのベースプレートの斜視図である。
図9】軒側フレーム部材、及び下側フレーム部材周りのベースプレートの斜視図である。
図10図1BのX-X線における断面図である。
図11】軒側部材の斜視図である。
図12図11のXII-XII線における断面図である。
図13】第1棟側カバー周りの斜視図である。
図14】実施形態2の図3相当図である。
図15】実施形態2の図7相当図である。
図16】実施形態2の図8相当図である。
図17】建材一体型太陽電池モジュールと第1の水切り部材の斜視図である。
図18図17のXVIII-XVIII線に対応する断面図である。
図19】第2の水切り部材の斜視図である。
図20】実施形態2の変形例1の図18相当図である。
図21】実施形態2の変形例2の図18相当図である。
図22】実施形態3の図1B相当図である。
図23】実施形態3の変形例1の図22相当図である。
図24】実施形態3の変形例2の図22相当図である。
図25】3段用水切り部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0010】
(実施形態1)
図1A及び図1Bは、寄棟屋根を構成する1対の屋根面1の一方を示す。各屋根面1は、野地板3a及び防水シート3bで構成された屋根下地3を備え、野地板3aの表面が、全体に亘って防水シート3bで覆われている(図10参照)。以下、屋根面1を外から見た場合の手前側、すなわち、太陽が当たる側を表側と呼び、その反対側を裏側と呼ぶ。屋根面1の表側から見て軒棟方向と直交する方向を桁方向と呼ぶものとする。また、桁方向のうち、屋根面1の表側から見て右側(図1A中右側)を右側、屋根面1の表側から見て左側(図1A中左側)を左側と呼ぶ。
【0011】
屋根下地3表面(防水シート3bの表面)の桁方向中央(一部)の領域には、6つの建材一体型の太陽電池モジュール5a~5f(以下、単に太陽電池モジュールという)が敷設されている。詳しくは、屋根下地3表面の軒側端部において、桁方向の中央部に、太陽電池モジュール5a~5cが右側から順に敷設されている。そして、太陽電池モジュール5a~5cの棟側に太陽電池モジュール5d,5eが右側から順に敷設され、これら太陽電池モジュール5d,5eの棟側に太陽電池モジュール5fが敷設されている。太陽電池モジュール5a~5fは、共通の構成を有しているので、区別する必要のない場合には符号5を付す。太陽電池モジュール5a~5fの非敷設領域には、複数のスレート7(屋根材に相当)が敷設されている。
【0012】
<太陽電池モジュールの構成>
ここで、まず、本出願における「太陽電池モジュール」とは、電気的に接続された複数の太陽電池セルを含み、それらが樹脂等の封止材で保護された太陽電池パネルに対して、フレーム等を付随させた製品を意味する。
【0013】
図2及び図3に示すように、各太陽電池モジュール5は、不燃材としてのメッキ鋼板で形成された平面視台形状のベースプレート9と、本発明の実施形態に係る設置構造を適用してベースプレート9の表側に配設される太陽電池パネル11とを有している。ベースプレート9を構成する不燃材として、アルミ、ステンレス等、メッキ鋼板以外の金属を採用してもよい。なお、図2中、太陽電池パネル11を2点鎖線で示す。
【0014】
-ベースプレート-
図2に示すように、ベースプレート9は、後述する棟側フレーム部材15よりも棟側に延伸された棟側延伸部9mと、表側から見た正面視において、太陽電池パネル11の桁方向の少なくとも一方の端部(図2では左側の端部)よりも外側に延伸された桁側延伸部9nとを備えている。
【0015】
図4Aに示すように、ベースプレート9の桁方向一端(左側の端部)には、表側に向かって断面U字状に折れ曲がった左側折曲部9aが形成されている。左側折曲部9aは、ベースプレート9上に存在する水が左外側に侵出するのを防ぐための水返しとして機能する。一方で、ベースプレート9の桁方向他端(右側の端部)には、裏側に向かって断面U字状に折れ曲がった右側折曲部9bが形成されている。このようなハゼ折構成にすることで、太陽電池モジュール5が屋根下地3上において、桁方向に並べて敷設されたときに、屋根下地3の表面に雨水等を浸水させないための「水切り構造」が構成される。「水切り構造」については、後述する「屋根構造」の中で詳細に説明する。
【0016】
図4Bに示すように、ベースプレート9の軒棟方向一端(棟側の端部)には、右側端部を除く全長に亘って、表側に向かって断面U字状に折れ曲がった棟側折曲部9cが形成されている。棟側折曲部9cは、ベースプレート9上に存在する水が棟方向外側に侵出するのを防ぐための水返しとして機能する。一方で、ベースプレート9の軒棟方向他端(軒側の端部)には、裏側に向かって断面U字状に折れ曲がった軒側折曲部9jが形成されている。このように、軒棟方向においてもハゼ折構成にして、太陽電池モジュール5が、軒棟方向に並べて敷設されたときに、図4Aの場合と同様に「水切り構造」として機能する。こちらの「水切り構造」についても、後述する「屋根構造」の中で詳細に説明する。
【0017】
なお、図4Aでは、左側折曲部9a及び右側折曲部9bが断面U字状に折れ曲がっているものとしたが、これに限定されない。例えば、左側折曲部9a及び右側折曲部9bが、断面L字状に折れ曲がった形状であったり、折り返されて表裏方向に完全につぶれたような形状であってもよい。同様に、棟側折曲部9c及び軒側折曲部9j(図4B参照)は、断面U字状に限定されるものではなく、断面L字状に折れ曲がった形状であったり、折り返されて表裏方向につぶれたような形状であってもよい。
【0018】
図5に示すように、ベースプレート9の軒側の辺(端縁)は、略水平に延びる一方、ベースプレート9の棟側の辺(端縁)は、軒側の辺に対して桁方向一方(図5中右側)に向けて軒側に傾斜している。これにより、桁方向に隣接配置された太陽電池モジュール5のベースプレート9の桁方向端部同士を重ねて配置する場合でも、棟側折曲部9c同士が重なり合わず、ベースプレート9間に厚さ方向の段差が生じにくい。
【0019】
また、ベースプレート9の棟側端縁における棟側折曲部9cに右側から隣接する箇所には、コ字状の切欠部9dが形成されている。ベースプレート9の棟側端縁近傍には、6つの棟側取付孔9eが桁方向に間隔を空けて貫通形成されている。
【0020】
ベースプレート9の棟側端部には、表側に膨出する1対の棟側膨出部9f(図2参照)が桁方向に間隔を空けて形成されている。棟側膨出部9fは、平面視で桁方向に長い長方形状をなしている。棟側膨出部9fには、1対の棟側ネジ挿通孔9g(図3参照)が桁方向に間隔を空けて形成されている。ベースプレート9の下端部における棟側膨出部9fと軒棟方向(流れ方向)に対向する位置には、表側に膨出し、かつ軒側に開放する1対の軒側膨出部9h(図2参照)が桁方向に間隔を空けて形成されている。この軒側膨出部9hは、平面視で、棟側端部が棟側に向けて徐々に細くなり、かつ上端部を除く領域が一定の幅で軒棟方向に延びる略五角形状をなしている。軒側膨出部9hには、1対の軒側ネジ挿通孔9i(図3参照)が桁方向に間隔を空けて形成されている。軒側膨出部9hの膨出高さH1(図10参照)は、棟側膨出部9fの膨出高さH2(図10参照)よりも高くなっている。
