(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】接続解除可能なリュウズ
(51)【国際特許分類】
G04B 43/00 20060101AFI20231011BHJP
G04B 3/04 20060101ALI20231011BHJP
G04B 37/05 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
G04B43/00 Z
G04B3/04 D
G04B37/05 H
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021083091
(22)【出願日】2021-05-17
【審査請求日】2021-05-17
(32)【優先日】2020-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・チュミ
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-243343(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第00721920(GB,A)
【文献】特開平08-248148(JP,A)
【文献】特公昭44-001029(JP,B1)
【文献】特開2015-068684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 43/00
G04B 3/04
G04B 37/05
G04B 37/06,37/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時器用ムーブメント(210)のための耐衝撃デバイス(200)であって、
前記耐衝撃デバイス(200)は、少なくとも3つの自由度に沿った前記計時器用ムーブメント(210)の運動を可能にするように構成しており、
前記耐衝撃デバイス(200)は、リュウズ(100)を有し、
前記リュウズ(100)は、前記計時器用ムーブメント(210)が少なくとも3つの自由度に沿って自由である第1の位置(101)と、前記計時器用ムーブメント(210)が前記リュウズ(100)に剛接続する第2の位置(102)の間を動くように構成しており、
前記リュウズ(100)は、少なくとも1つの被駆動機構(110)と少なくとも1つの駆動機構(120)を備え、
前記少なくとも1つの被駆動機構(110)は、前記計時器用ムーブメント(210)によって駆動され、前記計時器用ムーブメント(210)に接続するように構成しており、
前記少なくとも1つの駆動機構(120)は、前記リュウズ(100)が前記第1の位置(101)にあるときには前記少なくとも1つの被駆動機構(110)から離れており、前記リュウズ(100)が前記第2の位置(102)にあるときには前記少なくとも1つの被駆動機構(110)と接触しているように構成していることを特徴とするリュウズ(100)と、
及び前記計時器用ムーブメント(210)が受ける衝撃を緩和させるように構成している少なくとも1つの緩衝要素(230)とを備え、
前記緩衝要素(230)によって保護される前記計時器用ムーブメント(210)を受けるように構成しているミドル部(250)を備え、そして
前記緩衝要素(230)は、完全に又は部分的に前記ミドル部(250)を覆い、前記緩衝要素は前記ミドル部(250)と前記計時器用ムーブメント(210)の間に配置されており、
そして、前記緩衝要素(230)の少なくとも一部は、部品を介さずに前記計時器ムーブメント(210)を覆い、
前記リュウズ(100)は、前記少なくとも1つの駆動機構(120)と前記少なくとも1つの被駆動機構(110)を連結又は切断することができる
ことを特徴とする耐衝撃デバイス(200)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの被駆動機構(110)及び/又は前記少なくとも1つの駆動機構(120)を収容する囲い(105)を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の耐衝撃デバイス(200)。
【請求項3】
前記囲い(105)は、前記少なくとも1つの被駆動機構(110)及び/又は前記少なくとも1つの駆動機構(120)を囲む
ことを特徴とする請求項2に記載の耐衝撃デバイス(200)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの被駆動機構(110)には、前記少なくとも1つの駆動機構(120)との係合を提供するように構成している頭部(113)がある
