(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20231011BHJP
G02F 1/13363 20060101ALI20231011BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
G02B5/30
G02F1/13363
G02F1/13357
(21)【出願番号】P 2021141466
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】坂井 彰
(72)【発明者】
【氏名】川平 雄一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 雅浩
(72)【発明者】
【氏名】三枝 良輔
【審査官】吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/090769(WO,A1)
【文献】特開2009-053431(JP,A)
【文献】国際公開第2011/030596(WO,A1)
【文献】特開2007-199366(JP,A)
【文献】国際公開第2018/221413(WO,A1)
【文献】特開2010-211232(JP,A)
【文献】特開2007-264401(JP,A)
【文献】国際公開第2020/077319(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
G02F 1/13363
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察面側から背面側に向かって順に、
観察面側偏光子と、位相差板と、背面側偏光子と、を順に備え
る光学素子と、
前記光学素子が備える前記観察面側偏光子の観察面側に配置された液晶パネルと、
前記液晶パネルの観察面側に配置された偏光子と、を備え、
前記背面側偏光子は、反射型偏光子であり、
前記観察面側偏光子の透過軸と前記背面側偏光子の透過軸とは平行であり、
前記位相差板の背面側の面における光軸と前記背面側の面とのなす角度をθ1、前記位相差板の観察面側の面における光軸と前記観察面側の面とのなす角度をθ2とするとき、
前記角度θ1は、前記角度θ2と同じ角度であり、
前記角度θ1と前記角度θ2との平均角度θは、0°を超え、90°未満
であり、
前記液晶パネルの画面の水平右方向を方位0°とし、反時計回りを正の角度、時計回りを負の角度とするとき、
前記位相差板の前記背面側の面における前記光軸の方位、及び、前記位相差板の前記観察面側の面における前記光軸の方位は、90°±3°であることを特徴とする
液晶表示装置。
【請求項2】
観察面側から背面側に向かって順に、
観察面側偏光子と、位相差板と、背面側偏光子と、を順に備え
る光学素子と、
前記光学素子が備える前記観察面側偏光子の観察面側に配置された液晶パネルと、
前記液晶パネルの観察面側に配置された偏光子と、を備え、
前記背面側偏光子は、反射型偏光子であり、
前記観察面側偏光子の透過軸と前記背面側偏光子の透過軸とは平行であり、
前記位相差板の背面側の面における光軸と前記背面側の面とのなす角度をθ1、前記位相差板の観察面側の面における光軸と前記観察面側の面とのなす角度をθ2とするとき、
前記角度θ1は、前記角度θ2と異なる角度であり、
前記角度θ1と前記角度θ2との平均角度θは、0°を超え、90°未満
であり、
前記液晶パネルの画面の水平右方向を方位0°とし、反時計回りを正の角度、時計回りを負の角度とするとき、
前記位相差板の前記背面側の面における前記光軸の方位、及び、前記位相差板の前記観察面側の面における前記光軸の方位は、90°±3°であることを特徴とする
液晶表示装置。
【請求項3】
前記平均角度θは、40°以上、80°以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の
液晶表示装置。
【請求項4】
前記平均角度θは、50°以上、70°以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の
液晶表示装置。
【請求項5】
前記角度θ1は、前記角度θ2より大きい角度であることを特徴とする請求項
2に記載の
液晶表示装置。
【請求項6】
前記角度θ1と前記角度θ2との差は、60°以上、80°以下であることを特徴とする請求項
2に記載の
液晶表示装置。
【請求項7】
前記位相差板の前記背面側の面における前記光軸の方位は、前記位相差板の前記観察面側の面における前記光軸の方位と平行であり、かつ、前記観察面側偏光子の前記透過軸と
直交であることを特徴とする請求項1~
6のいずれかに記載の
液晶表示装置。
【請求項8】
前記位相差板の前記背面側の面における前記光軸の方位は、前記位相差板の前記観察面側の面における前記光軸の方位と平行であり、かつ、前記観察面側偏光子の前記透過軸と平行であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記位相差板は、重合性液晶の硬化物を含有することを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の
液晶表示装置。
【請求項10】
前記観察面側偏光子は、反射型偏光子であることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の
液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、光学素子及びそれを備える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、通常、液晶パネル、バックライトとともに、偏光板、位相差板等の光学素子を含んで構成される。液晶表示装置は、その優れた表示特性から、モニター、プロジェクタ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)等の電子機器に幅広く利用されている。
【0003】
また、偏光板及び位相差板等の光学素子を用いてバックライトから放射される光の視野角特性を制御する技術が知られている。具体的には、例えば、特許文献1には、第一偏光子、複屈折層及び第二偏光子を備える光学素子であって、前記第一偏光子、前記複屈折層及び前記第二偏光子は、この順に積層され、前記第一偏光子の透過軸と、前記第二偏光子の透過軸とは、互いに平行であり、前記複屈折層の2軸性パラメータNZは、10≦NZ、又は、NZ≦-9を満たし、前記複屈折層の厚み方向位相差の絶対値|Rth|は、|Rth|≧200nmを満たす光学素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液晶表示装置は、一般にコントラスト(CR)が低く、特に暗い画像を表示したときに黒が黒く感じられないという点で改善の余地がある。
【0006】
この理由は、以下のとおりである。
図16は、従来の液晶表示装置の黒表示状態における透過率視野角の一例を示す図である。液晶表示装置が備える液晶パネルは、視野角依存性をもつ偏光板を有するため、黒表示状態を斜め方向から観察すると
図16に示すように斜め方向の光漏れが発生する。このように、斜め方向における液晶パネルの光シャッター機能が完全ではないため、黒表示状態で光漏れが発生する。斜め方向の光漏れの一部は、液晶パネルの散乱によって液晶パネルの法線方向に向きを変えるため、法線方向でも光漏れが発生し、正面方向のコントラストを低下させる。
【0007】
ところで、車載用の液晶表示装置では、液晶表示装置を上方から見下ろすような視角に相当する方位0°~180°(特に、方位45°、135°)における白表示の透過率(輝度)の低下を抑制することが求められている。
【0008】
特許文献1は、偏光板及び位相差板を備える光学素子を用いてバックライトから放射される光の視野角特性を制御する技術を開示しているが、斜め方向での光漏れ対策については何ら開示も示唆もしておらず、正面方向のコントラストの低下を抑制し、かつ、方位0°~180°における白表示の透過率の低下を抑制するという点で工夫の余地があった。