【0021】
-緩衝材-
各ベースプレート9の表面(反屋根下地3側の面)には、2つの平面視矩形状の略板状の緩衝材13がその板面をベースプレート9の表面に沿わせた状態で互いに間隔を空けるとともにベースプレート9の外周縁との間に間隔を空けて配置されている。緩衝材13は、発泡ポリスチレン等、衝撃吸収機能及び断熱機能の少なくとも一方を有する樹脂で形成される。
【0022】
図6に示すように、緩衝材13の裏面には、表裏方向の裏側に向かって徐々に幅広となる断面浅皿形状で軒棟方向全体に延びる1本の第1裏側溝部13a(第1溝部に相当)及び2本の第2裏側溝部13b(第1溝部に相当)が互いに桁方向に間隔を空けて形成されている。これにより、第1裏側溝部13aとベースプレート9との間及び第2裏側溝部13bとベースプレート9との間に、断面台形状で軒棟方向に延び、雨水等を通過させるための空間部が形成される。なお、第1溝部(第1裏側溝部13aと2本の第2裏側溝部13b)の形状や数配置等は特に限定されるものではない。例えば、第1溝部の形状が断面半円形状のような他の形状であってもよい。図6では、一例として、第1裏側溝部13aが2本の第2裏側溝部13bに桁方向両側から挟まれるように配置されている例を示している。また、図6では、桁方向において、緩衝材13の中心とベースプレート9の軒側膨出部9hの中心との位置合わせをしやすくする観点から、第1裏側溝部13aが第2裏側溝部13bよりも幅狭に形成されている。
【0023】
一方、緩衝材13の表面には、表裏方向の表側に向かって徐々に幅広となる断面浅皿形状で軒棟方向全体に延びる4本の第1表側溝部13c(第3溝部に相当)が桁方向に互いに間隔を空けて形成されている。これにより、第1表側溝部13cと太陽電池パネル11との間に、断面台形状で軒棟方向に延びる空間部が形成されている。換言すると、緩衝材13の表面には、例えば、軒棟方向に長い5つの第1表側溝部13cの非形成領域を有し、この非形成領域で太陽電池パネル11の桁方向及び軒棟方向の中間部分を支持している。これにより、太陽電池パネル11裏側の通気性が確保され、太陽電池パネル11の温度上昇を抑えている。なお、第1表側溝部13cの非形成領域の数は、5つに限定されるものではなく、例えば、緩衝材13のサイズ等に応じて4つ以下または6つ以上であってもよい。
【0024】
各第1表側溝部13c非形成領域には、表裏方向の表側に向かって徐々に幅広となる断面浅皿形状で桁方向全体に延びる3本の第2表側溝部13d(第2溝部に相当)が軒棟方向に互いに間隔を空けて形成されている。これにより、第2表側溝部13dと太陽電池パネル11との間には、断面台形状で軒方向に延びる空間部が形成される。
【0025】
なお、緩衝材13の表面に形成される溝部の形状、数、及び配置は、上述したような第1表側溝部13c及び第2表側溝部13dの形状、数、及び配置に限定されない。
【0026】
緩衝材13表面の水の排出をスムーズにする観点から、(1)第2表側溝部13dの軒側の側壁は、桁方向一方(図2では右側)に向かって軒方向に傾斜し、(2)第1表側溝部13cの深さは、第2表側溝部13dの深さよりも深くなっている。
【0027】
緩衝材13の裏面における第1裏側溝部13a及び第2裏側溝部13bの形成されていない領域は、ベースプレート9の表面に両面テープにより接着されている。また、緩衝材13の表面における第1表側溝部13c及び第2表側溝部13dの形成されていない領域は、太陽電池パネル11の裏面に接着されていない。
【0028】
-棟側フレーム部材-
図7に示すように、ベースプレート9の各棟側膨出部9fには、太陽電池パネル11の棟側端部を支持する金属製の棟側フレーム部材15(棟側支持部材に相当)が桁方向に間隔を空けて表側から取り付けられている。また、棟側フレーム部材15と対応する位置において、各棟側膨出部9fの裏側には、長方形状の棟側補助板17が取り付けられている(図3参照)。棟側補助板17には、1対の棟側締結孔17aが長手方向に間隔を空けて形成されている。
【0029】
棟側フレーム部材15は、その一方の面をベースプレート9に当接させて桁方向に延びる平面視長方形板状の取付面部15aを備えている。取付面部15aには、1対の棟側ネジ孔15b(図3参照)が上記ベースプレート9の棟側ネジ挿通孔9gに対応するように長手方向(桁方向)に間隔を空けて形成されている。該取付面部15aの長手方向に延びる軒側の端縁には、板面を軒棟方向に向けてベースプレート9表方向に突出する板状の立面部15cが一体に形成されている。立面部15cは、取付面部15aと同一の幅で連続する中央部15dと、該中央部15dの基端部を除く部分から桁方向両側に延出する1対の延出部15eとで平面視略T字状に形成されている。立面部15cの先端縁、すなわち中央部15d及び延出部15eの立面部15c先端側の端縁には、第1挟持壁部15fが軒側に向けて一体に突設されている。また、各延出部15eの立面部15c基端側の端縁には、棟側当接面部としての第2挟持壁部15gが上記第1挟持壁部15fに対向し、かつ第1挟持壁部15fよりも桁方向両外側に張り出すように一体に突設されている。第2挟持壁部15gにおける第1挟持壁部15fの桁方向両端縁に対向する箇所には、軒棟方向に延びる棟側突出部としての突条部15hが表側に向けて一体に突設されている。また、両第2挟持壁部15gの桁方向外側に張り出した部分には、棟側に延出する延出壁部15iが第2挟持壁部15gと面一をなすように一体に形成され、該延出壁部15iの先端部には、突出片部15jが表側に向けて一体に突設されている。これら延出壁部15iと突出片部15jとで、ケーブルを所定の高さ位置に保持するためのケーブルフック15k(保持部に相当)が構成されている。第1挟持壁部15fの先端縁には、表側に突出して棟側に屈曲する3つの屈曲壁部15mが、桁方向に互いに間隔を空けて一体に突設されている。各屈曲壁部15mと第1挟持壁部15fとで、桁方向に延びて棟側に開放する係合部としての溝15nが形成されている。
【0030】
上述のように構成された棟側フレーム部材15は、該棟側フレーム部材15の取付面部15aの棟側ネジ孔15b、ベースプレート9の棟側ネジ挿通孔9g、及び棟側補助板17の棟側締結孔17aに表側から順にネジ19を挿通することにより、ベースプレート9に締結されている。
【0031】
-軒側フレーム部材-
