IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社藤商事の特許一覧

<>
  • 特許-遊技機 図1
  • 特許-遊技機 図2
  • 特許-遊技機 図3
  • 特許-遊技機 図4
  • 特許-遊技機 図5
  • 特許-遊技機 図6
  • 特許-遊技機 図7
  • 特許-遊技機 図8
  • 特許-遊技機 図9
  • 特許-遊技機 図10
  • 特許-遊技機 図11
  • 特許-遊技機 図12
  • 特許-遊技機 図13
  • 特許-遊技機 図14
  • 特許-遊技機 図15
  • 特許-遊技機 図16
  • 特許-遊技機 図17
  • 特許-遊技機 図18
  • 特許-遊技機 図19
  • 特許-遊技機 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
A63F7/02 310C
A63F7/02 304B
A63F7/02 311A
A63F7/02 316A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021099773
(22)【出願日】2021-06-15
(65)【公開番号】P2022191102
(43)【公開日】2022-12-27
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】391010943
【氏名又は名称】株式会社藤商事
(74)【代理人】
【識別番号】110001645
【氏名又は名称】弁理士法人谷藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 孝司
【審査官】佐藤 嘉純
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-041195(JP,A)
【文献】特開2013-165827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側に遊技領域を有する遊技盤を備え、
前記遊技盤は、透明本体板と、該透明本体板に装着される第1入球手段及び第2入球手段とを有する
遊技機において、
前記第1入球手段は、前記透明本体板に対して前側から装着され且つ少なくとも一部が透明又は半透明に形成された前側部材と、前記透明本体板の後側に装着される後側部材と、前記前側部材に設けられ且つ前記遊技領域を流下してきた遊技球が入球可能な第1入球口と、前記後側部材に設けられ且つ前記第1入球口に入球した遊技球を検出可能な第1検出手段とを備え、
前記第2入球手段は、前記透明本体板に対して前側から装着される入球ユニットに、第2入球口と、前記遊技領域を流下してきた遊技球が前記第2入球口に入球可能な開状態と該開状態よりも入球困難又は入球不可能な閉状態とに変化可能な開閉部材と、前記第2入球口に入球した遊技球を検出可能な第2検出手段と、前部の装飾部材とを配置し、
前記第1検出手段を、前記第1入球口から離間し且つ正面視において視認不能又は視認困難な位置に配置し、
前記装飾部材に装飾部と透明部とを設け、
前記装飾部によって正面視における前記第2検出手段の視認性が阻害されるように、前記装飾部の後方に前記第2検出手段を配置し、
前記開閉部材が前記閉状態でも、前側から前記透明部を介して前記第2入球口の内部を視認可能とした
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機では、前側に遊技領域を有する遊技盤を備え、発射手段により発射された遊技球が遊技領域を流下する際に、ゲートを通過し、或いは入球手段に入球することに基づいて、遊技者に有利な遊技状態の発生、遊技価値の付与等が行われるようになっている。
この種の遊技機に搭載される遊技盤は、一定厚さに形成された本体板に対して、入球手段その他の遊技部品、液晶その他の表示手段、主制御基板その他の制御基板等が直接的又は間接的に装着されることによって形成されている。ここで、本体板については、以前はベニヤ板等の前面に装飾シートを貼付したものが用いられていたが、最近ではポリカーボネート等の透明な本体板が用いられることが多い(いわゆる透明遊技盤)。
このような透明遊技盤の場合、透明な本体板の後側に装飾体を配置することによって装飾の自由度を高めることができるという利点がある反面、スイッチ等の電気部品やその配線が前側から視認可能となることによって見栄えを損ねるという欠点がある。
そこで、特許文献1に記載の発明では、透明な本体板に不透明な部品で隠れる貫通路を形成し、その貫通路に、入球口に設けた球通過検出スイッチ(検出手段)の配線を挿通することにより、透明な本体板の後側を取り回される配線を前側から視認不可能とすることができ、見栄えを良くすることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-17358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、配線の一部を前側から視認不可能な状態にすることができるとしても、少なくともスイッチ(検出手段)本体は依然として前側から視認可能であることから、見栄え低下の問題を十分に解消できているとは言い難い。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、いわゆる透明遊技盤を採用するにあたり、入球口に入球した遊技球を検出する検出手段について前側からの視認性を抑制することで見栄えの低下を解消することが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前側に遊技領域を有する遊技盤を備え、前記遊技盤は、透明本体板と、該透明本体板に装着される第1入球手段及び第2入球手段とを有する遊技機において、前記第1入球手段は、前記透明本体板に対して前側から装着され且つ少なくとも一部が透明又は半透明に形成された前側部材と、前記透明本体板の後側に装着される後側部材と、前記前側部材に設けられ且つ前記遊技領域を流下してきた遊技球が入球可能な第1入球口と、前記後側部材に設けられ且つ前記第1入球口に入球した遊技球を検出可能な第1検出手段とを備え、前記第2入球手段は、前記透明本体板に対して前側から装着される入球ユニットに、第2入球口と、前記遊技領域を流下してきた遊技球が前記第2入球口に入球可能な開状態と該開状態よりも入球困難又は入球不可能な閉状態とに変化可能な開閉部材と、前記第2入球口に入球した遊技球を検出可能な第2検出手段と、前部の装飾部材とを配置し、前記第1検出手段を、前記第1入球口から離間し且つ正面視において視認不能又は視認困難な位置に配置し、前記装飾部材に装飾部と透明部とを設け、前記装飾部によって正面視における前記第2検出手段の視認性が阻害されるように、前記装飾部の後方に前記第2検出手段を配置し、前記開閉部材が前記閉状態でも、前側から前記透明部を介して前記第2入球口の内部を視認可能としたものである
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、いわゆる透明遊技盤を採用するにあたり、入球口に入球した遊技球を検出する検出手段について前側からの視認性を抑制することで見栄えの低下を解消することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1の実施形態に係るパチンコ機の全体正面図である。
図2】同パチンコ機の分解斜視図である。
図3】同パチンコ機の遊技盤の正面図である。
図4】同パチンコ機の遊技盤の要部分解斜視図である。
図5】同パチンコ機の遊技盤の要部平面断面図である。
図6】同パチンコ機の遊技盤の要部側面断面図である。
図7】同パチンコ機の遊技盤の要部正面断面図である。
図8】同パチンコ機の遊技盤の要部正面図である。
図9】同パチンコ機の遊技盤の要部平面断面図である。
図10】同パチンコ機の遊技盤の要部平面断面図である。
図11】同パチンコ機の遊技盤の要部側面断面図である。
図12】同パチンコ機の遊技盤の要部側面断面図である。
図13】同パチンコ機の遊技盤の要部側面断面図である。
図14】同パチンコ機の制御系のブロック図である。
図15】本発明の第2の実施形態に係るパチンコ機の遊技盤の要部正面図である。
図16】同パチンコ機の遊技盤の要部側面断面図である。
図17】本発明の第3の実施形態に係るパチンコ機の遊技盤の要部正面図である。
図18】同パチンコ機の遊技盤の要部平面断面図である。
図19】本発明の変形例に係るパチンコ機の遊技盤の要部平面断面図である。
図20】本発明の変形例に係るパチンコ機の遊技盤の要部平面断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1図14は本発明をパチンコ機に採用した第1の実施形態を例示している。図1及び図2において、遊技機本体1は、外枠2と、この外枠2の前側に配置された前枠3とを備えている。前枠3は、左右方向一端側、例えば左端側に配置された上下方向の第1ヒンジ4を介して外枠2に開閉自在及び着脱自在に枢着されており、左右方向における第1ヒンジ4と反対側、例えば右端側に設けられた施錠手段5によって外枠2に対して閉状態で施錠可能となっている。
【0009】
前枠3は、本体枠6と、その本体枠6の前側に配置されたガラス扉7とを備えている。ガラス扉7は、左右方向一端側、例えば左端側に配置された上下方向の第2ヒンジ8を介して本体枠6に開閉自在及び着脱自在に枢着されており、施錠手段5によって本体枠6に対して閉状態で施錠可能となっている。なお、第1ヒンジ4と第2ヒンジ8とは例えば同一軸心となるように配置されている。
【0010】