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の耐衝撃デバイス(200)。
【請求項5】
前記頭部(113)には、前記少なくとも1つの被駆動機構(110)が前記少なくとも1つの駆動機構(120)と接触しているときに前記少なくとも1つの駆動機構(120)との係合を提供するように構成している接触面(112)、及び/又は前記少なくとも1つの駆動機構(120)を、前記接触面(112)の方に、ガイドするように構成しているガイド面(111)がある
ことを特徴とする請求項4に記載の耐衝撃デバイス(200)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの駆動機構(120)は、前記リュウズ(100)が前記第1の位置(101)にあるときに前記接触面(112)から離れるように構成しており、かつ/又は
前記少なくとも1つの駆動機構(120)は、前記リュウズ(100)が前記第2の位置(102)にあるときに前記接触面(112)と接触するように構成している
ことを特徴とする請求項5に記載の耐衝撃デバイス(200)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの駆動機構(120)は、前記少なくとも1つの被駆動機構(110)と係合するように構成している円筒状の形となっている
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の耐衝撃デバイス(200)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの駆動機構(120)の前記円筒状の形は、前記少なくとも1つの被駆動機構(110)の前記頭部(113)を受けるように適合する凹状の形を形成する
ことを特徴とする請求項4を引用する場合の請求項7に記載の耐衝撃デバイス(200)。
【請求項9】
少なくとも1つの第1のジョイント(131)と少なくとも1つの保護機構(130)があり、
前記少なくとも1つの第1のジョイント(131)は、前記リュウズ(100)の囲いと前記少なくとも1つの保護機構(130)の間に位置している
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の耐衝撃デバイス(200)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第1のジョイント(131)は、前記リュウズ(100)の囲いと前記少なくとも1つの保護機構(130)の間の空間を防水性にするように構成している
ことを特徴とする請求項9に記載の耐衝撃デバイス(200)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの被駆動機構(110)は、前記計時器用ムーブメント(210)のシャフト(220)上に嵌められるように構成している部品であり、又は
前記少なくとも1つの被駆動機構(110)は、前記計時器用ムーブメント(210)のシャフト(220)と一体化されている
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の耐衝撃デバイス(200)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの駆動機構(120)を前記第1の位置(101)と前記第2の位置(102)の間で動かすように構成している少なくとも1つの戻し機構(115)を備える
ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の耐衝撃デバイス(200)。
【請求項13】
前記計時器用ムーブメント(210)のシャフト(220)は、ワインド機構のシャフト(220)である
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の耐衝撃デバイス(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計時器用ムーブメントのための耐衝撃デバイスに関し、特に、6つの自由度で前記計時器用ムーブメントを解放することができる接続解除可能なリュウズに関する。
【背景技術】
【0002】