図8及び図9に示すように、ベースプレート9の各軒側膨出部9hには、太陽電池パネル11の軒側端部を支持する金属製の軒側フレーム部材21(軒側支持部材に相当)が棟側フレーム部材15と軒棟方向に対向する位置に桁方向に間隔を空けて取り付けられている。また、棟側フレーム部材15と対応する位置において、各軒側膨出部9hの裏側には、長方形状の軒側補助板23が取り付けられている(図3参照)。軒側補助板23には、1対の軒側締結孔23aが長手方向に間隔を空けて形成されている。
【0032】
軒側フレーム部材21は、その一方の面をベースプレート9に当接させた桁方向に長い平面視長方形板状の取付壁部21aを備えている。取付壁部21aには、1対の軒側ネジ孔21b(図3参照)が上記ベースプレート9の軒側ネジ挿通孔9iに対応するように長手方向(桁方向)に間隔を空けて形成されている。上記ベースプレート9の取付壁部21aの軒側の端縁には、板面を軒棟方向に向けてベースプレート9表方向に突出する板状の立壁部21cが一体に形成されている。立壁部21cの桁方向両端部は、取付壁部21aよりも桁方向両外側に突出している。該立壁部21cの先端縁には、板面を表裏方向に向けた平面視略長方形状の長板部21dがその長手方向両端部を立壁部21cの桁方向外側に張り出した状態で棟側に向けて一体に突設されている。長板部21dの先端縁の桁方向両端部には、板状の1対の突出壁部21eが軒側に向かって表側に傾斜するように一体に突設されている。したがって、突出壁部21eの基端は、若干折れ曲がっている。また、長板部21dの先端縁の桁方向中央部には、板状の中央壁部21fが上記突出壁部21eとの間に間隔を空けて軒側に向けて一体に突設されている。中央壁部21fの先端近傍には、1対のフレーム側貫通孔21gが桁方向に間隔を空けて形成されている。また、長板部21dの先端縁における突出壁部21e突設箇所と中央壁部21f突設箇所との間には、板状の段差形成面部21hが裏側に向けて一体に突設されている。該段差形成面部21hの先端には、桁方向に延び、かつ軒側に向けて突出する突出片21iが一体に突設されている。右側の軒側フレーム部材21の突出片21i、及び右側の棟側フレーム部材15の溝15nの太陽電池パネル11に対する桁方向の相対位置は互いに等しくなっており、左側の軒側フレーム部材21の突出片21i、及び左側の棟側フレーム部材15の溝15nの太陽電池パネル11に対する桁方向の相対位置も互いに等しくなっている。
【0033】
上述のように構成された軒側フレーム部材21は、該軒側フレーム部材21の取付壁部21aの軒側ネジ孔21b、ベースプレート9の軒側ネジ挿通孔9i、及び軒側補助板23の軒側締結孔23aに表側から順にネジ25を挿通することにより、ベースプレート9に締結されている。
【0034】
-太陽電池パネル-
太陽電池パネル11は、長方形板状をなし、その長手方向を桁方向に向けて設置されている。また、太陽電池パネル11の表裏面は、軒側に向かってベースプレート9の表面から離間するように傾斜している。
【0035】
太陽電池パネル11は、551×908mmの横長な矩形状のガラス基板裏面に、酸化スズ等の透明電極層、光半導体層、及び金属等の裏面電極層を順次形成し、これら各層をレーザ加工等でパターニングすることで発電部、配線部が形成された太陽電池素子を配置した後、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)、ポリオレフィン等の充填材、ガラス、PETフィルム、又はテドラーフィルム等で上記素子形成面側を封止保護することで形成されている。
【0036】
-ガスケット-
各太陽電池パネル11の棟側端部には、断面略コ字状で延びる1対の長尺状のゴム製のガスケット27が桁方向に互いに間隔を空けて取り付けられている。ガスケット27は、図10に示すように、長板状の連結壁部27aと、該連結壁部27aの長手方向に延びる両端縁に突設された一対の長板状の対向壁部27bとを有し、連結壁部27aの反対向壁部27b突設側の面には、連結壁部27aの長手方向に延びる一対のリブ27cが互いに間隔を空けて突設されている。
【0037】
そして、ガスケット27の両対向壁部27bは、太陽電池パネル11の棟側端部を厚さ方向両側から挟持している。また、棟側フレーム部材15の第1挟持壁部15fと第2挟持壁部15gとが、ガスケット27及び太陽電池パネル11の棟側端部を挟持している。したがって、棟側フレーム部材15の第2挟持壁部15gは、ガスケット27に太陽電池パネル11裏方向から当接している。一方、棟側フレーム部材15の突条部15h(図7等参照)は、第2挟持壁部15gよりも太陽電池パネル11表方向に突出してガスケット27に桁方向両外側から対向することで、ガスケット27の桁方向の移動を規制している。また、棟側フレーム部材15の立面部15cは、ガスケット27の両リブ27cに棟側から当接している。また、棟側フレーム部材15の溝15nは、該棟側フレーム部材15が取り付けられる太陽電池パネル11の棟側端部の表側に位置している。このようにして、共通のベースプレート9に取り付けられた1対の棟側フレーム部材15が、太陽電池パネル11の棟側端部にガスケット27を介して桁方向に互いに間隔を空けて取り付けられている。
【0038】
一方、各太陽電池パネル11の軒側端部にも、棟側端部と同様に、1対の軒側挟持部材としてのガスケット27が桁方向に互いに間隔を空けて取り付けられている。そして、軒側フレーム部材21の中央壁部21fの基端部が、ガスケット27に太陽電池パネル11裏方向から当接している。したがって、軒側フレーム部材21の突出片21iは、該軒側フレーム部材21が取り付けられる太陽電池パネル11の軒側端部の裏側に位置している。また、軒側フレーム部材21の突出壁部21eが、中央壁部21fの桁方向両外側で中央壁部21fよりも太陽電池パネル11表方向に突出してガスケット27に桁方向両外側から対向することで、ガスケット27の桁方向の移動を規制している。
【0039】
さらに、各太陽電池パネル11の軒側端部に取り付けられたガスケット27の太陽電池パネル11表側の対向壁部27bには、長尺状のカバー部材29が各太陽電池パネル11の軒側端部を全長に亘って覆うように取り付けられている。カバー部材29は、太陽電池パネル11の軒側端部に表側から対向して該軒側端部を全長に亘って被覆する長板状の第1面部29aと、該第1面部29aの軒側端縁から裏側に延出して太陽電池パネル11の軒側端面を全長に亘って被覆する長板状の第2面部29bと、該第2面部29bの裏側端縁から軒側に延出する長板状の第3面部29cを備えている。第3面部29cのガスケット27取付領域には、1対のカバー側貫通孔29d(図3参照)が長手方向に間隔を空けて形成されている。第3面部29cのガスケット27取付領域を除く部分の軒側端縁には、太陽電池パネル11裏方向に延出する長板状の第4面部29eが形成されている。