【0009】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、正面方向のコントラストの低下を抑制し、かつ、方位0°~180°における白表示の透過率の低下を抑制することができる光学素子及びそれを備える液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の一実施形態は、観察面側から背面側に向かって順に、観察面側偏光子と、位相差板と、背面側偏光子と、を順に備え、上記観察面側偏光子の透過軸と上記背面側偏光子の透過軸とは平行であり、上記位相差板の背面側の面における光軸と上記背面側の面とのなす角度をθ1、上記位相差板の観察面側の面における光軸と上記観察面側の面とのなす角度をθ2とするとき、上記角度θ1と上記角度θ2との平均角度θは、0°を超え、90°未満である光学素子。
【0011】
(2)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、上記平均角度θは、40°以上、80°以下である、光学素子。
【0012】
(3)また、本発明のある実施形態は、上記(1)又は上記(2)の構成に加え、上記角度θ1は、上記角度θ2と異なる角度である、光学素子。
【0013】
(4)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)又は上記(3)の構成に加え、上記角度θ1は、上記角度θ2より大きい角度である、光学素子。
【0014】
(5)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)又は上記(4)の構成に加え、上記角度θ1と上記角度θ2との差は、60°以上、80°以下である、光学素子。
【0015】
(6)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)又は上記(5)の構成に加え、上記位相差板の上記背面側の面における上記光軸の方位は、上記位相差板の上記観察面側の面における上記光軸の方位と平行であり、かつ、上記観察面側偏光子の上記透過軸と直交又は平行である、光学素子。
【0016】
(7)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)又は上記(6)の構成に加え、上記位相差板は、重合性液晶の硬化物を含有する、光学素子。
【0017】
(8)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)又は上記(7)の構成に加え、上記観察面側偏光子又は上記背面側偏光子は、反射型偏光子である、光学素子。
【0018】
(9)また、本発明の他の一実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)及び上記(8)のいずれかに記載の光学素子と、上記光学素子が備える上記観察面側偏光子の観察面側に配置された液晶パネルと、上記液晶パネルの観察面側に配置された偏光子と、を備える液晶表示装置。
【0019】
(10)また、本発明のある実施形態は、上記(9)の構成に加え、上記液晶パネルの画面の水平右方向を方位0°とし、反時計回りを正の角度、時計回りを負の角度とするとき、上記位相差板の上記背面側の面における上記光軸の方位、及び、上記位相差板の上記観察面側の面における上記光軸の方位は、90°±3°である、液晶表示装置。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、正面方向のコントラストの低下を抑制し、かつ、方位0°~180°における白表示の透過率の低下を抑制することができる光学素子及び液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態1の液晶表示装置の構成例を示す断面模式図である。
【
図2】実施形態1の偏光板ルーバーが備える位相差板について説明する断面模式図である。
【
図3】参考形態1の液晶表示装置の構成例を示す断面模式図である。
【
図4】参考形態1の偏光板ルーバーの透過率視野角を、第二偏光子及び第三偏光子からなる偏光板ルーバーの透過率視野角で正規化した計算結果の一例である。
【
図5】実施形態1の偏光板ルーバーの透過率視野角を、第二偏光子及び第三偏光子からなる偏光板ルーバーの透過率視野角で正規化した計算結果の一例である。
【
図6A】比較例1の液晶表示装置の構成を説明するための図である。
【
図6B】比較例1の光学素子の透過率視野角の計算結果、及び、比較例1の光学素子で正規化した比較例1の光学素子の透過率視野角の計算結果である。
【
図7A】参考例1の液晶表示装置の構成を説明するための図である。
【
図7B】参考例1の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果、及び、比較例1の光学素子で正規化した参考例1の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果である。
【
図8A】実施例1の液晶表示装置の構成を説明するための図である。
【
図8B】実施例1の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果、及び、比較例1の光学素子で正規化した実施例1の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果である。
【
図9A】実施例2の液晶表示装置の構成を説明するための図である。
【
図9B】実施例2の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果、及び、比較例1の光学素子で正規化した実施例2の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果である。
【
図10A】実施例3の液晶表示装置の構成を説明するための図である。
【
図10B】実施例3の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果、及び、比較例1の光学素子で正規化した実施例3の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果である。
【
図11A】実施例4の液晶表示装置の構成を説明するための図である。
【
図11B】実施例4の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果、及び、比較例1の光学素子で正規化した実施例4の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果である。
【
図12A】実施例5の液晶表示装置の構成を説明するための図である。
【
図12B】実施例5の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果、及び、比較例1の光学素子で正規化した実施例5の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果である。
【
図13A】実施例6の液晶表示装置の構成を説明するための図である。
【
図13B】実施例6の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果、及び、比較例1の光学素子で正規化した実施例6の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果である。
【
図14A】実施例7の液晶表示装置の構成を説明するための図である。
【
図14B】実施例7の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果、及び、比較例1の光学素子で正規化した実施例7の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果である。
