(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】静電型トランスデューサ
(51)【国際特許分類】
H05B 3/00 20060101AFI20231011BHJP
H05B 3/20 20060101ALI20231011BHJP
H05B 3/36 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
H05B3/00 310C
H05B3/20 344
H05B3/36
(21)【出願番号】P 2020562355
(86)(22)【出願日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 JP2019036661
(87)【国際公開番号】W WO2020137036
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】P 2018240423
(32)【優先日】2018-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 克彦
(72)【発明者】
【氏名】田原 新也
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩一
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0213950(US,A1)
【文献】特公昭50-040252(JP,B1)
【文献】特開2003-163070(JP,A)
【文献】実開昭52-012291(JP,U)
【文献】特開2017-010909(JP,A)
【文献】特開2015-046073(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0178069(US,A1)
【文献】国際公開第2016/158425(WO,A1)
【文献】特表2010-519528(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/181641(US,A1)
【文献】特開2012-181084(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0313194(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/00
H05B 3/20
H05B 3/36
G01L 1/14
G01L 5/00
B06B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状に形成され、かつ、柔軟であるヒータ機能を有する静電型トランスデューサであって、
シート状に形成され、熱可塑性材料および導電性フィラーを含んで構成された電極シートと、
ヒータ線によりシート状に形成され、前記電極シートに対向して配置されたヒータと、
シート状に形成され、
前記電極シートの熱可塑性材料よりも軟化点の高い熱可塑性材料により形成され、前記ヒータを構成する前記ヒータ線を埋設し、一方の面が前記電極シートの熱可塑性材料の融着により前記電極シートに接合された絶縁層と、
を備える、ヒータ機能を有する静電型トランスデューサ。
【請求項2】
前記絶縁層
の前記一方の面は、凹凸を有しており、
前記電極シート
は、前記絶縁層の凹部に入り込ん
だ状態で前記電極シートの熱可塑性材料の融着により前記絶縁層の凹凸面に接合する、請求項
1に記載のヒータ機能を有する静電型トランスデューサ。
【請求項3】
シート状に形成され、かつ、柔軟であるヒータ機能を有する静電型トランスデューサであって、
シート状に形成され、熱可塑性材料および導電性フィラーを含んで構成された電極シートと、
ヒータ線によりシート状に形成され、前記電極シートに対向して配置されたヒータと、
シート状に形成され、
非熱可塑性材料により形成され、前記ヒータを構成する前記ヒータ線を埋設し、一方の面が前記電極シートの熱可塑性材料の融着により前記電極シートに接合された絶縁層と、
を備える、ヒータ機能を有する静電型トランスデューサ。
【請求項4】
前記絶縁層
の前記一方の面は、凹凸を有しており、
前記電極シート
は、前記絶縁層の凹部に入り込ん
だ状態で前記電極シートの熱可塑性材料の融着により前記絶縁層の凹凸面に接合する、請求項
3に記載のヒータ機能を有する静電型トランスデューサ。
【請求項5】
前記絶縁層は、非熱可塑性の発泡材料により形成されており、表面に気泡により形成された凹凸を有して
おり、
前記電極シートは、前記絶縁層の表面の凹部に入り込んだ状態で前記電極シートの熱可塑性材料の融着により前記絶縁層の表面の凹凸面に接合する、請求項
4に記載のヒータ機能を有する静電型トランスデューサ。
【請求項6】
シート状に形成され、かつ、柔軟であるヒータ機能を有する静電型トランスデューサであって、
シート状に形成され、熱可塑性材料および導電性フィラーを含んで構成された電極シートと、
ヒータ線によりシート状に形成され、前記電極シートに対向して配置されたヒータと、
シート状に形成され、
非熱可塑性材料の不織布または織物により形成され、前記ヒータを構成する前記ヒータ線を埋設し、一方の面が前記電極シートの熱可塑性材料の融着により前記電極シートに接合された絶縁層と、
を備える、ヒータ機能を有する静電型トランスデューサ。
【請求項7】
前記絶縁層は、非熱可塑性材料の不織布または織物により形成されており、繊維と繊維間の空間とにより形成された凹凸を有して
おり、
前記電極シートは、前記絶縁層の繊維と繊維間の空間である凹部に入り込んだ状態で前記電極シートの熱可塑性材料の融着により前記絶縁層の凹凸面に接合する、請求項
6に記載のヒータ機能を有する静電型トランスデューサ。
【請求項8】
シート状に形成され、かつ、柔軟であるヒータ機能を有する静電型トランスデューサであって、
導電性布によりシート状に形成された電極シートと、
ヒータ線によりシート状に形成され、前記電極シートに対向して配置されたヒータと、
シート状に形成され、
熱可塑性材料により形成され、前記ヒータを構成する前記ヒータ線を埋設し、一方の面が自身の融着により前記電極シートに接合された絶縁層と、
を備える、ヒータ機能を有する静電型トランスデューサ。
【請求項9】
前記
絶縁層は、自身の融着により前記ヒータ
を構成する前記ヒータ線に接合する、請求項
8に記載のヒータ機能を有する静電型トランスデューサ。
【請求項10】
さらに、
シート状に形成され、熱可塑性材料および導電性フィラーを含んで構成され、裏面側に前記電極シートが対向して配置された表層側電極シートと、
シート状に形成され、
前記表層側電極シートの熱可塑性材料および前記電極シートの熱可塑性材料よりも軟化点の高い熱可塑性材料により形成され、前記表層側電極シート
の裏面と
前記電極シート
の表面との間に挟まれ
、表面が前記表層側電極シートの熱可塑性材料の融着により前記表層側電極シートに接合され、裏面が前記電極シートの熱可塑性材料の融着により前記電極シートに接合された電極間絶縁層と、
を備え、
前記ヒータは、前記電極シートの裏面側に対向して配置される、請求項
1または2に記載のヒータ機能を有する静電型トランスデューサ。
【請求項11】
さらに、
シート状に形成され、熱可塑性材料および導電性フィラーを含んで構成され、裏面側に前記電極シートが対向して配置された表層側電極シートと、
シート状に形成され、
非熱可塑性材料により形成され、前記表層側電極シート
の裏面と
前記電極シート
の表面との間に挟まれ
、表面が前記表層側電極シートの熱可塑性材料の融着により前記表層側電極シートに接合され、裏面が前記電極シートの熱可塑性材料の融着により前記電極シートに接合された電極間絶縁層と、
を備え、
前記ヒータは、前記電極シートの裏面側に対向して配置される、請求項
3-5のいずれか1項に記載のヒータ機能を有する静電型トランスデューサ。
【請求項12】
さらに、
シート状に形成され、熱可塑性材料および導電性フィラーを含んで構成され、裏面側に前記電極シートが対向して配置された表層側電極シートと、
シート状に形成され、
非熱可塑性材料の不織布または織物により形成され、前記表層側電極シート
の裏面と
前記電極シート
の表面との間に挟まれ
、表面が前記表層側電極シートの熱可塑性材料の融着により前記表層側電極シートに接合され、裏面が前記電極シートの熱可塑性材料の融着により前記電極シートに接合された電極間絶縁層と、
を備え、
前記ヒータは、前記電極シートの裏面側に対向して配置される、請求項
6または7に記載のヒータ機能を有する静電型トランスデューサ。
【請求項13】
さらに、
導電性布によりシート状に形成され、裏面側に前記電極シートが対向して配置された表層側電極シートと、
シート状に形成され、
熱可塑性材料により形成され、前記表層側電極シート
の裏面と
前記電極シート
の表面との間に挟まれ
、表面が自身の融着により前記表層側電極シートに接合され、裏面が自身の融着により前記電極シートに接合された電極間絶縁層と、
を備え、
前記ヒータは、前記電極シートの裏面側に対向して配置される、請求項
8または9に記載のヒータ機能を有する静電型トランスデューサ。
【請求項14】
前記電極間絶縁層および
前記絶縁層は、同種の材料により形成されている、請求項
10-13のいずれか1項に記載のヒータ機能を有する静電型トランスデューサ。
【請求項15】
前記電極シートは、表層側に配置され、
前記ヒータは、前記電極シートの裏面
に対向して配置され
、
さらに、
シート状に形成され、熱可塑性材料および導電性フィラーを含んで構成され、前記ヒータの裏面に対向して配置される
裏層側電極シート
、を備え、
前記絶縁層は、前記裏層側電極シートの熱可塑性材料よりも軟化点の高い熱可塑性材料により形成され、他方の面が前記裏層側電極シートの熱可塑性材料の融着により前記裏層側電極シートに接合された、請求項1
または2に記載のヒータ機能を有する静電型トランスデューサ。
【請求項16】
前記電極シートは、表層側に配置され、
前記ヒータは、前記電極シートの裏面
に対向して配置され
、
さらに、
シート状に形成され、熱可塑性材料および導電性フィラーを含んで構成され、前記ヒータの裏面に対向して配置される
裏層側電極シート
、を備え、
前記絶縁層は、非熱可塑性材料により形成され、他方の面が前記裏層側電極シートの熱可塑性材料の融着により前記裏層側電極シートに接合された、請求項