【0040】
上述のように構成されたカバー部材29は、該カバー部材29の第3面部29cのカバー側貫通孔29d、及び軒側フレーム部材21のフレーム側貫通孔21gに太陽電池パネル11表側から順にネジ31を挿通することにより、軒側フレーム部材21に締結されている。このようにして、共通のベースプレート9に取り付けられた1対の軒側フレーム部材21が、太陽電池パネル11の軒側端部にガスケット27を介して桁方向に互いに間隔を空けて取り付けられている。
【0041】
-端子箱、ケーブル、ケーブルフック(ケーブルの保持構造)-
ベースプレート9表面の緩衝材13よりも軒側でかつ、緩衝材13に桁方向に挟まれた位置には、端子箱33が設置されている。端子箱33には、1対のケーブル35の基端部が収容され、各ケーブル35の先端部には、コネクタ37が接続されている。コネクタ37は、隣接する太陽電池モジュール5のコネクタ37との接続や、パワーコンディショナ(図示省略)から引き出されたケーブルのコネクタ(図示省略)との接続に用いられる。
【0042】
ケーブル35は、先端部に接続されたコネクタ37が、ケーブルフック15kの近傍に配置されるように、ケーブルフック15kに保持されている。
【0043】
具体的に、一方のケーブル35(例えば右側のケーブル、以下「右ケーブル35」ともいう)は、先端部近傍が、右側の棟側フレーム部材15の左側のケーブルフック15kの表側に当接するように置かれることで、所定の高さ位置に保持されている。このとき、右ケーブル35のコネクタ37は、棟側フレーム部材15の延出部15eの棟側に位置している。
【0044】
他方のケーブル35(例えば左側のケーブル、以下「左ケーブル35」ともいう)は、長手方向の中途部分が、左側の棟側フレーム部材15のケーブルフック15kに保持される。具体的に、左ケーブル35は、左側の棟側フレーム部材15の右側のケーブルフック15kの下側を経由して左側のケーブルフック15kの上側に通されることで、長手方向の中途部分が所定の高さ位置に保持される。
【0045】
左ケーブル35は、左側に隣接する太陽電池モジュール5の右側の棟側フレーム部材1に向かって延びている。そして、左ケーブル35のコネクタ37は、左側に隣接する太陽電池モジュール5の右ケーブル35のコネクタ37に接続されている。このとき、左ケーブル35の先端部近傍が、左側に隣接する太陽電池モジュール5の右側の棟側フレーム部材15の右側のケーブルフック15kの表側に当接するように置かれる(図6参照)。これにより、左ケーブル35のコネクタが、所定の高さ位置に保持される。また、このとき、左ケーブル35のコネクタ37は、棟側フレーム部材15の延出部15eの棟側に位置している。
【0046】
さらに、棟側フレーム部材15の延出部15eの棟側は、棟側に隣接する太陽電池モジュール5の軒側フレーム部材21の立壁部21c及び長板部21dにより覆われている(図10参照)。これにより、隣接する太陽電池モジュール5の左ケーブル35と右ケーブル35のコネクタ37同士の接続部分が、表方向及び軒棟方向からの水やゴミ等の侵入から保護される。
【0047】
<屋根構造>
図1A,Bに戻り、建材一体型の太陽電池モジュール5を並べて敷設して形成される屋根構造(以下、単に屋根構造という)について説明する。
【0048】
上述のように構成された太陽電池モジュール5a~5fは、ベースプレート9の裏面が屋根下地3(防水シート3b)の表面に当接し、かつ軒棟方向に隣り合う太陽電池パネル11の位置が桁方向に1/2ずれるように並べて敷設されている。
【0049】
具体的には、太陽電池モジュール5aの太陽電池パネル11の左側半分が、太陽電池モジュール5dの太陽電池パネル11の右側半分に軒側から隣接し、太陽電池モジュール5bの太陽電池パネル11の右側半分が、太陽電池モジュール5dの太陽電池パネル11の左側半分に軒側から隣接している。同様に、太陽電池モジュール5bの太陽電池パネル11の左側半分が、太陽電池モジュール5eの太陽電池パネル11の右側半分に軒側から隣接し、太陽電池モジュール5cの太陽電池パネル11の右側半分が、太陽電池モジュール5eの太陽電池パネル11の左側半分に軒側から隣接している。また、太陽電池モジュール5dの太陽電池パネル11の左側半分が太陽電池モジュール5fの右側半分に軒側から隣接し、太陽電池モジュール5eの太陽電池パネル11の右側半分が太陽電池モジュール5fの左側半分に軒側から隣接している。
【0050】
また、軒棟方向に隣接して配置された2つの太陽電池モジュール5a~5fのうち、棟側の太陽電池モジュール5d~5fのベースプレート9の軒側膨出部9hが、軒側の太陽電池モジュール5a~5eのベースプレート9の棟側膨出部9fにベースプレート9表側から重なっている。
【0051】
そして、図10に示すように、軒棟方向に隣り合う2枚の太陽電池パネル11のうち、軒側の太陽電池パネル11における棟側の太陽電池パネル11との隣接部分に取り付けられた棟側フレーム部材15の溝15nには、棟側の太陽電池パネル11における軒側の太陽電池パネル11との隣接部分に取り付けられた軒側フレーム部材21の突出片21iが挿入されて係合している。したがって、太陽電池モジュール5d,5eの太陽電池パネル11に軒側から隣り合う太陽電池モジュール5bの太陽電池パネル11の右側の棟側フレーム部材15の溝15nには、太陽電池モジュール5eの太陽電池パネル11の左側の軒側フレーム部材21の突出片21iが挿入されて係合し、太陽電池モジュール5bの太陽電池パネル11の左側の棟側フレーム部材15の溝15nには、太陽電池モジュール5dの太陽電池パネル11の右側の軒側フレーム部材21の突出片21iが挿入されて係合している。
【0052】
また、軒側に隣接する太陽電池モジュール5がない太陽電池モジュール5a~5cの軒側フレーム部材21には、図11及び図12に示す軒側部材39が取り付けられている。軒側部材39は、その一方の面を防水シート3bに当接させて桁方向に延びる長板状の取付板部39aを有している。取付板部39aには、5つの軒側取付孔39bが桁方向に互いに間隔を空けて形成されている。これら軒側取付孔39b、防水シート3b及び屋根下地3にねじ(図示せず)を挿通させて締結することで、軒側部材39が屋根下地3に固定されている。取付板部39aの長手方向に延びる軒側の端縁には、軒側に向かって屋根下地3表側に傾斜する傾斜板部39cが取付板部39aと桁方向に同じ長さで延設され、該傾斜板部39cの延出端には、取付板部39aと略平行に延びる延出板部39dが取付板部39aと桁方向に同じ長さで延設されている。該延出板部39dの延出端には、立板部39eが屋根下地3表側に向かって立設されている。立板部39eの先端には、板面を屋根下地3表裏方向に向けた1対の板状の差込部39fが桁方向に互いに間隔を空けて棟側に向けて突設されている。これら差込部39fは、軒側フレーム部材21の突出片21iにベースプレート9表側から対向して軒側フレーム部材21のベースプレート9表側への移動を規制するとともに、軒側フレーム部材21の中央壁部21fにベースプレート9裏側から対向して軒側フレーム部材21の裏側への移動を規制している。したがって、軒側フレーム部材21の表裏方向へのぐらつきが防止される。