【
図15A】実施例8の液晶表示装置の構成を説明するための図である。
【
図15B】実施例8の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果、及び、比較例1の光学素子で正規化した実施例8の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果である。
【
図16】従来の液晶表示装置の黒表示状態における透過率視野角の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に実施形態を掲げ、本発明について図面を参照して更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
【0023】
[用語の定義]
本明細書において、偏光子は、無偏光(自然光)、部分偏光又は偏光から、特定方向にのみ振動する偏光(直線偏光)を取り出す機能を有するものを意味し、円偏光子(円偏光板)とは区別される。特に断りのない限り、本明細書中で「偏光子」というときは保護フィルムを含まず、偏光機能を有する素子だけを指す。吸収型偏光子とは、特定方向に振動する光を吸収し、それに垂直な方向に振動する偏光(直線偏光)を透過する機能を有するものである。反射型偏光子とは、特定方向に振動する光を反射し、それに垂直な方向に振動する偏光(直線偏光)を透過する機能を有するものである。
【0024】
本明細書中、面内位相差Rpは、Rp=(ns-nf)dで定義される。また、厚み方向位相差Rthは、Rth=(nz-(nx+ny)/2)dで定義される。nsはnx、nyのうち大きい方を、nfは小さい方を指す。また、nx及びnyは、複屈折層(位相差板と液晶パネルを含む)の面内方向の主屈折率を示し、nzは、面外方向、すなわち、複屈折層の面に対して垂直方向の主屈折率を示し、dは、複屈折層の厚みを示す。
【0025】
なお、本明細書中で主屈折率、位相差等の光学パラメータの測定波長は、特に断りのない限り550nmとする。
【0026】
本明細書において、複屈折層とは、光学的異方性を有する層のことであり、位相差板と液晶パネルを包含する概念である。複屈折層は、面内位相差と、厚み方向位相差の絶対値とのいずれか一方が10nm以上の値を有するものを意味し、好ましくは、20nm以上の値を有するものを意味する。
【0027】
本明細書中、観察面側とは、液晶表示装置の画面(表示面)に対してより近い側を意味し、背面側とは、液晶表示装置の画面(表示面)に対してより遠い側を意味する。
【0028】
本明細書中、極角とは、対象となる方向(例えば測定方向)と、液晶パネルの画面の法線方向とのなす角度を意味する。方位とは、対象となる方向を液晶パネルの画面上に射影したときの方向を意味し、基準となる方位との間のなす角度(方位角)で表現される。ここで、基準となる方位(0°)は、液晶パネルの画面の水平右方向に設定される。角度及び方位角は、反時計回りを正の角度、時計回りを負の角度とする。反時計回り及び時計回りは、いずれも液晶パネルの画面を観察面側(正面)から見たときの回転方向を表す。また、角度は、液晶パネルを平面視した状態で測定された値を表し、2つの直線(軸、方向及び稜線を含む)が互いに直交するとは、液晶パネルを平面視した状態で直交することを意味する。
【0029】
本明細書において、軸方位とは、特に断りのない限り偏光子の吸収軸(反射軸)、又は、位相差板の光軸(遅相軸)の方位を意味する。
【0030】
本明細書中、2つの軸が直交するとは、両者のなす角度が90°±3°であることを意味し、好ましくは90°±1°、より好ましくは90°±0.5°、特に好ましくは90°(完全に直交)であることを意味する。2つの軸が平行であるとは、両者のなす角度が0°±3°であることを意味し、好ましくは0°±1°、より好ましくは0°±0.5°、特に好ましくは0°(完全に平行)であることを意味する。
【0031】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に記載された内容に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。
【0032】
<実施形態1>
図1は、実施形態1の液晶表示装置の構成例を示す断面模式図である。
図2は、実施形態1の偏光板ルーバーが備える位相差板について説明する断面模式図である。本実施形態の液晶表示装置1は、透過型の液晶表示装置であり、
図1に示すように、観察面側から背面側に向かって順に、第一偏光子11、液晶層を含む液晶パネル20、上記観察面側偏光子としての第二偏光子12、位相差板(傾斜位相差板)30、上記背面側偏光子としての第三偏光子13、及び、バックライト40を備える。第一偏光子11は、液晶パネル20の観察面側に配置された上記偏光子に相当する。
【0033】
第二偏光子12から第三偏光子13までの光学素子は、光学的なルーバーとして機能するので、以下では偏光板ルーバーともいう。すなわち、第二偏光子12と位相差板30と第三偏光子13とを備える光学素子は、偏光板ルーバー100ともいう。
【0034】
第一偏光子11は、第一透過軸と、第一透過軸と直交する第一吸収軸又は第一反射軸とを有し、第二偏光子12は、第二透過軸と、第二透過軸と直交する第二吸収軸又は第二反射軸とを有し、第三偏光子13は、第三透過軸と、第三透過軸と直交する第三吸収軸又は第三反射軸とを有する。
【0035】
図1及び
図2に示すように、偏光板ルーバー100では、第二偏光子12の透過軸と第三偏光子13の透過軸とは平行であり、位相差板30の背面側の面30Xにおける光軸30XAと背面側の面30Xとのなす角度をθ1とし、位相差板30の観察面側の面30Yにおける光軸30YAと観察面側の面30Yとのなす角度をθ2とするとき、角度θ1と角度θ2との平均角度θは、0°を超え、90°未満である。このような態様とすることにより、正面方向のコントラストの低下を抑制し、かつ、方位0°~180°における白表示の透過率の低下を抑制することができる。本明細書において、光軸は遅相軸ともいう。
【0036】
平均角度θが0°を超え、90°未満である位相差板は、光軸が表示装置の法線方向(位相差板の法線方向)から傾いた位相差板、又は、傾斜位相差板ともいい、平均角度θが90°である位相差板は、光軸が表示装置の法線方向(位相差板の法線方向)に一致する位相差板ともいう。本実施形態の位相差板30は、傾斜位相差板である。
【0037】
図3は、参考形態1の液晶表示装置の構成例を示す断面模式図である。
図4は、参考形態1の偏光板ルーバーの透過率視野角を、第二偏光子及び第三偏光子からなる偏光板ルーバーの透過率視野角で正規化した計算結果の一例である。本発明者らは、
図3の参考形態1の液晶表示装置1Sに示すように、平均角度θが90°である位相差板30S、すなわち、光軸30SA(具体的には、屈折率楕円体の主軸や遅相軸)が表示装置の法線方向に一致する位相差板30Sを第二偏光子12と第三偏光子13との間に備える参考形態1の偏光板ルーバー100Sについて検討した。
【0038】
その結果、参考形態1の偏光板ルーバー100Sは、バックライト40から液晶パネル20に斜め方向から入射する光量を制限することが分かった。具体的には、参考形態1の偏光板ルーバー100Sは、
図4に示すように、方位45°、135°、225°及び315°の斜め光量を対称的に等しく減らすことで正面方向のコントラストを改善することができることが分かった。しかしながら、参考形態1では、斜め方向において白表示が暗くなるという課題があった。
【0039】
図5は、実施形態1の偏光板ルーバーの透過率視野角を、第二偏光子及び第三偏光子からなる偏光板ルーバーの透過率視野角で正規化した計算結果の一例である。そこで、本実施形態では、平均角度θが0°を超え、90°未満である位相差板30、すなわち、光軸が表示装置の法線方向から傾いた位相差板30を用い、方位225°及び315°の光量を選択的に低下させることで、上記課題を解決した。本実施形態の偏光板ルーバー100は、