3-5のいずれか1項に記載のヒータ機能を有する静電型トランスデューサ。
【請求項17】
前記電極シートは、表層側に配置され、
前記ヒータは、前記電極シートの裏面
に対向して配置され
、
さらに、
シート状に形成され、熱可塑性材料および導電性フィラーを含んで構成され、前記ヒータの裏面に対向して配置される
裏層側電極シート
、を備え、
前記絶縁層は、非熱可塑性材料の不織布または織物により形成され、他方の面が前記裏層側電極シートの熱可塑性材料の融着により前記裏層側電極シートに接合された、請求項
6または7に記載のヒータ機能を有する静電型トランスデューサ。
【請求項18】
前記電極シートは、表層側に配置され、
前記ヒータは、前記電極シートの裏面
に対向して配置され
、
さらに、
導電性布によりシート状に形成され、前記ヒータの裏面に対向して配置される
裏層側電極シート
、を備え、
前記絶縁層は、熱可塑性材料により形成され、他方の面が自身の融着により前記裏層側電極シートに接合された、請求項
8または9に記載のヒータ機能を有する静電型トランスデューサ。
【請求項19】
前記ヒータは、表層側に配置され
、
前記電極シートは、前記ヒータの裏面に対向して配置
され、
さらに、
シート状に形成され、熱可塑性材料および導電性フィラーを含んで構成され、前記電極シートの裏面に対向して配置された
裏層側電極シートと、
シート状に形成され、
前記電極シートの熱可塑性材料および前記裏層側電極シートの熱可塑性材料よりも軟化点の高い熱可塑性材料により形成され、前記電極シート
の裏面と前記
裏層側電極シート
の表面との間に挟まれ
、表面が前記電極シートの熱可塑性材料の融着により前記電極シートに接合され、裏面が前記裏層側電極シートの熱可塑性材料の融着により前記裏層側電極シートに接合された電極間絶縁層と、
を備える、請求項1
または2に記載のヒータ機能を有する静電型トランスデューサ。
【請求項20】
前記ヒータは、表層側に配置され
、
前記電極シートは、前記ヒータの裏面に対向して配置
され、
さらに、
シート状に形成され、熱可塑性材料および導電性フィラーを含んで構成され、前記電極シートの裏面に対向して配置された
裏層側電極シートと、
シート状に形成され、
非熱可塑性材料により形成され、前記電極シート
の裏面と前記
裏層側電極シート
の表面との間に挟まれ
、表面が前記電極シートの熱可塑性材料の融着により前記電極シートに接合され、裏面が前記裏層側電極シートの熱可塑性材料の融着により前記裏層側電極シートに接合された電極間絶縁層と、
を備える、請求項
3-5のいずれか1項に記載のヒータ機能を有する静電型トランスデューサ。
【請求項21】
前記ヒータは、表層側に配置され
、
前記電極シートは、前記ヒータの裏面に対向して配置
され、
さらに、
シート状に形成され、熱可塑性材料および導電性フィラーを含んで構成され、前記電極シートの裏面に対向して配置された
裏層側電極シートと、
シート状に形成され、
非熱可塑性材料の不織布または織物により形成され、前記電極シート
の裏面と前記
裏層側電極シート
の表面との間に挟まれ
、表面が前記電極シートの熱可塑性材料の融着により前記電極シートに接合され、裏面が前記裏層側電極シートの熱可塑性材料の融着により前記裏層側電極シートに接合された電極間絶縁層と、
を備える、請求項
6または7に記載のヒータ機能を有する静電型トランスデューサ。
【請求項22】
前記ヒータは、表層側に配置され
、
前記電極シートは、前記ヒータの裏面に対向して配置
され、
さらに、
導電性布によりシート状に形成され、前記電極シートの裏面に対向して配置された
裏層側電極シートと、
シート状に形成され、
熱可塑性材料により形成され、前記電極シート
の裏面と前記
裏層側電極シート
の表面との間に挟まれ
、表面が前記電極シートの熱可塑性材料の融着により前記電極シートに接合され、裏面が前記裏層側電極シートの熱可塑性材料の融着により前記裏層側電極シートに接合された電極間絶縁層と、
を備える、請求項
8または9に記載のヒータ機能を有する静電型トランスデューサ。
【請求項23】
前記絶縁層と前記電極間絶縁層は、異種の材料により形成されており、
前記絶縁層は、前記電極間絶縁層よりも熱伝導率が高い材料により形成されている、請求項
19-22のいずれか1項に記載のヒータ機能を有する静電型トランスデューサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電型トランスデューサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ヒータ機能を有する静電型トランスデューサが知られている。例えば、特許文献1、2には、運転者の手を放していることを検出する静電センサと、ヒータとを備えるステアリングホイールが記載されている。特許文献1に記載のステアリングホイールは、ステアリングホイールの軸芯の外周側にヒータ線をコイル状に周回し、ヒータ線の外周側に静電センサを配置することにより製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-190856号公報
【文献】特表2016-527657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の製造方法のように、ステアリングホイールの軸芯等の基材に、ヒータ線を取り付け、その後に静電シートを取り付ける製造方法では、多大な製造工数を要する。すなわち、ヒータ線の取付工程と、静電シートの取付工程とが必要となる。さらに、ヒータ線および静電シートを取り付ける基材取付面が、ステアリングホイールの軸芯のように湾曲した面である場合等、単なる平面ではなく複雑な形状である場合には、上記2工程を有することにより多大な製造工数を要する。そこで、製造工数を低減することが求められる。
【0005】
また、トランスデューサが、可撓性を有する基材と、当該基材に取り付けられたヒータと、静電センサとを備える場合にも、製造工数の低減を図ることが求められる。また、トランスデューサが、基材を備えずに、ヒータと静電センサとを備える構成とする場合においても、製造工数の低減を図ることが求められる。
【0006】
また、近年、環境対策として、揮発性有機化合物(VOC)の排出の抑制が求められている。そのため、揮散型接着剤を用いないことが求められ、かつ、有機溶媒も用いないことが求められる。
【0007】
本発明は、揮散型接着剤および有機溶媒を用いることなく製造でき、かつ、製造工数の低減を図ることができるヒータ機能を有する静電型トランスデューサを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、
シート状に形成され、かつ、柔軟であるヒータ機能を有する静電型トランスデューサであって、
シート状に形成され、熱可塑性材料および導電性フィラーを含んで構成された電極シートと、
ヒータ線によりシート状に形成され、前記電極シートに対向して配置されたヒータと、
シート状に形成され、前記電極シートの熱可塑性材料よりも軟化点の高い熱可塑性材料により形成され、前記ヒータを構成する前記ヒータ線を埋設し、一方の面が前記電極シートの熱可塑性材料の融着により前記電極シートに接合された絶縁層と、
を備える、ヒータ機能を有する静電型トランスデューサにある。
本発明の第二の態様は、
シート状に形成され、かつ、柔軟であるヒータ機能を有する静電型トランスデューサであって、
シート状に形成され、熱可塑性材料および導電性フィラーを含んで構成された電極シートと、
ヒータ線によりシート状に形成され、前記電極シートに対向して配置されたヒータと、
シート状に形成され、非熱可塑性材料により形成され、前記ヒータを構成する前記ヒータ線を埋設し、一方の面が前記電極シートの熱可塑性材料の融着により前記電極シートに接合された絶縁層と、
を備える、ヒータ機能を有する静電型トランスデューサにある。
本発明の第三の態様は、
シート状に形成され、かつ、柔軟であるヒータ機能を有する静電型トランスデューサであって、
シート状に形成され、熱可塑性材料および導電性フィラーを含んで構成された電極シートと、
ヒータ線によりシート状に形成され、前記電極シートに対向して配置されたヒータと、
シート状に形成され、非熱可塑性材料の不織布または織物により形成され、前記ヒータを構成する前記ヒータ線を埋設し、一方の面が前記電極シートの熱可塑性材料の融着により前記電極シートに接合された絶縁層と、
を備える、ヒータ機能を有する静電型トランスデューサにある。
本発明の第四の態様は、
シート状に形成され、かつ、柔軟であるヒータ機能を有する静電型トランスデューサであって、
導電性布によりシート状に形成された電極シートと、
ヒータ線によりシート状に形成され、前記電極シートに対向して配置されたヒータと、
シート状に形成され、熱可塑性材料により形成され、前記ヒータを構成する前記ヒータ線を埋設し、一方の面が自身の融着により前記電極シートに接合された絶縁層と、
を備える、ヒータ機能を有する静電型トランスデューサにある。
【0009】
ヒータ機能を有する静電型トランスデューサの上記各構成部材がシート状に形成されているため、静電型トランスデューサを構成する電極シート、絶縁層およびヒータは、全体としてシート状に一体に形成されている。従って、静電型トランスデューサが、基材を備える場合であっても、基材を備えない場合であっても、静電型トランスデューサの製造工数の低減を図ることができる。
【0010】
また、ヒータ機能を有する静電型トランスデューサの上記構成部材は一体に形成されているため、当該静電型トランスデューサの上記構成部材を基材の取付面に取り付ける場合において、取付面への取付工程を1工程とすることができる。従って、製造工数を低減することができる。また、取付面に対して1工程での取付工程とすることができるため、取付面が複雑な形状であるほど、より製造工数の低減に効果を発揮する。可撓性を有する基材に当該静電型トランスデューサの上記構成部材を取り付ける場合にも、製造工数の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】トランスデューサ1の基本構成の断面図である。
【
図3】第一例乃至第三例の静電シート10aを示す断面図である。
【
図4】第一例乃至第三例の静電シート10aを示す断面図である。
【
図5】第四例の静電シート10bを示す断面図である。
【
図6】第四例の静電シート10bを示す断面図である。
【
図7】第五例の静電シート10cを示す断面図である。