【0053】
また、棟側に隣接する太陽電池パネル11がない太陽電池パネル11、すなわち太陽電池モジュール5fの太陽電池パネル11の棟側には、第1棟側カバー41が配設されている。第1棟側カバー41は、板状の第1主面部41aとそれに対して棟側に位置する第1棟側板部41dとを備えている。第1主面部41aは、太陽電池モジュール5fの棟側の屋根下地3(防水シート3b)を表側から覆っている。また、第1主面部41aの棟側に位置する第1棟側板部41dは、第1棟側カバー41の棟側に配置されるスレート7によって表側から覆われている(図1A参照)。なお、図13では、第1棟側板部41dを覆うスレート7の図示を省略している。第1主面部41aの桁方向両端縁には、第1側面部41bが裏側に向かって突設されている。第1棟側カバー41の第1主面部41aの第1棟側板部41dには、4つのビス孔41cが桁方向に間隔を空けて形成されている。これらビス孔41c及び屋根下地3にねじ(図示せず)を挿通して締結することで、第1棟側カバー41の第1棟側板部41dとスレート7とが屋根下地3に固定されている(共締めされている)。
【0054】
また、第1棟側カバー41の第1主面部41aの軒側端部は、図13にも示すように、太陽電池モジュール5fの両棟側フレーム部材15の溝15nに挿入されて係合されている。
【0055】
また、桁方向半分がスレート7に軒側から隣接する太陽電池パネル11(太陽電池モジュール5a,5c,5d,5eの太陽電池パネル11)のスレート7隣接部分の棟側には、第2棟側カバー43が配設されている。第2棟側カバー43は、板状の第2主面部43aとそれに対して棟側に位置する第2棟側板部43dを備えている。第2主面部43aは、軒側から隣接する太陽電池モジュール5(例えば、太陽電池モジュール5a,5c,5d,5e)の棟側の屋根下地3(防水シート3b)を表側から覆っている。また、第2主面部43aの棟側に位置する第2棟側板部43dは、第2棟側カバー43の棟側に配置されるスレート7によって表側から覆われている(図1A参照)。該第2主面部43aの桁方向両端縁には、第2側面部43bが裏側に向かって突設されている。第2棟側カバー43の第2主面部43aの第2棟側板部43dには、2つのビス孔43cが桁方向に間隔を空けて形成されている。これらビス孔43c及び屋根下地3にねじ(図示せず)を挿通して締結することで、第2棟側カバー43の第2棟側板部43dとスレート7とが屋根下地3に固定されている(共締めされている)。一方、第2棟側カバー43の第2主面部43aの軒側端部は、太陽電池モジュール5a,5c,5d,5eの太陽電池パネル11のスレート隣接部分に取り付けられた棟側フレーム部材15の溝15nに挿入されている。
【0056】
-水切り構造-
次に、屋根構造の水切り構造について説明する。
【0057】
図4A及び図5に示すように、桁方向に隣接して配置された2つの太陽電池モジュール5(例えば、5aと5b、5bと5c、5dと5e)のうち、右側の太陽電池モジュール5b,5c,5eのベースプレート9(以下、右側ベースプレート9という)の桁側延伸部9nの表側には、左側の太陽電池モジュール5a,5b,5dのベースプレート9(以下、左側ベースプレート9という)の右側端部が重なっている。換言すると、右側ベースプレート9の左側折曲部9aの表側に、左側ベースプレート9の右側折曲部9bが重なるように敷設されている。前述のとおり、ベースプレート9の左側折曲部9a及び棟側折曲部9cは、表側に向かって断面U字状に折り曲げられ、水返しとして機能するので、隣接配置されたベースプレート9の桁方向の境界部分から水が侵入しても屋根下地3表面は浸水しない。
【0058】
なお、桁方向に隣接する太陽電池モジュール5(例えば、5aと5b、5bと5c、5dと5e)のベースプレート9の重なり幅W1(図5参照)、すなわち桁側延伸部9nの桁方向の幅W1は、毛細管現象による水の侵入量よりも幅広に設定する観点から、50mm以上に設定させるのが好ましい。これにより、桁方向に隣接配置されたベースプレート9の境界部分から水が侵入しても、その水が右側ベースプレート9の左側端部まで到達しない。
【0059】
図4B及び図10に示すように、軒棟方向に隣接して配置された2つの太陽電池モジュール5のうち、軒側の太陽電池モジュール5d,5eのベースプレート9(以下、軒側ベースプレート9という)の棟側延伸部9mの表側には、棟側の太陽電池モジュール5fのベースプレート9(以下、棟側ベースプレート9という)の軒側端部が重なっている。軒側ベースプレート9の棟側折曲部9cの表側に、棟側ベースプレート9の軒側折曲部9jが重なるように敷設されている。前述のとおり、ベースプレート9の棟側折曲部9cは、表側に向かって断面U字状に折り曲げられ、水返しとして機能するので、軒棟方向に隣接配置されたベースプレート9の境界部分から水が侵入しても屋根下地3表面は浸水しない。
【0060】
なお、軒棟方向に隣接する太陽電池モジュール5のベースプレート9の重なり幅W2(図10参照)、すなわち棟側延伸部9mの軒棟方向の幅W2は、毛細管現象による水の侵入量よりも幅広に設定する観点から、50mm以上に設定させるのが好ましい。これにより、軒棟方向に隣接配置されたベースプレート9の境界部分から水が侵入しても、その水
が軒側ベースプレート9の棟側端部まで到達しない。
【0061】
また、太陽電池モジュール5のベースプレート9と当該ベースプレート9に桁方向に隣接するスレート7との境界には、図1Bに示すように、当該境界をその全長に亘って跨がる長尺状の水切りプレート45(水切部材に相当)が設けられている。
【0062】
建材一体型太陽電池モジュール5a,5d,5fのベースプレート9の右側に位置する各水切りプレート45の左側部分は、ベースプレート9の裏側でかつ、防水シート3bの表側に位置している。一方、上記ベースプレート9の右側に位置する各水切りプレート45の右側部分は、スレート7の裏側でかつ、防水シート3bの表側に位置している。
【0063】
建材一体型太陽電池モジュール5c,5e,5fのベースプレート9の左側に位置する各水切りプレート45の右側部分は、ベースプレート9の表側でかつ、太陽電池パネル11の裏側に位置している。一方、ベースプレート9の左側に位置する各水切りプレート45の左側部分は、ベースプレート9の表側でかつ、スレート7の裏側に位置している。