図5に示すように、上方(方位0°~180°)の光量は変化させず、下方(特に方位225°及び315°)の光量を減らすように作用するため、上方(方位0°~180°)の白輝度を充分に確保しつつ、すなわち、方位0°~180°における白表示の透過率の低下を抑制しつつ、黒表示光漏れと正面方向のコントラストを改善することが可能となる。このように、本実施形態では、非対称に減光することにより白輝度視野角を改善している。本実施形態の偏光板ルーバー100は、例えば、車載用ディスプレイで重視される方位45°及び135°における白表示の透過率(輝度)の低下を抑制することができる。なお、本実施形態の液晶表示装置1の視野角特性としては、
図16と
図5とを掛け合わせたものになる。
【0040】
以下、液晶表示装置1について詳述する。
【0041】
第一偏光子11及び第二偏光子12は、クロスニコルに配置される。すなわち、第一偏光子11の第一透過軸(又は第一吸収軸若しくは第一反射軸)及び第二偏光子12の第二透過軸(又は第二吸収軸若しくは第二反射軸)は、互いに直交する。より詳細には、90°±3°の範囲内(好適には90°±1°の範囲内)の角度をなす。
【0042】
なお、第一偏光子11及び第二偏光子12は、パラレルニコルに配置されてもよいが、高コントラストを得る観点からは、クロスニコルに配置されることが好ましい。
【0043】
第二偏光子12及び第三偏光子13は、パラレルニコルに配置される。すなわち、上記観察面側偏光子の上記透過軸としての第二偏光子12の第二透過軸(又は第二吸収軸若しくは第二反射軸)、及び、上記背面側偏光子の上記透過軸としての第三偏光子13の第三透過軸(又は第三吸収軸若しくは第三反射軸)は、平行である。
【0044】
第二偏光子12及び第三偏光子13の軸方位は、適宜設定することができるが、0°±10°又は90°±10°の範囲内に設定されることが好ましく、0°±5°又は90°±5°の範囲内に設定されることがより好ましく、実質的に0°又は90°に設定されることが特に好ましい。これにより、法線方向と上下左右方向で明るい表示を得ることができる。例えば、第一偏光子11の軸方位11Aは、0°であり、第二偏光子12の軸方位12A及び第三偏光子13の軸方位13Aは、90°である。
【0045】
各偏光子11、12、13としては、材料や光学的性能について特に限定されず、例えば、吸収型偏光子、反射型偏光子等を適宜用いることができる。具体的には、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムに二色性を有するヨウ素錯体等の異方性材料を吸着配向させた吸収型偏光子の他、二種類の樹脂からなる共押出しフィルムを1軸延伸して得られる反射型偏光子(例えば、日東電工社製のAPCFや3M社製のDBEF)、金属ワイヤーの細線を周期的に配列させた反射型偏光子(所謂ワイヤーグリッド偏光子)等を適宜用いることができる。また、吸収型偏光子と反射型偏光子とを積層したものを用いることもできる。
【0046】
第二偏光子12又は第三偏光子13は、反射型偏光子であることが好ましい。ここで、バックライトから供給される光(一般的には無偏光)は液晶パネルの背面側に配置された吸収型偏光子で50%吸収されて損失するが、第二偏光子12又は第三偏光子13が反射型偏光子であることにより、バックライトから供給される光が液晶パネルの背面側に配置された偏光板により吸収されるのを抑えることが可能となるため、光の利用効率を高めることができる。このような、液晶パネルの背面側に配置された反射型偏光子は、輝度向上フィルムともいう。
【0047】
第三偏光子13は、反射型偏光子であることがより好ましい。このような態様とすることにより、偏光板ルーバー100が備える第三偏光子13に輝度向上フィルムの機能も付加することが可能となるため、液晶表示装置1の製造コストや厚みの増加を抑えることができる。
【0048】
第二偏光子12が吸収型偏光子であり、第三偏光子13が反射型偏光子である場合、第二偏光子12の透過軸と第三偏光子13の透過軸とは互いに平行に配置されることが好ましい。このような態様とすることにより、光の利用効率をより高めることができる。より具体的には、バックライト40から出射した光のうち、反射型偏光子である第三偏光子13の透過軸と平行な方位に振動する偏光は、第三偏光子13及び第二偏光子12を順に透過する。一方、第三偏光子13の透過軸と直交する方位に振動する偏光は第三偏光子13で反射してバックライト40側へ戻っていく。バックライト40側へ戻った光は、その後、バックライト40が備える後述の反射シートや拡散シートにおいて、偏光状態を変えたうえで、バックライト40から第三偏光子13側へ向けて再出射される。このうち、第三偏光子13の透過軸と平行な方位に振動する偏光は第三偏光子13及び第二偏光子12を順に透過するが、第三偏光子13の透過軸と直交する方位に振動する偏光は再び反射する。このような過程を繰り返すことにより、バックライト40からの光の利用効率をより高めることができる。
【0049】
第一偏光子11及び第二偏光子12としては、吸収型偏光子が好適であり、第三偏光子13としては、反射型偏光子が好適である。このような態様とすることにより、上述の通り光の利用効率を高めつつ、コントラストの低下を抑制することができる。この場合、第一偏光子11は、第一透過軸と、第一透過軸と直交する第一吸収軸とを有し、第二偏光子12は、第二透過軸と、第二透過軸と直交する第二吸収軸とを有し、第三偏光子13は、第三透過軸と、第三透過軸と直交する第三反射軸とを有する。
【0050】
また、第三偏光子13を複数とし、複数の第三偏光子13を積層して用いてもよい。この場合、複数の第三偏光子13の第三透過軸は、実質的に同じ方位に設定される。
【0051】
また、機械強度や耐湿熱性を確保するために、各偏光子11、12、13の観察面側及び背面側の少なくとも一方に、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等の保護フィルム(図示せず)がラミネートされてもよい。保護フィルムは、任意の適切な接着層(図示せず)を介して偏光子11、12、13に貼り付けられる。
【0052】
なお、本明細書において、「接着層」とは、隣り合う光学素子の面と面とを接合し、実用上充分な接着力と接着時間で一体化させるものをいう。接着層を形成する材料としては、例えば、接着剤、アンカーコート剤が挙げられる。接着層は、被着体の表面にアンカーコート層が形成され、その上に接着剤層が形成されたような、多層構造であってもよい。また、肉眼的に認知できないような薄い層であってもよい。
【0053】
液晶パネル20の液晶モードは特に限定されず、液晶層中の液晶分子を基板面に垂直に配向させることで黒表示を行うものであってもよいし、液晶層中の液晶分子を基板面に平行又は垂直でも平行でもない方向に配向させることで黒表示を行うものであってもよい。また、液晶パネルの駆動形式としては、TFT方式(アクティブマトリクス方式)のほか、単純マトリクス方式(パッシブマトリクス方式)、プラズマアドレス方式等であってもよい。
【0054】
液晶パネル20の構成としては、例えば、一方の基板に画素電極及び共通電極が形成された一対の基板間に液晶層を狭持し、画素電極及び共通電極の間に電圧を印加して液晶層に横電界(フリンジ電界を含む)を印加することで表示を行うもの、一方の基板に画素電極、他方の基板に共通電極が形成された一対の基板間に液晶層を狭持し、画素電極及び共通電極の間に電圧を印加して液晶層に縦電界を印加することで表示を行うものが挙げられる。より具体的には、横電界方式としては、電圧無印加時に液晶層中の液晶分子が基板面に対して平行に配向する、FFS(Fringe Field Switching)モードやIPS(In Plane Switching)モードが挙げられ、縦電界方式としては、電圧無印加時に液晶層中の液晶分子が基板面に対して垂直に配向する、垂直配向(VA:Vertical Alignment)が挙げられる。
【0055】