【
図8】第五例の静電シート10cにおける電極シート11cを示す平面図である。
【
図9】第五例の静電シート10cの製造方法を説明するための図である。
【
図10】第一例のトランスデューサ100を示す断面図である。
【
図11】第二例のトランスデューサ200を示す断面図である。
【
図12】第三例のトランスデューサ300を示す断面図である。
【
図13】第四例のトランスデューサ400を示す断面図である。
【
図14】第四例のトランスデューサ400の製造方法を説明するための図である。
【
図15】第五例のトランスデューサ500を示す断面図である。
【
図16】第五例のトランスデューサ500の製造方法を説明するための図である。
【
図17】第六例のトランスデューサ600を示す断面図である。
【
図18】第六例のトランスデューサ600の製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(1.適用対象)
静電型トランスデューサ(以下、「トランスデューサ」と称する)は、ヒータ機能を有する静電シートを備える。トランスデューサは、例えば、基材と、基材の取付面に取り付けられた当該静電シートとを備える。基材は、任意の部材であって、金属、樹脂、その他の材料により形成されている。
【0014】
また、基材の取付面は、曲面、複合平面(複数の平面により形成された形状)、平面と曲面の複合形状等の三次元形状に形成してもよいし、基材の表面が単一平面形状に形成してもよい。基材が可撓性を有する材料により形成されている場合に、当該基材の取付面に当該静電シートを取り付けることもできる。また、トランスデューサは、基材を備えることなく、当該静電シート単体として利用することもできる。
【0015】
静電シートは、基材の取付面(表面)に配置されている。静電シートは、全体として、柔軟である。柔軟とは、可撓性を有し、且つ、面方向に伸張可能であることを意味する。従って、基材の取付面が三次元形状であったとしても、静電シートは、基材の取付面に沿って取り付けることができる。特に、静電シートを面方向に伸張させながら基材の取付面に取り付けることで、静電シートにしわが発生することを抑制することができる。
【0016】
静電シートは、一対の電極間の静電容量の変化を利用して、アクチュエータまたはセンサとして機能させることができる。静電シートは、一対の電極のうち少なくとも1つを備えればよく、一対の電極を備える構成に限定されるものではない。もちろん、静電シートは、一対の電極を備えるようにしてもよい。
【0017】
静電シートは、電極間の静電容量の変化を利用して、振動や音等を発生させるアクチュエータとして機能させることができる。また、静電シートは、電極間の静電容量の変化を利用して、外部からの押込力等を検出するセンサ、電位を有する導電体の接触または接近を検出するセンサとして機能させることができる。
【0018】
静電シートがアクチュエータとして機能する場合には、電極に電圧が印加されることにより、電極間の電位に応じて誘電体が変形し、誘電体の変形に伴って振動が発生する。静電シートが押込力を検出するセンサとして機能する場合には、外部からの押込力、振動、および、音等(以下、外部からの押込力等)の入力に起因して誘電体が変形することにより電極間の静電容量が変化し、電極間の静電容量に応じた電圧を検出することで、外部からの押込力等を検出する。また、静電シートが接触または接近を検出するセンサとして機能する場合には、電位を有する導電体の接触または接近により、電極間の静電容量が変化し、変化した電極間の静電容量に応じた電圧を検出することで、当該導電体の接触または接近を検出する。
【0019】
トランスデューサは、例えば、ポインティングデバイスであるマウスやジョイスティックの表面、車両部品の表面等に適用できる。車両部品としては、ステアリングホイール、ドアノブ、シフトレバー、アームレスト、ドアトリム、センタートリム、センターコンソール等が含まれる。多くの場合には、基材は、金属や樹脂等の可撓性を有しない材料により形成されている。つまり、トランスデューサは、対象者の状態(操作等)の検出や対象者への振動の付与に加えて、対象者への熱の付与を行うことができる。
【0020】
また、トランスデューサは、シート座面の表層側または背もたれ面の表層側に配置されるようにしてもよい。この場合、トランスデューサは、樹脂フィルム等の可撓性を有する材料により形成された基材に、ヒータ機能を有する静電シートを取り付けるように構成してもよい。また、トランスデューサは、基材を備えずに、ヒータ機能を有する静電シートにより構成されるようにしてもよい。
【0021】
(2.トランスデューサ1の基本構成)
トランスデューサ1の基本構成の一例について、
図1および
図2を参照して説明する。トランスデューサ1は、
図1に示すように、ヒータ機能を有する静電シート10を備える。静電シート10は、全体として、シート状に形成されており、かつ、柔軟である。ここで、柔軟とは、可撓性を有し、且つ、面方向に伸張可能であることを意味する。
【0022】
静電シート10は、上述した基材(
図1には図示しない)の取付面に取り付けられている。静電シート10は、
図1に示すように、少なくとも、電極シート11、ヒータ12、絶縁層13を備える。静電シート10は、電極シート11、ヒータ12、および、絶縁層13以外の構成を備えるようにしてもよい。
【0023】
電極シート11は、導電性を有する。さらに、電極シート11は、柔軟である。電極シート11は、例えば、導電性エラストマー、導電性布、または、金属箔等により形成されている。
【0024】
電極シート11が導電性エラストマーにより形成される場合について詳細に説明する。この場合、電極シート11は、導電性フィラーを含むエラストマーにより形成されている。つまり、電極シート11は、エラストマーを母材として、導電性フィラーを含有させることにより形成される。
【0025】
電極シート11は、例えば、熱可塑性エラストマーにより形成されている。電極シート11は、熱可塑性エラストマー自身により形成されるようにしてもよいし、熱可塑性エラストマーを素材として加熱することによって架橋されたエラストマーにより形成されるようにしてもよい。
【0026】
ここで、電極シート11は、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、エステル系、アミド系等のエラストマーから、1種以上を選択可能である。例えば、スチレン系エラストマーとしては、SBS、SEBS、SEPS等が挙げられる。オレフィン系エラストマーとしては、EEA、EMA、EMMA等の他、エチレンとαオレフィンとの共重合体(エチレン-オクテン共重合体)等が挙げられる。
【0027】
電極シート11は、熱可塑性エラストマー以外のゴム、樹脂を含んでいてもよい。例えば、エチレン-プロピレンゴム(EPM、EPDM)等のゴムを含む場合には、電極シート11の柔軟性が向上する。電極シート11の柔軟性を向上させるという観点から、電極シート11に可塑剤等の柔軟性付与成分を含有させてもよい。
【0028】
また、電極シート11が導電性布により形成される場合について詳細に説明する。導電性布とは、導電性繊維により形成された織物または不織布である。ここで、導電性繊維は、柔軟性を有する繊維の表面を導電性材料により被覆することにより形成される。導電性繊維は、例えば、ポリエチレン等の樹脂繊維の表面に、銅やニッケル等をメッキすることにより形成される。
【0029】
電極シート11が金属箔により形成される場合について詳細に説明する。金属箔は、導電性布と同様に、複数の貫通孔を有する。従って、電極シート11は、可撓性を有し、貫通孔の変形に伴い面方向への伸張を可能とする。金属箔は、導通可能な金属材料であればよく、例えば、銅箔、アルミニウム箔等を適用できる。
【0030】
ヒータ12は、
図2に示すように、ヒータ線によってシート状(面状)に形成されている。ヒータ12は、電極シート11の一方の面に対向して配置されている。ヒータ線は、金属の合金系材料であり、例えば、ニッケルクロム、鉄クロム等が適用される。
【0031】
絶縁層13は、シート状に形成され、少なくとも、電極シート11とヒータ12との間に挟まれている。絶縁層13は、ヒータ12の両面(
図1の上下面)を覆うように形成してもよい。なお、
図1においては、絶縁層13は、ヒータ12の両面を覆う場合を図示している。
【0032】
絶縁層13は、柔軟な材料により形成されている。絶縁層13は、例えば、熱可塑性材料、特に熱可塑性エラストマーにより形成されている。また、絶縁層13は、非熱可塑性エラストマーの発泡材料、不織布または織物等を用いることもできる。絶縁層13は、静電シート10における誘電層としても機能させることが可能である。
【0033】
静電シート10は、さらに、電極融着層14を備える。電極融着層14は、融着材料により形成されている。電極融着層14は、電極融着層14自身の融着(熱融着)により、電極シート11と絶縁層13とを接合する。ここで、電極融着層14は、電極シート11の一部分として構成されるようにしてもよいし、絶縁層13の一部分として構成されるようにしてもよい。さらに、電極融着層14は、電極シート11の一部分として構成され、かつ、絶縁層13の一部分として構成されるようにしてもよい。また、電極融着層14は、電極シート11および絶縁層13と別部材として接合されるようにしてもよい。
【0034】
上述したトランスデューサ1の基本構成の製造方法について説明する。静電シート10の構成要素である、電極シート11、絶縁層13、ヒータ12の順に積層された積層体を準備する(準備工程)。ここで、当該時点において、絶縁層13は、ヒータ12に予め一体に形成されていてもよいし、電極シート11およびヒータ12とは別体にされていてもよい。
【0035】
続いて、当該積層体を加熱および加圧する(加熱加圧工程)。そうすると、電極融着層14によって、電極シート11と絶縁層13とが接合される。電極融着層14は、上述したように、電極シート11の一部分、絶縁層13の一部分、または、電極シート11および絶縁層13とは別材料の何れかである。このようにして、静電シート10が製造される。続いて、静電シート10を、図示しない基材に取り付ける。基材が存在しない場合には、静電シート10の製造により、トランスデューサ1が完成する。
【0036】
(3.トランスデューサ1の基本構成による効果)