【0064】
水切りプレート45の第1棟側カバー41又は第2棟側カバー43と重なる領域は、第1棟側カバー41又は第2棟側カバー43の裏側でかつ、防水シート3bの表側に位置している。
【0065】
上述のように構成された屋根面1は、屋根下地3表面全体を防水シート3bで覆った状態で、建材一体型太陽電池モジュール5a~5fを敷設し、次に、建材一体型太陽電池モジュール5a,5d,5fの右側の水切りプレート45を、その左側部分が建材一体型太陽電池モジュール5a,5d,5fのベースプレート9と防水シート3bで挟み込まれるように敷設するとともに、建材一体型太陽電池モジュール5c,5e,5fの左側の水切りプレート45を、その右側部分が建材一体型太陽電池モジュール5c,5e,5fのベースプレート9の表面側に位置するように敷設し、最後にスレート7を敷設することによって施工できる。
【0066】
また、水切りプレート45は、ベースプレート9の棟側端縁よりも棟側に延出した棟側延出部45aを備えている。棟側延出部45aは、屋根構造として敷設された場合には、桁方向に並べて配置されたスレート7と第2棟側カバー43との境界に延出することになる。そして、棟側延出部45aを含む水切りプレート45の桁方向の両端は、表側に向かって断面U字状に折り曲げられていて、水返しとしての機能を有する。これにより、ベースプレート9に桁方向に隣接するスレート7との境界、スレート7と第2棟側カバー43との境界に侵入した水が、水切りプレート45により軒棟方向に流される。また、水返しがあるので、水切りプレート45の桁方向端部から野地板3aに浸水することがない。
【0067】
-接地構造-
次に、屋根構造の接地構造について説明する。
【0068】
左側の太陽電池モジュール5a,5b,5dのベースプレート9の右端の棟側取付孔9eが、右側の太陽電池モジュール5b,5c,5eのベースプレート9の左端の棟側取付孔9eが重なっている。そして、左側の太陽電池モジュール5a,5b,5dのベースプレート9の右端の棟側取付孔9eに座金(図示せず)を表側から対向させた状態で、座金(図示せず)、左側の太陽電池モジュール5a,5b,5dのベースプレート9の右端の棟側取付孔9e及び右側の太陽電池モジュール5b,5c,5eのベースプレート9の左端の棟側取付孔9eにベースプレート9表側から順に固定ネジ(図示せず)が挿入されて締結されている。これにより、桁方向に隣接配置された太陽電池モジュール5同士が接地される。ここで用いられる座金(図示せず)のベースプレート9との対向面は、ギザギザ状の凹凸面を構成している。したがって、前記固定ネジ(図示せず)を締結させる過程で、ベースプレート9の表面のメッキが座金(図示せず)の凹凸面との接触により剥がされ、固定ネジが座金を介してベースプレート9と導通される。また、軒棟方向に隣接する太陽電池モジュール5のベースプレート9は、軒側に位置する太陽電池モジュール5の棟側フレーム部材15と、棟側に位置する太陽電池モジュール5の軒側フレーム部材21とが係合された際に、互いに導通するように構成されている。したがって、軒棟方向に隣接する太陽電池モジュール5同士も接地されている。
【0069】
以上のように、本実施形態によると、太陽電池パネル11の裏面側から引き出されたケーブル35が、金属等の不燃材で形成されたベースプレート9の表側に配線されている。すなわち、ケーブル35やコネクタ37等と、屋根下地3との間に、ベースプレート9が介在されるので、防火性能等の安全性が高い。
【0070】
また、棟側フレーム部材15の棟側に、ケーブル35を所定の高さ位置に保持するケーブルフック15kを設け、ケーブルコネクタ37が、ケーブルフック15kの近傍に配置されている。これにより、ケーブルコネクタ37とベースプレート9との間の距離を確保しており、防火性能等の安全性が高い。
【0071】
また、ベースプレート9の桁方向及び軒棟方向において、ハゼ折構造を採用しているので、水切り構造として機能させることができる。例えば、太陽電池モジュール5を並べて敷設した際に、表側に向かって折り曲げられた側の端部が裏側にくるように重ねて敷設することで、隣接する太陽電池モジュール5の境界部分から侵入した水により屋根下地3が浸水しない。
【0072】
また、緩衝材13を離散的に配置し、緩衝材13の表面及び裏面のそれぞれに、軒棟方向全体に延びる溝部を形成している。さらに、緩衝材13の表面には、第1表側溝部13c非形成領域に延びる第2表側溝部13dを形成している。これにより、第1及び第2表側溝部13cと太陽電池パネル11との間、並びに、第1及び第2裏側溝部13a,13bとベースプレート9との間に空間部が形成される。これにより、通気性、排水性、及びケーブル配線領域を確保している。
【0073】
また、ベースプレート9の棟側の辺を、軒側の辺に対して軒棟方向のいずれか一方に傾斜させているので、太陽電池モジュール5を桁方向に並べて敷設する際において、ベースプレート9の端部同士が互いに重なる場合においても、隣接するベースプレート9の水返し構造(U字状の折返し部分)が互い違いに配置されるので、重なり合わない。
【0074】
(実施形態2)
図14は、実施形態2の図3相当図である。本実施形態2では、ベースプレート9の軒棟方向中程に、軒棟方向に長い長手形状をなし、かつ裏側に膨出する4つの補強用膨出部9kが桁方向に互いに間隔を空けて形成されている。
【0075】
また、図15に示すように、棟側フレーム部材15の各延出壁部15iの先端部に、円形の接続部としてのアース孔15pが貫通形成されている。また、棟側フレーム部材15の屈曲壁部15mが、第1挟持壁部15fの先端縁の桁方向両端部だけに1つずつ突設されている。また、棟側フレーム部材15の第1挟持壁部15f、立面部15cの延出部15e、及び第2挟持壁部15gの桁方向両端から若干内側に離れた箇所に、切欠部15qが第1挟持壁部15fの突出方向(軒棟方向)全体、延出部15eのベースプレート9の厚さ方向全体、及び第2挟持壁部15gの基端部分(棟側部分)に亘って連続して形成されている。各切欠部15qの第1挟持壁部15f側端縁には、棟方向に突出する細長形状の突片部15rが形成されている。突片部15rの先端には、ベースプレート9側に折れ曲がった先端折曲部15sが形成されている。当該突片部15rは、上記切欠部15q対応箇所を切り欠いて折り曲げることにより形成される。
【0076】
そして、軒棟方向に隣り合う2つの太陽電池パネル11に取り付けられた棟側フレーム部材15のアース孔15pに、アース線47の端部に取り付けられた丸穴端子47aをねじ49で締結することにより、両太陽電池パネル11に取り付けられた棟側フレーム部材15のアース孔15p周縁がアース線47を介して接続され、軒棟方向に隣り合う太陽電池パネル11が電気的に接続されている。
【0077】