位相差板30は、平均角度θが0°を超え、90°未満の位相差板である。すなわち、位相差板30は、当該位相差板30の法線方向から傾いた光軸を有する位相差板である。位相差板30は、例えば、分子が傾斜配向をした位相差板であり、Oプレート(Obliqueプレート)とも呼ばれる。
【0056】
平均角度θは、40°以上、80°以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、上方(方位0°~180°)の白輝度を充分に確保しつつ、すなわち、方位0°~180°における白表示の透過率の低下を抑制しつつ、黒表示光漏れと正面方向のコントラストを改善することが可能となる。平均角度θは、45°以上、75°以下であることがより好ましく、50°以上、70°以下であることが更に好ましい。
【0057】
位相差板30は、例えば、重合性液晶の硬化物を含有する。重合性液晶は、重合性基とメソゲン基とを備える化合物である。重合性液晶としては、例えば、重合性基を有する棒状液晶分子、重合性基を有する円盤状液晶分子等が挙げられる。位相差板30は、例えば、配向膜上に、重合性液晶を含む位相差板形成用組成物を塗布し、上記重合性液晶を硬化させることにより得られる。位相差板30としては、例えば、重合性液晶30Lが一様に傾斜配向した硬化層、
図2に示すように重合性液晶30Lがハイブリッド配列に配向した硬化層等が挙げられる。
図2に示す重合性液晶30Lは、重合性基の少なくとも一部が重合したものを示している。上記硬化層は、液晶性組成物の一部又は全部が、熱、触媒、光及び/又は放射線により架橋されて、不溶不融又は難溶難融の状態となったものをいう。
【0058】
本明細書において「ハイブリッド配列」とは、重合性液晶30Lの傾斜角(チルト角)が、厚み方向で連続的又は間欠的に、増加又は減少している状態であるものをいい、当該位相差板の一方の面における重合性液晶30Lの傾斜角と、他方の面における重合性液晶30Lの傾斜角とが異なるものである。ハイブリッド配列における棒状液晶化合物分子の代表的な配列状態を
図2に模式的に示す。ここで、チルト角とは、重合性液晶30Lの物理的な対称軸が位相差板の界面となす角度である。具体的には、チルト角とは、隣接する層面と重合性液晶30Lの長軸(光軸)とのなす角度を表し、重合性液晶30Lが面内に平行に配列されている場合を0°とする。重合性液晶30Lの長軸方向が光軸の方向となるため、当該位相差板の一方の面における重合性液晶30Lの傾斜角は上記角度θ1に相当し、他方の面における重合性液晶30Lの傾斜角は上記角度θ2に相当する。すなわち、位相差板の一方の面における重合性液晶30Lの傾斜角と、他方の面における重合性液晶30Lの傾斜角とが異なるとは、すなわち、上記角度θ1と上記角度θ2とが異なることを意味する。
【0059】
上記重合性基を有する棒状液晶分子は、例えば、下記一般式(I)で表される構造を有する。
【0060】
【化1】
(式中、Z
1及びZ
2は、重合性基を表わし、Y
1、Y
2、Y
3及びY
4は各々独立に、単結合、酸素、硫黄、-O-CO-、-CO-O-、-O-CO-O-、-CO-NR-、-NR-CO-、-O-CO-NR-、-NR-CO-O-又は-NR-CO-NR-を表わし、Y
3及びY
4の少なくとも一方は、-O-CO-O-、-O-CO-NR-、-NR-CO-O-又は-NR-CO-NR-を表わし、A
1及びA
2は各々独立に、2~30個の炭素原子を有するスペーサーを表わし、Mは、メソゲン基を表わし、Rは、炭素数1~4のアルキル基を表す。)
【0061】
上記メソゲン基Mは、例えば、下記一般式(Ia)で表される構造を有する。
【0062】
【化2】
(式中、Tは、2価の飽和または不飽和イソ環式基またはヘテロ環式基を表わし、Y
5は、単結合、酸素、硫黄、-O-CO-、-CO-O-、-O-CO-O-、-CO-NR-、-NR-CO-、-O-CO-NR-、-NR-CO-O-、-NR-CO-NR-、-O-CH
2-、-CH
2-O-、-CH=N-、-N=CH-又は-N=N-を表わし、rは、0、1、2又は3を表わす。)
【0063】
上記一般式(Ia)中、rが0よりも大きい場合には、Tは同一であっても異なっていてもよく、Y5は同一であっても異なっていてもよい。
【0064】
上記重合性基を有する円盤状液晶分子は、例えば、下記一般式(II)で表される構造を有する。
【0065】
【化3】
(式中、Y
11、Y
12及びY
13は各々独立に、メチン又は窒素原子を表し、R
11、R
12及びR
13は各々独立に、下記一般式(A)、下記一般式(B)、下記一般式(C)、又は水素原子を表すが、ただし、R
11、R
12及びR
13のうち、少なくとも2つは下記一般式(A)、下記一般式(B)、又は下記一般式(C)である。)
【0066】
【化4】
(式中、A
11及びA
12は各々独立に窒素原子又はメチンを表し;A
13、A
14、A
15及びA
16は各々独立に、窒素原子又はメチン(但しメチンの水素原子は置換基-L
11-L
12-Q
11で置換されていてもよい)を表し;X
1は、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し;L
11はヘテロ5員環の基を表し;L
12は、アルキレン基又はアルケニレン基を表し、これらアルキレン基又はアルケニレン基の基中に存在する1個のCH
2基又は隣接していない2個以上のCH
2基はそれぞれ-O-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-CO-、-S-、-SO
2-、-NR
A-、-NR
ASO
2-、又は、-SO
2NR
A-(R
Aは水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す)に置換されていてもよく、また、これらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子に置換されてもよく;Q
11はそれぞれ独立に、重合性基、水素原子、OH、COOH、又は、ハロゲン原子を表し、少なくとも1つのQ
11は重合性基を表す。)
【0067】
【化5】
(式中、A
21及びA
22は各々独立に、窒素原子又はメチンを表し;A
23、A
24、A
25及びA
26は各々独立に、窒素原子又はメチン(但しメチンの水素原子は置換基-L
21-L
22-Q
21で置換されていてもよい)を表し;X
2は、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し;L
21はヘテロ5員環の基を表し;L
22は、アルキレン基又はアルケニレン基を表し、これらアルキレン基またはアルケニレン基の基中に存在する1個のCH
2基又は隣接していない2個以上のCH
2基はそれぞれ-O-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-CO-、-S-、-SO
2-、-NR
B-、-NR
BSO
2-、又は、-SO
2NR
B-(R
Bは水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す)に置換されていてもよく、また、これらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子に置換されてもよく;Q
21はそれぞれ独立に、重合性基、水素原子、OH、COOH、又は、ハロゲン原子を表し、少なくとも1つのQ
21は重合性基を表す。)
【0068】
【化6】
(式中、A
31及びA
32は各々独立に窒素原子又はメチンを表し、A
33、A
34、A
35及びA
36は各々独立に、窒素原子又はメチン(但しメチンの水素原子は置換基-L
31-L
32-Q
31で置換されていてもよい)を表し;X
3は、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し;L
31はヘテロ5員環の基を表し;L
32は、アルキレン基又はアルケニレン基を表し、これらアルキレン基又はアルケニレン基の基中に存在する1個のCH
2基又は隣接していない2個以上のCH
