(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】同期電気機械の巻線型ロータ用のケージ
(51)【国際特許分類】
H02K 19/12 20060101AFI20231011BHJP
H02K 3/04 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
H02K19/12
H02K3/04 Z
(21)【出願番号】P 2020565489
(86)(22)【出願日】2019-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2019062219
(87)【国際公開番号】W WO2019224036
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-04-13
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】タバコリ, シャハブ
(72)【発明者】
【氏名】デラグネーゼ, アントニー
(72)【発明者】
【氏名】フラボロ, フェルディナン
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-204965(JP,A)
【文献】特開2002-330564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 19/12
H02K 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻線型ロータ用のケージ(20)であって、前記巻線型ロータ(1)が、歯(11)とノッチ(12)とを交互に有する本体(10)を備え、前記ノッチ(12)が、ロータ巻線の一部分を受容するように設計され、ケージ(20)が、前記巻線型ロータ(1)の前記本体(10)の周りに搭載されるように適合されている、ケージ(20)において、互いに固定されるように設計された第1の部品(201)および第2の部品(202)を備え、各部品(201、202)が、端部リング(21)と、前記端部リング(21)の回転軸(X)と平行に前記端部リング(21)から延出する、円周方向に複数のロッド(22、23)とを備え、各ロッド(22、23)が、主要部分(32)および端部部分(31)を有し、前記第1の部品(201)の各ロッド(22)について、前記ロッド(22)の前記端部部分(31)は、前記2つの部品(201、202)がそれぞれ前記
巻線型ロータ(1)の前記本体(10)の長手方向端部に装着されたときに前記第2の部品(202)の少なくとも1つの相補的ロッド(23)の前記端部部分(31)に固定され得るように形状設定され、それによって、前記2つの固定された相補的ロッド(22、23)が、ケージ(20)の前記2つの部品(201、202)
の2つの
前記端部リング(2
1)間に延在するスロットウェッジ(24)を形成するようになり、前記ロッド(22、23)の各主要部分(32)が、実質的に2等辺3角形の形状の断面を有し、前記2等辺3角形の底辺(220)が、実質的に凹湾曲形状を有し、前記2等辺3角形の高さが、関連する前記端部リング(21)に関し実質的に半径方向に延在
し、少なくとも2つの相補的ロッド(22、23)がそれぞれ、前記主要部分(32)に対して厚さが減少しかつ矩形底辺を持つ実質的に直角柱形状を有する端部部分(31)を有することを特徴とする、ケージ(20)。
【請求項2】
互いに固定される組み合わされた前記ロッド(22、23)が、該ロッドのそれぞれの端部部分(31)で溶接されることを特徴とする、請求項1に記載のケージ(20)。
【請求項3】
前記第1の部品(201)の各ロッドが、前記第2の部品(202)の前記ロッド(23)の任意のものに固定され得ることを特徴とする、請求項1または2に記載のケージ(20)。
【請求項4】
前記端部部分の底面が、前記主要部分(32)の延長上に延在し、他方の底面がタブ形状を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のケージ(20)。
【請求項5】
前記相補的ロッド(22、23)の前記端部部分(31)が
、それぞれのタブを接触させて配置することが可能で
、かつ前記それぞれのタブを接触させて固定するように
、形状設定されていることを特徴とする、請求項4に記載のケージ(20)。
【請求項6】
各部
品(201、202)が、アルミニウム合金から製作され、セグメント(22)が、表面電気絶縁を有するように処理されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のケージ(20)。
【請求項7】
前記表面
電気絶縁
の処理が、硬質陽極酸化作業を含むことを特徴とする、請求項6に記載のケージ(20)。
【請求項8】
巻線型ロータ(1)および請求項1から7のいずれか一項に記載のケージ(20)を備えるロータアセンブリ。
【請求項9】
ステータおよび請求項8に記載のロータアセンブリを備える電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同期電気機械のロータに関する。
【背景技術】
【0002】
同期電気機械(英語名electrically excited synchronous machines、略称EESMで知られている)の分野には、周知の2つのタイプのロータ、すなわち強磁性体型ロータおよび巻線型ロータがある。