また、図16に示すように、カバー部材29の第1面部29aのガスケット27取付領域の棟側端部に、その板面を軒棟方向に向けて桁方向に延びる長方形板状の雪止め部29fが一体に突設されている。なお、図16では、カバー部材29に雪止め部29fを設けている例を示したが、設けなくてもよい。また、複数のカバー部材29のうちの一部だけに設けるようにしてもよい。他の実施形態及び変形例についても同様である。
【0078】
また、軒側端部に位置する建材一体型太陽電池モジュール5a,5cのベースプレート9と当該ベースプレート9に桁方向に隣接するスレート7との境界に、水切りプレート45に代えて、図17及び図18に示す長尺状の第1の水切り部材51が設けられている。また、軒側端部に位置しない建材一体型太陽電池モジュール5d~5fのベースプレート9と当該ベースプレート9に桁方向に隣接するスレート7との境界に、水切りプレート45に代えて、図19に示す長尺状の第2の水切り部材53が設けられている。
【0079】
各水切り部材51,53は、長板状(略長板状を含む)の本体部材55を備え、当該本体部材55の幅方向両端部には、長手方向他端部を除く長手方向全体に亘って一方の面側の幅方向内側に折り返された断面U字状の折返部55aが形成されている。また、本体部材55には、上記一方の面側に突出するように断面略V字状に屈曲し、かつ幅方向に短い間隔を空けて隣接する4対の屈曲部55bが、幅方向に略等しい間隔を空けて長手方向全体に亘って形成されている。これにより、各対を構成する2つの屈曲部55bと、両屈曲部55b間の本体部材55とで、長手方向に延びる溝部55cが構成されている。本体部材55は、1枚のプレートを折り曲げることで構成されている。
【0080】
上記本体部材55の上記一方の面の幅方向中央部には、その長手方向一端部を除く全長に亘って突出部材57が固定されている。突出部材57は、1枚のプレートを折り曲げることで構成されている。突出部材57は、互いに対向する1対の台形板部57aを備え、各台形板部57aは、平面視で長手方向一端から他端に向かって徐々に幅広となる互いに等しい台形状をなしている。両台形板部57aの幅方向一端縁は、互いに連結されている一方、両台形板部57aの幅方向他端縁には、張出板部57bが互いに離れる方向に張出形成されている。そして、両張出板部57bが、台形板部57aの幅狭側を上記本体部材55の長手方向一端部側に向けた状態で、上記本体部材55の上記一方の面の幅方向中央部に、本体部材55の上記長手方向一端部を除く全長に亘ってかしめ固定されている。
【0081】
第2の水切り部材53の両台形板部57aの幅広側端縁の基端部には、切欠凹部57cが幅狭側に凹むように形成されている一方、第1の水切り部材51には、切欠凹部57cが形成されていない。
【0082】
そして、上述のように構成された各水切り部材51,53の本体部材55の長手方向一端部(突出部材57非配設領域)を除く部分は、その板面をベースプレート9表面(屋根下地3表面)に沿わせた状態で、建材一体型太陽電池モジュール5a,5c~5fのベースプレート9と当該ベースプレート9に桁方向に隣接するスレート7との境界を跨いでいる。各水切り部材51,53の両台形板部57aは、ベースプレート9とスレート7との境界に対応する位置で表側に突出している。両台形板部57aの先端は、太陽電池パネル11の表面に沿うように、ベースプレート9の表面に対して傾斜し、太陽電池パネル11の端縁に接近している。さらに、両台形板部57aの先端は、太陽電池パネル11の表面から突出しないように形成されている。
【0083】
本実施形態においても、実施形態1と同様に、建材一体型太陽電池モジュール5a,5d,5fのベースプレート9の右側に位置する各水切り部材51,53の左側部分は、ベースプレート9の裏側でかつ、防水シート3bの表側に位置している。一方、上記ベースプレート9の右側に位置する各水切り部材51,53の右側部分は、スレート7の裏側でかつ、防水シート3bの表側に位置している。
【0084】
建材一体型太陽電池モジュール5c,5e,5fのベースプレート9の左側に位置する各水切り部材51,53の右側部分は、ベースプレート9の表側でかつ、太陽電池パネル11の裏側に位置している。一方、上記ベースプレート9の左側に位置する各水切り部材51,53の左側部分は、ベースプレート9の表側でかつ、スレート7の裏側に位置している。
【0085】
また、各水切り部材51,53の本体部材55の長手方向一端部(突出部材57の非配設領域)は、ベースプレート9とスレート7との境界よりも棟側に延出している。各水切り部材51,53の本体部材55の長手方向一端部の第1棟側カバー41又は第2棟側カバー43と重なる領域は、第1棟側カバー41又は第2棟側カバー43の裏側でかつ、防水シート3bの表側に位置している。
【0086】
各第2の水切り部材53の切欠凹部57cには、当該第2の水切り部材53に軒側から隣接する太陽電池パネル11の棟側端部が嵌合している。
【0087】
その他の構成は、実施形態1と同じであるので、同一の構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0088】
したがって、本実施形態2によれば、ベースプレート9に補強用膨出部9kを形成したので、ベースプレート9の変形が防止される。
【0089】
また、棟側フレーム部材15にアース孔15pを設けたので、アース孔15pを設けるための部材を、棟側フレーム部材15とは別に設ける場合に比べ、部品点数を削減できる。
【0090】
また、カバー部材29に雪止め部29fを一体に設けたので、雪止め用の部品を雪止め部29fとは別に設ける場合に比べ、部品点数を削減できる。また、雪止め用の部品をカバー部材29又は太陽電池パネル11に取り付ける手間が不要になるので、施工を容易にできる。
【0091】
また、各水切り部材51,53に台形板部57aを設けたので、太陽電池パネル11の裏側に桁方向外側から水、虫、及び小動物が侵入するのを抑制できる。
【0092】
また、各水切り部材51,53の両台形板部57aの先端が、太陽電池パネル11の表面から突出しないように形成されているので、台形板部57aが太陽光を遮ることがない。
【0093】
また、各水切り部材51,53の両台形板部57aの先端が、太陽電池パネル11の端縁に接近しているので、太陽電池パネル11と台形板部57aの先端との間から水、虫、及び小動物が侵入するのを抑制できる。
【0094】
また、スレート7を敷設する際、各水切り部材51,53の台形板部57aにスレート7の桁方向端縁を当接させることにより、スレート7を桁方向に位置決めできる。
【0095】