携行型時計(例、腕時計、懐中時計)が装着されているときに、計時器用ムーブメントには繰り返し衝撃が加わる。このような衝撃によって、計時器用ムーブメントの機能が損なわれて、計時器用ムーブメントが正確ではなくなり、数秒遅れることになることがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、耐衝撃デバイス、好ましくは、計時器用ムーブメントのための耐衝撃デバイス、のためのリュウズを用いて、上記の課題のすべて又は一部を解決することを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記リュウズは、前記計時器用ムーブメントが少なくとも3つの自由度に沿って自由である第1の位置と、前記計時器用ムーブメントが前記リュウズに剛接続する第2の位置の間を動くように構成しており、前記リュウズは、少なくとも1つの被駆動機構と少なくとも1つの駆動機構を備え、前記少なくとも1つの被駆動機構は、前記計時器用ムーブメントによって駆動され、前記計時器用ムーブメントに接続するように構成しており、前記少なくとも1つの駆動機構は、前記リュウズが前記第1の位置にあるときには前記少なくとも1つの被駆動機構から離れており、前記リュウズが前記第2の位置にあるときには前記少なくとも1つの被駆動機構と接触しているように構成している。
【0006】
この構成のおかげで、前記リュウズは、前記計時器用ムーブメントを6つの自由度にて解放することを可能にし、これによって、衝撃を受けたときに、前記計時器用ムーブメントが、ケースに接続されることなくケース内で動くことができる。
【0007】
一実施形態において、前記第1の位置は、前記少なくとも1つの駆動機構が前記少なくとも1つの駆動機構から離れている非接続位置であり、前記第2の位置は、前記少なくとも1つの駆動機構が前記少なくとも1つの駆動機構と接触している連結位置である。
【0008】
この構成のおかげで、前記リュウズは、前記少なくとも1つの駆動機構と前記少なくとも1つの駆動機構を連結又は切断することができる。
【0009】
一実施形態において、前記リュウズは、前記少なくとも1つの被駆動機構及び/又は前記少なくとも1つの駆動機構を収容する囲いを備える。
【0010】
一実施形態において、前記囲いは、前記少なくとも1つの被駆動機構及び/又は前記少なくとも1つの駆動機構を囲み、かつ/又は前記少なくとも1つの被駆動機構は、前記少なくとも1つの駆動機構を囲む。
【0011】
前記構成のいずれか又は他の構成のおかげで、前記囲いは、前記少なくとも1つの駆動機構と前記少なくとも1つの駆動機構を収容することができる。
【0012】
一実施形態において、前記少なくとも1つの被駆動機構には、前記少なくとも1つの駆動機構との係合を提供するように構成している頭部がある。
【0013】
一実施形態において、前記頭部には、前記少なくとも1つの被駆動機構が前記少なくとも1つの駆動機構と接触しているときに前記少なくとも1つの駆動機構との係合を提供するように構成している接触面、及び/又は前記少なくとも1つの駆動機構を、好ましくは前記接触面の方に、ガイドするように構成しているガイド面がある。
【0014】
前記構成のいずれか又は他の構成のおかげで、前記少なくとも1つの被駆動機構は、前記リュウズが、前記第2の位置、好ましくは前記連結位置、にあるときに、前記少なくとも1つの駆動機構によって駆動されることができる。
【0015】
一実施形態において、前記少なくとも1つの駆動機構は、前記リュウズが前記第1の位置にあるときに前記接触面から離れるように構成しており、かつ/又は前記少なくとも1つの駆動機構は、前記リュウズが前記第2の位置にあるときに前記接触面と接触するように構成している。
【0016】
この構成のおかげで、前記リュウズが前記第2の位置にあるときに前記少なくとも1つの駆動機構と前記接触面が連係する。
【0017】
一実施形態において、前記少なくとも1つの駆動機構は、前記少なくとも1つの被駆動機構と係合するように構成している円筒状の形となっている。
【0018】
一実施形態において、前記少なくとも1つの駆動機構の前記円筒状の形は、前記少なくとも1つの被駆動機構の前記頭部を受けるように適合する凹状の形を形成する。
【0019】
前記構成のいずれか又は他の構成のおかげで、前記少なくとも1つの駆動機構と前記少なくとも1つの駆動機構の間に相補性がある。
【0020】
一実施形態において、前記リュウズは、少なくとも1つの第1のジョイントと少なくとも1つの保護機構があり、前記少なくとも1つの第1のジョイントは、前記リュウズと前記少なくとも1つの保護機構の間に位置している。
【0021】
一実施形態において、前記少なくとも1つの第1のジョイントは、前記リュウズと前記少なくとも1つの保護機構の間の空間を防水性にするように構成している。
【0022】
一実施形態において、前記少なくとも1つの保護機構が、前記リュウズと前記少なくとも1つの駆動機構の間に配置されている。
【0023】