トランスデューサ1を構成する静電シート10は、全体としてシート状に一体に形成されている。従って、トランスデューサ1が、基材を備える場合であっても、基材を備えない場合であっても、トランスデューサ1の製造工数の低減を図ることができる。
【0037】
また、トランスデューサ1の上記構成部材11,12,13は一体に形成されているため、当該トランスデューサ1の上記構成部材11,12,13を基材の取付面に取り付ける場合において、取付面への取付工程を1工程とすることができる。従って、製造工数を低減することができる。また、取付面に対して1工程での取付工程とすることができるため、取付面が複雑な形状であるほど、より製造工数の低減に効果を発揮する。可撓性を有する基材に当該トランスデューサ1の上記構成部材11,12,13を取り付ける場合にも、製造工数の低減を図ることができる。
【0038】
さらに、電極シート11と絶縁層13との接合は、熱によって軟化可能な融着材料により行われている。従って、揮散型接着剤および有機溶媒を用いることなく、ヒータ機能を有する静電シート10を製造することができる。つまり、環境に優しいトランスデューサ1を製造することができる。
【0039】
また、電極融着層14が、電極シート11の一部分または絶縁層13の一部分により構成される場合には、電極融着層14として専用の部材を必要としない。その結果、より低コスト化を図ることができる。
【0040】
(4.静電シート10の例)
上述したトランスデューサ1の基本構成の静電シート10について、複数例をあげて説明する。
【0041】
(4-1.第一例の静電シート10a)
第一例の静電シート10aの構成について、
図3および
図4を参照して説明する。静電シート10aを構成する電極シート11aは、熱可塑性材料を含んで形成されている。例えば、電極シート11aは、熱可塑性エラストマーにより形成されている。つまり、電極シート11aは、加熱および加圧により、軟化して、相手部材に融着することが可能である。
【0042】
絶縁層13aは、熱可塑性材料、例えば、熱可塑性エラストマーにより形成されている。絶縁層13aの熱可塑性材料は、電極シート11aの熱可塑性材料よりも軟化点の高い材料である。さらに、絶縁層13aは、
図3に示すように、電極シート11aとの接合面に凹凸を有している。例えば、絶縁層13aを成形するための金型に凹凸面を形成しておくことで、絶縁層13aにおける電極シート11aとの接合面に凹凸を形成することができる。
【0043】
図4に示すように、電極シート11aと絶縁層13aとを積層して、当該積層体に加熱および加圧することにより、静電シート10aが製造される。ここで、電極シート11aは、絶縁層13aよりも軟化点の低い熱可塑性材料により形成されている。従って、積層体に加熱および加圧されることにより、電極シート11aの熱可塑性材料が、先に軟化して、絶縁層13aの凹部に入り込む。
【0044】
そして、電極シート11aの一部分が、自身の融着により、電極シート11aと絶縁層13aの凹凸面とを接合する電極融着層14として機能する。特に、電極シート11aの一部分が、絶縁層13aの凹部に入り込むことにより、アンカー効果を発揮し、電極シート11aと絶縁層13aとの接合力が増加する。
【0045】
(4-2.第二例の静電シート10a)
上記第一例の静電シート10aにおいて、絶縁層13aは、熱可塑性材料としたが、非熱可塑性材料を適用することもできる。この場合、積層体を加熱および加圧した場合において、当然に、電極シート11aの熱可塑性材料は、絶縁層13aよりも先に軟化することになる。
【0046】
(4-3.第三例の静電シート10a)
絶縁層13aは、非熱可塑性材料の繊維により形成された不織布または織物である。不織布または織物は、繊維により形成されているため、少なくとも、絶縁層13aにおいて電極シート11aとの接合面に、
図3に示すように、凹凸を有する。詳細には、絶縁層13aの当該接合面において、繊維と、繊維間の空間により形成された凹凸を有している。つまり、絶縁層13aは、繊維を凸部とし、隣り合う繊維の間を凹部とする凹凸面を有する。
【0047】
そして、第一例と同様に、
図4に示すように、電極シート11aと絶縁層13aとを積層して、当該積層体を加熱および加圧することにより、静電シート10aが製造される。つまり、積層体が加熱および加圧されることにより、電極シート11aの熱可塑性材料が、軟化して、絶縁層13aの凹部に入り込む。そして、電極シート11aの一部分が、自身の融着により、電極シート11aと絶縁層13aの凹凸面とを接合する電極融着層14として機能する。
【0048】
(4-4.第四例の静電シート10b)
第四例の静電シート10bの構成について、
図5および
図6を参照して説明する。静電シート10bを構成する電極シート11aは、第一例と同様に、熱可塑性材料を含んで形成されている。
【0049】
絶縁層13bは、非熱可塑性の発泡材料により形成されている。
図5に示すように、絶縁層13bは、少なくとも表面に気泡により形成された凹凸を有している。もちろん、絶縁層13bは、内部においては、凹部(気泡)を有している。
【0050】
そして、第一例と同様に、
図6に示すように、電極シート11aと絶縁層13bとを積層して、当該積層体を加熱および加圧することにより、静電シート10aが製造される。つまり、積層体が加熱および加圧されることにより、電極シート11aの熱可塑性材料が、軟化して、絶縁層13bの凹部に入り込む。そして、電極シート11aの一部分が、自身の融着により、電極シート11aと絶縁層13bの凹凸面とを接合する電極融着層14として機能する。
【0051】
(4-5.第五例の静電シート10c)
第五例の静電シート10cの構成について
図7および
図8を参照して説明する。静電シート10は、
図7に示すように、少なくとも、電極シート11c、ヒータ12、絶縁層13c、電極融着層14c、および、ヒータ融着層15cを備える。電極シート11cは、導電性を有しつつ、柔軟性および面方向への伸縮性を有する。
図8に示すように、電極シート11cは、例えば、導電性布である。
【0052】
絶縁層13cは、例えば、熱可塑性材料、特に熱可塑性エラストマーにより形成されている。電極融着層14cは、絶縁層13cの一部分として構成されるようにしてもよいし、絶縁層13cに別部材として接合されるようにしてもよい。
【0053】
ヒータ融着層15cは、融着材料により形成されている。ヒータ融着層15cは、ヒータ融着層15c自身の融着(熱融着)により、ヒータ12と絶縁層13cとを接合する。特に、ヒータ12は、絶縁層13cに埋設された状態で、ヒータ融着層15cにより接合されている。ヒータ融着層15cは、絶縁層13cの一部分として構成されるようにしてもよいし、絶縁層13cに別部材として接合されるようにしてもよい。
【0054】
例えば、ヒータ融着層15cは、融着材料である熱可塑性材料により形成されており、絶縁層13cの一部分として構成される。この場合、絶縁層13cの一部分としてのヒータ融着層15cは、自身の融着によって、ヒータ12と絶縁層13cとを接合する。
【0055】
静電シート10cの製造方法について、
図9を参照して説明する。ここでは、絶縁層13cの素材が、熱可塑性材料により形成されているものとする。電極シート11c、絶縁層13cの第一素材13c1、ヒータ12、および、絶縁層13cの第二素材13c2の順に積層された積層体を準備する(準備工程)。続いて、積層体を加熱および加圧する(加熱加圧工程)。そうすると、絶縁層13cの第一素材13c1が、軟化して融着材料として機能し、電極シート11cに接合する。電極シート11cに融着した部位が、電極融着層14cとなる。
【0056】
また、絶縁層13cの第一素材13c1および第二素材13c2が、軟化して融着材料として機能し、ヒータ12に接合する。ヒータ12に融着した部位が、ヒータ融着層15cとなる。そして、絶縁層13cの第一素材13c1と第二素材13c2とが一体化されることにより、絶縁層13cを形成する。さらに、ヒータ12が絶縁層13cに埋設された状態となる。このようにして、トランスデューサ1の静電シート10cが製造される。
【0057】
絶縁層13cが熱可塑性材料により形成され、電極融着層14cおよびヒータ融着層15cが絶縁層13cの一部分として構成されている。従って、電極融着層14cおよびヒータ融着層15cとして専用の部材を必要としない。その結果、より低コスト化を図ることができる。
【0058】
また、電極融着層14cおよびヒータ融着層15cが、絶縁層13cとは別部材として配置される場合には、電極シート11c、電極融着層14cの素材、絶縁層13c、ヒータ融着層15cの素材、および、ヒータ12の順に積層された積層体を準備する(準備工程)。続いて、積層体を加熱および加圧する(加熱加圧工程)。そうすると、電極融着層14cの素材が、軟化して融着材料として機能し、電極シート11cと絶縁層13cとを接合する。また、ヒータ融着層15cの素材が、軟化して融着材料として機能し、ヒータ12と絶縁層13cとを接合する。
【0059】
(5.トランスデューサ1の例)
上述したトランスデューサ1の基本構成を有しつつ、他の要素を備えるトランスデューサ1について、複数例をあげて説明する。特に、トランスデューサ1の静電シート10は、一対の電極シートを有する構成である。
【0060】
(5-1.第一例のトランスデューサ100)
第一例のトランスデューサ100の構成について
図10を参照して説明する。トランスデューサ100は、ヒータ機能を有する静電シート110を備える。静電シート110は、全体として、柔軟である。静電シート110は、第一例乃至第四例の何れか1つの静電シート10a,10bを利用した構成をなしている。本例において、静電シート10a,10bと同一構成の部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0061】
静電シート110は、少なくとも、第一電極シート116、第二電極シート11a、ヒータ12、電極間絶縁層117、裏面側絶縁層13a,13b、裏面側融着層14a,14bを備える。第一電極シート116は、第一例乃至第四例の何れか1つの静電シート10a,10bにおける電極シート11aと同様の構成を有する。第一電極シート116は、表層側に配置されている。
【0062】