また、各水切り部材51,53を本体部材55と突出部材57とで構成したので、各水切り部材51,53全体を一部材で構成する場合に比べ、曲げ加工の対象となるプレートの大きさを小さくでき、持ち運びし易くなるので、曲げ加工が容易になる。また、水切り部材51,53の構成部材の打ち抜き加工における材料の利用率を高めることができる。
【0096】
また、各水切り部材51,53の溝部55cの側壁、すなわち屈曲部55bが、溝部55cの内側に付着した水が溝部55cの外側に広がるのを抑制するので、排水性が向上する。
【0097】
また、各水切り部材51,53の折返部55aが、各水切り部材51,53の折返部55aよりも幅方向内側に付着した水が幅方向外側に広がるのを抑制するので、各水切り部材51,53の裏側への水の浸入が抑制される。
【0098】
(実施形態2の変形例1)
図20は、実施形態2の変形例1の図18相当図である。本変形例1では、各水切り部材51,53が、本体部材55に代えて、左側水切り構成部材59と当該左側水切り構成部材59に右側から隣接するように配設された右側水切り構成部材61を備えている。左側水切り構成部材59及び右側水切り構成部材61は、それぞれ略長板状の主板部63を備えている。そして、上記屈曲部55bが、各主板部63の幅方向中途部に2対ずつ幅方向に間隔を空けて形成されている。また、上記折返部55aが、左側水切り構成部材59の主板部63の左側端部、及び右側水切り構成部材61の主板部63の右側端部に形成されている。また、左側水切り構成部材59の右側端縁及び右側水切り構成部材61の左側端縁には、突壁部65が棟側端部を除く長手方向全体に亘って突設されている。また、突出部材57に張出板部57bが形成されておらず、左側の台形板部57aが左側水切り構成部材59の突壁部65にかしめ固定され、かつ右側の台形板部57aが右側水切り構成部材61の突壁部65にかしめ固定されている。
【0099】
その他の構成は、実施形態2と同じであるので、同一の構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0100】
(実施形態2の変形例2)
図21は、実施形態2の変形例2の図18相当図である。本変形例2では、各水切り部材51,53が、本体部材55の一部材だけで構成されている。本体部材55の幅方向中央部を折り曲げることで、上記台形板部57aが構成されている。
【0101】
その他の構成は、実施形態2と同じであるので、同一の構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0102】
(実施形態3)
図22は、実施形態3の図1B相当図である。本実施形態3では、屋根面1に、建材一体型太陽電池モジュール5が3行3列に配設されている。そして、軒棟方向に隣り合う水切り部材51,53のうち、棟側の水切り部材53の軒側端部(折返部55a非形成領域)が、軒側の水切り部材51,53の本体部材55の棟側端部(突出部材57非配設領域)に表側から重なっている。棟側の水切り部材53の軒側端部の幅方向両端部は、軒側の水切り部材51,53の本体部材55の棟側端部の折返部55aにより、表側への移動が規制されている。
【0103】
その他の構成は、実施形態2と同じであるので、同一の構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0104】
したがって、本実施形態3によれば、軒棟方向に隣り合う水切り部材51,53のうち、棟側の水切り部材53の軒側端部には、折返部55aが形成されていないので、折返部55aを形成した場合に比べ、棟側の水切り部材53の軒側端部を軒側の水切り部材51,53の棟側端部に表側から重ね易い。
【0105】
(実施形態3の変形例1)
図23は、実施形態3の変形例1の図22相当図である。本変形例1では、本体部材55が、棟側に向かって徐々に幅広となる等脚台形板状に形成されている。また、折返部55aが、本体部材55の幅方向両端部の長手方向全体に亘って形成されている。
【0106】
その他の構成は、実施形態3と同じであるので、同一の構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0107】
したがって、本変形例1によれば、軒棟方向に隣り合う水切り部材51,53のうち、棟側の水切り部材53の軒側端部が、軒側の水切り部材51,53の本体部材55の棟側端部よりも幅狭となるので、棟側の水切り部材53の軒側端部を軒側の水切り部材51,53の棟側端部に表側から重ね易い。
【0108】
(実施形態3の変形例2)
図24は、実施形態3の変形例2の図22相当図である。本変形例2では、軒棟方向に並んだ3つの水切り部材51,53に代えて、図25に示す長尺状の3段用水切り部材67がその長手方向を軒棟方向に向けて配設されている。当該3段用水切り部材67は、その板面をベースプレート9表面(屋根下地3表面)に沿わせた略長板状の本体部材69を備えている。当該本体部材69の幅方向中央部における棟側端部を除く部分には、3つの突出部材57がその台形板部57aを表側に突出させ、かつ台形板部57aの幅狭側を棟側に向けた状態で軒棟方向に互いに隣り合うように固定されている。本体部材69には、上記折返部55a及び屈曲部55bが長手方向全体に亘って形成されている。
【0109】
その他の構成は、実施形態3と同じであるので、同一の構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0110】
したがって、本変形例2によれば、3つの水切り部材51,53を互いに重ねる手間が不要となるので、施工作業を容易にできる。
【0111】
(その他の実施形態)
上記の説明では、屋根構造が寄棟屋根である例について説明したが、本開示の技術は、切妻屋根にも適用することができ、同様の効果を得ることができる。具体的に、切妻屋根の場合、太陽電池パネルの桁方向の位置を揃えて敷設することになるが、太陽電池モジュール5としては、上記実施形態と同じものを適用することができる。なお、寄棟屋根と切妻屋根とは、例えば、最大設置が可能な方を採用するとよい。
【符号の説明】
【0112】
3 屋根下地
5 太陽電池モジュール(建材一体型太陽電池モジュール)
9 ベースプレート
9m 棟側延伸部
9n 桁側延伸部
11 太陽電池パネル
13 緩衝材
13a 第1裏側溝部(第1溝部)
13b 第2裏側溝部(第1溝部)
13c 第1表側溝部(第3溝部)
13d 第2表側溝部(第2溝部)
15 棟側フレーム部材(棟側支持部材)
15k ケーブルフック(保持部)
21 軒側フレーム部材(軒側支持部材)
35 ケーブル
41 第1棟側カバー(棟カバー)
45 水切りプレート(水切部材)
45a 棟側延出部
51,53 水切部材
55 本体部材
57 突出部材
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25