外枠2は、図2に示すように左右一対の縦枠材2a,2bと上下一対の横枠材2c,2dとで矩形状に形成されている。外枠2の前側下部には、樹脂製の前カバー部材9が、下横枠材2dの前縁に沿って左右の縦枠材2a,2bの前側下部を連結するように装着されている。前カバー部材9は、左右の縦枠材2a,2bよりも前側に突出しており、その上側に本体枠6が配置されている。また外枠2には、第1ヒンジ4を構成する外枠上ヒンジ金具11が例えば左上部に、同じく外枠下ヒンジ金具12が左下部における前カバー部材9の上側に夫々配置されている。
【0011】
本体枠6は樹脂製で、前カバー部材9の上側で外枠2の前縁側に略当接可能な矩形状の枠部13と、この枠部13内の上部側に設けられた遊技盤装着部14と、枠部13内の下部側に設けられた下部装着部15とを例えば一体に備えている。遊技盤装着部14には、遊技盤16が例えば前側から着脱自在に装着され、下部装着部15には、その前側に発射手段17、下部スピーカ18等が配置されている。また本体枠6には、第1ヒンジ4を構成する本体枠上ヒンジ金具19と第2ヒンジ8を構成する本体枠上ヒンジ金具20とが例えば左上部に、第1,第2ヒンジ4,8を構成する本体枠下ヒンジ金具21が例えば左下部に夫々配置されている。
【0012】
ガラス扉7は、本体枠6の前面側に対応する矩形状に形成された樹脂製の扉ベース22を備えている。この扉ベース22には、遊技盤16の前側に形成された遊技領域23に対応してガラス窓24の窓孔24aが形成されると共に、例えば窓孔24aの周囲に複数(ここでは4つ)の上部スピーカ25、送風演出装置26等の演出手段が配置され、それら上部スピーカ25等を前側から略覆う上装飾カバー27が装着されている。
【0013】
また扉ベース22の下部前側には、本体枠6の後側に配置された払い出し手段28から払い出された遊技球を貯留して発射手段17に供給する上皿30、その上皿30が満杯のときの余剰球等を貯留する下皿31、発射手段17を作動させるために操作する発射ハンドル32等が配置され、更に上皿30、下皿31等を前側から略覆う下装飾カバー33が装着されている。下装飾カバー33は前向きの膨出状に形成されており、その上部側に、遊技者が押下操作可能な演出ボタン34、十字操作手段35等の操作手段が設けられている。十字操作手段35は、後側の上キー35a、前側の下キー35b、左側の左キー35c、右側の右キー35dの4つの操作部を備えている。
【0014】
扉ベース22の背面側には、窓孔24aを後側から略塞ぐようにガラスユニット36が着脱自在に装着されると共に、第1,第2ヒンジ4,8側の縁部に沿って配置される上下方向のヒンジ端側補強板金37と、開閉端側の縁部に沿って配置される上下方向の開閉端側補強板金38と、窓孔24aの下側に配置される左右方向の下部補強板金39とがねじ止め等により着脱自在に固定されている。また扉ベース22には、第2ヒンジ8を構成するガラス扉上ヒンジ金具40が左上部に、同じくガラス扉下ヒンジ金具41が左下部に夫々配置されている。
【0015】
また、例えば下部補強板金39の背面側には、球送りユニット42、下皿案内ユニット43等が装着されている。球送りユニット42は、上皿30内の遊技球を1個ずつ発射手段17に供給するためのもので、発射手段17の前側に対応して配置されている。下皿案内ユニット43は、上皿30が満杯となったときの余剰球、及び発射手段17により発射されたにも拘わらず遊技領域23に達することなく戻ってきたファール球を下皿31に案内するためのもので、例えば球送りユニット42に隣接してその第1,第2ヒンジ4,8側に配置されている。
【0016】
遊技盤16は、ポリカーボネート等の透明な樹脂により形成された透明本体板45を備えるいわゆる透明遊技盤で、図3図4等に示すように、その透明本体板45に対して、ガイドレール51、中央表示枠手段52、普通入賞手段53、始動ゲート手段54、第1始動入賞手段55、第2始動入賞手段56、大入賞手段57、液晶表示手段58、可動演出手段59、後部装飾手段60等が装着されている。
【0017】
液晶表示手段58、可動演出手段59、後部装飾手段60等は、図4図7図10に示すように、後部支持部材61を介して透明本体板45の後側に配置されている。後部支持部材61は、透明本体板45よりも後方に透明本体板45と略平行に配置された後壁部62と、この後壁部62の外周側から略前向きに延設された周壁部63とを一体に備えており、周壁部63の前縁側を透明本体板45の背面側に当接させた状態でねじ止め等により固定されている。後壁部62には略矩形状の開口部62aが形成されており、液晶表示手段58は、表示画面58aを開口部62aに対応させた状態で後壁部62の背面側に着脱自在に固定されている。また、可動演出手段59、後部装飾手段60は、後部支持部材61内に配置され、後壁部62等に対して着脱自在に固定されている。
【0018】
ガイドレール51は、発射手段17から発射された遊技球を案内するためのもので、遊技領域23の周囲を取り囲むように透明本体板45の前面側に略環状に配置されており、図3等に示すように複数、例えば3つの第1~第3レール部材51a~51cによって構成されている。第1~第3レール部材51a~51cは例えば透明又は半透明の樹脂により形成されている。
【0019】
第1レール部材51aは、透明本体板45の下部左側から左縁部略中央、上縁部略中央を経て右上部に至る略弓形状に形成されており、透明本体板45と平行な前壁部64と、その前壁部64の周縁部から後向きに突設された略一定幅の周壁部65とを一体に備え、周壁部65の後端側を透明本体板45の前面に当接させた状態で透明本体板45に着脱自在に固定されている。第1レール部材51aは、遊技領域23側の周壁部65aが正面視略円弧状に形成されてガイドレール51の一部を形成している。
【0020】
第2レール部材51bは、透明本体板45の前面側に略垂直に立設する前後方向一定幅の板状に形成され、透明本体板45の左上部から左下部にかけて第1レール部材51aの内側に並行するように略円弧状に配設されている。なお、第1レール部材51aと第2レール部材51bとで挟まれた部分が、発射手段17によって発射された遊技球を遊技領域23に案内する発射案内通路66となっている。
【0021】
第3レール部材51cは、第1レール部材51aの右上部側端部と第2レール部材51bの左下部側端部とを接続するように、透明本体板45の右縁部と下縁部とに沿う正面視略L型に形成されており、透明本体板45と平行な前壁部67と、その前壁部67の周縁部から後向きに突設された略一定幅の周壁部68とを一体に備え、周壁部68の後端側を透明本体板45の前面に当接させた状態で透明本体板45に着脱自在に固定されている。第3レール部材51cは、遊技領域23側の周壁部68aがガイドレール51の一部を形成している。
【0022】
中央表示枠手段52は、液晶表示手段58の表示枠を構成するもので、透明本体板45に形成された前後方向貫通状の装着孔(図示省略)に対して前側から着脱自在に装着されている。この中央表示枠手段52は、透明又は半透明の樹脂製で、透明本体板45の前面に沿って装着孔の外側に配置され且つその前側を遊技球が通過可能な前面装着板52aと、液晶表示手段58の前側における左右両側から上部側にわたる正面視略門形状に配置され且つ前面装着板52aの内周側で前向きに突設された装飾枠52bと、その装飾枠52bの左右の下端部間に配置されるステージ71とを備えている。発射手段17により発射され、遊技領域23の上部側に進入した遊技球は、装飾枠52bの頂部で左右に振り分けられ、中央表示枠手段52の左側の左流下経路72aと右側の右流下経路72bとの何れかを流下する。
【0023】
中央表示枠手段52には、左流下経路72a側と右流下経路72b側との少なくとも一方側、例えば左流下経路72a側に、遊技球が流入可能なワープ入口71aが設けられている。ワープ入口71aに流入した遊技球は、ステージ71上で左右方向に自由に転動した後、遊技領域23の左右方向中央に対応して設けられた中央落下部73とそれ以外の部分との何れかから前側に落下する。
【0024】
なお、中央表示枠手段52上には、普通図柄表示手段76、普通保留個数表示手段77、第1特別図柄表示手段78、第2特別図柄表示手段79等の各種表示手段が設けられている。もちろん、それら表示手段76~79は中央表示枠手段52上に限らず、遊技盤16の前側の任意の位置に前側から視認可能な状態で配置可能である。
【0025】
普通入賞手段(第1入球手段)53は、遊技領域23内の下部左側に対応して配置されており、図3図7に示すように、透明本体板45に形成された前後方向貫通状の装着孔81に対して前側から着脱自在に装着される前側部材82と、その前側部材82に対応して透明本体板45の後側に配置される後側部材83とを備えている。
【0026】
前側部材82は、少なくとも一部、例えば全体が透明又は半透明に形成された樹脂製で、ガラスユニット36の背面に沿って配置される前壁部84と、その前壁部84の外縁部から後向きに延設される周壁部85と、その周壁部85の後縁側から透明本体板45の前面に沿って外向きに延設される装着板86と、複数、例えば二つの普通入賞口87a,87bと、一又は複数、例えば一つのアウト口88と、普通入賞口87a,87bに対応する入賞樋89a,89bと、アウト口88に対応するアウト樋90とを一体に備え、前壁部84の下縁側に対応する下周壁部85aをガイドレール51に沿わせた状態で、装着板86上の固定部86aにおいて透明本体板45に対してねじ止め等により着脱自在に固定されている。
【0027】
なお、前側部材82は、樹脂製の一体形成部品のみで構成されており、遊技球検出手段やLED基板といった電気部品は一切搭載されていないため、ねじ止めを行う固定部86aは、長手方向、即ちガイドレール51に沿う方向の両端側にのみ設けられ、普通入賞口87a,87bやアウト口88の間の中間部分には設けられていない。また、前側部材82は遊技球検出手段等を搭載していないため、普通入賞口87a,87bをよりガイドレール51に近づけて配置することによってコンパクト化が可能であり、限られた遊技領域23のスペースをより効率的に使用できる。