【0003】
巻線型ロータは、制御性および性能の点で有意義な特性を有する。
【0004】
その一方で、巻線型ロータは、製造するのに比較的複雑であり、多数の構成要素を必要とする。
【0005】
具体的には、特許FR3043509A1が知られており、その特許は、巻線型ロータを冷却するシステムを記載する。この文書において、巻線型ロータは、ロータ本体、引出ワイヤの領域で巻線を保持する2つのリング、そのリングを保持するタイロッド、巻線を受容するノッチを閉じるためのスロットウェッジを備える。
【0006】
しかしながら、そのような巻線型ロータ構造を組み立てるには比較的長時間を要し、工業化が比較的困難である。
【発明の概要】
【0007】
したがって、製造し、工業化するのがより簡単である巻線型ロータ構造が必要になる。
【0008】
巻線型ロータ用のケージであって、前記巻線型ロータが、歯とノッチとを交互に有する本体を備え、前記ノッチが、ロータ巻線の一部分を受容するように設計され、ケージが、巻線型ロータの本体の周りに搭載されるように適合されている、ケージが提供される。
【0009】
前記ケージが、互いに固定されるように設計された第1の部品および第2の部品を備え、各部品が、端部リングと、端部リングの回転軸と平行に前記端部リングから延出する、円周方向に複数のロッドとを備え、各ロッドが、主要部分および端部部分を有し、前記第1の部品の各ロッドについて、前記ロッドの端部部分が、2つの部品がそれぞれロータの本体の長手方向端部に装着されたとき、第2の部品の少なくとも1つの相補的ロッドの端部部分に固定され得るように形状設定され、それによって、前記2つの固定された相補的ロッドが、ケージの2つの部品の2つの端部リング間に延在するスロットウェッジを形成するようになる。
【0010】
それによって、2つの部品によって形成されるケージを得ることが可能になり、そのケージは、ロータに組み付けるのに比較的簡単であり、同時に、保持リングによって、端部巻線を確実に保持することを可能にし、各部品の固定されたロッドによって、端部巻線を保持するタイロッド機能およびスロットウェッジ機能を確保することを可能にする。
【0011】
それによって、比較的簡単で、頑丈で、製造コストが低廉で、比較的迅速に装着できるロータアセンブリを得ることが可能になる。
【0012】
有利には、非限定的に、互いに固定される前記連係するロッドは、それらそれぞれの端部部分で溶接される。それによって、比較的低い製造コストで比較的強固にロッドを互いに固定することが可能になる。
【0013】
有利には、非限定的に、第1の部品の各ロッドは、第2の部品の任意のロッドに固定することができる。それによって、搭載において部品相互の角度位置が重要でなくなるので、さらに迅速な装着を達成することが可能になる。
【0014】
有利には、非限定的に、ロッドの各主要部分が、実質的に2等辺3角形の形状の断面を有し、2等辺3角形の底辺が、実質的に凹湾曲形状を有し、2等辺3角形の高さが、関連する端部リングに関し実質的に半径方向に延在する。それによって、2つの部品のロッドを固定した後、比較的強固かつ信頼性の高い形状の、タイロッドも形成するスロットウェッジを得ることが可能になる。
【0015】
有利には、非限定的に、少なくとも2つの相補的ロッドがそれぞれ、主要部分に対して厚さが減少しかつ矩形底辺を持つ実質的に直角柱形状を有する端部部分を有し、その端部部分の底面が、前記主要部分の延長上に延在し、他方の底面がタブ形状を有する。このように、端部部分は、達成するのに比較的簡単な形状を有する。さらに、端部部分のこの特定の形状は、2つの部品を互いに対向させて配置すると、2つの部品のロッドの端部部分を接合することが可能になるので、全く同一の鋳型から得られた2つのケージ部品を組み合わせることを可能にする。
【0016】
有利には、非限定的に、前記相補的ロッドの端部部分は、前記それぞれのタブを接触させて配置することが可能であり、前記それぞれのタブを接触させて固定するように形状設定されている。それによって、ロッドをタブで固定、たとえば溶接することにより、固定作業の時に、ある距離をおいて巻線を保持することが確実に可能になり、それによって、たとえば過度な加熱による、または意図せぬ機械的破損による巻線への意図せぬ損傷を防止することができる。
【0017】
有利には、非限定的に、各部分は、アルミニウム合金から製作され、セグメントが、表面電気絶縁を有するように処理される。それによって、一般にスロットウェッジと巻線との間に装着される従来の電気絶縁紙を不要にすることをさらに可能にするスロットウェッジを得ることが可能になる。言い換えれば、このように処理されたロッドは、固定されれば、タイロッド、スロットウェッジ、および電気絶縁の機能を達成することが可能になる。
【0018】
有利には、非限定的に、表面絶縁処理は、硬質陽極酸化作業を含む。この処理は、具体的には、スロットウェッジを形成する、部品のロッドを電気的および熱的に絶縁することを可能にする。
【0019】
本発明は、また、巻線型ロータおよび上記に説明したケージを備えるロータアセンブリに関する。
【0020】
本発明は、また、ステータおよび上記に説明したロータアセンブリを備える電気機械に関する。
【0021】