第二電極シート11aは、第一例乃至第四例の何れか1つの静電シート10a,10bにおける電極シート11aとして機能する部位に対応する。第二電極シート11aは、第一電極シート116の裏面に対向して配置されている。ヒータ12は、第一例乃至第四例の何れか1つの静電シート10a,10bにおけるヒータ12として機能する部位に対応する。ヒータ12は、第二電極シート11aの裏面に対向して配置されている。
【0063】
電極間絶縁層117は、シート状に形成され、第一電極シート116と第二電極シート11aとの間に挟まれている。電極間絶縁層117は、弾性変形可能な材料により形成されている。電極間絶縁層117は、例えば、熱可塑性材料、特に熱可塑性エラストマーにより形成されている。また、電極間絶縁層117は、非熱可塑性エラストマーの発泡材料、不織布等を用いることもできる。電極間絶縁層117は、静電シートにおける誘電層として機能する。
【0064】
裏面側絶縁層13a,13bは、シート状に形成され、第二電極シート11aとヒータ12との間に挟まれている。裏面側絶縁層13a,13bは、第一例乃至第四例の何れか1つの静電シート10a,10bにおける絶縁層13a,13bとして機能する部位に対応する。裏面側絶縁層13a,13bは、電極間絶縁層117と同種の材料により形成されている。両者が同種の材料により形成されることで、低コスト化を図ることができる。
【0065】
裏面側融着層14a,14bは、融着材料により形成されている。裏面側融着層14a,14bは、第二電極シート11aと裏面側絶縁層13a,13bとを接合し、第一例の静電シート10a,10bにおける電極融着層14a,14bとして機能する部位に対応する。
【0066】
第一例のトランスデューサ100の製造方法について説明する。第一電極シート116、電極間絶縁層117および第二電極シート11aは、予め積層された状態で一体に形成しておく(準備工程)。さらに、ヒータ12および裏面側絶縁層13a,13bは、予め一体に形成しておく(準備工程)。そして、それぞれ一体に形成された部材を積層した積層体を準備する(準備工程)。
【0067】
続いて、積層体を加熱および加圧する(加熱加圧工程)。そうすると、第二電極シート11aが軟化して、裏面側絶縁層13a,13bの凹凸面に融着する。つまり、第二電極シート11aの一部分が、裏面側融着層14a,14bを形成する。このようにして、第一例のトランスデューサ100の静電シート110が製造される。
【0068】
第一例のトランスデューサ100によれば、第一電極シート116、第二電極シート11a、および、電極間絶縁層117が、ヒータ12よりも表面側に位置している。つまり、ヒータ12が、第一電極シート116と第二電極シート11aとの間、および、第一電極シート116よりも表面側に位置していない。その結果、ヒータ12が検出性能または駆動性能に影響を及ぼすことを抑制できるため、高い検出性能または駆動性能を発揮することができる。
【0069】
ヒータ12が、第二電極シート11aの裏面側に位置するとしても、電極間絶縁層117が熱伝導性の良好な材料とすることで、十分にヒータとしての機能を発揮することができる。ここで、ヒータ12に直接接触する裏面側絶縁層13a,13bが熱伝導性の良好な材料により形成されると、十分に熱が高くなる前に熱が拡散することによって、十分な熱が表層に伝達されにくい。そこで、裏面側絶縁層13a,13bをある程度熱伝導性の良好ではない材料とすることで、効果的に熱を表層に伝達させることができる。特に、裏面側絶縁層13a,13bが、内部に空孔が形成される発泡材料、不織布または織物等とすることで、より効果的に熱を表層に伝達させることができる。
【0070】
(5-2.第二例のトランスデューサ200)
第二例のトランスデューサ200の構成について
図11を参照して説明する。トランスデューサ200は、ヒータ機能を有する静電シート210を備える。静電シート110は、全体として、柔軟である。静電シート210は、第一例乃至第四例の何れか1つの静電シート10a,10bを利用した構成をなしている。本例において、静電シート10a,10bと同一構成の部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0071】
静電シート210は、少なくとも、第一電極シート11a、ヒータ12、第二電極シート216、第一絶縁層213a(13a,13b)、第二絶縁層213b(13a,13b)、第一電極融着層14a,14b、第二電極融着層217を備える。
【0072】
第一電極シート11aは、第一例乃至第四例の何れか1つの静電シート10a,10bにおける電極シート11aと同様の構成を有する。第一電極シート11aは、表層側に配置されている。ヒータ12は、第一電極シート11aの裏面に対向して配置されている。
【0073】
第二電極シート216は、第一電極シート11aと同様の構成を有する。第二電極シート216は、ヒータ12の裏面側に対向して配置されている。つまり、第一電極シート11aと第二電極シート216との間に、ヒータ12が介在している。
【0074】
第一絶縁層213aは、シート状に形成され、第一電極シート11aとヒータ12との間に挟まれている。第一絶縁層213aは、第一例乃至第四例の何れか1つの静電シート10a,10bにおける絶縁層13a,13bの一部分として機能する。第二絶縁層213bは、シート状に形成され、ヒータ12と第二電極シート216との間に挟まれている。第二絶縁層213bは、第一例乃至第四例の静電シート10a,10bにおける絶縁層13a,13bの他の一部分として機能する。つまり、第一絶縁層213aおよび第二絶縁層213bは、同種の材料により形成されている。
【0075】
第一電極融着層14a,14bは、融着材料により形成されている。第一電極融着層14a,14bは、第一電極シート11aと第一絶縁層213aとを接合する。第一電極融着層14a,14bは、第一例乃至第四例の何れか1つの静電シート10a,10bにおける電極融着層14a,14bとして機能する。第二電極融着層217は、融着材料により形成されている。第二電極融着層217は、第二電極シート216と第二絶縁層213bとを接合する。第二電極融着層217は、第一電極融着層14a,14bと同様の構成を有する。
【0076】
第二例のトランスデューサ200の製造方法について説明する。第一絶縁層213a、ヒータ12、第二絶縁層213bは、予め一体に形成しておく。そして、第一電極シート11a、上記一体成形品、第二電極シート216の順で積層した積層体を準備する(準備工程)。
【0077】
続いて、積層体を加熱および加圧する(加熱加圧工程)。そうすると、第一電極シート11aが軟化して、第一絶縁層213aの凹凸面に融着する。つまり、第一電極シート11aの一部分が、第一電極融着層14a,14bを形成する。さらに、第二電極シート216が軟化して、第二絶縁層213bの凹凸面に融着する。つまり、第二電極シート216の一部分が、第二電極融着層217を形成する。このようにして、第二例のトランスデューサ200の静電シート210が製造される。
【0078】
第二例のトランスデューサ200によれば、ヒータ12が第一電極シート11aと第二電極シート216との間に挟まれている。従って、静電シート210の厚みが薄くできる。従って、小型の静電シート210を製造することができる。
【0079】
(5-3.第三例のトランスデューサ300)
第三例のトランスデューサ300の構成について
図12を参照して説明する。トランスデューサ300は、ヒータ機能を有する静電シート310を備える。静電シート310は、全体として、柔軟である。静電シート310は、第一例乃至第四例の何れか1つの静電シート10a,10bを利用した構成をなしている。本例においては、静電シート10a,10bと同一構成の部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0080】
静電シート310は、少なくとも、ヒータ12、第一電極シート11a、第二電極シート316、表面側絶縁層13a,13b、電極間絶縁層317、表面側融着層14a,14bを備える。第一電極シート11aは、第一例乃至第四例の何れか1つの静電シート10a,10bにおける電極シート11aと同様の構成を有する。第一電極シート116は、表層側に配置されている。
【0081】
ヒータ12は、表層側に配置されている。ヒータ12は、第一例乃至第四例の何れか1つの静電シート10a,10bにおけるヒータ12として機能する部位に対応する。
【0082】
第一電極シート11aは、ヒータ12の裏面に対向して配置されている。第一電極シート11aは、第一例乃至第四例の何れか1つの静電シート10a,10bにおける電極シート11aとして機能する部位に対応する。第二電極シート316は、第一電極シート11aの裏面に対向して配置されている。第二電極シート316は、第一電極シート11aと同様の構成を有する。
【0083】
表面側絶縁層13a,13bは、シート状に形成され、ヒータ12と第一電極シート11aとの間に挟まれている。表面側絶縁層13a,13bは、第一例乃至第四例の何れか1つの静電シート10a,10bにおける絶縁層13a,13bとして機能する部位に対応する。
【0084】
電極間絶縁層317は、シート状に形成され、第一電極シート11aと第二電極シート316との間に挟まれている。電極間絶縁層317は、弾性変形可能な材料により形成されている。電極間絶縁層317は、例えば、熱可塑性材料、特に熱可塑性エラストマーにより形成されている。また、電極間絶縁層317は、非熱可塑性エラストマーの発泡材料、不織布等を用いることもできる。電極間絶縁層317は、静電シートにおける誘電層として機能する。
【0085】
ここで、表面側絶縁層13a,13bと電極間絶縁層317とは、異種の材料により形成されている。具体的には、表面側絶縁層13a,13bは、電極間絶縁層317よりも熱伝導率が高い材料により形成されている。ヒータ12から表層までの部位が、熱伝導率が高い材料により形成されることで、静電シート310の表層において、ヒータ機能を効果的に発揮することができる。一方、電極間絶縁層317は、熱伝導率が高い材料であることは不要である。そして、電極間絶縁層317が誘電体として効果的に発揮する材料により形成することにより、静電シート310による検出性能または駆動性能を高くすることができる。
【0086】
第三例のトランスデューサ300の製造方法について説明する。第一電極シート11a、電極間絶縁層317および第二電極シート316は、予め積層された状態で一体に形成しておく(準備工程)。さらに、ヒータ12および表面側絶縁層13a,13bは、予め一体に形成しておく(準備工程)。そして、それぞれ一体に形成された部材を積層した積層体を準備する(準備工程)。