【0028】
普通入賞口(第1入球口)87a,87bは、略上向きの開口部で、前壁部84の上縁側に対応する上周壁部85bに左右に隣接して配置されている。アウト口88も略上向きの開口部で、上周壁部85bに、普通入賞口87a,87bの上流側、即ち左側に隣接して配置されている。なお、アウト口88には当然ながら遊技球検出手段は配置されていないが、その隣の普通入賞口87a,87bの近傍にも遊技球検出手段は配置されていないため、遊技球検出手段の有無によってアウト口か否かを判断することは難しくなっている。もちろん前壁部84には、アウト口88に対応する位置に、アウト口であることを示すアウト口識別情報91が表示されており、これによってアウト口であることを認識可能である。アウト口識別情報91は、例えば「OUT」の文字で構成されている。
【0029】
入賞樋89a,89bは、普通入賞口87a,87bに入球した遊技球を夫々透明本体板45の後側に案内するもので、前壁部84の背面側から後ろ下がりの傾斜状に突設されており、前端側が普通入賞口87a,87bの下側に連通し、後端側が装着孔81を経て透明本体板45の背面側で後向きに開放している。またアウト樋90は、アウト口88に入球した遊技球を透明本体板45の後側に案内するもので、前壁部84の背面側から後ろ下がりの傾斜状に突設されており、前端側がアウト口88の下側に連通し、後端側が装着孔81を経て透明本体板45の背面側で後向きに開放している。
【0030】
なお、上周壁部85bの上流側端部には、ガイドレール51に沿って流下してきた遊技球を普通入賞口87a,87b側に案内する傾斜案内部(第1傾斜案内部)92が形成されている。傾斜案内部92は、右下がりの傾斜面で構成されており、上流側端部はガイドレール51の内面に対して緩い角度で当接又は近接している。
【0031】
後側部材83は、透明、半透明又は不透明な樹脂製で、図4図7に示すように、普通入賞口87a,87bに入球した遊技球を機外へと排出するための入賞球通路93と、アウト口88に入球した遊技球を機外へと排出するためのアウト球通路94とを備え、後部装飾手段60と一体に形成されており、後部支持部材61の後壁部62から前向きに突設された支持部95によって後部装飾手段60とともに支持されている。
【0032】
入賞球通路(球通路)93は、上流端側が普通入賞口87a側の入賞樋89aに連通する第1上流側通路部93aと、上流端側が普通入賞口87b側の入賞樋89bに連通する第2上流側通路部93bと、上流端側の合流部96で第1上流側通路部93aと第2上流側通路部93bとが合流し、下流端側が図外の排出通路に連通する下流側通路部93cとを備え、透明本体板45の背面に沿って配置されている。下流側通路部93c上の所定位置、例えば下流側端部近傍には、遊技球を検出可能な遊技球検出手段(第1検出手段)97が装着されている。遊技球検出手段97は、一端側に貫通状の検出部97aを備えた扁平長方形状の貫通型近接スイッチにより構成されており、下流側通路部93cを流下してきた遊技球が検出部97aを通過するように後側部材83に装着されている。このように、普通入賞口87a,87bに入球した遊技球は共通の遊技球検出手段97により検出されるようになっている。
【0033】
また、正面視において、下流側通路部93cは合流部96を含めてその略全体が遊技領域23の外側、即ちガイドレール51よりも下側に配置されており、その下流側通路部93c上に配置されている遊技球検出手段97についても同じく遊技領域23の外側、即ちガイドレール51よりも下側に配置されている(図7参照)。このように、遊技球検出手段97は正面視において遊技領域23の外側に配置されており、図6に示すようにその前側には第3レール部材51cが存在し、更にその前側にはガラス扉7の上装飾カバー27が存在することから、当該遊技盤16はいわゆる透明遊技盤であるにも拘わらず、遊技球検出手段97が前側から視認不可能又は視認困難となり、見栄えの低下を抑制できる。
【0034】
なお、このように遊技球検出手段97を正面視において遊技領域23の外側に配置する場合、普通入賞口87a,87bから遊技球検出手段(第1検出手段)97までの遊技球の移動距離、特に上下方向の移動距離が大きくなるため、普通入賞口87a,87bに遊技球が入球した後、その遊技球が遊技球検出手段97で検出されるまでの時間が長くなるが、普通入賞口87a,87bについてはその入球を契機として遊技状態が変化することはないため、普通入賞口87a,87bへの入球から検出までの時間が長くなっても特に問題はない。
【0035】
アウト球通路94は、上流端側がアウト樋90に連通し、下流端側が図外の排出通路に連通するように、透明本体板45の背面に沿って略上下方向に配置されている。
【0036】
このように、後側部材83の入賞球通路(球通路)93には遊技球検出手段97は搭載されているが、それ以外の電気部品、例えばLED基板等は搭載されていない。また本実施形態では、正面視において後側部材83の入賞球通路(球通路)93の後側に対応する領域にもLED基板は配置されていない。
【0037】
また、後側部材83と一体に形成された後部装飾手段(装飾体)60は、透明本体板45の背面に沿って配置される装飾板98と、この装飾板98の後側に配置されるLED基板99とを備えている。装飾板98は、透光性を有する樹脂製で、任意の装飾が施されており、例えば入賞球通路93やアウト球通路94の前側を避けてその周辺部に設けられている。LED基板99は、その前面側に多数のLED99aが配置され、装飾板98に対応する形状に形成されている。
【0038】
LED基板99のLED(第1発光手段)99aが点灯すると、それによって装飾板98が発光する。そしてその装飾板98からの光が、透明本体板45を介してその前側の前側部材82の少なくとも一部、例えば普通入賞口87a,87b、アウト口88、装着板86、前壁部84(アウト口識別情報91等)等に対して後側から照射され、これらが発光するようになっている。
【0039】
始動ゲート手段(第3入球手段)54は、遊技領域23内の右流下経路72b上に配置されており、図8図9等に示すように、透明本体板45に形成された前後方向貫通状の装着孔101に対して前側から着脱自在に装着される始動ゲート本体部(前構造体)102と、遊技球を検出可能な遊技球検出手段103とを備えている。始動ゲート本体部102は、透明又は半透明の樹脂製で、右流下経路72bを流下してきた遊技球が上下方向に通過可能な普通図柄始動ゲート(ゲート部)104が透明本体板45に対して前向き突出状に形成されており、その普通図柄始動ゲート104の左右両側の固定部102aにおいてねじ止め等により透明本体板45に固定されている。
【0040】
遊技球検出手段(第3検出手段)103は、一端側に貫通状の検出部103aを備えた扁平長方形状の貫通型近接スイッチにより構成されており、検出部103aが普通図柄始動ゲート104と一致するように始動ゲート本体部102に対して後側から装着されている。遊技球検出手段103の後部側は透明本体板45の装着孔101内に挿入されており、その後端部から後向きに引き出されたハーネス105は、透明本体板45の背面側に沿って遊技領域23の外側に向けて例えば右向きに配設されている。
【0041】
また、始動ゲート本体部102には、普通図柄始動ゲート104の少なくとも前面側に装飾部(第3装飾部)106が形成されている。この装飾部106は、遊技球検出手段103が正面視において視認困難又は視認不可能となるように目隠しとして機能するもので、少なくとも一部が不透明な装飾シート等により形成されている。なお、この装飾部106は、遊技球検出手段103の目隠しとして機能するものであれば装飾シートに限られるものではなく、例えば普通図柄始動ゲート104の前面側に直接施された凹凸状の装飾であってもよい。透明部分であっても、そこに凹凸を形成して光を乱反射させれば目隠しとして機能させることが可能である。
【0042】
このように、本実施形態の始動ゲート手段54では、遊技球検出手段103を、その検出部103aが透明本体板45の前側に位置するように配置するとともに、始動ゲート本体部102の前面側に目隠しとして装飾部106を設けることで遊技球検出手段103が正面視において視認困難又は視認不可能となるようにしている。これは、始動ゲート手段54は遊技球を遊技領域23内で通過させる必要があり、普通入賞手段53のように遊技球検出手段103を透明本体板45の後側に配置することができないためである。
【0043】
また、始動ゲート手段54と直近(即ち右側)のガイドレール51との間には、透明本体板45の前面側に装飾部107が設けられている。この装飾部107は、遊技球検出手段103から引き出されたハーネス105が正面視において視認困難又は視認不可能となるように目隠しとして機能するもので、始動ゲート手段54とその右側のガイドレール51との間に透明本体板45の前面に沿って配置された装飾板108の前面側に形成されている。なお、装飾板108は例えば中央表示枠手段52に一体に形成されている。装飾部107は、装飾部106と同じく少なくとも一部が不透明な装飾シート等により形成してもよいし、装飾板108の前面側に直接施された凹凸状の装飾であってもよい。
【0044】
第1始動入賞手段55は、遊技領域23内の左右方向中央における下部側、即ち中央表示枠手段52とその下側のガイドレール51との間に配置されており、図3図4等に示すように、透明本体板45に形成された前後方向貫通状の装着孔(図示省略)に対して前側から着脱自在に装着される第1始動入賞本体部111と、遊技球を検出可能な遊技球検出手段112とを備えている。なお、第1始動入賞手段55の下側のガイドレール51上にはアウト口110が設けられている。