本発明の他の特定の特徴および利点が、以下に示される本発明の特定の実施形態の説明を読むと明らかになり、その実施形態は、添付図面を参照して、指標として示されるがそれに限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】既知の従来技術のロータ本体の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるケージの透視図である。
【
図3】
図2の実施形態によるケージ部品の概略図である。
【
図4】
図2の実施形態による2つのケージ部品の2つのロッドの2つの端部部分間の接合部の詳細図である。
【
図5】
図2の実施形態によるケージの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
電気機械、この場合には同期電気機械は、巻線型ロータ1と、ロータの周りに装着されたケージ20とを備えるロータアセンブリを備え、ロータアセンブリはステータ(図示せず)内に搭載される。
【0024】
巻線型ロータ1は、XYZ3面体上に示される「長手」方向Xに延在する回転軸を有する。
【0025】
ロータ1は、長さX方向に伝導シャフト(図示せず)によって貫通されている。
【0026】
図1を参照すると、ロータは、英語ではstackとして知られる磁性材から製作される本体10から形成され、その本体は、ロータのコアと見なすこともできる。このスタックは、一般に、板金を積層することによって構成される。
【0027】
スタック1は、円周方向に交互に歯11とノッチ12とを形成する。
【0028】
ノッチ12は、隣接する2つの歯11間に延在し、隣接する2つの歯11間に、ロータの全長Xに亘って延在する切欠きを形成する。
【0029】
歯11は、スタック1の中心13から半径方向に、ロータの全長に亘って延在する。
【0030】
各歯11は、ロータの極を生成するように設計された長手方向巻線を受容する。巻線は、歯11の周りに巻かれる。
【0031】
各巻線は、ロータの長手方向各端部で端部巻線を形成する。
【0032】
端部巻線は、ロータの長手方向各端部Xで突出し、各端部で引出ワイヤを形成する。
【0033】
図2~5を参照すると、ロータアセンブリは、巻線がロータ1の歯11の周りに装着されると、ロータ1の周りに装着されるように設計されたケージ20を備える。
【0034】
ケージ20は、別々の2つの部品201、202によって形成される。
【0035】
2つの部品201、202は、金属製であり、この実施形態ではアルミニウム製である。
【0036】
各部品201、202は、この実施形態では、たとえば成型構成部品などの単一の構成部品として得られるが、たとえば溶接によって構成部品を組み立てた結果でもよい。
【0037】
各部品201、202は、ロータ1に装着される前に組み立てられる。第1の部品201を第2の部品202に固定することのみが、直接ロータ1上で実施される。
【0038】
各部品201、202は、ロータ1の長手方向端部からロータ1の周りに装着するのに適するように、実質的に円筒形の全体形状を有する。
【0039】
各部品201、202は、端部巻線向けの保持部を形成するように、ロータ1の長手方向端部周りに係合するように設計された端部リング21を備える。
【0040】
ケージ20を搭載するとき、第1の部品201をロータ1の第1の長手方向端部に係合させ、他方で第2の部品202をロータ1の第2の長手方向端部に係合させ、2つの部品201、202をロータ1の実質的に中央でロータの長手方向に合体させて、互いに固定することが可能になるようにする。
【0041】
すなわち、2つの端部リング21同士は、スタック1に対して互いに長手方向反対側になる。
【0042】
各部品201、202は、関連する端部リング21の回転軸と平行に延在する複数のロッド22、23を備え、その結果として、ロッド22、23は、部品201、202がロータ1に装着されるとロータ1の回転軸と実質的に平行に延在する。
【0043】
ロッド22、23は、対応する部品201、202がロータ1に搭載されると、ロータを覆って長手方向に延在するように、リング上、円周方向に実質的に規則的に分布させられる。
【0044】
ロッドの円周方向分布は、対応する部品201、202がロータ1に装着されたとき、ロータ1のノッチ12にロッドを少なくとも部分的に挿入することが可能なように適合されている。
【0045】
ロッド22、23は、ロータ1の周りに搭載されたとき、第1の部品201のロッド22が、第2の部品202のロッド23に達し、ロッド23に固定され得るように、長さに関して寸法設定されている。
【0046】
各ロッド22、23は、主要部分32および端部部分31を有する。
【0047】
第1の部品201の各ロッド22は、その端部部分31で第2の部分202のロッド23の端部部分31に固定されるように設計されている。
【0048】
具体的には、第1の部分201のロッド22が、溶接によって第2の部分202のロッド23に固定されるが、固定技法は、たとえば使用される材料の機能に対応させて変えることができる。
【0049】
各ロッド22、23の主要部分32は、実質的に2等辺3角形の形状の断面を有し、その底辺220は、実質的に凹湾曲形状を有し、その高さは、関連する端部リング21に関して実質的に半径方向に延在する。
【0050】
端部部分31は、主要部分32の長さの1/8~1/2の長さを有し、本事例では、主要部分32の実質的に1/3の長さを有する。