【0087】
続いて、積層体を加熱および加圧する(加熱加圧工程)。そうすると、第一電極シート11aが軟化して、表面側絶縁層13a,13bの凹凸面に融着する。つまり、第一電極シート11aの一部分が、表面側融着層14a,14bを形成する。このようにして、第三例のトランスデューサ300の静電シート310が製造される。
【0088】
(5-4.第四例のトランスデューサ400)
(5-4-1.第四例のトランスデューサ400の構成)
第四例のトランスデューサ400の構成について
図13を参照して説明する。トランスデューサ400は、基材430と、基材430の取付面に取り付けられた静電シート410とを備える。
【0089】
静電シート410は、ヒータ機能を有する。静電シート410は、全体として、柔軟である。静電シート410は、第五例の静電シート10cを利用した構成をなしている。本例において、第五例の静電シート10cと同一構成の部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0090】
静電シート410は、少なくとも、第一電極シート416、第二電極シート11c、ヒータ12、電極間絶縁層417、裏面側絶縁層13c、電極間第一融着層418、電極間第二融着層419、裏面側融着層14c、ヒータ融着層15cを備える。本例においては、静電シート410は、さらに、表面保護層420、保護融着層421、基材融着層422を備える。ただし、静電シート410は、表面保護層420、保護融着層421、基材融着層422を備えない構成とすることもできる。
【0091】
第一電極シート416は、第五例の静電シート10cにおける電極シート11cと同様の構成を有する。第一電極シート416は、表層側に配置されている。第二電極シート11cは、第五例の静電シート10cにおける電極シート11cとして機能する部位に対応する。第二電極シート11cは、第一電極シート416の裏面に対向して配置されている。ヒータ12は、第五例の静電シート10cにおけるヒータ12として機能する部位に対応する。ヒータ12は、第二電極シート11cの裏面に対向して配置されている。
【0092】
電極間絶縁層417は、シート状に形成され、第一電極シート416と第二電極シート11cとの間に挟まれている。電極間絶縁層417は、弾性変形可能な材料により形成されている。電極間絶縁層417は、例えば、熱可塑性材料、特に熱可塑性エラストマーにより形成されている。また、電極間絶縁層417は、非熱可塑性エラストマーの発泡材料、不織布等を用いることもできる。電極間絶縁層417は、静電シートにおける誘電層として機能する。
【0093】
裏面側絶縁層13cは、シート状に形成され、第二電極シート11cとヒータ12との間に挟まれている。裏面側絶縁層13cは、第五例の静電シート10cにおける絶縁層13cとして機能する部位に対応する。裏面側絶縁層13cは、電極間絶縁層417と同種の材料により形成されている。両者が同種の材料により形成されることで、低コスト化を図ることができる。
【0094】
電極間第一融着層418は、融着材料により形成されている。すなわち、電極間第一融着層418は、熱処理が施されることによって接合力を発揮する。例えば、電極間第一融着層418は、加熱および加圧されることにより、接合力を発揮する。電極間第一融着層418は、第一電極シート416と電極間絶縁層417とを接合する。電極間第一融着層418は、電極間絶縁層417の一部分として構成されるようにしてもよいし、電極間絶縁層417に別部材として接合されるようにしてもよい。
【0095】
例えば、電極間第一融着層418は、融着材料である熱可塑性材料により形成されており、電極間絶縁層417の一部分として構成される。この場合、電極間絶縁層417の一部分としての電極間第一融着層418が、融着(熱融着)によって、第一電極シート416と電極間絶縁層417とを接合する。
【0096】
電極間第二融着層419は、融着材料により形成されている。電極間第二融着層419は、電極間第一融着層418と同様である。電極間第二融着層419は、電極間絶縁層417と第二電極シート11cとを接合する。電極間第二融着層419は、電極間絶縁層417の一部分として構成されるようにしてもよいし、電極間絶縁層417に別部材として接合されるようにしてもよい。
【0097】
例えば、電極間第二融着層419は、融着材料である熱可塑性材料により形成されており、電極間絶縁層417の一部分として構成される。この場合、電極間絶縁層417の一部分としての電極間第二融着層419が、融着(熱融着)によって、電極間絶縁層417と第二電極シート11cとを接合する。
【0098】
裏面側融着層14cは、融着材料により形成されている。裏面側融着層14cは、第二電極シート11cと裏面側絶縁層13cとを接合し、第五例の静電シート10cにおける電極融着層14cとして機能する部位に対応する。
【0099】
ヒータ融着層15cは、融着材料により形成されている。ヒータ融着層15cは、裏面側絶縁層13cとヒータ12とを接合し、第五例の静電シート10cにおけるヒータ融着層15cとして機能する部位に対応する。特に、ヒータ12は、第二電極シート11cの裏面側において、裏面側絶縁層13cに埋設された状態で、ヒータ融着層15cにより接合されている。
【0100】
表面保護層420は、シート状に形成され、第一電極シート416の表面側を被覆する。表面保護層420は、熱可塑性材料、特に熱可塑性エラストマーにより形成されるようにしてもよい。表面保護層420は、電極間絶縁層417の素材の一部分によって形成されるようにしてもよいし、電極間絶縁層417とは別部材として形成されるようにしてもよい。また、表面保護層420は、熱可塑性材料に代えて、粘着層または接着層を有する樹脂製の絶縁シート等を適用することもできる。
【0101】
保護融着層421は、融着材料により形成されている。保護融着層421は、第一電極シート416と表面保護層420とを接合する。保護融着層421は、表面保護層420の一部分として構成されるようにしてもよいし、表面保護層420に別部材として接合されるようにしてもよい。また、保護融着層421は、電極間絶縁層417の素材の一部分によって形成されるようにしてもよい。ただし、表面保護層420が絶縁シートである場合には、保護融着層421は不要となる。
【0102】
基材融着層422は、融着材料により形成されており、裏面側絶縁層13cと基材430の取付面とを接合する。基材融着層422は、裏面側絶縁層13cの一部分として構成されるようにしてもよいし、裏面側絶縁層13cに別部材として接合されるようにしてもよい。
【0103】
(5-4-2.第四例のトランスデューサ400の製造方法)
第四例のトランスデューサ400を構成する静電シート410の製造方法について、
図14を参照して説明する。ここでは、電極間絶縁層417の素材417aおよび裏面側絶縁層13cの素材13c1,13c2が、熱可塑性材料により形成されているものとする。
【0104】
第一電極シート416、電極間絶縁層417の素材417a、第二電極シート11c、裏面側絶縁層13cの第一素材13c1、ヒータ12、裏面側絶縁層13cの第二素材13c2の順に積層された積層体を準備する(準備工程)。続いて、積層体を加熱および加圧する(加熱加圧工程)。
【0105】
そうすると、電極間絶縁層417の素材417aが、軟化して融着材料として機能し、第一電極シート416に接合する。第一電極シート416に融着した部位が、電極間第一融着層418となる。さらに、電極間絶縁層417の素材417aが、第一電極シート416の貫通孔を通過して、第一電極シート416の表層側に移動する。このようにして、電極間絶縁層417の素材417aによって、表面保護層420が形成される。そして、表面保護層420と第一電極シート416に融着した部位が、保護融着層421となる。
【0106】
さらに、電極間絶縁層417の素材417aが、軟化して融着材料として機能し、第二電極シート11cに接合する。第二電極シート11cに融着した部位が、電極間第二融着層419となる。さらに、電極間絶縁層417の素材417aが、第二電極シート11cの貫通孔を通過して、第二電極シート11cの裏面側に移動する。そして、第二電極シート11cの裏面側に移動した素材417aが、裏面側絶縁層13cの第一素材13c1に接合する。また、裏面側絶縁層13cの第一素材13c1が、軟化して融着材料として機能し、第二電極シート11cの裏面側に接合する。つまり、電極間絶縁層417の素材417aの一部と裏面側絶縁層13cの第一素材13c1の一部が、裏面側融着層14cとなる。
【0107】
また、裏面側絶縁層13cの第一素材13c1および第二素材13c2が、軟化して融着材料として機能し、ヒータ12に接合する。ヒータ12に融着した部位が、ヒータ融着層15cとなる。そして、裏面側絶縁層13cの第一素材13c1と第二素材13c2とが一体化されることにより、裏面側絶縁層13cを形成する。さらに、ヒータ12が裏面側絶縁層13cに埋設された状態となる。このようにして、トランスデューサ400の静電シート410が製造される。
【0108】
また、基材430に静電シート410を取り付ける際に、裏面側絶縁層13cを加熱すると共に基材430に対して加圧することにより、基材融着層422を形成することができる。このようにして、トランスデューサ400が製造される。
【0109】
ところで、上記製造方法においては、表面保護層420が電極間絶縁層417の素材417aにより形成されるものとしたが、電極間絶縁層417の素材417aとは別の樹脂製の絶縁シートを用いることもできる。
【0110】
また、上記製造方法の他に、以下のようにすることもできる。第一電極シート416、電極間絶縁層417の素材417a、第二電極シート11cの順に積層された第一積層体を準備し(第一積層体準備工程)、当該第一積層体を加熱および加圧することで、第一成形体を成形する(第一成形体成形工程)。そして、裏面側絶縁層13cの第一素材13c1、ヒータ12、裏面側絶縁層13cの第二素材13c2の順に積層された第二積層体を準備し(第二積層体準備工程)、当該第二積層体を加熱および加圧することで、第二成形体を成形する(第二成形体成形工程)。
【0111】
そして、第一成形体と第二成形体とを積層された最終積層体を準備し(最終積層体準備工程)、当該最終積層体を加熱および加圧することで、静電シート410を製造する(最終加熱加圧工程)。