【0045】
第1始動入賞本体部111は、例えば透明又は半透明の樹脂製で、透明本体板45の前面に沿って配置され且つ前側を遊技球が通過可能に形成された前面装着板113と、その前面装着板113の前側に設けられた第1特別始動口114とを一体に備え、前面装着板113においてねじ止め等により透明本体板45に固定されている。第1特別始動口114は、ステージ71に設けられた中央落下部73の下側に対応して上向き開口状に形成されている。
【0046】
遊技球検出手段112は、一端側に貫通状の検出部112aを備えた扁平長方形状の貫通型近接スイッチにより構成されており、検出部112aが第1特別始動口114の下側に位置するように第1始動入賞本体部111に対して後側から装着されている。なお、第1特別始動口114に入球した遊技球は、遊技球検出手段112により検出された後、図示しない案内通路により透明本体板45の後側に案内され、機外に排出される。
【0047】
また、第1始動入賞本体部111には、第1特別始動口114の少なくとも前面側に装飾部115が形成されている。この装飾部115は、遊技球検出手段112が正面視において視認困難又は視認不可能となるように目隠しとして機能するもので、少なくとも一部が不透明な装飾シート等により形成されている。なお、この装飾部115は、遊技球検出手段112の目隠しとして機能するものであれば装飾シートに限られるものではなく、例えば第1特別始動口114の前面側に直接施された凹凸状の装飾であってもよい。
【0048】
このように、本実施形態の第1始動入賞手段55では、遊技球検出手段112を透明本体板45の前側、即ち第1特別始動口114の下流側直近に配置するとともに、第1特別始動口114の前面側に目隠しとして装飾部115を設けることで遊技球検出手段112が前側から視認困難又は視認不可能となるようにしている。これは、後述するように第1特別始動口114への遊技球の入賞が第1特別図柄表示手段78による図柄変動の開始条件となっていることから、第1特別始動口114から遊技球検出手段112までの距離をむやみに大きくすることができないためである。
【0049】
しかし、遊技領域23を広くするために第1特別始動口114からアウト口110までの距離を十分にとることができない場合もある。その場合は第1特別始動口114に入球した遊技球の上下移動を少なくし、透明本体板45の後側へと流下するようにして、透明本体板45の後側に遊技球検出手段112を配置するようにしても良い。
【0050】
第2始動入賞手段56は、右流下経路72bにおける始動ゲート手段54の下流側で、中央表示枠手段52の右側部における前面装着板52a上に配置されており、図3に示すように、前面装着板52aに形成された第2特別始動口121と、この第2特別始動口121を遊技球が入球可能な開状態と入球不可能(又は開状態よりも入球困難)な閉状態とに変化可能な開閉部材122と、遊技球を検出可能な遊技球検出手段123とを備えている。
【0051】
開閉部材122は例えば下部側に設けられた左右方向の回転軸廻りに揺動可能であり、閉状態では例えば前面装着板52aと略面一となって遊技球が前側を通過可能となり、開状態では前面装着板52aの前側で後ろ下がりの傾斜状となって遊技球を後向きに入球させるようになっている。
【0052】
遊技球検出手段123は、一端側に貫通状の検出部を備えた扁平長方形状の貫通型近接スイッチにより構成されており、第2特別始動口121の下流側近傍に配置されている。また、前面装着板52aには、遊技球検出手段123の前側に対応して装飾部124が形成されている。この装飾部124は、遊技球検出手段123が正面視において視認困難又は視認不可能となるように目隠しとして機能するもので、少なくとも一部が不透明な装飾シート等により形成されている。なお、この装飾部124は、遊技球検出手段123の目隠しとして機能するものであれば装飾シートに限られるものではなく、例えば前面装着板52aの前面側に直接施された凹凸状の装飾であってもよい。
【0053】
このように、本実施形態の第2始動入賞手段56では、遊技球検出手段123を第2特別始動口121の下流側近傍に配置するとともに、その前側の前面装着板52aに目隠しとして装飾部124を設けることで遊技球検出手段123が前側から視認困難又は視認不可能となるようにしている。これは、後述するように第2特別始動口121への遊技球の入賞が第2特別図柄表示手段79による図柄変動の開始条件となっていることから、第2特別始動口121から遊技球検出手段123までの距離をむやみに大きくすることができず、また第2始動入賞手段56に規定個数の遊技球が入球することで開閉部材122を閉状態にする必要があり、規定個数を大幅に超える入球をしないようにするためである。
【0054】
大入賞手段(第2入球手段)57は、右流下経路72bにおける第2始動入賞手段56の下流側にガイドレール51に沿って配置されており、図4図10図13等に示すように、透明本体板45に形成された前後方向貫通状の装着孔131に対して前側から着脱自在に装着される大入賞ユニット(入球ユニット)132により構成されている。
【0055】
大入賞ユニット132は、透明本体板45の前面に沿って装着孔131の周囲に配置される前面装着板133と、その前面装着板133から前側に突出する前構造体134と、前面装着板133から後側に突出する後構造体135とを備えており、後構造体135を装着孔131に対して前側から挿入した状態で、前面装着板133において透明本体板45に対してねじ止め等により固定されている。
【0056】
前構造体134は、透明又は半透明の樹脂製で、その上部に、遊技球を遊技領域23の内側(左側)に向けて案内する傾斜面136が設けられており、その傾斜面136上に、大入賞口(第2入球口)137、普通入賞口138、アウト口139が何れも略上向きの開口状に形成されている。大入賞口137は横長状で、その上流側(右側)に普通入賞口138が、更にその上流側(右側)におけるガイドレール51の近傍にアウト口139が配置されている。傾斜面136の上流側の上部には、遊技球を大入賞口137側、即ち左側に向けて案内する傾斜案内部(第2傾斜案内部)140が、例えば前構造体134に一体に形成されている。
【0057】
なお、前構造体134の前側の前面装飾板(装飾部材)134aは、傾斜面136よりも上側に突出しており、遊技者は前側からこの透明又は半透明の前面装飾板134aを介して傾斜面136上の遊技球の動きを視認可能となっている。また前面装飾板134aには、アウト口139に対応する位置に、「OUT」の文字等により構成されるアウト口識別情報91が表示されており、これによってアウト口であることを認識可能である。
【0058】
また前構造体134には、大入賞口137に入球した遊技球を後向きに案内する入賞案内部141(図11)と、普通入賞口138に入球した遊技球を後向きに案内する入賞樋142(図12)と、アウト口139に入球した遊技球を後向きに案内するアウト樋143(図13)とが設けられている。
【0059】
後構造体135は、透明又は半透明の樹脂製で、図10図13等に示すように、大入賞口137に入球した遊技球を機外へと排出するための入賞球通路144と、普通入賞口138に入球した遊技球を機外へと排出するための入賞球通路145と、アウト口139に入球した遊技球を機外へと排出するためのアウト球通路146とを一体に備えている。
【0060】
入賞球通路144は、上流端側が入賞案内部141に連通し、下流端側が図外の排出通路に連通するように略上下方向に配置されており、その所定位置、例えば上流側端部近傍に、遊技球を検出可能な遊技球検出手段(第2検出手段)147が装着されている。大入賞口137に入球した遊技球は、入賞案内部141により後向きに案内され、遊技球検出手段147に検出された後に入賞球通路144を経て機外へと排出される。
【0061】
また入賞球通路145は、上流端側が入賞樋142に連通し、下流端側が図外の排出通路に連通するように略上下方向に配置されており、その所定位置、例えば上流側端部近傍に、遊技球を検出可能な遊技球検出手段148が装着されている。普通入賞口138に入球した遊技球は、入賞樋142により後向きに案内され、入賞球通路145を経て機外へと排出される途中で遊技球検出手段148により検出される。
【0062】
またアウト球通路146は、上流端側がアウト樋143に連通し、下流端側が図外の排出通路に連通するように略上下方向に配置されている。アウト口139に入球した遊技球は、アウト樋143、アウト球通路146を経て機外へと排出される。
【0063】
なお、本実施形態の大入賞ユニット132は、上述したように傾斜面136の上流端側にアウト口139を設けているため、傾斜面136の上流端側からガイドレール51に沿ってアウト口110に至る球流下経路を設ける必要がない。これにより、大入賞ユニット132をガイドレール51に沿って配置することができ、限られた遊技領域23のスペースをより効率的に使用できる。
【0064】
また後構造体135には、大入賞口137を開閉するための開閉手段149が設けられている。開閉手段149は、大入賞口137に対応する開閉部材151と、この開閉部材151を駆動する開閉駆動手段152とで構成されている。開閉部材151は、大入賞口137に対応する板状部材で、傾斜面136に合わせて左下がりの傾斜状に形成されており、前面装着板133よりも前側に突出する突出位置(図11に実線で示す)と、前面装着板133よりも前側に突出しない退避位置(図11に二点鎖線で示す)との間で前後方向にスライド移動可能な状態で支持されている。なお、開閉部材151が前側の突出位置にあるときには大入賞口137が閉鎖されて遊技球が入球不可能な状態(閉状態)となり、開閉部材151が後側の退避位置にあるときには大入賞口137が開放されて遊技球が入球可能な状態(開状態)となる。