一実施形態において、前記少なくとも1つの第1のジョイントは、常に前記リュウズと前記少なくとも1つの保護機構と接触している。
【0024】
一実施形態において、前記リュウズは、前記リュウズが前記第1の位置にあるときには前記リュウズ及び/又は前記少なくとも1つの保護機構と接触し、かつ、前記リュウズが前記第2の位置にあるときには前記リュウズ及び/又は前記少なくとも1つの保護機構から離れているように構成している少なくとも1つの第2のジョイントを備える。
【0025】
一実施形態において、前記少なくとも1つの第1のジョイントは、前記リュウズと前記少なくとも1つの保護機構の間の空間を、30バール(3×106Pa)まで、特に、10バール(1×106Pa)まで、好ましくは、5バール(5×105Pa)まで、に耐える防水性にするように構成している。
【0026】
前記構成のいずれか又は他の構成のおかげで、前記リュウズは、前記計時器用ムーブメントの運動の自由を可能にしつつ、防水性である。
【0027】
一実施形態において、前記少なくとも1つの被駆動機構は、前記計時器用ムーブメントのシャフト上に配置されるように構成しているエンドピースであるか、又は前記少なくとも1つの被駆動機構は、前記計時器用ムーブメントのシャフトに剛接続されている。
【0028】
一実施形態において、前記エンドピースには、前記少なくとも1つの被駆動機構が前記少なくとも1つの駆動機構と接触しているときに前記少なくとも1つの駆動機構との係合を提供するように構成している接触面、及び/又は前記少なくとも1つの駆動機構を、好ましくは前記接触面の方に、ガイドするように構成しているガイド面がある。
【0029】
前記構成のいずれか又は他の構成のおかげで、前記リュウズを前記計時器用ムーブメント上に配置することができる。
【0030】
一実施形態において、前記リュウズは、前記少なくとも1つの駆動機構を前記第1の位置と前記第2の位置の間で動かすように構成している少なくとも1つの戻し機構を備える。
【0031】
一実施形態において、前記少なくとも1つの戻し機構は、前記少なくとも1つの被駆動機構と前記少なくとも1つの駆動機構の間に配置される。
【0032】
一実施形態において、前記少なくとも1つの戻し機構は、少なくとも1つのばねである。
【0033】
前記構成のいずれか又は他の構成のおかげで、前記少なくとも1つの被駆動機構を前記少なくとも1つの駆動機構から離すことができる。
【0034】
一実施形態において、前記計時器用ムーブメントはシャフトを備え、前記少なくとも1つの被駆動機構は、前記計時器用ムーブメントの前記シャフトと一体化されている。
【0035】
前記構成のいずれか又は他の構成のおかげで、前記計時器用ムーブメントの組み付け中及び/又は前記シャフトの製造中に、前記リュウズを前記計時器用ムーブメントの前記シャフトと一体化させることができる。
【0036】
本発明は、ムーブメント、好ましくは、計時器用ムーブメント、のための耐衝撃デバイスに関し、前記耐衝撃デバイスは、少なくとも3つの自由度に沿った前記計時器用ムーブメントの運動を可能にするように構成しており、前記耐衝撃デバイスは、前記計時器用ムーブメントと、本発明に係るリュウズと、及び前記計時器用ムーブメントが受ける衝撃を緩和させるように構成している少なくとも1つの緩衝要素とを備え、前記リュウズは、前記計時器用ムーブメントが少なくとも3つの自由度に沿って自由である第1の位置と、前記計時器用ムーブメントが前記リュウズに剛接続する第2の位置の間を動くように構成している。
【0037】
一実施形態において、前記少なくとも1つの緩衝要素は、前記リュウズが前記第1の位置にあるときに前記計時器用ムーブメントが受ける衝撃を緩和させるように構成している。
【0038】
この構成のおかげで、前記リュウズは、前記少なくとも1つの駆動機構と前記少なくとも1つの駆動機構を連結又は切断することができ、前記計時器用ムーブメントは、妨げられることなく6つの自由度に沿って動くことができ、前記少なくとも1つの緩衝要素によって緩衝されることができる。
【0039】
一実施形態において、前記シャフトは、ワインド機構のシャフトである。
【0040】
一実施形態において、前記耐衝撃デバイスは、前記緩衝要素によって保護される前記計時器用ムーブメントを受けるように構成しているミドル部を備える。
【0041】
この構成のおかげで、前記計時器用ムーブメントは、前記ミドル部の内側にて妨げられることなく6つの自由度に沿って動くことができ、前記少なくとも1つの緩衝要素によって緩衝されることができる。
【0042】
以下、例として与えられる添付の図面を用いて、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1A】