2基はそれぞれ-O-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-CO-、-S-、-SO
2-、-NR
C-、-NR
CSO
2-、又は、-SO
2NR
C-(R
Cは水素原子又は炭素数1~4のアルキル基)に置換されていてもよく、また、これらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子に置換されてもよく;Q
31はそれぞれ独立に、重合性基、水素原子、OH、COOH、又は、ハロゲン原子を表し、少なくとも1つのQ
31は重合性基を表す。)
【0069】
重合性液晶30Lが一様に傾斜配向する場合、角度θ1は角度θ2と同じ角度であり、重合性液晶30Lがハイブリッド配向する場合、角度θ1は角度θ2とは異なる角度である。このような態様とすることにより、角度θ1と角度θ2とが等しい角度である場合と比較して、平均角度θを最適値に調整することが容易なる。重合性液晶30Lがハイブリッド配向する場合、角度θ1は、角度θ2より大きい角度であることが好ましい。
【0070】
重合性液晶30Lがハイブリッド配向する場合、角度θ1と角度θ2との差は、0°以上、90°以下であることが好ましい。
【0071】
位相差板30の背面側の面30Xにおける光軸30XAの方位は、位相差板30の観察面側の面30Yにおける光軸30YAの方位と平行であり、かつ、第二偏光子12の第二透過軸と直交又は平行であることが好ましい。このような態様とすることにより、正面方向のコントラストの低下をより抑制することができる。
【0072】
位相差板30の背面側の面30Xにおける光軸30XAの方位、及び、位相差板30の観察面側の面30Yにおける光軸30YAの方位は、90°±3°であることが好ましい。このような態様とすることにより、上方(方位0°~180°)の光量は変化させず、下方(特に方位225°及び315°)の光量をより低減させることが可能となるため、正面方向のコントラストの低下をより抑制することができる。光軸30XAの方位、及び、光軸30YAの方位は、90°±1°であることが好ましく、90°±0.5°であることがより好ましい。
【0073】
位相差板30の背面側の面30Xにおける光軸30XAの方位、及び、位相差板30の観察面側の面30Yにおける光軸30YAの方位は90°±3°であり、第二偏光子12の透過軸の方位は0°±3°(すなわち、吸収軸の方位は90°±3°)であり、第三偏光子13の透過軸の方位は0°±3°(すなわち、反射軸の方位は90°±3°)であることが好ましい。このような態様とすることにより、上方(方位0°~180°)の光量は変化させず、下方(特に方位225°及び315°)の光量を更に低減させることが可能となるため、正面方向のコントラストの低下を更に抑制することができる。光軸30XAの方位及び光軸30YAの方位は90°±1°であり、第二偏光子12の透過軸及び第三偏光子13の透過軸の方位は0°±1°であることが好ましく、光軸30XAの方位及び光軸30YAの方位は90°±0.5°であり、第二偏光子12の透過軸及び第三偏光子13の透過軸の方位は0°±0.5°であることがより好ましい。
【0074】
位相差板30中における重合性液晶30Lの配向状態は、位相差板形成用組成物の塗膜と接する面(例えば、支持体面、空気面等)の表面エネルギー、位相差板形成用組成物に含まれる重合性液晶の種類の組み合わせ等により制御することが可能であり、ハイブリッド配向を実現する等、液晶分子の傾斜度合いを変化させることができる。例えば、位相差板30の支持体面側の重合性液晶30Lの傾斜角は、重合性液晶の材料、配向膜の材料、配向膜のラビング処理方法、配向膜の光配向処理方法等を選択することにより、調整することができる。また、位相差板30の表面側(空気面側)の液晶分子の傾斜角は、重合性液晶、重合性液晶とともに使用する他の化合物(例えば、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー及び重合性ポリマー)等を選択することにより調整することができる。更に、傾斜角の変化の程度も、上記選択により調整することができる。
【0075】
より具体的には、支持体面側の傾斜角は、配向膜の種類と表面エネルギーを最適化することで調整することができる。また、空気面側の傾斜角は、後述の空気界面配向制御剤を空気界面側に偏在させることで調整することができる。また、特開2013-47758号公報の実施例1の方法において、各種パラメータを最適化することにより、傾斜角を調整することができる。
【0076】
位相差板30中の重合性液晶30Lを所望の配向状態とするため、位相差板形成用組成物の塗布性又は硬化性の良化を目的として、位相差板形成用組成物は一種以上の添加剤を含んでいてもよい。重合性液晶30Lをハイブリッド配向させるために、層の空気界面側の配向を制御し得る添加剤(以下、「空気界面配向制御剤」という)を添加してもよい。該添加剤として、フッ化アルキル基及びスルホニル基等の親水性基を有する低分子量もしくは高分子量の化合物が挙げられる。
【0077】
ここで、配向状態が固定された重合性液晶30Lを含有する位相差板30において、角度θ1、及び、角度θ2を、直接的かつ正確に測定することは困難である。そこで、本明細書においては、角度θ1及び角度θ2は、以下の手法で算出する。本手法は、実際の配向状態を正確に表現していないが、光学素子のもつ一部の光学特性の相対関係を表す手段として有効である。本手法では、算出を容易にすべく、下記の2点を仮定し、位相差板の2つの界面におけるチルト角とする。
【0078】
1.位相差板は重合性液晶等の液晶分子を含む層で構成された多層体と仮定する。更に、それを構成する最小単位の層(液晶分子のチルト角は該層内において一様と仮定する。)は光学的に一軸と仮定する。
2.各層のチルト角は位相差板の厚み方向に沿って一次関数で単調に変化すると仮定する。具体的な算出法は下記のとおりである。
【0079】
(1)各層のチルト角が位相差板の厚み方向に沿って一次関数で単調に変化する面内で、位相差板への測定光の入射角を変化させ、3つ以上の測定角でレターデーション値を測定する。該測定及び計算を簡便にするためには、位相差板に対する法線方向を90°とし、50°、90°、130°の3つの測定角でレターデーション値を測定することが好ましい。このような測定は、例えば、KOBRA-21ADH、KOBRA-WR(王子計測器(株)製)、AxoScan(Axometrics社製)などで行うことができる。
【0080】
(2)各層の常光の屈折率をno、異常光の屈折率をne(no及びneは各々すべての層において同じ値とする。)、多層体全体の厚みをdとする。更に、各層におけるチルト方向とその層の一軸の光軸方向とは一致するとの仮定の元に、位相差板のレターデーション値の極角依存性の計算が測定値に一致するように、位相差板の一方の面における角度θ1及び他方の面の角度θ2及び厚みdを変数としてフィッティングを行い、θ1、θ2及びdを算出する。
【0081】
位相差板30は単層(より具体的には、フィルム状に形成された単層)であるが、上述の通り、位相差板30を仮想的に複数の薄層の積層体として捉え、それぞれの薄層が光軸を有するという前提のもと、位相差板30の背面側の面における光軸、及び、観察面側の面における光軸を定義することができる。
【0082】
バックライト40は、反射シートと、拡散シートと、導光板及び光源を含む光源ユニットとを備える。
【0083】
本実施形態の液晶表示装置1は、上述の部材の他、TCP(テープ・キャリア・パッケージ)、PCB(プリント配線基板)等の外部回路;視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム等の光学フィルム;ベゼル(フレーム)等の複数の部材により構成されるものであり、部材によっては、他の部材に組み込まれていてもよい。既に説明した部材以外の部材については特に限定されず、液晶表示装置の分野において通常使用されるものを用いることができるので、説明を省略する。
【0084】