【0065】
開閉駆動手段152は、電磁ソレノイド等により構成され、その可動部152aが図外の連結手段により開閉部材151と連結されており、OFF時には開閉部材151を突出位置に保持することにより大入賞口137を閉状態とし、ON時には開閉部材151を退避位置まで後向きにスライドさせることにより大入賞口137を開状態に変化させるように構成されている。
【0066】
なお、開閉部材151は、不透明な所定色(例えば赤色)の樹脂製で、前側からは透明又は半透明の前面装飾板134aを介して視認可能となっている。このように、透明又は半透明の前構造体134に対して開閉部材151を不透明とすることにより、大入賞口137の位置やその開閉状態を前側から容易に視認可能となっている。また、このように開閉部材151は不透明であることから、大入賞口137の後方下部に配置されている遊技球検出手段147は、遊技者が前斜め上方から見下ろす場合、開閉部材151が閉状態(突出位置)であればその開閉部材151に遮られて視認不可能又は視認困難となるが、開閉部材151が開状態(退避位置)であれば開放された大入賞口137を介して視認可能な状態となる。
【0067】
また、前面装飾板134aには、遊技球検出手段147,148の前側に対応して装飾部153が形成されている。この装飾部153は、遊技球検出手段147,148が正面視において視認困難又は視認不可能となるように目隠しとして機能するもので、少なくとも一部が不透明な装飾シート等により形成されている。なお、この装飾部153は、遊技球検出手段147,148の目隠しとして機能するものであれば装飾シートに限られるものではなく、例えば前面装飾板134aの前面側に直接施された凹凸状の装飾であってもよい。さらに、前面装飾板134aにおける開閉部材151と装飾部153の間の位置を、装飾を施さずに透明にすることで、開閉部材151が閉状態でも、この透明な個所を介して大入賞口137の内部と遊技球検出手段147が視認可能な状態となるようにしてもよい。万が一、開閉部材151が閉鎖した後に大入賞口137の内部にて遊技球が詰まった場合にもこれを視認し、確認できるようにするためである。
【0068】
このように、本実施形態の大入賞手段57(大入賞ユニット132)では、遊技球検出手段147を大入賞口137の近傍に配置するとともに、前面装飾板134aの前面側に目隠しとして装飾部153を設けることで遊技球検出手段147が前側から視認困難又は視認不可能となるようにしている。これは、大入賞口137は、開状態となった後の入賞個数(遊技球検出手段147による検出個数)が所定上限個数に達した場合には閉状態に切り替えるように制御されるため、大入賞口137と遊技球検出手段147との間の距離を普通入賞手段53のように大きくとることができないためである。
【0069】
即ち本実施形態では、上述した普通入賞手段(第1入球手段)53における普通入賞口(第1入球口)87a,87bから遊技球検出手段(第1検出手段)97までの遊技球の移動距離が、上下方向、前後方向、左右方向の少なくとも何れかが、大入賞手段(第2入球手段)57における大入賞口(第2入球口)137から遊技球検出手段(第2検出手段)147までと比較して長くなっており、それによって遊技球検出手段(第1検出手段)97を正面視において視認不能又は視認困難な位置、即ち遊技領域23の外側に配置することが可能となっている。
【0070】
また、大入賞ユニット132には、例えば前構造体134における前面装飾板134aの後側にLED基板154が配置されており、そのLED基板154の前面側に配置されたLED(第2発光手段)154aが点灯することにより、その光が透明本体板45を介することなく前面装飾板134aのアウト口識別情報91や装飾部153に対して後側から照射されるようになっている。
【0071】
これは、普通入賞手段53のように、大入賞ユニット132の後方に後部装飾手段(装飾体)を配置し、後部装飾手段(装飾体)を介して発せられる光により、前面装飾板134aを照射しようとすると、遊技球検出手段147,148、開閉駆動手段152等の電気部品が影となり、見栄えが低下してしまうため、大入賞ユニット132の前面装飾板134aの後側にLED基板154を配置したものである。
【0072】
なお、この大入賞手段57(大入賞ユニット132)に搭載された遊技球検出手段147,148、開閉駆動手段152、LED基板154等の電気部品から引き出されたハーネス155は、後構造体135の後側を経て遊技領域23の外側に向けて配設されており、しかも上述したように大入賞ユニット132とガイドレール51との間には球流下経路が設けられていないため、透明本体板45を用いているにも拘わらずハーネス155を前側から視認困難又は視認不可能な状態で配置することが可能である。
【0073】
可動演出手段59は、図3図5図10に示すように、可動体161と、この可動体161を例えば上下方向に駆動する駆動手段162とを備えている。可動体161は、液晶表示手段58の前側に横長状に配置され、その前面側には例えば任意の形状(ここでは飛行機をモチーフにした立体形状)に形成された装飾部161aが設けられており、その左右両端側が、液晶表示手段58の左右両側に対応して後壁部62の前面側に装着された一対の駆動手段162,162によって夫々上下方向に移動可能な状態で支持されている。
【0074】
可動体161には、装飾部161a内にLED基板163が配置されており、そのLED基板163の前面側に配置されたLED163aが点灯することによって装飾部161aが発光するようになっている。
【0075】
普通図柄表示手段76は、普通図柄を変動表示するためのもので、複数個の普通図柄(例えば「○」「×」の2種類)に対応する複数個の発光体(例えばLED)を備え、右流下経路72bを流下する遊技球が普通図柄始動ゲート104を通過し、遊技球検出手段103がそれを検出することに基づいて複数の発光体が所定順序で発光するように点滅して、遊技球検出手段103による遊技球検出時に取得された普通乱数情報に含まれる当り判定乱数値が予め定められた当り判定値と一致する場合には当り態様(所定態様)に対応する例えば「○」側の発光体が点灯し、それ以外の場合には外れ態様に対応する例えば「×」側の発光体が点灯して停止する。普通図柄表示手段76の変動後の停止図柄が当り態様となった場合には普通利益状態が発生する。普通利益状態では、第2始動入賞手段56の開閉部材122が所定時間閉状態から開状態に変化して、第2特別始動口121に遊技球が入球可能な状態となる。
【0076】
また、普通図柄表示手段76の図柄変動中と普通利益状態中とを含む普通保留期間中に普通図柄始動ゲート104を遊技球が通過した場合には、それによって取得された普通乱数情報が予め定められた上限保留個数、例えば4個を限度として保留記憶され、普通保留期間が終了する毎に1個ずつ消化されて普通図柄の変動が行われる。普通乱数情報の記憶個数(普通保留個数)は、普通保留個数表示手段77等によって遊技者に報知される。
【0077】
第1特別図柄表示手段78は、1個又は複数個、例えば1個の第1特別図柄を変動表示可能な7セグメント式等の表示手段により構成されており、第1特別始動口114に遊技球が入球し、遊技球検出手段112がそれを検出することを条件に第1特別図柄を所定時間変動表示して、遊技球検出手段112による遊技球検出時に取得された第1特別乱数情報に含まれる大当り判定乱数値が予め定められた大当り判定値と一致する場合には第1大当り態様で、それ以外の場合には第1外れ態様で夫々停止するようになっている。第1特別図柄表示手段78の変動後の停止図柄が第1大当り態様となった場合には第1特別利益状態が発生する。
【0078】
なお、第1特別始動口114は、左流下経路72a側のワープ入口71aからステージ71を経て入球するルートが存在すること等により、右流下経路72bを流下してきた遊技球よりも左流下経路72aを流下してきた遊技球の方が高い確率で入球可能となっている。
【0079】
第2特別図柄表示手段79は、1個又は複数個、例えば1個の第2特別図柄を変動表示可能な7セグメント式等の表示手段により構成されており、普通利益状態中に開状態となった第2特別始動口121に遊技球が入球し、遊技球検出手段123がそれを検出することを条件に第2特別図柄を所定時間変動表示して、遊技球検出手段123による遊技球検出時に取得された第2特別乱数情報に含まれる大当り判定乱数値が予め定められた大当り判定値と一致する場合には第2大当り態様で、それ以外の場合には第2外れ態様で夫々停止するようになっている。第2特別図柄表示手段79の変動後の停止図柄が第2大当り態様となった場合には第2特別利益状態が発生する。
【0080】
また、第1特別図柄表示手段78の図柄変動中、第2特別図柄表示手段79の図柄変動中及び第1,第2特別利益状態中を含む特別保留期間中に第1,第2特別始動口114,121に遊技球が入球した場合には、それによって取得された第1,第2特別乱数情報が夫々予め定められた上限保留個数、例えば各4個を限度として保留記憶される。そして、特別保留期間が終了した時点で第2特別図柄側の保留記憶が1以上の場合(第2特別図柄に関する図柄変動開始条件が成立した場合)にはその第2特別図柄の保留記憶が消化されて第2特別図柄の変動が行われ、第1特別図柄側の保留記憶のみが1以上の場合(第1特別図柄に関する図柄変動開始条件が成立した場合)にはその第1特別図柄の保留記憶が消化されて第1特別図柄の変動が行われる。このように本実施形態では、第1特別図柄と第2特別図柄とが共に変動中になることはなく、また第1特別図柄側と第2特別図柄側との両方に保留記憶がある場合には、第2特別図柄の変動が優先的に行われるようになっている。なお、第1,第2特別乱数情報の記憶個数(第1,第2特別保留個数)は、液晶表示手段58等によって遊技者に報知される。