図1Aは、本発明の一実施形態に係る、第1の位置101にある、耐衝撃デバイス200の部分切断断面図を示している。
【
図1B】
図1Bは、本発明の一実施形態に係る、第1の位置101にある、リュウズ100の部分切断斜視図を示している。
【
図1C】
図1Cは、本発明の一実施形態に係る、第1の位置101にある、前記耐衝撃デバイス200の断面図を示している。
【
図2A】
図2Aは、本発明の実施形態に係る、第2の位置102にある、前記耐衝撃デバイス200の部分切断断面図を示している。
【
図2B】
図2Bは、本発明の実施形態に係る、第2の位置102にある、前記リュウズ100の部分切断斜視図を示している。
【
図2C】
図2Cは、本発明の実施形態に係る、第2の位置102にある、-前記耐衝撃デバイス200の断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1Aは、少なくとも3つの自由度に沿った、好ましくは、6つの自由度に沿った、計時器用ムーブメント210の運動を可能にするように構成している耐衝撃デバイス200を示している。
【0045】
前記耐衝撃デバイス200は、前記計時器用ムーブメント210と、シャフト220、好ましくはワインド機構のシャフト220、によって前記計時器用ムーブメント210に接続されるリュウズ100と、及びミドル部250とを備える。
【0046】
前記ミドル部250は、前記ミドル部250の内部を完全又は部分的に覆うことができる少なくとも1つの緩衝要素230を備え、この緩衝要素230は、前記計時器用ムーブメント210が前記ミドル部250内において6つの自由度のうちの少なくとも1つに沿って動くときに前記計時器用ムーブメント210が受ける衝撃を緩和させるように構成している。
【0047】
実際に、
図1Cに示しているように、前記計時器用ムーブメント210が前記少なくとも1つの緩衝要素230によって緩衝されつつ、妨げられることがなく6つの自由度に沿って動くことができるために、前記少なくとも1つの緩衝要素230は、前記リュウズ100が前記ミドル部250と接触している又はその近くにあるときに、前記計時器用ムーブメント210が受ける衝撃を緩和させることができる。
【0048】
図1B及び2Bに示しているように、前記リュウズ100は、前記計時器用ムーブメント210に駆動され前記シャフト220によって前記計時器用ムーブメント210に接続されるように構成している少なくとも1つの駆動機構120と少なくとも1つの被駆動機構110を備えることができる。
【0049】
また、前記リュウズ100は、前記少なくとも1つの被駆動機構110及び/又は前記少なくとも1つの駆動機構120を受けるように構成している囲い105を備える。具体的には、前記囲い105は、前記少なくとも1つの駆動機構120を囲み、そして、この駆動機構120は、前記少なくとも1つの被駆動機構110を囲み、これによって、前記囲い105は、前記少なくとも1つの被駆動機構110と前記少なくとも1つの駆動機構120を収容する。
【0050】
前記少なくとも1つの駆動機構120が前記リュウズ100の前記囲い105内に配置されるとき又は位置しているときには、少なくとも1つの保護機構130、好ましくは、管状体130、が嵌まる又は挿入されることができる空間が存在する。言い換えると、前記少なくとも1つの保護機構130が前記リュウズ100と前記少なくとも1つの駆動機構120の間に配置される。
【0051】
防水性の理由から、前記リュウズ100には、少なくとも1つの第1のジョイント131と少なくとも1つの第2のジョイント132がある。前記少なくとも1つの第1のジョイント311を前記リュウズ100と前記少なくとも1つの保護機構130の間に配置することができ、すなわち、前記少なくとも1つの第1のジョイント311は、前記リュウズ100と前記少なくとも1つの保護機構130の間の空間を防水性にするように構成している。
【0052】
いくつかの図において注目に値するように、前記少なくとも1つの第1のジョイント131は、前記リュウズ100及び少なくとも1つの保護機構130と常に接触していることができ、前記空間を30バール(3×106Pa)まで、特に10バール(1×106Pa)まで、好ましくは5バール(5×105Pa)まで、に耐える防水性にするように構成していることができる。
【0053】
また、前記リュウズ100は、第1の位置101と第2の位置102の間を動くように構成しており、具体的には、前記少なくとも1つの駆動機構120が前記リュウズ100に剛接続することを考慮すると、前記少なくとも1つの駆動機構120が、第1の位置101と第2の位置102の間を動くように構成している。