【0051】
端部部分31は、主要部分32の延長上に延在し、言い換えれば、全く同一の長手延在方向Xを共有する。
【0052】
端部部分31は、主要部分32に対して厚さが減少する。
【0053】
本事例では、端部部分31と主要部分32との継目は、肩部312を形成する。
【0054】
端部部分31は、矩形底辺を有する実質的に直角柱形状を有し、その直角柱の底面221は、底辺220に隣接する、主要部分の側面の延長上に延在し、他の底面222は、タブ形状を有する。
【0055】
タブ形状の他の底面222は、この場合、溶接領域222に対応する。
【0056】
このように、第1の端部201の第1のロッド22の底面222は、他方の部品202のもう一方のロッド23の底面222と接触して配置されるように設計され、それによって、端部部分31同士を互いに溶接することが可能になる。
【0057】
図3および4を参照すると、溶接領域を形成するタブ222は、小さな表面積を有する面に対応し、ロッド22、23の半径方向縁部223、224からある距離で長手方向に延在する。これは、具体的には、巻線から実質的に離れたままで溶接を果たすことを可能にし、それによって、巻線の加熱および損傷の可能性を抑える。
【0058】
具体的には、タブ222は、組み合わされたロッド22、23の2つの半径方向縁部223、224の実質的に中間距離で長手方向に延在する。
【0059】
この実施形態では、2つの部品201、202は、実質的に同一であり、端部部分は、第1の部品201が第2の部品202に対向して配置されたとき、具体的には、それらが2つともロータ1の周りに装着されたとき、それぞれのロッド22、23の溶接領域222が対として対面して組み合わされ、接触するように製造され、それによって、第1の部品201の各ロッド22を第2の部品202のもう一方のロッド23と溶接することが可能になる。
【0060】
言い換えれば、2つの部品201および202は、実質的に同一であり、たとえば全く同一の鋳型から作り出され、部品202を、ロータ1の他方の端部に係合させるために他方の部品に対して180°向きを変えると、これら2つの部品201、202が、固定することが可能な2つの相補的部品を形成するように、形状設定される。
【0061】
第1の部品201の全てのロッド22は実質的に同一であり、第2の部品202の全てのロッド23は実質的に同一である。
【0062】
したがって、第1の部品201の各ロッド22は、第2の部品202のロッド23のいずれとも組み合わせることができる。それによって、2つの部品201、202は、各ロッドが少なくとも部分的にノッチ12内に係合するが、2つの部品201、202の角度上の配向に関して他には制約なしに、ロータ1の周りに装着することができる。
【0063】
この実施形態では、第1の部品201の全てのロッド22の、第2の部品202の対応するロッド23への溶接が行われる。しかし、代替形態では、たとえば溶接個所の数を減らすために、ロッド22の一部のみを溶接することにしてもよい。
【0064】
2つの部品201、202が、互いに溶接され、または他のなんらかの適切な手段によって固定されたとき、2つの部品201および202のロッド22および23は、2つの保持リング21間に延在するスロットウェッジ24のアセンブリを形成する。
【0065】
それによって、ロータ1の周りに2つの部品201、202を固定することにより形成されたケージ20が、保持リング21によって端部巻線を確実に保持することを同時に可能にし、形成されたスロットウェッジ24が、ノッチ内の巻線を確実に半径方向に保持することを同時に可能にするだけでなく、保持リング21を長手方向に固定するタイロッドの働きも確保する。
【0066】
さらに、2つ部品201、202、具体的には2つの部品201、202のロッド22、23は、電気的に絶縁されるように処理される。
【0067】
すなわち、形成されたスロットウェッジ24は、従来技術ではウェッジと巻線との間に装着された絶縁紙によって通常行われてきた電気絶縁機能を果たすことができる。
【0068】
この絶縁を確保するために、この実施形態では、アルミニウムロッドが、硬質陽極酸化工程によって処理される。そのような処理は、部品201および202、または部品201、202の少なくともロッド22、23の全面に行うと、良好な耐摩耗性ならびに比較的良好な熱および電気絶縁の確保をさらに可能にする。
【0069】
各部品201、202への硬質陽極酸化工程の一実施例によると、50μmの層が、約500ビッカース硬さの層としての耐性を得ることを可能にすることが知られている。
【0070】
さらに、そのような表面処理は、形成されたスロットウェッジ24の表面粗さを減少させ、その結果、スロットウェッジ24と装着されたコイルとの間の摩擦係数を減少させるように適合させることができる。それによって、スロットウェッジ24を形成するロッド22、23をノッチに、より簡単に挿入することが可能になる。
【0071】
ただし、本発明は、この絶縁工程に限定されることはなく、あらゆる表面系または表面電気絶縁処理技法が使用され得る。すなわち、絶縁紙を取り付ける必要がなくなり、それによって、ロータアセンブリを搭載する時間を最適化することが可能になる。
【0072】
ロッド22、23が、たとえばプラスチックなどの絶縁材料から製作される代替形態に従えば、表面絶縁処理は必要なくなる。