【0081】
第1,第2特別図柄表示手段78,79の第1,第2特別図柄が変動後に第1,第2大当り態様で停止することによって第1,第2特別利益状態が発生した場合には、大入賞手段57の開閉部材151が所定の開放パターンに従って開放して、傾斜面136上を流下する遊技球を大入賞口137内へと入球させるようになっている。
【0082】
ここで、開閉部材151の開放パターンは、所定の単位開放動作を5R、10R等の所定ラウンド数実行するように構成されている。ここで、単位開放動作とは、大入賞口137を開放(通常状態から特定状態へ切り替え)してから所定上限時間(例えば28秒)が経過するか、それまでに所定上限個数(例えば9個)の遊技球が入賞することを条件に大入賞口137を閉鎖(特定状態を終了)する動作である。このように、大入賞口137の開放中(特定状態中)における大入賞口137への遊技球の入賞個数が所定上限個数に達した場合には大入賞口137を閉鎖(特定状態を終了)するように制御されるため、大入賞手段57では、大入賞口137から遊技球検出手段147までの距離をむやみに大きくすることができず、大入賞口137の下流側近傍に遊技球検出手段147を配置している。
【0083】
また液晶表示手段58には、図3に示すように、第1,第2特別図柄表示手段78,79による第1,第2特別図柄の変動表示と並行して演出図柄171が変動表示される他、第1,第2特別保留個数を示す第1,第2保留表示画像X1~X4,Y1~Y4等の各種画像が表示されるようになっている。
【0084】
ここで演出図柄171は、1~9の数字等で構成される図柄画像171aと、キャラクタその他の装飾画像171bとの結合で構成され、左右方向に複数列、例えば3列で夫々変動可能であり、第1,第2特別図柄の変動開始と略同時に所定の変動パターンに従って縦スクロール等による変動を開始すると共に、第1,第2特別図柄の変動停止と略同時に最終停止するように、左、右、中等の所定の順序で停止するようになっている。なお演出図柄171では、例えば全て同じ図柄で揃った場合が大当り演出態様、それ以外が外れ演出態様となっており、第1,第2特別図柄が第1,第2大当り態様となる場合には演出図柄171は大当り演出態様となり、第1,第2特別図柄が第1,第2外れ態様となる場合には演出図柄171は外れ演出態様となる。
【0085】
図14は本パチンコ機の制御系のブロック図である。図14において、主制御基板181は遊技動作を統括的に制御するもので、普通図柄表示手段76、第1,第2特別図柄表示手段78,79等の表示手段の他、普通図柄始動ゲート104、第1,第2特別始動口114,121、大入賞口137、普通入賞口87a,87b,138に対応して設けられた遊技球検出手段103,112,123,147,97,148等が接続されている。
【0086】
また主制御基板181の下位には、演出制御基板182、液晶制御基板183、払出制御基板184、発射制御基板185等の各種制御基板が接続されている。演出制御基板182は、主制御基板181からの制御コマンドに基づいて演出制御を行うもので、電飾手段186、スピーカ18,25、可動演出手段59等の各種演出手段の他、演出ボタン34、十字操作手段35等の操作手段が接続されている。なお、電飾手段186は、LED基板99,154,163等、前枠3や遊技盤16に配置された各種発光手段により構成されている。
【0087】
液晶制御基板183は、演出制御基板182からの制御コマンドに基づいて液晶表示手段58を制御するものである。また払出制御基板184は、主制御基板181からの制御コマンドに基づいて払い出し手段28を制御するもので、その下位に発射制御基板185が接続されている。発射制御基板185は、払出制御基板184からの発射制御信号、発射ハンドル32からの操作信号等に基づいて発射手段17を制御するようになっている。発射制御基板185は例えば発射手段17の裏側等に配置されている。
【0088】
主制御基板181は、CPU,ROM,RAM等により構成される普通乱数作成処理手段191、普通始動口チェック処理手段192、普通乱数記憶手段193、普通図柄処理手段194、普通図柄表示制御手段195、普通利益状態発生手段196、特別乱数作成処理手段197、特別始動口チェック処理手段198、特別乱数記憶手段199、特別図柄処理手段200、特別図柄表示制御手段201、特別利益状態発生手段202、特別遊技状態発生手段203、入賞処理手段204、制御コマンド送信手段205等を備えている。
【0089】
普通乱数作成処理手段191は、変動後の普通図柄を当り態様とするか否かの判定に用いる当り判定乱数等を所定時間毎に繰り返し発生するように構成されている。普通始動口チェック処理手段192は、普通図柄始動ゲート104による遊技球の検出に基づく処理を行うもので、遊技球が普通図柄始動ゲート104を通過し、遊技球検出手段103がそれを検出することに基づいて、普通乱数作成処理手段191で作成された当り判定乱数値等の普通乱数情報を取得し、その普通乱数情報を予め定められた上限保留個数(例えば4個)を限度として先入れ先出し式の普通乱数記憶手段193に記憶させるように構成されている。
【0090】
普通図柄処理手段194は、普通図柄の変動表示に関する処理を行うもので、普通図柄表示手段76が変動表示可能な状態となり且つ普通乱数記憶手段193に1個以上の当り判定乱数値が記憶されていること(普通保留個数が1以上であること)を条件に、普通乱数記憶手段193に記憶されている普通乱数情報の待ち行列の先頭から当り判定乱数値を取り出し、その当り判定乱数値が予め定められた当り判定値と一致するか否かに応じて当り/外れの判定を行う当り判定機能、当り/外れの判定結果に基づいて普通図柄の変動後の停止図柄の種類を選択する普通停止図柄選択機能、普通図柄の変動時間を選択する変動時間選択機能等を備えている。
【0091】
なお本実施形態では、後述する特別遊技状態中(時短状態中及び確変状態中)の当り確率(例えば1/1.3)がそれ以外の通常遊技状態中の当り確率(例えば1/10)よりも高く設定され、また特別遊技状態中における変動時間(例えば2.7秒)が通常遊技状態中における変動時間(例えば27秒)よりも短くなるように設定されている。
【0092】
普通図柄表示制御手段195は、普通図柄処理手段194による普通図柄処理に基づいて普通図柄表示手段76の表示制御を行うもので、普通図柄表示手段76が変動表示可能な状態となり且つ普通乱数記憶手段193に1個以上の普通乱数情報が記憶されていること(普通保留個数が1以上であること)を条件に普通図柄表示手段76による普通図柄の変動を開始させ、普通図柄処理手段194で選択された変動時間が経過することに基づいて、同じく普通図柄処理手段194で選択された停止図柄で普通図柄の変動を停止させるようになっている。
【0093】
普通利益状態発生手段196は、普通図柄処理手段194による当り判定の結果が当りとなることに基づいて普通図柄表示手段76の変動後の停止図柄が当り態様となった場合に、第2特別始動口121の開閉部材122が例えば複数種類の開閉パターンの何れかに従って開状態に変化する普通利益状態を発生させるようになっている。本実施形態では、通常開閉パターン(例えば0.2秒×1回開放)と、この通常開閉パターンよりも開放時間が大となるように設定された延長開閉パターン(例えば2秒×3回開放)の2種類の開閉パターンが設定されており、通常遊技状態中は通常開閉パターンが、特別遊技状態中は延長開閉パターンが夫々選択されるようになっている。
【0094】
特別乱数作成処理手段197は、大当り/外れの判定に用いる大当り判定乱数、特別図柄の変動後の停止図柄等の選択に用いる図柄判定乱数、変動パターンの選択に用いる変動パターン乱数、その他の所定の乱数を繰り返し発生する特別乱数作成処理を行うように構成されている。
【0095】
特別始動口チェック処理手段198は、第1,第2特別始動口114,121への遊技球の入賞に基づく処理を行うもので、第1,第2特別始動口114,121の何れかに遊技球が入賞することに基づいて、特別乱数作成処理手段197で作成された大当り判定乱数値、大当り図柄乱数値等の第1,第2特別乱数情報を取得し、その第1,第2特別乱数情報を予め定められた上限保留個数(例えば4個)を限度として特別乱数記憶手段199に記憶させると共に、増加後の第1,第2特別保留個数等を指定する第1,第2保留増加コマンドを制御コマンド送信手段205を介して演出制御基板182に送信するように構成されている。
【0096】
また、特別始動口チェック処理手段198は先読み判定手段198aを備えている。この先読み判定手段198aは、第1,第2特別始動口114,121に遊技球が入賞したときに取得される第1,第2特別乱数情報について、例えばその取得時に、第1,第2特別乱数情報に含まれる大当り判定乱数値が第1,第2大当り判定値と一致するか否か等について先読み判定を行うようになっている。この先読み判定結果は、例えば第1,第2特別始動口114,121の何れかに遊技球が入賞することに基づいて送信される保留増加コマンドにより演出制御基板182等に伝達される。
【0097】
特別図柄処理手段200は、第1,第2特別図柄の変動表示に関する処理を行うもので、第1,第2特別図柄表示手段78,79が変動表示可能な状態となったときに、第2特別保留個数が1以上であれば第2特別乱数情報の待ち行列から、第1特別保留個数のみが1以上であれば第1特別乱数情報の待ち行列からその先頭の大当り判定乱数値を取り出し、その大当り判定乱数値が予め定められた大当り判定値と一致するか否かに応じて大当り/外れの判定を行う大当り判定機能、大当り判定の結果に応じて、第1,第2特別乱数情報に含まれる大当り図柄乱数値等に基づいて第1,第2特別図柄の変動後の停止図柄を選択する特別停止図柄選択機能、大当り判定の結果に応じて、第1,第2特別図柄の変動パターンを複数種類の中から選択する変動パターン選択機能等を備えている。