【0112】
(5-4-3.効果)
第四例のトランスデューサ400によれば、第一電極シート416、第二電極シート11c、および、電極間絶縁層417が、ヒータ12よりも表面側に位置している。つまり、ヒータ12が、第一電極シート416と第二電極シート11cとの間、および、第一電極シート416よりも表面側に位置していない。その結果、ヒータ12が検出性能または駆動性能に影響を及ぼすことを抑制できるため、高い検出性能または駆動性能を発揮することができる。ヒータ12が、第二電極シート11cの裏面側に位置するとしても、電極間絶縁層417および裏面側絶縁層13cが熱伝導性の良好な材料とすることで、十分にヒータとしての機能を発揮することができる。
【0113】
(5-5.第五例のトランスデューサ500)
(5-5-1.第五例のトランスデューサ500の構成)
第五例のトランスデューサ500の構成について
図15を参照して説明する。トランスデューサ500は、基材530と、基材530の取付面に取り付けられた静電シート510とを備える。
【0114】
静電シート510は、ヒータ機能を有する。静電シート510は、全体として、柔軟である。静電シート510は、第五例の静電シート10cを利用した構成をなしている。そこで、本例において、第五例の静電シート10cと同一構成の部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0115】
静電シート510は、少なくとも、第一電極シート11c、ヒータ12、第二電極シート516、第一絶縁層513a、第二絶縁層513b、第一電極融着層14c、第一ヒータ融着層515a、第二ヒータ融着層515b、第二電極融着層517を備える。本例においては、静電シート510は、さらに、表面保護層518、保護融着層519、基材融着層520を備える。ただし、静電シート510は、表面保護層518、保護融着層519、基材融着層520を備えない構成とすることもできる。
【0116】
第一電極シート11cは、表層側に配置されている。第一電極シート11cは、第五例の静電シート10cにおける電極シート11cとして機能する部位に対応する。ヒータ12は、第一電極シート11cの裏面に対向して配置されている。ヒータ12は、第五例の静電シート10cにおけるヒータ12として機能する部位に対応する。
【0117】
第二電極シート516は、第一電極シート11cと同様の構成を有する。第二電極シート516は、ヒータ12の裏面側に対向して配置されている。つまり、第一電極シート11cと第二電極シート516との間に、ヒータ12が介在している。
【0118】
第一絶縁層513aは、シート状に形成され、第一電極シート11cとヒータ12との間に挟まれている。第一絶縁層513aは、第五例の静電シート10cにおける絶縁層13cの一部分として機能する。第二絶縁層513bは、シート状に形成され、ヒータ12と第二電極シート516との間に挟まれている。第二絶縁層513bは、第五例の静電シート10cにおける絶縁層13cの他の一部分として機能する。つまり、第一絶縁層513aおよび第二絶縁層513bは、同種の材料により形成されている。
【0119】
第一電極融着層14cは、融着材料により形成されている。第一電極融着層14cは、第一電極シート11cと第一絶縁層513aとを接合する。第一電極融着層14cは、第一絶縁層513aの一部分として構成されるようにしてもよいし、第一絶縁層513aに別部材として接合されるようにしてもよい。
【0120】
第一ヒータ融着層515aは、融着材料により形成されている。第一ヒータ融着層515aは、第一絶縁層513aとヒータ12とを接合する。すなわち、第一ヒータ融着層515aは、ヒータ12の表面側に融着される部位である。第一ヒータ融着層515aは、第一絶縁層513aの一部分として構成されるようにしてもよいし、第一絶縁層513aに別部材として接合されるようにしてもよい。
【0121】
第二ヒータ融着層515bは、融着材料により形成されている。第二ヒータ融着層515bは、ヒータ12と第二絶縁層513bとを接合する。すなわち、第二ヒータ融着層515bは、ヒータ12の裏面側に融着される部位である。第二ヒータ融着層515bは、第二絶縁層513bの一部分として構成されるようにしてもよいし、第二絶縁層513bに別部材として接合されるようにしてもよい。
【0122】
第一ヒータ融着層515aおよび第二ヒータ融着層515bが、第五例の静電シート10cにおけるヒータ融着層15cとして機能する。そして、ヒータ12は、第一電極シート11cと第二電極シート516との間において、第一絶縁層513aおよび第二絶縁層513bに埋設された状態で、第一ヒータ融着層515aおよび第二ヒータ融着層515bにより接合されている。
【0123】
第二電極融着層517は、融着材料により形成されている。第二電極融着層517は、第二絶縁層513bと第二電極シート516とを接合する。第二電極融着層517は、第二絶縁層513bの一部分として構成されるようにしてもよいし、第二絶縁層513bに別部材として接合されるようにしてもよい。
【0124】
表面保護層518は、シート状に形成され、第一電極シート11cの表面側を被覆する。表面保護層518は、熱可塑性材料、特に熱可塑性エラストマーにより形成されるようにしてもよい。表面保護層518は、第一絶縁層513aの素材の一部分によって形成されるようにしてもよいし、第一絶縁層513aとは別部材として形成されるようにしてもよい。また、表面保護層518は、熱可塑性材料に代えて、粘着層または接着層を有する樹脂製の絶縁シート等を適用することもできる。
【0125】
保護融着層519は、第四例のトランスデューサ400における保護融着層421と同様に構成される。基材融着層520は、融着材料により形成されており、第二絶縁層513bと基材530の取付面とを接合する。基材融着層520は、第二絶縁層513bの一部分として構成されるようにしてもよいし、第二絶縁層513bに別部材として接合されるようにしてもよい。
【0126】
(5-5-2.第五例のトランスデューサ500の製造方法)
第五例のトランスデューサ500の製造方法について、
図16を参照して説明する。ここでは、第一絶縁層513aの素材13c1および第二絶縁層513bの素材13c2が、熱可塑性材料により形成されているものとする。
【0127】
第一電極シート11c、第一絶縁層513aの素材13c1、ヒータ12、第二絶縁層513bの素材13c2、第二電極シート516の順に積層された積層体を準備する(準備工程)。続いて、積層体を加熱および加圧する(加熱加圧工程)。
【0128】
そうすると、第一絶縁層513aの素材13c1が軟化して融着材料として機能し、第一電極シート11cに接合する。第一電極シート11cに融着した部位が、第一電極融着層14cとなる。さらに、第一絶縁層513aの素材13c1が、第一電極シート11cの貫通孔を通過して、表面保護層518および保護融着層519を形成する。この点、第四例のトランスデューサ400における表面保護層420および保護融着層421と同様である。
【0129】
さらに、第一絶縁層513aの素材13c1および第二絶縁層513bの素材13c2が、軟化して融着材料として機能し、ヒータ12に接合する。ヒータ12に融着した部位が、第一ヒータ融着層515aおよび第二ヒータ融着層515bとなる。そして、第一絶縁層513aの素材13c1と第二絶縁層513bの素材13c2とが一体化されることにより、絶縁層13cを形成する。さらに、ヒータ12が絶縁層13cに埋設された状態となる。
【0130】
さらに、第二絶縁層513bの素材13c2が、軟化して融着材料として機能し、第二電極シート516に接合する。第二電極シート516に融着した部位が、第二電極融着層517となる。さらに、第二絶縁層513bの素材13c2が、第二電極シート516の貫通孔を通過して、第二電極シート516の裏面側に移動する。そして、第二電極シート516の裏面側に移動した素材13c2が、第二電極シート516の裏面側に接合する。つまり、第二絶縁層513bの素材13c2が、基材融着層520となる。このようにして、トランスデューサ500の静電シート510が製造される。
【0131】
ここで、基材融着層520は、基材530に静電シート510を取り付ける際に、基材融着層520を加熱すると共に基材530に対して加圧することにより、基材融着層520が基材530に融着する。このようにして、トランスデューサ500が製造される。
【0132】
また、上記製造方法の他に、以下のようにすることもできる。第一絶縁層513a、ヒータ12、および、第二絶縁層513bの順に積層された第一積層体を準備し(第一積層体準備工程)、当該第一積層体を加熱および加圧することで、第一成形体を成形する(第一成形体成形工程)。
【0133】
続いて、第一電極シート11c、上記第一成形体、第二電極シート516の順に積層された第二積層体を準備し(第二積層体準備工程)、当該第二積層体を加熱および加圧することで、トランスデューサ500の静電シート510を製造する(加熱加圧工程)。
【0134】
(5-5-3.効果)
第五例のトランスデューサ500によれば、ヒータ12が第一電極シート11cと第二電極シート516との間に挟まれている。従って、静電シート510の厚みが薄くできる。従って、小型の静電シート510を製造することができる。
【0135】
(5-6.第六例のトランスデューサ600)
(5-6-1.第六例のトランスデューサ600の構成)
第六例のトランスデューサ600の構成について
図17を参照して説明する。トランスデューサ600は、基材630と、基材630の取付面に取り付けられた静電シート610とを備える。
【0136】
第四例のトランスデューサ400における静電シート410は、ヒータ12を第二電極シート11cの裏面側に配置させたのに対して、本例の静電シート610は、ヒータ12を第一電極シート11cの表面側に配置させた点において、両者は異なる。
【0137】
本例の静電シート610は、ヒータ機能を有し、全体として、柔軟である。また、静電シート610は、第五例の静電シート10cを利用した構成をなしている。本例において、第五例の静電シート10cと同一構成の部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0138】