以下に実施例及び比較例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0085】
(実施例1、比較例1及び参考例1)
比較例1、参考例1及び実施例1の液晶表示装置の構成は、それぞれ、
図6A、
図7A及び
図8Aに示した通りである。
図6Aは、比較例1の液晶表示装置の構成を説明するための図である。
図7Aは、参考例1の液晶表示装置の構成を説明するための図である。
図8Aは、実施例1の液晶表示装置の構成を説明するための図である。各光学素子の軸方位を断面模式図に記載した。吸収型偏光子の軸方位は吸収軸の方位、位相差板の軸方位は光軸の方位(面内遅相軸の方位)、反射型吸収型の軸方位は反射軸の方位を、液晶パネルの軸方位は遅相軸の方位を、それぞれ示している。図中、dは位相差板の厚さを、Rは位相差を示している。
【0086】
なお、平均角度θ=90°である位相差板、すなわち、光軸が法線方向に一致する所謂Cプレートの場合は面内遅相軸が定義されず、位相差板の軸方位も定義されないが、実施例1及び後述の実施例2~8の位相差板30のように、光軸が特定の方位に向かって一様に傾斜している場合、あるいは光軸の傾斜角が非一様であっても傾斜方位が一様な場合には、その傾斜方位が面内遅相軸となり、位相差板の軸方位を定義することができる。
【0087】
図中、Cプレート以外の位相差板の位相差Rは面内位相差Rpを示している。Cプレートの場合は面内位相差が0になるため、位相差Rは厚み方向位相差Rthを示している。
【0088】
位相差Rは、デュアル・リターダー・ローテート方式のポーラリメータ(Axometrics社製、商品名:Axo-scan)を用いて測定した。面内位相差Rpは複屈折層の法線方向から実測した。厚み方向位相差Rthは、複屈折層の法線方向、法線方向から-50°~50°傾斜した各斜め方向から位相差を測定し、公知の屈折率楕円体式のカーブフィッティングにより算出した。傾斜方位は面内遅相軸と直交する方位とした。また、厚み方向位相差Rthは、カーブフィッティングの計算条件として与える平均屈折率=(nx+ny+nz)/3に依存するが、各複屈折層の平均屈折率を1.5に統一して計算した。実際の平均屈折率が1.5と異なる複屈折層についても平均屈折率1.5を想定して換算した。
【0089】
位相差板30の光軸の傾斜角は、その製法によっては、位相差板の厚み方向に対して一様であるとは限らないため、位相差板30のバックライト40に近い方の面(背面側の面)における光軸の傾斜角、すなわち、位相差板30の背面側の面における光軸と背面側の面とのなす角を角度θ1、観察者側に近い方の面における光軸の傾斜角、すなわち、位相差板30の観察面側の面における光軸と観察面側の面とのなす角を角度θ2、それらの平均値を平均角度θとして図中に表記した。
【0090】
第一及び第二偏光子としては、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムに二色性を有するヨウ素錯体を吸着配向させた吸収型偏光子を用いた。液晶パネルとしては、横電界方式のFFSモードの液晶パネルを使用した。第三偏光子としては、3M社製の反射型偏光子APFを用いた。バックライトとしては、LED光源を使用した。
【0091】
参考例1の位相差板30Sは、国際公開第2016/158300号の段落[0082]~段落[0089]に記載のポジティブCプレートと同様の方法を用いて作製した。具体的には、まず、アルカリ鹸化処理を行っていないセルロースアシレートフィルムに、下記組成の配向膜塗布液(B)を#14のワイヤーバーで連続的に塗布した。その後、配向膜塗布液(B)が塗布されたセルロースアシレートフィルムを60℃の温風で60秒、更に100℃の温風で120秒乾燥して、配向膜を形成した。
【0092】
(配向膜塗布液(B)の組成)
下記化学式(PVA-1)に示す変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
クエン酸エステル(三協化学(株)製 AS3) 0.175質量部
光重合開始剤(イルガキュア2959、チバ・ジャパン社製) 2.0質量部
【0093】
【0094】
下記の組成の棒状液晶化合物を含む光学異方性層塗布液(C)を、上記作製した配向膜上に#5.0のワイヤーバーで連続的に塗布した。フィルムの搬送速度(V)は26m/minとした。塗布液の溶媒の乾燥および棒状液晶化合物の配向熟成のために、光学異方性層塗布液(C)が塗布されたフィルムを60℃の温風で60秒間加熱した。その後、得られたフィルムを60℃にてUV照射を行い、棒状液晶化合物の配向を固定化して、参考例1の位相差板30Sを作製した。
【0095】
(光学異方性層塗布液(C)の組成)
下記化学式(LCL-1)に示す棒状液晶化合物 80質量部
下記化学式(LCL-2)に示す棒状液晶化合物 20質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバ・ジャパン社製) 3質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1質量部
下記化学式(F‐1)に示す含フッ素化合物 0.3質量部
配向膜界面配向剤-1 0.55質量部
メチルエチルケトン 193質量部
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
比較例1及び参考例1の液晶表示装置(比較例1の液晶表示装置1R及び参考例1の液晶表示装置1S)を作製し、比較例1及び参考例1の液晶表示装置の正面方向のコントラスト(CR)を実測した。具体的には、視野角測定装置(ELDIM社製、商品名:EZContrast160)を用いて白表示と黒表示の輝度を測定し、その比を正面方向のコントラスト(CR)とした。また、実施例1の液晶表示装置の正面方向のコントラストをシミュレーションにより計算した。正面方向のコントラストの計算には液晶光学シミュレータ(LCD Master、シンテック社製)を使用した。正面方向のコントラストは、比較例1は1520、参考例1は1657、実施例1は1626であった。
【0100】
また、比較例1、参考例1及び実施例1の液晶表示装置の液晶パネルに入射するバックライト光の配光分布を把握するため、液晶パネルよりも下側のパーツだけ、すなわち、第二偏光子12から第三偏光子13までの光学素子(特に、第二偏光子12と第三偏光子13との間に位相差板を備える光学素子を偏光板ルーバーともいう)の透過率視野角特性を計算した。結果を、
図6B、
図7B及び
図8Bに示す。
図6Bは、比較例1の光学素子の透過率視野角の計算結果、及び、比較例1の光学素子で正規化した比較例1の光学素子の透過率視野角の計算結果である。
図7Bは、参考例1の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果、及び、比較例1の光学素子で正規化した参考例1の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果である。
図8Bは、実施例1の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果、及び、比較例1の光学素子で正規化した実施例1の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果である。透過率視野角特性の計算には液晶光学シミュレータ(LCD Master、シンテック社製)を使用した。実施例1の位相差板30は棒状液晶化合物で構成されると仮定し、屈折率はne=1.6、no=1.5、Δn=0.1、d=2μmの固定値に設定した。
【0101】
なお、図中、最下段の視野角特性は比較例1の視野角特性で正規化したもので、比較例1に対する相対的な透過率視野角特性に相当する。特に断りのない限り、以下の説明では、正規化した視野角特性を参照している。
【0102】