【0098】
また第1,第2特別図柄の変動開始時には、減少後の第1,第2特別保留個数等を指定する第1,第2保留減少コマンド、演出図柄171の変動パターンを指定する変動パターンコマンド、第1,第2特別図柄の停止図柄を指定する図柄指定コマンド等が制御コマンド送信手段205を介して演出制御基板182に送信される。一方、第1,第2特別保留個数が共に0の状態で第1,第2特別図柄の変動が終了する等により第1,第2特別図柄の変動待機状態となった場合には、客待ちデモコマンドが制御コマンド送信手段205を介して演出制御基板182に送信される。
【0099】
特別図柄表示制御手段201は、第1,第2特別図柄表示手段78,79の表示制御を行うもので、特別図柄処理手段200による特別図柄処理に基づいて、第1特別図柄表示手段78又は第2特別図柄表示手段79による第1,第2特別図柄の変動を開始させると共に、選択された変動パターンに対応する変動時間が経過することに基づいて、選択された停止図柄で第1,第2特別図柄の変動を停止させるようになっている。なお、第1,第2特別図柄の変動終了時には、演出図柄171の変動停止を指示する変動停止コマンドが制御コマンド送信手段205を介して演出制御基板182に送信される。
【0100】
特別利益状態発生手段202は、遊技者に有利な第1,第2特別利益状態を発生させるためのもので、特別図柄処理手段200による大当り判定の結果が大当りとなり、第1,第2特別図柄の変動後の停止図柄が第1,第2大当り態様(特定態様)となった場合に、大入賞口137を所定の開放パターンに従って開放する第1,第2特別利益状態(利益状態)を発生させるように構成されている。
【0101】
特別遊技状態発生手段203は、第1,第2特別利益状態の終了後に遊技者に有利な特別遊技状態を発生させるためのもので、第1,第2特別乱数情報に含まれる大当り判定乱数値が大当り判定値と一致した場合の大当り図柄乱数値に応じて例えば時短状態と確変状態との何れかの特別遊技状態を発生させるように構成されている。
【0102】
時短状態中は、例えば第1,第2特別図柄の変動時間が通常変動時間よりも短い短縮変動時間に切り換えられる他、普通図柄が当り態様となる確率が通常確率(例えば1/10)から高確率(例えば1/1.3)へ、普通図柄の変動時間が通常変動時間(例えば27秒)から短縮変動時間(例えば2.7秒)へ、第2特別始動口121の開閉パターンが通常開閉パターン(例えば0.2秒×1回開放)から延長開閉パターン(例えば2秒×3回開放)へ、夫々切り換えられるようになっている。なお、時短状態は第1,第2特別利益状態の終了後に開始し、次の特別利益状態が発生するか、それまでに第1,第2特別図柄が所定回数(例えば50回)変動した時点で終了する。
【0103】
確変状態中は、第1,第2特別図柄が第1,第2大当り態様となる確率が通常確率(例えば1/350)よりも高い高確率(例えば1/35)に切り換えられるようになっている。また、確変状態中は、原則として時短状態と同様の切り換えも併せて行われる。なお、確変状態は第1,第2特別利益状態の終了後に開始し、次の特別利益状態が発生した時点で終了するが、第1,第2特別図柄の変動回数等の他の終了条件を付加してもよい。
【0104】
入賞処理手段204は、各入賞口、即ち普通入賞口87a,87b,138、第1,第2特別始動口114,121、大入賞口137への遊技球の入賞による賞球払い出しに関する処理を行うもので、例えばそれら入賞口87a、87b、138,114,121,137毎の入賞個数を、遊技球検出手段97,148,112,123,147からの検出信号に基づいてカウントし、その入賞口毎の入賞個数のカウント値と、入賞口毎に設定された賞球個数とに基づいて、例えば一入賞毎に払出個数指定コマンドを制御コマンド送信手段205を介して払出制御基板184に送信するようになっている。
【0105】
また入賞処理手段204は異常入賞判定手段204aを備えている。異常入賞判定手段204aは、ゴト行為等が疑われる異常入賞を判定するためのもので、各入賞口87a,87b,138,114,121,137に対応して設けられた遊技球検出手段97,148,112,123,147からの検出信号に基づいて異常入賞判定を行うように構成されている。この異常入賞判定手段204aで異常入賞と判定された場合には、エラー報知その他のエラー処理が実行される。なお本実施形態では、始動ゲート手段(第3入球手段)54に関しては、遊技球検出手段(第3検出手段)103からの検出信号に基づく異常判定は行わない。
【0106】
本実施形態では、普通入賞手段(第1入球手段)53に設けられた普通入賞口87a,87bへの入賞に関する第1異常入賞判定と、大入賞手段(第2入球手段)57に設けられた大入賞口137への入賞に関する第2異常入賞判定として、それぞれ次のような処理を行うようになっている。
【0107】
即ち、第1異常入賞判定(第1異常検出判定)では、遊技状態に拘わらず、所定時間に所定回数以上の入賞検出があった場合に異常と判定する。普通入賞口87a,87bの場合にはどのような遊技状態でも入賞の可能性があるため、1回の入賞検出では異常を判定することはできず、複数回の入賞検出によって異常を判定するようになっている。
【0108】
この第1異常入賞判定の一つの具体例としては、4ms毎のタイマ割込において、普通入賞口87a,87bに対応する遊技球検出手段97がONであるか否かを判定し、ONであれば異常判定カウンタをインクリメント(+1)し、OFFであれば異常判定カウンタを0クリアするとともに、その異常判定カウンタが250(所定値)に達した場合、即ち1000ms(タイマ割込250回)連続で遊技球検出手段97がONであった場合に異常と判定する。また、第1異常入賞判定の他の具体例としては、遊技球検出手段97がONになったことを契機として、タイマによる所定時間の計時(例えば5000msのタイマのカウントダウン)と、遊技球検出手段97がONになった回数のカウントとを開始し、タイマによる所定時間の計時中にカウント値が10回(所定回数)を超えた場合に異常と判定する。
【0109】
なお本実施形態の普通入賞手段53では、遊技球検出手段97が前側から視認不可能又は視認困難な位置に配置されているため、遊技球検出手段97に対するゴト行為を目視で確認することが難しい可能性があることから、上述のように異常入賞判定を常時行うことが有効である。
【0110】
また、第2異常入賞判定(第2異常検出判定)では、特別利益状態(特定状態)を含む特定期間中でない場合に大入賞口137に対応する遊技球検出手段147がONになった場合に異常と判定する。特定期間は、特別利益状態の開始時に開始され、特別利益状態の終了後、入賞有効時間が経過した時点で終了する。入賞有効時間とは、特別利益状態中に大入賞口137に入賞した遊技球が全て遊技球検出手段147を通過するまでに必要な時間であって、30秒等の所定時間に設定される。大入賞口137については、正規の入賞によって遊技球検出手段147がONになるのは特定期間中に限られるから、特定期間中以外で遊技球検出手段147が一回でもONになった場合にはその時点で異常と判断できる。即ち、普通入賞口の場合と比べて少ない回数の入賞検出によって異常を判定することが可能である。
【0111】
制御コマンド送信手段205は、各種制御コマンドを演出制御基板182等の制御基板に送信して制御指令を与えるためのものである。
【0112】
以上説明したように、本実施形態のパチンコ機では、普通入賞手段(第1入球手段)53が、透明本体板45に対して前側から装着され且つ少なくとも一部が透明又は半透明に形成された前側部材82と、透明本体板45の後側に装着される後側部材83とを備え、遊技領域23を流下してきた遊技球が入球可能な普通入賞口(第1入球口)87a,87bを前側部材82に配置し、普通入賞口87a,87bに入球した遊技球を検出可能な遊技球検出手段(第1検出手段)97を、後側部材83における、正面視において視認不能又は視認困難な位置に配置しているため、いわゆる透明遊技盤を採用するにあたり、普通入賞口87a,87bに入球した遊技球を検出する遊技球検出手段97について前側からの視認性を抑制することで見栄えの低下を解消することが可能である。
【0113】
また、遊技盤16は、透明本体板45に対して前側から装着される大入賞ユニット(入球ユニット)132よりなる大入賞手段(第2入球手段)57を有し、大入賞ユニット132に、大入賞口(第2入球口)137と、遊技領域23を流下してきた遊技球が大入賞口137に入球可能な開状態と開状態よりも入球困難又は入球不可能な閉状態とに変化可能な開閉部材151と、大入賞口137に入球した遊技球を検出可能な遊技球検出手段(第2検出手段)147とを配置し、普通入賞手段53における普通入賞口87a,87bから遊技球検出手段97までの上下方向距離を、大入賞手段57における大入賞口137から遊技球検出手段147までの上下方向距離よりも長くすることにより、遊技球検出手段97を正面視において視認不能又は視認困難な位置に配置している。
【0114】
また、大入賞手段57は、開閉部材151を閉状態に維持する通常状態と、開閉部材151を開状態に変化させる特定状態とに切り替え可能であり、特定状態中に遊技球検出手段147による遊技球の検出個数が所定上限個数に達した場合に特定状態を終了するように構成されている。
【0115】