静電シート610は、少なくとも、ヒータ12、第一電極シート11c、第二電極シート616、表面側絶縁層13c、電極間絶縁層617、ヒータ融着層15c、表面側融着層14c、電極間第一融着層618、電極間第二融着層619を備える。本例においては、静電シート610は、さらに、基材融着層620を備える。
【0139】
ヒータ12は、表層側に配置されている。ヒータ12は、第五例の静電シート10cにおけるヒータ12として機能する部位に対応する。
【0140】
第一電極シート11cは、ヒータ12の裏面に対向して配置されている。第一電極シート11cは、第五例の静電シート10cにおける電極シート11cとして機能する部位に対応する。第二電極シート616は、第一電極シート11cの裏面に対向して配置されている。第二電極シート616は、第一電極シート11cと同様の構成を有する。
【0141】
表面側絶縁層13cは、シート状に形成され、ヒータ12と第一電極シート11cとの間に挟まれている。表面側絶縁層13cは、第五例の静電シート10cにおける絶縁層13cとして機能する部位に対応する。
【0142】
電極間絶縁層617は、シート状に形成され、第一電極シート11cと第二電極シート616との間に挟まれている。電極間絶縁層617は、弾性変形可能な材料により形成されている。電極間絶縁層617は、例えば、熱可塑性材料、特に熱可塑性エラストマーにより形成されている。また、電極間絶縁層617は、非熱可塑性エラストマーの発泡材料、不織布等を用いることもできる。電極間絶縁層617は、静電シートにおける誘電層として機能する。
【0143】
ここで、表面側絶縁層13cと電極間絶縁層617とは、異種の材料により形成されている。具体的には、表面側絶縁層13cは、電極間絶縁層617よりも熱伝導率が高い材料により形成されている。ヒータ12から表層までの部位が、熱伝導率が高い材料により形成されることで、静電シート610の表層において、ヒータ機能を効果的に発揮することができる。一方、電極間絶縁層617は、熱伝導率が高い材料であることは不要である。そして、電極間絶縁層617が誘電体として効果的に発揮する材料により形成することにより、静電シート610による検出性能または駆動性能を高くすることができる。
【0144】
ヒータ融着層15cは、融着材料により形成されており、ヒータ12と表面側絶縁層13cとを接合する。ヒータ融着層15cは、第五例の静電シート10cにおけるヒータ融着層15cとして機能する部位に対応する。特に、ヒータ12は、第一電極シート11cの表面側において、表面側絶縁層13cに埋設された状態で、ヒータ融着層15cにより接合されている。
【0145】
表面側融着層14cは、融着材料により形成されており、表面側絶縁層13cと第一電極シート11cとを接合する。表面側融着層14cは、第五例の静電シート10cにおける電極融着層14cとして機能する部位に対応する。
【0146】
電極間第一融着層618は、融着材料により形成されており、第一電極シート11cと電極間絶縁層617とを接合する。電極間第一融着層618は、電極間絶縁層617の一部分として構成されるようにしてもよいし、電極間絶縁層617に別部材として接合されるようにしてもよい。電極間第一融着層618は、第四例のトランスデューサ400における電極間第一融着層418に対応する。
【0147】
電極間第二融着層619は、融着材料により形成されており、電極間絶縁層617と第二電極シート616とを接合する。電極間第二融着層619は、電極間絶縁層617の一部分として構成されるようにしてもよいし、電極間絶縁層617に別部材として接合されるようにしてもよい。電極間第二融着層619は、第四例のトランスデューサ400における電極間第二融着層419に対応する。
【0148】
基材融着層620は、融着材料により形成されており、電極間絶縁層617と基材630の取付面とを接合する。基材融着層620は、電極間絶縁層617の一部分として構成されるようにしてもよいし、電極間絶縁層617に別部材として接合されるようにしてもよい。
【0149】
(5-6-2.第六例のトランスデューサ600の製造方法)
第六例のトランスデューサ600の製造方法について、
図18を参照して説明する。ここでは、表面側絶縁層13cの素材13c1,13c2および電極間絶縁層617の素材617aが、熱可塑性材料により形成されているものとする。
【0150】
表面側絶縁層13cの第一素材13c1、ヒータ12、表面側絶縁層13cの第二素材13c2、第一電極シート11c、電極間絶縁層617の素材617a、第二電極シート616の順に積層された積層体を準備する(準備工程)。続いて、積層体を加熱および加圧する(加熱加圧工程)。
【0151】
そうすると、表面側絶縁層13cの第一素材13c1および第二素材13c2が、軟化して融着材料として機能し、ヒータ12に接合する。ヒータ12に融着した部位が、ヒータ融着層15cとなる。そして、表面側絶縁層13cの第一素材13c1と第二素材13c2とが一体化されることにより、表面側絶縁層13cを形成する。さらに、ヒータ12が表面側絶縁層13cに埋設された状態となる。
【0152】
電極間絶縁層617の素材617aが、軟化して融着材料として機能し、第一電極シート11cに接合する。第一電極シート11cに融着した部位が、電極間第一融着層618となる。さらに、電極間絶縁層617の素材617aが、第一電極シート11cの貫通孔を通過して、第一電極シート11cの表層側に移動する。そして、第一電極シート11cの表面側に移動した素材617aが、表面側絶縁層13cの第二素材13c2に接合する。また、表面側絶縁層13cの第二素材13c2が、軟化して融着材料として機能し、第一電極シート11cの表面側に接合する。つまり、電極間絶縁層617の素材617aの一部と表面側絶縁層13cの第二素材13c2の一部が、表面側融着層14cとなる。
【0153】
さらに、電極間絶縁層617の素材617aが、軟化して融着材料として機能し、第二電極シート616に接合する。第二電極シート616に融着した部位が、電極間第二融着層619となる。さらに、電極間絶縁層617の素材617aが、第二電極シート616の貫通孔を通過して、第二電極シート616の裏面側に移動する。そして、第二電極シート616の裏面側に移動した素材617aが、第二電極シート616の裏面側に接合する。つまり、電極間絶縁層617の素材617aが、基材融着層620となる。このようにして、トランスデューサ600の静電シート610が製造される。
【0154】
ここで、基材融着層620は、基材630に静電シート610を取り付ける際に、基材融着層620を加熱すると共に基材630に対して加圧することにより、基材融着層620が基材630に融着する。このようにして、トランスデューサ600が製造される。
【0155】
また、上記製造方法の他に、以下のようにすることもできる。第一電極シート11c、電極間絶縁層617の素材617a、第二電極シート616の順に積層された第一積層体を準備し(第一積層体準備工程)、当該第一積層体を加熱および加圧することで、第一成形体を成形する(第一成形体成形工程)。そして、表面側絶縁層13cの第一素材13c1、ヒータ12、表面側絶縁層13cの第二素材13c2の順に積層された第二積層体を準備し(第二積層体準備工程)、当該第二積層体を加熱および加圧することで、第二成形体を成形する(第二成形体成形工程)。
【0156】
そして、第一成形体と第二成形体とを積層された最終積層体を準備し(最終積層体準備工程)、当該最終積層体を加熱および加圧することで、静電シート610を製造する(最終加熱加圧工程)。
【0157】
(5-6-3.効果)
第六例のトランスデューサ600によれば、ヒータ12が表層に配置されている。従って、トランスデューサ600は、高いヒータ機能を有することができる。特に、表面側絶縁層13cと電極間絶縁層617とを異種材料とすることで、高いヒータ機能と、高い検出性能または駆動性能との両立を図ることができる。
【符号の説明】
【0158】
(トランスデューサ1の基本構成)
1:トランスデューサ、10:静電シート、11:電極シート、12:ヒータ、13:絶縁層、14:電極融着層
(第一例乃至第三例の静電シート10a)
1:トランスデューサ、10a:静電シート、11a:電極シート、12:ヒータ、13a:絶縁層、14a:電極融着層
(第四例の静電シート10b)
1:トランスデューサ、10b:静電シート、11a:電極シート、12:ヒータ、13b:絶縁層、14b:電極融着層
(第五例の静電シート10c)
1:トランスデューサ、10c:静電シート、11c:電極シート、12:ヒータ、13c:絶縁層、13c1:第一素材、13c2:第二素材、14c:電極融着層、15c:ヒータ融着層
(第一例のトランスデューサ100)
100:トランスデューサ、110:静電シート、116:第一電極シート、11a:第二電極シート、12:ヒータ、117:電極間絶縁層、13a,13b:裏面側絶縁層、14a,14b:裏面側融着層
(第二例のトランスデューサ200)
200:トランスデューサ、210:静電シート、11a:第一電極シート、12:ヒータ、216:第二電極シート、213a:第一絶縁層、213b:第二絶縁層、14a,14b:第一電極融着層、217:第二電極融着層
(第三例のトランスデューサ300)
300:トランスデューサ、310:静電シート、12:ヒータ、11a:第一電極シート、316:第二電極シート、13a,13b:表面側絶縁層、317:電極間絶縁層、14a,14b:表面側融着層
(第四例のトランスデューサ400)
400:トランスデューサ、410:静電シート、416:第一電極シート、11c:第二電極シート、12:ヒータ、417:電極間絶縁層、13c:裏面側絶縁層、418:電極間第一融着層、419:電極間第二融着層、14c:裏面側融着層、15c:ヒータ融着層、430:基材
(第五例のトランスデューサ500)
500:トランスデューサ、510:静電シート、11c:第一電極シート、12:ヒータ、516:第二電極シート、513a:第一絶縁層、513b:第二絶縁層、14c:第一電極融着層、515a:第一ヒータ融着層、515b:第二ヒータ融着層、517:第二電極融着層、530:基材
(第六例のトランスデューサ600)
600:トランスデューサ、610:静電シート、12:ヒータ、11c:第一電極シート、616:第二電極シート、13c:表面側絶縁層、617:電極間絶縁層、15c:ヒータ融着層、14c:表面側融着層、618:電極間第一融着層、619:電極間第二融着層、630:基材