第二偏光子12及び第三偏光子13からなる光学素子100Rを用いた比較例1では、正面方向のコントラストが充分に得られなかった。第二偏光子12、位相差板30S及び第三偏光子13からなる偏光板ルーバー100Sを用いた参考例1では、正面方向のコントラストが充分に得られたが、
図7Bに示すように、参考例1の偏光板ルーバー100Sの配光特性は略十字型であり、方位45°、135°、225°及び315°における液晶パネルへの入射光が制限されることがわかった。すなわち、方位0°~180°における白表示の透過率の低下を抑制することはできなかった。
【0103】
一方、光軸が法線方向から傾いた位相差板30を備える実施例1の液晶表示装置1は正面方向のコントラストが充分に得られ、かつ、実施例1の偏光板ルーバー100は、方位225°及び315°の光量を選択的に低下させており、車載ディスプレイで重視される方位45°及び135°における白表示の透過率(輝度)の低下がないことがわかった。このように、実施例1では、上方(方位0°~180°)の光量は変化させず、下方(特に、方位225°及び315°)の光量を抑制することができ、上方での白輝度を満たしつつ、黒表示時の光漏れを抑制して正面方向のコントラストを高めることができた。
【0104】
(実施例2~8)
実施例2~8の液晶表示装置の構成は、それぞれ、
図9A、
図10A、
図11A、
図12A、
図13A、
図14A及び
図15Aに示した通りである。角度θ1、角度θ2及び平均角度θが種々異なり、平均角度θが0°を超え、90°未満である位相差板30(傾斜位相差板)を使用したことを除き、実施例2~8の液晶表示装置は、実施例1と同様の構成を有する。
図9Aは、実施例2の液晶表示装置の構成を説明するための図である。
図10Aは、実施例3の液晶表示装置の構成を説明するための図である。
図11Aは、実施例4の液晶表示装置の構成を説明するための図である。
図12Aは、実施例5の液晶表示装置の構成を説明するための図である。
図13Aは、実施例6の液晶表示装置の構成を説明するための図である。
図14Aは、実施例7の液晶表示装置の構成を説明するための図である。
図15Aは、実施例8の液晶表示装置の構成を説明するための図である。
【0105】
実施例4の位相差板30は、次のようにして作製した。厚み80μmの、トリアセチルセルロースを主成分とする高分子フィルム(富士フイルム社製)の表面に、光配向膜用の配向剤(Rolic社製 商品名「ROF103」)をスピンコータにて塗工(条件;3000rpmで1分間)し、100℃の空気循環式恒温オーブンで10分間乾燥させて、厚み70nmの光配向膜を形成した。次に、この光配向膜に、基板平面に対して斜め方向140°から偏光紫外光を照射(照射量:100mJ/cm2)し、傾斜配向処理を施した。
【0106】
次に、分子構造中に2つの架橋性官能基を有する棒状液晶化合物と重合開始剤とを含む液晶性組成物(Rolic社製 商品名「ROP5101」(液晶温度範囲30℃~57℃))と、シクロペンタノンとを含む塗工液(濃度;20重量%)を調製した。次に、この塗工液を上記光配向膜の表面に塗工し、該塗工液の基板側とは反対側の界面を空気に接触した状態にして、50℃に加熱し、その温度で2分間保持して、ハイブリッド配列に配向させた棒状液晶化合物の固化層を形成した。さらに、この固化層に、窒素雰囲気下で、紫外線を照射(照射量:500mJ/cm2:於365nm)して、基材(上記トリアセチルセルロースを主成分とする高分子フィルム)上に、厚み1.1μmの位相差板30を形成した。実施例4では、当該位相差板30を基材から除去しながら、粘着剤を介して第二偏光子12に転写した。
【0107】
実施例4の液晶表示装置について、上記比較例1と同様に正面コントラストを実測した。また、実施例2~3及び5~8の液晶表示装置について、実施例1と同様に正面方向のコントラストを計算した。実施例2~8の正面方向のコントラストは、いずれも実施例1と同程度であり、充分な正面方向のコントラストを有していた。
【0108】
実施例2~8について、実施例1と同様にして偏光板ルーバーの透過率視野角特性を計算した。結果を、
図9B、
図10B、
図11B、
図12B、
図13B、
図14B及び
図15Bに示す。
図9Bは、実施例2の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果、及び、比較例1の光学素子で正規化した実施例2の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果である。
図10Bは、実施例3の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果、及び、比較例1の光学素子で正規化した実施例3の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果である。
図11Bは、実施例4の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果、及び、比較例1の光学素子で正規化した実施例4の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果である。
図12Bは、実施例5の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果、及び、比較例1の光学素子で正規化した実施例5の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果である。
図13Bは、実施例6の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果、及び、比較例1の光学素子で正規化した実施例6の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果である。
図14Bは、実施例7の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果、及び、比較例1の光学素子で正規化した実施例7の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果である。
図15Bは、実施例8の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果、及び、比較例1の光学素子で正規化した実施例8の偏光板ルーバーの透過率視野角の計算結果である。実施例2~8における透過率視野角特性の計算では、実施例1と同様に、位相差板30は棒状液晶化合物で構成されると仮定し、屈折率はne=1.6、no=1.5、Δn=0.1、d=2μmの固定値に設定し、角度θ1、角度θ2及び平均角度θのみを変化させた。
【0109】
実施例2~8の偏光板ルーバー100についても、実施例1と同様に、上方(方位0°~180°)の光量は変化させず、下方(特に方位225°及び315°)の光量を抑制することができ、上方での白輝度を満たしつつ、黒表示時の光漏れを抑制して正面方向のコントラストを高めることができた。
【0110】
また、平均角度θが大きいほど、下方の透過率が低い角度範囲が広く、効果が大きいことが確認された。特に、実施例4の液晶表示装置1は、比較例1よりも正面方向のコントラストが高く、参考例1よりも白輝度視野角が広いことを確認でき、上方における視野角が広いことが分かった。実際に作製した比較例1、参考例1及び実施例4の液晶表示装置を評価することにより、実施例4の液晶表示装置は比較例1よりも正面コントラストが高く、参考例1よりも白輝度視野角が広いことが確認できた。特に、実施例4の液晶表示装置は上方における視野角が広いことを確認することができた。
【符号の説明】
【0111】
1、1R、1S:液晶表示装置
11:第一偏光子
11A、12A、13A:軸方位
12:第二偏光子
13:第三偏光子
20:液晶パネル
30:位相差板(傾斜位相差板)
30L:重合性液晶
30S:位相差板
30SA、30XA、30YA:光軸(遅相軸)
30X、30Y:面
40:バックライト
100、100S:偏光板ルーバー
100R:光学素子
θ:平均角度
θ1、θ2:角度