また、遊技球検出手段97を、透明本体板45の後側における遊技領域23の外側に対応する位置に配置している。
【0116】
また、前側部材82は、普通入賞口87a,87bの上流側に、遊技球を普通入賞口87a,87b側に案内する傾斜案内部(第1傾斜案内部)92を備え、大入賞ユニット132は、大入賞口137の上流側に、遊技球を大入賞口137側に案内する傾斜案内部(第2傾斜案内部)140を備えている。
【0117】
また、普通入賞手段53は、一つの遊技球検出手段97に対して複数の普通入賞口87a,87bを備え、それら複数の普通入賞口87a,87bから一つの遊技球検出手段97に向けて遊技球を案内する入賞球通路(球通路)93における合流部96を、正面視において視認不能又は視認困難な位置に配置している。
【0118】
また、大入賞手段57の遊技球検出手段147を、前面装飾板(装飾部材)134aに設けた装飾部153の後方に、正面視において視認不能又は視認困難な状態で配置している。
【0119】
また、遊技球検出手段147を、開閉部材151が開状態のときに大入賞口137を介して視認可能な位置に配置している。また、不透明に形成された開閉部材151を、前面装飾板134aを介して前側から視認可能としている。
【0120】
また、始動ゲート手段(第3入球手段)54は、透明本体板45に対して前側から装着される始動ゲート本体部(前構造体)102に、遊技領域23内で遊技球が通過可能に構成され且つ前側に装飾部(第3装飾部)106が設けられた普通図柄始動ゲート(ゲート部)104と、普通図柄始動ゲート104を通過する遊技球を検出可能な遊技球検出手段(第3検出手段)103とを配置し、遊技球検出手段103を普通図柄始動ゲート104における装飾部106の後方に配置することにより、前側から視認不能又は視認困難な状態としている。
【0121】
また、普通入賞手段53に関しては、時間経過と遊技球検出手段97による検出数とに基づく第1異常検出判定を実行し、大入賞手段57に関しては、開閉部材151を開状態に変化させる特定状態を含む特定期間中でない場合における遊技球検出手段147による検出に基づく第2異常検出判定を実行し、始動ゲート手段54に関しては遊技球検出手段103の検出に基づく異常検出判定を行わないようになっている。
【0122】
また、透明本体板45の後側に配置された後部装飾手段(装飾体)60を介して発せられる光によって透明本体板45を介して前側部材82を発光させることが可能であり、大入賞ユニット132に設けられたLED(発光手段)154aからの光によって透明本体板45を介することなく前面装飾板134aを発光させることが可能となっている。
【0123】
また、大入賞ユニット132にアウト口139を設けるとともに、前面装飾板134aにアウト口を示すアウト口識別情報(識別情報)91を表示し、LED154aからの光がアウト口識別情報91を照射するようになっている。
【0124】
図15図16は本発明の第2の実施形態を例示し、第1の実施形態を一部変更して、普通入賞手段53における遊技球検出手段97を正面視における遊技領域23内に対応する位置に配置するとともに、透明本体板45における遊技球検出手段97の前側に対応する位置に装飾部211を配置した例を示している。
【0125】
本実施形態の普通入賞手段53は、普通入賞口87a,87b、アウト口88等を前側部材82に、入賞球通路93、遊技球検出手段97等を後側部材83に夫々配置する点については第1の実施形態と同様であるが、入賞球通路93の形状及び遊技球検出手段97の配置位置が第1の実施形態とは異なっている。
【0126】
即ち、入賞球通路93は、合流部96を含めてその略全体が正面視における遊技領域23内に対応して配置されており、またその入賞球通路93上に配置される遊技球検出手段97についても、正面視における遊技領域23内に対応する位置に配置されている。
【0127】
また本実施形態では、透明本体板45における、遊技球検出手段97及び入賞球通路93の合流部96の前側に対応する位置に装飾部211が形成されている。この装飾部211は、遊技球検出手段97等が正面視において視認困難又は視認不可能となるように目隠しとして機能するもので、少なくとも一部が不透明な装飾シート等により形成されている。なお、この装飾部211は、遊技球検出手段97等の目隠しとして機能するものであれば装飾シートに限られるものではなく、例えば透明本体板45の前面側に直接施された凹凸状の装飾であってもよい。透明部分であっても、そこに凹凸を形成して光を乱反射させれば目隠しとして機能させることが可能である。なお本実施形態では、装飾部211を透明本体板45の前面側に設けているが、背面側に設けてもよい。
【0128】
このように、透明本体板45に設けた装飾部211の後側に遊技球検出手段97を配置することで、遊技球検出手段97を遊技領域23内に対応する位置に配置した場合であっても正面視において視認不可能又は視認困難とすることが可能である。なお、本実施形態では装飾部211を透明本体板45に設けた例を示したが、装飾部211は前側部材82の前壁部84等、透明本体板45の前側に配置した部材に設けてもよいし、入賞球通路93の前面側等、透明本体板45の後側に配置した部材に設けてもよい。
【0129】
図17図18は本発明の第3の実施形態を例示し、第1の実施形態を一部変更して、透明本体板45の後側に設けた可動体221からの光によって普通入賞手段53の前側部材82を発光させるように構成した例を示している。なお、本実施形態が第1の実施形態と異なるのは、新たな可動演出手段220を設けた点のみである。
【0130】
本実施形態の遊技盤16には、透明本体板45の後側に可動演出手段59とは別に可動演出手段220が配置されている。この可動演出手段220は、可動体221と、この可動体221を例えば揺動駆動する駆動手段222とを備えている。可動体221は、その前面側に透光性を有する樹脂製の装飾板223が、内部にはLED基板224がそれぞれ配置されており、駆動手段222の駆動により、略全体が中央表示枠手段52による表示枠の外側に退避した状態となる原点位置(図17に破線で示す)と、少なくとも一部分が中央表示枠手段52による表示枠内に進出する作動位置(図17に二点鎖線で示す)との間で揺動可能に支持されている。
【0131】
なお、可動体221が原点位置にあるとき、その可動体221の少なくとも一部が、普通入賞手段53の後側に重なった状態となる。これにより、可動体221が原点位置にあるときにLED基板224の前面側のLED224aが点灯すると、それによって装飾板223が発光し、更にその装飾板223からの光が、後側部材83や透明本体板45を介してその前側の前側部材82を後側から照らすようになっている。なお、前側部材82を後側から照らすのは可動体221からの光だけでなく、第1の実施形態と同様、後部装飾手段60からの光についても前側部材82の一部を後側から照らすようになっている。
【0132】
このように、透明本体板45の後側に配置した可動体221からの光によって普通入賞手段53の前側部材82を後側から照らすように構成してもよい。
【0133】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、実施形態では大入賞口(第2入球口)137を開閉する開閉部材151をスライド式とした例を示したが、開閉部材151はスライド式に限られるものではなく、下部側の横軸廻りに揺動する形式、その他の任意の開閉部材を用いることが可能である。また、大入賞手段(第2入球手段)57の配置位置は任意であり、例えば遊技領域23の左右方向略中央における下部側に配置してもよい。同様に、始動ゲート手段54、第1始動入賞手段55、第2始動入賞手段56等の配置位置も任意である。
【0134】
実施形態の普通入賞手段(第1入球手段)53では、二つの普通入賞口(第1入球口)87a,87bに対して一つの遊技球検出手段97を配置した例を示したが、三つ以上の普通入賞口に対して一つの遊技球検出手段を配置してもよいし、普通入賞口毎に一つの遊技球検出手段を配置してもよい。
【0135】
実施形態では、普通入賞手段53を構成する後側部材83を後部装飾手段60と一体に設けた例を示したが、図19に示すように、後側部材83を後部装飾手段60とは別に設けてもよい。また、実施形態では後部装飾手段60のLED基板99を後側部材83を避けて配置した例を示したが、図20に示すように、後部装飾手段60のLED基板99を、その一部が後側部材83における入賞球通路93等の後側に位置するように配置してもよい。この場合、入賞球通路93とアウト球通路94を、前側部材82と同様、少なくとも一部、例えば全体が透明又は半透明となるように形成する方が、入賞球通路93とアウト球通路94と透明本体板45とを介して前側部材82を効果的に発光させることができる。
【0136】
上述した実施形態はどのように組み合わせてもよい。例えば、第3の実施形態は第1の実施形態を一部変更する形で例示したが、第2の実施形態を一部変更して第3の実施形態のように構成してもよい。
【0137】
また、本発明はパチンコ機に限らず、アレンジボール機、雀球遊技機等の他の遊技機においても同様に実施することが可能である。
【符号の説明】
【0138】
16 遊技盤
23 遊技領域
45 透明本体板
53 普通入賞手段(第1入球手段)
57 大入賞手段(第2入球手段)
82 前側部材
83 後側部材
87a 普通入賞口(第1入球口)
87b 普通入賞口(第1入球口)
97 遊技球検出手段(第1検出手段)
132 大入賞ユニット(入球ユニット)
134a 前面装飾板(装飾部材)
137 大入賞口(第2入球口)
147 遊技球検出手段(第2検出手段)
151 開閉部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20