【0054】
非接続位置101とも呼ぶ前記第1の位置101において、前記計時器用ムーブメント210は、少なくとも3つの自由度、好ましくは、6つの自由度、に沿って自由であり(
図1A及び1C)、そして、前記計時器用ムーブメント210の運動、さらには前記ミドル部250との前記計時器用ムーブメント210の衝撃でさえも、前記ミドル部250を完全又は部分的に覆う前記少なくとも1つの緩衝要素230によって完全又は部分的に緩和される。この非接続位置101、すなわち、前記第1の位置101において、前記少なくとも1つの駆動機構120は、前記少なくとも1つの被駆動機構110から離れているが、前記リュウズ100は、前記ミドル部250及び/又は前記少なくとも1つの保護機構130と接触していることができ又はその近くにあることができる。
【0055】
図1A、特に、
図1C、において、前記少なくとも1つの保護機構130、好ましくは、管状体130は、少なくとも1つの第2のジョイント132を介して前記リュウズ100と接触している。実際に、前記少なくとも1つの駆動機構120が前記少なくとも1つの被駆動機構110から離れているときに、前記少なくとも1つの保護機構130は、前記少なくとも1つの第2のジョイント132と接触していることができる。
【0056】
ユーザーが携行型時計をワインドすることを望むときに、前記リュウズ100は、前記第2の位置102の方へと動かされ、すなわち、前記リュウズ100は、前記ミドル部250から離れ、そして、計時器用ムーブメント210は、前記リュウズ100と剛接続するようになる(
図2C)。同時に、前記少なくとも1つの第2のジョイント132は、前記リュウズ100によって、前記少なくとも1つの保護機構130から離れる(
図2B)。
【0057】
この前記第1の位置101から前記第2の位置102の方への移動は、少なくとも1つの戻し機構115によって促進させることができ、この戻し機構115は、随意的に、前記リュウズ100、好ましくは前記少なくとも1つの駆動機構120、と前記少なくとも1つの被駆動機構110の間にある、少なくとも1つのばね115の形態であることができる。これによって、前記リュウズ100を前記ミドル部250から離すが、前記少なくとも1つの被駆動機構110と前記少なくとも1つの駆動機構120を接触させる(
図2B)。
【0058】
前記少なくとも1つの被駆動機構110は、随意的に、ポスト柱110又はエンドピース113の形態であることができ、前記少なくとも1つの被駆動機構110には、前記少なくとも1つの駆動機構120への係合を提供するように構成している頭部113があることができる。また、いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つの被駆動機構110の前記頭部113は、前記計時器用ムーブメント210の前記シャフト220と、一体化されている又は剛接続していることができ、又は前記エンドピース113の形態であることができ、シャフト220に嵌められることができる。
【0059】
また、前記頭部113には、接触面112とガイド面111があり、これらは、前記駆動機構120が前記第1の位置101から連結位置102としても呼ばれる前記第2の位置102の方へと動くときに、前記少なくとも1つの駆動機構120を前記接触面112の方にガイドするように構成している。
【0060】
この前記少なくとも1つの駆動機構120による前記少なくとも1つの被駆動機構110の連係又は駆動は、前記少なくとも1つの被駆動機構110を囲む前記少なくとも1つの駆動機構120の円筒状の形によって、特に、前記接触面112によって前記少なくとも1つの駆動機構120に提供される係合によって、可能にすることができる。特に、前記少なくとも1つの駆動機構120の前記円筒状の形は、チューブレンチや六角形ボルトのような形態にて、前記少なくとも1つの駆動機構120と前記少なくとも1つの被駆動機構110の間の相補性が可能となるように、前記少なくとも1つの被駆動機構110の前記頭部113を受けるように適合する凹状の形を形成する。
【0061】
連結位置102、すなわち、前記第2の位置102、において、ユーザーは、前記計時器用ムーブメント210をワインドすることができる。
【符号の説明】
【0062】
100 リュウズ
101 第1の位置
102 第2の位置
105 囲い
110 被駆動機構
111 ガイド面
112 接触面
113 頭部
115 戻し機構
120 駆動機構
130 保護機構
131、132 ジョイント
200 耐衝撃デバイス
210 計時器用ムーブメント
220 シャフト
230 緩衝要素
250 ミドル部